JP2002055471A - 電子写真用感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体およびその製造方法

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JP2002055471A JP2000368877A JP2000368877A JP2002055471A JP 2002055471 A JP2002055471 A JP 2002055471A JP 2000368877 A JP2000368877 A JP 2000368877A JP 2000368877 A JP2000368877 A JP 2000368877A JP 2002055471 A JP2002055471 A JP 2002055471A
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Teruo Sasaki
輝夫 佐々木
Yoichi Nakamura
洋一 中村
Shinjiro Suzuki
信二郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真特性、特には電位保持率に優れた電
子写真用感光体と、塗布液により感光層を形成する際
に、特に電位保持率に優れた感光層を形成することので
きる電子写真用感光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 導電性基体上に感光層を有し、該感光層
が電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物
を含有する電子写真用感光体であって、主成分としての
第一のフタロシアニン化合物と、該第一のフタロシアニ
ン化合物に比して負電荷発生能が高い副成分としての第
二のフタロシアニン化合物とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式のプリ
ンター、複写機、ファクシミリなどに用いられる電子写
真用感光体(以下、単に「感光体」とも称する)に関
し、詳しくは、感光層における光導電性材料の改良によ
り優れた保持率を有する電子写真用感光体およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体には、暗所で表面電荷
を保持する機能と、光を受容して電荷を発生する機能
と、同じく光を受容して電荷を輸送する機能とが要求さ
れ、1つの層でこれらの機能を併せ持ったいわゆる単層
型感光体と、主として電荷発生に寄与する層と、暗所で
の表面電荷の保持および光受容時の電荷輸送に寄与する
層とに機能分離した2つの層を積層してなる積層型感光
体とがある。
【0003】これらの電子写真用感光体を用いた電子写
真法による画像形成には、例えば、カールソン方式が適
用される。この方式での画像形成は、暗所での感光体へ
のコロナ放電による帯電と、帯電された感光体表面上へ
の原稿の文字や絵などの静電潜像の形成と、形成された
静電潜像のトナーによる現像と、現像されたトナー像の
紙などの支持体への転写定着とにより行われ、トナー像
転写後の感光体は、除電、残留トナーの除去、光除電な
どを行った後、再使用に供される。
【0004】従来より、かかる電子写真用感光体の感光
材料としては、セレン、セレン合金、酸化亜鉛または硫
化カドミウムなどの無機光導電性物質を樹脂結着剤中に
分散させたもののほか、ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル、ポリビニルアントラセン、フタロシアニン化合物ま
たはビスアゾ化合物などの有機光導電性物質を樹脂結着
剤中に分散させたもの、もしくは真空蒸着させたものな
どが使用されている。
【0005】かかる有機光導電性物質の中でも、フタロ
シアニン化合物については、結晶形の違いにより電子写
真特性が大きく異なるなどの特徴を有することから、種
々の検討がなされてきており、その使用方法に関して
も、1種類のみを用いる場合に限らず、2種類以上を混
合して用いる場合についても種々の報告例がある。
【0006】例えば、2種類以上のフタロシアニン化合
物を意図的に混合して用いる場合については、特開平2
−170166号、特開平2−84661号、特開平6
−145550号公報等の報告例がある。但し、これら
の報告におけるフタロシアニンの混合使用はそのほとん
どが単に混晶を用いるという点に着目したに過ぎないも
のであり、混合した材料の電荷発生機構における正負の
電荷発生能力の違いについて考察を行った文献は存在し
ていない。
【0007】また、フタロシアニン化合物の混合使用に
ついては、合成時に副生成物が生ずるなどの理由で、意
図せずして2種類以上のフタロシアニン化合物を用いて
いることもあると考えることができる。例えば、特開平
3−35245号公報においては、チタニルオキソフタ
ロシアニン合成時における塩素化チタニルフタロシアニ
ンの副生成について種々検討が行われている。この中で
は、過去の複数の公報中の実施例において0.38〜5
重量%の塩素含有が確認されていることが記載されてい
るだけでなく、塩素含有フタロシアニンを副生成しない
チタニルオキソフタロシアニンの合成方法について、詳
細に検討が行われている。
【0008】上記公報においては、塩素含有フタロシア
ニンの副生成を抑止することによって、チタニルオキソ
フタロシアニンの高純度化が図られ、結晶欠陥をなくす
ことができ、これにより電位保持能力および感度に優れ
た電子写真用感光体の提供が可能となる旨の記載があ
る。但し、ここでも、2種類のフタロシアニン化合物を
含有させることによる電荷発生機構の変化については検
証されておらず、電荷発生機構の立場からは、2種類の
フタロシアニン化合物の含有比率による保持率の変化に
ついては述べられていない。
【0009】さらに、無金属フタロシアニンについても
種々の合成方法、精製方法が検討されており、例えば、
特開平7−207183号、特開昭60−243089
号公報等に記載があるが、これらの文献中にはフタロシ
アニン誘導体による不純物についての記載も考察もない
ため、当然ながら不純物としてフタロシアニン誘導体が
含まれることによる電荷発生機構の変化についても考察
はなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、フタロ
シアニン化合物を電子写真用感光体の感光材料として用
いることは公知であり、また、その合成や使用方法等に
ついても種々検討されてきているが、フタロシアニン化
合物を2種類以上混合して用いる場合における電荷発生
機構と電位保持率との関係については、必ずしも明確に
なっていないのが現状であった。
【0011】そこで本発明の目的は、かかる関係を明ら
かにして、電子写真特性、特には電位保持率に優れた電
子写真用感光体と、塗布液により感光層を形成する際
に、特に電位保持率に優れた感光層を形成することので
きる電子写真用感光体の製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、電荷発生機構におけるフタロシアニン化
合物の負電荷発生能に着目して鋭意検討した結果、感光
層において、電荷発生物質としてのフタロシアニン化合
物を含有する層に、副成分として、このフタロシアニン
化合物に比して負電荷発生能が高い他のフタロシアニン
化合物を含有させたところ、感光体の電位保持率が大幅
に向上することを見出して、本発明の電子写真用感光体
を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明の電子写真用感光体は、導電
性基体上に感光層を有し、該感光層が電荷発生物質とし
て少なくともフタロシアニン化合物を含有する電子写真
用感光体であって、主成分としての第一のフタロシアニ
ン化合物と、該第一のフタロシアニン化合物に比して負
電荷発生能が高い副成分としての第二のフタロシアニン
化合物とを含有することを特徴とするものである。
【0014】また、本発明者らは、電子写真用感光体を
製造するにあたり、電荷発生物質を含有させる塗布液中
に、電荷発生物質としての主成分のフタロシアニン化合
物に加えて、副成分として、このフタロシアニン化合物
に比して負電荷発生能の高い他のフタロシアニン化合物
を含有させたところ、電位保持率が大幅に向上した感光
体が得られることを見出し、本発明の製造方法を完成す
るに至った。
【0015】即ち、本発明の電子写真用感光体の製造方
法は、導電性基体上に電荷発生物質を含有する塗布液を
塗布して感光層を形成する工程を含む電子写真用感光体
の製造方法において、前記塗布液が少なくともフタロシ
アニン化合物を含有し、該フタロシアニン化合物とし
て、主成分としての第一のフタロシアニン化合物と、該
第一のフタロシアニン化合物に比して負電荷発生能が高
い副成分としての第二のフタロシアニン化合物を含有す
ることを特徴とするものである。
【0016】なお、本発明の電子写真用感光体における
感光層は、単層型および積層型の双方を含むものであ
り、いずれかに限定されるものではない。また、本発明
の製造方法における塗布液は、浸漬塗布法または噴霧塗
布法等の種々の塗布方法に適用することが可能であり、
いずれかの塗布方法に限定されるものではない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の感光体の具体的構
成を図面に基づいて説明する。電子写真用感光体には、
いわゆる負帯電積層型感光体と、正帯電積層型感光体
と、正帯電単層型感光体とがある。以下に、本発明を、
負帯電積層型感光体を例に取り具体的に説明するが、本
発明に係るフタロシアニン化合物に関する以外の感光体
の形成または製造等のための成分や方法等は、公知の物
質および方法等から適宜好適なものを選択することがで
きる。
【0018】図1に示すように、負帯電積層型感光体
は、導電性基体1上に設けられた下引き層2上に、感光
層5が積層されて形成されている。かかる感光層5は、
電荷発生層3上に電荷輸送層4が積層されてなり、電荷
発生層3と電荷輸送層4とに分離した機能分離型であ
る。なお、上記いずれの型の感光体においても、下引き
層2は必ずしも必要ではない。また、図示はしないが、
所望に応じて感光層上にさらに表面保護層を設けること
もできる。
【0019】導電性基体1は、感光体の電極としての役
目と同時に他の各層の支持体としての役目も持ってお
り、円筒状、板状、フィルム状のいずれでもよく、材質
的にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルもしくは
これらの合金などの金属、または、ガラス、樹脂などの
上に導電処理を施したものでもよい。
【0020】下引き層2には、アルコール可溶ポリアミ
ド、溶剤可溶芳香族ポリアミド、熱硬化型ウレタン樹脂
などを用いることができる。アルコール可溶ポリアミド
としては、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン12、ナ
イロン66、ナイロン610、ナイロン612などの共
重合化合物や、N−アルキル変性またはN−アルコキシ
アルキル変性ナイロンなどが好ましい。これらの具体的
な化合物としては、アミランCM8000(東レ(株)
製、6/66/610/12共重合ナイロン)、エルバ
マイド9061(デュポン・ジャパン(株)製、6/6
6/612共重合ナイロン)、ダイアミドT−170
(ダイセル−ヒュルス(株)製、ナイロン12主体共重
合ナイロン)などを挙げることができる。さらに、下引
き層2には、TiO2、SnO2、アルミナ、炭酸カルシ
ウム、シリカなどの無機微粉末や、各種の導電補助剤を
含有させて用いることもできる。
【0021】電荷発生層3は、有機光導電性物質を真空
蒸着するか、または有機光導電性物質の粒子を樹脂結着
剤中に分散させた材料を塗布して形成され、光を受容し
て電荷を発生する。電荷発生層3は、その電荷発生効率
が高いことと同時に、発生した電荷の電荷輸送層への注
入性が重要であり、電場依存性が少なく、低電場でも注
入のよいことが望ましい。
【0022】本発明においては、電荷発生物質として、
少なくともフタロシアニン化合物が含まれている必要が
あり、かかるフタロシアニン化合物として、電荷発生層
における電荷発生の役割を主として担う主成分としての
第一のフタロシアニン化合物と、この第一のフタロシア
ニン化合物に比して高い負電荷発生能を有する、副成分
としての第二のフタロシアニン化合物とを用いることが
重要である。
【0023】このようにすることで感光体の電位保持率
が大幅に上昇する作用メカニズムは必ずしも明確ではな
いが、以下のように考えることもできる。電荷発生物質
においては、光照射によって、実際には正電荷(正孔)
だけでなく、正電荷に対応する負電荷(電子)も発生し
ている。このことは正帯電有機感光体が商品化されてい
ることなどからも明らかである。また、この負電荷およ
び正電荷の発生機構は電荷発生物質により異なると考え
られ、電荷発生物質におけるこれら正負の電荷の発生能
力は、感光体特性に大きく影響する。
【0024】即ち、本発明においては、電荷発生物質と
しての主成分のフタロシアニン化合物に加えて、副成分
としてより負電荷発生能が高い他のフタロシアニン化合
物を含有させることで、電荷発生層における正負の電荷
発生能力のバランスを取ることができるために、主成分
のフタロシアニン化合物の正電荷発生能力を高めること
が可能となり、これにより感光体の電荷保持率の向上が
図られると考えることができる。
【0025】本発明において使用することのできるフタ
ロシアニン化合物としては、上記条件を満たすものであ
れば特に制限はなく、従来知られている各種フタロシア
ニン化合物を適宜用いることが可能である。特には、第
一および第二のフタロシアニン化合物のうち少なくとも
いずれか一方として、中心元素がチタンであるフタロシ
アニン化合物を用いることが好適であり、より好適には
チタニルオキソフタロシアニンを用いる。また、中心元
素が水素原子である無金属フタロシアニン、特には、2
9H,31H−フタロシアニン、更には、X型無金属フ
タロシアニンを用いることも好適であり、中心元素がガ
リウムまたはインジウムであるフタロシアニン化合物も
好適である。なお、負電荷発生能の高い第二のフタロシ
アニン化合物の含有量は、第一のフタロシアニン1mo
lに対して600mmol以下であることが好ましく、
より好ましくは200mmol以下である。
【0026】本発明で使用し得るフタロシアニン化合物
の合成方法は公知であり、例えば、PHTHALOCY
ANINES C.C.Leznoff et a
l.,1989(VCH Publishers,In
c.)または、THE PHTHALOCYANINE
S F.H.Moser.et al., 1983
(CRC Press)等に開示された手法に従い合成
することができる。また、チタニルオキソフタロシアニ
ン合成時における誘導体の副生成については、特開平3
−35245号公報等に記載がある。さらに、チタニル
フタロシアニン錯体化合物については、特開平8−30
2223号、特開平9−230615号公報等に開示さ
れた手法に従い合成することができる。
【0027】また、フタロシアニン化合物の混合物の電
荷発生機構における、正電荷および負電荷の発生能力の
大小については、近紫外〜可視領域のレーザー光を励起
光に用いるレーザーイオン化飛行時間型質量分析法を用
いて測定を行うことで、簡単に検証を行うことができ
る。この理由については、次のように考えることができ
る。
【0028】フタロシアニン化合物の光吸収帯が、可視
〜近赤外領域の吸収帯に相当するキュー帯と、紫外領域
の吸収帯に相当するソーレ帯とに分けられることは、例
えば、文献 THE PHTHALOCYANINES
F.H.Moser,etal.,1983(CRC
Press)の1巻より明らかである。従って、実際
の電子写真用感光体においては可視〜近赤外領域の光源
を用いていることから、電荷発生物質としてフタロシア
ニン化合物を用いる場合には、主としてキュー帯の光吸
収を利用して電荷発生を行い、電子写真像を形成してい
ることがわかる。
【0029】一方、近紫外〜可視領域のレーザー光を励
起光に用いるレーザーイオン化飛行時間型質量分析法
は、試料分子をレーザー光により正または負のイオンに
変化させて、そのイオンの電荷量と重さとの関係から、
イオンを大きさごとに分離して、検出、測定を行う方法
である。この分析法における、試料のイオン化の方法と
しては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法やレ
ーザー脱離イオン化法などが存在することが知られてお
り、例えば、島津/KRATOS 飛行時間型質量分析
装置KOMPACT MALDIシリーズノウハウ集
(以下、「ノウハウ集」と称する)中に、詳細な報告が
ある。
【0030】このうち、レーザー脱離イオン化法による
イオン化においては、試料成分が照射波長の光を吸収す
ることで、振動エネルギーへの変換や光励起を受けてイ
オン化するものと考えられる。この場合、試料中では、
照射光の波長に応じて、正に帯電する成分が発生するだ
けでなく、正電荷に対応して負に帯電する成分も発生す
ることになる。例えば、レーザーイオン化飛行時間型質
量分析装置として、島津製作所(株)製のKompac
t Discoveryを用いてフタロシアニン化合物
についてのレーザー脱離イオン化法によるイオン化を行
った場合、この装置の光源が波長337nmの窒素レー
ザー光であることから、フタロシアニン化合物のキュー
帯の光吸収に基づいたイオン化挙動を観測できることが
わかる。このキュー帯は、前述したように、フタロシア
ニン化合物中で、電子写真用感光体において電子写真形
成に寄与する光吸収帯である。なお、ソーレ帯の吸収は
極めて弱いので、吸光係数その他を考えると、無視して
も差し支えないレベルであると考えることができる。
【0031】上記ノウハウ集の記載によれば、上記分析
装置を用いる場合のイオン化に要する正味時間は数ns
以内である。また、この分析装置においては、レーザー
光強度を適切に設定すれば、フタロシアニン環を崩壊さ
せずに測定を行うことが可能であるため、容易に定性分
析や定量分析を行うこともできる。特に、無金属フタロ
シアニンやチタニルオキソフタロシアニンにおいては、
極めて容易に分子イオンを検出できることが判明してい
る。上記分析装置を用いて観測されたフタロシアニン化
合物のスペクトルの一例として、無金属フタロシアニン
およびチタニルオキソフタロシアニンのスペクトル図を
図2および3に示す。
【0032】レーザーイオン化飛行時間型質量分析法に
おいては、発生したイオンの検出方法として、飛行時間
型検出法を用いている。これは、イオンの質量Mとイオ
ンの電荷量Zとの比M/Z値の違いによってイオンの飛
行する時間が異なることを利用して質量分析を行う方法
であり、この方法を用いた場合、検出器に到達するまで
に崩壊しないイオンであればすべての生成イオンを検出
器に導くことができることが、上記ノウハウ集に記載さ
れている。例えば、上記分析装置を用いて、リニア/L
OWモードで測定する場合には、質量数1000のイオ
ンについて、イオン化した成分が検出器に到達するまで
の時間は、およそ22μsecと算出される。この時間
は、OPCにおける、電荷の発生から電子写真の形成ま
での時間(CT(電荷輸送)材の電荷移動度や感光体の
ドラムサイズ等に依存するが、おおむね数10μsec
〜0.2secである)と同等かまたはそれより短時間
である。また、イオンを検出器に導くための電圧の極性
を変更することもできるため、陽イオンおよび陰イオン
のいずれについても、同条件で測定を行うことが可能で
ある。
【0033】従って、以上のことより、フタロシアニン
化合物について近紫外〜可視領域の光源を用いてレーザ
ー脱離イオン化法によるレーザーイオン化飛行時間型質
量分析測定を行うことで、フタロシアニン化合物を電荷
発生物質として用いた場合に発生する正電荷および負電
荷の詳細について知ることが可能であると考えられる。
即ち、この測定により得られた正負のイオンの測定強度
から、異なる種類のフタロシアニン化合物の混合物につ
いての、電子写真用感光体における正電荷および負電荷
の発生能力について相対評価を行うことが可能である。
【0034】本発明においては、導電性基体上に塗布す
る塗布液のレーザーイオン化飛行時間型質量分析法によ
り観測されるスペクトルにおける、第二のフタロシアニ
ン化合物の第一のフタロシアニン化合物に対する陰イオ
ン測定での強度比率が、陽イオン測定での強度比率より
も高ければ、主成分としての第一のフタロシアニン化合
物に比して副成分としての第二のフタロシアニン化合物
の負電荷発生能が高いといえることになる。
【0035】なお、異種フタロシアニン化合物について
は、昇華法を用いて純粋な物質を得ることもでき、ま
た、合成時に副生成した負電荷発生能の高いフタロシア
ニン化合物をそのまま用いてもよい。
【0036】また、本発明においては、上記フタロシア
ニン化合物とともに、他の電荷発生物質、例えば、各種
アゾ、キノン、インジゴ、シアニン、スクアリリウム、
アズレニウム化合物などの顔料や染料等を併用すること
も可能である。
【0037】電荷発生層用の樹脂結着剤としては、ポリ
カーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタ
ン、エポキシ、ポリビニルブチラール、フェノキシ、シ
リコーン、メタクリル酸エステルの重合体および共重合
体、およびこれらのハロゲン化物、シアノエチル化合物
などを適宜組み合わせて使用することができる。なお、
電荷発生物質の使用量は、かかる樹脂結着剤100重量
部に対し、10〜5000重量部、好ましくは50〜1
000重量部である。
【0038】電荷発生層3上には電荷輸送層4が積層さ
れるため、その膜厚は電荷発生物質の光吸収係数により
決まり、一般的には5μm以下であり、好適には1μm
以下である。また、電荷発生層3は、電荷発生物質を主
体として、これに電荷輸送物質などを添加して使用する
ことも可能である。
【0039】電荷輸送層4は、樹脂結着剤中に、電荷輸
送物質、例えば、各種ヒドラゾン系化合物、スチリル系
化合物、アミン系化合物およびこれらの誘導体等を、単
独で、または適宜組み合わせて分散させた材料からなる
塗膜であり、暗所では絶縁体層として感光体の電荷を保
持し、光受容時には電荷発生層から注入される電荷を輸
送する機能を有する。電荷輸送層用の樹脂結着剤として
は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、
メタクリル酸エステルの重合体、混合重合体および共重
合体などを用いることができるが、機械的、化学的およ
び電気的安定性、密着性などの他に、電荷輸送物質との
相溶性が重要である。なお、電荷輸送物質の使用量は、
樹脂結着剤100重量部に対し、20〜500重量、好
ましくは30〜300重量部である。また、電荷輸送層
4の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するために
は3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には15〜
40μmである。
【0040】また、本発明の感光体の製造方法は、少な
くとも上記本発明の条件を満たす2種のフタロシアニン
化合物を含有させた塗布液を用いて導電性基体上に感光
層を塗布形成する工程を含むものであればよく、他の条
件等に特に制限はない。特には、感光体が積層型のもの
である場合には、かかる塗布液を用いて感光層のうちの
電荷発生層を形成する工程を含む製造方法である。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 <実施例1〜8、比較例1〜4>実施例1 下引き層の形成 ポリアミド樹脂(東レ(株)製、アミランCM800
0)70重量部と、メタノール(和光純薬工業(株)
製)930重量部とを混合して、下引き層塗布液を作製
した。この下引き層塗布液を、アルミニウム基体上に浸
漬塗布法により塗布して、乾燥後の膜厚が0.5μmの
下引き層を形成した。
【0042】純粋なチタニルオキソフタロシアニンの合
反応容器中に、オルトフタロニジトリル(東京化成工業
(株)製)800gと、キノリン(和光純薬工業(株)
製)1.8リットルとを加えて撹拌した。次いで、乾燥
窒素雰囲気下で四塩化チタン(キシダ化学製)297g
を滴下し、撹拌した。滴下後、2時間かけて180℃ま
で加熱を行い、以後は同温度で15時間保温して、撹拌
した。
【0043】この反応液を130℃まで放冷してから濾
過し、N−メチル−2−ピロリジノン(関東化学(株)
製)3リットルにて洗浄した。このウェットケーキを、
窒素雰囲気下、N−メチル−2−ピロリジノン1.8リ
ットルにて、160℃で1時間、加熱、撹拌した。これ
を放冷し、濾過して、N−メチル−2−ピロリジノン3
リットル、アセトン(関東化学(株)製)2リットル、
メタノール(関東化学(株)製)2リットルおよび温水
4リットルにて、順次洗浄した。
【0044】このようにして得られたチタニルオキソフ
タロシアニンウェットケーキを、さらに、水4リット
ル、36%塩酸(関東化学(株)製)360mlの希塩
酸にて、80℃で1時間、加熱、撹拌した。これを放冷
し、濾過して、温水4リットルで洗浄した後、乾燥し
た。これを真空昇華法により3回精製した後に、乾燥し
た。
【0045】−5℃の96%硫酸(関東化学(株)製)
4kgに、液温が−5℃を超えないように冷却、撹拌し
ながら前述の乾燥物200gを加えた。−5℃に保持し
て、1時間冷却し、撹拌した。水35リットル、氷5k
gに、液温が10℃を超えないように冷却、撹拌しなが
ら、前述の硫酸溶液を加えて1時間冷却し、撹拌した。
これを濾過し、温水10リットルにて洗浄した。
【0046】これをさらに、水10リットル、36%塩
酸770mlの希塩酸にて、80℃で1時間、加熱、撹
拌した。これを放冷し、濾過して、温水10リットルで
洗浄した後、乾燥した。これについて昇華精製を行い、
チタニルオキソフタロシアニンの純品を得た。なお、こ
れについて元素分析を行った結果、塩素は検出されず、
質量分析においても、その他のフタロシアニン誘導体は
検知されなかった。
【0047】チタニルオキソフタロシアニンと同じ中心
元素を有するフタロシアニン化合物の合成 特開平3−35245号公報中の比較合成例1に記載さ
れた方法に従って、塩素含有チタニルオキソフタロシア
ニンを含有するチタニルオキソフタロシアニンを得た。
元素分析の結果、塩素含有量は、0.5%であった。こ
れについて、レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置
(島津製作所(株)製、KompactDiscove
ry)を使用して測定を行ったところ、質量数M=57
6のチタニルオキソフタロシアニンおよびM=610の
塩素含有チタニルオキソフタロシアニンを確認すること
ができた。M=610が塩素含有チタニルオキソフタロ
シアニンであることについては、前記文献(特開平3−
35245号公報)より公知である。
【0048】これについて昇華精製を繰り返して行い、
塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの純品を得た。
【0049】電荷発生層の形成 上述のようにして合成した塩素含有チタニルオキソフタ
ロシアニンを、チタニルオキソフタロシアニン1mol
に対して1μmol添加した。これと水0.5リットル
およびo−ジクロロベンゼン(関東化学(株)製)1.
5リットルとを、直径8mmのジルコニアボール6.6
kgを入れたボールミル装置に入れ、24時間ミリング
した。これをアセトン1.5リットル、メタノール1.
5リットルで取り出し、濾過して、水1.5リットルに
て洗浄した後に乾燥した。
【0050】この塩素含有チタニルオキソフタロシアニ
ン含有チタニルオキソフタロシアニン10重量部と、塩
化ビニル系樹脂(日本ゼオン(株)製、MR−110)
10重量部と、ジクロロメタン686重量部および1,
2−ジクロロエタン294重量部とを混合し、さらに超
音波分散して電荷発生層塗布液を作製した。この電荷発
生層塗布液を前述の下引き層上に浸漬塗布法により塗布
し、乾燥後の膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成し
た。
【0051】電荷輸送層の形成 4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドフェニル
(2−チエニルメチル)ヒドラゾン(富士電機(株)
製)100重量部と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成
(株)製、パンライトK−1300)100重量部と、
ジクロロメタン800重量部と、シランカップリング剤
(信越化学工業(株)製、KP−340)1重量部と、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フェニ
ルホスホナイト(富士電機(株)製)4重量部とを混合
して、電荷輸送層塗布液を作製した。この電荷輸送層塗
布液を上記の電荷発生層上に浸漬塗布法により塗布し、
乾燥後の膜厚が20μmの電荷輸送層を形成して、電子
写真用感光体を製造した。
【0052】実施例2 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、チ
タニルオキソフタロシアニン1molに対して1mmo
lに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感
光体を製造した。
【0053】実施例3 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、チ
タニルオキソフタロシアニン1molに対して200m
molに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真
用感光体を製造した。
【0054】実施例4 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、チ
タニルオキソフタロシアニン1molに対して600m
molに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真
用感光体を製造した。
【0055】実施例5 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンを、特開平3−
94264号公報中の合成例1に従って合成したチタニ
ルテトラクロロフタロシアニンに代えた以外は、実施例
1と同様にして電子写真用感光体を製造した。
【0056】実施例6 チタニルテトラクロロフタロシアニンの添加量を、チタ
ニルオキソフタロシアニン1molに対して1mmol
に代えた以外は、実施例5と同様にして電子写真用感光
体を製造した。
【0057】実施例7 チタニルテトラクロロフタロシアニンの添加量を、チタ
ニルオキソフタロシアニン1molに対して200mm
olに代えた以外は、実施例5と同様にして電子写真用
感光体を製造した。
【0058】実施例8 チタニルテトラクロロフタロシアニンの添加量を、チタ
ニルオキソフタロシアニン1molに対して600mm
olに代えた以外は、実施例5と同様にして電子写真用
感光体を製造した。
【0059】比較例1 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンを、X型無金属
フタロシアニン(Fastgen Blue 8120
B、大日本インキ化学(株)製)に代えた以外は、実施
例1と同様にして電子写真用感光体を作製した。
【0060】比較例2 X型無金属フタロシアニンの添加量を、チタニルオキソ
フタロシアニン1molに対して1mmolに代えた以
外は、比較例1と同様にして電子写真用感光体を作製し
た。
【0061】比較例3 X型無金属フタロシアニンの添加量を、チタニルオキソ
フタロシアニン1molに対して200mmolに代え
た以外は、比較例1と同様にして電子写真用感光体を作
製した。
【0062】比較例4 X型無金属フタロシアニンの添加量を、チタニルオキソ
フタロシアニン1molに対して600mmolに代え
た以外は、比較例1と同様にして電子写真用感光体を作
製した。
【0063】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に放置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】上記表1から明らかなように、実施例の感
光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の感
光体はいずれも実施例に比べて保持率が低いことがわか
る。
【0066】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、チタニルオキソフタロシアニン(M=
576)の強度に対する副成分の強度比率を測定した。
測定モードはリニア/LOWとし、積算は、実施例1、
実施例5および比較例1については可能な限り行い、そ
の他の実施例および比較例については50回に設定し
た。レーザー光強度は、フタロシアニン化合物のイオン
観測に必要十分な強度に設定した。なお、測定において
は、チタニルオキソフタロシアニン、塩素含有チタニル
オキソフタロシアニン、チタニルテトラクロロフタロシ
アニン、X型無金属フタロシアニンのいずれについて
も、良好に分子イオンを観測することができた。この測
定結果を下記表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】上記表2から分かるように、実施例におい
ては、チタニルオキソフタロシアニンに対する塩素含有
チタニルオキソフタロシアニンおよびチタニルテトラク
ロロフタロシアニンの観測強度比率は、いずれも、陽イ
オン測定よりも陰イオン測定の方が大きい値を示してい
る。従って、塩素含有チタニルオキソフタロシアニンお
よびチタニルテトラクロロフタロシアニンは、チタニル
オキソフタロシアニンと比較して、負電荷発生能が高い
ことが明らかである。
【0069】一方、比較例においては、チタニルオキソ
フタロシアニンに対するX型無金属フタロシアニンの観
測強度比率は、陰イオン測定よりも陽イオン測定の方が
大きい値を示している。従って、X型無金属フタロシア
ニンは、チタニルオキソフタロシアニンと比較して負電
荷発生能が低いことが明らかである。
【0070】<実施例9〜12、比較例5〜8>実施例9 チタニルオキソフタロシアニンを、特開平5−2737
75号公報の合成例1に従って合成したチタニルフタロ
シアニンの2,3−ブタンジオール錯体(以下、「ジオ
ール錯体」と略記する)に代えた以外は、実施例1と同
様にして電子写真用感光体を作製した。
【0071】実施例10 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、ジ
オール錯体1molに対して1mmolに代えた以外
は、実施例9と同様にして電子写真用感光体を製造し
た。
【0072】実施例11 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、ジ
オール錯体1molに対して200mmolに代えた以
外は、実施例9と同様にして電子写真用感光体を製造し
た。
【0073】実施例12 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、ジ
オール錯体1molに対して600mmolに代えた以
外は、実施例9と同様に電子写真用感光体を製造した。
【0074】比較例5 塩素含有チタニルオキソフタロシアニンを、比較例1で
用いたと同じX型無金属フタロシアニンに代えた以外
は、実施例9と同様に電子写真用感光体を製造した。
【0075】比較例6 X型無金属フタロシアニンの添加量を、ジオール錯体1
molに対して1mmolに代えた以外は、比較例5と
同様にして電子写真用感光体を製造した。
【0076】比較例7 X型無金属フタロシアニンの添加量を、ジオール錯体1
molに対して200mmolに代えた以外は、比較例
5と同様にして電子写真用感光体を製造した。
【0077】比較例8 X型無金属フタロシアニンの添加量を、ジオール錯体1
molに対して600mmolに代えた以外は、比較例
5と同様にして電子写真用感光体を製造した。
【0078】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に静置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】上記表3から明らかなように、実施例の感
光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の感
光体はいずれも実施例に比して保持率が低いことがわか
る。
【0081】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、ジオール錯体由来の質量数のイオンの
ピーク強度の総和に対する副成分由来の質量数のイオン
の強度比率を算出した。測定モードはリニア/LOWと
し、積算は、実施例9および比較例5については可能な
限り行い、その他の実施例および比較例については50
回に設定した。レーザー光強度は、フタロシアニン化合
物のイオン観測に必要十分な強度に設定した。なお、測
定においては、ジオール錯体、塩素含有チタニルオキソ
フタロシアニン、X型無金属フタロシアニンのいずれに
ついても、良好に分子イオンを観測することができた。
この結果を下記表4に示す。
【0082】
【表4】
【0083】上記表4からわかるように、実施例におい
ては、ジオール錯体に対する塩素含有チタニルオキソフ
タロシアニンの観測強度比率は、陽イオン測定よりも陰
イオン測定の方が大きい値を示している。従って、塩素
含有チタニルオキソフタロシアニンは、ジオール錯体と
比較して負電荷発生能が高いことが明らかである。
【0084】一方、比較例においては、ジオール錯体に
対するX型無金属フタロシアニンの観測強度比率は、陰
イオン測定よりも陽イオン測定の方が大きい値を示して
いる。従って、X型無金属フタロシアニンは、ジオール
錯体と比較して負電荷発生能が低いことが明らかであ
る。
【0085】<実施例13〜16、比較例9〜12>実施例13 チタニルオキソフタロシアニンを、常法に従って合成し
たクロロガリウムフタロシアニンに代え、塩素含有チタ
ニルオキソフタロシアニンを、実施例1の方法に従って
合成したチタニルオキソフタロシアニンに代えた以外
は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を作製し
た。
【0086】実施例14 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロガリ
ウムフタロシアニン1molに対して1mmolに代え
た以外は、実施例13と同様にして電子写真用感光体を
製造した。
【0087】実施例15 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロガリ
ウムフタロシアニン1molに対して200mmolに
代えた以外は、実施例13と同様にして電子写真用感光
体を製造した。
【0088】実施例16 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロガリ
ウムフタロシアニン1molに対して600mmolに
代えた以外は、実施例13と同様にして電子写真用感光
体を製造した。
【0089】比較例9 チタニルオキソフタロシアニンを、比較例1で用いたと
同じX型無金属フタロシアニンに代えた以外は、実施例
13と同様にして電子写真用感光体を作製した。
【0090】比較例10 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロガリウム
フタロシアニン1molに対して1mmolに代えた以
外は、比較例9と同様にして電子写真用感光体を作製し
た。
【0091】比較例11 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロガリウム
フタロシアニン1molに対して200mmolに代え
た以外は、比較例9と同様にして電子写真用感光体を作
製した。
【0092】比較例12 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロガリウム
フタロシアニン1molに対して600mmolに代え
た以外は、比較例9と同様にして電子写真用感光体を作
製した。
【0093】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に放置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】上記表5から明らかなように、実施例の感
光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の感
光体はいずれも実施例に比べて保持率が低いことがわか
る。
【0096】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、クロロガリウムフタロシアニン由来の
質量数のイオンのピーク強度の総和に対する副成分由来
の質量数のイオンの強度比率を算出した。測定モードは
リニア/LOWとし、積算は、実施例13および比較例
9については可能な限り行い、その他の実施例および比
較例については50回に設定した。レーザー光強度は、
フタロシアニン化合物のイオン観測に必要十分な強度に
設定した。なお、測定においては、クロロガリウムフタ
ロシアニン、チタニルオキソフタロシアニン、X型無金
属フタロシアニンのいずれについても、良好に分子イオ
ンを観測することができた。この結果を下記表6に示
す。
【0097】
【表6】
【0098】上記表6からわかるように、実施例におい
ては、クロロガリウムフタロシアニンに対するチタニル
オキソフタロシアニンの観測強度比率は、陽イオン測定
よりも陰イオン測定の方が大きい値を示している。従っ
て、チタニルオキソフタロシアニンは、クロロガリウム
フタロシアニンと比較して負電荷発生能が高いことが明
らかである。
【0099】一方、比較例においては、クロロガリウム
フタロシアニンに対するX型無金属フタロシアニンの観
測強度比率は、陰イオン測定よりも陽イオン測定の方が
大きい値を示している。従って、X型無金属フタロシア
ニンは、クロロガリウムフタロシアニンと比較して負電
荷発生能が低いことが明らかである。
【0100】<実施例17〜20、比較例13〜16>実施例17 クロロガリウムフタロシアニンを、常法に従って合成し
たクロロインジウムフタロシアニンに代えた以外は、実
施例13と同様にして電子写真用感光体を作製した。
【0101】実施例18 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロイン
ジウムフタロシアニン1molに対して1mmolに代
えた以外は、実施例17と同様にして電子写真用感光体
を製造した。
【0102】実施例19 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロイン
ジウムフタロシアニン1molに対して200mmol
に代えた以外は、実施例17と同様にして電子写真用感
光体を製造した。
【0103】実施例20 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、クロロイン
ジウムフタロシアニン1molに対して600mmol
に代えた以外は、実施例17と同様にして電子写真用感
光体を製造した。
【0104】比較例13 チタニルオキソフタロシアニンを、比較例1で用いたと
同じX型無金属フタロシアニンに代えた以外は、実施例
17と同様にして電子写真用感光体を作製した。
【0105】比較例14 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロインジウ
ムフタロシアニン1molに対して1mmolに代えた
以外は、比較例13と同様にして電子写真用感光体を作
製した。
【0106】比較例15 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロインジウ
ムフタロシアニン1molに対して200mmolに代
えた以外は、比較例13と同様にして電子写真用感光体
を作製した。
【0107】比較例16 X型無金属フタロシアニンの添加量を、クロロインジウ
ムフタロシアニン1molに対して600mmolに代
えた以外は、比較例13と同様にして電子写真用感光体
を作製した。
【0108】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に放置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表7に示す。
【0109】
【表7】
【0110】上記表7から明らかなように、実施例の感
光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の感
光体はいずれも実施例に比べて保持率が低いことがわか
る。
【0111】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、クロロインジウムフタロシアニン由来
の質量数のイオンのピーク強度の総和に対する副成分由
来の質量数のイオンの強度比率を算出した。測定モード
はリニア/LOWとし、積算は、実施例17および比較
例13については可能な限り行い、その他の実施例およ
び比較例については50回に設定した。レーザー光強度
は、フタロシアニン化合物のイオン観測に必要十分な強
度に設定した。なお、測定においては、クロロインジウ
ムフタロシアニン、チタニルオキソフタロシアニン、X
型無金属フタロシアニンのいずれについても、良好に分
子イオンを観測することができた。この結果を下記表8
に示す。
【0112】
【表8】
【0113】上記表8からわかるように、実施例におい
ては、クロロインジウムフタロシアニンに対するチタニ
ルオキソフタロシアニンの観測強度比率は、陽イオン測
定よりも陰イオン測定の方が大きい値を示している。従
って、チタニルオキソフタロシアニンは、クロロインジ
ウムフタロシアニンと比較して負電荷発生能が高いこと
が明らかである。
【0114】一方、比較例においては、クロロインジウ
ムフタロシアニンに対するX型無金属フタロシアニンの
観測強度比率は、陰イオン測定よりも陽イオン測定の方
が大きい値を示している。従って、X型無金属フタロシ
アニンは、クロロインジウムフタロシアニンと比較して
負電荷発生能が低いことが明らかである。
【0115】<実施例21〜24、比較例17〜20>実施例21 実施例1と同様にして下引き層を形成した後、下記手順
に従い電荷発生層を形成した。まず、特開平7−207
183号公報の実施例1の記載に従い、α型無金属フタ
ロシアニンを合成した。これについて、昇華精製を行っ
た後にレーザーイオン化法によるTOF−MS測定(島
津製作所(株)製、Kompact Discover
yを使用)を行い、M=514の無金属フタロシアニン
分子イオン以外のイオンが検出されないことを確認し
た。
【0116】このα型無金属フタロシアニン1molに
対して、実施例1で合成したチタニルオキソフタロシア
ニン1μmolを添加した後、上記文献中の実施例2の
記載に従い、FX型に結晶変換して、チタニルオキソフ
タロシアニン含有のFX型無金属フタロシアニンを得
た。
【0117】このチタニルオキソフタロシアニン含有F
X型無金属フタロシアニン10重量部と、塩化ビニル系
樹脂(日本ゼオン(株)製、MR−110)10重量部
と、ジクロロメタン686重量部および1,2−ジクロ
ロエタン294重量部とを混合し、さらに超音波分散し
て電荷発生層塗布液を作製した。この電荷発生層塗布液
を前述の下引き層上に浸漬塗布法により塗布し、乾燥後
の膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。この電荷
発生層上に、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成
し、電子写真用感光体を製造した。
【0118】実施例22 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して1mmolに代えた以外
は、実施例21と同様にして電子写真用感光体を製造し
た。
【0119】実施例23 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して200mmolに代えた以
外は、実施例21と同様にして電子写真用感光体を製造
した。
【0120】実施例24 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して600mmolに代えた以
外は、実施例21と同様にして電子写真用感光体を製造
した。
【0121】比較例17 チタニルオキソフタロシアニンを、2,9,16,23
−テトラ−tert−ブチル−29H,31H−フタロ
シアニン(以下、「ブチル無金属フタロシアニン」と略
記する)に代えた以外は、実施例21と同様にして電子
写真用感光体を作製した。尚、ブチル無金属フタロシア
ニンは、アルドリッチ社製試薬を再結晶法にて精製して
用いた。
【0122】比較例18 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して1mmolに代えた以
外は、比較例17と同様にして電子写真用感光体を作製
した。
【0123】比較例19 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して200mmolに代え
た以外は、比較例17と同様にして電子写真用感光体を
作製した。
【0124】比較例20 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して600mmolに代え
た以外は、比較例17と同様にして電子写真用感光体を
作製した。
【0125】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に放置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表9に示す。
【0126】
【表9】
【0127】上記表9から明らかなように、実施例の感
光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の感
光体はいずれも実施例に比べて保持率が低いことがわか
る。
【0128】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、無金属フタロシアニン由来の質量数
(M=514)のイオンのピーク強度の総和に対する副
成分由来の質量数のイオンの強度比率を算出した。測定
モードはリニア/LOWとし、積算は、実施例21およ
び比較例17については可能な限り行い、その他の実施
例および比較例については50回に設定した。レーザー
光強度は、フタロシアニン化合物のイオン観測に必要十
分な強度に設定した。なお、測定においては、FX型変
換無金属フタロシアニンおよびチタニルオキソフタロシ
アニンの双方について、良好に分子イオンを観測するこ
とができた。また、ブチル無金属フタロシアニンについ
ては、アルキル基が脱離したフラグメントも観測された
ため、フタロシアニン環を含むフラグメントピークの強
度をすべて合計した。この測定結果を下記表10に示
す。
【0129】
【表10】
【0130】上記表10からわかるように、実施例にお
いては、FX型変換無金属フタロシアニンに対するチタ
ニルオキソフタロシアニンの観測強度比率は、陽イオン
測定よりも陰イオン測定の方が大きい値を示している。
従って、チタニルオキソフタロシアニンは、FX型変換
無金属フタロシアニンと比較して負電荷発生能が高いこ
とが明らかである。
【0131】一方、比較例においては、FX型変換無金
属フタロシアニンに対するブチル無金属フタロシアニン
の観測強度比率は、陰イオン測定よりも陽イオン測定の
方が大きい値を示している。従って、ブチル無金属フタ
ロシアニンは、FX型変換無金属フタロシアニンと比較
して負電荷発生能が低いことが明らかである。
【0132】<実施例25〜28、比較例21〜24>実施例25 実施例21において、α型無金属フタロシアニンに対し
チタニルオキシフタロシアニンを添加した後、特開平7
−207183号公報の比較例4の記載に従い、X型に
結晶変換して、チタニルオキソフタロシアニン含有のX
型無金属フタロシアニンを得、これを電荷発生層塗布液
に用いた以外は、実施例21と同様にして電子写真用感
光体を製造した。
【0133】実施例26 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して1mmolに代えた以外
は、実施例25と同様にして電子写真用感光体を製造し
た。
【0134】実施例27 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して200mmolに代えた以
外は、実施例25と同様にして電子写真用感光体を製造
した。
【0135】実施例28 チタニルオキソフタロシアニンの添加量を、無金属フタ
ロシアニン1molに対して600mmolに代えた以
外は、実施例25と同様にして電子写真用感光体を製造
した。
【0136】比較例21 チタニルオキソフタロシアニンを、ブチル無金属フタロ
シアニンに代えた以外は、実施例25と同様にして電子
写真用感光体を作製した。尚、ブチル無金属フタロシア
ニンについては、前記と同じものを用いた。
【0137】比較例22 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して1mmolに代えた以
外は、比較例25と同様にして電子写真用感光体を作製
した。
【0138】比較例23 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して200mmolに代え
た以外は、比較例25と同様にして電子写真用感光体を
作製した。
【0139】比較例24 ブチル無金属フタロシアニン化合物の添加量を、無金属
フタロシアニン1molに対して600mmolに代え
た以外は、比較例25と同様にして電子写真用感光体を
作製した。
【0140】上記実施例および比較例において得られた
感光体の電気特性を、静電記録紙試験装置(川口電機製
作所製、EPA−8200)を用いて測定した。感光体
を、暗所でコロトロンにより表面電位−600Vに帯電
させ、5秒間暗部に放置して、その間の電位の保持率
(%)を測定した。得られた結果を下記表11に示す。
【0141】
【表11】
【0142】上記表11から明らかなように、実施例の
感光体はいずれも保持率が高く良好であるが、比較例の
感光体はいずれも実施例に比べて保持率が低いことがわ
かる。
【0143】また、各実施例および比較例で作製した電
荷発生層塗布液について、レーザーイオン化飛行時間型
質量分析装置(島津製作所(株)製、Kompact
Discovery)を用いて、レーザー脱離イオン化
法により測定を行い、陽イオン測定および陰イオン測定
の夫々において、無金属フタロシアニン由来の質量数
(M=514)のイオンのピーク強度の総和に対する副
成分由来の質量数のイオンの強度比率を算出した。測定
モードはリニア/LOWとし、積算は、実施例25およ
び比較例21については可能な限り行い、その他の実施
例および比較例については50回に設定した。レーザー
光強度は、フタロシアニン化合物のイオン観測に必要十
分な強度に設定した。なお、測定においては、X型変換
無金属フタロシアニンおよびチタニルオキソフタロシア
ニンの双方について、良好に分子イオンを観測すること
ができた。また、ブチル無金属フタロシアニンについて
は、アルキル基が脱離したフラグメントも観測されたた
め、フタロシアニン環を含むフラグメントピークの強度
をすべて合計した。この測定結果を下記表12に示す。
【0144】
【表12】
【0145】上記表12からわかるように、実施例にお
いては、X型変換無金属フタロシアニンに対するチタニ
ルオキソフタロシアニンの観測強度比率は、陽イオン測
定よりも陰イオン測定の方が大きい値を示している。従
って、チタニルオキソフタロシアニンは、X型変換無金
属フタロシアニンと比較して負電荷発生能が高いことが
明らかである。
【0146】一方、比較例においては、X型変換無金属
フタロシアニンに対するブチル無金属フタロシアニンの
観測強度比率は、陰イオン測定よりも陽イオン測定の方
が大きい値を示している。従って、ブチル無金属フタロ
シアニンは、X型変換無金属フタロシアニンと比較して
負電荷発生能が低いことが明らかである。
【0147】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、感光層の光導電材料として少なくともフタロシアニ
ン化合物を含有する電子写真用感光体において、副成分
として、主成分としての第一のフタロシアニン化合物に
比して負電荷発生能が高い第二のフタロシアニン化合物
を含有させたことにより、電位の保持率に優れた電子写
真用感光体を提供することができた。
【0148】また、本発明によれば、導電性基体上に電
荷発生物質を含有する塗布液を塗布して感光層を形成す
る工程を含む電子写真用感光体の製造方法において、塗
布液中に、少なくとも主成分としての第一のフタロシア
ニン化合物と、この第一のフタロシアニン化合物に比し
て負電荷発生能が高い第二のフタロシアニン化合物と、
を含有させることにより、電位の保持率に優れた感光体
の得られる電子写真用感光体の製造方法を提供すること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の電子写真用感光体を示す模式的
断面図である。
【図2】レーザーイオン化飛行時間型質量分析法により
観測された無金属フタロシアニンのスペクトル図であ
る。
【図3】レーザーイオン化飛行時間型質量分析法により
観測されたチタニルオキソフタロシアニンのスペクトル
図である。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 下引き層 3 電荷発生層 4 電荷輸送層 5 感光層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 信二郎 長野県松本市筑摩四丁目18番1号 富士電 機画像デバイス株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA19 BA38 BA39 EA12 FC03 4D075 CB07 DA04 DA06 DA15 DA20 DB04 DB07 DB13 DB31 DC19 DC21 DC24 EA07 EA45 EB14 EB19 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EB39 EB42 EC08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に感光層を有し、該感光層
    が電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物
    を含有する電子写真用感光体であって、主成分としての
    第一のフタロシアニン化合物と、該第一のフタロシアニ
    ン化合物に比して負電荷発生能が高い副成分としての第
    二のフタロシアニン化合物とを含有することを特徴とす
    る電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方の中心元素がチタン
    である請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方がチタニルオキソフ
    タロシアニンである請求項2記載の電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方の中心元素がガリウ
    ムである請求項1記載の電子写真用感光体。
  5. 【請求項5】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方の中心元素がインジ
    ウムである請求項1記載の電子写真用感光体。
  6. 【請求項6】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方の中心元素が水素原
    子である請求項1記載の電子写真用感光体。
  7. 【請求項7】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方が29H,31H−
    フタロシアニンである請求項6記載の電子写真用感光
    体。
  8. 【請求項8】 前記第一および第二のフタロシアニン化
    合物のうち少なくともいずれか一方がX型無金属フタロ
    シアニンである請求項6または7記載の電子写真用感光
    体。
  9. 【請求項9】 前記第二のフタロシアニン化合物の含有
    量が、前記第一のフタロシアニン化合物1molに対し
    て600mmol以下である請求項1〜8のうちいずれ
    か一項記載の電子写真用感光体。
  10. 【請求項10】 前記第二のフタロシアニン化合物の含
    有量が、前記第一のフタロシアニン化合物1molに対
    して200mmol以下である請求項9記載の電子写真
    用感光体。
  11. 【請求項11】 導電性基体上に電荷発生物質を含有す
    る塗布液を塗布して感光層を形成する工程を含む電子写
    真用感光体の製造方法において、 前記塗布液が少なくともフタロシアニン化合物を含有
    し、該フタロシアニン化合物として、主成分としての第
    一のフタロシアニン化合物と、該第一のフタロシアニン
    化合物に比して負電荷発生能が高い副成分としての第二
    のフタロシアニン化合物とを含有することを特徴とする
    電子写真用感光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記塗布液のレーザーイオン化飛行時
    間型質量分析法により観測されるスペクトルにおける、
    前記第二のフタロシアニン化合物の前記第一のフタロシ
    アニン化合物に対する陰イオン測定での強度比率が、陽
    イオン測定での強度比率よりも高い請求項11記載の電
    子写真用感光体の製造方法。
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