JP2002124176A - 電子放出素子及び電子源及び画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子及び電子源及び画像形成装置

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JP2002124176A
JP2002124176A JP2000313440A JP2000313440A JP2002124176A JP 2002124176 A JP2002124176 A JP 2002124176A JP 2000313440 A JP2000313440 A JP 2000313440A JP 2000313440 A JP2000313440 A JP 2000313440A JP 2002124176 A JP2002124176 A JP 2002124176A
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electron
emitting device
gate electrode
cathode electrode
side wall
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JP2000313440A
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Michiyo Nishimura
三千代 西村
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Canon Inc
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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子ビーム径のさらなる小径化を実現させた
電子放出素子、及びこの電子放出素子を備えた、画質が
良好で高精細な電子源及び画像形成装置を提供する。 【解決手段】 電子放出膜5に面して少なくとも絶縁層
3とゲート電極4a,4bとで積層される側壁を有し、
該側壁は、部分的に高さの異なる(t1,t2)領域を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、及
び該素子を複数配置した電子源、及び該電子源を用いて
構成した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、FE型と称する)、金属/絶縁層/
金属型(以下、MIM型と称する)や、表面伝導型電子
放出素子等がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke &
W.W.Dolan,“Field Emissio
n”,Advance in Electron Ph
ysics,8,89 (1956) あるいはC.
A.Spindt,“PHYSICAL Proper
ties ofthin−film field em
ission cathodes with moly
bdenium cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0004】MIM型の例としてはC.A.Mead,
“Operation of Tunnel−Emis
sion Devices”,J.Apply.Phy
s.,32,646(1961)等に開示されたものが
知られている。
【0005】また、最近の例では、Toshiaki.
Kusunoki,“Fluctuation−fre
e electron emission from
non−formed metal−insulato
r−metal(MIM)cathodes Fabr
icated by low current Ano
dic oxidation”,Jpn.J.App
l.Phys.vol.32(1993)pp.L16
95,Mutsumi suzuki etal“An
MIM−Cathode Array for Ca
thode luminescent Display
s”,IDW’96,(1996)pp.529等が研
究されている。
【0006】表面伝導型の例としては、エリンソンの報
告(M.I.Elinson Radio Eng.E
lectron Phys.,10(1965))に記
載のもの等があり、この表面伝導型電子放出素子は、基
板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を
流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するもの
である。表面伝導型素子では、前記のエリンソンの報告
に記載のSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜を用いた
もの、(G.Dittmer.Thin Solid
Films,9,317(1972))、In23/S
nO2薄膜によるもの(M.Hartwell and
C.G.Fonstad,IEEETrans.ED
Conf.,519(1983))等が報告されてい
る。
【0007】そして、電子放出素子を画像形成装置に応
用するには、蛍光体を十分な輝度で発光させる放出電流
が必要である。また、ディスプレイの高精細化のために
は蛍光体に照射される電子ビームの径が小さいものであ
る事が要求される。そして製造し易いという事が重要で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0009】従来MIM型は、下部電極と上部電極の間
に絶縁体を配置し、両電極間に電圧を印加して電子を取
り出す構造である。内部電界方向と放出される電子の方
向が一致し、かつ放出面での電位分布に歪みがないため
に、小さい電子ビーム径が実現できるが、絶縁層と上部
電極で電子の散乱が起こるために効率が悪いのが一般的
である。
【0010】従来のFE型の例としてSpindt型の
電子放出素子がある。Spindt型では、放出点とし
てマイクロチップが形成され、その先端から電子が放出
される構成が一般的であり、蛍光体を発光させるために
放出電流密度を大きくすると、電子放出部の熱的な破壊
を誘起し、FE素子の寿命を制限することになる。ま
た、先端から放出された電子は、ゲート電極で形成され
た電場によって広がる傾向があり、ビーム径を小さくで
きないという欠点がある。
【0011】このようなFE素子の欠点を克服するため
に、個別の解決策として様々な例が提案されている。
【0012】電子ビームの広がりを防ぐ例としては、電
子放出部上方に収束電極を配置した例がある。これは放
出された電子ビームを収束電極の負電位により絞るのが
一般的だが、製造工程が複雑となり、製造コストの増大
を招く。
【0013】電子ビーム径を小さくする別の例として
は、Spindt型のようなマイクロチップを形成しな
い方法がある。たとえば、特開平8−096703号公
報、特開平8−096704号公報に記載されたものが
ある。特開平8−096704号の電子放出素子を図1
5に示した。
【0014】これは孔内に配置した薄膜から電子放出を
行なわせるため、電子放出面上に平坦な等電位面が形成
され電子ビームの広がりが小さくなるという利点があ
る。
【0015】また、電子放出物質として低仕事関数の構
成材料を使用することで、マイクロチップを形成しなく
ても電子放出が可能であり、低駆動電圧が図れる。また
製造方法が比較的に簡易であるという利点もある。
【0016】さらに、電子放出が面で行われるために、
電界の集中がおきず、チップの破壊がおこらず、長寿命
である。
【0017】このような構造では、一般に電子放出膜を
取り囲むように微細孔の上部にゲート電極が配置される
が、微細孔のサイズは、ビームサイズにかかわるもので
あり、そのサイズは数μmからそれ以下に小さくするの
が一般的である。そのような微細孔の作製は、孔が小さ
くなるほど難しくなる。
【0018】また、このような構造でさらに素子構造を
工夫したものとして、特開平8−115654号、特開
平8−293244号、特開平10−125215号、
US547328号などがある。
【0019】また、同様な構造で、さらにビームを収束
するために工夫した例として、特開平11−32930
8号がある。これは、ゲート電極内にフォーカシング電
極を設けたものである。
【0020】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、電子
ビーム径のさらなる小径化を実現させた電子放出素子、
及びこの電子放出素子を備えた、画質が良好で高精細な
電子源及び画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、基板上に配置されたカソード電極
と、絶縁層を介して前記カソード電極上に積層されるゲ
ート電極と、前記カソード電極と電気的に接続された電
子放出膜と、を備えた電子放出素子において、前記電子
放出膜に面して少なくとも前記絶縁層と前記ゲート電極
とで積層される側壁を有し、該側壁は、部分的に高さの
異なる領域を備えることを特徴とする。
【0022】前記部分的に高さの異なる領域において、
前記ゲート電極の厚さが部分的に異なっていることも好
適である。
【0023】前記部分的に高さの異なる領域において、
前記絶縁層の厚さが部分的に異なっていることも好適で
ある。
【0024】前記部分的に高さの異なる領域において、
前記カソード電極の厚さが部分的に異なっていることも
好適である。
【0025】前記側壁は、略直線状に設けられることも
好適である。
【0026】前記側壁により囲まれて前記カソード電極
の一部領域を露出せしめ、かつ、内部に前記電子放出膜
を有する開口部を備えることも好適である。
【0027】基板上に配置されたカソード電極と、絶縁
層を介して前記カソード電極上に積層されるゲート電極
と、前記絶縁層と前記ゲート電極とを貫通し前記カソー
ド電極の一部領域を露出せしめる開口部と、前記開口部
内に設けられ、前記カソード電極と電気的に接続された
電子放出膜と、を備えた電子放出素子において、前記開
口部に面して少なくとも前記絶縁層と前記ゲート電極と
で積層される側壁を有し、該側壁は、部分的に高さの異
なる領域を備えることを特徴とする。
【0028】前記開口部は略スリット状であって、該略
スリット状の一方の長辺をなす側壁の高さと、他方の長
辺をなす側壁の高さとは異なっていることも好適であ
る。
【0029】前記開口部は略リング状に設けられ、該略
リング状の開口部の内径側に配置される側壁の高さが、
該略リング状の開口部の外径側に配置される側壁の高さ
より小さいことも好適である。
【0030】前記略リング状の前記開口部内に設けられ
た前記電子放出膜から放出される電子であって、該電子
放出膜の周上において対向するそれぞれの位置から放出
される電子が、該開口部の略中央の上方に略一致して到
達するように該開口部の内径の長さを定めることも好適
である。
【0031】前記電子放出膜が、低仕事関数を有するダ
イヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンであることも
好適である。
【0032】上記記載の電子放出素子を複数個接続した
電子源であって、前記ゲート電極がゲート電極配線に接
続され、前記カソード電極がカソード配線に、マトリク
ス配線したことを特徴とする。
【0033】画像形成装置にあっては、上記記載の電子
源と、該電子源から放出された電子によって画像を形成
する画像形成部材とを備えることを特徴とする。
【0034】前記画像成部材は、電子の衝突によって発
光する蛍光体であることも好適である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0036】図1は本発明の電子放出素子を示す模式図
であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図であ
る。
【0037】図1において、1は基板、2はカソード電
極、3は絶縁層、4a、4bはゲート電極であり、5は
電子放出膜である。
【0038】電子放出膜5は、w1の幅、L1の長さの
ストライプ状に形成されている。
【0039】電子放出膜5が設けられる開口部としての
スリットの中央部から片側にのみ、さらに第1のゲート
電極4aに第2のゲート4bが積層されている。したが
って、本素子では、片側は絶縁層3と第1のゲート電極
4aが高さt1で側壁を、またもう片側は、絶縁層3と
第1のゲート電極4a、第2のゲート電極4bが高さt
2で側壁を構成している。
【0040】カソード電極2とゲート電極4間には駆動
電圧Vgが電源6により与えられる。
【0041】7は電子放出素子の上方にHだけはなれて
配置されたアノード電極であり、アノード電圧Vaが高
圧電源8により与えられる。アノード電極−素子間距離
Hの素子の位置とは通常はカソード電極2の位置を基準
とすればいい。
【0042】アノード電極7では電子が捕捉され、電子
放出電流Ieが検出される。
【0043】図2はこの素子を駆動させた場合の等電位
面と電子ビーム軌道の一例の図である。
【0044】電子放出膜5の直上部には、スリットに対
してほぼ対称な等電位面となるが、ゲート電極付近では
等電位面も非対称となる。これにより、図2のように電
子軌道が曲げられる。より影響をうけるのは第2のゲー
ト電極4bを積層した側の軌道である。
【0045】図3は高さt2/t1と電子ビーム径を示
す一例の図である。
【0046】図2に示す電子軌道からわかるように、本
発明に示すように側壁高さを非対称にすることでビーム
径は縮まるが、さらに大きくしすぎると不都合もおこ
る。
【0047】その1例としては、ゲート電極に衝突する
電子の影響であり、衝突電子が増えると、その一部の電
子が散乱され、その結果としてビーム径は大きくなる。
【0048】本発明の電子放出素子では、電子放出層5
がほぼ平坦に構成されているために、電子放出層5とア
ノード電極7の間に比較的歪みが少なく平坦な電界が形
成されているために、電子ビームの広がりが比較的に小
さいのが特徴であり、極度の非対称性は望まれない。
【0049】また、電子放出層5の材料として、低仕事
関数の材料を選択することで、素子駆動電圧を低くでき
る。
【0050】図4は、図1で示す本発明の電子放出素子
を作製する方法の一例を説明する図である。
【0051】以下、図4を参照して、本発明の電子放出
素子の製造方法の一例を説明する。
【0052】図4(a)に示すように、予め、その表面
を十分に洗浄した、石英ガラス、Na等の不純物含有量
を減少させたガラス、青板ガラス、シリコン基板等にス
パッタ法等によりSiO2を積層した積層体、アルミナ
等セラミックスの絶縁性基板のうち、いずれか一つを基
板1として用い、基板1上にカソード電極2を積層す
る。
【0053】カソード電極2は一般的に導電性を有して
おり、蒸着法、スパッタ法等の一般的真空成膜技術、フ
ォトリソグラフィー技術により形成される。カソード電
極2の材料は、例えば、Be,Mg,Ti,Zr,H
f,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,Cu,Ni,C
r,Au,Pt,Pd等の金属または合金材料、Ti
C,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC等の炭化
物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6、YB4,G
dB4等の硼化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化
物、Si,Ge等の半導体、有機高分子材料、アモルフ
ァスカーボン,グラファイト,ダイヤモンドライクカー
ボン,ダイヤモンドを分散した炭素及び炭素化合物等か
ら適宜選択される。カソード電極2の厚さとしては、数
十nmから数mmの範囲で設定され、好ましくは数百n
mから数μmの範囲で選択される。
【0054】次に、カソード電極2に続いて絶縁層3、
第1のゲート電極4aを堆積する。
【0055】絶縁層3は、スパッタ法、CVD法、真空
蒸着法等の一般的な真空成膜技術で形成され、その厚さ
としては、数nmから数μmの範囲で設定され、好まし
くは数十nmから数百nmの範囲から選択される。望ま
しい材料としてはSiO2,SiN,Al23,CaF
などの高電界に絶えられる耐圧の高い材料が望ましい。
【0056】ゲート電極4aは、カソード電極2と同様
に導電性を有しており、蒸着法、スパッタ法等の一般的
真空成膜技術、フォトリソグラフィー技術により形成さ
れる。ゲート電極4aの材料は、例えば、Be,Mg,
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,
Cu,Ni,Cr,Au,Pt,Pd等の金属または合
金材料、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,W
C等の炭化物、HfB 2,ZrB2,LaB6,CeB6
YB4,GdB4等の硼化物、TiN,ZrN,HfN等
の窒化物、Si,Ge等の半導体、有機高分子材料等か
ら適宜選択される。
【0057】次に、図4(b)に示すように、部分的に
第2のゲート電極4bを作製する。
【0058】なお、第2のゲート電極4bは、4aと同
一材料でも異種材料でも良く、また、同一形成方法でも
異種方法でも良い。
【0059】次に、図4(c)に示すように、フォトリ
ソグラフィー技術によりマスクパターン41を形成す
る。
【0060】さらに、図4(d)に示すように、各層
3,4a、4bの一部がカソード電極2上から取り除か
れた、積層構造が形成される。ただし、本エッチング工
程は、カソード電極2上で停止しても良いし、カソード
電極2の一部がエッチングされても良い。
【0061】ただし、カソード電極2自体が図4(b)
の段差形状を反映して、段差にエッチングされることを
回避しなくてはいけない。
【0062】そのために、エッチング工程はそれぞれの
各層2、3,4の材料に応じて、エッチング方法を選択
する必要がある。
【0063】次に、図4(e)に示すように、全面に電
子放出層5を堆積する。
【0064】電子放出層5は蒸着法、スパッタ法、プラ
ズマCVD法等の一般的成膜技術などで形成される。電
子放出層5の材料は、低仕事関数の材料を選択するのが
好ましい。例えば、アモルファスカーボン,グラファイ
ト,ダイヤモンドライクカーボン,ダイヤモンドを分散
した炭素及び炭素化合物等から適宜選択される。好まし
くはより仕事関数の低いダイヤモンド薄膜、ダイヤモン
ドライクカーボン等が良い。電子放出層5の膜厚として
は、数nmから数百nmの範囲で設定され、好ましくは
数nmから数十nmの範囲で選択される。
【0065】これらの電子放出膜5から電子を放出させ
るのに必要な電界としては、できるだけ低くできれば、
駆動電圧をさげられる。〜5×105 V/m以下であ
れば、駆動電圧は十数V程度に低減でき好ましい。
【0066】次に、図4(f)のようにマスクパターン
41を剥離して図1で示すような素子が完成する。
【0067】側壁の高さの差としては、数十nmから数
十μmの範囲で設定され、好ましくは数百nm程度であ
り、図3で示したように、ビーム径の最小値となる条件
が選択される。
【0068】この場合、非対称とした方向、すなわちx
方向のビーム径が小さくなる。
【0069】側壁の断面は、ゲート電極、絶縁層、カソ
ード電極の側壁位置が必ずしも一致していなくてもいい
が、極度な傾き、あるいは、第2のゲート電極位置が大
きく後退した場合には、本発明の効果が小さくなる。
【0070】本発明の効果を得るためには、絶縁層、お
よびゲート電極の側壁位置は、略一致し、また側壁は基
板1に対して略垂直になっているのが望ましい。
【0071】スリットの径w1は、素子の電子放出特性
に大きく依存する因子であり、素子を構成する材料の特
性、特に電子放出層の仕事関数や膜厚、素子の駆動電
圧、その時に必要とする電子放出ビームの形状により適
宜設定される。通常、w1は数百nmから数十μmの範
囲から選択される。
【0072】スリットの平面形状は特に定められるもの
ではない。ただし、素子の構成上、矩形状、リング状が
最も好ましい場合とがある。
【0073】スリットの長さL1は、電子放出量に依存
する因子であり適宜設定される。
【0074】さらに、カソード電極2のパターンニング
後、電子放出層5を全面に形成し、エッチング工程で、
電子放出層5の上面でエッチングを停止させる場合もあ
り、また、ダイヤモンド薄膜、またはダイヤモンドライ
クカーボン等を所望の場所に選択的に堆積する場合もあ
る。
【0075】さらには、本発明の素子は積層を繰り返し
た非常に単純な構成であり、製造プロセスが容易であ
り、歩留まり良く製造できる。
【0076】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明の電子放出素子の複数個
を基体上に配列し、例えば電子源、あるいは画像形成装
置が構成できる。
【0077】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用される。一例として、電子放出素子をX方向及
びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数
の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に
接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の
他方を、Y方向の配線に共通に接続した単純マトリクス
配置がある。以下単純マトリクス配置について詳述す
る。
【0078】図5、図6において、51、61は電子源
基体、52、62はX方向配線、53、63はY方向配
線である。64は本発明の電子放出素子である。
【0079】m本のX方向配線62は、Dx1,Dx
2,…Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ
法等を用いて形成された導電性金属等で構成することが
できる。配線の材料、膜厚、幅は、適宜設計される。Y
方向配線63は、Dy1,Dy2,…Dynのn本の配
線よりなり、X方向配線62と同様に形成される。これ
らm本のX方向配線62とn本のY方向配線63との間
には、層間絶縁層(不図示)が設けられており、両者を
電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0080】層間絶縁層(不図示)は、真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2等で構
成される。例えば、X方向配線62を形成した基体61
の全面或いは一部に所望の形状で形成され、特に、X方
向配線62とY方向配線63の交差部の電位差に耐え得
るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向
配線62とY方向配線63は、それぞれ外部端子として
引き出されている。
【0081】電子放出素子64を構成するm本のX方向
配線62は、カソード電極2をかねる場合もあり、n本
のY方向配線63は、ゲート電極4をかねる場合があ
り、層間絶縁層は絶縁層3をかねる場合がある。
【0082】X方向配線62には、X方向に配列した電
子放出素子64の行を、選択するための走査信号を印加
する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y
方向配線63には、Y方向に配列した電子放出素子64
の各列を入力信号に応じて、変調するための不図示の変
調信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加さ
れる駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調
信号の差電圧として供給される。
【0083】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。このような単純マトリクス配置の電子
源を用いて構成した画像形成装置について、図7を用い
て説明する。図7は、画像形成装置の表示パネルの一例
を示す模式図である。
【0084】図7において、71は電子放出素子、81
は電子放出素子を複数配した電子源基板、91は電子源
基板81を固定したリアプレート、96はガラス基体9
3の内面に蛍光膜94とメタルバック95等が形成され
たフェースプレートである。92は、支持枠であり、該
支持枠92には、リアプレート91、フェースプレート
96がフリットガラスなどを用いて接続される。
【0085】外囲器(パネル)98は、上述の如く、フ
ェースープレート96、支持枠92、リアプレート91
で構成される。リアプレート91は主に基板81の強度
を補強する目的で設けられるため、基板81自体で十分
な強度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要とす
ることができ、基板81とリアプレート91が一体構成
の部材であっても構わない。
【0086】支持枠92の蛍光膜94とメタルバック9
5とをその内側表面に配置したフェースプレート96と
リアプレート91と支持枠92とが接合する接着面にフ
リットガラスを塗布し、フェースプレート96と支持枠
92とリアプレート91とを、所定の位置で合わせ、固
定し、加熱して焼成し封着する。
【0087】また、焼成し封着する加熱手段は、赤外線
ランプ等を用いたランプ加熱、ホットプレート等、種々
のものが採用でき、これらに限定されるものではない。
【0088】また、外囲器を構成する複数の部材を加熱
接着する接着材料は、フリットガラスに限るものではな
く、封着工程後、充分な真空雰囲気を形成できる材料で
あれば、種々の接着材料を採用することができる。
【0089】上述した外囲器は、本発明の一実施態様で
あり、限定されるものではなく、種々のものが採用でき
る。
【0090】他の例として、基板81に直接支持枠92
を封着し、フェースプレート96、支持枠92及び基体
81で外囲器98を構成しても良い。また、フェースー
プレート96、リアプレート91間に、スペーサーとよ
ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に
対して十分な強度をもつ外囲器98を構成することもで
きる。
【0091】また、図8にフェースープレート96に形
成された蛍光膜94を模式図で示す。蛍光膜94は、モ
ノクロームの場合は蛍光体85のみから構成することが
できる。カラーの蛍光膜の場合は、ブラックストライ
プ、ブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材86
と蛍光体85とから構成することができる。
【0092】ブラックストライプ、ブラックマトリクス
を設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色
蛍光体の各蛍光体85間の塗り分け部を黒くすることで
混色等を目立たなくすることと、蛍光膜94における外
光反射によるコントラストの低下を抑制することにあ
る。ブラックストライプの材料としては、通常用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光
の透過及び反射が少ない材料を用いることができる。
【0093】ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜94の内面側には、通常メタルバ
ック95が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート9
6側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光膜94を保護すること等である。メ
タルバック95は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面
の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる)を
行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させること
で作製できる。
【0094】フェースプレート96には、更に蛍光膜9
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0095】本発明においては、電子放出素子71の直
上に電子ビームが到達するため、電子放出素子71の直
上に蛍光膜94が配置されるように、位置あわせされて
構成される。
【0096】次に、封着工程を施した外囲器(パネル)
を封止する真空封止工程について説明する。
【0097】真空封止工程は、外囲器(パネル)98を
加熱して、80〜250℃に保持しながら、イオンポン
プ、ソープションポンプなどの排気装置によりの排気管
(不図示)を通じて排気し、有機物質の十分少ない雰囲
気にした後、排気管をバーナーで熱して溶解させて封じ
きる。外囲器98の封止後の圧力を維持するために、ゲ
ッター処理を行なうこともできる。これは、外囲器98
の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは
高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器98内の所定
の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着
膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成
分であり、該蒸着膜の吸着作用により、外囲器98内の
雰囲気を維持するものである。
【0098】以上の工程によって製造された単純マトリ
クス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置は、各
電子放出素子に、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜
Dynを介して電圧を印加することにより、電子放出が
生ずる。
【0099】高圧端子97を介してメタルバック95、
あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビー
ムを加速する。
【0100】加速された電子は、蛍光膜94に衝突し、
発光が生じて画像が形成される。
【0101】図9はNTSC方式のテレビ信号に応じて
表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図であ
る。
【0102】走査回路1302は、内部にM個のスイッ
チング素子を備えたもので(図中、S1ないしSmで模
式的に示している)ある。各スイッチング素子は、直流
電圧源Vxの出力電圧もしくは0(V)(グランドレベ
ル)のいずれか一方を選択し、表示パネル1301の端
子Dox1ないしDoxmと電気的に接続される。S1
乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路1303が
出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもので
あり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合
わせることにより構成することができる。
【0103】直流電圧源Vxは、電子放出素子の特性に
基づき設定されている。
【0104】制御回路1303は、外部より入力する画
像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路1303は、
同期信号分離回路1306より送られる同期信号Tsy
ncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsf
tおよびTmryの各制御信号を発生する。
【0105】同期信号分離回路1306は、外部から入
力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と
輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路1306により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号
と表した。該DATA信号はシフトレジスタ1304に
入力される。
【0106】シフトレジスタ1304は、時系列的にシ
リアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライ
ン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記
制御回路1303より送られる制御信号Tsftに基づ
いて動作する(即ち、制御信号Tsftは,シフトレジ
スタ1304のシフトクロックであるということもでき
る。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフ
トレジスタ1304より出力される。
【0107】ラインメモリ1305は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1303より送られる制御信号Tmryに
従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変
調信号発生器1307に入力される。
【0108】変調信号発生器1307は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて本発明の電子放出素
子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その
出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パ
ネル1301内の本発明の電子放出素子に印加される。
【0109】本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は
生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合に
は電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値V
mを変化させる事により出力電子ビームの強度を制御す
ることが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させ
ることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御
する事が可能である。
【0110】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1307として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。
【0111】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器1307として、一定の波高値の電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用い
ることができる。
【0112】シフトレジスタ1304やラインメモリ1
305は、デジタル信号式あるいはアナログ信号式のも
のを採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0113】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1306の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これには1306の出力部にA/
D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ
1305の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かに
より、変調信号発生器1307に用いられる回路が若干
異なったものとなる。
【0114】即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式
の場合、変調信号発生器1307には、例えばD/A変
換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。
パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器1307に
は、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を
計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記
メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組
み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力す
るパルス幅変調された変調信号を本発明の電子電子放出
素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加
することもできる。
【0115】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1307には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシ
フト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方
式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)
を採用でき、必要に応じて本発明の電子電子放出素子の
駆動電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加すること
もできる。
【0116】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0117】また表示装置の他、感光性ドラム等を用い
て構成された光プリンターとしての画像形成装置等とし
ても用いることができる。
【0118】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0119】[実施例1]図1に本発明の実施例1を示
す。また、図4にその製造方法の一例を示した。以下
に、製造方法について説明する。
【0120】(工程1)まず、図4(a)に示すよう
に、基板1に石英を用い、十分洗浄を行った後、スパッ
タ法によりカソード電極2として厚さ800nmのAl
を形成した。
【0121】次に、絶縁層3として厚さ600nmのS
iO2、ゲート電極4aとして厚さ100nmのTaを
この順で堆積した。
【0122】(工程2)さらに、図4(b)に示すよう
に、ゲート電極4bとして厚さ300nmのTaをマス
クパターンを介して、部分的に形成した。
【0123】(工程3)次に、図4(c)に示すよう
に、フォトリソグラフィーで、ポジ型フォトレジスト
(AZ1500/クラリアント社製)のスピンコーティ
ング、フォトマスクパターンを露光し、現像し、マスク
パターン41を形成した。
【0124】(工程4)図4(d)に示すように、マス
クパターン41をマスクとして、Taのゲート電極4
a、4b及び絶縁層3をCF4ガスを用いてそれぞれド
ライエッチングし、カソード電極2で停止させ、幅w1
が1μm、幅L1が100μmの開口を形成した。
【0125】(工程5)続いて図4(e)に示すよう
に、プラズマCVD法でダイヤモンドライクカーボンの
電子放出層5を全面に100nm程度堆積した。反応ガ
スはCH4ガスを用いた。
【0126】(工程6)図4(f)に示すように、マス
クパターン41を完全に除去し、本実施例1の電子放出
素子を完成させた。
【0127】側壁の高さt1は500nm、t2は80
0nmとなった。
【0128】以上のようにして作製した電子放出素子
を、図1のように、H=2mmとして配置した。Va=
10kV、Vg=15Vとした。
【0129】ここで、比較例1として、第2ゲート電極
4bを積層せず、第1ゲート電極のみで形成し、側壁高
さが対称な素子を作製し、同時に駆動を行った。
【0130】ここで、アノード電極7として蛍光体を塗
布した電極を用い、電子ビームのサイズを観察した。こ
こで言う電子ビームサイズとは、発光した蛍光体でのピ
ーク輝度の10%の領域までのサイズとした。
【0131】その結果、比較例1ではビーム形状は対
称、本実施例ではビーム形状はx方向に非対称となった
が、ビーム径は、比較例1で(x×y)=150μm×
220μm、本実施例で130μm×220μmとな
り、ビーム径はy方向に縮まった。
【0132】[実施例2]図10に本発明の実施例2を
示す。
【0133】本実施例では、カソード電極が2層で構成
され、側壁の一部がカソード電極でも形成され、側壁の
カソード電極の上面より下方に電子放出膜5が形成され
る。本実施例では、電子軌道が実施例1と異なる。
【0134】以下に、作製方法を説明する。
【0135】(工程1)まず、図4(a)に示すよう
に、基板1に石英を用い、十分洗浄を行った後、スパッ
タ法によりカソード電極2aとして厚さ500nmのA
l、カソード電極2bとして厚さ150nmのTaを形
成した。
【0136】次に、絶縁層3として厚さ500nmのS
iO2、ゲート電極4aとして厚さ100nmのTaを
この順で堆積した。
【0137】(工程2)さらに、図4(b)に示すよう
に、ゲート電極4aとして厚さ300nmのTaをマス
クパターンを介して、部分的に形成した。
【0138】(工程3)次に、図4(c)に示すよう
に、フォトリソグラフィーで、ポジ型フォトレジスト
(AZ1500/クラリアント社製)のスピンコーティ
ング、フォトマスクパターンを露光し、現像し、マスク
パターン41を形成した。
【0139】(工程4)図4(d)に示すように、マス
クパターン41をマスクとして、Taのゲート電極4
a、4b、絶縁層3、およびカソード電極2をCF4
スを用いてそれぞれドライエッチングし、図10に示す
ようにカソード電極2aで停止させ、幅w1が1μm、
幅L1が100μmの開口を形成した。
【0140】(工程5)続いて図4(e)に示すよう
に、プラズマCVD法でダイヤモンドライクカーボンの
電子放出層5を全面に100nm程度堆積した。反応ガ
スはCH4ガスを用いた。
【0141】(工程6)図4(f)に示すように、マス
クパターン41を完全に除去し、本実施例1の電子放出
素子を完成させた。
【0142】側壁の高さt1は650nm、t2は95
0nmとなった。
【0143】以上のようにして作製した電子放出素子
を、実施例1と同様に、H=2mmとして配置した。V
a=10kV、Vg=15Vとした。
【0144】ここで、比較例2として、第2ゲート電極
4bを積層せず、第1ゲート電極のみで形成した、高さ
が対称な素子も同時に駆動を行った。
【0145】その結果、比較例2ではビーム形状は対
称、本実施例ではビーム形状は非対称となったが、ビー
ム径は、比較例2で130μm×220μm、本実施例
で110μm×220μmとなり、ビーム径が縮まっ
た。
【0146】本実施例が実施例1よりビーム径が小さい
のは、電子軌道が異なるためである。本実施例の軌道
は、電子放出膜5が側壁のカソード電極2より低くなっ
ているため、その形状を反映して、電子放出膜5の直上
の等電位面は、下に凹となる。このため、電子放出膜の
中央より左側から放出される電子は右側に、電子放出膜
の中央より右側から放出される電子は左側に、開口の上
部で交差して、アノード電極7に到達する。この交差の
影響で、若干であるが、ビーム径は小さくなる。
【0147】[実施例3]図11に本発明の実施例3を
示す。図11(a)は断面図、図11(b)は平面図で
ある。
【0148】本実施例は実施例2の電子放出素子を有効
に利用する配置例であり、リング状の電子放出膜が構成
されている。作製方法は実施例2と同様なので省略す
る。なお、リングの内側の側壁が低く、リングの外側の
側壁が高く構成されている。
【0149】リング内のゲート電極4aは、リングの一
部に形成された接続部分でリング外側のゲート電極4a
に接続されている。この接続部は、リング内と同じ構成
になっていても、別構成になっていてもよい。接続方向
は、1カ所でもそれ以上でもよいが、本実施例の構造で
は、その構造部分がリングに比較して大きいと電子軌道
に影響するので、できるだけ小さいのが望まれる。
【0150】また、接続部はコンタクトホールを介し
て、側壁より下部で接続してもよい。
【0151】本実施例では、t1、t2は実施例2と同
様の構成であるから、リング状になっていても断面図で
示される電子軌道は実施例2とほぼ同様である。
【0152】ここでは、リング内側のゲート電極の内径
w2が重要となる。すなわち、リングの片側から放出さ
れる電子軌道と、もう片側からの電子軌道がアノード電
極7で一致するようなw2の径を選べば、リング状であ
っても実施例2と同様の電子ビーム径として、ビームの
広がりを抑えることができる。
【0153】本実施例では、w2を50μmとしたとこ
ろ、110μm×110μmとなった。これは、x方向
に関しては、実施例2と同様の径であり、また、リング
状としたことで、y方向に関してもx方向と同様のビー
ム径にすることができる。また、ビーム径偏りがなくな
った。
【0154】[実施例4]図12に本発明の実施例4を
示す。
【0155】本実施例は電子放出膜の構造の変形例であ
る。
【0156】以下に、作製方法を示す。ただし、実施例
1と同じである工程は、説明を省略する。
【0157】(工程1−1)まず、基板1に石英を用
い、十分洗浄を行った後、スパッタ法により第1のカソ
ード電極2aとして厚さ500nmのWを形成した。
【0158】(工程1−2)プラズマCVD法でダイヤ
モンドライクカーボンの電子放出層5を全面に100n
m程度堆積した。反応ガスはCH4ガスを用いた。
【0159】(工程1−3)次に、第2のカソード電極
2bとして厚さ50nmのTaを、絶縁層3として厚さ
500nmのSiO2、ゲート電極4aとして厚さ10
0nmのTaをこの順で堆積した。
【0160】(工程2)さらに、ゲート電極4bとして
厚さ300nmのTaをマスクパターンを介して、部分
的に形成した。
【0161】(工程3)次に、図4(c)に示すよう
に、フォトリソグラフィーで、ポジ型フォトレジスト
(AZ1500/クラリアント社製)のスピンコーティ
ング、フォトマスクパターンを露光し、現像し、マスク
パターン41を形成した。
【0162】(工程4)図4(d)に示すように、マス
クパターン41をマスクとして、Taのゲート電極4a
4b、絶縁層3、カソード電極2bをCF4ガスを用い
てそれぞれドライエッチングし、幅w1が0.5μm、
幅L1が100μmの開口を形成した。
【0163】(工程6)図4(f)に示すように、マス
クパターン41を完全に除去し、本実施例の電子放出素
子を完成させた。
【0164】側壁の高さt1は500nm、t2は80
0nmとなった。
【0165】以上のようにして作製した電子放出素子
を、実施例1と同様に、H=2mmとして配置した。V
a=10kV、Vg=15Vとした。
【0166】本素子では、カソード電極2aと2bを大
体同電位になるように、素子近傍で電気的に接続するこ
とが必要である。
【0167】駆動を行った結果、ビーム径は80μm×
180μmとなった。本素子は、基本的な構成(t1、
t2)はほぼ同じある。また、w1を小さくしたことで
全体のビーム径が小さくなった。
【0168】[実施例5]図13に本発明の実施例5を
示す。
【0169】本実施例は絶縁層の厚さを異ならせて側壁
を非対称とする例である。
【0170】作製方法は、実施例2の工程で積層構造を
絶縁層3a、3bとし、エッチングの順序を入れ替える
ことでことで作製できる。
【0171】本構成では、絶縁層厚さを非対称とするこ
とで、図13中に等電位面で示したように電子放出膜近
傍の電界も非対称となる。
【0172】そのために駆動条件によっては、電子放出
領域が偏り、その結果さらにビーム径が小さくなくこと
も期待できる。
【0173】[実施例6]図14に本発明の実施例6を
示す。
【0174】本実施例はカソード電極の厚さを異ならせ
て側壁を非対称とする例である。
【0175】作製方法は、実施例2の工程で積層構造を
カソード電極2a、2bとし、エッチングの順序を入れ
替えることでことで作製できる。
【0176】本構成でも、実施例5と同様に図13中に
電子放出膜近傍の電界も非対称となる。
【0177】そのために駆動条件によっては、電子放出
領域が偏り、その結果さらにビーム径が小さくなくこと
も期待できる。
【0178】[実施例7]実施例1から6の電子放出素
子で画像形成装置を作製した。一例として、実施例2の
素子で作製した場合について示す。図5(a)は本実施
例の素子を上から見たときの構成図、図5(b)は図5
(a)のA−A線での断面図である。この場合の電子放
出素子は、図5(a)に示すように、各素子の中央部に
電子ビームがくるように、側壁の位置をずらして構成し
た。
【0179】実施例2の素子を10×10のMTX状に
配置した。素子は、横150μm、縦250μmのピッ
チで配置した。素子上部には2mmに距離を隔てた位置
に蛍光体を配置した。蛍光体には10kVの電圧を印加
した。また、駆動電圧はVg=15Vとした。この結
果、高精細な画像形成装置が形成できた。
【0180】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子ビーム径のさらなる小径化を実現させるとともに、
製造プロセスが容易で、低電圧で高効率な電子放出が可
能な電子放出素子を提供することができる。
【0181】また、本発明による電子放出素子を用いる
と、画質が良好で高精細であり、性能の優れた電子源及
び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の概略
構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の電子
軌道を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子放出素子を説明
する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の製造
方法の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子源の一例を示す
図である。
【図6】単純マトリクス配置の電子源を示す概略構成図
である。
【図7】単純マトリクス配置の電子源を用いた画像形成
装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけ
る蛍光膜を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の駆動
回路を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例2を示す図である。
【図11】本発明の実施例3を示す図である。
【図12】本発明の実施例4を示す図である。
【図13】本発明の実施例5を示す図である。
【図14】本発明の実施例6を示す図である。
【図15】従来の電子放出素子を模式的に示した図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 カソード電極 3 絶縁層 4 ゲート電極 5 電子放出層 6 駆動電源 7 アノード電極 8 高圧電源 41 マスクパターン 61、81 電子源基板 62 X方向配線 63 Y方向配線 64 電子放出素子 85 蛍光体 86 黒色導電材 91 リアプレート 92 支持枠 93 ガラス基体 94 蛍光膜 95 メタルバック 96 フェースプレート 98 外囲器

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に配置されたカソード電極と、 絶縁層を介して前記カソード電極上に積層されるゲート
    電極と、 前記カソード電極と電気的に接続された電子放出膜と、 を備えた電子放出素子において、 前記電子放出膜に面して少なくとも前記絶縁層と前記ゲ
    ート電極とで積層される側壁を有し、該側壁は、部分的
    に高さの異なる領域を備えることを特徴とする電子放出
    素子。
  2. 【請求項2】前記部分的に高さの異なる領域において、
    前記ゲート電極の厚さが部分的に異なっていることを特
    徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】前記部分的に高さの異なる領域において、
    前記絶縁層の厚さが部分的に異なっていることを特徴と
    する請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】前記部分的に高さの異なる領域において、
    前記カソード電極の厚さが部分的に異なっていることを
    特徴とする請求項1,2または3に記載の電子放出素
    子。
  5. 【請求項5】前記側壁は、略直線状に設けられることを
    特徴とする1乃至4のいずれか1項に記載の電子放出素
    子。
  6. 【請求項6】前記側壁により囲まれて前記カソード電極
    の一部領域を露出せしめ、かつ、内部に前記電子放出膜
    を有する開口部を備えることを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれか1項に記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】基板上に配置されたカソード電極と、 絶縁層を介して前記カソード電極上に積層されるゲート
    電極と、 前記絶縁層と前記ゲート電極とを貫通し前記カソード電
    極の一部領域を露出せしめる開口部と、 前記開口部内に設けられ、前記カソード電極と電気的に
    接続された電子放出膜と、 を備えた電子放出素子において、 前記開口部に面して少なくとも前記絶縁層と前記ゲート
    電極とで積層される側壁を有し、該側壁は、部分的に高
    さの異なる領域を備えることを特徴とする電子放出素
    子。
  8. 【請求項8】前記開口部は略スリット状であって、該略
    スリット状の一方の長辺をなす側壁の高さと、他方の長
    辺をなす側壁の高さとは異なっていることを特徴とする
    請求項6または7に記載の電子放出素子。
  9. 【請求項9】前記開口部は略リング状に設けられ、該略
    リング状の開口部の内径側に配置される側壁の高さが、
    該略リング状の開口部の外径側に配置される側壁の高さ
    より小さいことを特徴とする請求項6または7に記載の
    電子放出素子。
  10. 【請求項10】前記略リング状の前記開口部内に設けら
    れた前記電子放出膜から放出される電子であって、該電
    子放出膜の周上において対向するそれぞれの位置から放
    出される電子が、該開口部の略中央の上方に略一致して
    到達するように該開口部の内径の長さを定めることを特
    徴とする請求項9に記載の電子放出素子。
  11. 【請求項11】前記電子放出膜が、低仕事関数を有する
    ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンであること
    を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の
    電子放出素子。
  12. 【請求項12】請求項1乃至11のいずれか1項に記載
    の電子放出素子を複数個接続した電子源であって、前記
    ゲート電極がゲート電極配線に接続され、前記カソード
    電極がカソード配線に、マトリクス配線したことを特徴
    とする電子源。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の電子源と、該電子源
    から放出された電子によって画像を形成する画像形成部
    材とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】前記画像成部材は、電子の衝突によって
    発光する蛍光体であることを特徴とする請求項13に記
    載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005166643A (ja) * 2003-11-29 2005-06-23 Samsung Sdi Co Ltd 電子放出素子及びその製造方法
JP2007141759A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 冷陰極アレイ及びこれを用いた冷陰極ディスプレイ

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