JP2002536563A - リグノセルロース材料を酸素パルプ化し、そしてパルプ化用化学薬品を回収する方法 - Google Patents

リグノセルロース材料を酸素パルプ化し、そしてパルプ化用化学薬品を回収する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明の方法は、パルプ化用化学薬品を回収するための統合された回収系を用いて化学パルプを製造するための、硫黄を実質的に含まない方法に関する。この主題方法は、リグノセルロース材料の酸素系脱リグニン化剤との反応に対するアクセシビリティを高めるために、そのリグノセルロース材料の物理的および化学的処理を含む数段階で行われる。リグニン成分および廃化学試剤を含んで成る廃セルロース液は、熱未加工ガスの流れ、およびアルカリ性化学薬品および化学試剤より成る流れを後続再循環およびパルプ製造プロセス中での再利用のために形成するガス発生装置中で、完全にまたは部分的に酸化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、化学パルプを製造する硫黄を実質的に含まない方法であって、リグ
ノセルロース材料から化学パルプを製造し、そしてこの方法で使用された化学薬
品を回収するための上記の方法に関する。さらに詳しくは、本発明は化学パルプ
の製造方法であって、微粉砕リグノセルロース材料をアルカリ性緩衝液の存在下
において酸素脱リグニン化に付し、そしてその廃液から化学物質を回収し、そし
て上記方法に循環させる上記の方法に関する。
【0002】 (発明の背景) 木材、および一年生植物のようなリグノセルロース材料の他の材料源をパルプ
化する現行の工業的な方法、および得られるパルプの漂白方法は、何十年にもわ
たってゆっくり発展してきたものである。パルプ・紙工業は、競争力を保つため
に、現に存在する資本集約的なパルプ製造技術に代わるさらにコスト効果の高い
代替技術を探求しなければならない。新しい投資戦略は、出資価値を高めるよう
に策定、実行されなければならない。
【0003】 最近、環境問題が焦点になってきたが、これらの問題は、さらに、この分野の
著しい進歩にもかかわらず、パルプ工場の環境性能を改善するように処理されな
ければならない。現行技術で最高のものでさえ、クラフト工場で発生する臭いを
完全に抑えたり、あるいはガス状汚染物質、および化学薬品の回収と漂白に関連
したCOD化合物の放出を完全に無くすることはできない。新規な硫黄不含化学
薬品、および効果的な回収系と組み合わされた、さらに選択性の高い脱リグニン
化法を明らかにすることが、パルプ工業の収益を環境上の利益と共に実質的にさ
らによくすることに至らしめ得ることである。
【0004】 木材のパルプ化は、化学的または機械的な手段によって、またはそれら二つの
手段の組み合わせによって達成される。熱機械的パルプ化(thermomechanical p
ulping:TMP)においては、水に可溶性の成分が除去されることを除けば、繊
維質材料の元々の成分は本質的に不変である。その繊維はしかし不可逆的に崩壊
し、そのためTMPパルプは高強力であることの要求がある紙製品には使用する
ことができない。化学的パルプ化法において、その目的は多糖類の分解と溶解を
最小限に抑えつつ、繊維結合しているリグニンを色々な程度で選択的に除去する
ことである。さらに強いパルプは、木材チップまたは他の切り分けられた原材料
をリファイニング前に化学薬品で処理することによって、若干低い収率で得られ
る。このタイプのパルプは化学・熱機械パルプ(chemical thermomechanical pu
lp:CTMP)と呼ばれる。もっと大量の化学薬品を使用するが、それにもかか
わらずリファイニングせずに繊維を分離するには不充分である場合、そのパルプ
は化学・機械パルプ(chemi-mechanical pulp:CMP)と呼ばれる。
【0005】 パルプの究極の目的が白い紙の製造である場合、パルプ化操作の後に脱リグニ
ン化処理と漂白プラントでのパルプの増白処理がさらに続く。紙および板紙のよ
うなパルプ化/漂白プロセスの最終製品の性質は、木材原材料とパルプ化および
漂白中の特定の操作条件によってほとんど決まる。
【0006】 化学的方法でもっぱら製造される低リグニンパルプは、完全化学パルプと称さ
れる。実際面では、化学的パルプ化法は、リグニンの除去においてはかなりの成
功を収めている。しかし、それら方法でもある一定量の多糖類が分解されてしま
う。化学的パルプ化法でのパルプ製品の収率は機械的パルプ化に比較的して低く
、通常は原木材物質の40〜50%であり、その場合残留リグニン含有量は2〜
4%のオーダーである。得られるパルプは、ときには、非常に低いリグニン含有
量と高白色度を有するパルプ製品を生成させるために、漂白プラント中でさらに
リファイニングされる。
【0007】 典型的な化学的パルプ化法では、木材は、それを水溶液中の適切な化学薬品に
より、一般的には昇温、昇圧下において蒸解する前に、チップに物理的に縮小さ
れる。昇温、昇圧下での操作に関わるエネルギーコスト、その他のプロセスコス
トが、在来パルプ化法の著しい欠点を構成している。
【0008】 二つの主要な化学的パルプ化法はアルカリクラフト法と酸性亜硫酸法である。
クラフト法が、木材原材料の融通性、化学薬品回収性およびパルプ強度における
利点の故に、支配的な地位を占めるに至っている。亜硫酸法は、クラフト法が広
く利用される時期の到来前の1940年まではより一般的な方法であったが、但
しその利用は硫黄およびナトリウム系化学薬品の分解能力を持つ新しい回収技術
の開発により再び高まる可能性がある。
【0009】 脱リグニン化または化学的パルプ化法の目的は、出発リグノセルロース材料の
リグニン含有量を有意に下げることであるけれども、この目的を達成するために
選ばれる個々の方法でその特徴が大きく相違していることがあり得る。いかなる
化学的パルプ化法であっても、それがリグノセルロース材料のリグニン成分を分
解および可溶化し、同時にセルロースおよびヘミセルロースの随伴分解またはデ
フラグメンテーション(defragmentation)を最小限に抑え得るその程度が、そ
の方法の「選択性」と称される。
【0010】 脱リグニン化の選択性は、できるだけ多くのセルロースおよびヘミセルロース
を保持しながらリグニンを最大限に除去することが望まれるパルプ化および漂白
操作における重要な考慮点である。脱リグニン化の選択性を定量的に定義する一
つの方法は、脱リグニン化プロセス中のリグニン除去率−対−炭水化物除去率の
比と定義する方法である。この比が直接測定されることはめったにないけれども
、それは収率−対−カッパ価のプロットにより相対的様式で記述されている。
【0011】 選択性を定義するもう一つの方法は、所定の低リグニン含有量におけるパルプ
の粘度と定義する方法である。粘度は、しかし、特に現在の酸素系化学的脱リグ
ニン化法について、パルプの強度的性質を予測するときに誤りに導くことが時に
あり得る。
【0012】 リグノセルロース材料の脱リグニン化またはパルプ化について上記で説明した
古典的な方法は、それぞれ一定の実際上の利点を持っているけれども、全て、著
しく不利な点で妨害されると特徴付けることができる。かくして、環境に優しく
;優れた性質を有する脱リグニン化材料を生成させ;そして広範囲のリグノセル
ロース供給材料に適用可能な、資本集約性がより低く、方法の製品収率かまたは
方法の化学的コストのいずれかに関して運転コストがより低い脱リグニン化また
はパルプ化法の必要が存在する。このような方法は、好ましくは、現に存在する
パルプ工場において、現存設備を最小限の修正だけで利用する適用に対して設計
されるべきである。
【0013】 木材チップまたは他の繊維質材料からアルカリ性溶液中での酸素の作用により
セルロースパルプが製造できることは、従来技術において公知である。しかし、
脱リグニン化を支えるに当たっての酸素の商業的使用は、今日、クラフトパルプ
または亜硫酸パルプの最終脱リグニン化に限られている。
【0014】 従来技術において考察された、完全化学パルプを製造するための酸素パルプ化
法は、二つの種類、即ち二段階ソーダ酸素パルプ化法および単一段階ソーダ酸素
パルプ化法に分類することができる。単一段階法と二段階法の両方法は、実験室
規模で広範に試験された。二段階法においては、木材チップは、まず、高カッパ
ー価になるまでアルカリ性緩衝液中で蒸解され、その後にそれらチップは繊維質
パルプに機械的に離解される。高リグニン含有量を有するこの繊維質パルプはア
ルカリ性溶液中で酸素によりさらに脱リグニン化されて、クラフトパルプ化法に
おいて得られるよりも実質的に高い収率で低カッパー価のパルプを与える。
【0015】 単一段階法は、アルカリ性緩衝液を介しての木材チップへの酸素の浸透に基づ
くものである。そのアルカリ性溶液は、チップを膨潤させて酸素のチップ内部へ
の輸送媒体を提供するのに一部利用される。しかし、アルカリ性緩衝液の主目的
は、脱リグニン化中に形成される多様な酸性種を中和することである。pHを約
6〜7の値より実質的に低い値まで落とすことは許されないのである。蒸解液中
の酸素の溶解度は低く、それ故溶解度を上げるためには高い酸素分圧を適用しな
ければならない。
【0016】 脱リグニン化作業に酸素化学薬品を主として使用するパルプの製造法に関して
は、多数の重要な潜在的利点がある:即ち、
【0017】 1)資本集約性および投資コストが従来のクラフトまたは亜硫酸技術に比較し
て共により低いこと、 2)漂白および無漂白の総収率がより高いこと、
【0018】 3)酸素パルプ化は、二酸化硫黄やメチルメルカプタン類のような硫黄および
臭いのある化合物の発生源がないので、汚染の制御を単純化すること、
【0019】 4)実質的に少ない苛性化および石灰再燃焼操作でも、またはそれら操作なし
でも、化学薬品の回収が比較的簡単になる見込みがあること、
【0020】 5)二段階酸素パルプ化法は現に存在するパルプ化用機械類を利用することが
でき、そのためクラフト工場のこの新しい技術への転換が大きな再投資なしに実
行できるだろうこと、
【0021】 6)過去何年間かで酸素および酸素系化学薬品のコストが著しく低くなり、そ
のためおそらくは限界低コストの酸素がパルプ工場における新しい酸素用途を開
くだろうこと。
【0022】 酸素パルプ化は60年代および70年代に実験室およびパイロットプラント規
模で広範に調べられたけれども、この努力から商業的なベンチャー企業は出てこ
なかった。
【0023】 酸素を主たる脱リグニン化剤として使用する実際的かつ経済的な方法に到達す
るには、多数の技術的難題を克服しなければならない。セルロース材料の酸素パ
ルプ化の大きな欠点および問題領域として、次のものが挙げられる:
【0024】 1)製造されるパルプは、一部、チップへの酸素の物質移動が遅いことに起因
してパルプ化が不均一となる結果、物理的な強度的性質が劣っていること、
【0025】 2)酸素パルプ化用化学薬品、および酸素脱リグニン化を支えるために使用さ
れた他の添加剤の効果的な回収法が、これまでに明らかにされいないこと、
【0026】 3)酸化性条件に対する長い曝露はかなりの量の廃液と溶解リグニン断片をも
たらし、その結果その廃液は湿式燃焼に付されるとき燃料としての価値が低いこ
と、
【0027】 4)パルプ化中に二酸化炭素と可燃性ガス類が形成され、そのためコストの高
い、酸素反応器の連続的ガス抜きが必要になり、またガスの洗浄が複雑になるこ
と、
【0028】 5)酸素パルプ化における発熱反応に由来する過剰の熱は、放散させることが
困難なこともあり得ること、
【0029】 6)低コンシステンシーでのパルプ化は大量で嵩の大きい液を取り扱うことに
なる原因となり、一方高コンシステンシーでのパルプ化はパルプの強度と漂白性
にマイナスの影響を及ぼす可能性があること。
【0030】 酸素パルプ化を機械的および/または化学的方法を用いて成し遂げる試みが幾
つかなされてきたが、本発明者の知識によれば、上記の全問題領域を同時に取り
扱っているものは一つもなく、かつ従来技術の開示はパルプ化用化学薬品を回収
する実際的かつ効率的ないかなる方法も含まないし、また示唆もしていない。
【0031】 例えば、ウォースター(Worster)等は、米国特許第3,691,008号明
細書において、木材チップを水酸化ナトリウムを用いる緩和な蒸解プロセスに付
し、その後にそのセルロース材料を機械的離解に付し、次いで加熱および加圧下
で水酸化ナトリウムおよび過剰の酸素により処理する二段階法を開示している。
この方法は、活性な水酸化物を回収するために、あらゆるタイプのリグノセルロ
ース原材料用の、大容量の苛性化処理段階を必要とし、従ってクラフトパルプ化
に比較して実質的なコスト利点を与えない。パルプ化用化学薬品の回収に関する
開示はなされていない。
【0032】 もう一つの例は米国特許第4,089,737号明細書に与えられている。こ
の米国特許では、セルロース材料は、前もって新しいアルカリ性媒体に溶解され
た酸素を用いて脱リグニン化される。炭酸マグネシウムの炭水化物保護剤として
の使用、そしてまた二つの段階間で液体の移動を伴う二段階反応ゾーンの使用が
記載されている。パルプ化用化学薬品の回収に関する開示はなされていない。
【0033】 米国特許第4,087,318号明細書においては、酸素脱リグニン化プロセ
スにおける選択性を高めるためにマンガン触媒が用いられている。この特許明細
書は、酸素脱リグニン化を行う前に炭水化物の分解を触媒する金属イオンを除去
する前処理工程を説明している。酸素パルプ化は、触媒活性のあるマンガン化合
物の存在下において、重炭酸ナトリウムを緩衝剤アルカリとして使用して行われ
る。反応温度は120〜160℃の範囲であり、また液−対−木材比は14:1
のオーダーである。パルプ化用化学薬品および触媒の回収に関する開示はなされ
ておらず、また上記の前処理およびパルプ化段階から経済的に回収できる廃液を
得るという問題も取り扱われていない。
【0034】 米国特許第4,045,257号明細書は、化学パルプの製造方法であって、
リグノセルロース材料から化学パルプを製造し、そしてこの方法で使用される化
学薬品を回収する上記の方法を開示している。この方法は、微粉砕リグノセルロ
ース材料の流れを、予備蒸解およびその予備蒸解済み材料を離解する形の前処理
に付し、続いてこのように前処理されたリグノセルロース材料を、少なくとも部
分的に脱リグニン化されたリグノセルロース材料の流れを得るために、アルカリ
性緩衝液の存在下で酸素含有ガスと反応させることを含んで成り、この場合予備
蒸解およびパルプ化の両工程から廃液が抽出され、その廃液がそれよりこの方法
において再循環されるべき化学物質を回収するための湿式燃焼に付される。米国
特許第4,045,257号明細書で提案されている化学薬品回収の唯一のルー
トは湿式燃焼法であるが、これは、湿式燃焼中に起こる大量の二酸化炭素の不可
避的形成が過度の腐食とパルプ化用液中での望ましくない重炭酸アルカリの形成
を引き起こすと思われるので実用的ではなく、実際問題として使用には望ましく
ないと思われる。湿式燃焼反応器中の化学的環境も、また、全ての無機および有
機化学薬品、並びにそれらを完全に不活性化させ得る使用された添加剤または添
加剤前駆体を完全に酸化するだろう。湿式燃焼はエネルギー効率が特によいとい
う訳けではなく、また電気発生用または価値のある合成ガス形成用の高圧の流れ
を回収することも可能でない。
【0035】 (発明の目的) 上記の背景に関する議論から、在来のクラフト法より環境上優れ、同時に廃セ
ルロース液からのエネルギーおよび化学薬品回収の効果的な系を含んでいる、資
本集約性がより低い脱リグニン化法またはパルプ化法の必要が存在することは明
らかであろう。
【0036】 かくして、本発明の主要な目的は、パルプ化用化学薬品回収の効果的な方法と
組み合わされた、低資本集約性でかつ環境上優れた、化学パルプの製造法を提供
することである。
【0037】 本発明のもう一つの目的は、現在のクラフト法に比較してそれより高い収率を
持つ化学的パルプ化法を提供することである。
【0038】 さらにもう一つの目的は、苛性化および石灰再燃焼能の必要が最小限に抑えら
れるか、またはその必要のない化学パルプの製造法を提供することである。
【0039】 本発明の他の目的は、化学パルプの製造における環境上の影響を、硫黄成分の
使用を本発明の方法において実質的に排除することによって実質的に低下させる
ことであって、この場合悪臭ガスの生成は本質的に排除される。
【0040】 さらに他の目的は、パルプの漂白性がクラフトパルプに比較して改善される、
前記の特質を持つパルプ化法を提供することである。
【0041】 さらなる目的は、現に存在するクラフト工場において、最小限の修正だけで適
用することができる化学的パルプ化および化学薬品の回収法を提供することであ
る。
【0042】 本発明のさらに他の目的の本質は、次に続く説明部分および添付図面を考察す
ることにより明らかになるであろう。
【0043】 (発明の開示) 本発明の方法は、パルプ化用化学薬品を回収する回収系を統合して有する、化
学パルプを製造するための、実質的に硫黄を含まない方法に関する。この主題方
法は数段階で実施されるものであって、この場合第一段階は、リグノセルロース
材料の酸素系脱リグニン化剤との反応に対するアクセシビリティを増大させるた
めに、木材または一年生植物のようなリグノセルロース材料の物理的および化学
的処理を含んでいる。この化学的、物理的前処理に続いて、その材料は、脱リグ
ニン化された褐色ストックパルプを得るために、アルカリ性緩衝液および1種ま
たは2種以上の活性な化学試剤の存在下において、酸素含有ガスと反応せしめら
れる。その褐色ストックパルプは、所望ならば、望ましい物理的な強度的性質と
白色度を有する最終パルプ製品を得るために、オゾンおよび過酸化水素のような
環境に優しい化学薬品により漂白することができる。この方法で生成する、リグ
ニン成分と廃化学試剤を含んで成る廃セルロース液は濃縮され、続いてガス発生
装置中で完全にまたは部分的に酸化される。ガス発生装置においては、熱未加工
ガスの流れと、アルカリ性化学薬品および化学試剤より成る流れが後続の再循環
およびパルプ製造プロセス中での再利用のために形成される。
【0044】 よって、本発明は、その最も広い面においては、パルプ化用化学薬品を回収す
るための実際的かつ効率的な化学薬品回収系と組み合わされた、環境に優しい化
学薬品を使用してセルロースパルプを製造するための酸素脱リグニン化法に関す
る。
【0045】 本発明によれば、独立の請求項1に記載される、化学パルプの製造方法であっ
て、リグノセルロース材料から化学パルプを製造し、そしてこの方法で使用され
た化学薬品を回収する上記の方法が提供される。本発明のさらなる特長および特
定の態様は、従属クレームとしての請求項2〜38に記載される。
【0046】 a)供給材料の調製 パルプの品質は、リグノセルロース材料の品質と起源およびパルプ化法による
だけでなく、チップ化のような大きさの機械的縮小法によっても著しく影響され
る可能性がある。多くの工場は、製材工場および合板工場のような外部施設によ
り生成される購入チップをあてにしているが、これらのチップは大きさに適切な
分布を得るために工場で篩い分けおよび再チップ化されなければならないことが
ある。非木材材料のあるものは、大きさを縮小する必要または含浸およびパルプ
化の前に機械的に処理する必要がない。
【0047】 酸素・アルカリパルプ化は、ガスバルク(gas bulk)から液体への酸素の移動
により、次いでリグノセルロース材料中の反応部位への拡散により起こる。脱リ
グニン化は活性酸素のリグノセルロース材料への拡散速度の関数である速度で進
行する。それ故に、木質原材料を小さい均一なチップまたはスライバーに細分し
てその材料がパルプ化用化学薬品に接近できるようにすることが非常に重要であ
る。木材チッパーが木、大枝、小枝、低木等の大きさを小さくして木材チップに
することは周知である。チッパーは色々な大きさの木材材料を取り扱うために広
範囲の大きさと電力定格で分類されている。
【0048】 ウェファーチッパー(wafer chipper)もパルプ化用チップを製造するのに用
いられた。このようなチッパー、即ちウェファライザー(waferizer)(時にこ
のように呼ばれる)は、一般に、主刃先を木目に平行にして木目に沿って(木目
に平行に)、かつ木目を横切って切断して、均一な厚さを有する、従ってより均
一な含浸特性を達成するチップを作るものである。しかし、ウェファーチッパー
に由来する利益は、ウェファーチップを専ら使用した場合に得ることができるだ
けである。このタイプのチッパーは高接近能の表面を有する均一なチップの製造
に有利であるけれども、このチッパーは、一般に、各々が単一のチップを切り取
る複数の別個の刃を使用することを必要とするから、このチッパーはその維持に
より多くの経費がかかる。
【0049】 シュレッダーを具える常用のチッパーで作られたチップをより多孔質にし、か
つパルプ化用化学薬品により接近できるように処理することも提案された。
【0050】 一対のローラーを利用してチップを破砕してそれらに亀裂を作って、それらを
パルプ化プロセスにおいて蒸解液でより容易に、かつより均一に浸透できるよう
にするチップ破砕機を用いてチップを破砕することも提案される。
【0051】 損傷を受けた繊維が次の処理中に復元されることはあり得ないので、チップ化
またはウェファー化処理中に繊維の完全性を保持することが決定的に重要なこと
である。過度のチップ化または粉砕はチップの内部構造をかなり破壊してしまう
ことがあり、この場合パルプ製品の品質にはマイナスの結果が伴われる。
【0052】 木材のようなリグノセルロース材料を、チッパーまたはウェファライザーでの
最終的な機械的破壊前に、軟化および膨潤させるために、その木質材料を炭酸ナ
トリウム溶液のようなアルカリ性溶液中に浸漬することができる。
【0053】 アルカリ性溶液中での浸漬処理は、木質材料を液状アルカリ性溶液で単に覆う
ことによって行うことができる。木質材料中に取り込まれた空気は、これを浸漬
前にスチームまたは真空で除去することが有利である。このアルカリ処理工程中
の温度は0〜50℃の範囲にあるべきである。
【0054】 アルカリ性溶液中のアルカリ濃度は0.001〜2.5モル濃度の範囲内であ
る。アルカリ性溶液−対−絶乾木材比は1:1〜50:1であることができる。
この前処理の期間は、粒子構造が完全に浸透されるものである限り、20分〜3
日である。
【0055】 均一性とチップの大きさ、特にチップの厚さは現在のパルプ化法では重要であ
るので、プロセスの最適化には厚さを制御することが要求される。チップの篩い
分けにおける最近の発展は、この能力を厚さに基づいて篩い分けることによって
与えている。
【0056】 上記の説明は木質材料の微粉砕に関連するものであるけれども、化学パルプを
本発明に従って製造するのに他のリグノセルロース材料も用いることができる。
このような材料に広範囲のリグノセルロース系一年生植物、コメ、ケナフおよび
バガスがある。
【0057】 木質材料の内では、ユーカリの木、アカシアの木、ブナ、シラカバおよび混合
熱帯産硬材のような硬材が、それらはパルプ化するのがより容易であるので好ま
しい原材料であるが、マツ、トウヒおよびヘムロックのような軟材も本発明の方
法による高級パルプの製造に使用することができる。
【0058】 おがくずや木材細粉は勿論、木材の破片やスライバーも、いかなる先行チップ
化または破壊なしで本発明による化学パルプの製造に使用することができる。非
木材材料の大部分を含めて、開放構造を持つものであればいかなるリグノセルロ
ース材料も、取り込まれた空気を除去する、場合によって行われる予備スチーミ
ング処理後に、本発明の前処理工程に直接装填することができる。
【0059】 b)供給材料の前処理 セルロース材料の全ての酸化処理において、遷移金属の存在は重大なそして多
くの場合マイナスの役割を果たすことは周知である。かくして、酸化処理前に遷
移金属を除去することが普通は有利なことである。遷移金属、特に有機または無
機構造との錯体の形を取っている遷移金属が脱リグニン化の速度を増加させるこ
とも周知であり、そして、本発明によれば、設計された触媒特性を有する金属は
、これをリグノセルロース供給材料と共に入ってきている不規則に活性な遷移金
属種の除去後に加えることができる。
【0060】 金属イオンの木材チップからの除去について提案された前処理技術の中では、
酸による処理(酸洗浄)が所望とされない金属類の可溶化にかなり有効であるこ
とが見いだされている。
【0061】 このタイプの処理を工場規模で採用するときの諸困難に気付くと、一つの金属
除去法が本発明の実施には好ましい。遷移金属の除去には、チップの緩和な予備
加水分解、好ましくは酸および錯化剤の添加と組み合わされたそのような予備加
水分解が単なる酸洗浄よりも有効であると提案されている。さらに、このような
処理は易分解性のヘミセルロースの一部を除去し、かくして木材構造の内部への
反応体の接近が促進されると思われる。ヘミセルロースの一部の除去は、また、
酸分解生成物の量を減少させるので、後続のパルプ化操作におけるアルカリの必
要量を減少させるだろう。
【0062】 本発明の前処理法における予備加水分解の目的は、溶解性のパルプを調製する
場合のようにヘミセルロースを全て除去することではない。溶解性パルプを製造
する予備加水分解プロセスでは、パルプに関するハンドブック類に広範に説明さ
れているように、その予備加水分解を170℃以上のオーダーの高温で2時間以
下行うことの重要性が強調されている。このような処理は、本発明で使用される
緩和な予備加水分解とは対照的に、木材からヘミセルロースを本質的に全て除去
してしまう。
【0063】 このような関係における予備加水分解の一変形は自己加水分解であって、それ
は、本質的に、リグノセルロース材料の175〜225℃におけるスチーム加水
分解であり、その場合希薄なアルカリによるリグニンの抽出性に大きな重要さが
おかれる。自己加水分解の条件下では、ヘミセルロース成分は予備加水分解にお
けるように可溶化され、そのためリグニンがα−アリール結合およびフェノール
性β−O−4エーテル結合の開裂により部分的に加水分解される。
【0064】 予備加水分解の、スチーム爆発・自己加水分解と呼ばれるさらにもう一つの変
形においては、木材材料はスチームで200〜250℃の温度において数分間処
理される。この処理の後に、爆発的に急速な排出がなされてセルロース基質が離
解される。このタイプのプロセスでは、セルロース材料に対する化学的攻撃と機
械的攻撃の両者が炭水化物の大量の解重合をもたらす。このタイプの前処理は本
発明の実施に関連して用いることができるけれども、そのパルプ製品は物理的な
強度的性質がより低いことを受け入れなければならない。
【0065】 本発明の木材前処理段階では、スチームのリグノセルロース材料への、または
リグノセルロース材料の水性スラリーへの注入により、比較的緩和な予備加水分
解工程を実施することができる。温度は、約5〜140分の時間で50〜150
℃に、好ましくは20〜80分の時間で50〜120℃に保たれるべきである。
この予備加水分解は中性または酸性の水溶液および錯化剤の存在下において行う
ことができる。
【0066】 予備加水分解中のこの緩和な条件は、望ましくないセルロースの解重合を防ぐ
と共に、同時に遷移金属の主要部およびヘミセルロースの一部を除去することが
できる。この緩和な予備加水分解は、予備含浸容器、または普通は上流に標準的
な連続クラフト蒸解釜を装備したスチーミング容器のような任意、適当なタイプ
の反応器中で行うことができる。
【0067】 この前処理の結果として生ずる酸性液は、好ましくは、パルプがさらなる処理
に付される前にセルロース材料から除去されるべきである。この液はセルロース
材料を洗浄するか、または圧搾することにより、抜き出しストレーナを通して除
去することができる。この廃液は、それを所望によって再循環させた後、前処理
工程から排出される。
【0068】 前処理工程での使用に適した酸性溶液として、硝酸、塩酸およびリン酸のよう
な無機酸が挙げられる。硫黄は非プロセス元素であり、そして硫黄が蓄積したな
らば、それは本発明の閉または半−閉・化学薬品サイクルから除去されなければ
ならないので、亜硫酸は使用されるべきでない。酢酸または蟻酸のような有機酸
も使用できるが、これら酸のコストはそれらを魅力あるものにするには高すぎる
ことがある。
【0069】 酸性の液および漂白プラントの濾液が、本発明の前処理段階でpH制御のため
に使用することができる。本発明の一つの好ましい態様においては、酸漂白プラ
ントにおける酸性パルプ処理段階からの酸漂白プラント濾液がこの前処理段階に
再循環される。他の濾液も本発明の前処理段階で使用することができ、そしてこ
のような濾液としてオゾンおよび/または二酸化塩素段階からの濾液のような酸
性脱リグニン化段階または漂白段階からの濾液が挙げられる。
【0070】 本発明の緩和な前処理段階中のpHは特に重要と言う訳ではないが、最適の金
属除去のためにはそのpHレベルは約0.5〜7.0の範囲内の任意、適当な値
に、好ましくは1.0〜5.0のレベルに調整することができる。
【0071】 有利なことに、前記の緩和な予備加水分解段階には、金属の除去効率を高める
ために、遷移金属とキレートを形成する能力がある錯化剤を加えることができる
。このような錯化剤を例示すると、アミノポリカルボン酸若しくはアミノポリホ
スホン酸またはそれらのアルカリ金属塩の群からの酸の混合物がある。具体的に
言うと、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ酢酸およびジエチレン
トリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTMPA)が好ましい金属イオン封鎖剤で
ある。他の有効な錯化剤として、ポリ燐酸類およびそれらの塩、例えばヘキサメ
タ燐酸ナトリウム、およびピロリン酸ナトリウムのようなジ−またはトリ−燐酸
ナトリウムのような燐化合物が挙げられる。
【0072】 パルプ化触媒および/または予備加水分解中のリグニンの自己縮合を防ぐ化合
物を、予備加水分解段階に、またはその直後に、選択的脱リグニン化を向上させ
る際に活性な試剤として加えることができる。このような触媒または化合物は、
例えば2−ナフトールおよびキシレノール類、その他の芳香族アルコールのよう
な、リグニン断片により単一の吸電子的置換を受ける能力を有する芳香族有機化
合物から選択することができる。有効な触媒に、以下に挙げる周知のアントラキ
ノンタイプのパルプ化触媒がある。この位置で加えられるべき触媒の量は、木材
基準で約0.1%から同基準で5%までの広い範囲で変えることができる。
【0073】 木材のようなリグノセルロース系繊維質材料中における遷移金属の原濃度は、
木材の種類、地理上の地域、木材の年齢等々に依存して大きく変わる。木材原材
料中のコバルトおよび鉄濃度はかなり低い2〜5ppmであることが多いが、一方
マンガン化合物は70〜80ppmの濃度で存在することがある。
【0074】 遷移金属の主要部分の除去後に、そのセルロース材料を本発明のアルカリ脱リ
グニン化段階c)の前にさらなる処理に付すことができる。本発明の一つの特定
の態様においては、セルロース材料は、酸素含有ガス、過酸化水素、オゾン、二
酸化塩素、またはペルオキシ酢酸のようなペルオキシ酸化合物のようなオキシダ
ントで前処理される。このタイプの処理は炭水化物をピーリングに対して安定化
するときに二重の機能を有し、リグノセルロース材料の下流のアルカリ処理にお
いてリグニンのデフラグメンテーションおよび可溶化を増進させる。
【0075】 本明細書で説明される色々な形の前処理中に使用される特定の物理的条件は、
この前処理の目的を達成するのに重要ではあるけれども、本発明の革新部分では
ない。これらの条件は、この技術分野の当業者により、ケースバイケースで容易
に決められる。
【0076】 セルロース材料が上記の処理のいずれかに付された後に、その材料を、場合に
よっては、脱リグニン化を促進するか、または炭水化物の分解を抑制する化学的
添加剤を所望によって含んでいるアルカリ性緩衝剤の存在下で予備蒸解すること
ができる。この予備蒸解工程の主目的は、リグノセルロース材料を軟化、膨潤さ
せ、同時に、そのセルロース材料をさらに処理する前に、リグニンおよびヘミセ
ルロースの少なくとも一部を溶解させることである。
【0077】 このような予備蒸解段階で使用されるパルプ化用液は、アルカリ金属水酸化物
または同炭酸塩のようなアルカリ性緩衝剤を含んでいる。燐酸アルカリ金属およ
びアルカリ金属ホウ素化合物のような他の緩衝剤も用いることができる。最も好
ましい緩衝液は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム若しくはホウ酸ナトリウム
、またはこれら化合物の混合物を含んで成るものである。アルカリ性緩衝液は本
発明の化学薬品回収系にその起源があり、この回収系から、緩衝液は、部分的苛
性化処理を受けまたは受けずに再循環されて、上記予備蒸解段階において緩衝剤
アルカリとして使用される。苛性化処理段階を最低限で使用することが、または
その段階を省くことさえも本発明の特定の特長であり、またクラフトパルプ化の
化学薬品回収に比較して大きな利点である。
【0078】 炭酸塩系アルカリを緩衝剤成分として使用するとき、予備蒸解中に二酸化炭素
が放出されることがあり、そのためガス類を反応容器から連続的にまたは時々排
出しなければならない。高分圧の二酸化炭素は脱リグニン化を遅延させ、またパ
ルプ化用液の二酸化炭素含有量の無制御変動は、予備蒸解プロセスの制御を困難
にするのである。
【0079】 炭酸アルカリ若しくはホウ酸アルカリ類またはそれらの混合物が使用されよう
とされまいと、アルカリ性緩衝液を予備蒸解中に次第に増量して添加することが
適切である。最終的には、その添加はpHを約7〜約11の範囲内に維持するよ
うに制御される。
【0080】 予備蒸解段階の温度は、約110〜約200℃、好ましくは約120〜150
℃の範囲内に保たれる。
【0081】 その高い方の予備蒸解温度においては、反応容器中でより短い保持時間が求め
られる。150〜200℃では3〜約60分の保持時間で十分であることができ
るが、一方約130℃以下の予備蒸解温度では、所望とされる結果を得るのに6
0〜360分が必要であるだろう。
【0082】 酸素含有ガスは、所望によっては、予備蒸解中にも存在することができ、そし
て有利なことに気相蒸解法が使用できる。さもなければ、予備蒸解反応を抑える
ために、予備含浸容器と、液圧タイプまたはスチーム液相タイプの在来型・単一
または二重容器連続蒸解釜、さらには木材材料が反応容器中に予備蒸解の手順全
体を通じて保持されるバッチ式蒸解釜を用いることができる。
【0083】 これら工程からの廃液の回収は、本発明の酸素脱リグニン化段階からの廃液の
回収と既知の方法で統合することができる。この廃液は、これらを蒸発により濃
縮し、そして別個の燃焼器若しくはガス化器中で燃焼させるか、またはさらなる
処理のために他の廃液と混合することができる。
【0084】 脱リグニン化触媒、その他の添加剤は、これらを本発明の方法の予備蒸解段階
に加えることができる。これら添加剤の一部は、一般に、セルロース材料のアル
カリ蒸解中の脱リグニン化速度を速めるために使用される。
【0085】 予備蒸解段階には特定のポリ芳香族有機化合物を加えることができ、そしてこ
のような化合物としては、アントラキノン、並びに1−メチルアントラキノン、
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メトキシアントラ
キノン、2,3−ジメチルアントラキノンおよび2,7−ジメチルアントラキノ
ンのようなアントラキノン誘導体が挙げられる。この段階において有益な潜在機
能を有する他の添加剤に、炭水化物保護剤およびラジカル掃去剤がある。このよ
うな化合物として、トリエタノールアミンおよびエチレンジアミンのような各種
アミン類、並びにメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソブチルアル
コール、ネオペンチルアルコールおよびレゾルシノールとピロガロールのような
アルコール類が挙げられる。
【0086】 アントラキノンとその誘導体およびアルコールは、単独または組み合わせにお
いて、本発明の予備蒸解段階での使用に好ましい有機添加剤を構成する。アント
ラキノン添加剤は乾燥セルロース物質の重量に対して1%を越えない量で使用さ
れるのが好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。アルコールはもっと高い相
対量で使用することができ、そして入手性と回収コストに依存するが、乾燥セル
ロース材料基準で計算して10%まで使用することができる。アルコール添加の
好ましい範囲はしかし約3%以下である。
【0087】 本発明の予備蒸解段階においては、数種の特定の無機化合物も炭水化物保護剤
として使用することができる。このような無機化合物の例は、マグネシウムとケ
イ素の化合物、ヒドラジン類、アルカリ金属の水素化ホウ素およびヨウ素化合物
である。
【0088】 本発明による方法の予備蒸解段階における最適の操作条件と化学薬剤の装填は
、セルロース原材料源とその起源、製品の最終用途等々のような幾つかのパラメ
ーターに依存する。これらの特定の条件は個々の各ケースについて容易に決める
ことができる。
【0089】 上記で論じた処理の後に、そのセルロース材料を、所望によっては、繊維を解
放するために機械的処理に付して、次に続く酸素脱リグニン化段階における反応
体間の効果的な接触を容易にすることができる。これは、その最も広い意味にお
いて、集積した繊維質材料を、個々の繊維間の化学結合はこれを切断することに
よって、そして本質的に乱されない物理的な力によりもたらされている結合はこ
れを残すことによって、繊維を相互から少なくとも部分的に解放する処理装置に
導入することにより達成することができる。この処理繊維材料を十分な強さの剪
断力に付すことによりその処理繊維集積物のさらなる離解処理を行って、その繊
維集積物内の化学的に結合した固体粒子を剥がしたりあるいは割ったりすること
なく、それら繊維を実質的に、また完全に分離させることができる。
【0090】 繊維を機械的離解中に過度の損傷から保護することが重要である。現在の機械
的パルプ化技術を用いると、化学パルプに近い強度的性質を有し、同時に機械パ
ルプに固有の不透明性と嵩高性とを保持しているパルプを高収率で製造すること
ができる。リグノセルロース材料を加圧下でリファイニングする前およびそのリ
ファイニング中にスチームで加熱することによってそのリグニンを軟化させると
、分離した繊維は著しく強い紙になる。
【0091】 本発明の一つの特定の態様において、リグノセルロース材料は前記方法のいず
れかに従って前処理され、その後、酸素脱リグニン化段階c)の前に機械的離解
に付される。このようなシーケンスにおける第一単位操作にはCTMPおよびC
MPパルプの製造法と大きな類似性があり、そのためこれらタイプのパルプは本
発明の酸素脱リグニン化段階c)に対する供給材料として直接使用することがで
きる。
【0092】 数年前にアスプルンド法が開発されたが、この方法で使用されている原理が機
械的離解段階で利用することができる。この方法は、回転しているディスクまた
はプレート間でリファイニングする前に、リグノセルロース材料をリグニンのガ
ラス転移温度より高い温度において、そして150〜170℃では550〜95
0kPaのスチーム圧において予備スチーミング処理することを含む。リグニン
は十分に軟らかく、そのため細胞間層において分離が起こり、そして次に続く酸
素脱リグニン化段階において化学薬品に容易に接近できる硬いリグニン表面を持
つ繊維が残される。
【0093】 前記の色々な前処理およびリファイニング中の温度以外の機械的離解プロセス
を制御する最も重要なパラメーターは、リファイナー中のエネルギー入力量であ
る。TMPパルプでは、そのエネルギー入力量は1500〜2500kWh/ト
ン・パルプもの高入力量であることができる。本発明の機械的離解段階において
は、このエネルギー入力量はできるだけ低く保たれることになるが、離解の唯一
の目的がリグノセルロース材料を下流の化学的処理により接近できるようにする
ことにあることを忘れてはならない。必要なエネルギー入力量の範囲は、明らか
に、原材料の起源と規格および前処理の特質に依存して変わるが、一般的には5
0〜500kWh/トン・材料のオーダー、さらに好ましくは50〜300kW
h/トンである。
【0094】 c)酸素脱リグニン化 酸素脱リグニン化および酸素系分子による漂白は、クラフトパルプの製造に関
連して徐々に普及してきており、また酸素化学薬品のコストも著しく下がってき
た。前処理に続いて行われる本発明の酸素脱リグニン化段階は一つ、好ましくは
二つ以上の段階で行われる。
【0095】 前記で論じた予備蒸解工程と同様に、酸素脱リグニン化中にはアルカリ性緩衝
剤も存在する。アルカリ性緩衝剤はアルカリ金属炭酸塩または同重炭酸塩を含ん
でいることができる。アルカリ金属リン酸塩およびアルキル金属ホウ素化合物の
ような他の緩衝剤も用いることができる。最も好ましい緩衝液は炭酸ナトリウム
、重炭酸ナトリウム若しくはホウ酸ナトリウム類またはこれら化合物の混合物を
含んで成るものである。アルカリ性緩衝液は本発明の化学薬品回収系で生じたも
のであって、それは、その回収系から、石灰との苛性化反応に付されることなし
に酸素脱リグニン化段階における使用のために再循環される。
【0096】 アルカリ性緩衝剤はそれ自体として酸素脱リグニン化段階に供給できるが、そ
の緩衝液のアルカリ性度を上げるためにアルカリ金属水酸化物を加えることも可
能である。炭酸塩または重炭酸塩を緩衝剤成分として使用するときは、酸素脱リ
グニン化中に二酸化炭素が放出されることがあり、そのためガス類を反応容器か
ら連続的にまたは時々排出しなければならないだろう。高分圧の二酸化炭素は脱
リグニン化を遅延させ、またパルプ化用液の二酸化炭素含有量の無制御変動は、
酸素脱リグニン化プロセスの制御を困難にする。
【0097】 アルカリ重炭酸塩、同炭酸塩若しくはホウ酸塩類またはそれらの混合物が使用
されようとされまいと、アルカリ性緩衝液を酸素脱リグニン化中に次第に増量し
て添加することが適切である。最終的には、その添加はpHを約7〜約12の範
囲内に維持するように制御される。
【0098】 酸素脱リグニン化段階に加えられる酸素は純酸素でも、酸素含有ガスでもいず
れでもよく、その選択は酸素のコストと反応器中に必要とされる分圧に基づく。
反応器中の全圧は、スチーム、酸素、および注入された、または酸素脱リグニン
化プロセスでの反応の結果として発生した他のガス類の分圧から構成される。酸
素の分圧は0.1〜2.5MPaの範囲に保たれるべきである。
【0099】 酸素は、低コストの酸素含有ガス流を調製するために、極低温スイング吸着法
(swing adsorption)または膜技術により現場で製造されるのが好ましい。酸素
にはパルプ工場で幾つかの用途があるが、主たる用途は酸素脱リグニン化と本発
明の方法において生成するセルロース廃液の酸化である。酸素ガスは、まず、酸
素脱リグニン化段階に過剰量で通し、通過させることができ、そして最終的には
二酸化炭素のような他のガス類も含んでいる未反応ガスが酸素脱リグニン化段階
から排出され、そして必要ならば圧縮してセルロース廃液の酸化用反応器に注入
される。
【0100】 本発明の酸素脱リグニン化段階で消費される酸素の量は、木材材料、カッパー
価の低下、およびリグニン断片の湿式燃焼度のような因子にかなり依存して変わ
るが、普通はリグノセルロース材料1トン当たり50〜200kgのオーダーで
ある。
【0101】 酸素漂白と酸素脱リグニン化は、リグノセルロース材料に作用する、色々な、
同時進行性のイオンおよびラジカル反応を含んでいる非常に複雑なプロセスであ
る。
【0102】 分子状酸素は基底状態が三重項である。酸素漂白の初期段階は、従って、酸素
の第一還元生成物、スーパーオキシドアニオンラジカルおよび基質ラジカルを与
えるために、リグノセルロース構造(基質)における高電子密度中心からの外圏
の一電子遷移を含む。アルカリ性酸素脱リグニン化において優勢な条件下では、
リグニン中のフェノール性ラジカルはイオン化されており、また基質ラジカルは
主としてフェノキシラジカルタイプのものである。これらの条件下における酸素
還元の次の段階は、スーパーオキシドアニオンの不均化反応による過酸化水素の
形成である。スーパーオキシドアニオン自体はあまり反応性ではないが、過酸化
水素の分解生成物は反応性が非常に高い無差別種(indiscriminate specie)で
あるヒドロキシルラジカルを含む。このヒドロキシルラジカルはリグニン構造と
反応するだけでなく、多糖類をも容易に攻撃し、それには引き続いてグリコシド
結合の開裂とピーリング反応の新部位の創生が伴われる。多糖類の解重合は、結
局は、パルプの強度的性質に影響を及ぼし、そのため酸素脱リグニン化は、普通
、過度の解重合が起こる前に停止される。それにもかかわらず、リグニンのデフ
ラグメンテーションを成し遂げるには、ヒドロキシルラジカルが酸素脱リグニン
化中に存在していなければならないと理解されている。
【0103】 酸素脱リグニン化中にヒドロキシルラジカルが存在するのは、一部は、過酸化
水素の金属イオン接触分解の影響である。金属イオンを単独で制御すること、ま
たは色々な配位圏および配位子と組み合わされた全ての金属を制御することが、
器機上重要なものである。
【0104】 ほぼ同等の安定性を持つ二つの原子価状態で酸化媒体中に存在し得る金属だけ
が触媒として作用することができる。これらの金属としてコバルト、マンガン、
銅、バナジウムおよび鉄が挙げられるが、一方Zn2+およびCd2+のようなd軌
道が満たされている金属イオンは、本発明の酸素脱リグニン化段階で支配的な条
件下では触媒として不活性である。
【0105】 さらに具体的に述べると、活性な遷移金属およびそれらの錯体は、二酸素の酸
化能を利用してその反応性を繊維壁内におけるリグニンの分解の方向に向ける。
このプロセスにおいて、高原子価の遷移金属イオンは、リグニンから酸素への電
子の流れに対する導管としての役割を果たす。
【0106】 遷移金属イオンの水中における挙動は、これを制御するのが困難なことが多く
、水溶液中ではイオン性水酸化物類と水和物との間は勿論、金属イオンの接近可
能な酸化状態の間にも複雑な平衡が確立されている。加えて、多くの遷移金属酸
化物および同水酸化物は水溶液中の溶解度が限られており、この場合それらの活
性な金属は固体が沈殿するにつれて溶液から急速に失われる。酸素パルプ化技術
で必要とされるものは、比較的安価で無毒な材料または再循環をさせ得る純脱リ
グニン化触媒から構成される回収可能な遷移金属誘導脱リグニン化剤である。
【0107】 本発明によれば、好ましい酸素脱リグニン化触媒は、金属類、即ち銅、マンガ
ン、鉄、コバルトまたはルテニウムの内の少なくとも1種を含んで成るものであ
る。銅若しくはマンガンの化合物、またはこれら金属の組み合わせが特に好まし
い。これらの金属は、普通、望ましくない反応も開始させ、触媒するけれども、
本発明の回収系においてそれらの回収コストが低いことおよび回収が容易なこと
は明白な利点である。望ましくない反応と、それに続くグルコシド結合の開裂、
そして最後にはパルプの強度的性質を不十分なものにすることから炭水化物を保
護するために、これらの好ましい金属イオンの使用は、好ましくは少なくとも1
種の炭水化物保護剤の使用と組み合わされるべきである。
【0108】 過酸化水素の金属イオンで触媒される不均化反応は、極めて活性かつ非選択性
の水酸化物ラジカルを形成する基本的な反応であることが確認されているので、
この反応は何らかの方法で制御されなければならない。この観察にはかなりのメ
リットがあるが、金属イオンは過酸化水素の分解を触媒するよりもっと多くの役
割を含んでいることができると言っても差し支えない。例えば、金属イオンは誘
導期間を変えるか、ある特定の反応の活性化エネルギーを変えるか、または生成
物の分布に影響を及ぼすことができるのである。基本的な脱リグニン化反応のあ
るものの活性化エネルギーを下げることは、特に総反応温度を有意に下げること
ができるならば、非常に望ましいことであると思われる。
【0109】 本発明の遷移金属酸化還元触媒は二つまたは三つ以上の原子価状態間の交換に
よりその機能を果たす。このような変化の半電池電位はイオンの配位子圏の機能
であるから、配位子の設計と性質は、可能ならば、リグニンのデフラグメンテー
ション反応を多くし、また望ましくない水素引抜き反応を最小限に抑えることを
見込んで選択されるべきである。一つの問題は、しかし、配位子が系中のラジカ
ルの激しい攻撃に対して安定でなければならないと言うことである。
【0110】 有効な酸素脱リグニン化触媒の最も重要な特性の一つは、その化合物の酸化還
元電位である。金属錯体の内で、水素参照電極に関してゼロに近い、正しく定め
られた酸化還元電位を有するものは、CuおよびMn・フェナントロリン錯体お
よびCuおよびMn・2,2−ビピリジル錯体である。これらの構造は効率が非
常に高い選択性脱リグニン化触媒であって、それは、一部は、それらの配位圏が
過酸化水素および/またはペルヒドロキシルラジカルに接近可能であるからであ
る。この望ましい電子移動反応は金属イオンの配位圏内で進み、リグニンのデフ
ラグメンテーションを促進する。
【0111】 これらの遷移金属触媒は、反応機構を変えるのではなく、ある特定の望ましい
反応の活性化エネルギーを下げ、結果として脱リグニン化速度を上昇させること
により作用している。
【0112】 酸素脱リグニン化系の選択性を高める能力があるもう一つの触媒は、サルコミ
ンとしてよく知られているコバルト化合物である(N,N′−ビス(サリチリデ
ン)エタン−1,2−ジアミナト)コバルトである。この化合物、およびシッフ
塩基配位子との他の錯体は二酸素を活性化することが知られ、有機基質の酸化に
おいて触媒としてしばしば使用されている。
【0113】 他の窒素含有配位化合物も、フェナントロリンまたはビピリジル化合物ほど効
果的ではないけれども、本発明の活性な金属と配位結合して錯体を形成させるた
めに加えることができる。このような化合物として、例えばアンモニア、トリエ
タノールアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、アセチルア
セトン、エチレンジアミン、シアン化物、ピリジンおよびオキシキノリン類が挙
げられる。
【0114】 ルテニウム酸化物は有機合成において選択性が非常に高い酸素移行種として使
用されているが、この化合物は、本発明者の知る限り酸素脱リグニン化に関連し
て試みられていないけれども、本発明の選択的脱リグニン化を支えるのに使用で
きると思われる。
【0115】 最近、ポリオキシメタレートと呼ばれる一つの部類の無機金属酸素クラスター
イオンが、酸化性環境における脱リグニン化の高選択性試剤または触媒として提
案された。ポリオキソメタレートは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデ
ンまたはタングステンの単純酸化物が適切な条件下において水中で組み合わされ
るときに、自然に生成する別個の高分子構造体である。大多数のポリオキソメタ
レートにおいて、その遷移金属は、酸化分解に対する高抵抗性とリグニンのよう
な他の物質に対する酸化能の両性質を左右する電子配置となっている。ポリオキ
ソメタレートを形成する主な遷移金属イオンは、タングステン(VI)、モリブ
デン(VI)、バナジウム(V)、ニオブ(V)およびタンタル(V)である。
【0116】 この部類の化合物は本発明の酸素脱リグニン化段階での触媒または助触媒とし
て使用できるが、酸素脱リグニン化段階の下流に配置される最終脱リグニン化段
階でポリオキシメタレートを使用する方がさらに好ましいだろう。
【0117】 もう一つの群の触媒はV、Mo、WおよびTiのような遷移金属を含むもので
あるが、それらは過酸化水素およびアルキルペルオキシド中の酸素−酸素結合の
ヘテロリシスを促進することができる。ここで、後者の成分は酸素脱リグニン化
中に形成される。MoO3、WO3およびV25のような酸性金属酸化物は過酸化
水素からの過酸の形成を触媒する。これらの過酸において、その酸の共役塩基は
求核的置換に卓越した離脱基を提供する。例えば、本発明における好ましい炭水
化物保護剤成分であるヨウ化物の過酸化水素による酸化は、モリブデン化合物に
よって、ペルモリブデン酸の仲介により触媒される。
【0118】 設計された配位圏および配位子を有する金属錯体は、本発明の酸素脱リグニン
化で所望とされる反応を促進する非常に大きな可能性を備えているけれども、大
きな問題はそれらのコストが高いことであって、それらを廃パルプ化用液から有
用な形で再生できる見込みがないのである。
【0119】 結論は、コスト効果のある酸素脱リグニン化触媒は非常に安価でなければなら
ないか、またその触媒は化学薬品回収系により再回収可能でなければならないか
のいずれかであると言うことである。
【0120】 本発明による使用に最も好ましい触媒は、本発明の回収系で形成され、その回
収系から再循環される無機化合物に基づくものである。このような化合物として
、銅、マンガン、鉄およびコバルトの各化合物、具体的にはそれらの酸化物、塩
化物、炭酸塩、リン酸塩およびヨウ化物が挙げられる。
【0121】 これらの好ましい遷移金属化合物は、酸素/リグノセルロース環境において、
幾つかの異なる酸化還元系で、無機触媒として、または電子移動剤としてのいず
れかとして作用することができる。これらの金属も、脱リグニン化中にその現場
で形成される溶解有機構造体と活性な金属錯体を形成する。
【0122】 このプロセスにリグノセルロース原材料と共に入り込んでいる遷移金属の大き
な部分は本発明の前処理工程中に除去されており、そのため新しい触媒活性金属
および金属錯体が、本明細書に明記されるように、酸素脱リグニン化段階内にま
たはその前に加えることができる。加えられる金属化合物の量は、濃度が高過ぎ
ると、所望とされる反応の開始を妨げるだけでなく、選択性も低下させるから、
制御されなければならない。ラジカル連鎖酸化反応の速度は、通常、酸素が液を
通って反応性部位へ輸送されることにより制限されるからである。高過ぎる触媒
活性は酸素不足または酸素切れをもたらし、また過剰のラジカルは望ましくない
経路に沿って反応していく。
【0123】 本発明による酸素脱リグニン化の選択性を高めるために使用される活性な遷移
金属触媒は、乾燥リグノセルロース材料基準で計算して10〜5000ppmの範
囲、さらに好ましくは10〜300ppmの範囲の濃度で存在する。
【0124】 従って、本発明の一つの主要な目的は、金属または金属錯体を含んで成る触媒
物質の添加と炭水化物保護剤物質の添加を組み合わせることにより、酸素脱リグ
ニン化段階における金属の分布を、炭水化物の解重合を防ぎながら急速脱リグニ
ン化を成し遂げるように制御することである。
【0125】 できるだけ強いパルプを製造することが普通望まれ、そのため脱リグニン化中
に炭水化物が保存されることが特に重要である。炭水化物の分解が低度であるこ
とは、パルプ中の分子量分布が高いこと、およびパルプ製品中に物理的な強度的
性質が保存されていることの反映である。
【0126】 炭水化物を過度の分解から保護するためには、酸素脱リグニン化段階を、ラジ
カル掃去剤および炭水化物分解抑制剤若しくは炭化水素保護剤、またはこれら物
質の混合物の存在下で行うことが望ましい。
【0127】 分解抑制剤または炭水化物保護剤は、活性ラジカルおよび中間体を錯化するこ
とにより、または単にそれらの望ましくない種を分解することによりそれらの濃
度を下げることによって、それらの活性ラジカルおよび中間体の形成を妨害する
ことのような幾つか異なる経路で作用することができる。
【0128】 1960年代および1970年代に、酸素脱リグニン化中の炭水化物の分解は
マグネシウム化合物およびトリエタノールアミンによって、さらにまたケイ素化
合物およびホルムアルデヒドのような他の物質によって遅延されることが発見さ
れた。マグネシウム化合物のこの抑制効果は、多分、固相中での、アニオン成分
が水酸イオン、炭酸イオンまたはケイ酸イオンであることができる二価の遷移金
属イオンによって二価Mgが置換されることにより触媒金属が遮蔽される効果で
ある。この遮蔽効果で、周知のフェントン(Fenton)機構による活性ヒドロキシ
ルラジカルへの過酸化水素の無制御分解が効果的に抑制されると思われる。トリ
エタノールアミンのような有機アミンは、触媒金属を錯体形成により失活させる
ことによってセルロースおよびヘミセルロースの分解を抑制する。
【0129】 本発明においては、ヒドロキシルラジカルをさらに安定な生成物に転化させる
のに、異なるラジカル連鎖切断用酸化防止剤を用いることもできる。この添加剤
群の典型的な例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソブチ
ルアルコールおよびネオペンチルアルコールのようなアルコール類、アセトンの
ようなケトン類、エタノールアミン類、エチレンジアミンおよびアニリンのよう
なアミン類並びにレゾルシノールが挙げられる。
【0130】 活性な酸化防止剤である外に、これら添加剤の一部のものは良好な溶媒でもあ
って、リグニン断片のアルカリ性緩衝液への溶解を改善する。
【0131】 最も好ましい有機酸化防止剤およびリグニンの溶媒としての添加剤として、ア
ルコール類またはアセトンが挙げられ、それらは単独または組み合わせで使用さ
れる。これら添加剤の濃度は広い範囲で変えることができる。しかし、それら添
加剤がリグノセルロース材料基準で計算して約1%より高い濃度で存在する場合
は、それらはセルロース廃液から回収されなければならない。好ましい濃度は約
0.1〜10%の範囲であり、0.5〜3%がさらに好ましい。
【0132】 本発明の酸素脱リグニン化段階での使用に最も好ましい炭水化物保護剤は、ア
ルカリ性溶液に可溶なヨウ素化合物、マグネシウム化合物またはこれら化合物の
色々な組み合わせである。これらの化合物は非常に効果的な炭水化物の分解保護
剤である外に、それらは本発明の回収系により容易に回収および再循環させるこ
とができる。多数の複雑な有機化合物が周知の酸化防止能またはラジカル掃去能
を有し、そして確かに炭水化物保護剤として有効なこともあるけれども、それら
は高コストに関連があるものであって、最も可能性のあることは、それらは廃液
から回収できないことである。
【0133】 ヨウ素化合物によるセルロース保護の機構は、それら化合物の過酸化水素分解
能に関係がある。これらの系における反応の化学量論関係は複雑なこともときに
はあり得るけれども、ヨウ素イオンと過酸化水素との反応は多少単純であって、
それは離脱基の一つとしての水酸イオンおよび反応体としてのヨウ化物による過
酸化水素の求核的置換の点から説明することができる。ヨウ素は非常に強い求核
試薬であって、形成され、または酸素脱リグニン化段階に加えられたヨウ素化合
物は活性ラジカルの一部を掃去する可能性があるが、ヨウ素の保護効果について
その特定の機構は大部分不明である。
【0134】 本発明の酸素脱リグニン化段階での炭水化物の保護における優れた挙動以外に
、ヨウ素、マグネシアまたはある種特定の窒素化合物を含んで成る無機化合物を
使用することのもう一つの大きな利点は、やがてなされる詳細な説明において本
発明の化学薬品回収系が説明されるとき明白になるだろう。
【0135】 上記の抑制剤は、有利なことに、酸素脱リグニン化段階中に、好ましくはその
初期段階においてアルカリ性緩衝液と共に装填することができる。
【0136】 酸素脱リグニン化中に存在すべき保護剤としての添加剤の量は特に重要である
という訳けではないが、特定の添加剤およびパルプの最終用途に大きく依存する
。マグネシア化合物は、標準的には、木材基準で約0.1%からリグノセルロー
ス材料基準で2%までの量で使用されるべきである。ヨウ素化合物はリグノセル
ロース材料基準で約1〜15%の範囲で使用できるが、好ましい範囲は約3〜約
8%である。
【0137】 物質移動の制限は、酸素脱リグニン化系の重大関心事である。反応性部位への
酸素の気体−液体および液体−固体移動は、酸素ガスの水性媒体中溶解度が非常
に低いことにより抑えられ、そのため酸素脱リグニン化反応器および酸素注入系
を、可能な限り良好な物質移動を確保するように設計することが必要である。蒸
解液は、それが脱リグニン化プロセス中にチップを覆って連続的にまたは断続的
に流れるようにすることができる。反応部位への、パルプ化用液を通しての酸素
の移動は、酸素源をバルクの液相に導入するか、分散したパルプ化用液をガス/
チップのバルクを通して流すか、或いはそれらの組み合わせのいずれかによって
行うことができる。
【0138】 酸素化プロセスを気相が支配するかどうか、または液相が支配するかどうかに
関わらず、酸素の物質移動は小さい気泡を液相に導入することによって成し遂げ
られる。気体−液体の物質移動効率は上記気泡の特性に大きく依存する。
【0139】 気泡内の自由な状態と気泡の外の溶解状態との間の界面を横切ってガス類の交
換を行うことが基本的に重要なことである。炭素質材料の湿式酸化のような多く
の酸素化プロセスの最も重要な性質は、酸素の気泡の大きさとそれらの安定性で
あることには、意見の一致が一般にある。
【0140】 小さい気泡は大きい気泡よりもゆっくり上昇して、ガスが水性相に溶解してい
る時間を長くする。この性質はガス停滞(gas hold-up)と称される。水溶液中
の酸素の濃度は、適正に設計された気液接触装置では、ヘンリーの法則による溶
解度範囲を超えて2倍以上になることもある。
【0141】 本発明による界面活性剤および/または高分子電解質の添加は、微小気泡、ミ
セルまたはコアセルベートの各構造の形成に関連した望ましい性質を発揮させる
。本発明の界面活性組成物によりもたらされる微小気泡の形成は、液体中での酸
素の物質移動を増加させる。
【0142】 いかなる特定の機構にも結びつけられるものではないが、本発明の界面活性組
成物の、コアセルベート、ミセル、凝集体または単なるガス充填気泡を形成する
組織化傾向は、酸素の局所濃度を高めることによって所望とされる反応が起こる
プラットホームを提供する可能性がある。
【0143】 酸素を液中に導入するための多孔ガススパージャーは商業的に入手できる。こ
れらのスパージャーはガスを液中に微小気泡として導入するように設計されてい
るべきである。
【0144】 アルカリ性緩衝液には大量のガスが導入されるので、気泡形成用の核形成中心
が存在しないならば液相は過飽和になることがある。この時点で、微小気泡は次
いで大きな核形成性気泡を自然に形成することができ、そして過飽和が再び生ず
るまでその溶液から溶解ガスを追い払う。界面活性剤または高分子電解質の存在
下では、より大きなガスの部分がその溶液中に安定な気泡として残る可能性があ
る。
【0145】 界面活性剤または高分子電解質は、酸素または触媒のような他の化合物の、チ
ップ内反応部位への物質移動を増加させるために、本発明のパルプ化用液または
酸素脱リグニン化段階に加えることができる。泡の形成によるものであろうとな
かろうと、蒸解液の粘度を下げることによるものであろうとなかろうと、或いは
微小封入酸素または触媒組成物の形成によるものであろうとなかろうと、少量の
界面活性剤の添加は酸素脱リグニン化のある種の臨界的パラメーターに対して絶
大な効果を持っていることができる。
【0146】 この段階に界面活性剤を加えることは、また、セルロース材料の樹脂含有量の
低下に対して寄与してリグニンのデフラグメンテーションおよびより均一なパル
プ化を増加させる。
【0147】 界面活性剤または高分子電解質は、これをパルプ化用液に加えるか、または酸
素脱リグニン化プロセスの早期の段階中に加えるのが好ましく、そしてこのプロ
セスの全てにおいて存在していてもよいし、或いはその一部のみに存在していて
もよい。アニオン性、非イオン性および双性イオン性の高分子電解質、界面活性
剤およびそれらの混合物を用いることができる。
【0148】 好ましい高分子電解質として、ホスファゼン類、イミノ−置換ポリホスファゼ
ン類、ポリアクリル酸類、ポリメタアクリル酸類、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニ
ルアミン類、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾールおよびそれらのイオ
ン性塩のような架橋高分子電解質が挙げられる。これら高分子電解質の架橋は、
反対の電荷を持つ多価イオンの反応で成し遂げることができ、それによりその高
分子電解質の活性がさらに高められる。
【0149】 本発明の実施に有用な特定の好ましいアニオン性界面活性剤物質として、α−
スルホメチルラウレート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエ
タノールアンモニウム、ラウリルスルホ琥珀酸二ナトリウムおよびこれらアニオ
ン性界面活性剤のブレンドが挙げられる。
【0150】 本発明での使用に適した非イオン性界面活性剤としては、限定されるものでは
ないが、脂肪アルコール類、アルキルフェノール類、ポリ(エチレンオキシ)/
(プロピレンオキシ)ブロック共重合体またはエトキシ化されている脂肪酸類お
よび脂肪アミン類;典型的には、エトキシ化がされていてもいなくてもよいスク
ロースエステル類、ソルビトールエステル類、アルキルグルコシド類およびポリ
グリセロールエステル類のようなポリヒドロキシ非イオン性(ポリオール類)を
含んで成るポリエーテル・非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0151】 両性または双性界面活性剤は、アミド化または四級化ポリ(プロピレングリコ
ール)カルボキシレートまたはレシチンであることができる。
【0152】 本発明の原理に従って酸素脱リグニン化段階または緩衝剤アルカリに加えられ
る界面活性剤の量は、生成せしめられるパルプの重量基準で2%までであること
ができる。アルカリ性緩衝液と混合される界面活性剤および/または高分子電解
質の量は、生成せしめられるパルプの重量基準で、好ましくは約0.001〜約
2重量%の範囲、さらに好ましくは約0.01〜0.5重量%の範囲である。
【0153】 高分子量ポリエチレングリコールのパルプ化用液に対する添加により、酸素脱
リグニン化中に実質的な粘度低下を成し遂げることができる。これらの水溶性重
合体は非常に有効な粘度低下剤であって、所望とされる粘度低下を達成するのに
0.2パーセント以下のオーダーの極く少量しか必要とされない。
【0154】 最後に、ある特定の製紙目的のパルプを製造するときは、過酸化水素および/
または過酸化ナトリウムのような過酸化物或いは窒素酸化物を、本発明の酸素脱
リグニン化段階に加えることが適当なこともある。これら化合物の添加により、
ある種特定の用途には極めて望ましい無漂白パルプの白色度レベルが高められる
のである。
【0155】 本発明の酸素脱リグニン化プロセスは、普通は酸素漂白と共に用いられる反応
器を含めて幾つかのタイプの商業的酸化反応器中で行うことができる。リグノセ
ルロース材料−対−アルカリ性緩衝液の比は、1〜5%もの低い比で操作する低
コンシステンシー系から、10〜15%での中コンシステンシーの設計を越えて
約30%以下の比における高コンシステンシーの設計までの広い範囲で変えるこ
とができる。例えば、タッピー・ジャーナル誌(Tappi Journal)、1986年
、6月号、第46〜52頁の「酸素漂白法(Oxygen bleaching processes)」に
おけるT.J.マクドノーフ(T. J. McDonough)を参照されたい。
【0156】 典型的な気−液−固相反応は、気体−液体および液体−固体の物質移動、粒子
内拡散および化学反応を含む。これら個々のステップの相対的重要さは、三つの
相における接触のタイプに依存する。従って、反応器の設計をどう選択するかが
最適の性能にとっては非常に重要なことである。典型的な多相反応器はリグノセ
ルロース材料の運動状態に依存して二つの種類に分類することができる。
【0157】 a)リグノセルロース材料がゆっくり移動する床の中に充填されており、その流
体は並流または向流の逆流または順流のいずれかとなっていることができる。
【0158】 b)リグノセルロース材料が液相中に機械的攪拌により懸濁されている。
【0159】 細流床式反応器が、液体が細い流れとなって、ゆっくり移動する床を通って流
れる第一群の一つの例である。細流床は本発明の酸素脱リグニン化段階で使用す
ることができる。第二群の反応器がさらに好ましく、そして具体的には三相(気
体/液体/固体)流動床が酸素脱リグニン化反応によく合っている。
【0160】 他のタイプの酸素脱リグニン化反応器に、スタティック・ミキサーを具えまた
は具えない管状またはパイプライン式反応器がある。
【0161】 本発明のある特定の態様において、酸素脱リグニン化および/またはニトロ化
反応は、酸素脱リグニン化後のパルプの置換洗浄に普通使用される反応器のよう
な加圧式ディフューザー反応器中で行われる。褐色ストック貯蔵タンクには普通
連続式ディフューザー洗浄機が取り付けられ、パルプの洗浄を行う。パルプはデ
ィフューザー容器中を上の方に進められ、そして複数の同心抜取りスクリーン間
を通る。ディフューザー反応器は、一般に、その底部にパルプスラリー用入口を
、また反応器頂部に隣接してスラリー用出口を含んでいる。ディフューザー反応
器およびパルプ洗浄機としてのその使用は、主に、例えばヌトソン(Knutsson)
等によるWorld Pulp and Paper Week Proc.の「圧力ディフューザー−新しい汎
用パルプ洗浄機(Pressure diffuser−A New Versatile Pulp Washer)」;19
84年4月10−13日、97−99頁に記載されている。
【0162】 d)褐色ストックの後処理 褐色原料パルプの処理と、酸素脱リグニン化段階の下流の全ての加工処理は本
発明の一体部分をなすものではなく、非常に多数の変形が考えられる。
【0163】 本発明の方法に従って得られる褐色ストックパルプは、これを、例えば無漂白
パルプ製品を得るように最終処理するか、または塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸
塩、過酸化物および/または酸素、オゾン、シアナミド、過酸類、窒素酸化物の
ような既知の漂白剤または任意のそのような漂白剤の組み合わせを一つまたは二
つ以上の工程で使用して漂白するかのいずれかであることができる。レーヨンを
製造するためのようなリファイニングされたパルプを製造するときは、パルプは
公知の方法を用いるアルカリ処理で精製することができる。
【0164】 アルカリ性漂白プラント濾液は、これを向流で再循環させて酸素脱リグニン化
段階に戻すのが好ましい。酸性漂白プラント濾液、具体的には二酸化塩素、オゾ
ン、窒素酸化物または他の酸性処理段階に由来するものは、本発明のリグノセル
ロース材料の前処理に直接または間接的に再循環させるのが好ましい。
【0165】 e)廃液の抽出 溶解したリグニン成分および廃化学物質を含んで成る廃液は、それより化学薬
品を回収するために工程c)、または工程c)とd)の両工程から抽出される。
【0166】 f)化学薬品の回収 本発明の加工処理段階で生成せしめられる色々な廃液の流れは、リグニン、そ
の他の有機物質の抽出を行いまたは行わずに、回収系でさらに加工処理して無機
化学薬品、添加剤または添加剤前駆体およびエネルギー有価物を回収するために
抜き出される。
【0167】 廃液は、リグニン、およびリグノセルロース材料から分離された他の有機物と
共に蒸解用無機化学薬品をほとんど全部含んでいる。薄い廃液の初期濃度は水溶
液中乾燥固形分として約15%である。それは蒸発器および濃縮器の中で約65
〜約85%の範囲の固形分含有量までの燃焼状態に濃縮される。
【0168】 本発明の方法からの廃液は硫黄化合物を有意量では含んでおらず、従ってクラ
フト回収系におけるように還元硫黄種を形成するのに必要とされる、還元のため
の特定の仕事はない。化学薬品の回収は酸化または還元条件下で行うことができ
るが、しかし高品位の熱と動力の最適回収には化学薬品を還元条件下で回収する
のが好ましい。
【0169】 本発明の加工処理段階で生成せしめられるセルロース廃液のガス化または部分
的酸化に基づく回収系には、標準的な回収ボイラーでの化学薬品の回収に比較し
て著しい利点がある。
【0170】 エネルギーおよび化学薬品を回収するための炭素質材料のガス化は充分に確立
された技術であって、プロセスに関して普通は三つの基本的な着想、即ち固定床
式ガス化、流動床式ガス化および懸濁または連行流式ガス化が用いられている。
セルロース廃液は低い融点および凝集点を有するアルカリ化合物を大きな割合で
含み、そしてセルロース廃液の転化には色々な流動床の着想が明らかにされてき
たけれども、高アルカリ性液の転化には懸濁または連行流式ガス化器がより適し
ていることに意見が一般に一致している。固定床式ガス化器は液体燃料の転化に
は実用的でない。
【0171】 懸濁床式ガス化器中での黒液のガス化または部分的酸化が、クラフト廃液から
化学薬品およびエネルギーを回収する市場に現在導入されつつある。このタイプ
のガス発生装置は、有利なことに、本発明による化学パルプの製造中に生成せし
められる廃セルロース液から化学薬品を回収するのに利用することができる。こ
の廃液は、これらをガス発生装置中で完全に燃焼させることも、さらに好ましく
は、燃焼性ガスを得るために、それら廃液を部分的に酸化することもいずれも可
能である。さらに具体的に述べると、前記の特質を持つ化学薬品回収系は、本発
明の酸素脱リグニン化プロセスで用いられた化学薬品および化学試剤を回収する
、所望とされる能力を有している。さらに、セルロース廃液の部分的酸化による
回収は、熱効率をさらによくし、在来の回収ボイラー系に比較してコスト効果が
実質的により高い。
【0172】 本発明の実施においては、例えば米国特許第4,917,763号、同第4,
808,264号および同第4,692,209号明細書に記載されるガス化器
を含めて幾つかのタイプのガス化器が少しの改修だけで使用することができる。
これらのガス化系は、ただし、高硫化度のセルロース廃液からの化学薬品および
エネルギー回収に最適であるとされているものである。硫黄化学薬品はアルカリ
硫化物として回収されるが、その硫黄の実質的部分も硫化水素およびカルボニル
スルフィドとして未加工燃料ガスに随伴する。その未加工燃料ガス中の連行溶融
アルカリ性化学薬品は冷却、急冷段階でそのガス流から分離され、水溶液に溶解
される。緑液と呼ばれるこのアルカリ性溶液は、クラフトパルプ化操作で用いら
れる在来化学薬品である高アルカリ性度の白液を得るために、石灰で苛性化処理
される。
【0173】 石炭、減圧蒸留残油、その他の重質炭化水素のような炭化水素質材料の部分的
酸化は、化学薬品工業および石油化学薬品工業で一般に実施されているものであ
って、幾つかのタイプのガス化器が開発、商品化されている。多数のこれらガス
化器は、主として反応器用材料の選択と熱ガス冷却用設計に関係した改修を施し
て、次の本発明で利用することができる。このようなガス化器は、米国特許第4
,074,981号明細書に記載されるものがその例である。
【0174】 重質炭化水素および石炭のガス化用に設計された二段階反応ゾーン・上向き通
風式ガス化器が、有利なことに、小さい改修を施すだけで、本発明の実施におい
て利用することができる。このようなガス化器は、例えば米国特許第4,872
,886号および同第4,060,397号明細書に記載されている。
【0175】 本発明での使用に適したデザインを持つもう一つのガス化器は、米国特許第4
,969,931号明細書に開示されている。
【0176】 本発明では化学薬品およびエネルギーの回収にガス化系を使用するのが好まし
いが、特にこの新規な方法を現に存在するクラフト工場で実行するときは、現在
の回収ボイラーも効果的に利用することができる。
【0177】 本発明のセルロース廃液は、主として、水素、炭素、酸素、窒素、ヨウ素およ
びアルカリ金属の化合物から構成されている。この廃液の硫黄含有量は低く、そ
して本発明の総合的な化学的パルプ化および化学薬品回収法では硫黄は非プロセ
ス元素を構成するので、外部硫黄化学薬品はこの方法のいかなる場所でも使用さ
れるべきでない。非プロセス硫黄成分は、必要ならば、化学薬品液のループから
連続的にまたは時々排出させることができる。
【0178】 ガス化または部分的酸化は本発明における化学薬品回収の好ましいルートであ
るけれども、その廃液はガス発生装置中で完全に酸化させることもでき、そして
二酸化炭素およびスチームから成る熱未加工ガスは、アルカリ性化合物の分離、
冷却、および場合によって行われる痕跡の汚染物と粒状物の除去後に大気に排出
される。最終廃液流の完全酸化は、リグニン、その他の有機物質が廃液または循
環液から抽出されてカロリー含有量がより低い最終廃液流をもたらすときに、そ
してより小さいパルプ工場および非木材操作における回収用に特に有利であるだ
ろう。
【0179】 ガス化中にセルロース廃液は、酸素含有ガスと、順流または逆流設計のガス発
生装置中で、約700〜1300℃の範囲の温度および約0.1〜約10MPa
、さらに好ましくは約1.8〜約4.0MPaの範囲の圧力において反応せしめ
られて、H2、CO、CO2、H2OおよびNH3の内の少なくとも2種を含んでい
る未加工燃料ガス流、および遷移金属塩、ヨウ素化合物、並びにナトリウムおよ
びカリウムの化合物を含んで成る無機アルカリ灰の液滴の群からの1種または2
種以上の物質を含んで成るスメルトまたはエーロゾルを生成させる。
【0180】 本明細書で使用されている用語・酸素含有ガスは、空気、酸素富化空気、即ち
酸素が21モル%より多い空気、および実質的に純粋な酸素、即ち酸素が95モ
ル%より多く、残りがN2および希ガスを含んで成るものである酸素を包含する
ものとする。酸素含有ガスは、ガス発生装置に周囲温度〜約200℃の範囲内の
温度で送り込むことができる。
【0181】 セルロース廃液は、通常、その廃液を、噴霧ノズルを装備した一つまたは二つ
以上のバーナーにより部分的酸化用ガス発生装置の反応ゾーンに流入させる前に
、100〜150℃の範囲の温度、一般的には少なくとも120℃の温度に予熱
される。セルロース廃液を小さい液滴のスプレーとする噴霧化を支えるために、
酸素、窒素、スチーム若しくは再循環燃料ガスまたはこれらガスの組み合わせを
用いることができる。
【0182】 廃液をガス発生装置中で部分的に酸化する用途では、酸素含有ガス中の酸素原
子数と、セルロース廃液供給原料中の炭素1原子当たりの、固体炭素質燃料中の
有機結合酸素の原子数(O/C原子比)との和は、廃液の完全燃焼についての化
学量論的消費量の約30〜65%に相当する。実質的に純粋な酸素のガス発生装
置に対する供給によれば、そのガス発生装置からの未加工燃料ガスの乾燥基準モ
ル%での組成は次のとおりであることができる:H2・25〜40%、CO・4
0〜60%、CO2・2〜25%、CH4・0.01〜3%およびNH3・0.1
〜0.5%。この未加工燃料ガスのカロリー値、またはその未加工燃料ガス中の
、パルプ化プロセスに装填された木材の関数としてのエネルギーは、本発明の酸
化脱リグニン化段階でのオキシダントおよび湿式燃焼の程度に大きく依存する。
オキシダントとして純酸素を用いると、未加工ガスの典型的な加熱値はより高く
、6〜10MJ/Nm3・乾燥ガスのオーダーとなるだろう。
【0183】 ガス発生ゾーンから出てくる生成ガスは大量の物理的熱を含んでいる。この熱
は、その熱ガス流を、連行溶融液滴の分離前または分離後の位置に配置されてい
る急冷装置中の水性冷却液と直接接触させることによって水をスチームに変換さ
せることができる。
【0184】 急冷後に、その未加工燃料ガスは有用なスチームおよび熱を回収するための一
つまたは二つ以上の熱交換ゾーン中で冷却され、その後その未加工ガスは、これ
をボイラーまたはガスタービン燃焼器中での最終燃焼のために排出する前に、粒
状物およびアルカリ金属化合物のような汚染物から浄化される。
【0185】 セルロース廃液のガス化中に形成されたスメルトの大部分は、一段階湿式急冷
ガス冷却系中で、または連続的に低下している温度において二段階または三段階
以上で急冷することによるかのいずれかにより分離することができる。急冷は、
ガス状または液状冷却液の熱未加工ガス流中への注入により成し遂げることがで
きる。
【0186】 炭化水素および石炭のガス化に由来するガス状流を急冷および冷却するために
、多種多様の精密な技術が開発されている。この技術は、一般に、急冷系とそれ
に関連した熱交換系のデザインに特徴がある。多くの商業的なガス化プラントで
用いられている、上記のものに代わる配置は、ガス発生装置の未加工ガス用出口
と関連して廃熱ボイラーを設置するものである。
【0187】 本発明の回収系中での未加工ガスおよび溶融した塩の分離用のもう一つのさら
に好ましい設計は、溶融したアルカリ性物質の実質的な部分を、ガス発生装置中
にまたはガス発生装置に隣接して配置されている別個のガス迂回系およびスメル
ト分離ゾーン中で重力または他の手段で分離することによるもので、この分離は
熱ガス流の温度を実質的に下げずに行われる。この特定の態様においては、逆流
または上向きタイプのガス発生装置を用いることができると思われる。セルロー
ス廃液は、例えば、水平燃焼式スラグ形成反応器中で酸素含有ガスと接触させる
ことができ、その場合スメルトの排出はその反応器の下方部で、また未加工ガス
の抜き出しはガス発生装置の上方部で行われる。第一反応ゾーンで生成した熱ガ
スは、第一反応ゾーンの上方端部に接続されている垂直非燃焼式第二反応ゾーン
中で、セルロース廃液を追加増量して行くことにより接触させることができる。
第一反応ゾーン中で発生した熱を第二反応ゾーン中で使用してセルロース廃液の
第二増量分をさらに多くの燃料ガスに転化する。連行粒状物または液滴の持込み
分は全て急冷またはスクラビングによりそのガスから分離することができる。
【0188】 ガス化器またはガス発生装置のタイプおよび設計如何にかかわらず、ガス発生
装置中で形成された無機の溶融液滴およびエーロゾルはその未加工ガスから分離
され、そして水溶液中に溶解される。この溶液は、アルカリ性化合物を本発明の
酸素脱リグニン化および/または予備蒸解段階で緩衝剤アルカリとして直接使用
するのに適した形で含んでいる。回収された緩衝液のアルカリ性度は、苛性化お
よび石灰再燃焼の負荷を最小限に抑えるのに高い初期アルカリ性度が望まれるク
ラフト液の回収の場合ほど重要ではない。
【0189】 このようにして得られた緩衝剤アルカリは、アルカリ金属炭酸塩およびアルカ
リ金属重炭酸塩、そして場合によってはヨウ化ナトリウムおよびヨウ化カリウム
のようなヨウ素化合物から成る。さらに、緩衝剤アルカリは、塩化第二銅、ヨウ
化第二銅、炭酸マンガン、コバルトおよび第二鉄の化合物、および炭酸マグネシ
ウムまたは水酸化マグネシウムのようなマグネシア化合物のような遷移金属化合
物を含んでいてもよい。
【0190】 廃液は、所望によっては熱交換またはフラッシング後に、急冷または溶解用容
器からシリカおよびアルミニウム化合物のようなある種特定の非プロセス元素の
除去用装置へと抜き出される。これらの元素は、廃液が予備蒸解および/または
酸素脱リグニン化段階に再循環される前にその廃液から除去されるべきである。
このような非プロセス元素の除去装置は、コンパクトディスクタイプの高圧フィ
ルター、クロスフローフィルター、遠心分離機、イオン交換装置、または凝集剤
若しくは界面活性剤による支えがあるかまたはない重力分離装置であることがで
きる。
【0191】 アルカリ性緩衝剤化学薬品および活性な化学物質またはそれらの前駆体を含ん
で成る透明になった液は、その液が、本発明の所望とされる前処理、予備蒸解ま
たは酸素脱リグニン化段階に再循環されて装填される前に、化学試剤、触媒また
は炭水化物保護剤を活性化および/または痕跡量の硫化物を全て除去するために
、酸素含有ガスによる酸化処理に付すことができる。
【0192】 本発明をある種特定の軟材供給材料を用いて運転するパルプ工場で実施する場
合、回収されたアルカリの実質的な部分を苛性化処理して、再循環および予備蒸
解段階で使用するための緩衝液のアルカリ性度を高めることが必要になることが
ある。
【0193】 ガス化中に生成した燃焼性の未加工燃料ガスは燃料スチーム発生装置に対して
使用することもできるし、或いは最新のガスタービンサイクル中で燃料として使
用することもできる。この燃料ガスは、一部または完全に、水素または液体炭化
水素の製造用合成ガスとして使用することもできる。
【0194】 本発明の方法で生成した廃液は特別に設計されたガス化または酸化用反応器中
でガス化または完全燃焼させるのが好ましいが、特に、現に存在する近代的なク
ラフト工場をこの新しい方法に転換するときは、在来回収ボイラーを化学薬品の
回収用に利用することもできる。
【0195】 本発明の好ましい化学薬品回収の態様の一つにおいては、リグニン、その他の
有機物質の一部分が、蒸解用化学薬品を回収するために、廃液流または蒸解釜循
環流から、その流れを濃縮し、排出する前に抽出される。このような硫黄化学薬
品を実質的に含まないリグニンおよび有機物質は、これらを従来のリグニン回収
技術に従って回収し、そしてファインケミカル用薬品類およびエンジニアリング
プラスチックの製造で使用するための原料物質若しくはその前駆体として、また
は低硫黄バイオ燃料として利用することができる。このリグニン、その他の有機
物質は、酸、好ましくはセルロース廃液の燃焼に起源を持つガス類から回収され
た二酸化炭素の作用で支持されている、固形分含有量が3〜30%の範囲である
セルロース廃液から沈殿されるのが好ましい。
【0196】 (図面の説明) 図1において、硬材パルプ工場で実施される本発明の好ましい態様を例証して
いる、今のところ本発明を実施するための最良の形態と考えられるものを表して
いる添付図面を参照することにより、本発明をさらに完全に理解することができ
る。
【0197】 図1において、木材チップ1または他の微粉砕されたセルロース系繊維質材料
は、スチームおよび管路7を通して加えられるパルプ化触媒により処理するため
の前処理段階中の第一区画室に装填される。部分的に中和された漂白プラント濾
液がその漂白プラント中の酸段階から前処理反応器系中の第一区画室に管路9を
通して再循環される。過剰の前処理液は管路6を通して排出される。
【0198】 スチームと触媒とで処理された材料は前処理段階中の第二区画室に移され、そ
こでリグノセルロース材料が150℃の温度においてアルカリ性緩衝液による処
理に付される。その繊維質材料からリグニンが抽出され、上記アルカリ性緩衝液
に溶解されるのである。前処理反応器系には管路13を通して新しいアルカリ性
緩衝液が加えられる。この前処理段階から溶解リグニン断片および廃パルプ化用
化学薬品を含んで成る廃液が抜き出され、管路10を通して排出され、そして蒸
発プラントでの引き続き行われる濃縮のために他の廃セルロース液と組み合わさ
れる。少なくとも部分的に脱リグニン化されたセルロース材料の流れは、二段階
酸素脱リグニン化プラントに移され、そこでそのリグノセルロース材料が管路1
2を通して加えられたアルカリ性緩衝液の存在下で酸素による処理に付される。
ここで、このアルカリ性緩衝液は遷移金属触媒およびマグネシア系炭水化物保護
剤も含んでいる。酸素脱リグニン化段階には管路14を通してアルカリ性の漂白
プラント濾液が再循環される。酸素脱リグニン化中に発生したガス類および過剰
の酸素は、酸素脱リグニン化反応器から管路3を通して除去される。
【0199】 酸素脱リグニン化後に得られた化学原料パルプ材料は必要以上に大きい材料を
除去するために篩い分けられ、洗浄され、そして酸性オゾン段階を含む漂白プラ
ントに移される。オゾンガスはオゾン段階に管路15を通して現場オゾンプラン
トから加えられる。パルプのオゾン化中に発生したガス類および過剰のオゾンは
管路21を通して排出される。その後、そのパルプは、強いパルプ製品16を完
全白色度で得るために、加圧アルカリ性過酸化物段階中で最終的に漂白される。
【0200】 廃液流10はその一部分が迂回され、そして管路17を通過してリグニン抽出
プラントに進み、そこでその液から他の有機物質が沈殿せしめられる。リグニン
の沈殿は、焼却炉煙道ガスから回収された二酸化炭素ガスの作用により増強され
、そして管路19を通して上記リグニン抽出プラントに送られる。残りの廃液は
そのリグニン抽出プラントから排出され、そして管路18を通過して液処理・濃
縮装置に送られる。リグニン有価材料は管路20を通して除去される。
【0201】 洗浄濾液11が他の濾液、およびある高固形分含有量になるまで濃縮するため
の液処理蒸発設備中の廃液と合わされる。その蒸発設備から濃縮されたセルロー
ス廃液が管路8を通して焼却プラントに排出され、そこでその廃液が加圧下で燃
焼されて熱ガスとアルカリ性水溶液を形成する。このアルカリ性溶液はナトリウ
ム化合物のような価値のある化学薬品を含んで成るものであって、遷移金属触媒
および炭水化物保護剤またはそれらの前駆体を得ることができる。このアルカリ
性水溶液は、所望によってなされる酸素による処理、および非プロセス元素の除
去の後に、管路12および13を通して予備蒸解段階または酸素脱リグニン化段
階に再循環される。
【0202】 酸素は極低温現場酸素プラントで製造されて別々の管路2を通して前記の酸素
脱リグニン化段階、漂白プラント、ガス化反応器に、そして、場合によっては、
例えばオゾンプラントのうな工場の他の酸素ユーザーに供給される。酸素脱リグ
ニン化段階からの残りのガス類は圧縮され、そして管路3を通して廃液焼却炉に
装填される。
【0203】 焼却炉中での廃液の燃焼中に形成された熱ガスは潜熱と物理的熱の回収のため
に冷却され、そして管路5を通して最終酸化のためのバークボイラーまたはホグ
燃料(hog fuel)ボイラーに移されるか、または、焼却炉での酸化が完全である
場合、別法としてそのガスを煙突4を通して大気に排出することもできる。
【0204】 かくして、リグノセルロース材料から化学パルプを製造する幾つかの単位操作
で行われる方法、およびこの方法で用いられた化学薬品の回収が実証される。
【0205】 本明細書に記載される方法および装置は本発明の好ましい態様を構成するもの
であるが、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲で本明細書で前記される本発
明の他の諸々の修正および変更を行うことができ、従って本発明には前記特許請
求の範囲により示されるような限定だけが課されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 硬材パルプ工場で実施される本発明の好ましい態様を例証している、本発明を
実施するための最良の形態を表す。
【符号の説明】
1 木材チップ 2、3、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、17、18、
19、20、21 管路 4 煙突 11 洗浄濾液 16 パルプ製品
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項27
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項28
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項30
【補正方法】変更
【補正の内容】

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学パルプの製造方法にして、リグノセルロース材料から化
    学パルプを製造し、そして上記方法で使用された化学薬品を回収するための、実
    質的に硫黄を含まない方法であって、次の: a)微粉砕リグノセルロース材料の供給材料の流れを用意し、 b)上記の微粉砕リグノセルロース材料の供給材料流れを前処理に付し、 c)工程a)からの前処理リグノセルロース材料を、少なくとも部分的に脱リ
    グニン化されたリグノセルロース材料の流れを得るために、酸素または酸素含有
    ガスと、少なくとも1種のナトリウム化合物またはカリウム化合物を含んで成る
    アルカリ性緩衝液の存在下で反応させ、 d)工程c)からの少なくとも部分的に脱リグニン化された材料をさらに処理
    して化学パルプ製品を得、 e)工程c)、または工程c)とb)の両工程から溶解したリグニン成分およ
    び廃化学物質を含んで成る廃液を抜き出し、 f)工程e)で得られた廃液から化学物質を回収し、そして工程c)または工
    程c)とb)の両工程に装填されるべき新しいアルカリ性緩衝液を調製する 工程を含んで成り、ここで 工程b)において、前記微粉砕リグノセルロース材料は、スチーム、中性また
    は酸性水溶液、選択的脱リグニン化を向上させる際に活性な試剤、酸化剤および
    アルカリ性緩衝液より成る群の少なくとも一員と、一工程でまたは順々に接触せ
    しめられ、そして 工程f)において、工程e)で得られた廃液からの化学物質の回収は、 f1)上記廃液の少なくとも一部を処理してセルロース廃液の濃縮された流れ
    を形成し、 f2)上記濃縮セルロース廃液流れをガス発生装置中で酸素含有ガスと昇温下
    において反応させて、二酸化炭素および溶融した液滴を含んで成る熱ガスまたは
    ナトリウム化合物若しくはカリウム化合物のエーロゾルを形成し、 f3)上記のナトリウム化合物またはカリウム化合物を水に溶解してアルカリ
    性緩衝液を形成し、そして f4)上記アルカリ性緩衝液の少なくとも一部分を工程c)または工程c)と
    b)の両工程に再循環し、装填する 工程を含んで成る上記の方法。
  2. 【請求項2】 選択的脱リグニン化を向上させる際に活性な少なくとも1種
    の試剤を前処理工程b)または酸素脱リグニン化工程c)に加え、そして上記試
    剤またはその前駆体の少なくとも一部を形成するか、または工程f)から回収し
    、そして工程b)若しくは工程c)、または工程b)とc)の両工程に再循環さ
    せる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 微粉砕リグノセルロース材料を工程b)において緩和な予備
    加水分解に付し、この場合その予備加水分解は上記リグノセルロース材料を含ん
    でいる容器にスチームを加えることにより成し遂げられる、請求項1に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 スチーム予備加水分解を、リグノセルロース材料を中性また
    は酸性水溶液単独で、または脱リグニン化触媒若しくは錯化剤と共に処理するこ
    とにより増強する、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 中性または酸性水溶液が漂白プラントから再循環された濾液
    から成る、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 工程b)がリグノセルロース材料をアルカリ性緩衝液の存在
    下で予備蒸解することをさらに含み、ここでその予備蒸解は、少なくとも部分的
    に脱リグニン化されたリグノセルロース材料を得るために、約110〜約200
    ℃の温度範囲において約3分〜約6時間の時間遂行される、請求項3〜5のいず
    れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ性緩衝液が主としてアルカリ金属水酸化物、同炭酸
    塩、アルカリ金属ホウ酸塩または同リン酸塩から構成されている、請求項6に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 試剤が炭水化物保護剤であり、ここでこの保護剤はマグネシ
    ウム化合物、ケイ素化合物、ヒドラジン類、アルカリ金属の水素化ホウ素および
    ヨウ素化合物の内の少なくとも1種から構成されている請求項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 微粉砕リグノセルロース材料を、工程b)において脱リグニ
    ン化触媒、若しくはリグニンの縮合反応を防ぐ能力のある化合物、またはそれら
    両者と接触させる、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 脱リグニン化触媒またはリグニンの縮合反応を防ぐ能力を
    有する化合物が、芳香族有機化合物、好ましくはアントラキノン若しくはその誘
    導体、または2−ナフトールおよびキシレノール類を含めて芳香族アルコールか
    ら選ばれる、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 微粉砕リグノセルロース材料を、この材料を工程c)にお
    いて酸素により処理する前にリグニンの少なくとも一部分を酸化するために、工
    程b)において二酸化塩素、オゾン、酸素、過酸化水素またはペルオキシ酸のよ
    うな活性酸素化合物により処理する、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 リグノセルロース材料を工程c)の前に機械的離解に付し
    、ここでこの機械的離解は約50〜約500kWh/トン・乾燥セルロース材料
    、さらに好ましくは50〜300kWh/トンの範囲のエネルギー入力量で成し
    遂げられる、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 酸素脱リグニン化を炭酸アルカリまたはホウ酸アルカリか
    ら主として構成されるアルカリ性緩衝剤の存在下で行い、そしてこの緩衝剤は化
    学薬品回収系を発生源とするものであって、それは苛性化処理されることなく上
    記酸素脱リグニン化に移され、使用される、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 酸素脱リグニン化を少なくとも1種の活性な化学試剤の存
    在下で行い、ここでこの試剤は炭水化物保護剤、および銅、マンガン、鉄、コバ
    ルトまたはルテニウムから選ばれる中心原子を有する遷移金属触媒の一種または
    2種以上から選ばれる、請求項1および13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 遷移金属触媒が窒素を含んで成る配位子と配位結合されて
    いる、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 遷移金属触媒が、アンモニア、トリエタノールアミン、フ
    ェナントロリン、ビピリジル、ピリジン、トリエチレンテトラミン、ジエチレン
    トリアミン、アセチルアセトン、エチレンジアミン、シアン化物およびオキシキ
    ノリン類により配位結合されている、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 遷移金属触媒が、酸素脱リグニン化中に、乾燥リグノセル
    ロース材料基準で計算して約10〜約5000ppm、好ましくは約10〜300p
    pmの範囲の濃度で存在している、請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 酸素脱リグニン化を、有機ラジカル掃去剤、マグネシウム
    化合物若しくはヨウ素化合物またはそれらの組み合わせから構成される炭水化物
    保護剤の存在下で行う、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 マグネシウム化合物がアルカリ性溶液に可溶なマグネシウ
    ム化合物から選ばれる、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 ヨウ素化合物がリグノセルロース材料基準で計算して1〜
    15%、さらに好ましくは3〜8%に相当する濃度で存在している、請求項18
    に記載の方法。
  21. 【請求項21】 有機ラジカル掃去剤がアルコール類、アミン類若しくはケ
    トン類またはそれらの組み合わせである、請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】 アミン類、アルコール類およびケトン類がエタノールアミ
    ン類およびエチレンジアミンのようなアミン類、およびメタノール、エタノール
    、n−プロパノール、イソブチルアルコール、ネオペンチルアルコールおよびレ
    ゾルシノールのようなアルコール類、並びにアセトンのようなケトン類から選ば
    れる、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 有機ラジカル掃去剤が乾燥セルロース材料基準で約0.1
    〜約10%、好ましくは約0.5〜3%の濃度で存在している、請求項18に記
    載の方法。
  24. 【請求項24】 酸素脱リグニン化段階における酸素の物質移動を増加、促
    進させるために、工程c)において高分子電解質または界面活性剤、または高分
    子電解質と界面活性剤との組み合わせを加える、前記請求項のいずれかに記載の
    方法。
  25. 【請求項25】 高分子電解質が、ホスファゼン類、イミノ−置換ホスファ
    ゼン類、ポリアクリル酸類、ポリメタアクリル酸類、酢酸ビニル類、ポリビニル
    アミン類、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾールおよびそれらのイオン
    性塩を含めて架橋した高分子電解質から選ばれる、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシ)/(プロピレンオ
    キシ)ブロック共重合体類、エトキシ化されている脂肪酸類および脂肪アミン類
    、ポリヒドロキシ非イオン性(ポリオール類)および四級化ポリ(プロピレング
    リコール)カルボキシレート類またはレシチンを含めて非イオン性または双性イ
    オン性化合物から選ばれる、請求項24に記載の方法。
  27. 【請求項27】 パルプ化用液の粘度を下げるために、高分子量ポリエチレ
    ングリコールを、アルカリ性緩衝液または酸素脱リグニン化段階に対して、リグ
    ノセルロース材料基準で0.2%以下のオーダーの量で加える、請求項25に記
    載の方法。
  28. 【請求項28】 酸素脱リグニン化段階を、細流床式反応器、気体/液体/
    固体流動床式反応器、またはスタティックミキサーを具えまたは具えないパイプ
    ライン式反応器中で、約1〜30%の範囲のコンシステンシーにおいて行う、前
    記請求項のいずれかに記載の方法。
  29. 【請求項29】 酸素化合物を使用するリグノセルロース材料の処理を加圧
    式ディフューザー反応器中で行う、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  30. 【請求項30】 請求項1に記載の方法であって、 工程c)において、アルカリ性緩衝剤が炭酸アルカリ若しくはホウ酸アルカリ
    またはそれらの組み合わせから実質的に構成され、そして 工程f2)において、工程f1)からの濃縮された廃セルロース液を、酸素含有
    ガスと、ガス発生装置の反応ゾーン中で、700〜1300℃の範囲の温度にお
    いて反応させて、二酸化炭素と、H2、CO、H2OおよびNH3の内の少なくと
    も1種とを含んで成る熱未加工ガスを生成させ、ここでその未加工ガスは連行溶
    融粒状物、およびアルカリ性化合物のエーロゾルを含んでおり、 上記連行粒状溶融物の少なくとも大部分を上記未加工ガスの流れから分離し、
    そして水溶液に溶解して、ナトリウムまたはカリウム化合物および化学試剤また
    は化学試剤前駆体を含んで成るアルカリ性溶液を形成し、 その後、上記アルカリ性溶液の少なくとも一部分を苛性化処理に付すことなく
    酸素脱リグニン化工程c)に再循環させる 上記の方法。
  31. 【請求項31】 熱未加工ガスを冷却し、そして浄化して粒状物およびアル
    カリ金属化合物を実質的に含まないきれいなガスの流れを生成させる、請求項3
    0に記載の方法。
  32. 【請求項32】 連行粒状溶融物の大部分を、ガス発生装置の中にまたはガ
    ス発生装置に隣接して配置されたガス迂回・スメルト分離ゾーン中で、上記未加
    工ガス流から重力により分離し、ここでこの分離は上記の熱ガス流の温度を実質
    的に下げることなく成し遂げられる、請求項30に記載の方法。
  33. 【請求項33】 ガス発生装置がその下方部でスメルトの除去を行う上向き
    ガス化器であり、そして熱未加工燃料ガスをそのガス発生装置の上方部から排出
    させる、請求項30に記載の方法。
  34. 【請求項34】 酸素含有ガスのガス発生装置に対する添加が、セルロース
    廃液を化学量論的完全燃焼の30〜65%に相当する請求項30に記載の方法。
  35. 【請求項35】 ガス発生装置中の圧力が約0.1〜10MPa、さらに好
    ましくは約1.8〜約4.0MPaの範囲である、請求項30に記載の方法。
  36. 【請求項36】 セルロース廃液をガス発生装置または反応器中で完全に酸
    化し、また二酸化炭素およびスチームを含んで成る熱未加工ガスを、アルカリ性
    化合物を分離し、冷却し、そして場合によっては痕跡の汚染物および粒状物を除
    去した後、大気に排出する、請求項31に記載の方法。
  37. 【請求項37】 ナトリウムまたはカリウム化合物を含んで成るアルカリ性
    緩衝液を、化学試剤、触媒若しくは炭水化物保護剤を活性化し、および/または
    硫化物のいかなる痕跡も、上記アルカリ性緩衝液が前処理、予備蒸解または酸素
    脱リグニン化段階に所望のように再循環される前に取り除くために、酸素含有ガ
    スによる酸化処理に付す、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  38. 【請求項38】 請求項1に記載の方法であって、 工程b)またはc)からのセルロース廃液流または蒸解釜循環流の中のリグニ
    ン、その他の有機物質の一部分を、硫黄化学薬品を実質的に含まないリグニン、
    その他の有機物質を回収するために、上記の廃液流または蒸解釜循環流が濃縮ま
    たは燃焼に排出される前に、その廃液流または蒸解釜循環流から抽出、分離し、 リグニン、その他の有機物質の抽出後に回収された廃液流を排出し、抜き出し
    て、工程f1)〜f4)による回収系でさらに加工処理して無機化学薬品、有機試
    剤または化学試剤前駆体およびエネルギー有価物を回収する 上記の方法。
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