JP2001247486A - ニトロ化合物の製造法 - Google Patents

ニトロ化合物の製造法

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JP2001247486A
JP2001247486A JP2000058054A JP2000058054A JP2001247486A JP 2001247486 A JP2001247486 A JP 2001247486A JP 2000058054 A JP2000058054 A JP 2000058054A JP 2000058054 A JP2000058054 A JP 2000058054A JP 2001247486 A JP2001247486 A JP 2001247486A
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Yasutaka Ishii
康敬 石井
Tatsuya Nakano
達也 中野
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニトロ化合物をより温和な条件下で簡易に且
つ収率よく製造する。 【解決手段】 本発明のニトロ化合物の製造法では、有
機基質を下記式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
もよい)で表されるイミド化合物の存在下、硝酸若しく
は亜硝酸又はこれらの塩と反応させて、対応するニトロ
化合物を生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニトロ化合物の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタンやエタンなどの低級炭化水素のニ
トロ化は硝酸や二酸化窒素を用いて250〜300℃の
高温で行われている。しかし、炭素数の多い炭化水素の
ニトロ化を上記条件下で行うと、基質が分解して目的の
ニトロ化合物を収率よく得ることができない。また、炭
化水素類のニトロ化として混酸(硝酸と硫酸の混合物)
を用いる方法が広く利用されている。しかし、この方法
では、高濃度の強酸を大量に使用する必要がある。
【0003】特開平11−239730号公報には、特
定の構造を有するイミド化合物の存在下、基質と窒素酸
化物とを接触させて、基質にニトロ基を導入する方法が
開示されている。この方法によれば、比較的温和な条件
下で基質にニトロ基を導入できる。しかし、この方法に
おいても、操作性や目的化合物の収率等の点で必ずしも
充分満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ニトロ化合物をより温和な条件下で簡易に且つ収率
よく製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のイミド化
合物の存在下、硝酸、亜硝酸又はそれらの塩をニトロ化
剤として用いると、温和な条件で広範な有機基質にニト
ロ基を容易に導入できることを見出し、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明は、有機基質を、下記式
(1)
【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
もよい)で表されるイミド化合物の存在下、硝酸若しく
は亜硝酸又はこれらの塩と反応させて、対応するニトロ
化合物を生成させるニトロ化合物の製造法を提供する。
【0007】前記有機基質として、例えば、(a)不飽
和結合に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化合
物、(b)メチン炭素原子を有する化合物、(c)非芳
香族性環状炭化水素、(d)ヘテロ原子の隣接位に炭素
−水素結合を有する非芳香族性複素環化合物及び(e)
直鎖状アルカンからなる群から選択された少なくとも1
種の化合物を使用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】[有機基質]本発明において有機
基質として用いられる化合物には広範な有機化合物が含
まれる。前記有機基質として、例えば、(a)不飽和結
合に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化合物、
(b)メチン炭素原子を有する化合物、(c)非芳香族
性環状炭化水素、(d)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水
素結合を有する非芳香族性複素環化合物及び(e)直鎖
状アルカンからなる群から選択された少なくとも1種の
化合物を使用できる。
【0009】これらの化合物は、種々の置換基、例え
ば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカ
プト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カル
ボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換
カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換
アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基
(例えば、フェニル、ナフチル基など)、アラルキル
基、複素環基などを有していてもよい。好ましい有機基
質には、炭素−水素結合を有する有機化合物が含まれ
る。
【0010】(a)不飽和結合に隣接する部位に炭素−
水素結合を有する化合物 不飽和結合に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化
合物(a)としては、(a1)芳香族性環の隣接位(いわ
ゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン基を有する芳
香族化合物、(a2)不飽和結合(例えば、炭素−炭素不
飽和結合、炭素−酸素二重結合など)の隣接位にメチル
基又はメチレン基を有する非芳香族性化合物などが挙げ
られる。
【0011】前記芳香族性化合物(a1)において、芳香
族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複素環の何れで
あってもよい。芳香族炭化水素環には、ベンゼン環、縮
合炭素環(例えば、ナフタレン、アズレン、インダセ
ン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、
ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮
合炭素環など)などが含まれる。芳香族性複素環として
は、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環
(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールな
どの5員環、4−オキソ−4H−ピランなどの6員環、
ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−
クロメンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ
原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、
イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オ
キソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェ
ンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含
む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾー
ル、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジ
ン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、
キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プ
リンなどの縮合環など)などが挙げられる。
【0012】なお、芳香族性環の隣接位のメチレン基
は、前記芳香族性環に縮合した非芳香族性環を構成する
メチレン基であってもよい。また、芳香族性化合物(a
1)において、芳香族性環と隣接する位置にメチル基と
メチレン基の両方の基が存在していてもよい。
【0013】芳香族性環の隣接位にメチル基を有する芳
香族化合物としては、例えば、芳香環に1〜6個程度の
メチル基が置換した芳香族炭化水素類(例えば、トルエ
ン、キシレン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−
エチル−3−メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メ
チルベンゼン、1−メトキシ−4−メチルベンゼン、メ
シチレン、デュレン、メチルナフタレン、メチルアント
ラセン、4,4′−ジメチルビフェニルなど)、複素環
に1〜6個程度のメチル基が置換した複素環化合物(例
えば、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチ
ルチオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジ
ン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、
2,4,6−トリメチルピリジン、4−メチルインドー
ル、2−メチルキノリンなど)などが例示できる。
【0014】芳香族性環の隣接位にメチレン基を有する
芳香族化合物としては、例えば、炭素数2以上のアルキ
ル基又は置換アルキル基を有する芳香族炭化水素類(例
えば、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,4−ジ
エチルベンゼン、ジフェニルメタンなど)、炭素数2以
上のアルキル基又は置換アルキル基を有する芳香族性複
素環化合物(例えば、2−エチルフラン、3−プロピル
チオフェン、4−エチルピリジン、4−ブチルキノリン
など)、芳香族性環に非芳香族性環が縮合した化合物で
あって、該非芳香族性環のうち芳香族性環に隣接する部
位にメチレン基を有する化合物(ジヒドロナフタレン、
インデン、インダン、テトラリン、フルオレン、アセナ
フテン、フェナレン、インダノン、キサンテン等)など
が例示できる。
【0015】不飽和結合の隣接位にメチル基又はメチレ
ン基を有する非芳香族性化合物(a2)には、例えば、
(a2-1)いわゆるアリル位にメチル基又はメチレン基を
有する鎖状不飽和炭化水素類、(a2-2)カルボニル基の
隣接位にメチル基又はメチレン基を有する化合物が例示
できる。
【0016】前記鎖状不飽和炭化水素類(a2-1)として
は、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1
−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−ヘ
キサジエン、1−オクテン、3−オクテン、ウンデカト
リエンなどの炭素数3〜20程度の鎖状不飽和炭化水素
類が例示できる。前記化合物(a2-2)には、ケトン類
(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタ
ノン、アセトフェノンなどの鎖状ケトン類;シクロヘキ
サノンなどの環状ケトン類)、カルボン酸又はその誘導
体(例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン
酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、フェニル酢酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、及びこれらのエステルな
ど)などが含まれる。
【0017】(b)メチン炭素原子を有する化合物 メチン炭素原子(又は第3級炭素原子)を有する化合物
(b)には、(b1)環の構成単位としてメチン基(すな
わち、メチン炭素−水素結合)を含む環状化合物、(b
2)メチン炭素原子を有する鎖状化合物が含まれる。
【0018】環状化合物(b1)には、(b1-1)少なくと
も1つのメチン基を有する橋かけ環式化合物、(b1-2)
環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(脂環
式炭化水素など)などが含まれる。なお、前記橋かけ環
式化合物には、2つの環が2個の炭素原子を共有してい
る化合物、例えば、縮合多環式芳香族炭化水素類の水素
添加生成物なども含まれる。
【0019】橋かけ環式化合物(b1-1)としては、例え
ば、デカリン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシ
クロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]
オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、ツジョ
ン、カラン、ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレン、
ノルボルナン、ノルボルネン、カンファー、ショウノウ
酸、カンフェン、トリシクレン、トリシクロ[4.3.
1.12,5]ウンデカン、トリシクロ[5.2.1.0
3,8]デカン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6
デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ
ン、エンドトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカ
ン、アダマンタン、1−アダマンタノール、1−クロロ
アダマンタン、1−メチルアダマンタン、1,3−ジメ
チルアダマンタン、1−メトキシアダマンタン、1−カ
ルボキシアダマンタン、1−メトキシカルボニルアダマ
ンタン、1−ニトロアダマンタン、テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]ドデカン、ペルヒドロアント
ラセン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフェナン
トレン、ペルヒドロフルオレン、ペルヒドロフェナレ
ン、ペルヒドロインデン、キヌクリジンなどの2〜4環
式の橋かけ環式炭化水素又は橋かけ複素環化合物及びそ
れらの誘導体などが挙げられる。これらの橋かけ環式化
合物は、橋頭位(2環が2個の原子を共有している場合
には接合部位に相当)にメチン炭素原子を有する。
【0020】環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状
化合物(b1-2)としては、1−メチルシクロペンタン、
1−メチルシクロヘキサン、リモネン、メンテン、メン
トール、カルボメントン、メントンなどの、炭素数1〜
20(好ましくは1〜10)程度の炭化水素基(例え
ば、アルキル基など)が環に結合した3〜15員程度の
脂環式炭化水素及びその誘導体などが挙げられる。環に
炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(b1-2)
は、環と前記炭化水素基との結合部位にメチン炭素原子
を有する。
【0021】メチン炭素原子を有する鎖状化合物(b2)
としては、第3級炭素原子を有する鎖状炭化水素類、例
えば、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、3−
メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチル
ヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキ
サン、3−メチルオクタンなどの炭素数4〜20(好ま
しくは、4〜10)程度の脂肪族炭化水素類;イソプロ
ピルベンゼン、イソプロピルビフェニルなどの、芳香族
性環が第3級炭素原子を有する脂肪族炭化水素基で置換
された芳香族炭化水素類;およびこれらの誘導体などが
例示できる。
【0022】(c)非芳香族性環状炭化水素 非芳香族性環状炭化水素(c)には、(c1)シクロアル
カン類及び(c2)シクロアルケン類が含まれる。
【0023】シクロアルカン類(c1)としては、3〜3
0員のシクロアルカン環を有する化合物、例えば、シク
ロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘ
キサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナ
ン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカ
ン、シクロヘキサデカン、シクロテトラコサン、シクロ
トリアコンタン、及びこれらの誘導体などが例示でき
る。好ましいシクロアルカン環には、5〜30員、特に
5〜20員のシクロアルカン環が含まれる。
【0024】シクロアルケン類(c2)には、3〜30員
のシクロアルケン環を有する化合物、例えば、シクロプ
ロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテ
ン、シクロヘキセン、1−メチル−シクロヘキセン、イ
ソホロン、シクロヘプテン、シクロドデカエンなどのほ
か、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,5−シクロオクタジエンなどのシクロアルカジ
エン類、シクロオクタトリエンなどのシクロアルカトリ
エン類、及びこれらの誘導体などが含まれる。好ましい
シクロアルケン類には、3〜20員環、特に3〜12員
環を有する化合物が含まれる。
【0025】(d)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結
合を有する非芳香族性複素環化合物 ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する非芳香族
性複素環化合物(d)における非芳香族性複素環には、
窒素原子、酸素原子及びイオウ原子から選択された少な
くとも1種のヘテロ原子を有する3〜20員(好ましく
は5〜12員、さらに好ましくは5又は6員)の複素環
などが含まれる。前記複素環には、ベンゼン環、シクロ
ヘキサン環、ピリジン環などの芳香族性又は非芳香族性
の環が1又は2以上縮合していてもよい。前記複素環と
しては、例えば、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラ
ン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピ
ロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イン
ドリン、クロマン、イソクロマンなどが例示される。
【0026】(e)直鎖状アルカン 直鎖状アルカン(e)としては、例えば、メタン、エタ
ン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカ
ン、ヘキサデカン等の炭素数1〜30程度(好ましくは
炭素数1〜20程度)の直鎖状アルカンが挙げられる。
有機基質は単独で用いてもよく、同種又は異種のものを
2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】[イミド化合物]本発明では、触媒とし
て、前記式(1)で表されるイミド化合物を用いる。こ
のイミド化合物において、置換基R1及びR2のうちハロ
ゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が
含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブ
チル、t−ブチル、ヘキシル、デシル基などの炭素数1
〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれ
る。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜
6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げ
られる。
【0028】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜
10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1
〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0029】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカル
ボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ
部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基
が含まれる。好ましいカルボニル基にはアルコキシ部分
の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキ
シカルボニル基が含まれる。アシル基としては、例え
ば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基な
どの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0030】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル
基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、
ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置
換基を有していてもよい。前記式(1)において、Xは
酸素原子又はヒドロキシル基を示し、窒素原子NとXと
の結合は単結合又は二重結合である。
【0031】前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結
合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香
族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状
イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例
えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場
合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形
成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミ
ド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互
いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成す
る場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含ん
で前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0032】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化3】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0033】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0034】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げら
れる。
【0035】前記イミド化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経
てイミド化する方法により調製できる。
【0036】前記酸無水物には、例えば、無水コハク
酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカル
ボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカル
ボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性
環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環
式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリ
メリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水
物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族
多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0037】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミドなどが含まれる。式(1)で表されるイミド
化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用でき
る。
【0038】本発明では、前記イミド化合物とともに助
触媒を用いることもできる。助触媒として、金属化合物
が挙げられる。前記イミド化合物と金属化合物とを併用
することにより、反応速度や反応の選択性が向上する場
合がある。
【0039】金属化合物を構成する金属元素としては、
特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用
いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属
元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素とし
て、周期表2族元素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、
3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチノイド元素
など)、4族元素(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素
(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元
素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ruなど)、9族元
素(Co、Rhなど)、10族元素(Ni、Pd、Pt
など)、11族元素(Cuなど)、12族元素(Znな
ど)、13族元素(B、Al、Inなど)、14族元素
(Sn、Pbなど)、15族元素(Sb、Biなど)な
どが挙げられる。好ましい金属元素には、遷移金属元素
(周期表3〜12族元素)が含まれる。なかでも、周期
表5〜11族元素、特に5族〜9族元素が好ましく、と
りわけV、Mo、Mn、Coなどが好ましい。金属元素
の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度であ
る。
【0040】金属化合物としては、前記金属元素の単
体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン
化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ
酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、
炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩など
の無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン
酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、
錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成す
る配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ
(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、
アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカ
ルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルな
ど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、
ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原
子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフ
ィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合
物、NH 3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO
3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合
物などが挙げられる。
【0041】金属化合物の具体例としては、例えば、コ
バルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバ
ルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫
酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトな
どの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体
等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。
また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウ
ム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、
硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウム
などの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バ
ナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバ
ナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合
物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応
する化合物などが例示される。金属化合物は単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。
【0042】前記金属化合物の使用量は、例えば、前記
イミド化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル
程度、好ましくは0.005〜0.08モル程度であ
る。
【0043】本発明では、また、助触媒として、少なく
とも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元
素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンタ
ーイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。
助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度
や反応の選択性が向上する場合がある。
【0044】前記有機塩において、周期表15族元素に
は、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16
族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ま
しい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げら
れ、特に、N、P、Sなどが好ましい。
【0045】前記元素の原子に結合する有機基には、置
換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基など
が含まれる。炭化水素基としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜2
0程度)の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(ア
ルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8程度の脂環
式炭化水素基;フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素
基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン
原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例え
ば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基
など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置
換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置
換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、
エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキ
ル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、複素環基などが例示できる。好ましい炭化水素基
には、炭素数1〜30程度のアルキル基、炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基又はナフ
チル基)などが含まれる。前記置換オキシ基には、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など
が含まれる。
【0046】前記有機塩の代表的な例として、有機アン
モニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩
などの有機オニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム
塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチル
アンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムク
ロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ト
リエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリブチル
(ヘキサデシル)アンモニウムクロリド、ジ(オクタデ
シル)ジメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アン
モニウムクロリド、及び対応する第4級アンモニウムブ
ロミドなどの、窒素原子に4つの炭化水素基が結合した
第4級アンモニウム塩;ジメチルピペリジニウムクロリ
ド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、メチルキノリ
ニウムクロリドなどの環状第4級アンモニウム塩などが
挙げられる。また、有機ホスホニウム塩の具体例として
は、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチル
ホスホニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)ホ
スホニウムクロリド、トリエチルフェニルホスホニウム
クロリドなどの第4級ホスホニウムクロリド、及び対応
する第4級ホスホニウムブロミドなどの、リン原子に4
つの炭化水素基が結合した第4級ホスホニウム塩などが
挙げられる。有機スルホニウム塩の具体例としては、ト
リエチルスルホニウムイオジド、エチルジフェニルスル
ホニウムイオジドなどの、イオウ原子に3つの炭化水素
基が結合したスルホニウム塩などが挙げられる。
【0047】また、前記有機塩には、メタンスルホン酸
塩、エタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩、ドデ
カンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩(例え
ば、C 6-18アルキルスルホン酸塩);ベンゼンスルホン
酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン
酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸塩などのアルキル基で置換されていてもよい
アリールスルホン酸塩(例えば、C6-18アルキル−アリ
ールスルホン酸塩);スルホン酸型イオン交換樹脂(イ
オン交換体);ホスホン酸型イオン交換樹脂(イオン交
換体)なども含まれる。
【0048】前記有機塩の使用量は、例えば、前記イミ
ド化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル程
度、好ましくは0.005〜0.08モル程度である。
【0049】また、本発明の方法では、系内に、ラジカ
ル発生剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。こ
のような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素な
ど)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過
酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド
(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)などが挙げ
られる。これらの成分を系内に存在させると、反応が促
進される場合がある。前記成分の使用量は、前記イミド
化合物1モルに対して、例えば0.001〜0.1モル
程度である。
【0050】[硝酸若しくは亜硝酸又はこれらの塩]本
発明では、ニトロ化剤として硝酸若しくは亜硝酸又はこ
れらの塩(以下、単に「硝酸類」と称する場合がある)
を用いる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0051】硝酸や亜硝酸の塩としては、ナトリウム
塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム
塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属
塩;銀塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などのその他の金属
塩などが挙げられる。好ましい塩には、硝酸又は亜硝酸
のアルカリ金属塩等が含まれる。
【0052】前記硝酸類は、そのまま反応系に供給して
もよいが、水溶液などの溶液の形態で反応系に供給する
ことができる。また、これらは反応系中で生成させて反
応に用いることもできる。
【0053】[反応]本発明の製造法では、有機基質を
前記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で前記硝
酸類と反応させる。
【0054】反応は溶媒の存在下又は不存在下で行われ
る。溶媒としては、基質の種類等に応じて適宜選択で
き、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニ
トリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミ
ド類;t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのア
ルコール類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水
素;ベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジ
クロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼ
ンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロ
メタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;水;及びこ
れらの混合溶媒などを使用できる。
【0055】溶媒として、酢酸などの有機酸、ベンゾニ
トリルなどのニトリル類、クロロベンゼンやトリフルオ
ロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等を用いる
場合が多い。
【0056】前記イミド化合物触媒の使用量は、基質1
モルに対して、例えば0.0001〜1モル、好ましく
は0.001〜0.5モル、さらに好ましくは0.01
〜0.2モル程度である。また、前記硝酸類の使用量
は、基質1モルに対して、例えば0.05〜1.2モル
程度、好ましくは0.2〜0.8モル程度である。な
お、硝酸を基質に対して大過剰量用いてもよく、硝酸を
溶媒として使用することもできる。
【0057】反応温度は、基質の種類等に応じて、例え
ば0〜150℃、好ましくは25〜125℃、さらに好
ましくは30〜100℃程度の範囲から選択できる。反
応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。
【0058】反応は不活性ガス(例えば、窒素、アルゴ
ンなど)の雰囲気下で行うことが好ましい。雰囲気中に
酸素原子含有ガスが存在すると、基質に酸素原子含有基
が導入された化合物が生成することがある。反応は、回
分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うこ
とができる。
【0059】反応終了後、反応生成物は、慣用の分離精
製手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結
晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や
これらを組み合わせることにより容易に分離精製でき
る。
【0060】この方法によれば、温和な条件下でニトロ
化反応が円滑に進行し、対応するニトロ化合物が生成す
る。例えば、基質として前記不飽和結合に隣接する部位
に炭素−水素結合を有する化合物(a)を用いると、該
炭素−水素結合に係る炭素原子がニトロ化される。ま
た、基質としてメチン炭素原子を有する化合物(b)を
用いると、該メチン炭素原子がニトロ化される。さら
に、基質として非芳香族性環状炭化水素(c)を用いる
と、環を構成する炭素原子にニトロ基が導入され、例え
ば、シクロヘキサンなどのシクロアルカン類(c1)から
は対応するニトロシクロアルカン類が生成する。また、
ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する非芳香族
性複素環化合物(d)では、該炭素−水素結合に係る炭
素原子がニトロ化され、ヘキサンなどの直鎖状アルカン
(e)からは対応するニトロアルカンが生成する。
【0061】なお、本発明者らの検討によると、アルゴ
ン雰囲気下、アダマンタンなどの基質と前記イミド化合
物とを含む溶液(60℃)中に硝酸類を加えると系中で
褐色の気体二酸化窒素(NO2)が速やかに発生すると
ともに、基質に対応するニトロ化合物が生成するが、前
記イミド化合物の非存在下では二酸化窒素が発生せず、
反応も進行しないことが判明した。このことから、本発
明の方法においては、前記イミド化合物と硝酸類とが反
応してイミドN−オキシラジカルが生成し、これが基質
から水素原子を引き抜いてラジカルを生成させ、このラ
ジカルに前記の二酸化窒素が付加して、対応するニトロ
化合物が生成するものと考えられる。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法によれば、硝酸類と特定構
造のイミド化合物とを組み合わせて用いるため、ニトロ
化反応が円滑に進行し、対応するニトロ基含有化合物を
温和な条件下で簡易に且つ収率よく製造できる。また、
温和な条件で反応を行うことができるので、反応の選択
性が高く、触媒(イミド化合物)の失活を抑制できると
ともに、アダマンタンなどの昇華性の物質を基質として
用いても、昇華によるトラブルや収率の低下等を防止で
きる。
【0063】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。なお、反応生成物の同定は、NM
R、IR、GC−MSにより行った。
【0064】実施例1 フラスコに、アダマンタン3ミリモル、N−ヒドロキシ
フタルイミド0.2ミリモル、61重量%硝酸1.5ミ
リモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入
れ、アルゴン雰囲気下、攪拌しながら60℃で15時間
反応させた。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに付すことにより、1−ニトロアダマンタンが
得られた。アダマンタンの転化率は43%、1−ニトロ
アダマンタンの選択率は72%であった。なお、N−ヒ
ドロキシフタルイミドを用いることなく同様の操作を行
ったところ、反応は全く進行しなかった。
【0065】実施例2 フラスコに、アダマンタン11ミリモル、N−ヒドロキ
シフタルイミド2.2ミリモル、61重量%硝酸22ミ
リモル、及び酢酸28.5gを入れ、窒素雰囲気下、攪
拌しながら60℃で8時間反応させた。反応混合物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、
1−ニトロアダマンタンが得られた。アダマンタンの転
化率は78%、1−ニトロアダマンタンの選択率は74
%であった。
【0066】実施例3 フラスコに、アダマンタン11ミリモル、N−ヒドロキ
シフタルイミド1.1ミリモル、61重量%硝酸6.8
ミリモル、及び酢酸28.5gを入れ、窒素雰囲気下、
攪拌しながら80℃で2時間反応させた。反応混合物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによ
り、1−ニトロアダマンタンが得られた。アダマンタン
の転化率は57%、1−ニトロアダマンタンの選択率は
70%であった。
【0067】実施例4 フラスコに、シクロヘキサン36ミリモル、N−ヒドロ
キシフタルイミド3.6ミリモル、61重量%硝酸43
ミリモル、及び酢酸27gを入れ、窒素雰囲気下、攪拌
しながら60℃で8時間反応させた。反応混合物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによりニト
ロシクロヘキサンが得られた。シクロヘキサンの転化率
は20%、ニトロシクロヘキサンの選択率は20%であ
った。
【0068】実施例5 フラスコに、シクロヘキサン36ミリモル、N−ヒドロ
キシフタルイミド3.6ミリモル、亜硝酸ナトリウム4
3ミリモル、及び酢酸27gを入れ、窒素雰囲気下、攪
拌しながら80℃で7時間反応させた。反応混合物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによりニ
トロシクロヘキサンが得られた。シクロヘキサンの転化
率は42%、ニトロシクロヘキサンの選択率は2%であ
った。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機基質を、下記式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
    が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
    くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
    −置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
    もよい)で表されるイミド化合物の存在下、硝酸若しく
    は亜硝酸又はこれらの塩と反応させて、対応するニトロ
    化合物を生成させるニトロ化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 有機基質が、(a)不飽和結合に隣接す
    る部位に炭素−水素結合を有する化合物、(b)メチン
    炭素原子を有する化合物、(c)非芳香族性環状炭化水
    素、(d)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有す
    る非芳香族性複素環化合物及び(e)直鎖状アルカンか
    らなる群から選択された少なくとも1種の化合物である
    請求項1記載のニトロ化合物の製造法。
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