JP2002200692A - 酸化チタン層、およびこれを用いた反射防止フィルム - Google Patents

酸化チタン層、およびこれを用いた反射防止フィルム

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JP2002200692A
JP2002200692A JP2000401436A JP2000401436A JP2002200692A JP 2002200692 A JP2002200692 A JP 2002200692A JP 2000401436 A JP2000401436 A JP 2000401436A JP 2000401436 A JP2000401436 A JP 2000401436A JP 2002200692 A JP2002200692 A JP 2002200692A
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titanium oxide
oxide layer
layer
refractive index
film
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JP2000401436A
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Tatsuji Nakajima
達司 中嶋
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、上記問題に鑑みなされたものであ
り、内部応力が小さく、かつその屈折率を所望の値にす
ることが可能であり、耐湿性にも優れた酸化チタン層を
提供することを目的とする。 【解決手段】 酸化チタン層を有機チタン化合物から形
成し、当該酸化チタン層の屈折率を1.7〜2.9(λ
=550nm)とし、内部応力を1GPa以下とし、消
衰係数を0.01(λ=436nm)以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機チタン化合物
からなる酸化チタン層、及び当該酸化チタン層を用いた
反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ、プラズマディスプレ
イ、CRTなどのコンピューター、ワープロ、テレビ、
表示板等に使用される各種ディスプレイや、計器等の表
示体、バックミラー、ゴーグル、窓ガラスなどには、ガ
ラスやプラスチックなどの透明な基板が使用されてい
る。そして、それらの透明な基板を通して、文字や図形
その他の情報を読み取るため、透明な基板の表面で光が
反射するとそれらの情報が読み取り難くなるという欠点
がある。
【0003】現在では、上記欠点を解決するために、基
材フィルム上に互いに屈折率の異なる層を積層すること
により反射防止フィルムを形成し、当該反射防止フィル
ムを前記透明な基板表面に貼ることにより光の反射を防
止することが行われている。
【0004】そして、このような積層構造を有する反射
防止フィルムにおいては、その積層構造中に、酸化チタ
ン層を積層する場合が多い。
【0005】ここで、優れた反射防止フィルムを形成す
るためには、前記積層構造に様々な屈折率を有する薄層
を複数積層することが必要となるが、積層構造の厚さと
当該積層構造の内部応力との間には比例関係があり、し
たがって積層構造の厚さが厚くなればなるほど、内部応
力は大きくなってしまい、基材と積層構造とが剥離した
り、基材自体が変形してしまったりする原因となってお
り、したがって、積層構造を構成する各薄層の内部応力
を小さくする必要がある。
【0006】積層構造中の酸化チタン層を形成する際に
は、従来から、真空蒸着法やスパッタリング法が用いら
れているが、これらの成膜法によって、当該酸化チタン
層の内部応力を小さくするためには、形成時に非常に多
くの問題が生じていた。例えば、非常に狭い成膜条件で
しか実現できなかったり、屈折率の調整が困難となった
り、層の密度が低い状態でしか形成できず、耐湿性に問
題が生じたりする、といった問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みなされたものであり、内部応力が小さく、かつその
屈折率を所望の値にすることが可能であり、耐湿性にも
優れた酸化チタン層を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、請求項1において、有機物を含有する酸化
チタン層であって、当該酸化チタン層の屈折率が1.7
〜2.9(λ=550nm)であり、内部応力が1GP
a以下であり、消衰係数が0.01(λ=436nm)
以下であることを特徴とする酸化チタン層を提供する。
【0009】酸化チタン層の屈折率を上記範囲内の値と
することにより、光学特性に優れ、反射防止フィルムに
おける反射防止積層体の高屈折率層等として利用するこ
とが可能となり、さらに、当該酸化チタン層の内部応力
が上記範囲内であれば、基材の変形や層の剥離の原因と
なることはないからである。そしてまた、消衰係数が上
記範囲内であれば、当該酸化チタン層は充分に透明であ
るといえ、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディス
プレイ等に使用される各種ディスプレイにおいて用いら
れる反射防止フィルムを構成する反射防止積層体中にお
いても好適に用いることが可能だからである。
【0010】また、前記請求項1に記載の発明において
は、請求項2に記載するように、前記酸化チタン層の組
成がTiOxy:H(x=1.0〜2.5、y=0.1
〜1.5)であることが好ましい。
【0011】酸化チタン層をTiOxy:H(x=1.
0〜2.5、y=0.1〜1.5)たる組成を有する有
機チタン化合物から構成することにより、当該酸化チタ
ン層は、これを構成するチタン(Ti)と酸素原子
(O)に加え、メチル基(−CH 3)等の有機物との結
合も有する構造となるため、当該酸化チタン層の屈折率
を所望の値、つまり高屈折率層として用いるのに適当な
値(1.7〜2.9(λ=550))とすることがで
き、また内部応力および消衰係数も上述した範囲内とす
ることができるからである。
【0012】従来の酸化チタン層においては、屈折率を
所望の値に調整するためには、酸化チタン層の密度を変
化せしめる(例えば、当該層内に空隙を設けるなど)必
要があったため、長期間にわたり使用したり、高温高湿
度条件下で使用した場合には、層内の空隙に水分子が入
り込むことがあり、その結果、屈折率に変化を生じるこ
とがあった。しかしながら、本発明の酸化チタン層にお
いては、有機チタン化合物により層を構成することによ
って、屈折率を調整しているため、層内に空隙を設ける
必要がなく、したがって長期間の使用や、高温高湿度条
件下で使用にあっても屈折率に変化を生じることはな
い。
【0013】前記請求項1又は請求項2に記載の発明に
おいては、請求項3に記載するように、C−Hストレッ
チング振動の赤外線吸収が0.05〜1.0cm-1であ
り、O−Hストレッチング振動の赤外線吸収が0.1〜
10.0cm-1であることが好ましい。
【0014】上記のような吸収を示す酸化チタン層であ
れば、上述した本発明の特質(酸化チタン層が有機チタ
ン化合物により構成されているため、層内に空隙を設け
なくても高屈折率層として用いることができ、かつ内部
応力を小さくすることが可能であること等)をより効果
的に発揮することができるからである。
【0015】また、前記請求項1乃至請求項3のいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項4に記載す
るように、耐湿熱試験後の屈折率の変化が0.01以下
であることが好ましい。
【0016】ここで、耐湿熱試験とは、85℃、相対湿
度95%で1ヶ月間放置する試験をいい、本発明の酸化
チタン層は、当該試験後においても屈折率の変化が0.
01以下であり、この程度の変化であれば充分に実用に
耐え得るからである。
【0017】また、前記請求項1乃至請求項4のいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項5に記載す
るように、有機チタン化合物を原料とし、プラズマCV
D法により形成することが好ましい。
【0018】プラズマCVD法を用いることにより、酸
化チタン層を形成する際の成層条件を比較的容易に管理
することができ、また、本発明の酸化チタン層は有機チ
タン化合物により層を構成することが可能であり、この
ように有機物を含有する原料を成層する際には、原料を
ガス状にして用いるプラズマCVD法が最も適している
からである。
【0019】さらに、本発明においては、請求項6に記
載するように、基材と、この基材上に設けられおり、最
外層に低屈折率層を有し複数の薄層が積層されてなる反
射防止積層体と、を有する反射防止フィルムにおいて、
前記複数の層のうち少なくとも一層が前記請求項1乃至
請求項5のいずれかの請求項に記載の酸化チタン層であ
ることを特徴とする反射防止フィルムをも提供する。
【0020】上記請求項1乃至請求項5に記載された本
発明の酸化チタン層は、屈折率が所望の値であり(1.
7〜2.9)、また内部応力も小さく、消衰係数が0.
01(λ=436nm)以下であり、さらに耐湿熱性に
も優れているため、反射防止フィルムにおける反射防止
積層体中の一層として、最外層に設けられた低屈折率層
との相乗効果をもって好適に用いることができ、また、
複数の薄層が積層されてなる反射防止積層体を有する反
射防止フィルムは、プラズマCVD法により効率よく形
成することも可能だからである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の酸化チタン層お
よび当該酸化チタン層を用いた反射防止フィルムについ
て具体的に説明する。
【0022】[1]酸化チタン層について 本発明の酸化チタン層は、以下に列記する特徴を有する
ものである。 (1)屈折率が1.7〜2.9(λ=550nm)であ
り、内部応力が1GPa以下であり、消衰係数が0.0
1(λ=436nm)以下である。 (2)層の組成がTixy:H(x=1.0〜2.5、
y=0.1〜1.0)である。 (3)C−Hストレッチング振動の赤外線吸収が0.0
5〜1.0cm-1であり、O−Hストレッチング振動の
赤外線吸収が0.1〜10.0cm-1である。 (4)耐湿熱試験後の屈折率の変化が0.01以下であ
る。
【0023】以上(1)〜(4)の特徴について具体的
に説明する。
【0024】上記(1)の特徴について まず初めに、本発明の酸化チタン層は、その屈折率が
1.7〜2.9であることに特徴を有している。
【0025】本発明の酸化チタン層は、反射防止フィル
ムを構成する反射防止積層体中の一層として、より具体
的には高屈折率層として利用することを主たる目的とし
ているため、その屈折率は上記の範囲であることが好ま
しく、他の層(低屈折率層や中屈折率層)との相乗効果
により、優れた反射防止フィルムを構成することが可能
となる。
【0026】ここで、高屈折率層とは、反射防止積層体
を構成する薄層をそれぞれの屈折率により相対的に比較
した場合において、それぞれの薄層を区別するための名
称であり、比較的屈折率の高い層を高屈折率層、比較的
屈折率の低い層を低屈折率層とし、前記高屈折率層と低
屈折率層の中間の屈折率を有する層を中屈折率層として
いる。一般的には、屈折率が1.80以上を高屈折率
層、1.55以上1.80未満を中屈折率層、1.55
未満を低屈折率層とする場合が多い。
【0027】また、本発明の酸化チタン層は、その内部
応力が1GPa以下であることに特徴を有している。
【0028】内部応力が上記範囲内であれば、酸化チタ
ン層の影響により反射防止フィルム中の基材が変形した
り、当該酸化チタン層が剥離したりすることがないから
である。
【0029】ここで内部応力とは、基板上に形成された
薄膜の基板面に垂直な断面を考えた時、断面の一方の側
が他方の側に及ぼしている単位断面積当たりの力のこの
とである。本発明においては、基材の片面へ測定する薄
膜を均一に形成し、それを短冊型に切り出して、薄膜の
内部応力による変位δを測定する。そして、以下の式
(Stoneyの式)を用いて前記変位δを含めそれそ
れの数値を代入することにより算出することができる。
【0030】σ=Eb2δ/(3(1−ν)dl2) なお、上記式中Eは基材のヤング率、bは基材の厚み、
νは基材のポアソン率、lは基材の長さであり、また、
薄膜の変位とは、図1に示す部分の値(基材のたわみ)
である。
【0031】さらに、本発明の酸化チタン層は、消衰係
数が0.01(λ=436nm)以下であることに特徴
を有している。
【0032】本発明の酸化チタン層は、消衰係数が0.
01(λ=436nm)以下であるため、層の透明度も
充分であり、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディ
スプレイ等に使用される各種ディスプレイにおいて用い
られる反射防止フィルムを構成する反射防止積層体中に
おいても好適に用いることが可能である。
【0033】ここで上記消衰係数とは、層の各波長にお
ける吸収割合を示す数値であり、屈折率の虚数部分にあ
たる。具体的には、分光器で測定した透過、反射スペク
トルにCaughyの式を適用することにより算出でき
る。また、光学異方性のない基材(例えば、ケイ素、ポ
リカーボネート、ガラス等)上へ作製した薄層を、エリ
プソメトリ(偏光解析法)を用いる方式でも算出するこ
とができる。
【0034】上記(2)の特徴について また、本発明の酸化チタン層の組成はTiOxy:H
(x=1.0〜2.5、y=0.1〜1.5)、つま
り、単なる酸化チタン(TiO2)により構成された層
ではなく、有機物(炭素(C)及び水素(H))を含有
する酸化チタン化合物(有機チタン化合物)により構成
されている。
【0035】ここで、本発明の酸化チタン層中のチタン
原子(Ti)と結合している酸素原子(O)の数xは
1.0〜2.5である。これは、結合している酸素原子
の数が1.0より少なくなると酸化チタンの可視光域で
の透明性が失われ、反射防止フィルムとしての機能が低
下するからである。
【0036】一方、チタン原子に結合している酸素原子
の数xを2.5より多くすることは、可能であるが、こ
の場合は、膜中のO−H基が増え、膜強度および下地と
の密着性が低下するため、反射防止フィルムには適さな
い。したがって、本発明においては、チタン原子(T
i)と結合している酸素原子(O)の数xは1.0〜
2.5とした。
【0037】また、本発明の酸化チタン層中のチタン原
子(Ti)と結合している炭素原子(C)の数yは0.
1〜1.5である。これは、結合している炭素原子の数
が0.1より少ないと、内部応力が増加して、1GPa
以上になってしまい、このような場合は、基材の反りや
下地との密着性の低下が発生するからである。
【0038】一方、チタン原子に結合している炭素原子
の数yを1.5より多くすると、酸化チタン層全体が脆
くなり、層の形成自体が不可能となるからである。
【0039】このように、層の組成がTiOxy:H
(x=1.0〜2.5、y=0.1〜1.5)である有
機チタン化合物を用いて酸化チタン層を形成することに
より、酸化チタン層を構成する酸化チタン(Ti
x)、つまりケイ素原子(Ti)と酸素原子(O)に
加え、有機物(炭素(C)と水素(H))が結合されて
いるため、当該酸化チタン層の内部応力、および消衰係
数を所望の値としながらにして高屈折率層として用いる
ことができる。
【0040】上記(3)の特徴について 本発明の酸化チタン層においては、C−Hストレッチン
グ振動の赤外線吸収が0.05〜1.0cm-1であり、
O−Hストレッチング振動の赤外線吸収が0.1〜1
0.0cm-1であることに特徴を有している。
【0041】上述したように、本発明の酸化チタン層
は、チタン原子(Ti)と酸素原子(O)に加え、有機
物(炭素(C)と水素(H))が結合されている構造と
なっていることに特徴を有している。本発明は、前記結
合されている有機物の構造を限定するものではなく、酸
化チタン層全体として屈折率が1.7〜2.9(λ=5
50nm)の範囲内であり、上述してきた特徴を有して
いればいかなる構造を有する有機物であってもよい。
【0042】しかしながら、層の組成が前記(2)の範
囲内にある酸化チタンの中でも特に、酸化チタン層内の
C−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収が0.0
5〜1.0cm-1であり、O−H結合のストレッチング
振動の赤外線吸収が0.1〜10.0cm-1であること
が好まく、さらには、C−H結合のストレッチング振動
の赤外線吸収が0.05〜0.2cm-1であり、O−H
結合のストレッチング振動の赤外線吸収が0.1〜5.
0cm-1であることが好ましい。
【0043】ここで上記赤外線の吸収は、公知のIRス
ペクトル透過法により測定したものであり、各ストレッ
チング振動の赤外線吸収における∫(α/f)dfの値
を算出したものである(α:吸収係数、f:周波数)。
そして、C−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収
は、波長2800〜3100cm-1の吸収スペクトルか
ら、O−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収につ
いては、波長3000〜3800cm-1の吸収スペクト
ルから吸光度を用いて算出したものである。
【0044】酸化チタン層内のC−H結合のストレッチ
ング振動の赤外線吸収、及びO−H結合のストレッチン
グ振動の赤外線吸収がそれぞれ上記範囲内である酸化チ
タン層は、有機物が結合していることが明らかであり、
上述してきた特徴(屈折率、内部応力、消衰係数が所望
の範囲内であること)を有しているからである。
【0045】上記(4)の特徴について 本発明の酸化チタン層においては、耐湿熱試験後の屈折
率の変化が0.01以下であることに特徴を有してい
る。
【0046】ここで、本発明における耐湿熱試験は、環
境試験機内で85℃、相対湿度95%の条件に1ヶ月間
放置することにより行われる。
【0047】本発明の酸化チタン層においては、上述し
てきたような構成を有し、当該耐湿熱試験前の屈折率と
試験後の屈折率とを比較した場合にその変化が0.01
以下あるため、充分に実施に耐え得るシリカ層というこ
とができる。
【0048】[2]反射防止フィルムについて 次に、上述してきた本発明の酸化チタン層を用いた反射
防止フィルムについて説明する。
【0049】図2に示すように、本発明の反射防止フィ
ルム1は、基材2と、この基材2上に設けられており、
最外層に低屈折率層を有し複数の薄層が積層されてなる
反射防止積層体3とを有するものであり、当該反射防止
積層体3中の一層には、本発明の酸化チタン層4が用い
られていることに特徴を有するものである。
【0050】以下に図2を用いて本発明の反射防止フィ
ルム1を構成する酸化チタン層4、基材2、反射
防止積層体3についてそれぞれ説明する。
【0051】酸化チタン層 本発明の反射防止フィルム1において、酸化チタン層4
は必須の構成要素の一つであり、上記[1]で説明した
本発明の酸化チタン層を用いていることに特徴を有して
いる。そして、当該酸化チタン層4は、基材2上に形成
された反射防止積層体3中の一層として設けられてお
り、当該反射防止フィルムの光学特性(反射防止機能)
を向上せしめるために設けられているものである。当該
酸化チタン層は、その屈折率が1.7〜2.9と大き
く、内部応力が小さく、消衰係数も所望の範囲内である
ため、高屈折率層として好適に用いることができ、反射
防止積層体3中の他の薄層(例えば、低屈折率層や中屈
折率層)との相互作用により、蛍光燈や太陽光などの光
が反射することを効率よく防止することができる。
【0052】当該酸化チタン層の厚さについては、本発
明の反射防止フィルムは特に限定することはなく反射防
止の効果を奏する程度の厚さであれば特に限定されるも
のではないが、好ましくは1〜1000nm、特に、5
〜300nmの範囲内が好ましい。上記範囲より層厚が
薄い場合には、反射防止効果を奏しない場合があるため
であり、また、上記範囲より厚い場合には、層全体がも
ろくなってしまい成形性に欠ける場合があるからであ
る。また、従来の酸化チタン膜においては、その内部応
力が大きかったため、層厚を100nm以上にすると、
基材の変形や層の剥離を起こす原因となっていたが、本
発明の酸化チタン層は、その内部応力が1GPa以下で
あるため、層厚を上記の範囲内としても問題が生じるこ
とはない。
【0053】基材 次に基材2について説明する。本発明の反射防止フィル
ムにおいて、基材2は、当該反射防止フィルムの土台と
なる部分である。基材2は、可視光域で透明な高分子フ
ィルムであれば特に限定されるものではない。前記高分
子フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース
フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテート
ブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホン
フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリウレタン系フ
ィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネイトフィ
ルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、
トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィ
ルム、アクリロニトリルフィルム、メタクリロニトリル
フィルム等が挙げられる。さらには、無色のフィルムが
より好ましく使用できる。中でも、一軸または二軸延伸
ポリエステルフィルムが透明性、耐熱性に優れているこ
とから好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムが好ましい。また、光学異方性の
ない点でトリアセチルセルロースも好適に用いられる。
高分子フィルムの厚みは、通常は6μm〜188μm程度
のものが好適に用いられる。
【0054】反射防止積層体 次に反射防止積層体3について説明する。当該反射防止
積層体3は、少なくとも最外層に低屈折率を有し、前記
した本発明の酸化チタン層を含めて基材2上に設けられ
るものである。一般に反射防止フィルムは、光学特性の
異なる複数の層を積層することにより、反射防止積層体
3全体で反射防止作用を奏するものである。本発明の反
射防止フィルムにおける反射防止積層体は、最外層に低
屈折率層を有し、かつ上記本発明の酸化チタン層が少な
くとも一層設けられていればよく、その他の層について
は反射防止フィルム全体として反射防止効果を奏するよ
うに自由に積層することが可能である。
【0055】当該反射防止積層体3中には、図2に示す
ように最外層に低屈折率層5が設けられている。本発明
の酸化チタン層4は、反射防止フィルムにおいては高屈
折率層として機能するが、低屈折率層と合わせて積層す
ることで、夫々の屈折率の違いにより光の反射を効率よ
く防止することができるからである。
【0056】ここで、低屈折率層5としては、シリカ層
を好適に用いることができ、その屈折率は、1.40以
上1.46以下(波長λ=550nm)であることが好
ましい。反射防止フィルムを形成する際においては、シ
リカ層の屈折率は積層されている他の層との関係で相対
的に決定することが好ましく、反射防止積層体全体とし
てのバランスにより反射防止効果を奏するものである
が、一般的な反射防止積層体とした場合における低屈折
率層としてのシリカ層の屈折率は上記のような範囲であ
ることが好ましい。
【0057】また、本発明の反射防止フィルムの反射防
止積層体中には、図2に示すように中屈折率層6を設け
ることも可能である。
【0058】本発明における中屈折率層6は、反射防止
機能を高めるために用いられる層であり、本発明に必ず
しも必要なものではない。そして、当該中屈折率層6を
設ける位置についても、本発明は特に限定するものでは
なく反射防止積層体3全体として反射防止機能が向上す
るような位置であればいかなる位置に設けることも可能
である。しかしながら、低屈折率層5と本発明の高屈折
率層としての酸化チタン層4とは接触している方が効率
よく光の反射を防止することができるため、当該中屈折
率層6は、本発明の酸化チタン層5の下に設置すること
が好ましい。
【0059】このような中屈折率層6は、可視光域で透
明であり、かつ屈折率が1.5〜2.0の範囲内となる
物質で形成された層であれば特に限定されるものではな
い。具体的な中屈折率層を形成するための物質として
は、例えば、Al23、SiN、SiONや、Zr
2、SiO2、ZnO2の微粒子を有機ケイ素化合物等
に分散したもの等が好適に用いられる。また、中屈折率
層6は必ずしも一層である必要もなく複数の異なった層
を積層して全体として上記の屈折率となるような層構成
とすることにより当該層を中屈折率層とすることも可能
である。
【0060】さらに、本発明の反射防止フィルムにおい
ては反射防止積層体3以外にも、図2に示すようにハー
ドコート層7を設けることも可能である。
【0061】本発明に用いられるハードコート層7は、
本発明の反射防止フィルムに強度を持たせることを目的
として形成される層である。従って、反射防止フィルム
の用途によっては必ずしも必要なものではない。
【0062】ハードコート層7を形成するための材料と
しては、同様に可視光域で透明な材料であり反射防止フ
ィルムに強度をもたせることができるものであれば特に
限定されるものではなく、例えばUV硬化型アクリル系
ハードコートや熱硬化型シリコーン系コーティング等を
用いることができる。また、当該ハードコート層の肉厚
は、通常1〜30μmの範囲内であり、このようなハー
ドコート層の製造方法は、通常のコーティング方法を用
いることも可能であり、特に限定されるものではない。
【0063】また、ハードコート層を設ける位置である
が、ハードコートを設ける目的は反射防止フィルムに強
度を持たせることであり、反射防止機能を向上せしめる
ためのものではないため、低屈折率層として最上層に位
置するシリカ層5から離れた位置に設置することが好ま
しく基材フィルムのすぐ上に設置することが好ましい。
【0064】次に、上記で説明してきた本発明の酸化チ
タン層、低屈折率層、中屈折率層、ハードコート層を用
いて本発明の反射防止フィルムを形成する場合の積層パ
ターンについて図面を用いて具体的に説明する。
【0065】例えば、図3に示す反射防止フィルム20
のように、高分子フィルムとしてポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム21を用い、このPETフィ
ルム21上にハードコート層22をウェットコーティン
グし、その上に反射防止積層体26として、中屈折率層
23、本発明の高屈折率層としての酸化チタン層24と
を積層し、さらに酸化チタン層24上に低屈折率層とし
てシリカ層25を積層することにより構成することがで
きる。反射防止フィルムにおける反射防止積層体26を
図3に示すような構造とすることにより、反射防止積層
体26全体で優れた反射防止機能を発揮するとともに、
高屈折率層として機能する層は前述した本発明の酸化チ
タン層であるため、内部応力が小さく、基材が変形した
り、層が剥離したりすることはない。
【0066】また、本発明の反射防止フィルムにおいて
は、上記本発明の酸化チタン層と低屈折率層としてのシ
リカ層との積層が上記図3に示す例のように、各々一層
づつ形成されたものであってもよいが、例えば、図4に
示すように、各々二層づつ高分子フィルム上に形成され
ているもの等の複数層づつ形成されたものであってもよ
い。このような構成とすることにより、反射防止効果が
向上するからである。
【0067】[3]本発明の酸化チタン層及びこれを用
いた反射防止フィルムの製造方法について 次に、本発明の酸化チタン層及びこれを用いた反射防止
フィルムの製造方法について説明する。ここで、前記
[1]で説明した酸化チタン層の製造方法ついても、本
発明の反射防止フィルム中ににおける酸化チタン層と同
様であるため同時に説明することとする。
【0068】本発明においては、上述してきたような反
射防止積層体を形成することが可能であれば、その製造
方法について特に限定するものではなく、例えば、真空
蒸着法やスパッタリング法、熱CVD法、あるいは、ゾ
ルゲル法等によるウエットコーティングなどの方法を用
いることができる。
【0069】上記製造方法の中でも、本発明の酸化チタ
ン層及びこれを用いた反射防止フィルムを製造する際に
は、プラズマCVD法を用いることが好ましい。
【0070】ここで、プラズマCVD法とは、所定のガ
スが導入された反応室内でプラズマ生成することにより
原子または分子ラジカル種が生成されて固体表面に付着
し、多くの場合表面反応によってさらに揮発性分子を放
出して固体表面に取り込まれる現象を利用した成層方法
である。プラズマCVD法を用いて本発明の酸化チタン
層を形成する際の原料を有機チタンガスとすることによ
り、当該酸化チタン層を効率よく形成することができる
からである。また、当該プラズマCVD法には、プラズ
マを発生するために用いる電力の印加方法の違いによ
り、容量結合型プラズマCVD法と、誘導結合型のプラ
ズマCVD法の2種類があるが、本発明においてはどち
らのプラズマCVD法を用いることも可能である。
【0071】ここで、本発明においては上記のようなプ
ラズマCVD法の中でも、図5に示すようなプラズマC
VD装置を用いることが特に好ましい。当該プラズマC
VD装置により本発明の反射防止フィルムを連続的に製
造でき、かつ基材となる高分子フィルムの温度制御も正
確に行うことができるからである。
【0072】図5に示すプラズマCVD装置40は容量
結合型のプラズマCVD装置であり、ウエッブ状の高分
子フィルム41は基材巻き出し部42より巻きだされ
て、真空容器43中の反応室(a,b,c)に導入され
る。そして、当該反応室内の成層用ドラム44上で所定
の層が形成され、基材巻き取り部46により巻き取られ
る。
【0073】当該プラズマCVD装置40は、複数(3
つ)の反応室を有している点に特徴を有し、夫々の反応
室(a,b,c)は隔離壁45で隔離されることで形成
されている。ここで、以下の説明の便宜上、当該3つの
反応室を右側から反応室a、反応室b、反応室cとす
る。そして、各反応室には、夫々電極版a1、b1、c
1及び原料ガス導入口a2、b2、c2が設置されてい
る。各反応室(a,b,c)は、成層用ドラム44の外
周に沿って設置されている。これは、反射防止積層体が
形成される高分子フィルムは、成層用ドラム44と同期
しながら反応室内に挿入され、かつ成層用ドラム上にお
いて反射防止積層体を形成するものであることから、こ
のように配置することにより連続して各層を積層するこ
とができるからである。
【0074】上述したようなプラズマCVD装置によれ
ば、各反応室へ導入する原料ガスを変化させることによ
り、夫々の反応室内で独立して層を形成することが可能
である。
【0075】例えば、図3に示す反射防止フィルムを製
造する場合においては、まず、基材となるPETフィル
ム上にハードコート層を従来からのウェットコーティン
グにより形成して、その後、中屈折率層、高屈折率層と
しての本発明の酸化チタン層、及び低屈折率層を当該プ
ラズマCVD装置により一括して形成することができ
る。この場合、反応室aと反応室cにケイ素を含むガス
を導入し(低屈折率層および中屈折率層にシリカ層を用
いた場合)、反応室bには有機チタン化合物を含むガス
することにより、高分子フィルム41が成層用ドラム4
4を経て基材巻き取り部46へ巻き取られるまでに当該
高分子フィルム41上に中屈折率層、高屈折率層及び本
発明のシリカ層とが形成された反射防止フィルムを形成
することが可能となる。
【0076】さらに、上記の場合において反応室aと反
応室cとに導入されたガスは、ケイ素を含むガスである
が、各々の反応室内の条件、例えばガスの流量や圧力、
放電条件等を変化させることにより、反応室aと反応室
cとで形成されるシリカ層の特性を変化させることが可
能であり、それぞれ中屈折率層と低屈折率層にすること
ができる。
【0077】本発明の反射防止フィルムを上記図5に示
すプラズマCVD装置で製造する場合において、本発明
の酸化チタン層を形成するための原料としては、Ti
(i−OC374(チタンテトラi−プロポキシ
ド)、Ti(OCH34(チタンテトラメトキシド)、
Ti(OC254(チタンテトラエトキシド)、Ti
(n−OC374(チタンテトラn−プロポキシ
ド)、Ti(n−OC494(チタンテトラn−ブト
キシド)、Ti(t−OC494(チタンテトラt−
ブトキシド)、Ti(sec−OC494(チタンテ
トラsec−ブトキシド)のチタンアルコキシド、およ
びTiCl4(四塩化チタン)が挙げられる。その中で
も、Ti(i−OC374(チタンテトラi−プロポ
キシド)、Ti(t−OC494(チタンテトラt−
ブトキシド)は、蒸気圧が高いという理由で好適であ
る。
【0078】また、低屈折率層や中屈折率層として用い
るシリカ層を形成する際に用いる原料としては、有機シ
リコーンが好ましく、具体的には、ヘキサメチルジシロ
キサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(T
MDSO)、メチルトリメトキシシラン(MTMO
S)、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラ
ン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラ
シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テ
トラエトキシシラン等である。
【0079】なお、本発明は、上述してきた反射防止フ
ィルム及びその製造方法に限定されるものではない。上
記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲
に記載された技術的範囲と実質的に同一な構成を有し、
同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであって
も本発明の技術的範囲に包含される。
【0080】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0081】(実施例)本発明の実施例として図5の装
置を使用して基材上に酸化チタン層を形成した。この
際、形成する層は酸化チタン層のみであるため、反応室
はaのみを使用した。以下にシリカ層を形成した際の条
件を示す。
【0082】 原料ガス:Ti(O−iC37)(TTIP)とO2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 基材:PETフィルム、およびSi基板 上記条件により、基材上に下記の特性を有するシリカ層
を形成した。 屈折率:2.42 組成:TiO1.80.3:H C−Hストレッチング振動の赤外線吸収:0.2cm-1 O−Hストレッチング振動の赤外線吸収:2.0cm-1 内部応力:460MPa ラミネート強度:550g/cm
【0083】なお、上記の組成分析には光電子分光分析
装置を用い、赤外線吸収の測定には赤外吸収分光分析装
置を用い、光学特性測定には紫外可視分光分析装置とエ
リプソメーターを用いた。また、内部応力には、上述し
た計算式(Stoneyの式)を用い、各パラメータの
数値は、それぞれE=600、b=7.5×10-5m、
ν=0.35、l=0.1mとして算出した。
【0084】また、酸化チタン層の密着性は、ラミネー
ト強度を測定することにより判断した。ここで、ラミネ
ート強度とは、以下に示す測定を行うことにより求めた
値である(図6参照)。 2液硬化型ポリウレタン系樹脂の7%溶液からなる
接着剤を使用し、上記実施例で形成したハードコート層
(以下、サンプルとする。)上へ接着剤層(厚み約1μ
m、図示せず)を形成した。 次いで、当該接着剤層上に25μm厚PETフィル
ム(以下、ラミネートフィルムとする)51を貼付け
た。 接着剤が硬化した後、サンプルを100mm×15
mm幅に切り取りラミネートフィルム側を上にして、サ
ンプル50を水平な固定台52に強く貼付けた。 端部からラミネートフィルムを垂直方向に、かつサ
ンプルの100mm方向(長手方向)に50mm/mi
nの速度で引き剥がした。
【0085】そして、この時の引き剥がす力をその引き
剥がされた界面におけるラミネート強度とした。強度を
測定しようとする界面以外で引き裂かれてしまう場合
は、その界面のラミネート強度は測定値以上であるとし
た。
【0086】さらに、上記酸化チタン層を、環境試験機
を用いて、85℃、相対湿度95%の条件下に1ヶ月放
置した(耐湿熱試験)後、再度屈折率を測定した。その
結果を以下に示す。 耐湿熱試験後の屈折率:2.42
【0087】(比較例1)次に本発明との比較例として
公知のロール巻き取り機構を備えたスパッタ装置を用い
て酸化チタン層を形成した。この際の条件を以下に示
す。 ターゲット原料:Ti 成膜室へ導入するガス:Ar、O2 投入周波数:13.56MHz 基材:PETフィルム上にハードコート層(多官能アク
リル系)を積層したもの
【0088】上記条件により、基材上に下記の特性を有
する酸化チタン層を形成した。 屈折率:2.40 組成:TiO1.80:H C−Hストレッチング振動の赤外線吸収:0cm-1 O−Hストレッチング振動の赤外線吸収:0.1cm-1 内部応力:1200MPa ラミネート強度:400g/cm 耐湿熱試験後の屈折率:2.40 なお、上記の測定は全て、上記の実施例と同様に行っ
た。
【0089】(比較例2)さらに本発明との比較例とし
て公知のロール巻き取り機構を備えた蒸着装置を用いて
酸化チタン層を形成した。この際の条件を以下に示す。 蒸着原料:Ti 成膜室へ導入するガス:O2 投入周波数:13.56MHz 原料の蒸発手段:電子銃 基材:PETフィルム上にハードコート層(多官能アク
リル系)を積層したもの
【0090】上記条件により、基材上に下記の特性を有
する酸化チタン層を形成した。 屈折率:2.10 組成:TiO2.30:H C−Hストレッチング振動の赤外線吸収:0cm-1 O−Hストレッチング振動の赤外線吸収:12cm-1 内部応力:440MPa ラミネート強度:50g/cm 耐湿熱試験後の屈折率:2.12 なお、上記の測定は全て、上記の実施例と同様に行っ
た。
【0091】上記の結果より、本発明の実施例は屈折率
が大きく、反射防止フィルムにおける反射防止積層体の
高屈折率層として好適に用いることが可能であることが
わかった。また、組成、内部応力、およびC−Hストレ
ッチング振動の赤外線吸収とO−Hストレッチング振動
の赤外線吸収とが、所望の範囲内であるため、基材の変
形や剥離等の問題も生じないことが明らかとなった。
【0092】一方、比較例にあっては、ラミネート強度
を比較すると明らかなように、密着性に問題があること
が分かった。また、比較例2において形成した酸化チタ
ン膜は、耐湿熱試験後の屈折率が変化しており、長期間
の使用に耐え得るものではないことが明らかになった。
【0093】
【発明の効果】酸化チタン層の屈折率、内部応力および
消衰係数を上記所望の範囲とすることにより、光学特性
に優れ、反射防止フィルムにおける反射防止積層体の高
屈折率層等として利用することが可能となり、さらに、
当該酸化チタン層をTiOxy:H(x=1.0〜2.
5、y=0.1〜1.5)たる組成を有する有機チタン
化合物から構成することにより、当該酸化チタン層は、
これを構成するチタン原子(Ti)と酸素原子(O)に
加え、メチル基(−CH3)等の有機物も結合している
構造となるため、層内に空隙を設けることなく所望の屈
折率とすることができ、したがって耐湿熱性を有する層
とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜の内部応力による変位δの測定を示す図で
ある。
【図2】本発明の反射防止フィルムを説明するための概
略断面図である。
【図3】本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断
面図である。
【図4】本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断
面図である。
【図5】本発明の反射防止フィルムを製造するためのプ
ラズマCVD装置の概略断面図である。
【図6】ラミネート強度を測定するための方法を示す概
略図である。
【符号の説明】
1、20…反射防止フィルム 2…基材 3、26…反射防止積層体 4、24…酸化チタン層層 21…PETフィルム 22…ハードコート層 23…中屈折率層 25…低屈折率層 40…プラズマCVD装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA02 AA06 AA15 CC03 CC09 DD04 4F100 AA20 AA21A AH08A AK01D AK42 AK51G AR00C AR00E AT00B BA03 BA05 BA07 BA10B BA10C CB00 EJ61A GB41 JD04 JK12D JN06 JN18A JN18C JN18E 4K030 AA11 AA14 BA18 BA36 BA46 BA61 CA07 CA12 FA01 FA03 FA04 GA14 LA01 LA11 LA18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物を含有する酸化チタン層であっ
    て、 当該酸化チタン層の屈折率が1.7〜2.9(λ=55
    0nm)であり、内部応力が1GPa以下であり、消衰
    係数が0.01(λ=436nm)以下であることを特
    徴とする酸化チタン層。
  2. 【請求項2】 前記酸化チタン層の組成がTiOxy
    H(x=1.0〜2.5、y=0.1〜1.5)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の酸化チタン層。
  3. 【請求項3】 C−Hストレッチング振動の赤外線吸収
    が0.05〜1.0cm-1であり、 O−Hストレッチング振動の赤外線吸収が0.1〜1
    0.0cm-1であることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の酸化チタン層。
  4. 【請求項4】 耐湿熱試験後の屈折率の変化が0.01
    以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかの請求項に記載の酸化チタン層。
  5. 【請求項5】 有機チタン化合物を原料とし、プラズマ
    CVD法により形成されたことを特徴とする請求項1乃
    至請求項4のいずれかの請求項に記載の酸化チタン層。
  6. 【請求項6】 基材と、この基材上に設けられおり、最
    外層に低屈折率層を有し複数の薄層が積層されてなる反
    射防止積層体と、を有する反射防止フィルムにおいて、 前記複数の層のうち少なくとも一層が、前記請求項1乃
    至請求項5のいずれかの請求項に記載の酸化チタン層で
    あることを特徴とする反射防止フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008045160A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Koito Mfg Co Ltd 透光性積層体
JP2008044357A (ja) * 2006-07-18 2008-02-28 Showa Denko Kk 透明反射防止板
JP2009045754A (ja) * 2007-08-14 2009-03-05 Innovation & Infinity Global Corp 透過可能な表面導電層を有する低抵抗光減衰反射防止塗布層構造及びその作製方法

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