JP3397538B2 - 酸化物圧電単結晶の製造方法 - Google Patents

酸化物圧電単結晶の製造方法

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JP3397538B2
JP3397538B2 JP23662095A JP23662095A JP3397538B2 JP 3397538 B2 JP3397538 B2 JP 3397538B2 JP 23662095 A JP23662095 A JP 23662095A JP 23662095 A JP23662095 A JP 23662095A JP 3397538 B2 JP3397538 B2 JP 3397538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波診断装置や
超音波探傷装置などの超音波送受信素子である超音波プ
ローブに用いられる酸化物圧電単結晶の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置や超音波探傷装置などの
に用いられる超音波プローブは、圧電素子を主体として
構成され、超音波を対象物に向けて照射し、その対象物
における音響インピーダンスの異なる界面からの反射エ
コーを受信することにより前記対象物の内部状態を画像
化することができる。従来、振動子としては、電気機械
結合係数(k33´,ktなど)が大きく、かつケーブル
や装置浮遊容量による損失が少ない送受信回路とのマッ
チングが取りやすい誘電率の大きなチタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)系セラミックが用いられている。
【0003】現在、超音波プローブは厚さが数10μm
〜数100μmの短冊状の振動子を数10〜200個程
度配列したアレイプローブが主流であり、振動子数は高
分解能化の要求と共に増加する傾向にある。また、超音
波プローブの高感度化や広帯域化の要求に対しても圧電
素子自体の圧電特性の向上が求められている。これらの
要求に対しては大きな電気機械結合係数を有するPb
[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 、Pb[(M
1/3 Nb2/31-y Tiy ]O3 、Pb[(Ni1/3
Nb2/31-z Tiz ]O3 、Pb[(Co1/3 Nb
2/31-u Tiu ]O3 、Pb[(A1/2 Nb1/2
1-w Tiw ]O3 (ただし、AはSc、In、Fe、Y
および希土類元素から選ばれる1種)等の3価の金属元
素を含む複合酸化物、これらの複合酸化物においてNb
の一部をTaで置換したタンタル酸−チタン酸鉛の複合
酸化物、およびこれらを組み合わせた複合酸化物などの
ペロブスカイト型酸化物単結晶を用いた超音波プローブ
が期待されている。
【0004】ところで、超音波プローブの振動子に用い
られる圧電材料は、大きさが10mm角以上の面積を持
つ板状で、大きい電気機械結合係数(例えばk33´>7
5%)および高い誘電率を有し、かつ個々の振動子にお
いて圧電・誘電体の特性が均一であることが望まれてい
る。通常、前記酸化物圧電単結晶は酸化鉛、酸化硼素等
をフラックスとし、かつ酸化物圧電単結晶の各成分を原
料とする、いわゆるフラックス法により育成されてい
る。このフラックス法は、前記フラックスと前記酸化物
圧電単結晶の原料を900℃以上の温度で溶融した後、
850℃以下の共晶温度付近まで単に徐冷して単結晶を
析出させる簡便な育成方法である。
【0005】しかしながら、前記フラックス法では溶液
から前記酸化鉛を含むペロブスカイト型酸化物単結晶を
育成する場合、有用でない低誘電率の酸化鉛と酸化ニオ
ブからなるパイクロア型の酸化物単結晶が発生し易い。
さらに、前記ペロブスカイト型の酸化物単結晶は<11
1>方位が最も優勢な成長方位であるため、<111>
方位に速く成長し易い。特に、<111>方位の成長が
顕著である場合にはパイクロア型の酸化物単結晶が発生
し易くなる。また、このような場合には<111>方位
に伸びた矢じり形の単結晶になり易く、成長中に単結晶
内部にフラックス成分からなるインクルージョンと呼ば
れる包有物、成長応力歪、双晶などの欠陥が生じやす
い。このような欠陥が生じると、超音波プローブの製作
に必要な10mm以上の大きい単結晶を育成した時に圧
電・誘電特性にばらつきが起こる。さらに、前記酸化物
圧電単結晶は全て固溶系の酸化物であるため、徐冷して
結晶成長を行うと、それと共に組成が徐々に変化して、
超音波プローブの振動子に用いた場合には特性の不均一
化が起こる。その結果、超音波プローブの感度が実質的
に低下したり、帯域が狭くなとるいう問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、大面積にし
ても単結晶内部に包有物、成長応力歪、双晶などの欠陥
が生じず、しかも圧電・誘電特性に優れ、かつ均一な組
成を有する酸化物圧電単結晶の製造方法を提供しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る酸化物圧電
単結晶の製造方法は、Pb[(Zn1/3Nb2/31-x
x]O3(ただし、xは0.05≦x≦0.20を示
す)、Pb[(Mg1/3Nb2/31-yTiy]O3(ただ
し、yは0.20≦y≦0.40を示す)、Pb[(N
1/3Nb2/31-zTiz]O3(ただし、zは0.30
≦z≦0.50を示す)、Pb[(Co1/3Nb2/3
1-uTiu]O3(ただし、uは0.10≦u≦0.30
を示す)、Pb[(A1/2Nb1/21-wTiw]O3(た
だし、AはSc、In、Fe、Yおよび希土類元素から
選ばれる1種、wは0.30≦w≦0.50を示す)、
にて表されるペロブスカイト型複合酸化物、もしくは前
記式中のNbの一部をTaで置換したペロブスカイト型
複合酸化物、または前記式中のPbの一部を10モル%
以内の量でNa、Sr、Ca、およびLaの少なくとも
1種で置換したペロブスカイト型複合酸化物からなる圧
電単結晶をフラックス法により製造するにあたり、底部
の曲率半径が少なくとも10mm以上の有底筒状容器内
に主に酸化鉛をフラックス、前記圧電単結晶の各成分を
原料として収容する工程と、下方に向けて温度を下げ、
その温度勾配を0.05〜20℃/mmとした電気炉内
に前記有底筒状容器を配置してその有底筒状容器内の前
記フラックスおよび原料を溶融した後、前記有底筒状容
器を前記温度勾配を持つ電気炉領域を0.05〜10m
m/hrの速度で下降させることにより前記有底筒状容
器の底部位置に<100>方位の単結晶の核を発生さ
せ、この単結晶の核から<100>方位に単結晶を成長
させる工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】このような本発明によれば、<111>方
位の成長を抑制し、優先的に<100>方位の単結晶核
を発生させて、それを継続的に<100>方位に単結晶
を成長させるので、前述したパイクロア型の酸化物単結
晶が生成し難く、従来のフラックス法で見られた単結晶
内部の包有物、成長応力歪、双晶などの欠陥が生じるこ
となく、それと共に単結晶内部の組成変動も極めて小さ
く、大面積でも優れた圧電特性・誘電特性を有する均一
な組成の酸化物圧電単結晶を製造することができる。
【0009】特に、形状が直方体で、かつその単結晶の
<111>の軸として3回対称の成長稜が3mm以上の
長さで形成されたペロブスカイト型酸化物圧電単結晶は
単結晶内部の包有物の欠陥発生が皆無となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる酸化物圧電
単結晶の製造方法を図面を参照して詳細に説明する。図
1は、酸化物圧電単結晶の育成装置を示す概略図であ
る。図中の1は、上下方向にヒータ2が埋設された縦型
管状電気炉である。図中の3は、前記電気炉1内に上下
動自在に配置される有底筒状容器である。
【0011】まず、酸化鉛を主成分とし、酸化ニオブお
よび酸化タンタルから選ばれる少なくとも1種を含む原
料を有底筒状容器3内に収容する。この有底筒状容器3
をヒータ2により中央部が最も高温度で、上方および下
方に向かうに従って温度が低くなるように設定した、つ
まり温度勾配を持たせた電気炉1内に吊下する。つづい
て、前記電気炉1内で有底筒状容器3内の原料およびフ
ラックスを溶融した後、前記容器3を徐々に下降させる
ことにより溶液4が収容された前記容器3底部が局所的
に低温になり、前記底部位置に<100>方位の単結晶
の核を発生し、この単結晶の核から<100>方位に単
結晶5を成長させる。
【0012】前記方法で育成される酸化物圧電単結晶
は、Pb[(Zn1/3 Nb2/3 1-xTix ]O3 (た
だし、xは0.05≦x≦0.20を示す)、Pb
[(Mg1/3Nb2/31-yTiy]O3(ただし、yは
0.20≦y≦0.40を示す)、Pb[(Ni1/3
2/31-zTiz]O3(ただし、zは0.30≦z≦
0.50を示す)、Pb[(Co1/3Nb2/31-u
u]O3(ただし、uは0.10≦u≦0.30を示
す)、Pb[(A1/2Nb1/21-wTiw]O3(ただ
し、AはSc、In、Fe、Yおよび希土類元素から選
ばれる1種、wは0.30≦w≦0.50を示す)にて
表されるペロブスカイト型複合酸化物、もしくは前記式
中のNbの一部をTaで置換したペロブスカイト型複合
酸化物、または前記式中のPbの一部を10モル%以内
の量でNa、Sr、Ca、およびLaの少なくとも1種
で置換したペロブスカイト型複合酸化物である。
【0013】前記ペロブスカイト型複合酸化物の単結晶
を育成する溶液組成は、育成する単結晶組成(例えば亜
鉛ニオブ鉛−チタン酸鉛のペロブスカイト型酸化物圧電
単結晶をPZN−PTと略す)と酸化鉛(PbO)を主
成分とするフラックス組成(Fluxと略す)との組成
比がモル比でPZN−PT/Flux=20/80以上
であることが好ましい。ブリッジマン法では、モル比で
PZN−PT/Flux=30/70〜95/5の範囲
であることが好ましい。前記フラックス成分は、主に酸
化鉛(PbO)、酸化硼素(B23 )および単結晶成
分の少なくとも1つの元素(A)の酸化物(A;Zn、
Mg、Ni、Fe、Co、Sc、Inなどの希土類元素
から選ばれる少なくとも1つの元素)からなり、そのフ
ラックス組成としてはPbO=60〜100モル%、B
23 =0〜40モル%、Aの酸化物=0〜40モル%
であることが好ましい。前記PbOの一部は、PbF
2 、PbO2 、Pb34 などの鉛化合物で置換される
ことを許容する。また、その他の添加物として、Li2
O、K2 O、CaO、SrO、MnO、CuO、Al2
3 、Ga23 、Bi23 、La23 、Nd2
3 、SiO2 、GeO2 、SnO2 、ZrO2 、HfO
2 、V25 、Sb25 、Ta25 を5モル%の範
囲内で使用することを許容する。PZN−PT以外のペ
ロブストカイト型酸化物圧電単結晶も前述したのと同様
な方法により育成される。
【0014】前記容器は、Pt、Rhのような貴金属か
ら形成されることが好ましい。このような容器は、底部
が平らであることが好ましい。特に、最も低温になる前
記容器底部において直径5mm以上の面積で、その曲率
半径が少なくとも10mm以上であると<100>方位
の核発生が起こり易くなる。
【0015】前記酸化物圧電単結晶の成長速度は、0.
05〜5mm/hrにすることが好ましい。これは、次
のような理由によるもである。すなわち、前記成長速度
を0.05mm/hr未満にすると組成変動が大きくな
り、均一な圧電特性・誘電特性を有する酸化物圧電単結
晶を製造することが困難になる。一方、前記成長速度が
5mm/hrを越えると、<111>方位に成長が優勢
になるため、単結晶内部に包有物、成長応力歪、双晶な
どの欠陥が発生し易くなる。
【0016】
【0017】前記電気炉のヒータによる温度勾配および
前記容器の下降速度は、それぞれ0.05〜20℃/m
m、0.05〜10mm/hrにする。このような条件
に設定することにより、前述した酸化物圧電単結晶の成
長速度を0.05〜5mm/hrにすることが可能にな
る。
【0018】また、このように温度勾配のある電気炉中
の容器を移動させることにより容器底部の局所を冷却す
ることもできるが、容器底部の一点に冷却棒を接触させ
ることで、この1点のみをより効率的に冷却することが
可能になる。
【0019】なお、単結晶の成長に際し、前記容器を下
降させたが、これは通常PbbOを主成分とするフラッ
クスが前記圧電単結晶より比重が大きいからである。も
し、PbOを主成分とするフラックスが前記圧電単結晶
より比重が小さい場合には前記容器を前記電気炉内で上
昇させて結晶成長を行う必要がある。
【0020】以下、本発明に係わる酸化物圧電単結晶を
用いて製作される超音波プローブを図2を参照して詳細
に説明する。酸化物圧電単結晶からなる複数の圧電体1
1は、バッキング材12上に互いに分離して接着されて
いる。前記各々の圧電体11は図の矢印A方向に振動す
る。第1電極13は、前記各々の圧電体11の超音波送
受信面からその側面およびおよび前記送受信面と反対側
の面の一部に亘ってそれぞれ形成されている。第2電極
14は、前記各々の圧電体11の前記送受信面と反対側
の面に前記第1電極13と所望の距離隔ててそれぞれ形
成されている。このような前記圧電体11、前記第1、
第2の電極13、14により超音波送受信素子が構成さ
れる。音響マッチング層15は、前記各々の第1電極1
3を含む前記各圧電体11の超音波送受信面にそれぞれ
形成されている。音響レンズ16は、前記各音響マッチ
ング層15の全体に亘って形成されている。フレキシブ
ル印刷配線板18は、前記各々の第1電極13に接続さ
れている。アース電極板17は、前記各々の第2電極4
に例えばはんだ付けにより接続されている。図示しない
複数の導体(ケーブル)は前記フレキシブル印刷配線板
18およびアース電極板17にそれぞれ接続される。
【0021】このような図2に示す構造の超音波プロー
ブは、例えば次のような方法により作製される。まず、
酸化物圧電単結晶に導電膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術によりの超音波送受信面および前記
送受信面と反対側の面に導電膜を残す。つづいて、前記
単結晶片の超音波送受信面となる面に音響マッチング層
を形成し、これらをバッキング材12上に接着する。ひ
きつづき、ブレードを用いて前記音響マッチング層から
前記単結晶片に亘って複数回切断することにより前記バ
ッキング材12上に第1、第2電極13、14を有する
互いに分離された複数の圧電体11と前記各圧電体11
上にそれぞれ配置された複数の音響マッチング層15が
形成される。次いで、前記音響マッチング層15に音響
レンズ16を形成した後、フレキシブル印刷配線板18
を前記第1電極13にそれぞれ接続し、前記第2電極1
4にアース電極板17を例えばはんだ付けにより接続
し、さらに図示しない複数の導体(ケーブル)を前記フ
レキシブル印刷配線板18およびアース電極板17にそ
れぞれ接続することにより超音波プローブを作製する。
【0022】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 (実施例1)まず、純度が99.9%以上のPbO、Z
nO、Nb25 およびTiO2 を、亜鉛酸ニオブ酸鉛
(Pb[Zn1/3 Nb2/3 ]O3 ;PZNと略す)とチ
タン酸鉛(PbTiO3 ;PTと略す)のモル比が9
1:9(つまりPb[(Zn1/3 Nb2/31-x Ti
x ]O3 ,x=0.09)で、この91PZN−9PT
とフラックスとして酸化鉛(PbO)とがモル比で8
5:15になるように秤量した。これらの粉末に純水を
加え、ジルコニアボ−ルを用いてボールミルで12時間
混合した。この混合物を乾燥し、ライカイ機で十分に混
合粉砕した後、ゴム製容器に入れて2トン/cm2 の圧
力で静水圧プレスを行って成形した。この塊状物1.0
kgを前述した図1の内径30mmの200ccの有底
筒状白金容器3内に入れた。つづいて、中央部の温度が
1230℃、上下に4分割されたヒータ2により上下方
向に平均温度勾配が1℃/mmとした内径80mm、長
さ1000mmの縦型管状電気炉1に前記白金容器3を
吊下し、1230℃の温度まで6時間昇温した後、12
時間保持して前記容器3内のフラックスおよび原料を溶
解して溶液4を調製した。次いで、前記白金容器3を電
気炉1の中央より下部の温度勾配部分に向かって1mm
/hrの速度で約500mmまで下降させ、その後室温
まで放冷した。前記白金容器3を20%硝酸で8時間煮
沸し、フラックスを溶かし出して結晶を取り出した。
【0023】得られた結晶は、色調が淡黄色で大きさが
25mm角×75mmLであるほぼ直方体のブロックで
あった。この結晶構造をX線回折法により調べた。その
結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構造であること
がわかった。
【0024】また、前記結晶の結晶構造をX線ラウエ写
真で調べたところ、明瞭なラウエ斑点を示し、かつ長手
方向がほぼ<100>方位に延びた単結晶であることを
確認した。すなわち、白金容器の底面に垂直方向が単結
晶の<100>方位になっており、白金容器の底面にお
いてこの面に垂直方向に<100>方位の核発生が起こ
り、そのまま白金容器の軸方向(底面と垂直方向)に単
結晶が<100>方位に成長したことがわかった。白金
容器の底面に張り付いた面は、{100}面であった。
単結晶の表面に晶癖らしき成長面が現れていた。しかし
ながら、この面は{100}面ではなかった。前記単結
晶を観察すると、4つの<111>方位に対して3回対
称の成長稜が現れていた。この成長稜の長さは3〜30
mmであった。成長時間から単結晶の成長速度は0.1
5mm/hrであることがわかった。また、前記単結晶
の粉末のICPによる化学分析から前記組成;Pb
[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 のx値が0.
09であることを確認した。
【0025】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にカッタで厚さが1mmの{100}面単結晶板を切
り出し、研磨して0.3mm厚さに仕上げた。この板状
単結晶の内部を観察した。その結果、インクルージョン
(包有物)、成長歪などの欠陥は全く含まれていないこ
とが確認された。つづいて、前記板状単結晶の両面に銀
電極をTi/Au電極をスパッタ法により形成し、15
0〜250℃の絶縁オイル中で1kV/mmの電界を3
0分間印加した後電界冷却して分極を行なった。これを
10mm角の板にしてLCRメータを用いて静電容量を
測定した。その結果、比誘電率が3500であった。前
記電極付き板状単結晶を幅0.15mm、厚さ0.3m
m、長さ10mmの短冊状に切断し、共振、***振周波
数を測定した。その結果、電気機械結合係数k33´は8
6〜87%で、ばらつきが1%以下と良好な圧電特性を
有することが確認された。
【0026】さらに、前記単結晶を用いて前述した図2
に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわち、
前記91PZT−9PTの圧電単結晶を加工して厚さ2
00μmの角板を作製した。得られた角板の上下面およ
び側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術により前記角板の一方の側面に位置
する前記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反
対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去した。つづ
いて、前記角板の超音波送受信面となる面に音響マッチ
ング層を形成し後、フレキシブル印刷配線板18を第1
電極に供される前記導電膜部分に半田付けにより接続し
た。また、アース電極17を第2電極に供される前記導
電膜部分に半田付けにより接続した、これらをバッキン
グ材12上に接着した。なお、フレキシブル印刷配線板
18およびアース電極17は導電ペーストを用いて前記
導体膜に接続してもよい。ひきつづき、ダイヤモンドブ
レードを用いて前記音響マッチング層から前記角板に亘
って切り込み、100μmの幅で短冊状に切断した。こ
の切断により、前記バッキング材12上に第1、第2電
極13、14を有する互いに分離された圧電体1と前記
各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マッチン
グ層15が形成された。次いで、前記音響マッチング層
15に音響レンズ16を形成した後、フレキシブル印刷
配線板18を前記各々の第1電極3にそれぞれ半田付け
接続し、アース電極板17を前記各第2電極14に半田
付けにより接続し、さらに図示しない110pF/m、
長さ2mの複数の導体(ケーブル)をフレキシブル印刷
配線板18およびアース電極板17にそれぞれ接続する
ことによりアレイ形超音波プローブを製造した。
【0027】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が3.5MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。また、感度は従来のセラミックスより5
dB高く、周波数帯域は−6dBで比帯域92%と広帯
域であることがわかった。
【0028】(実施例2)まず、純度が99.9%以上
のPbO、MgO、Nb25 、TiO2 およびB2
3 を、マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb[Mg1/3 Nb
2/3 ]O3 ;PMNと略す)とチタン酸鉛(PbTiO
3 ;PTと略す)のモル比が67:33(つまりPb
[(Mg1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 ,x=0.3
3)で、この67PMN−33PTとフラックス(FL
UX=PbO+MgO+B23 ,モル比でPbO/M
gO/B23 =6/3/1)とが[67PMN−33
PT/(PbO+MgO+B23 )]のモル比で6
0:40になるように秤量した。これらの粉末に実施例
1と同様に処理して塊状物を作製した。この塊状物1.
3kgを前述した図1の内径30mmの200ccの有
底筒状白金容器3内に入れた。つづいて、中央部の温度
が1200℃、上下に4分割されたヒータ2により上下
方向に平均温度勾配が5℃/mmとした実施例1で説明
した寸法を有する縦型管状電気炉1に前記白金容器3を
吊下し、1200℃の温度まで6時間昇温した後、12
時間保持して前記容器3内のフラックスおよび原料を溶
解して溶液4を調製した。次いで、前記白金容器3を電
気炉1の中央より下部の温度勾配部分に向かって2mm
/hrの速度で約400mmまで下降させ、その後室温
まで放冷した。前記白金容器3を20%硝酸で8時間煮
沸し、フラックスを溶かし出して結晶を取り出した。
【0029】得られた結晶は、色調が淡黄色で大きさが
25mm角×50mmLであるほぼ直方体のブロックで
あった。この結晶構造をX線回折法により調べた。その
結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構造であること
がわかった。
【0030】また、前記結晶の結晶構造をX線ラウエ写
真で調べたところ、明瞭なラウエ斑点を示し、かつ長手
方向がほぼ<100>方位に延びた単結晶であることを
確認した。すなわち、<100>方位に成長した単結晶
で、単結晶の現れた面(つまり晶癖)は{100}面で
あった。前記単結晶を観察すると、4つの<111>方
位に対して3回対称の成長稜が現れていた。この成長稜
の長さは20〜40mmであった。成長時間から単結晶
の成長速度は0.25mm/hrであることがわかっ
た。また、前記単結晶の粉末のICPによる化学分析か
ら前記組成;Pb[(Mg1/3 Nb2/31-x Tix
3 のx値が0.33であることを確認した。
【0031】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にカッタで厚さが1mmの{100}面単結晶板を切
り出し、研磨して0.3mm厚さに仕上げた。この板状
単結晶の内部を観察した。その結果、インクルージョン
(包有物)、成長歪などの欠陥は全く含まれていないこ
とが確認された。つづいて、前記板状単結晶の両面に銀
電極をTi/Au電極をスパッタ法により形成し、15
0〜250℃の絶縁オイル中で1kV/mmの電界を3
0分間印加した後電界冷却して分極を行なった。これを
10mm角の板にしてLCRメータを用いて静電容量を
測定した。その結果、比誘電率が3200であった。、
前記電極付き板状単結晶を幅0.15mm、厚さ0.3
mm、長さ10mmの短冊状に切断し、共振、***振周
波数を測定した。その結果、電気機械結合係数k33´は
84〜85%で良好な圧電特性を有することが確認され
た。
【0032】(実施例3)まず、純度が99.9%以上
のPbO、Sc23 、Nb25 、TiO2 およびB
23 を、スカンジウム酸ニオブ酸鉛(Pb[Sc1/2
Nb1/2 ]O3 ;PSNと略す)とチタン酸鉛(PbT
iO3 ;PTと略す)のモル比が58:42(つまりP
b[(Sc1/2 Nb1/21-x Tix ]O3 ,x=0.
42)で、この58PSN−42PTとフラックス(P
bO+B23 ,モル比でPbO/B23 =8/2)
とが[67PMN−33PT/(PbO+B23 )]
のモル比で30:70になるように秤量した。これらの
粉末に実施例1と同様に処理して塊状物を作製した。こ
の塊状物1.5kgを前述した図1の内径30mmの2
00ccの有底筒状白金容器3内に入れた。つづいて、
中央部の温度が1280℃、上下に4分割されたヒータ
2により上下方向に平均温度勾配が2℃/mmとした実
施例1で説明した寸法を有する縦型管状電気炉1に前記
白金容器3を吊下し、1280℃の温度まで6時間昇温
した後、12時間保持して前記容器3内のフラックスお
よび原料を溶解して溶液4を調製した。次いで、前記白
金容器3を電気炉1の中央より下部の温度勾配部分に向
かって0.5mm/hrの速度で約400mmまで下降
させ、その後室温まで放冷した。前記白金容器3を20
%硝酸で8時間煮沸し、フラックスを溶かし出して結晶
を取り出した。
【0033】得られた結晶は、色調が淡黄色で大きさが
25mm角×45mmLであるほぼ直方体のブロックで
あった。この結晶構造をX線回折法により調べた。その
結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構造であること
がわかった。
【0034】また、前記結晶の結晶構造をX線ラウエ写
真で調べたところ、明瞭なラウエ斑点を示し、かつ長手
方向がほぼ<100>方位に延びた単結晶であることを
確認した。すなわち、白金容器の軸方向に成長した<1
00>方位の単結晶であることが確認された。前記単結
晶を観察すると、4つの<111>方位に対して3回対
称の成長稜が現れていた。この成長稜の長さは10〜3
0mmであった。成長時間から単結晶の成長速度は0.
08mm/hrであることがわかった。また、前記単結
晶の粉末のICPによる化学分析から前記組成;Pb
[(Sc1/2 Nb1/21-x Tix ]O3 のx値が0.
42であることを確認した。
【0035】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にカッタで厚さが1mmの{100}面単結晶板を切
り出し、研磨して0.3mm厚さに仕上げた。この板状
単結晶の内部を観察した。その結果、インクルージョン
(包有物)、成長歪などの欠陥は全く含まれていないこ
とが確認された。つづいて、前記板状単結晶の両面に銀
電極をTi/Au電極をスパッタ法により形成し、15
0〜250℃の絶縁オイル中で1kV/mmの電界を3
0分間印加した後電界冷却して分極を行なった。これを
10mm角の板にしてLCRメータを用いて静電容量を
測定した。その結果、比誘電率が2600であった。、
前記電極付き板状単結晶を幅0.15mm、厚さ0.3
mm、長さ10mmの短冊状に切断し、共振、***振周
波数を測定した。その結果、電気機械結合係数k33´は
85〜86%で、ばらつきの少ない良好な圧電特性を有
することが確認された。
【0036】(実施例4)まず、純度が99.9%以上
のPbO、ZnO、NiO、MnO、Sc23、Yb2
3 、Nb25 、Ta25 、TiO2 およびZr
2 を、Pb[{Zn1-Q-R NiQ MnR
1/3-2W/3(Sc1-S YbSW (Nb1-T TaT
2/3-W/31-X (Ti1-U ZrUX ]O3 (Q=0.
10、R=0.05、S=0.30、T=0.05、U
=0.01、W=0.08、X=0.22;PZSNT
Zと略す)とフラックス(FLUX=PbO+ZnO+
23 ,モル比でPbO/ZnO/B23 =7/2
/1)とがモル比でPZSNTZ/FLUX=5:0/
50になるように秤量した。これらの粉末に実施例1と
同様に処理して塊状物を作製した。この塊状物1.5k
gを前述した図1の内径30mmの200ccの有底筒
状白金容器3内に入れた。つづいて、中央部の温度が1
260℃、上下に4分割されたヒータ2により上下方向
に平均温度勾配が3℃/mmとした内径80mm、長さ
1000mmの縦型管状電気炉1に前記白金容器3を吊
下し、1260℃の温度まで6時間昇温した後、12時
間保持して前記容器3内のフラックスおよび原料を溶解
して溶液4を調製した。次いで、前記白金容器3を電気
炉1の中央より下部の温度勾配部分に向かって1mm/
hrの速度で約500mmまで下降させ、その後室温ま
で放冷した。前記白金容器3を20%硝酸で8時間煮沸
し、フラックスを溶かし出して結晶を取り出した。
【0037】得られた結晶は、色調が淡黄色で大きさが
25mm角×30mmLであるほぼ直方体のブロックで
あった。この結晶構造をX線回折法により調べた。その
結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構造であること
がわかった。
【0038】また、前記結晶の結晶構造をX線ラウエ写
真で調べたところ、明瞭なラウエ斑点を示し、かつ長手
方向がほぼ<100>方位に延びた単結晶であることを
確認した。すなわち、白金容器の軸方向に単結晶が<1
00>方位に成長していた。この単結晶の表面に晶癖ら
しき成長面が現れていたが、この面は{100}面では
なかった。前記単結晶を観察すると、4つの<111>
方位に対して3回対称の成長稜が現れていた。この成長
稜の長さは3〜7mmであった。成長時間から単結晶の
成長速度は0.05mm/hrであることがわかった。
また、前記単結晶の粉末のICPによる化学分析を行っ
た。その結果、組成値はほぼ調合組成に近い値(±3%
以内)であることが確認された。
【0039】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にカッタで厚さが1mmの{100}面単結晶板を切
り出し、研磨して0.3mm厚さに仕上げた。この板状
単結晶の内部を観察した。その結果、インクルージョン
(包有物)、成長歪などの欠陥は全く含まれていないこ
とが確認された。つづいて、前記板状単結晶の両面に銀
電極をTi/Au電極をスパッタ法により形成し、15
0〜250℃の絶縁オイル中で1kV/mmの電界を3
0分間印加した後電界冷却して分極を行なった。これを
10mm角の板にしてLCRメータを用いて静電容量を
測定した。その結果、比誘電率が3500であった。前
記電極付き板状単結晶を幅0.15mm、厚さ0.3m
m、長さ10mmの短冊状に切断し、共振、***振周波
数を測定した。その結果、電気機械結合係数k33´は8
7〜89%で、ばらつきが少ない良好な圧電特性を有す
ることが確認された。
【0040】さらに、前記単結晶を用いて前述した図2
に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわち、
前記PZSNTZの圧電単結晶を加工して厚さ200μ
mの角板を作製した。得られた角板の上下面および側面
にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、選択エ
ッチング技術により前記角板の一方の側面に位置する前
記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反対側の
面に位置する前記導電膜の一部を除去した。つづいて、
前記角板の超音波送受信面となる面に音響マッチング層
を形成し後、フレキシブル印刷配線板18を第1電極に
供される前記導電膜部分に半田付けにより接続した。ま
た、アース電極17を第2電極に供される前記導電膜部
分に半田付けにより接続した、これらをバッキング材1
2上に接着した。なお、フレキシブル印刷配線板18お
よびアース電極17は導電ペーストを用いて前記導体膜
に接続してもよい。ひきつづき、ダイヤモンドブレード
を用いて前記音響マッチング層から前記角板に亘って切
り込み、100μmの幅で短冊状に切断した。この切断
により、前記バッキング材12上に第1、第2電極1
3、14を有する互いに分離された圧電体1と前記各圧
電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マッチング層
15が形成された。次いで、前記音響マッチング層15
に音響レンズ16を形成した後、フレキシブル印刷配線
板18を前記各々の第1電極3にそれぞれ半田付け接続
し、アース電極板17を前記各第2電極14に半田付け
により接続し、さらに図示しない110pF/m、長さ
2mの複数の導体(ケーブル)をフレキシブル印刷配線
板18およびアース電極板17にそれぞれ接続すること
によりアレイ形超音波プローブを製造した。
【0041】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が3.5MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。また、感度は従来のセラミックスより6
dB高く、周波数帯域は−6dBで比帯域87%と広帯
域であることがわかった。
【0042】(比較例1)まず、純度が99.9%以上
のPbO、ZnO、Nb25 およびTiO2 を、亜鉛
酸ニオブ酸鉛(Pb[Zn1/3 Nb2/3 ]O3 ;PZN
と略す)とチタン酸鉛(PbTiO3 ;PTと略す)の
モル比が91:9(つまりPb[(Zn1/3 Nb2/3
1-x Tix ]O3 ,x=0.09)で、この91PZN
−9PTとフラックスとして酸化鉛(PbO)とがモル
比で80:20になるように秤量した。これらの粉末に
実施例1と同様に処理して塊状物を作製した。この塊状
物約1.0kgを前述した図1の内径30mmの200
ccの有底筒状白金容器3内に入れた。つづいて、中央
部の温度が1220℃、上下に4分割されたヒータ2に
より上下方向に平均温度勾配が20℃/mmとした内径
80mm、長さ1000mmの縦型管状電気炉1に前記
白金容器3を吊下し、1230℃の温度まで6時間昇温
した後、12時間保持して前記容器3内のフラックスお
よび原料を溶解して溶液4を調製した。次いで、前記白
金容器3を電気炉1の中央より下部の温度勾配部分に向
かって1mm/hrの速度で約500mmまで下降さ
せ、その後室温まで放冷した。前記白金容器3を20%
硝酸で8時間煮沸し、フラックスを溶かし出して結晶を
取り出した。
【0043】得られた結晶は、色調が淡黄色で大きさが
15mm角×100mmLであるほぼ矢じり形ブロック
であった。この結晶構造をX線回折法により調べた。そ
の結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構造であるこ
とがわかった。
【0044】また、前記結晶の結晶構造をX線ラウエ写
真で調べたところ、明瞭なラウエ斑点を示し、かつ長手
方向がほぼ<111>方位に延びた単結晶であることを
確認した。すなわち、白金容器の底面に垂直方向(軸方
向)が単結晶の<111>方位になっており、白金容器
の底面より<111>方位の核発生が起こり、そのまま
白金容器の軸方向(底面と垂直方向)に単結晶が<11
1>方位に成長したことがわかった。白金容器の底面に
張り付いた面は、{111}面であった。また、実施例
1のような成長稜は観察されなかった。成長時間から単
結晶の成長速度は15mm/hrであることがわかっ
た。また、前記単結晶の粉末のICPによる化学分析を
行ったところ、核発生点から成長終点の間で組成;Pb
[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 のx値が0.
080〜0.105と大きく変動していることがわかっ
た。
【0045】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<001>方位軸を出し、この軸に垂
直にカッタで厚さが1mmの単結晶板を切り出し、研磨
して0.3mm厚さに仕上げた。この板状単結晶の内部
を観察した。その結果、インクルージョン(包有物)や
双晶が多く観察された。つづいて、前記板状単結晶の両
面に銀電極をTi/Au電極をスパッタ法により形成
し、150〜250℃の絶縁オイル中で1kV/mmの
電界を30分間印加した後電界冷却して分極を行なっ
た。これを10mm角の板にしてLCRメータを用いて
静電容量を測定した。その結果、比誘電率が3500で
あった。前記電極付き板状単結晶を幅0.15mm、厚
さ0.3mm、長さ10mmの短冊状に切断し、共振、
***振周波数を測定した。その結果、電気機械結合係数
33´は70〜82%でばらつきが大きく、圧電特性が
劣るものであった。
【0046】さらに、インクルージョンのない箇所を選
び前記単結晶を用いて前述した図2に示すアレイ形超音
波プローブを作製した。すなわち、前記91PZT−9
PTの圧電単結晶を加工して厚さ200μmの角板を作
製した。得られた角板の上下面および側面にTi/Au
導体膜をスパッタ法により蒸着し、選択エッチング技術
により前記角板の一方の側面に位置する前記導電膜部分
および超音波送受信面となる面と反対側の面に位置する
前記導電膜の一部を除去した。つづいて、前記角板の超
音波送受信面となる面に音響マッチング層を形成し後、
フレキシブル印刷配線板18を第1電極に供される前記
導電膜部分に半田付けにより接続した。また、アース電
極17を第2電極に供される前記導電膜部分に半田付け
により接続した、これらをバッキング材12上に接着し
た。なお、フレキシブル印刷配線板18およびアース電
極17は導電ペーストを用いて前記導体膜に接続しても
よい。ひきつづき、ダイヤモンドブレードを用いて前記
音響マッチング層から前記角板に亘って切り込み、10
0μmの幅で短冊状に切断した。この切断により、前記
バッキング材12上に第1、第2電極13、14を有す
る互いに分離された圧電体1と前記各圧電体1上にそれ
ぞれ配置された複数の音響マッチング層15が形成され
た。次いで、前記音響マッチング層15に音響レンズ1
6を形成した後、フレキシブル印刷配線板18を前記各
々の第1電極3にそれぞれ半田付け接続し、アース電極
板17を前記各第2電極14に半田付けにより接続し、
さらに図示しない110pF/m、長さ2mの複数の導
体(ケーブル)をフレキシブル印刷配線板18およびア
ース電極板17にそれぞれ接続することによりアレイ形
超音波プローブを製造した。
【0047】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が3.5MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。また、感度は従来のセラミックスより2
dB高くが、感度ばらつきはアレイ40素子で最大6d
Bと大きかった。また、周波数帯域も−6dBで比帯域
の平均値が60%と狭く、ばらつきも50〜80%であ
った。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる酸
化物圧電単結晶の製造方法によれば大面積にしても単結
晶内部に包有物、成長応力歪、双晶などの欠陥が生じ
ず、しかも圧電・誘電特性に優れ、かつ均一な組成を有
する酸化物圧電単結晶を得ることができ、ひいては超音
波診断装置や超音波探傷装置などの超音波送受信素子で
ある超音波プローブ等に有効に利用できる等顕著な効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる酸化物圧電単結晶を製造するた
めの育成装置を示す概略図。
【図2】本発明に寄り製造された酸化物圧電単結晶が組
み込まれた超音波プローブを示す斜視図。
【符号の説明】
1…電気炉、2…ヒータ、3…白金容器、4…溶液、5
…単結晶、11…圧電体、12…バッキング材、13、
14…電極、15…音響マッチング層、16…音響レン
ズ、17…アース電極、18…フレキシブル印刷配線
板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 41/18 H01L 41/18 101A (72)発明者 泉 守 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 河内 勝 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 山下 洋八 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (56)参考文献 特開 平6−122594(JP,A) 特開 平5−139878(JP,A) 特開 平6−345581(JP,A) 特開 平6−38963(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb[(Zn1/3Nb2/31-xTix]O
    3(ただし、xは0.05≦x≦0.20を示す)、 Pb[(Mg1/3Nb2/31-yTiy]O3(ただし、y
    は0.20≦y≦0.40を示す)、 Pb[(Ni1/3Nb2/31-zTiz]O3(ただし、z
    は0.30≦z≦0.50を示す)、 Pb[(Co1/3Nb2/31-uTiu]O3(ただし、u
    は0.10≦u≦0.30を示す)、 Pb[(A1/2Nb1/21-wTiw]O3(ただし、Aは
    Sc、In、Fe、Yおよび希土類元素から選ばれる1
    種、wは0.30≦w≦0.50を示す)、 にて表されるペロブスカイト型複合酸化物、もしくは前
    記式中のNbの一部をTaで置換したペロブスカイト型
    複合酸化物、または前記式中のPbの一部を10モル%
    以内の量でNa、Sr、Ca、およびLaの少なくとも
    1種で置換したペロブスカイト型複合酸化物からなる圧
    電単結晶をフラックス法により製造するにあたり、 底部の曲率半径が少なくとも10mm以上の有底筒状容
    器内に主に酸化鉛をフラックス、前記圧電単結晶の各成
    分を原料として収容する工程と、 下方に向けて温度を下げ、その温度勾配を0.05〜2
    0℃/mmとした電気炉内に前記有底筒状容器を配置し
    てその有底筒状容器内の前記フラックスおよび原料を溶
    融した後、前記有底筒状容器を前記温度勾配を持つ電気
    炉領域を0.05〜10mm/hrの速度で下降させる
    ことにより前記有底筒状容器の底部位置に<100>方
    位の単結晶の核を発生させ、この単結晶の核から<10
    0>方位に単結晶を成長させる工程とを含むことを特徴
    とする酸化物圧電単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 <100>方位の単結晶の成長は、0.
    05〜5mm/hrの速度でなされることを特徴とする
    請求項1記載の酸化物圧電単結晶の製造方法。
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