JP2001297690A - 電子源及び画像形成装置 - Google Patents

電子源及び画像形成装置

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JP2001297690A
JP2001297690A JP2000109876A JP2000109876A JP2001297690A JP 2001297690 A JP2001297690 A JP 2001297690A JP 2000109876 A JP2000109876 A JP 2000109876A JP 2000109876 A JP2000109876 A JP 2000109876A JP 2001297690 A JP2001297690 A JP 2001297690A
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JP
Japan
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electron
potential electrode
emitting device
electrode
anode
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JP2000109876A
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English (en)
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Michiyo Nishimura
三千代 西村
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デルタ状に配列された画像形成部材に電子放
出素子を対応させる際の構成を簡素化するとともに、電
子放出効率の向上と電子軌道の収束を同時に実現し得る
電子放出素子を用いて高精細な電子源及び画像形成装置
を提供する。 【解決手段】 電子放出素子13の行方向の並びに沿っ
て一行毎に設けられる略直線状の各行方向配線15に対
して、各行の電子放出素子13がそれぞれ接続され、電
子放出素子13の列方向の並びに沿って半ピッチ毎に設
けられる略直線状の各列方向配線16に対して、一行お
きの電子放出素子13がそれぞれ接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を複
数配置した電子源、及び該電子源を用いて構成した画像
形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類のものが
知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以
下、「FE型」という)、金属/絶縁層/金属型(以
下、「MIM型」という)や表面伝導型電子放出素子等
がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke&
#38;W.W.Dolan,"Field
Emission",Advance in
Electron Physics,8,89(195
6) あるいは、C.A.Spindt,"P
HYSICAL Properties of thi
n−film field emission cat
hodes withmolybdenium con
es"J.Appl,Phys,.47,52
48(1976)等に開示されたものが知られている。
【0004】さらに、FE型の別の例として、金属等の
エッジから電子を放出させる、いわゆる、エッジエミッ
タ構造がある。
【0005】MIM型の例としては、C.A.Mea
d."Operationof Tunnel
−Emission Devices",J.
Apply.Phys.,32,646(1961)等
に開示されたものが知られている。
【0006】また、最近の例では、Toshiaki.
Kusunoki,"Fluctuation
−free electron emission f
rom non−formed metal−insu
lator−metal(MIM)cathodes
Fabricated by low current
Anodic oxidation",Jp
n.J.Appl.Phys.vol.32(199
3)pp.L1695,Mutsumi suzuki
etal"An MIM−Cathode
Array for Cathode lumines
cent Displays",IDW ’9
6,(1996)pp.529等が研究されている。
【0007】表面伝導型の例としては、エリンソンの報
告(M.I.Elinson Radio Eng.E
lectron Phys.,10(1965))に記
載のもの等があり、この表面伝導型電子放出素子は、基
板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を
流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するもの
である。
【0008】表面伝導型素子では、前記のエリンソンの
報告に記載のSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜を用
いたもの、(G.Dittmer.Thin Soli
dFilms.9,317(1972))、In23
SnO2薄膜によるもの(M.Hartwell an
d C.G.Fonstad,IEEE Trans.
ED Conf.,519(1983))等が報告され
ている。
【0009】従来、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置がCRTに
替わって普及してきたが、自発光型でないため、バック
ライトを持たなければならない等の問題点があり、自発
光型表示装置が望まれてきた。
【0010】自発光型表示装置としては、表面伝導型電
子放出素子を多数配列した電子源と電子源より放出され
る電子によって、可視光を発光させる蛍光体とを組み合
わせた表示装置である画像形成装置が挙げられる(例え
ば、USP5066883)。
【0011】多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成
した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子を配列
し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素子電
極)を配線(共通配線)にて各々結線した行を多数行配
列(梯子状配列)した電子源が挙げられる(例えば、特
開昭64−31332、特開平1−283749、特開
平1−257552等)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0013】上記のような表面伝導型電子放出素子を用
いた平板型表示装置においては、電子ビームの陽極上で
のビーム径はVaとVfの大きさ、素子と陽極までの距
離Hでほぼ決定されることが知られている(SID98
Digest,Okuda,et,al)。
【0014】従来例で与えた電子源においてもその径は
0.1mm程度であり、画像形成装置としては十分の解
像度を持っている。
【0015】しかしながら画像表示装置においては、近
年、より高精細な解像度が要求されている。
【0016】従って、本発明の解決しようとする課題
は、電子の軌道に制御してより高精細なビームを得るこ
とであり、一方軌道制御に関わる効率の低下を防ぐため
に効率の向上を実現することにある。
【0017】高精細なビーム径を得るための従来例とし
ては、例えばFE型電子放出素子では、特開平7−00
6714に開示されているように、電子放出電極、アノ
ード電極の他に、電子を収束させるための電極を放出部
上部に配置し、電子軌道を収束する手法や、特開平9−
063461に開示されているように、収束電極を電子
放出部と同一平面上に配置した構造等が提案されている
が、作製方法の複雑さや、素子面積の増加、後に述べる
電子放出効率の低下等が問題であった。
【0018】また、表面伝導型素子においては、特開平
3−20941で電子放出素子のサイズの小型化や、特
開平9−82214では高効率化の提案がなされている
が、いずれも、高精細画像形成装置の実現には不十分で
あった。
【0019】また、本件に類似の構成として特開平7−
235256等があるが、簡便な電子放出素子の配置を
目的としたものであり、何ら収束作用を持っていない。
【0020】一方、画像形成装置を高精細表示する手法
として、画像形成材を行方向の素子の並びを列方向に半
ピッチ分ずらして1行おきに形成する、いわゆるデルタ
配列の構成がある。
【0021】この構成では、画素数が少なくても高精細
化が図れる構成として有効であるが、その配置上、電子
源配置が複雑となる、あるいは、単位画素の面積が大き
くなる、という問題点がある。
【0022】表面伝導型素子においては、電子の軌道の
位置ずれを利用して、比較的単純な構成でデルタ配列を
構成する従来例として、特開平9−213246や、特
開平9−237598がある。その構成には、使用可能
な電子放出素子として、図18に示すような平面型の電
子放出素子や、図19に示すような垂直型の電子放出素
子が開示されている。
【0023】しかしながら、高精細化のためには、1画
素あたりの画素面積を低減させることによる、1画素あ
たりの電子放出量の低下という別の一面があり、高精細
な電子放出素子としてかつ、高効率化をも同時に達成す
る必要がある。
【0024】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、デル
タ状に配列された画像形成部材に電子放出素子を対応さ
せる際の構成を簡素化するとともに、電子放出効率の向
上と電子軌道の収束を同時に実現し得る電子放出素子を
用いて高精細な電子源及び画像形成装置を提供すること
にある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、基板上に配列された複数の電子放
出素子のうち列方向の該電子放出素子の並びを1行おき
に行方向に半ピッチ分ずらしてデルタ状に配列した電子
源において、前記電子放出素子の行方向の並びに沿って
一行毎に設けられる略直線状の各行方向配線に対して、
各行の電子放出素子がそれぞれ接続され、前記電子放出
素子の列方向の並びに沿って半ピッチ毎に設けられる略
直線状の各列方向配線に対して、一行おきの電子放出素
子がそれぞれ接続されることを特徴とする。
【0026】前記電子放出素子は、前記基板上に配置さ
れる低電位電極と、該低電位電極上に配置される絶縁層
と、該絶縁層を介して該低電位電極上に積層され、該絶
縁層の側壁に該低電位電極との間に間隙を有する高電位
電極と、を備え、前記高電位電極は、前記低電位電極に
挟まれる、または、囲まれるように配置されることも好
適である。
【0027】前記電子放出素子と、該電子放出素子の上
方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、前記高電位
電極の幅をW、前記電子放出素子から前記陽極までの距
離をH、前記低電位電極と高電位電極の間の印加電圧を
Vf、前記陽極に印加される電圧をVaとした時に、前
記幅Wが、(H×Vf)/(円周率π×Va)の1/2
倍以上、15倍以下とされていることも好適である。
【0028】前記行方向配線及び列方向配線のうち前記
電子放出素子の上方に配置された上配線に前記高電位電
極が接続され、該電子放出素子の下方に配置された下配
線に前記低電位電極が接続されていることも好適であ
る。
【0029】前記低電位電極は、前記高電位電極と前記
絶縁層が存在しない開口領域を備え、前記間隙は該開口
領域の絶縁層の側壁に備えられることも好適である。
【0030】前記電子放出素子と、該電子放出素子の上
方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、前記電子放
出素子から前記陽極までの距離をH、前記低電位電極と
高電位電極の間の印加電圧をVf、前記陽極に印加され
る電圧をVaとした時に、前記絶縁層の側壁における、
前記高電位電極の前記基板に垂直方向の両端間の長さ
は、(H×Vf)/(円周率π×Va)の1/2以下で
あることも好適である。
【0031】前記電子放出素子と、該電子放出素子の上
方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、前記電子放
出素子から前記陽極までの距離をH、前記低電位電極と
高電位電極の間の印加電圧をVf、前記陽極に印加され
る電圧をVaとした時に、前記間隙から基板に平行な方
向の前記開口領域の低電位電極の長さは、(H×Vf)
/(円周率π×Va)の15倍以上であることも好適で
ある。
【0032】前記上配線は、前記基板上の高さが前記高
電位電極の高さより高い位置をとる絶縁層上に設けられ
ることも好適である。
【0033】画像形成装置にあっては、上記記載の電子
源と、該電子源から放出される電子線によって画像を形
成する画像形成部材と、を備えることを特徴とする。
【0034】前記画像形成部材は、前記電子放出素子の
直上に配置されることも好適である。
【0035】前記画像形成部材は、カラーを形成する赤
R,緑G,青Bの3原色の蛍光体を備え、各色の蛍光体
はデルタ状に配列されることも好適である。
【0036】前記各色の蛍光体は、略円形状であること
も好適である。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される
装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきもので
あり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣
旨のものではない。
【0038】図1は本発明における電子源の一例を示す
概略平面図、図2は電子源の配線図である。図1、図2
において、11は下配線、12は上配線、13は電子放
出素子、14は画像形成部材、15は行方向配線、16
は列方向配線である。
【0039】本発明による電子源は、画像形成部材14
がデルタ配列をとっており、それに対応した電子放出素
子が1:1で対応しているのが特徴であり、電子放出素
子13の直上に画像形成部材14が構成される。
【0040】図3は、本発明の電子源における1単位の
電子放出素子の構成を説明する図であり、図4は、電子
放出素子の作製方法の一例を示す図である。
【0041】図において、1は基板、2は第1電極(低
電位電極)、3は絶縁層、4は第2電極(高電位電
極)、5は導電性膜、6は間隙、21は層間絶縁層、3
1は隣接素子の列方向配線である。
【0042】本発明の適用可能な電子放出素子は、一対
の電極、第1電極と第2電極間に印加した電圧により、
間隙6より電子が放出される表面伝導型の電子放出素子
であり、特に電極間に絶縁層が積層されて、該絶縁層の
側壁に間隙が存在する、いわゆる垂直型の電子放出部を
有している。
【0043】また、第1電極2が低電位電極に接続さ
れ、第2電極4が高電位電極に接続され、電子放出部の
高電位電極が低電位電極に挟まれる、もしくは囲まれて
配されているのが特徴である。
【0044】また、さらに、低電位電極が下配線に接続
され、高電位電極が上配線に接続され、高電位電極と絶
縁層の一部が取り除かれた開口部によって低電位電極が
露出することで、低電位領域と高電位領域が形成される
ことが特徴である。
【0045】以下、図4の製造方法に沿って説明する。
【0046】予め、その表面を充分に洗浄した、石英ガ
ラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板
ガラス、青板ガラス及びSi基体等にスパッタ法等によ
りSiO2を積層した積層体、アルミナ等のセラミック
スの絶縁性の基板1の上に、第1電極2を積層する(図
4(a))。
【0047】第1電極2は、蒸着法、スパッタ法等の一
般的な真空成膜法で積層される。
【0048】第1電極2の材料としては、一般的な導体
材料が用いられ、たとえば、Ni,Cr,Au,Mo,
W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属あるいは合
金および、Pd,Au,RuO2,Pd−Ag等の金属
あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導
体、In23−SnO2等の透明導電体およびポリシリ
コン等の半導体材料等から適宜選択される。
【0049】第1電極2の膜厚は、数nmから数mmの
範囲で設定される。
【0050】第1電極2は、下配線11であり、行方向
配線15を兼ねている。
【0051】さらに、層間絶縁層21を部分的に形成す
る(図4(b))。
【0052】層間絶縁層21は、蒸着法、スパッタ法等
の一般的な真空成膜法、熱酸化法、陽極酸化法等で形成
される。層間絶縁層21の材料は、好ましくはSiO2
であり、また他の酸化物、および窒化物等で、高電界に
耐えられる耐圧の高い材料が選択される。
【0053】層間絶縁層21の膜厚は、数10nmから
数10μmの範囲で設定されるが、マトリクス配線にお
ける電子源の容量低減のために構成するものであって、
必ずしも必要はないが、層間絶縁層21を厚くして上配
線を第2電極より高い位置にすることで、列方向配線を
直線状にすることができる。
【0054】さらに、絶縁層3、第2電極4を積層する
(図4(c))。
【0055】絶縁層3は、蒸着法、スパッタ法等の一般
的な真空成膜法、熱酸化法、陽極酸化法等で形成され
る。絶縁層3の材料は、好ましくはSiO2であり、ま
た他の酸化物、および窒化物等で、高電界に耐えられる
耐圧の高い材料が選択される。
【0056】絶縁層3の膜厚は、数nmから数10μm
の範囲で設定され、好ましくは、数10nmから数μm
である。
【0057】第2電極4は蒸着法、スパッタ法等の一般
的な真空成膜技術で積層される。
【0058】第2電極4は、前述のように第1電極と同
一材料でも、異種材料でも良い。
【0059】第2電極4の膜厚は、数nmから数μmの
範囲で設定されるが、電子放出効率向上のために好まし
くは薄い方が良く、〜数10nm程度がよい。また、膜
厚が薄い場合は、特に耐熱材料が望ましい。
【0060】第2電極4は、上配線12であり、列方向
配線16を兼ねている。
【0061】次に、所望の部分に絶縁層3と第2電極4
のパターンが形成される(図4(d))。本工程は、フ
ォトリソグラフィー技術でマスクパターンニングし、そ
れぞれの電極及び絶縁層の材料に応じたエッチング方法
を選択して行う。
【0062】次に、第1電極と第2電極のあいだに間隙
6を形成し、電子放出部とする工程が行われる。そのた
めに、さらに導電性膜5が、形成される(図4
(e))。
【0063】導電性膜5の材料は、Pd,Pt,Ru,
Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,S
n,Ta,W,Pb等の金属、Pt−Pd,Pd−Ag
等の合金、PdO,SnO2,In23,PbO,Sb2
3等の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6等の硼化
物、TiC,ZrC,SiC,WC等の炭化物、Ti
N,ZrN,HfN等の窒素物、Si,Ge等の半導
体、有機高分子材料、アモルファスカーボン、グラファ
イト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素および炭素
化合物、から適宜選択される。
【0064】導電性膜5の膜厚は、数Åから数100n
mの範囲で設定されるが、抵抗値とステップカバレージ
とともに設計される。
【0065】さらに、第1及び第2電極間に電圧を印加
して、通電フォーミング工程と呼ばれる工程を行い、間
隙6を形成する(図4(f))。
【0066】通電フォーミングにおいては、電圧波形
は、パルス波形が好ましい。通電フォーミングは、後の
活性化工程と同様に真空雰囲気において行われてもよ
い。通電フォーミング処理の終了は、パルス間隔中に導
電性膜5が破壊しない程度に電圧を印加して電流を測定
し、その抵抗を検知して、抵抗値が1MΩ以上の抵抗と
なった時に終了される。
【0067】フォーミング工程は、通電フォーミングに
限らず、導電性膜5に局所的な高抵抗状態を形成する処
理を包含するものである。
【0068】さらにこのようにして作製した電子放出素
子を、真空容器に配置し、排気し真空雰囲気にした後、
活性化、安定化工程を行う場合がある。
【0069】活性化工程とは、素子電流If、放出電流
Ieを著しく変化させ、低電圧で電子放出が可能な形状
を形成する工程であり、炭素および炭素化合物を前記フ
ォーミング工程で形成した間隙6に堆積することであ
る。
【0070】活性化工程は、例えば、有機ガスの供給源
より有機ガスを真空容器に導入し、有機物質のガスを含
有する雰囲気下で、該第1電極2および第2電極4に電
圧を印加し、電圧波形は、パルス波形で繰り返し印加さ
れる。これには、パルス波高値を定電圧としたパルスを
連続的に印加する方法や、パルス波高値を増加させなが
ら、電圧パルスを印加する方法がある。
【0071】前記炭素を生成する際の好ましい有機物質
のガス分圧は、前記炭素の形態、真空容器の形状や有機
物質の種類等により異なるため、場合に応じて適宜設定
される。
【0072】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコー
ル類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノー
ル、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等で、具体的に
は、メタン、エタン、プロパン等のCn2n+2で表され
る飽和炭化水素、エチレン、プロピレン等のCn2n
の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
アミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸等が使用できる。
【0073】さらに、活性化工程の後には、安定化工程
と呼ばれる処理が行われる。本工程は、真空容器内の有
機物質を排気する工程で、その真空容器内の圧力は、1
×10-5Pa以下が好ましく、さらに1×10-6Pa以
下が特に好ましい。真空容器内を排気する場合は、装置
から発生するオイル等が混入し、素子特性に影響を与え
ないように、ソープションポンプ、イオンポンプ等のオ
イルを用いない真空排気系が好ましい。
【0074】さらに、真空容器を排気する場合は、真空
容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に
吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。この時の加熱温度は、80℃から200℃で5時間
以上が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、
真空容器の大きさ、形状、電子放出素子の構成等により
適宜選択される。
【0075】本発明に適用可能な電子放出素子の作用に
ついて図5から図9を用いて説明する。
【0076】図5において、図1〜図4と同様の部材に
は同じ番号を付記した。8は第1電極2と第2電極4間
の電圧をかけるための電源、9はアノード電極7に電圧
をかけるための電源である。
【0077】本発明において、第1電極2と第2電極4
間の電圧をかけるための電源8により、第1電極2には
低電位が、第2電極4には高電位が、即ち駆動電圧Vf
が与えられ、素子電流Ifが流れる。また、アノード電
極7に電圧をかけるための電源9により、アノード電圧
Vaが与えられる。本発明に適用可能な電子放出素子は
表面伝導型の電子放出素子であり、間隙6より放出した
電子は、高電位電極上を散乱した後、距離Hだけ離れて
配置されたアノード電極7に捕捉されて、放出電流Ie
が流れる。
【0078】本発明の適用可能な電子放出素子において
は、駆動電圧Vfは、数Vから数10Vに設定される。
駆動電圧は、間隙幅Dに大きく依存し、間隙幅Dが大き
い程、駆動電圧Vfは大きくなる。
【0079】また、本発明における電子放出素子を使用
した、電子源、および、画像形成装置では、アノード電
圧Vaおよび、アノード電極間距離Hは適宜設計される
ものである。電子源、画像形成装置とした場合には、ア
ノード電極間距離Hが小さく、アノード電圧Vaが大き
い程、ビーム径は小さくなり有利となる。しかし、一
方、放電や装置作製の難しさが問題となる。したがっ
て、アノード電極間距離Hにあわせて、実用的なアノー
ド電圧Vaが存在することになる。
【0080】本発明における電子放出素子のアノード電
極間距離Hは、数10μmから、数10mmであり、好
ましくは、数100μmから数mmである。また、それ
に対するアノード電圧Vaは、数10Vから数10kV
であり、好ましくは、数100Vから十数kVである。
【0081】なお、間隙6は、導電性膜5を介して第1
電極2もしくは第2電極4と接続されている。
【0082】さらに、第1電極2は低電位に接続されて
低電位領域を形成し、第2電極4は、高電位に接続され
て高電位領域を形成するものであって、アノード電極7
側から素子部を眺めたときに、高電位領域は、低電位領
域にはさまれるもしくは囲まれるように形成されるのが
特徴である。
【0083】高電位領域が、低電位領域に挟まれる場
合、高電位領域の長さは、w1としてあらわされる。
【0084】ここで、従来の平面型での効率とビームサ
イズについて説明し、その後、本発明の素子について説
明する。
【0085】図18は従来の表面伝導型電子放出素子の
図である。図18において、311は基板、312、3
13は電極、314は導電性膜、315は間隙、316
はアノード電極である。
【0086】SID ’98 Digest,Okud
a,et alによると、対向する電極の間にはnmオ
ーダーの間隙315があり、この素子に駆動電圧Vfを
印加すると低電位電極の先端から対向する高電位電極に
電子が放出(あるいは基板を通して注入)され、電子が
高電位電極の先端部で再び電子が等方的に散乱すること
が分かっている(正確には高電位電極の先端部から電子
が等方的に放出されると仮定すると実験と数値計算予測
とが矛盾なく一致することが分かっている)。
【0087】低電位電極から放出された電子の多くは高
電位電極上で数回の弾性散乱(多重散乱)が繰り返さ
れ、特徴距離Xsを越えた電子がアノード電極に到達す
る。
【0088】前記特徴距離Xsは、 Xs= D/2√{1+(2H・Vf/π・Va・D)・2} ≒ (H・Vf)/(π・Va)・・・・・・(1)式 で表される。ここで、Hは電子放出素子とアノード電極
間の距離、πは円周率、Dは電子放出部に形成された間
隙幅、Vfは駆動電圧、Vaはアノード電極の電圧であ
る。
【0089】上記(1)式の二番目の近似は、Vf/D
≫Va/Hの場合(通常の表面伝導型電子放出素子の場
合では十分に成立する)に成立する。
【0090】前記特徴距離Xsは、図18に示すよう
に、間隙315を基点として、真空中に現れる等電位面
において、高電位電極と同電位の面が、高電位電極上に
交わる点までの距離として表わされる。
【0091】電子放出効率は間隙315から放出された
電子が前記Xsを越えるまでの間に、多重散乱によって
高電位電極に一部吸収されることによる電子数の減少に
支配されている。数十eV程度の電子の衝突に伴い散乱
される割合(散乱係数)βについては明らかではない
が、一回の散乱につき0.1から0.5程度と見積もら
れている。このような散乱機構で、βが1以下であるこ
とから、真空中に取り出される電子の量は、散乱回数の
増加に従い、べき乗で減少していくことが分かる。
【0092】従って、図18のような従来の表面伝導型
電子放出素子では、間隙315から放出した電子が、上
記Xs内で対向する高電位電極上を少なくとも一回、多
くの電子は複数回散乱するため、高電位電極中に取り込
まれ消滅する電子の数が増大し電子放出効率が低下す
る。
【0093】その他、図19に示した従来の垂直型の表
面伝導型電子放出素子がある。図19において、200
1は基板、2002、2003は電極、2004は段差
形成材、2005は導電性膜、2006は間隙である。
【0094】従来の垂直型の電子放出素子や、本発明の
適用可能な電子放出素子においても、従来の素子と同様
の放出機構であることから、アノード電極7に到達する
までの散乱が効率を左右する重要なパラメータであるこ
とは同じである。
【0095】しかしながら、従来の垂直型の電子放出素
子では、その立体的な電位構成により、平面型の場合と
は、間隙付近および電子軌道上の電位分布が異なる。特
に、その構成サイズ(たとえば、高さh1、高電位電極
サイズw1など)が、平面型の(1)式に対するXsの
サイズと近づいた場合には、その電位分布は複雑に変化
し、その効率も平面型の場合より複雑となる。
【0096】ただし、その立体的な構成により、平面型
より高効率となる条件が存在することがわかっている。
【0097】そのひとつとしては、高電位電極の位置を
低電位電極より上部に配置させることである。
【0098】また、さらに間隙の位置を側壁部に設け、
かつ、間隙から高電位電極までの側壁の距離をできるだ
け小さくすることも重要であることがわかっている。
【0099】したがって、本発明に適用可能な素子は、
垂直型でも、特に高効率をねらうような構成が適用され
る。
【0100】即ち、本発明に適用可能な電子放出素子で
は、高電位電極の位置を低電位電極より上部に配置する
のが第1の特徴であり、さらに間隙の位置を側壁部に設
け、かつ、間隙から高電位電極までの側壁の距離T1を
できるだけ小さくすることが第2の特徴である。
【0101】このような構成では、電子の散乱回数が低
減され、効率の向上が期待できる。散乱の機構について
は後述する。
【0102】次に、従来の表面伝導型電子放出素子の電
子ビームの形状およびそのビームサイズについて説明す
る。
【0103】図18に従来の電子放出素子の電子の到達
位置を示した。ビームは素子上部の特徴距離Xsに到達
した時点で放出位置から大きくずれ、上部の歪んだ電場
により大きくずれてしまう。
【0104】また、ビーム径は、放出部の直上から、ビ
ームの主たる到達位置までのずれ量にほぼ等しく、した
がって、ビーム径はSID ’98 Digest,O
kuda,et alより、 Lh ≒ 4・Kh・H・√(Vf/Va) ・・・(2)式 Lw ≒ 2・Kw・H・√(Vf/Va) ・・・(3)式 で記述できることが知られている。
【0105】ここで、Lhはビームの縦方向(y方
向)、Lwはビームの横方向(x方向)のサイズを示し
ている。また、Kh,Kwは素子構造によって若干異な
る場合があるが0.8〜1.0の範囲であり、ほとんど
の場合1で近似できる。
【0106】次に、図5を用いて、本発明における電子
放出素子のビーム形状について説明する。本発明では、
x方向(行方向)のビーム径をLx,y方向(列方向)
のビーム径をLyとした。
【0107】本発明では、アノード電極7側から眺め
て、高電位領域は、低電位領域に挟まれるもしくは囲ま
れた構成になっている。したがって、高電位領域のサイ
ズw1を、周囲の低電位の影響を受けるサイズにするこ
とにより電子軌道は変化し、電子の広がりがある程度抑
えられる構成とすることができる。したがって、本発明
におけるビームサイズの縮小の効果は、高電位領域の幅
w1の大きさに大きく依存していることがわかる。
【0108】図5における電子放出素子の高電位領域の
幅w1とビーム形状の典型例を図6に示す。
【0109】図3においては、電子放出素子は、放出部
は長さL1である2つの直線状に存在していて、さらに
放出部は、低電位領域にはさまれる構成となっている。
【0110】w1が大きいとき、ビームは、それぞれの
直線状の放出部から、それぞれのビームとして放出され
た場合とみなされ、一般に2つのピークをもつ。また、
特定の距離では、2つのビームがほぼ1点になる場合が
ある。ただし、この場合は、それぞれのビームが一致す
る条件となっているだけで、収束されているわけではな
い。
【0111】この2つのビームの最外周をビーム径とす
ると、w1が大きい場合には、 通常、 Lx=2×(w1/2+Lw)、 Ly=Lh
+L1 となる(Lh,Lwは(2)、(3)式によるものであ
る)。
【0112】さらに、w1を小さくすると、それぞれの
高電位の外側の低電位の影響があらわれる。
【0113】この周囲の低電位の影響により、ビームの
到達位置が変わり、x方向のビーム径は、式(3)に従
わず、放出部に向かった中央部に幾分偏るようになる。
また、このビームの位置が変わりはじめると、効率も変
化しはじめる。これは、周囲の低電位が、減速電位を構
成し、電子を高電位電極側にむかわせる力が働くため
に、散乱回数が増え、効率が減少する。
【0114】さらに、w1が小さくなると、ビームは、
両側の低電位に囲まれ、その中で折り返されてビームは
小さくなる。このようなサイズ領域になると、w1のサ
イズ変化はx方向の変化であるにもかかわらず、x方向
だけでなく、y方向にも電子ビームが限定され、y方向
のビームの縮小の効果が生じる。ただし、放出長L1分
の幅は残っている。
【0115】さらに、w1を小さくすると、ビーム径が
さらに小さくなるが効率の低下も著しく、電子がほとん
どアノード電極に到達しなくなる。
【0116】したがって、本発明におけるビームサイズ
の縮小を目指すためには、必要な効率を考慮した上で、
凸部のサイズは、できるだけ小さくすることがビーム縮
小のためには必要となる。
【0117】これらのサイズ効果を検討した結果、w1
のサイズが前述のXsの何倍となるかで、その特性はほ
ぼ正規化されることがわかった。ビーム径の縮小が期待
されるw1としては、Xsの15倍以下、また、さら
に、効率がある程度確保されるw1としては、(たとえ
ば、w1が∞である場合の効率の1/10まで)、Xs
の1/2以上であることがわかった。
【0118】したがって、w1を適宜選択することで、
所望のビーム径と効率をもった素子とすることができる
ことがわかる。
【0119】さらに、本発明に適用可能な電子放出素子
の効率及びビーム径に関連する別の要件について説明す
る。図7に高電位領域のサイズw1を固定し、低電位領
域のサイズw2を変化させた場合の効率とビームサイズ
の典型例のグラフを示した。
【0120】高電位領域を挟む、もしくは、囲む低電位
領域のサイズは、一般に放出部から、垂直な方向のサイ
ズをさす。前述のw1のサイズ効果と同様に、本特性
も、特徴距離Xsの何倍かとなるかで、その特性はほぼ
正規化されることがわかった。
【0121】w2のサイズが小さいとw1のビーム縮小
効果が小さくなり、かつ効率は向上する。w2がXsの
15倍より大きくなれば、ビーム縮小効果が十分に発揮
されることになる。
【0122】したがって、本発明に適用可能な電子放出
素子での、低電位領域の大きさも一定の幅以上が必要で
あることになる。
【0123】さらに、本発明に適用可能な電子放出素子
において、特に高効率となる条件について詳細に説明す
る。
【0124】図8は、本発明に適用可能な電子放出素子
の間隙付近を拡大した図であり、散乱回数を説明する図
となっている。図8(a)は、図5で説明した電子放出
素子の拡大図である。
【0125】本発明における電子放出素子においても放
出された電子は、間隙6から高電位側に形成された導電
性膜5および第2電極4による高電位電極上を散乱した
後にアノード電極7へと向かう。ただし、高電位電極の
頂上までの距離T1が短いため、電子が電子放出素子近
傍の高電位電極と低電位電極の電界で支配される電位分
布の領域から少ない散乱回数で脱出できる。
【0126】さらに、間隙6から高電位電極頂上までの
距離T1が電子の飛翔距離よりも短い場合には、電子は
散乱すること無しで素子上部に到達でき、電子放出効率
が大幅に向上する。ここで、散乱した電子の飛翔距離
は、最大で間隙幅Dの200倍程度と見積もられてお
り、この範囲にT1を設定することで、効率は向上す
る。
【0127】また、Xsは散乱のおこる範囲を示すもの
であり、前記飛翔距離とも関連のある数値となってい
る。したがって、T1をXsに対して適当な範囲にする
ことで、効率の向上が期待される。詳細な検討の結果、
T1をXsの1/2以下にすることで、効率の向上が期
待されることがわかった。
【0128】さらに、間隙6から、低電位領域の底部ま
での距離T3も、電子の散乱に大きく関連している。T
3が小さい場合は、側壁で散乱される場合が多くなる
が、T3を大きくすることで、側壁での散乱が抑制され
る。
【0129】一定のw1におけるT1とT3の形状因子
が効率に与える影響について図13のグラフに示した。
【0130】グラフより、高電位領域T1の距離として
は、できるだけ薄い方が望ましく、T3は大きい方が望
ましい。ただし、T3→∞では、一定の直線となりその
影響は飽和する。
【0131】したがって、図8(b)で示すように、図
8(a)と同様の膜厚構成であっても第1電極2の一部
が削られT3が大きくなると、高効率化が図られる。
【0132】したがって、本発明に適用可能な素子は、
高電位電極を低電位電極よりもアノード側に配置でき
る。かつ、高電位領域の距離T1を十分に減少させた構
成とすることで、高効率な電子放出素子となっている。
また、さらに、T3を大きくする構成である。
【0133】以上、示したように、本発明に適用可能な
電子放出素子を使用して、図5に示すような、電子源配
置が可能である。
【0134】即ち、素子の駆動される条件にあわせて、
w1およびw2を図6、図7で示したような範囲に設定
することで、ビームの収束された素子として使用するこ
とができ、デルタ配置の画像形成部材に対し、その直下
に1:1に電子放出素子を配置し電子源自体をデルタ配
列とすることが可能となる。
【0135】さらに、これまでの説明のように、垂直型
の表面伝導型電子放出素子とし、実際のh1及びh2を
各構成要素の膜厚等で、T1、T3を図9に示す指針に
よって、所望の範囲にすることで、高効率化も図れる。
【0136】また、放出部が側壁の両側にあるので、放
出長が2倍となり電子放出量も大きくすることができ
る。
【0137】また、以上の条件を満たした上で、1画素
内にバスラインを有した電子源を、高精細に配置するこ
とができる。
【0138】その配置例としては、y方向(列方向)配
線を均等に、かつ、平行に並べるものである。
【0139】また、画素領域とバスライン部で、y方向
配線の面積が変化したy方向配線を有した構成である。
【0140】いずれの方法によっても、デルタ配列をと
る電子源が構成でき、デルタ配列をとる電子源を駆動す
る駆動回路により、高精細かつ高効率な画像形成装置を
構成することが可能となる。
【0141】次に、図10〜図12に電子源およびそれ
を用いた画像形成装置について説明する。
【0142】図10は、図3で示した電子放出素子を図
1で示したようにデルタ状に配列して形成した電子源を
用いて形成した画像形成装置の図である。
【0143】即ち、基板上に配列された複数の電子放出
素子のうち列方向の電子放出素子の並びを1行おきに行
方向に半ピッチ分ずらしてデルタ状に配列したもので、
電子放出素子の行方向の並びに沿って一行毎に設けられ
る略直線状の各行方向配線に対して、各行の電子放出素
子がそれぞれ接続され、電子放出素子の列方向の並びに
沿って半ピッチ毎に設けられる略直線状の各列方向配線
に対して、一行おきの電子放出素子がそれぞれ接続され
ている。
【0144】X方向には、m本の行方向(X方向)配線
72(Dox1、Dox2…Doxm)が配置され、Y
方向には、n本の列方向(Y方向)配線73(Doy
1、Doy2、Doy3…Doyn)が配置されてい
る。
【0145】電子放出素子を構成する第1電極2は、下
配線11を兼ねており、行方向配線72と電気的に接続
されている。また、第2電極4は、上配線12を兼ねて
おり、列方向配線73と電気的に接続されている。
【0146】単純マトリックス配置構成以外の配列も採
用できる。例えば、並列に配置した複数の電子放出素子
の個々の両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配し
(行方向)、この配線と直交する方向(列方向)で、該
電子放出素子の上方に配した制御電極(グリッド電極)
により、電子放出素子からの電子を制御駆動する梯子状
配置のものもある。
【0147】X方向配線、Y方向配線は、真空蒸着法、
印刷法、スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等
で構成することができる。配線の材料、膜厚、幅は適宜
設計される。また、その幅、Px1、Py1、Py2
は、本発明の示す指針により設計される。
【0148】本発明における電子放出素子からの放出電
子は、しきい値電圧以下では電極間に印加するパルス状
電圧の波高値と幅で制御できる。一方、しきい値電圧以
下では、ほとんど放出されない。
【0149】この特性によれば、多数の電子放出素子を
配置した場合においても、個々の素子にパルス状電圧を
適宜印加すれば、入力信号に応じて、電子放出素子を選
択して電子放出量を制御できる。したがって、上記構成
において、単純マトリックス配線を用いて、個別の素子
を選択し、独立に駆動することができる。
【0150】さらに、図10において、71は電子放出
素子、81は電子放出素子を複数配した電子源基板、9
1は電子源基板81を固定したリアプレート、96はガ
ラス基板93の内面に蛍光膜94とメタルバック95等
が形成されたフェースプレートである。92は、支持枠
であり、該支持枠92には、リアプレート91、フェー
スプレート96がフリットガラスなどを用いて接続され
る。
【0151】外囲器(パネル)98は、上述の如く、フ
ェースプレート96、支持枠92、リアプレート91で
構成される。リアプレート91は主に基板81の強度を
補強する目的で設けられるため、基板81自体で十分な
強度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要とする
ことができ、基板81とリアプレート91が一体構成の
部材であっても構わない。
【0152】支持枠92の蛍光膜94とメタルバック9
5とをその内側表面に配置したフェースプレート96と
リアプレート91と支持枠92とが接合する接着面にフ
リットガラスを塗布し、フェースプレート96と支持枠
92とリアプレート91とを、所定の位置で合わせ、固
定し、加熱して焼成し封着する。
【0153】また、焼成し封着する加熱手段は、赤外線
ランプ等を用いたランプ加熱、ホットプレート等、種々
のものが採用でき、これらに限定されるものではない。
【0154】また、外囲器を構成する複数の部材を加熱
接着する接着材料は、フリットガラスに限るものではな
く、封着工程後、充分な真空雰囲気を形成できる材料で
あれば、種々の接着材料を採用することができる。
【0155】上述した外囲器は、本発明の一実施態様で
あり、限定されるものではなく、種々のものが採用でき
る。
【0156】他の例として、基板81に直接支持枠92
を封着し、フェースプレート96、支持枠92及び基体
81で外囲器98を構成しても良い。また、フェースプ
レート96、リアプレート91間に、スペーサーとよば
れる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対
して十分な強度をもつ外囲器98を構成することもでき
る。
【0157】また、図11にフェースプレート96に形
成された蛍光膜94を模式図で示す。蛍光膜94は、モ
ノクロームの場合は蛍光体85のみから構成することが
できる。カラーの蛍光膜の場合は、ブラックマトリクス
などと呼ばれる黒色導電材86と蛍光体85とから構成
することができる。
【0158】ブラックマトリクスを設ける目的は、カラ
ー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体85
間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくす
ることと、蛍光膜94における外光反射によるコントラ
ストの低下を抑制することにある。ブラックストライプ
の材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とす
る材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない
材料を用いることができる。
【0159】蛍光体85の形状は、図11で示すような
円状である。また、電子ビームの形状にあわせた他の形
(例えば、矩形、楕円)であってもよい。
【0160】ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。
【0161】蛍光膜94の内面側には、通常メタルバッ
ク95が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍
光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート96
側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光膜94を保護すること等である。
【0162】メタルバック95は、蛍光膜作製後、蛍光
膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」
と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用い
て堆積させることで作製できる。
【0163】フェースプレート96には、更に蛍光膜9
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0164】本発明においては、電子放出素子71の直
上に電子ビームが到達するため、電子放出素子71の直
上に蛍光膜94が配置されるように、位置あわせされて
構成される。
【0165】次に、封着工程を施した外囲器(パネル)
を封止する真空封止工程について説明する。
【0166】真空封止工程は、外囲器(パネル)98を
加熱して、80〜250℃に保持しながら、イオンポン
プ、ソープションポンプなどの排気装置により排気管
(不図示)を通じて排気し、有機物質の十分少ない雰囲
気にした後、排気管をバーナーで熱して溶解させて封じ
きる。外囲器98の封止後の圧力を維持するために、ゲ
ッター処理を行なうこともできる。
【0167】これは、外囲器98の封止を行う直前ある
いは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた
加熱により、外囲器98内の所定の位置(不図示)に配
置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理であ
る。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の
吸着作用により、外囲器98内の雰囲気を維持するもの
である。
【0168】以上の工程によって製造された単純マトリ
クス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置は、各
電子放出素子に、容器外端子Dox1〜Doxm、Do
y1〜Doynを介して電圧を印加することにより、電
子放出が生ずる。
【0169】高圧端子97を介してメタルバック95、
あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビー
ムを加速する。
【0170】加速された電子は、蛍光膜94に衝突し、
発光が生じて画像が形成される。
【0171】図12はNTSC方式のテレビ信号に応じ
て表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図を
示した。
【0172】走査回路図13について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル1301の端子Dox1ないしDoxmと電
気的に接続される。
【0173】S1乃至Smの各スイッチング素子は、制
御回路1303が出力する制御信号Tscanに基づい
て動作するものであり、例えばFETのようなスイッチ
ング素子を組み合わせることにより構成することができ
る。
【0174】直流電圧源Vxは、本例の場合には本発明
の電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づ
き走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放
出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよ
う設定されている。
【0175】制御回路1303は、外部より入力する画
像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路1303は、
同期信号分離回路1306より送られる同期信号Tsy
ncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsf
tおよびTmryの各制御信号を発生する。
【0176】同期信号分離回路1306は、外部から入
力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と
輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。
【0177】同期信号分離回路1306により分離され
た同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成る
が、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示し
た。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分
は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号はシフ
トレジスタ1304に入力される。
【0178】シフトレジスタ1304は、時系列的にシ
リアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライ
ン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記
制御回路1303より送られる制御信号Tsftに基づ
いて動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジ
スタ1304のシフトクロックであるということもでき
る)。
【0179】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデ
ータは、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記
シフトレジスタ1304により出力される。
【0180】ラインメモリ1305は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1303より送られる制御信号Tmryに
従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変
調信号発生器1307に入力される。
【0181】変調信号発生器1307は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて本発明の電子放出素
子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その
出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パ
ネル1301内の本発明の電子放出素子に印加される。
【0182】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、V
th以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。
電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加
電圧の変化に応じて放出電流も変化する。
【0183】このことから、本素子にパルス状の電圧を
印加する場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加し
ても電子放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を
印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パ
ルスの波高値Vmを変化させる事により出力電子ビーム
の強度を制御することが可能である。また、パルスの幅
Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電
荷の総量を制御する事が可能である。
【0184】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1307として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。
【0185】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器1307として、一定の波高値の電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用い
ることができる。
【0186】シフトレジスタ1304やラインメモリ1
305は、デジタル信号式あるいはアナログ信号式のも
のを採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0187】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1306の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これには同期信号分離回路130
6の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連
してラインメモリ1305の出力信号がデジタル信号か
アナログ信号かにより、変調信号発生器1307に用い
られる回路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル
信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器13
07には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて
増幅回路などを付加する。
【0188】パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
1307には、例えば高速の発振器および発振器の出力
する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出
力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレ
ータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を本発明の電
子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器
を付加することもできる。
【0189】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1307には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシ
フト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方
式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)
を採用でき、必要に応じて本発明の電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。
【0190】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0191】また表示装置の他、感光性ドラム等を用い
て構成された光プリンターとしての画像形成装置等とし
ても用いることができる。
【0192】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより詳細に説
明する。
【0193】(実施例1)図1に第1実施例によって作
製された電子源の図を、図3にその構成の詳細を示した
図を示した。
【0194】以下に、本実施例の電子放出素子の製造工
程を詳細に説明する。
【0195】(工程1)基板1に石英を用い、十分洗浄
を行った後、スパッタ法により第1電極2として厚さ1
μmのAlをPy1=180μmパターンで堆積する。
第1電極は、行方向配線15をかねている。
【0196】(工程2)その後、層間絶縁層21として
SiO2を2μm積層し、フォトリソグラフィー及び、
エッチングにより所定の形状にする。
【0197】(工程3)引き続き絶縁層3として厚さ8
0nmのSiO2を堆積し、第2電極4として厚さ50
nmのTaを堆積した。
【0198】(工程4)フォトリソグラフィー工程で、
ポジ型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社
製)のスピンコーティング、フォトマスクパターンを露
光、現像し、マスクパターンを転写した。その後、パタ
ーニングした前記フォトレジストをマスクとした。
【0199】(工程5)さらにCF4ガスを用いて絶縁
層3と第2電極4をドライエッチングした。レジストマ
スクは、その後剥離した。
【0200】こうして第2電極が分離される。この第2
電極は列方向配線を兼ねている。
【0201】こうしてできた構成では、h1=0.13
μm、h2=2.13μm、L2=150μmであり、
w1=5μm、w2=25μm、Px1=120μm、
Px2=50μmであった。
【0202】(工程6)次に、厚さ5nmのPt−Pd
導電性膜5を前記構造に、L1=50μmで堆積した。
前記Pt−Pd導電性膜5は、フォトリソグラフィー技
術を用いてマスクし、イオンスパッタ法で選択的に堆積
した。このようにして作製した電子源基板(間隙は作製
されていない)を使用して、図10に示す画像形成装置
を構成した。
【0203】(工程7)電子源基板をリアプレートと
し、また、蛍光体を有した画像形成部材を配した基板を
フェースプレートとして、支持枠を使用して、接続にフ
リットガラスを用いて、外囲器(パネル)を作製した。
電子源基板と画像形成部材との距離HをH=2mmとな
るように、支持枠の高さは調整した。
【0204】(工程8)次に、前記外囲器(パネル)を
排気管(不図示)を介して、真空排気し、行方向配線を
介して第1電極2に、また、列方向配線を介して第2電
極4に図4(b)で示したような10Vから17Vのパ
ルス電圧(ON時間:1msec/OFF時間:9ms
ec片極)を印加し、前記Pt−Pd導電性膜5に通電
し、前記フォーミング工程により間隙6を形成した。フ
ォーミングは、上下電極間の抵抗が10MΩとなった時
点で終了した。
【0205】(工程9)次に、BN(ベンゾニトリ
ル)、2×10-5Pa雰囲気中で工程8と同様に、前記
第1電極2、第2電極4に図4(c)で示したような1
2Vから15Vのパルス電圧(ON時間:1msec/
OFF時間:9msec両極)を印加し、前記間隙に炭
素を生成した。前記活性化工程は、活性化工程中に流れ
る電流が飽和した時点で終了した。この結果、Pt−P
d膜を堆積した領域にのみ間隙6が形成できた。
【0206】駆動後に、間隙は絶縁層中央にできている
ことが電子顕微鏡により確認された。したがって、本素
子においてT1=95mmである。
【0207】(工程10)以上のようにして作製した外
囲器を、再び5×10-5Pa以上に再排気し、素子近傍
150℃となるように保ち5時間以上加熱した後に、室
温に戻した。その時、真空度は、1×10-6Paであっ
た。
【0208】本素子を、Vf=15V、Va=10kV
で駆動したところ、効率Ie/If=0.8%(1素
子)である素子特性が得られた。また、この条件では、
1素子のビーム径はLx=200μm、Ly=250μ
mであった。
【0209】本素子は、駆動条件からすると、Xs=
0.95μm≒1μmと換算される。
【0210】したがって、T1はXsに比べて十分小さ
く、高効率が得られている。また、w1=5μm、w2
=25μmであり、ビームの収束する範囲に設定されて
いる。
【0211】したがって、本素子を使用して、ピッチP
x=Py=250μmの正方画素のデルタ配列の画像形
成装置が、y方向配線を均一にかつ平行に配列した電子
源配置で実現できた。
【0212】(実施例2)次に、本発明の適用可能な電
子放出素子としてw1をかえた場合を実施例2に示す。
【0213】w1は1.5μmとした以外の他の構成サ
イズ、作製方法は、実施例1と同様である。
【0214】本素子を実施例1と同様に、Vf=15
V、Va=10kVで駆動したところ、効率Ie/If
=0.5%(1素子)である素子特性が得られた。ま
た、この条件では、1素子のビーム径はLx=120μ
m、Ly=150μmであった。
【0215】本構成では、ピッチPx=Py=150μ
mの正方画素のデルタ配列の画像形成装置が、y方向配
線を均一にかつ平行に配列した電子源配置で実現でき
た。
【0216】(実施例3)図8に本発明の適用可能な電
子放出素子としてT3をかえた場合を実施例3に示す。
【0217】T3を大きくするために、(工程5)のド
ライエッチング時間を長くし、第1電極2を300nm
掘りこんだ以外は、他の構成サイズ、作製方法は、実施
例1と同様である。
【0218】本素子を実施例1と同様に、Vf=15
V、Va=10kVで駆動したところ、効率Ie/If
=0.9%(1素子)である素子特性が得られた。ま
た、この条件では、1素子のビーム径はLx=208μ
m、Ly=255μmであり、実施例1より若干広がっ
た。
【0219】したがって、ピッチPx=Py=250μ
mの実施例1と同様の構成とすることが可能である。
【0220】(実施例4)図13に本発明の示す実施例
4に係る画像形成装置を示す。本実施例では、1画素に
おける構成が若干異なっている。
【0221】即ち、図13(a)では、高電位電極は、
十字状になっている。また、図13(b)では、図13
(a)と同様に十字状になり、さらに、開口部が円形に
なっている。
【0222】本実施例は、2次元に高電位領域が低電位
に囲まれる構造であると考えられる。このような2次元
構造では、高電位領域の距離w1の考え方を、少し変形
して考えれば良い。
【0223】2次元構造でのw1の考え方を図13
(a)中に示した。すなわち、間隙6の有する領域の最
小外接円の直径w1maxおよび、最大内接円w1mi
nでw1を代用することができる。すなわち、w1ma
xを15×Xs以下に、w1minを1/2×Xsに設
定すれば良い。
【0224】また、w2の幅も同様に、図13(b)の
ように変形して考えればよい。
【0225】(実施例5)さらに、高精細に適した例を
実施例5として示す。
【0226】図14(a)では、低電位電極の開口が実
施例1と90度異なり、高電位領域が行方向配線と平行
している。
【0227】デルタ配列では、行方向に比較し、列方向
に微細の構成となるため、各領域長を考慮してその配置
を考えた方が有利となる。
【0228】本発明においては、w2が比較的大きな領
域長をとるから、本構成が有利である。
【0229】本構成では、実施例2と同様の駆動条件
で、かつ実施例と同様にw1=1.5μmとする。ここ
で、素子からのビームはLx=150μm、Ly=12
0μmであるが、輝度の低い部分は、ブラックマトリッ
クス上に配置すれば、ピッチ100μmの正方画素の配
置も可能となる。
【0230】即ち、Px=45μmとし、L1=20μ
m、L2=30μmとし、Py=90μmとすれば、w
2=30μmも可能となる。
【0231】また、w1を小さくし、LxとLyがほと
んど等しくなる条件にすることで、図14(b)の構成
も可能となる。即ち、高電位領域の方向は、どんな角度
を有していても良い。
【0232】(実施例6)更に、実施例6について説明
する。
【0233】これまでは、列方向配線は、均等でかつ直
線上に配置してきたが、列方向配線を変形することで、
さらなる高精細化ができる。
【0234】図15に平面図を、図16に1画素の電子
放出素子の断面図を示した。
【0235】本構成では、隣接ラインのバスラインが局
所的に細くなり、寄生抵抗が増大するのを防ぐために、
列方向配線に配線電極41を付加している。
【0236】本構成では、たとえば、実施例2の構成
で、ピッチ100μmの配列が可能となる。即ち、y方
向は、実施例2と同じにして、x方向には、Px1=7
0μm、Px2=15μmとし、w2=20μmの配置
とすることが可能である。
【0237】(実施例7)実施例7として、実施例6の
構成の実現する他の電子源構成を図17に示す。図17
(a)は平面図、図17(b)はA−A’断面図、図1
7(c)はB−B’断面図、である。
【0238】本実施例では、行方向配線2が、層間絶縁
層21に埋め込まれて積層されたものである。また、そ
のために絶縁層3と第2電極4が平坦な面に積層されて
いる。
【0239】このような構成は、作製手法として有利で
ある。本発明においては、本発明に適用できる範囲の電
子源であれば、他の構成であっても十分成り立つことを
示している。
【0240】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
子放出素子の行方向の並びに沿って一行毎に設けられる
略直線状の各行方向配線に対して、各行の電子放出素子
がそれぞれ接続され、電子放出素子の列方向の並びに沿
って半ピッチ毎に設けられる略直線状の各列方向配線に
対して、一行おきの電子放出素子がそれぞれ接続される
ので、電子源の構成を簡素化しつつデルタ状に配列され
た画像形成部材と1:1で組み合わせることができる。
【0241】さらに、高電位電極は、低電位電極に挟ま
れる、または、囲まれるように配置されることにより、
電子の散乱回数を低減させ電子放出効率の向上を図るこ
とが可能となる。
【0242】また、散乱回数を抑制可能とすることによ
り、等方散乱による電子軌道の不均一性が極力抑制で
き、電子軌道の収束を実現することが可能となる。
【0243】さらに、電子放出素子の電子放出効率の向
上の実現により、性能の優れた、高精細で高品位の電子
源及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子源の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の電子源を示す配線図である。
【図3】本発明の電子源の構成を示す図である。
【図4】本発明の電子源の製造方法の一例を示す図であ
る。
【図5】本発明に適用可能な電子放出素子の電子ビーム
を説明する図である。
【図6】本発明に適用可能な電子放出素子の高電位領域
の幅とビームの関係を示す図である。
【図7】本発明に適用可能な電子放出素子の低電位領域
の幅とビームの関係を示す図である。
【図8】本発明に適用可能な電子放出素子の間隙付近を
拡大した図である。
【図9】本発明に適用可能な電子放出素子の形状因子の
範囲を説明する図である。
【図10】本発明の電子源をマトリックス状に形成した
画像形成装置の一例であり、一部を破断した概略斜視図
である。
【図11】本発明の画像形成装置に用いた蛍光膜を示す
図である。
【図12】NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図13】実施例4に係る電子源を示す平面図である。
【図14】実施例5に係る電子源を示す平面図である。
【図15】実施例6に係る電子源を示す平面図である。
【図16】実施例6に係る電子源を示す断面図である。
【図17】実施例7に係る電子源を示す断面図である。
【図18】従来の電子放出素子を表わす模式図である。
【図19】従来の電子放出素子を表わす模式図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1電極 3 絶縁層 4 第2電極 5 導電性膜 6 間隙 7 アノード電極 8,9 電源 11 下配線 12 上配線 13 電子放出素子 14 画像形成部材 15 行方向配線 16 列方向配線 21 層間絶縁層 31 隣接素子の配線 41 配線電極 71 電子放出素子 72 x方向配線 73 y方向配線 81 電子源基体 85 蛍光体 86 黒色導電材 91 リアプレート 92 支持枠 93 ガラス基板 94 蛍光膜 95 メタルバック 96 フェースプレート 97 高圧端子 98 外囲器

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に配列された複数の電子放出素子
    のうち列方向の該電子放出素子の並びを1行おきに行方
    向に半ピッチ分ずらしてデルタ状に配列した電子源にお
    いて、 前記電子放出素子の行方向の並びに沿って一行毎に設け
    られる略直線状の各行方向配線に対して、各行の電子放
    出素子がそれぞれ接続され、 前記電子放出素子の列方向の並びに沿って半ピッチ毎に
    設けられる略直線状の各列方向配線に対して、一行おき
    の電子放出素子がそれぞれ接続されることを特徴とする
    電子源。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子は、前記基板上に配置
    される低電位電極と、該低電位電極上に配置される絶縁
    層と、該絶縁層を介して該低電位電極上に積層され、該
    絶縁層の側壁に該低電位電極との間に間隙を有する高電
    位電極と、を備え、 前記高電位電極は、前記低電位電極に挟まれる、また
    は、囲まれるように配置されることを特徴とする請求項
    1に記載の電子源。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子と、該電子放出素子の
    上方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、 前記高電位電極の幅をW、 前記電子放出素子から前記陽極までの距離をH、 前記低電位電極と高電位電極の間の印加電圧をVf、 前記陽極に印加される電圧をVaとした時に、 前記幅Wが、(H×Vf)/(円周率π×Va)の1/
    2倍以上、15倍以下とされていることを特徴とする請
    求項2に記載の電子源。
  4. 【請求項4】 前記行方向配線及び列方向配線のうち前
    記電子放出素子の上方に配置された上配線に前記高電位
    電極が接続され、該電子放出素子の下方に配置された下
    配線に前記低電位電極が接続されていることを特徴とす
    る請求項2または3に記載の電子源。
  5. 【請求項5】 前記低電位電極は、前記高電位電極と前
    記絶縁層が存在しない開口領域を備え、前記間隙は該開
    口領域の絶縁層の側壁に備えられることを特徴とする請
    求項2,3または4に記載の電子源。
  6. 【請求項6】 前記電子放出素子と、該電子放出素子の
    上方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、 前記電子放出素子から前記陽極までの距離をH、 前記低電位電極と高電位電極の間の印加電圧をVf、 前記陽極に印加される電圧をVaとした時に、 前記絶縁層の側壁における、前記高電位電極の前記基板
    に垂直方向の両端間の長さは、(H×Vf)/(円周率
    π×Va)の1/2以下であることを特徴とする請求項
    2,3,4または5に記載の電子源。
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子と、該電子放出素子の
    上方に設けられて電子を捕捉する陽極を備え、 前記電子放出素子から前記陽極までの距離をH、 前記低電位電極と高電位電極の間の印加電圧をVf、 前記陽極に印加される電圧をVaとした時に、 前記間隙から基板に平行な方向の前記開口領域の低電位
    電極の長さは、(H×Vf)/(円周率π×Va)の1
    5倍以上であることを特徴とする請求項5または6に記
    載の電子源。
  8. 【請求項8】 前記上配線は、前記基板上の高さが前記
    高電位電極の高さより高い位置をとる絶縁層上に設けら
    れることを特徴とする請求項4,5,6または7に記載
    の電子源。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    電子源と、該電子源から放出される電子線によって画像
    を形成する画像形成部材と、を備えることを特徴とする
    画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記画像形成部材は、前記電子放出素
    子の直上に配置されることを特徴とする請求項9に記載
    の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記画像形成部材は、カラーを形成す
    る赤R,緑G,青Bの3原色の蛍光体を備え、各色の蛍
    光体はデルタ状に配列されることを特徴とする請求項9
    または10に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 前記各色の蛍光体は、略円形状である
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005340193A (ja) * 2004-05-22 2005-12-08 Samsung Sdi Co Ltd 電界放出表示素子及びその製造方法
US7545091B2 (en) 2004-11-30 2009-06-09 Samsung Sdi Co., Ltd. Electron emission device

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