JP2003012578A - 有機ハロゲン化合物と高温高圧水との反応方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物と高温高圧水との反応方法

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JP2003012578A
JP2003012578A JP2001197193A JP2001197193A JP2003012578A JP 2003012578 A JP2003012578 A JP 2003012578A JP 2001197193 A JP2001197193 A JP 2001197193A JP 2001197193 A JP2001197193 A JP 2001197193A JP 2003012578 A JP2003012578 A JP 2003012578A
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Nobumoto Kasahara
伸元 笠原
Katsuya Ueno
勝也 上野
Shin Tatematsu
伸 立松
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応効率の低下を防止でき、高効率の反応を
長期に亘って実施可能な有機ハロゲン化合物と高温高圧
水との反応方法を提供する。 【解決手段】 本発明による反応方法は、有機ハロゲン
化合物を含む被反応物と水とを、Cr:19%、Mo:
19%、Ta:1.8%及び残部Ni(質量基準)から
成り、好ましくは平均表面粗さが0.8μm以下の反応
器に収容し、この反応器内の温度を200℃以上且つゲ
ージ圧力を2MPa以上として高温高圧水反応を生起せ
しめる方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ハロゲン化合
物と高温高圧水との反応方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超臨界水又はいわゆる亜臨界水を用いた
高温高圧水反応は、通常の穏和な化学反応条件では極め
て分解が困難な被反応物(被処理物)を酸化分解した
り、反応の進行が遅い反応系から効率よくエネルギーや
有用(有益)物質を得ることができる等の点で優れてお
り、彼是30年以上に亘って研究又は実用に供されてい
る。加えて、近年では、溶媒又は反応基質(媒質)とし
て水を用いるグリーンケミストリーとして脚光を浴びて
いる。殊に、環境や生態系への影響が危惧されるダイオ
キシン類等の難分解性有機ハロゲン化合物の分解処理、
フッ素系物質等に代表される各種新素材の合成、又は、
他の各種有益物質の中間体製造、等に極めて適した手段
として大いに期待されている。
【0003】このような高温高圧水反応は生起させるに
は、一般に、被反応物又はそれを含む原料と、溶媒又は
反応基質としての水とを反応器(反応装置)に収容した
後、所定の温度圧力条件下に保持するといった方法が行
われている。このとき用いられる反応器には少なくとも
耐熱性、耐圧性、及び耐食性が要求されるため、金属材
料から成るものが広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、被反応物と
して上述した有機ハロゲン化合物を用いた場合には、通
常、高温高圧水反応によってハロゲン化水素の発生を伴
う。ハロゲン化水素は腐食性が強く、しかも、高温高圧
条件化ではイオンのような活性種の状態で存在すること
も考えられ、反応器の材料腐食が生じてしまう。こうな
ると、同一反応器内での反応を長期に亘って実施するこ
とが困難となり、更には、材料腐食によって生成した金
属塩が反応系内において反応阻害物質(因子)となり得
る。また、反応系内に触媒が存在する場合には、材料腐
食の際に触媒の還元が起って触媒の失活するおそれがあ
る。このため、目的とする高温高圧水反応の反応効率が
低下したり、場合によっては目的の反応を選択的に進行
させ難くなるといった悪影響が生じ得る。
【0005】そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなさ
れたものであり、有機ハロゲン化合物を含む被反応物を
高温高圧水反応させる際に、ハロゲン化水素又はそれに
起因するハロゲンイオンといった活性種の悪影響を排除
でき、これにより、反応効率の低下を防止でき、且つ、
反応を長期に亘って良好に実施できる有機ハロゲン化合
物と高温高圧水との反応方法を提供することを目的とす
る。
【0006】有機ハロゲン化合物の高温高圧水反応で
は、反応条件を変化させても、化学量論的なハロゲン化
水素の全生成量に大きな変化はなく、ハロゲンイオン等
の活性種の生成は避け難い。そこで、本発明者らは、上
記課題を解決するために、有機ハロゲン化合物を被反応
物とする従来の高温高圧水反応について、反応器部材の
耐食性の観点から詳細な検討を行った。
【0007】一般に、慣用的に用いられる耐食性金属材
料としては、例えばSUS316(公称組成:18%C
r−12%Ni−2.5%Mo−Bal.Fe)等のス
テンレス系材料が挙げられる。しかし、亜臨界領域又は
それを超える過酷な条件では、部材の損耗ひいては劣化
が激烈であり、実用上の工業的使用に耐え難い。
【0008】これに対し、ハロゲン化水素に対する耐食
性に優れる耐食性材料として、ハステロイ(登録商標)
C−22(公称組成:21%Cr−13%Mo−4%F
e−3%W−Bal.Ni)、インコネル(登録商標)
600(公称組成:15.5%Cr−8%Fe−Ba
l.Ni)といったニッケル系合金等も知られている。
しかし、本発明者らの知見によれば、これらは、ステン
レス系材料に比して腐食が低減されるものの、亜臨界領
域又はそれを超える過酷な条件下、特にハロゲン化水素
の存在下においては、未だ十分な耐食性を有していると
は言えない。
【0009】なお、金又は白金等の貴金属材料を反応器
に採用すれば、工業的使用に耐え得る腐食レベルとなり
得るものの、極めて高価であって、経済性の観点より、
工業規模の大型反応器の材料としては不適である。ま
た、耐食性及び耐熱性に優れるものとして、ZrO2
23−CaO−MgO等のセラミックス材料も挙げら
れるが、金属材料に比べれば加工性に劣るため、工業規
模の反応器部材としては必ずしも適していない。
【0010】さらに、耐食性に限ってみれば、フッ素系
樹脂ライニング、グラスライニングといった手段も考え
られる。しかし、前者は耐熱性が問題であり、後者は、
強度の不足、及び、フッ素系活性種に対する耐食性が不
十分といった点が問題であって、結局のところ、これら
は実用に耐え難い。
【0011】
【課題を解決するための手段】そして、本発明者らは、
これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明による有機ハロ
ゲン化合物と高温高圧水との反応方法は、有機ハロゲン
化合物を含む被反応物と水とを、少なくともその被反応
物及び水が接する部位(接触部位)が下記組成; Cr:15〜35質量%、 Mo:6〜24質量%、 (但し、Cr+Mn≦43質量%)、 Ta:1.5〜8質量%、 残部:Ni及び不可避不純物、 を有する反応器(反応装置)に収容し、反応器内の温度
を200℃以上且つゲージ圧力を2MPa以上、好まし
くは温度220〜300℃且つゲージ圧力4MPa以
上、より好ましくは温度240〜280℃且つゲージ圧
力4〜7MPa、とした条件下で被反応物と水とを反応
せしめることを特徴とする。なお、以下「%」は「質量
%」を示すものとする。
【0012】このような本発明の反応方法においては、
被反応物と水とを反応器内に収容し、その内部を加熱且
つ加圧して上記の高温高圧状態、すなわち水の亜臨界又
は超臨界状態の雰囲気とする。水は、液相と気相の入り
交じった流体となり、低粘度、高拡散性、高熱移動度等
が達成され、溶媒和効果が高められて被反応物に含まれ
る有機ハロゲン化合物の反応が促進される。これによ
り、有機溶媒を用いずとも、水を溶媒又は反応基質とし
て反応を生起させる。
【0013】このような高温高圧水反応において、有機
ハロゲン化合物は、種々の素反応過程を経て分解生成物
又は最終生成物へと至り、その間に、含有成分であるハ
ロゲンと気相又は液相中の水素とからハロゲン化水素
(HF、HCl、HBr、HI等)が生じる。ハロゲン
化水素は各相の状態に応じて主にイオン等の化学的活性
種の形態で存在し得る。先述したように、これらのイオ
ン等は反応器との接触部位表面にアタックし、従来はそ
の材料成分を溶解又は腐食する傾向にある。これに対
し、本発明では、接触部位が上記所定の組成を有する金
属材料で形成された反応器を用いており、本発明者らの
研究によれば、従来の反応方法で用いる金属製反応器に
比して、腐食性が格段に軽減されることが確認された。
【0014】また、当該接触部位の平均表面粗さを好ま
しくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下
としたときに、反応器内の温度が200℃以上且つゲー
ジ圧力が2MPa以上といった過酷な条件下において、
耐食性の有意な改善が図られることが判明した。これ
は、材料自体の耐食性に加え、亜臨界流体又は超臨界流
体中に存在する化学種の反応性が極めて高いため、接触
部位の表面平滑度を高めて実効表面積を減少させること
が予想以上に有効であることによると推定される。ま
た、ハロゲン化水素だけでなく、水(亜臨界水又は超臨
界水)自体が腐食性成分として作用し、単に耐食性に優
れた材料を用いるのみでは、材料腐食を十分に防止し難
い可能性も考えられる。但し、作用はこれらに限定され
るものではない。ここで、「平均表面粗さ」とは、JI
S B 0601に準拠して測定される値を示す。
【0015】また、反応器として、上記接触部位の残部
組成が、Niの他に下記(a)〜(f); (a)Fe:0.01〜4%、(b)Nb:0.1〜
0.5%、Cu:0.1〜2%、W:0.1〜4%、及
び、Hf:0.1〜2%のうちから少なくともいずれか
一種(但し、4Nb+Cu≦2%)、(c)Mn:0.
0001〜3%、Si:0.0001〜0.3%、M
g:0.0001〜0.3%、及び、C:0.001〜
0.1%のうちから少なくともいずれか一種、(d)
N:0.0001〜0.1%、(e)B:0.001〜
0.1%、Zr:0.001〜0.1%、及び、Ca:
0.001〜0.1%のうちから少なくともいずれか一
種、(f)Ti:0.05〜0.8%、Al:0.01
〜0.8%、Co:0.1〜5%、及び、V:0.1〜
0.5%のうちから少なくともいずれか一種、で表され
るグループのうち少なくともいずれか一グループを含有
しても好適である。こうすれば、耐食性の更なる向上を
図ることができると共に加工性が高められ、工業上の有
用性が増大する。
【0016】さらに、本発明による反応方法は、反応器
内におけるハロゲン化水素又はハロゲン化水素由来の活
性種の濃度が1000ppm以上の条件下において被反
応物と水とを反応せしめるようにすると特に有用であ
る。
【0017】有機ハロゲン化合物の種類、処方等によっ
ては、例えばハロゲンイオンの濃度が1000ppm以
上となり得るが、かかる雰囲気条件で従来の反応方法を
用いると、反応器の材料腐食が顕著となり、ひいては反
応が阻害され易くなる。これに対し、本発明では、かか
る高ハロゲンイオン濃度下での高温高圧水反応において
も材料腐食を十分に抑止できることが確認された。
【0018】またさらに、反応工程に先立って、反応器
における被反応物及び水が接する部位つまり接触部位を
予め研磨すると、上記所定の平均表面粗さを確実且つ簡
易に実現できるので好ましい。具体的な研磨手法は特に
限定されないが、例えば、機械的研磨、化学的機械的研
磨、電解研磨、等を用いることが好ましい。
【0019】より具体的には、有機ハロゲン化合物が、
好ましくは下記式(1); R[CF2(CH2nX]p …(1)、 より好ましくは下記式(2)〜(4); Cm2m+1(CH2nX …(2)、 X(CH2n(CF2k(CH2nX …(3)、 F[CF(CF3)CF2O]rCF2CF2(CH2nX …(4)、 で表されるものであり、これらの各種有機ハロゲン化合
物に対応して、下記式(1a)〜(4a); R[CF2(CH2nOH]p …(1a)、 Cm2m+1(CH2nOH …(2a)、 HO(CH2n(CF2k(CH2nOH …(3a)、 F[CF(CF3)CF2O]rCF2CF2(CH2nOH …(4a)、 で表される反応生成物を得る反応方法であると特に有効
である。
【0020】或いは、被反応物が、下記式(5); −CF2(CH2nX …(5)、 で表される基を有するものであり、下記式(5a); −CF2(CH2nOH …(5a)、 で表される基を有する反応生成物を得る方法としても好
ましい。ここで、各式中、nは1〜5の整数を示し、X
はハロゲン原子を示し、pは1以上の整数を示し、Rは
p価有機基を示し、pが1のときのRは、水素原子又は
ハロゲン原子であってもよく、mは1〜18の整数を示
し、kは1〜10の整数を示し、rは0〜10の整数を
示す。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明の有機ハロゲン化合物と高温高
圧水との反応方法は、(1)有機ハロゲン化合物を含む
被反応物と水とを所定の反応器に収容し、(2)その反
応器内の温度を200℃以上且つゲージ圧力を2MPa
以上とした条件下で被反応物及び水とを反応せしめる方
法である。
【0022】〈有機ハロゲン化合物〉本発明の反応方法
で用いる被反応物は、有機ハロゲン化合物を含有して成
るものである。この有機ハロゲン化合物は、分子内にハ
ロゲン原子を含む有機化合物であれば、特に限定されな
い。具体的には、近年の環境保護技術に対する要求に応
える観点から、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PC
DDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、コ
プラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCBs)等
のダイオキシン類の各同族体、他のハロゲン原子を含む
難分解性有機物を例示できる。
【0023】また、有益物質(化合物)又はその中間体
のより高度な製造を行う観点から、例えば、撥水撥油
剤、界面活性剤、離型剤等の中間体として極めて重要な
フルオロアルコールの原料物質等が挙げられる。この原
料物質としては、フルオロアルコールの化学収率(収
量)に優る点で、フルオロアルキルヨウ化物又は臭化物
等が挙げられる。従来の一般的な製法としては、一旦酸
エステルを合成した後加水分解したり、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)の存在下で水と反応させる、
といった方法が主流である。しかし、前者では、分離又
は分解が困難な副生物を生ずることがある一方、後者で
は、反応生成物の純度の低下やDMFを含む廃水の大量
発生といった問題がある。
【0024】他方、本発明によれば、エステル合成を経
ることなく、且つ、DMF等の有機溶媒が介在しないの
で、このようなフルオロアルコールの製造に極めて有効
と言える。かかる反応の出発物質(被反応物)として
は、好ましくは下記式(1); R[CF2(CH2nX]p …(1)、 で表される有機ハロゲン化合物を含むもの、或いは、下
記式(5); −CF2(CH2nX …(5)、 で表される基を有するものを含有して成るものが挙げら
れる。なお、式(5)で表される基を有する被反応物と
しては、式(1)で表される化合物の他、式(5)で表
される基が結合した担体や膜等を例示できる。
【0025】式(1)中、CH2基の繰返し数nは、1
〜5の整数を示す。このnが5以下であると、工業上の
利用性(原料の入手容易性等)に優れるので好ましく、
特に原料の入手の観点、コスト等からnは2であること
が望ましい。また、Xは、ハロゲン原子を示し、塩素原
子、臭素原子又はヨウ素原子が一般的であり、通常は臭
素原子又はヨウ素原子が用いられる。特に、反応性に優
れ且つ入手が容易な点でヨウ素原子が好ましい。
【0026】また、pは、後述のRに結合する−CF2
(CH2nXで表される基の個数を示す。このpは、好
ましくは1以上の整数であり、より好ましくは1又は2
であると好適である。さらに、Rはp価有機基を示し、
本発明における反応の前後において変化しない基であ
る。よって、基Rは、本発明における反応において変化
し得ない構造を有する基、例えば、−CF2(CH2n
Xなる構造、或いは、エステル結合、アミド結合等が存
在しないp価の有機基であることが好ましい。なお、本
発明において「有機基」とは、炭素原子を1個以上含む
基をいう。
【0027】さらに、p価有機基としては、p価飽和炭
化水素基又はp価ハロゲン化飽和炭化水素基が好まし
く、式(1)で表される化合物の入手容易性の観点か
ら、p価ハロゲン化飽和炭化水素基が特に好ましい。こ
のp価ハロゲン化飽和炭化水素基のなかでも、p価フッ
素化飽和炭化水素基がより好ましく、特にp価飽和炭化
水素基中の全ての水素原子がフッ素原子に置換された基
(すなわち、p価ペルフルオロ飽和炭化水素基)が一層
好ましい。なお、基Rは直鎖構造でも分岐構造であって
もよく、部分的に環構造を有していても構わない。
【0028】またさらに、式(1)におけるpが1であ
る場合、基Rは1価有機基であっても、水素原子又はハ
ロゲン原子であってもよく、これらのなかでは、1価有
機基又はハロゲン原子であることが好ましい。この1価
有機基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、
ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有アルキル)基が好
ましく、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロ(エ
ーテル性酸素原子含有アルキル)基が特に好ましい。
【0029】さらにまた、式(1)で表される化合物と
しては、下記式(2)〜(4); Cm2m+1(CH2nX …(2)、 X(CH2n(CF2k(CH2nX …(3)、 F[CF(CF3)CF2O]rCF2CF2(CH2nX …(4)、 で表されるものを例示できる。これらの有機ハロゲン化
合物を含む原料を被反応物とすれば、得られる目的化合
物(反応生成物)の有用性が高いことに加え、反応性が
高められる点で特に好ましい。
【0030】なお、式(2)〜(4)中、nは式(1)
におけるのと同じ意味を示す。また、式(2)中、m
は、好ましくは1〜18の整数、より好ましくは6〜1
6の整数を示す。このmが18を超えると、反応性が乏
しくなり、殊に亜臨界条件では転化率が低くなるといっ
た不都合がある。さらに、式(3)中、kは、好ましく
は1〜10の整数、より好ましくは3〜8の整数を示
す。このkが10を超えても、反応性が乏しくなり、亜
臨界条件における転化率が低くなる傾向にある。またさ
らに、rは、好ましくは0〜10の整数を示し、より好
ましくは0〜3の整数であることが好ましい。このkが
3を超えた場合にも、反応性が乏しくなり、亜臨界条件
での転化率が低くなるといった不都合がある。
【0031】また、式(2)〜(4)におけるXは、式
(1)同様にハロゲン原子を示し、式(2)及び(4)
においては臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、式
(3)においてはヨウ素原子が好適である。さらに、式
(2)におけるCm2m+1−で表される基は、直鎖構造
又は分岐構造であることが好ましい。分岐構造である場
合には、分岐部が該基の末端部に存在するのが好まし
く、特に(CF32CF−構造を有するとより好まし
い。
【0032】ここで、式(1)で表されるより具体的な
化合物としては、例えば;CF3(CF25CH2I、C
3CH2CH2I、CF3(CF27CH2I、CF3(C
22CH2CH2I、CF3(CF25CH2CH2I、
CF3(CF27CH2CH2I、CF3(CF29CH2
CH2I、CF3(CF211CH2CH2I、(CF32
CF(CF24CH2CH2I、CF3(CF27CH2
2Br、ICH2CH2(CF24CH2CH2I、IC
2CH2(CF26CH2CH2I、BrCH2CH2(C
26CH2CH2Br、F[CF(CF3)CF2O]3
CF2CF2CH2CH2I、等が挙げられ、これらの化合
物は、公知であるか、或いは、J.Org.Che
m.,23,1166(1958)等に記載される公知
の製造方法により容易に取得できる。
【0033】〈反応器〉本発明で用いる反応器における
被反応物及び水と接する部位(接触部位)の材料を、上
述した組成を有するものに限定したのは下記の理由によ
る。
【0034】[1] Cr Cr成分を含有することにより、高温高圧水下、ハロゲ
ン化水素が存在する環境下において、当該部位の表面に
保護皮膜(パッシベーション膜)が有意に形成される。
また、該表面に予め不動態化処理を施して保護皮膜を形
成しておくと、耐食性を一層高めることができ、この際
にCrを含む素材であると好ましい。このCrの含有率
が15%未満であると、保護皮膜を十分に形成し難い。
一方、35%を超えて含有すると、後述するMoやTa
等の有用元素の材料素地への固溶限度が大幅に小さくな
り、逆にハロゲン化元素を含む環境下において、耐孔食
性、耐隙間腐食性等の耐食性が低下する傾向にある。ま
た、Crの一層好ましい含有率は17〜22%である。
【0035】[2] Mo Mo成分を含むことにより、ハロゲン化水素に対する耐
食性を最も有効に向上させることができる。このMoの
含有率が6%未満の場合には、耐食性の向上を十分に図
れない傾向にある。これに対し、24%を超えると、材
料素地自体の硬さが不都合に増大してしまい、成形加工
性が著しく低下するおそれがある。また、MoとCrと
の含有率の合計値が43%を超えて含有させた場合に
も、成形加工性の低下が顕著となるため、両者の合計含
有率は43%以下であることが望ましい。
【0036】[3] Ta Ta成分を含むことにより、Taが材料素地に固溶し、
保護皮膜としての不動態膜が安定化されると共に、不動
態化を更に促進させる効果が奏される。つまり、Ni−
Cr−Mo系合金が形成する不動態膜は、主としてNi
O−Cr23から成り、保護皮膜として緻密なCr23
の寄与が大きいことが知られているが、Taを添加する
と不動態膜中にCr23より強力なTa25が形成され
る。これにより、不動態膜がより安定化し、ハロゲン化
水素が存在する環境においても、耐孔食性、耐隙間腐食
性等が高められ、全体の耐食性が向上される。
【0037】このTaの含有率が1.5%未満では、不
動態膜の十分な安定化が図られない一方、8%を超過す
ると、TCP相(σ相、P相、Lavas相、μ相等の
有害な金属間化合物)の析出を誘発する傾向にある。こ
うなると、耐食性の低下と共に機械的特性の低下を生じ
易くなるので好ましくない。
【0038】[4] Fe Fe成分は、一般に、材料の加工性(特に曲げ加工性)
を向上させるために効果を有する成分である。その含有
率が0.01%未満では、所望の加工特性が得られない
傾向にある一方、4.0%を超えると、高温高圧下のハ
ロゲン化水素に対する耐食性が低下するおそれがある。
【0039】[5] N N成分は、材料素地に固溶してFCC相を安定化させる
と同時に、有害物であるTCP相の析出を抑制するた
め、成形加工性を向上させる作用がある。すなわち、高
温高圧水中、ハロゲン化水素が存在する環境下におい
て、耐食性、特に耐孔食性、耐隙間腐食性を一層高める
ためにCr、Mn及びTaを一定量以上含有せしめる
と、当該Ni基合金のTCP相析出量の許容範囲を超え
てしまい、成形加工性の低下を招くおそれがある。これ
に対し、N成分を含有することにより、TCP相の析出
する潜伏期間が延び、ひいてはTCP相の析出量を許容
範囲内に抑え、FCC相の安定化が図られる。よって、
熱間加工性の低下を有効に防止できる利点がある。ここ
で、Nの含有量が0.0001%未満では、かかる所望
の効果が得られ難い一方、0.1%を超えると、材料素
地中にCr2N相等の窒化物が析出し、熱間加工性が低
下する傾向にある。
【0040】[6] Si Si成分は脱酸剤として機能し、材料中の酸化物の発生
を抑えることができ、ひいては粒界割れを抑制し得る。
よって、Si成分を含めることにより、反応器を熱間加
工する際の粒界割れを減少させて熱間加工性を向上でき
る。このSiの含有率が0.0001%未満では所望の
加工特性が得られない一方、0.3%を超えた場合に
は、TCP相の析出を誘発し易くなって、耐食性の低下
と共に機械的特性の低下を生じ易くなる傾向にある。
【0041】[7] Mg Mg成分もSi成分と同様に、熱間加工時の粒界割れを
減少させて熱間加工性を向上させる効果を奏する。この
Mgの含有率が0.0001%未満となると、所望の加
工特性が得られ難くなる一方、0.3%を超えると、粒
界に偏析が生じてしまい、その結果、熱間加工性が低下
するおそれがある。
【0042】[8] Mn Mn成分を含むことにより、材料素地のFCC相を十分
に安定化させて耐食性が向上される。このMnの含有率
が0.0001%未満の場合には、FCC相に対する所
望の安定化効果が得られない一方、3%を超えると、T
CP相の析出が誘発され易くなり、こうなると耐食性の
低下が生じるので好ましくない。
【0043】[9] C C成分もMn成分と同様に、材料素地中に固溶してFC
C相を安定化させる働きがある。また、有害相であるT
CP相の析出が抑制されて熱間加工性の向上が図られ
る。このCの含有率が0.001%未満となると、FC
C相に対する所望の安定化効果が得られない一方で、
0.1%を超えると、炭化物の析出が顕著とに増加して
しまい熱間加工性を低下させる要因となる。
【0044】[10] Nb,Cu Nb成分及びCu成分を含んだ場合には、高温高圧水下
のハロゲン化水素が存在する環境下における耐食性の更
なる向上が図られる。Nb又はCuのそれぞれの含有率
が0.1%未満であると、十分な耐食性の向上が得られ
ないおそれがある。一方、Nbの含有率が0.5%を超
えると、TCP相の析出が促進されてしまい、その結
果、耐食性及び機械的特性の低下が生じる傾向にある。
また、Cuの含有率が2.0%を超えた場合にも、高温
高圧水中のハロゲン化水素に対する耐食性及び機械的特
性が低下する傾向にある。さらに、4×Nb+Cuの値
が2%を超過した場合には、高温高圧水下のハロゲン化
水素に対する耐食性及び機械的特性の更なる改善が達成
され難くなる。
【0045】[11] B,Zr,Ca これらの成分は、成形加工性を向上させる効果を奏す
る。但し、その含有率がB:0.001%未満、Zr:
0.001%未満、Ca:0.001%未満では、所望
の成形加工性が得られない傾向にある。一方、その含有
率がB:0.1%を超え、Zr:0.1%を超え、C
a:0.1%を超えた場合には、成形加工性の低下が認
められるので好ましくない。
【0046】[12] W,Hf これらの成分は、高温高圧水中、ハロゲン化水素が存在
する環境下における耐食性を向上させる効果を有する。
その含有量が、W:0.1%未満、Hf:0.1%未満
となると、所望の耐食性が得られ難くなる一方、W:4
%を上回り、Hf:2%を上回ると、TCP相の析出量
の許容範囲を超えてしまい、成形加工性が低下するので
好ましくない。
【0047】[13] Ti,Al,Co,V これらの成分は、加工性、特に延性及び強度を向上させ
る効果があるが、その含有率がTo:0.05%未満、
Al:0.01%未満、Co:0.1%未満、V:0.
1%未満であると、加工性の十分な向上が図られない傾
向にある。一方、その含有率がTi:0.8%を超え、
Al:0.8%を超え、Co:5%を超え、V:0.5
%を超えると、延性の低下が生起されるので好ましくな
い。
【0048】[14] 不可避不純物 不可避不純物は、腐食の誘発要因となるので、可能な限
り少ない方が望ましく、好ましくは、S:0.03%以
下、Sn:0.01%以下、Zn:0.01%以下、及
びPb:0.01%以下とされる。
【0049】また、反応器は、被反応物及び水が接する
部位の平均表面粗さRaが好ましくは0.8μm以下と
される。このRaがその上限値を超えると、被反応物及
び水が接する部位における微視的な凹凸の程度が不都合
に大きくなり、ハロゲン化水素又はそれ由来にイオン等
の活性種による腐食が進行し易くなる傾向にある。
【0050】なお、反応器の前記接触部位だけでなく、
反応器全体を上述した所定の組成を有する金属材料で構
成してもよい。また、接触部位を含む表面材(以下、
「クラッド材」という)を、上述の組成を有する金属材
料で形成し、下地となる基材(以下、「コア材」とい
う)を別の金属材料とする複合材料としてもよい。コア
材としては、耐食性以外の反応器に要求される諸特性、
例えば強度、溶接性、熱伝導性等を満足するものであれ
ば特に限定されず、通常、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッ
ケル系合金等を用い得る。このとき、コア材とクラッド
材との接合性等を改善するため、コア材を二層以上にし
てもよい。
【0051】また、クラッド材としては、コア材を腐食
性環境から保護するために、クラック、ピンホール、ボ
イド等のない緻密な層を形成しているものが好ましく、
その厚さは、材種や製作方法等によっても異なるが、耐
久性及び機械的強度を考慮すると、ある程度の厚さを有
すること、好ましくは10μm〜30mm、更に好まし
くは30μm〜10mm、特に好ましくは100μm〜
10mmが好適である。さらに、反応器における上記接
触部位の表面に、先に述べたような金属酸化物から成る
不動態膜を形成するのが好ましい。
【0052】以下に、本発明による反応方法を実施する
手順の一例について説明する。まず、反応に先立って、
反応器の上記接触部位を研磨する。研磨手法は、特に限
定されるものではないが、例えば、機械的研磨、化学的
機械的研磨、電解研磨、等を適用できる。特に、当該部
位の平均表面粗さRaを、確実且つ簡易に上述の0.8
μm以下とし易い観点から、機械的研磨では300番相
当以上のバフ研磨等が有効であり、電解研磨において
は、電解液として濃硫酸、濃リン酸等の良好なイオン伝
導性を有する電解質溶液を用いることが好ましく、例え
ば、電流密度が0.5〜50A/dm2といった条件が
推奨される。
【0053】次に、その反応器内に被反応物と水とを収
容し(仕込み)、或いは、反応器に水を収容しておき、
被反応物を連続的又は断続的に添加する。両者が収容さ
れた状態で、反応器の内部を加熱(昇温)・加圧(昇
圧)し、反応器内の温度を200℃以上且つゲージ圧力
を2MPa以上、好ましくは温度220〜300℃且つ
ゲージ圧力4MPa以上、より好ましくは温度240〜
280℃且つゲージ圧力4〜7MPaとする。
【0054】高温高圧水は、反応基質として作用すると
共に、反応溶媒(媒体)としても作用し、有機ハロゲン
化合物の反応を円滑に促進させる。この詳細な反応機構
は未だ明らかでない部分もあるが、例えば、式(1)で
表される有機ハロゲン化合物を用いる場合、高温高圧水
のイオン積が増大して電解質溶媒として機能し、−CF
2(CH2nXを加水分解するようなイオン性反応が生
起されることが一因と考えられる。
【0055】ここで、反応温度が200℃未満又はゲー
ジ圧力が2MPaを下回ると、反応速度の低下が顕著と
なる傾向にあるので不適である。また、反応時間(反応
器内の滞留時間)は、温度圧力条件に依存するものの、
0.1〜20時間が好ましく、0.5〜10時間とする
と一層好適である。なお、被反応物を連続的又は断続的
に反応器内に供給且つ抜き出す形態で反応を実施する場
合には、この反応時間を0.01〜3時間とすることが
望ましい。
【0056】さらに、例えば、式(1)で表される化合
物と水とを反応させるときの水の量は、水の全量が気体
にならないような量にすると好適である。また、水の量
は、化学量論的には式(1)で表される化合物中のXの
モル量に対して1倍モルであるが、Xに対して過剰量を
用いるのが好ましく、具体的には、Xのモル量に対して
10倍モル以上を用いるとより好ましく、10〜100
00倍モルを用いるとより好ましい。但し、水の量は、
経済性をも考慮して適宜選択できる。
【0057】逆に、水に対する式(1)で表される化合
物の相対量は、上述のモル量とし得るが、絶対量は、収
量や反応器の形状等に応じて適宜決定される。また、従
来は、ハロゲン化水素による材料腐食の問題で、ハロゲ
ン化水素の発生量を極力抑える必要があったが、本発明
においては材料腐食が格段に改善されるので、ハロゲン
原子由来の活性種、又は、ハロゲン化水素由来の活性種
(例えばハロゲンイオン)の濃度が1000ppm以上
の条件下で反応を実行できる。
【0058】また、本発明の反応方法は、被反応物及び
水のみを用いて十分に進行させ得るが、必要に応じて反
応をより円滑に行わせる目的で、各種添加剤を添加して
もよい。このような添加剤としては、反応により副生す
るハロゲン化水素を捕捉し得る受酸剤、触媒等が挙げら
れる。受酸剤としては、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅等の
金属酸化物や、亜鉛、鉄等の金属が例示される。これら
の添加剤は液相に存在させてもよく、受酸剤の場合には
気相で生成するハロゲン化水素を捕捉させるように用い
てもよい。これにより、本発明の反応方法で使用する反
応器の優れた耐食性と相俟って、更なる腐食低減を図り
得る。
【0059】それから、所定時間反応を行わせた後、生
じた反応生成物を反応器の外部へ抜き出す。被反応物と
して式(1)〜(4)で表される有機ハロゲン化合物を
含むもの、又は、式(5)で表される基を有する担体若
しくは膜を用いた場合、それぞれ、式(1a)〜(4
a)で表されるフルオロアルコール、又は、式(5a)
で表される基を有する担体若しくは膜を得る。
【0060】式(1a)で表される化合物としては、下
記;CF3(CF25CH2OH、CF3CH2CH2
H、CF3(CF27CH2OH、CF3(CF23CH2
CH2OH、CF3(CF25CH2CH2OH、CF
3(CF27CH2CH2OH、CF3(CF29CH2
2OH、CF3(CF211CH2CH2OH、(CF3
2CF(CF24CH2CH2OH、CF3(CF27CH
2CH2OH、HOCH2CH2(CF24CH2CH2
H、HOCH2CH2(CF26CH2CH2OH、HOC
2CH2(CF26CH2CH2OH、F[CF(C
3)CF2O]3CF2CF2CH2CH2OH、の各種ア
ルコールを例示できる。
【0061】得られた反応生成物が中間体である場合に
は、そのまま次の反応に用いてもよいが、通常は、精製
して高純度のものとするのが好ましい。精製方法として
は、一般的な手法を適宜使用でき、例えば、蒸留、水蒸
気蒸留、抽出、再結晶、カラムクロマトグラフィ等が挙
げられる。
【0062】このような本発明の反応方法によれば、有
機ハロゲン化合物を含有して成る被反応物と水とを、反
応温度200℃以上且つゲージ圧力を2MPa以上の高
温高圧条件下で反応させる際に、被反応物及び水を上述
した所定の組成且つ所定の平均表面粗さを有する反応器
に収容して実施するので、反応中の材料腐食を従来に比
して格段に軽減できる。よって、反応阻害物質(因子)
たる金属塩の生成を防止でき、また、触媒を用いるとき
にその活性の喪失を抑止できる。したがって、高温高圧
水反応の反応効率の低下を十分に抑えることが可能とな
る。
【0063】また、耐食性が格段に向上された反応器を
用いることにより、腐食による機器装置の劣化を軽減
し、長期に亘って高効率の反応を安定に継続実施でき、
ひいては経済性の向上をも図り得る。さらに、ハロゲン
イオン等の活性種に対しても十分な耐性を実現できるの
で、有機ハロゲン化合物を含む被反応物の仕込み量を増
大でき、もって生産性の向上を図ることが可能となる。
【0064】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また、以下の実施例及び比較例においては、本発明
の反応方法において用いる反応器の耐食性を明確に評価
するため、高温高圧水下の被反応物に反応器の材料テス
トピースを投じ、反応終了後、そのテストピースの測
定、分析を実施した。
【0065】〈実施例1〉テストピース(約40mm×
10mm×3mmの短冊状)として、三菱マテリアル
(株)製のMAT−21(公称値;Cr:19%、M
o:19%、Ta:1.8%、残部:Ni、登録商標)
に300番相当のバフ研磨を施して平均表面粗さを0.
22μmとしたものを用いた。このテストピースを、フ
ッ素樹脂内筒を設置した内容積約40mlのハステロイ
C(登録商標;以下同様)製オートクレーブ内に投入
し、被反応物としてCF3(CF27(CH22Iを
2.0g、イオン交換水30gを仕込んだ後脱気し、温
度270℃に昇温し、ゲージ圧力6.3MPaの状態で
4時間保持した。室温まで冷却した後、テストピースを
回収した。
【0066】また、反応液に含まれるフッ化物イオンの
濃度をフッ素電極法、塩化物イオンの濃度をイオンクロ
マトグラフィ法、ヨウ化物イオンの濃度をICP法によ
り測定した結果、フッ化物イオンが2.0ppm、塩化
物イオンが検出下限濃度以下、ヨウ化物イオンが460
0ppmであった(なお、以下の各例においても同等の
濃度レベルであった。)。さらに、反応生成物を1H−
NMR、19F−NMRによって同定し、ガスクロマトグ
ラフィにより定量した結果、CF3(CF27(CH2
2Iの転化率は83%であり、CF3(CF27(C
22OHの選択率は81%であった。
【0067】〈実施例2〉テストピースとして、三菱マ
テリアル(株)製のMAT−21に80番相当のペーパ
ー研磨を施して平均表面粗さを0.88μmとしたもの
を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行っ
た。反応生成物を実施例1と同様に同定・定量した結
果、CF3(CF27(CH22Iの転化率は80%で
あり、CF3(CF27(CH22OHの選択率は80
%であった。
【0068】〈比較例1〉テストピースとして、三菱マ
テリアル(株)製のハステロイC22(登録商標;以下
同様)に300番相当のバフ研磨を施して平均表面粗さ
を0.20μmとしたものを用いたこと以外は、実施例
1と同様にして反応を行った。反応生成物を実施例1と
同様に同定・定量した結果、CF3(CF27(CH2
2Iの転化率は80%であり、CF3(CF27(C
22OHの選択率は80%であった。
【0069】〈比較例2〉テストピースとして、三菱マ
テリアル(株)製のハステロイC22に80番相当のペ
ーパー研磨を施して平均表面粗さを1.02μmとした
ものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を
行った。反応生成物を実施例1と同様に同定・定量した
結果、CF3(CF27(CH22Iの転化率は80%
であり、CF3(CF27(CH22OHの選択率は8
0%であった。
【0070】〈比較例3〉テストピースとして、SUS
316から成る材料(平均表面粗さ;0.2μm)を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
反応生成物を実施例1と同様に同定・定量した結果、C
3(CF27(CH22Iの転化率は80%であり、
CF3(CF27(CH22OHの選択率は80%であ
った。
【0071】〈比較例4〉テストピースとして、インコ
ネル(登録商標)−600から成る材料(平均表面粗
さ;0.20μm)を用いたこと以外は、実施例1と同
様にして反応を行った。反応生成物を実施例1と同様に
同定・定量した結果、CF3(CF27(CH22Iの
転化率は80%であり、CF3(CF27(CH22
Hの選択率は80%であった。
【0072】〈腐食速度の評価〉各実施例及び各比較例
で用いたテストピースの反応前後の厚さを測定し、両者
の差異及び反応時間からそれぞれの腐食速度を求めた。
結果を表1に示す。これらの結果より、本発明の反応方
法によれば、反応器材料の腐食速度が極めて小さく、従
来に比して耐食性を格別に向上できることが確認され
た。また、反応器材料の表面を研磨し、所定の表面粗さ
状態とすることの優位性も明らかとなった。
【0073】
【表1】
【0074】〈表面酸化物厚さの測定〉実施例1及び比
較例1で回収した反応後のテストピース表面における酸
化膜厚さをX線光電子分光法(ESCA)によって測定
した。その結果、実施例1のテストピースにおける酸化
膜の平均厚さは、比較例1のそれに対して2/3程度で
あった。この結果からも、本発明の反応方法における材
料表面の腐食速度は、従来に比して軽減されていること
が示唆される。高温高圧水下における反応器表面の酸化
反応(腐食反応)の律速状態、換言すれば、反応系が供
給律速及び反応律速の何れに支配されているか等、その
詳細は不明であるが、材料固有の組成、結晶性、複合形
態等が酸化反応の反応速度論的な因子の有意な差異を生
じさせている可能性が考えられる(但し、作用はこれに
限定されない。)。
【0075】〈実施例3及び応力腐食評価〉テストピー
スとして、実施例1で用いたのと同じテストピースを曲
率R=2で略180°曲げ加工したものを用いたこと以
外は、実施例1と同様にして反応を行った。回収後、曲
げ部の電子顕微鏡写真を撮影し、応力腐食割れの有無を
検査したが、応力腐食割れの発生は認められなかった。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機ハロ
ゲン化合物と高温高圧水との反応方法によれば、有機ハ
ロゲン化合物を含む被反応物を高温高圧水反応させる際
に、ハロゲン化水素又はそれに起因するハロゲンイオン
といった活性種の悪影響を排除でき、反応効率の低下を
防止できるだけでなく、生産性の向上を図ることも可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 61/00 C07B 61/00 B C07C 31/38 C07C 31/38 (72)発明者 立松 伸 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BD11 4G075 AA37 AA53 BA05 BA06 FB02 FC09 4H006 AA00 AA02 AC41 BB31 BC10 BC11 BD83 FE11 FE71 FE74

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化合物を含む被反応物と水
    とを、少なくとも該被反応物及び該水が接する部位が下
    記組成; Cr:15〜35質量%、 Mo:6〜24質量%、 (但し、Cr+Mn≦43質量%)、 Ta:1.5〜8質量%、 残部:Ni及び不可避不純物、 を有する反応器に収容し、 前記反応器内の温度を200℃以上且つゲージ圧力を2
    MPa以上とした条件下で前記被反応物と前記水とを反
    応せしめる、有機ハロゲン化合物と高温高圧水との反応
    方法。
  2. 【請求項2】 前記反応器内におけるハロゲン化水素又
    はハロゲン化水素由来の活性種の濃度が1000ppm
    以上となる条件下で前記被反応物と前記水とを反応せし
    める、請求項1記載の有機ハロゲン化合物と高温高圧水
    との反応方法。
  3. 【請求項3】 前記反応器における前記被反応物及び前
    記水が接する前記部位の平均表面粗さが0.8μm以下
    である、請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物と
    高温高圧水との反応方法。
  4. 【請求項4】 前記有機ハロゲン化合物が、下記式
    (1); R[CF2(CH2nX]p …(1)、 [式(1)中、nは1〜5の整数を示し、Xはハロゲン
    原子を示し、pは1以上の整数を示し、Rはp価有機基
    を示し、pが1のときのRは、水素原子又はハロゲン原
    子であってもよい。]、で表されるものであり、 下記式(1a); R[CF2(CH2nOH]p …(1a)、 [式(1a)中、n、X、p及びRは式(1)に示すの
    と同じ。]、で表される反応生成物を得る、請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の有機ハロゲン化合物と高温高
    圧水との反応方法。
  5. 【請求項5】 前記有機ハロゲン化合物が、下記式
    (2); Cm2m+1(CH2nX …(2)、 [式(2)中、nは1〜5の整数を示し、Xはハロゲン
    原子を示し、mは1〜18の整数を示す。]、で表され
    るものであり、 下記式(2a); Cm2m+1(CH2nOH …(2a)、 [式(2a)中、n、X及びmは式(2)に示すのと同
    じ。]、で表される反応生成物を得る、請求項1〜3の
    いずれか一項に記載の有機ハロゲン化合物と高温高圧水
    との反応方法。
  6. 【請求項6】 前記有機ハロゲン化合物が、下記式
    (3); X(CH2n(CF2k(CH2nX …(3)、 [式(3)中、nは1〜5の整数を示し、Xはハロゲン
    原子を示し、kは1〜10の整数を示す。]、で表され
    るものであり、 下記式(3a); HO(CH2n(CF2k(CH2nOH …(3a)、 [式(3a)中、n、X及びkは式(3)に示すのと同
    じ。]、で表される反応生成物を得る、請求項1〜3の
    いずれか一項に記載の有機ハロゲン化合物と高温高圧水
    との反応方法。
  7. 【請求項7】 前記有機ハロゲン化合物が、下記式
    (4); F[CF(CF3)CF2O]rCF2CF2(CH2nX …(4)、 [式(4)中、nは1〜5の整数を示し、Xはハロゲン
    原子を示し、rは0〜10の整数を示す。]、で表され
    るものであり、 下記式(4a); F[CF(CF3)CF2O]rCF2CF2(CH2nOH …(4a)、 [式(4a)中、n、X及びrは式(4)に示すのと同
    じ。]、で表される反応生成物を得る、請求項1〜3の
    いずれか一項に記載の有機ハロゲン化合物と高温高圧水
    との反応方法。
  8. 【請求項8】 前記被反応物が、下記式(5); −CF2(CH2nX …(5)、 [式(5)中、nは1〜5の整数を示し、Xはハロゲン
    原子を示す。]、で表される基を有するものであり、 下記式(5a); −CF2(CH2nOH …(5a)、 [式(5a)中、n及びXは式(5)に示すのと同
    じ。]、で表される基を有する反応生成物を得る、請求
    項1〜3のいずれか一項に記載の有機ハロゲン化合物と
    高温高圧水との反応方法。
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