JP2004060126A - 炭素繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Hiroyuki Sato
佐藤 弘幸
Toshitsugu Matsuki
松木 寿嗣
Hidekazu Yoshikawa
吉川 秀和
Taro Oyama
尾山 太郎
Shinichi Muto
武藤 進一
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Abstract

【課題】工程を煩雑化させることなく高強度、高伸度の炭素繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】アクリロニトリルを94質量%以上含有する共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸して糸を得、得られた糸を、70〜150℃のドラム式熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥緻密化後、温度100〜130℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、そのまま加熱空気中220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃で炭素化する炭素繊維の製造方法。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度、高伸度の炭素繊維、並びに、前記炭素繊維を、安価に効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は他の繊維と比較して優れた比強度及び比弾性率を有する為、その軽量且つ優れた機械的特性を利用して樹脂との複合化に用いる補強繊維として広く工業的に利用されている。
【0003】
近年、炭素繊維を利用した複合材料の工業的な用途は、多目的に広がりつつあり、特にスポーツ・レジャー分野、航空宇宙分野においては、より高性能化(高強度化、高弾性化)に向けた要求が強まっている。炭素繊維と樹脂との複合化において高性能化を追求する為には、樹脂の持つ物性よりも炭素繊維そのもの自体の物性を向上させることが不可欠である。
【0004】
現在、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を製造するためには、炭素繊維用前駆体繊維を製造する工程と、その繊維を焼成して炭素繊維を製造する工程の2つの工程が必要となる。これは、ポリマー原液を紡糸して炭素繊維用前駆体繊維を製造する速度と、炭素繊維用前駆体繊維を焼成して炭素繊維を製造する速度が著しく異なっているからである。特に、炭素繊維用前駆体繊維を焼成する際の耐炎化工程が最も律速となる。
【0005】
炭素繊維を製造する上で、この2つの工程(前工程と後工程)が存在することにより、前工程で得られた中間繊維は炭素繊維用前駆体繊維として、一時的に保存する事が一般的である。しかし、この保存中に炭素繊維用前駆体繊維は、繊維内部の分子の配向緩和が生じやすい。この分子配向が緩和した繊維を焼成した場合、炭素繊維の強度が低下するという問題点がある。
【0006】
分子の配向緩和が起こらない様にして高強度炭素繊維を得るための製造方法としては、特公昭61−14248号公報に記載されている様に、PANを主成分とする共重合体を紡糸、延伸した後、表面温度120〜180℃のロールにより乾燥処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を炭素化することによって炭素繊維を製造する方法がある。
【0007】
また、特公昭62−24526号公報に記載されている様に、PANを主成分とする共重合体を紡糸、延伸した後、120〜170℃の熱風中あるいはホットローラー上で熱処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を炭素化することによって炭素繊維を製造する方法がある。
【0008】
これらの方法では、乾熱ローラー等を使用して熱処理する事により、一方では炭素繊維用前駆体繊維の配向緩和を抑制する事を可能としている。しかし、他方では熱処理により繊維内の分子の自由度が規制されるため、後工程における200〜300℃での耐炎化処理で、PANの分子内環化及び酸化反応や、環化反応後に生ずる分子の高次構造に影響を与えている。その結果その後、高温で焼成して得られる炭素繊維の強度低下を招き、好ましくない面もある。
【0009】
また、これらの方法では、乾熱ローラーを使用することにより、ローラーとの接触で糸切れが生じ、毛羽が発生して炭素繊維の品位が低下したり、熱処理の工程が追加されることにより、工程が煩雑化するという問題点がある。
【0010】
毛羽が少ない高強度炭素繊維を得るには、特開平11−81053号公報に示されるように、湿熱延伸後、乾熱非接触状態で6〜10倍延伸する方法がある。しかし、乾熱非接触状態で延伸するには、乾熱ローラーと比較してスペースを多く使用することになり、また、工程が煩雑化するという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、炭素繊維用前駆体繊維の乾熱ローラーや乾熱非接触状態での熱処理を行わずに、そのまま耐炎化工程で、繊維を緊張させながら空気中酸素存在下で、PANの酸化反応に伴う分子内環化及び生成した環への酸化(耐炎化)反応を行うと共に、湿熱延伸によって形成された炭素繊維前駆体繊維が有する高い分子配向性を保持させながら耐炎化反応を行うことにより、工程を煩雑化させることなく高強度、高伸度の炭素繊維を製造する事が可能となることを知得し、本発明を完成するに至った。
【0012】
よって、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した、高強度、高伸度の炭素繊維及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0014】
〔1〕  アクリロニトリルを94質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸して糸を得、得られた糸を、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化後、温度100〜130℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、そのまま加熱空気中220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃で炭素化する炭素繊維の製造方法。
【0015】
〔2〕  アクリロニトリルを94質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸して得られた糸を、アミノ変性シリコーン系油剤と燐酸アンモニウム誘導体を有する浸透性油剤を混合したエマルジョン水溶液に付与してエマルジョン水溶液を乾燥質量で0.03〜0.10%付着させた後、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化後、温度100〜130℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、そのまま加熱空気中220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃で炭素化する炭素繊維の製造方法。
【0016】
〔3〕  前駆体繊維の単繊維繊度が0.5〜0.8dtexである〔1〕又は〔2〕に記載の炭素繊維の製造方法。
【0017】
〔4〕  前駆体繊維の、アルキメデス法による比重測定での比重が1.12〜1.18で、水分率が10〜90質量%である〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の炭素繊維の製造方法。
【0018】
〔5〕  破断伸度が2%以上で、破断強度が600kgf/mm以上である〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の製造方法によって得られる炭素繊維。
【0019】
〔6〕  炭素繊維の単繊維径が3〜8μmである、〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の製造方法によって得られる炭素繊維。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の製造方法で得られる炭素繊維において、グラファイト面の大きさ、例えばX線回折測定での002面に対する結晶子サイズは、従来の炭素繊維と比較して大きく変わるものではない。
【0022】
また、ある同じ結晶面、例えば002面についてのX線回折の配向度も、従来の炭素繊維と比較して大きく変わるものではない。
【0023】
グラファイト構造の配向性については、次のようにして求めることができる。
【0024】
炭素繊維ストランドを、単繊維約48000本(例えば単繊維12000本の炭素繊維束を4束)で構成させ、アセトンを用いて収束させながら繊維軸方向に繊維を引揃える。
【0025】
直径1cmの穴をあけた台紙に、穴の部分が繊維の中央に来るように、繊維を引揃えた長さ3cmの炭素繊維ストランドを貼付ける。繊維軸と治具の軸が平行になるように、台紙に貼った炭素繊維ストランドを試料調整用治具に、緊張させた状態で固定する。
【0026】
更に、この治具を透過法による広角X線回折測定試料台に固定する。X線源として、CuのKα線を使用し、試料に照射すると、2θが26度付近に002面の回折パターン(二つのピークを有する)が現れる。
【0027】
この回折パターンのピーク角度を求め、それらの角度を含む360度の範囲について測定を行う。次いで得られたX線回折チャートのグラフ上にベースラインを引き、ピークの半値幅H1/2、H’1/2(度)を求め、下式
配向度=[360−(H1/2+H’1/2)]/360    (1)
によって配向度を計算する。
【0028】
また、回折パターンから、結晶子サイズLcを下式
Lc=λ/(βcosθ)                       (2)
〔式(2)中、λはX線の波長0.15418nm、βは半値幅、θは回折角である。〕
によって求めることができる。
【0029】
炭素繊維内部の構造については、グラファイト面が成長した結晶部とアモルファスな非晶部が混在した構造を有しており、高強度の炭素繊維を得るためには、結晶部の配向性を高めることと同様に、非晶部においてもグラファイト構造が未発達ながら、繊維軸方向への分子の引揃え性が重要となる。
【0030】
これらの炭素繊維内部の高次構造を制御することによって、より高強度な炭素繊維を製造することが可能となることが考えられる。
【0031】
しかし、前述したように、グラファイト構造における結晶子サイズLcについても配向度についても、本発明の製造方法で得られる炭素繊維は、従来の炭素繊維と比較して大きく変わるものではない。
【0032】
にも拘らず、本発明の製造方法で得られる炭素繊維は、従来の炭素繊維と比較して、高強度、高伸度である。
【0033】
このことは、繊維内部の分子構造の並びにおいて、結晶部はX線回折パターンに現れるのに対し、非晶部はX線回折パターンに現れないため、X線回折パターンによる結晶子サイズLcや配向度での数値の差としては、はっきりとは現れないが、本発明の製造方法で得られる炭素繊維は、繊維内部における非晶部も含めた全体としての分子構造の並びが優れているために、高強度、高伸度の炭素繊維となっているものと考えられる。
【0034】
PAN構造を有する炭素繊維用前駆体繊維を焼成することによって、各温度領域で、耐炎化、炭素化、グラファイト面及び層の成長が進み、炭素繊維を製造することができる。
【0035】
上記炭素繊維の高強度化の考えによると、繊維内部の分子構造をより高強度化する目的で制御するためには、炭素化反応において延伸して、繊維内部の分子を配向させることも重要であるが、炭素繊維用前駆体繊維の製造過程から、繊維内部分子の配向性を高めること、即ち高配向かつ緻密な炭素繊維用前駆体繊維を製造することが考えられる。
【0036】
前述したように従来既存の技術によれば、湿熱延伸後、乾熱ローラー等を使用する又は乾熱非接触状態で6〜10倍延伸するなどの熱処理をすることにより、高配向かつ緻密な炭素繊維用前駆体繊維を製造することが可能である。
【0037】
しかし、前述したように前駆体繊維製造工程で湿熱延伸後、乾熱ローラー等を使用する場合は、炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理で、PANの分子内環化及び酸化反応や、環化反応後に生ずる分子の高次構造に影響を与え、その結果その後の炭素化工程において高温で焼成して得られる炭素繊維の強度低下を招き、好ましくない。
【0038】
この不具合について以下に詳細に説明する。乾熱ローラー等を使用し、熱処理した繊維は、熱処理していない繊維と比較して、繊維内部の熱収縮応力が小さく、耐炎化処理において、初期の物理的な収縮が緩和されるので(縮まないので)、分子の高次構造を保持するために、糸(前駆体繊維)の張力を高く保とうとすると、過剰な延伸が必要となる。
【0039】
しかし、過剰な延伸を行うと、延伸度合いの制御が難しくなって延伸度合いにバラツキが生じ、部分的により過剰な延伸が掛かる。このため、単糸切れによる毛羽立ちが多くなり、得られる炭素繊維の強度低下や品位の悪化が生じ好ましくない。
【0040】
また、乾熱非接触状態で延伸する場合は、乾熱ローラーと比較してスペースを多く使用することになり、また、工程が煩雑化するという問題点がある。
【0041】
これら従来既存の技術に対し、本発明の炭素繊維の製造方法では、前駆体繊維製造工程における湿熱延伸後の熱処理を行わずに、耐炎化工程で、繊維を緊張させながら空気中酸素存在下で、PANの酸化反応に伴う分子内環化及び生成した環への酸化反応を行い、湿熱延伸によって得られた炭素繊維前駆体繊維の内部の分子配向性を保持させながら耐炎化し、次いで、その耐炎化繊維を炭素化することにより、高強度、高伸度の炭素繊維を製造する事ができる。
【0042】
なお、耐炎化工程において炭素繊維用前駆体繊維の分子配向性を高く維持しながら、分子内環化反応を行うことは、配向している分子の立体的な規則性により、分子間の絡みが緩和され、環化反応が進みやすくなる。
【0043】
また、PANの分子内環化における分子の再配列化についても、緊張化で行うことにより、再配列化の際の配向性を、高く保持しながら耐炎化を行うことが可能となる。分子の高次構造を制御することにより、その後の、2段での炭素化炉における高温焼成で得られる炭素繊維のグラファイト構造の乱れを制御することが可能となり、高強度、高伸度の炭素繊維を得ることが可能となる。
【0044】
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、上記の本発明の製造条件を適宜選択することにより、得られる炭素繊維の強度を550kgf/mm(5.4GPa)以上、より好ましくは580kgf/mm(5.7GPa)以上、更に好ましくは600kgf/mm(5.9GPa)以上とすることができる。
【0045】
なお、強度は樹脂含浸ストランド法に従って測定することができる。例えば、炭素繊維束(炭素繊維ストランド)に、エピコート828/無水メチルハイミック酸/ベンジルジメチルアミン/アセトン=100/90/1/50質量部の樹脂含有液を含浸し、得られた樹脂含浸ストランドをプリキュア後、150℃で2時間加熱、更に170℃で30分間加熱して硬化させる、JIS−R−7601に規定する樹脂含浸ストランド試験法に準拠して引張り(破断)強度として測定することができる。
【0046】
釣竿、ゴルフシャフトなどのエネルギー吸収部材、CNGタンクや航空宇宙分野の用途では、伸度の高い炭素繊維が要望されている。
【0047】
本発明の炭素繊維の製造方法により、高強度且つ伸度の高い炭素繊維を得ることができるため、これらの用途への展開がより可能となってくる。
【0048】
従って、炭素繊維の伸度は、破断伸度で2%以上であることが好ましく、2.2%以上が更に好ましい。破断伸度の測定については、上記樹脂含浸ストランド試験において求めた破断強度を弾性率で割ることで計算できる。
【0049】
なお、炭素繊維の単繊維径は、特に限定されるものではないが、前駆体繊維製造工程、耐炎化工程、炭素化工程等における緊張下条件、又は弛緩下条件などの製造条件から、3〜8μmとするのが好ましい。
【0050】
得られる炭素繊維について上記の諸物性を満足させる、本発明の炭素繊維の製造方法を、以下に更に詳しく示す。
【0051】
即ち本発明の炭素繊維の製造方法は、主成分としてアクリロニトリルを94質量%以上含有し、アクリロニトリルと共重合可能なオレフィン構造を有するコモノマーを6質量%以下含有する単量体を重合した共重合体を含む紡糸溶液を湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸して得られた糸を、必要に応じ、アミノ変性シリコーン系油剤と燐酸アンモニウム誘導体を有する浸透性油剤を混合したエマルジョン水溶液に付与してエマルジョン水溶液を乾燥質量で0.03〜0.10%付着させた後、70〜150℃、好ましくは80〜140℃のドラム式熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥緻密化後、100〜130℃、好ましくは100〜120℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、必要に応じ、純水等で濡れたままの状態(水分率10〜90質量%、好ましくは20〜60質量%)で収納容器に蓄えた後、ローラーによる熱処理を行わず、そのまま加熱空気中220〜270℃、好ましくは230〜260℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、好ましくは300〜900℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃、好ましくは300〜1900℃で炭素化することを特徴とする。
【0052】
本発明の炭素繊維の原料であるPAN系炭素繊維の炭素繊維用前駆体繊維としては、アクリロニトリルと、このアクリロニトリルと共重合可能なオレフィン構造を有するコモノマーとの共重合体を用いることができる。
【0053】
この共重合体中のアクリロニトリル含有量は94質量%以上が好ましい。また、共重合体中のコモノマー含有量は6質量%以下が好ましい。
【0054】
コモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらのアンモニウム塩及びアルキルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド及びそれらの誘導体等を挙げることができ、それらを2種類以上組み合わせることもできる。
【0055】
特に低コスト化を進める上で、コモノマーとして不飽和カルボン酸を用いることは、耐炎化反応を促進させる意味で好ましいものである。不飽和カルボン酸の共重合体中の含有量は、0.1〜3質量%であることが好ましく、特に0.5〜2質量%がより好ましい。
【0056】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等をあげることができる。
【0057】
なお、高強度の炭素繊維を得る為には、炭素繊維用前駆体繊維の分子配向性を高くする必要性がある。そのため、炭素繊維用前駆体繊維製造工程で、高延伸しやすくする為に、炭素繊維用前駆体繊維中の分子自由度を高くする目的で、不飽和カルボン酸エステルを共重合することが好ましい。不飽和カルボン酸エステルの共重合体中の含有量は、0.1〜6質量%が好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。
【0058】
不飽和カルボン酸エステルの例としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルがある。好ましいアルキル基の長さは、炭素数(C)が1〜4であり、特に好ましいアルキル基の長さは、Cが1〜2である。
【0059】
上記モノマーとコモノマーとの重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができるが、そのまま紡糸できることにより溶液重合が最も好ましい。
【0060】
紡糸する際の液(紡糸原液)は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の有機溶媒や、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダン塩水溶液等の無機溶媒を溶媒として用い、上記モノマーとコモノマーとを重合させたポリマー溶液を、紡糸原液とすることが好ましい。その中でも、高分子量ポリマーを溶解させるのに優位性がある塩化亜鉛水溶液を溶媒に用いるのがより好ましい。
【0061】
上記ポリマー溶液から、公知の紡糸、乾燥、湿熱延伸方法によって炭素繊維用前駆体繊維を作製することができる。
【0062】
紡糸は、低温に冷却した凝固液(紡糸する際の溶媒−水混合液:例えば塩化亜鉛水溶液)を入れた凝固浴中に直接紡出する湿式紡糸が好ましい。また、空気中にまず吐出させた後、3〜5mm程度の空間を有して凝固浴に投入し凝固させる乾湿式紡糸法でもよい。
【0063】
紡出糸は、濃度勾配をかけた凝固浴で徐々に凝固させ、同時に溶媒を除去しながら、水洗して直接浴中延伸する。浴中延伸では、数種の水洗〜熱水浴中で、延伸比2〜6倍に紡出糸を延伸していく。
【0064】
浴中延伸の条件については、上記凝固浴温度と、水洗温度又は熱水浴温度との温度勾配は最大で98℃にするのが好ましい。ここで、高強度の炭素繊維を得る為には、より高温側の熱水浴中で延伸することが特に好ましい。
【0065】
その後、乾燥に先立って、耐熱性向上や紡糸安定性を目的として、親水基を持つ浸透性油剤とシリコーン系油剤を組み合わせた炭素繊維用前駆体繊維油剤を付与することが、高強度の炭素繊維を品位よく得る点から好ましい。
【0066】
浸透性油剤は官能基として、スルフィン酸、スルホン酸、燐酸、カルボン酸やそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、その誘導体を有するものが好ましい。これらの浸透性油剤のうちでも、炭素繊維の高強度化の妨げにならず、高熱の環境下でも耐熱酸化性に優れた燐酸のアンモニウム塩若しくはその誘導体を用いるのが特に好ましい。
【0067】
シリコーン系油剤は、未変性あるいは変性されたもののいずれでもよいが、中でもエポキシ変性シリコーン、エチレンオキサイド変性シリコーン、ポリシロキサン、アミノ変性シリコーンが好ましく、特に好ましくはアミノ変性シリコーンである。
【0068】
乾燥においては、温度勾配をかけた幾層にも連なる部屋を有するドラム式熱風乾燥機で空気乾燥することが好ましい。これにより糸は乾燥され、緻密化する。乾燥温度については、より緻密性が向上するように、70〜150℃で適宜調節して行うことが好ましく、80〜140℃で適宜調節して行うことが更に好ましい。乾燥時間については、1〜10分間が好ましい。
【0069】
また、高温での延伸を行うことによって、作製される炭素繊維用前駆体繊維の繊度や分子配向を整えることができる。特に加圧スチーム中での熱延伸は有効である。この熱延伸の条件は、炭素繊維用前駆体繊維の緻密性に大きな影響を与える。高強度の炭素繊維を得る為には、緻密性の高い炭素繊維用前駆体繊維を作製することが好ましい。
【0070】
緻密性を評価する手段として、アルキメデス法による見かけ比重の評価、L値の測定等がある。
【0071】
L値の測定では、標準白板に対する試料の明度をハンター色差計によって測定し、基準炭素繊維用前駆体繊維に対する明度を算出する。この値は、繊維中のボイドが多い場合に高い値を示し、緻密性が高くなると基準炭素繊維用前駆体繊維の値に近くなる。
【0072】
炭素繊維用前駆体繊維は約5cmに切断してハンドカードにて綿上に開繊し2gをとる。油圧プレス機でプレスしてアニソール中に浸漬し、脱泡して、ハンター色差計にかけL値〔L値=測定値−標準値(5)〕を測定する。このL値が、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下になるように、乾燥及び熱延伸条件を変更する。
【0073】
アルキメデス法による比重の測定は、炭素繊維用前駆体繊維を約2g採取し、直径3cm以内のリング状にまとめ、形状が崩れないようにする。測定溶剤には、水、若しくは親水性溶媒が好ましい。なお、炭素繊維用前駆体繊維に付与させた油剤の影響等で脱泡時に泡が取れ難い場合がある。この場合は、エタノール若しくはアセトンを用いるのが最も好ましい。
【0074】
次に、上記リング状のサンプルを溶媒中に浸漬し、減圧下で脱泡する。常温下で、溶媒中の質量を測定し、更にサンプルを加熱乾燥して乾燥質量を求め、炭素繊維用前駆体繊維の見かけ比重を求める。この比重は、PANの比重1.18より低くなるが、好ましくは1.12〜1.18、より好ましくは1.14〜1.17、更に好ましくは1.15〜1.17になるように、L値と同様に乾燥及び熱延伸条件を変更する。
【0075】
炭素繊維用前駆体繊維のX線回折測定による配向度は、前述した炭素繊維ストランドにおけるグラファイト構造の配向性と同様に次のようにして求めることができる。
【0076】
炭素繊維用前駆体繊維を、約10万デニール相当の繊維ストランドとし、アセトンを用いて収束させながら繊維軸方向に繊維を引揃える。
【0077】
直径1cmの穴をあけた台紙に、穴の部分が中央に来るように、繊維を引揃えた前駆体繊維ストランドが、全体で3cmになるように貼付けて切り出す。台紙に貼った前駆体繊維ストランドを試料調整用治具に、緊張させた状態で繊維軸と治具の軸が平行になるように固定する。
【0078】
更に、この治具を透過法による広角X線回折測定試料台に固定する。X線源として、CuのKα線を使用し、試料に照射すると、2θが17度付近に400面の回折パターン(二つのピークを有する)が現れる。
【0079】
この回折パターンのピーク角度を求め、それらの角度を含む360度の範囲について測定を行う。次いで得られたX線回折チャートのグラフ上にベースラインを引き、ピークの半値幅H1/2、H’1/2(度)を求め、前述の式(1)によって配向度を計算する。
【0080】
本発明において、炭素繊維用前駆体繊維の単繊維繊度は、強度向上の観点から、耐炎化工程での酸化斑(むら)が生じ難いように、細い方が好ましい。具体的には、1.0dtex以下が好ましく、0.5〜0.8dtexがより好ましく、0.5〜0.6dtexが更に好ましい。
【0081】
得られた炭素繊維用前駆体繊維は、繊維内部の熱収縮応力が大きいため分子配向の緩和が生じやすい状態にある。そこで、分子配向の緩和が生じ難いように、糸(前駆体繊維)の乾燥を防ぐ必要がある。そのため、前駆体繊維の水分率は、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜60質量%に保つ必要がある。炭素繊維用前駆体繊維の水分率が低くなりすぎると、集束性が低下することによって取扱性が悪くなり、また、水分率が高すぎると水の表面張力により、耐炎化工程中のローラーに巻き付きやすくなりトラブルの原因になる。
【0082】
上記のようにして作製され、適宜調節された水分率を有する炭素繊維用前駆体繊維は、密閉容器中に一時保存することが可能である。保存容器としては、円筒形の容器が好ましく、ビニール袋も好ましい。但し、保存する際は、内部の水分が保持できるものでなければいけない。
【0083】
なお、本発明で用いられる炭素繊維用前駆体繊維は、乾熱ローラー等の熱処理を施しておらず、湿熱延伸後の糸を用いているため、そのままの状態で保存すると、繊維の配向緩和が生じ、炭素繊維の強度低下を招いてしまう。
【0084】
この炭素繊維用前駆体繊維の配向緩和を防ぐ方法としては、以下に示す、従来既存の技術が応用できる。
【0085】
即ち、炭素繊維用前駆体繊維の製造後の後工程(耐炎化工程、炭素化工程)において、繊維内部の分子配向性を向上させるための方法として、湿熱延伸して前駆体繊維の糸を製造した後における、純水等で濡れたままの状態の糸を、収納容器に蓄える方法が利用できる。
【0086】
この濡れたまま収納容器に蓄える方法では、繊維が乾燥することによって生ずる配向緩和や空気による酸化、空気中の異物の付加等が防止でき、高強度、高伸度の炭素繊維を製造する事ができる。
【0087】
更に具体的には、この保存方法によれば、乾燥を行う前に、シリコーン系油剤と浸透性油剤を付与することにより、紡糸後の工程における繊維の工程安定性を高める即ち前駆体繊維の配向緩和を防ぐことができる。また、油剤の付与は、耐炎化工程での膠着防止及び開繊性を向上させる目的も含まれ、炭素繊維の高強度化、高伸度化に有効である。
【0088】
次いで、上記前工程で製造した炭素繊維用前駆体繊維を、耐炎化工程で耐炎化処理する。この耐炎化処理は、例えば加熱空気中2室以上に分かれた横型炉で、多段ローラー群を介して、220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍、好ましくは、230〜260℃、延伸比1.00〜1.08倍で熱処理して行うことができる。
【0089】
この耐炎化工程では、前駆体繊維成分PANの分子内環化及び酸化反応、及び糸の物理的な収縮が生ずる。この耐炎化工程の初期の段階では、繊維内部の熱収縮応力が大きいために糸の物理的な収縮が生ずるが、上記延伸比の緊張化で行うことにより、分子の配向緩和を抑制することができる。
【0090】
また、PANの分子内環化における分子の再配列化についても、緊張化で行うことにより、再配列化の際の配向性を、高く保持しながら耐炎化を行うことが可能となる。
【0091】
このように、分子の高次構造を制御することにより、その後の、2段での炭素化炉における高温焼成で得られる炭素繊維のグラファイト構造の乱れを制御することが可能となり、高強度の炭素繊維を得ることが可能となる。
【0092】
なお、従来の技術では、多段ローラー群のローラー速度を徐々に低速にし、弛緩条件で耐炎化することが一般的である。
【0093】
これに対し、本発明の製造方法においては、繊維を緊張化で、繊維内部の分子配向性を保持させながら耐炎化反応を進める目的で、耐炎化工程初期にローラー速度を徐々に上げ、その後、中間部では、ほぼ等速に、出側部では徐々に速度を上げて、糸の張力を緊張化に調整、即ち耐炎化処理時の延伸比を調整する。
【0094】
この時、耐炎化の延伸比が低いと、分子配向が緩和されてしまう為好ましくない。また、通常耐炎化が進むにつれて繊維が脆弱化するので、延伸比が高すぎると、単糸切れによる毛羽が発生し、後に得られる炭素繊維の品位を著しく低下させるので好ましくない。
【0095】
従って、耐炎化時の延伸比については、1.00〜1.10倍、好ましくは1.00〜1.08倍で熱処理を行う。なお、耐炎化炉内での糸の張力については、単糸当たり40〜250mgfが好ましい。糸の張力が単糸当たり250mgfを超える場合は単糸切れによる毛羽立ちが著しくなる。
【0096】
耐炎化処理におけるローラーの本数に関しては、繊維の配向性を保持する目的で、ある程度本数が多いことが好ましく、8〜30本程度がよい。あまり本数が多いと、繊維がローラーと接触する機会が多くなり、摩擦による毛羽や巻付きトラブル等が発生しやすくなる。
【0097】
なお、耐炎化の度合いは、耐炎化処理をした糸(耐炎化繊維)の比重を測定することにより評価できる。比重の測定は、炭素繊維用前駆体繊維と同様にアルキメデス法を用いてできる。
【0098】
耐炎化繊維の比重は、好ましくは1.20〜1.40、より好ましくは1.30〜1.38、更に好ましくは1.32〜1.37がよい。
【0099】
上記耐炎化繊維は、従来の公知の方法を採用して炭素化することができる。例えば、窒素雰囲気下900℃以下で3室以上に分けた焼成炉(第一炭素化炉)で徐々に温度勾配をかけ、耐炎化繊維の張力を制御して緊張下で1段目の炭素化(予備炭素化)をする。
【0100】
この予備炭素化の度合いは、予備炭素化処理後の繊維の比重を測定することにより評価できる。比重の測定は、炭素繊維用前駆体繊維と同様にアルキメデス法を用いてできる。
【0101】
予備炭素化処理後の繊維の比重は、好ましくは1.45〜1.60、より好ましくは1.48〜1.55、更に好ましくは1.50〜1.53である。
【0102】
より炭素化を進め且つグラファイト化(炭素の高結晶化)を進める為に、窒素等の不活性ガス雰囲気下で昇温し、2室以上に分けた焼成炉(第二炭素化炉)で徐々に温度勾配をかけ、糸(予備炭素化繊維)の張力を制御して弛緩条件で焼成する。弛緩条件については、好ましくは0.9〜1.0倍の範囲、より好ましくは0.92〜0.99倍の範囲、更に好ましくは0.95〜0.98倍の範囲がよい。
【0103】
焼成温度については、第二炭素化炉で温度勾配を徐々にかけていき、最高温度領域で、1500℃から2000℃、好ましくは1500℃から1900℃、より好ましくは、1500℃から1800℃、更に好ましくは、1500℃から1700℃がよい。
【0104】
温度勾配については、好ましくは、200℃/分以上の昇温、より好ましくは300〜600℃/分の昇温、更に好ましくは、400〜600℃/分の昇温である。生産性やコスト面から炉長があまり長すぎるのは好ましくなく、また、炉内の高温部での滞留時間が長くなると、グラファイト化が進み過ぎ、脆性化した炭素繊維が得られることになるので好ましくない。
【0105】
得られた炭素繊維は、用途に応じ、酸若しくはアルカリ水溶液を用いた電解層中で電解酸化処理して表面処理することが好ましい。炭素繊維を樹脂と複合化させて材料として使用する場合は、炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させる目的で行う必要がある。
【0106】
電解処理の電解液としては、酸性若しくはアルカリ性のものが使用できる。酸性のものとして、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、それらのアンモニウム塩、硫酸水素アンモニウム等がある。
【0107】
これらの電解液のうちでも、好ましくは、弱酸性を示す硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム等のアンモニウム塩がよい。
【0108】
なお、アルカリ性のものは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等が挙げられるが、アルカリ金属を含む電解液を用いると炭素繊維の耐熱酸化性が低下し、また、樹脂の硬化を妨げる働きがあるため、あまり好ましくない。
【0109】
電解酸化する際の電気量は、炭素繊維外層部のグラファイト化の度合いに伴い調整する必要がある。樹脂との複合化をすることを踏まえると、親和性を向上する炭素繊維1g当り6c以上が好ましい。なお、電気量が多すぎると炭素繊維表面の小規模欠陥を取り除く以上に表面が酸化され、欠陥を新たに生じさせる場合があり、多くとも30c以下が好ましい。
【0110】
また、電解酸化による表面処理を施した後は、電解液やその副生成物等が炭素繊維に付着しているので、よく水洗し、乾燥する必要がある。さらに、炭素繊維の後加工をしやすくし、取扱性を向上させる目的で、サイジング処理する。サイジング方法は、従来の公知の方法で行うことができ、サイジング剤は、用途に即して適宜組成を変更して使用し、均一付着させた後に、乾燥する。付着量は、好ましくは、0.1〜2.0質量%、より好ましくは、0.5〜1.5質量%である。
【0111】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。また、以下の実施例及び比較例の条件により前駆体繊維、耐炎化繊維及び炭素繊維を作製し、得られた前駆体繊維、耐炎化繊維及び炭素繊維の諸物性値を、前述の方法により測定した。
【0112】
実施例1
塩化亜鉛水溶液を溶媒とする溶液重合法により、アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル4質量%、イタコン酸1質量%とからなる重合度が1.61、ポリマー濃度8質量%、粘度7Pa・s〔70ポアズ(45℃)〕のポリマー原液を得た。
【0113】
このポリマー原液を、12000フィラメント用の口金を通して、5℃の25質量%塩化亜鉛水溶液中に吐出して凝固させ、凝固糸をを得た。
【0114】
この凝固糸を水洗し、90℃で熱延伸し、アミノ変性シリコーン系油剤と燐酸アンモニウム誘導体を有する浸透性油剤を同量で0.1質量%付着させ、ドラム式熱風乾燥機を用いて80〜140℃で乾燥した。
【0115】
更に、加圧スチーム中100〜120℃で延伸比5.8倍まで湿熱延伸し、単繊維繊度が0.6d、水分率が35質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.16、L値は16、X線回折測定による配向度は、90.6%であった。
【0116】
得られた炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.00倍で(定長下)耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0117】
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜500℃の温度分布を持った第一炭素化炉において、延伸比1.07倍で炭素化させ、更に、不活性雰囲気中で最高温度が1600℃になるように設定(雰囲気中の温度分布:300〜1600℃)した第二炭素化炉で炭素化させた。
【0118】
即ち、第一炭素化炉において炭素化させた耐炎化糸を、第二炭素化炉内において、0.96倍に延伸させながら、最高温度域の温度が1600℃になるよう、第二炭素化炉内の昇温速度を400℃/分に設定して炭素化した。
【0119】
次に、10質量%硫酸アンモニウム水溶液を電解液として、炭素繊維1g当り15cの電解酸化処理をした後、水洗し、更にサイジング処理してサイジング剤−水エマルジョン溶液を3質量%付着させ、これを150℃で乾燥した。サイジング剤の付着量は1質量%であった。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0120】
実施例2
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.01倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0121】
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜500℃の温度、延伸比1.06倍で炭素化させ、以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0122】
実施例3
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.03倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0123】
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜500℃の温度、延伸比1.06倍で炭素化させ、以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0124】
実施例4
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.06倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0125】
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜500℃の温度、延伸比1.06倍で炭素化させ、以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0126】
実施例5
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.09倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0127】
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜500℃の温度、延伸比1.06倍で炭素化させ、以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0128】
実施例6
炭素繊維用前駆体繊維製造においては、乾燥までは、実施例1と同様に行った。その後、加圧スチーム中100〜120℃で延伸比6.0倍まで湿熱延伸し、単繊維繊度が0.57d、水分率が37質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.17、L値は14、X線回折測定による配向度は、90.8%であった。
【0129】
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の、耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0130】
実施例7
第二炭素化炉の最高温度領域を1780℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1780℃)した以外は、実施例4と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0131】
実施例8
第二炭素化炉の最高温度領域を1830℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1830℃)した以外は、実施例4と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0132】
実施例9
第二炭素化炉の最高温度領域を1900℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1900℃)した以外は、実施例4と同様にして炭素繊維を作製した。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0133】
比較例1
実施例1で得た湿熱延伸処理後の凝固糸を、延伸比1.00倍(定長下)、140℃で乾熱ローラーを用いて熱処理をして、単繊維繊度が0.6d、水分率が2質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.18、L値は15、X線回折測定による配向度は、90.3%であった。
得られた炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.01倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0134】
この耐炎化糸の炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0135】
比較例2
実施例1で得た湿熱延伸処理後の凝固糸を、延伸比1.02倍、140℃で乾熱ローラーを用いて熱処理をして、単繊維繊度が0.59d、水分率が2質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.18、L値は14、X線回折測定による配向度は、91.1%であった。
【0136】
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の、耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、比較例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0137】
比較例3
比較例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.03倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0138】
この耐炎化糸の炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0139】
比較例4
比較例2で得た炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.03倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0140】
この耐炎化糸の炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0141】
比較例5
実施例1で得た湿熱延伸処理後の凝固糸を、延伸比1.00倍(定長下)、120℃で乾熱ローラーを用いて熱処理をして、単繊維繊度が0.60d、水分率が3質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.17、L値は15、X線回折測定による配向度は、90.5%であった。
【0142】
得られた炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.06倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0143】
この耐炎化糸の炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0144】
比較例6
実施例1で得た湿熱延伸処理後の凝固糸を、延伸比1.00倍(定長下)、180℃で乾熱ローラーを用いて熱処理をして、単繊維繊度が0.60d、水分率が1質量%以下の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.18、L値は14、X線回折測定による配向度は、90.3%であった。
【0145】
得られた炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.06倍で耐炎化させた。耐炎化糸の比重は1.35であった。
【0146】
この耐炎化糸の炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。このようにして得られた炭素繊維の物性を表1に示す。
【0147】
比較例7
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を空気中230℃から260℃の温度分布を持った雰囲気下で、延伸比1.11倍で耐炎化させた。耐炎化糸は、毛羽立ちが多く、品位が悪いものであった。比重は1.34であった。
【0148】
この耐炎化糸を実施例1と同様に焼成して炭素化処理しようとしたが、焼成工程不安定のため炭素繊維が得られなかった。
【0149】
【表1】
Figure 2004060126
【0150】
表1に示されるように、実施例1〜9において得られた炭素繊維は、何れも高強度、高伸度であり、比較例1〜6において得られた炭素繊維は、何れも低強度、低伸度であり、比較例7においては焼成工程不安定のため炭素繊維が得られなかった。
【0151】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、前駆体繊維製造工程における湿熱延伸後の熱処理を行わずに、耐炎化工程で、繊維を緊張させながら空気中酸素存在下で、PANの酸化反応に伴う分子内環化及び生成した環への酸化反応を行い、湿熱延伸によって繊維内部の熱収縮応力が大きい炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維の内部の分子配向性を保持させながら耐炎化し、次いで、その耐炎化繊維を炭素化しているので、煩雑な工程を必要とせず、しかも得られる炭素繊維は高強度、高伸度である。

Claims (6)

  1. アクリロニトリルを94質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸して糸を得、得られた糸を、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化後、温度100〜130℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、そのまま加熱空気中220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃で炭素化する炭素繊維の製造方法。
  2. アクリロニトリルを94質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸して得られた糸を、アミノ変性シリコーン系油剤と燐酸アンモニウム誘導体を有する浸透性油剤を混合したエマルジョン水溶液に付与してエマルジョン水溶液を乾燥質量で0.03〜0.10%付着させた後、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化後、温度100〜130℃、延伸比3.0〜7.0倍の条件で湿熱延伸処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を、そのまま加熱空気中220〜270℃、延伸比1.00〜1.10倍で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中300〜1000℃、延伸比1.0〜1.1倍で炭素化し、更に不活性雰囲気中300〜2000℃で炭素化する炭素繊維の製造方法。
  3. 前駆体繊維の単繊維繊度が0.5〜0.8dtexである請求項1又は2に記載の炭素繊維の製造方法。
  4. 前駆体繊維の、アルキメデス法による比重測定での比重が1.12〜1.18で、水分率が10〜90質量%である請求項1乃至3の何れかに記載の炭素繊維の製造方法。
  5. 破断伸度が2%以上で、破断強度が600kgf/mm以上である、請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法によって得られる炭素繊維。
  6. 炭素繊維の単繊維径が3〜8μmである、請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法によって得られる炭素繊維。
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