JP2002256944A - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents

内燃機関用燃料噴射装置

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JP2002256944A
JP2002256944A JP2001056256A JP2001056256A JP2002256944A JP 2002256944 A JP2002256944 A JP 2002256944A JP 2001056256 A JP2001056256 A JP 2001056256A JP 2001056256 A JP2001056256 A JP 2001056256A JP 2002256944 A JP2002256944 A JP 2002256944A
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timer
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pilot
timing
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JP2001056256A
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English (en)
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Toshimi Matsumura
敏美 松村
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Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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  • High-Pressure Fuel Injection Pump Control (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子制御式タイマーを備えた分配型燃料噴射
ポンプから燃料噴射ノズルへ燃料を圧送する内燃機関用
燃料噴射装置において、パイロット領域と非パイロット
領域との領域切替え時期の騒音段差やトルク変動を解消
する。 【解決手段】 パイロット領域から非パイロット領域へ
の領域切替え時期に、実タイマー位置(θr)と目標タ
イマー位置(θt)とのタイマー位置誤差(Δθ)が所
定値(例えば1〜2°CA)以下となって切替え後のタ
イマー応答遅れが解消した後に、パイロット領域の噴射
状態から非パイロット領域の噴射状態へ切り替えるよう
にする。すなわち、パイロット領域と非パイロット領域
との領域切替え時期から、切替え前の噴射状態から切替
え後の噴射状態へ切り替える噴射状態切替え時期を、タ
イマー作動遅れに対応した所定ディレイ時間(例えば1
〜2秒間)分だけ遅延させることにより、タイマー作動
遅れを要因とする過進角または過遅角の騒音段差やトル
ク変動を解消できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイマーピストン
に作用する油圧を調整することによりタイマーピストン
の作動位置を変える油圧式タイマーを備えた分配型燃料
噴射ポンプから内燃機関へ燃料を噴射する内燃機関用燃
料噴射装置に関するもので、特にメイン噴射に先立っ
て、電磁スピル弁を閉弁・開弁制御することによって少
量のパイロット噴射を行う噴射率制御を実施することが
可能な内燃機関用燃料噴射率制御装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、ディーゼルエンジン等の内燃
機関用燃料噴射装置において、メイン噴射(Qm)に先
立って、電磁スピル弁を開弁・閉弁制御することによっ
て少量のパイロット噴射(Qp)を行う噴射率制御を実
施することにより、内燃機関の騒音やエミッションを低
減させることが知られている。ここで、パイロット噴射
を行う噴射率制御を実施すると、噴射性能とエンジンで
の効果の関係から、図7の特性図に示したように、パイ
ロット噴射の適用範囲が限定されるため、低噴射量領域
や高噴射量領域および高回転数領域は、上記の噴射率制
御を実施しない非パイロット噴射(通常噴射)を実行せ
ざるを得ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、噴射率制御
を実施するパイロット領域と噴射率制御を実施しない非
パイロット領域とでは、図8に示したように、要求タイ
マー位置(タイマーピストンの目標値)、すなわち、分
配型燃料噴射ポンプに内蔵されたプランジャや燃料圧送
カムがカムローラ上を上昇(カムリフト)し始める圧送
開始時期が異なる。このため、適正な燃料噴射量(電磁
スピル弁の閉弁指令値、開弁指令値)や目標噴射時期
(要求タイマー位置)が、パイロット領域と非パイロッ
ト領域との2種類ずつ必要となり、パイロット領域と非
パイロット領域とで燃料噴射量(電磁スピル弁の閉弁指
令値、開弁指令値)および目標噴射時期(要求タイマー
位置)の切り替えが成されている。
【0004】一般的な分配型燃料噴射ポンプにおいて
は、燃料噴射時期を変更する際には、カムローラの位置
を変更するタイマーピストンの作動位置を変える必要が
ある。ところが、パイロット領域と非パイロット領域と
の領域切替え時期に、目標噴射時期(要求タイマー位
置)を変えるために、タイマーピストンの作動位置を変
える必要があるが、タイマーピストンの作動応答性が悪
いため、目標タイマー位置と実タイマー位置とのタイマ
ー位置誤差が生じる。それによって、パイロット領域と
非パイロット領域との領域切替え時期に、図8に示した
ように、切替え前の噴射状態から切替え後の噴射状態へ
即座に切り替えてしまう(領域切替え時期=噴射状態切
替え時期)と、タイマーピストンの作動遅れ(タイマー
応答遅れ)による過進角または過遅角の騒音段差やトル
ク変動が生じ、ドライバビリティの悪化を招くという問
題がある。この騒音段差やトルク変動を回避するため、
騒音段差やトルク変動が許容レベル以下で、パイロット
噴射の適合やタイマー位置の適合を実施して、これを対
策する手法が採用されていたが、充分な効果が得られな
かった。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、タイマーピストンに作
用する油圧を調整することによりタイマーピストンの作
動位置を変える油圧式タイマーを備えた分配型燃料噴射
ポンプから内燃機関へ燃料を噴射する内燃機関用燃料噴
射装置において、噴射率制御を実施するパイロット噴射
モードと噴射率制御を実施しない非パイロット噴射モー
ドとの領域切替え時期の、タイマーピストンの作動遅れ
を要因とする過進角または過遅角の騒音段差やトルク変
動を解消することのできる内燃機関用燃料噴射率制御装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、噴射率制御を実施するパイロット噴射モードと
噴射率制御を実施しない非パイロット噴射モードとの領
域切替え時期に、所定の条件を満足するまでは、切替え
前の噴射状態から切替え後の噴射状態への切り替えを禁
止する。そして、所定の条件を満足した時には、切替え
前の噴射状態から切替え後の噴射状態へ切り替えるよう
にする。すなわち、パイロット噴射モードと非パイロッ
ト噴射モードとの領域切替え時期に、切替え後のタイマ
ーピストンの作動遅れが解消した後に、切替え前の噴射
状態から切替え後の噴射状態へ切り替えることができ
る。それによって、タイマーピストンの作動遅れを要因
とする過進角または過遅角の騒音段差やトルク変動を解
消することができるので、ドライバビリティを向上でき
る。
【0007】請求項2に記載の発明によれば、噴射率制
御を実施するパイロット噴射モードと噴射率制御を実施
しない非パイロット噴射モードとの領域切替え時期に、
目標噴射時期と実噴射時期との噴射時期誤差が所定値以
下となったら、切替え前の噴射状態から切替え後の噴射
状態へ切り替えるようにする。すなわち、切替え後のタ
イマーピストンの作動遅れが解消した後に、切替え前の
噴射状態から切替え後の噴射状態へ切り替える。それに
よって、請求項1に記載の効果を達成することができ
る。
【0008】請求項3に記載の発明は、図9に示したよ
うに、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段
101と、内燃機関の運転状態からパイロット制御領域
に有るか否かを判別する制御領域判別手段102と、こ
の制御領域判別手段102の情報を記憶しておいて噴射
率制御を実施するパイロット噴射と噴射率制御を実施し
ない非パイロット噴射との領域切替えが有ったか否かを
判別する領域切替え有無判別手段103とを備えてい
る。そして、領域切替え有無判別手段103で領域切替
え無しと判別した場合には、非切替え時の指令値である
パイロット噴射用または非パイロット噴射用の電磁スピ
ル弁閉弁指令値・電磁スピル弁開弁指令値を切替え前の
噴射状態指令値演算手段105で演算する。
【0009】また、領域切替え有無判別手段103で領
域切替え有りと判別した場合には、タイマー位置誤差判
別手段104でタイマーピストンの目標値と実位置との
誤差(タイマー位置誤差)が所定値以下か否かを判別す
る。そして、タイマー位置誤差判別手段104でタイマ
ー位置誤差が所定値よりも大と判別した場合には、切替
え前の噴射状態指令値演算手段105で切替え前の噴射
状態を継続させる。また、タイマー位置誤差判別手段1
04でタイマー位置誤差が所定値以下の場合には、切替
え後の噴射状態指令値演算手段106で切替え後の電磁
スピル弁閉弁指令値・スピル電磁スピル弁開弁指令値を
演算する。そして、切替え前の噴射状態指令値演算手段
105で演算された切替え前の電磁スピル弁閉弁指令値
・電磁スピル弁開弁指令値または切替え後の噴射状態指
令値演算手段106で演算された切替え後の電磁スピル
弁閉弁指令値・電磁スピル弁開弁指令値を出力段にセッ
トする(電磁スピル弁のSPV指令値セット107)。
【0010】請求項3に記載の発明によれば、噴射率制
御を実施するパイロット噴射モードと噴射率制御を実施
しない非パイロット噴射モードとの領域切替え時期に、
タイマーピストンの目標値と実位置との誤差が所定値以
下となったら、切替え前の噴射状態から切替え後の噴射
状態へ切り替えるようにする。すなわち、切替え後のタ
イマーピストンの作動遅れが解消した後に、切替え前の
噴射状態から切替え後の噴射状態へ切り替える。それに
よって、請求項1に記載の効果を達成することができ
る。
【0011】請求項4に記載の発明は、図10に示した
ように、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手
段201と、内燃機関の運転状態からパイロット制御領
域に有るか否かを判別する制御領域判別手段202と、
この制御領域判別手段202の情報を記憶しておいて噴
射率制御を実施するパイロット噴射と噴射率制御を実施
しない非パイロット噴射との領域切替えが有ったか否か
を判別する領域切替え有無判別手段203とを備えてい
る。そして、領域切替え有無判別手段203で領域切替
え無しと判別した場合には、非切替え時の指令値である
パイロット噴射用または非パイロット噴射用の電磁スピ
ル弁閉弁指令値・電磁スピル弁開弁指令値を切替え前の
噴射状態指令値演算手段205で演算する。
【0012】また、領域切替え有無判別手段203で領
域切替え有りと判別した場合には、ディレイ判別手段2
04で所定遅延時間(所定ディレイ)が経過したか否か
を判別する。そして、ディレイ判別手段204で所定デ
ィレイが経過せずと判別した場合には、切替え前の噴射
状態指令値演算手段205で切替え前の噴射状態を継続
させる。また、ディレイ判別手段204で所定ディレイ
が経過したと判別した場合には、切替え後の噴射状態指
令値演算手段206で切替え後の電磁スピル弁閉弁指令
値・電磁スピル弁開弁指令値を演算する。そして、切替
え前の噴射状態指令値演算手段205で演算された切替
え前の電磁スピル弁閉弁指令値・電磁スピル弁開弁指令
値または切替え後の噴射状態指令値演算手段206で演
算された切替え後の電磁スピル弁閉弁指令値・電磁スピ
ル弁開弁指令値を出力段にセットする(電磁スピル弁の
SPV指令値セット207)。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、所定の条
件を満足するまでとは、所定時間(例えば1〜2秒間)
または所定回転回数または所定噴射回数(例えば噴射2
回分)に到達するまでであり、所定の条件を満足した時
とは、所定時間または所定回転回数または所定噴射回数
に到達した時であることを特徴としている。さらには、
所定エンジン回転数または所定エンジン負荷までの領域
で実施しても同様な効果が得られる。
【0014】請求項5に記載の発明によれば、パイロッ
ト噴射モードと非パイロット噴射モードとの領域切替え
時期から、切替え前の噴射状態から切替え後の噴射状態
への噴射状態切替え時期を、タイマー遅れに対応する条
件分だけ遅延させることにより、パイロット噴射モード
と非パイロット噴射モードとの領域切替え時期に、切替
え後のタイマーピストンの作動遅れが解消した後に、切
替え前の噴射状態から切替え後の噴射状態へ切り替える
ことができる。なお、パイロット噴射モードから非パイ
ロット噴射モードへの領域切替え時期には、切替え前の
噴射状態とは、パイロット噴射モードの噴射状態であ
り、切替え後の噴射状態とは、非パイロット噴射モード
の噴射状態であることを特徴としている。また、非パイ
ロット噴射モードからパイロット噴射モードへの領域切
替え時期には、切替え前の噴射状態とは、非パイロット
噴射モードの噴射状態であり、切替え後の噴射状態と
は、パイロット噴射モードの噴射状態であることを特徴
としている。
【0015】
【発明の実施の形態】[実施例の構成]発明の実施の形
態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここで、
図1はディーゼルエンジン用電子制御噴射装置を示した
図で、図2は分配型燃料噴射ポンプの回転パルサーおよ
び回転センサを示した図である。
【0016】本実施例のディーゼルエンジン用電子制御
噴射装置は、多気筒(本例では4気筒)のディーゼルエ
ンジン(以下エンジンと略す)Eの運転状態(エンジン
制御パラメータ)、車両の走行状態および運転者の操作
量を各種センサや各種スイッチにより検出して、電子制
御ユニット(以下ECUと呼ぶ)10に伝えて、最適な
噴射量および最適な燃料噴射時期を演算し、それぞれを
制御する分配型燃料噴射ポンプ1に内蔵された電磁スピ
ル弁2および噴射時期制御用電磁弁3に指令するように
構成されている。エンジンEには、エアクリーナ11か
らの吸気が供給される。このエアクリーナ11の下流側
には、エアクリーナ11を介して吸気管12内に吸入さ
れた吸入空気の温度(吸気温)を検出する吸気温センサ
(吸気温検出手段)13が設置されている。そして、こ
の吸気温センサ13の下流側には、排気ガスエネルギー
を利用するターボチャージャ14が設けられ、ターボチ
ャージャ14の下流側には、過給圧の過上昇を防止する
ためのウエストゲートバルブ15が設定されている。
【0017】そして、吸気管12の途中のバルブボディ
内には、アクセルペダル16の踏み込み動作に対応して
駆動されるスロットルバルブ(吸気絞り弁)17が設け
られている。このスロットルバルブ17は、アクセルペ
ダル16の踏み込み量に対応して開閉される。そして、
スロットルバルブ17の開閉量は、エンジンEの運転状
態を検出する運転状態検出手段としてのアクセル開度セ
ンサ18によってアクセル開度(ACCP)として検出
される。そして、スロットルバルブ17の下流側には、
吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ19が設置され
ている。そして、エンジンEのシリンダヘッド21に
は、燃焼室22内に先端が突出されるようにして燃料噴
射ノズル23およびグロープラグ24が設けられてい
る。また、エンジンEのシリンダブロック25には、エ
ンジン冷却水の温度(エンジン冷却水温:THW)を検
出する冷却水温センサ26と、エンジンEのクランク角
に対応した回転基準位置、例えば定気筒の上死点(TD
C)位置を検出する基準位置センサ27とが設けられて
いる。
【0018】分配型燃料噴射ポンプ1は、シリンダ内壁
面とプランジャ先端面とで形成される加圧室(高圧室)
38とポンプハウジング9内のポンプ室(低圧室)29
とを連通させる連通路50に、噴射量制御用アクチュエ
ータとしての電磁スピル弁(スピルプレッシャバルブ:
SPV)2を設け、この電磁スピル弁2をECU10に
よって閉弁・開弁制御することにより連通路50を断続
させてエンジンEへの燃料噴射量を制御するものであ
る。ここで、電磁スピル弁2は、ECU10によって通
電制御される電磁ソレノイド(電磁コイル)2a、スピ
ルポート39を開閉する弁体(バルブ本体)、および弁
体を初期位置に戻すためのリターンスプリング2b等を
有している。なお、電磁スピル弁2は、常開電磁弁で、
通電時に閉弁され、連通路50およびスピルポート39
が閉じられる。
【0019】分配型燃料噴射ポンプ1は、エンジンEの
クランクシャフトの回転と連動して回転されるドライブ
シャフト4、このドライブシャフト4にカップリングで
接続されたカムプレート6によって駆動されるプランジ
ャ7と、このプランジャ7をカムプレート6へ押し付け
るためのプランジャスプリング8と、これらを収容する
ポンプハウジング9の図示下部に配された油圧式タイマ
ーとしての電子制御式タイマー(後述する)とを備えて
いる。
【0020】ドライブシャフト4は、図示しないタイミ
ングベルトによってクランクシャフトに連結係合され、
動力伝達系を構成している。そして、ドライブシャフト
4には、燃料を加圧するためのフィードポンプ5(この
図1では90°展開して示している)が連結されてい
る。そのフィードポンプ5は、一回転当たり一定量の燃
料を燃料タンク(図示せず)より吸い上げてポンプ室2
9内に送り込む。これにより、フィードポンプ5の燃料
送油圧、つまりポンプ室29内の燃料圧は、ポンプ回転
速度に比例して上昇する。
【0021】そして、ドライブシャフト4の先端には、
所定角度(例えば5.625°、11.25°CAに相
当)毎に凸状歯31が複数個配置された回転パルサー
(シグナルロータ)32が取り付けられている。その回
転パルサー32には、図2に示したように、エンジンE
の各気筒にそれぞれ対応させるように、基準とする各気
筒の基準位置(上死点位置:TDC位置)を判別するた
めの第1〜第4欠歯部33a〜33dが所定角度(90
°、180°CAに相当)毎に設けられている。回転パ
ルサー32の外周面に対向するように電磁ピックアップ
よりなる回転センサ(回転速度センサ、ポンプ回転角度
センサ、基準角度センサとも言う)35が取り付けられ
ている。
【0022】回転センサ35は、運転状態検出手段に相
当するもので、回転パルサー32の複数個の凸状歯31
が横切る際の磁界変化によってパルス信号を出力する。
すなわち、回転パルサー32の各凸状歯31がこの回転
センサ35に対して接近・離反するため、電磁誘導が発
生して回転センサ35からパルス信号を出力する。そし
て、このパルス信号のうち、第1〜第4欠歯部33a〜
33dによる幅広の谷部は一定クランク角度に相当する
基準位置信号として利用されるものであり、その他のパ
ルス信号は一定のクランク角毎のエンジン回転信号とし
て利用されるものである。なお、ECU10内のマイク
ロコンピュータは、一連のエンジン回転パルス信号の間
隔時間を計測することによってエンジン回転数(NE)
を検出する回転速度検出手段として働く。
【0023】カムプレート6は、図1に示したように、
エンジンEの気筒数と同じ数のフェイスカム(本発明の
燃料圧送カムに相当する)36を有し、ドライブシャフ
ト4によって回転させられると固定されたカムローラ3
7上を規定のカムリフトだけ往復運動する。したがっ
て、カムプレート6に接続されたプランジャ7は回転運
動すると共に往復運動して、燃料を吸入した後、分配圧
送を行う。そして、プランジャ7の往復運動により、加
圧室38の容積が増減され、その容積増加時には燃料が
加圧室38に吸入され、容積減少時には燃料がデリバリ
バルブ40に向けて圧送される。その加圧室38には、
スピルポート39を介して電磁スピル弁2が連通されて
いる。
【0024】ここで、プランジャ7の往復動作のタイミ
ングは、ローラリング41の回転角位置によって決定さ
れる。このローラリング41の回転角位置の制御は、分
配型燃料噴射ポンプ1に内蔵された電子制御式タイマー
(90°展開して図示)によって行われる。この電子制
御式タイマーは、図1および図2に示したように、ポン
プハウジング9の図示下方に一体的に設けられたタイマ
ーシリンダ42内をタイマー高圧室43とタイマー低圧
室44とに区画するように配設されたタイマーピストン
45と、このタイマーピストン45を噴射遅れの方向に
付勢するタイマースプリング46とを備え、燃料送油圧
力の変化を利用して、ドライブシャフト4とプランジャ
7とを駆動するフェイスカム36との位相を変化させ、
燃料圧送開始時期(燃料噴射時期)を変化させるもので
ある。
【0025】タイマーピストン45は、タイマーシリン
ダ42内に摺動自在に収容されており、ドライブシャフ
ト4と直交する方向に組み込まれている。そして、タイ
マーピストン45の作動位置(タイマー位置)は、ポン
プハウジング9内に形成されるポンプ室29の燃料圧
(ポンプ室内燃料圧:タイマー高圧室43の燃料圧)と
タイマースプリング46の荷重との釣り合いにより決定
される。このタイマーピストン45の動きは、スライド
ピン47を介してカムローラ37を保持するローラリン
グ41を回転する動きに変えられる。なお、タイマーピ
ストン45には、ポンプ室29とタイマー高圧室43と
を連通する燃料通路48が形成されている。
【0026】タイマーシリンダ42には、タイマー高圧
室43内の燃料をタイマー低圧室44内に導入する燃料
導入通路49が接続されている。この燃料導入通路49
の途中には、開度調整によってタイマー低圧室44の燃
料圧を調節して燃料噴射時期を制御するための噴射時期
制御用電磁弁(タイマーコントロールバルブ、TCV)
3が配設されている。この電磁弁3は、ECU10によ
って通電制御される電磁ソレノイド(電磁コイル)2
a、燃料導入通路49を開閉する弁体(バルブ本体)、
および弁体を初期位置に戻すためのリターンスプリング
(いずれも図示せず)等を有している。
【0027】ECU10内部には、図示しない中央処理
ユニット(CPU)、各種データ類を記憶するためのR
OM、CPUにおける演算データ等を一時的に記憶する
RAM、クロック信号を発振するクロック発振器等から
なるマイクロコンピュータが設けられている。そして、
各種センサからのセンサ信号、例えば吸気温センサ13
にて検出した吸気温信号、アクセル開度センサ18にて
検出したアクセル開度(ACCP)信号、吸気圧センサ
19にて検出した吸気圧信号、冷却水温センサ26にて
検出したエンジン冷却水温(THW)信号、更に燃料温
度センサ(図示せず)にて検出した燃料温度信号は、E
CU10内のA/D変換器によってA/D変換された後
にマイクロコンピュータに入力されるように構成されて
いる。
【0028】一方、基準位置センサ27から出力された
パルス状の基準位置(上死点:TDC)信号および回転
センサ35から出力されたパルス(ポンプ基準)信号
は、波形整形回路によって波形整形された後にマイクロ
コンピュータに入力されるように構成されている。そし
て、マイクロコンピュータにおいては、これらの入力デ
ータに基づいて電磁スピル弁2および電磁弁3等への制
御信号を演算出力する。これらの制御信号は、それぞれ
駆動回路を介して電磁スピル弁2および電磁弁3の電磁
ソレノイド2aに駆動指令信号として送られる。
【0029】本実施例では、回転センサ35はローラリ
ング41に取り付けられているため、タイマーピストン
45が移動してローラリング41が回動すると、ローラ
リング41と一体的に回転センサ35も回動する。その
ため、フェイスカム36のカム角度と回転センサ35で
検出されるポンプ基準信号との、時間軸における相対的
位置は、タイマーピストン45が移動しても変化しな
い。したがって、ポンプ基準信号より燃料噴射時期が検
出可能であるので、個々のパルスの位置を基に、電磁ス
ピル弁2の通電のON/OFFの時期(閉弁・開弁時
期)を決定して、燃料の噴射量制御を行うのである。こ
こで、個々のパルスの位置認識は、回転パルサー32に
対して気筒数に相当して形成された第1〜第4欠歯部3
3a〜33dを検出することによりなされる。
【0030】この第1〜第4欠歯部33a〜33dを検
出することによって、それに引き続いて検出される各回
転パルス信号が何番目であるかを認識することができ
る。また、燃料噴射時期の制御は、タイマーピストン4
5においてポンプ室29内の燃料圧力が作用するタイマ
ー高圧室43の燃料を、電磁弁3を介してタイマー低圧
室44に逃がす量を制御することにより、タイマーピス
トン45の位置を移動させ、ローラリング41を回転さ
せることで行われる。ここで、電磁弁3は、ECU10
からの指令で電子制御され、燃料噴射時期はこの電磁弁
3がON(オン)すると最も遅角側に設定され、OFF
(オフ)すると最も進角側に設定される。
【0031】したがって、エンジンEのクランク角に対
応して発生する基準位置センサ27の信号と、任意のパ
ルス番号の回転パルス信号との位相差(時間)を検出
し、その位相差をエンジン回転数等との関係から角度に
換算した実際の燃料噴射時期(以下実噴射時期:ACT
VAと言う)が算出される。また、エンジン回転数やエ
ンジン負荷(アクセル開度)等のエンジン制御パラメー
タに基づいて目標とする燃料噴射時期(以下目標噴射時
期:ATGCAと言う)が算出される。そして、実噴射
時期(ACTVA)と目標噴射時期(ATGCA)との
噴射時期誤差により、電磁弁3のON/OFF時期(デ
ューティー比)を制御する。このように、電磁弁3によ
る燃料噴射時期の進角量または遅角量を調整すること
で、燃料噴射時期のフィードバック制御、つまり電子制
御式タイマーのフィードバック制御が可能となる。
【0032】マイクロコンピュータのROMには、後述
する制御プログラムが格納され、各種センサからのセン
サ信号に応じた噴射量指令値(Qb)と、パイロット噴
射指令値(SPCpi,SPOpi,SPCm,SPO
m)と、非パイロット噴射指令値(SPC,SPO)と
を求めるための計算式または特性図が予め記憶されてい
る。また、ROMには、実噴射時期(ACTVA)と目
標噴射時期(ATGCA)との噴射時期誤差、すなわ
ち、タイマーピストン45の実際の位置(以下実タイマ
ー位置:θrと言う)とタイマーピストン45の目標値
(以下目標タイマー位置:θtと言う)とのタイマー誤
差(Δθ)に応じた噴射時期制御量(D)を求めるため
の計算式または特性図(2次元マップ)が予め記憶され
ている。
【0033】[実施例の作用]次に、本実施例のディー
ゼルエンジン用電子制御噴射装置の作用を図1および図
2に基づいて簡単に説明する。
【0034】ドライブシャト4の回転によりフェイスカ
ム36が回転駆動され、これに応動してプランジャ7が
軸回りに回転すると共に、軸方向に沿って往復運動す
る。ポンプ室29内の燃料は、プランジャ7の後退によ
り、スピルポート39を通って加圧室38内に吸入され
る。そして、プランジャ7の前進に伴い圧縮された燃料
は、加圧室38において所定の圧力に達すると、燃料の
逆流や後垂れを防止するデリバリバルブ40を介して吐
出され、エンジンEに配設した燃料噴射ノズル23に供
給される。このようにして、燃料は、エンジンEの各気
筒毎に対応した燃料噴射ノズル23から各燃焼室内に噴
射される。
【0035】一般にエンジンEへの燃料噴射量を制御す
る場合、分配型燃料噴射ポンプ1に取り付けられた回転
センサ35から出力されるパルス信号に応じてエンジン
回転数(NE)を検出し、アクセル開度センサ18によ
りアクセル開度(ACCP)を検出し、それらのエンジ
ン回転数とアクセル開度に基づいて2次元マップまたは
計算式から基本噴射量を算出し、その基本噴射量に冷却
水温センサ26にて検出したエンジン冷却水温(TH
W)等の値を加味した噴射量指令値(Qb)を算出す
る。そして、噴射量指令値(Qb)に応じて電磁スピル
弁2の閉弁・開弁指令値(SPC,SPO)を演算す
る。その電磁スピル弁2が閉弁された状態では、加圧室
38の容積の減少に伴って燃料の圧送が行われるが、電
磁スピル弁2が開弁された状態では、加圧室38の容積
が減少されても、スピルポート39および連通路50か
ら燃料がポンプ室29内に逃がされて、加圧室38内の
圧力は高まらない。つまり、この電磁スピル弁2を閉弁
・開弁制御することにより連通路50を断続することに
よってエンジンEへの燃料噴射量が適正値に制御され
る。
【0036】一方の燃料噴射時期は、プランジャ7が上
昇し始める点、すなわち、分配型燃料噴射ポンプ1の圧
送開始時期で決定される。その圧送開始時期は、フェイ
スカム36がローラリング41に回転自在に支持された
カムローラ37を上昇し始める点であるから、カムロー
ラ37の位置を変化させれば、燃料噴射時期を変更する
ことができる。なお、カムローラ37の位置制御は、分
配型燃料噴射ポンプ1に内蔵されたタイマーピストン4
5の位置制御により行われる。すなわち、本実施例の電
子制御式タイマーによれば、タイマースプリング46が
タイマーピストン45を噴射遅れの方向に付勢してお
り、エンジン回転数が上昇すると、燃料送油圧力(ポン
プ室29の燃料圧、タイマー高圧室43の燃料圧)が上
昇してタイマーピストン45がタイマースプリング46
の弾性力(スプリング力)に抗して押される。
【0037】このため、スライドピン47を介してロー
ラリング41がポンプ回転方向と逆方向に回転され、油
圧に比例して燃料噴射時期が進められる。また、燃料噴
射時期は、エンジン制御パラメータに応じた実噴射時期
(ACTVA)と目標噴射時期(ATGCA)とが一致
するよう、ECU10により通電制御される(例えばデ
ューティー比制御)される電磁弁3によってタイマーピ
ストン45に作用する油圧(タイマー低圧室44の燃料
圧)を調整することにより、タイマーピストン45の進
角側への移動を制限または許容することで制御される。
ここで、本実施例の分配型燃料噴射ポンプ1において
は、エンジンEの騒音やエミッションを低減させる目的
で、メイン噴射に先立って少量のパイロット噴射を行う
噴射率制御を実施するパイロット噴射モードを行うよう
に構成されている。そして、噴射率制御を実施するパイ
ロット領域用の目標タイマー位置(θtpi)と噴射率
制御を実施せず、メイン噴射のみの非パイロット領域用
の目標タイマー位置(θt)とが所定角度(例えば6°
CA)分異なるように算出される。
【0038】[実施例の制御方法]次に、本実施例のデ
ィーゼルエンジン用電子制御噴射装置の制御方法を図3
ないし図6に基づいて簡単に説明する。ここで、図3お
よび図4はECU10のROMに格納された制御プログ
ラムの一例を示したフローチャートで、エンジンEの各
気筒毎の燃料噴射の度に本制御処理が実施される。
【0039】先ず、エンジンEの運転状態を現すエンジ
ン制御パラメータを取り込む。すなわち、エンジン回転
数(NE)、アクセル開度(ACCP)、エンジン冷却
水温(THW)、基準角度(ポンプ角度、クランク角
度)等のセンサ信号を取り込む(運転状態検出手段:ス
テップS1)。次に、エンジン制御パラメータをベース
にして、例えばエンジン回転数(NE)、アクセル開度
(ACCP)およびエンジン冷却水温(THW)に基づ
いて燃料噴射量(噴射量指令値:Qb)を演算する(ス
テップS2)。
【0040】次に、エンジン回転数やエンジン負荷(ア
クセル開度)等のエンジン制御パラメータから目標噴射
時期(ATGCA)を算出する。すなわち、目標タイマ
ー位置(θt)を算出する(目標噴射時期算出手段:ス
テップS3)。次に、エンジンEのクランク角に対応し
て発生する基準位置センサ27の信号と、任意のパルス
番号の回転パルス信号との位相差(時間)を検出し、そ
の位相差をエンジン回転数等との関係から角度に換算し
た実噴射時期(ACTVA)を算出する。すなわち、実
タイマー位置(θr)を算出する(実噴射時期算出手
段:ステップS4)。
【0041】次に、実噴射時期(ACTVA)と目標噴
射時期(ATGCA)との噴射時期誤差を演算する。す
なわち、下記の数1の式および数2の式に基づいて、実
タイマー位置(θr)と目標タイマー位置(θt)との
タイマー位置誤差(Δθ)を演算する(ステップS
5)。
【数1】
【数2】
【0042】次に、エンジン回転数(NE)と燃料噴射
量(噴射量指令値:Qb)とから領域切替え時期を求め
るための図7の特性図(2次元マップ)に基づいて、排
気規制強化への対応またはエンジンEの燃焼音の低減の
要求に答えるため、エンジンEへの燃料のメイン噴射に
先立って僅かな量のパイロット噴射を行う噴射率制御を
実施するパイロット領域(パイロット噴射モード)の噴
射状態か否かを判別する(ステップS6)。この判定結
果がNOの場合、すなわち、今回の噴射状態が非パイロ
ット領域の噴射状態である場合には、前回(または前々
回)はパイロット領域(パイロット噴射モード)の噴射
状態か否かを判定する(ステップS7)。この判定結果
がNOの場合には、噴射量指令値(Qb)とエンジン回
転数(NE)とから非パイロット噴射指令値(SPV閉
弁指令値:SPC,SPV開弁指令値:SPO)を演算
する(ステップS8)。
【0043】また、ステップS7の判定結果がYESの
場合、すなわち、パイロット領域から非パイロット領域
への領域切替え時期である場合には、タイマー位置誤差
(Δθ)が所定値α(例えば1〜2°CA)以下である
か否かを判定する(ステップS9)。この判定結果がY
ESの場合、すなわち、タイマー遅れが解消した場合に
は、ステップS8の演算処理を行う。また、ステップS
9の判定結果がNOの場合、つまり非パイロット領域の
目標タイマー位置(θt)より過進角の場合には、噴射
量指令値(Qb)とエンジン回転数(NE)とからパイ
ロット噴射指令値(SPV閉弁指令値:SPCpi,S
PCm,SPV開弁指令値:SPOpi,SPOm)を
演算する(ステップS10)。
【0044】また、ステップS6の判定結果がYESの
場合には、前回(または前々回)は非パイロット領域
(非パイロット噴射モード)の噴射状態か否かを判定す
る(ステップS11)。この判定結果がNOの場合に
は、ステップS10の演算処理を行う。また、ステップ
S11の判定結果がYESの場合、すなわち、非パイロ
ット領域からパイロット領域への領域切替え時期である
場合には、タイマー位置誤差(Δθ)が所定値β(例え
ば1〜2°CA)以下であるか否かを判定する(ステッ
プS12)。この判定結果がYESの場合、すなわち、
タイマー遅れが解消した場合には、ステップS10の演
算処理を行う。また、ステップS12の判定結果がNO
の場合、つまりパイロット領域の目標タイマー位置(θ
t)より過遅角の場合には、ステップS8の演算処理を
行う。
【0045】次に、ステップS5で算出したタイマー位
置誤差(Δθ)に応じて電磁弁3へのフィードバック制
御量(噴射時期制御量:D)を算出する(ステップS1
3)。なお、噴射時期制御量(D)には積分・比例制御
量を含む。次に、以上の各ステップで演算、算出した電
磁スピル弁2用の閉弁時期指令値、開弁時期指令値、電
磁弁3用の噴射時期指令値を出力段(SPCpi,SP
Opi,SPCm,SPOm,SPC,SPO,D)に
セットする(ステップS14)。以降はステップS1に
戻り、上記の制御処理を繰り返し実行する。
【0046】ここで、本実施例では、ステップS9で、
タイマー位置誤差(Δθ)が所定値α(例えば1〜2°
CA)以下であるか否かを判定し、また、ステップS1
2で、タイマー位置誤差(Δθ)が所定値β(例えば1
〜2°CA)以下であるか否かを判定したが、ステップ
S9、S12で、所定ディレイ時間T(例えば1〜2秒
間)が経過しているか否か、あるいは所定噴射回数(例
えば1〜2回)を終了したか否かを判定しても良い。
【0047】[実施例の特徴]次に、本実施例のディー
ゼルエンジン用電子制御噴射装置の特徴を図1ないし図
6に基づいて簡単に説明する。ここで、図5は噴射率制
御を実施するパイロット領域から噴射率制御を実施しな
い非パイロット領域への領域切替え時期のタイマー位置
の変化と噴射状態の切替えを示したタイミングチャート
である。
【0048】ここで、パイロット領域では、メイン噴射
に先立って噴射されるパイロット噴射で火種を作るため
に、タイマーピストン45の作動位置は非パイロット領
域に対して進角側に設定される。そして、パイロット噴
射から非パイロット噴射に噴射状態が切り替わると、タ
イマーピストン45の目標位置(目標タイマー位置)が
遅角側に変更されて、従来制御では、タイマーピストン
のタイマーの作動応答遅れ分、目標タイマー位置に対し
進角状態で制御されることとなる。これに対し、本実施
例のようなパイロット領域から非パイロット領域への領
域切替え時期には、過進角中は切替え前の噴射状態(本
例ではパイロット噴射の噴射状態)を継続することによ
り、実タイマー位置の過進角を無くし、適切な燃料噴射
時期に制御できる。これに伴い過進角による燃焼騒音段
差やトルク変動を解消することができる。なお、パイロ
ット領域から非パイロット領域へ切り替える場合には、
上述したように目標タイマー位置(要求タイマー位置)
が切り替わるだけでなく、燃料噴射量も変更される。
【0049】また、図6は噴射率制御を実施するパイロ
ット領域から噴射率制御を実施しない非パイロット領域
への領域切替え時期のタイマー応答遅れ期間内の燃料噴
射率波形とカム位置を示したタイミングチャートであ
る。なお、燃料噴射率の時間積分結果が燃料噴射量とな
るため、図6における燃料噴射率波形で囲まれた部分の
面積が燃料噴射量に相当する。
【0050】先ず、パイロット噴射の噴射状態を実施し
ている状態では、パイロット噴射、メイン噴射で制御
し、フェイスカム36の位置は進角状態にあり、カムリ
フト初期から電磁スピル弁2を閉弁制御しパイロット噴
射を行う。所定のパイロット噴射量(Qp)の噴射を実
施した後、電磁スピル弁2を開弁制御しパイロット間隔
(K)だけ無噴射とした後、再度電磁スピル弁2を閉弁
制御しメイン噴射を開始させ、所定のメイン噴射量(Q
m)を噴射した後、電磁スピル弁2を開弁させて燃料噴
射を終了する。
【0051】次に、パイロット領域から非パイロット領
域への領域切替え時期から1回目の噴射では、実タイマ
ー位置(θr)と目標タイマー位置(θt)とのタイマ
ー位置誤差(Δθ)が所定値α(例えば1〜2°CA)
よりも大きいため、非パイロットの噴射状態への切替え
を禁止し、切替え前の噴射状態を継続する。次に、パイ
ロット領域から非パイロット領域への領域切替え時期か
ら2回目の噴射では、実タイマー位置(θr)が目標タ
イマー位置(θt)に近づくが、未だタイマー位置誤差
(Δθ)が所定値α(例えば1〜2°CA)よりも大き
いため、非パイロットの噴射状態への切替えを禁止し、
切替え前の噴射状態を継続する。
【0052】次に、タイマー位置誤差(Δθ)が所定値
α(例えば1〜2°CA)以下となり、噴射状態切替え
時期となると、切替え後の噴射状態、つまり非パイロッ
ト領域の噴射状態への切替えを実行する。すなわち、カ
ムリフト初期から電磁スピル弁2を閉弁制御し噴射を開
始させ、所定の噴射量を噴射した後、電磁スピル弁2を
開弁させて燃料噴射を終了する。逆に、非パイロット領
域からパイロット領域へ切り替える場合も、同様に、タ
イマー位置誤差(Δθ)が所定値β(例えば1〜2°C
A)よりも大きい場合はパイロットの噴射状態への切替
えを禁止し、切替え前の噴射状態を継続する。そして、
タイマー位置誤差(Δθ)が所定値β(例えば1〜2°
CA)以下となり、噴射状態切替え時期となると、切替
え後の噴射状態、つまりパイロット領域の噴射状態への
切替えを実行する。
【0053】[実施例の効果]以上のように、噴射率制
御を実施するパイロット噴射モード時のタイマーピスト
ン45の目標値と噴射率制御を実施しない非パイロット
噴射モード時のタイマーピストン45の目標値とが所定
のクランク角度(例えば6°CA)分異なる分配型燃料
噴射ポンプ1において、パイロット領域と非パイロット
領域との領域切替え時に、図5および図6のタイミング
チャートに示したように、実噴射時期に相当する実タイ
マー位置(θr)と目標噴射時期に相当する目標タイマ
ー位置(θt)とのタイマー位置誤差(Δθ)が所定値
以下となったら、つまりタイマー遅れが解消された時点
で、即座に切替え前の噴射状態から切替え後の噴射状態
へ切り替えるようにしている。すなわち、パイロット領
域と非パイロット領域との領域切替え時期と噴射状態切
替え時期とをタイマー応答遅れが解消する時間相当分だ
けずらすことにより、パイロット領域の噴射状態と非パ
イロット領域の噴射状態との要求タイマー位置(目標タ
イマー位置:θt)の違いによる、タイマー応答遅れに
伴う過進角または過遅角の燃焼騒音段差やトルク変動に
よるドライバビリティの違和感を改善することができ
る。また、電磁スピル弁2を閉弁・開弁制御することに
よってパイロット噴射を行った後にメイン噴射を行う噴
射率制御の効果を最大限に発揮させることができる。
【0054】[変形例]本実施例では、本発明の噴射率
制御を、タイマー高圧室圧制御型の電子制御式タイマー
を備えた分配型燃料噴射ポンプ1に適用した例を説明し
たが、本発明の噴射率制御を、タイマー低圧室圧制御型
の電子制御式タイマーを備えた分配型燃料噴射ポンプ1
に使用しても良い。また、本実施例では、本発明の一適
用例について説明したが、本発明は上記実施例に限定さ
れるものではなく、種々の態様を取ることができる。例
えば、本実施例では、フェイスカム圧送式の分配型燃料
噴射ポンプ1をベースに説明したが、インナーカム圧送
式等の分配型燃料噴射ポンプでも電子制御式タイマーを
備えたものであれば、本制御を適用できることは言うま
でもない。
【0055】本実施例では、実噴射時期を検出する実噴
射時期検出手段としてローラリング41上の回転センサ
35を用いているが、タイマーピストン45の位置、燃
料噴射ノズル23のリフト量またはイオン電流等を検出
するセンサを用いても、本発明の噴射率制御を実施でき
ることは明らかである。また、本実施例では説明しなか
ったが、パイロット領域と非パイロット領域とを変更す
る領域切替え制御時のプレストローク制御を、実施例で
は変更から所定時間(例えば1秒間)以内で行うように
しているが、これに代えて、タイマーピストン45の応
答性相当の所定期間、すなわち、所定噴射回数(例えば
メイン噴射3回)または所定回転回数、更には所定のエ
ンジン回転数または所定負荷までの領域で実施しても同
様の効果が得られることは明らかである。
【0056】本実施例では、図7に示したように、燃料
噴射量(噴射量指令値:Qb)とエンジン回転数(N
E)との2次元マップからパイロット領域(パイロット
噴射モード)と非パイロット領域(非パイロット噴射モ
ード)との領域切替え時期を決定したが、エンジン回転
数(NE)とエンジン負荷(例えばアクセル開度:AC
CP)の2次元マップからパイロット領域(パイロット
噴射モード)と非パイロット領域(非パイロット噴射モ
ード)との領域切替え時期を決定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジン用電子制御噴射装置を示し
た概略図である(実施例)。
【図2】分配型燃料噴射ポンプの回転パルサーおよび回
転センサを示した概略図である(実施例)。
【図3】本実施例の制御プログラムを示したフローチャ
ートである(実施例)。
【図4】本実施例の制御プログラムを示したフローチャ
ートである(実施例)。
【図5】パイロット領域から非パイロット領域への領域
切替え時期のタイマー位置の変化と噴射状態の切替えを
示したタイミングチャートである(実施例)。
【図6】パイロット領域から非パイロット領域への領域
切替え時期のタイマー応答遅れ期間内の燃料噴射率波形
とカム位置を示したタイミングチャートである(実施
例)。
【図7】パイロット領域と非パイロット領域との領域切
替え時期を示した特性図である(実施例)。
【図8】パイロット領域から非パイロット領域への領域
切替え時期のタイマー応答遅れ期間内の燃料噴射率波形
とカム位置を示したタイミングチャートである(従来の
技術)。
【図9】本発明の内燃機関用燃料噴射装置を示したシス
テムブロック図である。
【図10】本発明の内燃機関用燃料噴射装置を示したシ
ステムブロック図である。
【符号の説明】 E ディーゼルエンジン 1 分配型燃料噴射ポンプ 2 電磁スピル弁(SPV) 3 電磁弁(TCV) 4 ドライブシャフト 6 カムプレート 7 プランジャ 29 ポンプ室(低圧室) 36 フェイスカム(燃料圧送カム) 37 カムローラ 38 加圧室(高圧室) 45 タイマーピストン 50 連通路
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/04 385 F02D 41/04 385A F02M 41/12 320 F02M 41/12 320A 330 330F Fターム(参考) 3G060 AA03 AA05 AB03 AC10 BA02 BB10 BC03 CA01 CA02 CA03 CB07 CC06 CC09 DA06 DA12 FA02 FA07 GA01 GA02 GA03 GA04 GA05 GA07 3G066 AA07 AA11 AB02 AC04 AD12 BA00 BA22 CA01S CA08 CA09 CA20U CA41 CA42 CD25 CD26 CE03 CE05 DA01 DA04 DA09 DB06 DC04 DC05 DC09 DC13 DC14 DC19 3G301 HA02 HA04 HA06 HA11 JA04 JA37 KA00 LB11 LB16 LB19 LC01 MA11 MA18 MA23 MA27 NA06 NA08 NC02 ND02 ND41 NE21 PA07Z PA10Z PE01Z PE04Z PE08Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧室と低圧室とを連通する連通路に電磁
    スピル弁を設け、更にカムローラとの転接作用によって
    プランジャを往復動作させることにより前記高圧室の容
    積を増減させる燃料圧送カムを設け、前記電磁スピル弁
    を閉弁・開弁制御することにより前記連通路を断続させ
    て内燃機関への燃料噴射量を制御する燃料噴射ポンプ
    と、 この燃料噴射ポンプのカムローラの位置を変更するタイ
    マーピストンを有し、このタイマーピストンに作用する
    油圧を調整することにより前記タイマーピストンの作動
    位置を変える油圧式タイマーとを備え、 前記燃料圧送カムが前記カムローラ上をリフトする際
    に、メイン噴射に先立って前記電磁スピル弁を閉弁・開
    弁制御するパイロット噴射を行う噴射率制御を実施する
    パイロット噴射モードと、 前記噴射率制御を実施せず、前記燃料圧送カムが前記カ
    ムローラ上をリフトする際に、前記電磁スピル弁を閉弁
    ・開弁制御するメイン噴射のみを行う非パイロット噴射
    モードとの領域切替え時期に、 所定の条件を満足するまでは、切替え前の噴射状態から
    切替え後の噴射状態への切り替えを禁止し、 所定の条件を満足した時には、切替え前の噴射状態から
    切替え後の噴射状態へ切り替えることを特徴とする内燃
    機関用燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置
    において、 前記内燃機関の運転状態から目標噴射時期を算出する目
    標噴射時期算出手段と、 前記内燃機関の運転状態から実噴射時期を算出する実噴
    射時期算出手段と、 前記目標噴射時期と前記実噴射時期との噴射時期誤差を
    検出する噴射時期誤差検出手段とを備え、 前記所定の条件を満足するまでとは、前記目標噴射時期
    と前記実噴射時期との噴射時期誤差が所定値以下に到達
    するまでであり、 前記所定の条件を満足した時とは、前記目標噴射時期と
    前記実噴射時期との噴射時期誤差が所定値以下の時であ
    ることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置
    において、 前記内燃機関の運転状態から前記タイマーピストンの目
    標値を算出する目標タイマー位置算出手段と、 前記内燃機関の運転状態から前記タイマーピストンの実
    位置を算出する実タイマー位置算出手段と、 前記タイマーピストンの目標値と実位置との誤差を検出
    する誤差検出手段とを備え、 前記所定の条件を満足するまでとは、前記タイマーピス
    トンの目標値と実位置との誤差が所定値以下に到達する
    までであり、 前記所定の条件を満足した時とは、前記タイマーピスト
    ンの目標値と実位置との誤差が所定値以下の時であるこ
    とを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置
    において、 前記所定の条件を満足するまでとは、所定時間または所
    定回転回数または所定噴射回数に到達するまでであり、 前記所定の条件を満足した時とは、所定時間または所定
    回転回数または所定噴射回数に到達した時であることを
    特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置
    において、 前記パイロット噴射モードと前記非パイロット噴射モー
    ドとの領域切替え時期から、切替え前の噴射状態から切
    替え後の噴射状態への噴射状態切替え時期を、タイマー
    遅れに対応する条件分だけ遅延させることを特徴とする
    内燃機関用燃料噴射装置。
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