JP3635856B2 - 表面処理カーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面にシリカを添着してシラノール基を表面に存在させたカーボンブラックの製造方法、並びにこのカーボンブラックを配合したゴム組成物に関し、得られるゴム組成物はタイヤトレッドやベルトなどの製造に好適に使用される。
【0002】
【従来技術】
補強粒子を配合した加硫ゴム組成物が繰り返し変形を受けた際の発熱性の指標にtanδがある。例えばタイヤトレッドの転がり抵抗を減少させ低燃費にするには50〜70℃のtanδを小さくすれば良いことが知られている。一方、濡れた路面での制動特性などは0℃付近のtanδが大きい方が良好となる。このtanδの温度依存性を改良する、即ち50〜70℃のtanδを小さく、かつ0℃付近ののtanδを大きくする方法として、充填剤としてシリカを配合することが試みられている。例えば特開平3−252433号公報には溶液重合法SBRにシリカとシランカップリング剤を配合することが記載されている。また特開平7−165991号公報にはシランカップリング剤として特にシリカとゴムに反応することができる2官能性のものが優れていると記載されている。
【0003】
これは、シラノール基を表面に有する粒子、例えばシリカ粒子は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファンなどのシランカップリング剤と共にジエン系ゴムに練り込み、加硫した際に、カップリング剤を介して粒子とゴムが化学的に結合することが知られており、これにより粒子配合加硫ゴム組成物の60℃付近のtanδが低くなり、また耐摩耗性が向上するなどの物性の向上がみられるものと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリカを充填剤として配合した場合、tanδの温度依存性を改良することはできるが、シリカ充填剤は自己凝集力が強いためゴム中へ分散しづらく、加工性が劣るといった問題がある。また高価なシランカップリング剤をシリカに対し通常5〜15%も添加する必要があるためコンパウンドコストが上がるという問題もある。
【0005】
また、カーボンブラックにシリカ充填剤を配合することなく上記のような硫黄原子を有するシランカップリング剤を配合すると、粒子配合ゴム組成物の60℃付近のtanδがかなり低減されるケースがある。しかし低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下するといった欠点がある。
【0006】
一方、ゴム組成物に配合されるカーボンブラックをシリカ、或はシランで表面処理することが提案されている。例えば特開昭53−100190号公報や特開昭61−291659号公報には、溶剤もしくは水に溶解させたシリコンの有機化合物または有機金属化合物をカーボンブラックに混合し乾燥させる方法が記載され、具体的にはシリコン化合物としてジメチルポリシロキサンやシリコンオイルが用いられている。また、特開昭56−38357号公報には、環式アルキルポリシロキサン又はシリコン化合物で処理された表面を有する表面疎水化したカーボンブラックが提案されている。特開昭58−125249号公報には溶剤に溶解させたシランカップリング剤を表面に被覆したカーボンブラックが記載されている。特開昭63−63755号公報にはカーボンブラックを水中に分散させ、珪酸ナトリウムを硫酸で中和させることにより、カーボンブラック表面に無定形シリカを沈積させる方法が提案されている。しかしこれらの方法はいずれも溶剤の除去や回収、或は中和操作などプロセス面、経済面から工業化に適していると言い難い。また特開平4−233976号公報には特定の有機ケイ素化合物(具体的には特定構造の硫黄含有シランカップリング剤)でカーボンブラックを化学的に変性することが提案されている。しかしこの方法も抽出操作や変性するための後処理などのプロセス的・経済的な問題がある。しかも、これらカーボンブラックをシリカ、シラン等の表面処理剤で処理する方法では、表面処理剤が全てのカーボンブラック表面に十分に均一に付着しないことも予想される。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、シリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良した補強粒子、およびこれを配合してなるゴム組成物を提供すべく、カーボンブラック表面にシリカを添着する方法について鋭意検討した。
【0008】
その結果、特定の珪素含有化合物を用い特定方法でカーボンブラックの表面処理を行うことにより、効率的かつ効果的にシラノール基をカーボンブラック表面に存在させることができること、しかもこのようにして表面処理されたカーボンブラックを配合したゴム組成物は、優れた特性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は200℃以下で、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンをカーボンブラック表面に接触させることを特徴とする表面処理カーボンブラック、及びこの表面処理カーボンブラックを配合してなるゴム組成物に存する。
かかる本発明により、カーボンブラック表面にシラノール基を導入することができるので、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の配合によって試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃付近のtanδの低下、耐摩耗性の向上等の物性の向上を、シリカ等の粒子を配合することなく達成することができる。
【0010】
しかも、硫黄原子を有するシランカップリング剤を配合した場合のような低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下するといった欠点も解消することが可能である。
しかも本発明で得られる表面処理カーボンブラックによれば、シリカの欠点である難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良することが可能となる。従って、本発明により、シリカとカーボンブラックの長所を併せ持った補強粒子、即ちシリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良した補強粒子と、それを配合してなるゴム組成物を提供することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で表面処理に供される原料としてのカーボンブラックは特に限定されないが、ゴムに配合する場合にはゴム工業において用いることができるものとして公知である種々のタイプ、例えばファーネスブラック(ASTM D 1765による分類)、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等が好適である。これら原料カーボンブラックを製造するには、例えばファーネスブラックの場合は高温ガス流中に高芳香族重質油を導入し、この重質油の不完全燃焼又は熱分解により得ることができる。
【0012】
本発明においては、カーボンブラックを特定珪素化合物と接触する。すなわち、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンと接触するのである。
ここで、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとは、SiにOを介して水素、アルキル基、ビニル基、フェニル基又はその他の官能基が結合しているシラン、及び/又は(Si−O)nを主鎖とし(主鎖は枝分かれしたり、環を形成していてもよい。)、SiにOを介して水素、アルキル基、ビニル基、フェニル基又はその他の官能基が結合しているポリシロキサンをいう。
【0013】
好ましくは、SiにC1〜4のアルコキシ基が結合している、テトラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシポリシロキサンが用いられる。後者は前者の低縮合物として容易に得ることができる。後者として例えば、以下の一般式(A)で表されるものが挙げられる。
【0014】
【化1】
(RO)3−Si−O−[Si(OR)n−O(3-n)]mR
【0015】
ここでn=1又は2、mは0以上の整数、Rは互いに相異なってもよいC1〜4のアルキル基である。アルキル基が水素で置換されていてもよい。
特にR=CH3−のものとして、テトラメトキシシランの低縮合物であるオリゴマーがあり、三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」が、含有するモノマー(すなわちテトラメトキシシラン)の量が1重量%以下と少なく、このため品質安定性に優れ、しかもモノマーによる毒性が少なく使用上安全であるので好ましい。本発明においては、これら全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンをそのまま用いることもできるが、これに水及び加水分解触媒等を添加して、加水分解したり、加水分解したものを更に縮合した加水分解縮合物を用いても良い。
【0016】
加水分解縮合物として、例えば上記テトラメトキシシランのオリゴマーをアルコール中で加水分解縮合した「MKCシリケートMS51SG1」(三菱化学(株)製)が挙げられる。このものは、加水分解によりシラノール基が多数生成しており、好ましく用いられる。
これらテトラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシポリシロキサンは、多数のアルコキシ基を有するため、カーボンブラックへの付着、シラノール基の生成に極めて優れ、得られる表面処理カーボンブラック及びこれを配合してなるゴム組成物の特性を大きく向上していることが考えられる。
【0017】
これらのテトラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシポリシロキサンの有するアルコキシ基を、エステル交換その他の手段により他の有機基で適宜変性することもできる。具体的には、より長鎖の有機基を有するアルコールと反応させ、より長鎖の有機基を導入する等、各種の活性水素含有化合物等で所望の有機基を導入してもよい。
【0018】
あるいは、これら全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンにシランカップリング剤等他の有機成分を配合したものを、カーボンブラックと接触させても構わない。この場合、他の有機成分は、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサン100重量部に対して50重量部以下、好ましくは20重量部以下が望ましい。有機成分としては、各種シランカップリング剤の他、各種樹脂成分等が挙げられ、必要に応じて適宜選択して、上記シラン及び/又はポリシロキサンに配合すればよい。
【0019】
全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンによるカーボンブラックの表面処理は、これらの化合物を、200℃以下でカーボンブラックと接触させることで行われる。200℃を超えると全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンの蒸発(ガス化)が促進され、例えばスプレー時の付着歩留が低下する等の問題が生ずる。
【0020】
全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンの使用量は特に限定されないが、カーボンブラック100重量部に対し通常0.1〜50重量部が用いられる。更に好ましくは0.2〜30重量部である。この使用量が少なすぎるとtanδの温度依存性の改良効果が少なく、逆に多すぎると混練中の分散加工性が悪化し、またコスト高になる。
【0021】
この全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとカーボンブラックとの接触は、上述のように200℃以下でこれらが接触しうる態様であれば特に制限されず、例えば一方を他方に添加することにより容易に接触させることができる。特にカーボンブラックの造粒工程においてこれらを接触させるのが好ましい。即ち未造粒カーボンブラックに全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンを添加した後、或いは添加しながら造粒することにより、均一に且つ簡便にシリカ源をカーボンブラック表面に付着させることができる。造粒工程は湿式造粒が好適である。未造粒カーボンブラックと同量程度の造粒水中に全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンを添加する方法がプロセス上、好ましい。さらに好ましくは、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンをノニオン系界面活性剤等で造粒水中に乳化分散させ、添加する方法が用いられる。このように「水の存在下」で接触を行うことにより、次工程である乾燥工程で、酸素を介して珪素に結合した有機基の加水分解が促進されシラノール基が多数生成する。
【0022】
造粒後、乾燥工程を経るが、乾燥工程での残存水分は5重量%以下までとすることが好ましい。乾燥工程は、水分の存在下でドライヤー等の装置を用いで行うことができる。この際、酸素を介して珪素に結合した有機基の一部が加水分解され、シラノール基が生成するものと考えられる。
【0023】
本発明の方法により得られる表面処理カーボンブラックは、特に限定されないが窒素比表面積が20〜300m2/g、DBPが50〜250cc/100gであることが好ましい。本発明の製造方法により、水ガラスでの処理等におけるような煩雑な操作を必要とすることもなく、簡便にシリカの付着したカーボンブラックを製造することができる。また、以下に説明するように、本発明の製造方法によればシリカ成分の実質的に全量をカーボンブラックの表面に、しかも微細な領域として均一に存在させることができるので、少量で大きな効果を発揮するシリカ付着カーボンブラックを得ることができる。また、品質のコントロールも容易である。また、本発明により、シリカ成分の仕込み量のほぼ全量、すなわち80重量%以上、90重量%を、カーボンブラックに付着させることも可能であり、歩留りが大変良好である。
【0024】
以上説明した本発明の製造方法により、本発明のカーボンブラックを得ることができる。すなわち、シリカが表面に付着したカーボンブラックであって、付着したシリカの80重量%以上が厚み0.1〜20nm、幅1〜40nmの大きさであることを特徴とするカーボンブラックである。付着したシリカは厚み0.1〜15nm、幅1〜30nm、更には幅1〜20nmとすることもできる。更には、付着したシリカの90重量%以上を、上記の範囲とすることもできる。つまり、本発明のカーボンブラックは、シリカ成分を微細且つ均一な状態で付着させることができ、高特性を発揮することができるのである。ここで、シリカの厚みとは、カーボンブラック表面と垂直方向、幅とは厚み方向に垂直な方向をいう。シリカ成分の大きさは、透過型電子顕微鏡写真で確認することができる。具体的には、EDX等の手段によりシリカ成分であることが確認された箇所について、透過型電子顕微鏡写真により形状を確認するか、必要に応じて画像処理して厚みと幅とを測定することができる。
【0025】
さらに、シリカ成分のほぼ全量を、カーボンブラックの表面に存在させることができる。また、本発明のカーボンブラックにおいては、特定の珪素化合物で処理している。すなわち全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はシロキサンである。このような化合物を用いて表面処理を行っているため、表面処理されたカーボンブラックの表面には、大量のOH基が容易に形成されるため、ゴム等への配合に等に際しては、ビヒクルとの馴染みにも優れたものとすることができる。
【0026】
ゴムへの配合量は、通常ゴム成分100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部である。
本発明のゴム組成物に使用されるゴム成分は、特に制限されないが架橋可能なゴムであることが好ましい。更に好ましくは硫黄加硫可能なジエン系ゴムである。ゴムは単独でも、また2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0027】
本発明のゴム組成物には、本発明の製造方法により得られた表面処理カーボンブラックの他に、通常のカーボンブラックやシリカを併用してもよい。しかしその配合量は上記表面処理カーボンブラックの5倍を超えないことが望ましい。
また本発明のゴム組成物には、シランカップリング剤が配合されることが好ましい。シランカップリング剤としては従来用いられているものを任意に配合できるが、特にシラノール基及びゴム系重合体と反応できる少なくとも2官能性のものが好ましい。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラサルファイドやメルカプトプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これは本発明により生成したカーボンブラック表面のシラノール基が、混練時にシランカップリング剤のアルコキシ部分と反応及び結合し、サルファイド部分は加硫反応においてゴム系重合体と反応するからである。この場合、本発明により得られた表面処理カーボンブラックを用いることにより、シランカップリング剤の配合量は通常のシリカ配合に比べ少なくて済む。即ち、通常のシリカ配合は高価なシランカップリング剤を、シリカ100重量部に対し普通、5〜15重量部添加する必要があるためコンパウンドコストが上がるという問題があるが、本発明に従えば、シランカップリング剤の配合量は、本発明により得られる表面処理カーボンブラックに対し、シリカ添着量にもよるが1〜10重量部で十分である。これはカーボンブラック表面に存在するシラノール基のトータル量が通常のシリカ粒子表面のシラノール基よりも少ないことに起因しており、反応するのに十分なシランカップリング剤量でよいことを意味している。よって本発明によるとシリカ系配合に比べ、コンパウンドコストも安価となるというメリットもある。
【0028】
本発明で得られる表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物はタイヤトレッド、アンダートレッド、サイドトレッド等のタイヤ用途や防振ゴムやベルト等の一般ゴム部材に好適に提供される。
以下、実施例によって本発明を説明するがこれに限定されるものではない。
[実施例1〜7]
表面処理カーボンブラックの調製
カーボンブラックとして「N220」(「DIABLACK-I」:三菱化学(株)製)の未造粒品1000gをラボ造粒装置に入れる。全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとして、テトラメトキシシランの低縮合物であるオリゴマー(商品名:「MKCシリケートMS51」三菱化学(株))の所定量(表1に記載)をノニオン系界面活性剤(商品名:「エマルゲン920」花王(株))で乳化し、水と共に上記カーボンブラックに加える。ラボ造粒装置の蓋を閉め、60℃で1分間高速攪袢する。こうして得られた造粒物をドライヤーで乾燥させ、実施例1〜6の表面処理カーボンブラックを得た。
【0029】
次に全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとして、「MKCシリケートMS51」をエタノール中で、MS51のアルコキシ基に対し0.57モル倍量の水を添加して加水分解したの加水分解縮合物(商品名:「MKCシリケートMS51SG1」三菱化学(株))を用いて上記と同様な操作を行い、実施例7の表面処理カーボンブラックを得た。
【0030】
[比較例1〜3]
一方、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとノニオン系界面活性剤を加えない以外は実施例と同様な操作を行い、比較例1の、シリカが添着されていない通常のカーボンブラックを得た。
また、比較例2はシリカ単味(商品名:「Nipsil AQ」日本シリカ工業(株))、比較例3はカーボンブラックとシリカ(Nipsil AQ)の機械的混合物(ブレンド物)である。
【0031】
表面処理カーボンブラックのシリカ含有量、及びコロイダル特性の測定
表面処理カーボンブラックをJIS K6221の灰分測定法に準拠し750℃で灰化して灰分量を求めた。この灰分量から、シリカが添着されていない比較例8のカーボンブラック灰分量を差し引いた量をシリカ含有量とみなした。結果はその他のコロイダル特性値と共に表1に示した。なお、コロイダル特性値の測定法は以下の通りである。
【0032】
窒素比表面積 :ASTM D3037
CTAB比表面積:ASTM D3765
よう素吸着量 :JIS K6221「ゴム用カーボンブラックの試験方法」
DBP吸油量 :JIS K6221「ゴム用カーボンブラックの試験方法」
【0033】
表面処理カーボンブラック含有ゴム組成物の調製、及びゴム物性の測定
表2に示す各成分を、常法に従ってバンバリーミキサー及びオープンロールミキサーで混合混練してゴム組成物を調製した。(表2中、「SBR1502」は、日本合成ゴム(株)製スチレンブタジエンゴム「1502」(スチレン量23.5重量%)を示す。)これらのゴム組成物を160℃でプレス加硫し加硫ゴム試験片を作成した。以下の試験方法で各種試験を行い、その物性を測定した。
【0034】
(1)E*、tanδ:動的粘弾性特性であるE*、tanδは、(株)レオロジ製「DVEレオスペクトラー」を用い、次の条件で測定した。
E*:静的歪み10%、動的歪み(振幅)0.3%、周波数20Hz、測定温度−10℃
tanδ:静的歪み10%、動的歪み(振幅)4%、周波数20Hz、測定温度 0℃と60℃の2レベル
(2)耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機を用い、次の条件で測定した。
試験片:厚さ10mm、外径44mm、試験荷重4kg、砥石と試験片のスリップ率45%、測定温度25℃
【0035】
(3)ゴム中での補強粒子分散度(D%):カーボンブラックの分散度測定法 ASTM D2663−B法(凝集塊カウント法)に準拠した。即ち、加硫ゴムをスレッジ型ミクロトーム(Leitz社製)で薄膜にスライスし、光学顕微鏡で配合物中の5μm以上の補強粒子(カーボンブラック、或はシリカ)凝集塊の占める総断面積を測り、配合物に加えた補強粒子の総断面積(計算値)から5μm以下に分散している補強粒子のパーセントを求め、分散度(D%)とした。
(1)〜(3)の得られた結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
表1から、本発明により、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンでカーボンブラックを表面処理することにより、ほぼ理論量見合いのSiO2がカーボンブラックに添着されることがわかる。即ち「MKCシリケートMS51」或は「MKCシリケートMS51SG1」から生じるSiO2分理論値と、表面処理カーボンブラックの灰分量から表面処理していないカーボンブラック(比較例1)の灰分量を差し引いた「みなしSiO2量」がほぼ一致しており、収率良く添着されていることを示している。
【0040】
表2、表3から明らかなように、本発明により表面処理を行ったカーボンブラック(実施例1〜7)を配合したゴム組成物は、表面処理していない通常のカーボンブラックを配合したゴム組成物(比較例1−1)に比べ、低温域(0℃)でのtanδを高く保ったまま高温域(60℃)でのtanδのみが低減されている。即ち、このゴム組成物をタイヤトレッド等に用いた場合、濡れた路面での制動性等を犠牲にすることなく転がり抵抗性のみが低減されたタイヤとなる。また耐摩耗性も悪化していない。
【0041】
さらに通常、カーボンブラック系にはシランカップリングを添加しないが、Si69を5重量部添加した比較例1−2は低温域と高温域のtanδバランスはかなりシリカ系に近づき、改善されている。しかしながら、低温、低歪下の複素弾性率E*が高いため特に低摩擦係数路面などでの制動特性が劣る。一方、実施例はこのE*が低く、改良されていることがわかる。
【0042】
次に、通常のシリカを配合した比較例2と比べてみると、実施例は低温域と高温域のtanδバランスは同等(シリカ並)であり、耐摩耗性及び補強粒子分散性は優れている(通常のカーボンブラック並)。即ち、実施例はシリカ並の粘弾性特性(低温域と高温域のtanδバランスや低温、低歪下のE*特性)と、カーボンブラック並の耐摩耗性及び粒子分散性を有していることがわかる。
【0043】
比較例3は通常のカーボンブラックとシリカをブレンドしたものである。粒子中のトータルシリカ含有量がほぼ同一である実施例5と比較すれば明らかなように、本発明の効果は単なるカーボンブラックとシリカのブレンドでは得られず、本発明の方法により表面処理されたカーボンブラックを用いてのみ発現していることがわかる。
【0044】
実施例8、9
カーボンブラックとして三菱化学(株)製「N339」(ヨウ素吸着量92m2/g、窒素吸着比表面積105m2/g)を用い、シリカ量として各々1重量%、5重量%(仕込み量換算)となるように「MS−51」を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、シリカの付着したカーボンブラックを得た。得られたカーボンブラックの導電性(体積固有抵抗)を、表4に示す。更に、これらのシリカの付着したカーボンブラックを用いて、表5に示す各成分を、バンバリーミキサー及びオープンロールミキサーで混合混練してゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物の物性(tanδ)を、表4に示す。
【0045】
実施例8で得られたシリカの付着したカーボンブラックの透過型電子顕微鏡写真(2,000,000倍)を図1に、図1中のA部及びB部のEDXスペクトルを各々図2及び図3に示す。これにより、A部がシリカ成分であること、シリカ成分の厚みが約10nm、幅が約20nmであることがわかる。尚、カーボンブラックの他の部位についても同様であった。
【0046】
比較例4、5
カーボンブラックを実施例1で用いた装置に仕込み、珪酸ソーダ(試薬級)を1重量%になるよう水で希釈した液を、シリカ成分が各々1重量%及び5重量%(仕込み量換算)となるように添加した。さらに、5%硫酸を添加して、pH9に調整し、ラボ造粒装置の蓋を閉め、60℃で1分間高速攪拌する。こうして得られた造粒物をドライヤーで乾燥させ、シリカの付着したカーボンブラックを得た。実施例8同様に、導電性(体積固有抵抗)を、表4に示す。実施例8同様に、ゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物の物性(tanδ)を、表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
なお、表5中、*3)、*4)、*5)及び*6)については、表2中と同様である。また、アロマオイルは富士興産(株)製のものを用いた。
【0049】
表4から明らかなように、シロキサン化合物で処理した実施例8、9では、水ガラス(珪酸ソーダ)で処理した比較例4、5に比べて、ゴム物性、導電性ともに優れていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明により、カーボンブラック表面にシラノール基を導入することができるので、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の配合によって試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃付近のtanδの低下、耐摩耗性の向上等の物性の向上を、シリカ等の粒子を配合することなく達成することができる。
また、硫黄原子を有するシランカップリング剤を配合した場合のような低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下するといった欠点も解消することが可能である。
更に本発明の表面処理カーボンブラックによれば、シリカの欠点である難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良することが可能となる。従って、本発明により、シリカとカーボンブラックの長所を併せ持った補強粒子、即ちシリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良した補強粒子と、それを配合してなるゴム組
成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8で得られたシリカの付着したカーボンブラックの粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図
【図2】図1中のA部のEDXスペクトルを示す図
【図3】図1中のB部のEDXスペクトルを示す図
Claims (11)
- 表面にシリカが厚み0.1〜20nm、幅1〜40nmの微細な形状で付着していることを特徴とする造粒されたカーボンブラック。
- カーボンブラックを湿式造粒するに際し、カーボンブラックにテトラアルコキシシランの加水分解物ないしは加水分解縮合物を、両者が200℃以下の温度で接触するように添加して造粒することを特徴とする表面処理カーボンブラックの製造方法。
- カーボンブラックを湿式造粒するに際し、カーボンブラックにテトラアルコキシシランの加水分解物ないしは加水分解縮合物を含有する造粒水を、両者が200℃以下の温度で接触するように添加して造粒することを特徴とする、表面処理カーボンブラックの製造方法。
- カーボンブラックを湿式造粒するに際し、カーボンブラックにテトラアルコキシシランの加水分解物ないしは加水分解縮合物がノニオン系界面活性剤で乳化分散されている造粒水を、両者が200℃以下の温度で接触するように添加して造粒することを特徴とする、表面処理カーボンブラックの製造方法。
- 造粒後にドライヤーで水分が5重量%以下となるまで乾燥することを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の表面処理カーボンブラックの製造方法。
- テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランであることを特徴とする、請求項2ないし5のいずれかに記載の表面処理カーボンブラックの製造方法。
- カーボンブラック100重量部に対し、テトラアルコキシシランの加水分解物ないしは加水分解縮合物を0.1〜50重量部添加することを特徴とする、請求項2ないし6のいずれかに記載の表面処理カーボンブラックの製造方法。
- 請求項2ないし7のいずれかに記載の製造方法で得られたカーボンブラックが配合されていることを特徴とするゴム組成物。
- 請求項1に記載のカーボンブラックが配合されていることを特徴とするゴム組成物。
- カーボンブラックに加えて2官能性のシランカップリング剤も配合されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のゴム組成物。
- 2官能性のシランカップリング剤の配合量がカーボンブラック100重量部に対し1〜10重量部であることを特徴とする請求項10に記載のゴム組成物。
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