JP2002264273A - 多層フィルム - Google Patents

多層フィルム

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JP2002264273A
JP2002264273A JP2001068599A JP2001068599A JP2002264273A JP 2002264273 A JP2002264273 A JP 2002264273A JP 2001068599 A JP2001068599 A JP 2001068599A JP 2001068599 A JP2001068599 A JP 2001068599A JP 2002264273 A JP2002264273 A JP 2002264273A
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aromatic vinyl
olefin
copolymer
multilayer film
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JP2001068599A
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Takeshi Oda
威 尾田
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Toru Arai
亨 荒井
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械強度、耐熱性、耐薬品性、応力緩和特
性、弾性回復性に優れた多層フィルムおよびその成形体
を提供する。 【解決手段】 下記クロス共重合化オレフィン−芳香族
ビニル化合物−ジエン共重合体(A)または(A)を5
重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物から成形されたこと
を特徴とする多層フィルム。 (A):芳香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モ
ル%以下、ジエン含量が0.0001モル%以上3モル
%以下、残部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物−ジエン共重合体に、芳香族ビニル化合物含
量が前記共重合体に比し5モル%以上異なるオレフィン
−芳香族ビニル化合物共重合体及び/又はオレフィン−
芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体がクロス共重合化
されていることを特徴とするクロス共重合化オレフィン
−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なクロス共重
合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
(A)または(A)を5重量%以上含む熱可塑性樹脂組
成物からなる層を少なくとも一層以上含む多層フィル
ム、および容器に関する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、芳香族ビニル
化合物含量が1モル%以上96モル%以下、ジエン含量
が0.0001モル%以上3モル%以下、残部がオレフ
ィンであるオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共
重合体に、芳香族ビニル化合物含量が前記共重合体に比
し5モル%以上異なるオレフィン−芳香族ビニル化合物
共重合体及び/又はオレフィン−芳香族ビニル化合物−
ジエン共重合体がクロス共重合化されていることを特徴
とし、例えば熱可塑性エラストマー的な性質等を有する
新規なクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物
−ジエン共重合体(A)または(A)を5重量%以上含
む熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層以上
含む多層フィルムであるストレッチフィルム、熱収縮性
フィルム、ガスバリアー性フィルム、ヒートシール性フ
ィルム及びそれらから成形された容器に関する。これら
は、破断強さ、破断伸び等の機械強度、弾性回復性、透
明性、延伸性、耐油性、耐薬品性の他、耐熱性、耐スク
ラッチ性、広い温度領域での応力緩和特性、成形時の高
いメルトテンション値及び伸張粘度に優れる。
【0003】
【従来の技術】ヘッド−テイルのスチレン連鎖がなく、
スチレンユニットに由来する立体規則性がない、いわゆ
る擬似ランダムスチレン−エチレン共重合体を用いたフ
ィルムは公知である。例えば、USP5703187号
公報には、いわゆるCGCT型触媒を用いて得られる擬
似ランダム共重合体とそれを用いたフィルムが記載され
ている。しかしながら、多層フィルムに付いての具体的
な記載はない。WO95/32095公報、USP56
58625号公報には同様のCGCT触媒を用いて得ら
れる擬似ランダム共重合体を用いた多層のシュリンク性
フィルム等が記載されている。しかし、これら擬似ラン
ダム共重合体は、破断強度等の機械物性や耐溶剤性に関
して十分満足できるものではない。また、CGCT触媒
を用いて得られた共重合体は、特にスチレン含量が20
モル%以下、特に10モル%以下の共重合体の場合、ス
チレン含量の組成分布が比較的大きく、平均的スチレン
含量より相当低いスチレン含量の共重合体成分を含むた
めに、フィルム用途としてその透明性に劣るという欠点
を有する。また、これら疑似ランダム共重合体を用いて
得られるフィルムは、破断強度等の力学物性や、耐薬品
性に関して十分満足できるものではない。スチレン含量
が50モル%以上の共重合体は、ガラス転移点が30℃
以上であり、透明性、初期弾性率が高く、プラスチック
性フィルム、シュリンクフィルムとして特に有用である
が、上記の擬似ランダム共重合体は、ヘッド−テイルの
スチレン連鎖がないため、スチレン含量は最大でも50
モル%であり、それ以上のスチレン含量を有する共重合
体を得ることはできない。
【0004】また、WO99/64500号公報、WO
99/64501号公報には、各々引張応力に対する緩
和、弾性回復率が一定値以上のスチレン−エチレンイン
ターポリマー等のフィルムに関し記載されているが、緩
和特性、弾性回復率の特性は十分でなく、しかも耐熱
性、耐薬品性、耐スクラッチ性、溶融時のメルトテンシ
ョン等が不足していた。一方、特開平11−18111
0号公報には、芳香族ビニル化合物のヘッド−テイル連
鎖構造や立体規則性等特定の構造を有する芳香族ビニル
化合物−α−オレフィンランダム共重合体のフィルム、
例えば食品包装用ストレッチフィルムが開示されてい
る。但し、耐熱性、フィルム強度、耐スクラッチ性のバ
ランスが必ずしも十分ではなく、また応力緩和挙動、動
的粘弾性スペクトルにおけるtanδの温度依存性が大
きい等の課題が残されていた。また、溶融体のメルトテ
ンション、伸張粘度が不十分であることから、溶融時に
延伸しにくい等、成形性にも課題が残されていた。
【0005】ポリオレフィン系樹脂を用いた多層構成の
フィルムも各種考案されている。例えばエチレン−酢酸
ビニル共重合体(EVA)、EVA/1−ポリブテン/
EVA、EVA/直鎖状エチレン−α−オレフィン共重
合体/EVAなどの層構成のストレッチフィルムであ
る。具体的にはエチレン−ブタジエンブロック共重合体
水素添加物の両面にEVAを積層したフィルムが特公平
5−59822号公報に開示されており、変形に対する
弾性回復性がよいという特性があるが、一般にポリオレ
フィンは結晶性が高いため、伸びが不均一であったり、
張力を解除すると瞬間的に復元するため、包装作業性、
包装の仕上がり、底シール性の点において十分満足し得
るものではない。特公平2−14898号公報には、ポ
リオレフィン系のシュリンク包装用多層フィルムが開示
されている。この多層フィルムは両表面層とポリオレフ
ィン系エラストマーを含む混合樹脂層およびポリプロピ
レン系樹脂からなる層の少なくとも4層から構成されて
おり、耐熱性、収縮性、シール性に優れた多層フィルム
となるが、耐突き破れ性、及び耐引き裂き性、変形回復
率の点で不十分であった。
【0006】特開平7−1680号公報には、エチレ
ン、アクリル酸エステル及びマレイン酸無水物とメタク
リル酸グリシジルから選ばれた三元共重合体とエチレン
−ビニルアルコール共重合体とのブレンド樹脂からなる
酸素バリアー層を少なくとも一層有する低酸素透過フィ
ルムで、シール層でない一方の表面層にメタロセン触媒
ポリオレフィンをブレンドするものが開示されている。
しかし、フィルム成形性、シール性に優れた柔軟な多層
フィルムが得られておらず、改善の余地がある。また、
特開2000−117914号公報には、(好ましく
は)特定の構造を有する芳香族ビニル−オレフィンラン
ダム共重合体の多層フィルムに関する記載があるが、力
学特性、透明性、弾性回復率等に優れるものの、耐熱
性、強度の面で不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ような従来の各種の多層フィルム、特に従来のスチレン
−エチレン共重合体から成形された多層フィルムの欠点
が改善された多層フィルムを提供することにある。
【0008】更に詳しくは、従来技術の欠点を改良し、
フィルムの有する優れた耐熱性、収縮性、ヒートシール
性、透明性、防曇性を維持した状態で、各種機能を付与
する樹脂層を積層することにより、破断強度、伸び等の
機械的強度、延伸性、結束性、弾性回復性、変形回復
性、ガスバリアー性に優れた種々のグレードの多層フィ
ルムを提供することにある。なおかつ、従来のスチレン
−エチレン共重合体多層フィルムの耐熱性、強度、熱収
縮(シュリンク)特性、指圧復元性、包装機適性等の欠
点を改善した新規のクロス化芳香族ビニル化合物−α−
オレフィンランダム共重合体をその構成成分として含む
多層フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の組成及
び構造を有する新規なクロス共重合化オレフィン−芳香
族ビニル化合物−ジエン共重合体(A)または(A)を
含む熱可塑性樹脂組成物から成形された多層フィルムに
より前記の課題を解決したものである。
【0010】すなわち、本発明は下記の(A)または
(A)を5重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物からなる
層を少なくとも一層以上含む多層フィルム、ストレッチ
性、熱収縮性、ガスバリアー性、ヒートシール性の各々
多層フィルムおよび容器である。 (A):芳香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モ
ル%以下、ジエン含量が0.0001モル%以上3モル
%以下、残部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物−ジエン共重合体に、芳香族ビニル化合物含
量が前記共重合体に比し5モル%以上異なるオレフィン
−芳香族ビニル化合物共重合体及び/又はオレフィン−
芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体がクロス共重合化
されていることを特徴とするクロス共重合化オレフィン
−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、新規なクロス共重合化
オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
(A)または(A)を5重量%以上含む樹脂組成物から
なる層を少なくとも一層以上含む多層フィルム、ストレ
ッチ性、熱収縮性、ガスバリアー性、ヒートシール性の
各々多層フィルム、包装体、および容器である。以下
(A)について詳細に説明する。
【0012】[クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
ル化合物−ジエン共重合体(A)]本発明のクロス共重
合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
(A)(以下クロス共重合体と記す)は、芳香族ビニル
化合物含量が1モル%以上96モル%以下、ジエン含量
が0.0001モル%以上3モル%以下、残部がオレフ
ィンであるオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共
重合体に、芳香族ビニル化合物含量が5モル%以上異な
るオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体及び/又は
オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体をク
ロス共重合化してなることを特徴とするクロス共重合化
オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体であ
る。
【0013】ここでいうクロス共重合体とは、図1に示
す様に主鎖オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共
重合体とビニル化合物重合体とがジエンユニットを介
し、一点または複数点で、クロス鎖と結合(交差結合)
している構造を主として有する共重合体である。このよ
うなクロス構造は、スター構造と言い換えることが出来
る。また、米国化学会POLY分科会での分類ではSe
gregated star copolymer
(Polymer preprints, 1998,
3月)と呼ばれている。以下、主鎖オレフィン−芳香族
ビニル化合物−ジエン共重合体にクロス結合しているオ
レフィン−芳香族ビニル化合物共重合体及び/又はオレ
フィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体をクロス
鎖と記述する。これに対し、図2に示す様に当業者に公
知のグラフト共重合体は、主鎖の一点または複数点から
分岐したポリマー鎖を主に有する共重合体である。ポリ
マー主鎖と他のポリマー鎖がクロス結合(交差結合)す
るような構造(スター構造ともいえる)は、組成物、相
溶化剤として用いられた場合、一般的にグラフト化構造
に比べ、ポリマーミクロ構造界面の優れた強度が得ら
れ、高い力学的物性を与えると信じられる。
【0014】また、本発明を構成するクロス共重合体
は、芳香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モル%
以下、ジエン含量が0.0001モル%以上3モル%以
下、残部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビニル
化合物−ジエン共重合体にオレフィン−芳香族ビニル化
合物共重合体及び/又はオレフィン−芳香族ビニル化合
物−ジエン共重合体をクロス共重合化してなることを特
徴とするクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合
物−ジエン共重合体であって、そのクロス鎖の芳香族ビ
ニル化合物含量がクロス共重合化前の主鎖のオレフィン
−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体の芳香族ビニル
化合物含量と比較し、5モル%以上異なることを特徴と
するクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−
ジエン共重合体である。さらに好ましくは、本発明のオ
レフィン系樹脂組成物を構成するクロス共重合体は、芳
香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モル%以下、
ジエン含量が0.0001モル%以上3モル%以下、残
部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビニル化合物
−ジエン共重合体にオレフィン−芳香族ビニル化合物共
重合体及び/またはオレフィン−芳香族ビニル化合物−
ジエン共重合体をクロス共重合化してなることを特徴と
するクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−
ジエン共重合体であって、その芳香族ビニル化合物含量
がクロス共重合化前のオレフィン−芳香族ビニル化合物
−ジエン共重合体と比較し、少なくとも5モル%以上異
なることを特徴とするクロス共重合化オレフィン−芳香
族ビニル化合物−ジエン共重合体であることを特徴とす
るクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジ
エン共重合体である。
【0015】また、本発明に用いるクロス共重合体は、
クロス共重合体そのものを示す概念であるだけでなく、
クロス共重合体、及び後記に示した第一重合工程、第二
重合工程で得られるクロス化されなかったオレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体及び/又はオレフィン−芳
香族ビニル化合物−ジエン共重合を任意の割合で含む組
成物の概念を含む。このようなクロス共重合体を含む組
成物は、以下の製造方法によって得ることができる。
【0016】本発明に用いるクロス共重合体の製造法の
例について説明するが以下の製造方法に限定されるもの
ではない。クロス共重合体製造方法は、均一で、工業化
に適する効率性、経済性をもって製造できることが好ま
しい。
【0017】すなわち、第一重合工程として、オレフィ
ンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーとジエンモノ
マーの共重合を行い、オレフィン−芳香族ビニル化合物
−ジエン共重合体を合成し、次に第二重合工程として、
この共重合体とオレフィン及び芳香族ビニル化合物モノ
マー、必要ならばジエンモノマーを用いてクロス共重合
化してクロス共重合体を得る製造方法である。第一重合
工程、第二重合工程とも配位重合触媒が好ましく用いら
れ、なかでもシングルサイト触媒が好適である。
【0018】第一重合工程で重合されるオレフィン−芳
香族ビニル化合物−ジエン共重合体の芳香族ビニル化合
物含量と第二重合工程で重合されるオレフィン−芳香族
ビニル化合物共重合体(第一重合工程で得られる重合液
をそのまま第二重合工程に用いる場合、ここで得られる
重合体には、少量の残留ジエンが共重合される)の芳香
族ビニル化合物含量は、少なくとも5モル%以上異なっ
ていることが必要である。好ましくは10モル%以上、
最も好ましくは15モル%以上異なっていることであ
る。好ましくは、第一重合工程で得られるオレフィン−
芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体の芳香族ビニル化
合物含量と最終的に得られるクロス共重合化オレフィン
−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体の芳香族ビニル
化合物含量は、少なくとも5モル%、好ましくは10モ
ル%以上異なっていることである。
【0019】第一重合工程に用いられるオレフィン類と
しては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、
すなわちプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−
メチル−1−ペンテン、1−オクテンや環状オレフィ
ン、すなわちシクロペンテン、ノルボルネンが挙げられ
る。好ましくは、エチレン、エチレンとプロピレン、1
−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテン等のα−
オレフィンとの混合物、プロピレン等のα−オレフィン
が用いられ、更に好ましくは、エチレン、エチレンとα
−オレフィンの混合物が用いられ、特に好ましくは、エ
チレンが用いられる。
【0020】第一重合工程に用いられる芳香族ビニル化
合物は、好ましくはスチレンが用いられるが、他の芳香
族ビニル化合物、例えばp−クロロスチレン、p−ター
シャリ−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニル
ナフタレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、
ビニルアントラセン等を用いることも可能で、さらにこ
れらの混合物を用いてもよい。
【0021】また、第一重合工程に用いられるジエン類
としては、好ましくは配位重合可能なジエン類が用いら
れる。たとえば特開平6−136060号公報に記載さ
れているブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど
や、特開平11−124420号公報に記載されている
パラジビニルベンゼンやメタジビニルベンゼンなどが挙
げられる。好ましくは1,4−ヘキサジエン、1,5−
ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペン
タジエン、ノルボルナジエン、4−ビニル−1シクロヘ
キセン、3−ビニル−1シクロヘキセン、2−ビニル−
1シクロヘキセン、1−ビニル−1シクロヘキセン、パ
ラジビニルベンゼン、メタジビニルベンゼンまたはこれ
らの混合物が用いられる。さらに、複数の二重結合(ビ
ニル基)が単数または複数の芳香族ビニル環構造を含む
炭素数6から30の炭化水素基を介して結合しているジ
エンを用いることができる。好ましくは、二重結合(ビ
ニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態に
おいて残された二重結合が配位重合可能であるジエン類
であり、最も好ましくはパラ、メタのジビニルベンゼン
及びその混合物が好適に用いられる。
【0022】第一重合工程において得られるオレフィン
−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体は芳香族ビニル
化合物含量が1モル%以上96モル%以下、ジエン含量
が0.0001モル%以上3モル%以下、残部がオレフ
ィンであり、好ましくは芳香族ビニル化合物含量が1モ
ル%以上50モル%以下、ジエン含量が0.001モル
%以上0.5モル%未満、残部がオレフィンである。芳
香族ビニル化合物含量が1モル%以下では、動的粘弾性
スペクトルにおけるtanδ特性、耐薬品性、耐傷付き
性(耐スクラッチ性)などの改質効果が小さく、96モ
ル%以上では耐薬品性、動的粘弾性スペクトルにおける
tanδ特性等が不十分となる。
【0023】また必要量以上のジエン濃度で第一重合工
程を実施すると、重合中にポリマーの架橋構造が多く形
成されゲル化等が起こったり、第二重合工程を経て最終
的に得られるクロス共重合体の加工性や物性が悪化する
ため好ましくない。例えば必要量以上のジエン濃度で第
一重合工程を実施すると、重合液中の残留ジエン濃度が
高くなってしまうため、この重合液を第二重合工程にそ
のまま用いた場合、架橋構造が多く発生し、得られるク
ロス共重合体は同様に加工性や物性が悪化してしまう。
反対に必要量以下のジエン濃度で第一重合行程を実施す
るとクロス化密度が小さくクロス化の効果が十分ではな
い。またクロス共重合体のゲル分が10重量%以上であ
ると流動性などの成形加工性が著しく低下し、成形体を
リサイクルする際など不利になる。これらより第一重合
工程においては用いるジエンの量は、モル比で用いる芳
香族ビニル化合物量に対し好ましくは1/100以下1
/50000以上、より好ましくは1/400以下1/
20000以上である。
【0024】第一重合工程に好ましく用いられるシング
ルサイト配位重合触媒としては、遷移金属化合物と助触
媒から構成される重合触媒、可溶性Zieglar−N
atta触媒、メチルアルミノキサンや硼素化合物等で
活性化された遷移金属化合物触媒(いわゆるメタロセン
触媒やハーフメタロセン触媒、CGCT触媒等)等が挙
げられる。具体的には以下の文献、特許に記載されてい
る重合触媒を用いることができる。たとえば、メタロセ
ン触媒では、USP5324800、特公平7−374
88号公報、特開平6−49132号公報、Polym
er Preprints,Japan,42,229
2(1993)、Macromol. Chem.,
Rapid Commun.,17,745(199
6)、特開平9−309925号公報、EP08724
92A2号公報、特開平6−184179号公報。ハー
フメタロセン触媒では、Makromol.Chem.
191,2387(1990)。CGCT触媒では、特
開平3−163088号公報、特開平7−53618号
公報、EP−A−416815号公報。可溶性Zieg
lar−Natta触媒では、特開平3−250007
号公報、Stud.Surf.Sci.Catal.,
517(1990)。重合体中に均一にジエンが含まれ
る、均一な組成を有するオレフィン−芳香族ビニル化合
物−ジエン共重合体が好適に用いられるが、このような
均一な組成の共重合体を得るためには、Zieglar
−Natta触媒では困難であり、シングルサイト配位
重合触媒が好ましく用いられる。シングルサイト配位重
合触媒とは、遷移金属化合物と助触媒から構成される重
合触媒で、メチルアルミノキサンや硼素化合物等で活性
化された遷移金属化合物触媒(いわゆるメタロセン触媒
やハーフメタロセン触媒、CGCT触媒等)から構成さ
れる重合触媒である。
【0025】最も好適に用いられるシングルサイト配位
重合触媒は、下記化学式(1)で表される遷移金属化合
物と助触媒から構成される重合触媒である。下記の化学
式(1)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成さ
れる重合触媒を用いた場合、ジエン類、特にジビニルベ
ンゼンを高い効率でポリマーに共重合させることが可能
であり、したがって、第一重合工程で用いるジエン類の
使用量及び重合液に残留する未反応ジエン量を低減させ
ることが可能である。
【0026】さらに、下記の化学式(1)で表される遷
移金属化合物と助触媒から構成される重合触媒を用いた
場合、工業化に適する高い活性で均一な組成を有するオ
レフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を製造
することが可能である。また、芳香族ビニル化合物含量
1モル%以上96モル%以下の組成において、アイソタ
クティクの立体規則性とヘッド−テイルのスチレン連鎖
構造を有するオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン
共重合体を得ることができる。
【化2】 式中、A、Bはそれぞれ独立に、非置換もしくは置換ベ
ンゾインデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジ
エニル基、非置換もしくは置換インデニル基、または非
置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基であ
る。YはA、Bと結合を有し、他に水素もしくは炭素数
1〜20の炭化水素を含む基(この基は1〜3個の窒
素、硼素、珪素、燐、セレン、酸素または硫黄原子を含
んでもよい)を置換基として有するメチレン基、シリレ
ン基、エチレン基、ゲルミレン基、ほう素残基である。
置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Y
はシクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の環
状構造を有していてもよい。Xは、それぞれ独立に水
素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6
〜10のアリール基、炭素数8〜12のアルキルアリー
ル基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または水素、また
は炭素数1〜22の炭化水素置換基を有するアミド基で
ある。nは、0、1または2の整数である。Mはジルコ
ニウム、ハフニウム、またはチタンである。特に好まし
くは、A、Bのうち、少なくとも1つは非置換もしくは
置換ベンゾインデニル基、または非置換もしくは置換イ
ンデニル基から選ばれる基である前記の一般式(1)の
遷移金属化合物と助触媒から構成される重合触媒であ
る。
【0027】第一重合工程で用いる助触媒としては、従
来遷移金属化合物と組み合わせて用いられている公知の
助触媒やアルキルアルミニウム化合物を使用することが
できるが、そのような助触媒として、メチルアルミノキ
サン(またはメチルアルモキサンまたはMAOと記す)
またはほう素化合物が好適に用いられる。用いられる助
触媒やアルキルアルミニウム化合物の例としては、EP
−0872492A2号公報、特開平11−13080
8号公報、特開平9−309925号公報、WO00/
20426号公報、EP0985689A2号公報、特
開平6−184179号公報に記載されている助触媒や
アルキルアルミニウム化合物が挙げられる。
【0028】オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン
共重合体を製造するにあたっては、前記に例示した各モ
ノマー、金属錯体(遷移金属化合物)および助触媒を接
触させるが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方法
を用いることができる。
【0029】以上の第一重合工程の方法としては溶媒を
用いずに液状モノマー中で重合させる方法、あるいはペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロ置換
ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロ
ホルム等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素またはハロ
ゲン化炭化水素の単独または混合溶媒を用いる方法があ
る。好ましくは混合アルカン系溶媒やシクロヘキサンや
トルエン、エチルベンゼンが用いられる。重合形態は溶
液重合、スラリ−重合いずれでもよい。また、必要に応
じ、バッチ重合、連続重合、多段式重合等の公知の方法
を用いることができる。
【0030】リニアやル−プの単数、連結された複数の
パイプ重合を用いることも可能である。この場合、パイ
プ状の重合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱
を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細
管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有しても良
い。また、バッチタイプの予備重合缶を有していても良
い。さらには気相重合等の方法を用いることができる。
【0031】重合温度は、−78℃から200℃が適当
である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であ
り、200℃を超えると金属錯体の分解が起こるので適
当ではない。さらに工業的に好ましくは、0℃〜160
℃、特に好ましくは30℃〜160℃である。重合時の
圧力は、一般的には0.1気圧〜1000気圧が適当で
あり、好ましくは1〜100気圧、特に工業的に特に好
ましくは、1〜30気圧である。
【0032】助触媒として有機アルミニウム化合物を用
いる場合には、錯体の金属に対し、アルミニウム原子/
錯体金属原子比で0.1〜100000、好ましくは1
0〜10000の比で用いる。0.1より小さいと有効
に金属錯体を活性化出来ず、100000を超えると経
済的に不利となる。助触媒としてほう素化合物を用いる
場合には、ほう素原子/錯体金属原子比で0.01〜1
00の比で用いられるが、好ましくは0.1〜10、特
に好ましくは1で用いる。0.01より小さいと有効に
金属錯体を活性化出来ず、100を超えると経済的に不
利となる。金属錯体と助触媒は、重合槽外で混合、調製
しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0033】本発明の第一重合工程では、オレフィン分
圧は、重合開始時のオレフィン分圧に対し、150%未
満、50%より大きい範囲で連続的にまたは段階的に変
更することができる。しかし第一重合工程のオレフィン
分圧は、重合中は一定に保つのが好ましい。
【0034】第一重合工程で得られるオレフィン−芳香
族ビニル化合物−ジエン共重合体としては、好ましくは
エチレン−スチレン−ジエン共重合体、またはエチレン
−α−オレフィン−スチレン−ジエン共重合体、または
エチレン−環状オレフィン−スチレン−ジエン共重合
体、特に好ましくはエチレン−スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体が用いられる。また、第一重合工程で得ら
れるオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
は、含まれるジエンモノマーユニットでクロス構造また
は架橋構造を有していても良いが、ゲル分は全体の10
重量%未満、好ましくは1重量%未満である。
【0035】以下に本発明に用いられる代表的、好適な
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体につい
て説明する。第一重合工程で得られるエチレン−スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体は、TMSを基準とした
13C−NMR測定によって40〜45ppmに観察さ
れるピークによって帰属されるヘッド−テイルのスチレ
ンユニットの連鎖構造を有することが好ましく、さら
に、42.3〜43.1ppm、43.7〜44.5p
pm、40.4〜41.0ppm、43.0〜43.6
ppmに観察されるピークによって帰属されるスチレン
ユニットの連鎖構造を有することが好ましい。
【0036】また、スチレンの単独重合によって、アイ
ソタクティクのポリスチレンを作ることができ、かつエ
チレンの単独重合によって、ポリエチレンを作ることが
できるメタロセン触媒を用いて得られるエチレン−スチ
レン−ジビニルベンゼン共重合体が好適である。そのた
め、得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共
重合体は、エチレン連鎖構造、ヘッド−テイルのスチレ
ン連鎖構造、エチレンユニットとスチレンユニットが結
合した構造を共にその主鎖中に有することができる。
【0037】好ましく用いられる、第一重合工程で得ら
れるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
は、その構造中に含まれる下記の一般式(1)で示され
るスチレンとエチレンの交互構造のフェニル基の立体規
則性がアイソタクティクダイアッド分率(またはメソダ
イアッド分率)Pmで0.5より大きい、好ましくは
0.75より大きい、特に好ましくは0.95より大き
い共重合体である。エチレンとスチレンの交互共重合構
造のアイソタクティクダイアッド分率Pmは、TMSを
基準とした13C−NMR測定によって25ppm付近
に現れるメチレン炭素ピークのr構造に由来するピーク
面積Arと、m構造に由来するピークの面積Amから、
下記の式(1)によって求めることができる。 Pm=Am/(Ar+Am) 一般式(1) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。なお、m構造はメソダイアッド構造、
r構造はラセミダイアッド構造を表す。
【0038】第一重合工程で得られるエチレン−スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体は、共重合体構造中に含
まれる下記一般式(2)で示されるスチレンとエチレン
の交互構造の割合を示す交互構造指数λが70より小さ
く、0.01より大きい、好ましくは30より小さく、
0.1より大きい共重合体であることが好ましい。 λ=A3/A2×100 一般式(2) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下
記の化学式(2)で示されるエチレン−スチレン交互構
造に由来する3種類のピークa、b、cの面積の総和で
ある。また、A2はTMSを基準とした13C−NMR
により0〜50ppmの範囲に観測される主鎖メチレン
及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積の総和であ
る。
【化3】 (式中、Phはフェニル基、xは繰り返し単位数を示し
2以上の整数を表す。)
【0039】特に、エチレン−スチレン交互構造に高度
のアイソタクティクの立体規則性を有しかつ、交互構造
指数λ値が70より小さい共重合体が本発明の共重合体
として好ましく、さらに、ヘッド−テイルのスチレン連
鎖を有し、かつエチレン−スチレン交互構造にアイソタ
クティクの立体規則性を有し、かつ交互構造指数λ値が
70より小さい共重合体が本発明の共重合体として特に
好ましい。
【0040】すなわち、本発明に用いる好ましい第一重
合工程で得られるオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジ
エン共重合体は、高い立体規則性を有するエチレンとス
チレンの交互構造と、同時に種々の長さのエチレン連
鎖、スチレンの異種結合、種々の長さのスチレン連鎖等
の多様な構造を併せて有するという特徴を持つ。また、
本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重
合体は、用いる重合触媒や重合条件、共重合体中の芳香
族ビニル化合物含量によって交互構造の割合を、前記の
式で得られるλ値で0.01より大きく70未満の範囲
で種々変更可能である。
【0041】以上に記した、本発明に好適に用いられる
第一重合工程で得られるオレフィン−芳香族ビニル化合
物−ジエン共重合体、特にエチレン−スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体は、前記の化学式(1)で表される
遷移金属化合物と助触媒から構成される重合触媒により
得ることができる。
【0042】以上、オレフィン−芳香族ビニル化合物−
ジエン共重合体を製造する際の第一重合行程で得られる
代表的、好適な例としてのエチレン−スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体について説明したが、もちろん本発
明に用いられるオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエ
ン共重合体はこれには限定されない。
【0043】第一重合工程で得られるオレフィン−芳香
族ビニル化合物−ジエン共重合体の重量平均分子量は、
1万以上、好ましくは3万以上、特に好ましくは6万以
上であり、100万以下、好ましくは50万以下であ
る。分子量分布(Mw/Mn)は、6以下、好ましくは
4以下、最も好ましくは3以下である。ここでの重量平
均分子量はGPCで標準ポリスチレンを用いて求めたポ
リスチレン換算分子量をいう。以下の説明でも同様であ
る。本発明に用いられるオレフィン−芳香族ビニル化合
物−ジエン共重合体の重量平均分子量は、水素等の連鎖
移動剤をもちいる公知の方法、或いは重合温度を変える
ことにより上記の範囲内で必要に応じて調節することが
可能である。また第一重合工程で得られるオレフィン−
芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体は、含まれるジエ
ンユニットを介して、一部クロス構造や分岐構造を有し
ていても良い。
【0044】次に第二重合工程について説明する。ここ
でいう第二重合工程は、条件などの違う複数の重合工程
からなってもよい。第二重合工程としては、好ましくは
シングルサイト配位重合触媒を用いた配位重合が採用さ
れる。更に好ましくは第一重合工程と同じ前記化学式
(1)で示される遷移金属化合物と助触媒から構成され
るシングルサイト配位重合触媒が採用される。この化学
式(1)で示される遷移金属化合物と助触媒から構成さ
れるシングルサイト配位重合触媒は、ポリマー主鎖に共
重合されたジエンユニット、特にジビニルベンゼンの残
留配位重合性二重結合を高い効率で共重合できるため、
第二重合工程の触媒としても好ましい。第二重合工程で
得られる共重合体は、前記第一重合工程における共重合
体と同様の構造を有するのが好ましいが、組成は芳香族
ビニル化合物含量が第一重合工程における共重合体のそ
れに比し5モル%以上異なることが必要である。
【0045】第二重合工程では、例えば、前記の第一重
合工程で用いられる重合方法と同類の方法が用いられ
る。この場合、前記第一重合工程で用いられるオレフィ
ン類、芳香族ビニル化合物類、必要に応じて、または重
合液に残留しているジエンの各モノマー用いることがで
きる。第二重合工程は、前記の第一重合工程で得られた
重合液を用い、第一重合工程に引き続いて実施されるの
が好ましい。しかし、前記の第一重合工程で得られた共
重合体を重合液から回収し、新たな溶媒に溶解し、新た
にオレフィンなどのモノマーを加えて、シングルサイト
配位重合触媒の存在下で第二重合工程を実施しても良
い。
【0046】第一重合工程で重合されるオレフィン−芳
香族ビニル化合物−ジエン共重合体に比し第二重合工程
で重合されるオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体
またはオレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合
体(第一重合工程で得られる重合液をそのまま第二重合
工程に用いる場合、得られる重合体には、少量の残留ジ
エンが共重合される)の芳香族ビニル化合物含量は、少
なくとも5モル%異なっていることが必要である。好ま
しくは10モル%以上、最も好ましくは15モル%以上
異なっていることである。また第一重合工程で得られる
重合体の芳香族ビニル化合物含量と最終的に得られるク
ロス共重合体の芳香族ビニル化合物含量は少なくとも5
モル%以上異なっていることが好ましい。
【0047】第一重合工程で得られる重合体と第二重合
工程で得られる重合体の芳香族ビニル含量が5モル%以
上異ならないとクロス共重合体として第一重合工程で得
られる重合体と第二重合工程で得られる重合体の平均的
な物性しか得られないのに対し、芳香族ビニル化合物含
量が5モル%以上異なると第一重合工程で得られる重合
体と第二重合工程で得られる重合体両者の特長が現れ
る。特長としては例えば柔軟性、耐熱性、永久圧縮歪
み、レオロジー特性、耐薬品性、成形性などが挙げら
れ、これらの特長を併せ持ち、多様な特性を同時に付与
することができる。また第一重合工程で得られる重合体
の芳香族ビニル化合物含量と最終的に得られるクロス共
重合体の芳香族ビニル化合物含量は5モル%以上異なっ
ていることが好ましく、前記と同様に第一重合工程で得
られる重合体の芳香族ビニル化合物含量と最終的に得ら
れるクロス共重合体の芳香族ビニル化合物含量が5モル
%以上異なると第一重合工程で得られる重合体と第二重
合工程で得られる重合体両者の特長が現れる。
【0048】第二重合工程で得られる重合体は、含まれ
るジエンユニットを介して、分岐構造を有していても良
い。
【0049】以上を満足する具体的な製造方法を以下に
示す。すなわち、第一重合工程として、配位重合触媒を
用いて芳香族ビニル化合物モノマー、オレフィンモノマ
ーおよびジエンモノマーの共重合を行いオレフィン−芳
香族ビニル化合物−ジエン共重合体を合成し、次にこれ
と重合条件の異なる第二重合工程として、このオレフィ
ン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体と少なくとも
オレフィン、芳香族ビニル化合物、必要に応じジエンの
共存下、配位重合触媒を用いて重合する少なくとも2段
階の重合方法である。更に、好ましくは少なくとも以下
の条件の一つ以上を満足する製造方法である。 1)第一重合工程の重合開始直前のオレフィン分圧に対
し、第二重合工程における重合液のオレフィン分圧が1
50%以上または50%以下であること。 2)第一重合工程の重合開始直前の芳香族ビニル化合物
濃度に対し、第二重合工程の重合開始直前における重合
液の芳香族ビニル化合物濃度が30%以下、または20
0%以上であること。 3)第一重合工程と第二重合工程において、異なるシン
グルサイト配位重合触媒を用いること。 4)第一重合工程と第二重合工程において、重合に用い
られるオレフィンの種類が異なること。 なをここで第一重合工程と第二重合工程は、これらの条
件変更のための作業が開始された時点で区別される。
【0050】以上の条件を満たす変更は、できるだけ急
峻に行われ完了すること、好ましくは第二重合工程の重
合時間の50%以内、より好ましくは30%以内、更に
好ましくは10%以内の時間内に完了することが好まし
い。また第一重合工程と第二重合工程の重合温度は同一
であることが好ましい。異なる場合は、約100℃以内
の温度差が適当である。
【0051】重合液中のモノマー組成比を変更する方法
としては、例えば第一重合工程に対し、第二重合工程に
おける重合液のオレフィン分圧を150%以上、好まし
くは200%以上、最も好ましくは300%以上に変更
する方法がある。一例としてオレフィンとしてエチレン
が用いられる場合、エチレン圧0.2MPaで第一重合
工程を実施した場合は、第二重合工程では0.3MPa
以上、好ましくは0.4MPa以上、最も好ましくは
0.6MPa以上で実施する。また第一重合工程に対
し、第二重合工程における重合液のオレフィン分圧を5
0%以下、好ましくは20%以下に変更してもよい。例
えば、エチレン圧1.0MPaで第一重合工程を実施し
た場合は、第二重合工程では0.5MPa以下、好まし
くは0.2MPa以下で実施する。第二重合工程のオレ
フィン分圧は上記の条件を満たしていれば、重合中は一
定でもよく、また段階的に、または連続的に変化しても
良い。
【0052】さらに重合液中のモノマー組成比を変更す
る方法として一例をあげれば、第一重合工程の重合開始
直前に対し、第二重合工程における重合開始直前の重合
液の芳香族ビニル化合物濃度が30%以下、好ましくは
20%以下、または200%以上、好ましくは500%
以上に変更する方法も適用できる。例えば芳香族ビニル
化合物としてスチレンが用いられる場合、重合液中のス
チレン濃度1モル/Lで第一重合工程を開始した場合
は、第二重合工程では0.3モル/L以下、好ましくは
0.2モル/L以下で実施する、または2モル/L以
上、好ましくは5モル/L以上で実施する。さらに、前
記オレフィン分圧と芳香族ビニル化合物濃度の変更を組
み合わせて適用してもよい。
【0053】第一重合工程で得られた共重合体を重合液
から回収し、新たな溶媒に溶解し、オレフィン及び芳香
族ビニル化合物モノマーを加えて、シングルサイト配位
重合触媒の存在下で第二重合工程を実施する場合には、
第一重合工程とは異なるシングルサイト重合触媒を用い
ることができる。
【0054】第一重合工程と第二重合工程において、重
合に用いられるオレフィンの種類を変更することで、第
一重合工程と第二重合工程で重合される共重合体の芳香
族ビニル化合物含量を前記のごとく変更させることも可
能である。
【0055】また、第二重合工程が前記の第一重合工程
で得られた重合液を用い第一重合工程に引き続いて実施
され、新たな芳香族ビニル化合物モノマーの添加なしに
第一重合工程重合液中に残留するモノマーを第二重合工
程に用いる場合には、すべての重合工程を通した芳香族
ビニル化合物モノマー種の転換率は、好ましくは50重
量%以上、特に好ましくは60重量%以上である。第二
重合工程、あるいは、すべての重合工程を通しての芳香
族ビニル化合物モノマーの転換率が高くなるほど、共重
合体主鎖のジエンユニットの重合性二重結合がクロス共
重合される確率が増加する。
【0056】クロス共重合体の製造に当たっては、好ま
しくは段落番号0049に記載の前記条件のうち、1)
または2)を満足する製造方法が採用され、前記条件の
うち、1)を満足する製造方法がより好ましく採用され
る。 1)を満足する製造方法において、更に好ましくは第一
重合工程に対し、第二重合工程における重合液のオレフ
ィン分圧を300%以上に変更する方法が採用される。
また、第一重合工程のオレフィン分圧が一定ではない場
合、すなわち前記の範囲内で変動する場合は、好ましく
は第一重合工程の重合開始直前のオレフィン分圧に対
し、第二重合工程の重合開始直前における重合液のオレ
フィン分圧が300%以上を維持する様に変更する方法
が採用される。
【0057】第一重合工程で得られる共重合体の割合は
最終的に得られるクロス共重合体の少なくとも10重量
%以上、好ましくは30重量%以上であり。また、第二
重合工程で得られる重合体(クロス鎖重量を含む)の量
は、最終的に得られるクロス共重合体の少なくとも10
重量%以上、好ましくは30重量%以上である。どちら
か一方が10重量%以下もしくは90重量%以上である
と少量成分の重合体の特長が十分発現しない。例えば柔
軟性、耐熱性、永久圧縮歪み、レオロジー特性、耐薬品
性、成形性などが挙げられ、10重量%以下または90
重量%以上では、これらの特長を併せ持たせられず、そ
の結果として例示したような多様な特性を同時に付与す
ることができない。ここで最終的に得られるクロス共重
合体の芳香族ビニル含量は1モル%以上、96モル%以
下が好ましく、ジエン含量は0.0001モル%以上3
モル%以下が好ましい。
【0058】第一重合工程と第二重合工程を別な反応器
で実施することもできる。またこれらの工程を単一の反
応器を用いて実施することもできる。クロス共重合体
を、単一の反応器で、連続的にオレフィンまたは芳香族
ビニル化合物濃度を変更しながら、オレフィン、芳香族
ビニル化合物、ジエンの共重合を配位重合触媒を用いて
製造することもできる。
【0059】以下、本発明のクロス共重合体の代表例と
してのクロス共重合化エチレン−スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体の物性について記述する。本発明に用い
るクロス共重合体(A)は、例えば熱可塑性エラストマ
ー様の性質等を有する。また、主鎖とクロス鎖の組成
(クロス共重合化エチレン−スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体の場合はスチレン含量)が大きく異なること
が特徴である。主鎖、あるいはクロス鎖のどちらかにス
チレン含量の低い組成、(すなわちエチレン連鎖に由来
する結晶構造)を有することができる。また、本発明の
クロス共重合体は、主鎖及びクロス鎖のスチレン含量に
それぞれ対応する、異なったスチレン含量のエチレン−
スチレン共重合体(少量のジビニルベンゼンを含んでい
ても良い)を任意の割合で含むことができる。なぜなら
ば、クロス共重合体は、これらの相溶化剤として機能す
るために、各種特徴をあわせ有することが可能となる。
【0060】クロス共重合体は、エチレン連鎖に由来す
る結晶構造を有することができるため、良好な耐熱性を
有する。さらに、低いスチレン含量のエチレン−スチレ
ン共重合体が有する低いガラス転移温度や低い脆化温度
(−50℃以下)、高い力学物性(破断強度、引張り弾
性率)という特徴をもあわせ有することができる。ま
た、主鎖、あるいはクロス鎖のどちらかに相対的にスチ
レン含量の高い組成を有することができるため、以下に
示す比較的高いスチレン含量を有するエチレン−スチレ
ン共重合体の特徴を有することができる。すなわち、相
対的に低い引張り弾性率、表面硬度、しなやかさ、粘弾
性スペクトルにおける室温付近のtanδ成分(0℃ま
たは25℃において0.05〜2.0、好ましくは0.
1〜0.80)や、耐傷つき性、塩ビ様の感触、着色
性、印刷性を有することができる。すなわち、特徴とし
ては従来のエチレン−スチレン共重合体と比べ、耐熱
性、相溶化性、耐スクラッチ性、耐摩耗性、耐薬品性な
どが優れている。
【0061】本発明に用いられるクロス共重合体は、D
SCにより融点が好ましくは65℃以上140℃以下、
さらに好ましくは80℃以上130℃以下に少なくとも
一つ観測され、かつその融点が10J/g以上、150
J/g以下、好ましくは20J/g以上120J/g以
下であることが好ましい。本発明に用いられるクロス共
重合体は、エチレン連鎖構造に基づく結晶構造を有する
ことが好ましい。この結晶構造は公知の方法、たとえば
X線回折法などにより確認することができる。さらに、
クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエ
ン共重合体の芳香族ビニル化合物含量が5モル%以上5
0モル%以下の場合、その芳香族ビニル化合物含量と、
DSC測定による結晶融解熱が10J/g以上150J
/g以下である融点の少なくとも一つが以下の関係を満
たすことが好ましい。 (5≦St≦20) −3・St+125≦Tm≦140 (20<St≦50) 65≦Tm≦140 Tm;DSC測定による結晶融解熱が10J/g以上1
50J/g以下である融点(℃) St;芳香族ビニル化合物含量(モル%) この関係は同じ芳香族ビニル化合物含量である場合、特
開平3−163088号公報、特開平7−53618号
公報により公知であるいわゆる擬似ランダム共重合体
や、特開平9−309925号公報、特開平11−13
0808号公報により公知であるオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物ランダム共重合体よりもクロス共重合体の方
が高い融点を持つことを示している。
【0062】また、クロス共重合化オレフィン−芳香族
ビニル化合物−ジエン共重合体の芳香族ビニル化合物含
量が5モル%以上20モル%以下の場合、芳香族ビニル
化合物含量とビカット軟化点が以下の関係を満たすこと
が好ましい。 (5≦St≦20) −3・St+120≦Tvicat≦140 Tvicat;ビカット軟化点(℃) St;芳香族ビニル化合物含量(モル%) この関係は同じ芳香族ビニル化合物含量である場合、特
開平3−163088号公報、特開平7−53618号
公報により公知であるいわゆる擬似ランダム共重合体
や、特開平9−309925号公報、特開平11−13
0808号公報により公知であるオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物ランダム共重合体よりもクロス共重合体の方
が高いビカット軟化点をを持つことを示している。
【0063】本発明のクロス共重合体(A)は、クロス
構造をもたない従来のランダム共重合体に比較して、耐
熱性、強度、耐スクラッチ性、耐摩耗性、応力緩和特
性、成形時の伸張粘度及びメルトテンション等の成形加
工性に優れる。
【0064】本発明の多層フィルムは、上記クロス共重
合体(A)または(A)を5重量%以上、好ましくは、
20重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特
に好ましくは80重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物か
ら成形される。5重量%未満では、クロス共重合体が本
来有する特徴、例えば、耐熱性、強度等力学特性、耐薬
品性等を十分に発揮することができない。
【0065】本発明の多層フィルムにおいて(A)を含
む樹脂層にブレンド可能なオレフィン系重合体として
は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレ
ンと炭素数3〜8のα−オレフィンとからなるエチレン
−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重
合体から選ばれるいずれか1種または2種以上のオレフ
ィン系重合体を挙げることができる。例えば、アイソタ
クティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリ
プロピレン、アタクティックポリプロピレン、直鎖低密
度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン
(LDPE)、エチレン、プロピレンとブテン、ヘキセ
ン、オクテン等α−オレフィンとのブロック、ランダム
共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、エチ
レン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタク
リル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アイオノマー樹脂等を例示することができる。
【0066】本発明の多層フィルムにおいて、(A)を
含む樹脂層にブレンド可能なスチレン系重合体として
は、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジ
エン−スチレン共重合体、スチレン−メタクリル酸エス
テル共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合
体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水
素添加体、スチレン−イソプレンブロック共重合体及び
その水素添加体より選ばれた少なくとも一種を挙げるこ
とができる。例えば、ポリスチレン(アタクティック、
アイソタクティック、シンジオタクティック)、スチレ
ン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共
重合体(SBS)、及びその水素添加物(SEBS)、
スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、およびその水
素添加物、ブタジエンラバー(BR)、スチレン−イソ
プレンブロック共重合体(SIS)、およびその水素添
加物(SEPS)、スチレン−ブタジエン−メチルメタ
クリレート共重合体(MBS)等を例示することができ
る。
【0067】上記オレフィン系重合体、スチレン系重合
体のブレンド量は、好ましくは90重量%以下、さらに
好ましくは80重量%以下、特に好ましくは50重量%
以下である。95重量%を越えると、クロス共重合体が
本来有する特徴、例えば、耐熱性、強度等力学特性、耐
薬品性等を十分に発揮することができない。
【0068】本発明の多層フィルムにおいて、(A)を
含む樹脂層には、オレフィン系重合体、スチレン系重合
体以外にも、種々の樹脂、例えばポリフェニレンエーテ
ル、ポリメチルメタクリレート等、種々のランダム、ブ
ロック、ホモ重合体が添加可能である。その添加量は、
本発明の強度、耐熱性等を損なわない範囲で特に制限は
ないが、好ましくは、50重量%以下、更に好ましくは
30重量%以下である。
【0069】本発明の多層フィルムは、必要に応じて、
防曇剤、ブロッキング防止剤等を単独または任意の組み
合わせで、任意の層に添加することが可能である。
【0070】本発明に適用可能な防曇剤に特に制限はな
いが、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性
剤、蔗糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル等を例示す
ることができる。防曇剤の添加量に特に制限はないが、
好ましくは1重量%以下である。添加量が1重量%を超
えると、多層フィルムの強度、耐熱性等が低下する場合
がある。
【0071】本発明に適用可能なブロッキング防止剤に
特に制限はないが、エチレンビスアミド、ステアリン酸
アミド等アミド化合物、ステアアリン酸等のカルボン
酸、ステアリン酸亜鉛等のカルボン酸塩を例示すること
ができる。ブロッキング防止剤の添加量に特に制限はな
いが、好ましくは1重量%以下である。添加量が1重量
%を超えると、多層フィルムの強度、耐熱性等が低下す
る場合がある。
【0072】本発明の(A)を含む熱可塑性樹脂組成物
は、ガラス転移温度20℃以上の石油樹脂、テルペン樹
脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン樹脂及びこれらの
水素添加体から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含むこ
とが可能である。上記の樹脂に特に制限はないが、種々
の組成、分子量の石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−
インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加
体等を例示することができる。ガラス転移点が20℃未
満であると、例えば室温における弾性回復性、包装機適
性等が不十分となる場合がある。またガラス転移点が2
0℃以上の上記樹脂の添加量は、好ましくは50重量%
以下、更に好ましくは30重量%以下である。50重量
%を超えると強度、室温における弾性回復性等の特性が
低下する。
【0073】本発明の多層フィルムは、上記各成分の
他、必要に応じて、各層に安定剤、老化防止剤、耐光性
向上剤、紫外線吸収剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、加工助
剤、着色剤、帯電防止剤、結晶核剤等を添加することが
できる。これらは単独または複数を組み合わせて使用す
ることができる。
【0074】本発明の多層フィルムは、特に、ストレッ
チフィルムとして用いる場合、23℃における100%
引張歪みからの10分後の回復率が70%〜100%で
あることが好ましい。回復率が70%未満であると、包
装時のフィルムの張りが不十分となったり、包装機械適
性が不十分となる場合がある。更に、23℃における初
期弾性率が20MPa〜100MPaであることが好ま
しい。20MPa以下であると、剛性が不足となり簡単
に伸びてしまうため多層フィルムとして不適当となる場
合がある。また100MPaを超えると逆に硬くなりす
ぎ、包装機適性等が不足する場合がある。なお、初期弾
性率は引張試験のストレス−ストレイン曲線において、
フックの法則に従う低歪み領域でのヤング率を表す。具
体的測定方法はJIS K7113に記載されている。
上記、回復率、初期弾性率はフィルムの延伸条件によっ
て大幅に変化するため、材料自体の評価を行うためには
プレス成形等、実質的に無延伸の条件下で成形し、評価
を行う。
【0075】本発明の多層フィルムは、特に、ストレッ
チフィルムとして用いる場合、周波数1Hzで測定した
動的粘弾性スペクトルにおいて、0℃〜30℃における
損失正接tanδに関して、最大値、最小値が各々0.
5以上かつ0.05以上であることが好ましい。更に最
大値と最小値の差が2.0以下が好ましく、1.0以下
がさらに好ましい。これら条件から外れた場合、0℃〜
30℃における応力緩和特性が不十分となり、多層フィ
ルムとしての回復性、感触(ゴム的な弾性が強すぎない
こと)、包装機適性が不足する場合がある。さらに、3
条件のうち1ないし2条件を満足するのみでは、tan
δ特性の温度依存性が強くなりすぎ、0〜30℃の領域
のいずれの温度においても上記特性を一様に満足すると
いうことが不可能となる場合がある。
【0076】本発明に用いられるクロス共重合体(A)
はミクロ構造の均質性が高い場合、つまり主鎖、クロス
鎖の少なくとも一方が好ましくは平均3μ以下の分散相
として分散構造をとる場合、またはミクロ相分離構造を
有する場合、透明性に優れたフィルムを得ることが出来
る。フィルムに透明性を必要とする場合には樹脂組成物
中に含まれる割合としては、好ましくは本発明のクロス
共重合体(A)が80重量%以上、更に好ましくは95
重量%以上、特に好ましくは98重量%以上からなる場
合である。
【0077】(A)を含む樹脂層に関しては、また上記
のように選択された透明なクロス共重合体と屈折率値が
近接しており、なおかつ、透明性に優れる等の特性を有
する樹脂、エラストマー、ゴム、添加物等とブレンドし
てフィルムに透明性を付与する方法がある。この場合、
両者の屈折率値差は好ましくは0.2以下、更に好まし
くは0.05以下、特に好ましくは0.02以下であ
る。更にこの場合、相溶性パラメータの値の差が一定以
内にあれば、透明性は更に向上させることができる。具
体的には5(cal/cm3)1/2以下が好ましく、
3(cal/cm3)1/2以下が更に好ましく、1
(cal/cm3)1/2以下が特に好ましい。ブレン
ドする樹脂、エラストマー、ゴム、添加物等の屈折率、
相溶性パラメータの値は、例えばウイリー・インターサ
イエンス社(WILEY INTERSCIENCE
社)発行のポリマーハンドブック第3版等に記載され公
知である。更に、樹脂、エラストマー、ゴム、添加物等
を微小な粒子、好ましくは0.5μm以下、更に好まし
くは0.2μm以下、特に好ましくは0.05μm以下
で分散させた場合も、透明性に優れたフィルムとなる。
特に押出し成形法によってつくられた本発明の多層フィ
ルムは、上記条件を満足する場合、通常80%以上、好
ましくは約88%以上の全光透過率の優れた透明性を有
することが可能となる。全光透過率(または全光線透過
率)は例えばJIS K−7361−1、K−7105
等に記載された方法により測定することができる。
【0078】本発明の多層フィルムは必要に応じて、コ
ロナ、オゾン、プラズマ等の表面処理、防曇剤塗布、滑
剤塗布、印刷等を実施することができる。本発明の多層
フィルムは、必要に応じて1軸または2軸等の延伸配向
を行うことが出来る。本発明の多層フィルムは必要に応
じて、熱、超音波、高周波等の手法による融着、溶剤等
による接着等の手法によりフィルム同士、あるいは他の
熱可塑性樹脂等の材料と接合することができる。また食
品包装用ストレッチフィルムとして使用する場合には、
自動包装機、手動包装機により好適に包装することが可
能である。
【0079】本発明の多層フィルムの厚みに特に制限は
ないが、好ましくは3μm〜1mm,さらに好ましくは
10μm〜0.5mmである。ストレッチフィルム、シ
ュリンクフィルム用途として好適に使用するためには、
好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50
μmである。また、容器としては100μm以上の厚み
があることが好ましく、真空成形、圧縮成形、圧空成形
等の熱成形等の手法により、食品や、電気製品等の包装
用容器や包装用トレーを提供することができる。またフ
ィルムを接着、ヒートシール等の手法によりパウチ形状
にすることも可能である。
【0080】さらに、本発明の多層フィルムは、クロス
共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重
合体(A)が自己粘着性、接着性をある程度有する場合
もあるが、更に強い自己粘着性が要求される場合には、
自己粘着性を有する粘着層を配置した多層フィルムにす
ることもできる。また適当な粘着付与剤を適当量添加し
て用いることもできる。粘着層には好ましくはエチレン
−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂が用いられる。酢
酸ビニルの含量としては5〜25%重量、メルトフロー
レシオ(以下MFRと表記する)が230℃、荷重2.
16kgfの条件で測定した場合、0.1〜30g/m
inのものが好ましい。特に好ましくは酢酸ビニルの含
量が10〜20重量%、MFRが0.3〜10g/mi
nのものである。酢酸ビニル含有量が5%未満である
と、硬くて伸びにくく透明性が低下する場合があり、、
酢酸ビニル含有量が25%を超えると、強度が低下して
包装作業時破れやすくなる場合がある。またMFRが
0.1未満では押出し成形性が悪化し、30を超えると
フィルムの強度が低下し破れやすくなる場合がある。
【0081】本発明の多層フィルムは、物性の改善を目
的として、他の適当なフィルム、例えば、オレフィン系
重合体、スチレン系重合体、ポリエチレンテレフタレー
トなどのフィルムと多層化することができる。
【0082】オレフィン系重合体としては、高密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜
8のα−オレフィンとからなるエチレン−α−オレフィ
ン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ホモポリ
プロピレン、プロピレン−エチレン共重合体から選ばれ
るいずれか1種または2種以上のオレフィン系重合体を
挙げることができる。例えば、アイソタクティックポリ
プロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ア
タクティックポリプロピレン、直鎖低密度ポリエチレン
(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、
エチレン、プロピレンとブテン、ヘキセン、オクテン等
α−オレフィンとのブロック、ランダム共重合体、ポリ
メチルペンテン、ポリブテン−1、エチレン−アクリル
酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ
ー樹脂、ポリメチルペンテン等を例示することができ
る。
【0083】本発明の多層フィルムを構成するヒートシ
ール層は、加熱及び必要により圧力ををかけ、他の樹脂
に対する密着性を発現するための樹脂層である。また、
必要に応じてヒートシール層に隣接するシール補助層を
積層することも可能である。ヒートシール層がその単独
層だけでは十分な機能が得られず、押し出し加工性、フ
ィルム形成性に難点があり、また最適シール条件の範囲
が狭い場合には、シール補助層を配置することが望まし
い。
【0084】本発明に適用可能なヒートシール性樹脂と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン系樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−
メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、α−オレフ
ィン共重合体、芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
ンダム共重合体、クロス共重合化オレフィン−芳香族ビ
ニル化合物−ジエン共重合体(A)等を例示することが
できる。また、ヒートシール強度、剥離感等を調整する
ために、他の添加剤を用いることもできる。
【0085】接着層を接着力が充分でない場合に層間に
配置してもよい。熱可塑性重合体、共重合体、三元共重
合体およびこれらの樹脂の不飽和カルボン酸変性物もし
くは該酸変成物の金属変成物など、並びにこれらを含む
混合物が望ましい。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、およびマ
レイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ま
たはこれらの無水物で変性されたオレフィン共重合体、
熱可塑性ポリウレタンエラストマーのブレンド樹脂など
がある。この層の通常の厚みは目的、用途等により制限
はないが、好ましくは0.1〜100μm、更に好まし
くは0.5〜50μmである。
【0086】本発明に適用可能なガスバリアー性樹脂
は、例えば厚み25μmのフィルムとしたときに23℃
(相対湿度65%下)での酸素透過度が100cc/m
2・24hr・atm以下であり、好ましくは50cc
/m2・24hr・atm以下である。また、本発明に
適応可能なガスバリアー性樹脂としては塩化ビニリデン
共重合体(PVDC)、エチレン/ビニルアルコール共
重合体(EVOH)、メタキシリレンジアミンより生成
されるポリアミドなどの芳香族ナイロン及び非晶質ナイ
ロン、ポリアクリロニトリル等、アクリロニトリルを主
成分とする共重合体を例示することができる。また塩化
ビニリデン共重合体を主体とし、エチレンと酢酸ビニ
ル、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの不飽和酸
のアルキルエステルとの共重合体、またはMBS樹脂の
少なくとも1種の共重合体などの混合樹脂組成物、ケン
化度が95モル%以上のエチレンとビニルアルコール共
重合体を主体とし、ポリエステルエラストマー、ポリア
ミドエラストマー、エチレンと酢酸ビニル共重合体、エ
チレンとアクリル酸エステル共重合体、ケン化度が95
モル%未満のエチレンとビニルアルコール共重合体など
との混合樹脂組成物、前記芳香族ナイロンや非晶質ナイ
ロンと脂肪族ナイロンなどとの混合樹脂組成物も含まれ
る。また、特に柔軟性が必要な場合にはエチレン/ビニ
ルアルコール共重合体系が選択される。
【0087】ガスバリアー層の厚みは、包装する対象
物、目的に応じて選択可能であって特に制限はないが、
一般に好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは
1〜100μm、特に好ましくは5〜50μmである。
例えばポリ塩化ビニリデンと共押出しする場合には、そ
の層の厚みは熱安定性と耐低温性の点からフィルム全体
の30%以下であるのが望ましい。ガスバリアー樹脂と
多層化されたフィルム、及び容器を使用することによ
り、本発明の芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラン
ダム共重合体が有する特徴と、酸素バリアー性を併せ持
つ優れた多層フィルムを得ることができる。酸素バリア
ー性を付与することにより、包装された食品、精密機器
等の内容物の劣化、腐敗、酸化等の品質の低下を低減す
る事が可能となる。ガスバリアー層とこれに隣接する層
の接着性を向上する必要がある場合には、接着性樹脂層
をその間に介在させることも可能である。
【0088】本発明の多層フィルムが、熱収縮性フィル
ムである場合は、40〜100℃における特定の温度に
おいて、その熱収縮率が、縦、横少なくとも一方の値
で、20〜200%であることが好ましい。20%未満
では低温収縮性が不十分となり、シュリンク処理後に、
シワやタルミが生じる原因となる。一方200%を越え
ると、保管中に寸法収縮を生じることもある。
【0089】本発明の多層フィルムの具体的層構成を例
示すると、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体
からなる層(A)、EVAからなる層(B),ガスバリ
アー層(C)、ヒートシール層(D)等から選択され、
構成されるが、これに限定されるものではない。また、
それらの配置として例えば、表層からA/B,B/A/
B,B/C/A,B/C/A/B,B/D/C/A/
B,B/D/C/A/D等があげられるが、これらに限
定されるものではない。他にさらに多層に積層して構成
することも可能である。
【0090】本発明のフィルムの具体的用途は、特に限
定されないが、包装用フィルム、バッグ、パウチ等に使
用することができる。ストレッチ性を有する多層フィル
ムの場合は、特に食品包装用ストレッチフィルム、パレ
ットストレッチフィルム、保護フィルム等に好適に使用
することができる。バリアー性フィルムの場合は、食
品、飲料、精密機器、医薬品等の包装用に使用すること
ができる。熱収縮性フィルムの場合は、シュリンク包
装、シュリンクラベル結束等に使用することができる。
また、ヒートシール性フィルムは、例えば、食品包装、
電子材料包装、例えばキャリアーテープ用カバーフィル
ム等に用いることができる。
【0091】本発明の多層フィルム原料組成物を得る方
法として、特に制限は無いが、ニーダー、ブラベンダ
ー、プラストミル等の混練機、1軸または2軸等の押出
機、ミキサー等を用いることができる。必要に応じて窒
素雰囲気下で行うことができる。得られる組成物の形態
としては、ブロック状、ペレット状、シート状、ストラ
ンド状等を挙げることができる。
【0092】本発明の多層フィルムを製造するために
は、一般にインフレーションフィルム製造装置やTダイ
フィルム製造装置などを用いて共押出し法、押出しコー
ティング法(押出しラミネート法ともいう。)などの技術
を採用することができる。またこれらの装置を用いて得
た多層または単層フィルムを用いてドライラミネート
法、サンドラミネート法、ホットメルトラミネーション
法等公知の技術で目的とする多層フィルムを製造するこ
とも可能である。また、プレス成形や射出成形も適用可
能である。
【0093】本発明の多層フィルムが熱収縮フィルムの
場合、その製造方法に特に制限は無く、公知の延伸フィ
ルム製造方法等により得ることができる。例えば、Tダ
イ法、チューブラー法、インフレーション法等で押出し
たシートまたはフィルムを、1軸延伸、2軸延伸、多軸
延伸等の延伸法により得ることができる。1軸延伸の例
としては、押出シートを押出方向と直交する方向にテン
ターで延伸する方法、押出チューブ状フィルムを円周方
向に延伸する方法等を挙げることができる。2軸延伸の
例としては、押出シートを、押出方向にロールで延伸し
た後、押出方向と直交する方向にテンター等で延伸する
方法、押出チューブ状フィルムを、押出方向及び円周方
向に同時または別々に延伸する方法等が挙げられる。フ
ィルム作成時の延伸倍率に特に制限はないが、少なくと
も1方向に1.01〜30倍であることが好ましく、さ
らに好ましくは1.1〜10倍、特に好ましくは1.5
〜8倍である。ここで言う延伸倍率は当業者に公知の意
味で用いられ、ガラス転移温度以上、あるいは冷間延伸
も含め、少なくとも一方向に延伸する工程において、延
伸後の長さ/延伸前の長さの比率を表す。
【0094】また、必要に応じて、ヒートセット、コロ
ナ処理、プラズマ処理等の後処理を行っても良い。
【0095】さらに、本発明のフィルムは少なくともそ
の一つの層が架橋されていてもよい。架橋処理としては
電子線、γ線、パーオキサイド等従来の公知の方法が用
いられる。また、架橋処理後に積層を行ってもよい。
【0096】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。下記
の各参考例で得られた共重合体の分析は以下の手段によ
って実施した。 13C−nmr測定は、装置は日本電子社製α−50
0を用い、溶媒は重1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンを用い、テトラメチルシラン(TMS)を基準として
測定した。ここでいうTMSを基準とした測定は以下の
ような測定である。先ずTMSを基準として重1,1,
2,2−テトラクロロエタンの3重線13C−nmrピ
ークの中心ピークのシフト値を決めた。次いで共重合体
を重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解して1
3C−nmrを測定し、各ピークシフト値を、重1,
1,2,2−テトラクロロエタンの3重線中心ピークを
基準として算出した。重1,1,2,2−テトラクロロ
エタンの3重線中心ピークのシフト値は73.89pp
mであった。測定はこれらの溶媒に対し、共重合体を3
重量/体積%溶解して行った。第一重合工程終了時およ
び第二重合工程終了時に抜き出した重合液のガスクロマ
トグラフィー測定により、重合液中のジビニルベンゼン
量を求め、第一重合工程および第二重合工程で消費され
たジビニルベンゼン量を求め、この値より第一重合工程
で得られた重合体のジビニルベンゼン含量および、最終
的に得られたクロス共重合体のジビニルベンゼン含有量
を求めた。
【0097】共重合体中のスチレン含量の決定は、1
H−nmrで行い、装置は日本電子社製α−500を用
い、溶媒は重1,1,2,2−テトラクロロエタンを用
い、TMSを基準として、フェニル基プロトン由来のピ
−ク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由来のプロ
トンピーク(0.8〜3ppm)の強度比較で行った。 分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー)を用いて標準ポリスチレン換算の分子量を求め
た。溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、測定
機器として東ソー社製HLC−8020を用い測定し
た。 DSCの測定は、セイコー電子社製DSC200を用
い、窒素気流下昇温速度10℃/minで行った。室温
でTHFに不溶な共重合体は溶媒にオルトジクロロベン
ゼンを用い、測定機器として東ソー社製HLC−812
1を用い145℃で測定を行った。 ゲル分の測定はASTM D−2765−84に従い
以下のように測定した。精秤した約1.0gポリマー
(直径約1mm、長さ約3mmの成型物)を、100メ
ッシュのステンレス製網袋に包み、精秤した。これを沸
騰キシレン中で約5時間抽出したのちに網袋を回収し、
真空中90゜Cで10時間以上乾燥した。十分に冷却
後、網袋を精秤し、以下の式により、ポリマーゲル量を
算出した。 [ゲル分(%)]=[試験後の網袋中に残留したポリマ
ーの重量(g)]/[試験前の網袋中のポリマー重量
(g)]×100
【0098】実施例の樹脂組成物の物性評価は以下の方
法で行った。なお成形片はプレス成形により行い、必要
に応じ各試験に合わせ形状、厚みを変えて行った。 <硬度>JIS K7215に準じて23℃にてデュロ
メータータイプAの硬度を測定した。 <ビカット軟化点>JIS K7206に準じて荷重1
kgfでビカット軟化点を測定した。但し参考例の場合
は荷重200gfでビカット軟化点を測定した。
【0099】フィルム化及び得られたフィルムの物性評
価は以下の方法で行った。 <フィルム化>ラボプラストミル(東洋精機社製)押出
機タイプ(シリンダー径20mm、L/D=21)を用
い、スクリュ−は浅溝先端ダルメージタイプ(CR=
2.9)、フィード/コンプレッション/メタリング
(フルフライト+2条ダルメージ)=7D/5D/9
D、ダイスはコートハンガータイプ(幅150mm、リ
ップ開度:0.2mmt)を使用し、シリンダー温度=
220〜240℃、ダイス温度=250℃、スクリュー
回転数80rpmでフィルム化を行った。
【0100】<コンパウンド化>実施例6のコンパウン
ド化は、ポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社F2
26D)、1−C、イルガノックス245(チバ・ガイ
ギー社)を各々30、70、0.2重量部の割合で配合
し、予め高速ミキサーにて混合後、30mm−2軸押出
機(PCM−30)を用いて溶融混練しペレット化し
た。2軸押出機は、シリンダー温度160〜200℃、
ダイス180℃、スクリュー回転数200rpmにて運
転した。 <フィルム引張試験>JIS K−6251に準拠し、
フィルムを1号型テストピース形状にカットし、島津製
作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度5
00mm/minにて測定した。
【0101】<フィルム弾性回復性>弾性回復性は、フ
ィルム幅方向に10%延伸した後、先端の曲率半径1
2.5mmの棒を直径45mmのフィルム面に押し込
み、1分以内に回復する限界の深さを求めた。5回の試
験を行ない、最大値と最小値の範囲(最小値〜最大
値)、または5回の実験の平均値で表した。 <引張回復率>JIS2号小型(1/2)テストピース
を用い、引張試験機にて100%歪みまで引張り、10
分間保持し、その後応力を素早く(跳ね返ることなく)
解放し、10分後の歪み回復率を%で表示した。本試験
には、プレス成形よりカッティングされたテストピース
を用いた。 <フィルム全光透過率、ヘイズ>JIS−K−7361
−1に準じ、日本電色社濁度計NDH−2000により
測定した。
【0102】<耐薬品性試験>耐薬品性試験は、フィル
ム、シ−トを1週間、室温で浸漬後、目視観察、触感及
び重量測定により評価し、下記の判断基準で表7に示し
た。 ◎:変化無し 膨潤率 10%以下 ○:膨潤率 10〜40% △:ややゲル化、溶解または固化 ×:ゲル化、溶解または固化
【0103】<フィルム耐熱性試験>作成したフィルム
を120℃恒温槽に入れ、10分間加熱した後取り出し
た。フィルムの耐熱性不足に起因する溶融、しわ等の発
生レベルを総合的に判断し、外観性を○(良好)、△
(中間)、×(不良)3段階で評価した。 <損失正接tanδの測定>動的粘弾性スペクトルは、
レオメトリック社粘弾性アナライザーRSA−II型によ
り、周波数1Hz、温度範囲−120℃〜+150℃、
昇温速度2℃/minの条件で測定した。損失正接ta
nδは損失弾性率/貯蔵弾性率の比として求めた。0〜
30℃の温度範囲で、tanδの最大値、最小値を評価
の指標とした。
【0104】<耐スクラッチ性>東洋精機社スクラッチ
テスターにて、荷重500g、先端径0.05mm−R
のサファイヤでの傷付きレベルを評価した。傷の深さ、
幅により総合的に評価し、○(良好)、△(中間)、×
(不良)に区分した。フィルムの物性評価は以下の方法
で行った。本発明で用いた測定評価方法および使用した
樹脂は以下の通りである。
【0105】<全光透過率、ヘイズ>JIS−K−73
61−1に準じ、日本電飾社濁度計NDH−2000を
用い、試験片厚さ2mmで測定を行った。 <熱収縮率>100mm角のフィルム試料を80℃の温
度に設定したエアーオーブン式恒温層に入れ、自由に収
縮する状態で10分間処理した後、フィルムの収縮量を
求め、元の寸法で割った値の百分率で表した。1軸延伸
の場合は、延伸方向の値、2軸延伸の場合には、タテ、
ヨコ両方向について各々測定した。 <酸素透過性>JIS−K−7126に基づいてB法
(等圧法)により測定した。
【0106】<原材料>成分のクロス共重合化オレフィ
ン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体(A)は、参
考例1〜5に記す方法で合成した。また、比較例におけ
るエチレン−スチレン共重合体は、参考例6、7に記す
方法で合成した。これらの、原材料は必要に応じ再現性
の確認された条件下で繰り返し試験を行い、キャラクタ
リゼーションの再現性も確認後、足し合わせて試験に供
試した。
【0107】参考例1 <クロス共重合化エチレン−スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体(C−1)の合成>触媒としてrac−ジメ
チルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)
ジルコニウムジクロライドを用い、以下のように実施し
た。容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付の
オートクレーブを用いて重合を行った。トルエン440
0mL、スチレン400mL及びジビニルベンゼン(ア
ルドリッチ社製純度80%である)0.5mLを仕込
み、内温70℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブ
リングして系内及び重合液中をパージした。トリイソブ
チルアルミニウム8.4mmol、メチルアルモキサン
(東ソーアクゾ社製、PMAO−s)をAl基準で21
mmol加え、ただちにエチレンを導入し、圧力0.2
5MPa(1.5kg/cm2G)で安定した後に、オ
ートクレーブ上に設置した触媒タンクから、rac−ジ
メチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロライドを8.4μmol、トリ
イソブチルアルミニウム1mmolを溶かしたトルエン
溶液約50mlをオートクレーブに加えた。
【0108】内温を70℃、圧力を0.25MPaに維
持しながら46分間重合を実施した(第一重合工程)。
この段階でのエチレンの消費量は標準状態で約100L
であった。重合液の一部をサンプリングし、メタ析によ
り第一重合工程のポリマーサンプル(ポリマー1−A)
を得た。急速にエチレンを導入し、25分間かけて系内
の圧力を1.1MPaにした。エチレンの圧を上昇させ
たことにより、重合が促進され、内温は70℃から一時
80℃まで上昇した。圧力を1.1MPaに維持したま
ま25分間重合を実施した(第二重合工程)。重合終了
後、得られたポリマー液を、激しく攪拌した大量のメタ
ノール液中に少量ずつ投入して、ポリマーを回収した。
このポリマーを、室温で1昼夜風乾した後に80℃、真
空中、質量変化が認められなくなるまで乾燥した。86
0gのポリマー(ポリマー1−C)を得た。表1に参考
例1の重合条件を、表2に得られたクロス共重合化エチ
レン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の分析結果
を示した。さらに表2の重合条件、ポリマー1−A、ポ
リマー1−Cの分析結果より算出した第二重合工程で製
造された重合体(1−B)の計算値を表中に示した。
【0109】参考例2〜5 表1に示す条件で参考例1と同様に重合、後処理を実施
した。表2に得られたそれぞれのクロス共重合化エチレ
ン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の分析結果を
示した。表1、2に示した重合条件および重合結果より
第二重合工程で生成した成分を算出した結果も2−B、
3−B、4−B、5−Bとして表2に併せて示した。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】参考例6 容量150L、攪拌機および加熱冷却用ジャケット付の
重合缶を用いて重合を行った。系内を窒素置換後、脱水
したシクロヘキサン62L、脱水したスチレン10Lを
重合缶に仕込み、内温60℃に加熱攪拌した。トリイソ
ブチルアルミニウム84mmol、メチルアルモキサン
(東ソーアクゾ社製、PMAO−s)をAl基準で84
mmol加えた。ただちにエチレンを導入し、圧力1.
0MPaで安定した後に、重合缶上に設置した触媒タン
クから、触媒、racジメチルメチレンビス(4,5−
ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを
84μmol、トリイソブチルアルミニウム2mmol
を溶かしたトルエン溶液約100mlを重合缶に加え
た。内温を60℃、エチレン圧を1.0MPaに維持し
ながら120分間重合を実施した。エチレンを放圧後、
重合缶気相部を窒素で数回パージした。次に、重合液を
激しく攪拌した分散剤(プルロニックP−103;旭電
化社製)を含む150L、85℃の加熱水中に1時間か
けて投入した。その後97℃で30分間攪拌した後に、
クラムを含む熱水を冷却水中に投入し、クラムを回収し
た。クラムを50℃で風乾し、数mm程度の大きさのク
ラム形状が良好な共重合体(SE1)7kgを得た。そ
のスチレンとエチレンの組成比はそれぞれ18mol%と8
2mol%であった。表3に参考例6の重合条件を、表4に
得られたエチレン−スチレンランダム共重合体の分析結
果を示した。
【0113】参考例7 表3に示す条件で参考例6と同様に重合、後処理を行っ
た。参考例7の重合条件を表3に、得られたスチレン−
エチレンランダム共重合体の分析結果等を表4に示し
た。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】<実施例1〜6、比較例1〜2>3層用T
−ダイ及び単軸押し出し機を組合せ、厚さ35μm,層
構成比率1−C/PP/1−C(35%/30%/35
%)の3層フィルムを作成した。PPはグランドポリマ
ー社F226Dを用いた。2−C〜5−C、および1−
CとPPのコンパウンドについても同様にして3層のフ
ィルムを作成した。このフィルムの評価結果を表5およ
び表6に示した。ただし、耐薬品性に関しては、各々の
中心層成分を単独で用いてテストピースを調製して評価
を行った。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】表5、6に示すように、オレフィン−芳香
族ビニル化合物ランダム共重合体と比較し、クロス共重
合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体
を配合した組成物から成形された多層フィルムは、耐熱
性、耐薬品性、tanδ特性、耐スクラッチ性、包装機
適性に優れる。
【0120】<実施例7>1−Cを両表面層とし、1−
C/接着性ポリオレフィン(三井化学社アドマー)/E
VOH/接着性ポリオレフィン/1−Cの5層になるよ
うに5層Tダイを用いて押出し、厚み約60μmの各層
とも均一な厚み精度のフィルムを作成した。各層の厚み
比率は外側から35%/7.5%/15%/7.5%/
35%になるように調製した。酸素ガス透過度を測定
し、0.52cc/m2・24hr・atmと良好な値
を示した。
【0121】<実施例8>層構成比率をEVA/1−C
/PP=25%/50%/25%となるようにして実施
例7同様に製膜を行った。得られた原反をタテ3.5
倍、ヨコ3.2倍に同時延伸した厚み60μmmのフィ
ルムを得た。熱収縮率は80℃においてタテ45%ヨコ
40%と良好な値を示した。
【0122】<実施例9>層構成比率をL−LDPE
(MFR=1.5)/1−C=30%/70%となるよ
うにして実施例8と同様に製膜を行い、厚み60μmの
フィルムを得た。2枚のフィルムをヒートシール層同士
が内側になるようにして重ね、15mm幅で、120℃
でヒートシールを行った。さらに剥離試験を行った結
果、3.1kgの良好なシール性が得られた。
【0123】
【発明の効果】本発明の新規なクロス共重合化オレフィ
ン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を含む樹脂組
成物から成形された多層フィルムにより、透明性、破断
強さ、破断伸び等の機械的強度、透明性、延伸性、結束
性、耐油性、弾性回復性、耐熱性、強度、熱収縮(シュ
リンク)特性、指圧復元性、包装機適性等に優れた、多
層フィルム、ストレッチ性多層フィルム、シュリンク性
多層フィルム、ガスバリアー性多層フィルム、ヒートシ
ール性多層フィルム及びこれらのフィルムによって包装
された包装体、容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクロス化共重合体に主に含まれる構造
を示す概念図。
【図2】従来のグラフト化共重合体の構造を示す概念
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 291/00 C08F 291/00 4J128 C08K 5/00 C08K 5/00 C08L 51/00 C08L 51/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 3E086 BA04 BA15 BB01 BB41 BB51 BB66 BB67 BB74 BB85 BB90 4F100 AK01A AK02A AK03A AK03B AK03D AK04A AK04B AK05A AK06A AK07A AK07B AK08A AK08B AK08C AK11A AK11B AK11C AK12A AK16E AK25A AK27A AK28A AK28B AK46E AK48B AK64A AK68A AK68B AK68C AK69E AK71B AK73A AK74A AL01A AL01B AL02A AL03A AL03B AL03C AL05A AR00B AR00C AR00E BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10C BA15 CA10A CA30A GB15 JA04A JB01 JB16A JD02E JG05A JJ03 JK01 JL12B JL13C JN01 YY00A 4J002 AA012 AC082 BB032 BB052 BB062 BB122 BB152 BC032 BC062 BC072 BG102 BN152 BN201 BP012 EF056 EG046 EP026 FD206 FD316 GF00 GG00 4J026 AA11 AA12 AA13 AA14 AA16 AA17 AA66 AA67 AA68 AA69 AA71 AA72 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA45 BA46 BA47 BA49 BB04 DA02 DA08 DA17 DB02 DB09 DB17 GA08 4J028 AA01A AB01A AC01A AC20A AC29A BA01B BB01B BC15B BC25B EB01 EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB12 EB13 EB14 EB15 EB16 EB17 EB21 EC04 ED01 ED02 ED03 ED04 ED05 ED06 ED09 FA01 FA02 4J128 AA01 AB01 AC01 AC20 AC29 EB01 EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB12 EB13 EB14 EB15 EB16 EB17 EB21 EC04 ED01 ED02 ED03 ED04 ED05 ED06 ED09

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記クロス共重合化オレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体(A)または(A)を5重
    量%以上含む熱可塑性樹脂組成物から成形された層を少
    なくとも一層以上含むことを特徴とする多層フィルム。 (A):芳香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モ
    ル%以下、ジエン含量が0.0001モル%以上3モル
    %以下、残部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体に、芳香族ビニル化合物含
    量が前記共重合体に比し5モル%以上異なるオレフィン
    −芳香族ビニル化合物共重合体及び/又はオレフィン−
    芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体がクロス共重合化
    されていることを特徴とするクロス共重合化オレフィン
    −芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体。
  2. 【請求項2】下記クロス共重合化オレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体(A)または(A)を5重
    量%以上含む熱可塑性樹脂組成物から成形された層を少
    なくとも一層以上含むことを特徴とする多層フィルム。 (A):芳香族ビニル化合物含量が1モル%以上96モ
    ル%以下、ジエン含量が0.0001モル%以上3モル
    %以下、残部がオレフィンであるオレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体にオレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物共重合体及び/またはオレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体をクロス共重合化してなるこ
    とを特徴とするクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体であって、その芳香族ビニル
    化合物含量がクロス共重合化前のオレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体と比較し、5モル%以上異
    なることを特徴とするクロス共重合化オレフィン−芳香
    族ビニル化合物−ジエン共重合体。
  3. 【請求項3】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)が、第一重合工程として
    配位重合触媒を用いて芳香族ビニル化合物モノマー、オ
    レフィンモノマーおよびジエンモノマーの共重合を行い
    オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を合
    成し、次にこれと重合条件の異なる第二重合工程とし
    て、前記オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重
    合体と少なくともオレフィンモノマー、芳香族ビニル化
    合物モノマーの共存下、配位重合触媒を用いて重合す
    る、少なくとも2段階の重合方法を用いることにより製
    造されることを特徴とする請求項1または2記載の多層
    フィルム。
  4. 【請求項4】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)が、第一重合工程で製造
    される重合体が10重量%〜90重量%、第二重合工程
    で製造される重合体が90重量%〜10重量%であるこ
    とを特徴とする請求項3項記載の多層フィルム。ここ
    で、第一重合工程で製造される重合体と第二重合工程で
    製造される重合体の合計は100重量%である。
  5. 【請求項5】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)のゲル分が10重量%未
    満であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記
    載の多層フィルム。
  6. 【請求項6】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)が遷移金属化合物と助触
    媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒により製
    造されることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項記
    載の多層フィルム。
  7. 【請求項7】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)を製造する配位重合触媒
    が、下記の化学式(1)で表される遷移金属化合物と助
    触媒から構成される重合触媒であることを特徴とする請
    求項6記載の多層フィルム。 【化1】 式中、A、Bは非置換もしくは置換シクロペンタフェナ
    ンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、
    非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換も
    しくは置換インデニル基、または非置換もしくは置換フ
    ルオレニル基から選ばれる基である。YはA、Bと結合
    を有し、他に水素もしくは炭素数1〜20の炭化水素を
    含む基(この基は1〜3個の窒素、硼素、珪素、燐、セ
    レン、酸素または硫黄原子を含んでもよい)を置換基と
    して有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲル
    ミレン基、ほう素残基である。置換基は互いに異なって
    いても同一でもよい。また、Yはシクロヘキシリデン
    基、シクロペンチリデン基等の環状構造を有していても
    よい。Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1
    〜15のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭
    素数8〜12のアルキルアリール基、炭素数1〜4の炭
    化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10のアル
    コキシ基、または水素、または炭素数1〜22の炭化水
    素置換基を有するアミド基である。nは、0、1または
    2の整数である。Mはジルコニウム、ハフニウム、また
    はチタンである。
  8. 【請求項8】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)のオレフィンがエチレン
    またはエチレンを含む2種以上のオレフィンであること
    を特徴とする請求項1〜7いずれか一項記載の多層フィ
    ルム。
  9. 【請求項9】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル
    化合物−ジエン共重合体(A)がエチレン連鎖構造に由
    来する結晶構造を有することを特徴とする請求項8記載
    の多層フィルム。
  10. 【請求項10】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)の芳香族ビニル化合物
    がスチレンであることを特徴とする請求項1〜9いずれ
    か一項記載の多層フィルム。
  11. 【請求項11】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)のジエンがジビニルベ
    ンゼンであることを特徴とする請求項1〜10いずれか
    一項記載の多層フィルム。
  12. 【請求項12】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)が芳香族ビニル化合物
    含量が5モル%以上50モル%以下、ジエン含量が0.
    0001モル%以上3モル%以下、残部がエチレンまた
    はエチレンを含む2種以上のオレフィンであることを特
    徴とする請求項1〜11いずれか一項記載の多層フィル
    ム。
  13. 【請求項13】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)のオレフィンがエチレ
    ンまたはエチレンを含む2種以上のオレフィンであり、
    かつクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−
    ジエン共重合体(A)がエチレン連鎖構造に由来する結
    晶構造を有し、かつクロス共重合化オレフィン−芳香族
    ビニル化合物−ジエン共重合体(A)がDSCにより6
    5℃以上140℃以下の融点を少なくとも一つ観測さ
    れ、その融点に対応する結晶融解熱が10J/g以上、
    150J/g以下であることを特徴とする請求項1〜1
    2いずれか一項記載の多層フィルム。
  14. 【請求項14】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)において芳香族ビニル
    化合物含量が5モル%以上50モル%以下、ジエン含量
    が0.0001モル%以上3モル%以下、残部がエチレ
    ンまたはエチレンを含む2種以上のオレフィンであり、
    エチレン連鎖構造に由来する結晶構造を有することを特
    徴とするクロス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合
    物−ジエン共重合体の芳香族ビニル化合物含量と、クロ
    ス共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共
    重合体(A)のDSC測定により観測される結晶融解熱
    が10J/g以上、150J/g以下である融点の少な
    くとも一つが以下の関係を満たすことを特徴とする請求
    項1〜13いずれか一項記載の多層フィルム。 (5≦St≦20) −3・St+125≦Tm≦140 (20<St≦50) 65≦Tm≦140 Tm;DSC測定による結晶融解熱が10J/g以上1
    50J/g以下である融点(℃) St;芳香族ビニル化合物含量(モル%)
  15. 【請求項15】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)が、芳香族ビニル化合
    物含量が5モル%以上20モル%以下、ジエン含量が
    0.0001モル%以上3モル%以下、残部がエチレン
    またはエチレンを含む2種以上のオレフィンであること
    を特徴とする請求項1〜14いずれか一項記載の多層フ
    ィルム。
  16. 【請求項16】クロス共重合化オレフィン−芳香族ビニ
    ル化合物−ジエン共重合体(A)が、芳香族ビニル化合
    物含量が5モル%以上20モル%以下、ジエン含量が
    0.0001モル%以上3モル%以下、残部がエチレン
    またはエチレンを含む2種以上のオレフィンであり、芳
    香族ビニル化合物含量とビカット軟化点が以下の関係を
    満たすことを特徴とする請求項15記載の多層フィル
    ム。 (5≦St≦20) −3・St+120≦Tvicat≦140 Tvicat;ビカット軟化点(℃) St;芳香族ビニル化合物含量(モル%)
  17. 【請求項17】 クロス共重合化オレフィン−芳香族ビ
    ニル化合物−ジエン共重合体(A)を80重量%以上含
    む熱可塑性樹脂組成物から成形されたことを特徴とする
    請求項1〜16いずれか一項記載の多層フィルム。
  18. 【請求項18】 周波数1Hzで測定した動的粘弾性ス
    ペクトルにおいて、0℃〜30℃における損失正接ta
    nδが下記特性を有することを特徴とする請求項1〜1
    7いずれか一項記載の多層フィルム。tanδの最大
    値、最小値が各々0.5以上かつ0.05以上であり、
    更に最大値と最小値の差が2.0以下。
  19. 【請求項19】 熱可塑性樹脂組成物が、オレフィン系
    重合体および/またはスチレン系共重合体を含むことを
    特徴とする請求項1〜18いずれか一項記載の多層フィ
    ルム。
  20. 【請求項20】 オレフィン系重合体が高密度ポリエチ
    レン、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜8の
    α−オレフィンとからなるエチレン−α−オレフィン共
    重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ホモポリプロ
    ピレン、プロピレン−エチレン共重合体から選ばれるい
    ずれか1種または2種以上のオレフィン系重合体である
    ことを特徴とする請求項19記載の多層フィルム。
  21. 【請求項21】 スチレン系共重合体が、ポリスチレ
    ン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレ
    ン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン
    共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、
    スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブ
    タジエンブロック共重合体及びその水素添加体、スチレ
    ン−イソプレンブロック共重合体及びその水素添加体よ
    り選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求
    項19記載の多層フィルム。
  22. 【請求項22】 熱可塑性樹脂組成物が、防曇剤および
    /またはブロッキング防止剤を含むことを特徴とする請
    求項1〜21いずれか一項記載の多層フィルム。
  23. 【請求項23】 熱可塑性樹脂組成物がガラス転移温度
    20℃以上の石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−イン
    デン樹脂、ロジン樹脂及びこれらの水素添加体から選ば
    れた少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求
    項1〜22いずれか一項記載の多層フィルム。
  24. 【請求項24】 最外層のうち少なくとも一層がヒート
    シール性樹脂からなる請求項1〜23いずれか一項記載
    の多層フィルム。
  25. 【請求項25】 ヒートシール性樹脂がポリエチレン、
    ポリプロピレン、ナイロン系樹脂、エチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共
    重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重
    合体(EMMA)、α−オレフィン共重合体、芳香族ビ
    ニル化合物−α−オレフィンランダム共重合体、クロス
    共重合化オレフィン−芳香族ビニル化合物−ジエン共重
    合体(A)から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる
    請求項24記載の多層フィルム。
  26. 【請求項26】 最外層のうち少なくとも一層が、粘着
    性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜25いずれ
    か一項記載の多層フィルム。
  27. 【請求項27】 粘着性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共
    重合体(EVA)または芳香族ビニル化合物−α−オレ
    フィンランダム共重合体であることを特徴とする請求2
    6記載の多層フィルム。
  28. 【請求項28】 少なくとも一層がオレフィン系重合体
    からなることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1
    項記載の多層フィルム。
  29. 【請求項29】 少なくとも一層が、厚さ25μm、温
    度23℃、湿度65%RHの条件で測定した酸素透過度
    が100cc/m2・24hrs・atm以下であるガ
    スバリアー性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜
    28いずれか一項記載の多層フィルム。
  30. 【請求項30】 ガスバリアー性樹脂がエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデ
    ン(PVDC)、ポリアミド系樹脂から選ばれた少なく
    とも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項29記
    載の多層フィルム。
  31. 【請求項31】 最外層以外にある層の少なくとも一層
    が、接着性樹脂層からなる、請求項1〜30いずれか一
    項記載の多層フィルム。
  32. 【請求項32】 全光線透過率が80%以上の透明性を
    有することを特徴とする請求項1〜31いずれか一項記
    載の多層フィルム。
  33. 【請求項33】 請求項1〜32いずれか一項記載の多
    層フィルムよりなることを特徴とするストレッチフィル
    ム。
  34. 【請求項34】 多層フィルムが熱収縮性を有する1軸
    延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムであることを特徴
    とする請求項1〜32のいずれか一項記載の多層フィル
    ム。
  35. 【請求項35】 請求項1〜32いずれか一項記載の多
    層フィルムよりなることを特徴とする表面保護フィル
    ム。
  36. 【請求項36】 請求項1〜35いずれか一項記載の多
    層フィルムにより包装された包装体。
  37. 【請求項37】 請求項1〜35のいずれか1項記載の
    多層フィルムより成形された容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006188646A (ja) * 2004-12-07 2006-07-20 Tohcello Co Ltd 粘着フィルム
JP2011231335A (ja) * 2004-12-07 2011-11-17 Mitsui Chemicals Tohcello Inc 粘着フィルム
JP2018532615A (ja) * 2015-09-30 2018-11-08 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 弾性特性を有するポリオレフィン系積層構造体

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