JP2002524996A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 低周波数オーディオエンハンスメントシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオをエンハンスさせる装置において、
第1の信号の少なくとも一部分を第2の信号の少なくとも一部分と合成し、合成された信号を生成させる第1の合成器と、
前記合成された信号の一部分を選択し、選択された信号を生成させるように構成されている第1の信号プロセッサと、
前記選択された信号のエンベロープに応答して、前記選択された信号を修正し、修正された信号を生成させるように構成されている第2の信号プロセッサと、
前記合成され修正された信号を前記第1の信号と合成し、出力信号を生成させる第2の合成器とを具備する装置。
【請求項2】
前記第2の信号プロセッサは、自動利得制御を備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2の信号プロセッサは、第1の周波数範囲内の周波数に対して、第2の周波数範囲内の周波数をエンハンスさせる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1の信号プロセッサは、複数のフィルタを備える請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1の信号プロセッサは、複数のバンドパスフィルタを備える請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記第2の信号プロセッサは、アタック時定数に関係するレートで増加する利得を持つエキスパンダを備える請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記利得は、減衰時定数に関係するレートで減少する請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記アタック時定数は、前記減衰時定数よりも、より長い請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記アタック時定数は、約5ないし50ミリ秒である請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記第2の信号プロセッサは、エキスパンダを備える請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第2の信号プロセッサは、圧縮器を備える請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記圧縮器は、エキスパンダを備える請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記圧縮器は、合成器をさらに具備し、
前記合成器は、前記エキスパンダの出力と前記エキスパンダの入力とを合成し、圧縮された信号を生成させるように構成されている請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記第2の信号プロセッサは、圧縮器とエキスパンダとを備える請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記第1の信号プロセッサは、スイッチを備え、
前記スイッチは、第1の位置および第2の位置を持ち、
前記第1の位置は、前記合成された信号の少なくとも第1の部分を選択し、前記選択された信号を生成させるように構成され、
前記第2の位置は、前記合成された信号の少なくとも第2の部分を選択し、前記選択された信号を生成させるように構成されている請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記第1の信号プロセッサは、スイッチを備え、
前記スイッチは、1つ以上のバンドパスフィルタの出力を選択し、前記選択された信号の一部分を生成させるように構成されている請求項1記載の装置。
【請求項17】
オーディオ信号における低音をエンハンスさせる方法において、
オーディオ信号を提供する動作と、
前記オーディオ信号の低周波数成分を分離させる動作と、
前記低周波数成分をフィルタリングして、フィルタリングされた信号を生成させる動作と、
利得制御された増幅器において前記フィルタリングされた信号を増幅させ、増幅された信号を生成させる動作と、
前記オーディオ信号と前記増幅された信号とを一緒に合成することによって、シミュレートされた低周波数信号を発生させる動作とを含み、
前記利得制御された増幅器の利得が、前記フィルタリングされた信号のエンベロープに関係する方法。
【請求項18】
前記フィルタリングする動作は、複数のバンドパスフィルタにおいて前記低周波数成分をフィルタリングすることを含む請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタリングする動作は、前記バンドパスフィルタのそれぞれの出力を重み付けすることをさらに含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記増幅させる動作は、前記フィルタリングされた信号を圧縮することを含む請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記増幅させる動作は、前記フィルタリングされた信号を拡張することをさらに含む請求項20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明は、一般的に、サウンド再生の臨場感を向上させるための、オーディオエンハンスメントシステムおよび方法に関する。さらに詳細に述べると、本発明は、ラウドスピーカのような、音響トランスデューサによって生成される音響エネルギーの知覚される低周波数成分をエンハンスさせるための、装置および方法に関する。
【0002】
【背景】
オーディオおよびマルチメディア産業は、再生されるサウンドの不完全性を克服するために絶えず努力してきた。例えば、低音のような低周波数サウンドを適切に再生することは困難であることが多い。低周波数サウンドの出力を向上させるためのさまざまな従来のアプローチは、より広いコーン面積、より大きい磁気、より大きいハウジング、またはより大きいコーンエクスカーション能力を備えた、より高品質のスピーカの使用を含む。さらに、従来のシステムは、ラウドスピーカの音響インピーダンスを、ラウドスピーカを取り囲んでいるフリースペースの音響インピーダンスと整合させる空胴共振器およびホーンによって低周波数サウンドを再生するように試みてきた。
【0003】
しかしながら、全てのシステムが、単に、より高価な、または、より高性能なスピーカを使用して、低周波数サウンドを再生できるとは限らない。例えば、コンパクトオーディオシステムおよびマルチメディアコンピュータシステムのような従来のサウンドシステムの中には、小型ラウドスピーカに依存しているものもある。さらに、コストを節約するために、多くのオーディオシステムは、精度の低いラウドスピーカを使用している。一般的に、このようなラウドスピーカは、低周波数サウンドを適切に生成する能力がなく、結果として、低周波数サウンドをより正確に再生するシステムほど、サウンドは、一般的に、力強いものでも楽しめるものでもない。
【0004】
従来のエンハンスメントシステムの中には、ラウドスピーカに信号を入力する前に低周波数信号を増幅させることによって、低品質の低周波数サウンドの再生を補償するように試みたものもある。低周波数信号を増幅させると、より多くの量のエネルギーをラウドスピーカに伝え、そして、ラウドスピーカをより大きい力で駆動させる。しかしながら、低周波数信号を増幅させるこのような試みは、結果的に、ラウドスピーカをオーバードライブさせることになり得る。困ったことに、ラウドスピーカをオーバードライブさせることは、バックグラウンドノイズを増加させ、気を散らす歪みを生じさせ、ラウドスピーカを損傷させ得る。
【0005】
さらに、他の従来のシステムは、低周波数の欠如を補償する試行において、望ましくないサウンドの特色を加えるような方法で、より高い周波数の再生をゆがませる。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、低周波数サウンドの知覚をエンハンスさせる独特な装置および方法を提供する。一定の低周波数サウンドを再生しないラウドスピーカにおいて、本発明は、存在しない低周波数サウンドが存在しているという錯覚を生じさせる。したがって、リスナは、ラウドスピーカが実際に正確に再生できる周波数より低い低周波数を知覚する。この錯覚効果は、人間の聴覚器官がサウンドを処理する方法を独自のやり方で利用することによって実現される。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、リスナが音楽または他のサウンドをどのように精神的に知覚するかを利用している。サウンド再生のプロセスは、ラウドスピーカによって再生される音響エネルギーにとどまらず、リスナ耳、聴神経、脳、およびの思考処理を含む。ヒアリングは、耳および聴神経器官の反応から始まる。人間の耳は、音響の振動を受け取り、これらの振動を神経インパルスに変換し、そして最終的に、サウンドの「感覚」すなわち知覚に変換する精密な変換システムと考えられている。
【0008】
人間の耳は、音響エネルギーに対する応答において非線形であることで知られている。ヒアリングメカニズムのこの非線形性は、実際のプログラム素材に存在しない付加的な上音および高調波の形態で、相互変調の歪みを生じさせる。これらの非線形効果は、特に、低周波数において顕著であり、これらの効果は、低周波数サウンドがどのように認識されるかについて顕著な効果がある。
【0009】
都合のよいことに、本発明のいくつかの実施形態では、人間の耳が低周波数サウンドの上音および高調波を処理する方法を利用して、存在しない低周波数サウンドがラウドスピーカから放出されているという知覚を生じさせる。いくつかの実施形態では、より高い周波数帯域において周波数を選択的に処理して、低周波数信号の錯覚を生じさせる。他の実施形態では、一定のより高い周波数帯域が、複数のフィルタ機能によって修正される。
【0010】
さらに、本発明のいくつかの実施形態は、音楽のような一般的なオーディオプログラム素材の低周波数のエンハンスメントを向上させるように設計されている。大部分の音楽は、高調波が豊かである。したがって、これらの実施形態は、人間の耳が低周波数サウンドを処理する方法を利用して、幅広いさまざまな音楽のタイプを修正することができる。都合のよいことに、既存のフォーマットの音楽を処理して、所望の効果を生じさせることができる。
【0011】
この新しいアプローチは、多数の重要な効果を生む。リスナは、実際に存在しない低周波数サウンドを知覚するので、大型スピーカ、より大きいコーンエクスカーション、または追加されるホーンの必要性が減少する。したがって、1つの実施形態では、小型ラウドスピーカが、より大型のスピーカの低周波数サウンドをあたかも放出しているかのように見え得る。予測できるように、この実施形態は、大型ラウドスピーカには小さすぎるサウンド環境において、低音のような低周波数オーディオの知覚を生じさせる。大型ラウドスピーカも同様に、大型ラウドスピーカがエンハンスされた低周波数サウンドを生成しているという知覚を生じさせることによって利益を得る。
【0012】
さらに、本発明の1つの実施形態によって、ハンドヘルドおよびポータブルサウンドシステムにおける小型ラウドスピーカは、低周波数サウンドの、より楽しめる知覚を生じさせることができる。したがって、リスナは、可搬性のために、低周波数サウンドの品質を犠牲にする必要はない。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、よりコストが低いスピーカが、低周波数サウンドの錯覚を生じさせる。多くの低コストのラウドスピーカは、低周波数サウンドを適切に再生できない。高価なスピーカハウジング、高性能のコンポーネント、および大型磁石によって低周波数サウンドを実際に再生するのではなく、1つの実施形態は、より高い周波数サウンドを使用して、低周波数サウンドの錯覚を生じさせる。その結果、よりコストが低いスピーカを使用して、より臨場感があって、力強いリスニング体験を生じさせることができる。
【0014】
さらに、1つの実施形態では、低周波数サウンドの錯覚は、サウンドの臨場感を増加させる向上したリスニング体験を生じさせる。したがって、多くの低コストの先行技術のシステムに存在する濁りのある、または不安定な低周波数サウンドを再生するのではなく、本発明の1つの実施形態は、より正確に、かつクリアに知覚されるサウンドを再生する。このような低コストのオーディオおよびオーディオビジュアルデバイスは、一例として、ラジオ、モバイルオーディオシステム、コンピュータゲーム、ラウドスピーカ、コンパクトディスク(CD)プレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、マルチメディア表示デバイス、コンピュータサウンドカード、およびこれに似するものを含むことができる。
【0015】
1つの実施形態において、低周波数サウンドの錯覚を生じさせるのに必要なエネルギーは、低周波数サウンドを実際に再生するよりも少ない。したがって、低周波数サウンドを単に増幅またはブーストするシステムほど多くの貴重なエネルギーを消費せずに、バッテリまたは低電力環境で動作するシステムが、低周波数サウンドの錯覚を生じさせることができる。
【0016】
本発明の他の実施形態は、特殊化された回路によって、より低い周波数信号の錯覚を生じさせる。これらの回路は、先行技術の低周波数増幅器よりも単純であるので、製造コストを減少させる。都合のよいことに、これらは、複雑な回路を付加する先行技術のサウンドエンハンスメントデバイスよりもコストが低い。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態は、開示した低周波数エンハンスメント技術を実現するマイクロプロセッサに依存している。いくつかのケースにおいて、既存のオーディオ処理コンポーネントは、本発明の1つ以上の実施形態の開示した独特な低周波数信号エンハンスメント技術を提供するために再プログラムすることができる。その結果、低周波数エンハンスメントを既存のシステムに付加するコストは、相当減少する。
【0018】
1つの実施形態では、サウンドエンハンスメント装置は、ホストシステムから1つ以上の入力信号を受け取り、そして、1つ以上のエンハンスされた出力信号を発生させる。特に、2つの入力信号は、1対のスペクトル的にエンハンスされた出力信号を提供するように、すなわち、ラウドスピーカ上で再生されてリスナによって聞き取られたときに、拡張された低音の感覚を生じさせるように処理される。1つの実施形態は、低周波数オーディオ情報は、高周波数オーディオ情報とは異なる方法で修正される。
【0019】
1つの実施形態では、サウンドエンハンスメント装置は、1つ以上の入力信号を受け取り、1つ以上のエンハンスされた出力信号を発生させる。特に、入力信号は、第1の周波数範囲および第2の周波数範囲を有する波形を含む。入力信号を処理して、エンハンスされた出力信号を提供し、スピーカ上で再生され、リスナによって聞き取られたときに、拡張された低音の感覚を生じさせる。さらに、実施形態は、第2の周波数範囲における情報とは異なる方法で、第1の周波数範囲における情報を修正することができる。いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲は、所望のラウドスピーカが再生するには低すぎるバス周波数であってもよく、第2の周波数範囲は、ラウドスピーカが再生できるミッドバス周波数であってもよい。
【0020】
1つの実施形態は、2つのチャネルに共通していないエネルギーとは異なる方法で、2つのステレオチャネルに共通するオーディオ情報を修正する。双方の入力信号に共通するオーディオ情報は、合成された信号と呼ばれる。1つの実施形態では、オーディオ情報がステレオ中に存在するという知覚を取り除かないで、高振幅の入力信号から生じるクリッピングを減少させるために、エンハンスメントシステムは、合成された信号における位相および周波数の振幅をスペクトル的に形成する。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、サウンドエンハンスメントシステムの1つの実施形態は、合成された信号を、さまざまなフィルタを用いてスペクトル的に形成し、エンハンスされた信号を生成させる。合成された信号内の選択された周波数帯域をエンハンスさせることによって、実施形態は、実際のラウドスピーカの帯域幅よりも広い、知覚されたラウドスピーカの帯域幅を提供する。
【0022】
サウンドエンハンスメント装置の1つの実施形態は、2つのステレオチャネル用のフィードフォワード信号パスと、合成された信号パス用の4つの並列フィルタを含む。4つの並列フィルタのそれぞれは、3つの直列接続されたバイクアッドフィルタからなる6次のバンドパスフィルタを含む。これらの4つのフィルタに対する伝達関数は、特に、オーディオ信号の低周波数成分のさまざまな高調波の位相および/または振幅形状を提供するために選択される。この形状は、ラウドスピーカを通して再生されたときに、オーディオ信号の知覚された帯域幅を予想外に増加する。別の実施形態では、6次フィルタは、より低次のチェビシェフフィルタに置換される。
【0023】
スペクトル形状は、合成された信号上で発生し、フィードフォワードパスにおいてステレオ情報と合成されるので、合成された信号における周波数は、双方のステレオチャネルに影響を及ぼすように変更され、一定の周波数範囲における信号の中には、1つのステレオチャネルから他のステレオチャネルと結合されるものもある。その結果、好ましい実施形態は、全体的に独特で、斬新で、予測されない方法で、エンハンスされたオーディオサウンドを生じさせることができる。
【0024】
そしてまた、サウンドエンハンスメント装置は、1つ以上の後続の信号処理段に接続されてもよい。これらの後続する段階は、向上したサウンドステージまたは空間処理を提供してもよい。出力信号は、サウンドエンハンスメント装置の動作に影響を与えない、録音デバイス、電力増幅器、ラウドスピーカ、およびそれに似するもののような他のオーディオデバイスに向けられる。
【0025】
さらに別の実施形態では、第1の組の周波数を有する入力信号から第2の組の周波数を発生させるように構成されている信号プロセッサによって、サウンドエンハンスメントは提供される。信号プロセッサは、ハードウェア、(例えば、デジタル信号プロセッサにおける)ソフトウェア、またはこの双方として実現されてもよい。第2の組の周波数は、第2の組の周波数が第1の組の周波数の高調波の少なくとも一部を含むという知覚を生じさせるために発生される。信号プロセッサは、単安定マルチバイブレータを駆動させるゼロ交差検出器を使用して、一連のパルスを提供する。パルスは、第1の組の周波数に対応している入力信号のゼロ交差によって生成される。信号プロセッサは、バンドパスフィルタの集まりに一連のパルスを伝えることによって第2の組の周波数を発生させる。
【0026】
さらに別の実施形態では、サウンドエンハンスメントは、バンドパスフィルタの集まりによって入力信号を処理するように構成されている、信号プロセッサによって提供される。選択されたバンドパスフィルタの出力を合成し、合成された信号を生成させる。合成された信号は、自動利得制御(AGC)増幅器のようなエキスパンダに入力信号として提供される。AGC増幅器は、増幅器の出力レベルを設定する制御入力を有する。制御入力は、合成された信号のエンベロープに応答して設定される。
【0027】
さらに別の実施形態では、合成された信号は、エキスパンダではなく、ピーク圧縮器に提供される。ピーク圧縮器の出力は、エキスパンダの入力に提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、入力信号は合成され、合成された信号を生成し、合成された信号は、エンハンスされて、エンハンスされた合成信号を生成する。エンハンスされた合成信号は、元の入力信号のそれぞれと合成され、出力信号を生成する。他の実施形態では、入力信号は合成されず、別々に維持される。別々の入力信号は、それぞれ別々にエンハンスされ、エンハンスされた出力信号を生成する。同じ信号処理を用いて、合成された信号または別々の入力信号をエンハンスしてもよい。
【0029】
本発明のこれらの、ならびに、他の観点、効果、および斬新な特徴は、以下の詳細な説明を読み、添付した図面を参照すると明らかになるであろう。
【0030】
【好ましい実施形態の詳細な説明】
本発明は、オーディオ信号をエンハンスさせるための方法およびシステムを提供する。サウンドエンハンスメントシステムは、独特のサウンドエンハンスメントプロセスによってサウンドの臨場感を向上させる。一般的に、サウンドエンハンスメントプロセスは、2つの入力信号、すなわち、左入力信号および右入力信号を受け取り、2つのエンハンスされた出力信号、すなわち、左出力信号および右出力信号を発生させる。
【0031】
左および右入力信号を一括して処理し、1対の左および右出力信号を提供する。特に、エンハンスされたシステムの実施形態は、サウンドの知覚される帯域幅を広げて、エンハンスさせる方法で、2つの入力信号間に存在する差を等化する。さらに、多くの実施形態は、クリッピングを減少させるために、双方の入力信号に共通するサウンドのレベルを調整する。都合のよいことに、いくつかの実施形態は、デジタル信号処理を必要とせずに、簡素化され、低コストで製造し易いアナログ回路によって、サウンドエンハンスメントを実現する。
【0032】
好ましいサウンドエンハンスメントシステムに関して、実施形態をここで説明したが、本発明は、これに限定されず、サウンドエンハンスメントシステムの異なる実施形態を異なる状況に適合させるのに望ましいさまざまな他の文脈で使用することができる。
【0033】
サウンドエンハンスメントシステムの概要
図1は、サウンドエンハンスメントシステム104を含むサウンドエンハンスメントシステム100のブロック図である。サウンドエンハンスメントシステム100は、サウンド源102と、サウンドエンハンスメントシステム104と、オプション的な信号処理システム106と、オプション的な増幅器108と、ラウドスピーカ110と、リスナ112とを備えている。サウンド源102の出力は、サウンドエンハンスメントシステム104の入力に提供される。サウンドエンハンスメントシステム104の出力は、オプション的な信号処理システム106の入力に提供される。オプション的な信号処理システム106の出力は、増幅器システム108の入力に提供される。増幅器システム108の出力は、ラウドスピーカシステム110の入力に提供される。ラウドスピーカシステム110の音響出力は、ひとり以上のリスナ112に提供される。
【0034】
信号源102は、一例として、ステレオ受信機、ラジオ、コンパクトディスクプレーヤ、ビデオカセットレコーダ(VCR)、オーディオ増幅器、シアターシステム、テレビジョン、レーザディスクプレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、録音および予め録音されたオーディオの再生用デバイス、マルチメディアデバイス、コンピュータゲーム、およびこれらに類するものを含むことができる。信号源102は、一般的に、1組のステレオ信号を発生させるが、ステレオ信号に限定されないことを理解すべきである。したがって、他の実施形態では、信号源102は、モノラルまたはマルチチャネル信号を発生させるオーディオシステムのような、幅広いさまざまなオーディオ信号を発生させることができる。
【0035】
信号源102は、1つ以上の信号(例えば、左および右ステレオチャネル)をサウンドエンハンスメントシステム104に提供する。サウンドエンハンスメントシステム104は、左および右チャネルの修正によって、低周波数オーディオ情報をエンハンスさせる。マトリックススキームを使用して、4つ以上の別々のオーディオチャネルを2つのみのオーディオ録音トラック上に記憶させるドルビー研究所のプロロジックシステムのような他の実施形態では、左および右チャネルの入力信号は、ステレオ信号である必要はなく、幅広い範囲のオーディオ信号を含むことができる。オーディオ信号はまた、別々のフォワードおよびリアオーディオチャネルを完全に伝えることができるサラウンドサウンドシステムを含むことができる。1つのこのようなシステムは、「AC−3」と呼ばれる、ドルビー研究所の5チャネルデジタルシステムである。
【0036】
1つの実施形態では、左および右チャネルの和を含むオーディオ情報は、合成された情報、または、合成された信号と呼ばれる。1つの実施形態は、1つのチャネルまたは他のチャネルにおける低周波数の高振幅信号から生じるクリッピングを減少させるために、合成された信号における周波数のスペクトル高調波を形成し、形成された合成信号の一部を左および右チャネルに戻して挿入する。
【0037】
オプション的なオーディオ処理システム106は、例えば、デコーディング、エンコーディング、等化、サラウンドサウンド処理等を含む他のオーディオ処理を提供してもよい。増幅器システム108は、1つ以上のチャネルを増幅させ、増幅された信号をラウドスピーカシステム110に提供する。ラウドスピーカシステムは、1つ以上のラウドスピーカを含む。
【0038】
図2は、本発明の実施形態を効果的に使用して、1対の小型のデスクトップコンピュータラウドスピーカ210によって生成されるオーディオ性能を向上させる、一般的なマルチメディアコンピュータシステム200を図示している。ラウドスピーカ210は、コンピュータユニット204内のプラグインカード206に接続されている。プラグインカード206は、一般的に、図5に示したサウンドカードのようなサウンドカードであっても、無線カード、テレビジョンチューナーカード、PCMCIAカード、内部モデム、プラグインデジタル信号プロセッサ(DSP)カード等を含む、オーディオ出力を生成させる何らかのコンピュータインターフェースカードであってもよい。コンピュータユーザ202は、コンピュータ204を使用して、ラウドスピーカ210によって音響波に変換されるオーディオ信号をプラグインカード206に発生させるコンピュータプログラムを実行する。
【0039】
マルチメディアコンピュータシステムによって使用されるラウドスピーカ210は、一般的に、小型で、かつ廉価であるように設計されている小型デスクトップユニットであるので、十分な音圧レベルを低周波数で生成させる能力を持たない。マルチメディアコンピュータに使用される一般的な小型ラウドスピーカシステムは、約200Hzでロールオフする音響出力応答を有するだろう。図3は、人間の耳の周波数応答にほぼ対応している曲線306を示している。図3はまた、高周波数を再生する高周波数ドライバ(ツイータ)と、ミッドレンジおよびバス周波数を再生する4インチのミッドバスドライバ(ウーファ)とを使用している、一般的な小型コンピュータラウドスピーカシステムの測定された応答308を示している。2つのドライバを使用するこのようなシステムは、ツーウェイシステムと呼ばれることが多い。2つより多いドライバを使用するラウドスピーカシステムは、技術的に知られており、本発明の実施形態とともに機能するであろう。単一のドライバを備えたラウドスピーカシステムもまた知られており、本発明とともに機能するだろう。応答308は、20Hzから20kHzの周波数を示しているX軸を有する長方形のグラフ上に示されている。この周波数帯域は、平均的なの人間の可聴範囲に対応している。図3中のY軸は、0dBから50dBの正規化された振幅応答を示している。曲線308は、約2kHzから10kHzのミッドレンジ周波数帯域において比較的に平坦であり、10kHzより上の何らかのロールオフを示している。ラウドスピーカシステムが200Hzより下で、実に少ない音響出力しか生じさせないように、線308は、約200Hzと2kHzとの間のミッドバス帯域において始まる低周波数のロールオフを示している。
【0040】
図3に示した周波数帯域の位置は、一例として用いたものであり、限定するために用いたものではない。ディープバス帯域、ミッドバス帯域、ミッドレンジ帯域の音響の実際の周波数範囲は、ラウドスピーカと、ラウドスピーカに使用されているアプリケーションとにしたがって変化する。ディープバスという用語は、一般的に、ラウドスピーカが、例えば、ミッドバス帯域におけるような、高い周波数のラウドスピーカ出力と比較して精度の低い出力を生成する帯域における周波数のことを言うために使用される。ミッドバス帯域という用語は、一般的に、ディープバス帯域より高い周波数のことを言うために使用される。ミッドレンジという用語は、一般的に、ミッドバス帯域より高い周波数のことを言うために使用される。
【0041】
多くのコーンタイプのドライバは、コーンの直径が音響サウンド波の波長よりも小さい場合に低周波数で音響エネルギーを生成するとき、非常に非効率的である。コーンの直径が波長よりも小さいとき、コーンからの音響出力の均一の音圧レベルを維持するには、周波数が低下する各オクターブ(2の倍数)に対して、コーンエクスカーションが4倍だけ増加する必要がある。ドライバに供給された電力を単にブーストすることによって低周波数応答を向上させるように試行した場合、ドライバの最大の許容可能なコーンエクスカーションに早く到達する。
【0042】
したがって、ドライバの低周波数出力は、一定の制限値を超えて増加できず、このことは、大部分の小型スピーカシステムの低周波数サウンドの品質が低いことを説明する。曲線308は、直径約4インチの低周波数ドライバを使用している大部分の小型のラウドスピーカシステムに特有なものである。より大型のドライバを備えたラウドスピーカシステムは、曲線308に示した周波数よりもいくぶん低い周波数まで、測定可能な音響出力を生成する傾向があり、より小型の低周波数ドライバを備えたシステムは、一般的に、曲線308に示した出力ほど低い出力を生成しないだろう。
【0043】
先に説明したように、最近では、システム設計者は、拡張された低周波数応答のあるラウドスピーカシステムを設計するときに、わずかな選択肢しかない。既知の解決策は、高価であり、デスクトップには大きすぎるラウドスピーカが作られていた。低周波数の問題に対する1つの一般的な解決策はサブウーファの使用であり、サブウーファは、大抵、コンピュータシステム近くのフロア上に置かれる。サブウーファは、適切な低周波数出力を提供できるが、高価であるので、廉価なデスクトップのラウドスピーカと比較して、比較的に一般的でない。
【0044】
直径の大きいコーンを備えたドライバまたはサブウーファを使用するのではなく、本発明の実施形態は、低周波数の音響エネルギーがラウドシステムによって生成されないときでさえも、人間の聴覚器官の特徴を使用して、このようなエネルギーの知覚を生じさせることによって、小型システムの低周波数の限界を克服する。
【0045】
人間の聴覚器官は、非線形であることで知られている。非線形器官は、簡単に言えば、入力が増加しても、出力は比例して増加しない器官である。したがって、例えば、耳において、音響の音圧レベルが2倍になっても、サウンド源の音量が2倍になったという知覚は生じない。実際に、人間の耳は、1次近似に対して、音響エネルギーの強度ではなく、電力に応答する二乗デバイスである。聴覚メカニズムのこの非線形は、音響波における実際の周波数の上音または高調波として聞き取られる相互変調周波数を生成する。
【0046】
人間の耳における非線形性の相互変調の結果を図4Aに示し、図4Aは、2つの純音の理想化された振幅スペクトルを図示している。図4Aにおけるスペクトル図は、第1のスペクトル線404を示しており、この第1のスペクトル線404は、ラウドスピーカドライバ(例えばサブブーファ)によって50Hzで生成される音響エネルギーに対応している。第2のスペクトル線402は、60Hzで示されている。線404および402は、ドライバによって生成される実際の音響エネルギーに対応している実際のスペクトル線であり、他の音響エネルギーは存在しないと仮定する。それにも関わらず、人間の耳は、人間の耳に固有な非線形であるために、2つの実際のスペクトル周波数の和と、2つのスペクトル周波数間の差とに対応している相互変調の積を生成するだろう。
【0047】
例えば、スペクトル線404および402によって表されている音響エネルギーを聴いている人は、スペクトル線406によって示したような50Hzで、スペクトル線406によって示したような60Hzで、スペクトル線410で示したような110Hzで音響エネルギーを知覚するだろう。スペクトル線410は、ラウドスピーカによって生成される実際の音響エネルギーに対応しておらず、正確に言うと、耳の非線形性によって耳の内部で生成されるスペクトル線に対応している。線410は、2つの実際のスペクトル線の和である110Hz(110Hz=50Hz+60Hz)の周波数で発生する。耳の非線形性は、10Hz(10Hz=60Hz−50Hz)の異なる周波数でスペクトル線を生成するが、この線は、人間の可聴範囲より下であるので知覚されないことにも留意すべきである。
【0048】
図4Aは、人間の耳の内部の相互変調のプロセスを図示しているが、音楽のような実際のプログラム素材と比較すると、いくぶん簡略化されている。音楽のような一般的なプログラム素材は、高調波において豊かであるので、大部分の音楽は、図4Bに示したように、ほとんど連続的なスペクトルを示している。図4Bは、図4Aに示したような、実際の音響エネルギーと、知覚された音響エネルギーとの間の同じタイプの比較を示しているが、図4Bにおける曲線は連続的なスペクトルで示されていることが異なる。図4Bは、実際の音響エネルギー曲線420と、対応する知覚されたスペクトル430とを示している。
【0049】
大部分の非線形のシステムと同様に、耳の非線形性は、システムが小さく偏移するときよりも大きく偏移する(例えば、大きい信号レベル)ときに、より顕著である。したがって、人間の耳の場合、より低い音量レベルでも、耳の鼓膜および他の要素が比較的大きく機械的に偏移する低周波数において、非線形性はより顕著である。したがって、図4Bは、実際の音響エネルギー420と知覚された音響エネルギー430との間の差が、低周波数範囲では最大になる傾向があり、高周波数範囲では、比較的、より小さくなることを示している。
【0050】
図4Aおよび4Bに示したように、多重音または周波数を含む低周波数の音響エネルギーは、ミッドバスレンジにおける音響エネルギーに実際に存在するよりもより多くのスペクトル成分を含むという知覚をリスナに生じさせるだろう。人間の脳は、情報が存在しないと考えられる状況に直面したとき、潜在意識レベルで存在しない情報を「穴埋めする」ように試行するだろう。この穴埋め現象は、多くの錯視の基本である。本発明の実施形態では、実際に存在しない低周波数情報のミッドバス効果を脳に提供することによって、このような低周波数情報を穴埋めして、脳を錯覚させることができる。
【0051】
言い換えると、低周波数の音響エネルギー(例えば、スペクトル線410)が存在していた場合に耳によって生成される高調波を脳に提供した場合には、存在しているに違いないと脳が考える低周波数スペクトル線406および408を、適切な条件の下、脳が潜在意識的に穴埋めすることになる。この穴埋めプロセスは、検出器効果として知られている人間の耳の非線形性の別の効果によって増補される。
【0052】
人間の耳の非線形性によって、耳は、振幅変調(AM)受信機におけるダイオード検出器に類似した検出器と同様に機能する。ミッドバス高調波音がディープバス音によってAM変調された場合、耳は、変調されたミッドバス搬送波を復調して、ディープバスのエンベロープを再生するだろう。図4Cおよび4Dは、変調されて復調された信号をグラフによって示している。図4Cは、ディープバス信号によって変調された、より高い周波数搬送波信号(例えば、ミッドバス搬送波)を含む変調された信号を、時間軸上で示している。
【0053】
より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音によって変調されるので、より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音の周波数にしたがって変化する。より高い周波数信号の低周波数エンベロープを耳が検出するように、耳の非線形性は、信号を部分的に復調するのでので、実際の音響エネルギーがより低い周波数で生成されても、低周波数音の知覚を生じさせるだろう。上記で説明した相互変調効果と同様に、一般的に、下端の範囲上の100ないし200Hzのと、上端の範囲上の500Hzとの間であるミッドバス周波数範囲における信号の適切な信号処理によって、検出器の効果をエンハンスさせることができる。適切な信号処理を用いることによって、低周波数の音響エネルギーを生成できなくても、すなわち、能力が不十分であるスピーカを使用するときでさえも、このようなエネルギーの知覚を生じさせるサウンドエンハンスメントシステムを設計することが可能である。
【0054】
ラウドスピーカによって生成される音響エネルギーに存在する実際の周波数の知覚は、1次効果であると考えられる。実際の音響周波数内に存在しない高調波が、相互変調歪みまたは検出によって生成されてもされなくても、このような付加的な高調波の知覚は2次効果であると考えられる。
【0055】
サウンドエンハンスメントシステムにおいて使用される実際の信号処理の詳細を説明する前に、システムのいくつかのインプリメンテーションを検討することは参考になる。サウンドエンハンスメントシステムは、マルチメディアコンピュータシステムに限定されず、オーディオ信号の多くの源、ならびに、例えば、ブームボックス、ミニコンポーネントステレオシステム、テレビジョンシステム、ラジオ、および家庭または商業向けのさらに大型のスピーカを含む多くの異なるタイプのラウドスピーカとともに使用されてもよい。しかしながら、不適当なラウドスピーカを備えたマルチメディアコンピュータシステムの人気や、マルチメディアコンピュータへのソフトウェアのアップグレードとしてサウンドエンハンスメントシステムを実現する可能性によって、マルチメディアコンピュータおよび他の廉価なシステムは、本発明のいくつかの実施形態の魅力的なプラットフォームになる。
【0056】
図5は、サウンドカード510と、第1のラウドスピーカシステム512と、第2のラウドスピーカシステム514とを有する一般的なマルチメディアコンピュータシステム500を図示しているブロック図である。コンピュータシステム500は、データ記憶媒体506と、プロセッサ502と、サウンドカード510とを具備し、これらすべて入力/出力(I/O)バス508に接続されている。プログラムおよびデータを記憶するためのメインメモリ504は、一般的に、別々のメモリバスによってプロセッサ502に接続されている。サウンドカード510は、I/O制御モジュール520を備え、I/O制御モジュール520は、データバス508に接続され、データバス508と通信するのに必要な機能を提供している。サウンドカード510内では、ツーウェイデータパスはI/O制御モジュール520をデータルータ522に接続し、サウンドカードおよびI/O制御モジュール520のさまざまな内部データパスからのデータの多重化および多重分離を提供する。
【0057】
ルータ522の第1の出力は、通常、FM合成または波形テーブル合成のいずれかによってサウンドを発生させる第1の合成モジュール524にデータを提供する。第1の合成モジュール524の出力は、第1の利得制御534を通して、第1のミキサ(加算器)528に供給する。ルータ522の第2の出力は、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP)525の入力にデータを提供する。第1のDSP525の出力は、第1のデジタルアナログ変換器(DAC)526の入力に提供される。DSP525は、オプションであるので、全てのサウンドカード上で見られるわけではない。DSP525がないカードに関して、ルータ522の出力は、第1のデジタルアナログ変換器526の入力に直接的に接続されてもよい。第1のDAC526の出力は、利得制御536を通して、ミキサ528の入力に接続されている。ミキサ528の出力は、利得制御530を通して、第1の電力増幅器520に接続されている。第1の電力増幅器520の出力は、ラウドスピーカシステム512に提供される。
【0058】
ルータ522の第3の出力は、第2の合成モジュール544にデータを提供する。第2の合成モジュール544の出力は、利得制御554を通して、第2のミキサ548に供給される。ルータ522の第3の出力は、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP)545の入力にデータを提供する。第2のDSP545の出力は、第2のDAC526の入力に提供される。DSP545は、オプションであるので、提供されていない場合、ルータ522の出力は第2のDAC変換器546の入力に直接的に接続されてもよい。いくつかのサウンドカードでは、DSP525とDSP545とを組み合わせた単一のDSPが提供されてもよい。第2のDAC546の出力は、利得制御556を通して、ミキサ548の入力に接続されている。ミキサ548の出力は、利得制御550を通して、第2の電力増幅器540に接続されている。電力増幅器540の出力は、ラウドスピーカシステム514に提供される。
【0059】
サウンドカード510の内部構造は、本発明のさまざまな実施形態および特徴を実現するサウンドカードの使用をより効果的に図示するために簡略化されている。また、サウンドカードは、(示されていない)アナログデジタル変換器(ADC)に接続される入力のような付加的な能力を持っていてもよく、これによって、ユーザは、サンプリングされたデジタルデータをアナログオーディオ源から生成することができる。サウンドカード510はまた、ジョイスティックに接続するための入力/出力ポート、および、MDIポートをを持つ音楽楽器に接続するためのMDI入力/出力ポートを提供してもよい。サウンドカード510はまた、ライン入力ポートおよびライン出力ポート、ならびに、CDプレーヤおよびデジタルオーディオテープ(DAT)ドライブのようなデバイスからのオーディオ入力用の入力ポートを提供してもよい。サウンドカード510はまた、シンセサイザ524および544の動作をプログラミングするDSP能力を提供してもよい。シンセサイザ524および544は、DSP525および544を使用することによってプログラム化されてもよく、または、サウンドカード510がシンセサイザ524および544の動作をプログラミングするための他のDSP資源を提供してもよい。本発明のいくつかの実施形態は、図5に示したように、サウンドカード510によって提供されるDSPプロセッサ上で実行するソフトウェアを含んでいてもよい。代わりに、全体的なサウンドカードの機能は、パーソナルコンピュータのマザーボード上で見られるデジタル信号プロセッサのような単一のチップで実現化されてもよく、データバス、メモリバス、マルチメディアバス、ユニバーサルシリアルバス、ファイアワイヤバス、または他の入力/出力バスに直接的に接続されていてもよい。
【0060】
メモリ504にロードされ、プロセッサ502上で実行するマルチメディアプログラムは、サウンドカード510を使用して、ラウドスピーカ512および514によってサウンド(音響エネルギー)に変換されるオーディオ信号を発生させる。オーディオ信号は、シンセサイザ524と544とにコマンドを送ることによって発生されてもよい。第1のシンセサイザ524によって発生されたオーディオ信号は、利得制御段534を通して、ミキサ528に送られ、利得制御530を通り、電力増幅器520を通って、その後、ラウドスピーカ512によって音響エネルギーに変えられる。利得制御556および550と、ミキサ548と、電力増幅器540とを含む、類似した信号処理パスは、第2のシンセサイザ544によって発生されたオーディオ信号に対して提供される。
【0061】
マルチメディアプログラムはまた、DAC526および546を使用した直接的なデジタルアナログ変換によってデジタル化されたオーディオデータからオーディオ信号を発生させてもよい。デジタル化されたオーディオデータは、記憶媒体506上に、またはメインメモリ504中に記憶されてもよい。記憶媒体506は、ディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、DVD、DATドライブ等を含む、データを記憶する何らかの装置であってもよい。記憶媒体上に記憶されるデジタル化されたオーディオデータは、パルスコード変調(PCM)を含む何らかの生の形態で、または、適応パルスコード変調(ADPCM)を含む何らかの圧縮された形態で記憶されてもよい。ハードディスクまたはマイクロソフト(登録商標)ウィンドウズ(登録商標)オペレーティング環境のもとでファイルシステムを提供する他の記憶媒体(例えば、CD−ROM)上に記憶されるデジタル化されたオーディオデータは、一般的に、ファイル名、*.wavを持つ(ここで、“*”はワイルドカードのファイル名を示す)“wave”ファイルとして、当業者に知られているファイルフォーマット中に記憶される。
【0062】
図6Aは、デジタル源600からのサウンドを生成するプロセスを図示しているブロック図である。デジタル源600は、一例として、アナログデジタル変換器、DSP、コンパクトディスクプレーヤ、レーザディスクプレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、録音および予め録音されたオーディオの再生用デバイス、マルチメディアデバイス、コンピュータプログラム、波形ファイル、コンピュータゲーム、およびこれらに似するものを含む、デジタル化されたオーディオの何らかの源であってもよい。デジタルデータは、デジタル源600によってデジタルアナログ変換器602に提供され、デジタルアナログ変換器602が、出力アナログ信号にデジタルデータを変換する。変換器602は、電力増幅器、ラウドスピーカ、他の信号プロセッサ等のような他のアナログデバイスに出力アナログ信号を提供する。
【0063】
図6Bは、本発明の1つの実施形態にしたがった、サウンドエンハンスメントシステムを図示しているブロック図である。図6Bにおいて、デジタル源600からのデータは、サウンドエンハンスメントブロック601に提供され、サウンドエンハンスメントブロック601は、デジタル化されたサウンドに対して信号処理を行い、デジタル化されたサウンドを修正して、ラウドスピーカの知覚される低周波数応答を向上させる。サウンドエンハンスメントブロック601からの修正されたデジタルデータは、デジタルアナログ変換ブロック602に提供され、ここで、デジタルデータがアナログ信号に変換される。ブロック602からのアナログ信号は、ラウドスピーカ、電力増幅器、または他の信号処理デバイスのような他のアナログデバイスに提供される。ブロック601における信号処理のインプリメンテーションは、プロセッサ502のような汎用デジタルコンピュータによって、あるいは、DSP525および545のようなDSPによって提供されてもよい。
【0064】
例えば、処理は、コンピュータのメモリにロードされたソフトウェアによって、Texas Instruments Inc.によって製造される(TMS320xxシリーズのような)DSPによって、他の製造業者によって提供されるDSPによって、Chromatic Research Inc.によって供給されるMPACTマルチメディアプロセッサのようなマルチメディアプロセッサによって、あるいは、ペンティアム(登録商標)プロセッサ、ペンティアムプロプロセッサ、8051プロセッサ、MIPSプロセッサ、パワーPCプロセッサ、ALPHAプロセッサ等のようなプロセッサによって実現されてもよい。
【0065】
1つの実施形態では、信号処理ブロック601は、プロセッサ502上のソフトウェアにおいて全体的に実現される。プロセッサ502上で実行しているコンピュータプログラムによって生成されるデジタルデータ(例えば、波形ファイルからのデータ)は、ブロック601によって示した機能性を提供する別々の信号処理プログラムに提供される。別々の信号処理プログラムは、デジタルデータを修正して、修正されたデジタルデータをデジタルアナログ変換器ブロック602に提供し、デジタルアナログ変換器ブロック602はサウンドカード510の一部であってもよい。この純粋なソフトウェア実施形態は、図2に示したユーザ202のようなマルチメディアコンピュータシステム上のユーザに、低コストの方法を提供し、マルチメディアコンピュータに取り付けられたラウドスピーカの見かけ上の低周波数応答を拡張する。
【0066】
代替的なソフトウェア実施形態において、ブロック601によって示されている処理は、コンピュータに取り付けられたサウンドカードにおけるDSPによって提供される。したがって、例えば、信号処理ブロック601によって示されている処理は、図5に示したサウンドカード510におけるDSP525およびDSP545によって実現されてもよい。DSP525およびDSP545によって示されている機能性は、単一のDSPで組み合わされてもよい。本発明のソフトウェアの実施形態は、わずかのコストで実現できるので魅力的である。
【0067】
しかしながら、ハードウェア実施形態もまた、本発明の範囲内である。図7は、本発明のハードウェア実施形態のブロック図であり、サウンドエンハンスメント機能はサウンドエンハンスメントユニット704によって提供される。サウンドエンハンスメントユニット704は、信号源702からオーディオ信号を受け取る。信号源702は、図1に示した信号源102、または、図5に示したサウンドカード510を含む何らかの信号源であってもよい。サウンドエンハンスメントユニット704は、受け取ったオーディオ信号を修正して、オーディオ出力を生成させるように信号処理を実行する。オーディオ出力は、ラウドスピーカ、増幅器、または他の信号処理デバイスに提供されてもよい。
【0068】
信号処理
図8は、図7に示したサウンドエンハンスメントユニット704、図6Bに示したサウンドエンハンスメントブロック601、および、図1に示したサウンドエンハンスメントシステム104のようなさまざまな信号処理ブロックによって実行される低周波数エンハンスメント信号処理の1つの実施形態のブロック図800である。図8はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。
【0069】
図8は、2つの入力、すなわち、左チャネル入力802および右チャネル入力804を示している。図8に示した信号処理の2つのチャネルは、便宜上、標準的なステレオの左および右チャネルにしたがった左チャネルおよび右チャネルの観点から説明されるであろうが、本発明はこれに限定されず、2つより多いチャネルを持つシステムおよびチャネルがステレオの左および右チャネルに対応しないシステムを含む。
【0070】
入力802および804の双方は、2つの入力の合成である出力を生成させる加算器806に提供され、この合成は、2つの入力の線形の和である。加算器806の出力は、増幅器808に提供される。増幅器808の利得は、所望の値に調整することができる。加算器806および増幅器808はまた組み合わせて、単一の加算増幅器にして、これは2つの入力の和および利得を提供することができる。
【0071】
増幅器808の出力は、ローパスフィルタ810に提供される。ローパスフィルタ810の出力は、第1のバンドパスフィルタ812と、第2のバンドパスフィルタ813と、第3のバンドパスフィルタ814と、第4のバンドパスフィルタ815とに提供される。各バンドパスフィルタ812ないし815の出力は、それぞれ、増幅器816ないし819の入力に提供され、各バンドパスフィルタが1つの増幅器を駆動させる。増幅器816ないし819のそれぞれの出力は、加算器820に接続され加算器820は、増幅器の出力の和である出力を生成させる。
【0072】
増幅器820の出力は左チャネルの加算器824の第1の入力に提供され、増幅器820の出力は右チャネル加算器832の第1の入力に提供される。左チャネルの入力802は左チャネルの加算器824の第2の入力に提供され、右チャネルの入力804は右チャネルの加算器832の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器824および右チャネルの加算器832の出力は、それぞれ、信号処理ブロック図800の左および右チャネルの出力である。
【0073】
ローパスフィルタ810のロールオフ周波数およびレートを選択して、マルチメディアスピーカによって合理的に生成できる最低周波数より上の適切な数のミッドバスの高調波を提供する。ラウドスピーカによって適切に再生されない低周波数信号の高調波をエンファシスするために、バンドパスフィルタ812ないし815を選択して、ローパスフィルタ810によって生成される信号のスペクトルを形成する。1つの実施形態では、ローパスフィルタ810は、二次チェビシェフフィルタであり、12dB/オクターブのロールオフと200Hzのロールオフ周波数とを有している。一般的に、バンドパスフィルタは、100Hz、150Hz、200Hz、および250Hzの周波数にスタガー同調されるだろう。1つの実施形態では、バンドパスフィルタ812ないし815は、図9に示したように実現される二次チェビシェフフィルタである。
【0074】
図9は、入力902および出力918を有する2次チェビシェフフィルタの回路図である。入力902は、抵抗器R1 904の第1の端子に提供される。抵抗器R1 904の第2の端子は、抵抗器R2 906の第1の端子と、入力キャパシタ912の第1の端子と、フィードバックキャパシタ910の第1の端子とに提供される。入力キャパシタ912の第2の端子は、演算増幅器(オペアンプ)914の反転入力と抵抗器R3 908の第1の端子とに接続されている。オペアンプ914の非反転入力は、接地接続されている。オペアンプ918の出力は、フィードバックキャパシタ910の第2の端子と、フィードバック抵抗器908の第2の端子と、出力918とに接続されている。1つの実施形態では、入力キャパシタ912およびフィードバックキャパシタ910の双方とも、0.1マイクロファラドキャパシタである。
【0075】
表1は、図9に示した回路にしたがった、バンドパスフィルタ812ないし815に使用される中心周波数および回路の値をリスト表示している。図10は、バンドパスフィルタの伝達関数の一般的な形状を図示している。図10は、それぞれ、バンドパスフィルタ812ないし815に対応しているバンドパス伝達関数1002、1004、1006、および1008を示している。
【0076】
【表1】
【0077】
増幅器816、817、818、および819は、2の利得に設定される。したがって、ミキサ820の出力、さらに、信号821は、約100Hzから250Hzの範囲内でフィルタリング処理されている左および右ステレオチャネルの和を含むオーディオ信号である。この処理された信号は、それぞれ、ミキサ824および832によって、左および右ステレオチャネルのフィードフォワードパスに加えられる。信号821は、左および右の双方のチャネル情報を含むので、左および右チャネルに信号821を加算して戻すことにより、一部の左チャネルのオーディオ信号を右チャネルに伝えることになり、そしてこの逆になる。したがって、2つのチャネルをいくぶん等価する効果がある。
【0078】
図11は、サウンドエンハンスメントシステムの別の信号処理の実施形態を図示している。図11に示した実施形態は、多くの方法において図8の実施形態に類似しているが、図11の実施形態では、4つのバンドパスフィルタがゼロ交差検出器1110によってトリガされる単安定マルチバイブレータ1112によって駆動されることが異なる。図11は、2つの入力、すなわち、左チャネルの入力1103および右チャネルの入力1101を示している。図8と同様に、図11で示した信号処理の2つのチャネルは、便宜上、左チャネルおよび右チャネルの観点から説明されるであろうが、これに限定されるものではない。
【0079】
入力1103および1101の双方とも、2つの入力の合成である出力を生成させる加算器1102に提供され、この合成は2つの入力の線形合計である。加算器1102の出力は、1の利得を持つ増幅器1103に提供される。しかしながら、増幅器1103の利得は、何らかの所望の値に調整することができる。増幅器1103の出力は、約100Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1104に提供される。ローパスフィルタ1104の出力は、ピーク検出器1106と、約0.05の利得を持つ増幅器1108とに提供される。ピーク検出器1106は、0.25ミリ秒の減衰時定数を持つ。増幅器1108の出力は、ゼロ交差検出器(ZCD)1110に提供される。ZCD1110の出力は、単安定マルチバイブレータ1112のトリガ入力に提供され、単安定マルチバイブレータ1112は、ローパスフィルタ1104の出力がゼロを通過するたびにトリガされる。
【0080】
トリガされたとき、単安定マルチバイブレータ1112は、150ミリ秒のパルスを生成させる。単安定マルチバイブレータ1112の非反転された出力は、乗算器1114の第1の入力と、SPST(単極単投)電圧制御されるスイッチ1116の制御入力とに提供され、その結果、スイッチ1116は、単安定バイブレータ1112の非反転された出力が高いときいつでも閉じられる。乗算器の第2の入力は、ピーク検出器1106の出力によって提供される。乗算器1114の出力は、スイッチ1114の第1の端子に提供される。スイッチ1114の第2の端子は、第1のバンドパスフィルタ1118と、第2のバンドパスフィルタ1119と、第3のバンドパスフィルタ1120と、第4のバンドパスフィルタ1121とに提供される。各バンドパスフィルタ1118ないし1121の出力は、それぞれ、増幅器1126ないし1129の入力に提供され、各バンドパスフィルタは1つの増幅器を駆動させ、各増幅器は、実際上、2の利得を持つ。増幅器1126ないし1129のそれぞれの出力は、ミキサ1134に提供され、ミキサ1134が、増幅器1126ないし1129の増幅器の出力の和である出力を生成させる。ミキサ1134の出力は、約200Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1136の入力に提供される。ハイパスフィルタ1142および1144の双方とも、約125Hzのカットオフ周波数を持つ。
【0081】
ミキサ1134の出力は、左チャネルの加算器1140の第1の入力と、右チャネルの加算器1144の第1の入力とに提供される。左チャネルの入力1103は左チャネルの加算器1140の第2の入力に提供され、右チャネルの入力1101は右チャネルの加算器1144の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器1140の出力はハイパスフィルタ1142の入力に提供され、ハイパスフィルタ1142の出力は左チャネルの出力1150に提供される。右チャネル加算器1144の出力はハイパスフィルタ1146の入力に提供され、ハイパスフィルタ1146の出力は左チャネル1148の出力に提供される。
【0082】
図11のシステムは、ローパスフィルタ1104の出力のゼロ交差に基づいてパルスを発生させる。パルスはフィルタ1118ないし1121に提供され、これによって、フィルタに“リング”を生じさせて、主として100ないし300Hzの範囲の高調波周波数を生成する。パルスは、入力ローパスフィルタリングされた入力信号のゼロ交差によって発生されることから、フィルタ1118ないし1121によって発生される高調波は、入力波形の低周波数成分の高調波である。したがって、図11のシステムは、低周波数情報が音響エネルギーに変換された場合に、人間の耳によって発生されるものに類似した高調波成分を発生させる。発生された高調波は、加算器1140および1144によって、正規の左および右チャネルの情報と混合され、残りの低周波数信号を除去するためにハイパスフィルタリングされて、ラウドスピーカに送られる。加算された高調波は、リスナの脳によって、音響波においてより低周波数成分に対応すると解釈される。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態では、バンドパスフィルタによって駆動される増幅器(例えば、図8における増幅器816ないし819)は、自動利得制御ブロックと置換され、自動利得制御ブロックは入力オーディオ信号の低周波成分の大きさによって制御される。前記利得制御を実現するのに使用される信号処理要素を検討する前に、プロセスのさらなる理解を得るために、入力および出力オーディオ信号上の利得制御の効果を最初に検討することが有用である。この実施形態は、ミッドバス高調波(例えば、約100Hzと250との間のHzの高調波)をツーウェイでエンハンスさせる。スピーカが再生するには低すぎる周波数(例えば、100Hzより下の周波数)である入力信号におけるエネルギーの量にしたがって、この領域におけるスペクトルは、上昇したり平坦化したりするだろう。100Hzより下の周波数においてエネルギーが少ししかないときは、スペクトルは、実に少ししか変わらないだろう。100Hzより下の周波数において多くのエネルギーがあるとき、スペクトルはミッドバス領域において相当上昇したり平坦化したりするだろう。上昇したり平坦化したりすることは、音響利得制御(AGC)回路を使用して発生されるエンハンスメント係数によって実現される。ミッドバス領域を含む周波数は変化するので、ここで与えられた周波数範囲は例示的に提供されており、限定することを意図していないことに留意すべきである。
【0084】
図12Aは、大きい低周波数成分を持つ入力信号1202の存在の下、4つのスタガー同調されたバンドパスフィルタの利得の制御を使用して、エンハンスメント係数1220を発生させ、どのようにしてこの目的を達成するかを示している。周波数ドメイン中に示した例示的な入力信号1202(例えば、ベースギター上の最も低い音符)は、40Hz近くで大きいピークに達する。1202のスペクトルの振幅は、周波数が増加するにつれて次第に小さい値に減少する。4つのバンドパスの曲線1204、1206、1208、および1210を使用して、約100Hz、150Hz、200Hz、および250Hzに同調された4つのバンドパスフィルタの伝達関数を表している。(曲線1204、1206、1208、および1210のそれぞれの高さによって表されている)各バンドパスフィルタの利得は、別々のAGCによって制御されると仮定される。そして、各AGCは、100Hzより下の曲線1202(サブバス領域)の振幅によって制御される。
【0085】
入力オーディオスペクトルがサブバス領域とほぼ同じ振幅を持つ周波数範囲では、曲線1204から分かるように、AGC利得はほぼ均一である。入力オーディオスペクトルがサブバス領域よりも相当少ない振幅を持つ周波数範囲では、曲線1210から分かるように、AGC利得が増加している。エンハンスメント係数1220は、実質的に、曲線1204、1206、1208、および1210によって表されている複合伝達関数である。図12Bは、エンハンスされた係数1220を入力波形1202に適用して、エンハンスされた波形1240を生成する結果を示している。波形1202は大きいサブバス振幅を有するので、エンハンスされた波形1240は、入力波形1202と比較すると、ミッドバス領域において相当上昇したり平坦化したりする。
【0086】
図12Cおよび12Dは、図12Aおよび12Bで示したのと同じプロセスを示しており、エンハンスメント係数1270は、入力波形1252から発生される。波形1202とは異なり、波形1252は少ししか低周波数エネルギーしか有しておらず、エンハンスメント係数1270はより小さくなる。エンハンスメント係数1280が非常に小さいので、図12Dに示した出力波形1280は入力波形1252とほぼ同一である。
【0087】
図13は、AGCを使用してエンハンスメント係数を発生させる低周波数エンハンスメント信号処理システムの1つの実施形態のブロック図1300である。図13はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。図13は、2つの入力、すなわち、左チャネルの入力1302および右チャネルの入力1304を示している。先の実施形態と同様、便宜上、左および右を使用したが、これに限定されるものではない。入力1302および1304の双方とも加算器1306に提供され、加算器1306は、2つの入力の合成である出力を生成させる。
【0088】
加算器1306の出力は、1の利得を持つ増幅器1308の入力に提供される。増幅器1308の出力は、約400Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1310に提供される。ローパスフィルタ1310の出力は、ポテンショメータ1352の第1の端子と、第1のバンドパスフィルタ1312と、第2のバンドパスフィルタ1313と、第3のバンドパスフィルタ1314と、第4のバンドパスフィルタ1315とに提供される。各バンドパスフィルタ1312ないし1315の出力は、それぞれ、AGC1316ないし1319のオーディオ信号入力に提供され、その結果、各バンドパスフィルタは1つのAGCを駆動させる。AGC1316ないし1319の各出力は加算器1320に接続され、加算器1320は、増幅器の出力の和である出力を生成する。
【0089】
ポテンショメータ1352の第2の端子は接地接続され、ポテンショメータのワイパーはピーク検出器1350に接続されている。ピーク検出器1350の出力は、AGC1316ないし1319のそれぞれの制御入力に提供される。
【0090】
増幅器1320の出力は左チャネルの加算器1324の第1の入力に提供され、増幅器1320の出力は右チャネルの加算器1332の第1の入力に提供される。左チャネルの入力1302は左チャネルの加算器1334の第2の入力に提供され、右チャネルの入力1304は右チャネルの加算器1332の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器1324および右チャネルの加算器1332の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1300の左チャネルの出力1323および右チャネルの出力1333である。1つの実施形態では、バンドパスフィルタ1312ないし1315は、図9および表1に示したようなバンドパスフィルタ812ないし815に実質的に同一である。
【0091】
AGC1316(と同様に、AGC1317ないし1319)は、実質的に、内部サーボフィードバックループを備えた線形増幅器である。サーボは、出力信号の振幅を自動的に調節して、信号の振幅を制御入力と整合させる。したがって、サーボは、増幅器の信号入力ではなく、出力信号の平均振幅を決定する制御入力である。入力信号の振幅が減少された場合、サーボは、出力信号レベルを一定に維持するように、AGC1316のフォワード利得を増加させるだろう。
【0092】
図14Aは、オーディオ入力1403と、制御入力1402と、オーディオ出力1404とを含むAGC1318ないし1319の1つの実施形態のブロック図である。オーディオ入力1403は、利得制御増幅器1414の入力に提供される。増幅器1414の出力は、オーディオ出力1404と、負のピーク検出器1412とに提供される。負のピーク検出器の出力は加算器1418の第1の入力に提供され、制御入力1402は加算器1418の第2の入力に提供される。加算器1418の出力は積分器1416の入力に提供され、積分器1416の出力は増幅器1414の利得制御入力に提供される。加算器1418および積分器1416はともに、加算積分器1410を形成している。
【0093】
図14Bは、図14Aに示したAGCの回路図の1つの実施形態である。図14Bに示したように、利得制御増幅器1414は、表2にリスト表示した信号ピン2ないし8を有するNE572圧伸器1439を含む。オーディオ入力1403は、入力キャパシタ1442の第1の端子に提供される。入力キャパシタの第2の端子は、圧伸器1439のピン7に接続されている。入力キャパシタ1442は2.2mf(マイクロファラド)のキャパシタと0.01mfのキャパシタとの並列接続を含む。圧伸器1403のピン2は、10.0mfのキャパシタ1443を通して接地接続されている。圧伸器1403のピン4は、1.0mfのキャパシタ1444を通して接地接続されている。圧伸器1439のピン8は、接地されている。圧伸器1439のピン6は1.0kΩの抵抗器1445Aの第1の端子に接続されている。抵抗器1445の第2の端子は2.2mfのキャパシタ1446と、オペアンプ1447の非反転入力と、オペアンプ1452の非反転入力とに接続されている。キャパシタ1446の第2の端子は、接地されている。圧伸器1439のピン5は、オペアンプ1447の反転入力と、17.4kΩのフィードバック抵抗器1449の第1の端子と、17.4キロオームの入力抵抗器1450の第1の端子とに接続されている。オペアンプ1447の出力は、フィードバック抵抗器1449の第2の端子と、出力キャパシタ1448の第1の端子とに接続されている。オペアンプ1452の出力は、入力抵抗器1450の第2の端子に接続されている。10.0kΩのフィードバック抵抗器は、オペアンプ1452の反転入力と出力との間に接続されている。10.0kΩの入力抵抗器は、オペアンプ1452の反転入力に接地接続している。
【0094】
増幅器1414の利得制御入力は、3.0kΩの入力抵抗器1440の第1の端子に提供される。抵抗器1440の第2の端子は、2N2222のような小信号トランジスタ1441のエミッタに接続されている。トランジスタの基部は接地接続され、トランジスタ1441のコレクタは圧伸器1439のピン3に接続されている。
【0095】
負のピーク検出器1412は、オペアンプ1438およびダイオード1437を含む。負のピーク検出器1412の入力は、オペアンプ1438の非反転入力に接続されている。オペアンプ1438の出力は、ダイオード1437の陰極に接続されている。ダイオード1437の陽極は、オペアンプ1437の反転入力と、ピーク検出器1412の出力とに接続されている。図13に示したピーク検出器1350は、負のピーク検出器1412に類似した方法で構成されているが、ダイオード1437がピーク検出器1350に対して反転されていることが異なる。
【0096】
加算積分器1410の第1の入力は、100.0kΩの抵抗器1431と4.7mfのキャパシタ1432との並列接続の第1の端子に提供される。加算積分器1410の第2の入力は、100.0kΩの抵抗器1433と4.7mfのキャパシタ1434との並列接続の第1の端子に提供される。双方の並列接続の第2の端子は、オペアンプ1435の反転入力に接続されている。オペアンプ1435の非反転入力は接地され、0.33mfのフィードバックキャパシタ1436は、オペアンプ1435の反転入力とオペアンプ1435の出力との間で接続されている。オペアンプ1435の出力は、加算積分器1410の出力である。
【0097】
NE572はデュアルチャネルの高性能利得制御回路であり、この回路では、どちらのチャンネルもダイナミックレンジの圧縮または拡張に使用されてもよい。各チャネルは、入力信号の平均を検出するための全波整流器値、温度補償された線形化可変利得セル、およびダイナミック時定数のバッファを有している。バッファは、最小の外部コンポーネントおよび向上した低周波数利得制御リップル歪みによって、ダイナミックアタックおよび回復時間の独立制御を可能にする。NE572に対するピンアウトを表2にリスト表示する(ここでは、n、mはチャネルA、Bを示している)。この実施形態では、NE572は、廉価で、低ノイズで、歪みが少ない利得制御増幅器として使用される。当業者は、他の利得制御増幅器も同様に使用できることを認識するであろう。
【0098】
【表2】
【0099】
図15は、選択可能な周波数範囲を提供する低周波数のエンハンスメントシステムの1つの実施形態の信号処理システム1500の図である。図15はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行されるプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。システム1500において具体化される選択可能な周波数範囲の特徴は、先の実施形態の全てに適用可能である。しかしながら、簡略化のために、システム1500は、図13に示した信号処理システム1300の変形として示しているので、ここでは、システム1300とシステム1500との間の違いのみを説明することにする。システム1500では、システム1300におけるように、バンドパスフィルタ1315の出力は、AGC1319の入力に直接的に接続されておらず、むしろバンドパスフィルタ1315の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1562の第1の投入に提供される。スイッチ1562の極は、AGC1319の信号入力に提供される。バンドパスフィルタ1560の入力はバンドパスフィルタ1315の入力に接続されており、その結果、バンドパスフィルタ1560および1315は同じ入力信号を受け取る。バンドパスフィルタ1560の出力は、SPDTスイッチ1562の第2の投入に提供される。
【0100】
バンドパスフィルタ1560は、60Hzのような100Hzより下の周波数に同調されることが望ましい。スイッチ1562が、第1の投入に対応している第1の位置にあるとき、スイッチ1562は、バンドパスフィルタ1315を選択し、システム1300と同様にシステム1500に動作させて、100、150、200、および250Hzでバンドパスフィルタを提供する。スイッチ1562が、第2の投入に対応する第2の位置にあるとき、スイッチ1562は、バンドパスフィルタ1315を選択解除してバンドパスフィルタ1560を選択し、例えば、60、100、150、および200Hzでバンドパスフィルタを提供する。
【0101】
したがって、スイッチ1562は、エンハンスされるべき周波数範囲をユーザが選択できることが望ましい。直径3から4インチのウーファのような小型ウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、100、150、200、および250Hzに同調されるバンドパスフィルタ1312ないし1315によって提供される高い方の周波数範囲を選択するだろう。直径約5インチ、またはより大きいウーファのような、いくぶん、より大きいウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、60、100、150、および200Hzに同調されるバンドパスフィルタ1560および1312ないし1314によって提供される、より低い周波数範囲を選択するだろう。より多くのバンドパスフィルタおよびより大きい周波数範囲の選択を可能にするより多くのスイッチを提供できることを、当業者は認識するであろう。バンドパスフィルタは、廉価であり、かつ、異なるバンドパスフィルタを単投形スイッチで選択できるので、異なるバンドパスフィルタを選択し、異なる周波数範囲を提供することは、望ましい技術である。
【0102】
I.バスエンハンスメントエキスパンダ
図16Aは、サウンドシステムのブロック図であり、サウンドエンハンスメント機能がバスエンハンスメントユニット1604により提供されている。バスエンハンスメントユニット1604は、信号源1602からオーディオ信号を受け取る。信号源1602は、図1に示した信号源102、または、図5に示したサウンドカード510を含む、何らかの信号源であってもよい。バスエンハンスメントユニット1604は、受け取ったオーディオ信号を修正して、オーディオ出力信号を生成させるように信号処理を実行する。オーディオ出力信号は、ラウドスピーカ、増幅器、または他の信号処理デバイスに提供されてもよい。
【0103】
図16Bは、第1の入力1609と、第2の入力1611と、第1の出力1617と、第2の出力1619とを有する2チャネルバスエンハンスメントユニット1644のトポロジーのブロック図である。第1の入力1609および第1の出力1617は、第1のチャネルに対応している。第2の入力1611および第2の出力1619は、第2のチャネルに対応している。第1の入力1609は、合成器1610の第1の入力と信号処理ブロック1613の入力とに提供される。信号処理ブロック1613の出力は、合成器1614の第1の入力に提供される。第2の入力1611は、合成器1610の第2の入力と信号処理ブロック1615の入力とに提供される。信号処理ブロック1615の出力は、合成器1616の第1の入力に提供される。合成器1610の出力は、信号処理ブロック1612の入力に提供される。信号処理ブロック1612の出力は、合成器1614の第2の入力と合成器1616の第2の入力とに提供される。合成器1614の出力は、第1の出力1617に提供される。第2の合成器1616の出力は、第2の出力1619に提供される。
【0104】
第1および第2の入力1609および1611からの信号は、信号処理ブロック1612によって合成されて処理される。信号処理ブロック1612の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1613および1615の出力と合成されたときに、バスエンハンスされた出力1617および1619を生成する信号である。
【0105】
図16Cは、2チャネルバスエンハンスメントユニット1604の別のトポロジーのブロック図である。図16Cでは、第1の入力1609は、信号処理ブロック1621の入力と信号処理ブロック1622の入力とに提供される。信号処理ブロック1621の出力は合成器1625の第1の入力に提供され、信号処理ブロック1622の出力は合成器1625の第2の入力に提供される。第2の入力1611は、信号処理ブロック1623の入力と信号処理ブロック1624とに入力に提供される。信号処理ブロック1623の出力は合成器1626の第1の入力に提供され、信号処理ブロック1624の出力は合成器1626の第2の入力に提供される。合成器1625の出力は第1の出力1617に提供され、第2の合成器1626の出力は第2の出力1619に提供される。
【0106】
図16Bに示したトポロジーとは異なって、図16Cに示したトポロジーは2つの入力信号1609を1611と合成せず、むしろ、2つのチャネルは別々に保たれ、バスエンハンスメント処理は各チャネル上で実行される。
【0107】
図17は、図16Aに示したバスエンハンスメントシステム1604の1つの実施形態のブロック図1700である。バスエンハンスメントシステム1700は、バスパンチユニット1720を使用して、時間依存のエンハンスメント係数を発生させる。図17はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。図17は、2つの入力、すなわち、左チャネル入力1702および右チャネル入力1704を示している。先の実施形態と同様に、便宜上、左および右が使用されているが、限定として使用されるものではない。入力1702および1704の双方とも、加算器1706に提供され、2つの入力の合成である出力を生成させる。
【0108】
加算器1706の出力は、第1のバンドパスフィルタ1712と、第2のバンドパスフィルタ1713と、第3のバンドパスフィルタ1714と、第4のバンドパスフィルタ1715と、第5のバンドパスフィルタ1711とに提供される。バンドパスフィルタ1715の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1716の第1の投入に提供される。バンドパスフィルタ1711の出力は、SPDTスイッチ1716の第2の投入に提供される。スイッチ1716の極は、加算器1718の入力に提供される。各バンドパスフィルタ1712ないし1714の出力は、加算器1718の別々の入力に提供される。
【0109】
加算器1718の出力は、バスパンチユニット1720の入力に提供される。バスパンチユニット1720の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1722の第1の投入に提供される。SPDTスイッチ1722の第2の投入は、接地箇所に提供される。SPDTスイッチ1722の投入は、左チャネル加算器1724の第1の入力と、右チャネル加算器1732の第1の入力とに提供される。左チャネル入力1702は、左チャネル加算器1724の第2の入力に提供され、右チャネル入力1704は、右チャネル加算器1732の第2の入力に提供される。左チャネル加算器1724および右チャネル加算器1732の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1700の左チャネル出力1730および右チャネル出力1733である。スイッチ1722および1716はオプションであるので、固定された接続によって置換されてもよい。
【0110】
フィルタ1711ないし1715と合成器1718とによって提供されるフィルタリング動作は、図17に示したような複合フィルタ1707に結合されてもよい。例えば、代替的な実施形態では、フィルタ1711ないし1715は、約40Hzから250Hzに及ぶ通過帯域を有する単一のバンドパスフィルタに結合される。バス周波数を処理するために、複合フィルタ1707の通過帯域は、下端で約20から100Hzに及び、または、上端で約150から350Hzに及ぶことが好ましい。複合フィルタ1707も同様に、例えば、ハイパスフィルタ、シェルビングフィルタ等を含む他のフィルタの伝達関数を持っていてもよい。複合フィルタはまた、グラフィックイコライザーに類似した方法で動作し、複合フィルタの通過帯域内の他の周波数に対して、その通過帯域内のいくらかの周波数を減衰させるように構成されていてもよい。
【0111】
示したように、図17は、図16Bに示したトポロジーにほぼ対応しており、ここでは、信号処理ブロック1613および1615は1の伝達関数を持ち、信号処理ブロック1612は複合フィルタ1707とバスパンチユニット1720とを備えている。しかしながら、図17に示した信号処理は、図16Cに示したトポロジーに限定されない。図17の素子は図16Cに示したトポロジーにおいて使用されてもよく、ここでは、信号処理ブロック1621および1623は1の伝達関数を持ち、信号処理ブロック1622および1624は複合フィルタ1707とバスパンチユニット1720とを備えている。図17に示していないが、信号処理ブロック1613、1615、1621、および1623は、例えば、低バス周波数を取り除くハイパスフィルタリングや、バスパンチユニット1702によって処理された周波数を取り除くハイパスフィルタリングや、高周波数サウンドをエンハンスさせる高周波数エンファシスや、バスパンチ回路を補う付加的なミッドバス処理等のような付加的な信号処理を提供してもよく、同様に、他の組み合わせも考えられる。
【0112】
図18は、バンドパスフィルタ1711ないし1715の伝達関数の一般的な形状を示している周波数ドメインのグラフである。図18は、それぞれ、バンドパスフィルタ1711ないし1715に対応しているバンドパス伝達関数1801ないし1805を示している。伝達関数1801ないし1805は、それぞれ、50、100、150、200、250Hzの中心にあるバンドパス機能として示されている。
【0113】
1つの実施形態では、バンドパスフィルタ1711は、50Hzのような100Hzより下の周波数に同調される。スイッチ1761が第1の投入に対応する第1の位置にあるとき、スイッチ1761はバンドパスフィルタ1711を選択して、バンドパスフィルタ1715を選択解除し、50、100、150、および200Hzでバンドパスフィルタを提供する。スイッチ1716が第2の投入に対応する第2の位置にあるとき、スイッチ1716はバンドパスフィルタ1711を選択解除し、バンドパスフィルタ1715を選択し、100、150、200、および250Hzでバンドパスフィルタを提供する。
【0114】
したがって、エンハンスされるべき周波数範囲をスイッチ1716によってユーザが選択できることが好ましい。一般的に、直径が3から4インチのウーファのような小型ウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、それぞれ、100、150、200、250Hzに同調されるバンドパスフィルタ1712ないし1715によって提供される高い方の周波数範囲を選択するだろう。直径約5インチの、またはより大きいウーファのような、いくぶん、より大きいウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、50、100、150、および200Hzに同調されるバンドパスフィルタ1711ないし1714によって提供されるより低い周波数範囲を選択するだろう。より多くのバンドパスフィルタおよびより大きい周波数範囲の選択を可能にするより多くのスイッチを提供できることを、当業者は認識するであろう。バンドパスフィルタは廉価であり、かつ、異なるバンドパスフィルタを単投スイッチで選択できるので、異なるバンドパスフィルタを選択して、異なる周波数範囲を提供することは望ましい技術である。
【0115】
1つの実施形態では、バスパンチユニット1720は、内部サーボフィードバックループを備えた線形増幅器を具備する自動利得制御(AGC)を使用している。サーボは、出力信号の平均振幅を自動的に調節して、信号の平均振幅を制御入力と整合させる。制御入力の平均振幅は、一般的に、制御信号のエンベロープを検出することによって得られる。制御信号は、例えば、ローパスフィルタリング、バンドパスフィルタリング、ピーク検出、RMS平均化、平均値の平均化等を含む他の方法によって得られてもよい。
【0116】
バスパンチユニット1720の入力に提供される信号のエンベロープの振幅の増加に応答して、サーボループがバスパンチユニット1720のフォワード利得を増加させる。逆に、バスパンチユニット1720の入力に提供される信号のエンベロープの振幅の減少に応答して、サーボループはバスパンチユニット1720のフォワード利得を増加させる。1つの実施形態では、バスパンチユニット1720の利得は、利得が減少するよりも、より急速に増加する。図19は、単位ステップ入力に応答したバスパンチユニット1720の利得を図示している時間ドメインのグラフである。図19は、時間の関数としての出力信号ではなく、時間の関数としての利得のグラフであることを、当業者は認識するであろう。大部分の増幅器は、固定された利得を持っているので、利得がプロットされるのはまれである。しかしながら、バスパンチユニット1720における自動利得制御(AGC)は、入力信号のエンベロープに応答してバスパンチユニット1720の利得を変える。
【0117】
単位ステップ入力は曲線1909としてプロットされ、利得は曲線1902としてプロットされている。入力パルス1909の立ち上がりに応答して、利得は、アタック時定数に対応する期間1904中に上がる。この時間期間1904の終わりに、利得1902はA0の定常状態の利得に到達する。入力パルス1909の立ち下がりに応答して、利得は、減衰時定数1906に対応する期間1906中にゼロに戻るように下がる。
【0118】
増幅器およびラウドスピーカのようなシステムの他のコンポーネントをオーバードライブさせないで、アタック時定数1904および減衰時定数1906を選択し、バス周波数のエンハンスメントを提供することが好ましい。図20は、ベースギター、ベースドラム、シンセサイザ等のような音楽楽器によって再生される一般的な低音音符の時間ドメインのグラフ2000である。グラフ2000は、変調エンベロープ2042を有しているより低い周波数部分によって振幅変調された、より高い周波数部分2004を示している。エンベロープ2042は、アタック部分2046を有し、減衰部分2047が続き、維持部分2048が続き、最後に、リリース部分2049が続く。グラフ2000の最大振幅はピーク2050であり、これは、アタック部分2046と減衰部分2047との間の時点で生じる。
【0119】
述べたように、波形2044は、大部分でないとしても、数多くの楽器に特有なものである。例えば、ギターの弦は、引っ張られたり解放されたりしたときに、最初に、少し大きな振幅振動がして、長期間にわたってゆっくりと減衰する、ある程度の定常状態振動に落ち着くだろう。ギターの弦の最初の大きな偏移振動は、アタック部分2046と減衰部分2047とに対応している。ゆっくり減衰する振動は、維持部分2048とリリース部分2049とに対応している。ピアノの弦は、ピアノの鍵に取り付けられているハンマーにより鳴らされるときに類似した方法で動作する。
【0120】
ピアノの鍵が解放されるまで、弦を休止させるためにハンマーが戻らないので、ピアノの弦は、維持部分2048からリリース部分2049に、より顕著に移行するかもしれない。ピアノの鍵が押し下げられている間、すなわち、維持期間2048中に、弦は、比較的に少しの減衰をともなって自由に振動する。鍵が解放されたときに、フェルトで覆われたハンマーが鍵を支えるようになると、リリース期間2049中に、急速に弦の振動が減衰する。
【0121】
同様に、ドラムヘッドは、打たれたときに、アタック部分2046と減衰部分2047とに対応している最初の組の大きな偏移振動を生じさせるだろう。(減衰部分2017の終わりに対応している)大きな偏移の振動が静まった後に、ドラムヘッドは、維持部分2048とリリース部分2049とに対応している時間の期間にわたって振動し続けるであろう。多くの音楽楽器のサウンドは、単に、期間2046ないし2049の長さを制御することによって生成することができる。
【0122】
図4Cに関連して説明したように、より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音(エンベロープ)によって変調され、これにより、高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音の周波数にしたがって変化する。耳が、より高い周波数信号の低周波数エンベロープを検出するように、耳の非線形は部分的に信号を復調するので、たとえ実際の音響エネルギーがより低周波数で生成されなかったとしても、低周波数音の知覚を生じさせる。一般的に、下端の範囲上の50ないし150Hzと、上端の範囲上の200ないし500Hzとの間のミッドバス周波数範囲における信号の適切な信号処理によって、検出器効果をエンハンスさせることができる。適当な信号処理を用いることにより、低周波数の音響エネルギーを生成できないラウドスピーカを使用するときでさえも、このようなエネルギーの知覚を生成させるサウンドエンハンスメントシステムを設計することが可能である。
【0123】
ラウドスピーカによって生成される音響エネルギーに存在する実際の周波数の知覚は、一次的効果であると考えられる。実際の音響周波数に存在していない付加的な高調波が相互変調歪みまたは検出によって生成されようとなかろうと、このような高調波の知覚は、二次的効果であると考えられる。
【0124】
しかしながら、ピーク2050の振幅が大きすぎた場合、スピーカ(および、もしくは電力増幅器)はオーバードライブするだろう。ラウドスピーカがオーバードライブすることは、かなりの歪みを生じさせることになるので、ラウドスピーカを損傷させるかもしれない。
【0125】
ピーク2050のオーバードライブの影響が減少している間に、ミッドバス領域において、バスパンチユニット1720がエンハンスされた低音を提供することが望ましい。バスパンチユニット1720によって提供されるアタック時定数1904は、バスパンチユニット1720により、利得の立ち上がり時間を制限する。バスパンチユニット1720のアタック時定数は、長いアタック期間2046(遅いエンベロープ立ち上がり時間)を有する波形にほとんど影響を及ぼさないが、短いアタック期間2046(早いエンベロープ立ち上がり時間)を有する波形に比較的より多くの影響を及ぼす。
【0126】
図21−1(A)は、長いアタック期間2046を有する入力波形のエンベロープ2104に関係した、バスパンチユニット1720の利得の時間ドメインのグラフを示している。図21−1(A)では、エンベロープ2104の入力波形のみがプロットされているが、実際の波形でない(実際の波形とそのエンベロープとの間の関係は、図4Cと20とに関連して説明されている)ことを、当業者は認識するであろう。エンベロープ2104を有する入力波形がバスパンチユニット1720に提供され、バスパンチユニット1720がエンベロープ2106を有する出力波形を生成させる。参考のために、図21−1(C)は、バスパンチユニット1720の利得の時間ドメインのグラフである。バスパンチユニット1720のアタック時間と比較して、エンベロープ2104のアタック期間が長いことをさらに図示するために、図21−1(A)の時間軸を図21−1(C)の時間軸と並べている。
【0127】
バスパンチユニット1720の利得の増加は、アタック時間によって制御されるものであるが、入力エンベロープ2104のアタック部分に「追いつく」ことが可能であるので、バスパンチユニット1720は、いくらかの利得を提供する以外に、エンベロープ2104の立ち上がり時間に対して比較的少ない形状効果しかない。したがって、出力エンベロープ2106は入力エンベロープ2104に類似しているが、利得は増加している。その結果、出力エンベロープ2106に対応している実際の出力信号は、入力エンベロープ2104に対応する実際の入力信号に類似しているが、利得は増加している。
【0128】
図21−1(B)は、短いアタック期間を有する入力エンベロープ2114の時間ドメインのグラフを示している。入力エンベロープ2114は、バスパンチユニット1720に提供され、バスパンチ回路1720は出力エンベロープ2116を生成させる。バスパンチユニット1720のアタック時間と比較して、エンベロープ2104のアタック期間が短いことをさらに図示するために、図21−1(C)の時間軸を図21−1(A)および(B)の時間軸と並べている。
【0129】
バスパンチユニット1720の利得の増加は、アタック時間によって制御されるが、入力エンベロープ2114のアタック部分に「追いつく」ことが可能でないので、出力エンベロープ2116の立ち上がり時間は入力波形2114の立ち上がり時間に類似している。したがって、出力波形2116の最大振幅は、入力エンベロープ2114の最大振幅に類似している。出力エンベロープ2116は、アタック時間によって制限されているが、バスパンチユニット1720が追跡するには入力波形のアタック期間は早すぎるので、パンチユニット1720によって加えられる増加された利得を含まないことが望ましい。このことは、パンチユニット1720によって提供される増加された利得が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を最小にした。しかしながら、入力エンベロープ2116がある程度の定常状態値に到達する時間までに、維持期間2048中にパンチユニット1720の利得は入力エンベロープに追いつくので、維持期間中、出力エンベロープ2116の振幅は入力エンベロープ2114の振幅よりも大きい。
【0130】
図21−1(B)に示したように、バスパンチユニット1720の動作は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる、入力信号における過度現象およびパルスを過度に増幅させる可能性を減少させるために、長期間利得では比較的より高い利得を提供する一方で、短期間利得では比較的より低い利得を提供することが好ましい。図21−1(B)は、ラウドスピーカ(および/または電力増幅器)をオーバードライブさせることになる振幅に対応している振幅線2118を示している。アタック時間期間中に、低音1720の利得がその最大値に到達しないので、入力エンベロープ2114のピーク振幅は、線2118に類似している。
【0131】
図21−2は、バスエンハンスメント回路1700の振幅応答の周波数ドメインのグラフを示している。フィルタ1711ないし1715により提供される周波数選択は、主に、低い方の周波数fLと、高い方の周波数fHとによって制限されているパンチ周波数領域上でのバスパンチユニット1720の動作を制限する。fL より下の周波数領域は、ロールオフ領域である。ロールオフ領域では、バスエンハンスメント回路1700が、1に近い伝達関数を提供する。これは、一般的な小型ラウドスピーカが、この領域において少しの音響出力しか生成させないことから、ロールオフ領域と呼ばれる。周波数fHより上の領域は、バスエンハンスメント回路が1に近い伝達関数を提供する通過帯域領域である。
【0132】
パンチ領域では、バスエンハンスメント回路1700は、バスパンチ回路1720の時間依存利得のために、時間依存の利得を提供する。図21−2は、パンチ周波数領域における利得曲線の一群を示し、この曲線は、異なるエンベロープ立ち上がり時間を有する入力信号に対応している。比較的早いエンベロープ立ち上がり時間を有する入力信号の場合、パンチ周波数領域におけるバスエンハンスメント回路1700の利得は、ゆっくり変化する(ほぼ定常状態の)エンベロープを持つ信号の利得よりも小さい。
【0133】
図22は、バスエンハンスメント回路1700の1つの実施形態を示している回路図である。入力1702および1704は、加算器1706の第1と第2の端子とに提供される。DCブロッキングキャパシタを入力1702および1704と直列に連結させ、バスエンハンスメント回路1700の入力でDCブロックを提供してもよい。
【0134】
加算器1706の第1の端子は抵抗器2202の第1の端子に対応し、加算器1706の第2の端子は抵抗器2204の第1の端子に対応している。抵抗器2202の第2の端子および抵抗器2204の第2の端子は、オペアンプ2208の反転入力に提供される。オペアンプ2208の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプの出力は、フィードバック抵抗器2206の第1の端子に提供される。フィードバック抵抗器2206の第2の端子は、オペアンプ2208の反転入力に提供される。オペアンプ2206の出力は、加算器1706の出力に対応している。
【0135】
1つの実施形態では、DCブロッキングキャパシタは4.7μFのキャパシタであり、抵抗器2202、2204、および2206は100kΩの抵抗器である。
【0136】
フィルタ1711ないし1715は、Texas Instruments Incによって製造されるTL074オペアンプと、表3に示した抵抗器成分値とを用いている図9に示したトポロジーを使用する。
【0137】
【表3】
【0138】
バンドパスフィルタ1711の出力は、抵抗器2210の第1の端子に提供される。バンドパスフィルタ1715の出力は、抵抗器2211の第1の端子に提供される。抵抗器2210の第2の端子はSPDTスイッチ1716の第1の投入に提供され、抵抗器2211の第2の端子はスイッチ1716の第2の投入に提供される。SPDTスイッチ1716の極は、加算器1718の第1の端子に提供される。加算器1718の第1の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。
【0139】
バンドパスフィルタ1712ないし1714の出力は、それぞれ、加算器1718の第2の入力と、第3の入力と、第4の入力とに提供される。加算器1718の第1の入力は、抵抗器2210の第1の端子に対応している。加算器1718の第2の入力は、抵抗器2212の第1の端子に対応している。加算器1718の第3の入力は、抵抗器2214の第1の端子に対応している。加算器1718の第4の入力は、抵抗器2216の第1の端子に対応している。抵抗器2210、2212、2214、および2216のそれぞれの第2の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。オペアンプ2220の出力は、フィードバック抵抗器2218の第1の端子に提供される。フィードバック抵抗器2218の第2の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。オペアンプ2220の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2220の出力は、加算器1718の出力に対応している。加算器1718は、例えば、デジタル信号処理、トランジスタ等を用いて実現されてもよい。バンドパスフィルタ1711ないし1715および加算器1718はまた、バンドパスフィルタ1711ないし1715の応答を加算することによって得られる伝達関数に類似した伝達関数を持つフィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を提供することによって、組み合わされてもよい。
【0140】
1つの実施形態では、抵抗器2211、2212、2214、および2216は100kΩの抵抗器であり、抵抗器2210は69.8kΩの抵抗器である。オペアンプ2220はTL074であり、フィードバック抵抗器2218は13.0kΩの抵抗器である。加算器1718は重み付けされた和を提供し、ここで、フィルタ1712ないし1715すべての出力は約0.13の重さがあり、フィルタ1711の出力は約0.186の重さがあることを、当業者は認識するだろう。大きな低い周波数の信号によって小型スピーカをオーバードライブさせるのを防ぐために、50Hzの中心周波数を有するフィルタ1711からの周波数は、より小さな振幅で提供される。例えば、不均一の重み付け関数や、均一の重み付け関数等を含む他の重み付け関数が、同様に使用されてもよい。また、重み付け関数は、バンドパス、または重み付けされた伝達関数を持つ他のフィルタを使用し、加算器と組み合わせて実現されてもよい。
【0141】
SPDTスイッチ1722の極は、左チャネル加算器1724の第1の入力と、右チャネル加算器1732の第1の入力とに提供される。左チャネル加算器の第1の入力は、抵抗器2230の第1の端子に対応している。左チャネル加算器の第2の入力は、抵抗器2232の第1の端子に対応している。抵抗器2230の第2の端子および抵抗器2232の第2の端子は、オペアンプ2236の反転入力に提供される。オペアンプ2236の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2236の出力は、キャパシタ2238の第1の端子と、キャパシタ2240の第1の端子と、フィードバック抵抗器2234の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2234の第2の端子は、オペアンプ2236の非反転入力に提供される。キャパシタ2238の第2の端子およびキャパシタ2240の第2の端子は、出力抵抗器2242の第1の端子に提供される。出力抵抗器の第1の端子は、左チャネル出力1730に提供される。出力抵抗器2242の第2の端子は、接地箇所に提供される。
【0142】
左チャネル加算器の第1の入力は、抵抗器2250の第1の端子に対応している。右チャネル加算器の第2の入力は、抵抗器2252の第1の端子に対応している。抵抗器2250の第2の端子および抵抗器2252の第2の端子は、オペアンプ2256の反転入力に提供される。オペアンプ2256の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2256の出力は、キャパシタ2258の第1の端子と、キャパシタ2260の第1の端子と、フィードバック抵抗器2254の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2254の第2の端子は、オペアンプ2256の反転入力に提供される。キャパシタ2258の第2の端子およびキャパシタ2260の第2の端子は、出力抵抗器2262の第1の端子に提供される。出力抵抗器2262の第1の端子は、右チャネル出力1733に提供される。出力抵抗器2262の第2の端子は、接地箇所に提供される。
【0143】
1つの実施形態では、抵抗器2232、2234、2252、および2254は100kΩの抵抗器であり、抵抗器2230および2250は33.2kΩの抵抗器であり、抵抗器2242および2262は10kΩの抵抗器である。キャパシタ2238および2258は4.7μFキャパシタであり、キャパシタ2240および2260は0.01μFキャパシタである。オペアンプ2236および2256は、TL074である。加算器1724および1732は、それぞれ重み付けされた和を生成し、ここで、各加算器の第1の入力(バスパンチユニット1720によって提供される入力)には約3.01の重さがあり、各加算器の第2の入力には約1.0の重さがあることを、当業者は認識するだろう。
【0144】
バスパンチユニット1720の1つの実施形態のブロック図をブロック図2300として図23に示しており、対応する回路図を図24に示している。図23では、入力2303は、固定利得増幅器2306の第1の入力と、可変利得増幅器2305の第1の入力と、ポテンショメータ2308の第1の固定端子とに提供される。ポテンショメータ2308の第2の固定端子は接地箇所に提供され、ポテンショメータ2308のワイパー端子はエンベロープ検出器2312の入力に提供される。エンベロープ検出器2312の出力は、アタック/減衰バッファ2310に提供される。アタック/減衰バッファ2310の出力は、利得制御された増幅器2305の利得制御入力に提供される。固定利得増幅器2306の出力は、出力加算器2307の第1の入力に提供され、可変利得増幅器2305の出力は、出力加算器2307の第2の入力に提供される。出力加算器2307の出力は、バスパンチ出力2304に提供される。
【0145】
固定利得増幅器2306は、単位利得フィードフォワードパスを出力加算器2307に提供する。したがって、たとえ、利得制御された利得2308がゼロであったとしても、フィードフォワードパスはバスパンチ回路2300に1.0の最小利得を提供するだろう。ポテンショメータ2308は、入力信号の一部分を選択するための電圧分割器として接続されている。選択された部分は、エンベロープ検出器2312に提供される。エンベロープ検出器の出力は、入力信号のエンベロープに近似する信号である。エンベロープ信号はアタック/減衰バッファに提供される。エンベロープ信号が正の勾配(立ち上がり端)を持っているときに、アタック/減衰バッファは、アタック時定数によって与えられるレートで、利得制御される増幅器の利得を増加させるために信号を提供する。エンベロープ信号が負の勾配(立ち下がり端)を持っているときに、アタック/減衰バッファは、減衰時定数によって与えられるレートで、利得制御される増幅器の利得を減少させるために信号を提供する。
【0146】
ユニット2300の利得にしたがって、出力レベルが入力信号によって制御されることから、図23に示したバスパンチユニット2300はエキスパンダである。入力信号の平均振幅が増加すると、利得が増加する。逆に、平均入力信号レベルが低下すると、利得が減少する。ポテンショメータ2308が、すべての入力信号を選択してエンベロープ検出器2312に提供するように位置付けられたときに、入力信号の最大拡張が生じる。ポテンショメータ2308が、いずれの入力信号も選択されないように位置付けられた(すなわち、エンベロープ検出器2312に対する入力が接地された)ときに、最小の拡張が生じ、利得が1に落ちる。拡張の量が増加すると、低音の知覚が増加し、ラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性も増加するだろう。ポテンショメータ2308は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を必要以上に増加させないで、入力信号の十分な拡張を提供して低音の知覚をエンハンスさせるように位置付けられることが望ましい。
【0147】
図24は、バスパンチユニット2300の1つの実施形態を図示している回路図である。図24では、入力2303は、キャパシタ2442の第1の端子と、ポテンショメータ2308の第1の固定端子とに提供される。ポテンショメータ2308の第2の固定端子は接地箇所に提供され、ポテンショメータ2308のワイパー端子はキャパシタ2406の第1の端子に提供される。キャパシタ2406の第2の端子は抵抗器2408の第1の端子に提供され、抵抗器2408の第2の端子は利得制御回路2449のエンベロープ検出器入力(ピン3)に提供される。1つの実施形態において、図14および表2に関連して説明したように、利得制御回路2449はNE572である。アタックタイミングキャパシタ2443の第1の端子は利得制御回路2449のアタック制御入力(ピン4)に提供され、アタックタイミングキャパシタ2443の第2の端子は接地箇所に提供される。減衰タイミングキャパシタ2444の第1の端子は、利得制御回路2449の減衰制御入力(ピン2)に提供され、減衰タイミングキャパシタ2444の第2の端子は接地箇所に提供される。
【0148】
キャパシタ2442の第2の端子は、利得制御回路2449のVin 端子(ピン7)と、抵抗器2410の第1の端子とに提供される。抵抗器2410の第2の端子は、利得制御回路2449のVout 端子(ピン5)と、オペアンプ2447の反転入力とに提供される。オペアンプ2447の非反転入力は、接地されたキャパシタ2446の端子と、オペアンプ2452の非反転入力と、抵抗器2445の第1の端子とに提供される。抵抗器2445の第2の端子は、利得制御回路2449のTHD端子(ピン6)に提供される。
【0149】
オペアンプ2447の出力は、フィードバック抵抗器2449の第1の端子と、出力2304とに提供される。フィードバック抵抗器2449の第2の端子は、オペアンプ2447の反転入力に提供される。
【0150】
オペアンプ2452の反転入力は、接地された抵抗器2453の端子と、フィードバック抵抗器2451の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2451の第2の端子は、オペアンプ2452の出力と、抵抗器2450の第1の端子とに提供される。抵抗器2450の第2の端子は、オペアンプ2447の反転入力に提供される。
【0151】
1つの実施形態では、ポテンショメータ2308は、1.0kΩの線形ポテンショメータである。キャパシタ2442、2406、および2446は、2.2μFキャパシタである。アタックタイミングキャパシタは1.0μFキャパシタであり、減衰タイミングキャパシタ2444は10μFキャパシタである。抵抗器2408は3.1kΩの抵抗器であり、抵抗器2445は1.0kΩの抵抗器である。抵抗器2453および2451は10kΩの抵抗器であり、抵抗器2410、2449、および2450は17.4kΩの抵抗器である。
【0152】
利得制御回路2449は、エンベロープ検出器2461と、アタック/減衰バッファ2462と、利得素子2463とを備える。図23におけるブロック図のように、エンベロープ検出器2461の出力はアタック/減衰バッファ2462に提供され、アタック/減衰バッファ2462の出力は利得素子2463を制御する。アタックおよび減衰時定数は、抵抗−キャパシタ(RC)回路網によって制御される。アタック/減衰バッファ2462は、アタックRC回路網向けの内部の10kΩ抵抗器と、減衰RC回路網向けの内部の10kΩ抵抗器とを提供する。1.0μFのアタックキャパシタ2443は、約40ms(ミリ秒)のアタック時定数を生成させる。10μFの減衰キャパシタ2444は、400msの減衰時定数を生成させる。他の実施例では、アタック時定数は5msから400msの範囲に及んでもよく、減衰時定数は100msから1000msの範囲に及んでよい。
【0153】
利得素子2463は、電子的可変抵抗器に類似しており、オペアンプ2447の利得を変えるためにオペアンプ2447のフィードバック回路とともに使用される。オペアンプ2452は、DCバイアスを提供する。単位利得フィードフォワードパスは、抵抗器2410によって提供される。
【0154】
バスパンチユニット1720はまた、いくらかの低周波数サウンドの高調波をエンハンスさせることによって、ならびに、他の低周波数のサウンドの基本波をエンハンスさせることによって、オーディオ波形を修正してエンハンスさせるように実行する。いくらか低周波数サウンドの高調波をエンハンスさせることによって、バスパンチユニット1720は、ラウドスピーカから低周波数サウンドが放出されているという知覚を生じさせるために、人間の耳が低周波数サウンドの上音および高調波を処理する方法を利用する。バスパンチユニット1720は、ラウドスピーカが、多くの低周波数サウンドを、さらには、ラウドスピーカによって不十分にしか再生されない低周波数サウンドを生成しているという知覚を生じさせる。さらに、バスパンチユニット1720の動作は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる、入力信号における過渡現象およびパルスを過度に増幅させる可能性を減少させるために、長期間利得では比較的より高い利得を提供する一方で、短期間利得では比較的より低い利得を提供することが好ましい。経時的な入力信号の増加に応答して、バスパンチユニット1720の利得はアタック時定数にしたがって増加する。経時的な入力信号の減少に応答して、バスパンチユニットの利得は減衰時定数したがって減少する。アタック時定数および減衰時定数の動作は、入力信号の短期間の増加の増幅を減少させるのに役立つので、スピーカをオーバードライブさせる可能性を減少させる。
【0155】
II.ピーク圧縮によるバスパンチ
図20および21−1(B)に示したように、低音楽器(例えば、ベースギター)によって再生される音符のアタック部分は、比較的大きな振幅の初期パルスで始まることが多い。このピークは、いくつかのケースでは、増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせ、歪んだサウンドを生じさせて、ラウドスピーカまたは増幅器を損傷させる可能性がある。バスエンハンスメントプロセッサが、バス信号におけるピークの平坦化を提供する一方で、バス信号におけるエネルギーを増加させるので、全体的な低音の知覚を増加させる。
【0156】
信号におけるエネルギーは、信号の振幅および信号の持続期間の関数である。別な言い方をすると、エネルギーは、信号のエンベロープの下の面積に比例する。低音音符の初期パルスは比較的大きな振幅を持っているかもしれないが、初期パルスは、短い持続期間であるので、少しのエネルギーしか含まないことが多い。したがって、少しのエネルギーしかない初期パルスは、低音の知覚に著しく貢献しないことが多い。したがって、初期パルスは、大抵、低音の知覚にほとんど影響を及ばさずに、振幅を減少させることができる。
【0157】
図25は、バスエンハンスメントシステム2500の信号処理ブロック図であり、これは、ピーク圧縮器を使用して、初期パルスや低音音符のようなパルスの振幅を制御するバスエンハンスメントを提供する。システム2500では、ピーク圧縮器2502が合成器1718とパンチユニット1720との間に置かれている。合成器1718の出力はピーク圧縮器2502の入力に提供され、ピーク圧縮器2502の出力はバスパンチユニット1720の入力に提供される。
【0158】
図17を図16Bおよび図16Cと関連させた上記の見解は、図25に示したトポロジーにも同様に適用する。例えば、示したように、図25は、図16Bに示したトポロジーにほぼ対応し、信号処理ブロック1613および1615は1の伝達関数を有し、信号処理ブロック1612は複合フィルタ1707と、ピーク圧縮器2502と、バスパンチユニット1720とを備えている。しかしながら、図25に示した信号処理は、図16Bに示したトポロジーに限定されない。図25の素子はまた、図16Cに示したトポロジーにおいて使用されてもよい。図25には示していないが、信号処理ブロック1613、1615、1621、および1623は、例えば、低バス周波数を除去するハイパスフィルタリング、バスパンチユニット1702および圧縮器2502によって処理された周波数を除去するハイパスフィルタリング、高い周波数のサウンドをエンハンスさせる高周波数エンファシス、バスパンチ回路1720およびピーク圧縮器2502を増補させるさらなるミッドバス処理等のような、さらなる信号処理を提供してもよい。他の組み合わせも同様に考えられる。
【0159】
ピーク圧縮ユニット2502は、ピーク圧縮ユニットの入力において提供される信号のエンベロープを“平坦化”させる。大きな振幅を有する入力信号の場合、圧縮ユニット2502の見かけ上の利得は減少する。小さな振幅を有する入力信号の場合、圧縮ユニット2502の見かけ上の利得は増加する。したがって、圧縮ユニットは、入力信号のエンベロープのピークを低減させる(また、入力信号のエンベロープにおけるくぼみを埋める)。圧縮ユニット2502の入力に提供される信号にかかわらず、圧縮ユニット2502からの出力信号のエンベロープ(例えば、平均振幅)は、比較的均一な振幅を有している。
【0160】
図26は、比較的大きな振幅の初期パルスを有するエンベロープ上のピーク圧縮器の効果を示している時間ドメインのグラフである。図26は、より低い振幅信号のより長い期間が続く初期の大きな振幅のパルスを有している入力エンベロープ2614の時間ドメインのグラフを示している。出力エンベロープ2616は、(ピーク圧縮器2502のない)入力エンベロープ2614に関するバスパンチユニット1720の結果を示している。出力エンベロープ2617は、ピーク圧縮器2502およびパンチユニット1720の双方を通って入力信号2614が送られた結果を示している。
【0161】
図26に示したように、入力信号2614の振幅が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせるのに十分であると仮定すると、バスパンチユニットは、入力信号2614の最大振幅を制限しないので、出力信号2616もまた増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせるのに十分である。
【0162】
しかしながら、信号2617に関連して使用されるパルス圧縮ユニット2502は、大きな振幅パルス(の振幅を低減)圧縮する。圧縮ユニット2502は、入力信号2614の大きな振幅の偏移を検出して、出力信号2617が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせることがないように、最大振幅を圧縮(低減)させる。
【0163】
圧縮ユニット2502は信号の最大振幅を低減させるので、出力信号2617が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる確率を大きく減らさなくても、パンチユニット1720によって提供される利得を増加させることが可能である。信号2617は、バスパンチユニット1720の利得が増加している実施形態に対応している。したがって、長い減衰部分の間、信号2617は、曲線2616よりも大きな振幅を有している。
【0164】
先に説明したように、信号2614、2616、および2617におけるエネルギーは、それぞれの信号を表している曲線の下の面積に比例している。信号2617は、より多くのエネルギーを有している。その理由は、たとえ、信号2617が、より小さい最大振幅を有していたとしても、信号2617を表している曲線の下の方が、信号2614または2616のいずれよりも、より大きな面積を有しているからである。信号2617は、より多くのエネルギーを含んでいることから、リスナは、信号2617におけるより多くの低音を知覚するだろう。
【0165】
したがって、バスパンチユニット1720と併用してピーク圧縮器を使用することによって、バスエンハンスメントシステムがバス信号においてより多くのエネルギーを提供でき、そして、エンハンスされたバス信号が、増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を減少させる。
【0166】
ピーク圧縮器は、技術的に知られている。例えば、先に説明したNE572用のデータシートは、(多少複雑化された回路ではあるが)圧縮回路を開示している。
【0167】
図27は、入力2703および出力2704を有するピーク圧縮器回路2700の1つの実施形態のブロック図である。出力2704における信号は、入力2703における信号の圧縮されたバージョンである。新しい組み合わせでは、ピーク圧縮器2700が、エキスパンダを使用することによって圧縮を提供する。圧縮器2700で使用されるエキスパンダ回路は、バスパンチ回路2300に使用されるエキスパンダに類似している。
【0168】
図24に示したエキスパンダのようなエキスパンダでは、総(すなわち、拡張された)出力信号は、入力信号と拡張信号の和である。入力信号の振幅が増加すると、拡張信号の振幅は増加し、これにより、出力(2つの合計)は増加する。対比してみると、圧縮器2700の出力信号は、入力信号から拡張信号を引いたものである。入力信号がより大きくなると、拡張信号も同様に大きくなるが、2つの間の差(圧縮器出力)はより小さくなる。これが圧縮器の性質であり、入力信号がより大きくなると、圧縮器の見かけ上の利得は減少する。比較的小さな振幅を有する入力信号の場合、圧縮器は比較的大きな利得を持っている。しかし、比較的大きな振幅を有する入力信号の場合、圧縮器は比較的小さな利得を持っている。
【0169】
図27では、入力2703は、反転エキスパンダ2708の入力と、抵抗器2716の第1の端子とに提供される。反転エキスパンダ2708の出力は、抵抗器2718の第1の端子に提供される。
【0170】
抵抗器2716の第2の端子および抵抗器2718の第2の端子の双方とも、オペアンプ2720の反転入力に提供される。フィードバック抵抗器2722は、オペアンプ2720の反転入力とオペアンプ2720の出力との間に接続されている。オペアンプ2720の非反転入力は、接地箇所に提供されている。オペアンプ2720の出力は、出力2704に提供されている。
【0171】
反転エキスパンダ2708は、エキスパンダ入力に関して反転(ネゲート)されたエキスパンダ出力と、エキスパンダ入力とを有するエキスパンダである。反転増幅器を通して、エキスパンダの入力(または出力)を送ることによって、非反転エキスパンダも同様に使用されてもよい。アタックおよび減衰時定数は、バスパンチユニット1720のアタックおよび減衰時定数に類似していることが好ましい。1つの実施形態では、エキスパンダ2708は、図24に示したエキスパンダ2300を含む。
【0172】
オペアンプ2720の反転入力は、実際に、加算接合であり、(抵抗器2716を通して提供される)入力信号は、(抵抗器2718を通して提供される)拡張された信号に「加算」される。エキスパンダ2708の出力がエキスパンダの入力に対してネゲートされるので、加算接合において減算が発生する。したがって、圧縮器2700の出力は、(抵抗器2716によって重み付けされた)入力信号の重み付けされた和から(抵抗器2718によって重み付けされた)拡張された信号を減算したものである。抵抗器2716をR1と示し、抵抗器2718をR2と示すと、一般的に、R1は、R2よりも大きくなければならない。
【0173】
他の実施形態
本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は、一例として提示したにしか過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。例えば、本発明は、入力チャネルを合成して、合成されたチャネルを生成して修正し、エンハンスされた低音を生成する実施形態に限定されるものではない。チャネルの合成を必要としないので、エンハンスメント信号処理は別々の入力チャネル上で実行されてもよい。さまざまな実施形態では、バイクァッドおよびチェビチェフフィルタを使用したが、本発明はこれらのフィルタアライメントに限定されるものではない。したがって、他のフィルタアライメントもまた同様に使用されてもよい。さらに、フィルタリングは、説明したバンドパスフィルタではなく、ローパスフィルタとハイパスフィルタとを組み合わせたものを使用することによって実現されてもよい。したがって、本発明の広さおよび範囲は、特許請求の範囲、および、これらの均等物のみにしたがって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明を用いた使用に適したオーディオシステムのブロック図である。
【図2】 図2は、サウンドカードおよびラウドスピーカを有するマルチメディアコンピュータシステムのブロック図である。
【図3】 図3は、一般的な小型ラウドスピーカシステムの周波数応答のグラフである。
【図4A】 図4Aは、2つのディスクリート周波数によって表した信号の実際のスペクトルおよび知覚されたスペクトルを図示している。
【図4B】 図4Bは、周波数の連続するスペクトルによって表された信号の実際のスペクトルおよび知覚されたスペクトルを図示している。
【図4C】 図4Cは、変調された搬送波の時間波形を図示している。
【図4D】 図4Dは、検出器による検出後の図4Cの時間波形を図示している。
【図5】 図5は、サウンドカードおよびラウドスピーカを含む一般的なコンピュータシステムのブロック図である。
【図6A】 図6Aは、デジタルサウンドシステムのブロック図である。
【図6B】 図6Bは、サウンドエンハンスメント処理を用いるデジタルサウンドシステムのブロック図である。
【図7】 図7は、サウンドエンハンスメント機能が、サウンドエンハンスメントユニットによって提供される、本発明のハードウェア実施形態のブロック図である。
【図8】 図8は、入力信号のスペクトルを形成し、低周波数サウンドの知覚をエンハンスさせるのに使用される信号処理の1つの実施形態を図示している。
【図9】 図9は、本発明のいくつかの実施形態において使用されるバンドパスフィルタの回路図である。
【図10】 図10は、図8に示した信号処理図において使用されるバンドパスフィルタの伝達関数のグラフである。
【図11】 図11は、ゼロ交差検出器を使用する知覚エンハンスメントシステムの信号処理ブロック図である。
【図12A】 図12Aは、図8に示したバンドバスフィルタに接続されている多数の音響利得制御回路を使用して発生され、十分な低周波数エネルギーを有する入力信号に対応しているエンハンスメント伝達関数を図示している。
【図12B】 図12Bは、図12Aに示したエンハンスメント伝達関数によって生成され結果的に生じた合計のスペクトルを図示している。
【図12C】 図12Cは、図8に示したバンドパスフィルタに接続されている多数の音響利得制御回路を使用して発生され、ほんのわずかの低周波数エネルギーを持つ入力信号に対応しているエンハンスメント伝達関数を図示している。
【図12D】 図12Dは、図12Cに示したエンハンスメント伝達関数によって生成されて結果的に生じた合計のスペクトルを図示している。
【図13】 図13は、図12に示したエンハンスメント伝達関数を生成させるシステムの信号処理ブロック図である。
【図14A】 図14Aは、自動利得制御増幅器のブロック図である。
【図14B】 図14Bは、図14Aに示したブロック図に対応している自動利得制御増幅器の回路図である。
【図15】 図15は、選択可能な周波数応答を用いた、図12に示したようなエンハンスメント伝達関数を提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図16A】 図16Aは、バスエンハンスメント処理を用いるサウンドシステムのブロック図である。
【図16B】 図16Bは、多数のチャネルを単一のバスチャネルに合成するバスエンハンスメントプロセッサのブロック図である。
【図16C】 図16Cは、多数のチャネルを別々に処理するバスエンハンスメントプロセッサのブロック図である。
【図17】 図17は、バスエンハンスメントに選択可能な周波数応答を提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図18】 図18は、図17に示した信号処理図で使用されるバンドパスフィルタの伝達関数のグラフである。
【図19】 図19は、パンチ回路の時間振幅応答を示している時間ドメインのグラフである。
【図20】 図20は、楽器によって再生される一般的な低音音符の信号およびエンベロープ部分を示している時間ドメインのグラフであり、エンベロープは、アタック、減衰、維持、およびリリース部分を示している。
【図21−1】 図21−1(A)は、ゆっくりなアタックを伴うエンベロープ上のバスパンチ回路の効果を示している時間ドメインのグラフであり、図21−1(B)は、早いアタックによるエンベロープに関するバスパンチ回路の結果を示している時間ドメインのグラフであり、図21−1(C)は、図21−1(A)および図21−1(B)に関連したアタック時の時間ドメインのグラフである。
【図21−2】 図21−2は、図21−1および図21−2にに示したバスパンチ伝達関数を含む図17に示したバスエンハンスメントシステムの振幅応答曲線を示している周波数領域のグラフである。
【図22】 図22は、図17に示したバスエンハンスメントシステムを実現する回路図の1つの実施形態を示している。
【図23】 図23は、バスパンチ回路の1つの実施形態のブロック図である。
【図24】 図27は、図23に示したバスパンチ回路の1つのインプリメンテーションの回路図である。
【図25】 図25は、ピーク圧縮器およびバスパンチ回路を使用して、バスエンハンスメントを提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図26】 図26は、早いアタックによるエンベロープに関するピーク圧縮器の結果を示している時間ドメインのグラフである。
【図27】 図27は、ピーク圧縮器の1つの実施形態の回路図である。
【発明の名称】 低周波数オーディオエンハンスメントシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオをエンハンスさせる装置において、
第1の信号の少なくとも一部分を第2の信号の少なくとも一部分と合成し、合成された信号を生成させる第1の合成器と、
前記合成された信号の一部分を選択し、選択された信号を生成させるように構成されている第1の信号プロセッサと、
前記選択された信号のエンベロープに応答して、前記選択された信号を修正し、修正された信号を生成させるように構成されている第2の信号プロセッサと、
前記合成され修正された信号を前記第1の信号と合成し、出力信号を生成させる第2の合成器とを具備する装置。
【請求項2】
前記第2の信号プロセッサは、自動利得制御を備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2の信号プロセッサは、第1の周波数範囲内の周波数に対して、第2の周波数範囲内の周波数をエンハンスさせる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1の信号プロセッサは、複数のフィルタを備える請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1の信号プロセッサは、複数のバンドパスフィルタを備える請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記第2の信号プロセッサは、アタック時定数に関係するレートで増加する利得を持つエキスパンダを備える請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記利得は、減衰時定数に関係するレートで減少する請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記アタック時定数は、前記減衰時定数よりも、より長い請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記アタック時定数は、約5ないし50ミリ秒である請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記第2の信号プロセッサは、エキスパンダを備える請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第2の信号プロセッサは、圧縮器を備える請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記圧縮器は、エキスパンダを備える請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記圧縮器は、合成器をさらに具備し、
前記合成器は、前記エキスパンダの出力と前記エキスパンダの入力とを合成し、圧縮された信号を生成させるように構成されている請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記第2の信号プロセッサは、圧縮器とエキスパンダとを備える請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記第1の信号プロセッサは、スイッチを備え、
前記スイッチは、第1の位置および第2の位置を持ち、
前記第1の位置は、前記合成された信号の少なくとも第1の部分を選択し、前記選択された信号を生成させるように構成され、
前記第2の位置は、前記合成された信号の少なくとも第2の部分を選択し、前記選択された信号を生成させるように構成されている請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記第1の信号プロセッサは、スイッチを備え、
前記スイッチは、1つ以上のバンドパスフィルタの出力を選択し、前記選択された信号の一部分を生成させるように構成されている請求項1記載の装置。
【請求項17】
オーディオ信号における低音をエンハンスさせる方法において、
オーディオ信号を提供する動作と、
前記オーディオ信号の低周波数成分を分離させる動作と、
前記低周波数成分をフィルタリングして、フィルタリングされた信号を生成させる動作と、
利得制御された増幅器において前記フィルタリングされた信号を増幅させ、増幅された信号を生成させる動作と、
前記オーディオ信号と前記増幅された信号とを一緒に合成することによって、シミュレートされた低周波数信号を発生させる動作とを含み、
前記利得制御された増幅器の利得が、前記フィルタリングされた信号のエンベロープに関係する方法。
【請求項18】
前記フィルタリングする動作は、複数のバンドパスフィルタにおいて前記低周波数成分をフィルタリングすることを含む請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタリングする動作は、前記バンドパスフィルタのそれぞれの出力を重み付けすることをさらに含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記増幅させる動作は、前記フィルタリングされた信号を圧縮することを含む請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記増幅させる動作は、前記フィルタリングされた信号を拡張することをさらに含む請求項20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明は、一般的に、サウンド再生の臨場感を向上させるための、オーディオエンハンスメントシステムおよび方法に関する。さらに詳細に述べると、本発明は、ラウドスピーカのような、音響トランスデューサによって生成される音響エネルギーの知覚される低周波数成分をエンハンスさせるための、装置および方法に関する。
【0002】
【背景】
オーディオおよびマルチメディア産業は、再生されるサウンドの不完全性を克服するために絶えず努力してきた。例えば、低音のような低周波数サウンドを適切に再生することは困難であることが多い。低周波数サウンドの出力を向上させるためのさまざまな従来のアプローチは、より広いコーン面積、より大きい磁気、より大きいハウジング、またはより大きいコーンエクスカーション能力を備えた、より高品質のスピーカの使用を含む。さらに、従来のシステムは、ラウドスピーカの音響インピーダンスを、ラウドスピーカを取り囲んでいるフリースペースの音響インピーダンスと整合させる空胴共振器およびホーンによって低周波数サウンドを再生するように試みてきた。
【0003】
しかしながら、全てのシステムが、単に、より高価な、または、より高性能なスピーカを使用して、低周波数サウンドを再生できるとは限らない。例えば、コンパクトオーディオシステムおよびマルチメディアコンピュータシステムのような従来のサウンドシステムの中には、小型ラウドスピーカに依存しているものもある。さらに、コストを節約するために、多くのオーディオシステムは、精度の低いラウドスピーカを使用している。一般的に、このようなラウドスピーカは、低周波数サウンドを適切に生成する能力がなく、結果として、低周波数サウンドをより正確に再生するシステムほど、サウンドは、一般的に、力強いものでも楽しめるものでもない。
【0004】
従来のエンハンスメントシステムの中には、ラウドスピーカに信号を入力する前に低周波数信号を増幅させることによって、低品質の低周波数サウンドの再生を補償するように試みたものもある。低周波数信号を増幅させると、より多くの量のエネルギーをラウドスピーカに伝え、そして、ラウドスピーカをより大きい力で駆動させる。しかしながら、低周波数信号を増幅させるこのような試みは、結果的に、ラウドスピーカをオーバードライブさせることになり得る。困ったことに、ラウドスピーカをオーバードライブさせることは、バックグラウンドノイズを増加させ、気を散らす歪みを生じさせ、ラウドスピーカを損傷させ得る。
【0005】
さらに、他の従来のシステムは、低周波数の欠如を補償する試行において、望ましくないサウンドの特色を加えるような方法で、より高い周波数の再生をゆがませる。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、低周波数サウンドの知覚をエンハンスさせる独特な装置および方法を提供する。一定の低周波数サウンドを再生しないラウドスピーカにおいて、本発明は、存在しない低周波数サウンドが存在しているという錯覚を生じさせる。したがって、リスナは、ラウドスピーカが実際に正確に再生できる周波数より低い低周波数を知覚する。この錯覚効果は、人間の聴覚器官がサウンドを処理する方法を独自のやり方で利用することによって実現される。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、リスナが音楽または他のサウンドをどのように精神的に知覚するかを利用している。サウンド再生のプロセスは、ラウドスピーカによって再生される音響エネルギーにとどまらず、リスナ耳、聴神経、脳、およびの思考処理を含む。ヒアリングは、耳および聴神経器官の反応から始まる。人間の耳は、音響の振動を受け取り、これらの振動を神経インパルスに変換し、そして最終的に、サウンドの「感覚」すなわち知覚に変換する精密な変換システムと考えられている。
【0008】
人間の耳は、音響エネルギーに対する応答において非線形であることで知られている。ヒアリングメカニズムのこの非線形性は、実際のプログラム素材に存在しない付加的な上音および高調波の形態で、相互変調の歪みを生じさせる。これらの非線形効果は、特に、低周波数において顕著であり、これらの効果は、低周波数サウンドがどのように認識されるかについて顕著な効果がある。
【0009】
都合のよいことに、本発明のいくつかの実施形態では、人間の耳が低周波数サウンドの上音および高調波を処理する方法を利用して、存在しない低周波数サウンドがラウドスピーカから放出されているという知覚を生じさせる。いくつかの実施形態では、より高い周波数帯域において周波数を選択的に処理して、低周波数信号の錯覚を生じさせる。他の実施形態では、一定のより高い周波数帯域が、複数のフィルタ機能によって修正される。
【0010】
さらに、本発明のいくつかの実施形態は、音楽のような一般的なオーディオプログラム素材の低周波数のエンハンスメントを向上させるように設計されている。大部分の音楽は、高調波が豊かである。したがって、これらの実施形態は、人間の耳が低周波数サウンドを処理する方法を利用して、幅広いさまざまな音楽のタイプを修正することができる。都合のよいことに、既存のフォーマットの音楽を処理して、所望の効果を生じさせることができる。
【0011】
この新しいアプローチは、多数の重要な効果を生む。リスナは、実際に存在しない低周波数サウンドを知覚するので、大型スピーカ、より大きいコーンエクスカーション、または追加されるホーンの必要性が減少する。したがって、1つの実施形態では、小型ラウドスピーカが、より大型のスピーカの低周波数サウンドをあたかも放出しているかのように見え得る。予測できるように、この実施形態は、大型ラウドスピーカには小さすぎるサウンド環境において、低音のような低周波数オーディオの知覚を生じさせる。大型ラウドスピーカも同様に、大型ラウドスピーカがエンハンスされた低周波数サウンドを生成しているという知覚を生じさせることによって利益を得る。
【0012】
さらに、本発明の1つの実施形態によって、ハンドヘルドおよびポータブルサウンドシステムにおける小型ラウドスピーカは、低周波数サウンドの、より楽しめる知覚を生じさせることができる。したがって、リスナは、可搬性のために、低周波数サウンドの品質を犠牲にする必要はない。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、よりコストが低いスピーカが、低周波数サウンドの錯覚を生じさせる。多くの低コストのラウドスピーカは、低周波数サウンドを適切に再生できない。高価なスピーカハウジング、高性能のコンポーネント、および大型磁石によって低周波数サウンドを実際に再生するのではなく、1つの実施形態は、より高い周波数サウンドを使用して、低周波数サウンドの錯覚を生じさせる。その結果、よりコストが低いスピーカを使用して、より臨場感があって、力強いリスニング体験を生じさせることができる。
【0014】
さらに、1つの実施形態では、低周波数サウンドの錯覚は、サウンドの臨場感を増加させる向上したリスニング体験を生じさせる。したがって、多くの低コストの先行技術のシステムに存在する濁りのある、または不安定な低周波数サウンドを再生するのではなく、本発明の1つの実施形態は、より正確に、かつクリアに知覚されるサウンドを再生する。このような低コストのオーディオおよびオーディオビジュアルデバイスは、一例として、ラジオ、モバイルオーディオシステム、コンピュータゲーム、ラウドスピーカ、コンパクトディスク(CD)プレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、マルチメディア表示デバイス、コンピュータサウンドカード、およびこれに似するものを含むことができる。
【0015】
1つの実施形態において、低周波数サウンドの錯覚を生じさせるのに必要なエネルギーは、低周波数サウンドを実際に再生するよりも少ない。したがって、低周波数サウンドを単に増幅またはブーストするシステムほど多くの貴重なエネルギーを消費せずに、バッテリまたは低電力環境で動作するシステムが、低周波数サウンドの錯覚を生じさせることができる。
【0016】
本発明の他の実施形態は、特殊化された回路によって、より低い周波数信号の錯覚を生じさせる。これらの回路は、先行技術の低周波数増幅器よりも単純であるので、製造コストを減少させる。都合のよいことに、これらは、複雑な回路を付加する先行技術のサウンドエンハンスメントデバイスよりもコストが低い。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態は、開示した低周波数エンハンスメント技術を実現するマイクロプロセッサに依存している。いくつかのケースにおいて、既存のオーディオ処理コンポーネントは、本発明の1つ以上の実施形態の開示した独特な低周波数信号エンハンスメント技術を提供するために再プログラムすることができる。その結果、低周波数エンハンスメントを既存のシステムに付加するコストは、相当減少する。
【0018】
1つの実施形態では、サウンドエンハンスメント装置は、ホストシステムから1つ以上の入力信号を受け取り、そして、1つ以上のエンハンスされた出力信号を発生させる。特に、2つの入力信号は、1対のスペクトル的にエンハンスされた出力信号を提供するように、すなわち、ラウドスピーカ上で再生されてリスナによって聞き取られたときに、拡張された低音の感覚を生じさせるように処理される。1つの実施形態は、低周波数オーディオ情報は、高周波数オーディオ情報とは異なる方法で修正される。
【0019】
1つの実施形態では、サウンドエンハンスメント装置は、1つ以上の入力信号を受け取り、1つ以上のエンハンスされた出力信号を発生させる。特に、入力信号は、第1の周波数範囲および第2の周波数範囲を有する波形を含む。入力信号を処理して、エンハンスされた出力信号を提供し、スピーカ上で再生され、リスナによって聞き取られたときに、拡張された低音の感覚を生じさせる。さらに、実施形態は、第2の周波数範囲における情報とは異なる方法で、第1の周波数範囲における情報を修正することができる。いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲は、所望のラウドスピーカが再生するには低すぎるバス周波数であってもよく、第2の周波数範囲は、ラウドスピーカが再生できるミッドバス周波数であってもよい。
【0020】
1つの実施形態は、2つのチャネルに共通していないエネルギーとは異なる方法で、2つのステレオチャネルに共通するオーディオ情報を修正する。双方の入力信号に共通するオーディオ情報は、合成された信号と呼ばれる。1つの実施形態では、オーディオ情報がステレオ中に存在するという知覚を取り除かないで、高振幅の入力信号から生じるクリッピングを減少させるために、エンハンスメントシステムは、合成された信号における位相および周波数の振幅をスペクトル的に形成する。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、サウンドエンハンスメントシステムの1つの実施形態は、合成された信号を、さまざまなフィルタを用いてスペクトル的に形成し、エンハンスされた信号を生成させる。合成された信号内の選択された周波数帯域をエンハンスさせることによって、実施形態は、実際のラウドスピーカの帯域幅よりも広い、知覚されたラウドスピーカの帯域幅を提供する。
【0022】
サウンドエンハンスメント装置の1つの実施形態は、2つのステレオチャネル用のフィードフォワード信号パスと、合成された信号パス用の4つの並列フィルタを含む。4つの並列フィルタのそれぞれは、3つの直列接続されたバイクアッドフィルタからなる6次のバンドパスフィルタを含む。これらの4つのフィルタに対する伝達関数は、特に、オーディオ信号の低周波数成分のさまざまな高調波の位相および/または振幅形状を提供するために選択される。この形状は、ラウドスピーカを通して再生されたときに、オーディオ信号の知覚された帯域幅を予想外に増加する。別の実施形態では、6次フィルタは、より低次のチェビシェフフィルタに置換される。
【0023】
スペクトル形状は、合成された信号上で発生し、フィードフォワードパスにおいてステレオ情報と合成されるので、合成された信号における周波数は、双方のステレオチャネルに影響を及ぼすように変更され、一定の周波数範囲における信号の中には、1つのステレオチャネルから他のステレオチャネルと結合されるものもある。その結果、好ましい実施形態は、全体的に独特で、斬新で、予測されない方法で、エンハンスされたオーディオサウンドを生じさせることができる。
【0024】
そしてまた、サウンドエンハンスメント装置は、1つ以上の後続の信号処理段に接続されてもよい。これらの後続する段階は、向上したサウンドステージまたは空間処理を提供してもよい。出力信号は、サウンドエンハンスメント装置の動作に影響を与えない、録音デバイス、電力増幅器、ラウドスピーカ、およびそれに似するもののような他のオーディオデバイスに向けられる。
【0025】
さらに別の実施形態では、第1の組の周波数を有する入力信号から第2の組の周波数を発生させるように構成されている信号プロセッサによって、サウンドエンハンスメントは提供される。信号プロセッサは、ハードウェア、(例えば、デジタル信号プロセッサにおける)ソフトウェア、またはこの双方として実現されてもよい。第2の組の周波数は、第2の組の周波数が第1の組の周波数の高調波の少なくとも一部を含むという知覚を生じさせるために発生される。信号プロセッサは、単安定マルチバイブレータを駆動させるゼロ交差検出器を使用して、一連のパルスを提供する。パルスは、第1の組の周波数に対応している入力信号のゼロ交差によって生成される。信号プロセッサは、バンドパスフィルタの集まりに一連のパルスを伝えることによって第2の組の周波数を発生させる。
【0026】
さらに別の実施形態では、サウンドエンハンスメントは、バンドパスフィルタの集まりによって入力信号を処理するように構成されている、信号プロセッサによって提供される。選択されたバンドパスフィルタの出力を合成し、合成された信号を生成させる。合成された信号は、自動利得制御(AGC)増幅器のようなエキスパンダに入力信号として提供される。AGC増幅器は、増幅器の出力レベルを設定する制御入力を有する。制御入力は、合成された信号のエンベロープに応答して設定される。
【0027】
さらに別の実施形態では、合成された信号は、エキスパンダではなく、ピーク圧縮器に提供される。ピーク圧縮器の出力は、エキスパンダの入力に提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、入力信号は合成され、合成された信号を生成し、合成された信号は、エンハンスされて、エンハンスされた合成信号を生成する。エンハンスされた合成信号は、元の入力信号のそれぞれと合成され、出力信号を生成する。他の実施形態では、入力信号は合成されず、別々に維持される。別々の入力信号は、それぞれ別々にエンハンスされ、エンハンスされた出力信号を生成する。同じ信号処理を用いて、合成された信号または別々の入力信号をエンハンスしてもよい。
【0029】
本発明のこれらの、ならびに、他の観点、効果、および斬新な特徴は、以下の詳細な説明を読み、添付した図面を参照すると明らかになるであろう。
【0030】
【好ましい実施形態の詳細な説明】
本発明は、オーディオ信号をエンハンスさせるための方法およびシステムを提供する。サウンドエンハンスメントシステムは、独特のサウンドエンハンスメントプロセスによってサウンドの臨場感を向上させる。一般的に、サウンドエンハンスメントプロセスは、2つの入力信号、すなわち、左入力信号および右入力信号を受け取り、2つのエンハンスされた出力信号、すなわち、左出力信号および右出力信号を発生させる。
【0031】
左および右入力信号を一括して処理し、1対の左および右出力信号を提供する。特に、エンハンスされたシステムの実施形態は、サウンドの知覚される帯域幅を広げて、エンハンスさせる方法で、2つの入力信号間に存在する差を等化する。さらに、多くの実施形態は、クリッピングを減少させるために、双方の入力信号に共通するサウンドのレベルを調整する。都合のよいことに、いくつかの実施形態は、デジタル信号処理を必要とせずに、簡素化され、低コストで製造し易いアナログ回路によって、サウンドエンハンスメントを実現する。
【0032】
好ましいサウンドエンハンスメントシステムに関して、実施形態をここで説明したが、本発明は、これに限定されず、サウンドエンハンスメントシステムの異なる実施形態を異なる状況に適合させるのに望ましいさまざまな他の文脈で使用することができる。
【0033】
サウンドエンハンスメントシステムの概要
図1は、サウンドエンハンスメントシステム104を含むサウンドエンハンスメントシステム100のブロック図である。サウンドエンハンスメントシステム100は、サウンド源102と、サウンドエンハンスメントシステム104と、オプション的な信号処理システム106と、オプション的な増幅器108と、ラウドスピーカ110と、リスナ112とを備えている。サウンド源102の出力は、サウンドエンハンスメントシステム104の入力に提供される。サウンドエンハンスメントシステム104の出力は、オプション的な信号処理システム106の入力に提供される。オプション的な信号処理システム106の出力は、増幅器システム108の入力に提供される。増幅器システム108の出力は、ラウドスピーカシステム110の入力に提供される。ラウドスピーカシステム110の音響出力は、ひとり以上のリスナ112に提供される。
【0034】
信号源102は、一例として、ステレオ受信機、ラジオ、コンパクトディスクプレーヤ、ビデオカセットレコーダ(VCR)、オーディオ増幅器、シアターシステム、テレビジョン、レーザディスクプレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、録音および予め録音されたオーディオの再生用デバイス、マルチメディアデバイス、コンピュータゲーム、およびこれらに類するものを含むことができる。信号源102は、一般的に、1組のステレオ信号を発生させるが、ステレオ信号に限定されないことを理解すべきである。したがって、他の実施形態では、信号源102は、モノラルまたはマルチチャネル信号を発生させるオーディオシステムのような、幅広いさまざまなオーディオ信号を発生させることができる。
【0035】
信号源102は、1つ以上の信号(例えば、左および右ステレオチャネル)をサウンドエンハンスメントシステム104に提供する。サウンドエンハンスメントシステム104は、左および右チャネルの修正によって、低周波数オーディオ情報をエンハンスさせる。マトリックススキームを使用して、4つ以上の別々のオーディオチャネルを2つのみのオーディオ録音トラック上に記憶させるドルビー研究所のプロロジックシステムのような他の実施形態では、左および右チャネルの入力信号は、ステレオ信号である必要はなく、幅広い範囲のオーディオ信号を含むことができる。オーディオ信号はまた、別々のフォワードおよびリアオーディオチャネルを完全に伝えることができるサラウンドサウンドシステムを含むことができる。1つのこのようなシステムは、「AC−3」と呼ばれる、ドルビー研究所の5チャネルデジタルシステムである。
【0036】
1つの実施形態では、左および右チャネルの和を含むオーディオ情報は、合成された情報、または、合成された信号と呼ばれる。1つの実施形態は、1つのチャネルまたは他のチャネルにおける低周波数の高振幅信号から生じるクリッピングを減少させるために、合成された信号における周波数のスペクトル高調波を形成し、形成された合成信号の一部を左および右チャネルに戻して挿入する。
【0037】
オプション的なオーディオ処理システム106は、例えば、デコーディング、エンコーディング、等化、サラウンドサウンド処理等を含む他のオーディオ処理を提供してもよい。増幅器システム108は、1つ以上のチャネルを増幅させ、増幅された信号をラウドスピーカシステム110に提供する。ラウドスピーカシステムは、1つ以上のラウドスピーカを含む。
【0038】
図2は、本発明の実施形態を効果的に使用して、1対の小型のデスクトップコンピュータラウドスピーカ210によって生成されるオーディオ性能を向上させる、一般的なマルチメディアコンピュータシステム200を図示している。ラウドスピーカ210は、コンピュータユニット204内のプラグインカード206に接続されている。プラグインカード206は、一般的に、図5に示したサウンドカードのようなサウンドカードであっても、無線カード、テレビジョンチューナーカード、PCMCIAカード、内部モデム、プラグインデジタル信号プロセッサ(DSP)カード等を含む、オーディオ出力を生成させる何らかのコンピュータインターフェースカードであってもよい。コンピュータユーザ202は、コンピュータ204を使用して、ラウドスピーカ210によって音響波に変換されるオーディオ信号をプラグインカード206に発生させるコンピュータプログラムを実行する。
【0039】
マルチメディアコンピュータシステムによって使用されるラウドスピーカ210は、一般的に、小型で、かつ廉価であるように設計されている小型デスクトップユニットであるので、十分な音圧レベルを低周波数で生成させる能力を持たない。マルチメディアコンピュータに使用される一般的な小型ラウドスピーカシステムは、約200Hzでロールオフする音響出力応答を有するだろう。図3は、人間の耳の周波数応答にほぼ対応している曲線306を示している。図3はまた、高周波数を再生する高周波数ドライバ(ツイータ)と、ミッドレンジおよびバス周波数を再生する4インチのミッドバスドライバ(ウーファ)とを使用している、一般的な小型コンピュータラウドスピーカシステムの測定された応答308を示している。2つのドライバを使用するこのようなシステムは、ツーウェイシステムと呼ばれることが多い。2つより多いドライバを使用するラウドスピーカシステムは、技術的に知られており、本発明の実施形態とともに機能するであろう。単一のドライバを備えたラウドスピーカシステムもまた知られており、本発明とともに機能するだろう。応答308は、20Hzから20kHzの周波数を示しているX軸を有する長方形のグラフ上に示されている。この周波数帯域は、平均的なの人間の可聴範囲に対応している。図3中のY軸は、0dBから50dBの正規化された振幅応答を示している。曲線308は、約2kHzから10kHzのミッドレンジ周波数帯域において比較的に平坦であり、10kHzより上の何らかのロールオフを示している。ラウドスピーカシステムが200Hzより下で、実に少ない音響出力しか生じさせないように、線308は、約200Hzと2kHzとの間のミッドバス帯域において始まる低周波数のロールオフを示している。
【0040】
図3に示した周波数帯域の位置は、一例として用いたものであり、限定するために用いたものではない。ディープバス帯域、ミッドバス帯域、ミッドレンジ帯域の音響の実際の周波数範囲は、ラウドスピーカと、ラウドスピーカに使用されているアプリケーションとにしたがって変化する。ディープバスという用語は、一般的に、ラウドスピーカが、例えば、ミッドバス帯域におけるような、高い周波数のラウドスピーカ出力と比較して精度の低い出力を生成する帯域における周波数のことを言うために使用される。ミッドバス帯域という用語は、一般的に、ディープバス帯域より高い周波数のことを言うために使用される。ミッドレンジという用語は、一般的に、ミッドバス帯域より高い周波数のことを言うために使用される。
【0041】
多くのコーンタイプのドライバは、コーンの直径が音響サウンド波の波長よりも小さい場合に低周波数で音響エネルギーを生成するとき、非常に非効率的である。コーンの直径が波長よりも小さいとき、コーンからの音響出力の均一の音圧レベルを維持するには、周波数が低下する各オクターブ(2の倍数)に対して、コーンエクスカーションが4倍だけ増加する必要がある。ドライバに供給された電力を単にブーストすることによって低周波数応答を向上させるように試行した場合、ドライバの最大の許容可能なコーンエクスカーションに早く到達する。
【0042】
したがって、ドライバの低周波数出力は、一定の制限値を超えて増加できず、このことは、大部分の小型スピーカシステムの低周波数サウンドの品質が低いことを説明する。曲線308は、直径約4インチの低周波数ドライバを使用している大部分の小型のラウドスピーカシステムに特有なものである。より大型のドライバを備えたラウドスピーカシステムは、曲線308に示した周波数よりもいくぶん低い周波数まで、測定可能な音響出力を生成する傾向があり、より小型の低周波数ドライバを備えたシステムは、一般的に、曲線308に示した出力ほど低い出力を生成しないだろう。
【0043】
先に説明したように、最近では、システム設計者は、拡張された低周波数応答のあるラウドスピーカシステムを設計するときに、わずかな選択肢しかない。既知の解決策は、高価であり、デスクトップには大きすぎるラウドスピーカが作られていた。低周波数の問題に対する1つの一般的な解決策はサブウーファの使用であり、サブウーファは、大抵、コンピュータシステム近くのフロア上に置かれる。サブウーファは、適切な低周波数出力を提供できるが、高価であるので、廉価なデスクトップのラウドスピーカと比較して、比較的に一般的でない。
【0044】
直径の大きいコーンを備えたドライバまたはサブウーファを使用するのではなく、本発明の実施形態は、低周波数の音響エネルギーがラウドシステムによって生成されないときでさえも、人間の聴覚器官の特徴を使用して、このようなエネルギーの知覚を生じさせることによって、小型システムの低周波数の限界を克服する。
【0045】
人間の聴覚器官は、非線形であることで知られている。非線形器官は、簡単に言えば、入力が増加しても、出力は比例して増加しない器官である。したがって、例えば、耳において、音響の音圧レベルが2倍になっても、サウンド源の音量が2倍になったという知覚は生じない。実際に、人間の耳は、1次近似に対して、音響エネルギーの強度ではなく、電力に応答する二乗デバイスである。聴覚メカニズムのこの非線形は、音響波における実際の周波数の上音または高調波として聞き取られる相互変調周波数を生成する。
【0046】
人間の耳における非線形性の相互変調の結果を図4Aに示し、図4Aは、2つの純音の理想化された振幅スペクトルを図示している。図4Aにおけるスペクトル図は、第1のスペクトル線404を示しており、この第1のスペクトル線404は、ラウドスピーカドライバ(例えばサブブーファ)によって50Hzで生成される音響エネルギーに対応している。第2のスペクトル線402は、60Hzで示されている。線404および402は、ドライバによって生成される実際の音響エネルギーに対応している実際のスペクトル線であり、他の音響エネルギーは存在しないと仮定する。それにも関わらず、人間の耳は、人間の耳に固有な非線形であるために、2つの実際のスペクトル周波数の和と、2つのスペクトル周波数間の差とに対応している相互変調の積を生成するだろう。
【0047】
例えば、スペクトル線404および402によって表されている音響エネルギーを聴いている人は、スペクトル線406によって示したような50Hzで、スペクトル線406によって示したような60Hzで、スペクトル線410で示したような110Hzで音響エネルギーを知覚するだろう。スペクトル線410は、ラウドスピーカによって生成される実際の音響エネルギーに対応しておらず、正確に言うと、耳の非線形性によって耳の内部で生成されるスペクトル線に対応している。線410は、2つの実際のスペクトル線の和である110Hz(110Hz=50Hz+60Hz)の周波数で発生する。耳の非線形性は、10Hz(10Hz=60Hz−50Hz)の異なる周波数でスペクトル線を生成するが、この線は、人間の可聴範囲より下であるので知覚されないことにも留意すべきである。
【0048】
図4Aは、人間の耳の内部の相互変調のプロセスを図示しているが、音楽のような実際のプログラム素材と比較すると、いくぶん簡略化されている。音楽のような一般的なプログラム素材は、高調波において豊かであるので、大部分の音楽は、図4Bに示したように、ほとんど連続的なスペクトルを示している。図4Bは、図4Aに示したような、実際の音響エネルギーと、知覚された音響エネルギーとの間の同じタイプの比較を示しているが、図4Bにおける曲線は連続的なスペクトルで示されていることが異なる。図4Bは、実際の音響エネルギー曲線420と、対応する知覚されたスペクトル430とを示している。
【0049】
大部分の非線形のシステムと同様に、耳の非線形性は、システムが小さく偏移するときよりも大きく偏移する(例えば、大きい信号レベル)ときに、より顕著である。したがって、人間の耳の場合、より低い音量レベルでも、耳の鼓膜および他の要素が比較的大きく機械的に偏移する低周波数において、非線形性はより顕著である。したがって、図4Bは、実際の音響エネルギー420と知覚された音響エネルギー430との間の差が、低周波数範囲では最大になる傾向があり、高周波数範囲では、比較的、より小さくなることを示している。
【0050】
図4Aおよび4Bに示したように、多重音または周波数を含む低周波数の音響エネルギーは、ミッドバスレンジにおける音響エネルギーに実際に存在するよりもより多くのスペクトル成分を含むという知覚をリスナに生じさせるだろう。人間の脳は、情報が存在しないと考えられる状況に直面したとき、潜在意識レベルで存在しない情報を「穴埋めする」ように試行するだろう。この穴埋め現象は、多くの錯視の基本である。本発明の実施形態では、実際に存在しない低周波数情報のミッドバス効果を脳に提供することによって、このような低周波数情報を穴埋めして、脳を錯覚させることができる。
【0051】
言い換えると、低周波数の音響エネルギー(例えば、スペクトル線410)が存在していた場合に耳によって生成される高調波を脳に提供した場合には、存在しているに違いないと脳が考える低周波数スペクトル線406および408を、適切な条件の下、脳が潜在意識的に穴埋めすることになる。この穴埋めプロセスは、検出器効果として知られている人間の耳の非線形性の別の効果によって増補される。
【0052】
人間の耳の非線形性によって、耳は、振幅変調(AM)受信機におけるダイオード検出器に類似した検出器と同様に機能する。ミッドバス高調波音がディープバス音によってAM変調された場合、耳は、変調されたミッドバス搬送波を復調して、ディープバスのエンベロープを再生するだろう。図4Cおよび4Dは、変調されて復調された信号をグラフによって示している。図4Cは、ディープバス信号によって変調された、より高い周波数搬送波信号(例えば、ミッドバス搬送波)を含む変調された信号を、時間軸上で示している。
【0053】
より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音によって変調されるので、より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音の周波数にしたがって変化する。より高い周波数信号の低周波数エンベロープを耳が検出するように、耳の非線形性は、信号を部分的に復調するのでので、実際の音響エネルギーがより低い周波数で生成されても、低周波数音の知覚を生じさせるだろう。上記で説明した相互変調効果と同様に、一般的に、下端の範囲上の100ないし200Hzのと、上端の範囲上の500Hzとの間であるミッドバス周波数範囲における信号の適切な信号処理によって、検出器の効果をエンハンスさせることができる。適切な信号処理を用いることによって、低周波数の音響エネルギーを生成できなくても、すなわち、能力が不十分であるスピーカを使用するときでさえも、このようなエネルギーの知覚を生じさせるサウンドエンハンスメントシステムを設計することが可能である。
【0054】
ラウドスピーカによって生成される音響エネルギーに存在する実際の周波数の知覚は、1次効果であると考えられる。実際の音響周波数内に存在しない高調波が、相互変調歪みまたは検出によって生成されてもされなくても、このような付加的な高調波の知覚は2次効果であると考えられる。
【0055】
サウンドエンハンスメントシステムにおいて使用される実際の信号処理の詳細を説明する前に、システムのいくつかのインプリメンテーションを検討することは参考になる。サウンドエンハンスメントシステムは、マルチメディアコンピュータシステムに限定されず、オーディオ信号の多くの源、ならびに、例えば、ブームボックス、ミニコンポーネントステレオシステム、テレビジョンシステム、ラジオ、および家庭または商業向けのさらに大型のスピーカを含む多くの異なるタイプのラウドスピーカとともに使用されてもよい。しかしながら、不適当なラウドスピーカを備えたマルチメディアコンピュータシステムの人気や、マルチメディアコンピュータへのソフトウェアのアップグレードとしてサウンドエンハンスメントシステムを実現する可能性によって、マルチメディアコンピュータおよび他の廉価なシステムは、本発明のいくつかの実施形態の魅力的なプラットフォームになる。
【0056】
図5は、サウンドカード510と、第1のラウドスピーカシステム512と、第2のラウドスピーカシステム514とを有する一般的なマルチメディアコンピュータシステム500を図示しているブロック図である。コンピュータシステム500は、データ記憶媒体506と、プロセッサ502と、サウンドカード510とを具備し、これらすべて入力/出力(I/O)バス508に接続されている。プログラムおよびデータを記憶するためのメインメモリ504は、一般的に、別々のメモリバスによってプロセッサ502に接続されている。サウンドカード510は、I/O制御モジュール520を備え、I/O制御モジュール520は、データバス508に接続され、データバス508と通信するのに必要な機能を提供している。サウンドカード510内では、ツーウェイデータパスはI/O制御モジュール520をデータルータ522に接続し、サウンドカードおよびI/O制御モジュール520のさまざまな内部データパスからのデータの多重化および多重分離を提供する。
【0057】
ルータ522の第1の出力は、通常、FM合成または波形テーブル合成のいずれかによってサウンドを発生させる第1の合成モジュール524にデータを提供する。第1の合成モジュール524の出力は、第1の利得制御534を通して、第1のミキサ(加算器)528に供給する。ルータ522の第2の出力は、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP)525の入力にデータを提供する。第1のDSP525の出力は、第1のデジタルアナログ変換器(DAC)526の入力に提供される。DSP525は、オプションであるので、全てのサウンドカード上で見られるわけではない。DSP525がないカードに関して、ルータ522の出力は、第1のデジタルアナログ変換器526の入力に直接的に接続されてもよい。第1のDAC526の出力は、利得制御536を通して、ミキサ528の入力に接続されている。ミキサ528の出力は、利得制御530を通して、第1の電力増幅器520に接続されている。第1の電力増幅器520の出力は、ラウドスピーカシステム512に提供される。
【0058】
ルータ522の第3の出力は、第2の合成モジュール544にデータを提供する。第2の合成モジュール544の出力は、利得制御554を通して、第2のミキサ548に供給される。ルータ522の第3の出力は、第2のデジタル信号プロセッサ(DSP)545の入力にデータを提供する。第2のDSP545の出力は、第2のDAC526の入力に提供される。DSP545は、オプションであるので、提供されていない場合、ルータ522の出力は第2のDAC変換器546の入力に直接的に接続されてもよい。いくつかのサウンドカードでは、DSP525とDSP545とを組み合わせた単一のDSPが提供されてもよい。第2のDAC546の出力は、利得制御556を通して、ミキサ548の入力に接続されている。ミキサ548の出力は、利得制御550を通して、第2の電力増幅器540に接続されている。電力増幅器540の出力は、ラウドスピーカシステム514に提供される。
【0059】
サウンドカード510の内部構造は、本発明のさまざまな実施形態および特徴を実現するサウンドカードの使用をより効果的に図示するために簡略化されている。また、サウンドカードは、(示されていない)アナログデジタル変換器(ADC)に接続される入力のような付加的な能力を持っていてもよく、これによって、ユーザは、サンプリングされたデジタルデータをアナログオーディオ源から生成することができる。サウンドカード510はまた、ジョイスティックに接続するための入力/出力ポート、および、MDIポートをを持つ音楽楽器に接続するためのMDI入力/出力ポートを提供してもよい。サウンドカード510はまた、ライン入力ポートおよびライン出力ポート、ならびに、CDプレーヤおよびデジタルオーディオテープ(DAT)ドライブのようなデバイスからのオーディオ入力用の入力ポートを提供してもよい。サウンドカード510はまた、シンセサイザ524および544の動作をプログラミングするDSP能力を提供してもよい。シンセサイザ524および544は、DSP525および544を使用することによってプログラム化されてもよく、または、サウンドカード510がシンセサイザ524および544の動作をプログラミングするための他のDSP資源を提供してもよい。本発明のいくつかの実施形態は、図5に示したように、サウンドカード510によって提供されるDSPプロセッサ上で実行するソフトウェアを含んでいてもよい。代わりに、全体的なサウンドカードの機能は、パーソナルコンピュータのマザーボード上で見られるデジタル信号プロセッサのような単一のチップで実現化されてもよく、データバス、メモリバス、マルチメディアバス、ユニバーサルシリアルバス、ファイアワイヤバス、または他の入力/出力バスに直接的に接続されていてもよい。
【0060】
メモリ504にロードされ、プロセッサ502上で実行するマルチメディアプログラムは、サウンドカード510を使用して、ラウドスピーカ512および514によってサウンド(音響エネルギー)に変換されるオーディオ信号を発生させる。オーディオ信号は、シンセサイザ524と544とにコマンドを送ることによって発生されてもよい。第1のシンセサイザ524によって発生されたオーディオ信号は、利得制御段534を通して、ミキサ528に送られ、利得制御530を通り、電力増幅器520を通って、その後、ラウドスピーカ512によって音響エネルギーに変えられる。利得制御556および550と、ミキサ548と、電力増幅器540とを含む、類似した信号処理パスは、第2のシンセサイザ544によって発生されたオーディオ信号に対して提供される。
【0061】
マルチメディアプログラムはまた、DAC526および546を使用した直接的なデジタルアナログ変換によってデジタル化されたオーディオデータからオーディオ信号を発生させてもよい。デジタル化されたオーディオデータは、記憶媒体506上に、またはメインメモリ504中に記憶されてもよい。記憶媒体506は、ディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、DVD、DATドライブ等を含む、データを記憶する何らかの装置であってもよい。記憶媒体上に記憶されるデジタル化されたオーディオデータは、パルスコード変調(PCM)を含む何らかの生の形態で、または、適応パルスコード変調(ADPCM)を含む何らかの圧縮された形態で記憶されてもよい。ハードディスクまたはマイクロソフト(登録商標)ウィンドウズ(登録商標)オペレーティング環境のもとでファイルシステムを提供する他の記憶媒体(例えば、CD−ROM)上に記憶されるデジタル化されたオーディオデータは、一般的に、ファイル名、*.wavを持つ(ここで、“*”はワイルドカードのファイル名を示す)“wave”ファイルとして、当業者に知られているファイルフォーマット中に記憶される。
【0062】
図6Aは、デジタル源600からのサウンドを生成するプロセスを図示しているブロック図である。デジタル源600は、一例として、アナログデジタル変換器、DSP、コンパクトディスクプレーヤ、レーザディスクプレーヤ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤ、録音および予め録音されたオーディオの再生用デバイス、マルチメディアデバイス、コンピュータプログラム、波形ファイル、コンピュータゲーム、およびこれらに似するものを含む、デジタル化されたオーディオの何らかの源であってもよい。デジタルデータは、デジタル源600によってデジタルアナログ変換器602に提供され、デジタルアナログ変換器602が、出力アナログ信号にデジタルデータを変換する。変換器602は、電力増幅器、ラウドスピーカ、他の信号プロセッサ等のような他のアナログデバイスに出力アナログ信号を提供する。
【0063】
図6Bは、本発明の1つの実施形態にしたがった、サウンドエンハンスメントシステムを図示しているブロック図である。図6Bにおいて、デジタル源600からのデータは、サウンドエンハンスメントブロック601に提供され、サウンドエンハンスメントブロック601は、デジタル化されたサウンドに対して信号処理を行い、デジタル化されたサウンドを修正して、ラウドスピーカの知覚される低周波数応答を向上させる。サウンドエンハンスメントブロック601からの修正されたデジタルデータは、デジタルアナログ変換ブロック602に提供され、ここで、デジタルデータがアナログ信号に変換される。ブロック602からのアナログ信号は、ラウドスピーカ、電力増幅器、または他の信号処理デバイスのような他のアナログデバイスに提供される。ブロック601における信号処理のインプリメンテーションは、プロセッサ502のような汎用デジタルコンピュータによって、あるいは、DSP525および545のようなDSPによって提供されてもよい。
【0064】
例えば、処理は、コンピュータのメモリにロードされたソフトウェアによって、Texas Instruments Inc.によって製造される(TMS320xxシリーズのような)DSPによって、他の製造業者によって提供されるDSPによって、Chromatic Research Inc.によって供給されるMPACTマルチメディアプロセッサのようなマルチメディアプロセッサによって、あるいは、ペンティアム(登録商標)プロセッサ、ペンティアムプロプロセッサ、8051プロセッサ、MIPSプロセッサ、パワーPCプロセッサ、ALPHAプロセッサ等のようなプロセッサによって実現されてもよい。
【0065】
1つの実施形態では、信号処理ブロック601は、プロセッサ502上のソフトウェアにおいて全体的に実現される。プロセッサ502上で実行しているコンピュータプログラムによって生成されるデジタルデータ(例えば、波形ファイルからのデータ)は、ブロック601によって示した機能性を提供する別々の信号処理プログラムに提供される。別々の信号処理プログラムは、デジタルデータを修正して、修正されたデジタルデータをデジタルアナログ変換器ブロック602に提供し、デジタルアナログ変換器ブロック602はサウンドカード510の一部であってもよい。この純粋なソフトウェア実施形態は、図2に示したユーザ202のようなマルチメディアコンピュータシステム上のユーザに、低コストの方法を提供し、マルチメディアコンピュータに取り付けられたラウドスピーカの見かけ上の低周波数応答を拡張する。
【0066】
代替的なソフトウェア実施形態において、ブロック601によって示されている処理は、コンピュータに取り付けられたサウンドカードにおけるDSPによって提供される。したがって、例えば、信号処理ブロック601によって示されている処理は、図5に示したサウンドカード510におけるDSP525およびDSP545によって実現されてもよい。DSP525およびDSP545によって示されている機能性は、単一のDSPで組み合わされてもよい。本発明のソフトウェアの実施形態は、わずかのコストで実現できるので魅力的である。
【0067】
しかしながら、ハードウェア実施形態もまた、本発明の範囲内である。図7は、本発明のハードウェア実施形態のブロック図であり、サウンドエンハンスメント機能はサウンドエンハンスメントユニット704によって提供される。サウンドエンハンスメントユニット704は、信号源702からオーディオ信号を受け取る。信号源702は、図1に示した信号源102、または、図5に示したサウンドカード510を含む何らかの信号源であってもよい。サウンドエンハンスメントユニット704は、受け取ったオーディオ信号を修正して、オーディオ出力を生成させるように信号処理を実行する。オーディオ出力は、ラウドスピーカ、増幅器、または他の信号処理デバイスに提供されてもよい。
【0068】
信号処理
図8は、図7に示したサウンドエンハンスメントユニット704、図6Bに示したサウンドエンハンスメントブロック601、および、図1に示したサウンドエンハンスメントシステム104のようなさまざまな信号処理ブロックによって実行される低周波数エンハンスメント信号処理の1つの実施形態のブロック図800である。図8はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。
【0069】
図8は、2つの入力、すなわち、左チャネル入力802および右チャネル入力804を示している。図8に示した信号処理の2つのチャネルは、便宜上、標準的なステレオの左および右チャネルにしたがった左チャネルおよび右チャネルの観点から説明されるであろうが、本発明はこれに限定されず、2つより多いチャネルを持つシステムおよびチャネルがステレオの左および右チャネルに対応しないシステムを含む。
【0070】
入力802および804の双方は、2つの入力の合成である出力を生成させる加算器806に提供され、この合成は、2つの入力の線形の和である。加算器806の出力は、増幅器808に提供される。増幅器808の利得は、所望の値に調整することができる。加算器806および増幅器808はまた組み合わせて、単一の加算増幅器にして、これは2つの入力の和および利得を提供することができる。
【0071】
増幅器808の出力は、ローパスフィルタ810に提供される。ローパスフィルタ810の出力は、第1のバンドパスフィルタ812と、第2のバンドパスフィルタ813と、第3のバンドパスフィルタ814と、第4のバンドパスフィルタ815とに提供される。各バンドパスフィルタ812ないし815の出力は、それぞれ、増幅器816ないし819の入力に提供され、各バンドパスフィルタが1つの増幅器を駆動させる。増幅器816ないし819のそれぞれの出力は、加算器820に接続され加算器820は、増幅器の出力の和である出力を生成させる。
【0072】
増幅器820の出力は左チャネルの加算器824の第1の入力に提供され、増幅器820の出力は右チャネル加算器832の第1の入力に提供される。左チャネルの入力802は左チャネルの加算器824の第2の入力に提供され、右チャネルの入力804は右チャネルの加算器832の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器824および右チャネルの加算器832の出力は、それぞれ、信号処理ブロック図800の左および右チャネルの出力である。
【0073】
ローパスフィルタ810のロールオフ周波数およびレートを選択して、マルチメディアスピーカによって合理的に生成できる最低周波数より上の適切な数のミッドバスの高調波を提供する。ラウドスピーカによって適切に再生されない低周波数信号の高調波をエンファシスするために、バンドパスフィルタ812ないし815を選択して、ローパスフィルタ810によって生成される信号のスペクトルを形成する。1つの実施形態では、ローパスフィルタ810は、二次チェビシェフフィルタであり、12dB/オクターブのロールオフと200Hzのロールオフ周波数とを有している。一般的に、バンドパスフィルタは、100Hz、150Hz、200Hz、および250Hzの周波数にスタガー同調されるだろう。1つの実施形態では、バンドパスフィルタ812ないし815は、図9に示したように実現される二次チェビシェフフィルタである。
【0074】
図9は、入力902および出力918を有する2次チェビシェフフィルタの回路図である。入力902は、抵抗器R1 904の第1の端子に提供される。抵抗器R1 904の第2の端子は、抵抗器R2 906の第1の端子と、入力キャパシタ912の第1の端子と、フィードバックキャパシタ910の第1の端子とに提供される。入力キャパシタ912の第2の端子は、演算増幅器(オペアンプ)914の反転入力と抵抗器R3 908の第1の端子とに接続されている。オペアンプ914の非反転入力は、接地接続されている。オペアンプ918の出力は、フィードバックキャパシタ910の第2の端子と、フィードバック抵抗器908の第2の端子と、出力918とに接続されている。1つの実施形態では、入力キャパシタ912およびフィードバックキャパシタ910の双方とも、0.1マイクロファラドキャパシタである。
【0075】
表1は、図9に示した回路にしたがった、バンドパスフィルタ812ないし815に使用される中心周波数および回路の値をリスト表示している。図10は、バンドパスフィルタの伝達関数の一般的な形状を図示している。図10は、それぞれ、バンドパスフィルタ812ないし815に対応しているバンドパス伝達関数1002、1004、1006、および1008を示している。
【0076】
【表1】
【0077】
増幅器816、817、818、および819は、2の利得に設定される。したがって、ミキサ820の出力、さらに、信号821は、約100Hzから250Hzの範囲内でフィルタリング処理されている左および右ステレオチャネルの和を含むオーディオ信号である。この処理された信号は、それぞれ、ミキサ824および832によって、左および右ステレオチャネルのフィードフォワードパスに加えられる。信号821は、左および右の双方のチャネル情報を含むので、左および右チャネルに信号821を加算して戻すことにより、一部の左チャネルのオーディオ信号を右チャネルに伝えることになり、そしてこの逆になる。したがって、2つのチャネルをいくぶん等価する効果がある。
【0078】
図11は、サウンドエンハンスメントシステムの別の信号処理の実施形態を図示している。図11に示した実施形態は、多くの方法において図8の実施形態に類似しているが、図11の実施形態では、4つのバンドパスフィルタがゼロ交差検出器1110によってトリガされる単安定マルチバイブレータ1112によって駆動されることが異なる。図11は、2つの入力、すなわち、左チャネルの入力1103および右チャネルの入力1101を示している。図8と同様に、図11で示した信号処理の2つのチャネルは、便宜上、左チャネルおよび右チャネルの観点から説明されるであろうが、これに限定されるものではない。
【0079】
入力1103および1101の双方とも、2つの入力の合成である出力を生成させる加算器1102に提供され、この合成は2つの入力の線形合計である。加算器1102の出力は、1の利得を持つ増幅器1103に提供される。しかしながら、増幅器1103の利得は、何らかの所望の値に調整することができる。増幅器1103の出力は、約100Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1104に提供される。ローパスフィルタ1104の出力は、ピーク検出器1106と、約0.05の利得を持つ増幅器1108とに提供される。ピーク検出器1106は、0.25ミリ秒の減衰時定数を持つ。増幅器1108の出力は、ゼロ交差検出器(ZCD)1110に提供される。ZCD1110の出力は、単安定マルチバイブレータ1112のトリガ入力に提供され、単安定マルチバイブレータ1112は、ローパスフィルタ1104の出力がゼロを通過するたびにトリガされる。
【0080】
トリガされたとき、単安定マルチバイブレータ1112は、150ミリ秒のパルスを生成させる。単安定マルチバイブレータ1112の非反転された出力は、乗算器1114の第1の入力と、SPST(単極単投)電圧制御されるスイッチ1116の制御入力とに提供され、その結果、スイッチ1116は、単安定バイブレータ1112の非反転された出力が高いときいつでも閉じられる。乗算器の第2の入力は、ピーク検出器1106の出力によって提供される。乗算器1114の出力は、スイッチ1114の第1の端子に提供される。スイッチ1114の第2の端子は、第1のバンドパスフィルタ1118と、第2のバンドパスフィルタ1119と、第3のバンドパスフィルタ1120と、第4のバンドパスフィルタ1121とに提供される。各バンドパスフィルタ1118ないし1121の出力は、それぞれ、増幅器1126ないし1129の入力に提供され、各バンドパスフィルタは1つの増幅器を駆動させ、各増幅器は、実際上、2の利得を持つ。増幅器1126ないし1129のそれぞれの出力は、ミキサ1134に提供され、ミキサ1134が、増幅器1126ないし1129の増幅器の出力の和である出力を生成させる。ミキサ1134の出力は、約200Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1136の入力に提供される。ハイパスフィルタ1142および1144の双方とも、約125Hzのカットオフ周波数を持つ。
【0081】
ミキサ1134の出力は、左チャネルの加算器1140の第1の入力と、右チャネルの加算器1144の第1の入力とに提供される。左チャネルの入力1103は左チャネルの加算器1140の第2の入力に提供され、右チャネルの入力1101は右チャネルの加算器1144の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器1140の出力はハイパスフィルタ1142の入力に提供され、ハイパスフィルタ1142の出力は左チャネルの出力1150に提供される。右チャネル加算器1144の出力はハイパスフィルタ1146の入力に提供され、ハイパスフィルタ1146の出力は左チャネル1148の出力に提供される。
【0082】
図11のシステムは、ローパスフィルタ1104の出力のゼロ交差に基づいてパルスを発生させる。パルスはフィルタ1118ないし1121に提供され、これによって、フィルタに“リング”を生じさせて、主として100ないし300Hzの範囲の高調波周波数を生成する。パルスは、入力ローパスフィルタリングされた入力信号のゼロ交差によって発生されることから、フィルタ1118ないし1121によって発生される高調波は、入力波形の低周波数成分の高調波である。したがって、図11のシステムは、低周波数情報が音響エネルギーに変換された場合に、人間の耳によって発生されるものに類似した高調波成分を発生させる。発生された高調波は、加算器1140および1144によって、正規の左および右チャネルの情報と混合され、残りの低周波数信号を除去するためにハイパスフィルタリングされて、ラウドスピーカに送られる。加算された高調波は、リスナの脳によって、音響波においてより低周波数成分に対応すると解釈される。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態では、バンドパスフィルタによって駆動される増幅器(例えば、図8における増幅器816ないし819)は、自動利得制御ブロックと置換され、自動利得制御ブロックは入力オーディオ信号の低周波成分の大きさによって制御される。前記利得制御を実現するのに使用される信号処理要素を検討する前に、プロセスのさらなる理解を得るために、入力および出力オーディオ信号上の利得制御の効果を最初に検討することが有用である。この実施形態は、ミッドバス高調波(例えば、約100Hzと250との間のHzの高調波)をツーウェイでエンハンスさせる。スピーカが再生するには低すぎる周波数(例えば、100Hzより下の周波数)である入力信号におけるエネルギーの量にしたがって、この領域におけるスペクトルは、上昇したり平坦化したりするだろう。100Hzより下の周波数においてエネルギーが少ししかないときは、スペクトルは、実に少ししか変わらないだろう。100Hzより下の周波数において多くのエネルギーがあるとき、スペクトルはミッドバス領域において相当上昇したり平坦化したりするだろう。上昇したり平坦化したりすることは、音響利得制御(AGC)回路を使用して発生されるエンハンスメント係数によって実現される。ミッドバス領域を含む周波数は変化するので、ここで与えられた周波数範囲は例示的に提供されており、限定することを意図していないことに留意すべきである。
【0084】
図12Aは、大きい低周波数成分を持つ入力信号1202の存在の下、4つのスタガー同調されたバンドパスフィルタの利得の制御を使用して、エンハンスメント係数1220を発生させ、どのようにしてこの目的を達成するかを示している。周波数ドメイン中に示した例示的な入力信号1202(例えば、ベースギター上の最も低い音符)は、40Hz近くで大きいピークに達する。1202のスペクトルの振幅は、周波数が増加するにつれて次第に小さい値に減少する。4つのバンドパスの曲線1204、1206、1208、および1210を使用して、約100Hz、150Hz、200Hz、および250Hzに同調された4つのバンドパスフィルタの伝達関数を表している。(曲線1204、1206、1208、および1210のそれぞれの高さによって表されている)各バンドパスフィルタの利得は、別々のAGCによって制御されると仮定される。そして、各AGCは、100Hzより下の曲線1202(サブバス領域)の振幅によって制御される。
【0085】
入力オーディオスペクトルがサブバス領域とほぼ同じ振幅を持つ周波数範囲では、曲線1204から分かるように、AGC利得はほぼ均一である。入力オーディオスペクトルがサブバス領域よりも相当少ない振幅を持つ周波数範囲では、曲線1210から分かるように、AGC利得が増加している。エンハンスメント係数1220は、実質的に、曲線1204、1206、1208、および1210によって表されている複合伝達関数である。図12Bは、エンハンスされた係数1220を入力波形1202に適用して、エンハンスされた波形1240を生成する結果を示している。波形1202は大きいサブバス振幅を有するので、エンハンスされた波形1240は、入力波形1202と比較すると、ミッドバス領域において相当上昇したり平坦化したりする。
【0086】
図12Cおよび12Dは、図12Aおよび12Bで示したのと同じプロセスを示しており、エンハンスメント係数1270は、入力波形1252から発生される。波形1202とは異なり、波形1252は少ししか低周波数エネルギーしか有しておらず、エンハンスメント係数1270はより小さくなる。エンハンスメント係数1280が非常に小さいので、図12Dに示した出力波形1280は入力波形1252とほぼ同一である。
【0087】
図13は、AGCを使用してエンハンスメント係数を発生させる低周波数エンハンスメント信号処理システムの1つの実施形態のブロック図1300である。図13はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。図13は、2つの入力、すなわち、左チャネルの入力1302および右チャネルの入力1304を示している。先の実施形態と同様、便宜上、左および右を使用したが、これに限定されるものではない。入力1302および1304の双方とも加算器1306に提供され、加算器1306は、2つの入力の合成である出力を生成させる。
【0088】
加算器1306の出力は、1の利得を持つ増幅器1308の入力に提供される。増幅器1308の出力は、約400Hzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ1310に提供される。ローパスフィルタ1310の出力は、ポテンショメータ1352の第1の端子と、第1のバンドパスフィルタ1312と、第2のバンドパスフィルタ1313と、第3のバンドパスフィルタ1314と、第4のバンドパスフィルタ1315とに提供される。各バンドパスフィルタ1312ないし1315の出力は、それぞれ、AGC1316ないし1319のオーディオ信号入力に提供され、その結果、各バンドパスフィルタは1つのAGCを駆動させる。AGC1316ないし1319の各出力は加算器1320に接続され、加算器1320は、増幅器の出力の和である出力を生成する。
【0089】
ポテンショメータ1352の第2の端子は接地接続され、ポテンショメータのワイパーはピーク検出器1350に接続されている。ピーク検出器1350の出力は、AGC1316ないし1319のそれぞれの制御入力に提供される。
【0090】
増幅器1320の出力は左チャネルの加算器1324の第1の入力に提供され、増幅器1320の出力は右チャネルの加算器1332の第1の入力に提供される。左チャネルの入力1302は左チャネルの加算器1334の第2の入力に提供され、右チャネルの入力1304は右チャネルの加算器1332の第2の入力に提供される。左チャネルの加算器1324および右チャネルの加算器1332の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1300の左チャネルの出力1323および右チャネルの出力1333である。1つの実施形態では、バンドパスフィルタ1312ないし1315は、図9および表1に示したようなバンドパスフィルタ812ないし815に実質的に同一である。
【0091】
AGC1316(と同様に、AGC1317ないし1319)は、実質的に、内部サーボフィードバックループを備えた線形増幅器である。サーボは、出力信号の振幅を自動的に調節して、信号の振幅を制御入力と整合させる。したがって、サーボは、増幅器の信号入力ではなく、出力信号の平均振幅を決定する制御入力である。入力信号の振幅が減少された場合、サーボは、出力信号レベルを一定に維持するように、AGC1316のフォワード利得を増加させるだろう。
【0092】
図14Aは、オーディオ入力1403と、制御入力1402と、オーディオ出力1404とを含むAGC1318ないし1319の1つの実施形態のブロック図である。オーディオ入力1403は、利得制御増幅器1414の入力に提供される。増幅器1414の出力は、オーディオ出力1404と、負のピーク検出器1412とに提供される。負のピーク検出器の出力は加算器1418の第1の入力に提供され、制御入力1402は加算器1418の第2の入力に提供される。加算器1418の出力は積分器1416の入力に提供され、積分器1416の出力は増幅器1414の利得制御入力に提供される。加算器1418および積分器1416はともに、加算積分器1410を形成している。
【0093】
図14Bは、図14Aに示したAGCの回路図の1つの実施形態である。図14Bに示したように、利得制御増幅器1414は、表2にリスト表示した信号ピン2ないし8を有するNE572圧伸器1439を含む。オーディオ入力1403は、入力キャパシタ1442の第1の端子に提供される。入力キャパシタの第2の端子は、圧伸器1439のピン7に接続されている。入力キャパシタ1442は2.2mf(マイクロファラド)のキャパシタと0.01mfのキャパシタとの並列接続を含む。圧伸器1403のピン2は、10.0mfのキャパシタ1443を通して接地接続されている。圧伸器1403のピン4は、1.0mfのキャパシタ1444を通して接地接続されている。圧伸器1439のピン8は、接地されている。圧伸器1439のピン6は1.0kΩの抵抗器1445Aの第1の端子に接続されている。抵抗器1445の第2の端子は2.2mfのキャパシタ1446と、オペアンプ1447の非反転入力と、オペアンプ1452の非反転入力とに接続されている。キャパシタ1446の第2の端子は、接地されている。圧伸器1439のピン5は、オペアンプ1447の反転入力と、17.4kΩのフィードバック抵抗器1449の第1の端子と、17.4キロオームの入力抵抗器1450の第1の端子とに接続されている。オペアンプ1447の出力は、フィードバック抵抗器1449の第2の端子と、出力キャパシタ1448の第1の端子とに接続されている。オペアンプ1452の出力は、入力抵抗器1450の第2の端子に接続されている。10.0kΩのフィードバック抵抗器は、オペアンプ1452の反転入力と出力との間に接続されている。10.0kΩの入力抵抗器は、オペアンプ1452の反転入力に接地接続している。
【0094】
増幅器1414の利得制御入力は、3.0kΩの入力抵抗器1440の第1の端子に提供される。抵抗器1440の第2の端子は、2N2222のような小信号トランジスタ1441のエミッタに接続されている。トランジスタの基部は接地接続され、トランジスタ1441のコレクタは圧伸器1439のピン3に接続されている。
【0095】
負のピーク検出器1412は、オペアンプ1438およびダイオード1437を含む。負のピーク検出器1412の入力は、オペアンプ1438の非反転入力に接続されている。オペアンプ1438の出力は、ダイオード1437の陰極に接続されている。ダイオード1437の陽極は、オペアンプ1437の反転入力と、ピーク検出器1412の出力とに接続されている。図13に示したピーク検出器1350は、負のピーク検出器1412に類似した方法で構成されているが、ダイオード1437がピーク検出器1350に対して反転されていることが異なる。
【0096】
加算積分器1410の第1の入力は、100.0kΩの抵抗器1431と4.7mfのキャパシタ1432との並列接続の第1の端子に提供される。加算積分器1410の第2の入力は、100.0kΩの抵抗器1433と4.7mfのキャパシタ1434との並列接続の第1の端子に提供される。双方の並列接続の第2の端子は、オペアンプ1435の反転入力に接続されている。オペアンプ1435の非反転入力は接地され、0.33mfのフィードバックキャパシタ1436は、オペアンプ1435の反転入力とオペアンプ1435の出力との間で接続されている。オペアンプ1435の出力は、加算積分器1410の出力である。
【0097】
NE572はデュアルチャネルの高性能利得制御回路であり、この回路では、どちらのチャンネルもダイナミックレンジの圧縮または拡張に使用されてもよい。各チャネルは、入力信号の平均を検出するための全波整流器値、温度補償された線形化可変利得セル、およびダイナミック時定数のバッファを有している。バッファは、最小の外部コンポーネントおよび向上した低周波数利得制御リップル歪みによって、ダイナミックアタックおよび回復時間の独立制御を可能にする。NE572に対するピンアウトを表2にリスト表示する(ここでは、n、mはチャネルA、Bを示している)。この実施形態では、NE572は、廉価で、低ノイズで、歪みが少ない利得制御増幅器として使用される。当業者は、他の利得制御増幅器も同様に使用できることを認識するであろう。
【0098】
【表2】
【0099】
図15は、選択可能な周波数範囲を提供する低周波数のエンハンスメントシステムの1つの実施形態の信号処理システム1500の図である。図15はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行されるプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。システム1500において具体化される選択可能な周波数範囲の特徴は、先の実施形態の全てに適用可能である。しかしながら、簡略化のために、システム1500は、図13に示した信号処理システム1300の変形として示しているので、ここでは、システム1300とシステム1500との間の違いのみを説明することにする。システム1500では、システム1300におけるように、バンドパスフィルタ1315の出力は、AGC1319の入力に直接的に接続されておらず、むしろバンドパスフィルタ1315の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1562の第1の投入に提供される。スイッチ1562の極は、AGC1319の信号入力に提供される。バンドパスフィルタ1560の入力はバンドパスフィルタ1315の入力に接続されており、その結果、バンドパスフィルタ1560および1315は同じ入力信号を受け取る。バンドパスフィルタ1560の出力は、SPDTスイッチ1562の第2の投入に提供される。
【0100】
バンドパスフィルタ1560は、60Hzのような100Hzより下の周波数に同調されることが望ましい。スイッチ1562が、第1の投入に対応している第1の位置にあるとき、スイッチ1562は、バンドパスフィルタ1315を選択し、システム1300と同様にシステム1500に動作させて、100、150、200、および250Hzでバンドパスフィルタを提供する。スイッチ1562が、第2の投入に対応する第2の位置にあるとき、スイッチ1562は、バンドパスフィルタ1315を選択解除してバンドパスフィルタ1560を選択し、例えば、60、100、150、および200Hzでバンドパスフィルタを提供する。
【0101】
したがって、スイッチ1562は、エンハンスされるべき周波数範囲をユーザが選択できることが望ましい。直径3から4インチのウーファのような小型ウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、100、150、200、および250Hzに同調されるバンドパスフィルタ1312ないし1315によって提供される高い方の周波数範囲を選択するだろう。直径約5インチ、またはより大きいウーファのような、いくぶん、より大きいウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、60、100、150、および200Hzに同調されるバンドパスフィルタ1560および1312ないし1314によって提供される、より低い周波数範囲を選択するだろう。より多くのバンドパスフィルタおよびより大きい周波数範囲の選択を可能にするより多くのスイッチを提供できることを、当業者は認識するであろう。バンドパスフィルタは、廉価であり、かつ、異なるバンドパスフィルタを単投形スイッチで選択できるので、異なるバンドパスフィルタを選択し、異なる周波数範囲を提供することは、望ましい技術である。
【0102】
I.バスエンハンスメントエキスパンダ
図16Aは、サウンドシステムのブロック図であり、サウンドエンハンスメント機能がバスエンハンスメントユニット1604により提供されている。バスエンハンスメントユニット1604は、信号源1602からオーディオ信号を受け取る。信号源1602は、図1に示した信号源102、または、図5に示したサウンドカード510を含む、何らかの信号源であってもよい。バスエンハンスメントユニット1604は、受け取ったオーディオ信号を修正して、オーディオ出力信号を生成させるように信号処理を実行する。オーディオ出力信号は、ラウドスピーカ、増幅器、または他の信号処理デバイスに提供されてもよい。
【0103】
図16Bは、第1の入力1609と、第2の入力1611と、第1の出力1617と、第2の出力1619とを有する2チャネルバスエンハンスメントユニット1644のトポロジーのブロック図である。第1の入力1609および第1の出力1617は、第1のチャネルに対応している。第2の入力1611および第2の出力1619は、第2のチャネルに対応している。第1の入力1609は、合成器1610の第1の入力と信号処理ブロック1613の入力とに提供される。信号処理ブロック1613の出力は、合成器1614の第1の入力に提供される。第2の入力1611は、合成器1610の第2の入力と信号処理ブロック1615の入力とに提供される。信号処理ブロック1615の出力は、合成器1616の第1の入力に提供される。合成器1610の出力は、信号処理ブロック1612の入力に提供される。信号処理ブロック1612の出力は、合成器1614の第2の入力と合成器1616の第2の入力とに提供される。合成器1614の出力は、第1の出力1617に提供される。第2の合成器1616の出力は、第2の出力1619に提供される。
【0104】
第1および第2の入力1609および1611からの信号は、信号処理ブロック1612によって合成されて処理される。信号処理ブロック1612の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1613および1615の出力と合成されたときに、バスエンハンスされた出力1617および1619を生成する信号である。
【0105】
図16Cは、2チャネルバスエンハンスメントユニット1604の別のトポロジーのブロック図である。図16Cでは、第1の入力1609は、信号処理ブロック1621の入力と信号処理ブロック1622の入力とに提供される。信号処理ブロック1621の出力は合成器1625の第1の入力に提供され、信号処理ブロック1622の出力は合成器1625の第2の入力に提供される。第2の入力1611は、信号処理ブロック1623の入力と信号処理ブロック1624とに入力に提供される。信号処理ブロック1623の出力は合成器1626の第1の入力に提供され、信号処理ブロック1624の出力は合成器1626の第2の入力に提供される。合成器1625の出力は第1の出力1617に提供され、第2の合成器1626の出力は第2の出力1619に提供される。
【0106】
図16Bに示したトポロジーとは異なって、図16Cに示したトポロジーは2つの入力信号1609を1611と合成せず、むしろ、2つのチャネルは別々に保たれ、バスエンハンスメント処理は各チャネル上で実行される。
【0107】
図17は、図16Aに示したバスエンハンスメントシステム1604の1つの実施形態のブロック図1700である。バスエンハンスメントシステム1700は、バスパンチユニット1720を使用して、時間依存のエンハンスメント係数を発生させる。図17はまた、本発明の実施形態の信号処理動作を実現するDSPまたは他のプロセッサ上で実行するプログラムを説明するフローチャートとして使用されてもよい。図17は、2つの入力、すなわち、左チャネル入力1702および右チャネル入力1704を示している。先の実施形態と同様に、便宜上、左および右が使用されているが、限定として使用されるものではない。入力1702および1704の双方とも、加算器1706に提供され、2つの入力の合成である出力を生成させる。
【0108】
加算器1706の出力は、第1のバンドパスフィルタ1712と、第2のバンドパスフィルタ1713と、第3のバンドパスフィルタ1714と、第4のバンドパスフィルタ1715と、第5のバンドパスフィルタ1711とに提供される。バンドパスフィルタ1715の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1716の第1の投入に提供される。バンドパスフィルタ1711の出力は、SPDTスイッチ1716の第2の投入に提供される。スイッチ1716の極は、加算器1718の入力に提供される。各バンドパスフィルタ1712ないし1714の出力は、加算器1718の別々の入力に提供される。
【0109】
加算器1718の出力は、バスパンチユニット1720の入力に提供される。バスパンチユニット1720の出力は、単極双投(SPDT)スイッチ1722の第1の投入に提供される。SPDTスイッチ1722の第2の投入は、接地箇所に提供される。SPDTスイッチ1722の投入は、左チャネル加算器1724の第1の入力と、右チャネル加算器1732の第1の入力とに提供される。左チャネル入力1702は、左チャネル加算器1724の第2の入力に提供され、右チャネル入力1704は、右チャネル加算器1732の第2の入力に提供される。左チャネル加算器1724および右チャネル加算器1732の出力は、それぞれ、信号処理ブロック1700の左チャネル出力1730および右チャネル出力1733である。スイッチ1722および1716はオプションであるので、固定された接続によって置換されてもよい。
【0110】
フィルタ1711ないし1715と合成器1718とによって提供されるフィルタリング動作は、図17に示したような複合フィルタ1707に結合されてもよい。例えば、代替的な実施形態では、フィルタ1711ないし1715は、約40Hzから250Hzに及ぶ通過帯域を有する単一のバンドパスフィルタに結合される。バス周波数を処理するために、複合フィルタ1707の通過帯域は、下端で約20から100Hzに及び、または、上端で約150から350Hzに及ぶことが好ましい。複合フィルタ1707も同様に、例えば、ハイパスフィルタ、シェルビングフィルタ等を含む他のフィルタの伝達関数を持っていてもよい。複合フィルタはまた、グラフィックイコライザーに類似した方法で動作し、複合フィルタの通過帯域内の他の周波数に対して、その通過帯域内のいくらかの周波数を減衰させるように構成されていてもよい。
【0111】
示したように、図17は、図16Bに示したトポロジーにほぼ対応しており、ここでは、信号処理ブロック1613および1615は1の伝達関数を持ち、信号処理ブロック1612は複合フィルタ1707とバスパンチユニット1720とを備えている。しかしながら、図17に示した信号処理は、図16Cに示したトポロジーに限定されない。図17の素子は図16Cに示したトポロジーにおいて使用されてもよく、ここでは、信号処理ブロック1621および1623は1の伝達関数を持ち、信号処理ブロック1622および1624は複合フィルタ1707とバスパンチユニット1720とを備えている。図17に示していないが、信号処理ブロック1613、1615、1621、および1623は、例えば、低バス周波数を取り除くハイパスフィルタリングや、バスパンチユニット1702によって処理された周波数を取り除くハイパスフィルタリングや、高周波数サウンドをエンハンスさせる高周波数エンファシスや、バスパンチ回路を補う付加的なミッドバス処理等のような付加的な信号処理を提供してもよく、同様に、他の組み合わせも考えられる。
【0112】
図18は、バンドパスフィルタ1711ないし1715の伝達関数の一般的な形状を示している周波数ドメインのグラフである。図18は、それぞれ、バンドパスフィルタ1711ないし1715に対応しているバンドパス伝達関数1801ないし1805を示している。伝達関数1801ないし1805は、それぞれ、50、100、150、200、250Hzの中心にあるバンドパス機能として示されている。
【0113】
1つの実施形態では、バンドパスフィルタ1711は、50Hzのような100Hzより下の周波数に同調される。スイッチ1761が第1の投入に対応する第1の位置にあるとき、スイッチ1761はバンドパスフィルタ1711を選択して、バンドパスフィルタ1715を選択解除し、50、100、150、および200Hzでバンドパスフィルタを提供する。スイッチ1716が第2の投入に対応する第2の位置にあるとき、スイッチ1716はバンドパスフィルタ1711を選択解除し、バンドパスフィルタ1715を選択し、100、150、200、および250Hzでバンドパスフィルタを提供する。
【0114】
したがって、エンハンスされるべき周波数範囲をスイッチ1716によってユーザが選択できることが好ましい。一般的に、直径が3から4インチのウーファのような小型ウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、それぞれ、100、150、200、250Hzに同調されるバンドパスフィルタ1712ないし1715によって提供される高い方の周波数範囲を選択するだろう。直径約5インチの、またはより大きいウーファのような、いくぶん、より大きいウーファを搭載しているラウドスピーカシステムを持つユーザは、一般的に、それぞれ、50、100、150、および200Hzに同調されるバンドパスフィルタ1711ないし1714によって提供されるより低い周波数範囲を選択するだろう。より多くのバンドパスフィルタおよびより大きい周波数範囲の選択を可能にするより多くのスイッチを提供できることを、当業者は認識するであろう。バンドパスフィルタは廉価であり、かつ、異なるバンドパスフィルタを単投スイッチで選択できるので、異なるバンドパスフィルタを選択して、異なる周波数範囲を提供することは望ましい技術である。
【0115】
1つの実施形態では、バスパンチユニット1720は、内部サーボフィードバックループを備えた線形増幅器を具備する自動利得制御(AGC)を使用している。サーボは、出力信号の平均振幅を自動的に調節して、信号の平均振幅を制御入力と整合させる。制御入力の平均振幅は、一般的に、制御信号のエンベロープを検出することによって得られる。制御信号は、例えば、ローパスフィルタリング、バンドパスフィルタリング、ピーク検出、RMS平均化、平均値の平均化等を含む他の方法によって得られてもよい。
【0116】
バスパンチユニット1720の入力に提供される信号のエンベロープの振幅の増加に応答して、サーボループがバスパンチユニット1720のフォワード利得を増加させる。逆に、バスパンチユニット1720の入力に提供される信号のエンベロープの振幅の減少に応答して、サーボループはバスパンチユニット1720のフォワード利得を増加させる。1つの実施形態では、バスパンチユニット1720の利得は、利得が減少するよりも、より急速に増加する。図19は、単位ステップ入力に応答したバスパンチユニット1720の利得を図示している時間ドメインのグラフである。図19は、時間の関数としての出力信号ではなく、時間の関数としての利得のグラフであることを、当業者は認識するであろう。大部分の増幅器は、固定された利得を持っているので、利得がプロットされるのはまれである。しかしながら、バスパンチユニット1720における自動利得制御(AGC)は、入力信号のエンベロープに応答してバスパンチユニット1720の利得を変える。
【0117】
単位ステップ入力は曲線1909としてプロットされ、利得は曲線1902としてプロットされている。入力パルス1909の立ち上がりに応答して、利得は、アタック時定数に対応する期間1904中に上がる。この時間期間1904の終わりに、利得1902はA0の定常状態の利得に到達する。入力パルス1909の立ち下がりに応答して、利得は、減衰時定数1906に対応する期間1906中にゼロに戻るように下がる。
【0118】
増幅器およびラウドスピーカのようなシステムの他のコンポーネントをオーバードライブさせないで、アタック時定数1904および減衰時定数1906を選択し、バス周波数のエンハンスメントを提供することが好ましい。図20は、ベースギター、ベースドラム、シンセサイザ等のような音楽楽器によって再生される一般的な低音音符の時間ドメインのグラフ2000である。グラフ2000は、変調エンベロープ2042を有しているより低い周波数部分によって振幅変調された、より高い周波数部分2004を示している。エンベロープ2042は、アタック部分2046を有し、減衰部分2047が続き、維持部分2048が続き、最後に、リリース部分2049が続く。グラフ2000の最大振幅はピーク2050であり、これは、アタック部分2046と減衰部分2047との間の時点で生じる。
【0119】
述べたように、波形2044は、大部分でないとしても、数多くの楽器に特有なものである。例えば、ギターの弦は、引っ張られたり解放されたりしたときに、最初に、少し大きな振幅振動がして、長期間にわたってゆっくりと減衰する、ある程度の定常状態振動に落ち着くだろう。ギターの弦の最初の大きな偏移振動は、アタック部分2046と減衰部分2047とに対応している。ゆっくり減衰する振動は、維持部分2048とリリース部分2049とに対応している。ピアノの弦は、ピアノの鍵に取り付けられているハンマーにより鳴らされるときに類似した方法で動作する。
【0120】
ピアノの鍵が解放されるまで、弦を休止させるためにハンマーが戻らないので、ピアノの弦は、維持部分2048からリリース部分2049に、より顕著に移行するかもしれない。ピアノの鍵が押し下げられている間、すなわち、維持期間2048中に、弦は、比較的に少しの減衰をともなって自由に振動する。鍵が解放されたときに、フェルトで覆われたハンマーが鍵を支えるようになると、リリース期間2049中に、急速に弦の振動が減衰する。
【0121】
同様に、ドラムヘッドは、打たれたときに、アタック部分2046と減衰部分2047とに対応している最初の組の大きな偏移振動を生じさせるだろう。(減衰部分2017の終わりに対応している)大きな偏移の振動が静まった後に、ドラムヘッドは、維持部分2048とリリース部分2049とに対応している時間の期間にわたって振動し続けるであろう。多くの音楽楽器のサウンドは、単に、期間2046ないし2049の長さを制御することによって生成することができる。
【0122】
図4Cに関連して説明したように、より高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音(エンベロープ)によって変調され、これにより、高い周波数信号の振幅は、より低い周波数音の周波数にしたがって変化する。耳が、より高い周波数信号の低周波数エンベロープを検出するように、耳の非線形は部分的に信号を復調するので、たとえ実際の音響エネルギーがより低周波数で生成されなかったとしても、低周波数音の知覚を生じさせる。一般的に、下端の範囲上の50ないし150Hzと、上端の範囲上の200ないし500Hzとの間のミッドバス周波数範囲における信号の適切な信号処理によって、検出器効果をエンハンスさせることができる。適当な信号処理を用いることにより、低周波数の音響エネルギーを生成できないラウドスピーカを使用するときでさえも、このようなエネルギーの知覚を生成させるサウンドエンハンスメントシステムを設計することが可能である。
【0123】
ラウドスピーカによって生成される音響エネルギーに存在する実際の周波数の知覚は、一次的効果であると考えられる。実際の音響周波数に存在していない付加的な高調波が相互変調歪みまたは検出によって生成されようとなかろうと、このような高調波の知覚は、二次的効果であると考えられる。
【0124】
しかしながら、ピーク2050の振幅が大きすぎた場合、スピーカ(および、もしくは電力増幅器)はオーバードライブするだろう。ラウドスピーカがオーバードライブすることは、かなりの歪みを生じさせることになるので、ラウドスピーカを損傷させるかもしれない。
【0125】
ピーク2050のオーバードライブの影響が減少している間に、ミッドバス領域において、バスパンチユニット1720がエンハンスされた低音を提供することが望ましい。バスパンチユニット1720によって提供されるアタック時定数1904は、バスパンチユニット1720により、利得の立ち上がり時間を制限する。バスパンチユニット1720のアタック時定数は、長いアタック期間2046(遅いエンベロープ立ち上がり時間)を有する波形にほとんど影響を及ぼさないが、短いアタック期間2046(早いエンベロープ立ち上がり時間)を有する波形に比較的より多くの影響を及ぼす。
【0126】
図21−1(A)は、長いアタック期間2046を有する入力波形のエンベロープ2104に関係した、バスパンチユニット1720の利得の時間ドメインのグラフを示している。図21−1(A)では、エンベロープ2104の入力波形のみがプロットされているが、実際の波形でない(実際の波形とそのエンベロープとの間の関係は、図4Cと20とに関連して説明されている)ことを、当業者は認識するであろう。エンベロープ2104を有する入力波形がバスパンチユニット1720に提供され、バスパンチユニット1720がエンベロープ2106を有する出力波形を生成させる。参考のために、図21−1(C)は、バスパンチユニット1720の利得の時間ドメインのグラフである。バスパンチユニット1720のアタック時間と比較して、エンベロープ2104のアタック期間が長いことをさらに図示するために、図21−1(A)の時間軸を図21−1(C)の時間軸と並べている。
【0127】
バスパンチユニット1720の利得の増加は、アタック時間によって制御されるものであるが、入力エンベロープ2104のアタック部分に「追いつく」ことが可能であるので、バスパンチユニット1720は、いくらかの利得を提供する以外に、エンベロープ2104の立ち上がり時間に対して比較的少ない形状効果しかない。したがって、出力エンベロープ2106は入力エンベロープ2104に類似しているが、利得は増加している。その結果、出力エンベロープ2106に対応している実際の出力信号は、入力エンベロープ2104に対応する実際の入力信号に類似しているが、利得は増加している。
【0128】
図21−1(B)は、短いアタック期間を有する入力エンベロープ2114の時間ドメインのグラフを示している。入力エンベロープ2114は、バスパンチユニット1720に提供され、バスパンチ回路1720は出力エンベロープ2116を生成させる。バスパンチユニット1720のアタック時間と比較して、エンベロープ2104のアタック期間が短いことをさらに図示するために、図21−1(C)の時間軸を図21−1(A)および(B)の時間軸と並べている。
【0129】
バスパンチユニット1720の利得の増加は、アタック時間によって制御されるが、入力エンベロープ2114のアタック部分に「追いつく」ことが可能でないので、出力エンベロープ2116の立ち上がり時間は入力波形2114の立ち上がり時間に類似している。したがって、出力波形2116の最大振幅は、入力エンベロープ2114の最大振幅に類似している。出力エンベロープ2116は、アタック時間によって制限されているが、バスパンチユニット1720が追跡するには入力波形のアタック期間は早すぎるので、パンチユニット1720によって加えられる増加された利得を含まないことが望ましい。このことは、パンチユニット1720によって提供される増加された利得が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を最小にした。しかしながら、入力エンベロープ2116がある程度の定常状態値に到達する時間までに、維持期間2048中にパンチユニット1720の利得は入力エンベロープに追いつくので、維持期間中、出力エンベロープ2116の振幅は入力エンベロープ2114の振幅よりも大きい。
【0130】
図21−1(B)に示したように、バスパンチユニット1720の動作は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる、入力信号における過度現象およびパルスを過度に増幅させる可能性を減少させるために、長期間利得では比較的より高い利得を提供する一方で、短期間利得では比較的より低い利得を提供することが好ましい。図21−1(B)は、ラウドスピーカ(および/または電力増幅器)をオーバードライブさせることになる振幅に対応している振幅線2118を示している。アタック時間期間中に、低音1720の利得がその最大値に到達しないので、入力エンベロープ2114のピーク振幅は、線2118に類似している。
【0131】
図21−2は、バスエンハンスメント回路1700の振幅応答の周波数ドメインのグラフを示している。フィルタ1711ないし1715により提供される周波数選択は、主に、低い方の周波数fLと、高い方の周波数fHとによって制限されているパンチ周波数領域上でのバスパンチユニット1720の動作を制限する。fL より下の周波数領域は、ロールオフ領域である。ロールオフ領域では、バスエンハンスメント回路1700が、1に近い伝達関数を提供する。これは、一般的な小型ラウドスピーカが、この領域において少しの音響出力しか生成させないことから、ロールオフ領域と呼ばれる。周波数fHより上の領域は、バスエンハンスメント回路が1に近い伝達関数を提供する通過帯域領域である。
【0132】
パンチ領域では、バスエンハンスメント回路1700は、バスパンチ回路1720の時間依存利得のために、時間依存の利得を提供する。図21−2は、パンチ周波数領域における利得曲線の一群を示し、この曲線は、異なるエンベロープ立ち上がり時間を有する入力信号に対応している。比較的早いエンベロープ立ち上がり時間を有する入力信号の場合、パンチ周波数領域におけるバスエンハンスメント回路1700の利得は、ゆっくり変化する(ほぼ定常状態の)エンベロープを持つ信号の利得よりも小さい。
【0133】
図22は、バスエンハンスメント回路1700の1つの実施形態を示している回路図である。入力1702および1704は、加算器1706の第1と第2の端子とに提供される。DCブロッキングキャパシタを入力1702および1704と直列に連結させ、バスエンハンスメント回路1700の入力でDCブロックを提供してもよい。
【0134】
加算器1706の第1の端子は抵抗器2202の第1の端子に対応し、加算器1706の第2の端子は抵抗器2204の第1の端子に対応している。抵抗器2202の第2の端子および抵抗器2204の第2の端子は、オペアンプ2208の反転入力に提供される。オペアンプ2208の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプの出力は、フィードバック抵抗器2206の第1の端子に提供される。フィードバック抵抗器2206の第2の端子は、オペアンプ2208の反転入力に提供される。オペアンプ2206の出力は、加算器1706の出力に対応している。
【0135】
1つの実施形態では、DCブロッキングキャパシタは4.7μFのキャパシタであり、抵抗器2202、2204、および2206は100kΩの抵抗器である。
【0136】
フィルタ1711ないし1715は、Texas Instruments Incによって製造されるTL074オペアンプと、表3に示した抵抗器成分値とを用いている図9に示したトポロジーを使用する。
【0137】
【表3】
【0138】
バンドパスフィルタ1711の出力は、抵抗器2210の第1の端子に提供される。バンドパスフィルタ1715の出力は、抵抗器2211の第1の端子に提供される。抵抗器2210の第2の端子はSPDTスイッチ1716の第1の投入に提供され、抵抗器2211の第2の端子はスイッチ1716の第2の投入に提供される。SPDTスイッチ1716の極は、加算器1718の第1の端子に提供される。加算器1718の第1の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。
【0139】
バンドパスフィルタ1712ないし1714の出力は、それぞれ、加算器1718の第2の入力と、第3の入力と、第4の入力とに提供される。加算器1718の第1の入力は、抵抗器2210の第1の端子に対応している。加算器1718の第2の入力は、抵抗器2212の第1の端子に対応している。加算器1718の第3の入力は、抵抗器2214の第1の端子に対応している。加算器1718の第4の入力は、抵抗器2216の第1の端子に対応している。抵抗器2210、2212、2214、および2216のそれぞれの第2の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。オペアンプ2220の出力は、フィードバック抵抗器2218の第1の端子に提供される。フィードバック抵抗器2218の第2の端子は、オペアンプ2220の反転入力に提供される。オペアンプ2220の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2220の出力は、加算器1718の出力に対応している。加算器1718は、例えば、デジタル信号処理、トランジスタ等を用いて実現されてもよい。バンドパスフィルタ1711ないし1715および加算器1718はまた、バンドパスフィルタ1711ないし1715の応答を加算することによって得られる伝達関数に類似した伝達関数を持つフィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を提供することによって、組み合わされてもよい。
【0140】
1つの実施形態では、抵抗器2211、2212、2214、および2216は100kΩの抵抗器であり、抵抗器2210は69.8kΩの抵抗器である。オペアンプ2220はTL074であり、フィードバック抵抗器2218は13.0kΩの抵抗器である。加算器1718は重み付けされた和を提供し、ここで、フィルタ1712ないし1715すべての出力は約0.13の重さがあり、フィルタ1711の出力は約0.186の重さがあることを、当業者は認識するだろう。大きな低い周波数の信号によって小型スピーカをオーバードライブさせるのを防ぐために、50Hzの中心周波数を有するフィルタ1711からの周波数は、より小さな振幅で提供される。例えば、不均一の重み付け関数や、均一の重み付け関数等を含む他の重み付け関数が、同様に使用されてもよい。また、重み付け関数は、バンドパス、または重み付けされた伝達関数を持つ他のフィルタを使用し、加算器と組み合わせて実現されてもよい。
【0141】
SPDTスイッチ1722の極は、左チャネル加算器1724の第1の入力と、右チャネル加算器1732の第1の入力とに提供される。左チャネル加算器の第1の入力は、抵抗器2230の第1の端子に対応している。左チャネル加算器の第2の入力は、抵抗器2232の第1の端子に対応している。抵抗器2230の第2の端子および抵抗器2232の第2の端子は、オペアンプ2236の反転入力に提供される。オペアンプ2236の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2236の出力は、キャパシタ2238の第1の端子と、キャパシタ2240の第1の端子と、フィードバック抵抗器2234の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2234の第2の端子は、オペアンプ2236の非反転入力に提供される。キャパシタ2238の第2の端子およびキャパシタ2240の第2の端子は、出力抵抗器2242の第1の端子に提供される。出力抵抗器の第1の端子は、左チャネル出力1730に提供される。出力抵抗器2242の第2の端子は、接地箇所に提供される。
【0142】
左チャネル加算器の第1の入力は、抵抗器2250の第1の端子に対応している。右チャネル加算器の第2の入力は、抵抗器2252の第1の端子に対応している。抵抗器2250の第2の端子および抵抗器2252の第2の端子は、オペアンプ2256の反転入力に提供される。オペアンプ2256の非反転入力は、接地箇所に提供される。オペアンプ2256の出力は、キャパシタ2258の第1の端子と、キャパシタ2260の第1の端子と、フィードバック抵抗器2254の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2254の第2の端子は、オペアンプ2256の反転入力に提供される。キャパシタ2258の第2の端子およびキャパシタ2260の第2の端子は、出力抵抗器2262の第1の端子に提供される。出力抵抗器2262の第1の端子は、右チャネル出力1733に提供される。出力抵抗器2262の第2の端子は、接地箇所に提供される。
【0143】
1つの実施形態では、抵抗器2232、2234、2252、および2254は100kΩの抵抗器であり、抵抗器2230および2250は33.2kΩの抵抗器であり、抵抗器2242および2262は10kΩの抵抗器である。キャパシタ2238および2258は4.7μFキャパシタであり、キャパシタ2240および2260は0.01μFキャパシタである。オペアンプ2236および2256は、TL074である。加算器1724および1732は、それぞれ重み付けされた和を生成し、ここで、各加算器の第1の入力(バスパンチユニット1720によって提供される入力)には約3.01の重さがあり、各加算器の第2の入力には約1.0の重さがあることを、当業者は認識するだろう。
【0144】
バスパンチユニット1720の1つの実施形態のブロック図をブロック図2300として図23に示しており、対応する回路図を図24に示している。図23では、入力2303は、固定利得増幅器2306の第1の入力と、可変利得増幅器2305の第1の入力と、ポテンショメータ2308の第1の固定端子とに提供される。ポテンショメータ2308の第2の固定端子は接地箇所に提供され、ポテンショメータ2308のワイパー端子はエンベロープ検出器2312の入力に提供される。エンベロープ検出器2312の出力は、アタック/減衰バッファ2310に提供される。アタック/減衰バッファ2310の出力は、利得制御された増幅器2305の利得制御入力に提供される。固定利得増幅器2306の出力は、出力加算器2307の第1の入力に提供され、可変利得増幅器2305の出力は、出力加算器2307の第2の入力に提供される。出力加算器2307の出力は、バスパンチ出力2304に提供される。
【0145】
固定利得増幅器2306は、単位利得フィードフォワードパスを出力加算器2307に提供する。したがって、たとえ、利得制御された利得2308がゼロであったとしても、フィードフォワードパスはバスパンチ回路2300に1.0の最小利得を提供するだろう。ポテンショメータ2308は、入力信号の一部分を選択するための電圧分割器として接続されている。選択された部分は、エンベロープ検出器2312に提供される。エンベロープ検出器の出力は、入力信号のエンベロープに近似する信号である。エンベロープ信号はアタック/減衰バッファに提供される。エンベロープ信号が正の勾配(立ち上がり端)を持っているときに、アタック/減衰バッファは、アタック時定数によって与えられるレートで、利得制御される増幅器の利得を増加させるために信号を提供する。エンベロープ信号が負の勾配(立ち下がり端)を持っているときに、アタック/減衰バッファは、減衰時定数によって与えられるレートで、利得制御される増幅器の利得を減少させるために信号を提供する。
【0146】
ユニット2300の利得にしたがって、出力レベルが入力信号によって制御されることから、図23に示したバスパンチユニット2300はエキスパンダである。入力信号の平均振幅が増加すると、利得が増加する。逆に、平均入力信号レベルが低下すると、利得が減少する。ポテンショメータ2308が、すべての入力信号を選択してエンベロープ検出器2312に提供するように位置付けられたときに、入力信号の最大拡張が生じる。ポテンショメータ2308が、いずれの入力信号も選択されないように位置付けられた(すなわち、エンベロープ検出器2312に対する入力が接地された)ときに、最小の拡張が生じ、利得が1に落ちる。拡張の量が増加すると、低音の知覚が増加し、ラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性も増加するだろう。ポテンショメータ2308は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を必要以上に増加させないで、入力信号の十分な拡張を提供して低音の知覚をエンハンスさせるように位置付けられることが望ましい。
【0147】
図24は、バスパンチユニット2300の1つの実施形態を図示している回路図である。図24では、入力2303は、キャパシタ2442の第1の端子と、ポテンショメータ2308の第1の固定端子とに提供される。ポテンショメータ2308の第2の固定端子は接地箇所に提供され、ポテンショメータ2308のワイパー端子はキャパシタ2406の第1の端子に提供される。キャパシタ2406の第2の端子は抵抗器2408の第1の端子に提供され、抵抗器2408の第2の端子は利得制御回路2449のエンベロープ検出器入力(ピン3)に提供される。1つの実施形態において、図14および表2に関連して説明したように、利得制御回路2449はNE572である。アタックタイミングキャパシタ2443の第1の端子は利得制御回路2449のアタック制御入力(ピン4)に提供され、アタックタイミングキャパシタ2443の第2の端子は接地箇所に提供される。減衰タイミングキャパシタ2444の第1の端子は、利得制御回路2449の減衰制御入力(ピン2)に提供され、減衰タイミングキャパシタ2444の第2の端子は接地箇所に提供される。
【0148】
キャパシタ2442の第2の端子は、利得制御回路2449のVin 端子(ピン7)と、抵抗器2410の第1の端子とに提供される。抵抗器2410の第2の端子は、利得制御回路2449のVout 端子(ピン5)と、オペアンプ2447の反転入力とに提供される。オペアンプ2447の非反転入力は、接地されたキャパシタ2446の端子と、オペアンプ2452の非反転入力と、抵抗器2445の第1の端子とに提供される。抵抗器2445の第2の端子は、利得制御回路2449のTHD端子(ピン6)に提供される。
【0149】
オペアンプ2447の出力は、フィードバック抵抗器2449の第1の端子と、出力2304とに提供される。フィードバック抵抗器2449の第2の端子は、オペアンプ2447の反転入力に提供される。
【0150】
オペアンプ2452の反転入力は、接地された抵抗器2453の端子と、フィードバック抵抗器2451の第1の端子とに提供される。フィードバック抵抗器2451の第2の端子は、オペアンプ2452の出力と、抵抗器2450の第1の端子とに提供される。抵抗器2450の第2の端子は、オペアンプ2447の反転入力に提供される。
【0151】
1つの実施形態では、ポテンショメータ2308は、1.0kΩの線形ポテンショメータである。キャパシタ2442、2406、および2446は、2.2μFキャパシタである。アタックタイミングキャパシタは1.0μFキャパシタであり、減衰タイミングキャパシタ2444は10μFキャパシタである。抵抗器2408は3.1kΩの抵抗器であり、抵抗器2445は1.0kΩの抵抗器である。抵抗器2453および2451は10kΩの抵抗器であり、抵抗器2410、2449、および2450は17.4kΩの抵抗器である。
【0152】
利得制御回路2449は、エンベロープ検出器2461と、アタック/減衰バッファ2462と、利得素子2463とを備える。図23におけるブロック図のように、エンベロープ検出器2461の出力はアタック/減衰バッファ2462に提供され、アタック/減衰バッファ2462の出力は利得素子2463を制御する。アタックおよび減衰時定数は、抵抗−キャパシタ(RC)回路網によって制御される。アタック/減衰バッファ2462は、アタックRC回路網向けの内部の10kΩ抵抗器と、減衰RC回路網向けの内部の10kΩ抵抗器とを提供する。1.0μFのアタックキャパシタ2443は、約40ms(ミリ秒)のアタック時定数を生成させる。10μFの減衰キャパシタ2444は、400msの減衰時定数を生成させる。他の実施例では、アタック時定数は5msから400msの範囲に及んでもよく、減衰時定数は100msから1000msの範囲に及んでよい。
【0153】
利得素子2463は、電子的可変抵抗器に類似しており、オペアンプ2447の利得を変えるためにオペアンプ2447のフィードバック回路とともに使用される。オペアンプ2452は、DCバイアスを提供する。単位利得フィードフォワードパスは、抵抗器2410によって提供される。
【0154】
バスパンチユニット1720はまた、いくらかの低周波数サウンドの高調波をエンハンスさせることによって、ならびに、他の低周波数のサウンドの基本波をエンハンスさせることによって、オーディオ波形を修正してエンハンスさせるように実行する。いくらか低周波数サウンドの高調波をエンハンスさせることによって、バスパンチユニット1720は、ラウドスピーカから低周波数サウンドが放出されているという知覚を生じさせるために、人間の耳が低周波数サウンドの上音および高調波を処理する方法を利用する。バスパンチユニット1720は、ラウドスピーカが、多くの低周波数サウンドを、さらには、ラウドスピーカによって不十分にしか再生されない低周波数サウンドを生成しているという知覚を生じさせる。さらに、バスパンチユニット1720の動作は、ラウドスピーカをオーバードライブさせる、入力信号における過渡現象およびパルスを過度に増幅させる可能性を減少させるために、長期間利得では比較的より高い利得を提供する一方で、短期間利得では比較的より低い利得を提供することが好ましい。経時的な入力信号の増加に応答して、バスパンチユニット1720の利得はアタック時定数にしたがって増加する。経時的な入力信号の減少に応答して、バスパンチユニットの利得は減衰時定数したがって減少する。アタック時定数および減衰時定数の動作は、入力信号の短期間の増加の増幅を減少させるのに役立つので、スピーカをオーバードライブさせる可能性を減少させる。
【0155】
II.ピーク圧縮によるバスパンチ
図20および21−1(B)に示したように、低音楽器(例えば、ベースギター)によって再生される音符のアタック部分は、比較的大きな振幅の初期パルスで始まることが多い。このピークは、いくつかのケースでは、増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせ、歪んだサウンドを生じさせて、ラウドスピーカまたは増幅器を損傷させる可能性がある。バスエンハンスメントプロセッサが、バス信号におけるピークの平坦化を提供する一方で、バス信号におけるエネルギーを増加させるので、全体的な低音の知覚を増加させる。
【0156】
信号におけるエネルギーは、信号の振幅および信号の持続期間の関数である。別な言い方をすると、エネルギーは、信号のエンベロープの下の面積に比例する。低音音符の初期パルスは比較的大きな振幅を持っているかもしれないが、初期パルスは、短い持続期間であるので、少しのエネルギーしか含まないことが多い。したがって、少しのエネルギーしかない初期パルスは、低音の知覚に著しく貢献しないことが多い。したがって、初期パルスは、大抵、低音の知覚にほとんど影響を及ばさずに、振幅を減少させることができる。
【0157】
図25は、バスエンハンスメントシステム2500の信号処理ブロック図であり、これは、ピーク圧縮器を使用して、初期パルスや低音音符のようなパルスの振幅を制御するバスエンハンスメントを提供する。システム2500では、ピーク圧縮器2502が合成器1718とパンチユニット1720との間に置かれている。合成器1718の出力はピーク圧縮器2502の入力に提供され、ピーク圧縮器2502の出力はバスパンチユニット1720の入力に提供される。
【0158】
図17を図16Bおよび図16Cと関連させた上記の見解は、図25に示したトポロジーにも同様に適用する。例えば、示したように、図25は、図16Bに示したトポロジーにほぼ対応し、信号処理ブロック1613および1615は1の伝達関数を有し、信号処理ブロック1612は複合フィルタ1707と、ピーク圧縮器2502と、バスパンチユニット1720とを備えている。しかしながら、図25に示した信号処理は、図16Bに示したトポロジーに限定されない。図25の素子はまた、図16Cに示したトポロジーにおいて使用されてもよい。図25には示していないが、信号処理ブロック1613、1615、1621、および1623は、例えば、低バス周波数を除去するハイパスフィルタリング、バスパンチユニット1702および圧縮器2502によって処理された周波数を除去するハイパスフィルタリング、高い周波数のサウンドをエンハンスさせる高周波数エンファシス、バスパンチ回路1720およびピーク圧縮器2502を増補させるさらなるミッドバス処理等のような、さらなる信号処理を提供してもよい。他の組み合わせも同様に考えられる。
【0159】
ピーク圧縮ユニット2502は、ピーク圧縮ユニットの入力において提供される信号のエンベロープを“平坦化”させる。大きな振幅を有する入力信号の場合、圧縮ユニット2502の見かけ上の利得は減少する。小さな振幅を有する入力信号の場合、圧縮ユニット2502の見かけ上の利得は増加する。したがって、圧縮ユニットは、入力信号のエンベロープのピークを低減させる(また、入力信号のエンベロープにおけるくぼみを埋める)。圧縮ユニット2502の入力に提供される信号にかかわらず、圧縮ユニット2502からの出力信号のエンベロープ(例えば、平均振幅)は、比較的均一な振幅を有している。
【0160】
図26は、比較的大きな振幅の初期パルスを有するエンベロープ上のピーク圧縮器の効果を示している時間ドメインのグラフである。図26は、より低い振幅信号のより長い期間が続く初期の大きな振幅のパルスを有している入力エンベロープ2614の時間ドメインのグラフを示している。出力エンベロープ2616は、(ピーク圧縮器2502のない)入力エンベロープ2614に関するバスパンチユニット1720の結果を示している。出力エンベロープ2617は、ピーク圧縮器2502およびパンチユニット1720の双方を通って入力信号2614が送られた結果を示している。
【0161】
図26に示したように、入力信号2614の振幅が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせるのに十分であると仮定すると、バスパンチユニットは、入力信号2614の最大振幅を制限しないので、出力信号2616もまた増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせるのに十分である。
【0162】
しかしながら、信号2617に関連して使用されるパルス圧縮ユニット2502は、大きな振幅パルス(の振幅を低減)圧縮する。圧縮ユニット2502は、入力信号2614の大きな振幅の偏移を検出して、出力信号2617が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせることがないように、最大振幅を圧縮(低減)させる。
【0163】
圧縮ユニット2502は信号の最大振幅を低減させるので、出力信号2617が増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる確率を大きく減らさなくても、パンチユニット1720によって提供される利得を増加させることが可能である。信号2617は、バスパンチユニット1720の利得が増加している実施形態に対応している。したがって、長い減衰部分の間、信号2617は、曲線2616よりも大きな振幅を有している。
【0164】
先に説明したように、信号2614、2616、および2617におけるエネルギーは、それぞれの信号を表している曲線の下の面積に比例している。信号2617は、より多くのエネルギーを有している。その理由は、たとえ、信号2617が、より小さい最大振幅を有していたとしても、信号2617を表している曲線の下の方が、信号2614または2616のいずれよりも、より大きな面積を有しているからである。信号2617は、より多くのエネルギーを含んでいることから、リスナは、信号2617におけるより多くの低音を知覚するだろう。
【0165】
したがって、バスパンチユニット1720と併用してピーク圧縮器を使用することによって、バスエンハンスメントシステムがバス信号においてより多くのエネルギーを提供でき、そして、エンハンスされたバス信号が、増幅器またはラウドスピーカをオーバードライブさせる可能性を減少させる。
【0166】
ピーク圧縮器は、技術的に知られている。例えば、先に説明したNE572用のデータシートは、(多少複雑化された回路ではあるが)圧縮回路を開示している。
【0167】
図27は、入力2703および出力2704を有するピーク圧縮器回路2700の1つの実施形態のブロック図である。出力2704における信号は、入力2703における信号の圧縮されたバージョンである。新しい組み合わせでは、ピーク圧縮器2700が、エキスパンダを使用することによって圧縮を提供する。圧縮器2700で使用されるエキスパンダ回路は、バスパンチ回路2300に使用されるエキスパンダに類似している。
【0168】
図24に示したエキスパンダのようなエキスパンダでは、総(すなわち、拡張された)出力信号は、入力信号と拡張信号の和である。入力信号の振幅が増加すると、拡張信号の振幅は増加し、これにより、出力(2つの合計)は増加する。対比してみると、圧縮器2700の出力信号は、入力信号から拡張信号を引いたものである。入力信号がより大きくなると、拡張信号も同様に大きくなるが、2つの間の差(圧縮器出力)はより小さくなる。これが圧縮器の性質であり、入力信号がより大きくなると、圧縮器の見かけ上の利得は減少する。比較的小さな振幅を有する入力信号の場合、圧縮器は比較的大きな利得を持っている。しかし、比較的大きな振幅を有する入力信号の場合、圧縮器は比較的小さな利得を持っている。
【0169】
図27では、入力2703は、反転エキスパンダ2708の入力と、抵抗器2716の第1の端子とに提供される。反転エキスパンダ2708の出力は、抵抗器2718の第1の端子に提供される。
【0170】
抵抗器2716の第2の端子および抵抗器2718の第2の端子の双方とも、オペアンプ2720の反転入力に提供される。フィードバック抵抗器2722は、オペアンプ2720の反転入力とオペアンプ2720の出力との間に接続されている。オペアンプ2720の非反転入力は、接地箇所に提供されている。オペアンプ2720の出力は、出力2704に提供されている。
【0171】
反転エキスパンダ2708は、エキスパンダ入力に関して反転(ネゲート)されたエキスパンダ出力と、エキスパンダ入力とを有するエキスパンダである。反転増幅器を通して、エキスパンダの入力(または出力)を送ることによって、非反転エキスパンダも同様に使用されてもよい。アタックおよび減衰時定数は、バスパンチユニット1720のアタックおよび減衰時定数に類似していることが好ましい。1つの実施形態では、エキスパンダ2708は、図24に示したエキスパンダ2300を含む。
【0172】
オペアンプ2720の反転入力は、実際に、加算接合であり、(抵抗器2716を通して提供される)入力信号は、(抵抗器2718を通して提供される)拡張された信号に「加算」される。エキスパンダ2708の出力がエキスパンダの入力に対してネゲートされるので、加算接合において減算が発生する。したがって、圧縮器2700の出力は、(抵抗器2716によって重み付けされた)入力信号の重み付けされた和から(抵抗器2718によって重み付けされた)拡張された信号を減算したものである。抵抗器2716をR1と示し、抵抗器2718をR2と示すと、一般的に、R1は、R2よりも大きくなければならない。
【0173】
他の実施形態
本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は、一例として提示したにしか過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。例えば、本発明は、入力チャネルを合成して、合成されたチャネルを生成して修正し、エンハンスされた低音を生成する実施形態に限定されるものではない。チャネルの合成を必要としないので、エンハンスメント信号処理は別々の入力チャネル上で実行されてもよい。さまざまな実施形態では、バイクァッドおよびチェビチェフフィルタを使用したが、本発明はこれらのフィルタアライメントに限定されるものではない。したがって、他のフィルタアライメントもまた同様に使用されてもよい。さらに、フィルタリングは、説明したバンドパスフィルタではなく、ローパスフィルタとハイパスフィルタとを組み合わせたものを使用することによって実現されてもよい。したがって、本発明の広さおよび範囲は、特許請求の範囲、および、これらの均等物のみにしたがって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明を用いた使用に適したオーディオシステムのブロック図である。
【図2】 図2は、サウンドカードおよびラウドスピーカを有するマルチメディアコンピュータシステムのブロック図である。
【図3】 図3は、一般的な小型ラウドスピーカシステムの周波数応答のグラフである。
【図4A】 図4Aは、2つのディスクリート周波数によって表した信号の実際のスペクトルおよび知覚されたスペクトルを図示している。
【図4B】 図4Bは、周波数の連続するスペクトルによって表された信号の実際のスペクトルおよび知覚されたスペクトルを図示している。
【図4C】 図4Cは、変調された搬送波の時間波形を図示している。
【図4D】 図4Dは、検出器による検出後の図4Cの時間波形を図示している。
【図5】 図5は、サウンドカードおよびラウドスピーカを含む一般的なコンピュータシステムのブロック図である。
【図6A】 図6Aは、デジタルサウンドシステムのブロック図である。
【図6B】 図6Bは、サウンドエンハンスメント処理を用いるデジタルサウンドシステムのブロック図である。
【図7】 図7は、サウンドエンハンスメント機能が、サウンドエンハンスメントユニットによって提供される、本発明のハードウェア実施形態のブロック図である。
【図8】 図8は、入力信号のスペクトルを形成し、低周波数サウンドの知覚をエンハンスさせるのに使用される信号処理の1つの実施形態を図示している。
【図9】 図9は、本発明のいくつかの実施形態において使用されるバンドパスフィルタの回路図である。
【図10】 図10は、図8に示した信号処理図において使用されるバンドパスフィルタの伝達関数のグラフである。
【図11】 図11は、ゼロ交差検出器を使用する知覚エンハンスメントシステムの信号処理ブロック図である。
【図12A】 図12Aは、図8に示したバンドバスフィルタに接続されている多数の音響利得制御回路を使用して発生され、十分な低周波数エネルギーを有する入力信号に対応しているエンハンスメント伝達関数を図示している。
【図12B】 図12Bは、図12Aに示したエンハンスメント伝達関数によって生成され結果的に生じた合計のスペクトルを図示している。
【図12C】 図12Cは、図8に示したバンドパスフィルタに接続されている多数の音響利得制御回路を使用して発生され、ほんのわずかの低周波数エネルギーを持つ入力信号に対応しているエンハンスメント伝達関数を図示している。
【図12D】 図12Dは、図12Cに示したエンハンスメント伝達関数によって生成されて結果的に生じた合計のスペクトルを図示している。
【図13】 図13は、図12に示したエンハンスメント伝達関数を生成させるシステムの信号処理ブロック図である。
【図14A】 図14Aは、自動利得制御増幅器のブロック図である。
【図14B】 図14Bは、図14Aに示したブロック図に対応している自動利得制御増幅器の回路図である。
【図15】 図15は、選択可能な周波数応答を用いた、図12に示したようなエンハンスメント伝達関数を提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図16A】 図16Aは、バスエンハンスメント処理を用いるサウンドシステムのブロック図である。
【図16B】 図16Bは、多数のチャネルを単一のバスチャネルに合成するバスエンハンスメントプロセッサのブロック図である。
【図16C】 図16Cは、多数のチャネルを別々に処理するバスエンハンスメントプロセッサのブロック図である。
【図17】 図17は、バスエンハンスメントに選択可能な周波数応答を提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図18】 図18は、図17に示した信号処理図で使用されるバンドパスフィルタの伝達関数のグラフである。
【図19】 図19は、パンチ回路の時間振幅応答を示している時間ドメインのグラフである。
【図20】 図20は、楽器によって再生される一般的な低音音符の信号およびエンベロープ部分を示している時間ドメインのグラフであり、エンベロープは、アタック、減衰、維持、およびリリース部分を示している。
【図21−1】 図21−1(A)は、ゆっくりなアタックを伴うエンベロープ上のバスパンチ回路の効果を示している時間ドメインのグラフであり、図21−1(B)は、早いアタックによるエンベロープに関するバスパンチ回路の結果を示している時間ドメインのグラフであり、図21−1(C)は、図21−1(A)および図21−1(B)に関連したアタック時の時間ドメインのグラフである。
【図21−2】 図21−2は、図21−1および図21−2にに示したバスパンチ伝達関数を含む図17に示したバスエンハンスメントシステムの振幅応答曲線を示している周波数領域のグラフである。
【図22】 図22は、図17に示したバスエンハンスメントシステムを実現する回路図の1つの実施形態を示している。
【図23】 図23は、バスパンチ回路の1つの実施形態のブロック図である。
【図24】 図27は、図23に示したバスパンチ回路の1つのインプリメンテーションの回路図である。
【図25】 図25は、ピーク圧縮器およびバスパンチ回路を使用して、バスエンハンスメントを提供するシステムの信号処理ブロック図である。
【図26】 図26は、早いアタックによるエンベロープに関するピーク圧縮器の結果を示している時間ドメインのグラフである。
【図27】 図27は、ピーク圧縮器の1つの実施形態の回路図である。
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