JP3258111B2 - 超音波送受信素子、超音波プローブおよび超音波治療装置用送波器 - Google Patents

超音波送受信素子、超音波プローブおよび超音波治療装置用送波器

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JP3258111B2
JP3258111B2 JP02262693A JP2262693A JP3258111B2 JP 3258111 B2 JP3258111 B2 JP 3258111B2 JP 02262693 A JP02262693 A JP 02262693A JP 2262693 A JP2262693 A JP 2262693A JP 3258111 B2 JP3258111 B2 JP 3258111B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波送受信素子、超
音波プローブおよび超音波治療装置用送波器に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波プローブは、圧電素子を有する超
音波送受信素子を備えている。前記超音波プローブは、
超音波を対象物に向けて照射し、その対象物における音
響インピーダンスの異なる界面からの反射エコーを受信
することにより前記対象物の内部状態を画像化するため
に用いられる。このような前記超音波プローブを組み込
んだ超音波画像装置は、例えば人体内部を検査するため
の医療用診断装置および金属溶接内部の探傷を目的とす
る検査装置等に応用されている。
【0003】近年、前記医療用診断装置の一つとして、
人体の断層像(Bモード像)に加え、心臓、肝臓、頸動
脈等を対象に超音波の血流によるドプラシフトを利用し
て血流の速度を2次元でカラー表示することが可能な
「カラーフローマッピング(CFM)法」を採用したも
のが開発され、前記医療用診断装置によりその診断能力
が飛躍的に向上した。前記CFM法を採用した医療用診
断装置は子宮や肝臓、脾蔵などの人体のあらゆる臓器、
器官の診断に用いられ、今後は冠血栓の診断も可能な装
置を目指して研究がなされている。
【0004】前者のBモード像の場合には、身体的変化
による小さな病変や空隙が明瞭に深部まで見えるように
するために、高解像度の画像が高感度で得られることが
要求される。後者のCFM像を得ることができるドプラ
モードの場合には、直径が数μm程度の微小な血球から
の反射エコーを用いるため、前記Bモードの場合に比べ
て得られる信号レベルが小さくなり、より高感度化が要
求される。
【0005】ところで、従来、前記超音波プローブを構
成する前記超音波送受信素子はその性能面から以下のよ
うな構造のものが用いられている。
【0006】(1)超音波プローブにより生体に超音波
を照射した際の超音波減衰は、骨等を除いて0.5〜1
dB/MHz・cm程度であるため、前記生体から高感
度の信号を得るには前記超音波送受信素子から照射され
る超音波の周波数を下げることが好ましい。ただし、周
波数を下げ過ぎると超音波の波長が長くなって分解能が
低下する恐れがあるため、通常、2〜10MHzの周波
数の超音波を放射するようにしている。
【0007】(2)超音波送受信素子の圧電体は、電気
機械結合係数が大きく、かつケーブルや装置浮遊容量に
よる損失が少ない送受信回路とのマッチングが取りやす
い誘電率の大きい材料から形成することが必要である。
このため、前記圧電体は主としてチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)系セラミックから形成されている。
【0008】(3)短冊状の圧電体を有する超音波送受
信素子を数10から200個程度配列したアレイ形超音
波プローブは、高い分解能を有する。
【0009】しかしながら、従来の超音波プローブは次
のような問題があった。
【0010】(a)前記超音波送受信素子は、通常、前
記圧電体の厚み振動の共振を利用して超音波を放射す
る。生体の超音波減衰の影響を小さくするには、前述し
たように前記超音波の周波数を下げる必要がある。超音
波の周波数を下げるためには、前記圧電体の振動方向の
厚さを厚くする必要がある。例えば2.5MHzの周波
数の超音波を放射するには、前記PZT系セラミックか
らなる圧電体はその振動方向の厚さを600μmにする
必要がある。このように圧電体の厚さが厚くなると、種
々の問題を生じる。すなわち、ブロック状のPZT系セ
ラミックから短冊状の圧電体を加工するには、半導体シ
リコンウェハ等の切断に用いられているダイサが使用さ
れている。前記圧電体の振動方向の厚さが厚くなると、
所定のピッチで切断する時の切り込みが深くなる。この
ため、薄いブレードを用いて切断すると切り込み溝が斜
めになったり、切り込み部の蛇行や前記圧電体の破損を
生じやすくなる。これを回避するために厚いブレードを
用いて加工を行うと、切り込み量が増大するため、加工
前のブロック状のPZT系セラミックの大きさは一定で
あることから、1枚当たりの圧電体の超音波送受信面の
面積が小さくなる。その結果、感度が低下すると共に、
サイドローブ(グレーティングローブ)レベルが増加す
る。
【0011】(b)アレイ形超音波プローブを生体と接
触させる場合、超音波放射面の口径を大きくすることが
できないため、超音波送受信素子の数が増大するに伴っ
て圧電体1個当たりのインピーダンスが高くなり、送受
信回路とのマッチングが取りにくくなる。前記マッチン
グ性に関しては、比誘電率の大きいPZT系セラミック
を圧電体として用いることにより回避することが可能で
ある。しかしながら、前記PZT系セラミックは比誘電
率が3000を越えると電気機械結合係数が小さくなる
性質を有するため、感度が低下するという問題が新たに
生じる。
【0012】また、前記(b)の問題に対して圧電体を
積層構造にしたり、インピーダンス変換器を組み込むこ
とによって送受信回路とのマッチングを取ることが行わ
れている。しかしながら、積層構造では送信感度が積層
数に応じて増大するものの、受信感度は積層数に反比例
する。このため、適用可能な分野は圧電体が通常より小
さい場合やケーブルが長い場合などの特殊な用途に限ら
れる。また、エミッタフォロワなどのインピーダンス変
換器を使用すると、超音波プローブの大型化を招くと共
にインピーダンス変換器固有の周波数特性により狭帯域
化を起こす。
【0013】一方、メタニオブ酸鉛やポリフッ化ビニリ
デンまたはその共重合体のような高分子材料からなる圧
電体は周波数定数が小さく、低い周波数でもPZT系セ
ラミックより薄くすることが可能であることが知られて
いる。しかしながら、前記高分子材料は誘電率と電気機
械結合係数が小さく実用的ではない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように高感度化
のために生体の超音波減衰が少ない低周波駆動の超音波
プローブを得るには、従来のPZT系セラミックでは厚
くなる。このため、短冊状に切断する際に薄いブレード
を用いると切り込み溝が斜めになったり、切り込み部の
蛇行や圧電体の破損を生じやすくなる。また、厚いブレ
ードを用いると1枚当たりの圧電体の超音波送受信面の
面積が切り込み部の増大に伴って小さくなり、感度が低
下すると共に、サイドローブレベルが増加する。さら
に、圧電体が厚くなると、電気インピーダンスが大きく
なることから送受信回路とのマッチングが取りにくくな
る。
【0015】本発明の目的は、低周波駆動を達成できる
と共に、圧電体の振動方向の厚さを薄くでき、送受信回
路とのマッチングが取り易く、さらに高感度化が可能な
超音波送受信素子を提供しようとするものである。
【0016】本発明の目的は、低周波駆動を達成できる
と共に、圧電体の振動方向の厚さを薄くでき、送受信回
路とのマッチングが取り易く、さらに高感度化が可能な
超音波送受信素子を備えた超音波プローブを提供しよう
とするものである。
【0017】本発明の別の目的は、各超音波送受信素子
の超音波送受信面から放射される超音波の周波数を一定
にでき、高分解能の音波ビームを得ることが可能なアレ
イ形の超音波プローブを提供しようとするものである。
【0018】本発明の別の目的は、強力で制御性が良好
な衝撃波を発生することが可能な超音波治療装置用送波
器を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波送受
信素子は、亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶
からなる圧電体と、この圧電体の超音波送受信面および
前記送受信面と反対側の面にそれぞれ設けられた一対の
電極とを有し、前記圧電体は、前記超音波送受信面およ
びこの超音波送受信面と反対側の面がそれぞれ0.4μ
m以下の平均表面粗さを有し、かつ4μm以下の最大表
面粗さを有することを特徴とするものである。
【0020】本発明に係る超音波プローブは、前記超音
波送受信素子と、前記超音波送受信素子の前記超音波送
受信面上に設けられた音響マッチング層と、前記音響マ
ッチング層上に設けられた音響レンズと、前記超音波送
受信素子の前記超音波送受信面と反対側の面上に設けら
れたバッキング材とを具備したことを特徴とするもので
ある。
【0021】以下、本発明に係る超音波送受信素子およ
び超音波プローブを図1を参照して詳細に説明する。
【0022】亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結
晶からなる複数の圧電体1は、バッキング材2上に互い
に分離して接着されている。前記各々の圧電体1は図の
矢印A方向に振動する。第1電極3は、前記各々の圧電
体1の超音波送受信面からその側面およびおよび前記送
受信面と反対側の面の一部に亘ってそれぞれ形成されて
いる。第2電極4は、前記各々の圧電体1の前記送受信
面と反対側の面に前記第1電極3と所望の距離隔ててそ
れぞれ形成されている。このような前記圧電体1、前記
第1、第2の電極3、4により超音波送受信素子が構成
される。音響マッチング層5は、前記各々の第1電極3
を含む前記各圧電体1の超音波送受信面にそれぞれ形成
されている。音響レンズ6は、前記各音響マッチング層
5の全体に亘って形成されている。アース電極板7は、
前記各々の第1電極3に接続されている。複数の導体
(ケーブル)を有するフレキシブル印刷配線板8は、前
記各々の第2電極4に例えばはんだ付けにより接続され
ている。
【0023】このような図1に示す構造の超音波プロー
ブは、例えば次のような方法により作製される。
【0024】まず、ブロック状をなす亜鉛ニオブ酸鉛−
チタン酸鉛の固溶系単結晶片に導電膜をスパッタ法によ
り蒸着し、選択エッチング技術によりの超音波送受信面
および前記送受信面と反対側の面に導電膜を残す。つづ
いて、前記単結晶片の超音波送受信面側の前記導電膜端
部上にアース電極7を例えばはんだ付けにより接続した
後、前記単結晶片の超音波送受信面となる面に音響マッ
チング層を形成する。ひきつづき、前記単結晶片の前記
超音波送受信面と反対側の面に位置する前記導電膜端部
上に複数の導体(ケーブル)を有するフレキシブル印刷
配線板8を例えばはんだ付けにより接続した後、これら
をバッキング材2上に接着する。その後、ブレードを用
いて前記音響マッチング層から前記単結晶片の前記超音
波送受信面と反対側の面に位置する前記導電膜に亘って
複数回切断することにより前記バッキング材2上に第
1、第2電極3、4を有する互いに分離された複数の圧
電体1と前記各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の
音響マッチング層5が形成される。次いで、前記音響マ
ッチング層4に音響レンズ6を形成することにより超音
波プローブを作製する。
【0025】前記圧電体1を構成する亜鉛ニオブ酸鉛−
チタン酸鉛の固溶系単結晶は、例えば次のような方法に
より製造される。
【0026】まず、出発原料として化学的に高純度のP
bO、ZnO、Nb2 5 、TiO2 を用い、これらを
純度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタン酸
鉛(PT)とが所望のモル比になるように秤量し、さら
にフラックスとして同量のPbOを添加する。この粉末
に純水を添加し、例えばZrO2 ボールが収納されたボ
ールミルで所望時間混合する。得られた混合物の水分を
除去した後、例えばライカイ機のような粉砕機で十分に
粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、所望の圧力でラバー
プレスを行なう。ゴム型から取り出した固形物を例えば
白金からなる所望容量の容器に入れ、所望の温度で溶解
する。冷却後、さらに前記固形物を前記容器に入れ、例
えば白金からなる蓋で密閉し、前記容器を電気炉の中心
に設置する。前記溶解温度より高い温度まで昇温し、所
望の降温速度で溶解温度付近まで徐冷した後、室温まで
冷却する。その後、前記容器に所望濃度の硝酸を添加
し、煮沸して固溶系単結晶を取り出すことにより製造す
る。
【0027】前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系
単結晶は、前述したフラックス法の他に、例えばブリッ
ジマン法やキロプーロス法、水熱育成法などによっても
同様に製造することが可能である。
【0028】前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系
単結晶としては、チタン酸鉛のモル分率が20%以下
(モル比で0.20以下)の組成のものを用いることが
望ましい。このような固溶系単結晶からなる圧電体を用
いることにより、PZTセラミックからなる圧電体に比
べて音速を20%以上遅くすることができるため、高感
度化が図られた超音波プローブを得ることが可能にな
る。
【0029】特に、一般式 PbA [(Zn1/3 Nb2/3 1-x Tix B 3 (ただし、xは0.05≦x≦0.20、化学量論比A
/Bは0.98≦A/B<1.00を示す)で表される
組成からなる亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結
晶を用いることが望ましい。
【0030】前記一般式のxを規定したのは次のような
理由によるものである。前記xを0.05未満にする
と、前記固溶系単結晶のキュリー温度が低く、前記フレ
キシブル印刷配線板7および前記アース電極板8の半田
付け時や前記固溶系単結晶の切断時に脱分極する恐れが
ある。一方、前記xが0.20を越えると大きな電気機
械結合係数が得られないばかりか、誘電率が低下して送
受信回路都の音響インピーダンスのマッチングが取り難
くなる恐れがある。より好ましいxは0.06〜0.1
2である。
【0031】前記一般式の前記A/Bが前記範囲を逸脱
すると得られた超音波プローブの実作動時における信頼
性が低下する恐れがある。
【0032】前記圧電体1は、振動方向の厚さが200
〜400μmであることが好ましい。
【0033】前記圧電体1は、前記超音波送受信面およ
びこの超音波送受信面と反対側の面がそれぞれ0.4μ
m以下の平均表面粗さを有し、かつ4μm以下の最大表
面粗さを有する。前記平均表面粗さおよび前記最大表面
粗さがそれぞれ0.4μm、4μmを越えると感度のよ
うな長期信頼性が低下する恐れがある。より好ましい前
記平均表面粗さおよび前記最大表面粗さはそれぞれ0.
3μm以下、3μm以下である。
【0034】前記圧電体1は、超音波送受信面が(00
1)面であることが望ましい。このような圧電体1は、
前記固溶系単結晶の[001]軸(C軸)に対して垂直
に切り出すことにより作製される。
【0035】前記第1、第2電極3、4は、例えばTi
/Au、Ni/AuもしくはCr/Auの二層導電膜、
またはガラスフリットを含む銀焼付け等から形成され
る。
【0036】なお、前記電極3、4の配置の形態および
前記アース電極板7、前記フレキシブル印刷配線板8の
前記電極3、4への取付け形態は前述した図1に限定さ
れない。例えば、前記アース電極板7および前記フレキ
シブル印刷配線板8と前記電極3、4との接合は、はん
だ付け以外に、導電ペーストの使用、抵抗溶接による方
法で行ってもよい。
【0037】前述した図1ではアレイ形の超音波プロー
ブを示したが、本発明は単一の超音波送受信素子を備え
た超音波プローブも包含する。
【0038】また、本発明に係る超音波プローブは亜鉛
ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶からなる圧電体
と、この圧電体の超音波送受信面およびこの超音波送受
信面と反対側の面にそれぞれ設けられた一対の電極とを
有する複数の超音波送受信素子;前記複数の超音波送受
信素子の前記超音波送受信面上にそれぞれ設けられた音
響マッチング層;前記音響マッチング層上に設けられた
音響レンズ;前記各超音波送受信素子の前記超音波送受
信面と反対側の面上に設けられたバッキング材;を具備
し前記圧電体は、前記超音波送受信面がその配列方向と
直交する方向に凹状に湾曲すると共に厚さが一定な形状
を有し、かつ前記凹状超音波送受信面の中央部が最大の
電気機械結合係数を有することを特徴とするものであ
る。
【0039】以下、本発明に係る超音波プローブ(アレ
イ形超音波プローブ)を図2を参照して詳細に説明す
る。
【0040】亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結
晶からなる複数の圧電体11は、バッキング材12上に
互いに分離して接着されている。前記各々の圧電体11
は、超音波送受信面がその配列方向と直交する方向に凹
状に湾曲すると共に厚さが一定な形状を有し、かつ前記
凹状超音波送受信面の中央部が最大の電気機械結合係数
を有する。前記各々の圧電体11は、図2の矢印A方向
に振動する。第1電極13は、前記各々の圧電体11の
凹状超音波送受信面にそれぞれ形成されている。第2電
極14は、前記各々の圧電体11の前記送受信面と反対
側の凸状面と前記バッキング材12の間にそれぞれ介在
されて、前記各々の圧電体11に良好に接触されてい
る。このような前記圧電体11、前記第1、第2の電極
13、14により超音波送受信素子が構成される。音響
マッチング層15は、前記各々の第1電極13上にそれ
ぞれ形成されている。前記音響マッチング層15は、前
記圧電体11と同様に表面がその配列方向と直交する方
向に凹状に湾曲すると共に厚さが一定な形状を有する。
アース電極16は、前記各々の第1電極13と前記各々
の音響マッチング層15の間に前記圧電体11の配列方
向に沿って介在され、前記各々の第1電極13に接続さ
れている。複数の導体(ケーブル)を有するフレキシブ
ル印刷配線板17は、前記各々の第2電極14と前記バ
ッキング材12の間に前記圧電体11の配列方向に沿っ
て介在され、前記各々の第2電極14に接続されてい
る。
【0041】このような図2に示す構造のアレイ型超音
波プローブは、例えば次のような方法により作製され
る。
【0042】まず、超音波送受信面が凹状に湾曲され、
かつ前記送受信面と反対側の面が凸状に湾曲した厚さが
一定なブロック状をなす亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の
固溶系単結晶片を作製し、この単結晶片に導電膜をスパ
ッタ法により蒸着する。つづいて、この単結晶片の凹状
面側の導電膜端部上にアース電極16を前記単結晶片の
湾曲方向と直交する方向に沿って導電ペーストを用いて
接着する。前記アース電極16を含む前記凹状面側の導
電膜上に前記単結晶片と同様に厚さが一定で表面が凹状
に湾曲し音響マッチング層を形成する。ひきつづき、前
記単結晶片の前記凸状面に位置する前記導電膜端部上に
複数の導体(ケーブル)を有するフレキシブル印刷配線
板17を前記単結晶片の湾曲方向と直交する方向に沿っ
て導電ペーストを用いて接着した後、これらをバッキン
グ材12上に接着する。次いで、ブレードを用いて前記
音響マッチング層から前記単結晶片に亘ってその単結晶
片の湾曲方向と平行になるように複数回切断することに
より前記バッキング材12上に第1、第2電極13、1
4を有する互いに分離された複数の圧電体11と前記各
々の圧電体11上に形成された複数の音響マッチング層
5が形成されたアレイ形超音波プローブを作製する。
【0043】前記圧電体11を構成する亜鉛ニオブ酸鉛
−チタン酸鉛の固溶系単結晶としては、チタン酸鉛のモ
ル分率が20%以下(モル比で0.20以下)の組成の
ものを用いることが望ましい。特に、一般式Pb
A [(Zn1/3 Nb2/3 1-x Tix B 3 (ただ
し、xは0.05≦x≦0.20、化学量論比A/Bは
0.98≦A/B<1.00を示す)で表される組成か
らなる亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶を用
いることが望ましい。
【0044】前記圧電体11の凹状超音波送受信面の中
央部を最大の電気機械結合係数にするには、例えば前記
凹状超音波送受信面の中央部の結晶方位を電気機械結合
係数が最大になるように設定する手法を採用することが
できる。具体的には、前記凹状超音波送受信面の中央部
の結晶方位を(100)面にすることにより達成され
る。
【0045】前記圧電体11は、振動方向の厚さが20
0〜400μmであることが好ましい。
【0046】前記圧電体11は、前記凹状超音波送受信
面およびこの超音波送受信面と反対側の凸状面がそれぞ
れ0.4μm以下の平均表面粗さを有し、かつ4μm以
下の最大表面粗さを有することが好ましい。前記平均表
面粗さおよび前記最大表面粗さがそれぞれ0.4μm、
4μmを越えると感度のような長期信頼性が低下する恐
れがある。より好ましい前記平均表面粗さおよび前記最
大表面粗さはそれぞれ0.3μm以下、3μm以下であ
る。
【0047】前記第1、第2電極13、14は、例えば
Ti/Au、Ni/AuもしくはCr/Auの二層導体
膜、またはガラスフリットを含む銀焼付け等から形成さ
れる。
【0048】さらに、本発明に係わる超音波治療装置用
送波器は亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶か
らなる圧電体と、この圧電体の超音波発生面およびこの
超音波発生面と反対側の面にそれぞれ設けられた一対の
電極とを有する複数の超音波発生素子;前記複数の超音
波送発生素子の前記超音波送受信面上にそれぞれ設けら
れた音響マッチング層;を具備し、前記複数の超音波送
発生素子は、稠密配置されることを特徴とするものであ
る。
【0049】前記圧電体は、超音波発生面が(001)
面であることが望ましい。このような圧電体は、前記固
溶系単結晶の[001]軸(C軸)に対して垂直に切り
出すことにより作製される。
【0050】前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系
単結晶としては、チタン酸鉛のモル分率が20%以下
(モル比で0.20以下)の組成のものを用いることが
望ましい。特に、一般式PbA [(Zn1/3 Nb2/3
1-x Tix B 3 (ただし、xは0.05≦x≦0.
20、化学量論比A/Bは0.98≦A/B<1.00
を示す)で表される組成からなる亜鉛ニオブ酸鉛−チタ
ン酸鉛の固溶系単結晶を用いることが望ましい。
【0051】前記電極は、例えばTi/Au、Ni/A
uもしくはCr/Auの二層導体膜、またはガラスフリ
ットを含む銀焼付け等から形成される。
【0052】
【作用】本発明に係る前述した図1に示す超音波プロー
ブは、圧電体1として亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固
溶系単結晶を用いている。このため、前記固溶系単結晶
からなる圧電体に電極を形成して分極処理を施すことに
より、約2200の比誘電率が得られる。また、超音波
送受信素子は前記固溶系単結晶を例えば[001]軸に
対して垂直に切り出して最大の電気機械結合係数(k33
´)が得られる(001)面が超音波送受信面になる短
冊状の圧電体を形成し、前記圧電体の(001)面に第
1、第2の電極3、4をそれぞれ形成することにより作
製される。このような超音波送受信素子は、前記圧電体
1の(001)面の方位を有する超音波送受信面から音
速が2700〜3000m/s(周波数定数1350〜
1500Hz・m)の超音波を放射する。このため、前
記超音波送受信素子は従来のPZT系セラミックからな
る圧電体を有する超音波送受信素子の同音速(4000
m/s)に比べて30%程度遅くすることができる。特
に、音速を速める成分であるチタン酸のモル分率を20
%以下(モル比で0.20以下)にした組成の亜鉛ニオ
ブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶からなる圧電体を用
いれば、音速をより一層遅くすることができる。
【0053】前記超音波送受信素子から放射された超音
波の周波数をf0、前記超音波の音速をv、前記素子の
圧電体の振動方向の厚さをtとすると、f0は次式で表
される。
【0054】f0=v/2t したがって、前記超音波送受信素子は前述したように音
速が遅い超音波を放射できるために、前記式より前記周
波数(f0 )を低い値にしても、前記素子の圧電体の厚
さを薄くすることができる。換言すれば、高感度信号が
得られる低周波駆動を計れると共に、前記固溶系単結晶
からなる圧電体の振動方向の厚さを薄くすることができ
る。
【0055】このようなことから、前記固溶系単結晶を
短冊状に加工するに際してダイシングマシーンのブレー
ドの切り込み深さを浅くでき、薄いブレードを用いても
切り込み部の蛇行などを生じることなく真っ直ぐに切り
込むことができる。しかも、切断工程での切り込み量を
少なくすることができる。その結果、製造歩留まりを向
上できると共に、前記圧電体の超音波送受信面を所望の
面積に維持できるため、サイドローブが低減された高性
能の超音波プローブを得ることができる。
【0056】また、前記固溶系単結晶からなる圧電体は
前述したように従来のPZT系セラミックからなる圧電
体と同等以上の比誘電率を有するため、送受信回路との
マッチングが良好となる。このため、ケーブルや装置浮
遊容量分による損失を低減でき、高感度の信号を得るこ
とができる。
【0057】さらに、超音波送受信素子は前記亜鉛ニオ
ブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶として、Pb
A [(Zn1/3 Nb2/3 1-x Tix B 3 (ただ
し、xは0.05≦x≦0.20、化学量論比A/Bは
0.98≦A/B<1.00を示す)で表される組成か
らなるものを用い、前記固溶系単結晶を例えば[00
1]軸に対して垂直に切り出して最大の電気機械結合係
数(k33´)が得られる(001)面を超音波送受信面
になる短冊状に加工し、前記(001)面に電極をそれ
ぞれ形成することにより構成される。このような超音波
送受信素子は、(001)面の方位を有する超音波送受
信面からの音速は2700〜3000m/s(周波数定
数1350〜1500Hz・m)になり、かつ前記k33
´は80〜85%の大きな値が得られる。その結果、前
記超音波送受信素子を備えた超音波プローブを診断装置
に接続し、実可動条件である50〜150Vのパルス電
圧、3〜15kHzの繰り返し周波数で1000時間程
度の試験を行った場合でも可動初期の良好な感度を維持
することができる。
【0058】さらに、前記超音波送受信素子を構成する
圧電体が超音波送受信面およびこの超音波送受信面と反
対側の面がそれぞれ0.4μm以下の平均表面粗さを有
し、かつ4μm以下の最大表面粗さを有する亜鉛ニオブ
酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶から形成されると、例
えば実可動条件である50〜150Vのパルス電圧、3
〜15kHzの繰り返し周波数で1000時間以上実作
動試験を行っても感度の低下が認められず、長期信頼性
の優れた超音波プローブを実現できる。
【0059】本発明に係わる前述した図2に示すアレイ
形超音波プローブは、亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固
溶系単結晶からなる圧電体11を有する超音波送受信素
子を複数配列した形態をなし、前記各圧電体11は超音
波送受信面がその配列方向と直交する方向に凹状に湾曲
すると共に厚さが一定な形状を有し、かつ前記凹状超音
波送受信面の中央部が最大の電気機械結合係数を有す
る。このため、前記超音波送受信素子は前記圧電体11
の凹状超音波送受信面の端部に向かうに伴って電気機械
結合係数を減少させることができる。その結果、前記各
超音波送受信素子の超音波送受信面から放射される超音
波の周波数を一定にでき、かつ前記電気機械結合係数に
分布を持たせることができる。したがって、サイドロー
ブを抑制でき、高分解能の音波ビームを得ることができ
る。また、図2に示すアレイ型超音波プローブは、前述
した図1の超音波プローブのように音響レンズを使用せ
ずに超音波ビームを集束することができる。このため、
前記音響レンズの配置に起因する超音波減衰を回避で
き、S/Nを著しく向上することができる。
【0060】また、前記超音波送受信素子を構成する圧
電体が凹状超音波送受信面およびこの超音波送受信面と
反対側の面(凸状面)がそれぞれ0.4μm以下の平均
表面粗さを有し、かつ4μm以下の最大表面粗さを有す
る固溶系単結晶から形成されると、例えば実可動条件で
ある50〜150Vのパルス電圧、3〜15kHzの繰
り返し周波数で1000時間以上実作動試験を行っても
感度の低下が認められず、長期信頼性の優れたアレイ形
超音波プローブを実現できる。
【0061】さらに、本発明に係る超音波治療装置用送
波器は亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶から
なる圧電体の超音波発生面およびこれと反対側の面に電
極をそれぞれ形成した超音波発生素子を備え、前記固溶
系単結晶からなる圧電体に大きな電界を印加することが
できるため、放射音波を増大することができる。その結
果、前記超音波発生素子を有する超音波治療装置用送波
器は体外から衝撃波を照射して肝石や胆石を微細に砕き
自然に排出させて治療する結石破砕装置や温熱治療装置
の衝撃波源に応用することができる。
【0062】また、前記固溶系単結晶からなる圧電体は
比重が8.2〜8.5で、比重が7.5〜8.0である
従来のPZT系セラミックからなる圧電体の比重(7.
5〜8.0)とほぼ近似し、かつ前記従来の圧電体に比
べて薄くすることができるため、重量で約25%軽量化
できる。その結果、前記固溶系単結晶からなる圧電体を
有する超音波発生素子が組み込まれた送波器は、軽量の
結石破砕装置を実現できる。このような結石破砕装置
は、結石の微妙な位置に前記送波器を制御性よく合わせ
ることができるため、破砕効率を向上でき、かつ駆動機
構の小型化を達成することができる。
【0063】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。
【0064】実施例1 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb2 5 、TiO2 を用い、これらを純度補正し
た後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタン酸鉛(PT)
とが91:9のモル比になるように秤量し、さらにフラ
ックスとして同量のPbOを添加した。この粉末に純水
を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミルで1
時間混合した。得られた混合物の水分を除去した後、ラ
イカイ機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、2
トン/cm2 の圧力でラバープレスを行った。ゴム型か
ら取り出した固形物600gを直径50mm、容量25
0ccの白金製容器に入れ、900℃の温度まで4時間
で昇温して溶解した。冷却後、さらに前記固形物を40
0g入れ、白金製の蓋で密閉し、前記容器を電気炉の中
心に設置した。1250℃の温度まで5時間で昇温し、
0.8℃/hrの速度で800℃まで徐冷した後、室温
まで冷却した。その後、前記白金製容器に20%濃度の
硝酸を添加し、8時間煮沸して固溶系単結晶を取り出し
た。
【0065】このようなフラックス法により得られた単
結晶は、不定形であるが、大きさが約7mm角であっ
た。前記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行なったと
ころ、良好な結晶構造を有することが確認された。前記
粉末をICPにより化学分析を行ったところ、亜鉛ニオ
ブ酸鉛(PZN)とチタン酸鉛(PT)とが91:9の
モル比を有する91PZN−9PTの組成であることが
確認された。
【0066】また、前記単結晶をラウエカメラを用いて
[001]軸の方位を出し、この軸に垂直にカッタで切
断した。つづいて、切断した単結晶片の(001)面に
Ni/Au電極をスパッタ法によりそれぞれ形成し、1
50〜200℃のシリコーンオイル中で1kV/mmの
電界を30分間印加した後、電界を加えながら冷却し
た。この単結晶片を短冊状に切断し、容量と共振、***
振周波数を測定した。その結果、比誘電率は2200、
音速は2850m/s、電気機械結合係数k33´は80
〜85%であることが確認された。
【0067】さらに、前記91PZN−9PTの単結晶
を用いて前述した図1に示すアレイ形超音波プローブを
作製した。すなわち、まず前記91PZN−9PTの単
結晶から厚さが400μmの単結晶片を形成し、この単
結晶片の(001)面にTi/Au導体膜をスパッタ法
により蒸着し、選択エッチング技術により前記圧電体の
一方の側面に位置する前記導電膜部分および前記送受信
面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去し
た。つづいて、前記単結晶片の超音波送受信面側の前記
導電膜端部上にアース電極7を例えばはんだ付けにより
接続した後、前記単結晶片の超音波送受信面となる面に
音響マッチング層を形成した。ひきつづき、前記単結晶
片の前記超音波送受信面と反対側の面に位置する前記導
電膜端部上にフレキシブル印刷配線板8を例えばはんだ
付けにより接続した後、これらをバッキング材2上に接
着した。その後、厚さ30μmのブレードを用いて前記
音響マッチング層から前記単結晶片の前記超音波送受信
面と反対側の面に位置する前記導電膜に亘って1mmの
切り込み深さ、0.19mmのピッチで短冊状に切断し
た。この切断により、前記バッキング材2上に第1、第
2電極3、4を有する互いに分離された複数の圧電体1
と前記各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マ
ッチング層5が形成された。切断後の切り込み部を上面
および側面から顕微鏡により観察したところ、蛇行や傾
斜した切り込みは全く認められなかった。次いで、前記
音響マッチング層4に音響レンズ6を形成し、静電容量
110pF/m、長さ2mのケーブルを前記フレキシブ
ル印刷配線板7に接続してアレイ形超音波プローブを製
造した。
【0068】前記超音波プローブについてパルスエコー
法により反射エコーを測定したところ、全ての超音波送
受信素子から約2.5MHzの中心周波数を有するエコ
ーが受信された。
【0069】比較例 比誘電率2000のPZT系セラミックからなる圧電体
を用いて実施例1と同様な超音波プローブを作製した。
この時、約2.5MHzの中心周波数を有するエコーを
放射する超音波プローブを作製するには、前記PZT系
セラミックからなる圧電体の厚さを600μmにする必
要がある。したがって、ブレードを用いて圧電体となる
PZT系セラミックブロックを切断する際にはその切り
込み深さを1.3mm程度にする必要があり、厚さ30
μmのブレードを用いて音響マッチング層から前記セラ
ミックブロック下面の導電膜に亘って短冊状に切断する
と前記ブレードが前記セラミックブロックに対して斜め
に入り込んだ。その結果、切断後の超音波送受信素子の
インピーダンス特性を測定すると、5%の素子が不良に
なった。
【0070】そこで、厚さが50μmのブレードに交換
し、同様に切断した後、前述した図1と同様な構造のア
レイ形超音波プローブを作製し、パルスエコーを測定し
た。その結果、実施例1に比べてエコー感度が−3dB
低下した。
【0071】また、前記実施例1および比較例の超音波
プローブについて音場測定を行い、印加パルスの遅延時
間を制御してビームを60゜偏向させた状態でサイドロ
ーブレベルを測定した。その結果、実施例1の超音波プ
ローブは比較例の同プローブに比べてサイドローブレベ
ルが約10dB低くなった。
【0072】さらに、前記実施例1および比較例の超音
波プローブについて縦波音速を調べた。その結果、実施
例1は2800m/sの音速になり、比較例の音速が4
000m/sであるのに比べて約30%遅くなることが
確認された。
【0073】実施例2〜4、参照例1〜3 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb2 5 、TiO2 を用い、これらを純度補正し
た後、これらの原料を所定量秤量し、さらにフラックス
として同量のPbOを添加した。この粉末にアルコール
を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミルで1
時間混合した。得られた混合物のアルコールを除去した
後、ライカイ機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入
れ、2トン/cm2 の圧力でラバープレスを行なった。
ゴム型から取り出した固形物1000gを直径50m
m、容量250ccの白金製容器に入れ、白金製の蓋で
密閉した後、前記容器を電気炉の中心に設置した。10
00〜1300℃の温度まで5時間で昇温し、0.5〜
5℃/hrの速度で700〜900℃まで徐冷した。こ
の徐冷工程において、前記容器の下部から10〜100
0ml/minの流速で空気を吹き付け、容器下部を選
択的に冷却し、その後室温まで冷却した。その後、前記
白金製容器に50%濃度の硝酸を添加し、8時間煮沸し
てフラックス部分を溶解し、固溶系単結晶を取り出し
た。
【0074】前記単結晶の作製工程において、フラック
ス量、最高温度、冷却速度を制御することにより淡黄色
から濃褐色のペロブスカイト構造を有する6種の単結晶
が得られた。これらの単結晶はいずれも不定形である
が、大きさが約10mm角であった。前記各単結晶の一
部を粉砕し、X線回折を行なったところ、良好な結晶構
造を有することが確認された。前記各粉末をICPによ
り化学分析を行った結果を下記表1に示す。なお、前記
各単結晶の組成をPbA [(Zn1/3 Nb2/3 1-x
x B 3 で表した時の化学量論比A/Bを表1に併
記する。
【0075】
【表1】
【0076】また、前記各々の単結晶をラウエカメラを
用いて[001]軸方位を出し、この軸に垂直にカッタ
で切断した。つづいて、切断した単結晶片の(001)
面にNi/Au電極をスパッタ法によりそれぞれ形成
し、150〜200℃のシリコーンオイル中で1kV/
mmの電界を30分間印加した後、電界を加えながら冷
却した。これら単結晶片を短冊状に切断し、容量と共
振、***振周波数を測定した。その結果、比誘電率は2
000〜2800、音速は2700〜3000m/s、
電気機械結合係数k33´は80〜85%であることが確
認された。
【0077】さらに、前記各々の単結晶を用いて前記実
施例1と同様な方法により前述した図1に示すアレイ形
超音波プローブ(素子数96個)を作製した。これら超
音波プローブについてパルスエコー法により反射エコー
を測定した。その結果、全ての超音波送受信素子から約
2.5MHzの中心周波数を有するエコーが受信され
た。
【0078】前記素子数96個の実施例2〜4および参
照例1〜3のアレイ形超音波プローブについて、繰り返
し周波数5kHz、電圧100V、負荷比(デューテイ
レシオ)1:1、パルス幅0.2μsの矩形2波で10
00時間の実作動試験を行った後、反射エコーの波高値
を測定した。得られた波高値が実作動試験前の値に比べ
て30以上劣化した場合を故障と定義してプローブに組
み込まれた96個の素子の故障数を調べた。その結果を
下記表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】前記表2から明らかなように化学量論比A
/Bが0.98≦A/B<1.00である単結晶からな
る圧電体を用いた実施例2〜4のアレイ形超音波プロー
ブは、長期間に亘って高い信頼性を維持できることがわ
かる。
【0081】なお、前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の
固溶系単結晶中のチタン酸鉛量を5〜20モル%(モル
比で0.05〜0.20)の範囲で変化させ、これら単
結晶から切り出した圧電体を用いて図1に示す超音波プ
ローブを作製した。このような超音波プローブは、前記
化学量論比に起因する長期信頼性に及ぼす効果はほぼ同
等であった。
【0082】実施例5 図3は、超音波プローブおよび前記プローブの発熱制御
機能を備えた装置を示す概略図である。図中の21は、
前記実施例1と同様な91PZN−9PTの固溶系単結
晶からなる圧電体を有する前述した図1と同様な構造の
アレイ形超音波プローブである。前記91PZN−9P
Tの固溶系単結晶は、温度−比誘電率の関係を示す図4
のように50〜90℃において菱面体晶から正方晶への
相変態が生じ、これに伴ってその比誘電率が高くなると
いう性質を有する。具体的には、前記固溶系単結晶は室
温では比誘電率が約2200であるが、50℃では前記
相変態により比誘電率が3500と高くなる。
【0083】パルスを発生するためのパルサ22は、前
記超音波プローブ21にケーブルを通して接続されてい
る。レシーバ23は、前記超音波プローブ21にケーブ
ルを通して接続されている。インピーダンス検出回路2
4は、前記超音波プローブ21にケーブルを通して接続
されている。前記インピーダンス検出回路24は、前記
超音波プローブ21の比誘電率に相関するインピーダン
スの変化を検出する。前記検出回路24は、前記パルサ
22に接続され、前記パルサ22から前記超音波プロー
ブ21に印加するパルス(電圧)は前記検出回路24に
よる検出結果に基づいて制御されるにようになってい
る。例えば前記検出回路24は、前記超音波プローブ2
1が前記超音波プローブ21に電圧を印加しない時のイ
ンピーダンスに比べて2/3倍のインピーダンスになっ
た時に、前記パルサ22から前記超音波プローブ21に
印加する電圧が1/2になるように制御する。
【0084】前述した図3に示す装置の前記超音波プロ
ーブ21を体腔内に挿入し、パルサ22から前記超音波
プローブ21に電圧を印加すると、発生した超音波は生
体の所定部位に照射される以外、一部は超音波プローブ
21の構成部材である音響マッチング層、音響レンズ、
バッキング材に吸収されて熱を発生する。このように超
音波プローブ21が発熱すると、前記超音波プローブ2
1の圧電体である固溶系単結晶の比誘電率が前述した図
4に示すように高くなる。前記超音波プローブ21に
は、前記比誘電率に相関するインピーダンスを検出する
インピーダンス検出回路24が接続されているため、前
記超音波プローブ21の圧電体の比誘電率がある値以上
(例えば3500以上)になると、前記インピーダンス
検出回路24から前記パルサ22に信号が出力され、前
記パルサ22から前記超音波プローブ21に前記信号出
力前の電圧の1/2の電圧が印加され、前記超音波プロ
ーブ21の過度の発熱が抑制される。
【0085】事実、前記超音波プローブ21の音響レン
ズ表面に熱電対を設置し、空中放置における発熱測定を
行った。その結果、図5に示す外気との温度差の時間変
化を表した特性図が得られた。この図5から、実施例5
の装置では超音波プローブ21が室温より10℃高くな
った時にインピーダンス検出回路24からパルサ22に
フィードバックが加わり、駆動電圧を1/2にしたこと
により発生した熱を低下できることがわかる。
【0086】以上のように、実施例5の装置によれば超
音波プローブ21の発熱量を前記超音波プローブ21に
組み込まれた91PZN−9PTの固溶系単結晶からな
る圧電体の比誘電率の変化からインピーダンス検出回路
24によりインピーダンス変化として読み取ることがで
きる。したがって、前記インピーダンス変化に基づいて
前記超音波プローブ21への駆動電圧を制御できるた
め、患者の体腔部が過度に加熱されて低温火傷を生じる
のを防止することができる。しかも、前記超音波プロー
ブ21の低発熱時には駆動電圧を上げることができるた
め高感度の信号を得ることができ、診断能を向上でき
る。例えば、前記インピーダンス検出回路を備えない場
合には、超音波プローブの発熱の関係から駆動電圧を5
7Vに抑える必要があったが、実施例5の装置ではそれ
よりも4.5dB高い96Vに設定することが可能とな
る。これにより、0.5dB/MHz・cmのファント
ムを用いた感度測定において、前記駆動電圧を57Vし
か設定できない従来技術に比べて駆動電圧を96Vまで
上げられる実施例5の装置では約2cmペネトレーショ
ンを向上することができた。
【0087】実施例6 前記実施例1により得られた91PZN−9PTの単結
晶を(001)面で切り出した後、(001)面が中央
部となるように凹状に加工して厚さが一定の単結晶片を
形成した。この単結晶片の凹状面(超音波放射面)およ
び凸状面にTi/Au電極をスパッタ法によりそれぞれ
形成し、150〜200℃のシリコーンオイル中で1k
V/mmの電界を30分間印加した後、電界を加えなが
ら冷却した。前記単結晶片および前記電極を前記単結晶
片の前記湾曲方向に沿って短冊状に切断して湾曲した圧
電体の凹状面および凸状面に電極が形成された超音波送
受信素子を作製した。前記素子を前記圧電体の湾曲方向
と直交する方向に5つに分割して電気機械結合係数(k
33´)を測定した。その結果を図6に示す。なお、図6
中の横軸は前記超音波送受信素子の湾曲方向の長さをl
0とし、前記素子の一端から前記5つの分割素子までの
長さをlとした時、前記各分割素子の位置をl/l0
して示している。
【0088】図6から明らかなように超音波放射面が凹
状で、その中央部が(001)面の結晶方位を有する圧
電体を備えた素子は、中心部の電気機械結合係数が大き
く、端部に向かうにしたがって小さくなることがわか
る。
【0089】また、(001)面が中央部となるように
凹状に加工した厚さが一定の91PZN−9PTの単結
晶片を用いて前述した図2に示すアレイ形超音波プロー
ブを作製した。すなわち、前記単結晶片の凹状面および
凸状面にTi/Auの導電膜をスパッタ法によりそれぞ
れ形成した。つづいて、前記単結晶片の凹状面側の導電
膜端部上にアース電極17を前記単結晶片の湾曲方向と
直交する方向に沿って導電ペーストを用いて接着した。
前記アース電極17を含む前記凹状面側の導体膜上に前
記単結晶片と同様に表面が凹状に湾曲すると共に厚さが
一定な形状を有する音響マッチング層を形成した。ひき
つづき、前記単結晶片の前記凸状面に位置する前記導電
膜端部上に複数の導体(ケーブル)を有するフレキシブ
ル印刷配線板18を前記単結晶片の湾曲方向と直交する
方向に沿って導電ペーストを用いて接着した後、これら
をバッキング材12上にエポキシ樹脂で接着する。次い
で、厚さ30μmのブレードを用いて前記音響マッチン
グ層から前記単結晶片に亘って前記単結晶片の湾曲方向
と平行になるように1mmの切り込み深さ、0.19m
mのピッチで短冊状に切断した。この切断により、前記
バッキング材12上に第1、第2電極13、14を有す
る互いに分離された複数の圧電体11と前記各々の圧電
体11上に配置された複数の音響マッチング層5が形成
され、アレイ形超音波プローブが作製された。
【0090】前記超音波プローブを用いて前記圧電体の
切断方向の音場測定を行った。その結果を図7に示す。
【0091】また、比較のために前記91PZN−9P
Tの単結晶からなる圧電体を平板状にし、かつ音響マッ
チング層に音響レンズを設けた以外、前述した図2と同
様な構造のアレイ形超音波プローブを作製した。この超
音波プローブについて同様な音場測定を行った結果を図
8に示す。
【0092】図7、図8から明らかなように実施例6の
超音波プローブは平板状の圧電体を有する超音波プロー
ブに比べて特に−20dBのビーム幅に顕著な差が認め
られた。また、実施例6の超音波プローブはサイドロー
ブレベルが抑制されることにより細いビームになること
が確認された。さらに、実施例6の超音波プローブは信
号のS/Nが音響レンズを用いた超音波プローブに比べ
て5dB向上したことが確認された。
【0093】なお、実施例6において前記アース電極板
17と前記導体膜との接合、および前記フレキシブル印
刷配線板18と前記導体膜との接合は導電ペーストによ
る方法以外に、はんだ付けや抵抗溶接による方法で行っ
てもよい。
【0094】実施例7 前記実施例1により得られた91PZN−9PTの単結
晶をラウエカメラを用いて[001]軸方位を出し、こ
の軸に垂直にカッタで切断した。つづいて、切断した単
結晶片の(001)面にTi/Au電極をスパッタ法に
よりそれぞれ形成し、150〜200℃のシリコーンオ
イル中で1kV/mmの電界を30分間印加した後、電
界を加えながら冷却した。ひきつづき、前記単結晶片お
よび前記電極を正六角形状に切断し、容量と共振、***
振周波数を測定した。その結果、比誘電率は2200、
音速は3250m/s、電気機械結合係数kt は70〜
75%であることが確認された。
【0095】さらに、前記91PZN−9PTの単結晶
を用いて図9に示す複数の超音波発生素子35を備えた
送波器36を作製した。すなわち、図10に示すように
前記単結晶から共振周波数が500kHzになるように
厚さを設定した圧電体31を切り出し、この圧電体31
の(001)面にTi/Au電極32、33をスパッタ
法によりそれぞれ形成した後、前記上部電極32側に音
響マッチング層34を形成して超音波発生素子35を作
製した。つづいて、複数の前記超音波発生素子35を直
径330mm、曲率260mmの略球殻状に稠密配置し
て前述した図9に示す送波器36を構成した。
【0096】前記送波器36は、前記各々の超音波発生
素子35に組み込まれる前記圧電体31の厚さが約3.
2mmと従来のPZT系セラミックからなる圧電体の厚
さ(4mm)に比べて薄くできた。その結果、前記各々
の超音波発生素子35はPZT系セラミックからなる圧
電体を有する超音波発生素子に比べて前記圧電体31に
電極32、33から25%大きい電界を印加することが
でき、放射音圧も電界に比例して増大させることができ
た。また、前記各々の超音波発生素子35の重量は従来
の超音波発生素子に比べて20%低減でき、軽量化が図
られた。
【0097】なお、前記実施例7では正六角形の超音波
発生素子を用い、これらを稠密配置して送波器を構成し
たが、これに限定されない。例えば、図11(a)、
(b)に示すように扇型の超音波発生素子351 および
長さの異なる対向辺を曲率とした台形状の超音波発生素
子352 を球殻状に稠密配置して送波器36を構成して
もよい。
【0098】実施例8〜12および参照例4、5 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb2 5 、TiO2 を用い、これらを純度補正し
た後、これらの原料を所定量秤量し、さらにフラックス
として同量のPbOを添加した。この粉末にアルコール
を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミルで1
時間混合した。得られた混合物のアルコールを除去した
後、ライカイ機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入
れ、2トン/cm2 の圧力でラバープレスを行なった。
ゴム型から取り出した固形物1000gを直径50m
m、容量250ccの白金製容器に入れ、白金製の蓋で
密閉した後、前記容器を電気炉の中心に設置した。10
00〜1280℃の温度まで5時間で昇温し、0.5〜
5℃/hrの速度で700〜900℃まで徐冷した。そ
の後、前記白金製容器に30%濃度の硝酸を添加し、2
4時間煮沸してフラックス部分を溶解し、固溶系単結晶
を取り出した。このようなフラックス法により得られた
単結晶は、不定形であるが、大きなものは約20mm角
であった。前記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行な
ったところ、良好な結晶構造を有することが確認され
た。前記粉末をICPにより化学分析を行ったところ、
亜鉛ニオブ酸(PZN)とチタン酸鉛(PT)とが9
1:9のモル比を有する91PZN−9PTの組成であ
ることが確認された。
【0099】次いで、前記単結晶をラウエカメラを用い
て[001]軸方位を出し、この軸に垂直にカッタで切
断して7個の単結晶片を形成した。前記各単結晶片の両
面、つまり超音波送受信面および前記送受信面の反対側
の面となる(001)面を#400〜#8000のアル
ミナまたは炭化珪素からなる砥粒または1μmの酸化セ
リウム粉末を含むペーストで研摩した。研摩後の各単結
晶片の表面粗さを接触式表面粗さ計を用いて1mmの間
隔で10箇所測定した。この測定による最大表面粗さお
よび平均表面粗さを下記表3に示す。つづいて、前記各
単結晶片の研摩面(両面)にNi/Au電極をスパッタ
法によりそれぞれ形成し、150〜200℃のシリコー
ンオイル中で0.5〜1kV/mmの電界を15分間印
加した後、電界を加えながら40℃まで冷却した。ひき
つづき、前記各単結晶片および前記電極を80μmの幅
に短冊状に切断し、容量と共振、***振周波数を測定し
た。その結果、比誘電率は3000、音速は2850m
/sであることが確認された。また、電気機械結合係数
33´は下記表3に示す値であった。
【0100】
【表3】
【0101】さらに、前記単結晶を振動方向の厚さが3
00μmになるように切りだし、前述したように砥粒ま
たは酸化セリユウム粉末を含むペーストで研摩して作製
した7個の単結晶片を用いて実施例1とほぼ同様な方法
により96個の素子数を有する前述した図1に示すアレ
イ形超音波プローブを作製した。なお、30μm幅のブ
レードによる切断は1mmの切り込み深さ、0.13m
mのピッチで行なわれ、得られた96個の圧電体は幅が
約80μmであった。
【0102】前記各超音波プローブについてパルスエコ
ー法により反射エコーを測定したところ、全ての超音波
送受信素子から約2.5MHzの中心周波数を有するエ
コーが受信された。
【0103】また、前記各アレイ形超音波プローブにつ
いて、繰り返し周波数5kHz、電圧100V、負荷比
(デューテイレシオ)1:1、パルス幅0.2μsの矩
形2波で1000時間および3000時間の実作動試験
を行った後、反射エコーの波高値を測定した。得られた
波高値が実作動試験前の値に比べて30以上劣化した場
合を故障と定義してプローブに組み込まれた96個の素
子の故障数を調べた。その結果を下記表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】前記表3および表4から明らかなように超
音波送受信面およびこの超音波送受信面の反対側の面の
平均表面粗さがそれぞれ0.4μm以下、最大表面粗さ
が4μm以下の圧電体を有する実施例8〜12の超音波
プローブは、高い電気機械結合係数k33´を有するばか
りか、長期信頼性が優れていることがわかる。
【0106】なお、前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の
固溶系単結晶中のチタン酸鉛量を5〜20モル%(モル
比で0.05〜0.20)の範囲で変化させたり、マグ
ネシウムまたはジルコニウムを一部含む組成の単結晶か
ら切り出した圧電体を用いて図1に示す超音波プローブ
を作製した。このような超音波プローブは、前記表面粗
さに起因する長期信頼性に及ぼす効果ほぼ同等であっ
た。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば低
周波駆動を達成できると共に、圧電体の振動方向の厚さ
を薄くできるため、送受信回路とのマッチングが取り易
く、さらに高感度化が可能な超音波送受信素子を提供で
きる。
【0108】また、本発明によれば低周波駆動を達成で
きると共に、圧電体の振動方向の厚さを薄くできるた
め、送受信回路とのマッチングが取り易く、さらに高感
度化が可能な超音波送受信素子を備え、医療用診断装置
等に有用な超音波プローブを提供できる。
【0109】さらに、強力で制御性が良好な衝撃波を発
生することができ、結石破砕装置や温熱治療装置の衝撃
波源として好適な超音波治療装置用送波器を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる超音波プローブを示す斜視図。
【図2】本発明に係わる別の超音波プローブを示す斜視
図。
【図3】本発明の実施例5における超音波プローブの発
熱制御機能を備えた装置を示す概略図。
【図4】図3の超音波プローブに用いられる圧電体とし
ての91PZN−9PTの固溶系単結晶における温度−
比誘電率の関係を示す線図。
【図5】図3の装置において超音波プローブの発熱制御
を行った時の外気との温度差の時間変化を示す特性図。
【図6】超音波送受信面が凹状をなす圧電体を有する超
音波送受信素子における前記圧電体のスライス方向に沿
う電気機械結合係数を示す特性図。
【図7】実施例6のアレイ形超音波プローブにおける音
場測定結果を示す特性図。
【図8】平板状の圧電体を有するアレイ形超音波プロー
ブにおける音場測定結果を示す特性図。
【図9】本発明の実施例7にける送波器を示す平面図。
【図10】図9の送波器に組み込まれる超音波発生素子
を示す斜視図。
【図11】本発明の送波器の他の例を示す概略図。
【符号の説明】
1、11、31…圧電体、3、4、13、14、32、
33…電極、5、15、34…音響マッチング層、6…
音響レンズ、7、16…アース電極、8、17…フレキ
シブル印刷配線板、36…送波器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉 守 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 橋本 新一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 昭54−34581(JP,A) 特開 昭56−115582(JP,A) 特開 昭56−115586(JP,A) 実開 昭56−71211(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 8/00 - 8/15 G01N 29/00 - 29/28 H01L 41/18 H04R 17/00 332 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単
    結晶からなる圧電体と、この圧電体の超音波送受信面お
    よび前記送受信面と反対側の面にそれぞれ設けられた一
    対の電極とを有し、 前記圧電体は、前記超音波送受信面およびこの超音波送
    受信面と反対側の面がそれぞれ0.4μm以下の平均表
    面粗さを有し、かつ4μm以下の最大表面粗さを有する
    ことを特徴とする超音波送受信素子。
  2. 【請求項2】 前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶
    系単結晶は、 PbA [(Zn1/3 Nb2/3 1-x Tix B 3 (た
    だし、xは0.05≦x≦0.20、化学量論比A/B
    は0.98≦A/B<1.00を示す)で表される組成
    からなることを特徴とする請求項1記載の超音波送受信
    素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の超音波送受信素
    子と、 前記超音波送受信素子の前記超音波送受信面上に設けら
    れた音響マッチング層と、 前記音響マッチング層上に設けられた音響レンズと、 前記超音波送受信素子の前記超音波送受信面と反対側の
    面上に設けられたバッキング材とを具備したことを特徴
    とする超音波プローブ。
  4. 【請求項4】 亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単
    結晶からなる圧電体と、この圧電体の超音波送受信面お
    よびこの超音波送受信面と反対側の面にそれぞれ設けら
    れた一対の電極とを有する超音波送受信素子; 前記超音波送受信素子の前記超音波送受信面上に設けら
    れた音響マッチング層; 前記音響マッチング層上に設けられた音響レンズ; 前記超音波送受信素子の前記超音波送受信面と反対側の
    面上に設けられたバッキング材; を具備したことを特徴とする超音波プローブ。
  5. 【請求項5】 前記亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶
    系単結晶は、 PbA [(Zn1/3 Nb2/3 1-x Tix B 3 (た
    だし、xは0.05≦x≦0.20、化学量論比A/B
    は0.98≦A/B<1.00を示す)で表される組成
    からなることを特徴とする請求項4記載の超音波プロー
    ブ。
  6. 【請求項6】 亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単
    結晶からなる圧電体と、この圧電体の超音波送受信面お
    よびこの超音波送受信面と反対側の面にそれぞれ設けら
    れた一対の電極とを有する複数の超音波送受信素子; 前記複数の超音波送受信素子の前記超音波送受信面上に
    それぞれ設けられた音響マッチング層; 前記音響マッチング層上に設けられた音響レンズ; 前記各超音波送受信素子の前記超音波送受信面と反対側
    の面上に設けられたバッキング材; を具備し前記圧電体は、前記超音波送受信面がその配列
    方向と直交する方向に凹状に湾曲すると共に厚さが一定
    な形状を有し、かつ前記凹状超音波送受信面の中央部が
    最大の電気機械結合係数を有することを特徴とする超音
    波プローブ。
  7. 【請求項7】 亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単
    結晶からなる圧電体と、この圧電体の超音波発生面およ
    びこの超音波発生面と反対側の面にそれぞれ設けられた
    一対の電極とを有する複数の超音波発生素子; 前記複数の超音波送発生素子の前記超音波送受信面上に
    それぞれ設けられた音響マッチング層; を具備し、 前記複数の超音波送発生素子は、稠密配置されることを
    特徴とする超音波治療装置用送波器。
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