JP2002111411A - 演算増幅器 - Google Patents
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Abstract
る。 【解決手段】 フォールデッドカスコード接続された差
動増幅回路22の出力端子と電圧増幅回路24の入力端
子とを結合するコンデンサC21と、スイッチ39、4
0からなるバイアス設定回路23とを備える。切替信号
VINITをHにしてコンデンサC21にバイアス電圧を充
電するバイアス設定動作の後、切替信号VINITをLにし
て増幅動作を行う。コンデンサC21はレベルシフト回
路として動作して、トランジスタQ27、Q29が飽和
領域で動作するようバイアスする。これにより、差動増
幅回路22の出力インピーダンスが増大し、その電圧ゲ
インが大きくなる。レベルシフト回路にソースフォロア
などのトランジスタ回路を用いないので安定性が高い。
Description
れた差動増幅回路を備えた演算増幅器に関する。
ード接続タイプの差動増幅回路は、「ANALOG MOS INTEG
RATED CIRCUITS FOR SIGNAL PROCESSING」(JOHN WILEY
& SONS )のP251-P253にも記載されているように、出
力端子の負荷容量に対する安定性と広帯域特性とを兼ね
備えており、IC化された演算増幅器において従来から
広く用いられている。図6は、このタイプの演算増幅器
の電気的構成を示すもので、演算増幅器1は、フォール
デッドカスコード接続された差動増幅回路2、レベルシ
フト回路3および電圧増幅回路4が順に接続された構成
を有している。
(以下、単にトランジスタと称す)Q1〜Q11から構
成されている。このうち入力端子5、6に接続されたト
ランジスタQ1、Q2は差動対を構成し、カスコード接
続されたトランジスタQ4〜Q7は、負荷トランジスタ
として上記差動対の能動負荷7を構成している。また、
レベルシフト回路3は、電源線8と9との間に直列に接
続されたトランジスタQ12、Q13から構成されるソ
ースフォロアの構成を有し、電圧増幅回路4は、電源線
8と9との間に出力端子10を挟んで直列に接続された
トランジスタQ14、Q15から構成されている。コン
デンサC1および抵抗R1は、位相補償を行うためのも
のである。
カスコードタイプの差動増幅回路2を用いているのは、
上述の理由に加え高い電圧ゲインを得るためである。す
なわち、一般に差動増幅回路において、電圧ゲインは差
動対に対する能動負荷のインピーダンスに比例するた
め、負荷トランジスタをカスコード接続して能動負荷の
インピーダンスを高く設定すれば、電圧ゲインを高める
ことができる。
は、上記文献にも記載されているように、以下の(2)
式から得られる差動増幅回路2の出力インピーダンスR
oを用いて(1)式により計算される値となる。なお、
gmはトランジスタの相互コンダクタンス、gdはトラ
ンジスタのドレインコンダクタンス、rdはトランジス
タのドレイン抵抗である。
能動負荷7のインピーダンスを十分に高めて、差動増幅
回路2の電圧ゲインAvを高く設定するために必要とな
る回路動作条件について以下に説明する。
幅回路2の出力インピーダンスRoを大きくすること、
つまりトランジスタQ7をそのドレイン抵抗rd(Q
7)および相互コンダクタンスgm(Q7)が大きいバ
イアス状態で動作させるとともに、トランジスタQ1、
Q2のミラー効果を防止する目的で挿入されているトラ
ンジスタQ9をそのドレイン抵抗rd(Q9)および相
互コンダクタンスgm(Q9)が大きいバイアス状態で
動作させることが必要である。一般に、ある決められた
IC製造プロセスにおいて製造されたトランジスタをド
レイン抵抗rdおよび相互コンダクタンスgmが高い状
態で使用するためには、トランジスタを飽和領域で使用
しなければならない。
がない場合、すなわち差動増幅回路2を構成するトラン
ジスタQ7のドレイン(差動増幅回路2の出力端子)と
電圧増幅回路4を構成するトランジスタQ15のゲート
(電圧増幅回路4の入力端子)とが直接接続されている
場合において、トランジスタQ7、Q9が飽和領域で使
用可能かどうかを考察する。
タを飽和領域で使用するためには、ドレイン・ソース間
電圧Vds、ゲート・ソース間電圧Vgs、しきい値電圧V
tの間に、以下の(3)式で示す関係が成立しなければ
ならない。 Vds>Vgs−Vt …(3) 従って、トランジスタQ7を飽和領域で使用するために
は、以下の(4)式で示す関係が必要となる。 Vds(Q7)−Vgs(Q7)>−Vt …(4)
においては、以下の(5)式が成立している。 Vds(Q7)−Vgs(Q7) =Vgs(Q15)−(Vgs(Q7)+Vgs(Q5))…(5) これら(4)式および(5)式から、トランジスタQ7
を飽和領域で使用するためには、以下の(6)式が満た
されることが条件となる。 Vgs(Q15)−(Vgs(Q7)+Vgs(Q5))+Vt>0 …(6)
程度の電流が流れていると仮定すると、Vgs(Q5)と
Vgs(Q15)とはほぼ同じ値となるため、上記(6)
式を満足させることはできない。このため、レベルシフ
ト回路3を設けない回路構成では、トランジスタQ7を
そのドレイン抵抗rd(Q7)および相互コンダクタン
スgm(Q7)が高い状態で動作させることができず、
高い電圧ゲインAvを得ることができない。
ト回路3を付加した構成では、以下の(7)式が成立す
る。 Vds(Q7)−Vgs(Q7) =(Vgs(Q12)+Vgs(Q15))−(Vgs(Q7)+Vgs(Q5)) …(7)
びQ15に同程度の電流を流せば、(7)式の右辺がほ
ぼ0となって上記(4)式を満足することができ、トラ
ンジスタQ7を飽和領域で使用することができる。この
ように、演算増幅器1においては、電圧ゲインAvを高
める上でレベルシフト回路3が不可欠となる。
4とをソースフォロアから構成されるレベルシフト回路
3を介して接続すると、演算増幅器1のオープンループ
特性においてソースフォロアに起因するpole(極)
が発生し、周波数の高い領域で位相遅れが大きくなる。
このため、演算増幅器1にフィードバックをかけて使用
した場合、安定性が低下して発振し易くなるといった問
題が生じる。
を決定する主要因はトランジスタのしきい値電圧Vtで
あり、これは製造プロセスによって決まってしまうもの
である。従って、差動増幅回路2の回路形態(例えば負
荷トランジスタのカスコード接続の段数)、電圧増幅回
路4の回路形態、トランジスタサイズ、トランジスタの
特性、電源電圧などに応じて、電圧ゲインAvを高める
上でより好ましいレベルシフト電圧を設定することがで
きないという不都合があった。
で、その目的は、カスコード接続された差動増幅回路を
備え、高い安定性を確保しつつ電圧ゲインを高めること
ができる演算増幅器を提供することにある。
によれば、差動増幅回路と電圧増幅回路とが第1のコン
デンサを介して結合されており、第1のバイアス設定回
路は、演算増幅器の増幅動作に先立って第1のコンデン
サを所定のバイアス電圧に充電する。これにより、増幅
動作中、第1のコンデンサはそのバイアス電圧に充電さ
れた状態に保持され、差動増幅回路と電圧増幅回路と
は、第1のコンデンサによって互いにバイアス電圧だけ
レベルシフトされた状態で動作可能となる。つまり、第
1のコンデンサは、直流分をカットするように作用する
のではなく、差動増幅回路と電圧増幅回路とを結合し且
つレベルシフト電圧を生成するように作用する。
上で好ましいバイアス電圧を設定することにより、差動
増幅回路と電圧増幅回路とは、その好ましいバイアス電
圧により定まるバイアス状態で増幅動作を行うことがで
きるようになり、カスコード接続された差動増幅回路が
本来的に有する高い電圧ゲインを有効に利用可能とな
る。
増幅回路と電圧増幅回路との間のレベルシフト機能を持
つため、トランジスタにより構成されるレベルシフト回
路が不要となる。このため、レベルシフト回路を設ける
ことによるpole(極)の発生がなくなり、演算増幅
器の安定性を高めることができる。
おける負荷トランジスタのカスコード接続形態や電圧増
幅回路の回路形態、電源電圧、ICとしてのトランジス
タサイズや特性などに応じて、高い電圧ゲインを得るた
めに最適なバイアス電圧を設定可能となるので、種々の
演算増幅器において広く適用することができる。
ス電圧に充電された第1のコンデンサによって、カスコ
ード接続された負荷トランジスタが高いインピーダンス
を持つように差動増幅回路をバイアスできるので、演算
増幅器の電圧ゲインを高めることができる。
動増幅回路と電圧増幅回路は、それぞれその出力端子と
入力端子を介して第1のコンデンサによって好ましいバ
イアス状態に設定される。
作に先立って、第1のバイアス設定回路の第1および第
2のスイッチ回路がオンとなり、第1のコンデンサの第
1および第2の端子にバイアス設定電圧が印加される
(バイアス設定動作)。その後、第1および第2のスイ
ッチ回路がオフになって増幅動作が開始されると、第1
のコンデンサの第2の端子の電荷が保持され、以てコン
デンサの両端子間の電圧が保持されるため、その増幅動
作中は、差動増幅回路および第1のトランジスタが、そ
れぞれ所定のバイアス状態に保持される。また、本手段
によれば、差動増幅回路および電圧増幅回路のバイアス
状態をそれぞれ独立して設定することができる利点があ
る。
作に先立って第2のスイッチ回路がオンすると、電圧増
幅回路において第1のトランジスタのゲートとドレイン
とが接続され、第1のトランジスタには一定のバイアス
電流が流れる。そして、第1のコンデンサの第2の端子
には、第1のトランジスタがこのバイアス電流を流し得
るだけのバイアス設定電圧が印加されるので、第1およ
び第2のスイッチ回路がオフになって増幅動作が開始さ
れた後も、第1のトランジスタは上記バイアス状態を保
持できる。
スイッチ回路は、増幅動作に先立って、差動増幅回路の
出力端子と第1のコンデンサの第1の端子とを切り離す
ので、上記バイアス設定動作中において、差動増幅回路
の出力電流が第1のスイッチ回路に流れることによる誤
差電圧の発生を防止することができる。
幅回路において、第1のトランジスタと第2のトランジ
スタとが出力端子を挟んで直列に接続されているととも
に、第1のトランジスタのゲートと第2のトランジスタ
のゲートとが、第2のコンデンサまたは第1、第2のコ
ンデンサにより接続されている。これにより、第1およ
び第2のトランジスタは相補的に動作可能となり、第1
のトランジスタのみならず第2のトランジスタも入力信
号に応じて十分な電流駆動能力を持つようになる。その
結果、電圧増幅回路の出力インピーダンスが平衡化さ
れ、出力電圧の振幅方向(立ち上がり、立ち下がり)に
よらず常に高速動作が可能となる。
幅回路の出力端子と電圧増幅回路が持つ複数の各入力端
子とが第1のコンデンサを含む複数のコンデンサにより
結合されている。この場合にも、差動増幅回路と電圧増
幅回路とは、複数のコンデンサのうちの第1のコンデン
サによって、互いにバイアス電圧だけレベルシフトされ
た状態で動作するので、そのバイアス電圧を適宜設定す
ることにより演算増幅器の電圧ゲインを高めることがで
きる。
の第1の実施形態について、図1ないし図3を参照しな
がら説明する。図1は、MOSICとして構成された演
算増幅器の電気的構成を示している。この図1におい
て、演算増幅器21は、差動増幅回路22、コンデンサ
C21、バイアス設定回路23、電圧増幅回路24およ
び位相補償回路25から構成されている。電源線26、
27間には電源端子28、29を介して電源電圧VDD
(例えば5V)が与えられるようになっている。
コード接続タイプであって、MOSトランジスタ(以
下、単にトランジスタと称す)Q21〜Q31から構成
されている。このうちNチャネル型のトランジスタQ2
1、Q22は差動対を構成し、その共通に接続されたソ
ースと電源線27との間には、定電流回路として動作す
るNチャネル型のトランジスタQ23が接続されてい
る。これらトランジスタQ21、Q22、Q23のゲー
トは、それぞれ入力電圧VINM の入力端子30、入力電
圧VINP の入力端子31、バイアス設定電圧VBIAS3 の
入力端子32に接続されている。
をなすNチャネル型のトランジスタQ24とQ25、N
チャネル型のトランジスタQ26とQ27、Pチャネル
型のトランジスタQ28とQ29およびPチャネル型の
トランジスタQ30とQ31が直列に(縦積みとなるよ
うに)接続されている。このうち、トランジスタQ24
〜Q27(負荷トランジスタに相当)はカスコード接続
されており、差動対に対する能動負荷33を構成してい
る。
出力電流を折り返して上記能動負荷33に入力させるた
めの定電流回路34を構成しており、その共通ゲート線
には入力端子35を介してバイアス設定電圧VBIAS1 が
与えられている。また、能動負荷33と定電流回路34
との間に接続されたトランジスタQ28、Q29は、ト
ランジスタQ21、Q22におけるミラー効果の発生を
抑制するためのものである。これらトランジスタQ2
8、Q29のソース(すなわちトランジスタQ30、Q
31のドレイン)は、それぞれトランジスタQ21、Q
22のドレインに接続されており、トランジスタQ2
8、Q29の共通ゲート線には入力端子36を介してバ
イアス設定電圧VBIAS2 が与えられている。なお、トラ
ンジスタQ27およびQ29の各ドレインの共通接続点
が、差動増幅回路22の出力端子に相当する。
の間に、互いに導電型の異なるPチャネル型のトランジ
スタQ33(第2のトランジスタに相当)とNチャネル
型のトランジスタQ32(第1のトランジスタに相当)
とが出力端子37を挟んで直列に接続された構成を備え
ている。トランジスタQ33は、そのゲートにバイアス
設定電圧VBIAS1 が与えられており、定電流回路として
動作するようになっている。なお、トランジスタQ32
のゲートが、電圧増幅回路24の入力端子に相当する。
増幅回路24の入力端子との間には、第1のコンデンサ
に相当するコンデンサC21が接続されている。コンデ
ンサC21の両端子のうち差動増幅回路22側の端子x
aが第1の端子に相当し、電圧増幅回路24側の端子x
bが第2の端子に相当する。
8との間にはアナログスイッチ39(第1のスイッチ回
路に相当)が接続され、コンデンサC21の端子xbと
トランジスタQ32のドレインとの間にはアナログスイ
ッチ40(第2のスイッチ回路に相当)が接続されてい
る。これらアナログスイッチ39、40(以下、スイッ
チ39、40と称す)は、それぞれNチャネル型のトラ
ンジスタQ34とPチャネル型のトランジスタQ35と
が並列接続された構成、Nチャネル型のトランジスタQ
36とPチャネル型のトランジスタQ37とが並列接続
された構成を有している。
設定電圧VBIAS4 が与えられるようになっている。ま
た、入力端子41には、外部に設けた図示しない制御回
路からHレベルまたはLレベルを持つ切替信号VINITが
与えられるようになっている。入力端子41は、上記ト
ランジスタQ34、Q36のゲートに直接接続されると
ともに、インバータ回路42を介して上記トランジスタ
Q35、Q37のゲートに接続されている。上述したバ
イアス設定回路23(第1のバイアス設定回路に相当)
は、これらスイッチ39、40およびインバータ回路4
2により構成されている。なお、差動増幅回路22の出
力端子と出力端子37との間には、コンデンサC22と
抵抗R21との直列回路からなる位相補償回路25が接
続されている。
ールド回路の前置増幅器として用いた場合における動作
について、図2および図3も参照しながら説明する。ま
ず、演算増幅器21単体の動作について説明する。演算
増幅器21は、切替信号VINITがLレベルの場合に通常
の増幅動作を実行し、切替信号VINITがHレベルの場合
にコンデンサC21にバイアス電圧を充電するバイアス
設定動作を実行する。
変化すると、スイッチ39、40がともにオンとなり、
コンデンサC21の端子xaにはスイッチ39を介して
バイアス設定電圧VBIAS4 が印加される。一方、トラン
ジスタQ32のゲートに接続されているコンデンサC2
1の端子xbは、スイッチ40を介してトランジスタQ
33、Q32のドレイン(出力端子37)に接続され
る。出力端子37を通した電流の入出力がないとすれ
ば、トランジスタQ33が流し出す電流は全てトランジ
スタQ32のドレイン電流となり、トランジスタQ32
のドレイン電圧(出力電圧VOUT )すなわちコンデンサ
C21の端子xbの電圧は、そのドレイン電流により決
まる電圧となる。なお、コンデンサC21が、その端子
xa、xb間に与えられるバイアス電圧により十分に充
電された状態となるためには、Δt1だけの充電時間を
必要とする。
切替信号VINITがHレベルからLレベルに変化すると、
スイッチ39、40がともにオンからオフになる。この
場合、コンデンサC21の端子xbとトランジスタQ3
2のゲートとの接続ノードはハイインピーダンスとなる
ため、コンデンサC21の電荷が保存される。その結
果、コンデンサC21の端子間電圧も、切替信号VINIT
がLレベルに変化する直前の電圧つまり上記バイアス電
圧に保持される。トランジスタQ33が流し出す電流は
常に一定であるため、出力端子37を通して電流の入出
力がない場合、トランジスタQ32のゲート電圧は切替
信号VINITがHレベルの場合の電圧と等しくなる。
して演算増幅器21が増幅動作を開始した後も、コンデ
ンサC21の端子xaの電圧すなわちトランジスタQ2
7のドレイン電圧は、バイアス設定電圧VBIAS4 のまま
保たれる。つまり、コンデンサC21は、差動増幅回路
22の出力端子を上記バイアス電圧だけレベルシフトし
た状態で電圧増幅回路24の入力端子に結合するレベル
シフト回路としての機能を果たしている。このため、差
動増幅回路22から電圧増幅回路24へは交流信号のみ
ならず直流信号も伝達することができる。
(オープンループゲイン)を高めるためには、「発明が
解決しようとする課題」で説明したように、差動増幅回
路22を適切なバイアス状態で動作させることが必要と
なる。具体的には、(1)式および(2)式に基づいて
説明したように、差動増幅回路22の出力インピーダン
スRoが高まるようにトランジスタQ27とQ29のド
レイン抵抗rdおよび相互コンダクタンスgmを大きく
するため、これらを飽和領域で動作させることが必要と
なる。
アス設定電圧VBIAS4 、VBIAS2 を変えることにより、
それぞれ増幅動作中におけるトランジスタQ27のドレ
イン電圧、トランジスタQ29のゲート電圧を任意に設
定することができる。具体的に、トランジスタQ27、
Q29を飽和領域で動作させるためには、バイアス設定
電圧VBIAS4 、VBIAS2 を以下の(8)式、(9)式で
定まる値に設定すれば良い。
電圧 VtP :Pチャネル型のMOSトランジスタのしきい値
電圧
AS2 は、電源電圧VDDを抵抗分圧するなどの手段により
容易に生成することができる。電源電圧VDDが5Vの本
実施形態の場合、バイアス設定電圧VBIAS4 としては例
えばVDD/2(2.5V)の電圧値を設定すれば良い。
がLレベルになるとスイッチ39、40がオフとなって
コンデンサC21の電荷が保存されるが、実際にはコン
デンサC21、トランジスタQ32のゲートおよびスイ
ッチ40を介して電荷が抜けるため、コンデンサC21
の電荷はわずかずつ減少する。そこで、この演算増幅器
21を精度良く用いるためには、上記電荷抜けに起因す
る電圧誤差が所定範囲内に収まるように、所定時間ごと
に上記バイアス設定動作を繰り返し実行する必要があ
る。このバイアス設定動作期間中は、増幅動作を行うこ
とができない。こうした特徴を持つ演算増幅器21の適
用例として、トラックホールド回路の前置増幅器につい
て説明する。
ド回路との電気的接続形態を示したものである。演算増
幅器21はボルテージフォロアとしての回路形態を有
し、その出力端子37はトラックホールド回路43の入
力端子に接続されている。トラックホールド回路43
は、ホールド信号VHがLレベルの期間において演算増
幅器21からの出力電圧Vout を通過させ、ホールド信
号VHがHレベルの期間においてその出力電圧Vout を
ホールドするようになっている。
る演算増幅器21の入力電圧VINPと出力電圧VOUT 、
トラックホールド回路43の出力電圧VOH、切替信号V
INITおよびホールド信号VHの各波形を示している。こ
の図3に示すように、トラックホールド回路43のホー
ルド信号VHは周期TごとにHレベルとなり、このホー
ルド信号VHのHレベル期間に同期して、演算増幅器2
1に切替信号VINITが与えられる。この場合の周期T
は、演算増幅器21に必要となるバイアス設定動作の周
期よりも短く設定されている。また、これら切替信号V
INITとホールド信号VHとは、図示しない制御回路から
与えられている。
LレベルからHレベルに変化すると、時刻t1から少な
くともトラックホールド回路43のホールド時間Δt2
以上経過した後の時刻t2において、切替信号VINITが
LレベルからHレベルに変化する。これにより、演算増
幅器21は増幅動作からバイアス設定動作へと移行し、
演算増幅器21の出力電圧VOUT は入力電圧VINP 、V
INM とは無関係な値(トランジスタQ32のゲート・ソ
ース間電圧)になる。しかし、時刻t2では既にトラッ
クホールド回路43がホールド動作を行っているので、
バイアス設定動作に伴う演算増幅器21の出力電圧VOU
T がトラックホールド回路43の出力電圧VOHに影響を
及ぼすことはない。
完了に必要となる上述の時間Δt1以上経過した時刻で
あって、且つホールド信号VHがHレベルからLレベル
に変化する時刻t4よりも少なくとも時間Δt3だけ早
い時刻t3において、切替信号VINITがHレベルからL
レベルに変化する。この時間Δt3は、演算増幅器21
がバイアス設定動作から増幅動作に復帰するために要す
る時間である。
C21にバイアス電圧に相当する電荷が設定されるとと
もに、演算増幅器21は、トラックホールド回路43が
トラック動作を開始する時刻t4以降において、通常の
増幅動作を行うことができる。つまり、この適用例で
は、トラックホールド回路43のホールド期間を利用し
て、演算増幅器21のバイアス設定動作を実行している
のである。
器21は、フォールデッドカスコード接続タイプの差動
増幅回路22の出力端子と電圧増幅回路24の入力端子
との間を結合するコンデンサC21と、そのコンデンサ
C21に所定のバイアス電圧を充電するためのバイアス
設定回路23とを備えたので、レベルシフト回路として
ソースフォロアなどのトランジスタ回路を用いることな
く、差動増幅回路22と電圧増幅回路24とのバイアス
状態を上記バイアス電圧に応じて任意に設定することが
できる。
ンAvを高める上で必要となるバイアス条件、すなわち
トランジスタQ27、Q29を飽和領域で動作させるこ
とが可能となり、演算増幅器21は、カスコード接続さ
れた差動増幅回路22が本来有する高い電圧ゲインを有
効に利用することができる。また、飽和領域において
も、ドレイン抵抗rdおよび相互コンダクタンスgmが
少しでも高くなるように、トランジスタQ27、Q29
に対してより細かいバイアス設定が可能となるので、電
圧ゲインAvを一層高めることができる。
ォロアなどのトランジスタ回路を用いていないので、差
動増幅回路22と電圧増幅回路24との間の回路におい
てpole(極)の発生がなくなり、演算増幅器21の
安定性を高めることができるという優れた効果を奏す
る。
実施形態について演算増幅器の電気的構成を示す図4を
参照しながら説明する。なお、図4において図1と同一
構成部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる構
成部分について説明する。
差動増幅回路22の出力端子であるトランジスタQ27
のドレインとコンデンサC21の端子xaとの間には、
Nチャネル型のトランジスタQ38とPチャネル型のト
ランジスタQ39とが並列接続された構成のアナログス
イッチ45(第3のスイッチ回路に相当)が接続されて
いる。これらトランジスタQ38およびQ39の各ゲー
トは、それぞれインバータ回路42の出力端子および入
力端子41に接続されている。ここで、スイッチ39、
40、45およびインバータ回路42によりバイアス設
定回路46(第1のバイアス設定回路に相当)が構成さ
れている。
デンサC21の端子xaとの間には、コンデンサC23
(第2のコンデンサに相当)が接続されている。また、
トランジスタQ33のゲートと入力端子35との間には
Pチャネル型のトランジスタQ40(第2のバイアス設
定回路に相当)が接続されており、そのゲートはインバ
ータ回路42の出力端子に接続されている。なお、本実
施形態では、トランジスタQ32、Q33の各ゲートが
電圧増幅回路24の入力端子に相当する。
作について説明する。切替信号VINITがLレベルからH
レベルに変化すると、スイッチ39、40およびトラン
ジスタQ40がオンするとともにスイッチ45がオフと
なり、バイアス設定動作が行われる。
理由による。すなわち、バイアス設定動作中であって
も、差動増幅回路22の各トランジスタQ21、Q2
2、Q24〜Q29は入力電圧VINP 、VINM に応じた
動作を行っており、スイッチ45を設けない場合(例え
ば第1の実施形態の場合)には、差動増幅回路22の出
力端子と入力端子38との間でスイッチ39を介して電
流が流れてしまう。スイッチ39には若干のオン抵抗が
存在するため、スイッチ39に電流が流れると電圧が発
生し、コンデンサC21のバイアス電圧に誤差が生じ
る。スイッチ45を設けることにより、この誤差の発生
を防止することができる。
23の両端子のうち差動増幅回路22側の端子xcに
は、スイッチ39を介してバイアス設定電圧VBIAS4 が
印加され、トランジスタQ33に接続される端子xdに
は、トランジスタQ40を介してバイアス設定電圧VBI
AS1 が印加される。この状態で、トランジスタQ33に
はバイアス設定電圧VBIAS1 により決まる一定のドレイ
ン電流が流れる。
れた後、切替信号VINITがHレベルからLレベルに変化
すると、スイッチ39、40およびトランジスタQ40
がオフするとともにスイッチ45がオンとなり増幅動作
が行われる。この場合、コンデンサC23の端子xdと
トランジスタQ33のゲートとの接続ノードはハイイン
ピーダンスとなるため、コンデンサC21と同様にコン
デンサC23の電荷も保存される。
7のドレイン電圧がバイアス設定電圧VBIAS4 、トラン
ジスタQ33のゲート電圧がバイアス設定電圧VBIAS1
、トランジスタQ32のゲート電圧がトランジスタQ
33のドレイン電流に応じて定まる電圧となる。なお、
本実施形態においてもバイアス設定電圧VBIAS4 、VBI
AS2 は、第1の実施形態と同様にして決めれば良く、バ
イアス設定電圧VBIAS1は出力端子37に接続される負
荷に応じて必要とされるトランジスタQ32、Q33の
電流に基づいて決めれば良い。
じて差動増幅回路22から出力される電圧は、コンデン
サC21を介して電圧増幅回路24のロウサイド側のN
チャネル型トランジスタQ32に与えられるとともに、
コンデンサC23を介してハイサイド側のPチャネル型
トランジスタQ33にも与えられる。換言すれば、互い
に異なる導電型を有するトランジスタQ32とQ33の
ゲートは、コンデンサC21とC23とを介して結合さ
れ、共通の電圧により駆動される。このため、トランジ
スタQ32とQ33とは、差動増幅回路22の出力電圧
に対して相補的に動作するようになる。その結果、電圧
増幅回路24の出力インピーダンスが、ロウサイド側と
ハイサイド側とで平衡化され、立ち上がり、立ち下がり
両方向のスルーレートを同等に高めることができるよう
になる。
器44によれば、第1の実施形態で示した演算増幅器2
1に対してさらにスイッチ45を設けたので、バイアス
設定動作においてコンデンサC21の端子xaの電圧を
精度良くバイアス設定電圧VBIAS4 に設定することがで
きる。その結果、バイアス設定動作において発生する電
圧誤差を低減でき、より高精度の増幅動作が可能とな
る。
32とQ33のゲートがコンデンサC21とC23とに
より結合され、これらのゲートに差動増幅回路22の出
力電圧が共通に与えられるので、トランジスタQ32と
Q33とは相補的に動作するようになって、立ち上がり
と立ち下がりのスルーレートを同等に高めることができ
る。
実施形態について演算増幅器の電気的構成を示す図5を
参照しながら説明する。なお、図5において図1と同一
構成部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる構
成部分について説明する。
路48、コンデンサC21、バイアス設定回路49、電
圧増幅回路50および位相補償回路25から構成されて
いる。この演算増幅器47は、図1に示した演算増幅器
21における差動増幅回路22に替えて、折り返しのな
いカスコード接続タイプの差動増幅回路48を採用した
点に特徴がある。
21〜Q23およびトランジスタQ41〜Q46から構
成されている。電源線26とトランジスタQ21、Q2
2からなる差動対との間には、それぞれ対をなすNチャ
ネル型のトランジスタQ45とQ46、Pチャネル型の
トランジスタQ43とQ44およびPチャネル型のトラ
ンジスタQ41とQ42が直列に(縦積みとなるよう
に)接続されている。トランジスタQ41〜Q44(負
荷トランジスタに相当)はカスコード接続されており、
差動対に対する能動負荷51を構成している。また、ト
ランジスタQ45、Q46の共通ゲート線にはバイアス
設定電圧VBIAS2 が与えられている。なお、トランジス
タQ44およびQ46の各ドレインの共通接続点が、差
動増幅回路48の出力端子に相当する。
ンジスタQ47(第1のトランジスタに相当)とPチャ
ネル型のトランジスタQ48(第2のトランジスタに相
当)とから構成されている。トランジスタQ47は、そ
のゲートにバイアス設定電圧VBIAS3 が与えられてお
り、定電流回路として動作するようになっている。な
お、トランジスタQ48のゲートが、電圧増幅回路50
の入力端子に相当する。
は、差動増幅回路48の出力端子と電圧増幅回路50の
入力端子との間に接続されており、スイッチ40は、コ
ンデンサC21の端子xbとトランジスタQ48のドレ
インとの間に接続されている。これらスイッチ39、4
0およびインバータ回路42によりバイアス設定回路4
9(第1のバイアス設定回路に相当)が構成されてい
る。
の実施形態で述べた演算増幅器21と同様にしてバイア
ス設定動作と増幅動作とを行う。また、上述した(1)
式、(2)式、(8)式、(9)式などについても、N
チャネル型とPチャネル型の違い、基準電位となる電源
線の違いなどに伴う形式的な変更を加えることにより同
様にして成立する。従って、本実施形態においても、ト
ランジスタQ44、Q46が飽和領域で動作するように
バイアス設定電圧VBIAS4 、VBIAS2 を決めることによ
り、演算増幅器47の電圧ゲインAvを高めることがで
き、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではな
く、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
第1の実施形態におけるトランジスタQ27のドレイン
とコンデンサC21の端子xaとの間、および第3の実
施形態におけるトランジスタQ44のドレインとコンデ
ンサC21の端子xaとの間に、第2の実施形態におけ
るアナログスイッチ45と同様のスイッチ回路を設けて
も良い。
33のゲートとコンデンサC21の端子xaとの間にコ
ンデンサC23を設けたが、これに替えてトランジスタ
Q33のゲートとコンデンサC21の端子xbとの間に
設けても良い。また、演算増幅器44において、スイッ
チ45を除いても動作可能である。さらに、第2のバイ
アス設定回路としてトランジスタQ40を用いたが、こ
れに替えてアナログスイッチを用いても良い。
47のゲートとコンデンサC21の端子xaまたは端子
xbとの間にコンデンサ(第2のコンデンサに相当)を
接続するとともに、トランジスタQ47のゲートと入力
端子32との間にトランジスタまたはアナログスイッチ
(第2のバイアス設定回路に相当)を接続すれば、第2
の実施形態と同様の効果が得られる。
用し、差動増幅回路22、48の出力端子と上記電圧増
幅回路の各入力端子とをそれぞれコンデンサにより結合
した構成としても良い。第2の実施形態で述べた演算増
幅器44は、この構成の一例である。
デンサC21の端子xbとバイアス設定端子との間に接
続し、バイアス設定動作においてコンデンサC21の端
子xbに所定のバイアス設定電圧を印加するようにして
も良い。また、差動増幅回路22、48におけるカスコ
ード接続の段数は2に限らず3以上であっても良い。
トラックホールド回路の前置増幅器に限らず、スイッチ
ドキャパシタフィルタ、A/Dコンバータ、D/Aコン
バータなどに適用することができる。
気的構成図
な接続形態を示す図
す電圧・信号波形図
回路、23、46、49はバイアス設定回路(第1のバ
イアス設定回路)、24、50は電圧増幅回路、39は
アナログスイッチ(第1のスイッチ回路)、40はアナ
ログスイッチ(第2のスイッチ回路)、45はアナログ
スイッチ(第3のスイッチ回路)、C21はコンデンサ
(第1のコンデンサ)、C23はコンデンサ(第2のコ
ンデンサ)、Q24〜Q27、Q41〜Q44はトラン
ジスタ(負荷トランジスタ)、Q32、Q47はトラン
ジスタ(第1のトランジスタ)、Q33、Q48はトラ
ンジスタ(第2のトランジスタ)、Q40はトランジス
タ(第2のバイアス設定回路)である。
Claims (9)
- 【請求項1】 カスコード接続された負荷トランジスタ
を有する差動増幅回路と、 この差動増幅回路の後段に設けられた電圧増幅回路と、 前記差動増幅回路と前記電圧増幅回路とを結合する第1
のコンデンサと、 増幅動作に先立って前記第1のコンデンサを所定のバイ
アス電圧に充電するための第1のバイアス設定回路とを
備えていることを特徴とする演算増幅器。 - 【請求項2】 前記バイアス電圧は、充電された前記第
1のコンデンサにより前記差動増幅回路が所定のバイア
ス状態に設定されるような電圧であることを特徴とする
請求項1記載の演算増幅器。 - 【請求項3】 前記第1のコンデンサは、前記差動増幅
回路の出力端子と前記電圧増幅回路の入力端子との接続
経路に介在していることを特徴とする請求項1または2
記載の演算増幅器。 - 【請求項4】 前記第1のコンデンサの第1および第2
の端子は、それぞれ前記差動増幅回路の出力端子および
前記電圧増幅回路の入力端子に接続されていることを特
徴とする請求項3記載の演算増幅器。 - 【請求項5】 前記電圧増幅回路は、ゲートが当該電圧
増幅回路の入力端子に接続された第1のトランジスタを
備え、 前記第1のバイアス設定回路は、 前記第1のコンデンサの第1の端子に前記差動増幅回路
を所定のバイアス状態に設定するバイアス設定電圧を印
加するための第1のスイッチ回路と、 前記第1のコンデンサの第2の端子に前記第1のトラン
ジスタを所定のバイアス状態とするバイアス設定電圧を
印加するための第2のスイッチ回路とから構成されてい
ることを特徴とする請求項4記載の演算増幅器。 - 【請求項6】 前記第2のスイッチ回路は、前記第1の
コンデンサの第2の端子と前記第1のトランジスタのド
レインとの間に接続されていることを特徴とする請求項
5記載の演算増幅器。 - 【請求項7】 前記第1のバイアス設定回路は、前記差
動増幅回路の出力端子と前記第1のコンデンサの第1の
端子との間に接続された第3のスイッチ回路を備えてい
ることを特徴とする請求項5または6記載の演算増幅
器。 - 【請求項8】 前記電圧増幅回路は、その出力端子を挟
んで前記第1のトランジスタに対して直列に接続された
第2のトランジスタを備え、 この第2のトランジスタのゲートと前記第1のコンデン
サの第1または第2の端子との間に第2のコンデンサが
接続されているとともに、 増幅動作に先立って前記第2のコンデンサを所定のバイ
アス電圧に充電するための第2のバイアス設定回路が設
けられていることを特徴とする請求項5ないし7の何れ
かに記載の演算増幅器。 - 【請求項9】 前記電圧増幅回路は複数の入力端子を備
え、 前記差動増幅回路の出力端子と前記電圧増幅回路の各入
力端子とが前記第1のコンデンサを含む複数のコンデン
サにより結合されていることを特徴とする請求項1ない
し7の何れかに記載の演算増幅器。
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