JP2000093177A - Eos遺伝子 - Google Patents

Eos遺伝子

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JP2000093177A
JP2000093177A JP10264192A JP26419298A JP2000093177A JP 2000093177 A JP2000093177 A JP 2000093177A JP 10264192 A JP10264192 A JP 10264192A JP 26419298 A JP26419298 A JP 26419298A JP 2000093177 A JP2000093177 A JP 2000093177A
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eos
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amino acid
cells
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JP10264192A
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Akio Wanaka
明生 和中
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Ikaros遺伝子に相同性を有し、細胞の分
化に重要な役割を演じ、例えば悪性腫瘍等の細胞の分化
に関与する疾患の病態解明、診断、治療など;脳低形成
の診断、治療など;細胞の神経系異常形成抑制;リンパ
腫などの疾患に対する遺伝子治療剤;無脳症、脳髄膜
瘤、全前脳症、無脳回症、大脳回症、小脳回症等の各疾
患の形成抑制などに有用な、新しい遺伝子等を提供。 【解決手段】配列番号:1で示されるアミノ酸配列から
なる蛋白質及び上記のアミノ酸配列において1もしくは
複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配
列からなり且つEos活性を有する蛋白質のいずれかを
コードする塩基配列を含むEos遺伝子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、神経系に発現して
おり、亜鉛フィンガー構造を有しており、そのcDNA
解析などによって脳神経系の各種疾患の診断、治療、か
かる治療のための新しい治療薬の開発などを行い得る新
規な遺伝子(Eos遺伝子)、該遺伝子を保有するcD
NA、その発現産物(Eos蛋白質)、これらを利用し
た医薬組成物及び神経系異常形成の抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】T細胞の初期分化において活性な遺伝子
であって、亜鉛フィンガー蛋白のファミリー遺伝子であ
るIkaros遺伝子が、造血系、特にリンパ球系の細
胞分化に重要な役割を担っていることが報告されている
(WO94-6814号公報, 1994年3月31日国際公開)。該公報に
は、431アミノ酸配列の蛋白質をコードする1293
塩基からなるコード領域を含む1788塩基(全cDN
A配列)のマウスIkaros遺伝子及び568アミノ
酸残基からなるヒトIkarosの部分アミノ酸配列が
開示されている。
【0003】また上記とは別に、およそ85KdのN末
端亜鉛フィンガー領域を有し、507アミノ酸残基の蛋
白質をコードする1521塩基からなるコード領域を含
む1895塩基の、Ikarosとファミリーを形成す
るAiolos遺伝子も報告されている(WO9714714号公
報, 1997年4月24日国際公開)。
【0004】更に、上記以外にも、亜鉛フィンガー構造
を有する遺伝子として、Helios遺伝子が同定され
ている(Kelley, C.M., et al., Current Biology, 8
(9) 508-515(1998)。
【0005】これら亜鉛フィンガー構造を有する3つの
遺伝子ファミリーは、全て基本的にリンパ球系に発現し
ており、遺伝子ファミリーの共通構造は、N末端から4
個の亜鉛フィンガー構造、転写活性化ドメイン及びC末
端の2個の亜鉛フィンガー構造である。上記N末端から
4個の亜鉛フィンガー構造は、DNA結合活性を持ち、
またC末端の2個の亜鉛フィンガー構造は、同じファミ
リーメンバー同士の結合を担っている。これらの遺伝子
は、胚性期の最も早期の造血部位に、成人においては造
血幹細胞に、検出され、HeliosはT細胞の整列の
細胞のサブセットに限局して検出されている。また、I
karosはノックアウトマウスを用いる実験でKOす
るとB細胞系が完全に発生せず、またT細胞系も分化が
未熟になることが解明されてきた(Georgopoulos, K., e
t al., Cell, 79, 143-156 (1994))。さらに皮膚の樹状
突起細胞も完全にその発生をブロックさることから、こ
のようなリンパ球系の分化に必須の因子であることが示
唆されている(Wu, L., etal., Immunity, 7, 483-492
(1997))。
【0006】このようにIkarosと同様にAiol
os及びHeliosもまた、それぞれ特定のリンパ球
サブセットに発現することによりIkarosとの相互
作用を通じて分化を制御していると考えられている。
【0007】しかしながら、これらIkaros及びそ
のファミリーの生理的役割や機能などについては尚、不
明な点が多く、これらの解明は、基礎科学研究分野、生
物学的分野、医薬品分野などにおいて、要望される所で
ある。また、上記Ikaros及びそのファミリーの解
析には、上記以外のファミリー遺伝子の単離、同定、解
析なども重要な課題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、前記Ikaros及びそのファミリーの解析に役立
つ情報を提供し得る新しい関連遺伝子、該関連遺伝子の
発現産物などを提供することにある。
【0009】本発明者らは、上記目的より前記Ikar
os遺伝子のファミリーに属する、更なる別の関連遺伝
子の存在を推定し、これを確認するために鋭意研究を重
ねた結果、任意配列のプライマーを用いたPCRによっ
て、上記Ikaros遺伝子と相同性を有し、神経系に
広範囲に限局発現する新規な遺伝子を見いだし、その単
離及びクローニングに成功した。本発明は、かかる知見
を基礎として完成されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、まず第
1に、以下の(a)及び(b)のいずれかの蛋白質をコ
ードする塩基配列を含むEos遺伝子が提供される。
【0011】(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配
列からなる蛋白質、(b)上記(a)のアミノ酸配列に
おいて1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加
されたアミノ酸配列からなり且つEos活性を有する蛋
白質。
【0012】本発明によれば、第2に、以下の(a)及
び(b)のいずれかのポリヌクレオチドからなるEos
遺伝子、特に配列番号:2で示される塩基配列のEos
遺伝子が提供される。
【0013】(a)配列番号:2で示される塩基配列の
全部又は一部を含むポリヌクレオチド、(b)上記
(a)の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし且つEos活性を
有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
【0014】本発明によれば、第3に、(1)上記Eos
遺伝子を保有し、神経系異常形成を抑制する作用を発揮
するクーロン化cDNA、(2)上記特定のアミノ酸配列
を有するEos遺伝子発現産物、(3)Eos蛋白質を発
現するクローン化cDNA及びその断片、その誘導体及
びその相同物、(4)上記特定のアミノ酸配列を有するE
os遺伝子のヒト相同物及びその発現産物、(5)上記E
os遺伝子を保有し、神経系異常形成を抑制する作用を
発揮するクローン化cDNA、(6)上記Eos遺伝子の
相同物であって、ヒト、イヌ、サル、ウマ、ブタ、ヒツ
ジ及びネコから選ばれる哺乳動物のEos遺伝子相同物
が提供される。
【0015】本発明によれば、第4に、以下の(a)又
は(b)の蛋白質であるEos蛋白質が提供される。
【0016】(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配
列からなる蛋白質、(b)上記(a)のアミノ酸配列に
おいて1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加
されたアミノ酸配列からなり且つEos活性を有する蛋
白質。
【0017】本発明によれば、第5に、上記Eos遺伝
子又は該遺伝子発現産物を有効成分として含有する医薬
組成物、及び上記Eos遺伝子を有効成分として含有す
る遺伝子治療剤が提供される。
【0018】本発明によれば、第6に、細胞の神経系異
常形成を抑制する方法において、上記Eos遺伝子のク
ローン化cDNAを用いてEos遺伝子を、又はEos
遺伝子発現産物を、細胞に導入する、神経系異常形成抑
制方法が提供される。
【0019】本発明によれば、第7に、上記Eos遺伝
子を用いる、相互作用遺伝子のスクリーニング方法及び
細胞の神経系異常形成を抑制する化合物のスクリーニン
グ方法が提供される。
【0020】本発明によれば、第8に、上記Eos遺伝
子、Eos遺伝子発現産物及びEos遺伝子の発現産物
に結合性を有する抗体から選ばれる少なくとも1種を含
む未分化細胞のマーカーが提供される。
【0021】本発明によれば、第9に、上記スクリーニ
ング方法によってスクリーニングされた、細胞の神経系
異常形成を抑制する化合物が提供される。
【0022】更に本発明によれば、上記未分化細胞のマ
ーカーを用いる、未分化細胞の検出方法が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、脳神経系において発現
する新たなIkaros関連遺伝子の探索についての研
究結果として完成されたものである。
【0024】即ち、本発明に係わるEos遺伝子は、新
生マウス(ICRマウス)脳よりアストロサイトの長期、短
期培養を行い、長期培養でのみ発現が上昇している遺伝
子をディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて検索
し、アストロサイトの培養細胞から得た全RNAを利用
して、任意のプライマーを用いるPCRにより遺伝子断
片を得、この断片の内、長期培養でのみ増幅するバンド
を切り出し、同じプライマーで再度増幅後、塩基配列決
定し、次に全長cDNAを単離するために、上記DNA
を用いて新生マウス脳cDNAライブラリーをスクリー
ニングし、2つのオーバラップするクローンを単離し、
それぞれの塩基配列を決定することにより、その配列が
決定されたものである。
【0025】本発明Eos遺伝子は、配列番号:1で示
される533アミノ酸をコードするオープンリーディン
グフレームを有する遺伝子として特定される。
【0026】本発明Eos遺伝子によりコードされるア
ミノ酸配列の計算された分子量は約58.16キロダル
トンである。
【0027】本発明Eos遺伝子がコードするアミノ酸
配列は、亜鉛フィンガー領域を有するIkaros、A
iolos及びHeliosに高い相同性を有してい
る。
【0028】本発明遺伝子及びこれによりコードされる
アミノ酸配列の、上記各蛋白との相同性を比較すると、
遺伝子の全配列、N末端の亜鉛フィンガー構造領域、転
写活性化領域及びC末端の亜鉛フィンガー構造領域(2
量体化を促進する)のそれぞれにおいて、Ikaro
s、Aiolos及びHeliosの各遺伝子との相同
性は、全配列ではそれぞれ3.1%、52.8%及び5
3.3%、N末端の亜鉛フィンガー構造領域ではそれぞ
れ87.4%、77.4%及び92.1%%、転写活性
化領域ではそれぞれ37.3%、37.3%及び37.
3%、C末端の亜鉛フィンガー構造領域ではそれぞれ7
6.6%、86.4%及び85.0%であった。
【0029】本発明Eos遺伝子は、従って、Ikar
os遺伝子ファミリーの新たなメンバーと考えられる
が、その発現は神経系特異的であるという点において、
造血系、リンパ球系に特異的に発現するIkarosフ
ァミリーの他のメンバーとは異なっている。
【0030】上記のとおり、本発明により提供される新
規なEos遺伝子は、Ikaros遺伝子に相同性を有
するが、神経系に広範囲に限局発現する遺伝子であり、
それ故、細胞の分化にとって重要な役割を演ずると考え
られる。
【0031】かかる本発明遺伝子の提供によれば、各細
胞での発現レベルやその構造及び機能を解析でき、また
その発現物の解析などにより、これらの細胞の分化に関
与する疾患、例えば悪性腫瘍などの病態解明や診断、治
療などが可能であり、また本発明遺伝子の変異遺伝子に
係る疾患、例えば脳低形成などの診断、治療などが可能
である。
【0032】また、本発明遺伝子の提供によれば、細胞
の神経系異常形成を抑制することができ、例えば無脳
症、脳髄膜瘤、全前脳症、無脳回症、脳腫瘍、脳幹萎縮
などの病態解明や診断、治療などが可能である。
【0033】さらに、本発明遺伝子は、リンパ球系のI
karosなどのファミリーと相互作用することによ
り、外来性の遺伝子発現を通じて、リンパ球系の分化を
変化させることができたり、リンパ腫などの疾患に対す
る遺伝子治療用の有効成分として利用することができ、
かかる遺伝子治療剤が提供できる。
【0034】また、Eosの発現が胎生期の神経系に広
範囲にとかも早い段階から発現していること、及びIkar
osグループがリンパ球系で細胞分化にかなり重要である
ことを考え合わせると本発明Eos遺伝子の発現産物
は、正常の細胞分化を促すことにより異常形成を抑制し
すると考えられ、このことから脳腫瘍、特に小児期に発
生するような神経芽細胞種、神経膠芽腫、網膜芽細胞種
などの細胞分化の異常から派生し得る疾患に対して有効
であると考えられる。
【0035】更に、胎生期早期の神経系構築過程におけ
る器官異常形成としては、無脳症及び脳髄膜瘤が例示さ
れ、後前脳、中脳、後脳の機能分化時期などおける細胞
分化異常による器官形成異常としては、全前脳症が例示
できる。また器官形成後期における形成異常としては、
無脳回症、大脳回症、小脳回症等が例示できる。本発明
Eos遺伝子及びその断片、これらの発現産物の利用に
よれば、上記各疾患の形成を抑制することができる。
【0036】尚、本発明によって提供されるEos遺伝
子の一例は、マウス起源のものであり、その利用によれ
ば、ヒトを含む各種哺乳動物の相同遺伝子も提供でき
る。また、本発明遺伝子の利用によれば、本発明遺伝子
によりコードされるアミノ酸配列のC末端側と結合する
遺伝子の同定を行うこともできる。
【0037】以下、本発明Eos遺伝子につき詳述す
る。
【0038】本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩
基配列、核酸などの略号による表示は、IUPAC、I
UBの規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書
等の作成のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該
分野における慣用記号に従うものとする。
【0039】また、本発明において遺伝子(DNA)と
は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖
及びアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する
趣旨であり、またその長さに何ら制限されるものではな
い。従って、本発明の遺伝子(DNA)には、特に言及
しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、及
びcDNAを含む1本鎖DNA(センス鎖)、並びに該
センス鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(アンチ
センス鎖)、およびそれらの断片のいずれもが含まれ
る。
【0040】本発明Eos遺伝子の一具体例としては、
後述する実施例に示されるクローンの有するDNA配列
から演繹されるものを挙げることができる。
【0041】このクローンが有する遺伝子は、配列表
中、配列番号:1に示される533アミノ酸残基からな
る蛋白質をコードする1599ヌクレオチドのオープン
リーディングフレーム(配列番号:2に示される塩基配
列において、塩基番号753〜2351に示される塩基
配列を示す)を有する。
【0042】なお、全長cDNAクローンの塩基配列
は、配列番号:2に示すとおり2688ヌクレオチドで
ある。該配列番号:2に示す塩基配列において、開始コ
ドン(ATG)は塩基番号753−755番目に位置し
ている。
【0043】また、本発明Eos遺伝子のN末端亜鉛フ
ィンガー構造、C末端亜鉛フィンガー構造、該遺伝子が
コードする533個のアミノ酸配列のEos蛋白の転写
活性化領域、DNA結合領域及びファミリー間結合領域
は、配列番号:1において、アミノ酸番号480−53
0番目の領域と考えられる。
【0044】本発明の遺伝子の打表例としては、例えば
配列番号:1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質を
コードする塩基配列を有するEos遺伝子を挙げること
ができるが、本発明遺伝子はこれに限定されることな
く、当該Eos遺伝子の相同物をも包含する。
【0045】ここで「Eos遺伝子の相同物」とは、本
発明Eos遺伝子(又はその遺伝子産物)と配列相同性
を有し、上記構造的特徴、遺伝子発現パターンにおける
共通性、上記したようなその生物学的機能の類似性など
により、ひとつの遺伝子ファミリーと認識される一連の
関連遺伝子を意味し、これにはEos遺伝子のアレル体
(対立遺伝子)も当然に含まれる。
【0046】具体的には、配列番号:1で示される特定
のアミノ酸配列において、一定の改変を有する蛋白質で
あって、且つ該特定のアミノ酸配列を有するEos蛋白
質と同様の活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を挙
げることができる。
【0047】尚、上記アミノ酸配列における相同性は、
DNASISversion3.2ソフトウェア(日立ソフトウェ
アエンジニアリング社製)を使用するCLUSTALパ
ッケージプログラムを使用した測定(Clustal,V., Meth
ods Mol.Biol., 25, 307-318(1994))において、通常、
アミノ酸配列の全体で約45%以上、好ましくは約50
%以上であることができる。また上記相同性は、転写活
性化領域におけるそれが約35%以上、好ましくは45
%以上、DNA結合領域におけるそれが88%以上、好
ましくは約90%以上、亜鉛フィンガー構造におけるそ
れが約70%以上、好ましくは約80%以上のいずれか
少なくとも一つを満たしていることが望ましい。
【0048】即ち、本発明Eos遺伝子には、配列番
号:1に示されるアミノ酸配列において1又は数個乃至
複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配
列からなる蛋白質をコードする塩基配列を含む遺伝子も
また包含される。
【0049】ここで、「アミノ酸の欠失、置換又は付
加」の程度及びそれらの位置などは、改変された蛋白質
が、配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋白
質(Eos蛋白)と同様の機能を有する同効物であれば
特に制限されない。本発明において「Eos活性」と
は、配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋白
質が有する活性並びに機能を意味し、具体的には、神経
細胞形成促進作用、細胞における神経系異常形成抑制作
用、腫瘍細胞成長抑制作用、アポトーシス誘導作用など
を挙げることができる。
【0050】上記アミノ酸配列の改変(変異)などは、
天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾などによ
り生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例えば本発
明のマウスEos又はヒトEos遺伝子)に基づいて人
為的に改変することもできる。本発明は、このような改
変・変異の原因及び手段などを問わず、上記特性を有す
る全ての改変遺伝子を包含する。本発明の遺伝子(Eo
s遺伝子)には、配列番号:1で示されるアミノ酸配列
を有する蛋白質をコードする遺伝子の対立遺伝子(アレ
ル体)もまた包含される。
【0051】上記の人為的手段としては、例えばサイト
スペシフィック・ミュータゲネシス〔Methods in Enzym
ology, 154, 350, 367-382 (1987);同 100, 468 (198
3);Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);続生化学
実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会編, p105
(1986)〕などの遺伝子工学的手法、リン酸トリエステ
ル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am.
Chem. Soc., 8 9, 4801(1967);同 91, 3350 (1969);S
cience, 150, 178 (1968);Tetrahedron Lett.,22, 185
9 (1981);同 2 4, 245 (1983)〕及びそれらの組合せ方
法などが例示できる。より具体的には、DNAの合成
は、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法による
化学合成によることもでき、市販されている自動オリゴ
ヌクレオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断
片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニ
ーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共に
DNAポリメラーゼを用い相補鎖を付加するかによっ
て、化学合成した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0052】本発明Eos遺伝子の具体的態様として
は、配列番号:2に示される塩基配列を有する遺伝子を
例示できる。この塩基配列中のコーディング領域は、配
列番号:1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を
示すコドンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺
伝子は、かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限ら
ず、各アミノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選
択した塩基配列を有することも可能である。コドンの選
択は、常法に従うことができ、例えば利用する宿主のコ
ドン使用頻度などを考慮することができる〔Ncleic Aci
ds Res., 9, 43 (1981)〕。
【0053】また、本発明遺伝子は、前記のとおり、配
列番号:2に示される塩基配列と一定の相同性を有する
塩基配列からなるものも包含する。
【0054】かかる遺伝子としては、例えば、0.1%
SDSを含む0.2×SSC中50℃又は0.1%SD
Sを含む1×SSC中60℃のストリンジェントな条件
下で配列番号:2に示される塩基配列中、753〜23
51の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする塩
基配列を有する遺伝子を例示することができる。
【0055】本発明遺伝子は、本発明により開示された
本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、
一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得するこ
とができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring H
arbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子
研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0056】具体的には、本発明遺伝子が発現される適
当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調
製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当
なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択すること
により実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 7
8, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
【0057】上記において、cDNAの起源としては、
本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに
由来する培養細胞などが例示できる。また、これらから
の全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの
取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実
施することができる。また、cDNAライブラリーは市
販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライ
ブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.In
c.)、ストラタジーン社(Stratagene)などより市販さ
れている各種cDNAライブラリー、例えばマウス新生
仔脳cDNAなどを用いることもできる。
【0058】本発明の遺伝子をcDNAライブラリーか
らスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の
方法に従うことができる。
【0059】具体的には、例えばcDNAによって産生
される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した
免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローン
を選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合する
プローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コ
ロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せな
どを例示できる。
【0060】ここで用いられるプローブとしては、本発
明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合
成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得
された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。ま
た、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセン
ス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリー
ニング用プローブとして用いることもできる。
【0061】本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR
法〔Science, 2 30, 1350 (1985)〕によるDNA/RN
A増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから
全長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE
法〔Rapid amplification ofcDNA ends;実験医学、12
(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohma
n, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998 (1
988)〕などの採用が好適である。
【0062】かかるPCR法の採用に際して使用される
プライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の
遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法
に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断
片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例
えばゲル電気泳動法などによればよい。
【0063】また、上記で得られる本発明遺伝子或いは
各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサ
ム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499
(1980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエン
スキットなどを用いて、その塩基配列を決定することが
できる。
【0064】このようにして得られる本発明の遺伝子の
利用によれば、例えば該遺伝子の一部又は全部の塩基配
列を利用することにより、個体もしくは各種組織におけ
る本発明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することが
できる。
【0065】かかる検出は常法に従って行うことがで
き、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polyme
rase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplif
ication of RNA. In PCR Protocol, A Guide to method
s and applications, AcademicPress,Inc.,SanDiego, 2
1-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティ
ング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor La
b. (1989)〕、in situRT−PCR〔Nucl. Acids Re
s., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situ ハイブリダイ
ゼーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NAS
BA法〔Nucleicacid sequence-based amplification,
Nature, 350, 91-92 (1991)〕及びその他の各種方法を
挙げることができる。好適には、RT−PCR−SSC
Pによる検出法を挙げることができる。
【0066】尚、ここでPCR法を採用する場合に用い
られるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的
に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限
はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定する
ことができる。通常プライマーとして10〜35程度の
ヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度
の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを
挙げることができる。
【0067】このように、本発明の遺伝子には、本発明
にかかるEos遺伝子を検出するための特異プライマー
及び/又は特異プローブとして使用されるDNA断片も
また包含される。
【0068】当該DNA断片は、配列番号:2に示され
る塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規
定することできる。ここで、ストリンジェントな条件と
しては、プライマー又はプローブとして用いられる通常
の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、例
えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×S
SC中50℃の条件又は0.1%SDSを含む1×SS
C中60℃の条件を例示することができる。
【0069】本発明のEos遺伝子によれば、通常の遺
伝子工学的手法を用いることにより、該遺伝子産物(E
os蛋白質)又はこれを含む蛋白質を容易に大量に、安
定して製造することができる。
【0070】従って本発明は、本発明遺伝子によってコ
ードされるEos蛋白質などの蛋白質を始め、該蛋白質
の製造のための、例えば本発明遺伝子を含有するベクタ
ー、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該宿
主細胞を培養して上記本発明蛋白質を製造する方法など
をも提供するものである。
【0071】本発明蛋白質の具体的態様としては、配列
番号:1に示すアミノ酸配列を有するEos蛋白質を挙
げることができるが、本発明蛋白質には、該配列番号:
1に示すアミノ酸配列のEos蛋白質のみならず、その
相同物も包含される。該相同物としては、上記配列番
号:1に示すアミノ酸配列において1もしくは数個乃至
複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配
列を有し、且つ前記Eos活性を有する蛋白質を挙げる
ことができる。具体的には、前記Eos遺伝子の相同物
(アレル体を含むEos同等遺伝子)の遺伝子産物を挙
げることができる。
【0072】また、本発明Eos蛋白質の相同物には、
配列番号:1に示されるアミノ酸配列のEos蛋白質と
同一活性を有する、哺乳動物、例えばヒト、ウマ、ヒツ
ジ、ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマ、ラット、ウサギな
どのげっ歯類動物の蛋白質も包含される。
【0073】本発明の蛋白質は、本発明により提供され
るEos遺伝子の配列情報に基づいて、常法の遺伝子組
換え技術〔例えば、Science, 224, 1431 (1984) ; Bioc
hem.Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985);Proc. Na
tl. Acad. Sci., USA., 80,5990 (1983)など参照〕に従
って調製することができる。
【0074】該蛋白質の製造は、より詳細には、該所望
の蛋白質をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現できる
組換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿主細
胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、次い
で得られる培養物から目的蛋白質を回収することにより
行われる。
【0075】上記宿主細胞としては、原核生物及び真核
生物のいずれをも用いることができる。原核生物の宿主
としては、例えば大腸菌や枯草菌といった一般的に用い
られるものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけ
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含
まれるものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞に
は、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、前者としては、
例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 175 (1
981)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞及びそのジ
ヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Acad. Sc
i., USA., 77:4216 (1980)〕などが、後者としては、サ
ッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられる。勿
論、これらに限定される訳ではない。
【0076】原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主
細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中
に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプ
ロモーター及びSD(シャイン・アンド・ダルガーノ)
塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン(例え
ばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利用でき
る。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来のプラス
ミド、例えばpBR322、pBR325、pUC1
2、pUC13などがよく用いられるが、これらに限定
されず既知の各種のベクターを利用することができる。
大腸菌を利用した発現系に用い得る上記ベクターの市販
品としては、例えばpGEX−4T(Amersham Pharmac
ia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P2(Ne
w EnglandBiolabs社)、pET21,pET21/la
cq(Invitrogen社)、pBAD/His(Invitrogen
社)等を例示できる。
【0077】脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベク
ターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の
上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部
位、ポリアデニル化部位及び転写終了配列を保有するも
のが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有して
いてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的に
は、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕等が例
示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクターを用
いることができる。動物細胞を利用した発現系に利用さ
れるかかるベクターの市販品としては、例えばpEGF
P−N,pEGFP−C(Clontrech社)、pIND(I
nvitrogen社)、pcDNA3.1/His(Invitroge
n社)などの動物細胞用ベクターや、pFastBac
HT(GibciBRL社)、pAcGHLT(PharMi
ngen社)、pAc5/V5−His,pMT/V5−H
is,pMT/Bip/V5−his(以上Invitrogen
社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられる。
【0078】また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベ
クターの具体例としては、例えば酸性ホスファターゼ遺
伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示で
きる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpP
ICZ(Invitrogen社),pPICZα(Invitrogen
社)なとが包含される。
【0079】プロモーターとしても特に限定なく、エッ
シェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトフ
ァン(trp)プロモーター、lppプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、PL/PRプロモーターなどを
好ましく利用できる。宿主がバチルス属菌である場合
は、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモ
ーターなどが好ましい。酵母を宿主とする場合のプロモ
ーターとしては、例えばpH05プロモーター、PGKプロモ
ーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどを好適
に利用できる。また、動物細胞を宿主とする場合の好ま
しいプロモーターとしては、SV40由来のプロモータ
ー、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネイン
プロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメ
ガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどを
例示できる。
【0080】尚、本発明遺伝子の発現ベクターとして
は、通常の融合蛋白質発現ベクターも好ましく利用でき
る。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質として発
現させるための、pGEX(Promega 社)などを例示で
きる。
【0081】所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿
主細胞への導入法及びこれによる形質転換法としては、
特に限定されず、一般的な各種方法を採用することがで
きる。
【0082】得られる形質転換体は、常法に従い培養で
き、該培養により所望のように設計した遺伝子によりコ
ードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細胞
内、細胞外又は細胞膜上に発現、生産(蓄積、分泌)さ
れる。
【0083】該培養に用いられる培地としては、採用し
た宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利
用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施で
きる。
【0084】かくして得られる本発明の組換え蛋白質
は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利
用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、
1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社
東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (198
6); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)など参照〕に
より分離、精製できる。
【0085】該方法としては、具体的には、通常の再構
成処理、蛋白質沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分
離、浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩
クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフ
ィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、こ
れらの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、
本発明蛋白質に対する特異的抗体を結合させたカラムを
利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示す
ることができる。
【0086】尚、本発明蛋白質をコードする所望の遺伝
子の設計に際しては、配列番号:2に示されるEos遺
伝子の塩基配列を良好に利用することができる。該遺伝
子は、所望により、各アミノ酸残基を示すコドンを適宜
選択変更して利用することも可能である。
【0087】また、Eos遺伝子でコードされるアミノ
酸配列において、その一部のアミノ酸残基ないしはアミ
ノ酸配列を置換、欠失、付加などにより改変する場合、
例えばサイトスペシフィック・ミュータゲネシスなどの
前記した各種方法を採用することができる。
【0088】本発明蛋白質は、また、配列番号:1に示
すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製
造することができる。該方法には、通常の液相法及び固
相法によるペプチド合成法が包含される。
【0089】かかるペプチド合成法は、より詳しくは、
アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐
次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエ
ロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメン
トを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング
反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包
含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよ
い。
【0090】上記ペプチド合成に採用される縮合法も、
常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水
物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPP
A(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物
(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
サクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法
などを例示できる。
【0091】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミ
ド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸
エチルなど及びこれらの混合溶媒などを挙げることがで
きる。
【0092】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メ
トキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル
などのアラルキルエステルなどとして保護することがで
きる。
【0093】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル
基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基など
で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要
はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基
は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシ
カルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダ
マンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により
保護することができる。
【0094】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及
び最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護基
の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還元
法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化
水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタ
ンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施するこ
とができる。
【0095】かくして得られる本発明蛋白質は、前記し
た各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグ
ラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などの
ペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精
製を行うことができる。
【0096】本発明Eos蛋白質は、その特異抗体を作
成するための免疫抗原としても好適に利用でき、この抗
原を利用することにより、所望の抗血清(ポリクローナ
ル抗体)及びモノクローナル抗体を取得することがで
き、本発明は係るEos蛋白質と特異反応性を有する抗
体をも提供するものである。
【0097】該抗体の製造法自体は、当業者によく理解
されているところであり、本発明においてもこれら常法
を採用することができる〔例えば、続生化学実験講座
「免疫生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0098】かくして得られる抗体は、例えばEos蛋
白の精製及びその免疫学的手法による測定ないしは識別
などに有利に利用することができる。
【0099】また、本発明蛋白質は、これを有効成分と
する医薬品として医薬分野において有用である。従っ
て、本発明は本発明蛋白質を有効成分とする医薬組成物
をも提供するものである。
【0100】該医薬組成物において有効成分とする蛋白
質には、その医薬的に許容される塩もまた包含される。
かかる塩には、当業界で周知の方法により調製される、
例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、
マグネシウム、バリウム、アンモニウムなどの無毒性ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩な
どが包含される。更に上記塩には、本発明蛋白質と適当
な有機酸ないし無機酸との反応による無毒性酸付加塩も
包含される。代表的無毒性酸付加塩としては、例えば塩
酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸
塩、酢酸塩、蓚酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリ
ン酸塩、硼酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−
トルエンスルホン酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マ
レイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スル
ホン酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビ
ン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩及びナプシレートなどが
例示される。
【0101】上記医薬組成物は、本発明蛋白質を有効成
分として、その薬学的有効量を、適当な医薬担体ないし
希釈剤と共に含有するものが含まれる。
【0102】上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる
医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用さ
れる、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面
活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示で
き、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜
選択使用される。
【0103】特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋
白質製剤に使用され得る各種の成分、例えば安定化剤、
殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、
界面活性剤などを適宜使用して調製される。
【0104】上記安定化剤としては、例えばヒト血清ア
ルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導
体などを例示でき、これらは単独で又は界面活性剤など
と組合せて使用できる。特にこの組合せによれば、有効
成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
【0105】上記L−アミノ酸は、特に限定はなく、例
えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのいずれ
でもよい。
【0106】上記糖類も特に限定はなく、例えばグルコ
ース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖類、
マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの糖ア
ルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖類、デ
キストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイ
チン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類など及びそれらの
誘導体などのいずれでもよい。
【0107】界面活性剤も特に限定はなく、イオン性及
び非イオン性界面活性剤のいずれも使用できる。これに
は、例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンア
ルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テ
ル系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセ
リド系などが包含される。
【0108】セルロース誘導体も特に限定はなく、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スナトリウムなどのいずれでもよい。
【0109】上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り
約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜
10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤
の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg
程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程
度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの
添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度
以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲
とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当
り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。
また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当
り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0
01〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
【0110】本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量
は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.0000
1〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程
度の範囲とするのが適当である。
【0111】また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、
例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加する
ことができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン
酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミ
ン酸及び/又はそれらに対応する塩(例えばそれらのナ
トリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)などを
例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示でき
る。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウ
ム、クエン酸などを例示できる。
【0112】本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用で
きる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした
後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解
して適当な濃度に調製した後に使用することも可能であ
る。
【0113】本発明の医薬製剤の投与単位形態として
は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表
的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒
剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、
乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含ま
れ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、
経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類さ
れ、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製す
ることができる。
【0114】例えば、錠剤の形態に成形するに際して
は、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリ
ウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カ
オリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなど
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキ
シメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウ
ム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、
炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ス
テアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ス
テアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
などの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿
剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸
塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤な
どを使用できる。
【0115】更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した
錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィ
ルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ない
しは多層錠とすることもできる。
【0116】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビア
ゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結
合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用で
きる。
【0117】カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有
効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質
ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整さ
れる。
【0118】経口投与用液体投与形態は、慣用される不
活性希釈剤、例えば水、を含む医薬的に許容される溶
液、エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなど
を包含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ま
せることができ、これらは常法に従い調製される。
【0119】非経口投与用の液体投与投与形態、例えば
滅菌水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへ
の調製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアル
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ
化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル及びオリーブ油などの植物油など
を使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオ
レイン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常
の溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存
剤、分散剤などを添加することもできる。
【0120】滅菌は、例えばバクテリア保留フィルター
を通過させる濾過操作、殺菌剤の配合、照射処理及び加
熱処理などにより実施できる。また、これらは使用直前
に滅菌水や適当な滅菌可能媒体に溶解することのできる
滅菌固体組成物形態に調製することもできる。
【0121】坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際
しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチン及び半合成グリセライドなどを使用で
きる。
【0122】ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の
形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色
ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導
体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
シリコン、ベントナイト及びオリーブ油などの植物油な
どを使用できる。
【0123】経鼻又は舌下投与用組成物は、周知の標準
賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
【0124】尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色
剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品な
どを含有させることもできる。
【0125】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、
液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与
され、注射剤は単独で又はブドウ糖やアミノ酸などの通
常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単
独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤
は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤は鼻
腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は経皮
的に局所投与される。
【0126】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量及びその投与量は、特に限定されず、所望の治療効
果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件
などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的には、
該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約0.0
1μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg〜1m
g程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜数回に分け
て投与することができる。
【0127】また、本発明は、本発明Eos遺伝子を利
用する遺伝子治療法を提供する。該治療法は、例えば変
異Eos遺伝子を有する細胞に、野生型Eos機能を供
給する方法としてとらえることができる。かかる野生型
Eos本来の正常な機能を細胞に供給すれば、受容細胞
/標的細胞における新生物の増殖を抑制することができ
る。上記野生型Eos遺伝子は、当該遺伝子を染色体外
に維持するようなベクターまたはプラスミドを用いて目
的の細胞に導入することができる。この場合、当該遺伝
子は、染色体外から発現される。
【0128】このように変異Eos遺伝子を有する細胞
に野生型Eos遺伝子を導入して正常なEos蛋白質を
発現させる場合、当該Eos遺伝子はその全長である必
要はなく、例えば該遺伝子の所望機能と実質的に同質な
機能を保持する限りにおいて、前記した改変体であって
も、また特定の機能を保持した一部配列からなる遺伝子
であってもよい。後者の例としては細胞の非腫瘍的増殖
(細胞増殖抑制)に必要なEos蛋白質の一部をコード
する遺伝子を挙げることができる。
【0129】野生型Eos遺伝子又はその一部分は、細
胞に存在する内因的な突然変異Eos遺伝子との間で組
換えが起こるように突然変異細胞に導入することが好ま
しい。このような組換えには、Eos遺伝子突然変異が
修正される二重組換えの発生が必要とされる。
【0130】かかる組換え及び染色体外維持の双方のた
めの所望遺伝子の導入のためのベクターは、当該分野に
おいて既に知られており、本発明ではかかる既知のベク
ターのいずれもが使用できる。その例としては例えば、
発現制御エレメントに連結したEos遺伝子のコピーを
含み、かつ目的の細胞内で当該遺伝子産物を発現できる
ウイルスベクターまたはプラスミドベクターを挙げるこ
とができる。かかるベクターとしては、通常前述する発
現用ベクターを利用することもできるが、好適には、例
えば起源ベクターとして、米国特許第5252479号
明細書及びPCT国際公開WO93/07282号明細
書に開示されたベクター(pWP−7A、pwP−1
9、pWU−1、pWP−8A、pWP−21及び/又
はpRSVLなど)又はpRC/CMV(Invitrogen社
製)などを用いて調製されたベクターを利用することが
できる。より好ましくは、後述する各種ウイルス・ベク
ターを利用することができる。
【0131】なお、遺伝子導入治療において用いられる
ベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患
の治療対象となる患部組織に固有のものを好適に利用す
ることができる。その具体例としては、例えば、肝臓に
対しては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−
アンチトリプシン、トランスフェリン、トランススチレ
ンなどを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アン
ヒドラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示
できる。子宮及び胎盤に対しては、エストロゲン、アロ
マターゼサイトクロームP450、コレステロール側鎖
切断P450、17アルファーヒドロキシラーゼP45
0などを例示できる。
【0132】前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91
−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを
例示できる。***に対しては、erb−B2、erb−
B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質
などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウロ
グロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−1
4−ケラチン、ヒトケラチン1又は6、ロイクリンなど
を例示できる。
【0133】脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白質、
成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン、チロシンヒ
ドロキシラーゼ膵臓ヴィリン、グルカゴン、ランゲルハ
ンス島アミロイドポリペプチドなどを例示できる。甲状
腺に対しては、チログロブリン、カルシトニンなどを例
示できる。骨に対しては、α1コラーゲン、オステオカ
ルシン、骨シアログリコプロティンなどを例示できる。
腎臓に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホス
フォターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対して
は、アミラーゼ、PAP1などを例示できる。
【0134】なお遺伝子導入用ベクターの製造におい
て、導入される遺伝子(全部又は一部)は、本発明Eo
s遺伝子の塩基配列情報に基づいて、前記の如く、一般
的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得することが
できる。
【0135】かかる遺伝子導入用ベクターの細胞への導
入は、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウ
ム共沈法、ウイルス形質導入などを始めとする、細胞に
DNAを導入する当該分野において既に知られている各
種の方法に従うことができる。なお、野生型Eos遺伝
子で形質転換された細胞は、それ自体単離状態で癌の抑
制ないしは癌転移の抑制のための医薬や、治療研究のた
めのモデル系として利用することも可能である。
【0136】遺伝子治療において、上記の遺伝子導入用
ベクターは、患者の腫瘍部位に局所的にまたは全身的に
注射投与することにより患者の腫瘍細胞内に導入するこ
とができる。この際、全身的投与によれば、他の部位に
転移し得るいずれの腫瘍細胞にも到達させることができ
る。形質導入された遺伝子が各標的腫瘍細胞の染色体内
に恒久的に取り込まれない場合には、該投与を定期的に
繰り返すことによって達成できる。
【0137】本発明の遺伝子治療方法は、前述する遺伝
子導入用の材料(遺伝子導入用ベクター)を直接体内に
投与するインビボ(in vivo)法と、患者の体内より一
旦標的とする細胞を取り出して体外で遺伝子を導入し
て、その後、該細胞を体内に戻すエクスビボ(ex viv
o)法の両方の方法を包含する。
【0138】またEos遺伝子を直接細胞内に導入し、
RNA鎖を切断する活性分子であるリボザイムによる遺
伝子治療も可能である。
【0139】後述する、本発明Eos遺伝子もしくはそ
の断片を含有する遺伝子導入用ベクター及び該ベクター
によりEos遺伝子が導入された細胞を有効成分とする
本発明の遺伝子治療剤は、特に脳神経系の形成不全及び
それから引き起こされる腫瘍、脳腫瘍などをその利用対
象とするものであるが、上記の遺伝子治療(処置)は、
神経系疾患以外にも遺伝性疾患、AIDSのようなウイ
ルス疾患の治療、リンパ腫などの免疫系疾患、並びに遺
伝子標識をも目的として行うことができる。
【0140】また、遺伝子を導入する標的細胞は、遺伝
子治療(処置)の対象により適宜選択することができ
る。例えば、標的細胞として、C6グリオーマ細胞、P
C12細胞、NG108細胞などの神経系由来細胞株
や、癌細胞、腫瘍組織以外に、リンパ球、線維芽細胞、
肝細胞、造血幹細胞、如き細胞などを挙げることができ
る。
【0141】上記遺伝子治療における遺伝子導入方法に
は、ウイルス的導入方法及び非ウイルス的導入方法が含
まれる。
【0142】ウイルス的導入方法としては、例えば、E
os遺伝子が正常細胞に発現する外来遺伝子であること
に鑑みて、ベクターとしてレトロウイルスベクターを用
いる方法を挙げることができる。その他のウイルスベク
ターとしては、アデノウイルスベクター、HIV(huma
n immunodeficiency virus)ベクター、アデノ随伴ウイ
ルスベクター(AAV,adeno-associated virus)、ヘ
ルペスウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス(HS
V)ベクター及びエプスタイン−バーウイルス(EB
V,Epstein-Barr virus)ベクターなどがあげられる。
【0143】非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、
リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソーム
と予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイ
ルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と
直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソ
ーム法〔Kato,K.,et al.,J.Biol.Chem.,266,22071-2207
4 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして高圧放
電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方法〔Ya
ng,N.S. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,87,9568-9572 (1
990)〕;プラスミドDNAを直接インビボで臓器や腫瘍
に注入するネイキッド(naked)DNA法〔Wolff,J.A.,
et al.,Science,247,1465-1467 (1990)〕;多重膜正電
荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞に導入するカチオ
ニック・リポソーム法〔八木国夫, 医学のあゆみ, Vol.
175,No.9,635-637 (1995)〕;特定細胞のみに遺伝子を
導入し、他の細胞に入らないようにするために、目的と
する細胞に発現するレセプターに結合するリガンドをD
NAと結合させてそれを投与するリガンド−DNA複合
体法〔Frindeis,et al.,Trends Biotechnol.,11,202 (1
993); Miller,et al.,FASEB J.,9,190 (1995)〕などを
挙げることができる。
【0144】上記リガンド−DNA複合体法には、例え
ば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白質レセプターをター
ゲットとし、アシアロ糖蛋白質をリガンドとして用いる
方法〔Wu, et al.,J.Biol.Chem.,266,14338 (1991); Fe
rkol,et al.,FASEB J.,7,1081-1091 (1993)〕や、腫瘍
細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプター
を標的として、トランスフェリンをリガンドとして用い
る方法〔Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA.,87,
3410 (1990)〕などが含まれる。
【0145】また本発明で用いられる遺伝子導入法は、
上記の如き各種の生物学的及び物理学的な遺伝子導入法
を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる方
法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAをア
デノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン抱
合抗体と組合わせる方法を例示できる。該方法によれ
ば、得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合
し、かくして得られる三分子複合体を細胞に感染させる
ことにより本発明遺伝子の導入を行い得る。この方法で
は、アデノアイルスベクターにカップリングしたDNA
が損傷される前に、効率的な結合、内在化及びエンドソ
ーム分解が可能となる。また、前記リポソーム/DNA
複合体は、直接インビボにて遺伝子導入を媒介できる。
【0146】以下、具体的な本発明の遺伝子導入用ウイ
ルスベクターの作成法並びに標的細胞又は標的組織への
遺伝子導入法について述べる。
【0147】レトロウイルスベクター・システムは、ウ
イルスベクターとヘルパー細胞(パッケージング細胞)
からなっている。ここでヘルパー細胞は、レトロウイル
スの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造蛋白
質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白質)な
どの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子を生成
していない細胞を言う。一方、ウイルスベクターは、パ
ッケージングシグナルやLTR(long terminal repeat
s)を有しているが、ウイルス複製に必要なgag、po
l、envなどの構造遺伝子を持っていない。パッケー
ジングシグナルはウイルス粒子のアセンブリーの際にタ
グとなる配列で、選択遺伝子(neo,hyg)とクロ
ーニングサイトに組込まれた所望の導入遺伝子(Eos
遺伝子またはその断片)がウイルス遺伝子の代りに挿入
される。ここで高力価のウイルス粒子を得るにはインサ
ートを可能な限り短くし、パッケージングシグナルをg
ag遺伝子の一部を含め広くとることと、gag遺伝子
のATGを残さぬようにすることが重要である。
【0148】所望のEos遺伝子を組み込んだベクター
DNAをヘルパー細胞に移入することによって、ヘルパ
ー細胞が作っているウイルス構造蛋白質によりベクター
ゲノムRNAがパッケージされてウイルス粒子が形成さ
れ、分泌される。組換えウイルスとしてのウイルス粒子
は、標的細胞に感染した後、ウイルスゲノムRNAから
逆転写されたDNAが細胞核に組み込まれ、ベクター内
に挿入された遺伝子が発現する。
【0149】尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法
として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリ
ン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法
〔Hanenberg,H.,et al.,Exp.Hemat.,23,747 (1995)〕を
採用することもできる。
【0150】なお、上記レトロウイルスベクター・シス
テムにおいて用いられるベクターとしては、例えばマウ
スの白血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLa
chlin, J.R., et al., Proc.Natl.Acad.Res.Molec.Bio
l., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができる。
【0151】アデノウイルスベクターを利用する方法に
つき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、
バークネル〔Berkner,K.L.,Curr.Topics Microbiol.Imm
unol., 158,39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Setoguch
i,Y.,et al., Blood, 84,2946-2953 (1994)〕、鐘カ江
裕美ら〔実験医学, 12,28-34 (1994)〕及びケナーら〔K
etner,G.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA., 91,6186-
6190 (1994)〕の方法に準じて行うことができる。
【0152】例えば、非増殖性アデノウイルスベクター
を作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE
1及び/又はE3遺伝子領域を除去する。次に、目的と
する所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入遺伝
子、即ち本発明Eos遺伝子、その遺伝子を転写するた
めのプロモーター、転写された遺伝子の安定性を賦与す
るポリAから構成)及びアデノウイルスゲノムDNAの
一部を含むプラスミドベクターと、アデノウイルスゲノ
ムを含むプラスミドとを、例えば293細胞に同時にト
ランスフェクションする。この2者間で相同性組換えを
起こさせて、遺伝子発現単位とE1とを置換することに
より、所望のEos遺伝子を包含する本発明ベクターで
ある非増殖性アデノウイルスベクターを作成することが
できる。また、コスミドベクターにアデノウイルスゲノ
ムDNAを組み込んで、末端蛋白質を付加した3’側ア
デノウイルスベクターを作成することもできる。更に組
換えアデノウイルスベクターの作成には、YACベクタ
ーも利用可能である。
【0153】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの
製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養
系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。こ
れには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず
宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘ
ルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存
在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の
細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲ
ノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからな
り、その両端の145塩基がITR(inverted terminal
repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在してい
る。このITRの部分が複製開始点となり、プライマー
の役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや
宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必
須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの
左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調
節蛋白質のRepをコードしている。
【0154】組換えAAVの作成は、AAVが染色体D
NAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、か
くして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この
方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の
両端のITRを残し、その間に所望の導入用遺伝子(E
os遺伝子)を挿入したプラスミド(AAVベクタープ
ラスミド)を作成する。一方、ウイルス複製やウイルス
粒子の形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別のヘル
パープラスミドにより供給させる。この両者の間には共
通の塩基配列が存在しないようにし、遺伝子組換えによ
る野生型ウイルスが出現しないようにする必要がある。
その後、両者のプラスミドを例えば293細胞へのトラ
ンスフェクションにより導入し、さらにヘルパーウイル
スとしてアデノウイルス(293細胞を用いる場合は非
増殖型のものでもよい)を感染させると、非増殖性の所
望の組換えAAVが産生される。続いて、この組換えA
AVは核内に存在するので、細胞を凍結融解して回収
し、混入するアデノウイルスを56℃加熱により失活さ
せる。更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠心法
などにより組換えAAVを分離濃縮する。上記のように
して所望の遺伝子導入用の組換えAAVを得ることがで
きる。
【0155】HIVベクターの作成は、例えば島田らの
方法に準じて行うことができる〔Shimada, T., et al.,
J.Clin.Invest., 88, 1043-1047 (1991)〕。
【0156】HIVウイルスはCD4をレセプターと
し、ヘルパーT細胞に特異的に感染するので、その利用
によれば、ヒトCD4陽性細胞に特異的に遺伝子導入の
可能な組織特異的遺伝子導入ベクターとしてのHIVベ
クターを作成することができる。該HIVベクターは、
AIDSの遺伝子治療に最適といえる。
【0157】組換えHIVベクターの作成は、例えばま
ずパッケージングプラスミドであるCGPEをgag、
pol、envの構造遺伝子とこれらの発現に必要な調
節遺伝子(tat、revなど)をサイトメガロウイルス
(CMV)のプロモーターとヒトグロビン遺伝子のポリ
Aシグナル(poly A)により発現するように作成する。次
にベクタープラスミドHXNを、HIVの両LTRの間
に、標識遺伝子としてチミジンキナーゼ(TK)のプロ
モーターをもつバクテリアのネオマイシン耐性遺伝子(n
eoR)を挿入し、さらに基本となるプラスミドベクターに
SV40の複製機転を挿入することにより、COS細胞
内で効率よく増殖できるように構築できる。これらのパ
ッケージングプラスミドであるCGPEとベクタープラ
スミドHXNを同時にCOS細胞にトランスフェクショ
ンさせることにより大量のneoR遺伝子が組み込まれ
た所望の組換えウイルスを作成し、培養培地中に放出さ
せることができる。
【0158】EBVベクターの製造は、例えば清水らの
方法に準じて行うことができる〔清水則夫、高田腎臓、
細胞工学, 14(3), 280-287 (1995)〕。
【0159】本発明の遺伝子導入用EBVベクターの製
造につき概略すると、EBウイルス(Epstein-Barr vir
us: EBV)は、1964年にエプスタイン(Epstein)らにより
バーキット(Burkitt)リンパ腫由来の培養細胞より分
離されたヘルペス科に属するウイルスである〔Kieff,
E. and Liebowitz, D.: Virology, 2nd ed. Raven Pres
s, New York, 1990, pp.1889-1920〕。該EBVには細
胞をトランスフォームする活性があるので、遺伝子導入
用ベクターとするためには、このトランスフォーム活性
を欠いたウイルスを調製しなければならない。これは次
の如くして実施できる。
【0160】即ち、まず、所望の外来遺伝子を組み込む
標的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そ
こに外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込
み、組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当
な制限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベ
クターをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクト
する。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面
免疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生
型AkataEBVとともに回収できる。これをEBV
陰性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選
択することにより、野生型EBVが共存しない所望の組
換えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ること
ができる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞に
ウイルス活性を誘導することにより、目的とする大量の
組換えウイルスベクターを産生することができる。
【0161】組換えウイルスベクターを用いることなく
所望の遺伝子を標的細胞に導入する、非ウイルスベクタ
ーの製造は、例えば膜融合リポソームによる遺伝子導入
法により実施することができる。これは膜リポソーム
(脂質二重膜からなる小胞)に細胞膜への融合活性をも
たせることにより、リポソームの内容物を直接細胞内に
導入する方法である。
【0162】上記膜融合リポソームによる遺伝子の導入
は、例えば中西らの方法によって行うことができる〔Na
kanishi,M.,et al.,Exp.Cell Res.,159,399-499 (198
5); Nakanishi,M.,et al.,Gene introduction into ani
mal tissues.In Trends and Future Perspectives in P
eptide and Protein Drug Delivery (ed. by Lee, V.H.
et al.)., Harwood Academic Publishers Gmbh. Amster
dam, 1995, pp.337-349〕。
【0163】以下、該膜融合リポソームによる遺伝子の
導入法につき概略する。即ち、紫外線で遺伝子を不活性
化したセンダイウイルスと所望の遺伝子や蛋白質などの
高分子物質を封入したリポソームを37℃で融合させ
る。この膜融合リポソームは、内側にリポソーム由来の
空洞を、外側にウイルス・エンベロープと同じスパイク
がある疑似ウイルスともよばれる構造を有している。更
にショ糖密度勾配遠心法で精製後、標的とする培養細胞
又は組織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で吸着さ
せる。次いで37℃にするとリポソームの内容物が細胞
に導入され、所望の遺伝子を標的細胞に導入できる。こ
こでリポソームとして用いられる脂質としては、50%
(モル比)コレステロールとレシチン及び陰電荷をもつ
合成リン脂質で、直径300nmの1枚膜リポソームを
作製して使用するのが好ましい。
【0164】また、別のリポソームを用いて遺伝子を標
的細胞に導入する方法としては、カチオニック・リポソ
ームによる遺伝子導入法を挙げることができる。該方法
は、八木らの方法に準じて実施できる〔Yagi,K.,et a
l.,B.B.R.C.,196,1042-1048 (1993)〕。この方法は、プ
ラスミドも細胞も負に荷電していることに着目して、リ
ポソーム膜の内外両面に正の電荷を与え、静電気により
プラスミドの取り込みを増加させ、細胞との相互作用を
高めようとするものである。ここで用いられるリポソー
ムは正荷電を有する多重膜の大きなリポソーム(multil
amellar large vesicles: MLV)が有用であるが、大
きな1枚膜リポソーム(large unilamellar vesicles:
LUV)や小さな1枚膜リポソーム(small unilamella
r vesicles: SUV)を使用してプラスミドとの複合体
を作製し、所望の遺伝子を導入することも可能である。
【0165】プラスミト包埋カチオニックMLVの調製
法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-
(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate
chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholin
e)及びDOPE(dioleoyl phosphatidylethanolamin
e)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホル
ム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総
量1μmolの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリ
ーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄
膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去
し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラス
ミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩
液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分間
ボルテックスミキサーにより撹袢して、所望の遺伝子を
含有するプラスミド包埋カチオニックMLV懸濁液を得
ることができる。
【0166】上記で得られたプラスミド包埋カチオニッ
クMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、
例えば発現目的遺伝子のcDNAを組み込んだ発現プラ
スミドを上記カチオニックMLVにDNA量として0.
6μg、リポソーム脂質量として30nmolになるように
包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理食塩液に懸濁さ
せて患者より抽出した標的細胞または患者組織に対して
隔日投与する方法が例示できる。
【0167】ところで、遺伝子治療とは「疾病の治療を
目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒト
の体内に投与すること」と厚生省ガイドラインに定義さ
れている。しかしながら、本発明における遺伝子治療と
は、該ガイドラインの定義に加えて、前記した標的細胞
にEos遺伝子などの脳組織形成不全抑制遺伝子、癌抑
制遺伝子として特徴付けられる遺伝子を導入することに
よって脳腫瘍を始めとする各種形成異常疾患の治療のみ
ならず、更に標識となる遺伝子または標識となる遺伝子
を導入した細胞をヒト体内に導入することも含むものと
する。
【0168】本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子
の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的に
は2種類の方法が含まれる。
【0169】その第1法は、治療対象とする患者から標
的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロ
イキン−2(IL−2)などの添加の下で培養し、レトロ
ウイルスベクターに含まれる目的とするEos遺伝子を
導入した後、得られる細胞を再移植する手法(ex vivo
法)である。該方法はEos遺伝子欠損症、神経系の形
成不全症、各種神経系腫瘍を始め、欠陥遺伝子によって
発生する遺伝子病、脳形成異常や脳、神経系の癌、AI
DSなどの治療に好適である。
【0170】第2法は、目的遺伝子(Eos遺伝子)を
直接患者の体内や腫瘍組織などの標的部位に注入する遺
伝子直接導入法(直接法)である。
【0171】上記遺伝子治療の第1法は、より詳しく
は、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から
採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取
し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地など
の適当な培地で72時間程度培養し、導入すべき遺伝子
(Eos遺伝子)を含有するベクターを加える。遺伝子
の導入効率をあげるために、プロタミン存在下に32℃
で1時間、2500回転にて遠心分離した後、37℃で10
%炭酸ガス条件下で24時間培養してもよい。この操作
を数回繰り返した後、更にIL−2存在下にAIM−V
培地などで48時間培養し、細胞を生理食塩水で洗浄
し、生細胞数を算定し、遺伝子導入効率を前記in situ
PCRや、例えば所望の対象が酵素活性であればその活
性の程度を測定することにより、目的遺伝子導入効果を
確認する。
【0172】また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイ
コプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの
安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測さ
れる効果用量の遺伝子(Eos遺伝子)が導入された培
養細胞を患者に点滴静注により戻す。かかる方法を例え
ば数週間から数カ月間隔で繰り返することにより遺伝子
治療が施される。
【0173】ここでウイルスベクターの投与量は、導入
する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価
として、例えば標的細胞 1×108細胞に対して1×1
3cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採
用することが好ましい。
【0174】上記第1法の別法として、目的遺伝子(E
os遺伝子)を含有するレトロウイルスベクターを含有
するウイルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培養し
て、目的とする細胞へ遺伝子(Eos遺伝子)を導入す
る方法を採用することもできる。
【0175】遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当
たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子
導入法によって、実際に目的遺伝子(Eos遺伝子)が
導入されるか否かを、予めベクター遺伝子cDNAのP
CR法による検索やin situPCR法によって確認する
か、或いは目的遺伝子(Eos遺伝子)の導入に基づく
所望の治療効果である特異的活性の上昇や標的細胞の増
殖増加や増殖抑制などを確認することが望ましい。ま
た、ウイルスベクターを用いる場合は、増殖性レトロウ
イルスなどの検索をPCR法で行うか、逆転写酵素活性
を測定するか、或は膜蛋白(env)遺伝子をPCR法でモ
ニターするなどにより、遺伝子治療に際して遺伝子導入
による安全性を確認することが重要である。
【0176】別の遺伝子治療法としては、標的細胞表面
に結合する抗体を結合させた遺伝子(Eos遺伝子)含
有イムノリポゾームを作製し、包埋したcDNAを選択
的に効率よく標的細胞に導入させる方法があげられる。
また、前記したサイトカイン遺伝子含有ウイルスベクタ
ーと自殺遺伝子含有アデノウイルスとを同時に投与する
結合遺伝子療法も可能である。これらの方法は当該分野
における当業者の技術レベルある。
【0177】本発明はまた、本発明の遺伝子導入用ベク
ター又は目的遺伝子(Eos遺伝子など)が導入された
細胞を活性成分とし、それを薬学的有効量、適当な無毒
性医薬担体ないしは希釈剤と共に含有する医薬組成物又
は医薬製剤(遺伝子治療剤)を提供する。
【0178】本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用で
きる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使
用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、
表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0179】本発明医薬製剤の投与単位形態としては、
前記したEos蛋白質製剤の製剤例を同様に挙げること
ができ、治療目的に応じて各種の形態から適宜選択する
ことができる。
【0180】例えば、本発明の遺伝子導入用ベクターを
含む医薬製剤は、該ベクターをリポソームに包埋された
形態あるいは所望の遺伝子が包含されるレトロウイルス
ベクターを含むウイルスによって感染された培養細胞の
形態に調製される。
【0181】これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH
7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合
した形態などに調製することもでき、またプロタミンな
どの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるよう
な形態に調製することもできる。
【0182】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。
【0183】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量及びその投与量は、特に限定されず、所望の治療効
果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件
などに応じて広範囲より適宜選択される。
【0184】一般には、医薬製剤としての所望遺伝子含
有レトロウイルスベクターの投与量は、1日当り体重1
kg当り、例えばレトロウイルスの力価として約1×1
3pfuから1×1015pfu程度とするのがよい。
【0185】また所望の導入用遺伝子が導入された細胞
の場合は、1×104細胞/bodyから1×1015細胞/b
ody程度の範囲から選ばれるのが適当である。
【0186】該製剤は1日に1回又は数回に分けて投与
することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与する
こともできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝子
導入効率を高める物質又はこれを含む製剤と併用投与す
ることができる。
【0187】本発明に従う遺伝子治療を癌の治療に適用
する場合は、前記した種々の遺伝子治療を適宜組合わせ
て行う(結合遺伝子治療)こともでき、前記した遺伝子
治療に、従来の癌化学療法、放射線療法、免疫療法など
を組合わせて行うこともできる。さらに本発明遺伝子治
療は、その安全性を含めて、NIHのガイドラインを参
考にして実施することができる〔Recombinant DNA Advi
sory Committee, Human Gene Therapy, 4, 365-389 (19
93)〕。
【0188】本発明によれば、脳神経系の形成不全乃至
細胞の腫瘍形成を促すEos変異遺伝子の存在を検出す
るために、血液又は血清のごとき生物学的試料を調製
し、所望により核酸を抽出し、Eosの感受性変異遺伝
子が存在する否かについて分析することが可能である。
また、本発明によれば脳神経系の形成不全や細胞又は組
織における新生物、悪性の前駆障害への進行、または予
後指標としての存在を検出するためには、障害を有する
生物学的な試料を調製し、Eosの新生物変異遺伝子が
存在するか否かについて分析できる。この方法を用いる
ことにより脳神経系の形成不全や細胞又は組織における
新生物、悪性の前駆障害への進行、または予後指標とし
ての存在を検出することが可能となり、これらの診断、
例えば脳神経系奇形の診断並びに治療効果の判定並びに
予後の予測が可能となる。
【0189】該検出方法は、例えば、予め腫瘍を有する
患者サンプルから得られたEos変異遺伝子に関する情
報を基に、例えばEos遺伝子の変異部位及びその変異
配列情報に基づき、該変異DNA断片を作成し、変異遺
伝子のスクリーニング及び/又はその増幅に用いられる
ように設計される。より具体的には、例えばプラークハ
イブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーショ
ン、サザンブロット法、ノーザンブロット法などにおけ
るプローブとしての性質を有するもの、核酸配列をポリ
メラーゼで増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に
より、増幅した変異DNA断片を得ることができるため
のプローブとしての性質を有するものを作成できる。そ
のためにはまず変異と同じ配列を持つプライマーを作成
し、スクリーニング用プローブとして用い、生物学的試
料(核酸試料)と反応させることにより、当該Eos変
異配列を有する遺伝子の存在を確認することができる。
該核酸試料は、標的配列の検出を容易にする種々の方
法、例えば変性、制限消化、電気泳動又はドットブロッ
ティングで調製してもよい。
【0190】前記スクリーニング方法としては、特にP
CR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、
Eos変異断片をプライマーとして用いる方法であれば
とくに制限されず、従来公知の方法(Science, 230, 135
0-1354(1985))や新たに開発された、或いは将来使用さ
れるPCR変法(榊 佳之、ほか編、羊土社、実験医学、
増刊, 8(9)(1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増刊、共
立出版(株), 35(17)(1990))のいずれも利用することが
可能である。
【0191】プライマーとして使用されるDNA断片
は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴD
NAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合
成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus: ファルマ
シア社製)を使用して合成することができる。合成され
るプライマー(センスプライマー又はアンチセンスプラ
イマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好ま
しく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプロ
ーブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識で
あってもよく、直接的又は間接的に標識したリガンドと
の特異的結合によって検出してもよい。適当な標識、並
びにプローブ及びリガンドを標識する方法は、本発明の
技術分野で知られており、ニック・トランスレーショ
ン、ランダム・プライミングム又はキナーゼ処理のよう
な、既知の方法によって取り込ませることができる放射
性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵素、抗体
などがこれらの技術に包含される。
【0192】検出のために用いるPCR法としては、例
えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いら
れる種々の変法を適応することができる。
【0193】PCR法を用いて、野生型Eos遺伝子及
び/又は変異Eos遺伝子の存在とこれら遺伝子のDN
Aを定量することも可能である。該方法としては、MS
SA法の如き競合的定量法(Kinoshita, M.,et al., CC
A, 228, 83-90 (1994))、または一本鎖DNAの高次構
造の変化に伴う移動度の変化を利用した突然変異検出法
として知られるPCR−SSCP法(Orita, M.,et al.,
Genomics, 5, 874-879(1989))を例示できる。
【0194】上記例示された分析法において、例えばE
osの変異(例えば脳奇形や脳腫瘍などから得られた部
位変異情報を基にした変異配列)を含む1乃至は複数の
プライマーを調製し、生物学的試料から得られたDNA
とハイブリダイズさせた後、PCR増幅断片とEos野
生株のDNA断片をスタンダードのSSCP解析により
測定された移動度及びピーク領域と前記プライマーによ
り増幅した増幅産物としての被検試料における移動度及
びピーク領域とを対比することにより、Eosの特定領
域における変異の検出と当該変異産物のそれぞれの定量
を同時に行うことが可能となる。
【0195】前記において、測定対象となる変異Eos
遺伝子(DNA)を含む被検試料は、該DNAを含むも
のであれば特に限定なく使用でき、例えば、血液、血
清、尿、切除組織などの生体生物材料を例示できる。
変異EosDNAは、これら被検試料より常法に従い抽
出、精製及び調製できる。従って、本発明にかかる上記
スタンダードとしてのDNA断片について、予め測定さ
れた移動度とEos変異プライマー対を用いる被検試料
中のEosDNAのPCR増幅工程における増副産物と
しての被検試料における移動度とを対比することによ
り、EosDNAの特定領域における変異の検出を簡便
かつ良好に行うことができる。
【0196】さらに既知段階量に設定したスタンダード
を用いた場合には、そのピーク領域と前記方法のEos
変異プライマー対を用いる被検試料中のEosDNAの
PCR増幅工程における増副産物としての被検試料にお
けるピーク領域との対比により、被検試料中のEos変
異物の定量を同時に行うことができる。該方法において
使用されるプライマー対、スタンダード、PCR−SS
CP解析及びその検出手段などの改変などは、この分野
の当業者にとり適宜なし得るものであり、本発明は勿論
それらの改変などをも野生Eos遺伝子及び変異Eos
遺伝子の配列を用いる限り包含されるものである。
【0197】上記本発明の測定方法を、より具体的に例
示すると、まず脳奇形、脳腫瘍患者血清からアルカリ、
酸処理などの常法によってDNAを抽出し、得られたD
NA溶液に、配列番号:2に示される塩基配列の一部を
含む特定の長さからなるマイナス鎖部分配列、及び蛍光
標識した該配列番号:2の一部の塩基配列を含む、特定
長さからなるプラス鎖部分配列のプライマー対とを耐熱
性DNAポリメラーゼと作用させて、標識されたDNA
断片を増幅させる。一方では、脳奇形、脳腫瘍患者など
から得られたEos部位変異情報を基にして化学合成し
た変異配列を含む1又は複数のDNA断片を、プラスミ
ドベクターにそれぞれ組み込み、大腸菌に形質転換して
大量培養後、精製した組換え体プラスミドを用いて、例
えば103コピー、104コピー、105コピー、106
ピー、107コピー及び、108コピーのスタンダードを
調製し、これに上記の配列番号:2の一部の特定配列を
含むマイナス鎖部分配列及び蛍光標識した配列番号:2
の一部の特定配列を含むプラス鎖部分配列のプライマー
対とを耐熱性DNAポリメラーゼと作用させて、標識さ
れたDNA断片を増幅させる。前記で増幅されたDNA
溶液を、95℃程度で5分間程度加熱し、直ちに氷中で
冷却し、ALF自動シークエンサー(ファルマシア社製)
などの自動シークエンサーによるSSCP解析を行うこ
とにより、蛍光ピークを検出することができる。尚、該
SSCP解析における泳動は、好ましくは約30℃±1
℃にて行われる。
【0198】かくして患者血清より得られたDNAのピ
ーク(移動度)をスタンダードのピーク(移動度)と比較
し、その泳動時間からスタンダードと一致するピークを
確認することにより、患者のEosの変異のタイプ(種
類)を判定することができる。またスタンダードのピー
ク領域を算出し、これより標準曲線を作成することによ
り、患者DNAにおけるピーク領域の計算値より、当該
EosDNAの定量を行うことができる。
【0199】従って、本発明はかかる測定により、被検
試料中のEosDNAの特定領域の変異の検出とその定
量方法を同時に行う簡便な検査方法をも提供するもので
ある。
【0200】また、本発明の測定方法は、試料中の野生
型Eos遺伝子及び変異Eos遺伝子の検出のための試
薬キットを利用することによって、簡便に実施すること
ができる。
【0201】故に本発明は上記野生型Eos DNA断
片及び変異Eos DNA断片を含有することを特徴と
する野生型Eos及び変異Eosの検出用試薬キットが
提供される。
【0202】該試薬キットは、少なくとも配列番号:2
に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部
又は全てにハイブリダイズするDNA断片、又は配列番
号:2に示される塩基配列の変異配列もしくはその変異
配列に相補的塩基配列の一部又は全てにハイブリダイズ
するDNA断片を必須構成成分として含んでいれば、他
の成分として、標識剤、PCR法に必須な試薬(例え
ば、TaqDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド
三リン酸、プライマーなど)が含まれていてもよい。
【0203】標識剤としては、放射性同位元素又は蛍光
物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA断
片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていてもよ
い。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のため
に適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反応
停止液などが含まれていてもよい。
【0204】更に本発明は、前記測定方法を用いる癌の
診断方法及び該方法に用いる診断剤並びに診断用キット
をも提供するものである。
【0205】また、前記方法を用いることにより、被検
試料中から得られたEos変異配列を直接的若しくは間
接的に配列決定することにより、野生型Eosと相同性
の高い相同物である新たなEos遺伝子に関連する関連
遺伝子を見出すことができる。
【0206】従って、本発明はかかる測定と被検試料中
の変異Eos DNAの配列決定により、被検試料中の
ヒトEos遺伝子に関連する関連遺伝子のスクリーニン
グ方法をも提供するものである。
【0207】また、本発明の配列番号:1で示されるヒ
トEos遺伝子でコードされる蛋白質、又は該配列番
号:1において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が
欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、又はこれらの
断片から蛋白質を合成し、もしくは該蛋白質に対する抗
体を合成することによって、野生型Eos及び/又は変
異Eosの測定が可能となる。
【0208】従って、本発明は、野生型Eos及び/又
は変異Eosの抗体測定法、抗原測定法を提供するもの
である。該測定法によって脳形成不全の程度、脳腫瘍の
悪性度を野生性型Eosポリペプチドの変化に基づいて
検出することも可能である。かかる変化は、この分野に
おける前記慣用技術によるEos配列分析によっても決
定できるが、更に好ましくは、抗体(ポリクローナル又
はモノクローナル抗体)を用いて、Eos蛋白質中の相
違、又はEos蛋白質の有無を検出することができる。
本発明の測定法の具体的な例示としては、Eos抗体
は、血液・血清などのヒトより採取した生体材料試料含
有溶液からEos蛋白質を免疫沈降し、かつポリアクリ
ルアミドゲルのウェスタン・ブロット又はイムノブロッ
ト上でEos蛋白質と反応することができる。また、E
os抗体は免疫組織化学的技術を用いてパラフィン又は
凍結組織切片中のEos蛋白質を検出することができ
る。抗体産生技術及び精製する技術は当該分野において
よく知られているので、これらの技術を適宜選択するこ
とができる。
【0209】野生型Eos又はその突然変異体を検出す
る方法に関連するより好ましい具体例には、モノクロー
ナル抗体及び/又は、ポリクローナル抗体を用いるサン
ドイッチ法を含む、酵素結合イムノソルベントアッセイ
(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、免疫放射線
検定法(IRMA)、及び免疫酵素法(IEMA)が含まれ
る。
【0210】また、本発明は、Eos蛋白に対するEo
s結合活性を有する細胞膜画分又は細胞表面上に存在す
るEosレセプターをも提供することが可能である。該
Eosレセプターの取得は、細胞膜画分を含む生体材料
試料中において標識したEos蛋白をコンジュゲートさ
せ、Eos結合反応物を抽出・単離、精製し、単離物の
アミノ酸配列を特定することによって達成され、該Eo
sレセプター蛋白の取得並びに配列決定は、この分野の
当業者には容易に達成できる。
【0211】また本発明は、Eosレセプター蛋白質又
はその結合断片を種々の薬剤のいずれかをスクリーニン
グする技術に用いることによって、化合物(Eosレセ
プター反応物:化合物は低分子化合物、高分子化合物、
蛋白質、蛋白質部分断片、抗原、又は抗体など言う)を
スクリーニングすることに利用可能である。好ましく
は、Eosレセプターを利用する。かかるスクリーニン
グ試験に用いるEosレセプターポリペプチド又はその
断片は、固体支持体に付着するか、又は細胞表面に運ば
れている溶液中の遊離物であってもよい。
【0212】薬剤スクリーニングの一例としては、例え
ば、Eos蛋白質又はその断片を発現する組換え蛋白質
で安定して形質転換した原核生物又は真核生物の宿主細
胞を、好ましくは競合的結合アッセイにおいて利用する
ことができる。また遊離の又は固定した形態のかかる細
胞を標準結合アッセイに用いることもできる。より具体
的には、Eosレセプター蛋白質又はその断片と、試験
する物質との間の複合体の形成を測定し、Eosレセプ
ター蛋白質又はその断片とEos蛋白質又はその断片と
の間の複合体の形成が試験する物質によって阻害される
程度を検出することによって化合物をスクリーニングす
ることが可能である。
【0213】かくして、本発明は、当該分野で既知の方
法によって、かかる物質とEosレセプター蛋白質又は
その断片とを接触させ、次いで、該物質とEosレセプ
ター蛋白質又はその断片との間の複合体の存在、又はE
osレセプター蛋白質又はその断片とリガンドとの間の
複合体の存在について測定することを特徴とする薬剤の
スクリーニング方法を提供することができる。さらに、
Eosレセプター活性を測定して、かかる物質がEos
レセプターを阻害でき、かくして上記定義されたEos
の活性、例えば神経細胞の分化を促進することができる
かどうか、或いはアポトーシス誘導の調節ができるかど
うか判断する。かかる競合結合アッセイにおいて、より
具体的には、Eosレセプター蛋白質又はその断片を標
識する。遊離のEosレセプター蛋白質又はその断片
を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離し、
遊離(複合体未形成)標識の量は、各々、試験される因
子のEosレセプターに対する結合又はEosレセプタ
ー:Eos蛋白質結合の阻害の尺度となる。Eos蛋白
質の小さなペプチド(ペプチド疑似体)をこのように分析
し、Eosレセプター阻害活性を有するものを測定でき
る。
【0214】本発明において、薬剤スクリーニングのた
めの他の方法は、Eosレセプター蛋白質に対して適当
な結合親和性を有する化合物についてのスクリーニング
法であって、該略すると、多数の異なるペプチド試験化
合物をプラスチックのピンまたは他の物質の表面のごと
き固体支持体上で合成し、次いでペプチド試験化合物を
Eosレセプター蛋白質と反応させ、洗浄する。次いで
既知の方法を用いて反応結合Eosレセプター蛋白質を
検出する方法も例示できる(PCT特許公開番号:WO
84−03564号)。精製されたEosレセプター
は、直接、前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプ
レート上に被覆することができる。しかしながら、ポリ
ペプチドに対する非−中和抗体を用いて抗体を補足し、
Eosレセプター蛋白質を固相上に固定することができ
る。さらに本発明は、競合薬剤スクリーニングアッセイ
の使用をも目的とし、Eosレセプター蛋白質又はその
断片に対する結合性につき、Eosレセプター蛋白質に
特異的に結合できる中和抗体と試験化合物とを競合させ
る。抗体による該競合によって、Eosレセプター蛋白
質の1又はそれ以上の抗原決定部位を有するいずれのペ
プチドの存在をも検出することが可能である。
【0215】また、薬剤スクリーニングに関し、さらな
る方法としては、非機能性Eos遺伝子を含有する宿主
真核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主細胞系
または細胞を薬剤化合物の存在下において一定期間増殖
させた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該化合物
が例えば、神経細胞の分化を調節できるかどうかを確認
する。増殖速度を測定する1手段として、Eosレセプ
ターの生物活性を測定することも可能である。
【0216】また本発明によれば、より活性又は安定し
た形態のEos蛋白質誘導体又は例えば、イン・ビボ(i
n vivo)でEos蛋白質の機能を高めるかもしくは妨害
する薬剤を開発するために、それらが相互作用する目的
の生物学的に活性な蛋白質又は構造アナログ、例えばE
osアゴニスト、Eosアンタゴニスト、Eosインヒ
ビターなどを作製することが可能である。前記構造アナ
ログは例えばEosと他の蛋白質の複合体の三次元構造
をX線結晶学、コンピューター・モデリング又は、これ
らの組み合せた方法によって決定することができる。ま
た、構造アナログの構造に関する情報は、相同性蛋白質
の構造に基づく蛋白質のモデリングによって得ることも
可能である。
【0217】また上記より活性又は安定した形態のEo
s蛋白質誘導体を得る方法としては、例えばアラニン・
スキャンによって分析することが可能である。該方法は
アミノ酸残基をAlaで置換し、ペプチドの活性に対する
その影響を測定する方法でペプチドの各アミノ酸残基を
このように分析し、当該ペプチドの活性や安定性に重要
な領域を決定する方法である。該方法によって、より活
性な、または安定なEos誘導体を設計することができ
る。
【0218】また機能性アッセイによって選択した標的
−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析する
ことも可能である。原則として、このアプローチによ
り、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmac
ore)を得る。機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗
−イディオタイプ抗体を生成させることによって、化学
的または生物学的に生成したペプチドのバンクよりペプ
チドを同定したり単離したりすることが可能である。故
に選択されたペプチドもファーマコアとして作用すると
予測される。
【0219】かくして、改善されたEos活性もしくは
安定性又はEos活性のインヒビター、アゴニスト、ア
ンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設計・開
発することができる。
【0220】クローン化Eos配列によって、十分な量
のEos蛋白質を入手して、X線結晶学のような分析研
究をも行うことができる。さらに、本発明の配列番号:
1に示されるアミノ酸配列よりなるEos蛋白質の提供
により、X線結晶学に代えるか又はこれに加えて、コン
ピューターモデリング技術に適応可能である。
【0221】また本発明によれば、Eos遺伝子含有ノ
ックアウト・マウス(変異マウス)を作成することによっ
てEos遺伝子配列のどの部位が生体内で上記したよう
な多様なEos活性に影響を与えるかどうか、即ちEo
s遺伝子産物、並びに改変Eos遺伝子産物が生体内で
どのような機能を有するかを確認することができる。
【0222】該方法は、遺伝子の相同組換えを利用し
て、生物の遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、マ
ウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いた方法を例示できる
(Capeccchi, M. R., Science, 244, 1288-1292 (198
9))。
【0223】尚、上記変異マウスの作製方法はこの分野
の当業者にとって既に通常の技術であり、この改変技術
(野田哲生編、実験医学,増刊, 1 4 (20) (1996)、羊土
社)に、本発明のヒト野性型Eos遺伝子及び変異Eo
s遺伝子を適応して容易に変異マウスを作製し得る。従
って前記技術の適応により、改善されたEos活性もし
くは安定性又はEos活性のインヒビター、アゴニス
ト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設
計・開発することができる。
【0224】
【発明の効果】本発明によれば、神経系異常形成抑制作
用を有する新規なEos遺伝子が提供される。本発明遺
伝子は、Ikarosと類似性を有し、このため、解析
されたこれらの関連遺伝子の機能と各種疾患との係わり
についての研究に利用でき、各種疾患への遺伝子診断並
びに該遺伝子の医薬用途への応用研究に用いることが可
能である。また、本発明遺伝子の利用によれば、各種組
織での該遺伝子の発現状況が調べられ、生体内における
その機能を解析することが可能となる。
【0225】また、該遺伝子によれば、該遺伝子がコー
ドするEos蛋白質を遺伝子工学的に大量に製造するこ
とができ、該蛋白質の提供によれば、Eos蛋白質活性
やEos蛋白質の結合活性などの機能を調べることもで
きる。
【0226】またEos蛋白質は、Eos遺伝子及びそ
の産物が関与する疾患(例えば、神経系の形成、分化に
関連する疾患やアポトーシスに関連する疾患など、特に
脳奇形や脳腫瘍)の病態解明や診断、治療などに有用で
ある。
【0227】本発明によれば、更にEos遺伝子又はそ
のアレル体を含有する遺伝子治療に有用な遺伝子導入用
ベクター、該Eos遺伝子又はそのアレル体が導入され
た細胞及び該ベクター又は細胞を有効成分とする遺伝子
治療剤、並びにその利用による遺伝子治療法などが提供
される。
【0228】本発明によれば、更に各種神経細胞の異常
形成、分化を抑制する作用を有し、該作用による各種神
経系奇形や腫瘍などの疾患及び病態の処置などに使用さ
れるEos蛋白を有効成分とする医薬も提供することが
できる。
【0229】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。
【0230】実施例1 1.細胞培養 新生仔ICRマウス脳よりマッカーシーらの方法(McCarth
y,K.D. and de Vellis,J., Preparation of separate a
stroglial and oligodendroglial cell cultures from
rat cereberal tissue, J. Cell Biol., 85(3), 890-90
2 (June, 1980);Ishikawa,M., et al., Long-term cult
ured astrocytes inhibit myelin formation, but not
axonal growth in the co-cultures nerve tissue, Mul
t. Scler., 2(2), 91-95 (Sep., 1996); Tsukamoto,T.,
et al., Suppressive effects of TNF-alpha on myeli
n formation in Vitro., Acta Neurol. Scand., 91(1),
71-75 (Jan., 1995))に準じてアストロサイトの培養を
行った。
【0231】即ち、新生仔ICRマウス(生後1日目、熊谷
農場から購入)の脳を摘出して10%牛胎児血清を含む
90%イーグルMEM(ニッスイ社製)中で18ゲージ注射
針を通してピペッティングを4回行い細胞を分散した。
次いで10匹分の脳から得られた細胞を20mlの培地で75平
方センチメールの3つのフラスコ中で培養し(細胞の濃
度:約2×105細胞数/ml、培養条件:5%CO2、3
7℃)、10日後に振盪することによりミクログリアと
オリゴデンドログリアを除去した。
【0232】付着した細胞は形態、及びGFAP(Glial Fib
rilary Acidic Protein, アストロサイトに比較的特異
的な細胞骨格蛋白質)を検出する免疫反応によりアスト
ロサイトに富んでいることを確認した。培地は一週間に
一回交換し、短期培養は2週間の培養、長期培養は12
週間の培養をそれぞれ行った。
【0233】2.表出アッセイ 次に上記1.の培養細胞で得られた短期培養、長期培養
のそれぞれのアストロサイトを用いて、長期培養でのみ
発現上昇している遺伝子をディファレンシャル・ディス
プレイ(Differential Display)法を用いて検索した(Mat
so, N., et al., J.Biol.Chem., 270, 28216-28222 (19
95))。
【0234】即ち、全RNAをグアニジウム−チオシアネ
ート/フェノール−クロロホルムを用いるAGPC法(Chomc
zynski, and Sacchi, (1986))を用いて長期、短期培養
のアストロサイトより抽出した。次にMMLV逆転写酵素
(50,000単位/ml:Stratagene社製)を用いてRNAからcD
NAを得た。このcDNA(約50ng)に10xTaq緩衝液(宝酒
造社製)、10mM dNTP、蒸留水、Taqポリメラーゼ(5
単位/ml:宝酒造社製)を加えて、[32P]ATPで標識した。
【0235】3’−アンカード・オリゴ−dTプライマー
と、配列番号:3に示す塩基配列の5’−プライマー(1
8-mer)とを用いて以下の条件でPCRを行った。 95℃120
秒、ついで35℃、40秒、72℃、90秒、95℃、40秒を1サ
イクルとして4サイクル、次いで55 ℃ 40 秒, 72 ℃ 9
0 秒, 95 ℃ 40 秒を1サイクルとして 32サイクル、最
後に55 ℃ 40 秒, 72 ℃ 300 秒を1サイクル反応させ
た。
【0236】上記で得られた PCR産物を5%のポリアク
リルアミドゲルで展開した、エチジウムブロマイド染色
した。長期培養の方でのみ増幅されているバンド(203と
いうナンバーを割り当てた)を切り出し、上記プライマ
ーで同一条件で再増幅した。得られた約1kbのバンド
をTAクローニングベクター 、pGEM-T Easy または、p
GEM-Tベクター(プロメガ社製)に挿入し、クローニング
した。クローニングされた断片の配列決定は、Taqダイ
・プライマーサイクルシークエンスキット(Taq dye pr
imer sequencing kit:パーキン−エルマー社製)と310A
DNAシークエンサー(アプライド・バイオシステムズ社
製)を用いて、製品使用説明書に従い塩基配列を決定し
た。
【0237】かくして、995bpの断片を得た。このク
ローンの配列は、Ikarosに類似していた。
【0238】3.RNaseプロテクションアッセイ RNaseプロテクションアッセイはは基本的にアンビオン
社(Ambion社)のHybspeed RPA kitを用いて行った。
【0239】まず上記のpGEM-T easy vectorに挿入した
995 bpのフラグメントを用いてこのフラグメントに相補
的なRNAを以下の要領で合成した。
【0240】バクテリオファージ・プロモーターのコン
トロール下にあり制限酵素Xba1で切断後、直線状のフラ
グメントを作るために、まずベクターを0.5μlの制限酵
素Xba1で切断後、Sp6 RNAポリメラーゼ(10,000単位/m
l:Promega社製)を用いて相補RNAを合成した。反応はポ
リメラーゼ緩衝液(Promega社製)、RNA(2.5mM ATP、2.5m
M CTP、2.5mM GTP、[35S]-UTP),Sp6 RNA ポリメラー
ゼと上記の切断したプラスミドベクターを混ぜ合わせ3
7℃で2〜3時間反応することにより合成させた。
【0241】この合成RNA(上記[35S]-UTPで放射性標
識されたもの)と長期、短期培養アストロサイトから抽
出した全RNAを混ぜ合わせ68℃で10分間置きハイブリダ
イズさせ、その後RNase(1,000単位/ml、Promega社製)で
処理することにより未結合のRNAを消化し、8%ポリア
クリルアミドゲルで電気泳動を行い、オートラジオグラ
フィーによって放射性標識した相補的RNAとmRNAの結合
したもの(995 bpの大きさ)を検出した。
【0242】かくして、同定したcDNAのうちの一つが、
RNaseプロテクションアッセイで確かに長期培養ア
ストロサイトにおいて発現増強していることが確認され
た。
【0243】4.Eos遺伝子の配列決定 Eosの全長cDNAを単離する目的で、マウス新生仔脳cDNA
ライブラリー(Stratagene社製)を用い、上記3.で得ら
れた995bpの標識cDNA断片を用いてスクリーニングを行
った。陽性クローンを選択し、その結果2つのオーバー
ラップするcDNAクローン(5'側クローンを8A、3'側クロ
ーンを9A)を単離し、それぞれの塩基配列を上記2.で
用いたTaqダイ・プライマーサイクルシークエンスキッ
トを用いて決定した。この二つのcDNAよりコードされる
推定された蛋白(533アミノ酸)をコードしている領
域を演繹し、塩基配列2688塩基の長さのからなる遺
伝子を同定し、Eosと命名した。
【0244】かくして得られたクローンのうち8Aが配
列番号:3で示される塩基配列番号1番目から1375
番目を有し、9Aは811番目から2688番目の最後
までを有していた。
【0245】このように本発明Eos遺伝子は、配列番
号:1で示される533のアミノ酸配列をコードする配
列番号:2で示される1599塩基長の塩基配列からな
るオープンリーディングフレームを有する2688塩基
長からなっていた。
【0246】Eos遺伝子は、N末端とC末端のそれぞれ
に亜鉛フィンガー構造を有し、転写活性領域と想定され
る構造を持っていた。
【0247】5. EosとIkarosファミリーと
の相同性比較 同定されたEosとIkarosファミリーとのEos遺伝子でコー
ドされるアミノ酸配列の比較を複数配列整列比較プログ
ラムとして、CLUSTALパッケージのCLUSTAL Vソフト(Hig
gins, D.G., et al.,Comput Appl Biosci, 8(2) 189-19
1(1992))を用いるタンパク質解析ソフトDNASIS version
3.2(日立ソフトウェアエンジニアリング社)を用いて
配列比較した。
【0248】その結果を図1〜図3に示す。
【0249】該図より、本発明のEos遺伝子と公知のIka
ros、Aiolos及びHelios遺伝子とのアミノ酸レベルでの
相同性は、EosとIkarosが、33.1%、EosとAiolosが、5
2.8%及びEosとHeliosが53.3%であった。
【0250】また、N末端亜鉛フィンガー構造における
相同性は、EosとIkarosが、87.4%、EosとAiolosが、7
7.4%及びEosとHeliosが92.1%で、転写活性部位では、
EosとIkarosが、37.3%、EosとAiolosが、37.3%及びEo
sとHeliosが37.3%、及びC末端亜鉛フィンガー構造に
おける相同性は、EosとIkarosが、76.6%、EosとAiolos
が、86.4%及びEosとHeliosが85.0%であった。
【0251】6.ヒトEos遺伝子相同物 上記遺伝子の特定配列(又はIkaros, Aiolos,Heliosと
相同しないEos部分配列)をプローブとして用いて、ヒ
ト胎児脳cDNAライブラリー(クローンテック社)か
ら、Eos遺伝子のヒト相同物を得た。
【0252】実施例2.ノーザンブロット分析 ノーザンブロット分析は、成熟マウス(8週例ICRマウ
ス、熊谷農場から購入)の臓器(脳、骨格筋、肝臓、腎
臓、胸腺、脾臓)から抽出した全RNA20μgを1%ア
ガロース/ホルムアミド・ゲルに展開後、HybondN+膜
(アマシャム社製)に転写した。次いでこの膜を65℃で1
時間、プレハイブリダイゼーション後、ランダムプライ
マー法を用いるキット(ベーリンガー・マインハイム社
製キット)で32P標識したEos cDNAと1 M NaCl、10%ポ
リエチレン・グリコール(分子量 8000)、1% SDS、そして
100 mg/ml 熱変性サケ***DNAを含む緩衝液中でハイブ
リさせた。ハイブリダイゼーション後、2× SSC / 0.1%
SDS 液で65℃, 0.1 × SSC液で室温状況下で洗浄し、X
線フィルムに露出した。
【0253】その結果、成熟マウスの脳、肝臓、脾臓、
腎臓、骨格筋、胸腺ではまず脳に 4.8kbのバンドのEos
のはっきりとした発現が観察され、腎臓に同じサイズの
非常に弱いシグナルが観察された。他の肝臓、脾臓、胸
腺、骨格筋では発現は観察されなかった。
【0254】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> Eos gene <130> 2818JP <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 533 <212> PRT <213> Mouse embryonic brain <400> 1 Met Glu Ser Leu Phe Cys Glu Ser Ser Gly Asp Ser Ser Leu Glu Lys 1 5 10 15 Asp Ser Leu Gly Ala Pro Val Gly Pro Ser Val Ser Thr Pro Asn Ser 20 25 30 Gln His Ser Ser Pro Ser Arg Ser Leu Ser Ala Asn Ser Ile Lys Val 35 40 45 Glu Met Tyr Ser Asp Glu Glu Ser Ser Arg Leu Leu Gly Pro Asp Glu 50 55 60 Arg Leu Leu Asp Lys Asp Asp Ser Val Ile Val Glu Asp Ser Leu Ser 65 70 75 80 Glu Pro Leu Gly Tyr Cys Asp Gly Ser Gly Pro Glu Pro His Ser Pro 85 90 95 Gly Gly Ile Arg Leu Pro Asn Gly Lys Leu Lys Cys Asp Val Cys Gly 100 105 110 Met Val Cys Ile Gly Pro Asn Val Leu Met Val His Lys Arg Ser His 115 120 125 Thr Gly Glu Arg Pro Phe His Cys Asn Gln Cys Gly Ala Ser Phe Thr 130 135 140 Gln Lys Gly Asn Leu Leu Arg His Ile Lys Leu His Ser Gly Glu Lys 145 150 155 160 Pro Phe Lys Cys Pro Phe Cys Asn Tyr Ala Cys Arg Arg Arg Asp Ala 165 170 175 Leu Thr Gly His Leu Arg Thr His Ser Val Ser Ser Pro Thr Val Gly 180 185 190 Lys Pro Tyr Lys Cys Asn Tyr Cys Gly Arg Ser Tyr Lys Gln Gln Ser 195 200 205 Thr Leu Glu Glu His Lys Glu Arg Cys His Asn Tyr Leu Gln Ser Leu 210 215 220 Ser Thr Asp Ala Gln Ala Leu Thr Gly Gln Pro Gly Asp Glu Ile Arg 225 230 235 240 Asp Leu Glu Met Val Pro Asp Ser Met Leu His Pro Ser Thr Glu Arg 245 250 255 Pro Thr Phe Ile Asp Arg Leu Ala Asn Ser Leu Thr Lys Arg Lys Arg 260 265 270 Ser Thr Pro Gln Lys Phe Val Gly Glu Lys Gln Met Arg Phe Ser Leu 275 280 285 Ser Asp Leu Pro Tyr Asp Val Asn Ala Ser Gly Gly Tyr Glu Lys Asp 290 295 300 Val Glu Leu Val Ala His His Gly Leu Glu Pro Gly Phe Gly Gly Ser 305 310 315 320 Leu Ala Phe Val Gly Thr Glu His Leu Arg Pro Leu Arg Leu Pro Pro 325 330 335 Thr Asn Cys Ile Ser Glu Leu Thr Pro Val Ile Ser Ser Val Tyr Thr 340 345 350 Gln Met Gln Pro Ile Pro Ser Arg Leu Glu Leu Pro Gly Ser Arg Glu 355 360 365 Ala Gly Glu Gly Pro Glu Asp Leu Gly Asp Gly Gly Pro Leu Leu Tyr 370 375 380 Arg Ala Arg Gly Ser Leu Thr Asp Pro Gly Ala Ser Pro Ser Asn Gly 385 390 395 400 Cys Gln Asp Ser Thr Asp Thr Glu Ser Asn His Glu Asp Arg Ile Gly 405 410 415 Gly Val Gly Ile Pro Ser Ser Gly Ser Pro Pro Gln Pro Pro Pro Thr 420 425 430 Ile Val Val Gly Arg His Ser Pro Ala Tyr Ala Lys Glu Asp Pro Lys 435 440 445 Pro Gln Glu Gly Leu Leu Arg Gly Thr Pro Gly Pro Ser Lys Glu Val 450 455 460 Leu Arg Val Val Gly Glu Ser Gly Glu Pro Val Lys Ala Phe Lys Cys 465 470 475 480 Glu His Cys Arg Ile Leu Phe Leu Asp His Val Met Phe Thr Ile His 485 490 495 Met Gly Cys His Gly Phe Arg Asp Pro Phe Glu Cys Asn Ile Cys Gly 500 505 510 Tyr His Ser Gln Asp Arg Tyr Glu Phe Ser Ser His Ile Val Arg Gly 515 520 525 Glu His Lys Val Gly 530 <210> 2 <211> 2688 <212> DNA <213> Mouse embryonic brain <220> <221> CDS <222> (753)..(2354) <400> 2 actggtgcgc cttgaggcac ctgcctttct ctcctgtttc cagcccttca ttgggagagc 60 cacaaagaat gcttttccct cagtgtccct gagcttccct ttaagaatat tgtctcccaa 120 aaagctagct cctagtcgta gagacagcct cagctccagg agactgggcc agatatggat 180 ttccaagaaa ttcactcatt ttagaatcag caggtccctt cttactaata ctgggtgctt 240 tgtagtaggt cagcactaac ctttgaaaag aacaagaaac tgggtgtggt acatgcacgc 300 aatcccagta ctccaaaggc tgaggcagga ggattttgag tttacttaac cttttttgac 360 ctatctagcc tcagtaaact cagttgaaag ggcacgtgtt aaaaccggac ctgaatctac 420 aagtcttaat ggtcctgagc cgctcacatc atggtttgtg tctggtgctg tcttaaggca 480 acttcttaag aaaaccgttg ctcgcctaag gagcctcagc aggggaaaat cagattcaag 540 ccataaggct ttttctatag ccggagaaca gggttcctcg ggcttccgag ggatagagtg 600 gggaacggga ctttaggaga ggttgcgatg gaaatggtcc ccaagtccct gagtggttgt 660 tttcttccca ctgaccaaag ctggagaggg agctctcagg agggtgtgct ccggatttct 720 tgcctcaggc ccaggactcc aaccatttta ta atg gaa tct tta ttt tgt gaa 773 Met Glu Ser Leu Phe Cys Glu 1 5 agt agc ggg gac tca tct ctg gag aag gat tcc ctt ggg gcc cca gtg 821 Ser Ser Gly Asp Ser Ser Leu Glu Lys Asp Ser Leu Gly Ala Pro Val 10 15 20 ggg ccc tcg gtg agc acc cca aac agc caa cac tct tca ccc agc cgc 869 Gly Pro Ser Val Ser Thr Pro Asn Ser Gln His Ser Ser Pro Ser Arg 25 30 35 tcg ctc agt gcc aac tcc atc aag gtg gag atg tac agc gat gag gag 917 Ser Leu Ser Ala Asn Ser Ile Lys Val Glu Met Tyr Ser Asp Glu Glu 40 45 50 55 tcg agc aga ctg ctg ggg ccg gat gaa cgg ctc ctg gat aag gat gac 965 Ser Ser Arg Leu Leu Gly Pro Asp Glu Arg Leu Leu Asp Lys Asp Asp 60 65 70 agt gtg att gtg gaa gac tca ttg tca gag ccc tta ggc tac tgc gat 1013 Ser Val Ile Val Glu Asp Ser Leu Ser Glu Pro Leu Gly Tyr Cys Asp 75 80 85 gga agt ggg cca gag cct cac tcc cct ggc ggc atc cgg cta ccc aac 1061 Gly Ser Gly Pro Glu Pro His Ser Pro Gly Gly Ile Arg Leu Pro Asn 90 95 100 ggc aag ctc aag tgc gac gtc tgc ggc atg gtc tgc att ggg ccc aat 1109 Gly Lys Leu Lys Cys Asp Val Cys Gly Met Val Cys Ile Gly Pro Asn 105 110 115 gtg ctc atg gta cac aag cgc agc cac act ggg gag agg ccc ttc cac 1157 Val Leu Met Val His Lys Arg Ser His Thr Gly Glu Arg Pro Phe His 120 125 130 135 tgt aat cag tgt ggt gcc tcc ttc aca cag aag ggc aat ctg ctt cgc 1205 Cys Asn Gln Cys Gly Ala Ser Phe Thr Gln Lys Gly Asn Leu Leu Arg 140 145 150 cac atc aag ctg cac tcg ggg gag aag ccc ttc aag tgc ccc ttc tgc 1253 His Ile Lys Leu His Ser Gly Glu Lys Pro Phe Lys Cys Pro Phe Cys 155 160 165 aac tat gcc tgc cgc cgg cgt gac gca ctc act ggc cac ctc cgc aca 1301 Asn Tyr Ala Cys Arg Arg Arg Asp Ala Leu Thr Gly His Leu Arg Thr 170 175 180 cac tca gtc tcc tcc ccc acc gtg ggc aaa ccc tac aag tgc aac tac 1349 His Ser Val Ser Ser Pro Thr Val Gly Lys Pro Tyr Lys Cys Asn Tyr 185 190 195 tgt ggc cgg agc tac aaa cag caa agt acc ctg gag gag cac aag gag 1397 Cys Gly Arg Ser Tyr Lys Gln Gln Ser Thr Leu Glu Glu His Lys Glu 200 205 210 215 agg tgc cac aac tac cta cag agt ctc agc act gat gcc caa gct ctg 1445 Arg Cys His Asn Tyr Leu Gln Ser Leu Ser Thr Asp Ala Gln Ala Leu 220 225 230 act ggc cag cca ggt gat gaa atc cgt gac ctg gag atg gtg cct gac 1493 Thr Gly Gln Pro Gly Asp Glu Ile Arg Asp Leu Glu Met Val Pro Asp 235 240 245 tca atg ctg cac cca tcg act gaa cgg cca act ttc att gat cgt ttg 1541 Ser Met Leu His Pro Ser Thr Glu Arg Pro Thr Phe Ile Asp Arg Leu 250 255 260 gcc aac agc ctc acc aaa cgc aag cgt tcc acc cca cag aag ttt gta 1589 Ala Asn Ser Leu Thr Lys Arg Lys Arg Ser Thr Pro Gln Lys Phe Val 265 270 275 ggt gaa aag cag atg cgc ttc agc ctc tca gac ctt ccc tat gat gtg 1637 Gly Glu Lys Gln Met Arg Phe Ser Leu Ser Asp Leu Pro Tyr Asp Val 280 285 290 295 aat gcc agc ggt ggc tat gaa aag gac gta gag ttg gtg gca cac cat 1685 Asn Ala Ser Gly Gly Tyr Glu Lys Asp Val Glu Leu Val Ala His His 300 305 310 ggc ctg gag cct ggc ttt gga ggg tct cta gcc ttt gtg ggt aca gag 1733 Gly Leu Glu Pro Gly Phe Gly Gly Ser Leu Ala Phe Val Gly Thr Glu 315 320 325 cat ctg cgt ccc ctc cgc ctc cca ccc acc aac tgc atc tca gaa ctc 1781 His Leu Arg Pro Leu Arg Leu Pro Pro Thr Asn Cys Ile Ser Glu Leu 330 335 340 aca cct gtc atc agc tct gtg tac acc caa atg cag ccc atc ccc agc 1829 Thr Pro Val Ile Ser Ser Val Tyr Thr Gln Met Gln Pro Ile Pro Ser 345 350 355 cga ctg gag ctt cca ggg tcc cga gaa gca ggt gag gga ccg gag gac 1877 Arg Leu Glu Leu Pro Gly Ser Arg Glu Ala Gly Glu Gly Pro Glu Asp 360 365 370 375 ctg gga gat gga ggt ccc ctc ctt tat cgg gcc cga ggc tct ctg act 1925 Leu Gly Asp Gly Gly Pro Leu Leu Tyr Arg Ala Arg Gly Ser Leu Thr 380 385 390 gac cct ggg gca tcc ccc agc aat ggc tgc cag gac tcc aca gat aca 1973 Asp Pro Gly Ala Ser Pro Ser Asn Gly Cys Gln Asp Ser Thr Asp Thr 395 400 405 gag agc aac cac gaa gac cgg att ggt ggg gtt ggt atc cct tcc tca 2021 Glu Ser Asn His Glu Asp Arg Ile Gly Gly Val Gly Ile Pro Ser Ser 410 415 420 ggg tcc cca ccc caa cct cct ccc acc ata gtg gtg ggc cgg cac agt 2069 Gly Ser Pro Pro Gln Pro Pro Pro Thr Ile Val Val Gly Arg His Ser 425 430 435 ccc gcc tat gcc aaa gag gac ccc aaa cca cag gag ggg tta ctg cgg 2117 Pro Ala Tyr Ala Lys Glu Asp Pro Lys Pro Gln Glu Gly Leu Leu Arg 440 445 450 455 ggc acc cca ggc ccc tcc aag gaa gtg ctt cgg gtg gtg ggt gag agt 2165 Gly Thr Pro Gly Pro Ser Lys Glu Val Leu Arg Val Val Gly Glu Ser 460 465 470 ggt gag cca gtg aag gcc ttt aag tgt gaa cac tgc cgc atc ctc ttt 2213 Gly Glu Pro Val Lys Ala Phe Lys Cys Glu His Cys Arg Ile Leu Phe 475 480 485 ctg gac cac gtc atg ttc acc atc cac atg ggc tgc cac ggc ttc aga 2261 Leu Asp His Val Met Phe Thr Ile His Met Gly Cys His Gly Phe Arg 490 495 500 gac cct ttt gag tgt aac atc tgt ggt tat cac agc cag gat cgg tat 2309 Asp Pro Phe Glu Cys Asn Ile Cys Gly Tyr His Ser Gln Asp Arg Tyr 505 510 515 gag ttc tct tcc cac atc gtc cgg ggg gaa cat aag gtg ggc tag 2354 Glu Phe Ser Ser His Ile Val Arg Gly Glu His Lys Val Gly 520 525 530 agacctcttt ccccacagcc tgctctcagc ccggccccca ccctactgcc ctacctacag 2414 gggtctagcc caattcctgt tacaccctaa ggagttttgc gttgtagccc cacccactgg 2474 ccgcctcact tcacacttga ctccaaccgt ctttgcctgt tcccttctac cctgaccgat 2534 ttgagcattt cgacaagaca agtctcttgc ttatatttct ccttctaacc tctctccccg 2594 gcacatttgc tttttaaatt gactttaact tggccttttc ttagtttact gcaatctctg 2654 gccactcctt cattcttctg cccatggctc cctt 2688 <210> 3 <211> 18 <212> DNA <213> Mouse embryonic brain <400> 3 CTAACGCAGT CAAGGCAC 18 <210> 4
<211> 995
<212> DNA
<213> Mouse embryonic brain
<400> 4
TCGCCTAAGG AGCCTCAGCA GGGGAAAATC AGA
TTCAAGC CATAAGGCTT TTTCTATAGC 60 CGGAGAACAG GGTTCCTCGG GCTTCCGAGG GAT
AGAGTGG GGAACGGGAC TTTAGGAGAG 120 GTTGCGATGG AAATGGTCCC CAAGTCCCTG AGT
GGTTGTT TTCTTCCCAC TGACCAAAGC 180 TGGAGAGGGA GCTCTCAGGA GGGTGTGCTC CGG
ATTTCTT GCCTCAGGCC CAGGACTCCA 240 ACCATTTTAT AATGGAATCT TTATTTTGTG AAA
GTAGCGG GGACTCATCT CTGGAGAAGG 300 ATTCCCTTGG GGCCCCAGTG GGGCCCTCGG TGA
GCACCCC AAACAGCCAA CACTCTTCAC 360 CCAGCCGCTC GCTCAGTGCC AACTCCATCA AGG
TGGAGAT GTACAGCGAT GAGGAGTCGA 420 GCAGACTGCT GGGGCCGGAT GAACGGCTCC TGG
ATAAGGA TGACAGTGTG ATTGTGGAAG 480 ACTCATTGTC AGAGCCCTTA GGCTACTGCG ATG
GAAGTGG GCCAGAGCCT CACTCCCCTG 540 GCGGCATCCG GCTACCCAAC GGCAAGCTCA AGT
GCGACGT CTGCGGCATG GTCTGCATTG 600 GGCCCAATGT GCTCATGGTA CACAAGCGCA GCC
ACACTGG GGAGAGGCCC TTCCACTGTA 660 ATCAGTGTGG TGCCTCCTTC ACACAGAAGG GCA
ATCTGCT TCGCCACATC AAGCTGCACT 720 CGGGGGAGAA GCCCTTCAAG TGCCCCTTCT GCA
ACTATGC CTGCCGCCGG CGTGACGCAC 780 TCACTGGCCA CCTCCGCACA CACTCAGTCT CCT
CCCCCAC CGTGGGCAAA CCCTACAAGT 840 GCAACTACTG TGGCCGGAGC TACAAACAGC AAA
GTACCCT GGAGGAGCAC AAGGAGAGGT 900 GCCACAACTA CCTACAGAGT CTCAGCACTG ATG
CCCAAGC TCTGACTGGC CAGCCAGGTG 960 ATGAAATCCG TGACCTGGAG ATGGTGCCTG ACT
CA 995
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明Eos蛋白質と、Ikarosファミリーに属す
る各蛋白質とのアミノ酸配列の比較を複数配列整列比較
プログラムを用いて行った結果を示す図である。
【図2】本発明Eos蛋白質と、Ikarosファミリーに属す
る各蛋白質とのアミノ酸配列の比較を複数配列整列比較
プログラムを用いて行った結果を示す図である。
【図3】本発明Eos蛋白質と、Ikarosファミリーに属す
る各蛋白質とのアミノ酸配列の比較を複数配列整列比較
プログラムを用いて行った結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C07K 16/18 4H045 16/18 C12P 21/02 C C12N 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/02 Y G01N 33/53 33/531 A A61K 39/395 D 33/531 N // A61K 39/395 37/02 C12N 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 BA41 BA61 BA80 CA04 DA02 DA06 DA12 EA02 EA04 FA10 GA11 HA01 HA17 HA19 4B064 AG01 AG26 AG27 CA02 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 DA14 4B065 AA19X AA26X AA72X AA91X AA91Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 BA22 CA53 DA39 DC50 MA01 NA14 ZA012 ZA152 ZB262 ZC782 4C085 AA13 AA14 AA15 AA19 BB11 DD62 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 BA63 CA45 DA75 DA76 EA21 EA50 FA74 HA06

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)及び(b)のいずれかの蛋白
    質をコードする塩基配列を含むEos遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋
    白質、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もし
    くは複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ
    酸配列からなり且つEos活性を有する蛋白質。
  2. 【請求項2】以下の(a)及び(b)のいずれかのポリ
    ヌクレオチドからなるEos遺伝子:(a)配列番号:
    2で示される塩基配列の全部又は一部を含むポリヌクレ
    オチド、(b)上記(a)の塩基配列からなるポリヌク
    レオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
    し且つEos活性を有する蛋白質をコードするポリヌク
    レオチド。
  3. 【請求項3】配列番号:2で示される塩基配列である請
    求項2に記載のEos遺伝子。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のEos遺伝子を保有し、
    神経系異常形成を抑制する作用を発揮するクーロン化c
    DNA。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のアミノ酸配列を有するE
    os遺伝子発現産物。
  6. 【請求項6】Eos蛋白質を発現するクローン化cDN
    A及びその断片、その誘導体及びその相同物。
  7. 【請求項7】請求項1に記載のアミノ酸配列を有するE
    os遺伝子のヒト相同物。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のEos遺伝子のヒト相同
    物の発現産物。
  9. 【請求項9】細胞の神経系異常形成を抑制する方法にお
    いて、請求項4に記載のクローン化cDNAを用いて、
    Eos遺伝子を細胞に導入することを含む神経系異常形
    成抑制方法。
  10. 【請求項10】請求項1に記載のEos遺伝子を保有
    し、腫瘍形成を抑制する作用を発揮するクローン化cD
    NA。
  11. 【請求項11】請求項2に記載のEos遺伝子を有効成
    分として含有する医薬組成物。
  12. 【請求項12】請求項2に記載のEos遺伝子を有効成
    分として含有する遺伝子治療剤。
  13. 【請求項13】細胞の神経系異常形成を抑制する方法に
    おいて、請求項5又は8に記載のEos遺伝子発現産物
    を該細胞に導入することを含む神経系異常形成抑制方
    法。
  14. 【請求項14】請求項5又は8に記載のEos遺伝子発
    現産物を有効成分として含有する医薬組成物。
  15. 【請求項15】以下の(a)又は(b)の蛋白質である
    Eos蛋白質: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなる蛋
    白質、(b)上記(a)のアミノ酸配列において1もし
    くは複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ
    酸配列からなり且つEos活性を有する蛋白質。
  16. 【請求項16】請求項1又は2に記載のEos遺伝子を
    用いる、相互作用遺伝子のスクリーニング方法。
  17. 【請求項17】請求項1又は2に記載のEos遺伝子を
    含む未分化細胞のマーカー。
  18. 【請求項18】請求項5に記載のEos遺伝子発現産物
    を含む未分化細胞のマーカー。
  19. 【請求項19】細胞の神経系異常形成を抑制する化合物
    をスクリーニングする方法において、請求項1又は2に
    記載のEos遺伝子を用いることを特徴とするスクリー
    ニング方法。
  20. 【請求項20】請求項19に記載のスクリーニング方法
    によってスクリーニングされた、細胞の神経系異常形成
    を抑制する化合物。
  21. 【請求項21】請求項1に記載のEos遺伝子の相同物
    であって、ヒト、イヌ、サル、ウマ、ブタ、ヒツジ及び
    ネコから選ばれる哺乳動物のEos遺伝子相同物。
  22. 【請求項22】請求項1に記載のEos遺伝子の発現産
    物に結合性を有する抗体。
  23. 【請求項23】請求項22に記載の抗体を含む未分化細
    胞のマーカー。
  24. 【請求項24】請求項23に記載の未分化細胞のマーカ
    ーを用いる、未分化細胞の検出方法。
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