JP2001328867A - 圧電材料および超音波プローブ - Google Patents

圧電材料および超音波プローブ

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JP2001328867A
JP2001328867A JP2000147341A JP2000147341A JP2001328867A JP 2001328867 A JP2001328867 A JP 2001328867A JP 2000147341 A JP2000147341 A JP 2000147341A JP 2000147341 A JP2000147341 A JP 2000147341A JP 2001328867 A JP2001328867 A JP 2001328867A
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piezoelectric material
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ultrasonic probe
piezoelectric
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JP2000147341A
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English (en)
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Yasuharu Hosono
靖晴 細野
Koichi Harada
耕一 原田
Yohachi Yamashita
洋八 山下
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高いキュリー点、大きな電気機械結合係数(k
33´)、優れた組成均一性を併せ持ち、超音波プローブ
用振動子に用いて高い信頼性を有する圧電材料を提供す
る。 【解決手段】式 xPb(Mg1/3 Nb2/3)03 −y
PbTiO3 −zPb(Zn1/3 Nb2/3)O3 −wP
b(Me1/2 Nb1/2 )O3 (MeはIn,Ybから選
ばれる少なくとも1種の金属、x+y+z+w=1を示
す)で表され、x,y,zおよびwはそれぞれa(x=
0.80,y=0.20,z=0.00,w=0.00)、b(x=0.02,y=0.9
8,z=0.00,w=0.00 )、c(x=0.02,y=0.02,z=0.96,
w=0.00 )、d(x=0.02,y=0.20,z=0.00,w=0.78 )
の点を直線的に結んだ領域に入る値として規定される組
成物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電材料および前
記圧電材料からなる圧電体を備える医療用診断装置等に
有用な超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】超音波プローブは、圧電体を有する超音
波送受信素子を備えている。前記超音波プローブは、超
音波を対象物に向けて照射し、その対象物における音響
インピーダンスの異なる界面からの反射エコーを受信す
ることにより前記対象物の内部状態を画像化するために
用いられる。このような前記超音波プローブを組み込ん
だ超音波画像装置は、例えば人体内部を検査するための
医療用診断装置および金属溶接内部の探傷を目的とする
検査装置等に応用されている。
【0003】近年、前記医療用診断装置の一つとして、
人体の断層像(Bモード像)に加え、心臓、肝臓、頸動
脈等を対象に超音波の血流によるドプラシフトを利用し
て血流の速度を2次元でカラー表示することが可能な
「カラーフローマッピング(CFM)法」を採用したも
のが開発され、前記医療用診断装置によりその診断能力
が飛躍的に向上した。前記CFM法を採用した医療用診
断装置は子宮や肝臓、脾蔵などの人体のあらゆる臓器、
器官の診断に用いられ、今後は冠血栓の診断も可能な装
置を目指して研究がなされている。
【0004】前者のBモード像の場合には、身体的変化
による小さな病変や空隙が明瞭に深部まで見えるように
するために、高解像度の画像が高感度で得られることが
要求される。後者のCFM像を得ることができるドプラ
モードの場合には、直径が数μm程度の微小な血球から
の反射エコーを用いるため、前記Bモードの場合に比べ
て得られる信号レベルが小さくなり、より高感度化が要
求される。
【0005】従来、超音波プローブを構成する超音波送
受信素子はその性能面から以下のような材料及び構造が
用いられている。
【0006】超音波プローブにより生体に超音波を照射
した際の超音波減衰は、骨等を除いて0.5〜1dB/
MHz・cm程度であるため、前記生体から高感度の信
号を得るには前記超音波送受信素子から照射される超音
波の周波数を下げることが好ましい。ただし、周波数を
下げ過ぎると超音波の波長が長くなって分解能が低下す
る恐れがあるため、通常、2〜10MHzの周波数の超
音波を放射するようにしている。
【0007】超音波送受信素子を構成する圧電体は、電
気機械結合係数(k33´)が大きく、かつケーブルや装
置浮遊容量による損失が少なく送受信回路とのマッチン
グが取りやすい誘電率の大きい材料で形成することが必
要である。このため、従来圧電体は主としてチタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系セラミックから形成されてい
る。また最近、亜鉛ニオブ酸鉛とチタン酸鉛(PZN
T)に代表されるリラクサ材料とチタン酸鉛との複合酸
化物単結晶の電気機械結合係数(k33´)がPZTより
優れていると注目を集めており、それらを圧電体として
用いた超音波送受信素子を有する超音波プローブ等も提
案されている。
【0008】これらの超音波プロ−ブにおいては、高分
解能化が進むと共に用いられる駆動電圧を増加させる傾
向にある。さらには、電圧振幅を稼ぐために単極性パル
スであった駆動波形を双極性にする試みもなされてい
る。その結果、超音波送受信素子を構成する圧電体には
大きな熱の負荷が掛かることになる。PZT,PZNT
に代表されるペロブスカイト構造型圧電体は熱によりそ
の構造が変化するためにその前後にて圧電性が低下した
りあるいは消失したりすることがある。そのためこのよ
うな超音波プローブに用いられる圧電体にはキュリー点
が高くかつ電気機械結合係数(k33´)の大きな材料が
求められている。
【0009】このような要求に対して、PZTはキュリ
ー点は高いが電気機械結合係数(k33´)がそれほど大
きくない、またPZNTを主体とするものは電気機械結
合係数(k33´)は大きいがキュリー点はそれほど高く
ないというように、いずれも求められている特性を充分
満たすものではなかった。近年これらの特性を改善する
ために、リラクサ材料とチタン酸鉛との複合酸化物単結
晶に更にスカンジウムを固溶させた系が試みられてい
る。この圧電材料においては、キュリー点は大きくなり
改善されるが、単結晶育成初期と終期におけるスカンジ
ウムの組成分布のばらつきが大きいという難点がある。
組成のばらつきは結晶内の特性ばらつきを生み、前記単
結晶から超音波プローブ用振動子を得る場合、実使用可
能な結晶領域が限定され、その結果実用的なものを得る
ことが難しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、誘電
率が大きくかつ高いキュリー点、大きな電気機械結合係
数(k33´)、さらには優れた組成均一性を有する圧電
材料を提供しようとするものである。
【0011】本発明の別の目的は、前記圧電材料を用い
た、高感度化が可能でかつ高い信頼性を有する超音波プ
ローブを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる圧電材料
は、式 xPb(Mg1/3 Nb2/3 )03 −yPbTi
O3 −zPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −wPb(Me1
/2 Nb1/2 )O3 (ただし、MeはIn,Ybから選
ばれる少なくとも1種の金属、x+y+z+w=1.0
0を示す)で表され、x,y,zおよびwはそれぞれ下
記a,b,c,dの点を直線的に結んだ領域の値(線分
ab上を除く)として規定される組成物を含有し、Pb
(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Zn1/
3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O3を
それぞれ頂点P1 、P2、P3およびP4として有する正
三角錐を描き、前記頂点P1、P2、P3およびP4の座標
をそれぞれ(X1,Y1,Z1,W1=1,0,0,0)、
(X2,Y2,Z2,W2=0,1,0,0)、(X3,Y
3,Z3,W3=0,0,1,0)、(X4,Y4,Z4,W
4=0,0,0,1)で表記した時、前記a,b,c,
dの点は前記正三角錐の面上に位置し、座標X、Y、Z
およびWで表されること特徴とするものである。
【0013】 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78 本発明に係わる超音波プローブは、超音波送受信面を有
する圧電体と、前記圧電体の超音波送受信面および前記
送受信面と反対側の面にそれぞれ形成される一対の電極
とを具備し、前記圧電体は、式 xPb(Mg1/3 Nb
2/3 )03 −yPbTiO3 −zPb(Zn1/3 Nb2/
3 )O3 −wPb(Me1/2 Nb1/2 )O3 (ただし、
MeはIn,Ybから選ばれる少なくとも1種の金属、
x+y+z+w=1.00を示す)で表され、x,y,
zおよびwはそれぞれ下記a,b,c,dの点を直線的
に結んだ領域の値(線分ab上を除く)として規定され
る組成物を含有し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、P
bTiO3、Pb(Zn1/3Nb2/3 )O3およびPb(M
e1/2 Nb1/2 )O3をそれぞれ頂点P1 、P2、P3お
よびP4として有する正三角錐を描き、前記頂点P1、P
2、P3およびP4の座標をそれぞれ(X1,Y1,Z1,W1
=1,0,0,0)、(X2,Y2,Z2,W2=0,1,
0,0)、(X3,Y3,Z3,W3=0,0,1,0)、
(X4,Y4,Z4,W4=0,0,0,1)で表記した
時、前記a,b,c,dの点は前記正三角錐の面上に位
置し、座標X、Y、ZおよびWで表されること特徴とす
る圧電材料からなる。
【0014】 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78 以下、本発明に係わる圧電材料について図1を参照して
詳細に説明する。
【0015】本発明の圧電材料は、式 xPb(Mg1/
3 Nb2/3 )03 −yPbTiO3−zPb(Zn1/3
Nb2/3 )O3 −wPb(Me1/2 Nb1/2 )O3 (た
だし、MeはIn,Ybから選ばれる少なくとも1種の
金属、x+y+z+w=1.00を示す)で表され、
x,y,zおよびwはそれぞれ下記a,b,c,dの点
を直線的に結んだ領域の値(線分ab上を除く)として
規定される組成物を含有する。
【0016】すなわち、図1に示すように正三角錐1は
Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Z
n1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O
3をそれぞれ頂点P1 、P2、P3およびP4として描か
れ、前記正三角錐1の前記頂点P1 、P2、P3およびP
4の座標はそれぞれ(X1,Y1,Z1,W1=1,0,0,
0)、(X2,Y2,Z2,W2=0,1,0,0)、(X
3,Y3,Z3,W3=0,0,1,0)、(X4,Y4,Z
4,W4=0,0,0,1)で表記される。例えば、前記
頂点P1 から前記P2、P3およびP4を結ぶ正三角形の面
に垂直に下ろした前記正三角錐1の高さの中間点は、座
標(X=0.5,Y=0.5/3,Z=0.5/3,W
=0.5/3)で表される。また、前記正三角錐1にお
いて前記正三角形の面と平行で前記高さの中間点を横切
る正三角形の面は、座標(X=0.5,Y+Z+W=
0.5)で表される。
【0017】前記領域を規定する前記a,b,c,dの
点は、前記正三角錐1の面上に位置し、かつ前記正三角
錐1の頂点P1 、P2、P3およびP4の座標X、Y、Zお
よびWを用いて下記のように表される。
【0018】 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78 換言すれば、x,y,z,wは図1に示す前記正三角錐
1の面上のa(x=0.80,y=0.20,z=0.00,w=0.00)、
b(x=0.02,y=0.98,z=0.00,w=0.00 )、c(x=0.0
2,y=0.02,z=0.96,w=0.00 )、d(x=0.02,y=0.20,
z=0.00,w=0.78 )の点を直線的に結んだ三角錐2で描
かれる領域の値(線分ab上を除く)として規定され
る。
【0019】本発明に係わる圧電材料に含まれる組成物
のx,y,zおよびwの値を規定した理由について以下
に説明する。
【0020】x,y,zおよびwを図1の三角錐2で描
かれる領域における線分ac、cd、daの外側の値に
すると、前記組成物を含む圧電材料からなるブロックを
幅150μm以下の矩形状の圧電体に加工した際に厚さ
方向の電気機械結合係数(k33´)が60%以下と小さ
くなる。これはこの範囲において前記組成物が組成的相
境界(M.P.B)を持たなくなるためと考えられる。
【0021】なお、x,y,zおよびwを図1の三角錐
2で描かれる領域における点b付近とした場合、矩形状
の圧電体に加工した際に厚さ方向の電気機械結合係数
(k33´)はそれほど大きくないが、平板における厚さ
方向の電気機械結合係数(kt)は大きい。またこの領
域ではキュリー点が高いため高温中での非破壊検査器等
の応用に有効である。
【0022】したがって、x,y,zおよびwを図1の
a,b,cおよびdの点を直線的に結んだ三角錐2で描
かれる領域内の値(線分ab上を除く)とした組成物を
含有する圧電単結晶材料はキュリー点が高くかつ電気機
械結合係数(k33´あるいはkt)が大きい。また、前
記圧電材料は組成の均一性に優れ、その結果広い領域に
おいて均一な特性をもたらす。このため、前記圧電材料
を超音波プローブ用振動子として用いる場合、原材料と
して育成された結晶のほぼ全領域を使用でき、効率的か
つ経済的である。
【0023】本発明に係わる圧電材料に含まれる組成物
は、x,y,zおよびwが図1の三角錐2で描かれる領
域内の値(線分ab上を除く)を有すると共に、Pb
(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Zn1/
3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O3を
すべて含むことが好ましい。
【0024】なお、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03‐P
bTiO3‐Pb(Zn1/3 Nb2/3)O3‐Pb(Me1/
2 Nb1/2 )O3(ただし、MeはIn,Ybから選ば
れる少なくとも1種の金属)で表される組成物は、その
組成が化学両論比から多少ずれていてもよい。前記Me
は、1種類のみならず2種類以上の組み合わせでもよ
い。
【0025】また、前記組成物は、x,y,zおよびw
が図1の三角錐2で描かれる領域内の値を有すると共
に、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb
(Zn1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2
)O3から選ばれる少なくとも3種の成分を含みかつ前
記組成物のキュリー点が180℃以上であることがより
好ましい。
【0026】更に、前記組成物は、そのx,y,w,お
よびwが図1の三角錐2で描かれる領域内の値を有する
ものに0.001〜3モル%のLa203、Ta2O5およ
びWO3の群から選ばれる少なくとも1種の酸化物をさ
らに含有することにより特性の改善を図ることが出来
る。このような酸化物を所定量含有することによって、
前記圧電材料からなるブロックから矩形状に加工した時
の厚さ方向の電気機械結合係数(k33´)が増加する効
果をもたらす。
【0027】前記酸化物の含有量を規定したのは次のよ
うな理由によるものである。前記酸化物の含有量が0.
001モル%未満の場合には、電気機械結合係数の向上
を図る効果が有効に現われにくく、一方、前記酸化物の
含有量が3モル%を越えると単結晶内に変析し、逆に電
気機械結合係数を低下させる原因となる。より好ましい
前記酸化物の含有量は、0.1〜2モル%の範囲であ
る。
【0028】前記酸化物が添加された前記組成物におい
ても、x,y,zおよびwが図1の三角錐2で描かれる
領域内の値を有すると共に、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )
03、PbTiO3、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3および
Pb(Me1/2 Nb1/2 )O3 から選ばれる少なくとも
3種の成分を含みかつ前記組成物のキュリー点が180
℃以上となることが好ましい。
【0029】本発明に係わる圧電材料は、前記酸化物以
外の添加物、置換物、不純物等を本発明の効果を損なわ
ない範囲で含有することを許容する。具体的には、Nd
2O3,Sm2O3等のランタニド元素、MoO3,V2O5
等の添加物である。このような添加物を用いることによ
り前記圧電材料からなるブロックから矩形状に加工した
時の厚さ方向の電気機械結合係数(k33´)が増加する
効果をもたらす。また、Bi2O3、K2O,Sb2O3,
Cr2O3、HfO2等の不純物が0.1モル%以下含有
されてもよい。
【0030】なお、本発明に係わる圧電材料を構成する
組成物のより好ましい組成は、前記式xPb(Mg1/3
Nb2/3 )03 −yPbTiO3 −zPb(Zn1/3 N
b2/3 )O3 −wPb(Me1/2 Nb1/2 )O3のx,
y,z,wが下記e,f,g,h,iおよびjの点を直
線的に結んだ領域の値(線分ef上を除く)を有するも
のである。すなわち、図2に示すようにPb(Mg1/3
Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Zn1/3 Nb2/3
)O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O3をそれぞれ頂
点P1、P2、P3およびP4として有する正三角錐1を描
き、前記頂点P1、P2、P3およびP4の座標をそれぞれ
(X1,Y1,Z1,W1=1,0,0,0)、(X2,Y
2,Z2,W2=0,1,0,0)、(X3,Y3,Z3,W3
=0,0,1,0)、(X4,Y4,Z4,W4=0,0,
0,1)で表記した時、前記e,f,g,h,iおよび
jの点は前記正三角錐1の面上に位置し、座標X、Y、
ZおよびWで表される。
【0031】 X Y Z W e 0.75 0.25 0.00 0.00 f 0.40 0.60 0.00 0.00 g 0.02 0.02 0.96 0.00 h 0.02 0.20 0.78 0.00 i 0.02 0.28 0.00 0.70 j 0.02 0.55 0.00 0.43 換言すれば、x,y,z,wは図2に示す前記正三角錐
1の面上のe(X=0.75,Y=0.25,Z=0.00,W=0.00 )、
f(X=0.40,Y=0.60,Z=0.00,W=0.00 )、g(X=0.0
2,Y=0.02,Z=0.96,W=0.00 )、h(X=0.02,Y=0.20,
Z=0.78,W=0.00 )、i(X=0.02,Y=0.28,Z=0.00,W
=0.70 )およびj(X=0.02,Y=0.55,Z=0.00,W=0.43
)の点を直線的に結んだ三角柱3で描かれる領域の値
(線分ef上を除く)として規定される。
【0032】このようなx,y,zおよびwを図2で示
されるe,f,g,h,iおよびjの点を直線的に結ん
だ三角柱3で描かれる領域の値(線分ef上を除く)と
した組成物を含有する圧電材料は、より一層大きな電気
機械結合係数(k33´)を有する。
【0033】次に、本発明の圧電材料の製造方法につい
て説明する。図4に、本発明圧電材料となる単結晶材料
の育成装置の例を示す。図4において、電気炉19はそ
の内部にコイル状のヒータ20を備え、ヒータ20に囲
まれた電気炉内部には白金るつぼ21が設けられてい
る。白金るつぼ21に所定組成の単結晶材料22を入れ
て加熱し、単結晶23を得る。
【0034】製造方法としては例えば、まず、Pb,M
g,ZnIn,Yb,Nb,Ti等の酸化物または焼成
により酸化物になる炭酸塩、蓚酸塩、水酸化物、有機化
合物等を必要モル数秤量し、充分混合、粉砕して700
〜900℃で仮焼する。
【0035】この仮焼粉体にフラックスとなる酸化鉛
(PbO)や酸化ボロン(B2O3 )を所望の比率で混
合した後、白金るつぼに充填する。ひきつづき、前記白
金るつぼ内の混合物を1000〜1400℃まで昇温さ
せ、数時間保持後に0.2〜10℃/時間で850℃ま
で冷却する。その後、前記るつぼ内の溶融混合物を室温
まで冷却し、硝酸水溶液で煮沸することにより単結晶
(圧電材料)を取り出す。
【0036】このような方法により得られた圧電材料を
ラウエX線装置を用いて方位を定めて所望の形状に加工
し、得られた圧電体に電極を形成し、例えば20〜20
0℃の温度で1〜30KV/mmの電界を印加すること
により分極して振動子を作製する。前記単結晶作製方法
は、フラックス法の他のキロプ−ラス法、チョクラルス
キイ法、ブリッジマン法、水熱育成法、薄膜法などを採
用することができる。
【0037】次に、本発明に係わる超音波プローブを図
3を参照して詳細に説明する。圧電材料からなる複数の
圧電体11は、バッキング材12上に互いに分離して接
着されている。前記各々の圧電体11は図の矢印A方向
に振動する。第1電極13は、前記各々の圧電体11の
超音波送受信面からその側面および前記送受信面と反対
側の面の一部に亘ってそれぞれ形成されている。第2電
極14は、前記各々の圧電体11の前記送受信面と反対
側の面に前記第1電極13と所望の距離隔ててそれぞれ
形成されている。このような前記圧電体11、前記第
1、第2の電極13、14により超音波送受信素子が構
成される。音響マッチング層15は、前記各々の第1電
極13を含む前記各圧電体11の超音波送受信面にそれ
ぞれ形成されている。音響レンズ16は、前記各音響マ
ッチング層15の全体に亘って形成されている。フレキ
シブル印刷配線板17は、前記各々の第1電極13に接
続されている。アース電極板18は、前記各々の第2電
極14に例えばはんだ付けにより接続されている。図示
しない複数の導体(ケーブル)は前記フレキシブル印刷
配線板17およびアース電極板18にそれぞれ接続され
る。
【0038】このような図3に示す構造の超音波プロー
ブは、例えば次のような方法により作製される。まず、
例えば平板状焼結体でなる圧電材料に導電膜をスパッタ
法により蒸着し、選択エッチング技術により超音波送受
信面および前記送受信面と反対側の面に導電膜を残す。
つづいて、前記圧電材料の超音波送受信面となる面に音
響マッチング層を形成し、これらをバッキング材12上
に接着する。ひきつづき、ブレードを用いて前記音響マ
ッチング層から前記圧電材料に亘って複数回切断するこ
とにより前記バッキング材12上に第1、第2電極1
3、14を有する互いに分離された複数の圧電体11と
前記各圧電体11上にそれぞれ配置された複数の音響マ
ッチング層15が形成される。次いで、前記音響マッチ
ング層15に音響レンズ16を形成した後、フレキシブ
ル印刷配線板17を前記第1電極13にそれぞれ接続
し、前記第2電極14にアース電極板18を例えばはん
だ付けにより接続し、さらに図示しない複数の導体(ケ
ーブル)を前記フレキシブル印刷配線板17およびアー
ス電極板18にそれぞれ接続することにより超音波プロ
ーブを作製する。
【0039】なお、前記圧電体11は、幅が150μm
以下であることが好ましい。前記第1、第2電極13、
14は、例えばTi/Au、Ni/AuまたはCr/A
uの二層金属膜から形成される。
【0040】前記圧電体11は、式 xPb(Mg1/3
Nb2/3 )03 −yPbTiO3 −zPb(Zn1/3 N
b2/3 )O3 −wPb(Me1/2 Nb1/2 )O3(ただ
し、MeはIn,Ybから選ばれる少なくとも1種の金
属、x+y+z+w=1.00を示す)で表され、x,
y,zおよびwはそれぞれ下記a,b,c,dの点を直
線的に結んだ領域の値(線分ab上を除く)として規定
される組成物を含む圧電材料からなる。すなわち、前述
した図1に示すようにPb(Mg1/3 Nb2/3 )03、
PbTiO3、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3およびPb
(Me1/2 Nb1/2)O3をそれぞれ頂点P1 、P2、P3
およびP4として有する正三角錐を描き、前記頂点P1、
P2、P3およびP4の座標をそれぞれ(X1,Y1,Z1,
W1=1,0,0,0)、(X2,Y2,Z2,W2=0,
1,0,0)、(X3,Y3,Z3,W3=0,0,1,
0)、(X4,Y4,Z4,W4=0,0,0,1)で表記
した時、前記a,b,c,dの点は前記正三角錐の面上
に位置し、座標X、Y、ZおよびWで表されること特徴
とする圧電材料である。
【0041】 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78 本発明に係わる圧電材料に含まれる組成物は、x,y,
zおよびwが図1の三角錐2で描かれる領域内の値を有
すると共に、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTi
O3、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2
Nb1/2 )O3をすべて含むことが好ましい。
【0042】前記圧電体11は、前記式で表され、x,
y,zおよびwがそれぞれ前述した図2に示す正三角錐
1の面上のe(X=0.75,Y=0.25,Z=0.00,W=0.00 )、
f(X=0.40,Y=0.60,Z=0.00,W=0.00 )、g(X=0.0
2,Y=0.02,Z=0.96,W=0.00)、h(X=0.02,Y=0.20,
Z=0.78,W=0.00 )、i(X=0.02,Y=0.28,Z=0.00,W
=0.70 )およびj(X=0.02,Y=0.55,Z=0.00,W=0.43
)の点を直線的に結んだ三角柱3で描かれる領域の値
(線分ef上を除く)として規定される組成物を含む圧
電材料から形成されることがより好ましい。
【0043】前記圧電体11は、前記組成物に0.00
1〜3モル%のLa203、Ta2O5およびWO3の群か
ら選ばれる少なくとも1種の酸化物がさらに含有される
圧電材料から形成されることを許容する。前記酸化物の
含有量を規定したのは、前記圧電材料で述べたのと同様
な理由による。
【0044】本発明に係わる超音波プローブは、前記し
た組成物を含む圧電材料からなる圧電体を備えており、
このような組成物を有する前記圧電材料は、キュリー点
が高く、かつ電気機械結合係数(k33´)が大きく、し
たがって、このような圧電材料からなる圧電体を備えた
超音波プローブは高感度、高分解能かつ高い信頼性を有
することができる。
【0045】さらに、前記圧電体は高いキュリー点を有
するため、前記圧電体に高電圧(熱の発生)あるいは双
極性パルス駆動による脱分極等を生じることなく印加す
ることができる。その結果、前記圧電体の大きな電気機
械結合係数(k33´)との相互作用により極めて衝撃力
の強い超音波を放射する超音波プローブを実現できる。
このような超音波プローブは、結石破砕装置等にも有効
に利用できる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例を
詳細に説明する。 実施例1〜20 0.7リットルのポリエチレンポット中でジルコニアボ
−ルと純水を用いて、純度が99.9%以上のMg0と
Nb2O5とを1:2のモル比で秤量し粉砕、混合した
後、乾燥し、さらに1200℃で4時間仮焼した。得ら
れた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロンの
MgNb2O6粉末を調製した。
【0047】同様にして純度が99.9%以上のZn0
とNb2O5とを1:2のモル比で秤量し粉砕、混合し
た後、乾燥し、さらに1100℃で4時間仮焼した。得
られた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロン
のZnNb2O6粉末を調製した。
【0048】次いで純度が99.9%以上のIn2O3
およびYb2O3とNb2O5とをそれぞれ等モルずつ
になるよう秤量し粉砕、混合した後、乾燥し、さらに1
100℃で4時間仮焼した。得られた仮焼物を前記ポッ
ト中で再び粉砕しサブミクロンのInNbO4、YbN
bO4粉末をそれぞれ調製した。
【0049】つづいてこれらの粉末と純度が99.9%
以上のPbO,TiO及び表1、表3に示す添加物をそ
れぞれ表1、表3に示した組成になるように秤量し、ポ
ットミル中でジルコニアボ−ルと純水を用いて粉砕、混
合した後、乾燥し、さらに800℃で2時間仮焼した。
得られた各仮焼物をポット中で再び粉砕してサブミクロ
ンの粉体を作製した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表3】
【0052】次いで、前記各仮焼粉体と酸化鉛とを1:
3の割合で混合し、これらの混合物1kgを200ml
の白金るつぼにそれぞれ入れ、白金製の蓋で密閉した。
つづいて、前記各るつぼを電気炉の中にそれぞれセット
し、1250℃まで100℃/時間で昇温させた。6時
間の保持後、前記各るつぼの下部に酸素を導入し、底部
を上面よりも20℃以上低温となるように酸素流量を調
整した。ひきつづき、1℃/時間で850℃まで冷却し
た。その後に室温まで冷却し、20%硝酸水溶液で24
時間煮沸し、圧電材料である単結晶を取り出した。得ら
れた各単結晶は、10mm角を有する角板状であった。
【0053】前記各単結晶を[100]に方位を定め、
これらを加工して8mm×8mm×0.4mmの角板試
料をそれぞれ作製した。これらの角板の上下面および側
面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、選択
エッチング技術により前記角板の一方の側面に位置する
前記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反対側
の面に位置する前記導電膜の一部を除去した。シリコ−
ンオイル中で200℃×15kV/mmの電界を印加し
ながら25℃まで冷却して分極を行なった。これらの試
料について誘電率を測定した。さらに平板における厚さ
方向の電気機械結合係数(kt)を共振−***振法にて
測定した。ついで、前記各単結晶をダイシングソーを用
いて幅150μm、厚さ400μm、長さ6mmの矩形
状の試料をそれぞれ切り出し後、これらの試料について
厚さ方向の電気機械結合係数(k33´)を同様にして測
定した。なお、電気機械結合係数(k33´およびkt)
は、共振−***振法を用いてそれぞれ式1により求め
た。
【0054】
【式1】
【0055】ただし、数式中のfrは共振周波数、fa
は***振周波数をそれぞれ示す。
【0056】得られた結果を表2,表4に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表4】
【0059】次いで前記各単結晶の電気機械結合係数
(k33´)の温度依存性を室温から200℃の範囲で調
査した。室温での電気機械結合係数(k33´)と100
℃における電気機械結合係数(k33´)の変化率を比較
し合わせて表2,表4に示す。
【0060】さらに、前記各円板状の焼結体を用いて前
述した図3に示すアレイ形超音波プローブを作製した。
すなわち、前記円板状の焼結体を加工して幅10mm、
長さ10mm、厚さ400μmの角板を作製した。得ら
れた角板の上下面および側面にTi/Au導体膜をスパ
ッタ法により蒸着し、選択エッチング技術により前記角
板の一方の側面に位置する前記導電膜部分および超音波
送受信面となる面と反対側の面に位置する前記導電膜の
一部を除去した。つづいて、前記角板の超音波送受信面
となる面に音響マッチング層15を形成した後、これら
をバッキング材12上に接着した。引き続き、ダイヤモ
ンドブレードを用いて前記音響マッチング層15から前
記角板に亘って切り込み、150μmの幅で短冊状に切
断した。この切断により、前記バッキング材12上に第
1、第2電極13、14を有する互いに分離された幅1
50μm、長さ10mm、厚さ400μm、100個の
圧電体11と前記各圧電体11上にそれぞれ配置された
複数の音響マッチング層15が形成された。次いで、前
記音響マッチング層15に音響レンズ16を形成した
後、フレキシブル印刷配線板17を第1電極13に供さ
れる前記導電膜部分に半田付けにより接続した。また、
アース電極18を第2電極14に供される前記導電膜部
分に半田付けにより接続した。なお、フレキシブル印刷
配線板17およびアース電極18は導電ペーストを用い
て前記導体膜に接続してもよい。さらに図示しない11
0pF/m、長さ2mの複数の導体(ケーブル)をフレ
キシブル印刷配線板17およびアース電極板18にそれ
ぞれ接続することによりアレイ形超音波プローブを製造
した。
【0061】得られたアレイ型超音波プローブについて
高電圧駆動をした場合、あるいは双極性パルス駆動をし
たいずれも場合にも脱分極は起きず感度低下は見られな
かった。 実施例21〜22 まず、0.7リットルのポリエチレンポット中でジルコ
ニアボ−ルと純水を用いて、純度が99.9%以上のM
g0とNb2O5とを1:2のモル比で秤量し粉砕、混合
した後、乾燥し、さらに1200℃で4時間仮焼した。
得られた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロ
ンのMgNb2O6粉末を調製した。
【0062】同様にして純度が99.9%以上のZn0
とNb2O5とを1:2のモル比で秤量し粉砕、混合した
後、乾燥し、さらに1100℃で4時間仮焼した。得ら
れた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロンの
ZnNb2O6粉末を調製した。
【0063】次いで純度が99.9%以上のIn2O3
とNb2O5とを等モルずつになるよう秤量し粉砕、混合
した後、乾燥し、さらに1100℃で4時間仮焼した。
得られた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロ
ンのInNbO4粉末をそれぞれ調製した。
【0064】つづいてこれらの粉末と純度が99.9%
以上のPbO,TiO及び表5に示す組成になるように
秤量し、ポットミル中でジルコニアボ−ルと純水を用い
て粉砕、混合した後、乾燥し、さらに800℃で2時間
仮焼した。得られた各仮焼物をポット中で再び粉砕して
サブミクロンの粉体を作製した。
【0065】
【表5】
【0066】前記各仮焼粉体と酸化鉛とを1:3の割合
で混合し、これらの混合物を15mmφ×200mmの
白金るつぼにそれぞれ入れ、白金製の蓋で密閉した。つ
づいて、図4に示した中央部の温度が1250℃〜13
50℃、上下方向に2分割されたヒータ2により上下方
向の平均温度勾配が0.5℃/mmから3℃/mmとし
た内径50mm、長さ1000mmの縦型電気炉19に
前記白金るつぼ20を下支えにし、1250℃の温度ま
で7時間で昇温した後、6時間保持して前記るつぼ20
内の結晶原料を溶融させた。ついで、前記白金るつぼ2
0を電気炉19の中央により下部の温度勾配部分に向か
って微速度で約500mm下降させ、その後室温まで放
冷した。前記白金るつぼをそれぞれ破り、内容物を取り
出した。20%硝酸水溶液で24時間煮沸し、圧電材料
である単結晶を取り出した。得られた各単結晶は、15
mmφ×20mm程度であった。前記各単結晶を核発生
点から0.5mm程度の平板試料を4mm間隔で各5枚
ずつ切り出した。これらを加工して5mm×5mm×
0.4mmの角板試料をそれぞれ作製した。これらの角
板の上下面および側面にTi/Au導体膜をスパッタ法
により蒸着し、選択エッチング技術により前記角板の一
方の側面に位置する前記導電膜部分および超音波送受信
面となる面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を
除去した。その後、これらの試料について誘電率の温度
特性を測定した。その結果を表6にそれぞれ示す。
【0067】
【表6】
【0068】実施例の全ての組成において室温での誘電
率およびキュリー点のばらつきは非常に小さいことが分
かる。特性ばらつきが小さいため、前記各単結晶を超音
波プローブ用振動子として用いる場合、育成された結晶
のほぼ全領域を使用でき、効率的かつ経済的である。 比較例1〜2 スカンジウムを含む系を比較例1,2として表7に示
す。なお、比較例は以下の化学式で表される。xPb
(Mg1/3 Nb2/3 )03 −yPbTiO3 −zPb
(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −wPb(Sc1/2 Nb1/2
)O3(ただし、x+y+z+w=1.00を示す)。
【0069】
【表7】
【0070】まず、0.7リットルのポリエチレンポッ
ト中でジルコニアボ−ルと純水を用いて、純度が99.
9%以上のMg0とNb2O5とを1:2のモル比で秤量
し粉砕、混合した後、乾燥し、さらに1200℃で4時
間仮焼した。得られた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕
しサブミクロンのMgNb2O6粉末を調製した。
【0071】同様にして純度が99.9%以上のZn0
とNb2O5とを1:2のモル比で秤量し粉砕、混合した
後、乾燥し、さらに1100℃で4時間仮焼した。得ら
れた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロンの
ZnNb2O6粉末を調製した。
【0072】次いで純度が99.9%以上のSc2O3
とNb2O5とを等モルずつになるよう秤量し粉砕、混合
した後、乾燥し、さらに1100℃で4時間仮焼した。
得られた仮焼物を前記ポット中で再び粉砕しサブミクロ
ンのInNbO4粉末をそれぞれ調製した。
【0073】つづいてこれらの粉末と純度が99.9%
以上のPbO,TiO及び表7に示す組成になるように
秤量し、ポットミル中でジルコニアボ−ルと純水を用い
て粉砕、混合した後、乾燥し、さらに800℃で2時間
仮焼した。得られた各仮焼物をポット中で再び粉砕して
サブミクロンの粉体を作製した。
【0074】前記各仮焼粉体と酸化鉛とを1:3の割合
で混合し、これらの混合物を15mmφ×200mmの
白金るつぼにそれぞれ入れ、白金製の蓋で密閉した。つ
づいて、図4に示した中央部の温度が1350℃〜14
50℃、上下方向に2分割されたヒータ2により上下方
向の平均温度勾配が0.5℃/mmから3℃/mmとし
た内径50mm、長さ1000mmの縦型電気炉19に
前記白金るつぼ20を下支えにし、1450℃の温度ま
で7時間で昇温した後、6時間保持して前記るつぼ20
内の結晶原料を溶融させた。ついで、前記白金るつぼ2
0を電気炉19の中央により下部の温度勾配部分に向か
って微速度で約500mm下降させ、その後室温まで放
冷した。前記白金るつぼをそれぞれ破り、内容物を取り
出した。その後20%硝酸水溶液で24時間煮沸し、圧
電材料である単結晶を取り出した。得られた各単結晶
は、15mmφ×20mm程度であった。前記各単結晶
を核発生点から0.5mm程度の平板試料を4mm間隔
で各5枚ずつ切り出した。これらを加工して5mm×5
mm×0.4mmの角板試料をそれぞれ作製した。これ
らの角板の上下面および側面にTi/Au導体膜をスパ
ッタ法により蒸着し、選択エッチング技術により前記角
板の一方の側面に位置する前記導電膜部分および超音波
送受信面となる面と反対側の面に位置する前記導電膜の
一部を除去した。その後、これらの試料について誘電率
の温度特性を測定した。その結果を表8にそれぞれ示
す。
【0075】
【表8】
【0076】本比較例の全ての組成において室温での誘
電率およびキュリー点のばらつきは非常に大きいことが
分かる。特性ばらつきが大きいため、前記各単結晶を超
音波プローブ用振動子として用いる場合、育成された結
晶から得られる特性の均一な部分は狭い領域となり、非
経済的である。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば誘
電率が大きくかつキュリー点が高く、しかも矩形状に加
工した際の厚み方向の電気機械結合係数(k33')の大
きい圧電材料を提供することができる。また、本発明の
圧電材料は組成の均一性に優れ、育成された単結晶の広
い領域を利用できることとなる。したがって本発明の圧
電材料からなる圧電体を超音波送受信素子に具備する超
音波プローブは駆動時の発熱等による脱分極の恐れがな
く長期にわたり高感度、高分解能という性能を低コスト
にて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる圧電材料に含まれる組成範囲を
示す4元図。
【図2】本発明に係わる圧電材料に含まれるより好まし
い組成範囲を示す4元図。
【図3】本発明に係わる超音波プローブを示す斜視図。
【図4】本発明に係わる圧電材料(単結晶)を製造するた
めの育成装置を示す概略図。
【符号の説明】
1…正三角錐、2…三角錐、3…三角柱、11…圧電体、12
…バッキング材、13,14…電極、15…音響マッチング
層、16…音響レンズ、17…フレキシブル印刷配線板、1
8…アース電極19…電気炉、20…ヒータ、21…白金るつ
ぼ、22…単結晶原料、23…単結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/187 H01L 41/08 U H04R 17/00 332 41/18 101F (72)発明者 山下 洋八 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 2G047 AA12 BC07 BC13 CA01 EA01 EA11 GB02 GB11 GH06 4C301 EE06 EE12 GB33 GB36 4G030 AA07 AA11 AA16 AA20 AA32 AA34 AA40 BA10 4G031 AA03 AA07 AA11 AA14 AA26 AA27 AA32 BA10 5D019 AA21 BB18 FF04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 xPb(Mg1/3 Nb2/3 )03 −
    yPbTiO3 −zPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −w
    Pb(Me1/2 Nb1/2 )O3 (ただし、MeはIn,
    Ybから選ばれる少なくとも1種の金属、x+y+z+
    w=1.00を示す)で表され、x,y,zおよびwは
    それぞれ下記a,b,c,dの点を直線的に結んだ領域
    の値(線分ab上を除く)として規定される組成物を含
    有し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、P
    b(Zn1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/
    2 )O3をそれぞれ頂点P1 、P2、P3およびP4として
    有する正三角錐を描き、前記頂点P1、P2、P3および
    P4の座標をそれぞれ(X1,Y1,Z1,W1=1,0,
    0,0)、(X2,Y2,Z2,W2=0,1,0,0)、
    (X3,Y3,Z3,W3=0,0,1,0)、(X4,Y
    4,Z4,W4=0,0,0,1)で表記した時、前記
    a,b,c,dの点は前記正三角錐の面上に位置し、座
    標X、Y、ZおよびWで表されること特徴とする圧電材
    料。 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78
  2. 【請求項2】 前記組成物は、x,y,zおよびwが前
    記領域内の値を有すると共に、Pb(Mg1/3 Nb2/3
    )03、PbTiO3、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3お
    よびPb(Me1/2 Nb1/2 )O3をすべて含むことを
    特徴とする請求項1記載の圧電材料。
  3. 【請求項3】 0.001〜3モル%のLa203、Ta
    2O5およびWO3の群から選ばれる少なくとも1種の酸
    化物が前記組成物にさらに添加されることを特徴とする
    請求項1記載の圧電材料。
  4. 【請求項4】 前記酸化物が添加される前記組成物は、
    x,y,zおよびwが前記領域内の値を有すると共に、
    Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Z
    n1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O
    3から選ばれる少なくとも3種の成分を含みかつ前記組
    成物のキュリー点が180℃以上であることを特徴とす
    る請求項3記載の圧電材料。
  5. 【請求項5】 超音波送受信面を有する圧電体と、前記
    圧電体の超音波送受信面および前記送受信面と反対側の
    面にそれぞれ形成される一対の電極とを具備し、前記圧
    電体は、式 xPb(Mg1/3 Nb2/3 )03 −yPb
    TiO3 −zPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −wPb
    (Me1/2 Nb1/2 )O3 (ただし、MeはIn,Yb
    から選ばれる少なくとも1種の金属、x+y+z+w=
    1.00を示す)で表され、x,y,zおよびwはそれ
    ぞれ下記a,b,c,dの点を直線的に結んだ領域の値
    (線分ab上を除く)として規定される組成物を含有
    し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb
    (Zn1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2
    )O3をそれぞれ頂点P1 、P2、P3およびP4として
    有する正三角錐を描き、前記頂点P1、P2、P3および
    P4の座標をそれぞれ(X1,Y1,Z1,W1=1,0,
    0,0)、(X2,Y2,Z2,W2=0,1,0,0)、
    (X3,Y3,Z3,W3=0,0,1,0)、(X4,Y
    4,Z4,W4=0,0,0,1)で表記した時、前記
    a,b,c,dの点は前記正三角錐の面上に位置し、座
    標X、Y、ZおよびWで表されること特徴とする圧電材
    料からなることを特徴とする超音波プローブ。 X Y Z W a 0.80 0.20 0.00 0.00 b 0.02 0.98 0.00 0.00 c 0.02 0.02 0.96 0.00 d 0.02 0.20 0.00 0.78
  6. 【請求項6】 前記圧電材料を構成する前記組成物は、
    x,y,zおよびwが前記領域内の値を有すると共に、
    Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Z
    n1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O
    3をすべて含むことを特徴とする請求項5記載の超音波
    プローブ。
  7. 【請求項7】 前記圧電材料は、前記組成物に0.00
    1〜3モル%のLa203、Ta2O5およびWO3の群か
    ら選ばれる少なくとも1種の酸化物がさらに添加される
    ことを特徴とする請求項5記載の超音波プローブ。
  8. 【請求項8】 前記酸化物が添加される前記組成物は、
    x,y,zおよびwが前記領域内の値を有すると共に、
    Pb(Mg1/3 Nb2/3 )03、PbTiO3、Pb(Z
    n1/3 Nb2/3 )O3およびPb(Me1/2 Nb1/2 )O
    3から選ばれる少なくとも3種の成分を含みかつ前記組
    成物のキュリー点が180℃以上であることを特徴とす
    る請求項7記載の超音波プローブ。
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