JP2001355120A - ラージトウプリカーサー、その製造方法及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ラージトウプリカーサー、その製造方法及び炭素繊維の製造方法

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JP2001355120A
JP2001355120A JP2000175811A JP2000175811A JP2001355120A JP 2001355120 A JP2001355120 A JP 2001355120A JP 2000175811 A JP2000175811 A JP 2000175811A JP 2000175811 A JP2000175811 A JP 2000175811A JP 2001355120 A JP2001355120 A JP 2001355120A
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carbon fiber
precursor
large tow
producing
oil
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JP2000175811A
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Kazuhiro Yamamoto
一博 山本
Yasuhisa Nagata
康久 永田
Masaaki Tanii
真章 谷井
Hiroyuki Tatsuta
浩之 龍田
Hideo Matsuda
秀男 松田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Tenax Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性向上のためラージトウの形態を採用
し、各サブトウを捲縮処理により収束させてフィラメン
ト数を巨大化させたラージトウプリカーサーを用いて炭
素繊維とした場合に、強度が低下することのないラージ
トウプリカーサー及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 アクリル系共重合体を原料とし、紡糸−
水洗−第1オイル付与−乾燥−延伸−弛緩−第2オイル
付与−捲縮−乾燥からなる工程を経て得た、炭素繊維製
造用ラージトウプリカーサーであり、その性質は、広角
X線回折による配向度が80%以上の捲縮フィラメント
で、単繊維デニール0.5〜3dのポリアクリロニトリ
ル系繊維のフィラメント数20,000〜100,00
0本のサブトウが、3〜30本収束した、トータルデニ
ール6万〜300万のシート状形態であり、サブトウ単
位に分割可能なラージトウプリカーサーであって、該ラ
ージトウプリカーサーを用いて炭素繊維を製造した場合
の炭素繊維の強度が300kfg/mm2 以上、毛羽発
生量が200μg/ft未満である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維製造用の
サブトウ毎に分割可能なラージトウプリカーサー、その
製造方法、及び炭素繊維の製造方法に関する。更に詳し
くは、炭素繊維の製造において生産性を高め、製造コス
トを低減し、耐炎化時の集束性と焼成段階での工程通過
性を損ねることなく最終的に糸切れや毛羽の発生を抑え
ることができる炭素繊維の前駆体であるラージトウプリ
カーサー、その製造方法、及び炭素繊維の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維製造には、フィラメント
数1,000〜30,000本の炭素繊維用のプリカー
サー(以下、プリカーサーと単に言うことがある。)を
一つのトウ(繊維束、ストランド)とし、数百本のトウ
を互いが接触しないようにして一度に、耐炎化処理及び
炭素化処理が施されて炭素繊維が製造されることが一般
的である。炭素繊維製造の前記耐炎化処理においては、
発熱が生じやすく、トウ内部の蓄熱が問題となるため、
プリカーサーのフィラメント数を多くしたり、太さを大
きくすると、糸切れや、熱融着が生じるため、生産性の
向上の妨げとなっていた。
【0003】炭素繊維製造用のプリカーサーは、一般的
にアクリロニトリルを主成分とするアクリル系共重合体
からなる紡糸原液を湿式紡糸し、フィラメント数1,0
00〜30,000本のトウを水洗→オイル処理→乾燥
→延伸→弛緩して得られる。
【0004】近年、生産性を向上させる目的で、フィラ
メント数を30万〜150万本程度に巨大化させたシー
ト状のプリカーサー(ラージトウプリカーサー)とし、
炭素繊維製造時にフィラメント数5万〜25万本のサブ
トウに分割可能なものとすることが提案されている(特
開平10−121325号公報)。該ラージトウプリカ
ーサーの製造方法は、ポリマー溶液からポリマーを紡糸
した後、凝固された段階で凝固浴中或いは凝固浴出口に
配置した分割ガイドによりフィラメント数5万〜25万
本の任意に分割したサブトウとし、その後、サブトウと
サブトウとを1mm程度オーバーラップさせた状態で捲
縮処理を行うことによって、隣合うサブトウを互いに絡
み合わせて、総フィラメント数が30万〜150万本の
シート状のラージトウプリカーサーとするものである。
【0005】該ラージトウプリカーサーを用いて炭素繊
維を製造する場合は、耐炎化工程においてフィラメント
数5万〜25万本のサブトウ単位毎に分割して処理が行
われている。したがって、ラージトウプリカーサーは、
一応シート状に収束されているが、使用時には、サブト
ウ単位に分割し易いことが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の炭素繊維製造用
の各サブトウを捲縮処理により収束させてフィラメント
数を巨大化させたシート状のラージトウプリカーサー
(以下、単にラージトウと呼ぶことがある)を用い、そ
の後分割して製造した炭素繊維は、ラージトウを形成す
ることなく、最初からフィラメント数1,000〜3
0,000本程度のトウのプリカーサーを用いて製造し
た炭素繊維よりも、強度が低くなることが分かった。こ
れは、ラージトウとするために隣り合うサブトウを交絡
させるための捲縮処理により、強度低下が生ずることが
原因と考えられる。
【0007】そこで、本発明は、生産性向上のためラー
ジトウの形態を採用し、各サブトウを捲縮処理により収
束させてフィラメント数を巨大化させたラージトウプリ
カーサーを用いて炭素繊維とした場合に、強度が低下す
ることのないラージトウプリカーサーを提供すること、
その製造方法を提供すること、及び炭素繊維の製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、本発明の炭素繊維製造用ラージトウプリカー
サーの製造方法は、アクリル系共重合体を原料とし、紡
糸−水洗−第1オイル付与−乾燥−延伸−弛緩−第2オ
イル付与−捲縮−乾燥からなる工程を経ることを特徴と
する。
【0009】本発明の製造方法により得られる炭素繊維
製造用ラージトウプリカーサーは、(1)広角X線回折
による配向度が80%以上の捲縮フィラメントで、単繊
維デニール0.5〜3dのポリアクリロニトリル系繊維
のフィラメント数20,000〜100,000本のサ
ブトウが、3〜30本収束した、トータルデニール6万
〜300万のシート状形態であり、サブトウ単位に分割
可能なラージトウプリカーサーであって、(2)該ラー
ジトウプリカーサーを用いて炭素繊維を製造した場合の
炭素繊維の強度が300kgf/mm2 以上、毛羽発生
量が200μg/ft未満であることを特徴とする。
【0010】炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーの
広角X線回折による配向度が80%未満の場合には、該
ラージトウプリカーサーを用いて炭素繊維を製造する
と、最終製品として得られる炭素繊維の強度及び弾性率
が高いものが得られにくくなり好ましくない。
【0011】本発明の炭素繊維製造用ラージトウプリカ
ーサーの製造方法においては、オイル付与工程を水洗工
程と乾燥工程の間に一回だけ設けるのではなく、弛緩工
程と捲縮工程の間に、第2オイル付与工程をさらに設け
ているため、捲縮工程で生ずる問題点、即ち、炭素繊維
を製造した場合に捲縮工程が原因で発生する強度が低く
なるという問題点を解消することができる。
【0012】炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーに
対して第1オイル付与工程及び第2オイル付与工程で付
与する油剤の付着量の合計は、0.13重量%以上0.
6重量%以下であることが好ましい。
【0013】第1オイル付与工程又は第2オイル付与工
程において用いる油剤は、アミノシリコーン及びグリシ
ジルエーテルから選ばれた少なくとも1種以上が50重
量%以上の主成分として含まれていることが望ましい。
【0014】本発明の炭素繊維製造用ラージトウプリカ
ーサーの製造方法における各工程において、サブトウ相
互の交絡を防止するための分割ガイドを適宜設けてもよ
い。このような分解ガイドには、例えば、櫛状の分割ガ
イド、或いは梯子状の分割ガイドをトウの幅方向に配置
し、各櫛の目又は梯子目の中にサブトウ単位毎に分割さ
れるように繊維を通過させる。
【0015】本発明によって得られたラージトウプリカ
ーサー中に残存する金属成分の含有率、特に塩化亜鉛を
溶剤にした湿式紡糸法により紡糸したラージトウプリカ
ーサー中の亜鉛の含有率が、最終的に加工される炭素繊
維の性能に大きく影響する。残存している塩化亜鉛成分
は、耐炎化工程での耐炎化速度を速めるため、炭素繊維
の生産性と品質を確保するようコントロールすることが
重要となり、ラージトウプリカーサー中の亜鉛の含有率
は1〜1000PPMであることが望ましい。
【0016】本発明のシート状のラージトウプリカーサ
ーは、フィラメント数20,000〜100,000本
のサブトウ(ストランド)を単位として、これらを3〜
30本、サブトウ同士が幅方向において重なることなく
隣接したサブトウ側端部のフィラメント同士が軽く交絡
したものであり、シート状の形態を保つようにクリンプ
加工がほどこされたもので、トータルデニール60,0
00〜3,000,000である。
【0017】本発明のシート状のラージトウプリカーサ
ーは、空気中あるいは水蒸気中で熱処理することで、3
〜30本のサブトウヘ容易に分割することができる。サ
ブトウへの分割は、炭素繊維製造工程における炭素化炉
処理前後、或いは耐炎化炉処理前後に、熱または水蒸気
処理できる専用炉を設置して処理して行っても構わな
い。炭素繊維製造工程において熱処理することにより、
フィラメント数20,000〜100,000本のスト
ランド単位のサブトウに分割された炭素繊維製品を得る
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】さらに本発明の各要件を詳細に説
明する。
【0019】原料樹脂液 最終的な炭素繊維の品質を安定化させる上で、ラージト
ウプリカーサーの原料樹脂液の分子量、粘度、残存金属
成分の含有率などを一定のレベルに保つ必要がある。原
料樹脂溶液は、アクリル系共重合体のアクリロニトリル
の含有率が少なくとも90%以上、コモノマーが10%
未満であり、重合されたポリマーの分子量が20,00
0〜200,000であり、50℃における落球粘度3
0〜100秒のポリマー溶液を用いることが望ましい。
粘度を決めるファクターとしては、ポリマーの分子量、
原料樹脂溶液の濃度、測定温度によって殆ど決まる。
【0020】ポリマーの分子量が200,000を越え
ると、最終的な炭素繊維の性能が変化することがある。
ポリマーの分子量が20,000以下の場合、湿式紡糸
によって得られた繊維は強度の低下、毛羽立ち、単糸切
れ等が生じやくすなる。
【0021】繊維の緻密性や配向性の面でポリマー溶液
の濃度は5〜15%、凝固温度は0〜25℃が好まし
く、これらの条件を外れて紡糸された繊維は、伸度など
の面で繊維性能が不充分で、最終的に得られる炭素繊維
の品質も低下させるので好ましくない。
【0022】紡糸工程 アクリル系共重合体溶液を好ましくは塩化亜鉛溶液20
〜30重量%の凝固浴中で単繊維デニールが5〜30d
(凝固浴中では膨潤)で、フィラメント数が6万〜30
0万本となるように紡糸する。この紡糸工程において、
分割ガイドにより20,000〜100,000本単位
のサブトウが3〜30本となるように分割し、しかも全
体がシート状となるように収束させる。
【0023】水洗工程 水浴中にシート状の繊維を通し、水洗することにより脱
溶媒をする。水洗は繊維に垂直方向に水流があたるよう
にすることが望ましい。この水洗工程において、分割ガ
イドにより20,000〜100,000本単位のサブ
トウが3〜30本となるように分割し、しかも全体がシ
ート状となるように収束させる。
【0024】第1オイル付与工程 第1オイル付与工程の目的は、乾燥時の融着防止と、延
伸工程における延伸を円滑に行うことである。油剤の成
分として、リン酸エステル、ポリエチレングリコール変
性物、高級脂肪酸エステル、アミノシリコーン、フツ素
系リン酸エステル、ポリオキシエチレン芳香族エーテ
ル、芳香族複合エステル、多価アルコールの単独または
二種類以上の組合せからなる油剤が使用できる。第1オ
イル付与工程で使用する好ましいオイルは、アミノシリ
コーンであり、アミノシリコーンは繊維表面に被膜を形
成してポリアクリロニトリル系繊維へのダメージを防ぐ
のに適している。
【0025】油剤の付与方法としては、一段処理または
二段以上の処理に分けて付着させても構わない。油剤を
付与する時の温度は、付着量や付着状態をコントロール
する上で、10〜60℃が好ましい。
【0026】第1オイル付与工程において油剤の繊維へ
の付着量は、好ましくは0.03%以上で且つ0.2%
以下である。第1オイルが0.03%未満の場合、トウ
を乾燥緻密化する際にフィラメントが融着し、また、
0.2%を超える場合は以降の工程中に第1オイルが溶
け出すなどの異常をきたすことがある。
【0027】乾燥(緻密化)工程 乾燥前の状態はゲル糸状(水+ポリマー)であり、この
乾燥工程で水分を蒸発させることにより、ポリマーのみ
にする(即ち、緻密化)。ポリマーには水分が抜けたと
ころにボイドができるが、熱によりポリマーは熱収縮を
おこすので収縮率を調整してボイドを除く。
【0028】延伸工程 好ましくは110〜120℃にて延伸を行う。延伸工程
の目的は、繊維分子の配向度を上げ、繊維に強度を与え
るためである。
【0029】弛緩工程 弛緩工程の目的は、クリンプをかけたときに繊維が傷ま
ないように結節強度、伸度を与えるものである。
【0030】第2オイル付与工程 第2オイル処理を行うことにより、炭素繊維とした場合
の捲縮工程が原因で発生する強度の低下を防止すること
ができる。第2オイル付与工程の油剤の付着量は好まし
くは、0.1%以上で且つ0.4%以下である。第2オ
イルが0.1%未満の場合は捲縮工程でクリンプ処理を
する際に融着し、トウのシート性が損なわれ、0.4%
を越える場合は得られる炭素繊維の強度及び弾性率が著
しく低下する。
【0031】第2オイル付与工程に用いる油剤には、前
記第1オイル付与工程に用いる油剤が使用できるが、特
に、グリシジルエーテルはラージトウプリカーサーにシ
ート性を付与するセット力があり、炭素繊維の強度低下
を防ぐ効果がある。
【0032】しかし第2オイル付与工程は、浴中での処
理のため、繊維が流動性となり隣同士のサブトウ相互に
交絡を起こしやすくなるため、このようなラージトウプ
リカーサーを用いて炭素繊維を製造する際にサブトウ単
位の分割性が悪くなるが、この交絡を防止するために、
オイル浴中に設けた分割ガイドにより、フィラメント数
20,000〜100,000本単位のサブトウ3〜3
0本に分割する事により、炭素繊維製造工程で使用時の
分割性を良好にする。
【0033】捲縮工程 捲縮工程において、フィラメント数20,000〜10
0,000本をサブトウの単位として、これらのサブト
ウを3〜30本並ぶようにしてクリンプをかけ、ストラ
ンド同士が幅方向に重なることなく隣接したストランド
側端部のフィラメント同士を軽く交絡させることにより
シート状の形態が保てるようにし、トータルデニール6
0,000〜3,000,000のシート状とする。好
ましくはクリンプ数7〜15、クリンプ率10〜20%
でクリンプ処理を行う。
【0034】従来の炭素繊維用ラージトウプリカーサー
では、捲縮(クリンプ)すると炭素繊維とした場合に強
度が落ちるので、捲縮されていないものを用いる場合が
多いが、本発明においては前工程に第2オイル付与工程
を設けているので捲縮工程でクリンプを付与しても、炭
素繊維にしたときの強度の低下が防げるので、シート状
に安定に保て、且つ強度の低下の無いラージトウプリカ
ーサーとすることができる。
【0035】乾燥工程 所定の水分に調整することで、かびの発生を防止し、ま
た出荷送料等を削減できる。従来の炭素繊維用ラージト
ウプリカーサーでは、捲縮されていないものを用いる場
合が多く、このようなラージトウプリカーサーは、水分
率が10重量%未満になると、風などの僅かな外力によ
ってストランドが容易に開き、取り扱い性が悪くなって
いたが、本発明のラージトウプリカーサーでは捲縮工程
によりクリンプを施すので、水分率を10重量%以下に
してもストランドの開きがなくなり、取り扱い性に支障
なく、シート状に保ったまま箱詰めして輸送することが
可能となる。 本発明により得られた炭素繊維用ラージ
トウプリカーサーは、繊維の拡がり性がコントロールさ
れ、クリンプ加工性が良く保たれ、且つシートの糸幅/
厚さ比を1〜100に固定されたシート状の炭素繊維用
ラージトウプリカーサーとなる。また、本発明により得
られた炭素繊維用ラージトウプリカーサーを用いて炭素
繊維を製造した場合には、炭素繊維の強度が300kg
f/mm2 以上、毛羽発生量が200μg/ft未満の
毛羽量の発生を低下させた炭素繊維製品を得ることがで
きる。
【0036】本発明により得られたシート状の炭素繊維
用ラージトウプリカーサーを、空気中200〜300℃
における緊張下で熱処理することで、比重1.3〜1.
4の空気中で燃えないシート状の耐炎繊維トウあるいは
分割してストランドとすることができる。
【0037】更に、これらを一定の張力下、不活性ガス
雰囲気の中で1000℃以上にて炭素化させることによ
り、炭素繊維トウあるいはストランドとすることができ
る。得られた炭素繊維の引っ張り強さは300kgf/
mm2 以上、弾性率は20tonf/mm2 以上とな
り、工業的に有効な製品である。
【0038】
【実施例】〔実施例1〕ポリマー分子量75,000、
ポリマー濃度8%のアクリル系共重合体を、20℃の塩
化亜鉛溶液25重量%の凝固浴に、フィラメント数が8
10,000本となるように、吐出して凝固させ、繊維
に垂直方向に水流があたるよう水洗し、第1オイルとし
てアミノシリコンを付着させ、乾燥緻密化した後、11
5℃スチーム延伸し、次いで135℃スチーム弛緩し
た。次いでのこシート状ポリアクリロニトリル系繊維ト
ウに対しストランド単位に分割されるように分割ガイド
を配置した第2オイル浴を通過させ、0.2重量%のグ
リシジルエーテルを付着させ、次いでクリンプ数9/i
nch、クリンプ率11%でクリンプ処理し、乾燥し
て、水分率が5重量%に調整されたシート状のポリアク
リロニトリル系繊維トウを得た。なお、前記各工程に
は、分割ガイドが設けられ、繊維数18本のサブトウ単
位に分割を行った。
【0039】得られたシート状のポリアクリロニトリル
系繊維トウは配向度85%、乾強度5g /d 、乾伸度1
1%であった。このポリアクリロニトリル系繊維トウを
100℃のスチーム中でイールドが1/1.2となるま
で延伸処理をしつつ、サブトウ単位での分繊をなし、次
いで空気中230℃にて耐炎化処理、窒素ガス中150
0℃にて炭素化処理をして本実施例1の炭素繊維を得
た。得られた炭素繊維は、強度351kgf/mm2
弾性率23.6tf/mm2 、発生した毛羽量96μg
/ftであった。その結果を下記の表1及び表2に示
す。
【0040】毛羽量は下記手法により求めた。
【0041】炭素繊維ストランドをウレタンスポンジ
(寸法:32mm×64mm×10mm、重さ約0.2
5g)2枚の間に挟み、125gの重りをウレタンスポ
ンジ全面に加重がかかるようにのせ、炭素繊維ストラン
ドを15m/分の速度で2分間通過させた時のウレタン
スポンジに付着した羽毛の重量を毛羽量とした。
【0042】〔実施例2〕第2オイル付着量を0.1重
量%とした以外は前記実施例1と同様にして本実施例2
の炭素繊維を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛羽
量を下記の表1に示す。
【0043】〔実施例3〕第2オイル付着量を0.3重
量%とした以外は前記実施例1と同様にして本実施例3
の炭素繊維を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛羽
量を下記の表1に示す。
【0044】〔実施例4〕第2オイル付着量を0.4重
量%とした以外は前記実施例1と同様にして本実施例4
の炭素繊維を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛羽
量を下記の表1に示す。
【0045】〔比較例1〕第2オイル付着量を1.0重
量%とした以外は前記実施例1と同様にして比較例1の
炭素繊維を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛羽量
を下記の表1に示す。
【0046】〔比較例2〕第2オイル付与工程を省略し
た以外は前記実施例1と同様にして比較例2の炭素繊維
を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛羽量を下記の
表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1によれば、第2オイル付与工程が無い
場合には、発生する毛羽量が多く、また第2オイル付着
量が1重量%となると炭素繊維強度が低下し、しかも毛
羽量が多くなることが分かる。
【0049】〔実施例5〕100℃の湿熱延伸(スチー
ム中)を150℃の乾熱延伸(電気ヒーターによる熱処
理)とした以外は、前記実施例1と同様にして本実施例
5の炭素繊維を製造した。得られた炭素繊維の強度と毛
羽量を下記の表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2によれば、炭素繊維製造用ラージトウ
プリカーサーを開繊するのに、乾熱処理するよりも湿熱
処理した方が、炭素繊維強度が高く、しかも毛羽量の発
生が少ないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】本発明の炭素繊維製造用ラージトウプリ
カーサーの製造方法は、弛緩工程と捲縮工程の間に、第
2オイル付与工程を設けているため、捲縮工程で生ずる
問題点、即ち、炭素繊維を製造した場合に捲縮工程が原
因で発生する強度が低くなるという問題点を解消するこ
とができる。
【0053】また、本発明の炭素繊維製造用ラージトウ
プリカーサーの製造方法は、発生する毛羽量が少ない。
【0054】また、本発明の炭素繊維の製造方法は、耐
炎化処理前に湿熱延伸処理を行っているので、ラージト
ウプリカーサーを用いても発生する毛羽量が少なく、し
かも得られた炭素繊維の強度の低下がない。
フロントページの続き (72)発明者 谷井 真章 静岡県駿東郡長泉町上土狩234番地 東邦 レーヨン株式会社三島工場内 (72)発明者 龍田 浩之 静岡県駿東郡長泉町上土狩234番地 東邦 レーヨン株式会社研究所内 (72)発明者 松田 秀男 静岡県駿東郡長泉町上土狩234番地 東邦 レーヨン株式会社三島工場内 Fターム(参考) 4L035 BB03 BB06 BB15 BB16 BB60 BB66 BB69 BB79 BB80 CC05 CC07 CC20 DD13 EE08 EE20 FF01 HH01 MB02 4L037 CS03 FA03 FA05 FA06 PA53 PA68 PA69 PA70 PC05 PF28 PF29 PF45 PF56 PS02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系共重合体を原料とし、紡糸−
    水洗−第1オイル付与−乾燥−延伸−弛緩−第2オイル
    付与−捲縮−乾燥からなる工程を経ることを特徴とする
    炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記捲縮工程において、フィラメント数
    20,000〜100,000本のストランドを単位と
    して、これらを3〜30本、ストランド同士が幅方向に
    重なることなく隣接したストランド側端部のフィラメン
    ト同士を軽く交絡させることによりシート状の形態が保
    てるようにクリンプ加工してトータルデニール60,0
    00〜3,000,000とすることを特徴とする請求
    項1記載の炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 炭素繊維製造用ラージトウプリカーサー
    に対して第1オイル付与工程及び第2オイル付与工程で
    付与する油剤の付着量は、0.13重量%以上0.6重
    量%以下である請求項1記載の炭素繊維製造用ラージト
    ウプリカーサーの製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素繊維製造用ラージトウプリカーサー
    に対して第2オイル付与工程で付与する油剤の付着量は
    0.1重量%以上0.4重量%以下である請求項1記載
    の炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1オイル付与工程又は第2オイル
    付与工程において用いる油剤は、アミノシリコーン及び
    グリシジルエーテルから選ばれた少なくとも1種以上が
    50重量%以上の主成分として含まれていることを特徴
    とする請求項1記載の炭素繊維製造用ラージトウプリカ
    ーサーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1オイル付与工程に用いる油剤が
    アミノシリコーンであり、且つ前記第2オイル付与工程
    に用いる油剤がグリシジルエーテルである請求項1又は
    3記載の炭素繊維製造用ラージトウプリカーサーの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記紡糸工程において原料として用いる
    前記アクリル系共重合体のアクリロニトリルの含有率が
    少なくとも90%以上、コモノマーが10%未満であ
    り、重合されたポリマーの分子量が20,000〜20
    0,000であり、50℃における落球粘度30〜10
    0秒のポリマー溶液である請求項1記載の炭素繊維製造
    用ラージトウプリカーサーの製造方法。
  8. 【請求項8】 最終的に得られたラージトウプリカーサ
    ーがフィラメント数20,000〜100,000本の
    サブトウ単位に分割可能となるように、前記ラージトウ
    プリカーサーの製造方法の各工程において、シート状の
    幅方向にサブトウ単位の間隔の仕切りを持つ分割ガイド
    を配置することを特徴とする請求項1記載の炭素繊維製
    造用ラージトウプリカーサーの製造方法。
  9. 【請求項9】 (1)広角X線回折による配向度が80
    %以上の捲縮フィラメントで、単繊維デニール0.5〜
    3dのポリアクリロニトリル系繊維のフィラメント数2
    0,000〜100,000本のサブトウが、3〜30
    本収束した、トータルデニール6万〜300万のシート
    状形態であり、サブトウ単位に分割可能なラージトウプ
    リカーサーであって、 (2)該ラージトウプリカーサーを用いて炭素繊維を製
    造した場合の炭素繊維の強度が300kgf/mm2
    上、毛羽発生量が200μg/ft未満であることを特
    徴とする炭素繊維製造用ラージトウプリカーサー。
  10. 【請求項10】 (1)請求項1記載の炭素繊維製造用
    ラージトウプリカーサーの製造方法によって得られたラ
    ージトウプリカーサーであって、且つ (2)広角X線回折による配向度が80%以上の捲縮フ
    ィラメントで、単繊維デニール0.5〜3dのポリアク
    リロニトリル系繊維のフィラメント数20,000〜1
    00,000本のサブトウが、3〜30本収束した、ト
    ータルデニール6万〜300万のシート状形態であり、
    サブトウ単位に分割可能なラージトウプリカーサーであ
    って、 (3)該ラージトウプリカーサーを用いて炭素繊維を製
    造した場合の炭素繊維の強度が300kgf/mm2
    上、毛羽発生量が200μg/ft未満であることを特
    徴とする炭素繊維製造用ラージトウプリカーサー。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7又
    は8記載の製造方法により得られた炭素繊維製造用ラー
    ジトウプリカーサーを湿熱延伸しつつサブトウ単位に開
    繊し、耐炎化処理、炭素化処理して炭素繊維を得ること
    を特徴とする炭素繊維の製造方法。
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