JP2004167024A - 内視鏡用可撓管および内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の内視鏡は、可撓性(柔軟性)を有する長尺の可撓管11と、可撓管11の先端部に設けられた湾曲部とを備える挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)1を備えている。挿入部可撓管1(可撓管11)は、管状の芯材2と、この芯材2の外周に被覆された外皮3とを有している。外皮3は、その少なくとも外面付近に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有している。外皮3におけるトロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%であるのが好ましく、トロポロン骨格を有する化合物は、ヒノキチオール、その異性体、その類縁体、または、これらの誘導体のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡用可撓管および内視鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡検査では、挿入部可撓管(内視鏡用可撓管)を、例えば、胃、十二指腸、小腸、大腸等の体腔の深部まで挿入する必要がある。
【0003】
このため、内視鏡検査を行うと、挿入部可撓管の外面に、体腔内に常在する病原菌(例えば、大腸菌等)が接触して、付着してしまう。
【0004】
また、内視鏡は、使い捨てされず、繰り返し使用されるため、従来、付着した病原菌の除去に主眼をおいて、例えば消毒、滅菌処理等が施されている。
【0005】
しかしながら、医療現場では、繰り返し内視鏡を使用するにあたり、安全性の観点から更なる病原菌への対策が求められている。
【0006】
かかる病原菌への対策として、内視鏡用可撓管の外皮に、ハスの葉やオウレンの根茎からの抽出物(抗菌性を有する植物抽出物)を含有する内視鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
ところが、このような内視鏡でも、十分に満足する抗菌性が得られているとは言い難いものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−275936号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抗菌性に優れる内視鏡用可撓管およびこれを備える内視鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮は、その少なくとも外面付近に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有することを特徴とする内視鏡用可撓管。
これにより、優れた抗菌性が得られる。
【0012】
(2) 前記外皮は、主としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている上記(1)に記載の内視鏡用可撓管。
【0013】
これらの熱可塑性エラストマーは、特に高い耐薬品性および柔軟性を有し、また、トロポロン骨格を有する化合物との相溶性が高く、このものとの反応性が極めて低い。
【0014】
(3) 前記外皮における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である上記(1)または(2)に記載の内視鏡用可撓管。
これにより、抗菌性がより向上する。
【0015】
(4) 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮は、複数の層を積層した積層部を有し、
該積層部の外層が、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有することを特徴とする内視鏡用可撓管。
これにより、優れた抗菌性が得られる。
【0016】
(5) 前記外層は、主としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている上記(4)に記載の内視鏡用可撓管。
【0017】
これらの熱可塑性エラストマーは、特に高い耐薬品性および柔軟性を有し、また、トロポロン骨格を有する化合物との相溶性が高く、このものとの反応性が極めて低い。
【0018】
(6) 前記外層における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である上記(4)または(5)に記載の内視鏡用可撓管。
これにより、抗菌性がより向上する。
【0019】
(7) 前記外層の平均厚さは、0.03〜0.8mmである上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
【0020】
これにより、自由な湾曲を妨げることなく、十分な抗菌性を付与することができる。
【0021】
(8) 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮の外面に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有する被覆層が形成されていることを特徴とする内視鏡用可撓管。
これにより、優れた抗菌性が得られる。
【0022】
(9) 前記被覆層は、主としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系エラストマー、エポキシ系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている上記(8)に記載の内視鏡用可撓管。
【0023】
これらのものは、特に高い耐薬品性および柔軟性を有し、外皮材料との相溶性も高い。また、これらのものは、トロポロン骨格を有する化合物との相溶性が高いものであるとともに、このものとの反応性が極めて低い。
【0024】
(10) 前記被覆層における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である上記(8)または(9)に記載の内視鏡用可撓管。
これにより、抗菌性がより向上する。
【0025】
(11) 前記被覆層の平均厚さは、0.05〜1mmである上記(3)に記載の内視鏡用可撓管。
【0026】
これにより、自由な湾曲を妨げることなく、十分な抗菌性を付与することができる。
【0027】
(12) 前記トロポロン骨格を有する化合物は、ヒノキチオール、その異性体、その類縁体、または、これらの誘導体のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
これらのものは、特に高い抗菌性を有するとともに、安全性が極めて高い。
【0028】
(13) 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の内視鏡用可撓管を備えることを特徴とする内視鏡。
これにより、優れた抗菌性を有する内視鏡が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡用可撓管および内視鏡を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図、図2は、図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管の可撓管に対応する部分の縦断面を示す拡大図である。以下の説明では、図1中の上方を「基端」、下方を「先端」と言う。
【0031】
図1に示す電子内視鏡10は、可撓性(柔軟性)を有する長尺の可撓管11と、可撓管11の先端部に設けられた湾曲部12とを備える挿入部可撓管1と、挿入部可撓管1の基端部に設けられ、術者が把持して電子内視鏡10全体を操作する操作部6と、操作部6に接続された接続部可撓管7と、接続部可撓管7の先端側に設けられた光源差込部8とで構成されている。
【0032】
挿入部可撓管1と接続部可撓管7とは、それぞれ、中空部を有する(管状の)芯材の外周を外皮で被覆した内視鏡用可撓管(すなわち、本発明の内視鏡用可撓管)で構成されている。
【0033】
また、操作部6には、その側面に操作ノブ61、62が設置されている。この操作ノブ61、62を操作すると、挿入部可撓管1内に配設されたワイヤー(図示せず)が牽引されて、湾曲部12が4方向に湾曲し、その方向を変えることができる。
【0034】
湾曲部12の先端部内側には、観察部位における被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設けられ、また、光源差込部8の先端部に、画像信号用コネクタ82が設けられている。この画像信号用コネクタ82は、ケーブルを介してモニタ装置(図示せず)に接続された光源プロセッサ装置(図示せず)に接続される。また、光源差込部8の先端部には、光源用コネクタ81が設置され、この光源用コネクタ81が光源プロセッサ装置に接続される。
【0035】
光源プロセッサ装置から発せられた光は、光源用コネクタ81、および、光源差込部8内、接続部可撓管7内、操作部6内および挿入部可撓管1内に連続して配設されたライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部12(挿入部可撓管1)の先端部より観察部位に照射され、照明する。このようなライトガイドは、例えば、石英、多成分ガラス、プラスチック等により構成される光ファイバーが複数本束ねられて構成されている。
【0036】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力される。この画像信号は、挿入部可撓管1内、操作部6内および接続部可撓管7内に連続して配設され、撮像素子と画像信号用コネクタ82とを接続する画像信号ケーブル(図示せず)を介して、光源差込部8に伝達される。
【0037】
そして、光源差込部8内および光源プロセッサ装置内で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなされ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置では、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
【0038】
<挿入部可撓管1>
図2に示すように、挿入部可撓管1は、芯材2と、その外周を被覆する外皮3とを有している。この挿入部可撓管1(芯材2)の空間24には、例えば、光ファイバー、電線ケーブル、ケーブルまたはチューブ類等の長尺部材(図中省略)が配設されている。
【0039】
可撓管11に対応する芯材2は、螺旋管21と、螺旋管21の外周を被覆する網状管(編組体)22とで構成され、また、図示しないが、湾曲部12に対応する芯材2は、互いに回動自在に連結された複数(多数)の節輪と、該節輪の外周を被覆する網状管とで構成され、芯材2は、全体としてチューブ状の長尺物を構成している。
【0040】
螺旋管21は、帯状材を間隔25をあけて、螺旋状に旋回して形成されたものである。また、螺旋管21の内径は、その全長に亘ってほぼ均一となるように設定されている。螺旋管21および節輪の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。
【0041】
網状管(網状管22等)は、金属製または非金属製の細線23を複数並べたものを編組して形成されたものである。細線23の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。また、網状管を構成する細線23のうち少なくとも1本を樹脂材料で被覆するようにしてもよい。
【0042】
網状管22の外周には、編組された細線23の編み目により隙間26が形成されている。この隙間26は、螺旋管21の外周と重なる位置では凹部となり、螺旋管21の間隔25と重なる位置では空間24に連通する孔となって、芯材2の外周に多数の孔および凹部を形成している。
【0043】
また、芯材2(挿入部可撓管1)の内部には、例えば、二硫化モリブデン、窒化ホウ素(BN)、4フッ化エチレン重合体(フッ素系樹脂)、黒鉛、フッ化炭素((CF)n)等の固体潤滑剤が配されている。この固体潤滑剤は、前述したような長尺部材の周囲に配されている。これにより、各長尺部材同士の間や、各長尺部材と芯材2との間における摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくすることができる。このため、挿入部可撓管1(可撓管11および湾曲部12)を湾曲させる際に、各長尺部材の芯材2の長手方向(軸方向)への移動が円滑になされ、その湾曲抵抗が小さいものとなる。また、ライトガイドを構成する光ファイバーの引張り、圧迫、挫屈が抑制され、その結果、損傷、破損等を効果的に防止することができる。
【0044】
芯材2の外周には、外皮3が被覆されている。外皮3は、消化管のような管状臓器の内壁に直接接触する部位であり、体液等が挿入部可撓管1の内部に侵入するのを防止する機能を有する。
【0045】
外皮3の内面には、多数の突出部(アンカー)4が外皮3から連続して内側に向かって突出形成されている。各突出部4は、芯材2の外周に形成された多数の孔および凹部内にそれぞれ進入している。前記凹部内に進入した突出部4の先端は、螺旋管21の外周に達するまで形成されている。また、前記孔内に進入した突出部4は、より長く形成され、その先端が螺旋管21の間隔25に入り込んでいる。
【0046】
これらの突出部4によりアンカー効果が生じ、芯材2に対し外皮3が確実に固定される。このため、外皮3は、挿入部可撓管1が湾曲した場合にも、芯材2と密着した状態を維持し、芯材2の湾曲に合わせて十分に大きく伸縮する。このように大きく伸縮した外皮3の復元力は、強く発揮され、挿入部可撓管1の湾曲を復元させる力に大きく寄与する。
【0047】
また、突出部4を形成することにより、外皮3と網状管22との結合力が強いので、繰り返し使用しても外皮3が網状管22から剥離し難い。したがって、挿入部可撓管1は、耐久性に優れる。
【0048】
網状管22を構成する細線23のうちの少なくとも1本を、樹脂材料で被覆したものを用いる場合には、この被覆された樹脂材料(被覆層)の少なくとも一部は、溶融して外皮3に結合(溶着)する。
【0049】
このような外皮3は、繰り返し施される消毒・滅菌処理等の際に、各種消毒薬等の薬品に曝されることから耐薬品性を有し、かつ、摩擦により体腔内の組織に損傷を与えることを防止するため、柔軟性(可撓性)を有する材料を主材料として構成されているのが好ましい。
【0050】
このような材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリイミドのような各種可撓性を有する樹脂や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ラテックスゴムのような各種エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
特に、外皮3は、主としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されているのが好ましい。これらの熱可塑性エラストマーは、特に高い耐薬品性および柔軟性を有する。また、これらの熱可塑性エラストマーは、後述するトロポロン骨格を有する化合物との相溶性が高いものであるとともに、このトロポロン骨格を有する化合物との反応性が極めて低いものである。
【0052】
外皮3の平均厚さ(突出部4の部分を除く。)は、芯材2およびその内部に配置される各長尺部材を体液等の液体から保護することができ、かつ、挿入部可撓管1の湾曲性を妨げなければ、特に限定されないが、0.08〜0.9mm程度が好ましく、0.1〜0.8mm程度がより好ましい。
【0053】
また、外皮3の厚さは、長手方向に沿って変化する部分を有するものであってもよいが、ほぼ一定であるのが好ましい。これにより、挿入部可撓管1を体腔に挿入する際の操作性がより向上し、患者の負担もより軽減される。
【0054】
このような外皮3は、その外面付近に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有している。本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、トロポロン骨格を有する化合物は、他の抗菌性物質(例えば、ハスやオウレンからの抽出物等)に比べて、極めて高い抗菌性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、外皮3にトロポロン骨格を有する化合物を含有することにより、挿入部可撓管1は、優れた抗菌性を発揮する。
【0055】
トロポロン骨格を有する化合物としては、例えば、ヒノキチオール(β−ツヤプリシン)、α−ツヤプリシン、γ−ツヤプリシンのようなヒノキチオールの異性体、β−ドラブリンのようなヒノキチオールの類縁体、または、これらの誘導体(例えば、5−フェニルアゾヒノキチオール、5−p−トリルアゾヒノキチオール、7−ブロモヒノキチオール、5,7−ジニトロヒノキチオール等)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのものは、特に高い抗菌性を有するとともに、急性毒性、慢性毒性、局所刺激性や抗原性が極めて低い、すなわち、安全性が極めて高い。また、これらのものは、脂溶性(親油性)も高いため、外皮3の主材料である樹脂材料中により均一に混合することができる。これらのことから、これらのものを抗菌性物質として用いることにより、挿入部可撓管1の抗菌性がより向上する。
【0056】
また、これらのものは、合成物を用いるようにしてもよいが、例えば、青森ヒバ、能登ヒバ、ニオイヒバ、オニヒバ、台湾ヒノキ、ニオイヒノキ、ネズコ、アスナロ、ビャクシン等からの抽出物(天然物)を用いるようにするのが好ましい。これにより、抗菌性物質のコストを低減して、挿入部可撓管1の製造コストの低減を図ることができる。
【0057】
また、抽出物を用いる場合、この抽出物中には、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジテンペン、ε−リモネン、テルピノレン、リナロール、テルピネオール、ボルネオール、シネオールのようなテルペン類、ピネトリン類、イソチオシアン酸エステル類等が含まれていてもよい。
【0058】
すなわち、抽出物を用いる場合、この抽出物は、トロポロン骨格を有する化合物を単離・精製して用いてもよいし、そのまま(いわゆる、フィトンチッドとして)用いるようにしてもよい。
【0059】
外皮3におけるトロポロン骨格を有する化合物の含有量は、特に限定されないが、0.1〜20wt%程度であるのが好ましく、1〜10wt%程度であるのがより好ましい。トロポロン骨格を有する化合物の含有量が少なすぎると、その種類等によっては、十分な抗菌性が発揮されない場合があり、一方、トロポロン骨格を有する化合物の含有量を前記範囲を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が期待できない。
【0060】
なお、本実施形態では、トロポロン骨格を有する化合物を、外皮3全体に均一に含有する(混合された)構成のものとして説明したが、外皮3の各部で異なるものであってもよい。例えば、外皮3におけるトロポロン骨格を有する化合物の含有量は、外皮3の厚さ方向および/または長手方向に連続的または段階的に変化するものであってもよい。また、外皮3は、その少なくとも外面付近に、トロポロン骨格を有する化合物を含有するものであればよい。これらの場合、外皮3には、トロポロン骨格を有する化合物を含む部分(または、トロポロン骨格を有する化合物を含む層)が形成されるが、かかる部分(または、かかる層)におけるトロポロン骨格を有する化合物の含有量を、前記範囲となるようにすればよい。
【0061】
また、外皮3の材料(外皮材料)中には、必要に応じて、例えば、可塑剤、無機フィラー、顔料、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤)、X線造影剤等の各種添加物を配合(混合)するようにしてもよい。
【0062】
以上説明したような挿入部可撓管1は、例えば、外皮材料を、芯材2の外周に押出成形によって被覆することにより、連続的に製造することができる。また、押出口からの外皮材料の吐出量(押出量)や、芯材2の引き速度を調整することにより、外皮3の厚さを調節することができる。
【0063】
また、挿入部可撓管1は、例えば、外皮3を中空の管体(チューブ)として別途製造し、これを芯材2に被せた後、加熱等により熱融着して製造するようにしてもよい。
【0064】
押出成形時の材料温度は、特に限定されないが、130〜220℃程度であるのが好ましく、165〜205℃程度であるのがより好ましい。押出成形時の材料温度が、かかる温度範囲の場合、外皮材料は、外皮3への成形加工性に優れる。このため、外皮3の厚さは、その均一度が向上する。また、トロポロン骨格を有する化合物が変質することも好適に防止することができる。
【0065】
次に、挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)1の他の構成例について説明する。
【0066】
図3および図4は、ぞれぞれ、挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の他の構成例を示す縦断面図である。
【0067】
以下、図3に示す挿入部可撓管1Aおよび図4に示す挿入部可撓管1Bについて、それぞれ、前述した挿入部可撓管1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0068】
<挿入部可撓管1A>
挿入部可撓管1Aは、外皮3が、内層31と中間層32と外層33とを有する積層体で構成され、それ以外は、前記挿入部可撓管1と同様である。
【0069】
この外皮3は、内層31、中間層32、外層33のうちのいずれか1層が、他のいずれか1層と比べて物理的特性または化学的特性が異なる材料で構成されたものである。物理的特性としては、例えば、剛性(弾力性)、硬度、伸び率、引張り強さ、せん断強さ、曲げ弾性率、曲げ強さ等が挙げられ、化学的特性としては、例えば、耐薬品性、耐候性等が挙げられる。なお、これらは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0070】
本構成例では、外層33が、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有しており、この外層33の構成(材料、形状等)が前記挿入部可撓管1における外皮3と同様とされている。
【0071】
外層33の平均厚さは、特に限定されないが、0.03〜0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度がより好ましい。外層33の厚さが薄すぎると、挿入部可撓管1Aの外面に付与されるトロポロン骨格を有する化合物の量が少なくなり、十分な抗菌性が発揮されない場合があり、一方、外層33の厚さが厚すぎると、外層33の剛性等によっては、挿入部可撓管1Aの自由な湾曲が妨げられる場合がある。
【0072】
なお、内層31の構成材料としては、特に、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましい。これらを用いることにより、突出部4の形成を制御し易くなる。
【0073】
また、内層31の平均厚さ(突出部4の部分を除く。)は、特に限定されないが、0.03〜0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度がより好ましい。
【0074】
中間層32は、外層33より弾力性に優れた層とされているのが好ましい。これにより、中間層32が内層31と外層33との間のクッション機能を発揮する。また、中間層32は、内層31よりも柔軟な層であるのが好ましい。
【0075】
中間層32のクッション機能についてより詳しく説明する。挿入部可撓管1Aが湾曲したとき、中間層32の弾力性が優れていることにより、変形した中間層32の復元力は、強く発揮される。そして、中間層32が比較的硬度の高い内層31と外層33との間に挟まれているので、中間層32の復元力は、内層31と外層33とに効率良く伝わる。このため、中間層32の復元力のほぼすべてが挿入部可撓管1Aの曲げを復元させる力に生かされる。このような構成とすることにより、挿入部可撓管1Aの弾力性を優れたものとすることができる。
【0076】
中間層32の構成材料としては、各種可撓性を有する樹脂や、各種エラストマー等を用いることができるが、これらの中でも、特に、低硬度のポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、弾力性に優れるため好ましい。
【0077】
中間層32の平均厚さは、特に限定されないが、0.02〜0.8mm程度が好ましく、0.02〜0.4mm程度がより好ましい。
【0078】
なお、外皮3は、このような複数の層が積層された積層部をその長手方向の全長に渡って有するものであっても、その長手方向の少なくとも一部に有するものであってもよい。
【0079】
このように、外皮3を、耐薬品性に優れ、かつ、トロポロン骨格を有する化合物を含有する外層33と、弾力性に優れた中間層32と、芯材2に対する密着性に優れる内層31とで構成することにより、各層がそれぞれの機能を好適に発揮する。その結果、外皮3は、それらの相乗効果により、極めて優れた特性を有するものとなる。
【0080】
このような挿入部可撓管1Aは、複数の押出口を備えた押出成形機を用いて、芯材2の外周に、内層31、中間層32および外層33の積層体を被覆することにより、連続的に(一体的に)製造してもよく、また、例えば、各層に対応する中空の管体(チューブ)を製造し、これらを順次、芯材2に被せた後、加熱等により熱融着するようにしてもよい。
【0081】
このような構成の挿入部可撓管1Aおよびこれを備える電子内視鏡10も、前記と同様の効果が得られる。
【0082】
なお、外皮3は、図示の構成のものに限定されず、例えば、中間層32が省略された2層構造のもの、4層以上の積層構造のもの等であってもよい。
【0083】
<挿入部可撓管1B>
挿入部可撓管1Bは、外皮3がトロポロン骨格を有する化合物を含有せず、外皮3の外面に、トロポロン骨格を有する化合物を含有する被覆層9が形成され、それ以外は、前記挿入部可撓管1と同様である。
【0084】
被覆層9は、各種熱可塑性樹脂や各種熱硬化性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素系(フッ素ゴム系)、塩素化ポリエチレン系等の各種エラストマー(熱可塑性エラストマー)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等を主材料として構成することができる。なお、これらのものは、1または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
特に、被覆層9は、主としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系エラストマー、エポキシ系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されているのが好ましい。これらのものは、特に高い耐薬品性および柔軟性を有し、外皮材料との相溶性も高い。また、これらのものは、トロポロン骨格を有する化合物との相溶性が高いものであるとともに、このトロポロン骨格を有する化合物との反応性が極めて低いものである。
【0086】
被覆層9の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜1mm程度が好ましく、0.1〜0.7mm程度がより好ましい。被覆層9の厚さが薄すぎると、挿入部可撓管1Bの外面に付与されるトロポロン骨格を有する化合物の量が少なくなり、十分な抗菌性が発揮されない場合があり、一方、被覆層9の厚さが厚すぎると、被覆層9の剛性等によっては、挿入部可撓管1Bの自由な湾曲が妨げられる場合がある。
【0087】
また、被覆層9の全体の厚さは、長手方向に沿って変化する部分を有するものであってもよいが、ほぼ一定であるのが好ましい。これにより、挿入部可撓管1Bを体腔に挿入する際の操作性がより向上し、患者の負担もより軽減される。
【0088】
このような被覆層9は、抗菌性物質として、トロポロン骨格を有する化合物を含有している。また、被覆層9におけるトロポロン骨格を有する化合物の含有量も、前記挿入部可撓管1で説明したのと同様である。
【0089】
以上説明したような被覆層9は、例えば、トロポロン骨格を有する化合物を含有する被覆層9の材料を、液体に溶解または分散させた塗布液を、挿入部可撓管1Bの外皮3の外面に接触させた後、固化または硬化させることにより、容易に形成することができる。
【0090】
前記液体(溶媒または分散媒)としては、外皮3の外面を適度に溶解または膨潤させるものが好ましく、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0091】
また、被覆層9を形成するのに先立って、外皮3の外面には、必要に応じて、例えば、押出口金の形状選択、梨地加工、薬品処理、ショットブラスト、サンドブラスト等の方法により、微少な凹凸を形成するようにしてもよい。これにより、被覆層9と外皮3との密着性をより向上させることができる。
【0092】
このような構成の挿入部可撓管1Bおよびこれを備える電子内視鏡10も、前記と同様の効果が得られる。
【0093】
以上、本発明の内視鏡用可撓管および内視鏡について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部材(各部)の構成は、同様の機能を有する任意のものに置換すること、もしくは、任意の構成を付加することもできる。
【0094】
各前記実施形態では、内視鏡用可撓管として挿入部可撓管を代表に説明したが、本発明の内視鏡用可撓管は、接続部可撓管に適用することができ、また、内視鏡として電子内視鏡(電子スコープ)を代表に説明したが、本発明の内視鏡は、光学内視鏡(ファイバースコープタイプの内視鏡)に適用することができることは言うまでもない。
【0095】
また、各前記実施形態では、医療用に用いられる内視鏡について説明したが、本発明の内視鏡は、工業用(産業用)に用いられる内視鏡に適用することもできる。
【0096】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0097】
(実施例1A)
まず、幅3.2mmのステンレス製の帯状材を巻回して、外径9mm、内径7mmの螺旋管を作製し、この先端に節輪を接合した。次に、この外周部を、直径0.08mmのステンレス製の細線を10本ずつ並べたものを編組みした網状管で被覆して芯材を得た。
【0098】
次に、芯材の外周に、押出成形により、ヒノキチオール(トロポロン骨格を有する化合物)を含有するポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ディーアイシーバイエルポリマー(株)社製、パンデックス)で構成される外皮(厚さ0.4mm)を被覆して、長さ1.5mの挿入部可撓管を作製した。
なお、外皮におけるヒノキチオールの含有量は、5wt%とした。
【0099】
次に、このような挿入部可撓管の内部に、各種長尺部材を配設し、図1に示すような電子内視鏡(上部消化管用内視鏡)を製造した。
【0100】
(実施例2A〜20A)
外皮の構成を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1Aと同様にして電子内視鏡を製造した。
【0101】
なお、実施例18A〜20Aで用いた抗菌性物質は、次のようにして調製した。すなわち、同重量のハスの葉の乾燥物およびオウレンの根茎の乾燥物を、細切して、25℃に保持した水に浸漬させ、1時間攪拌した。次に、かかる液を、ろ紙を用いてろ過し、60℃の加温下で、真空エパボレータを用いて濃縮して濃縮液を得た。次に、かかる濃縮液を70℃で24時間乾燥させ、乾燥エキスを得て、これを抗菌性物質として用いた。
【0102】
(実施例1B)
外皮の構成を、外層がヒノキチオール(トロポロン骨格を有する化合物)を含む層とし、中間層と内層とからなる積層体とした以外は、前記実施例1Aと同様にして挿入部可撓管を作製し、電子内視鏡を製造した。
【0103】
なお、積層体の形成は、3個の押出口を備えた押出成形機を用いて行った。すなわち、内層、中間層および外層を同時に押出し、その積層体を芯材に被覆することにより積層構造を有する外皮を連続的に形成した。
【0104】
なお、内層にはポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ディーアイシーバイエルポリマー(株)社製、パンデックス)を、中間層にはポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学(株)社製、サーモラン)を、外層には前記実施例1Aと同様の材料を、それぞれ使用した。
【0105】
また、内層、中間層および外層の厚さは、それぞれ0.15mm、0.1mm、0.15mmとした。
【0106】
(実施例2B〜20B)
外層の構成を、表2に示すように変更した以外は、前記実施例1Bと同様にして電子内視鏡を製造した。
【0107】
なお、実施例18B〜20Bで用いた抗菌性物質は、前記実施例18A〜20Aと同様にして調製したものを用いた。
【0108】
(実施例1C)
まず、トロポロン骨格を有する化合物を含有しないポリウレタン系熱可塑性エラストマー(前記と同様)を用いて前記実施例1Aと同様にして挿入部可撓管を作製した。
【0109】
次に、ヒノキチオール(トロポロン骨格を有する化合物)を含む塗布液を、外皮3の外面に刷毛を用いて塗布した後、乾燥・固化させて、挿入部可撓管の外面に被覆層(平均厚さ50μm)を形成した。
なお、被覆層におけるヒノキチオールの含有量は、5wt%とした。
【0110】
また、前記塗布液は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ディーアイシーバイエルポリマー(株)社製、パンデックス)を20wt%となるように、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して調製したものを使用した。
次に、前記実施例1Aと同様にして、電子内視鏡を製造した。
【0111】
(実施例2C〜4C)
被覆層の構成を、表3に示すように変更した以外は、前記実施例1Cと同様にして電子内視鏡を製造した。
【0112】
なお、実施例4Cで用いた抗菌性物質は、前記実施例18A〜20Aと同様にして調製したものを用いた。
【0113】
[評価]
各実施例で製造した電子内視鏡(挿入部可撓管)に対して、それぞれ、JISZ 2911に規定の試験法(B法)によりかび抵抗性試験を実施し、以下の5段階の基準に従って評価した。
0:肉眼及び顕微鏡下でかびの発育は認められない。試料の周囲に発育阻止帯が認められる場合は、その幅をmmで記載する。
1:肉眼ではかびの発育は認められないが、顕微鏡下で確認する。
2:菌糸の発育はわずかで、発育部分の面積は試料の全面積の25%を超えない。
3:菌糸の発育は中程度で、発育部分の面積は試料の全面積の25〜50%。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50〜100%。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
この結果を表1〜表3に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
表1〜表3に示すように、実施例1A〜14A、1B〜14B、1Cおよび2Cの電子内視鏡(本発明の内視鏡)の挿入部可撓管は、いずれも、抗菌性に優れるものであった。
【0118】
また、実施例1A〜14A、1B〜14Bの電子内視鏡(本発明の内視鏡)の挿入部可撓管は、いずれも、その外皮が高温環境下を経て製造されたにもかかわらず、トロポロン骨格を有する化合物の変質が防止または抑制され、十分な抗菌性が維持されていた。
【0119】
これに対し、比較例15A〜20A、15B〜20B、3Cおよび4Cの電子内視鏡の挿入部可撓管は、いずれも、抗菌性に劣るものであった。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、優れた抗菌性が発揮される。
【0121】
また、トロポロン骨格を有する化合物と、外皮や被覆層の主材料との反応性が乏しい(不活性)ため、抗菌性が長期間維持される。
【0122】
さらに、例えば、製造過程あるいは高温殺菌処理等の高温環境下を経ても、細菌等に対する十分な抗菌性を発揮することができる。
【0123】
このようなことから、例えば、体腔に挿入して使用した場合でも、その表面に存在する生菌数をより少なく抑えることができ、さらに、消毒や滅菌処理等を施すことにより、その表面の生菌数を極めて少なくすることができる。
【0124】
このようなことから、繰り返して使用した際の、2次感染等の危険性が好適に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図である。
【図2】図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の可撓管に対応する部分の縦断面を示す拡大図である。
【図3】挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の他の構成例を示す縦断面図である。
【図4】挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 電子内視鏡
1、1A、1B 挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)
11 可撓管
12 湾曲部
2 芯材
21 螺旋管
22 網状管
23 細線
24 空間
25 間隔
26 隙間
3 外皮
31 内層
32 中間層
33 外層
4 突出部
6 操作部
61、62 操作ノブ
7 接続部可撓管
8 光源差込部
81 光源用コネクタ
82 画像信号用コネクタ
9 被覆層
Claims (13)
- 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮は、その少なくとも外面付近に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有することを特徴とする内視鏡用可撓管。 - 前記外皮は、主としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている請求項1に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記外皮における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である請求項1または2に記載の内視鏡用可撓管。
- 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮は、複数の層を積層した積層部を有し、
該積層部の外層が、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有することを特徴とする内視鏡用可撓管。 - 前記外層は、主としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている請求項4に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記外層における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である請求項4または5に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記外層の平均厚さは、0.03〜0.8mmである請求項4ないし6のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
- 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管であって、
前記外皮の外面に、抗菌性物質としてトロポロン骨格を有する化合物を含有する被覆層が形成されていることを特徴とする内視鏡用可撓管。 - 前記被覆層は、主としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系エラストマー、エポキシ系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマーのうちの少なくとも1種で構成されている請求項8に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記被覆層における前記トロポロン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜20wt%である請求項8または9に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記被覆層の平均厚さは、0.05〜1mmである請求項3に記載の内視鏡用可撓管。
- 前記トロポロン骨格を有する化合物は、ヒノキチオール、その異性体、その類縁体、または、これらの誘導体のうちの少なくとも1種である請求項1ないし11のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の内視鏡用可撓管を備えることを特徴とする内視鏡。
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JP2006218209A (ja) * | 2005-02-14 | 2006-08-24 | Olympus Medical Systems Corp | 内視鏡の湾曲部用外皮 |
WO2006121163A1 (ja) * | 2005-05-12 | 2006-11-16 | Olympus Medical Systems Corp. | 内視鏡可撓管 |
-
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