JP3709596B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体に関し、更に詳しくは、単層構成でありながら、高感度で、残留電位が小さく、繰り返し特性が良好な、実用上好ましい特性の電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真用感光体は、導電性の支持体の上に光導電性の材料からなる感光層を形成することにより構成されているが、感光層としては、電荷発生層と電荷輸送層からなる機能分離型の積層型電子写真用感光体が用いられることが多い。
【0003】
電子写真用有機感光体の発展の経緯を辿ると、米国特許第3484237号明細書に開示されたポリ−N−ビニルカルバゾール/トリニトロフルオレノン錯体による有機化合物として最初に実用化された単層型電子写真用感光体、米国特許第3397086号明細書に開示されたフタロシアニン樹脂分散型電子写真用感光体、「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス」(Journal of Applied Physics)第49巻第11号第5543〜5564頁(1978年)等に開示されたチアピリリウム塩とポリカーボネート樹脂との共晶体にトリフェニルメタン系電荷輸送材を併用した電子写真用感光体等に見られるように、当初は、種々の単層構成の電子写真用感光体による開発が専ら行われてきたが、これら単層型電子写真用感光体は、塗布工程が単純である、正帯電で使用できる等の利点はあるものの、反面、材料面の制約が多く、感度、耐久性が不十分である等の問題があった。その後、これらの問題が改善可能な電荷発生層と電荷輸送層からなる積層型電子写真用感光体がその利点から広く普及することによって、現在では殆ど実用されていない。
【0004】
しかしながら、一般の積層型の電子写真用感光体の層構成は、通常1μm以下の薄層の電荷発生層の上に比較的厚い層からなる電荷輸送層を積層したものであり、電荷発生層の薄膜形成の難しさが収率を落とす要因となっている。また、電荷輸送層に用いる電荷輸送物質としては、その化合物群の豊富さ、電気的な安定性、物質としての安全性等の理由から、正孔輸送性の物質を用いることが一般的であるので、このような積層型電子写真用感光体は必然的に負帯電でしか感度を発現できないものである。
【0005】
近年、電子写真プロセスにおけるマイナスコロナ放電から生ずる有害なオゾンが環境上問題となり、オゾンの発生量の少ないプラスコロナで使用可能な正帯電型電子写真用感光体の実用化が望まれている。また正帯電型電子写真用感光体は、従来から用いられているa−Se、a−Si等の無機電子写真用感光体と極性が同じため、多くの周辺部材を共用できる利点も存在する。
【0006】
このような実用的な正帯電型電子写真用感光体の実現に対する要求に対して、例えば、旧来の単層型電子写真用感光体の改良、或いは新規な電子輸送性物質の開発、更には、層構成そのものを見直す努力等によって実現の検討が図られてきたが、要求に充分応え得るものではなかった。
【0007】
例えば、特開昭59−49545号公報には、電荷発生物質及び正孔輸送物質を含有する電荷発生層と導電性支持体との間に、正孔輸送物質を樹脂分散した電荷輸送層を設ける技術が開示されている。この電子写真用感光体は、基本的には従来の積層型電子写真用感光体の積層順序を逆転することで正帯電化しようとしたものである。この種の電子写真用感光体は、原理的に言えば電荷発生物質/正孔輸送物質/樹脂分散系の単層型電子写真用感光体の下に正孔輸送層を設けたものであるから、電子写真用感光体としての基本特性は、上層のみによる単層型電子写真用感光体に極めて近いものである。また、この公報において提案された電子写真用感光体に用いる上層は、従来の電荷発生層に正孔輸送物質を添加するによって電荷の移動度を上げ、従来よりは厚くすることができたが、厚膜化には限度があり、実際の連続使用においては上層の磨耗による特性変化は避けられず、また表面に電荷発生物質が高濃度で露出しているため、プラスコロナ放電であっても微量発生するオゾンや窒素酸化物等の吸着による変質が大きく、耐久性の極めて劣るものであった。
【0008】
上記電子写真用感光体の欠点を改良するものとして、単層構成の感光層或いは上層に設けた電荷発生層中の電荷発生物質の含有量を極端に減少させて正孔輸送性の結着樹脂中に分散させた電子写真用感光体が、例えば「ジャーナル・オブ・イメイジング・サイエンス」(Journal of Imaging Science)第28巻、第5号、第191〜195頁(1984年)の論文等に開示されている。この場合、電荷発生物質の含有量は、感光層に対して5重量%以下と、極めて低くしたため、表面劣化の影響が少なく、従来の積層型電子写真用感光体と同等の耐久性を持つ、正負両帯電型電子写真用感光体が実現できるメリットがあった。
【0009】
しかしながら、本構成による電子写真用感光体は、感度と耐久性を得るために、電荷発生物質の量を大幅に低減させたことにより、電子の輸送が十分になされず、残留電位が増加しやすいといった電気特性的な欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来提案されてきた単層型電子写真用感光体の実用化において問題となった耐久性、残留電位などの諸点を改善し、かつ電気的、画像特性的に好ましい性能を有する単層型電子写真用感光体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、導電性支持体上に、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する単層構造の感光層を有する電子写真用感光体において、(1)電荷発生物質として、チタニルフタロシアニン及びチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの反応生成物から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の材料を含有し、(2)電荷輸送物質として、(a)正孔輸送物質及び(b)一般式(1)
【化3】
(式中、R1〜R8は各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、アルコキシル基又はアリール基を表わす。)
で表わされるジフェノキノン系化合物を含有することを特徴とする電子写真用感光体を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用感光体の感光層の構造の例を図1に示した。なお、感光層の膜厚は、5〜50μmの範囲が好ましい。感光層の膜厚は、浸漬塗工により形成する場合、塗工速度、塗料の粘度、専断力等の諸物性を調節することにより容易に所望の膜厚とすることができる。なお、この単層構成の感光層に付加して、中間層或いは表面保護層等の機能層を適宜合わせて用いることも可能である。
【0013】
本発明の電子写真用感光体に用いられる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
【0014】
感光層に用いる電荷発生物質には、チタニルフタロシアニン、或いはチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの反応生成物が用いられる。
【0015】
ここでチタニルフタロシアニン、チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの反応生成物とは、それぞれ一般式(3)
【0016】
【化4】
【0017】
及び一般式(4)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、Pcは置換もしくは未置換のフタロシアニン残基を表わす。)
で表わされる化合物である。
【0020】
ここで、フタロシアニン残基とは、式
【0021】
【化6】
【0022】
で表わされ、本発明の電子写真用感光体においては、フタロシアニン残基のベンゼン環の水素原子が、無置換のもの、或いはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基等で置換されているものでも良い。
【0023】
なお、チタニルフタロシアニンとの反応に用いる2,3−ブタンジオールは、光学活性体であることが特性上特に好ましい。
【0024】
感光層に用いる電荷発生物質は、その使用に際しては、ここに挙げたものを単独で用いることもできるが、他の電荷発生物質と一緒に2種類以上の電荷発生物質を混合して用いることもできる。
【0025】
本発明の電子写真用感光体では感光層中の電荷発生物質の割合は、感光層の総重量に対して、0.2〜5重量%の範囲が好ましい。電荷発生物質の割合が5重量%よりも多い場合、感光層中の電荷の移動度が低下する傾向にあるため、感度が低下し、また感光層の表面に露出する電荷発生物質の量が多くなるため、耐久性が悪くなる傾向にあるので好ましくない。また、電荷発生物質の割合が0.2重量%よりも少ない場合、電荷発生に寄与する電荷発生物質の絶対量が不足する傾向にあり、感度も悪くなる傾向にあるので好ましくない。
【0026】
本発明の電子写真用感光体における電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質を併用して構成される。
【0027】
本発明の電子写真用感光体の感光層に使用可能な正孔輸送物質としては、低分子化合物では、例えば、ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物が挙げられ、また、高分子化合物としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラン等が挙げられるが、これらの中でも前記一般式(2)で表わされるアリールアミン系化合物の使用が電気特性の面から特に好ましい。
【0028】
本発明の電子写真用感光体で使用する正孔輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0029】
更に、本発明の電子写真用感光体では、これらの正孔輸送物質に加え、感光層中に電子輸送物質である前記一般式(1)で表わされるジフェノキノン系化合物を添加することにより、その電気的特性を著しく向上させ、感光体性能を実用的なものとしている。
【0030】
感光層中のジフェノキノン系化合物と正孔輸送物質の割合は、正孔と電子の移動度の兼ね合いで決定されるが、本発明の電子写真用感光体の構成では、ジフェノキノン系化合物:正孔輸送物質の重量比を1:10〜1:1の範囲内で用いることが総合的な特性上好ましい。ジフェノキノン系化合物の割合が1:10よりも少ない場合、電子の輸送が十分にできなくなり、残留電位が大きくなり、繰り返し特性が劣化する傾向にあるので好ましくない。また、逆にジフェノキノン系化合物が1:1よりも多い場合、正孔輸送能が低下して感度が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。
【0031】
感光層中の電荷輸送物質の割合は、使用する電荷輸送物質の輸送能によって異なるが、低分子化合物の場合、感光層の総重量に対して、10〜60重量%の範囲が好ましい。10重量%よりも少ない場合、電荷輸送能が不十分となるため、感度が不足して、残留電位が大きくなる傾向にあるので好ましくなく、また、60重量%よりも多い場合、感光層中の樹脂の含有量が小さくなるので、感光層の機械的強度が低下する傾向にあるので、好ましくない。但し、正孔輸送物質としてポリ−N−ビニルカルバゾールの如き高分子化合物を用いる場合、正孔輸送物質自体が結着剤としての機能を有するため、電荷発生物質とジフェノキノン系化合物を除く全量を正孔輸送物質とすることもできる。
【0032】
感光層に用いる結着剤としては、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子重合体が好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着剤は、単独又は2種類以上混合して用いられる。
【0033】
また、これらの結着剤とともに、分散安定剤、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。
【0034】
可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0035】
表面改質剤としては、例えば、シリコンオイル、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0036】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。
【0037】
光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0038】
中間層、或いは感光層を浸漬塗工によって形成する場合、上記の電荷発生物質、或いは電荷輸送物質等を結着剤等に混合したものを溶剤に溶解ないしは分散した塗料を用いる。結着剤を溶解する溶剤は、結着剤の種類によって異なり、最適なものを選択して用いることが好ましい。そのような有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類などが挙げられる。
【0039】
【作用】
以下に本発明の電子写真用感光体の作用の詳細を述べると共に、本発明の電子写真用感光体が優れた電気的特性を発揮できる理由を明らかにする。
【0040】
本発明の電子写真用感光体に使用する電荷発生物質の割合は、感光層の総重量に対して、0.2〜5重量%の範囲内が好ましいが、このような電荷発生物質を低濃度化した電子写真用感光体においては、従来の技術の項で述べたように、電子輸送が十分になされないため、残留電位が大きい、繰り返し特性が劣化する等の問題が生ずる。この場合、感光層に電子輸送物質を含有させることによって、電子輸送能を向上させ、これらの問題を改善することができるが、その効果は使用する電荷発生物質と電子輸送物質の組み合わせによって著しい差異を示す。何故なら、電荷担体としての電子は正孔輸送物質や結着樹脂中には殆ど局在化することが許されないから、生成された電子は必然的に、電荷発生物質の表面近傍に集中してトラップされ、そこからの効率的な離脱には、電荷発生物質と電子輸送物質との間のエネルギー的な親和性が大きな支配因子となると解釈されるからである。
【0041】
本発明の電子写真用感光体では、このような構成の電子写真用感光体において、電荷発生物質であるチタニルフタロシアニン、或いはチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの反応生成物と、電子輸送物質であるジフェノキノン系化合物の組み合わせによって、最も良好な感光体特性を導き出したことに大きな特徴がある。本発明の電子写真用感光体における電荷発生物質と電子輸送物質の組み合わせは、上記トラップされた電子の離脱効率を最も好適化して、優れた電気特性を発現しているものと考えられる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例及び比較例中における「部」は「重量部」を示す。
【0043】
(合成例1)
β型チタニルフタロシアニン20部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.2部とをα−クロロナフタレン240部中で攪拌しながら、200℃で1.5時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後、反応生成物を濾別し、ベンゼン、メタノール、ジメチルホルムアミド及び水の順に洗浄した後、減圧乾燥させることによりフタロシアニン化合物を得た。
【0044】
このようにして得たフタロシアニン化合物は、マススペクトルにおいて、m/Z=648及びm/Z=576にピークを示したので、式(6)
【0045】
【化7】
【0046】
で表わされる化合物と未反応のチタニルフタロシアニンの混合組成物であることが分かった。
【0047】
この組成物のCu−KαのX線回折スペクトルを図2に示した。図2に見られるように、本組成物はブラッグ角2θにおいて、8.3゜、24.7゜及び25.1゜に特徴的な強いピークを有するものであった。
【0048】
(実施例1)
合成例1で得たフタロシアニン組成物0.3部、式(7)
【0049】
【化8】
【0050】
で表わされるアリールアミン化合物9部、式(8)
【0051】
【化9】
【0052】
で表わされるジフェノキノン系化合物3部及びポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製の「ユーピロンZ−200」)14部をクロロホルム76部に溶解し、振動ミルを用いて分散させて、感光層用の塗料を作成した。
【0053】
この塗料を用いて、厚さ0.3mmのアルミニウム板の上に、乾燥後の膜厚が20μmと成るように塗布した後、乾燥させて、感光層を形成し、板状の電子写真用感光体を得た。
【0054】
(実施例2)
実施例1において、ジフェノキノン系化合物として、式(9)
【0055】
【化10】
【0056】
で表わされる化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を得た。
【0057】
(実施例3)
実施例1において、ジフェノキノン系化合物として、式(10)
【0058】
【化11】
【0059】
で表わされる化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を得た。
【0060】
(実施例4)
実施例1において、ジフェノキノン系化合物として、式(11)
【0061】
【化12】
【0062】
で表わされる化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を得た。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、ジフェノキノン系化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、電子写真用感光体を得た。
【0064】
(比較例2)
実施例1において、電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用感光体を得た。
【0065】
(比較例3)
実施例1において、電子輸送物質としてジフェノキノン系化合物の代わりに、式(12)
【0066】
【化13】
【0067】
で表わされるフルオレノン系化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を得た。
【0068】
(比較例4)
実施例1において、電子輸送物質としてジフェノキノン系化合物の代わりに、式(13)
【0069】
【化14】
で表わされるチオピラン系化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を得た。
【0070】
(電気特性)
各実施例及び各比較例で得た電子写真用感光体の電気特性を評価するために、各電子写真用感光体を静電複写紙試験装置(川口電機社製の「EPA−8100」)を用いて、静電特性を測定した。測定方法は、まず電子写真用感光体を暗所で印加電圧+6kVのコロナ放電により帯電させ、この直後の表面電位を初期電位V0 として、帯電能の評価に用いた。次に、暗所に10秒間放置した後の電位を測定し、V10とした。ここで、V10/V0 によって電位保持能を評価した。次いで、780nmの単色光で、その表面における露光強度が1μW/cm2 になるように設定し、感光層に光照射を15秒間行い、表面電位の減衰曲線を記録した。ここで15秒後の表面電位を測定し、それを残留電位VR とした。また、光照射により表面電位がV10の1/2に減少するまでの露光量を求め、半減露光量E1/2 として感度を評価した。更に、帯電後3000ルクスの白色光を0.1秒照射して除電する工程を1秒ごとに100回繰り返した直後に、同じ測定を行って、繰り返し特性の評価を行った。なお、同一の測定を、印加電圧−6kVの負帯電の条件でも行った。これらの結果を表1及び表2にまとめて示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1及び表2に示した結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4で得た電子写真用感光体は、ジフェノキノン系化合物を用いない比較例1の電子写真用感光体と比較して、正負何れの極性においても、初期感度において特性向上が見られ、特に繰り返し後の感度の劣化と残留電位の上昇には著しい改善効果が見られた。一方、比較例2で得た電荷発生物質として一般的なフタロシアニンを用いた電子写真用感光体は、各実施例で得た電子写真用感光体と比較して、大幅に感度が劣るものであった。また、比較例3及び4で得たジフェノキノン系化合物以外の一般的な電子輸送材料を用いた電子写真用感光体は、各実施例で得た電子写真用感光体に比較して、電位保持能、繰り返し後の感度、残留電位が非常に劣っていた。
【0074】
【発明の効果】
本発明の電子写真用感光体は、正負両帯電性で、電気特性に優れ、繰り返し特性が良好な、実用上好ましい電子写真用感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生物質
3 正孔輸送物質/ジフェノキノン系化合物/結着材
4 感光層
【図2】合成例1で得た式(1)で表わされるチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物と、未反応のチタニルフタロシアニンの混合組成物のX線回折スペクトルである。
Claims (4)
- 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する単層構造の感光層を有する電子写真用感光体において、(1)電荷発生物質として、チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの反応生成物を含有し、該反応生成物のCu−Kαに対するX線回折スペクトルは、ブラック角2θの8.3°に主たるピークを有し、さらに24.7°及び25.1°にピークを有し、かつ
(2)電荷輸送物質として、(a)正孔輸送物質及び(b)一般式(1)
- 正孔輸送物質として、アリールアミン系化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
- 感光層に含まれる電荷発生物質の割合が、感光層の総重量に対して、0.2〜5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子写真用感光体。
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