JP2002115043A - 浸炭処理方法および浸炭処理装置 - Google Patents

浸炭処理方法および浸炭処理装置

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JP2002115043A
JP2002115043A JP2000306651A JP2000306651A JP2002115043A JP 2002115043 A JP2002115043 A JP 2002115043A JP 2000306651 A JP2000306651 A JP 2000306651A JP 2000306651 A JP2000306651 A JP 2000306651A JP 2002115043 A JP2002115043 A JP 2002115043A
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澤 均 椛
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理物表面の炭素濃度むらを少なくするこ
とができる浸炭処理方法と、このような浸炭処理方法に
用いる浸炭処理装置を提供する。 【解決手段】 加熱室2内のワークを窒素雰囲気中で浸
炭温度まで加熱したのち、加熱室2内の減圧と鎖状炭化
水素ガスの供給とを交互に繰り返すことによって加熱室
2内の圧力を変動させながら浸炭処理を行うに際して、
所定容量を備えたチャージタンク21を使用し、加熱室
2内の圧力よりも十分に高い所定圧力の鎖状炭化水素ガ
スを当該チャージタンク21内に一旦導入したのち、加
熱室2内に放出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車やシャフト,
カムなどの鋼製機械部品の表面硬化処理に用いられ、当
該機械部品の耐摩耗性や疲労強度を向上させるのに利用
される浸炭処理方法と、このような浸炭処理に用いられ
る浸炭処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空浸炭法は、真空に減圧された加熱室
内においてワークを浸炭温度に加熱、昇温したのち、加
熱室内に浸炭ガスを連続的に導入して、熱分解させ、発
生する活性炭素をワークの表面に侵入させるものであ
り、このような真空浸炭法において浸炭むらを少なくす
る方法としては、加熱室への浸炭ガスの供給口(ガスイ
ンレット)を放射状、あるいは対角位置に多数設けるこ
とによって浸炭ガスを加熱室内に均等に導入すること
や、浸炭ガスの導入と排気とを周期的に行う方法が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たいずれの方法においても、浸炭ガスの流量が毎分3〜
30L程度の少量であり、しかも加熱室内のガス流れに
一定の方向性が生じるために、浸炭むらを完全に防止す
ることは難しく、特に炉内におけるワークの装入密度が
高い場合には、加熱室の中央部と外周部に位置するワー
クの間に、表面炭素濃度の差が大きくなるという問題点
があり、浸炭むらに係わるこのような問題点を解消する
ことが従来の真空浸炭処理法における課題となってい
た。
【0004】
【発明の目的】本発明は、従来の真空浸炭処理法におけ
る上記課題に着目してなされたものであって、被処理物
(ワーク)表面の炭素濃度むらを少なくすることができ
る浸炭処理方法と、このような浸炭処理方法に用いる浸
炭処理装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る浸炭処理方法は、加熱室内に収納したワークを窒素雰
囲気中で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内の
減圧と鎖状炭化水素ガスの供給とを交互に繰り返し、加
熱室内の圧力を変動させながら浸炭させる浸炭処理方法
において、加熱室内の圧力よりも十分に高い所定圧力の
鎖状炭化水素ガスを所定容量を備えたチャージタンク内
に一旦導入したのち、加熱室内に放出する構成としたこ
とを特徴としており、浸炭処理方法におけるこのような
構成を前述した従来の課題を解決するための手段として
いる。
【0006】本発明に係わる浸炭処理方法の実施形態と
して請求項2に係わる浸炭処理方法においては、加熱室
内を130Pa以下に減圧したのち、前記チャージタン
クから0.01MPa以上の圧力を有する鎖状炭化水素
ガスを供給して加熱室内の圧力を1kPaを超える圧力
に所定時間保持し、再度130Pa以下に減圧する操作
を繰り返す構成とし、同じく実施の形態として請求項3
に係わる浸炭処理方法においては、加熱室内に供給する
鎖状炭化水素ガスの量を前記チャージタンクの圧力設定
値によって定量化する構成としたことを特徴としてい
る。
【0007】また、本発明の請求項4に係わる浸炭処理
方法においては、加熱室内の複数箇所に設けたガス供給
口を介して複数のチャージタンクから鎖状炭化水素ガス
を供給する構成とし、請求項5に係わる浸炭処理方法に
おいては、各ガス供給口ごとに鎖状炭化水素ガスの供給
量を設定する構成とし、請求項6に係わる浸炭処理方法
においては、鎖状炭化水素ガスがアセチレン,プロピレ
ン,プロパン,ブタン,メタンから選ばれる少なくとも
1種である構成としたことを特徴としている。
【0008】本発明の請求項7に係わる浸炭処理装置
は、ワークを収納し、減圧可能な加熱室に、第1のバル
ブを介して鎖状炭化水素ガスの供給源に接続されたチャ
ージタンクと、第2のバルブを介してチャージタンクに
接続されると共に前記加熱室内に開口するガス供給口
と、前記ガスの供給源からチャージタンク内に導入され
る鎖状炭化水素ガスの圧力を設定する圧力設定器からな
る浸炭ガス供給手段が設けてある構成とし、本発明に係
わる浸炭処理装置の実施形態として請求項8に係わる浸
炭処理装置においては、複数組の浸炭ガス供給手段を備
えている構成としたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係わる浸炭処理方法にお
いては、加熱室内のワーク(被処理物)を窒素雰囲気中
で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内の減圧と
浸炭性ガスとしての鎖状炭化水素ガスの供給とを繰り返
すことによって、加熱室内の圧力を比較的短いサイクル
で変動させて、浸炭処理するに際して、上記浸炭性ガス
を加熱室内に供給するのに所定容量を備えたチャージタ
ンクを使用するようにしており、当該タンク内に一旦導
入した鎖状炭化水素ガスを加熱室内に放出するようにし
ている。このとき、タンク内の鎖状炭化水素ガスは、加
熱室内の圧力よりも十分に高く設定されているので、浸
炭性ガスが加熱室内に瞬時に供給され、加熱室内の圧力
変動が大きくなって浸炭むらが防止されることになる。
また、請求項3に記載しているように、チャージタンク
内の鎖状炭化水素ガスを所定の圧力値に設定することに
より、浸炭性ガスの供給量を一定の値に定量化すること
ができる。
【0010】このとき浸炭性ガスとして使用する鎖状炭
化水素ガスとしては、アセチレン,エチレン,プロピレ
ン,プロパン,ブタン,メタンなどを用いることができ
る。また、これらのガスは必ずしも1種類のみに限定さ
れることはなく、2種類以上の混合ガスを使用すること
も可能である。なお、上記の鎖状炭化水素ガスのうち、
入手が容易であることに加えて、3重結合を有し、より
活性で分解しやすいことから、アセチレンを使用するこ
とが望ましい。また、後述するように窒素ガスと混合し
た状態で使用することも可能である。
【0011】図1は、本発明に係わる浸炭処理方法にお
けるヒートパターンの一例を示すものであって、まず、
ワークを加熱室内に装入した状態で、加熱室内の空気を
窒素に置換したのち、浸炭処理温度T1 への昇温が開始
される。このときワークの加熱は大気圧(0.10MP
a)の窒素雰囲気中で行われるので、雰囲気の対流や炉
内ファンによる強制撹拌の効果を十分に得ることがで
き、加熱室内のワーク装入量が多くても速やかな昇温が
可能になり、装入位置による温度むらも解消される。
【0012】浸炭処理温度T1 については、これを高く
設定することにより浸炭時間を短くすることができる
が、一般に830℃から1030℃の範囲に設定され
る。
【0013】炉内雰囲気温度およびワークの温度が所定
の浸炭処理温度T1 に到達すると、加熱室内の窒素を真
空排気して圧力P1 、例えば請求項2に記載しているよ
うに、130Pa以下の圧力P1 まで減圧させる。
【0014】そして、チャージタンク内にあらかじめ導
入された圧力Px、例えば請求項2に記載しているよう
に0.01MPa以上の圧力Pxの浸炭用鎖状炭化水素
ガス、例えばアセチレンガスが加熱室内に瞬時(1〜3
秒)に放出される。
【0015】チャージタンク内の圧力がPzまで低下す
ると、鎖状炭化水素ガスの供給が停止され、これによっ
て加熱室内の圧力がP2 、例えば同じく請求項2に記載
しているように1kPaを超える圧力P2 に上昇する。
【0016】当該圧力P2 に所定時間t1 、例えば零秒
から10秒程保持したのち、所定時間t2 だけ再度真空
排気を行い、圧力P1 まで減圧する。この間に、次の浸
炭用ガスの供給に備えて、前記チャージタンク内に圧力
Pxの浸炭用鎖状炭化水素ガスが導入される。
【0017】このような操作を10回ないし数十回繰り
返し、加熱室内の圧力をP1 とP2の間で変動させるこ
とによって、浸炭用ガスを迅速に、しかも充分に加熱室
内の隅々にまで行き渡らせることができ、ワークの炉内
装入密度が高い場合においてもむらのない浸炭処理が可
能になる。
【0018】このとき、減圧時の圧力P1 を130Pa
以下とするのは、圧力P1 が130Paを超えた場合に
は、加熱室内の雰囲気ガス(窒素)あるいは反応生成ガ
ス(水素)が充分に排除されておらず、浸炭用ガスを供
給したときに浸炭用ガスを炉内に装入されたロットの内
部にまで充分に浸透させることができなくなる傾向があ
ることによる。
【0019】浸炭用ガス供給後の圧力P2 は、チャージ
タンクを介して加熱室内に供給される鎖状炭化水素ガス
の量によって定まるものであるが、1kPaを超え、4
kPa程度以下の値とすることが望ましい。これは、浸
炭期の圧力P2 が1kPa以下の場合には、加熱室内の
浸炭性ガスが不足すると共に、加熱室内の圧力変動幅が
小さくなって、浸炭にばらつきが生じやすくなる傾向が
あることに基づく。
【0020】チャージタンク内に導入する鎖状炭化水素
ガスの圧力Pxについては、浸炭用ガスを加熱室内に一
気に放出して、短時間のうちに大きな圧力変動を得るる
ために、加熱室内の圧力P1 よりも十分に高い圧力とす
ることが必要であり、具体的には前述のように、0.0
1MPa以上とすることが望ましい。すなわち、チャー
ジタンク内のガス圧力Pxが0.01MPaに満たない
場合には、浸炭用ガスの流速が低下してガスの流れに方
向性が生じるばかりでなく、ロットの内部まで浸炭用ガ
スが十分に行き渡らず、浸炭にばらつきが生じる傾向が
ある。
【0021】また、チャージタンクは一定の容量を備え
たものであるから、この圧力Pxによって、加熱室内へ
の一回当たりの鎖状炭化水素ガス量が定まり、浸炭期の
加熱室内圧力P2 が決定される。したがって、チャージ
タンク容量と加熱室の容量とを勘案して、加熱室内が所
望の圧力P2 となるようにチャージタンク内の浸炭用ガ
スの圧力Pxを設定することになる。このとき、加熱室
内の鎖状炭化水素ガス濃度をさほど高くすることなく、
加熱室内圧力P2 を高くすることが必要な場合には、窒
素ガスをあらかじめ混合した鎖状炭化水素ガスを使用す
るようにしてもよい。
【0022】浸炭用ガスの供給停止時の圧力Pzについ
ては、6kPa以上として、加熱室雰囲気のチャージタ
ンク内への流入を防止するようになすことが望ましい。
【0023】また、本発明に係わる浸炭処理方法におい
ては、加熱室内に浸炭用ガスを供給するに際して、加熱
室内の隅々にまでガスを均等に行き渡らせ、装入された
ワークのすべてに均一な浸炭処理を施すためには、浸炭
性ガスを1か所から集中的に供給するよりも、請求項4
に記載しているように、それぞれに接続された複数のチ
ャージタンクを介して複数のガス供給口から数箇所に分
けて供給することが望ましい。さらには、加熱室内のワ
ークの装入密度が高い部位に向けて多量のガスを供給す
ることも浸炭むらを少なくする観点から望ましい。これ
には、請求項5に記載しているように、複数のガス供給
口ごとに浸炭用ガスの供給量を設定すること、すなわち
ガス供給口のそれぞれに設けたチャージタンクの圧力値
を個々に設定するようになすことが好ましい。
【0024】なお、ガス供給口は、ワークの投影面積が
400mm×400mm当たりに1か所以上設けること
が望ましい。
【0025】浸炭時間t3 については、目的とする浸炭
層深さに応じて適宜選択されるが、一般に0.5時間〜
3時間、とくに大きな浸炭層深さが必要な場合には5時
間以上の処理時間が設定されることもある。
【0026】浸炭が終了すると、拡散工程、焼入温度へ
の降温および当該温度での温度保持工程に移行するが、
拡散工程における圧力P3 は、例えば、浸炭工程に引き
続いて圧力P1 (130Pa以下)と同程度の圧力下で
行われる。拡散時間t4 については、通常浸炭時間t3
と同程度の時間に設定されるが、目的とする浸炭深さが
浅い場合には、拡散工程を経ることなく焼入温度に降温
させることもある。
【0027】焼入温度T2 としては、ワーク素材の焼入
性を考慮して、通常800〜900℃の温度に設定され
る。
【0028】浸炭、拡散が終了したのち、焼入温度への
降温、温度保持工程においては、昇温工程と同様、大気
圧の窒素雰囲気下で行われる。なお、拡散工程から大気
圧の窒素雰囲気に復圧することもある。
【0029】焼入温度に保持されることによって、温度
が均一化されたワークは油中に焼入れられる。この焼入
時の雰囲気圧力P4 については、通常は大気圧で行われ
るが、大気圧より低い適当な圧力で焼入(減圧焼入)す
ることもある。
【0030】このような浸炭処理には、請求項7に記載
しているように、ワークを収納する減圧可能な加熱室
に、浸炭ガス供給手段、すなわち第1のバルブを介して
鎖状炭化水素ガスの供給源に接続されたチャージタンク
と、第2のバルブを介してチャージタンクに接続され
て、加熱室内に開口するガス供給口と、チャージタンク
内に導入される鎖状炭化水素ガスの圧力を設定する圧力
設定器からなる浸炭ガス供給手段を設けた処理装置を使
用することができる。このとき、圧力設定器によって、
チャージタンク内のガス圧力がPxに達した時に第1の
バルブが閉じ、チャージタンク内のガス圧力がPzに低
下した時に第2のバルブが閉じるように設定されること
になる。
【0031】このような浸炭処理装置においては、請求
項8に記載しているように、上記の浸炭ガス供給手段を
複数組設置することにより、請求項4あるいは請求項5
に記載の浸炭処理に適用することができるようになり、
さらにばらつきの少ない浸炭処理が行われる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。
【0033】実施例1 図2は、本発明に係わる浸炭処理方法の実施例に用いた
炉の構造を示すものであって、図に示す浸炭処理装置1
は、炉本体となる加熱室2と、焼入用の油槽4を備えた
前室3から主に構成されており、前室3にはトレーに載
置したワークを前室3と加熱室2の間で移動させるため
の炉内搬送装置5と、浸炭を終えたワークを油槽4中の
焼入油に浸漬するための昇降装置6を備えている。さら
に、前室3には、油槽4中の焼入油を加熱するためのチ
ューブヒータ7と、焼入油を循環させるための撹拌ファ
ン8が設けてあると共に、図外には焼入油を冷却するた
めの水冷装置と、焼入油の温度を検出する熱電対などを
備えている。
【0034】一方、加熱室2は、この実施例では5m3
の容量を有し、耐火物9によって内張された加熱室2の
内部に加熱源としてのラジアントチューブヒータ10
と、炉内温度を検出するための熱電対11と、炉内の雰
囲気(窒素)を強制撹拌するためのファン12を備えて
おり、炉内の温度を均一にしてワークの昇温を速やかな
ものとすることができるようになっている。
【0035】また、加熱室2の外部には、所定量の鎖状
炭化水素ガス、この実施例ではアセチレンガスを一時的
に蓄えるためのチャージタンク21が設置してあり、ガ
ス供給バルブ22(第2のバルブ:電磁弁)を介して加
熱室2内に開口するガス供給口23に配管によってガス
供給バルブ22に接続されている。このチャージタンク
21は、元バルブ25(第1のバルブ:電磁弁)を介し
て図外のアセチレン源(アセチレンガスボンベ)に連結
され、ガス供給バルブ22の開放によって、圧力設定器
25によって設定された圧力を有するチャージタンク2
1内のアセチレンガスを加熱室2内に瞬時に供給できる
ようになっており、これらチャージタンク21、ガス供
給口22、バルブ23,24、および圧力設定器25に
よって浸炭ガス供給手段20が構成されている。
【0036】なお、この実施例においては、加熱室2に
対して上記の浸炭ガス供給手段20が都合11基配設さ
れており、ガス供給口23を加熱室2内にバランスよく
開口させることによってアセチレンガスが加熱室2の隅
々まで均等に行き渡るようにしてある。また、チャージ
タンク21は、それぞれ約25Lの容量を備えていると
共に、圧力設定器25によってチャージタンク21内の
アセチレンガス圧力がゲージ圧力で0.10MPa(P
x:絶対圧力では0.20MPa)となった時に元バル
ブ24が閉じ、同じくゲージ圧力で0.0MPa(P
z:絶対圧力では0.10MPa)となった時にガス供
給バルブ22が閉じるように設定されている。
【0037】さらに、加熱室2および前室3は、図外に
それぞれ真空排気装置を備え、それぞれ独立して気圧制
御ができるようになっていると共に、図示しないガス制
御装置を介して図外の窒素源(窒素ボンベ)に連結され
ている。
【0038】このような構造を備えた浸炭処理装置1を
用いて、JIS G 4105に規定されるクロムモリ
ブデン鋼SCM415からなる径16mm,高さ30m
mの円柱形試験片に浸炭処理を施し、その浸炭状態を調
査した。
【0039】まず、前室3の入口側真空扉3aを開放
し、前記鋼製ワークをトレーに載置した状態で前室3内
に入れ、真空扉3aを閉じ、真空排気装置を作動させて
前室3および加熱室2内の空気をパージしたのち、図外
のガス制御装置を介して窒素ガスを導入して大気圧(1
01kPa)に復圧し、前室3および加熱室2内を窒素
ガスに置換した。
【0040】次に、入口側真空扉3aを閉じた状態で、
前室3の内側真空扉3bおよび加熱室2の耐熱扉2aを
開放すると共に、炉内搬送装置5を作動させて前記ワー
クをトレーと共に押し出し、加熱室2内に装入したの
ち、真空扉3bおよび耐熱扉2aを閉じ、撹拌用のファ
ン12を回転させながら、加熱室2のラジアントチュー
ブヒータ10に通電して昇温を開始した。
【0041】加熱室2内の温度が、この実施例における
浸炭温度920℃(T1 )に到達し、所定時間均熱され
た時点で、加熱室2内の窒素雰囲気を真空排気し、この
実施例では65Pa(P1 )まで減圧したのち、各浸炭
ガス供給手段20のガス供給バルブ22を同時に開くこ
とによって、チャージタンク21内にあらかじめ導入し
ておいたアセチレンガス(Px=0.20MPa)をそ
れぞれの供給口23から加熱室2内に導入した。
【0042】バルブ22の開放によってアセチレンガス
の供給が開始された後、圧力設定器25によって、チャ
ージタンク21内のガス圧力がゲージ圧力で0.0MP
a(Pz=0.10MPa)に低下した時点で供給バル
ブ22が閉じ、ガス供給が停止されたのち、次回のアセ
チレンガス供給に備えて、元バルブ24が開かれ、チャ
ージタンク21内の圧力がゲージ圧で0.10MPa
(Px=0.20MPa)となるまで、ボンベ内のアセ
チレンガスがチャージタンク21内に導入される。この
とき、加熱室2内とチャージタンク21内には極めて大
きな圧力差があるので、チャージタンク21からのアセ
チレンガスの供給は、瞬時(3秒)に終了する。
【0043】ガス供給バルブ22の開放によって、3基
のチャージタンク21から、それぞれ0.20MPaの
アセチレンガスが25L(合計75L、標準状態で15
0L)が供給されることになり、加熱室2内の圧力P2
が約1.7kPaに上昇する。
【0044】この圧力に10秒間(t1 )保持したの
ち、真空排気を4分間(t2 )行い、加熱室2内を65
Pa(P1 )まで減圧し、ガス供給バルブ22を開くこ
とによって、再度チャージタンク21からアセチレンガ
スを供給するという操作を都合20回繰り返した(浸炭
時間t3 =約84分)。
【0045】次いで、さらに真空排気を行って、加熱室
2内の圧力P3 を65MPaとすると共に、加熱室内を
前記温度920℃(T1 )に90分間(t4 )保持し
て、炭素を拡散させたのち、加熱室2内に窒素ガスを導
入して雰囲気圧力を大気圧に復圧し、焼き入れ温度85
0℃(T2 )に降温し、この温度に20分間(t5 )保
持してワークの温度が均一になるのを待った。
【0046】そして、内側真空扉3bおよび耐熱扉2a
を開放した状態で、炉内搬送装置5を作動させて前記鋼
製ワークをトレーと共に加熱室2から引き出し、昇降装
置6の下降作動によって当該ワークを油槽4内に焼入れ
た。
【0047】このような処理が施された鋼製ワークにつ
いて、マイクロビッカース硬度計を用いて0.3kg荷
重で硬度分布を測定した結果、0.9mmの有効硬化層
深さ(Hv550以上)を備えた浸炭層が形成されてい
ることが確認された。
【0048】また、加熱室2内における装入位置が異な
る数個のワークについて同様に硬度分布を測定したとこ
ろ、各ワークの浸炭層深さの差は0.1mm以下であ
り、むらのない均一な浸炭処理が可能であることが確め
られた。
【0049】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の請求項
1に係わる浸炭処理方法においては、昇温後、加熱室内
を減圧したのち、浸炭用ガスとして鎖状炭化水素ガスを
断続的に供給して、加熱室内の圧力を変動させるに際し
て、チャージタンクを使用し、加熱室内の圧力よりも十
分に高い所定圧力の鎖状炭化水素ガスを当該タンク内に
一旦導入したのち、加熱室内に放出するようにしている
ことから、浸炭用ガスが加熱室内に瞬時に供給され、加
熱室内の圧力変動を大きくすることができ、ワークの炉
内装入密度が高い場合(例えば、ワークの表面積が30
m2 を超える量)でも、ワーク表面に浸炭用の鎖
状炭化水素ガスを充分に供給することができ、浸炭むら
の防止が可能になるという極めて優れた効果がもたらさ
れる。
【0050】本発明に係わる浸炭処理方法の一実施形態
として請求項2に係わる浸炭処理方法においては、好適
な処理条件として、加熱室内を130Pa以下に減圧し
たのち、チャージタンクから0.01MPa以上の圧力
を有する鎖状炭化水素ガスを供給して加熱室内の圧力を
1kPaを超える圧力に所定時間保持し、再度130P
a以下に減圧する操作を繰り返すようにしているので、
加熱室内の圧力変動を大きなものとして、浸炭むらを確
実に防止することができ、請求項3に係わる浸炭処理方
法においては、チャージタンクの圧力を所定の値に設定
することによって加熱室内に供給する鎖状炭化水素ガス
の量を定量化するようにしているので、理論的に必要な
浸炭用ガスを過不足なく供給することができ、過剰ガス
の熱分解による炉内のスーティング発生や、ガス不足に
よる浸炭むらを確実に防止することができる。
【0051】また、本発明の請求項4に係わる浸炭処理
方法においては、加熱室内の複数箇所に設けたガス供給
口を介して複数のチャージタンクから鎖状炭化水素ガス
を供給するようにしているので、浸炭用ガスを加熱室内
の隅々にまで均等に行き渡らせることができ、請求項5
に係わる浸炭処理方法においては、各ガス供給口ごとに
鎖状炭化水素ガスの供給量を設定するようにしているの
で、ワークの装入密度の高い部分に浸炭用ガスを重点的
に供給することができ、装入位置や装入密度の差による
浸炭のばらつきを解消することができ、請求項6に係わ
る浸炭処理方法においては、鎖状炭化水素ガスとしてア
セチレン,エチレン,プロピレン,プロパン,ブタン,
メタンを使用するようにしているので、浸炭用ガスの使
用量を低減でき、入手の容易さと相俟って操業時のコス
ト改善に優れた効果がもたらされる。
【0052】さらに、本発明の請求項7に係わる浸炭処
理装置は、第1のバルブを介して鎖状炭化水素ガスの供
給源に接続されたチャージタンクと、第2のバルブを介
してチャージタンクに接続されると共に加熱室内に開口
するガス供給口と、チャージタンク内に導入される鎖状
炭化水素ガスの圧力を設定する圧力設定器からなる浸炭
ガス供給手段を備えたものであるから、上記浸炭処理を
容易かつ着実に実施することができ、請求項8に係わる
浸炭処理装置においては、上記浸炭ガス供給手段が複数
組配設されたものであるから、浸炭用ガスを加熱室内に
均等に供給したり、ワーク装入密度の高い部分に浸炭用
ガスを重点的に供給したりすることができ、装入位置や
装入密度による浸炭のばらつきを解消することができる
という極めて優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる浸炭処理方法におけるヒートパ
ターンおよび浸炭用ガスの供給のタイミングの一例を示
す説明図である。
【図2】(a)本発明に係わる浸炭処理方法の実施例に
用いた炉の構造を示す正面図である。 (b)図2(a)に示した炉の側断面図である。
【符号の説明】
1 浸炭処理装置 2 加熱室 20 浸炭ガス供給手段 21 チャージタンク 22 ガス供給バルブ(第2のバルブ) 23 ガス供給口 24 元バルブ(第1のバルブ) 25 圧力設定器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月10日(2000.10.
10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】なお、この実施例においては、加熱室2に
対して上記の浸炭ガス供給手段20が都合3基配設され
ており、ガス供給口23を加熱室2内にバランスよく開
口させることによってアセチレンガスが加熱室2の隅々
まで均等に行き渡るようにしてある。また、チャージタ
ンク21は、それぞれ約25Lの容量を備えていると共
に、圧力設定器25によってチャージタンク21内のア
セチレンガス圧力がゲージ圧力で0.10MPa(P
x:絶対圧力では0.20MPa)となった時に元バル
ブ24が閉じ、同じくゲージ圧力で0.0MPa(P
z:絶対圧力では0.10MPa)となった時にガス供
給バルブ22が閉じるように設定されている。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱室内に収納したワークを窒素雰囲気
    中で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内の減圧
    と鎖状炭化水素ガスの供給とを交互に繰り返し、加熱室
    内の圧力を変動させながら浸炭させる浸炭処理方法にお
    いて、加熱室内の圧力よりも十分に高い所定圧力の鎖状
    炭化水素ガスを所定容量を備えたチャージタンク内に一
    旦導入したのち、加熱室内に放出することを特徴とする
    浸炭処理方法。
  2. 【請求項2】 加熱室内を130Pa以下に減圧したの
    ち、前記チャージタンクから0.01MPa以上の圧力
    を有する鎖状炭化水素ガスを供給して加熱室内の圧力を
    1kPaを超える圧力に所定時間保持し、再度130P
    a以下に減圧する操作を繰り返すことを特徴とする請求
    項1記載の浸炭処理方法。
  3. 【請求項3】 加熱室内に供給する鎖状炭化水素ガスの
    量を前記チャージタンクの圧力設定値によって定量化す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の浸炭
    処理方法。
  4. 【請求項4】 加熱室内の複数箇所に設けたガス供給口
    を介して複数のチャージタンクから鎖状炭化水素ガスを
    供給することをを特徴とする請求項1ないし請求項3の
    いずれかに記載の浸炭処理方法。
  5. 【請求項5】 各ガス供給口ごとに鎖状炭化水素ガスの
    供給量を設定することを特徴とする請求項4記載の浸炭
    処理方法。
  6. 【請求項6】 鎖状炭化水素ガスがアセチレン,プロピ
    レン,プロパン,ブタン,メタンから選ばれる少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項5
    のいずれかに記載の浸炭処理方法。
  7. 【請求項7】 ワークを収納し、減圧可能な加熱室に、
    第1のバルブを介して鎖状炭化水素ガスの供給源に接続
    されたチャージタンクと、第2のバルブを介してチャー
    ジタンクに接続されると共に前記加熱室内に開口するガ
    ス供給口と、前記ガスの供給源からチャージタンク内に
    導入される鎖状炭化水素ガスの圧力を設定する圧力設定
    器からなる浸炭ガス供給手段が設けてあることを特徴と
    する浸炭処理装置。
  8. 【請求項8】 複数組の浸炭ガス供給手段を備えている
    ことを特徴とする請求項7記載の浸炭処理装置。
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