JP2002095628A - 内視鏡用可撓管 - Google Patents

内視鏡用可撓管

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JP2002095628A
JP2002095628A JP2000290743A JP2000290743A JP2002095628A JP 2002095628 A JP2002095628 A JP 2002095628A JP 2000290743 A JP2000290743 A JP 2000290743A JP 2000290743 A JP2000290743 A JP 2000290743A JP 2002095628 A JP2002095628 A JP 2002095628A
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JP
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flexible tube
endoscope
melting point
tube
core material
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JP2000290743A
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English (en)
Inventor
Sukenao Abe
祐尚 阿部
Shinji Hayakawa
真司 早川
Kikuo Iwasaka
喜久男 岩坂
Minoru Matsushita
実 松下
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Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐薬品性および耐久性に優れた内視鏡可撓管を
提供すること。 【解決手段】挿入部可撓管1は、中空部を有する芯材2
と、芯材2の外周に被覆された外皮3とで構成されてい
る。芯材2は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された螺
旋管21と、細線23を編組して形成された網状管22
とで構成されている。細線23の少なくとも1本には、
ポリフッ化ビニリデンを含む材料で構成された被覆層2
31が形成されている。外皮3の少なくとも芯材2と対
面する部分は、ポリフッ化ビニリデンを含む材料で構成
されている。被覆層231の構成材料の融点は、外皮3
の構成材料の融点以上の値であるのが好ましい。被覆層
231の平均厚さは、0.01〜0.1mmであるのが
好ましい。外皮3の平均厚さは、0.01〜1.5mm
であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡用可撓管に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】内視鏡用可撓管は、螺旋管の外周を網状
管で被覆した管状の芯材に、合成樹脂等で構成される外
皮が被覆された構成となっている。
【0003】内視鏡検査では、内視鏡用可撓管は、例え
ば、胃、十二指腸、小腸あるいは大腸といった体腔の深
部まで、湾曲しながら挿入される。このため、内視鏡用
可撓管は、外周部を外皮で被覆することにより、挿入操
作のし易さ(可撓性)の向上を図り患者の負担を軽減さ
せるとともに、体液等の液体が内視鏡内部に侵入するの
を防いでいる。従来、前記内視鏡用可撓管の外皮の構成
材料としては、ポリウレタン等の弾性材料(エラストマ
ー)が一般的に使用されていた。
【0004】ところで、内視鏡は、繰り返し使用される
ため、その都度、洗浄および消毒を行う必要がある。と
ころが、前記従来の材料は、耐薬品性が劣っている。こ
のため、内視鏡に対して、洗浄、消毒を繰り返し行う
と、外皮が劣化し、芯材と外皮との密着性が低下し、劣
化が特に著しい場合には、外皮が芯材から剥離すること
があった。その結果、内視鏡用可撓管の弾力性は低下
し、管腔内へ挿入し難くなるという問題が生じていた。
すなわち、内視鏡用可撓管の耐久性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐薬
品性および耐久性に優れた内視鏡用可撓管を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0007】(1) 中空部を有する芯材と、該芯材の
外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であっ
て、前記外皮の少なくとも前記芯材と対面する部分は、
融点が300℃以下のフッ素系樹脂を含む材料で構成さ
れていることを特徴とする内視鏡用可撓管。
【0008】これにより、耐薬品性および耐久性に優れ
た内視鏡用可撓管を提供することができる。
【0009】(2) 中空部を有する芯材と、該芯材の
外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であっ
て、前記芯材は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された
螺旋管と、細線を編組して形成された編組体とを有し、
前記細線の少なくとも一本に、融点が300℃以下のフ
ッ素系樹脂を含む材料で構成された被覆層が形成されて
いることを特徴とする内視鏡用可撓管。
【0010】これにより、外皮の材料にフッ素系樹脂を
用いた場合、それとの密着性が向上し、優れた耐久性が
得られる。
【0011】(3) 中空部を有する芯材と、該芯材の
外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であっ
て、前記芯材は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された
螺旋管と、細線を編組して形成された編組体とを有し、
前記外皮の前記編組体と対面する部分は、融点が300
℃以下のフッ素系樹脂を含む第1の材料で構成されてお
り、前記細線の少なくとも一本に、融点が300℃以下
のフッ素系樹脂を含む第2の材料で構成された被覆層が
形成されていることを特徴とする内視鏡用可撓管。
【0012】これにより、耐薬品性および耐久性に優れ
た内視鏡用可撓管を提供することができる。
【0013】(4) 前記第2の材料は、前記第1の材
料を25wt%以上含むものである上記(3)に記載の
内視鏡用可撓管。
【0014】これにより、外皮と芯材との密着性がさら
に向上し、内視鏡用可撓管の耐薬品性、耐久性がさらに
向上する。
【0015】(5) 前記第1の材料の融点は、前記第
2の材料の融点以下である上記(3)または(4)に記
載の内視鏡用可撓管。
【0016】これにより、外皮と芯材との密着性がさら
に向上し、内視鏡用可撓管の耐薬品性、耐久性がさらに
向上する。
【0017】(6) 前記被覆層の平均厚さは、0.0
1〜0.1mmである上記(2)ないし(5)のいずれ
かに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓
管の耐薬品性、耐久性がさらに向上する。
【0018】(7) 前記外皮は、押出成形により形成
されたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに
記載の内視鏡用可撓管。
【0019】これにより、外皮と芯材との密着性がさら
に向上し、内視鏡用可撓管の耐薬品性、耐久性がさらに
向上する。
【0020】(8) 前記フッ素系樹脂の融点は、26
2℃以下である上記(1)ないし(7)のいずれかに記
載の内視鏡用可撓管。
【0021】これにより、内視鏡用可撓管の生産性が向
上するとともに、内視鏡用可撓管の耐薬品性、耐久性が
さらに向上する。
【0022】(9) 前記フッ素系樹脂は、ポリフッ化
ビニリデン、またはこれを主とするものである上記
(8)に記載の内視鏡用可撓管。
【0023】これにより、内視鏡用可撓管の生産性が向
上するとともに、内視鏡用可撓管の耐薬品性、耐久性が
さらに向上する。
【0024】(10) 前記外皮は、複数の層を積層し
た積層部を有するものである上記(1)ないし(9)の
いずれかに記載の内視鏡用可撓管。
【0025】これにより、内視鏡用可撓管の柔軟性、耐
薬品性、耐久性、操作性のうちの少なくとも1つがより
向上する。
【0026】(11) 前記外皮は、最内層が300℃
以下の融点を有するフッ素系樹脂で構成され、かつ、前
記最内層以外の部位がポリウレタン系樹脂またはポリウ
レタン系エラストマーを含む材料で構成されたものであ
る上記(10)に記載の内視鏡用可撓管。これにより、
内視鏡用可撓管の柔軟性が向上する。
【0027】(12) 前記外皮の平均厚さは、0.0
1〜1.5mmである上記(1)ないし(11)のいず
れかに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可
撓管の耐薬品性、耐久性がさらに向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内視鏡用可撓管の
好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に
説明する。
【0029】図1は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管を有する電子内視鏡(電子スコープ)を
示す全体図である。以下、図1中、上側を「基端」、下
側を「先端」として説明する。
【0030】図1に示すように、電子内視鏡10は、可
撓性(柔軟性)を有する長尺物の挿入部可撓管1と、挿
入部可撓管1の先端部に設けられた湾曲部5と、挿入部
可撓管1の基端部に設けられ、術者が把持して電子内視
鏡10全体を操作する操作部6と、操作部6に接続され
た接続部可撓管7と、接続部可撓管7の先端側に設けら
れた光源差込部8とで構成されている。
【0031】挿入部可撓管1は、生体の管腔内に挿入し
て使用される。また、操作部6には、その側面に操作ノ
ブ61、62が設置されている。この操作ノブ61、6
2を操作すると、挿入部可撓管1内に配設されたワイヤ
ー(図示せず)が牽引されて、湾曲部5が4方向に湾曲
し、その方向を変えることができる。
【0032】湾曲部5の先端部には、観察部位における
被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設
けられ、また、光源差込部8の先端部に、画像信号用コ
ネクタ82が設けられている。この画像信号用コネクタ
82は、光源装置に接続され、さらに、光源装置は、ケ
ーブルを介してモニタ装置(図示せず)に接続されてい
る。
【0033】光源差込部8の先端部には、光源用コネク
タ81が設置され、この光源用コネクタ81が光源装置
(図示せず)に接続されている。光源装置から発せられ
た光は、光源用コネクタ81、および、光源差込部8
内、接続部可撓管7内、操作部6内、挿入部可撓管1内
および湾曲部5内に連続して配設された光ファイバー束
によるライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部5の先
端部より観察部位に照射され、照明する。
【0034】前記照明光により照明された観察部位から
の反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像
素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力
される。
【0035】この画像信号は、湾曲部5内、挿入部可撓
管1内、操作部6内および接続部可撓管7内に連続して
配設され、画像素子と画像信号用コネクタ82とを接続
する画像信号ケーブル(図示せず)を介して、光源差込
部8に伝達される。
【0036】そして、光源差込部8内および光源装置内
で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなさ
れ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置で
は、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち
動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
【0037】以上、本発明の内視鏡用可撓管を適用した
挿入部可撓管1を有する電子内視鏡10の全体構成につ
いて説明したが、本発明の内視鏡用可撓管は、光学内視
鏡の可撓管にも適用することができることは、言うまで
もない。
【0038】図2は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管の第1実施形態を示す拡大半縦断面図で
ある。
【0039】挿入部可撓管1は、芯材2と、その外周を
被覆する外皮3とを有している。また、挿入部可撓管1
には、内部に、例えば、光ファイバ、電線ケーブル、ケ
ーブルまたはチューブ類等の内蔵物等(図中省略)を配
置、挿通することができる空間24が設けられている。
【0040】芯材2は、螺旋管21と、螺旋管21の外
周を被覆する網状管(編組体)22とで構成され、全体
としてチューブ状の長尺物として形成されている。この
芯材2は、挿入部可撓管1を補強する効果を有する。特
に、螺旋管21と網状管22を組合わせたことにより、
挿入部可撓管1は、十分な機械的強度を確保できる。
【0041】螺旋管21は、帯状材を均一な径で螺旋状
に間隔25をあけて巻いて形成されたものである。帯状
材を構成する材料としては、例えば、ステンレス等の鉄
系合金、銅系合金等が好ましく用いられる。
【0042】図3は、本発明の内視鏡用可撓管の製造に
用いられる網状管の拡大断面図である。図4は、図2に
示す挿入部可撓管の網状管付近の状態を示す拡大断面図
である。
【0043】網状管22は、金属製または非金属製の細
線23を複数並べたものを編組して形成されている。細
線23を構成する金属製の材料としては、例えば、ステ
ンレス等の鉄系合金、銅系合金等が挙げられる。また、
非金属性の材料としては、例えば、高融点樹脂、カーボ
ンファイバー、ガラス繊維等が挙げられる。
【0044】また、図3に示すように、細線23の少な
くとも一本には、被覆層231が形成されている。
【0045】このような被覆層231が設けられること
により、図4に示すように、被覆層231と外皮3とを
強く密着(相溶化)させることが可能となる。これによ
り、網状管22と外皮3との密着性(結合力)が向上
し、結果として、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性
が向上する。
【0046】被覆層231は、融点が300℃以下のフ
ッ素系樹脂を含む材料で構成されているのが好ましい。
このような材料は、細線23への密着性に優れるととも
に、後述する外皮3との密着性(相溶性)に優れてい
る。これにより、網状管22と外皮3との密着性が向上
し、結果として、挿入部可撓管1の耐久性が向上する。
また、融点が比較的低いため、被覆層231を細線23
の外周へ被覆する際の成形温度を比較的低くすることが
できる。これにより、被覆層231の成形性が向上し、
結果として、挿入部可撓管1の生産性が向上する。
【0047】融点が300℃以下のフッ素系樹脂として
は、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレ
ン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエ
チレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)
等、またはこれらのうち2種以上を含むポリマーアロイ
(例えば、ポリマーブレンド、共重合体)等が挙げられ
る。
【0048】また、この中でも特に、融点が262℃以
下のフッ素系樹脂を含有するものが好ましい。これによ
り、前述した効果がより顕著なものとなる。融点が26
2℃以下のフッ素系樹脂としては、例えば、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(F
EP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体
(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
【0049】さらに、融点が235℃以下のフッ素系樹
脂を含有するものが好ましい。これにより、前述した効
果がさらに顕著なものとなる。融点が235℃以下のフ
ッ素系樹脂としては、例えば、ポリクロロトリフルオロ
エチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン
−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等、ま
たはこれらのうち2種以上を含むポリマーアロイ(例え
ば、ポリマーブレンド、共重合体)等が挙げられる。
【0050】この中でも、ポリフッ化ビニリデン(PV
DF)、またはこれを主とするもの(50wt%以上含
有するもの)が最も好ましい。PVDFは、前述したフ
ッ素系樹脂の中でも特に低い融点を有しているため、低
温での被覆層231の形成を、容易かつ確実に行うこと
ができる。また、PVDFは、細線23との密着性、外
皮3との密着性(相溶性)についても特に優れている。
【0051】また、被覆層231は、後述する外皮3の
構成材料(少なくとも網状体22と対面する部分の構成
材料)を含む材料で構成されているのが好ましい。ここ
で、構成材料とは、主材料のことを指し、添加剤などは
含まれない。このように、被覆層231の構成材料(第
2の材料)として、外皮3の構成材料(第1の材料)を
含むものを用いることにより、被覆層231と外皮3と
の密着性(相溶性)をさらに優れたものとすることがで
きる。これにより、網状管22と外皮3との密着性(結
合力)がさらに向上する。その結果、挿入部可撓管1の
弾力性、耐久性がさらに優れたものとなる。被覆層23
1の構成材料中に含まれる外皮3の構成材料の割合は、
25wt%以上であるのが好ましく、40wt%以上で
あるのがより好ましい。
【0052】また、被覆層231の構成材料の融点をT
1(℃)、外皮3の構成材料の融点をT2(℃)としたと
き、T1≧T2の関係が成り立つのが好ましい。特に、被
覆層231の構成材料の融点T1と、外皮3の構成材料
の融点T2との差(T1−T2)は、0〜140℃である
のが好ましく、0〜80℃であるのがより好ましい。
【0053】外皮の被覆は、通常、芯材の外周(網状管
22の外周)に外皮の構成材料を押出成形することによ
り行われているが、T1、T2が前述した関係を満足する
ことにより、外皮3の構成材料が十分に溶融し、かつ被
覆層231が細線23に強く密着した状態で、このよう
な押出成形による外皮3の被覆を行うことができる。こ
れにより、外皮3と被覆層231との密着性、被覆層2
31と細線23との密着性は、特に優れたものとなる。
これにより、外皮3と網状管22との密着性は、さらに
優れたものとなり、結果として、挿入部可撓管1の耐久
性は、特に優れたものとなる。
【0054】被覆層231の構成材料の重量平均分子量
(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10000
〜8000000であるのが好ましく、15000〜1
00000であるのがより好ましい。
【0055】被覆層231の構成材料は、前述したフッ
素系樹脂に加え、他の高分子材料を含むポリマーアロイ
(ポリマーブレンド、共重合体等)であってもよい。
【0056】また、被覆層231の構成材料中には、必
要に応じて任意に添加物が配合されてもよい。
【0057】添加物としては、例えば、可塑剤、無機フ
ィラー、顔料、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤、帯
電防止剤、ブロッキング防止剤、潤滑剤)、X線造影剤
等が挙げられる。
【0058】被覆層231の平均厚さは、特に限定され
ないが、0.01〜0.1mmであるのが好ましく、
0.02〜0.07mmであるのがより好ましい。被覆
層231の平均厚さが、前記下限値未満であると、本発
明の効果が十分に得られない可能性がある。一方、被覆
層231の平均厚さが、前記上限値を超えると、挿入部
可撓管1の表面に凹凸が発生して外観が悪くなる場合が
ある。
【0059】ところで、網状管22の外周には、編組さ
れた細線23の編み目により隙間26が形成されてい
る。この隙間26は、螺旋管21の外周と重なる位置で
は凹部となり、螺旋管21の間隔25と重なる位置では
空間24に連通する孔となって、芯材2の外周に多数の
孔および凹部を形成している。そして、この芯材2の外
周には、可撓性を有する外皮3が被覆されている。
【0060】外皮3の内周面には、内周側に向かって突
出する多数の突出部(アンカー)31が外皮3から連続
して形成されている。各突出部31は、芯材2の外周に
形成された多数の孔および凹部内にそれぞれ進入してい
る。前記凹部内に進入した突出部31の先端は、螺旋管
21の外周に達するまで形成されている。前記孔内に進
入した突出部31は、より長く形成され、その先端が螺
旋管21の間隔25に入り込んでいる。
【0061】このように突出部31が形成されているこ
とにより、突出部31が芯材2の外周に形成された多数
の孔および凹部に係合するので、アンカー効果が生じ、
芯材2に対し外皮3が確実に固定される。このため、外
皮3は、挿入部可撓管1が湾曲した場合にも、芯材2と
密着した状態を維持し、芯材2の湾曲に合わせて十分に
大きく伸縮する。このように大きく伸縮した外皮3の復
元力は、強く発揮され、挿入部可撓管1の湾曲を復元さ
せる力に大きく寄与する。よって、このような構成によ
り、挿入部可撓管1は、弾力性に優れる。
【0062】また、突出部31を形成したことにより、
外皮3と網状管22との結合力が強いので、繰り返し使
用しても外皮3が網状管22と剥離しにくい。したがっ
て、挿入部可撓管1は、繰り返し使用した後も弾力性が
良好に保たれ、耐久性に優れる。
【0063】外皮3は、融点が300℃以下のフッ素系
樹脂を含む材料で構成されているのが好ましい。このよ
うな材料は、優れた耐薬品性を有するとともに、芯材2
に対する密着性にも優れている。特に、前述した被覆層
231が設けられることにより、この効果は一層顕著な
ものとなる。このため、芯材2と外皮3との密着性が向
上し、挿入部可撓管1としての耐薬品性、耐久性が優れ
たものとなる。
【0064】また、このような材料は、テフロン(登録
商標)のような高融点フッ素系樹脂に比べ、低い融点を
有しているため、以下のような効果が得られる。・外皮
3を芯材3の外周へ被覆する際の成形温度を比較的低く
することができる。これにより、被覆層231の成形性
が向上し、結果として、挿入部可撓管1の生産性が向上
する。・外皮3の成形温度が比較的低温であっても、外
皮3の構成材料の粘性が十分に低下し、材料の流動性が
向上する。このため、外皮3が芯材2の隙間に入り込み
易くなり、前述したアンカー効果がより顕著なものとな
る。・成形機内での外皮材料の流動性が向上することか
ら、得られた外皮3は、全体にわたって組成が均一とな
る。
【0065】これらの効果(相乗効果)により、挿入部
可撓管1は、耐薬品性、耐久性が特に優れたものとな
る。
【0066】融点が300℃以下のフッ素系樹脂として
は、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレ
ン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエ
チレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)
等、またはこれらのうち2種以上を含むポリマーアロイ
(例えば、ポリマーブレンド、共重合体)等が挙げられ
る。
【0067】また、この中でも特に、融点が262℃以
下のフッ素系樹脂を含有するものが好ましい。これによ
り、前述した効果がより顕著なものとなる。融点が26
2℃以下のフッ素系樹脂としては、例えば、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(F
EP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体
(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
【0068】さらに、融点が235℃以下のフッ素系樹
脂を含有するものが好ましい。これにより、前述した効
果がさらに顕著なものとなる。融点が235℃以下のフ
ッ素系樹脂としては、例えば、ポリクロロトリフルオロ
エチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン
−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等、ま
たはこれらのうち2種以上を含むポリマーアロイ(例え
ば、ポリマーブレンド、共重合体)等が挙げられる。
【0069】この中でも、ポリフッ化ビニリデン(PV
DF)、またはこれを主とするもの(50wt%以上含
有するもの)が最も好ましい。PVDFは、前述したフ
ッ素系樹脂の中でも特に低い融点を有しているため、低
温での外皮3の形成を、容易かつ確実に行うことができ
る。また、PVDFは、芯材2(特に、被覆層231)
との密着性についても特に優れている。
【0070】外皮3を構成する構成材料の重量平均分子
量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、1000
0〜8000000であることが好ましく、15000
〜100000であることがより好ましい。
【0071】外皮3の構成材料は、前述したフッ素系樹
脂に加え、他の高分子材料を含むポリマーアロイ(ポリ
マーブレンド、共重合体等)であってもよい。
【0072】また、外皮3の構成材料中には、必要に応
じて任意に添加物が配合されてもよい。
【0073】添加物としては、例えば、可塑剤、無機フ
ィラー、顔料、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤、帯
電防止剤、ブロッキング防止剤、潤滑剤)、X線造影剤
等が挙げられる。
【0074】以上、外皮3の構成材料について説明した
が、外皮3の構成材料の組成(含有成分の配合比)は、
外皮3全体にわたって、均一なものであってもよいし、
各部位で異なるものであってもよい。例えば、含有成分
の配合比が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)等
であってもよい。
【0075】外皮3の厚さ(突出部4の部分を除く)
は、長手方向に沿ってほぼ一定であるのが好ましい。こ
れにより、挿入部可撓管1を体腔に挿入する際の操作性
がより向上し、患者の負担もより軽減される。
【0076】外皮3の平均厚さ(突出部31の部分を除
く)は、芯材2およびその内部に挿通される器具等を体
液等の液体から保護することができ、かつ、挿入部可撓
管1の湾曲性を妨げなければ、特に限定されず、通常
は、0.01〜1.5mm程度が好ましく、0.1〜
1.0mm程度がより好ましい。
【0077】挿入部可撓管1は、例えば、以下のように
製造される。まず、螺旋管21と、網状管22とを用意
する。
【0078】螺旋管21は、例えば、板材を用意し、こ
れを旋断加工することにより得ることができる。
【0079】また、網状管22は、細線23を編組する
ことにより得ることができる。細線23を編組するのに
先立ち、その少なくとも一本について、被覆層231を
形成しておく。
【0080】被覆層231の構成材料は、前述の各成分
を溶融または軟化し、混合、混練することにより得られ
る。各成分を溶融または軟化し、混合、混練するには、
例えば、ニーダー、ニーダールーダー、ロール、連続混
練押出機等の混練機等が使用可能である。このような混
練機を用いて各成分を混練した場合、材料は、各成分が
均一に混合されたものとなる。
【0081】混練温度としては、特に限定されないが、
例えば、160〜340℃程度であるのが好ましく、1
70〜320℃程度であるのがより好ましく、180〜
300℃程度であるのがさらに好ましい。各成分を、か
かる温度範囲で混練した場合、材料中の各成分の均一度
は向上する。
【0082】このように混練された材料を、例えば、押
出成形、モールド成形等の方法により細線23上に被覆
することにより、被覆層231を形成することができ
る。
【0083】このようにして得られた螺旋管21と網状
管22とを組立て、芯材2を作製する。
【0084】その後、芯材2の外周に外皮3を被覆する
ことにより、挿入部可撓管1は製造される。
【0085】外皮3の材料は、前述の各成分を溶融また
は軟化し、混合、混練することにより得られる。各成分
を溶融または軟化し、混合、混練するには、例えば、ニ
ーダー、ニーダールーダー、ロール、連続混練押出機等
の混練機等が使用可能である。このような混練機を用い
て各成分を混練した場合、材料は、各成分が均一に混合
されたものとなる。
【0086】混練温度としては、特に限定されないが、
例えば、160〜340℃程度であるのが好ましく、1
70〜320℃程度であるのがより好ましく、180〜
300℃程度であるのがさらに好ましい。各成分を、か
かる温度範囲で混練した場合、材料中の各成分の均一度
は向上する。
【0087】そして、このように混練された外皮材料を
芯材2上に押出成形によって被覆することにより、挿入
部可撓管1を連続的に製造することができる。
【0088】押出成形時の外皮材料温度t(℃)は、外
皮3の構成材料の融点T2(℃)との間で下記式(I)の
関係を満足するのが好ましい。
【0089】T2≦t≦T2+60・・・(I) また、式(I)に代わり、式(II)を満足するのがより
好ましく、式(III)を満足するのがさらに好ましい。
【0090】T2+5≦t≦T2+55・・・(II) T2+10≦t≦T2+50・・・(III) 押出成形時の外皮材料温度t(℃)が前記下限値未満で
あると、外皮材料の十分な流動性が得られず、外皮3の
成形加工性が低下し、結果として、外皮3と被覆層23
1との密着性が低下する場合がある。一方、押出成形時
の外皮材料温度t(℃)が前記上限値を超えると、押出
成形時に被覆層231が溶け、細線23と被覆層231
との密着性が低下する可能性がある。
【0091】図5は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管の第2実施形態を示す拡大半縦断面図で
ある。以下、図5に示す挿入部可撓管1について、前記
第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に
ついては、その説明を省略する。
【0092】第2実施形態の挿入部可撓管1では、外皮
3は、内層32と外層33とを有する積層体で構成され
ている。
【0093】外皮3は、以下に説明するように、内層3
2と外層33とが、物理的特性または化学的特性(これ
らを総称して「物性」という)の異なる材料で構成され
たものである。物理的特性としては、例えば、剛性(柔
軟性)、硬度、伸び率、引張り強さ、せん断強さ、曲げ
弾性率、曲げ強さ等が挙げられ、化学的特性としては、
例えば、耐薬品性、耐候性等が挙げられる。なお、これ
らは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0094】内層32は、外皮3の内周側に形成されて
おり、芯材2(被覆層231)と接触している。したが
って、内層32は、前述した第1実施形態の外皮3の構
成材料と同様な材料で構成されているのが好ましい。
【0095】内層32の平均厚さ(突出部4の部分を除
く。)は、特に限定されないが、通常は、0.01〜
0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度
がより好ましい。
【0096】外層33は、内層32の外周面上に形成さ
れている。外層33は、柔軟性(弾力性)に優れた層と
されているのが好ましい。これにより、挿入部可撓管1
を体腔内へ挿入する際の患者の負担が軽減される。
【0097】外層33の構成材料は、特に限定されない
が、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフ
ィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリウレタン、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等
のフッ素系樹脂(ただし、融点が300℃超のフッ素系
樹脂)、ポリイミド等の各種可撓性を有する樹脂や、ポ
リウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマ
ー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラ
ストマー、ポリスチレン系エラストマー、フッ素系エラ
ストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エ
ラストマー等、またはこれらを主とするブレンド体、共
重合体(ブロック共重合体を含む)、ポリマーアロイ等
が挙げられ、これらのうちの、1種または2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0098】この中でも、特に、低硬度のポリウレタン
系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ
エステル系エラストマーは、弾力性に優れるため、好ま
しい。
【0099】外層33の平均厚さは、特に限定されない
が、通常は、0.01〜0.8mm程度が好ましく、
0.02〜0.4mm程度がより好ましい。
【0100】なお、外皮3は、このような複数の層が積
層された積層部をその全長に渡って有するものであって
も、その少なくとも一部に有するものであってもよい。
【0101】このように、外皮3を複数の層の積層体と
することにより、各層を構成する材料の利点を併有する
ことができる。本実施例においては、外皮3が、柔軟性
に優れた外層33と、耐薬品性に優れ、かつ芯材2に対
する密着性に優れた内層32とで構成されていることに
より、外皮3全体として、これらの特性を併有してい
る。
【0102】このような挿入部可撓管は、第1実施例と
同様にして製造することができる。特に、複数の押出口
を備えた押出成形機を用いた場合、各押出口からそれぞ
れ内層および外層の材料を同時に押出し、その積層体を
芯材に被覆することにより、積層構造を有する外皮を連
続的に製造することも可能である。
【0103】このようにして積層体を芯材に被覆する場
合、押出成形時における内層32の構成材料温度は、前
述した第1実施形態の押出成形時における外皮材料温度
tと同程度であるのが好ましい。また、押出成形時にお
ける外層33の構成材料温度は、構成材料の種類により
若干異なるが、150〜320℃程度であるのが好まし
く、160〜300℃程度であるのがより好ましい。押
出成形時における材料温度をこのような範囲の値にする
ことにより、外皮3と被覆層231との密着性がさらに
向上するとともに、内層32と外層33との密着性も向
上する。
【0104】ただし、外層33の構成材料がシリコーン
ゴム等のゴム系の材料を主とするもの等である場合、混
練時における発熱により、外層33の構成材料の塑性が
低下することがある。したがって、このような場合、混
練は、材料温度を10〜70℃程度とした状態で行うの
が好ましい。
【0105】また、各押出口からの各層の構成材料の吐
出量や芯材の引き速度を調整することにより、各層の厚
さを調節することもできる。
【0106】以上、本発明の内視鏡用可撓管について説
明したが、本発明は、これらに限定されるものではな
い。
【0107】例えば、第2実施形態において、外皮3
は、内層32と外層33との2層で構成されているが、
3層以上で構成されたものであってもよい。
【0108】また、内視鏡用可撓管の製造方法として
は、まず、外皮3を連続する長尺物として成形した後、
この外皮3の内腔へ芯材2を挿入し、その後、加熱等に
より密着固定する方法でも可能である。
【0109】また、本発明の内視鏡用可撓管は、例え
ば、光源装置に接続される接続部可撓管等にも適用でき
る。
【0110】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0111】1.内視鏡用可撓管の作製 (実施例1)まず、幅3mmのステンレス製の帯状材を
巻回して、外径9.9mm、内径9.6mmの螺旋管2
1を作製した。
【0112】次に、直径0.1mmのステンレス製の細
線を用意した。これらのうち、一部の細線に対して、細
線の全長にわたって被覆層を形成した。被覆層の構成材
料として、ポリフッ化ビニリデン(製品名:ネオフロン
VDF、ダイキン工業(株)製、融点:174℃)を用
いた。この被覆層の形成は、材料温度を210℃とした
状態で押出成形することにより行った。なお、被覆層の
平均厚さは、0.03mmであった。
【0113】被覆層が形成された細線1本と、被覆層が
形成されていない細線2本とからなる3本を一組とし、
これらを編組することにより網状管を作製した。
【0114】このようにして得られた網状管で螺旋管を
被覆することにより芯材を作製した。
【0115】次に、この芯材の外周に、押出成形によ
り、ポリフッ化ビニリデン(製品名:ネオフロンVD
F、ダイキン工業(株)製、融点:174℃)で構成さ
れる外皮を被覆し、長さ1.5mの内視鏡用可撓管を作
製した。なお、押出成形時の外皮材料温度(t)は、1
90℃であった。また、得られた内視鏡用可撓管の外皮
の平均厚さは、0.5mmであった。
【0116】(実施例2)芯材に被覆する外皮を内層と
外層とからなる積層体とした以外は、実施例1と同様に
して、内視鏡用可撓管を作製した。なお、積層体の形成
は、2個の押出口を備えた押出成形機を用いて行った。
すなわち、内層および外層を同時に押出し、その積層体
を芯材に被覆することにより積層構造を有する外皮を連
続的に製造した。内層、外層の構成材料として、それぞ
れポリフッ化ビニリデン(製品名:ネオフロンVDF、
ダイキン工業(株)製、融点:174℃)、ポリウレタ
ン系エラストマー(製品名:T8180、大日本インキ
化学工業(株)製、融点:170℃)を用いた。
【0117】なお、押出成形時の内層の構成材料温度、
外層の構成材料温度は、いずれも200℃であった。ま
た、得られた内視鏡用可撓管の内層、外層の平均厚さ
は、それぞれ0.2mm、0.25mmであった。
【0118】(実施例3)被覆層の構成材料として、ポ
リフッ化ビニリデン(60wt%)と、ポリクロロトリ
フルオロエチレン(40wt%)との混練物(融点:1
90℃)を用いた以外は、実施例2と同様にして内視鏡
用可撓管を作製した。なお、被覆層形成時の材料温度
は、210℃であった。
【0119】(実施例4)被覆層の構成材料として、ポ
リフッ化ビニル(融点:203℃)を用いた以外は、実
施例2と同様にして内視鏡用可撓管を作製した。なお、
被覆層形成時の材料温度は、220℃であった。
【0120】(実施例5)外皮の内層の構成材料とし
て、ポリフッ化ビニリデン(75wt%)と、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン(25wt%)との混練物(融
点:180℃)を用いた以外は、実施例3と同様にして
内視鏡用可撓管を作製した。
【0121】なお、外皮形成時の内層の構成材料温度、
外層の構成材料温度は、いずれも200℃であった。
【0122】(比較例1)細線の外周に被覆層を設けな
かった以外は、実施例1と同様にして芯材を作製した。
【0123】次に、この芯材の外周に、押出成形によ
り、ポリウレタン系エラストマー(製品名:T818
0、大日本インキ化学工業(株)製、融点:170℃)
で構成される外皮を被覆し、長さ1.5mの内視鏡用可
撓管を作製した。なお、押出成形時の外皮材料温度は、
200℃であった。また、得られた内視鏡用可撓管の外
皮の平均厚さは、0.5mmであった。
【0124】(比較例2)被覆層の構成材料、外皮の構
成材料として、それぞれ、ポリアミド系樹脂(製品名:
ノバミッド1010C、三菱エンジニアリングプラスチ
ックス(株)社製、融点:225℃)、ポリウレタン系
エラストマー(製品名:T8180、大日本インキ化学
工業(株)製、融点:170℃)を用いた以外は、実施
例1と同様にして内視鏡用可撓管を製造した。
【0125】なお、この被覆層の形成は、材料温度を2
40℃とした状態で押出成形することにより行った。ま
た、押出成形時の外皮材料温度は、200℃であった。
【0126】被覆層の平均厚さ、外皮の平均厚さは、そ
れぞれ0.03mm、0.5mmであった。
【0127】2.評価 各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可撓管に
ついて、以下に示す試験により、耐薬品性、耐久性の評
価を行った。
【0128】[2.1]弾力性試験 まず、各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可
撓管を25℃のジメチルホルムアミド(DMF)に48
時間浸漬した。その後、内視鏡用可撓管の表面を十分に
水洗し、乾燥させた。
【0129】その後、各内視鏡用可撓管の両端を支持し
て90°折り曲げる操作を行い、そのときの弾力性を以
下の4段階の基準に従って評価した。この弾力性が劣る
ものほど、耐薬品性に劣る。 ◎:弾力性に大変優れ、内視鏡用可撓管としての使用に
最適。 ○:弾力性に優れ、内視鏡用可撓管としての使用に適
す。 △:弾力性がやや劣り、内視鏡用可撓管としての使用に
問題あり。 ×:弾力性が劣り、内視鏡用可撓管としての使用に適さ
ず。 これらの結果を表1に示す。
【0130】さらに、この折り曲げ操作を繰り返し行い
(計300回)、この折り曲げ繰り返し操作の終了時に
おける弾力性を前記と同様にして評価した。弾力性の低
下は、外皮の内部剥離(外皮と芯材との剥離)により生
じる。したがって、弾力性が維持されているものほど耐
久性に優れる。これらの結果を表1に示す。
【0131】[2.2]剥離強度試験 まず、各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可
撓管を25℃のジメチルホルムアミド(DMF)に48
時間浸漬した。その後、内視鏡用可撓管の表面を十分に
水洗し、乾燥させた。
【0132】その後、各内視鏡用可撓管の外皮にコの字
状の切れ目を入れ、この部位の外皮を剥離する際の剥離
強度を測定した。この剥離強度の測定は、デジタルフォ
ースゲージを使用し、内視鏡用可撓管の軸方向に対し、
角度30°で引っ張ることにより行った。被覆層が形成
されていない内視鏡用可撓管(比較例1)の外皮の剥離
強度を1としたときの相対強度を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】表1から明らかなように、本発明の内視鏡
用可撓管は、弾力性試験、剥離強度試験において、優れ
た弾力性(折り曲げ操作1回目、および300回目での
弾力性)、外皮剥離強度を示し、その結果、優れた耐薬
品性、耐久性を有することが確認された。特に、実施例
2の内視鏡用可撓管は、外皮の平均厚さ(内層の平均厚
さと外層の平均厚さとの和)が、実施例1のものに比べ
て薄いにも関わらず、実施例1の内視鏡用可撓管と同等
の弾力性、外皮剥離強度を有していた。
【0135】これに対し、比較例の内視鏡用可撓管は、
弾力性、外皮剥離強度に劣っており、耐薬品性、耐久性
に劣るものであった。
【0136】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、内
視鏡用可撓管に耐薬品性、耐久性を付与することができ
る。
【0137】また、外皮を複数の層が積層された積層体
とした場合、外皮が単層で構成されたものに比べ、十分
な耐薬品性、耐久性を得るのに必要な外皮の厚さを薄く
することができる。したがって、内視鏡用可撓管の細径
化が可能となる。また、各層の材料の選択や厚さ等の設
定を適宜行い、それら各層の特性の組み合わせによっ
て、各層を構成する材料の利点を併有することができ、
その結果、内視鏡用可撓管に必要とされる各種の性能に
ついて同時に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管を有する電子内視鏡を示す全体図である。
【図2】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管の第1実施形態を示す拡大半縦断面図である。
【図3】本発明の内視鏡用可撓管を構成する網状管の拡
大断面図である。
【図4】図2に示す挿入部可撓管の網状管付近の状態を
示す拡大断面図である。
【図5】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管の第2実施形態を示す拡大半縦断面図である。
【符号の説明】
1 挿入部可撓管 2 芯材 21 螺旋管 22 網状管 23 細線 231 被覆層 24 空間 25 間隔 26 隙間 3 外皮 31 突出部 32 内層 33 外層 5 湾曲部 6 操作部 61、62 操作ノブ 7 接続部可撓管 8 光源差込部 81 光源用コネクタ 82 画像信号用コネクタ 10 電子内視鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩坂 喜久男 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 (72)発明者 松下 実 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C061 AA00 BB00 CC06 DD03 FF26 JJ03 JJ06 LL02 MM00 NN10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部を有する芯材と、該芯材の外周に
    被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、 前記外皮の少なくとも前記芯材と対面する部分は、融点
    が300℃以下のフッ素系樹脂を含む材料で構成されて
    いることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  2. 【請求項2】 中空部を有する芯材と、該芯材の外周に
    被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、 前記芯材は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された螺旋
    管と、細線を編組して形成された編組体とを有し、 前記細線の少なくとも一本に、融点が300℃以下のフ
    ッ素系樹脂を含む材料で構成された被覆層が形成されて
    いることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  3. 【請求項3】 中空部を有する芯材と、該芯材の外周に
    被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、 前記芯材は、帯状材を螺旋状に巻回して形成された螺旋
    管と、細線を編組して形成された編組体とを有し、 前記外皮の前記編組体と対面する部分は、融点が300
    ℃以下のフッ素系樹脂を含む第1の材料で構成されてお
    り、 前記細線の少なくとも一本に、融点が300℃以下のフ
    ッ素系樹脂を含む第2の材料で構成された被覆層が形成
    されていることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  4. 【請求項4】 前記第2の材料は、前記第1の材料を2
    5wt%以上含むものである請求項3に記載の内視鏡用
    可撓管。
  5. 【請求項5】 前記第1の材料の融点は、前記第2の材
    料の融点以下である請求項3または4に記載の内視鏡用
    可撓管。
  6. 【請求項6】 前記被覆層の平均厚さは、0.01〜
    0.1mmである請求項2ないし5のいずれかに記載の
    内視鏡用可撓管。
  7. 【請求項7】 前記外皮は、押出成形により形成された
    ものである請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡
    用可撓管。
  8. 【請求項8】 前記フッ素系樹脂の融点は、262℃以
    下である請求項1ないし7のいずれかに記載の内視鏡用
    可撓管。
  9. 【請求項9】 前記フッ素系樹脂は、ポリフッ化ビニリ
    デン、またはこれを主とするものである請求項8に記載
    の内視鏡用可撓管。
  10. 【請求項10】 前記外皮は、複数の層を積層した積層
    部を有するものである請求項1ないし9のいずれかに記
    載の内視鏡用可撓管。
  11. 【請求項11】 前記外皮は、最内層が300℃以下の
    融点を有するフッ素系樹脂で構成され、かつ、前記最内
    層以外の部位がポリウレタン系樹脂またはポリウレタン
    系エラストマーを含む材料で構成されたものである請求
    項10に記載の内視鏡用可撓管。
  12. 【請求項12】 前記外皮の平均厚さは、0.01〜
    1.5mmである請求項1ないし11のいずれかに記載
    の内視鏡用可撓管。
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