JP2011212337A - 内視鏡装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属部材を有する内視鏡装置において、オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、金属部材と可撓性外皮との固定部等における樹脂層の破損や劣化の発生が抑制され、耐久性に優れた医療用内視鏡装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属部材表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層と、該ポリマー層に積層されたエポキシ樹脂層とを、有する部分構造を備える内視鏡装置である。フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層は、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、内視鏡装置及びその製造方法に関し、詳細には、金属部材を他の部材で被覆する部分、金属部材に該金属部材に固定される被固定部材を固定する接合部分の形成に有用な部分構造を有する内視鏡装置及びその製造方法に関する。
医療用内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して臓器などを観察したり、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種治療や処置を行なったりする。
このため、一度使用した内視鏡を他の患者に再使用する場合、内視鏡を介しての患者間の感染を防止するため、検査・処置終了後に内視鏡の消毒・滅菌を行う必要がある。消毒や滅菌には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾン、高温高圧の水蒸気を使用する滅菌であるオートクレーブなどを使用する方法がある。
近年、患者への負荷軽減のために、内視鏡の可撓管については細径化が望まれており、高機能化を目的として種々の部材を狭い空間に収めるには、ネジやビス等の嵩張る機械的な結合部材ではなく、接着剤を用いた結合が有効であり、現在の多くの内視鏡において、部材同士の接続には接着剤が用いられている。
例えば、内視鏡の挿入部可撓管やその先端に連結された湾曲部などは、部材の保護や人体への影響軽減のため、可撓性のあるチューブ状の軟質外皮で被覆されているが、このような軟質外皮を固定する部分では、その端部を糸巻きにより固定するとともに、この糸巻き構造をエポキシ接着剤層で被覆し、糸の解れを防ぐとともに滑らかな外形を実現している。その他にも、処置用の鉗子を通す鉗子チューブの接続、先端部への窓材の接着シール等にも接着剤が用いられている。
また、柔軟部材を備える硬性内視鏡装置においても、柔軟部材における軟質外皮チューブと本体のステンレス管との結合部にも、同様に接着剤による結合が行われている。
内視鏡の高度な滅菌処理の代表的な手法である過酸化水素プラズマ法は、プラズマにより過酸化水素を分解して活性なヒドロキシラジカルを発生させ、これにより滅菌を行う方法である。また、高温高圧蒸気で内視鏡を滅菌するオートクレーブは、広く普及している消毒滅菌方法であり、いずれも方法においても滅菌効果の信頼性が高く、残留毒性がなく、ランニングコストが安い等の多くのメリットを有するが、当該環境下では、内視鏡装置、特には、その軟質部材に与えるダメージが大きいという問題がある。本発明者が検討した結果、特に、硬性内視鏡装置に使用されるステンレスなどの鉄を含む金属部材は、過酸化水素プラズマ処理による酸の作用により遊離した鉄イオンにより過酸化水素の酸化作用が促進され、隣接する樹脂材料に著しい損傷を与えることが明らかとなった。このような酸化作用の促進により、通常よりも厳しい条件で有機材料の劣化がおこり、固定部での有機材料劣化により内視鏡の水密構造が破壊され、機能が失われるといった事態が懸念される。
金属部材の接合部、固定部に使用される接着剤としては、強度の観点からエポキシ樹脂接着剤が汎用される。
エポキシ樹脂接着剤の硬化物はその架橋密度を上げることで耐熱性、耐薬品性が向上するが、他方、架橋密度を上げるとエポキシ樹脂層の脆性が悪化し、特に、可撓性の部材などを固定化する際には、接着力が低下してしまうという問題がある。
従って、通常、接着剤として用いられるエポキシ材料は、硬化剤の種類、エポキシ主剤と硬化剤量の配合比を調節することで、耐熱・耐薬品性を減じることと引き換えに必要な接着性を確保するという、相反する要求性能項目間のバランスで配合されている。しかしながら、このような配合の接着剤を用いて軟性チューブの糸巻き部の保護を行うことで形成された結合部は、各種の高水準消毒薬による処理、特にオートクレーブ滅菌、過酸化水素プラズマ滅菌処理に対して十分な耐久性をもつものが望まれていた。
このような課題に対して、硬質なエポキシ樹脂にゴムあるいは樹脂粒子を配合して柔軟性を付与することで解決を図ろうとする提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法によっても、硬質なエポキシ樹脂の耐薬品性、耐熱性を減ずることなく、高い接着性を実現できるという点では改良の余地があった。
特に、金属部材の表面に直接エポキシ接着剤を使用した部分での劣化が著しく、接着剤の選定以外にも、耐久性を向上させるための手段が望まれていた。
特開2006−218102公報
上記問題点を考慮してなされた本発明は、金属部材を有する内視鏡装置において、オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、金属部材と可撓性外皮と、の固定部等における樹脂層の破損や劣化の発生が抑制され、耐久性に優れた医療用内視鏡装置を提供することを目的とする。
本発明の第二の課題は、上記耐久性に優れた医療用内視鏡装置を簡易に製造しうる内視鏡装置の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、金属部材とエポキシ樹脂層との間に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層を設けることで上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の構成は以下に示すものである。
本発明の請求項1に係る内視鏡装置は、金属部材表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層と、該ポリマー層に積層されるエポキシ樹脂層とを、順次有する部分構造を備えることを特徴とする。
ここで、部分構造が、金属部材と該金属部材に固定される被固定部材との固定部である場合に、本発明の効果が著しいといえる。
また、前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層が、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層であり、架橋構造を含む層であることが密着性と耐久性との観点から好ましい。
金属部材として鉄を含む金属部材に適用することで、本発明の効果が著しいといえる。これは、本発明に係るポリマー層が、金属部材表面に存在することで、鉄イオンの遊離を抑制し、遊離した鉄イオンに起因する酸化促進によるエポキシ樹脂層の劣化を効果的に抑制しうるためと考えている。
前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとしては、フッ化アルキルレン構造単位、及び、フッ化ビニルエーテル構造単位から選択される構造単位を共重合成分として含むポリマーが好ましく、前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層の厚みが、1μm以上50μm以下であり、前記エポキシ樹脂層の厚みが50μm以上600μm以下であることが、効果の観点から好ましい。
本発明の請求項7に係る内視鏡装置の製造方法は、金属部材に該金属部材に固定される被固定部材を固定させる固定部を有する内視鏡装置の製造方法であって、金属部材表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有するポリマー層形成用組成物を塗布し、乾燥してポリマー層を形成する工程と、該ポリマー層表面に、エポキシ樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗布してエポキシ樹脂塗布液層を形成する工程と、該エポキシ樹脂塗布液層表面に被固定部材を接触させ、エネルギーを付与してエポキシ樹脂層を硬化する工程と、を、この順で有することを特徴とする。
さらに、請求項8に係る内視鏡装置の製造方法は、金属部材に該金属部材に固定される被固定部材に固定させる固定部を有する内視鏡装置の製造方法であって、2つの部材同士を突き合わせて接合させる固定部分の表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有するポリマー層形成用組成物を塗布し、乾燥してポリマー層を形成する工程と、
該ポリマー層表面を糸で巻き締めて、2つの部材を固定する糸巻き構造を形成する工程と、該糸巻き構造表面に、エポキシ樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗布して、糸巻き構造を被覆し、その後、エネルギーを付与してエポキシ樹脂層を硬化する工程と、をこの順に有することを特徴とする。
本発明における固定部とは、金属製硬質部材と可撓性部材との接合部、金属部材とチューブ状の可撓性外皮との固定部等、金属部材の表面保護のための被覆部など、金属部材表面にエポキシ樹脂層が形成される領域であれば特に制限はない。
より具体的には、内視鏡装置の挿入部内に挿通される可撓管の口元部分を挿入部の先端部本体や屈曲部へ固定する態様、挿入部の先端本体に配置されたレンズ群などの光学系の枠体を先端部本体へ固定する態様、可撓管に挿通された屈曲部を先端部本体に固定する態様、先端部本体に組み込まれたCCDなどの光学系の配線等を保護、固定化する態様、硬性内視鏡における金属部材を可撓性部材に固定化する態様などが挙げられる。
本発明よれば、金属部材を有する内視鏡装置において、オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、金属部材と可撓性外皮と、の固定部等における樹脂層の破損や劣化の発生が抑制され、耐久性に優れた医療用内視鏡装置を提供することができる。
また、本発明によれば、上記耐久性に優れた医療用内視鏡装置を簡易に製造しうる内視鏡装置の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る超音波内視鏡装置の全体構成図である。 図1の超音波内視鏡における金属部材の接合部分近傍を拡大して表示した部分概略断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る内視鏡の外観図である。
本実施の形態による内視鏡100は、操作部22、この操作部22に延設され内部にチャネル孔が形成され、先端部10と湾曲部14と硬性部18とを備える挿入部及び、操作部22に接続されるライトガイド(LG)軟性部28を備える。ライトガイド(LG)軟性部28には、図示されないがコネクタや中継コード軟性部などを介して、光源装置に着脱可能に接続される。
操作部22には鉗子等の処置具が挿入される鉗子口20が設けられるとともに、上下アングルレバー24が設けられる。操作部22の挿入部の連設側とは反対側の部位に、内視鏡観察像を観察するための接眼レンズ部26が備えられている。また、必要に応じて、操作部22には、FRスイッチや吸引スイッチユニットなどを設けてもよい。
挿入部は、硬性部18、湾曲部14、及び、先端部10から構成され、湾曲部14は、操作部22に設けられた上下アングルレバー24を操作することにより遠隔的に湾曲操作され、先端部10が所望の方向に向けられる。
変形可能な湾曲部14と先端部10との間には両者を接合固定化する接合部(A)12が、湾曲部14と硬性部18との間には両者を接合固定化する接合部(B)16が、それぞれ設けられている。
挿入部における先端部10には、図示されない内視鏡観察機構を構成する照明用レンズを設けた照明窓及び対物レンズを設けた観察窓が設けられている。照明窓には光ファイババンドルからなるライトガイドの出射端面が臨み、このライトガイドは操作部22を経てライトガイド軟性部28内に延在されて、光源装置に接続できるようになっている。また、観察窓31における対物レンズの結像位置には、光ファイババンドルからなるイメージガイドの入射端が臨み、このイメージガイドの他端は接眼レンズ部26内に延在されて、この接眼レンズ部26に設けた接眼レンズに対向配設される。
挿入部には、以上の挿通部材の他、鉗子その他の処置具を挿通するための処置具挿通チャンネル34が設けられており、鉗子その他の処置具は、前述した鉗子口20から処置具挿通チャンネルを介して体腔内に挿入できるようになっている。そして、処置具挿通チャンネルの先端から所定の長さ分だけ突出させた状態で操作される。
ここで、挿入部における硬性部18と湾曲部14との接合部(B)16が、本発明における固定部に相当する。
図2は、接合部(B)16の接合状態の一態様を明示した部分断面図である。
SUS製の硬性部18と湾曲部14とは突き合わされて接合される。金属部材である硬性部18の表面には、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層38が設けられる。湾曲部14の表面には、エポキシ樹脂層39を介して、チューブ状の形態をとる可撓性外皮40が接着されている。可撓性外皮40で被覆された湾曲部14と硬性部18との端部は互いに突き合わされており、共に外周面を糸36で巻き締めて糸巻き構造を形成することにより可撓性外皮40に覆われた湾曲部14が硬性部18と固定されており、糸36を巻き締めることで形成された糸巻き構造が存在する領域においては、可撓性外皮40、硬性部18及び糸36の外周には、エポキシ樹脂を含有する組成物が適用されてなるエポキシ樹脂層41が形成されており、糸36のほつれや切断を防止するとともに、糸巻き構造の外部を被覆して、なめらかな曲面を形成している。
本発明においては、金属部材である硬性部18や湾曲部14とエポキシ樹脂層39、41とは、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層38を介して接合している。このフッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層38が金属部材表面を保護するとともに、外周エポキシ樹脂層39、41と金属部材との密着性を向上させる。フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層38の機能により、可撓性外皮40と湾曲部14の界面が保護され、オートクレーブやプラズマなどの厳しい滅菌条件下、特に、過酸化水素による金属イオンの遊離によるエポキシ樹脂層39、41の劣化が効果的に抑制され、金属部材の劣化、接合部の強度低下のみならず、エポキシ樹脂層41の劣化に起因する糸36の露出、切断なども抑制される。
次に、前記の如き部分構造を形成するための各種素材を、その製造方法とともに詳細に説明する。
<フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層(特定ポリマー層)>
まず、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層(以下、適宜、特定ポリマー層と称する)38を構成する材料について説明する。
図3に示す如き部分構造において特定ポリマー層38を形成するには、金属部材表面の特定ポリマー層を形成しようとする領域に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマー(以下、適宜、特定ポリマーと称する)を含有する特定ポリマー層形成用組成物を適用し、乾燥させる方法をとることができる。
フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する塗布液組成物は、フッ化ビニリデン単位を主成分として含むポリマーを含有する。
特定ポリマーは、重合成分としてフッ化ビニリデン単位を有するものであれば、特に制限はないが、効果の観点からは、フッ化ビニリデン単位を 40モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは50モル%以上90モル%以下の範囲で含むものである。
フッ化ビニリデン単位の含有率が上記範囲において、均一なポリマー層が形成され、且つ、隣接するエポキシ樹脂層との十分な接着力が得られる。なお、特定ポリマーは、フッ化ビニリデン単位のみからなるものであってもよいが、フッ化ビニリデン単位の含有率が90モル%を超えると均質なポリマー層を形成し難くなる傾向にあり、そのような観点から、塗布性向上のため、フッ化ビニリデン単位以外の単位を含む共重合体であることも好ましい態様であるとえる。
特定ポリマーの耐酸化性、液状成分浸透抑制能向上の観点からは、フルオロアルキル基、フルオロビニル基などのフッ素含有単位を共重合成分として含むものが好ましい。
好ましくは、フッ化ビニリデン単位を40〜90モル%含み、さらに、フッ化アルキレン基含有単位を10〜50モル%、或いは、フッ化ビニルエーテル単位を10〜50モル%含んで構成されるポリマー、フッ化アルキレン基含有単位を10〜30モル%、及び、フッ化ビニルエーテル単位を10〜30モル%含んで構成されるポリマー等が挙げられる。
フッ化アルキレン基含有単位としては例えば、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレンなどが挙げられる。
フッ化ビニルエーテル単位としては、パーフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
本発明に用いうる特定ポリマーの例としては、例えば、フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、パーフルオロビニルエーテルから選ばれるひとつあるいは複数の共重合成分と、の共重合体が挙げられる。
また、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンを主成分とする共重合物にポリフッ化ビニリデンをグラフト共重合させたグラフト重合体なども本発明に係る特定ポリマーとして用いることができる。
本発明に用いうる特定ポリマーの具体例としては、フッ素ゴムなどが挙げられる。特定ポリマーは市販品としても入手可能であり、例えば、ダイキン工業製、G−902(商品名:フッ化ビニリデン単位を40〜90モル%含む)、セントラル硝子製、セプラルソフト(商品名:フッ化ビニリデン単位を40〜90モル%含む)などが挙げられ、これらは本発明における特定ポリマーとして好適に使用される。
特定ポリマーが硬化してポリマー層を形成する場合、該ポリマー層は架橋構造を含むことが、耐久性向上の観点から好ましい。従って、硬化時の紫外線照射、加熱などのエネルギー付与により、架橋構造を形成しうる特定ポリマーを使用するか、或いは、ポリマー層形成用組成物に、架橋構造を形成しうる添加剤を併用することも好ましい態様である。
好ましい態様の一つとして、過酸化物架橋を形成しうる官能基を有する特定ポリマーが挙げられる。そのような特定ポリマーの好ましい例としては、高活性のヨウ素原子、或いは臭素原子を含む架橋構造を形成しうる官能基(架橋性基)を有するもの架橋性の特定ポリマーが挙げられる。架橋性の特定ポリマーを用いることで、有機化酸化物と共架橋剤との存在下で熱架橋することが可能となる。
なお、特定ポリマーは、上記熱架橋以外にも放射線架橋、電子線架橋が可能であるため、特別な架橋性基を有しない特定ポリマーを用いる場合も、放射線や電子線を照射することでポリマー層中に架橋構造を形成することが可能である。
本発明におけるフッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層を形成する際には、特定ポリマーは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
本発明に係る特定ポリマー層の形成に際しては、前記特定ポリマーに加え、本発明の効果を損なわない範囲において種々の添加剤を用いてもよい。
特定ポリマーとして。前記架橋性基を有する特定ポリマーを用いる場合、有機過酸化物及び共架橋剤を含有することが好ましい。
有機過酸化物としては、通常、フッ素ゴムの架橋に用いられる化合物を用いることができる。
また、特定ポリマー層形成用組成物中には、ビニル基を有するシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤を含むことで、隣接する金属部材との加硫接着が可能となり、金属部材と特定ポリマー層との密着性向上にも有用である。
本発明に用いうるシランカップリング剤としては、ビニル基を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、またこれらをトリエトキシシラン等のアルコキシシランと縮合させたオリゴマー型のシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤の添加量は、樹脂に対して、1〜5質量%程度であることが好ましい。
また、特定ポリマー層には、膜強度向上のため、カーボンブラックなどのフィラーを含有してもよい。
特定ポリマー層の形成に際しては、特定ポリマー、及び、所望により用いられる前記添加剤を揮発性溶媒に溶解或いは分散して、特定ポリマー層形成用組成物を調製し、これを金属部材表面に適用し、乾燥すればよい。
特定ポリマー層形成用組成物の調製に用いられる溶剤としては、特定ポリマーを均一に溶解することができる限りにおいて任意であるが、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これら溶剤を単一、若しくは複数混合して用いるのが好ましい。
特定ポリマー層形成用組成物中の固形分濃度は、塗布均一性の観点から、0.1〜5質量%の範囲であることが好ましい。
特定ポリマー層形成用組成物の適用方法には特に制限はなく、公知の方法により実施することができる。例えば、組成物への浸漬、ハケ塗り、スプレー塗布などが挙げられる。
適用後の組成物層を乾燥し、硬化させる方法としては、温風や加熱ゾーンに配置するなど、非接触で加熱する方法、金属部材側からヒーターなどを当てて加熱する方法、真空乾燥する方法などが挙げられ、なかでも、100〜180℃、好ましくは、150℃前後の、熱窒素気流中で処理する方法が好ましい。処理時間は、1〜5分間程度が好ましい。
特定ポリマー層の乾燥後の膜厚は、効果の観点から、0.1μm〜50μmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜10μmの範囲であることがより好ましい。上記範囲において、耐久性に優れた膜が形成され、金属部材表面をスチーム、プラズマ、過酸化水素などから十分に保護しうるとともに、膜の凝集破壊による耐久性の低下も抑制される。
なお、特定ポリマー層と金属部材との密着性を向上させる目的で、金属部材表面に予めシランカップリング剤を塗布することもできる。シランカップリング剤を0.1質量%〜1質量%の濃度のアルコール溶液として調製し、金属部材表面に塗布したのち、特定ポリマー層形成用塗布液を塗布して特定ポリマー層を設けることで、シランカップリング剤の機能により、金属部材と特定ポリマー層が架橋構造を形成し、密着性が向上する。
(エポキシ樹脂層)
次に、特定ポリマー層表面にエポキシ樹脂層を形成する。エポキシ樹脂層の形成には液状のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本発明に好適に用いられるエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及び、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの群より適宜選択される。
エポキシ樹脂に組み合わせて用いられる硬化剤としては、目的とする柔軟性、具体的には、目的とする弾性率を有する硬化物が得られる限り、特に制限はないが、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤として公知の、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン等、また、イミダゾール化合物のような含窒素芳香族等の任意のアミン系硬化剤、アミドアミン硬化剤等の中から任意のものを単独で、或いは、二種以上を併用して用いることができる。
また、エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量としては、エポキシ基とアミノ基とを当量近傍で反応させることが好ましい。なお、本明細書においては、エポキシ樹脂においては、その1官能当りの分子量をエポキシ当量と称し、硬化剤としてアミン系硬化剤を用いる場合のアミン当量は活性水素当量と称する。前記配合比は、エポキシ当量とアミン当量とから算出される理論配合比と接着強度などの諸特性とに基づいて最適な範囲を規定したものである。
エポキシ樹脂層を形成するための組成物には、上記エポキシ樹脂及び硬化剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、反応性希釈剤、揮発性溶剤、カップリング剤、フィラー等、種々の添加剤を併用してもよい。
反応性希釈剤は、接着剤の形成に際し、塗布性向上、塗布液の粘度を調節する目的で添加され、たとえば、ブタンジオールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、塗布液の粘度調整のため、揮発性溶媒を添加してもよい。塗布液組成物の調製に用いる溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒が挙げられる。
さらに、基材との接着を強化する目的でシランカップリング剤などの接着強化剤を、或いは、架橋密度を上げて耐熱性を向上させる目的で、多官能のエポキシ化合物を、それぞれ添加してもよい。
また、エポキシ樹脂層には、さらに、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのようなフィラーを添加することも好ましい。フィラーの添加によって樹脂層の硬度を高め、また、水蒸気、消毒液の樹脂外層への侵入が抑制され、耐熱性、耐薬品性が向上する。
エポキシ樹脂層は、必須成分としてのエポキシ樹脂と硬化剤に加え、必要により上記成分を適切な溶媒に溶解或いは分散させて調整したエポキシ樹脂層形成用塗布液を特定ポリマー層表面に塗布し、乾燥することで形成される。エポキシ樹脂の架橋を促進させる目的で、樹脂層は加熱処理により硬化してもよく、加熱条件は用いる主剤や硬化剤に応じて、常温(25℃)〜135℃の温度条件で行うことが好ましく、60℃〜100℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂層形成用塗布液は、その粘度に応じて適切な方法で塗りつければよい。塗布液が低粘度であれば、筆や刷毛等に含浸させて塗りつける方法をとることが好ましく、高粘度であればスティック状のものに塗布液を予め付着せしめて塗りつける方法をとることができ、さらには、シリンジから吐出させて塗りつける方法をとることもできる。
エポキシ樹脂層の厚みには特に制限はなく、適用箇所や使用目的により適宜選択されるが、効果の観点からは、50μm以上600μm以下であることが好ましい。
(糸巻き構造の形成)
本発明にかかる部分構造において、部材同士の接合を糸で巻き締めることで形成した糸巻き構造を用いる場合には、この糸巻き構造を形成した後に、これを被覆するようにエポキシ樹脂層を形成すればよい。
糸巻き構造の形成に用いられる糸は、オートクレーブ等に滅菌処理条件に耐えるものであれば任意のものが用いられる。
具体的には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリエーテルイミド(PEI)などの耐熱性樹脂からなる繊維のモノフィラメントあるいは撚り糸、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、炭素繊維などの耐熱性に優れた繊維からなる撚り糸を用いることができ、耐久性の観点からは、ポリフエニレンスルフィド繊維が好ましい。
糸は、撚り糸でも、モノフィラメントでもよいが、糸巻き部への接着剤の浸通性が良好であるという観点からは、モノフィラメント(単繊維)であることがより好ましい。
好適な糸の太さは30μmから150μmの範囲であり、50μmから100μmの範囲であることがより好ましい。
部材同士を接合させるに際しては、部材同士の接合端部周辺を、糸を用いて巻き締めて糸巻き構造を形成するが、糸の巻き締め方法についても、特に制限はない。ただし。固定部の信頼性の観点からはできるだけ高密度であることが好ましく、また、体内へ挿入して用いられることを考慮すれば、凹凸が少ないことが好ましいため、このような観点から、糸を1層として高密度に巻き締めることが可能なヘリカル巻きとすることで、糸同士が重なり合わないように巻くことが好ましい。
なお、エポキシ樹脂層で糸巻き構造を被覆する場合には、前記したエポキシ樹脂層の好ましい厚みの範囲において、巻き糸の直径以上であり、糸巻き構造を被覆して巻き糸が露出しない厚みであることが好ましい。また、巻き糸の最外周より少なくとも10μm以上の厚みであることが好ましく、滑らかな外表面が維持され、且つ、薄い方が好ましいことを考慮すれば、巻き糸の最外周より30μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、特定ポリマー層の機能により、金属部材表面が効果的に保護されるとともに、金属部材表面とエポキシ樹脂層とが強固に密着することで、接続部、固定部に用いられた場合は、接合、固定に係る物理強度が増し、内視鏡の洗浄時におけるキズ付きが防止されるとともに、滅菌処理時における耐熱性、耐薬品性の向上が図られる。また、可動部との接続部分に用いられた場合においても、密着性と形状追従性が両立し、優れた耐久性が得られる。
このため、本発明は、硬性内視鏡など鉄を含む金属部材を使用した構造に適用した場合、その効果が著しいといえる。
なお、ここでは、SUS製の金属管である硬性部と、エラストマーで被覆された湾曲部の接合に、糸巻き構造を有するものを例に挙げて詳細に説明したが、これに限定されず、金属部材と有機材料との接合する任意の部分に適用することで、保護性に優れた信頼性の高い固定部を形成することができる。
例えば、金属部材に該金属部材に固定される被固定部材を固定する場合、金属部材表面に特定ポリマー層を形成し、該特定ポリマー層表面にエポキシ樹脂層を形成しうるエポキシ樹脂を配置し、該エポキシ樹脂に接するように被固定部材を配置した後、エポキシ樹脂層を硬化させればよい。ここで、被固定部材には特に制限はなく、例えば、軟質外皮のような樹脂材料成型品、樹脂シートなどの被覆部材のいずれであってもよい。
以下、実を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に制限されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
〔実施例1〕
(フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層の形成)
フッ化ビニリデン単位を40〜90モル%含有するポリマー(G−902、ダイキン工業製)を含有する下記組成の特定ポリマー層形成用塗布液を調製した。
(特定ポリマー層形成用塗布液)
G−902(ダイキン工業製:フッ素生ゴム) 5 g
カーボンンブラック(東海カーボン製) 1 g
トリアリルイソシアヌレート(日本化成製:過酸化物) 0.8 g
パーヘキサ25B (日本油脂製:共架橋剤) 0.3 g
KBM−1003 (信越化学製:シランカップリング剤) 1g
メチルエチルケトン 100 ml

金属部材として、0.5t−SUS304製の巾5mmのテストピースを用い、特定ポリマー層形成用塗布液に浸漬して被覆し、150℃の熱窒素気流中で5分間処理して、厚み2μmの特定ポリマー層を形成した。
(エポキシ樹脂層の形成)
金属部材表面に特定ポリマー層を形成してなる積層体を2枚用い、1枚の積層体の特定ポリマー層表面に、エポテック 353−DT(エポキシテクノロジー製エポキシ接着剤)を塗布し、塗布層の表面に特定ポリマー層が接するように、他方の積層体を密着させ、80℃で30分加熱して、エポキシ樹脂層を硬化して接着させてなる実施例1の接着サンプル(1)を作成した。形成されたエポキシ樹脂層の厚みは100μmであった。
(初期剥離強度試験)
実施例1で得られたサンプルAについて、JIS K 6850(2008年)に準拠した方法で剪断剥離強度を測定し、また、JIS K 6854−1(2008年)に準拠した方法で90°剥離強度を測定したところ、剪断剥離強度は12N/mmであり、90°剥離強度は10Nmmであった。
このことにより、実施例1で得られたサンプル(1)は、各方向の応力に対しても、バランスの良い十分な剥離強度を示すことが判る。
(接着耐久性試験1:オートクレーブ耐性)
実施例1で得られたサンプルAをグラビティー型の小型オートクレーブに配置し、135℃のスチームで1週間及び2週間処理した。その後、初期剥離強度と同様にして、剪断剥離強度を測定したところ、1週間後、2週間後のいずれも10N/mmであり、オートクレーブによる長時間処理によっても、剥離強度の低下は殆ど見られなかった。
(接着耐久性試験2:過酸化水素耐性)
5℃に保温した30%濃度の過酸化水素水に1週間及び2週間処理浸漬した。その後、初期剥離強度と同様にして、剪断剥離強度を測定したところ、1週間後は9N/mmであり、2週間後は810N/mmであり、過酸化水素による長時間処理によっても、実用上十分な剥離強度が維持されることがわかる。
〔比較例1〕
実施例1において用いた0.5t−SUS304製の巾5mmのテストピースに特定ポリマー層を形成せず、実施例1で用いたエポキシ樹脂層を形成し、2枚のテストピースをエポキシ樹脂層を介して接着した比較例1のサンプル(C1)を得た。
サンプル(C1)を用い、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、剪断剥離強度は15N/mmであったが、90°剥離強度は2Nmmであり、90°剥離強度は実用上不十分な値であった。
このことにより、比較例1で得られたサンプル(C1)は屈曲部など、剪断応力以外の角度からの応力を受ける箇所への使用には適さないことが分かる。
また、オートクレーブ耐性では、1週間後は2N/mmであり、2週間後は自然剥離した。このことから、比較例1で得られたサンプル(C1)はオートクレーブ耐性に劣ることが分かる。また、過酸化水素耐性では、1週間後は4N/mmであり、2週間後は2N/mmであり、過酸化水素による滅菌処理には耐えないことがわかる。
〔比較例2〕
実施例1において用いた0.5t−SUS304製の巾5mmのテストピースに特定ポリマー層を形成せず、実施例1で用いたエポキシ樹脂層形成用塗布液にシランカップリング剤(信越化学製:KBM−403)を2%で添加したものでエポキシ樹脂層を形成し、2枚のテストピースを、該エポキシ樹脂層を介して接着した比較例2のサンプル(C2)を得た。
サンプル(C1)を用い、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、剪断剥離強度は20N/mmであったが、90°剥離強度は3Nmmであり、90°剥離強度は実用上不十分な値であった。
このことにより、比較例2で得られたサンプル(C2)は屈曲部など、剪断応力以外の角度からの応力を受ける箇所への使用には適さないことが分かる。
また、オートクレーブ耐性では、1週間後、2週間後ともに10N/mmであり、このことから、比較例2で得られたサンプル(C2)はオートクレーブ耐性が良好であった。また、過酸化水素耐性では、1週間後は7N/mmであったが、2週間後は3N/mmであり、過酸化水素による滅菌処理には耐えないことがわかる。
〔実施例2〕
硬性内視鏡の本体のステンレス管に、金属製節管と網状管とからなる湾曲部芯材を接合した後、実施例1で用いた特定ポリマー層形成用塗布液をはけ塗りし、乾燥後に、赤外線集光加熱装置を用いて、部分的な加熱処理を行なった。
次いで、ポリフェニルスルホンの100μm径の単繊維(クレハ合繊製、KPS)をこの接合部を覆うように巻き付けることで湾曲部のチューブ(可撓性外皮)を糸で巻き締めて固定した。さらにこの糸巻き構造の上からエポキシ樹脂であるエポテック 353−DT(エポキシテクノロジー製エポキシ接着剤)の主剤100部に対し、硬化剤10部及びフィラーとして、炭酸カルシウム(白石工業製)20部、カーボンブラック(東海カーボン製)1部を混合したものを塗布、硬化させて、糸巻き構造を被覆して成型した。
このようにして作成した可撓管と湾曲部の連結物(サンプルB)を用い、以下の方法により耐久試験を行なった。
(過酸化水素水浸漬試験)
得られた試験体を30%の過酸化水素水に2週間間浸した後、取りだして洗浄、乾燥して外観観察を行った。また管先端を水中に漬けて管内部を与圧にすることで、リークの有無を調べた。
(オートクレーブ耐久性試験)
試験体をオートクレーブにセットし135℃の温度条件で100時間の処理を行い取り出した後、外観観察をなった。また管先端を水中に漬けて管内部を与圧にすることで、リークの有無を調べた。
本発明に係るサンプルBの湾曲部付硬性鏡用の挿入管においては、外観上の変化もなく、過酸化水素試験、オートクレーブ浸漬試験の何れの後においても、リークは認められなかった。
〔比較例3〕
比較例2で用いたシランカップリング剤を含有するエポキシ樹脂を用い、特定ポリマー層を形成しなかった他は、実施例2と同様にして可撓管と湾曲部の連結物〔サンプル(2C)〕を用い、実施例2と同様の方法により耐久試験を行なった。その結果、外観上の変化は認められなかったものの、オートクレーブ処理、過酸化水素浸漬処理の何れにおいても、空気リークが認められ、エポキシ樹脂層に欠陥を生じていることがわかった。
100 内視鏡装置
10 先端部
12 接合部(A)
14 湾曲部
16 接合部(B)
18 硬性部
20 鉗子口
22 操作部
24 アングルレバー
26 接眼レンズ部
28 ライトガイド
36 糸(巻き糸)
38 フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層(特定ポリマー層)
39 エポキシ樹脂層
40 可撓性外皮

Claims (8)

  1. 金属部材表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層と、該ポリマー層に積層されたエポキシ樹脂層とを、順次有する部分構造を備える内視鏡装置。
  2. 前記部分構造が、前記金属部材と該金属部材に固定される被固定部材との固定部である請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有するポリマー層が、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られる層である請求項1に記載の内視鏡装置。
  4. 前記金属部材が、鉄を含む金属部材である請求項1又は請求項2に記載の内視鏡装置。
  5. 前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーが、フッ化アルキルレン単位、及び、フッ化ビニルエーテル単位から選択される構造単位を共重合成分として含むポリマーである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  6. 前記フッ化ビニリデン単位を含むポリマーを含有する層の厚みが1μm以上50μm以下であり、前記エポキシ樹脂層の厚みが50μm以上600μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  7. 金属部材に該金属部材に固定される被固定部材を固定させてなる固定部を有する内視鏡装置の製造方法であって、
    金属部材表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有するポリマー層形成用組成物を塗布し、乾燥してポリマー層を形成する工程と、
    該ポリマー層表面に、エポキシ樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗布してエポキシ樹脂塗布液層を形成する工程と、
    該エポキシ樹脂塗布液層表面に、該被固定部材を接触させ、エネルギーを付与してエポキシ樹脂層を硬化する工程と、
    を、この順で有する内視鏡装置の製造方法。
  8. 金属部材に該金属部材に固定される被固定部材を固定させてなる固定部を有する内視鏡装置の製造方法であって、
    2つの部材同士を突き合わせて接合させる固定部の表面に、フッ化ビニリデン単位を含むポリマーとシランカップリング剤とを含有するポリマー層形成用組成物を塗布し、乾燥してポリマー層を形成する工程と、
    該ポリマー層表面を糸で巻き締めて、2つの部材を固定する糸巻き構造を形成する工程と、
    該糸巻き構造表面に、エポキシ樹脂を含む樹脂層形成用組成物を塗布して、糸巻き構造を被覆し、その後、エネルギーを付与してエポキシ樹脂層を硬化する工程と、
    をこの順に有する内視鏡装置の製造方法。
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