JP2001352985A - Gasc1遺伝子 - Google Patents

Gasc1遺伝子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】9p23−24に増幅が認められ、PXドメイ
ンおよびPHDフィンガー・モチーフを有し、細胞の増
殖、分化、腫瘍形成に重要な役割を演じ、例えば悪性腫
瘍等の細胞の分化に関与する疾患の病態解明、診断、治
療などに有用な、新しい遺伝子等を提供。 【解決手段】(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配
列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2で示される塩基配列に対して少なく
とも95%の相同性を有するポリヌクレオチドおよび
(c)上記(a)または(b)のポリヌクレオチドに対
する相補鎖であるポリヌクレオチドを含む遺伝子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な遺伝子、よ
り詳しくは、ヒト食道の扁平上皮細胞の染色体9p23
−24の位置に存在しており、該細胞の癌化によって、
その増幅およびその遺伝子産物の過剰発現が認められる
新規な遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子の増幅は、腫瘍細胞においてしば
しば観察される。この増幅は、腫瘍進展に影響する癌原
遺伝子の活性化メカニズムの一つである(Stark,G.R.,et
al.,Cell, 57,901-908 (1989))。増幅領域内に存在し
て増幅の対象となっている遺伝子を同定し、その特徴を
明らかにすることは、癌の発生と進展の分子機構を明ら
かにする上で重要な情報を提供する。
【0003】食道癌は世界中において癌の死因の第6番
目になっている(Pisani, P., et al., Int. J. Cancer,
83, 18-29 (1999))。この組織において生じる腫瘍の2
つの主な組織病理学的な型は、扁平上皮癌と腺癌とであ
り、扁平上皮癌は、他の国と同じく、日本において最も
しばしば見られる型である(厚生白書99年版)。
【0004】MYC、EGFRおよびCCND1の増幅
を含む、食道扁平上皮癌の発生、進展および/または転
移に関連する遺伝子変化の幾つかが確認されている(Lu,
S.,H., et al., Int. J. Cancer, 42, 502-505 (1988);
Jiang, W., et al., CancerRes., 52, 2980-2983 (199
2))。
【0005】近年、CGH(Comparative genomic hybri
dization)を用いた研究によって、食道扁平上皮癌にお
いて少なくとも新しく10の増幅領域が確認されている
が(Pack, S.D.,Genes Chromosomes Cancer, 25, 160-16
8(1999); Shinomiya,T.,et al., Genes Chromosomes Ca
ncer, 24, 337-344 (1999);.DuPlessis, L.,et al.,Ca
ncer Res., 59, 1877-1883 (1999))、食道扁平上皮癌
に関連する遺伝子は、これらの検出された染色体上の増
幅領域からは未だ同定されていない。
【0006】本発明者らは、29の食道扁平上皮癌細胞
株について、DNAコピー数の異常を探索した結果、幾
つかの新規な増幅領域を検出し、それらの中に9p23
−24領域の増幅を高頻度に確認した。
【0007】該9p23−24領域での増幅は、この領
域のゲノム変化が、非小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、子
宮頸部癌、乳癌、骨肉腫並びに縦隔胸腺B細胞リンパ腫
を含む種々の悪性疾患に関わっていることが知られてい
る(Knuutila,S.,et al., Am.J. Pathol., 152, 1107-11
23 (1998))点より、特に興味がもたれた。このような報
告は、該9p23−24領域には、組織の型に拘わら
ず、増幅により活性化された癌遺伝子として働き得る1
またはそれ以上の遺伝子が隠れている可能性を示唆して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、先にC
GHにより幾つかの食道扁平上皮癌細胞株において増幅
を認めた領域を、分子細胞遺伝子学的に解析することに
より、9p23−24領域の増幅を明らかにした。本発
明者らは、この9p23−24増幅領域内に存在すると
推定される腫瘍関連遺伝子を同定するために、同領域内
に存在する遺伝子や未知の転写体をスクリーニングし、
その結果、PHDとPXドメイン(Aasland,R., et a
l., Trends. Biochem. Sci., 20, 56-59(1995); Lock,
P., et al., EMBO J., 17, 4346-4357 (1998))を含む
蛋白をコードする新規な遺伝子の単離に成功し、これを
GASC1(Gene Amplified in Squamous cell Carcino
ma 1)と命名した。本発明は、かかる知見を基礎として
完成されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の
要旨の発明が提供される。 (1) 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチ
ドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド (b)配列番号:2で示される塩基配列に対して少なく
とも95%の相同性を有するポリヌクレオチド、 (c)上記(a)または(b)のポリヌクレオチドに対
する相補鎖であるポリヌクレオチド。 (2) 配列番号:2で示される塩基配列である上記(1)に
記載の遺伝子。 (3) 配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドである上記(1)に記載
の遺伝子。 (4) 配列番号:1で示されるアミノ酸配列を有する遺伝
子発現産物。 (5) 上記(1)または(2)に記載の遺伝子を有する組換え体
発現ベクター。 (6) 上記(5)に記載の組換え体発現ベクターを保有する
宿主細胞。 (7) 配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも15の塩基配列を有するヌクレオチド配列。 (8) 配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも30の塩基配列を有する上記(7)に記載のヌクレ
オチド配列。 (9) 配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも15の塩基配列を有するプローブ。 (10)配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも30の塩基配列を有する上記(9)に記載のプロー
ブ。 (11)上記(9)または(10)に記載のプローブを有効成分と
して含有する癌診断剤。 (12)上記(9)または(10)に記載のプローブを有効成分と
して含有する癌診断用キット。 (13)上記(1)に記載の遺伝子の発現産物に結合性を有す
る抗体またはその断片。 (14)検体に上記(13)に記載の抗体またはその断片を反応
させて、検体中の該抗体またはその断片の結合物を検出
する癌の診断方法。
【0010】また本発明によれば、下記要旨の発明も提
供される。 (15)上記(4)に記載の遺伝子発現産物を発現するクロー
ン化されたcDNA、その断片、それらの誘導体、例え
ば構造を一部改変したり、他のアミノ酸配列等を付加し
て得られる改変物、およびそれらの相同物。 (16)配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも15の塩基配列に対するアンチセンス・ヌクレオ
チド配列。 (17)配列番号:2で示される塩基配列中の連続する少な
くとも30の塩基配列に対する上記(16)に記載のアンチ
センス・ヌクレオチド配列。 (18)上記(16)または(17)に記載のアンチセンス・ヌクレ
オチド配列を有効成分として含有する遺伝子治療剤。 (19)下記(a)または(b)の蛋白質: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋
白質、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もし
くは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミ
ノ酸配列からなり且つGASC1活性を有する蛋白質。 (20)被検物質を含む培地中で上記(1)に記載の遺伝子ま
たはその発現産物を培養する工程、および上記(1)に記
載の遺伝子またはその発現産物の量を測定する工程を含
む、上記発現産物と相互作用する物質(アゴニストおよ
び/またはアンタゴニスト)のスクリーニング方法。 (21)上記(1)に記載の遺伝子の相同物であって、ヒト、
イヌ、サル、ウマ、ブタ、ヒツジおよびネコからなる群
から選ばれる哺乳動物の遺伝子相同物。 (22)上記(13)に記載の抗体またはその断片を有効成分と
する癌治療剤。
【0011】本明細書において、アミノ酸、ペプチド、
塩基配列、核酸(ヌクレオチド)などの略号による表示
は、IUPAC、IUBの規定、「塩基配列又はアミノ
酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」
(特許庁編)および当該分野における慣用記号に従うも
のとする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、9p23−24増
幅領域内にその存在が推定される腫瘍関連遺伝子を探究
するために、CGH(Comparative genomic hybridizati
on:比較ゲノムハイブリダイゼーション)によって、29
の食道扁平上皮癌細胞株を用いて研究した。その結果、
これら細胞株の染色体上に存在する新たな関連遺伝子の
探索についての研究結果として、本発明を完成するに至
った。
【0013】即ち、29の食道扁平上皮癌細胞株の染色
体9p23−24の位置に、高頻度に増幅が起こってい
ることを、CGHによって確認した。この増幅領域は、
しばしば癌遺伝子および/または他の腫瘍関連遺伝子を
保持している。また、9p23−24の増幅は、種々の
他の型の癌においても報告されている。
【0014】これらのことから、本発明者らは9p23
−24アンプリコン(増幅領域)の遺伝子地図を作製す
るために、YAC(Yeast artificial chromosome)お
よびPAC(P1 artificial chromosome)をプローブと
して用いた蛍光in situハイブリダイゼーションとサザ
ンブロット分析を行った。
【0015】また、本発明者らはノーザンブロット分析
によって、このアンプリコンの範囲内に存在する標的遺
伝子あるいは転写体をスクリーニングした。この方法に
よって、幾つかの食道扁平上皮癌細胞株において増幅お
よび過剰発現されている新規な遺伝子のクローニングに
成功し、かくして得られたクローンを「GASC1」と
命名した。
【0016】本発明のGASC1遺伝子は、外科的切除
した腫瘍から確立された食道扁平上皮癌細胞株(KYSEシ
リーズ)のCGHによって、染色体9p23−24の領
域において高いレベルの増幅が見られたものである。本
発明者らのノーザンブロットの結果によれば、IMAG
Eクローン131865(GASC1の部分シークエン
スを含むcDNAクローン)のみが、9p23−24上
で増幅を示した細胞株において、過剰発現を示した。
【0017】本発明GASC1遺伝子の配列は、胃癌細
胞株(HSC39)由来のRNAから2つのcDNAライブラ
リーを構築し、IMAGEクローン131865をプロ
ーブとして該cDNAライブラリーをスクリーニング
し、陽性クローンを単離し、その塩基配列を決定するこ
とにより決定されたものである。
【0018】本発明GASC1遺伝子は、配列番号:1
で示される1056アミノ酸をコードするオープンリー
ディングフレームを有する遺伝子として特定される。
【0019】本発明GASC1遺伝子によりコードされ
るアミノ酸配列の計算された分子量は120.0kDa
である。
【0020】従来の報告は、9pにおける遺伝的変化
が、食道扁平上皮癌を含む広い範囲のヒト癌において見
られている。食道扁平上皮癌の既に行われた分子遺伝的
研究の結果によれば、特に増殖中の細胞のG1/S移行
期を抑制的に調節するサイクリン依存性キナーゼ4/6
のインヒビターをコードするMTS1(p16/CDKN2A)を包
含している領域である9p21−22が注目されていた
(Tanaka,H.,et al.,Int.J.Cancer, 70, 437-442 (199
7))。
【0021】CGH(Kallioniemi., et al., Science,
258, 818-821 (1992))およびFISH(Inazawa, J.,
et al., Jpn. J. Cancer Res., 83, 1248-1252 (1992))
を用いる近年の研究は、9p上に、特に9p23−24
の位置で、DNAの増幅が、他の型の腫瘍と同じよう
に、食道扁平上皮癌にもしばしば起きていることを明ら
かにしている(Sonoda,G.,et al., Genes Chromosomes C
ancer,20, 320-328 (1997); Taguchi,T.,et al., Genes
Chromosomes Cancer, 20, 208-212 (1997); Giollant,
M.,et al.,Hum. Genet.,98, 265-270 (1996); Fischer,
U.,et al., Eur.J.Cancer, 30, 1124-1127 (1994); Sev
elyeva,L.,et al.,Cancer Res., 58, 863-866 (199
8))。
【0022】上記9p23−24の位置でのDNAの増
幅およびそれに関連するであろう各種の報告には、例え
ば、以下の事項および文献の記載が包含される。
【0023】ヒト卵巣癌のCGH分析は、9p21−p
terがコピー数増加の起こりやすい部位の一つである
ことを明らかにし、9例のうちの1例が特異的に9p2
4増幅を示し、そして更に、進行期の腫瘍でより高頻度
に生じる傾向が認められた(Sonoda,G.,et al., Genes C
hromosomes Cancer, 20, 320-328 (1997))。
【0024】9p23−24の増幅は、乳癌、肺癌、高
度の星状細胞腫および神経膠芽腫でも観察されている(T
aguchi,T.,et al.,Genes Chromosomes Cancer, 20, 208
-212(1997); Giollant,M.,et al.,Hum. Genet.,98, 265
-270 (1996); Fischer,U.,et al.,Eur.J.Cancer, 30, 1
124-1127 (1994); Sevelyeva,L.,et al.,Cancer Res.,5
8,863-866(1998))。
【0025】乳癌細胞株のCOLO824は、p16/
CDKN2Aのさらに末端側にある9p23−24で、
DNAコピー数は約10倍の増加を示している(Sevelye
va,L.,et al.,Cancer Res., 58, 863-866 (1998))。加
えて、9p23−24の重複とBRCA2の変異が、乳
癌を持つ3人の兄弟で報告されている(Savelyeva, L.,
et al., Cancer Res., 58, 863-866 (1998))。
【0026】以上の報告等を総合すると、9p23−2
4は、複数の腫瘍型に関連しており、少なくとも一つの
腫瘍関連遺伝子を保持していることが示唆される。
【0027】GSAC1は1つのPXドメインを、2つ
のPHDフィンガーをもっている。該PXドメインは多
種の蛋白において存在し、蛋白−蛋白間の相互作用に関
係しているかもしれないが、このモチーフの機能は、未
だよく特定されていない(Lock,P.,EMBO J., 17, 4346-
4357 (1998))。
【0028】亜鉛フィンガー様配列の一つであるPHD
フィンガーは、ショウジョウバエ(Drosophila)のtrl
やpcl遺伝子産物のようなクロマチンによって介在さ
れた転写調節に関連した核蛋白において、広く見つけら
れている(Aasland,R.,et al.,Trends. Biochem.Sci.,2
0, 56-59 (1995))。転写のコアクチベーターTIF1(T
rnscriptional intermediary factor 1)、クロマチン関
連アセチラーゼMOZ(monocytic leukemia zinc-fnger
protein)および皮膚筋炎特異的自己抗原Mi2を含む
幾つかのPHDフィンガーを持つ蛋白が、近年同定され
ている(Venturini,L.,et al., 18, 1209-1217 (1999);
Borrow,J.,et al., Nat. Gene.,14, 33-41(1996); Zhan
g,Y.,Cell, 95, 279-289 (1998))。
【0029】TIF1ファミリー蛋白(α、β、γ)は、
細胞の分化、腫瘍形成、シグナル伝達において重要な役
割を演ずると思われる(Venturini,L., et al., 18, 120
9-1217 (1999))。一方、Mi2は、ヒストン脱アセチル
化活性およびヌクレオソーム再構築活性を保有する複合
物中に見出されており、クロマチンの再編成に関連して
いる。Mi2におけるPHDフィンガーは、ヒストン脱
アセチル化酵素と直接の相互作用のために要求されてい
ると思われる(Zhang,Y., Cell, 95, 279-289 (1998))。
【0030】PHDモチーフは、幾つかの癌原遺伝子に
おいても保持されている。trxのヒト相同物であるH
RX/ALL1/MLL(HRX:human trithorax; ALL: a
cutelymphoblastic leukemia; MLL: mixed lineage leu
kemia)は、子供の急性リンパ球性白血病において、しば
しば変異がみられる(Tkachuk,D.C., et al., Cell,71,
691-700 (1992))。
【0031】さらにtrxの別のヒト相同物であるML
L2の増幅は、種々の固形組織由来の細胞株において観
察されている(Huntsman,D.G., et al., Oncogene, 18,
7975-7984 (1999))。
【0032】PLU−1の発現は、乳癌においては恒常
的に認められるが、その発現は正常組織においては高度
に限定されている(Lu,P., et al., J. Biol.Chem., 27
4, 15633-15645 (1999))。
【0033】AIRE遺伝子のPHDフィンガー内の変
異が、APECED(自己免疫性多内分泌症−カンジダ
症−外胚葉形成不全)のような自己免疫疾患を有する患
者からのDNAにおいて発見されている(The Finnish-G
erman APECED Consortium. Nat. Genet., 17, 399-403
(1997))。
【0034】MOZ遺伝子は、急性骨髄性白血病の一例
のケースにおいてCBP遺伝子[t(8;16)(p11;p14)]と融
合していることが見い出され(Borrow, J., et al., Na
t. Genet., 14, 33-41 (1996))、そしてRETレセプ
ター・チロシン・キナーゼ遺伝子とTif1の融合が小
児の乳頭状甲状腺癌のケースにおいて報告されている(K
lugbauer,S.,Rabes,H.M.,Oncogene, 18, 4388-4393 (19
99))。
【0035】本発明GASC1遺伝子がコードするアミ
ノ酸配列は、2つのPHDフィンガー・モチーフを持っ
ており、上記のようにPHDフィンガー・モチーフは、
クロマチン介在性の転写領域において関連する核蛋白お
よび多数の癌原遺伝子において見出されることから、過
剰発現したGASC1は、食道扁平上皮癌を含む種々の
型の癌の発生および/または進展において重要な役割を
演ずる可能性がある。
【0036】上記のとおり、本発明GASC1遺伝子の
推定産物の基本構造は、2つのPHDフィンガー・モチ
ーフと一つのPXドメインを含んでいる。
【0037】前述したとおり、PHDモチーフは、多く
の癌原遺伝子において見出されること、食道扁平上皮癌
で9p23−24領域の増幅がしばしば起きているこ
と、特に該9p23−24領域の増幅は、進行期の腫瘍
に最も一般的な傾向があること、更に9p23−24領
域の増幅は、乳癌、肺癌、進行した星状細胞腫および神
経膠芽腫でも観察されていることから、本発明GASC
1遺伝子は、複数の腫瘍の発生、進展に重要な役割を演
じていると考えられる。
【0038】故に、後述するように、GASC1は、食
道癌などの扁平上皮癌に関して、癌遺伝子に属するもの
であると考えられる。
【0039】本発明遺伝子の提供によれば、該遺伝子が
各細胞での細胞の増殖、分化、腫瘍形成、転写活性化を
調節する作用を有することに基づいて、これら作用に関
与する疾患、例えば悪性腫瘍などの病態解明や診断、治
療などが可能である。
【0040】本発明GASC1遺伝子の全部または一部
は、これらを利用する発現産物に結合する抗体またはそ
の断片の製造、並びにこれらを用いる診断に利用するこ
とができる。
【0041】更に本発明遺伝子の提供によれば、遺伝子
配列のアンチセンス断片、これらの発現産物の利用によ
って、上記疾患の形成を抑制することもできる。
【0042】本発明GASC1遺伝子の全部または一部
は、またプローブとして利用でき、該利用により、癌の
診断並びに診断用キットの作成が可能である。さらに腫
瘍においてGASC1遺伝子の遺伝子増幅・発現亢進
は、癌の診断ばかりでなく、癌の悪性度の判定にも利用
可能である。
【0043】本発明GASC1遺伝子またはその発現産
物は、またGASC1蛋白相互作用物のスクリーニング
にも利用することができる。
【0044】尚、本発明によって提供されるGASC1
遺伝子の一例は、ヒト癌細胞起源のものであり、その利
用によれば、ヒトを含む各種哺乳動物の相同遺伝子も提
供できる。また、本発明遺伝子の利用によれば、本発明
遺伝子によりコードされるアミノ酸配列のC末端側と結
合する遺伝子の同定を行うこともできる。
【0045】以下、本発明遺伝子(DNA分子)につき
詳述する。
【0046】なお、本発明において遺伝子(DNA)と
は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖
およびアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する
趣旨であり、その長さに何ら制限されるものではない。
従って、本発明の遺伝子(DNA)には、特に言及しな
い限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNAおよびc
DNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)並びに該センス
鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス
鎖)およびそれらの断片のいずれもが含まれる。
【0047】本発明遺伝子の一具体例としては、後述す
る実施例に示されるクローンの有するDNA配列から演
繹されるものを挙げることができる。
【0048】このクローンが有する遺伝子は、配列番
号:1に示される1056アミノ酸残基からなる蛋白質
をコードする3168ヌクレオチドのオープンリーディ
ングフレーム(配列番号:2に示される塩基配列)を有
する。陽性クローンからcDNA配列の一方向配列から
上記3168ヌクレオチドの単一のオープン・リーディ
ング・フレームを含む4235ヌクレオチドの転写体を
確認した。転写の開始(「コザックのルール」)のための
コンセンサス配列がよく保存されていることから、転写
のための開始コドンは、ヌクレオチド番号の146−1
48番目であると確認された。
【0049】なお、全長cDNAの塩基配列は、配列番
号:3に示すとおり4235ヌクレオチドである。
【0050】推定された遺伝子産物は、C末端側に2つ
のPHDフィンガー・モチーフ(687-749残基および807-
867残基)と、1つのPXドメイン(950-1047残基)を含ん
でいる。
【0051】本発明遺伝子には、上記配列番号:1に示
されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする塩基配
列を有するものが包含され、また当該遺伝子の相同物も
包含される。
【0052】ここで「相同物」とは、本発明遺伝子(ま
たはその遺伝子産物)と配列相同性を有し、上記構造的
特徴、遺伝子発現パターンにおける共通性および上記し
たようなその生物学的機能の類似性により、ひとつの遺
伝子ファミリーと認識される一連の関連遺伝子を意味す
る。これにはGASC1遺伝子のアレル体(対立遺伝
子)も当然含まれる。
【0053】上記相同物の具体例としては、配列番号:
1で示される特定のアミノ酸配列において、一定の改変
を有する蛋白質であって且つ該特定のアミノ酸配列を有
するGASC1蛋白質と同様の活性を有する蛋白質をコ
ードする遺伝子を挙げることができる。
【0054】上記アミノ酸配列における相同性は、FA
STA或いはBLASTプログラムを使用した検索(Cl
ustal,V., Methods Mol.Biol., 25, 307-318 (1994))に
おいて、通常、アミノ酸配列の全体で約45%以上、好
ましくは約50%以上であることができる。
【0055】また、上記相同性は、PXドメインおよび
/またはPHDフィンガー・モチーフ領域におけるそれ
が約35%以上、好ましくは約45%以上のいずれか少
なくとも一つを満たしていることが望ましい。
【0056】即ち、本発明遺伝子には、配列番号:1に
示されるアミノ酸配列において1または数個乃至複数の
アミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列か
らなる蛋白質をコードする塩基配列を含むDNA分子も
また包含される。
【0057】ここで、「アミノ酸の欠失、置換または付
加」の程度およびそれらの位置などは、改変された蛋白
質が、配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋
白質(GASC1蛋白)と同様の機能を有する同効物で
あれば特に制限されない。本発明において「GASC1
活性」とは配列番号:1で示されるアミノ酸配列からな
る蛋白質が有する活性並びに機能を意味し、具体的に
は、各細胞での細胞の増殖、分化、腫瘍形成、転写活性
化を調節する作用を指す。
【0058】上記アミノ酸配列の改変(変異)などは、
天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾などによ
り生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例えば本発
明のヒトGASC1またはヒトGASC1遺伝子)に基
づいて人為的に改変することもできる。本発明は、この
ような改変・変異の原因および手段などを問わず、上記
特性を有する全ての改変アミノ酸配列をコードする遺伝
子(改変遺伝子)を包含する。
【0059】上記の人為的手段としては、例えばサイト
スペシフィック・ミュータゲネシス〔Methods in Enzym
ology, 154, 350, 367-382 (1987);同 100, 468 (198
3);Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);続生化学
実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会編, p105
(1986)〕などの遺伝子工学的手法、リン酸トリエステ
ル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am.
Chem. Soc., 89, 4801(1967);同91, 3350 (1969);Sc
ience, 150, 178 (1968);Tetrahedron Lett.,22, 1859
(1981);同24, 245 (1983)〕およびそれらの組合せ方
法などが例示できる。より具体的には、DNAの合成
は、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法による
化学合成によることもでき、市販されている自動オリゴ
ヌクレオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断
片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニ
ーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共に
DNAポリメラーゼを用い相補鎖を付加するかによっ
て、化学合成した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0060】本発明遺伝子の具体的態様としては、配列
番号:2に示される塩基配列を有する遺伝子を例示でき
る。この塩基配列中のコーディング領域は、配列番号:
1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を示すコド
ンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺伝子は、
かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限らず、各アミ
ノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選択した塩基
配列を有することも可能である。コドンの選択は、常法
に従うことができ、例えば利用する宿主のコドン使用頻
度などを考慮することができる〔Ncleic Acids Res.,
9, 43 (1981)〕。
【0061】また、本発明DNA分子は、前記のとお
り、配列番号:2に示される塩基配列と一定の相同性を
有する塩基配列からなるものも包含する。
【0062】上記相同性とは、配列番号:1で示される
アミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドまたは配列番号:2に示される塩基配列
と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも9
0%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一
性、更に最も好ましくは少なくとも97%の同一性を有
することをいう。
【0063】かかる相同性遺伝子には、例えば、0.1
%SDSを含む0.2×SSC中50℃または0.1%
SDSを含む1×SSC中60℃のストリンジェントな
条件下で配列番号:2に示される塩基配列中、238−
639の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする
塩基配列を有する遺伝子が包含される。
【0064】本発明遺伝子は、本発明により開示された
本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、
一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得するこ
とができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring H
arbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子
研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0065】具体的には、本発明遺伝子が発現される適
当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調
製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当
なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択すること
により実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 7
8, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
【0066】上記において、cDNAの起源としては、
本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに
由来する培養細胞などが例示される。また、これらから
の全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの
取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実
施することができる。また、cDNAライブラリーは市
販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライ
ブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.In
c.)などより市販されている各種cDNAライブラリー
などを用いることもできる。
【0067】本発明の遺伝子をcDNAライブラリーか
らスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の
方法に従うことができる。
【0068】具体的には、例えばcDNAによって産生
される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した
免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローン
を選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合する
プローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コ
ロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せな
どを例示できる。
【0069】ここで用いられるプローブとしては、本発
明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合
成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得
された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。ま
た、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセン
ス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリー
ニング用プローブとして用いることもできる。
【0070】前記プローブとして用いられるヌクレオチ
ド配列は、配列番号:2に対応する部分ヌクレオチド配
列であって、少なくとも15個の連続した塩基、好まし
くは20個の連続した塩基、より好ましくは30個の連
続した塩基、最も好ましくは50個の連続した塩基を有
するものが含まれる。前記配列番号:2の配列を有する
陽性クローンそれ自体もまたかかるプローブとして用い
ることができる。
【0071】本発明遺伝子の取得に際しては、PCR法
〔Science, 230, 1350 (1985)〕によるDNA/RNA
増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから全
長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE法
〔Rapid amplification of cDNA ends;実験医学、12
(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohma
n, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998
(1988)〕などの採用が好適である。
【0072】かかるPCR法の採用に際して使用される
プライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の
遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法
に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断
片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例
えばゲル電気泳動法などによればよい。
【0073】また、上記で得られる本発明遺伝子或いは
各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサ
ム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499
(1980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエン
スキットなどを用いて、その塩基配列を決定することが
できる。
【0074】このようにして得られる本発明の遺伝子に
よれば、例えば該遺伝子の一部または全部の塩基配列を
利用することにより、個体もしくは各種組織における本
発明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することができ
る。
【0075】かかる検出は常法に従って行うことがで
き、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polyme
rase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplif
ication of RNA. In PCR Protocol, A Guide to method
s and applications, AcademicPress,Inc.,SanDiego, 2
1-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティ
ング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor La
b. (1989)〕、in situRT−PCR〔Nucl. Acids Re
s., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situ ハイブリダイ
ゼーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NAS
BA法〔Nucleicacid sequence-based amplification,
Nature, 350, 91-92 (1991)〕およびその他の各種方法
を挙げることができる。好適には、RT−PCRによる
検出法を挙げることができる。
【0076】尚、ここでPCR法を採用する場合に用い
られるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的
に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限
はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定する
ことができる。通常プライマーとして10〜35程度の
ヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度
の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを
挙げることができる。
【0077】このように、本発明の遺伝子には、本発明
にかかるGASC1遺伝子を検出するための特異プライ
マーおよび/または特異プローブとして使用されるDN
A断片もまた包含される。
【0078】当該DNA断片は、配列番号:2に示され
る塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規
定することできる。ここで、ストリンジェントな条件と
しては、プライマーまたはプローブとして用いられる通
常の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、
例えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×
SSC中50℃の条件または0.1%SDSを含む1×
SSC中60℃の条件を例示することができる。
【0079】本発明遺伝子の利用によれば、通常の遺伝
子工学的手法により、該遺伝子の発現産物(GASC1
蛋白)またはこれを含む蛋白質を容易に大量に、安定し
て製造することができる。
【0080】従って本発明は、本発明遺伝子によってコ
ードされる蛋白質を始め、該蛋白質の製造のための、例
えば本発明遺伝子を含有するベクター、該ベクターによ
って形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養して上
記本発明蛋白質を製造する方法などをも提供するもので
ある。
【0081】本発明蛋白質の具体的態様としては、配列
番号:1に示すアミノ酸配列を有するGASC1蛋白質
を挙げることができる。本発明蛋白質には、該GASC
1蛋白質のみならず、その相同物も包含される。該相同
物としては、上記配列番号:1に示されるアミノ酸配列
において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が欠失、
置換または付加されたアミノ酸配列を有し且つ前記GA
SC1活性を有する蛋白質を挙げることができる。具体
的には、前記GASC1遺伝子の相同物(アレル体を含
むGASC1同等遺伝子)の遺伝子産物を挙げることが
できる。
【0082】また、本発明GASC1蛋白質の相同物に
は、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のGASC1
蛋白質と同一活性を有する、哺乳動物、例えばヒト、ウ
マ、ヒツジ、ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマ、ラット、
ウサギなどのげっ歯類動物の蛋白質も包含される。
【0083】本発明蛋白質は、本発明により提供される
GASC1遺伝子の配列情報に基づいて、常法の遺伝子
組換え技術〔例えばScience, 224, 1431 (1984) ; Bioc
hem.Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985);Proc. Na
tl. Acad. Sci., USA., 80,5990 (1983)など参照〕に従
って調製することができる。
【0084】該蛋白質の製造は、より詳細には、該所望
の蛋白をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現できる組
換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿主細胞
に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、次いで
得られる培養物から回収することにより行われる。
【0085】上記宿主細胞としては、原核生物および真
核生物のいずれも用いることができ、例えば原核生物の
宿主としては、大腸菌や枯草菌といった一般的に用いら
れるものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけエ
シェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含ま
れるものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞に
は、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、前者としては、
例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 175 (1
981)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞およびその
ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Acad.
Sci., USA., 77:4216 (1980)〕などが、後者としては、
サッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられる。勿
論、これらに限定される訳ではない。
【0086】原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主
細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中
に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプ
ロモーターおよびSD(シャイン・アンド・ダルガー
ノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン
(例えばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利
用できる。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来の
プラスミド、例えばpBR322、pBR325、pU
C12、pUC13などがよく用いられるが、これらに
限定されず既知の各種のベクターを利用することができ
る。大腸菌を利用した発現系に利用される上記ベクター
の市販品としては、例えばpGEX−4T(Amersham P
harmacia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P
2(New England Biolabs社)、pET21,pET2
1/lacq(Invitrogen社)、pBAD/His(In
vitrogen社)等を例示できる。
【0087】脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベク
ターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の
上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部
位、ポリアデニル化部位および転写終了配列を保有する
ものが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有し
ていてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的に
は、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕等が例
示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクターを用
いることができる。動物細胞を利用した発現系に利用さ
れるかかるベクターの市販品としては、例えばpEGF
P−N,pEGFP−C(Clontrech社)、pIND(I
nvitrogen社)、pcDNA3.1/His(Invitroge
n社)などの動物細胞用ベクターや、pFastBac
HT(GibciBRL社)、pAcGHLT(PharMi
ngen社)、pAc5/V5−His,pMT/V5−H
is,pMT/Bip/V5−his(以上Invitrogen
社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられる。
【0088】また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベ
クターの具体例としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺
伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示で
きる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpP
ICZ(Invitrogen社)、pPICZα(Invitrogen
社)なとが包含される。
【0089】プロモーターとしても特に限定なく、エッ
シェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトフ
ァン(trp)プロモーター、lppプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、PL/PRプロモーターなどを
好ましく利用できる。宿主がバチルス属菌である場合
は、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモ
ーターなどが好ましい。酵母を宿主とする場合のプロモ
ーターとしては、例えばpH05プロモーター、PGKプロモ
ーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどを好適
に利用できる。また、動物細胞を宿主とする場合の好ま
しいプロモーターとしては、SV40由来のプロモータ
ー、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネイン
プロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメ
ガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどを
例示できる。
【0090】尚、本発明遺伝子の発現ベクターとして
は、通常の融合蛋白発現ベクターも好ましく利用でき
る。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現
させるためのpGEX(Promega社)などを例示でき
る。
【0091】所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿
主細胞への導入法およびこれによる形質転換法として
は、特に限定されず、一般的な各種方法を採用すること
ができる。
【0092】また得られる形質転換体は、常法に従い培
養でき、該培養により所望のように設計した遺伝子によ
りコードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細
胞内、細胞外または細胞膜上に発現、生産(蓄積、分
泌)される。
【0093】該培養に用いられる培地としては、採用し
た宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利
用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施で
きる。
【0094】かくして得られる本発明の組換え蛋白質
は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利
用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、
1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社
東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (198
6); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)など参照〕に
より分離、精製できる。
【0095】該方法としては、具体的には、通常の再構
成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、
浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロ
マトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これ
らの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、本
発明蛋白質に対する特異的な抗体を結合させたカラムを
利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示す
ることができる。
【0096】尚、本発明蛋白質をコードする所望の遺伝
子の設計に際しては、配列番号:2に示されるGASC
1遺伝子の塩基配列を良好に利用することができる。該
遺伝子は、所望により、各アミノ酸残基を示すコドンを
適宜選択変更して利用することも可能である。また、G
ASC1遺伝子でコードされるアミノ酸配列において、
その一部のアミノ酸残基ないしはアミノ酸配列を置換、
欠失、付加などにより改変する場合には、例えばサイト
スペシフィック・ミュータゲネシスなどの前記した各種
方法により行うことができる。
【0097】本発明蛋白質は、また、配列番号:1に示
すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製
造することができる。該方法には、通常の液相法および
固相法によるペプチド合成法が包含される。
【0098】かかるペプチド合成法は、より詳しくは、
アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐
次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエ
ロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメン
トを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング
反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包
含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよ
い。
【0099】上記ペプチド合成に採用される縮合法も、
常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水
物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPP
A(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物
(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
サクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法
などを例示できる。
【0100】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミ
ド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸
エチルなどおよびこれらの混合溶媒などを挙げることが
できる。
【0101】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メ
トキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル
などのアラルキルエステルなどとして保護することがで
きる。
【0102】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル
基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基など
で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要
はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基
は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシ
カルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダ
マンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により
保護することができる。
【0103】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドお
よび最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護
基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還
元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭
化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メ
タンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施する
ことができる。
【0104】かくして得られる本発明蛋白質は、前記し
た各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグ
ラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などの
ペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精
製を行うことができる。
【0105】本発明GASC1蛋白質およびそのフラグ
メントは、これらに対する特異抗体を作成するための免
疫抗原としても好適に利用でき、これらの抗原を利用す
ることにより、所望の抗血清(ポリクローナル抗体)お
よびモノクローナル抗体を取得することができる。
【0106】該抗体の製造法自体は、当業者によく理解
されているところであり、本発明においてもこれら常法
に従うことができる〔例えば、続生化学実験講座「免疫
生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
【0107】かくして得られる抗体は、例えばGASC
1蛋白の精製およびその免疫学的手法による測定ないし
は識別などに有利に利用することができる。より具体的
には、本発明遺伝子の増幅および発現亢進が癌細胞にお
いて確認されていることから、該抗体を用いて癌の診断
または、癌の悪性度の判定に利用することができる。更
に、GASC1に結合する抗体を有効成分とする癌の治
療剤として利用することができる。
【0108】従って、本発明蛋白質に結合する抗体は、
これを有効成分とする医薬品として医薬分野において有
用である。従って、本発明は本発明蛋白質を有効成分と
する医薬組成物をも提供するものである。
【0109】該医薬組成物において有効成分とする蛋白
質には、その医薬的に許容される塩もまた包含される。
かかる塩には、当業界で周知の方法により調製される、
例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、
マグネシウム、バリウム、アンモニウムなどの無毒性ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩な
どが包含される。更に上記塩には、本発明蛋白質と適当
な有機酸ないし無機酸との反応による無毒性酸付加塩も
包含される。代表的無毒性酸付加塩としては、例えば塩
酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸
塩、酢酸塩、蓚酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリ
ン酸塩、硼酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−
トルエンスルホン酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マ
レイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スル
ホン酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビ
ン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびナプシレートなど
が例示される。
【0110】上記医薬組成物は、本発明蛋白質を活性成
分として、その薬学的有効量を、適当な無毒性医薬担体
ないし希釈剤と共に含有するものが含まれる。
【0111】上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる
医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用さ
れる、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面
活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示で
き、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜
選択使用される。
【0112】特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋
白製剤などに使用され得る各種の成分、例えば安定化
剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整
剤、界面活性剤などを適宜使用して調製される。
【0113】上記安定化剤としては、例えばヒト血清ア
ルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導
体などを例示でき、これらは単独でまたは界面活性剤な
どと組合せて使用できる。特にこの組合せによれば、有
効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
【0114】上記L−アミノ酸としては、特に限定はな
く例えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのい
ずれでもよい。
【0115】上記糖としても特に限定はなく、例えばグ
ルコース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖
類、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの
糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖
類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コン
ドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類などおよび
それらの誘導体などを使用できる。
【0116】界面活性剤としても特に限定はなく、イオ
ン性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用でき、
例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキ
ルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル
系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリ
ド系などを使用できる。
【0117】セルロース誘導体としても特に限定はな
く、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウムなどを使用できる。
【0118】上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り
約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜
10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤
の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg
程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程
度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの
添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度
以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲
とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当
り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。
また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当
り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0
01〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
【0119】本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量
は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.0000
1〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程
度の範囲とするのが適当である。
【0120】また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、
例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加する
ことができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン
酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミ
ン酸および/またはそれらに対応する塩(例えばそれら
のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)な
どを例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示でき
る。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウ
ム、クエン酸などを例示できる。
【0121】本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用で
きる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした
後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解
して適当な濃度に調製した後に使用することも可能であ
る。
【0122】本発明の医薬製剤の投与単位形態として
は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表
的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒
剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、
乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含ま
れ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、
経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類さ
れ、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製す
ることができる。
【0123】例えば、錠剤の形態に成形するに際して
は、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリ
ウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カ
オリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなど
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキ
シメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウ
ム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、
炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ス
テアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ス
テアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
などの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿
剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸
塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤な
どを使用できる。
【0124】更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した
錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィ
ルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ない
しは多層錠とすることもできる。
【0125】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビア
ゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結
合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用で
きる。
【0126】カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有
効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質
ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整さ
れる。
【0127】経口投与用液体投与形態は、慣用される不
活性希釈剤、例えば水、を含む医薬的に許容される溶
液、エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなど
を包含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ま
せることができ、これらは常法に従い調製される。
【0128】非経口投与用の液体投与形態、例えば滅菌
水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへの調
製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イ
ソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルおよびオリーブ油などの植物油などを
使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオレ
イン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常の
溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存
剤、分散剤などを添加することもできる。
【0129】滅菌は、例えばバクテリア保留フィルター
を通過させる濾過操作、殺菌剤の配合、照射処理および
加熱処理などにより実施できる。また、これらは使用直
前に滅菌水や適当な滅菌可能媒体に溶解することのでき
る滅菌固体組成物形態に調製することもできる。
【0130】坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際
しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチンおよび半合成グリセライドなどを使用
できる。
【0131】ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の
形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色
ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導
体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
シリコン、ベントナイトおよびオリーブ油などの植物油
などを使用できる。
【0132】経鼻または舌下投与用組成物は、周知の標
準賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
【0133】尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色
剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品な
どを含有させることもできる。
【0134】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、
液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投
与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖やアミノ酸など
の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応
じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、
坐剤は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤
は鼻腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は
経皮的に局所投与される。
【0135】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的に
は、該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約
0.01μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg
〜1mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1回また
は数回に分けて投与することができる。
【0136】また、本発明は、本発明GASC1遺伝子
の発現する細胞において、細胞内のmRNAに対して相
補的配列を持つRNAを作り出し、翻訳を阻害し、GA
SC1遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンス医薬
の提供による癌の遺伝子治療法を提供する。該治療法
は、例えばGASC1遺伝子を有する癌細胞本来のmR
NAと結合させるか、或いはDNA二重螺旋の間に入り
込み三重鎖を形成させることによって、転写或いは翻訳
の過程を阻害することによって、標的とする遺伝子の発
現を抑制する方法である。この方法は従って遺伝子のm
RNAと相補的なアンチセンス・ヌクレオチドを製造
し、該アンチセンス・ヌクレオチドを標的細胞に供給す
る方法としてとらえることができる。
【0137】かかるGASC1遺伝子の発現機能を抑制
する作用を供給すれば、受容細胞/標的細胞における新
生物の増殖を抑制することができる。当該アンチセンス
・ヌクレオチドを含有するベクターまたはプラスミドを
用いて染色体外に維持し、目的の細胞に導入することが
できる。
【0138】上記アンチセンス・ヌクレオチドを用いた
癌遺伝子治療によれば、レトロウイルス、アデノウイル
ス、AAV由来のベクターに該アンチセンス・ヌクレオ
チドを組み込み、これを癌細胞に感染させてアンチセン
ス・ヌクレオチドを過剰発現させることにより、所望の
抗腫瘍効果を得ることができる。
【0139】このようにGASC1遺伝子を有する細胞
にアンチセンス・ヌクレオチドを導入してGASC1蛋
白の発現を抑制させる場合、当該アンチセンス・ヌクレ
オチドは対応するGASC1遺伝子の全長に対応するも
のである必要はなく、例えば該GASC1遺伝子の発現
機能を抑制する機能と実質的に同質な機能を保持する限
りにおいて、前記した改変体であっても、また特定の機
能を保持した一部配列からなる遺伝子であってもよい。
【0140】かかる組換えおよび染色体外維持の双方の
ための、所望遺伝子を導入すべきベクターは、当該分野
において既に知られており、本発明ではかかる既知のベ
クターのいずれもが使用できる。例えば、発現制御エレ
メントに連結したGASC1遺伝子のアンチセンス・ヌ
クレオチドのコピーを含み且つ目的の細胞内で当該アン
チセンス・ヌクレオチド産物を発現できるウイルスベク
ターまたはプラスミドベクターを挙げることができる。
かかるベクターとしては、通常前述した発現用ベクター
を利用することもでき、好適には、例えば起源ベクター
として、米国特許第5252479号明細書およびPC
T国際公開WO93/07282号明細書に開示された
ベクター(pWP−7A、pWP−19、pWU−1、
pWP−8A、pWP−21および/またはpRSVL
など)またはpRC/CMV(Invitrogen社製)などを
用いて調製されたベクターを用いることもできる。より
好ましいベクターとしては、後述する各種ウイルス・ベ
クターを挙げることができる。
【0141】なお、遺伝子導入治療において用いられる
ベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患
の治療対象となる患部組織に固有のものを好適なものと
して例示することができる。
【0142】その具体例としては、例えば、肝臓に対し
ては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−アン
チトリプシン、トランスフェリン、トランススチレンな
どを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アンヒド
ラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示でき
る。子宮および胎盤に対しては、エストロゲン、アロマ
ターゼ、サイトチトクロームP450、コレステロール
側鎖切断P450、17アルファーヒドロキシラーゼP
450などを例示できる。
【0143】前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91
−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを
例示できる。***に対しては、erb−B2、erb−
B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質
などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウロ
グロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−1
4−ケラチン、ヒトケラチン1または6、ロイクリンな
どを例示できる。
【0144】脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白質、
成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン塩基性蛋白
質、チロシンヒドロキシラーゼ等を例示できる。膵臓に
対しては、ヴィリン、グルカゴン、ランゲルハンス島ア
ミロイドポリペプチドなどを例示できる。甲状腺に対し
ては、チログロブリン、カルシトニンなどを例示でき
る。骨に対しては、α1コラーゲン、オステオカルシ
ン、骨シアログリコプロティンなどを例示できる。腎臓
に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホスフォ
ターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対しては、ア
ミラーゼ、PAP1などを例示できる。
【0145】なおアンチセンス・ヌクレオチド導入用ベ
クターの製造において、導入されるアンチセンス・ヌク
レオチド(GASC1遺伝子配列に対応する相補配列全
部または一部)は、本発明のGASC1遺伝子の塩基配
列情報に基づいて、前記の如く、一般的遺伝子工学的手
法により容易に製造・取得することができる。
【0146】かかるアンチセンス・ヌクレオチド導入用
ベクターの細胞への導入は、例えばエレクトロポレーシ
ョン、リン酸カルシウム共沈法、ウイルス形質導入など
を始めとする、細胞にDNAを導入する当該分野におい
て既に知られている各種の方法に従って行うことができ
る。なお、GASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオ
チドで形質転換された細胞は、それ自体単離状態で癌の
抑制ないしは癌転移の抑制のための医薬や、治療研究の
ためのモデル系として利用することも可能である。
【0147】遺伝子治療においては、上記のアンチセン
ス・ヌクレオチド導入用ベクターは、患者の腫瘍部位に
局所的にまたは全身的に注射投与することにより患者の
腫瘍細胞内に導入することができる。この際全身的投与
によれば、他の部位に転移し得るいずれの腫瘍細胞にも
到達させることができる。形質導入された遺伝子が各標
的腫瘍細胞の染色体内に恒久的に取り込まれない場合に
は、該投与を定期的に繰り返すことによって達成でき
る。
【0148】本発明の遺伝子治療方法は、前述したアン
チセンス・ヌクレオチド導入用の材料(アンチセンス・
ヌクレオチド導入用ベクター)を直接体内に投与するイ
ンビボ(in vivo)法と、患者の体内より一旦標的とす
る細胞を取り出して体外で遺伝子を導入して、その後、
該細胞を体内に戻すエクスビボ(ex vivo)法の両者を
包含する。
【0149】またGASC1遺伝子のアンチセンス・ヌ
クレオチドを直接細胞内に導入し、RNA鎖を切断する
活性分子であるリボザイムによる遺伝子治療も可能であ
る。
【0150】後述する、本発明GASC1遺伝子に対応
する配列のアンチセンス・ヌクレオチド全部もしくはそ
の断片を含有する遺伝子導入用ベクターおよび該ベクタ
ーによりGASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチ
ドが導入された細胞を有効成分とする本発明の遺伝子治
療剤は、特に癌をその利用対象とするものであるが、上
記の遺伝子治療(処置)は、癌以外にも遺伝性疾患、A
IDSのようなウイルス疾患の治療、並びに遺伝子標識
をも目的として行うことができる。
【0151】また、アンチセンス・ヌクレオチドを導入
する標的細胞は、遺伝子治療(処置)の対象により適宜
選択することができる。例えば、標的細胞として、癌細
胞や腫瘍組織以外に、リンパ球、線維芽細胞、肝細胞、
造血幹細胞、如き細胞などを挙げることができる。
【0152】上記遺伝子治療におけるアンチセンス・ヌ
クレオチド導入方法には、ウイルス的導入方法および非
ウイルス的導入方法が含まれる。
【0153】ウイルス的導入方法としては、例えば、G
ASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチドが正常細
胞に発現する外来の物質であることに鑑みて、ベクター
としてレトロウイルスベクターを用いる方法を挙げるこ
とができる。その他のウイルスベクターとしては、アデ
ノウイルスベクター、HIV(human immunodeficiency
virus)ベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AA
V,adeno-associatedvirus)、ヘルペスウイルスベク
ター、単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターおよび
エプスタイン−バーウイルス(EBV,Epstein-Barr v
irus)ベクターなどがあげられる。
【0154】非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、
リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソーム
と予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイ
ルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と
直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソ
ーム法〔Kato,K.,et al., J. Biol. Chem., 266, 22071
-22074 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして
高圧放電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方
法〔Yang,N.S. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,87, 9568-
9572 (1990)〕;プラスミドDNAを直接インビボで臓
器や腫瘍に注入するネイキッド(naked)DNA法〔Wol
ff,J.A.,et al., Science, 247, 1465-1467 (1990)〕;
多重膜正電荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞に導入
するカチオニック・リポソーム法〔八木国夫, 医学のあ
ゆみ, Vol.175,No.9,635-637 (1995)〕;特定細胞のみ
に遺伝子を導入し、他の細胞に入らないようにするため
に、目的とする細胞に発現するレセプターに結合するリ
ガンドをDNAと結合させてそれを投与するリガンド−
DNA複合体法〔Frindeis,et al.,Trends Biotechno
l., 11, 202 (1993); Miller,et al.,FASEB J., 9, 190
(1995)〕などを使用することができる。
【0155】上記リガンド−DNA複合体法には、例え
ば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白レセプターをターゲ
ットとしてアシアロ糖蛋白をリガンドとして用いる方法
〔Wu, et al.,J.Biol.Chem., 266, 14338 (1991); Ferk
ol,et al.,FASEB J., 7, 1081-1091 (1993)〕や、腫瘍
細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプター
を標的としてトランスフェリンをリガンドとして用いる
方法〔Wagner et al.,Proc. Natl. Acad. Sci., USA.,
87, 3410 (1990)〕などが含まれる。
【0156】また本発明で用いられる遺伝子導入法は、
上記の如き各種の生物学的および物理学的な遺伝子導入
法を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる
方法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAを
アデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン
抱合抗体と組合わせる方法を例示できる。該方法によれ
ば、得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合
し、かくして得られる三分子複合体を細胞に感染させる
ことにより本発明アンチセンス・ヌクレオチドの導入を
行い得る。この方法では、アデノアイルスベクターにカ
ップリングしたDNAが損傷される前に、効率的な結
合、内在化およびエンドソーム分解が可能となる。ま
た、前記リポソーム/DNA複合体は、直接インビボに
て遺伝子導入を媒介できる。
【0157】以下、具体的な本発明のアンチセンス・ヌ
クレオチド導入用ウイルスベクターの作成法並びに標的
細胞または標的組織へのアンチセンス・ヌクレオチド導
入法について述べる。
【0158】レトロウイルスベクター・システムは、ウ
イルスベクターとヘルパー細胞(パッケージング細胞)
からなっている。ここでヘルパー細胞は、レトロウイル
スの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造蛋白
質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白質)な
どの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子を生成
していない細胞を言う。一方、ウイルスベクターは、パ
ッケージングシグナルやLTR(long terminal repeat
s)を有しているが、ウイルス複製に必要なgag、po
l、envなどの構造遺伝子を持っていない。パッケー
ジングシグナルはウイルス粒子のアセンブリーの際にタ
グとなる配列で、選択遺伝子(neo,hyg)とクロ
ーニングサイトに組込まれた所望の導入アンチセンス・
ヌクレオチド(GASC1遺伝子に対応する全アンチセ
ンス・ヌクレオチドまたはその断片)がウイルス遺伝子
の代りに挿入される。ここで高力価のウイルス粒子を得
るにはインサートを可能な限り短くし、パッケージング
シグナルをgag遺伝子の一部を含め広くとることと、
gag遺伝子のATGを残さぬようにすることが重要で
ある。
【0159】所望のGASC1遺伝子のアンチセンス・
ヌクレオチドを組み込んだベクターDNAをヘルパー細
胞に移入することによって、ヘルパー細胞が作っている
ウイルス構造蛋白質によりベクターゲノムRNAがパッ
ケージされてウイルス粒子が形成され、分泌される。組
換えウイルスとしてのウイルス粒子は、標的細胞に感染
した後、ウイルスゲノムRNAから逆転写されたDNA
が細胞核に組み込まれ、ベクター内に挿入されたアンチ
センス遺伝子が発現する。
【0160】尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法
として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリ
ン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法
〔Hanenberg,H.,et al.,Exp.Hemat., 23, 747 (1995)〕
を採用することもできる。
【0161】なお、上記レトロウイルスベクター・シス
テムにおいて用いられるベクターとしては、例えばマウ
スの白血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLa
chlin, J.R., et al., Proc. Natl. Acad. Res. Molec.
Biol., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができ
る。
【0162】アデノウイルスベクターを利用する方法に
つき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、
バークネル〔Berkner,K.L.,Curr.Topics Microbiol.Imm
unol., 158, 39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Setoguch
i,Y.,et al., Blood, 84, 2946-2953 (1994)〕、鐘カ江
裕美ら〔実験医学, 12, 28-34 (1994)〕およびケナーら
〔Ketner,G.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA., 91, 6
186-6190 (1994)〕の方法に準じて行うことができる。
【0163】例えば、非増殖性アデノウイルスベクター
を作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE
1および/またはE3遺伝子領域を除去する。次に、目
的とする所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入ア
ンチセンス・ヌクレオチド、即ち本発明GASC1遺伝
子のアンチセンス・ヌクレオチド、そのアンチセンス・
ヌクレオチドを転写するためのプロモーター、転写され
た遺伝子の安定性を賦与するポリAから構成)およびア
デノウイルスゲノムDNAの一部を含むプラスミドベク
ターと、アデノウイルスゲノムを含むプラスミドとを、
例えば293細胞に同時にトランスフェクションする。
この2者間で相同性組換えを起こさせて、遺伝子発現単
位とE1とを置換することにより、所望のGASC1遺
伝子のアンチセンス・ヌクレオチドを包含する本発明遺
伝子治療用ベクターである非増殖性アデノウイルスベク
ターを作成することができる。また、コスミドベクター
にアデノウイルスゲノムDNAを組み込んで、末端蛋白
質を付加した3’側アデノウイルスベクターを作成する
こともできる。更に組換えアデノウイルスベクターの作
成には、YACベクターも利用可能である。
【0164】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの
製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養
系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。こ
れには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず
宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘ
ルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存
在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の
細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲ
ノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからな
り、その両端の145塩基がITR(inverted terminal
repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在してい
る。このITRの部分が複製開始点となり、プライマー
の役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや
宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必
須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの
左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調
節蛋白質のRepをコードしている。
【0165】組換えAAVの作成は、AAVが染色体D
NAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、か
くして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この
方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の
両端のITRを残し、その間に所望の導入用アンチセン
ス・ヌクレオチド(GASC1 アンチセンス・ヌクレ
オチド)を挿入したプラスミド(AAVベクタープラス
ミド)を作成する。一方、ウイルス複製やウイルス粒子
の形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別のヘルパー
プラスミドにより供給させる。この両者の間には共通の
塩基配列が存在しないようにし、遺伝子組換えによる野
生型ウイルスが出現しないようにする必要がある。その
後、両者のプラスミドを例えば293細胞へのトランス
フェクションにより導入し、さらにヘルパーウイルスと
してアデノウイルス(293細胞を用いる場合は非増殖
型のものでもよい)を感染させると、非増殖性の所望の
組換えAAVが産生される。続いて、この組換えAAV
は核内に存在するので、細胞を凍結融解して回収し、混
入するアデノウイルスを56℃加熱により失活させる。
更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠心法により
組換えAAVを分離濃縮する。上記のようにして所望の
遺伝子導入用の組換えAAVを得ることができる。
【0166】EBVベクターの製造は、例えば清水らの
方法に準じて行うことができる〔清水則夫ら、細胞工
学, 14(3), 280-287 (1995)〕。
【0167】本発明のアンチセンス・ヌクレオチド導入
用EBVベクターの製造につき概略すると、EBウイル
ス(Epstein-Barr virus: EBV)は、1964年にエプスタ
イン(Epstein)らによりバーキット(Burkitt)リンパ腫
由来の培養細胞より分離されたヘルペス科に属するウイ
ルスである〔Kieff, E. and Liebowitz, D.: Virology,
2nd ed. Raven Press, New York, 1990, pp.1889-192
0〕。該EBVには細胞をトランスフォームする活性が
あるので、遺伝子導入用ベクターとするためには、この
トランスフォーム活性を欠いたウイルスを調製しなけれ
ばならない。これは次の如くして実施できる。
【0168】即ち、まず、所望の外来遺伝子を組み込む
標的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そ
こに外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込
み、組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当
な制限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベ
クターをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクト
する。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面
免疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生
型AkataEBVとともに回収できる。これをEBV
陰性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選
択することにより、野生型EBVが共存しない所望の組
換えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ること
ができる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞に
ウイルス活性を誘導することにより、目的とする大量の
組換えウイルスベクターを産生することができる。
【0169】組換えウイルスベクターを用いることなく
所望のアンチセンス・ヌクレオチドを標的細胞に導入す
る、非ウイルスベクターの製造は、例えば膜融合リポソ
ームによる遺伝子導入法により実施することができる。
これは膜リポソーム(脂質二重膜からなる小胞)に細胞
膜への融合活性をもたせることにより、リポソームの内
容物を直接細胞内に導入する方法である。
【0170】上記膜融合リポソームによるアンチセンス
・ヌクレオチドの導入は、例えば中西らの方法によって
行うことができる〔Nakanishi,M.,et al.,Exp.Cell Re
s., 159, 399-499 (1985); Nakanishi,M.,et al.,Gene
introduction into animal tissues.In Trends and Fut
ure Perspectives in Peptide and Protein Drug Deliv
ery (ed. by Lee, V.H. et al.)., Harwood Academic P
ublishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.337-349〕。
【0171】以下、該膜融合リポソームによるアンチセ
ンス・ヌクレオチドの導入法につき概略する。即ち、紫
外線で遺伝子を不活性化したセンダイウイルスと所望の
アンチセンス・ヌクレオチドや発現蛋白質などの高分子
物質を封入したリポソームを37℃で融合させる。この
膜融合リポソームは、内側にリポソーム由来の空洞を、
外側にウイルス・エンベロープと同じスパイクがある疑
似ウイルスともよばれる構造を有している。更にショ糖
密度勾配遠心法で精製後、標的とする培養細胞または組
織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で吸着させる。
次いで37℃にするとリポソームの内容物が細胞に導入
され、所望のアンチセンス・ヌクレオチドを標的細胞に
導入できる。ここでリポソームとして用いられる脂質と
しては、50%(モル比)コレステロールとレシチンお
よび陰電荷をもつ合成リン脂質で、直径300nmの1
枚膜リポソームを作製して使用するのが好ましい。
【0172】また、別のリポソームを用いてアンチセン
ス・ヌクレオチドを標的細胞に導入する方法としては、
カチオニック・リポソームによるアンチセンス・ヌクレ
オチド導入法を挙げることができる。該方法は、八木ら
の方法に準じて実施できる〔Yagi,K.,et al.,B.B.R.C.,
196, 1042-1048 (1993)〕。この方法は、プラスミドも
細胞も負に荷電していることに着目して、リポソーム膜
の内外両面に正の電荷を与え、静電気によりプラスミド
の取り込みを増加させ、細胞との相互作用を高めようと
するものである。ここで用いられるリポソームは正荷電
を有する多重膜の大きなリポソーム(multilamellar la
rge vesicles: MLV)が有用であるが、大きな1枚膜
リポソーム(large unilamellar vesicles: LUV)や
小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar vesicle
s: SUV)を使用してプラスミドとの複合体を作製
し、所望のアンチセンス・ヌクレオチドを導入すること
も可能である。
【0173】プラスミド包埋カチオニックMLVの調製
法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-
(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate
chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholin
e)およびDOPE(dioleoylphosphatidylethanolamin
e)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホル
ム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総
量1μmolの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリ
ーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄
膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去
し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラス
ミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩
液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分間
ボルテックスミキサーにより攪袢して、所望のアンチセ
ンス・ヌクレオチドを含有するプラスミド包埋カチオニ
ックMLV懸濁液を得ることができる。
【0174】上記で得られたプラスミド包埋カチオニッ
クMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、
例えば発現目的アンチセンス・ヌクレオチドを組み込ん
だ発現プラスミドを上記カチオニックMLVにDNA量
として0.6μg、リポソーム脂質量として30nmolに
なるように包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理食塩
液に懸濁させて患者より抽出した標的細胞または患者組
織に対して隔日投与する方法が例示できる。
【0175】ところで、遺伝子治療とは「疾病の治療を
目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒト
の体内に投与すること」と厚生省ガイドラインに定義さ
れている。しかしながら、本発明における遺伝子治療と
は、該ガイドラインの定義に加えて、前記した標的細胞
にGASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチドを癌
抑制アンチセンスDNAとして導入することによって、
癌を始めとする各種疾患の治療のみならず、更に標識と
なる遺伝子または標識となる遺伝子を導入した細胞をヒ
ト体内に導入することも含むものとする。
【0176】本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子
の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的に
は2種類の方法が含まれる。
【0177】その第1法は、治療対象とする患者から標
的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロ
イキン−2(IL−2)などの添加の下で培養し、レトロ
ウイルスベクターに含まれる目的とするGASC1遺伝
子のアンチセンス・ヌクレオチドを導入した後、得られ
る細胞を再移植する手法(ex vivo法)である。該方法は
ADA欠損症を始め、欠陥遺伝子によって発生する遺伝
子病や癌、AIDSなどの治療に好適である。
【0178】第2法は、目的アンチセンス・ヌクレオチ
ド(GASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチド)
を直接患者の体内や腫瘍組織などの標的部位に注入する
遺伝子直接導入法(直接法)である。
【0179】上記遺伝子治療の第1法は、より詳しく
は、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から
採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取
し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地など
の適当な培地で72時間程度培養し、導入すべきアンチ
センス・ヌクレオチド(GASC1遺伝子のアンチセン
ス・ヌクレオチド)を含有するベクターを加える。アン
チセンス・ヌクレオチドの導入効率をあげるために、プ
ロタミン存在下に32℃で1時間、2500回転にて遠
心分離した後、37℃で10%炭酸ガス条件下で24時
間培養してもよい。この操作を数回繰り返した後、更に
IL−2存在下にAIM−V培地などで48時間培養
し、細胞を生理食塩水で洗浄し、生細胞数を算定し、ア
ンチセンス・ヌクレオチド導入効率を前記in situ PC
Rや、例えば所望の対象が酵素活性であればその活性の
程度を測定することにより、目的アンチセンス・ヌクレ
オチド導入効果を確認する。
【0180】また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイ
コプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの
安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測さ
れる効果用量のアンチセンス・ヌクレオチド(GASC
1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチド)が導入された
培養細胞を患者に点滴静注により戻す。かかる方法を例
えば数週間から数カ月間隔で繰り返することにより遺伝
子治療が施される。
【0181】ここでウイルスベクターの投与量は、導入
する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価
として、例えば標的細胞 1×108細胞に対して1×1
3cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採
用することが好ましい。
【0182】上記第1法の別法として、目的アンチセン
ス・ヌクレオチド(GASC1遺伝子のアンチセンス・
ヌクレオチド)を含有するレトロウイルスベクターを含
有するウイルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培養
して、目的とする細胞へアンチセンス・ヌクレオチド
(GASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチド)を
導入する方法を採用することもできる。
【0183】遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当
たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子
導入法によって、実際に目的アンチセンス・ヌクレオチ
ド(GASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチド)
が導入されるか否かを、予めベクター遺伝子cDNAの
PCR法による検索やin situPCR法によって確認す
るか、或いは目的アンチセンス・ヌクレオチド(GAS
C1遺伝子のアンチセンス・ヌクレオチド)の導入に基
づく所望の治療効果である特異的活性の上昇や標的細胞
の増殖増加や増殖抑制などを確認することが望ましい。
また、ウイルスベクターを用いる場合は、増殖性レトロ
ウイルスなどの検索をPCR法で行うか、逆転写酵素活
性を測定するか、或は膜蛋白(env)遺伝子をPCR法で
モニターするなどにより、遺伝子治療に際してアンチセ
ンス・ヌクレオチド導入による安全性を確認することが
重要であることはいうまでもない。
【0184】本発明遺伝子治療法において、特に癌や悪
性腫瘍を対象とする場合は、患者から癌細胞を採取後、
酵素処理などを施して培養細胞を樹立した後、例えばレ
トロウイルスにて所望のアンチセンス・ヌクレオチドを
標的とする癌細胞に導入し、G418細胞にてスクリー
ニングした後、IL−12などの発現量を測定(in vivo
測定)し、次いで放射線処理を施行し、患者腫瘍内また
は傍腫瘍に接種する癌治療法を一例として挙げることが
できる。
【0185】本発明はまた、本発明のアンチセンス・ヌ
クレオチド導入用ベクターまたは目的アンチセンス・ヌ
クレオチド(GASC1遺伝子のアンチセンス・ヌクレ
オチド)が導入された細胞を活性成分とし、それを薬学
的有効量、適当な無毒性医薬担体ないしは希釈剤と共に
含有する医薬組成物または医薬製剤(遺伝子治療剤)を
提供する。
【0186】本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用で
きる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使
用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、
表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0187】本発明医薬製剤の投与単位形態としては、
前記したGASC1蛋白質抗体製剤の製剤例を同様に挙
げることができ、治療目的に応じて各種の形態から適宜
選択することができる。
【0188】例えば、本発明のアンチセンス・ヌクレオ
チド導入用ベクターを含む医薬製剤は、該ベクターをリ
ポソームに包埋された形態あるいは所望のアンチセンス
・ヌクレオチドが包含されるレトロウイルスベクターを
含むウイルスによって感染された培養細胞の形態に調製
される。
【0189】これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH
7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合
した形態などに調製することもでき、またプロタミンな
どの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるよう
な形態に調製することもできる。
【0190】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。
【0191】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。
【0192】一般には、医薬製剤としての所望アンチセ
ンス・ヌクレオチド含有レトロウイルスベクターの投与
量は、1日当り体重1kg当り、例えばレトロウイルス
の力価として約1×103pfuから1×1015pfu
程度とするのがよい。
【0193】また所望の導入用アンチセンス・ヌクレオ
チドが導入された細胞の場合は、1×104細胞/body
から1×1015細胞/body程度の範囲から選ばれるのが
適当である。
【0194】該製剤は1日に1回または数回に分けて投
与することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与す
ることもできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝
子導入効率を高める物質またはこれを含む製剤と併用投
与することができる。
【0195】本発明に従う遺伝子治療を癌の治療に適用
する場合は、前記した種々の遺伝子治療を適宜組合わせ
て行う(結合遺伝子治療)こともでき、前記した遺伝子
治療に、従来の癌化学療法、放射線療法、免疫療法など
を組合わせて行うこともできる。さらに本発明遺伝子治
療は、その安全性を含めて、NIHのガイドラインを参
考にして実施することができる〔Recombinant DNA Advi
sory Committee, Human Gene Therapy, 4, 365-389 (19
93)〕。
【0196】本発明によれば、細胞の腫瘍形成を促すG
ASC1遺伝子の存在を検出するために、血液または血
清のごとき生物学的試料を調製し、所望により核酸を抽
出し、GASC1の感受性遺伝子が存在する否かについ
て分析することが可能である。また、本発明によれば細
胞または組織における新生物、悪性の前駆障害への進
行、または予後指標としての存在を検出するためには、
障害を有する生物学的な試料を調製し、GASC1の新
生物遺伝子が存在するか否かについて分析できる。この
方法を用いることにより細胞または組織における新生
物、悪性の前駆障害への進行、または予後指標としての
存在を検出することが可能となり、これらの診断、例え
ば癌の診断並びに癌治療効果の判定並びに予後の予測が
可能となる。
【0197】該検出方法は、例えば、予め腫瘍を有する
患者サンプルから得られたGASC1遺伝子に関する情
報を基に、該DNA断片を作成し、GASC1遺伝子の
スクリーニングおよび/またはその増幅に用いられるよ
うに設計される。より具体的には、例えばプラークハイ
ブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーショ
ン、サザンブロット法、ノーザンブロット法などにおけ
るプローブとしての性質を有するもの、核酸配列をポリ
メラーゼで増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に
より、増幅したGASC1の全部または一部のDNA断
片を得ることができるためのプローブとしての性質を有
するものを作成できる。そのためにはまずGASC1と
同じ配列を持つプライマーを作成し、スクリーニング用
プローブとして用い、生物学的試料(核酸試料)と反応
させることにより、当該GASC1配列を有する遺伝子
の存在を確認することができる。該核酸試料は、標的配
列の検出を容易にする種々の方法、例えば変性、制限消
化、電気泳動またはドットブロッティングで調製しても
よい。
【0198】前記スクリーニング方法としては、特にP
CR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、
GASC1断片をプライマーとして用いる方法であれば
特に制限されず、従来公知の方法(Science, 230, 1350-
1354(1985))や新たに開発された、或いは将来使用され
るPCR変法(榊 佳之、ほか編、羊土社、実験医学、増
刊, 8(9)(1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増刊、共立
出版(株), 35(17)(1990))のいずれも利用することが可
能である。
【0199】プライマーとして使用されるDNA断片
は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴD
NAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合
成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus: ファルマ
シア社製)を使用して合成することができる。合成され
るプライマー(センスプライマーまたはアンチセンスプ
ライマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好
ましく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプ
ローブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識
であってもよく、直接的または間接的に標識したリガン
ドとの特異的結合によって検出してもよい。適当な標
識、並びにプローブおよびリガンドを標識する方法は、
本発明の技術分野で知られており、ニック・トランスレ
ーション、ランダム・プライミングまたはキナーゼ処理
のような、既知の方法によって取り込ませることができ
る放射性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵
素、抗体などがこれらの技術に包含される。
【0200】検出のために用いるPCR法としては、例
えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いら
れる種々の変法を適応することができる。
【0201】また、本発明の測定方法は、試料中のGA
SC1遺伝子の検出のための試薬キットを利用すること
によって、簡便に実施することができる。
【0202】故に本発明によれば上記GASC1 DN
A断片を含有することを特徴とするGASC1の検出用
試薬キットが提供される。
【0203】該試薬キットは、少なくとも配列番号:2
に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部
または全てにハイブリダイズするDNA断片を必須構成
成分として含んでいれば、他の成分として、標識剤、P
CR法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラー
ゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、プライマーなど)
が含まれていてもよい。
【0204】標識剤としては、放射性同位元素または蛍
光物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA
断片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていても
よい。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のた
めに適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反
応停止液などが含まれていてもよい。
【0205】更に本発明は、前記測定方法を用いる癌の
診断方法および該方法に用いる診断剤並びに診断用キッ
トをも提供するものである。
【0206】また、前記方法を用いることにより、被検
試料中から得られたGASC1配列を直接的若しくは間
接的に配列決定することにより、野生型GASC1と相
同性の高い相同物である新たなGASC1遺伝子に関連
する関連遺伝子を見出すことができる。
【0207】従って、本発明はかかる測定と被検試料中
のGASC1 DNAの配列決定により、被検試料中の
ヒトGASC1遺伝子に関連する関連遺伝子のスクリー
ニング方法をも提供するものである。
【0208】また、本発明の配列番号:1で示されるヒ
トGASC1遺伝子でコードされる蛋白質または該配列
番号:1において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸
が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列またはこれ
らの断片から蛋白質を合成し、もしくは該蛋白質に対す
る抗体を合成することによって、野生型GASC1およ
び/または変異GASC1の測定が可能となる。
【0209】従って、本発明は、野生型GASC1およ
び/または変異GASC1の抗体測定法、抗原測定法を
提供するものである。該測定法によって新生物状態の障
害の程度、或いは悪性腫瘍の悪性度を野生型GASC1
ポリペプチドの変化に基づいて検出することも可能であ
る。かかる変化は、この分野における前記慣用技術によ
るGASC1配列分析によっても決定できるが、更に好
ましくは、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル
抗体)を用いて、GASC1蛋白質中の相違、またはG
ASC1蛋白質の有無を検出することができる。本発明
の測定法の具体的な例示としては、GASC1抗体は、
血液・血清などのヒトより採取した生体材料試料含有溶
液からGASC1蛋白質を免疫沈降し、かつポリアクリ
ルアミドゲルのウェスタン・ブロットまたはイムノブロ
ット上でGASC1蛋白質と反応することができる。ま
た、GASC1抗体は免疫組織化学的技術を用いてパラ
フィンまたは凍結組織切片中のGASC1蛋白質を検出
することができる。抗体産生技術および精製する技術は
当該分野においてよく知られているので、これらの技術
を適宜選択することができる。
【0210】野生型GASC1またはその突然変異体を
検出する方法に関連するより好ましい具体例には、モノ
クローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を用
いるサンドイッチ法を含む、酵素結合イムノソルベント
アッセイ(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、免
疫放射線検定法(IRMA)および免疫酵素法(IEMA)
が含まれる。
【0211】また、本発明は、GASC1蛋白に対する
GASC1結合活性を有する細胞膜画分または細胞表面
上に存在するGASC1レセプターをも提供することが
可能である。該GASC1レセプターの取得は、細胞膜
画分を含む生体材料試料中において標識したGASC1
蛋白をコンジュゲートさせ、GASC1結合反応物を抽
出・単離、精製し、単離物のアミノ酸配列を特定するこ
とによって達成され、該GASC1レセプター蛋白の取
得並びに配列決定は、この分野の当業者には容易に達成
できる。
【0212】また本発明は、GASC1レセプター蛋白
質またはその結合断片を種々の薬剤のいずれかをスクリ
ーニングする技術に用いることによって、化合物(GA
SC1レセプター反応物:化合物は低分子化合物、高分
子化合物、蛋白質、蛋白質部分断片、抗原または抗体な
ど言う)をスクリーニングすることに利用可能である。
好ましくは、GASC1レセプターを利用する。かかる
スクリーニング試験に用いるGASC1レセプターポリ
ペプチドまたはその断片は、固体支持体に付着するか、
または細胞表面に運ばれている溶液中の遊離物であって
もよい。
【0213】薬剤スクリーニングの一例としては、例え
ば、GASC1蛋白質またはその断片を発現する組換え
蛋白質で安定して形質転換した原核生物または真核生物
の宿主細胞を、好ましくは競合的結合アッセイにおいて
利用することができる。また遊離のまたは固定した形態
のかかる細胞を標準結合アッセイに用いることもでき
る。より具体的には、GASC1レセプター蛋白質また
はその断片と、試験する物質との間の複合体の形成を測
定し、GASC1レセプター蛋白質またはその断片とG
ASC1蛋白質またはその断片との間の複合体の形成が
試験する物質によって阻害される程度を検出することに
よって化合物をスクリーニングすることが可能である。
【0214】かくして、本発明は、当該分野で既知の方
法によって、かかる物質とGASC1レセプター蛋白質
またはその断片とを接触させ、次いで、該物質とGAS
C1レセプター蛋白質またはその断片との間の複合体の
存在またはGASC1レセプター蛋白質またはその断片
とリガンドとの間の複合体の存在について測定すること
を特徴とする薬剤のスクリーニング方法を提供すること
ができる。さらに、GASC1レセプター活性を測定し
て、かかる物質がGASC1レセプターを阻害でき、か
くして上記定義されたGASC1の活性、例えば細胞増
殖や分化を調節する蛋白質と結合したり、解離したりす
ることで、結合蛋白の血中並びに組織中の濃度や移行を
調節したり、活性そのものを調節できるかどうか判断す
る。かかる競合結合アッセイにおいて、より具体的に
は、GASC1レセプター蛋白質またはその断片を標識
する。遊離のGASC1レセプター蛋白質またはその断
片を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離
し、遊離(複合体未形成)標識の量は、各々、試験され
る因子のGASC1レセプターに対する結合またはGA
SC1レセプター:GASC1蛋白質結合の阻害の尺度
となる。GASC1蛋白質の小さなペプチド(ペプチド
疑似体)をこのように分析し、GASC1レセプター阻
害活性を有するものを測定できる。
【0215】本発明において、薬剤スクリーニングのた
めの他の方法は、GASC1レセプター蛋白質に対して
適当な結合親和性を有する化合物についてのスクリーニ
ング法であって、該略すると、多数の異なるペプチド試
験化合物をプラスチックのピンまたは他の物質の表面の
ごとき固体支持体上で合成し、次いでペプチド試験化合
物をGASC1レセプター蛋白質と反応させ、洗浄す
る。次いで既知の方法を用いて反応結合GASC1レセ
プター蛋白質を検出する方法も例示できる(PCT特許
公開番号:WO84−03564号)。精製されたGA
SC1レセプターは、直接、前記の薬剤スクリーニング
技術で使用するプレート上に被覆することができる。し
かしながら、ポリペプチドに対する非−中和抗体を用い
て抗体を補足し、GASC1レセプター蛋白質を固相上
に固定することができる。さらに本発明は、競合薬剤ス
クリーニングアッセイの使用をも目的とし、GASC1
レセプター蛋白質またはその断片に対する結合性につ
き、GASC1レセプター蛋白質に特異的に結合できる
中和抗体と試験化合物とを競合させる。抗体による該競
合によって、GASC1レセプター蛋白質の1またはそ
れ以上の抗原決定部位を有するいずれのペプチドの存在
をも検出することが可能である。
【0216】また、薬剤スクリーニングに関し、さらな
る方法としては、非機能性GASC1遺伝子を含有する
宿主真核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主細
胞系または細胞を薬剤化合物の存在下において一定期間
増殖させた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該化
合物が例えば、細胞増殖や分化を調節する蛋白質と結合
したり、解離したりすることで、結合蛋白の血中並びに
組織中の濃度や移行を調節したり、活性そのものを調節
できるかどうかを確認する。増殖速度を測定する1手段
として、GASC1レセプターの生物活性を測定するこ
とも可能である。
【0217】また本発明によれば、より活性または安定
した形態のGASC1蛋白質誘導体または例えば、イン
・ビボ(in vivo)でGASC1蛋白質の機能を高めるか
もしくは妨害する薬剤を開発するために、それらが相互
作用する目的の生物学的に活性な蛋白質または構造アナ
ログ、例えばGASC1アゴニスト、GASC1アンタ
ゴニスト、GASC1インヒビターなどを作製すること
が可能である。前記構造アナログは例えばGASC1と
他の蛋白質の複合体の三次元構造をX線結晶学、コンピ
ューター・モデリングまたはこれらの組み合わせた方法
によって決定することができる。また、構造アナログの
構造に関する情報は、相同性蛋白質の構造に基づく蛋白
質のモデリングによって得ることも可能である。
【0218】また上記より活性または安定した形態のG
ASC1蛋白質誘導体を得る方法としては、例えばアラ
ニン・スキャンによって分析することが可能である。該
方法はアミノ酸残基をアラニンで置換し、ペプチドの活
性に対するその影響を測定する方法でペプチドの各アミ
ノ酸残基をこのように分析し、当該ペプチドの活性や安
定性に重要な領域を決定する方法である。該方法によっ
て、より活性なまたは安定なGASC1誘導体を設計す
ることができる。
【0219】また機能性アッセイによって選択した標的
−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析する
ことも可能である。原則として、このアプローチによ
り、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmac
ore)を得る。機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗
−イディオタイプ抗体を生成させることによって、化学
的または生物学的に生成したペプチドのバンクよりペプ
チドを同定したり単離したりすることが可能である。故
に選択されたペプチドもファーマコアとして作用すると
予測される。
【0220】かくして、改善されたGASC1活性もし
くは安定性またはGASC1活性のインヒビター、アゴ
ニスト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤
を設計・開発することができる。
【0221】クローン化GASC1配列によって、十分
な量のGASC1蛋白質を入手して、X線結晶学のよう
な分析研究をも行うことができる。さらに、本発明の配
列番号:1に示されるアミノ酸配列よりなるGASC1
蛋白質の提供により、X線結晶学に代えるかまたはこれ
に加えて、コンピューターモデリング技術に適応可能で
ある。
【0222】また本発明によれば、GASC1遺伝子含
有ノックアウト・マウス(変異マウス)を作成することに
よってGASC1遺伝子配列のどの部位が生体内で上記
したような多様なGASC1活性に影響を与えるかどう
か、即ちGASC1遺伝子産物、並びに改変GASC1
遺伝子産物が生体内でどのような機能を有するかを確認
することができる。
【0223】該方法は、遺伝子の相同組換えを利用し
て、生物の遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、マ
ウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いた方法を例示できる
(Capeccchi, M. R., Science, 244, 1288-1292 (198
9))。
【0224】尚、上記変異マウスの作製方法はこの分野
の当業者にとって既に通常の技術であり、この改変技術
(野田哲生編、実験医学,増刊, 14 (20) (1996)、羊土
社)に、本発明のヒト野生型GASC1遺伝子および変
異GASC1遺伝子を適応して容易に変異マウスを作製
し得る。従って前記技術の適応により、改善されたGA
SC1活性もしくは安定性またはGASC1活性のイン
ヒビター、アゴニスト、アンタゴニストなどとしての作
用を有する薬剤を設計・開発することができる。
【0225】
【発明の効果】本発明によれば、各細胞での細胞の増
殖、分化、腫瘍形成、転写活性化を調節する作用を有す
る新規なGASC1遺伝子が提供され、該作用に関与す
る疾患、例えば悪性腫瘍などの病態解明や診断、治療な
どが可能である。
【0226】本発明遺伝子がコードするアミノ酸配列の
ペプチドのC末端側には、公知の癌遺伝子がコードして
いる2つのPHDフィンガー・モチーフおよび1つのP
Xドメインが存在しており、また本発明遺伝子が位置し
ている染色体9p23−24の増幅は多くの癌において
観察されているため、本発明遺伝子乃至その関連遺伝子
の解析によれば、それらの機能と各種疾患との係わりに
ついての研究を実施でき、これら各種疾患の遺伝子診断
並びに該遺伝子の発現産物に対する抗体やアンチセンス
による医薬用途への応用研究が可能である。本発明遺伝
子の利用によれば、各種組織での該遺伝子の発現状況が
調べられ、生体内におけるその機能を解析することが可
能となる。
【0227】また、該遺伝子によれば、該遺伝子がコー
ドする蛋白質を遺伝子工学的に大量に製造することがで
き、該蛋白質の提供によれば、GASC1蛋白質活性や
GASC1蛋白質の結合活性などの機能を調べることも
できる。
【0228】またGASC1蛋白質は、GASC1遺伝
子およびその産物が関与する疾患(例えば、細胞の増
殖、分化、腫瘍形成、転写活性化を調節する作用に関連
する各種疾患など、特に癌)の病態解明や診断、治療な
どに有用である。
【0229】本発明によれば、更にGASC1遺伝子の
アンチセンス・ヌクレオチドを含有する遺伝子治療に有
用な遺伝子導入用ベクター、該GASC1遺伝子のアン
チセンス・ヌクレオチドを導入された細胞および該ベク
ターまたは細胞を有効成分とする遺伝子治療剤、並びに
その利用による遺伝子治療法などが提供される。
【0230】本発明によれば、更に各種癌細胞の成長抑
制作用を有し、該作用による各種癌の疾患および病態の
処置などに使用されるGASC1遺伝子のアンチセンス
・ヌクレオチドまたはGASC1蛋白質に結合性を有す
る抗体を有効成分とする医薬も提供できる。
【0231】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため実施
例を挙げる。
【0232】
【実施例1】1.材料および方法 1)食道扁平上皮癌細胞株と***中期スライドの作成 試験に用いた29の食道扁平上皮癌細胞株(KYSEシリー
ズ)は、外科的に切除した腫瘍から確立されたものであ
る(Shimada,Y.,et al., Cancer, 69, 277-284 (199
2))。これらの細胞株の全てのコピー数異常は、先に本
発明者らによって確認されている。***中期のクロモゾ
ーム・スライドは、シノミヤらの方法(Shinomiya,T.,et
al., Genes Chromosomes Cancer, 24, 337-344 (1999))
に順じて作製し、FISH試験に用いた。 2)プローブとしてYACとPACを使用するFISH
試験 YACの所定領域内の位置は、ホワイトヘッド研究所/
MITゲノム・センター(Whitehead Institute/MIT Gen
ome Center)(http://www-genome.Wi.Mit.Edu/)およびヒ
ト分子細胞遺伝学財団(Resources for Human Molecular
Cytogenetics)(http://bioserver.uniba.it/fish/rocc
hi/welcom.html)の情報から集めた。
【0233】ヒト9p23−24領域をカバーする複数
のYACクローンを、セントレ・エツデ・ドゥ・ポリモ
ルフィズム・ヒューメイン(the Centre d'Etude du Po
lymorphisme Humain:CEPH)のYACライブラリー
から単離し、そのFISHプローブを前記シノミヤらの
方法に順じて、Alu配列を用いたPCRにより調製し
た。
【0234】このPCRは次の通り実施した。即ち、Y
AC DNA1μg(1μl)、配列番号:4に示す塩
基配列のプライマー2484(30μM)1μl、配列
番号:5に示す塩基配列のプライマーPDJ34(10
μM)1μl、10×PCRバッファー(ExTaq buffe
r,タカラ社製)10μl、2.5mM dNTP(タカ
ラ社製)5μl、ExTaqポリメラーゼ0.5μlお
よび水81.5μlの計100μlを混合し、95℃−
4分間(最初の変性処理1回)に続いて、95℃−4
分、55℃−1分及び72℃−4分を1サイクルとして
計30サイクル反応させ、最後に72℃−7分(1回)
の処理を行なった。上記全反応は、パーキンエルマー社
製GeneAmp PCRシステム9700を用いて実施した。
【0235】9p24領域にマップされた既知遺伝子、
januaキナーゼ2(JAK2, GenBank Accession No.NM-0049
72)を含む一つのPACクローン(Peter Marynen博士よ
り供与を受けた)をプローブとして使用した。
【0236】上記プローブを、ビオチン16−dUTP
またはジゴキシン11−dUTP(ベーリンガー・マイ
ンハイム社製)を用い、ニックトランスレーションによ
って、標識した。染色体のハイブリダゼーション・シグ
ナルの蛍光検出は、前記シノミヤらの方法に順じて実施
した。
【0237】洗浄後、スライドは、CCD(cooled char
ge-coupled device)カメラ(KAF1400;フォトメトリック
ス:Photometrics社製)を使用し、染色像と蛍光を同時に
イメージ化した。
【0238】DNA配列のコピー数の相対的な変化を、
IPラボ・スペクトラム・ソフトウェア(IP Lab Spectr
um Software:シグナル・アナリティクス・コーポレーシ
ョン社製:Signal Analytics Corp.)を用いて分析した。
必要な領域のコピー数は***中期および静止期の染色体
の両者において観察されたハイブリダゼーション・パタ
ーンに従い評価した。 蛍光比が1.5を超えたとき、
その染色体領域が高いレベルの増幅があると判定した。
【0239】その結果、本発明者らの先のCGH分析に
おいて9p上におけるコピー数の増加が検討した29の
食道扁平上皮癌細胞株のうち5つにおいて検出されてい
る(17.2%)。更に、高レベルの増幅が、それらのうちの
一つに現れていた。このCGHの結果を基に、本発明者
らは、9p23−24のアンプリコンの遺伝子地図を作
り出すために、プローブとして8つのYACおよび1つ
のPACを用いて、KYSE150においてFISH分
析を実施した。 3)結果 その結果を図1にAおよびBとして示す。
【0240】図1中、Aは本発明遺伝子を含む9p23
−24領域の遺伝子地図であり、図中、"STSs(Genes/ES
Ts)"は、配列認識部位(遺伝子/発現配列タグ)を、"T
el"はテロメア側を、"Cen"はセントロメア側を、また"Y
ACs/PAC"はFISHに用いられた各プローブをそれぞれ
示す。
【0241】図1Aにおいて、染色体を示す線上には、
既知の遺伝子や括弧内に示した発現配列タグ(EST, Exp
ression Sequence Tag)で表わされる未知の転写体が示
されており、これらはサザンブロッティングにおいてプ
ローブとして使用された。
【0242】またFISHに使用された複数のYACと
一つのPACが、水平横線の黒と中抜き横線によってそ
れぞれ染色体を示す線の下に記述されている。横線内の
丸印は、それぞれYACまたはPAC上のマーカーの定
着点を指し示している。尚、この図は模式的に示したも
のであり、YACおよびPACのサイズおよびマーカー
の距離は実際のものを反映していない。
【0243】図1のBは、サザンブロット分析によって
特定した5つの食道扁平上皮癌細胞株(図中、KYSE70、
KYSE450、KYSE890、KYSE1170およびKYSE150と表示す
る)の各々における9p23アンプリコンを模式的に示
す図である。図中、重複の最も小さい領域(SRO)は、サ
ザンブロット分析の結果と共にFISHによって特定さ
れた。図中の記号は次のものを示す。
【0244】図2は、上記一つの食道扁平上皮癌細胞K
YSE150におけるFISH分析の典型的な結果を示
す図面代用写真である。
【0245】該図は、上からPACPJ2B、YAC7
99D2およびYAC830E1クローンを用いてFI
SH法を行なって得られた結果を示しており、各写真中
の蛍光の数がDNAコピー数を表わしている。尚、写真
に示される略号PJ2B、799D2および830E1
は、図1のAに示されるそれと同じものを示す。
【0246】該図2より、YAC799D2は、2つの
マーカー染色体上に均一領域(HSRs:Homogeneouslyh Sta
ining Regions)として強度のシグナルを産生することが
明らかであり、これは高度の増幅がYAC799D2の
含まれる領域で生じていることを示している。尚、図に
は示していないが、同様にして行なった807B4の場
合も、同じ結果が得られている。
【0247】上記YAC799D2の両側に存在するY
AC953A7、871F1、853F4および933
F6(図1のA参照)でのFISHシグナルの数は、4
から9に及んでいたが、これらはYAC799D2や8
07B4と比べるとはるかに少ないものであった。また
PAC PJ2BおよびYAC830E1のシグナル数
はわずか2から3であった。
【0248】9p23−24で増幅の最も小さな共通領
域を特定するために、先のCGH分析において9p上に
おいてコピー数の上昇が認められた他の4つの細胞株(KY
SE70、450、890および1170)でもFISH分析を実施し
た。
【0249】その結果、KYSE890および1170
では、YAC799D2および807B4のハイブリダ
ゼーションシグナルは、小さなHSRパターンとして検
出された。一方、KYSE70および450では、シグ
ナルの数が、6から9程度であった。しかし、これらの
細胞株では、KYSE150において検出された増幅領
域より広い領域が増幅していたため、KYSE150で
決定されたアプリコンの大きさを狭めることはできなか
った。
【0250】このように、9p23−24のアンプリコ
ンにおける所望の遺伝子は、YAC799D2および8
07B4によってカバーされた比較的狭い領域内にある
と思われた。 2. サザンブロットおよびノーザンブロット分析 ゲノム研究データーベースについてホワイトヘッド研究
所から選択した9p23−24領域の8つのESTクロ
ーン((1)GYG2、(2)GLDC、(3)IMAGEクロ
ーン131865(GenBank Accession No.R2454
2)、(4)SLC1A1、(5)CSNK1G2、(6)JAK
2、(7)IMAGEクローン650495(GenBank Acce
ssion No.AA219360)及び(8)IMAGEクロー
ン30354(GenBank Accession No.R18567、
上記(1)、(2)および(4)−(6)は既知遺伝子の一部であ
り、(3)、(7)および(8)は転写体の一部である)を、リ
サーチ・ジェネティクス社(Research Genetics)から購入
し、サザンブロットおよびノーザンブロット分析のため
に、プローブとして使用した。
【0251】腫瘍のDNAは、標準方法(文献:Sambroo
k, J., et al., Molecular Cloning, A Laboratory Man
nual. 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s, 1989)によって培養した食道扁平上皮癌細胞株から抽
出した。
【0252】サザンブロット分析のために、各細胞株ま
たは正常リンパ球から抽出し、EcoRI消化した10
μgのDNAを0.8%アガロースゲルにて電気泳動に
かけて、ナイロン膜(BIODYNE B,日本パル社製(Nihon Pa
ll))に転写した。また、ノーザンブロット分析のため
に、各細胞株から抽出した20μgの全RNAを1.0
%アガロース/0.67Mホルムアルデヒド・ゲルにて
電気泳動にかけて、ナイロン膜上(Hybond-N+,アマシャ
ム・ファルマシア・バイオテク社製(Amersham Pharmaci
a Biotech))に転写した。
【0253】各転写膜は、適当な条件下に[α32P]d
CTP標識した各ESTプローブでハイブリダイズし、
洗浄した後、前記シノミヤらの方法に順じてコダックX
−OMATフィルムに対して、露光させた。
【0254】異なったヒト正常組織における発現パター
ンを比較するために、12の異なる組織から抽出したR
NAを用いて作成されたノーザンブロット(MTN-ヒト1
2レーン:クロンテック社製)を[α32P]dCTP標識
したIMAGEクローン131865(GenBank accessi
on number:R24542)でハイブリダイズした。
【0255】サザンブロット分析は、以下の条件で行な
った。 1)プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼー
ション緩衝液:変性サケ***DNA(200mg/ml)および
ヒト胎盤DNA(200mg/ml)を含むPEG/SDS溶液(7% PE
G8000, 10% SDS) 2)プレハイブリダイゼーション条件:連続攪拌下に65
℃で12−16時間 3)ハイブリダイゼーション条件:連続攪拌下に65℃で
12−16時間 4)洗浄: 連続攪拌下に洗浄溶液1(2×SSC,0.
1%SDS)にて、55℃、15分間、連続攪拌下に洗
浄溶液2(0.1×SSC,0.1%SDS)にて、5
5℃、15分間、2×SSCにてすすぐ。
【0256】また、ノーザンブロット分析は、以下の条
件で行なった。 1)プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼー
ション緩衝液:ExpressHyb(クローンテック社)を使用 2)プレハイブリダイゼーション条件:連続攪拌下に68
℃で30分間 3)ハイブリダイゼーション条件:連続攪拌下に68℃で
1時間 4)洗浄:連続攪拌下に洗浄溶液1(2×SSC,0.1
%SDS)にて、55℃、30分間、連続攪拌下に洗浄
溶液2(0.1×SSC,0.1%SDS)にて、55
℃、15分間を2回、2×SSCにてすすぐ。
【0257】以上の結果、YAC799D2上に局在し
ているグリコゲニン2(GYG2: Glycogenin2)、グリシン
デヒドロゲナーゼ(GLDC: Glycine dehydrogenease)およ
びIMAGEクローン131865(GenBank Accession
No.R24542)の3つのESTプローブを用いた食道扁平
上皮癌細胞株のサザンブロット分析は、CGHおよびF
ISH試験において9pでコピー数の増加を示した5つ
の細胞株全てで増幅パターンを示した。
【0258】対照的に、領域外の遺伝子または未知の転
写体に対するプローブである、溶質担体ファミリー(sol
ute-carrier family)の一つであるSLC1A1、JA
K2、カゼイン・キナーゼ1γ2(CSNK1G2)、IMAG
Eクローン650495(GenBank Accession No. AA219
360)およびIMAGEクローン350354(GenBankAc
cession No. R18567)は、KYSE150において、増
幅が見られないことが明らかになった(図1のB参照)。
【0259】食道扁平上皮癌細胞株DNAと正常DNA
のハイブリダゼーション・シグナルの比較に基づく、増
幅の程度の大まかな評価によると、最初の3つのプロー
ブ(GYG2, GLDC, IMEGEクローン131865)ではKYSE150
においては、12倍以上の増幅が明らかとなり、他の4
つの細胞株において、およそ3から6倍の増幅が確認さ
れた(図3のA参照)。
【0260】尚、図3のAは、食道扁平上皮癌細胞株に
おけるGASC1の増幅を示す図である。この図は、前
述の方法のようにプローブとしてIMAGEクローン1
31865を使用するサザンブロットにより求められ
た。
【0261】該図より、健常人末梢血リンパ球由来のD
NA(N)上のシグナルは、8つの食道扁平上皮癌細胞
株のうち、KYSE70,150,450,890およ
び1170より弱く、1250および1260より強
く、そして110と同程度であることが判る。このこと
から、KYSE70,150,450,890および1
170においてIMAGEクローン131865が増幅
していることを示している。
【0262】また、図3のBは、図3のAで用いたのと
同じ8つの食道扁平上皮癌細胞株からの全RNAを対象
にプローブとしてIMAGEクローン131865或い
はコントロール・プローブ(GAPDH)でハイブリダイズし
たノーザンプロット分析結果を示す図である。
【0263】該図より、図3のAで増幅があった5つの
食道扁平上皮癌細胞株(KYSE-70, KYSE-150, KYSE-450,
KYSE-890, KYSE-1170)において、GASC1遺伝子が過
剰発現していることが明らかである。
【0264】更に、図4は、正常ヒト組織における本発
明遺伝子の発現を調べた結果を示す図である。
【0265】この図は、12の異なる組織から抽出され
たRNAを用いて作成したノーザンプロットに対して、
[α32P]dCTP標識したIMAGEクローン131
865をハイブリダイズして作成された結果を示す図で
ある。尚、ハイブリダイズ操作は図3のBと同様とし
た。
【0266】3つの未知の転写体(IMAGEクローン13186
5, 650495, 30354)の発現レベルを分析するために実施
したノーザンブロットの結果は、IMAGEクローン1
31865のみが、9p23−24上で増幅を示した細
胞株において過剰発現を示した(図3のB参照)。
【0267】この結果は、IMAGEクローン1318
65が、このアンプリコン内に存在する増幅の標的遺伝
子の候補の一部であることを示しており、このため、こ
のクローンを用いて全長の遺伝子をクローニングし、そ
の配列を決定することとした。
【0268】IMAGEクローン131865とハイブ
リダイズした複数のひと正常組織のRNAを用いたノー
ザンプロットは、4.5Kbの1つのシグナルの転写体
が全ての組織で発現していることを示した(図4参照)。 3.cDNAライブラリーのスクリーニングとDNA配
列決定 オリゴキャップ法(Maruyama,K.,et al., Gene, 138, 1
71-174 (1994))およびZAP−cDNAギガパックIII
ゴールドクローニングキット(ZAP-cDNA Gigapack III G
old cloning Kit:ストラタジーン社製)によって、胃癌
細胞株(HSC39)のRNAから2つのcDNAライブラリ
ー構築した。
【0269】各ライブラリーは、プローブとしてIMA
GEクローン131865(その配列の一部が既知であ
り、その配列に対してGenBank accession No.R24542が
与えられている)を用いてスクリーニングした。
【0270】該スクリーニングにより、6つの重複して
いるcDNAクローンが単離され、それらのDNA配列
を377ABI自動シーケンサー(PEバイオシステム
ズ:PEBiosystems社製)を用いて決定した。この方法によ
って、4235塩基の転写体を見出した。
【0271】該転写体は、ノーザンブロット分析によっ
て示されたものとサイズが良く対応していたので、この
cDNAは、全長cDNAであると考えられた。
【0272】核酸配列分析は、転写開始のためのコンセ
ンサス配列(コザックのルール)が良く保存されているの
で転写が147番目で始まっていると考えられた。2つ
のAATAAポリアデニーレーション・シグナルがポリ
(A)伸長によって続いた3’末端で見つかった。故に、
推定された蛋白質のアミノ酸配列は、配列番号:1に示
されるように1056のアミノ酸配列を含むものと同定
された。
【0273】また、GASC1のDNA配列(配列番
号:2に示す)の10番目から3140番目は、KIA
A0780(GenBank Accession No. AB018323)のcDN
A配列の部分に対して著しい相同性を示した。
【0274】更に、単離されたクローンの配列を確認す
るために、鋳型として過剰発現を示した5つの食道扁平
上皮癌細胞株(KYSE-70, KYSE-150, KYSE-450, KYSE-89
0およびKYSE-1170)由来のRNAと 、クローン131
865をスクリーニングすることによって単離したクロ
ーンから決定した配列を基に作製した下記2組のプライ
マーを使用する逆転写PCR(RT-PCR)分析を実施した。
【0275】これらRT−PCRに用いたプライマーの
配列は、配列番号:6から配列番号:9に示される。
【0276】プライマーW1f: 配列番号:6 プライマーW1r: 配列番号:7 プライマーW2f: 配列番号:8 プライマーW2r: 配列番号:9 RT(逆転写)反応は、1μgのRNAをオリゴ(d
T)プライマー0.5μgと混合し(全量10μl)、
70℃、10分間変性させた後、5×逆転写バッファー
(GIBCO社)4μl、RNaseインヒビター(TOYOBO
社)1μlおよび2.5mMdNTP(TAKARA社)4μ
lを加え(全量19μl)、更にSuperscript II (GIBC
O社)1μlを加えて、42℃で45分間インキュベー
トすることにより実施した。
【0277】PCR反応は、GeneAmp PCRシ
ステム9700(パーキン−エルマー社製)を利用して行
った。該反応は、1μlのRT産物に10×ExTaq
バッファー(TAKARA社)2μl、2.5mMdNTP
(TAKARA社)1.0μl、10μM各プライマー0.5
μlおよびExTaq(TAKARA社)0.5Uを加えて全
量を20μlとして実施した。条件としては、94℃で
2分間の最初の変性、引続く、94℃で30秒、58℃
で30秒および72℃で30秒を1サイクルとする25
サイクル、その後、72℃で7分間の伸長反応の追加と
した。
【0278】その結果、配列決定した配列が正しいこと
を確認できる予測されたサイズの単一のバンド産物が生
み出されていた。加えて、プライマーとして上記W2f
とW2rとを用いたRT−PCRにより、作成したDN
Aの配列238番−638番よりなるDNA断片を〔α
32P〕dCTPで標識して、IMAGEクローン(R2454
2)を含んでいるYAC799D2をスポットしたナイロ
ン膜(BIODYNEB, 日本パル社製(Nihon Pall))にハイブ
リダイズした所、シグナルが検出され、また5つの9p
23−24に増幅を示す5つの腫瘍細胞株(KYSE70, KY
SE150, KYSE450, KYSE890およびKYSE1170)の全てでサ
ザンブロット上に増幅シグナルを示した。
【0279】推定されたアミノ酸配列の分析は、遺伝子
産物が、2つのPHDフィンガーと1つのPXドメイン
を含んでいることを示唆した(配列番号:1で示される
アミノ酸配列中、687〜749番目および806〜8
67番目の配列がPHDフィンガー配列であり、980
〜1047番目のアミノ酸配列がPXドメインの配列で
ある)。
【0280】PSORTIIプログラム(文献:http://ps
ort.nibb.ac.jp/form2.html)を用いるその細胞内局在の
コンピュータ予測によって、GASC1蛋白質には、一
つの典型的二連の核局在シグナルが、979−996番
目のアミノ酸に検出されたことから、核に局在している
ことが推測された。
【0281】上記で得られた結果から、「癌遺伝子」の
候補であることを示すモチーフのPHDフィンガー・モ
チーフおよびPXドメインを含んでいるGASC1遺伝
子は、様々な腫瘍の発生や進展に重要な役割を演じてい
ると推定され、染色体9p23−24領域でのGASC
1転写物の発現増加が、同様に食道扁平上皮癌を含む種
々の型の腫瘍の発生および/または進展に関連した腫瘍
関連遺伝子(癌遺伝子の候補遺伝子を含む)であることを
強く示唆している。
【0282】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> GASC1 gene <130> BB00JP <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1056 <212> PRT <213> <400> 1 Met Glu Val Ala Glu Val Glu Ser Pro Leu Asn Pro Ser Cys Lys Ile 1 5 10 15 Met Thr Phe Arg Pro Ser Met Glu Glu Phe Arg Glu Phe Asn Lys Tyr 20 25 30 Leu Ala Tyr Met Glu Ser Lys Gly Ala His Arg Ala Gly Leu Ala Lys 35 40 45 Val Ile Pro Pro Lys Glu Trp Lys Pro Arg Gln Cys Tyr Asp Asp Ile 50 55 60 Asp Asn Leu Leu Ile Pro Ala Pro Ile Gln Gln Met Val Thr Gly Gln 65 70 75 80 Ser Gly Leu Phe Thr Gln Tyr Asn Ile Gln Lys Lys Ala Met Thr Val 85 90 95 Lys Glu Phe Arg Gln Leu Ala Asn Ser Gly Lys Tyr Cys Thr Pro Arg 100 105 110 Tyr Leu Asp Tyr Glu Asp Leu Glu Arg Lys Tyr Trp Lys Asn Leu Thr 115 120 125 Phe Val Ala Pro Ile Tyr Gly Ala Asp Ile Asn Gly Ser Ile Tyr Asp 130 135 140 Glu Gly Val Asp Glu Trp Asn Ile Ala Arg Ile Asn Thr Val Leu Asp 145 150 155 160 Val Val Glu Glu Glu Cys Gly Ile Ser Ile Glu Gly Val Asn Thr Pro 165 170 175 Tyr Leu Tyr Phe Gly Met Trp Lys Thr Thr Phe Ala Trp His Thr Glu 180 185 190 Asp Met Asp Leu Tyr Ser Ile Asn Tyr Leu His Phe Gly Glu Pro Lys 195 200 205 Ser Trp Tyr Ala Ile Pro Pro Glu His Gly Lys Arg Leu Glu Arg Leu 210 215 220 Ala Gln Gly Phe Phe Pro Ser Ser Ser Gln Gly Cys Asp Ala Phe Leu 225 230 235 240 Arg His Lys Met Thr Leu Ile Ser Pro Ser Val Leu Lys Lys Tyr Gly 245 250 255 Ile Pro Phe Asp Lys Ile Thr Gln Glu Ala Gly Glu Phe Met Ile Thr 260 265 270 Phe Pro Tyr Gly Tyr His Ala Gly Phe Asn His Gly Phe Asn Cys Ala 275 280 285 Glu Ser Thr Asn Phe Ala Thr Val Arg Trp Ile Asp Tyr Gly Lys Val 290 295 300 Ala Lys Leu Cys Thr Cys Arg Lys Asp Met Val Lys Ile Ser Met Asp 305 310 315 320 Ile Phe Val Arg Lys Phe Gln Pro Asp Arg Tyr Gln Leu Trp Lys Gln 325 330 335 Gly Lys Asp Ile Tyr Thr Ile Asp His Thr Lys Pro Thr Pro Ala Ser 340 345 350 Thr Pro Glu Val Lys Ala Trp Leu Gln Arg Arg Arg Lys Val Arg Lys 355 360 365 Ala Ser Arg Ser Phe Gln Cys Ala Arg Ser Thr Ser Lys Arg Pro Lys 370 375 380 Ala Asp Glu Glu Glu Glu Val Ser Asp Glu Val Asp Gly Ala Glu Val 385 390 395 400 Pro Asn Pro Asp Ser Val Thr Asp Asp Leu Lys Val Ser Glu Lys Ser 405 410 415 Glu Ala Ala Val Lys Leu Arg Asn Thr Glu Ala Ser Ser Glu Glu Glu 420 425 430 Ser Ser Ala Ser Arg Met Gln Val Glu Gln Asn Leu Ser Asp His Ile 435 440 445 Lys Leu Ser Gly Asn Ser Cys Leu Ser Thr Ser Val Thr Glu Asp Ile 450 455 460 Lys Thr Glu Asp Asp Lys Ala Tyr Ala Tyr Arg Ser Val Pro Ser Ile 465 470 475 480 Ser Ser Glu Ala Asp Asp Ser Ile Pro Leu Ser Thr Gly Tyr Glu Lys 485 490 495 Pro Glu Lys Ser Asp Pro Ser Glu Leu Ser Trp Pro Lys Ser Pro Glu 500 505 510 Ser Cys Ser Ser Val Ala Glu Ser Asn Gly Val Leu Thr Glu Gly Glu 515 520 525 Glu Ser Asp Val Glu Ser His Gly Asn Gly Leu Glu Pro Gly Glu Ile 530 535 540 Pro Ala Val Pro Ser Gly Glu Arg Asn Ser Phe Lys Val Pro Ser Ile 545 550 555 560 Ala Glu Gly Glu Asn Lys Thr Ser Lys Ser Trp Arg His Pro Leu Ser 565 570 575 Arg Pro Pro Ala Arg Ser Pro Met Thr Leu Val Lys Gln Gln Ala Pro 580 585 590 Ser Asp Glu Glu Leu Pro Glu Val Leu Ser Ile Glu Glu Glu Val Glu 595 600 605 Glu Thr Glu Ser Trp Ala Lys Pro Leu Ile His Leu Trp Gln Thr Lys 610 615 620 Ser Pro Asn Phe Ala Ala Glu Gln Glu Tyr Asn Ala Thr Val Ala Arg 625 630 635 640 Met Lys Pro His Cys Ala Ile Cys Thr Leu Leu Met Pro Tyr His Lys 645 650 655 Pro Asp Ser Ser Asn Glu Glu Asn Asp Ala Arg Trp Glu Thr Lys Leu 660 665 670 Asp Glu Val Val Thr Ser Glu Gly Lys Thr Lys Pro Leu Ile Pro Glu 675 680 685 Met Cys Phe Ile Tyr Ser Glu Glu Asn Ile Glu Tyr Ser Pro Pro Asn 690 695 700 Ala Phe Leu Glu Glu Asp Gly Thr Ser Leu Leu Ile Ser Cys Ala Lys 705 710 715 720 Cys Cys Val Arg Val His Ala Ser Cys Tyr Gly Ile Pro Ser His Glu 725 730 735 Ile Cys Asp Gly Trp Leu Cys Ala Arg Cys Lys Arg Asn Ala Trp Thr 740 745 750 Ala Glu Cys Cys Leu Cys Asn Leu Arg Gly Gly Ala Leu Lys Gln Thr 755 760 765 Lys Asn Asn Arg Trp Ala His Val Met Cys Ala Val Ala Val Pro Glu 770 775 780 Val Arg Phe Thr Asn Val Pro Glu Arg Thr Gln Ile Asp Val Gly Arg 785 790 795 800 Ile Pro Leu Gln Arg Leu Lys Leu Lys Cys Ile Phe Cys Arg His Arg 805 810 815 Val Lys Arg Val Ser Gly Ala Cys Ile Gln Cys Ser Tyr Gly Arg Cys 820 825 830 Pro Ala Ser Phe His Val Thr Cys Ala His Ala Ala Gly Val Leu Met 835 840 845 Glu Pro Asp Asp Trp Pro Tyr Val Val Asn Ile Thr Cys Phe Arg His 850 855 860 Lys Val Asn Pro Asn Val Lys Ser Lys Ala Cys Glu Lys Val Ile Ser 865 870 875 880 Val Gly Gln Thr Val Ile Thr Lys His Arg Asn Thr Arg Tyr Tyr Ser 885 890 895 Cys Arg Val Met Ala Val Thr Ser Gln Thr Phe Tyr Glu Val Met Phe 900 905 910 Asp Asp Gly Ser Phe Ser Arg Asp Thr Phe Pro Glu Asp Ile Val Ser 915 920 925 Arg Asp Cys Leu Lys Leu Gly Pro Pro Ala Glu Gly Glu Val Val Gln 930 935 940 Val Lys Trp Pro Asp Gly Lys Leu Tyr Gly Ala Lys Tyr Phe Gly Ser 945 950 955 960 Asn Ile Ala His Met Tyr Gln Val Glu Phe Glu Asp Gly Ser Gln Ile 965 970 975 Ala Met Lys Arg Glu Asp Ile Tyr Thr Leu Asp Glu Glu Leu Pro Lys 980 985 990 Arg Val Lys Ala Arg Phe Ser Thr Ala Ser Asp Met Arg Phe Glu Asp 995 1000 1005 Thr Phe Tyr Gly Ala Asp Ile Ile Gln Gly Glu Arg Lys Arg Gln Arg 1010 1015 1020 Val Leu Ser Ser Arg Phe Lys Asn Glu Tyr Val Ala Asp Pro Val Tyr 1025 1030 1035 1040 Arg Thr Phe Leu Lys Ser Ser Phe Gln Lys Lys Cys Gln Lys Arg Gln 1045 1050 1055 <210> 2 <211> 3168 <212> DNA <213> Human cells of squamous cell carcinomas(KYSE) <400> 2 atggaggtgg ccgaggtgga aagtcctctg aaccccagct gtaagataat gaccttcaga 60 ccctccatgg aggagttccg ggagttcaac aaataccttg catacatgga gtctaaagga 120 gcccatcgtg cgggtcttgc aaaggtgatt cctcctaagg agtggaagcc aagacagtgc 180 tatgatgaca ttgataattt gctcattcca gcaccaattc agcagatggt cacagggcag 240 tcaggactgt tcactcagta caacatccag aaaaaagcga tgactgtgaa ggagttcagg 300 cagctggcca acagtggcaa atattgtact ccaagatact tggattacga agatttggag 360 cgcaagtact ggaagaactt aacttttgtg gcacctatct atggtgcaga tattaatggg 420 agcatatatg atgagggtgt ggatgaatgg aacatagctc gcatcaatac agtcttggat 480 gtggttgaag aagagtgtgg catttctatt gagggtgtaa ataccccata tctctatttt 540 ggcatgtgga agaccacgtt tgcatggcac accgaagaca tggacctcta tagcattaat 600 tatctccact ttggagagcc caagtcttgg tatgctatac ctccggagca tggaaaacga 660 cttgaaagac tagctcaagg ttttttccca agcagctccc aagggtgtga tgcatttctt 720 cgccacaaga tgacattgat ttctccatca gtattgaaga aatatggtat tccctttgac 780 aagataaccc aggaggctgg agaattcatg atcactttcc catatggcta ccatgctggt 840 tttaatcatg gtttcaactg tgcagaatct acaaattttg ctactgtcag atggattgac 900 tatggaaaag ttgccaaatt gtgcacttgc aggaaagaca tggtgaagat ttcaatggat 960 atctttgtga ggaaatttca gccagacaga tatcagcttt ggaaacaagg aaaggatata 1020 tacaccattg atcacacgaa gcctactcca gcatccaccc ctgaagtaaa agcatggctg 1080 cagaggagga ggaaagtaag aaaagcatcc cgaagcttcc agtgtgctag gtctacctct 1140 aaaaggccta aggctgatga ggaagaggaa gtgtcagatg aagtcgatgg ggcagaggtc 1200 cctaaccccg actcagtcac agatgacctc aaggtcagtg aaaagtcaga agcagcagtg 1260 aagctgagga acacagaagc atcttcagaa gaagagtcat ctgctagcag gatgcaggtg 1320 gagcagaatt tatcagatca tatcaaactc tcaggaaaca gctgcttaag tacatctgta 1380 acagaagaca taaaaactga ggatgacaaa gcttatgcat atagaagtgt accttctata 1440 tccagtgagg ctgatgattc cattccattg tctactggct atgagaagcc cgagaaatca 1500 gacccatccg agctttcatg gccaaagtca cctgagtcat gctcatcagt ggcagagagt 1560 aatggtgtgt taacagaggg agaagagagt gatgtggaga gccatgggaa tggccttgaa 1620 cctggggaaa tcccagcggt ccccagtgga gagagaaata gcttcaaagt ccccagtata 1680 gcagagggag agaacaaaac ctctaagagt tggcgccatc cacttagcag gcctccagca 1740 agatctccga tgactcttgt gaagcagcag gcgccaagtg atgaagaatt gcctgaggtt 1800 ctgtccattg aggaggaagt ggaagaaaca gagtcttggg cgaaacctct catccacctt 1860 tggcagacga agtcccctaa cttcgcagct gagcaagagt ataatgcaac agtggccagg 1920 atgaagccac actgtgccat ctgcactctg ctcatgccgt accacaagcc agatagcagc 1980 aatgaagaaa atgatgctag atgggagaca aaattagatg aagtcgttac atcggaggga 2040 aagactaagc ccctcatacc agagatgtgt tttatttata gtgaagaaaa tatagaatat 2100 tctccaccca atgccttcct tgaagaggat ggaacaagtc tccttatttc ctgtgcaaag 2160 tgctgcgtac gggttcatgc aagttgttat ggtattcctt ctcatgagat ctgtgatgga 2220 tggctgtgtg cccggtgcaa aagaaatgcg tggacagcag aatgctgtct ctgcaatttg 2280 agaggaggtg ctcttaagca aacgaagaac aataggtggg cccatgtcat gtgcgccgtt 2340 gcggtcccag aagttcgatt cactaatgtc ccagaaagga cacaaataga tgtaggcaga 2400 atacctttac agaggttaaa attgaaatgc atcttctgca gacaccgggt taagagggtc 2460 tctggagcct gcatccagtg ttcctacggt cgctgcccgg cctccttcca tgtcacttgt 2520 gcccatgctg ctggggtact gatggagcct gatgattggc cttatgtggt gaacattaca 2580 tgctttcgac ataaggtcaa ccccaacgtg aagtccaagg cttgcgagaa ggtcatttcc 2640 gtgggtcaaa cggtcatcac gaagcatcgg aacacccggt attacagttg cagagtgatg 2700 gctgtgacat cgcagacctt ctatgaggtc atgtttgatg atggctcctt tagcagagac 2760 acatttcctg aggatatcgt gagccgagac tgtctgaagc tgggcccacc tgctgaggga 2820 gaagtcgtcc aagtcaagtg gcccgatggc aaactctatg gagcaaaata ttttggatca 2880 aatattgccc acatgtacca ggttgagttt gaagatggat cccagatagc aatgaagaga 2940 gaggacatct acactttaga tgaagagtta cccaagagag tgaaagctcg attttccaca 3000 gcctctgaca tgcgatttga agacacgttt tatggagcag acattatcca aggggagaga 3060 aagagacaaa gagtgctgag ctccaggttt aagaatgaat atgtggccga ccctgtatac 3120 cgcacttttt tgaagagctc tttccagaag aagtgccaga agagacag 3168 <210> 3 <211> 4235 <212> DNA <213> Human cells of squamous cell carcinomas(KYSE) <220> <221> CDS <222> (147)..(3314) <400> 3 cggcacgaga acagctgtca cctagtgcgg aacaagtctc ccaaatttcc caaatctccc 60 tgggccggag gccactgtct tctcttcctc ctccaccgag tcgtgctctc gccccaaccc 120 gcgcgccaga cactgcccta accatc atg gag gtg gcc gag gtg gaa agt cct 173 Met Glu Val Ala Glu Val Glu Ser Pro 1 5 ctg aac ccc agc tgt aag ata atg acc ttc aga ccc tcc atg gag gag 221 Leu Asn Pro Ser Cys Lys Ile Met Thr Phe Arg Pro Ser Met Glu Glu 10 15 20 25 ttc cgg gag ttc aac aaa tac ctt gca tac atg gag tct aaa gga gcc 269 Phe Arg Glu Phe Asn Lys Tyr Leu Ala Tyr Met Glu Ser Lys Gly Ala 30 35 40 cat cgt gcg ggt ctt gca aag gtg att cct cct aag gag tgg aag cca 317 His Arg Ala Gly Leu Ala Lys Val Ile Pro Pro Lys Glu Trp Lys Pro 45 50 55 aga cag tgc tat gat gac att gat aat ttg ctc att cca gca cca att 365 Arg Gln Cys Tyr Asp Asp Ile Asp Asn Leu Leu Ile Pro Ala Pro Ile 60 65 70 cag cag atg gtc aca ggg cag tca gga ctg ttc act cag tac aac atc 413 Gln Gln Met Val Thr Gly Gln Ser Gly Leu Phe Thr Gln Tyr Asn Ile 75 80 85 cag aaa aaa gcg atg act gtg aag gag ttc agg cag ctg gcc aac agt 461 Gln Lys Lys Ala Met Thr Val Lys Glu Phe Arg Gln Leu Ala Asn Ser 90 95 100 105 ggc aaa tat tgt act cca aga tac ttg gat tac gaa gat ttg gag cgc 509 Gly Lys Tyr Cys Thr Pro Arg Tyr Leu Asp Tyr Glu Asp Leu Glu Arg 110 115 120 aag tac tgg aag aac tta act ttt gtg gca cct atc tat ggt gca gat 557 Lys Tyr Trp Lys Asn Leu Thr Phe Val Ala Pro Ile Tyr Gly Ala Asp 125 130 135 att aat ggg agc ata tat gat gag ggt gtg gat gaa tgg aac ata gct 605 Ile Asn Gly Ser Ile Tyr Asp Glu Gly Val Asp Glu Trp Asn Ile Ala 140 145 150 cgc atc aat aca gtc ttg gat gtg gtt gaa gaa gag tgt ggc att tct 653 Arg Ile Asn Thr Val Leu Asp Val Val Glu Glu Glu Cys Gly Ile Ser 155 160 165 att gag ggt gta aat acc cca tat ctc tat ttt ggc atg tgg aag acc 701 Ile Glu Gly Val Asn Thr Pro Tyr Leu Tyr Phe Gly Met Trp Lys Thr 170 175 180 185 acg ttt gca tgg cac acc gaa gac atg gac ctc tat agc att aat tat 749 Thr Phe Ala Trp His Thr Glu Asp Met Asp Leu Tyr Ser Ile Asn Tyr 190 195 200 ctc cac ttt gga gag ccc aag tct tgg tat gct ata cct ccg gag cat 797 Leu His Phe Gly Glu Pro Lys Ser Trp Tyr Ala Ile Pro Pro Glu His 205 210 215 gga aaa cga ctt gaa aga cta gct caa ggt ttt ttc cca agc agc tcc 845 Gly Lys Arg Leu Glu Arg Leu Ala Gln Gly Phe Phe Pro Ser Ser Ser 220 225 230 caa ggg tgt gat gca ttt ctt cgc cac aag atg aca ttg att tct cca 893 Gln Gly Cys Asp Ala Phe Leu Arg His Lys Met Thr Leu Ile Ser Pro 235 240 245 tca gta ttg aag aaa tat ggt att ccc ttt gac aag ata acc cag gag 941 Ser Val Leu Lys Lys Tyr Gly Ile Pro Phe Asp Lys Ile Thr Gln Glu 250 255 260 265 gct gga gaa ttc atg atc act ttc cca tat ggc tac cat gct ggt ttt 989 Ala Gly Glu Phe Met Ile Thr Phe Pro Tyr Gly Tyr His Ala Gly Phe 270 275 280 aat cat ggt ttc aac tgt gca gaa tct aca aat ttt gct act gtc aga 1037 Asn His Gly Phe Asn Cys Ala Glu Ser Thr Asn Phe Ala Thr Val Arg 285 290 295 tgg att gac tat gga aaa gtt gcc aaa ttg tgc act tgc agg aaa gac 1085 Trp Ile Asp Tyr Gly Lys Val Ala Lys Leu Cys Thr Cys Arg Lys Asp 300 305 310 atg gtg aag att tca atg gat atc ttt gtg agg aaa ttt cag cca gac 1133 Met Val Lys Ile Ser Met Asp Ile Phe Val Arg Lys Phe Gln Pro Asp 315 320 325 aga tat cag ctt tgg aaa caa gga aag gat ata tac acc att gat cac 1181 Arg Tyr Gln Leu Trp Lys Gln Gly Lys Asp Ile Tyr Thr Ile Asp His 330 335 340 345 acg aag cct act cca gca tcc acc cct gaa gta aaa gca tgg ctg cag 1229 Thr Lys Pro Thr Pro Ala Ser Thr Pro Glu Val Lys Ala Trp Leu Gln 350 355 360 agg agg agg aaa gta aga aaa gca tcc cga agc ttc cag tgt gct agg 1277 Arg Arg Arg Lys Val Arg Lys Ala Ser Arg Ser Phe Gln Cys Ala Arg 365 370 375 tct acc tct aaa agg cct aag gct gat gag gaa gag gaa gtg tca gat 1325 Ser Thr Ser Lys Arg Pro Lys Ala Asp Glu Glu Glu Glu Val Ser Asp 380 385 390 gaa gtc gat ggg gca gag gtc cct aac ccc gac tca gtc aca gat gac 1373 Glu Val Asp Gly Ala Glu Val Pro Asn Pro Asp Ser Val Thr Asp Asp 395 400 405 ctc aag gtc agt gaa aag tca gaa gca gca gtg aag ctg agg aac aca 1421 Leu Lys Val Ser Glu Lys Ser Glu Ala Ala Val Lys Leu Arg Asn Thr 410 415 420 425 gaa gca tct tca gaa gaa gag tca tct gct agc agg atg cag gtg gag 1469 Glu Ala Ser Ser Glu Glu Glu Ser Ser Ala Ser Arg Met Gln Val Glu 430 435 440 cag aat tta tca gat cat atc aaa ctc tca gga aac agc tgc tta agt 1517 Gln Asn Leu Ser Asp His Ile Lys Leu Ser Gly Asn Ser Cys Leu Ser 445 450 455 aca tct gta aca gaa gac ata aaa act gag gat gac aaa gct tat gca 1565 Thr Ser Val Thr Glu Asp Ile Lys Thr Glu Asp Asp Lys Ala Tyr Ala 460 465 470 tat aga agt gta cct tct ata tcc agt gag gct gat gat tcc att cca 1613 Tyr Arg Ser Val Pro Ser Ile Ser Ser Glu Ala Asp Asp Ser Ile Pro 475 480 485 ttg tct act ggc tat gag aag ccc gag aaa tca gac cca tcc gag ctt 1661 Leu Ser Thr Gly Tyr Glu Lys Pro Glu Lys Ser Asp Pro Ser Glu Leu 490 495 500 505 tca tgg cca aag tca cct gag tca tgc tca tca gtg gca gag agt aat 1709 Ser Trp Pro Lys Ser Pro Glu Ser Cys Ser Ser Val Ala Glu Ser Asn 510 515 520 ggt gtg tta aca gag gga gaa gag agt gat gtg gag agc cat ggg aat 1757 Gly Val Leu Thr Glu Gly Glu Glu Ser Asp Val Glu Ser His Gly Asn 525 530 535 ggc ctt gaa cct ggg gaa atc cca gcg gtc ccc agt gga gag aga aat 1805 Gly Leu Glu Pro Gly Glu Ile Pro Ala Val Pro Ser Gly Glu Arg Asn 540 545 550 agc ttc aaa gtc ccc agt ata gca gag gga gag aac aaa acc tct aag 1853 Ser Phe Lys Val Pro Ser Ile Ala Glu Gly Glu Asn Lys Thr Ser Lys 555 560 565 agt tgg cgc cat cca ctt agc agg cct cca gca aga tct ccg atg act 1901 Ser Trp Arg His Pro Leu Ser Arg Pro Pro Ala Arg Ser Pro Met Thr 570 575 580 585 ctt gtg aag cag cag gcg cca agt gat gaa gaa ttg cct gag gtt ctg 1949 Leu Val Lys Gln Gln Ala Pro Ser Asp Glu Glu Leu Pro Glu Val Leu 590 595 600 tcc att gag gag gaa gtg gaa gaa aca gag tct tgg gcg aaa cct ctc 1997 Ser Ile Glu Glu Glu Val Glu Glu Thr Glu Ser Trp Ala Lys Pro Leu 605 610 615 atc cac ctt tgg cag acg aag tcc cct aac ttc gca gct gag caa gag 2045 Ile His Leu Trp Gln Thr Lys Ser Pro Asn Phe Ala Ala Glu Gln Glu 620 625 630 tat aat gca aca gtg gcc agg atg aag cca cac tgt gcc atc tgc act 2093 Tyr Asn Ala Thr Val Ala Arg Met Lys Pro His Cys Ala Ile Cys Thr 635 640 645 ctg ctc atg ccg tac cac aag cca gat agc agc aat gaa gaa aat gat 2141 Leu Leu Met Pro Tyr His Lys Pro Asp Ser Ser Asn Glu Glu Asn Asp 650 655 660 665 gct aga tgg gag aca aaa tta gat gaa gtc gtt aca tcg gag gga aag 2189 Ala Arg Trp Glu Thr Lys Leu Asp Glu Val Val Thr Ser Glu Gly Lys 670 675 680 act aag ccc ctc ata cca gag atg tgt ttt att tat agt gaa gaa aat 2237 Thr Lys Pro Leu Ile Pro Glu Met Cys Phe Ile Tyr Ser Glu Glu Asn 685 690 695 ata gaa tat tct cca ccc aat gcc ttc ctt gaa gag gat gga aca agt 2285 Ile Glu Tyr Ser Pro Pro Asn Ala Phe Leu Glu Glu Asp Gly Thr Ser 700 705 710 ctc ctt att tcc tgt gca aag tgc tgc gta cgg gtt cat gca agt tgt 2333 Leu Leu Ile Ser Cys Ala Lys Cys Cys Val Arg Val His Ala Ser Cys 715 720 725 tat ggt att cct tct cat gag atc tgt gat gga tgg ctg tgt gcc cgg 2381 Tyr Gly Ile Pro Ser His Glu Ile Cys Asp Gly Trp Leu Cys Ala Arg 730 735 740 745 tgc aaa aga aat gcg tgg aca gca gaa tgc tgt ctc tgc aat ttg aga 2429 Cys Lys Arg Asn Ala Trp Thr Ala Glu Cys Cys Leu Cys Asn Leu Arg 750 755 760 gga ggt gct ctt aag caa acg aag aac aat agg tgg gcc cat gtc atg 2477 Gly Gly Ala Leu Lys Gln Thr Lys Asn Asn Arg Trp Ala His Val Met 765 770 775 tgc gcc gtt gcg gtc cca gaa gtt cga ttc act aat gtc cca gaa agg 2525 Cys Ala Val Ala Val Pro Glu Val Arg Phe Thr Asn Val Pro Glu Arg 780 785 790 aca caa ata gat gta ggc aga ata cct tta cag agg tta aaa ttg aaa 2573 Thr Gln Ile Asp Val Gly Arg Ile Pro Leu Gln Arg Leu Lys Leu Lys 795 800 805 tgc atc ttc tgc aga cac cgg gtt aag agg gtc tct gga gcc tgc atc 2621 Cys Ile Phe Cys Arg His Arg Val Lys Arg Val Ser Gly Ala Cys Ile 810 815 820 825 cag tgt tcc tac ggt cgc tgc ccg gcc tcc ttc cat gtc act tgt gcc 2669 Gln Cys Ser Tyr Gly Arg Cys Pro Ala Ser Phe His Val Thr Cys Ala 830 835 840 cat gct gct ggg gta ctg atg gag cct gat gat tgg cct tat gtg gtg 2717 His Ala Ala Gly Val Leu Met Glu Pro Asp Asp Trp Pro Tyr Val Val 845 850 855 aac att aca tgc ttt cga cat aag gtc aac ccc aac gtg aag tcc aag 2765 Asn Ile Thr Cys Phe Arg His Lys Val Asn Pro Asn Val Lys Ser Lys 860 865 870 gct tgc gag aag gtc att tcc gtg ggt caa acg gtc atc acg aag cat 2813 Ala Cys Glu Lys Val Ile Ser Val Gly Gln Thr Val Ile Thr Lys His 875 880 885 cgg aac acc cgg tat tac agt tgc aga gtg atg gct gtg aca tcg cag 2861 Arg Asn Thr Arg Tyr Tyr Ser Cys Arg Val Met Ala Val Thr Ser Gln 890 895 900 905 acc ttc tat gag gtc atg ttt gat gat ggc tcc ttt agc aga gac aca 2909 Thr Phe Tyr Glu Val Met Phe Asp Asp Gly Ser Phe Ser Arg Asp Thr 910 915 920 ttt cct gag gat atc gtg agc cga gac tgt ctg aag ctg ggc cca cct 2957 Phe Pro Glu Asp Ile Val Ser Arg Asp Cys Leu Lys Leu Gly Pro Pro 925 930 935 gct gag gga gaa gtc gtc caa gtc aag tgg ccc gat ggc aaa ctc tat 3005 Ala Glu Gly Glu Val Val Gln Val Lys Trp Pro Asp Gly Lys Leu Tyr 940 945 950 gga gca aaa tat ttt gga tca aat att gcc cac atg tac cag gtt gag 3053 Gly Ala Lys Tyr Phe Gly Ser Asn Ile Ala His Met Tyr Gln Val Glu 955 960 965 ttt gaa gat gga tcc cag ata gca atg aag aga gag gac atc tac act 3101 Phe Glu Asp Gly Ser Gln Ile Ala Met Lys Arg Glu Asp Ile Tyr Thr 970 975 980 985 tta gat gaa gag tta ccc aag aga gtg aaa gct cga ttt tcc aca gcc 3149 Leu Asp Glu Glu Leu Pro Lys Arg Val Lys Ala Arg Phe Ser Thr Ala 990 995 1000 tct gac atg cga ttt gaa gac acg ttt tat gga gca gac att atc caa 3197 Ser Asp Met Arg Phe Glu Asp Thr Phe Tyr Gly Ala Asp Ile Ile Gln 1005 1010 1015 ggg gag aga aag aga caa aga gtg ctg agc tcc agg ttt aag aat gaa 3245 Gly Glu Arg Lys Arg Gln Arg Val Leu Ser Ser Arg Phe Lys Asn Glu 1020 1025 1030 tat gtg gcc gac cct gta tac cgc act ttt ttg aag agc tct ttc cag 3293 Tyr Val Ala Asp Pro Val Tyr Arg Thr Phe Leu Lys Ser Ser Phe Gln 1035 1040 1045 aag aag tgc cag aag aga cag tagtctgcat acatcgctgc aggccacaga 3344 Lys Lys Cys Gln Lys Arg Gln 1050 1055 gcagcttggg ttggaaaaga gaagatgaag ggacatcctt ggggctgtgc cgtgagattt 3404 gctggcatag gtgacagggt gtgtctctga cagtggtaaa tcgggtttcc agagtttggt 3464 caccaaaaat acaaaataca cacaatgaat tggacgcagc aatctgaaat catctctagt 3524 cttgctttca cttgtgagca gttgtcttct atgatcccaa agaagttttc taagtgaaag 3584 gaaatactag tgaatcaccc acaaggaaaa gccactgcca cagaggaggc gggtcccctt 3644 gtgcggctta gggccctgtc aggaaacaca cggggacctc tctctctagc tccagcaggt 3704 ggcacctcgg tacccagcgg gtagggcgat aatttatata ttttccacag tcagggaagg 3764 actctcactt atttgtttca aattgcagtt tttataaaac atttttaaaa cacaaatggc 3824 atgtatgcta atgagattta cccgtgtgct atctgtattt cccttgtaca gaacttttac 3884 atttttgaat attcctatta cttttgattg tgtctgatgg gaactgagtt gttggccttt 3944 gtgaaatgaa atttttggct cttgagaaag aattcttatg aattgttatg cgaattttat 4004 atatttaaag agggagatct ggggctgtta tttttaaaca ctttttttca taatacatat 4064 tccgagtaga tatttataaa atatatgttt ctttcattat gtgtttgtaa aattagagtt 4124 taaataaata tgctttgatg catagttttg aactaatgta acatgatttt tcttttttaa 4184 aacagcctga aaatgtacta gtgtttaaaa ataaagattt ccattttctc caaaaaaaaa 4244 aaaaaaaaa 4253 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <223> Primer 2484 <400> 4 aggagtgagc caccgcaccc agcc 24 <210> 5 <211> 35 <212> DNA <223> Primer PDJ34 <400> 5 tgagcyrwga tyryrccayt gcactccagc ctggg 35 <210> 6 <211> 19 <212> DNA <223> Primer W1f <400> 6 cgggttaaga gggtctctg 19 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <223> Primer W1r <400> 7 ggatgtccct tcatcttctc 20 <210> 8 <211> 22 <212> DNA <223> Primer W2f <400> 8 aataccttgc atacatggag tc 22 <210> 9 <211> 22 <212> DNA <223> Primer W2r <400> 9 cttcttcaac cacatccaag ac 22
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の1に示すFISH試験の結果を示す
図であり、図中、Aは本発明遺伝子の周囲の9p23−
24の遺伝子地図を、Bはサザンブロット分析によって
特定した5つの食道扁平上皮癌細胞株の各々における9
p23アンプリコンのサイズまたは長さを模式的に示す
図である。
【図2】実施例1の1に示す食道扁平上皮癌細胞である
KYSE−150におけるFISH分析の典型的な結果
を示す図面代用写真である。
【図3】実施例1の2に示す試験の結果を示す図であ
り、Aはサザンプロット分析により、食道扁平上皮癌細
胞株におけるGASC1の増幅を示す図、Bは種々の食
道扁平上皮癌細胞株からのRNAを用いたノーザンブロ
ット分析の結果であって、GASC1の過剰発現を示す
図である。
【図4】実施例1の2に示す試験の結果を示す図であ
り、様々な正常ヒト組織における本発明遺伝子の発現パ
ターンを調べた結果を示す図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/82 C07K 16/32 4C085 16/32 C12N 1/15 4H045 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12P 21/02 C C12Q 1/68 21/08 // C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA 21/08 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA12 BA44 BA80 CA04 CA09 HA12 4B063 QA07 QQ08 QQ43 QQ58 QR32 QR55 QS25 QS32 4B064 AG01 AG27 CA10 CA19 CC24 DA14 4B065 AA90X AA93Y AB01 BA30 CA25 CA46 4C084 AA13 NA14 ZB262 4C085 AA13 AA14 CC32 4H045 AA10 AA11 BA10 CA41 DA86 DA89 EA51 FA74

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)〜(c)のいずれかのポリヌ
    クレオチドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
    チドをコードするポリヌクレオチド (b)配列番号:2で示される塩基配列に対して少なく
    とも95%の相同性を有するポリヌクレオチド、 (c)上記(a)または(b)のポリヌクレオチドに対
    する相補鎖であるポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】配列番号:2で示される塩基配列である請
    求項1に記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチドである請求項
    1に記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】配列番号:1で示されるアミノ酸配列を有
    する遺伝子発現産物。
  5. 【請求項5】請求項1または2に記載の遺伝子を有する
    組換え体発現ベクター。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の組換え体発現ベクターを
    保有する宿主細胞。
  7. 【請求項7】配列番号:2で示される塩基配列中の連続
    する少なくとも15の塩基配列を有するヌクレオチド配
    列。
  8. 【請求項8】配列番号:2で示される塩基配列中の連続
    する少なくとも30の塩基配列を有する請求項7に記載
    のヌクレオチド配列。
  9. 【請求項9】配列番号:2で示される塩基配列中の連続
    する少なくとも15の塩基配列を有するプローブ。
  10. 【請求項10】配列番号:2で示される塩基配列中の連
    続する少なくとも30の塩基配列を有する請求項9に記
    載のプローブ。
  11. 【請求項11】請求項9または10に記載のプローブを
    有効成分として含有する癌診断剤。
  12. 【請求項12】請求項9または10に記載のプローブを
    有効成分として含有する癌診断用キット。
  13. 【請求項13】請求項1に記載の遺伝子の発現産物に結
    合性を有する抗体またはその断片。
  14. 【請求項14】検体に請求項13に記載の抗体またはそ
    の断片を反応させて、検体中の該抗体またはその断片の
    結合物を検出する癌の診断方法。
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