JPH09327626A - 酸化触媒系およびそれを用いた酸化方法 - Google Patents

酸化触媒系およびそれを用いた酸化方法

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JPH09327626A
JPH09327626A JP9023631A JP2363197A JPH09327626A JP H09327626 A JPH09327626 A JP H09327626A JP 9023631 A JP9023631 A JP 9023631A JP 2363197 A JP2363197 A JP 2363197A JP H09327626 A JPH09327626 A JP H09327626A
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Yasutaka Ishii
康敬 石井
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達也 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温和な条件下、分子状酸素により基質を酸化
し、高い反応転化率および選択率で基質に対応する酸化
物を得る。 【解決手段】 式(1)で表されるイミド化合物(N−
ヒドロキシフタルイミドなど)と、周期表2A族,遷移
金属(周期表3A族〜7A族,8族,1B族および2B
族),および周期表3B族からなる群から選択された元
素を含む助触媒(ただし、リンバナドモリブデン酸を除
く)とで構成された酸化触媒の存在下、基質(シクロア
ルカン類,多環式炭化水素類,芳香族性環に隣接してメ
チル基又はメチレン基を有する芳香族性化合物など)を
酸素酸化し、酸化物(ケトン類,アルコール類,カルボ
ン酸など)を得る。 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、水素原子、ハロゲン原子など
の置換基を示し、R1 及びR2 は互いに結合して二重結
合、芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成して
もよい。XはO又はOHを示し、n=1〜3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基質を酸素酸化し
て、対応する酸化物を効率よく生成させるのに有用な酸
化触媒系およびこの触媒系を用いた酸化方法(若しくは
ケトン類,アルコール類,アルデヒド類,カルボン酸類
の製造方法)に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化反応は、有機化学工業における最も
基本的な反応の1つであり、種々の酸化方法、特に硝酸
を用いて基質を酸化する方法が知られている。例えば、
ナイロン66の原料であるアジピン酸は、シクロヘキサ
ノール単独又はシクロヘキサノールとシクロヘキサンと
の混合物(KAオイル)を硝酸で酸化する方法により製
造されている。また、ポリエステルやポリアミドの原料
となる長鎖ジカルボン酸(例えば、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸)は、対応す
る大環状シクロアルカン(例えば、シクロオクタン、シ
クロノナン、シクロデカン、シクロドデカン)を硝酸で
酸化する方法により製造されている。しかし、これらの
方法では、いずれも硝酸酸化により生成するN2 Oおよ
びNOx を処理するために、高価な排ガス処理施設が必
要となる。
【0003】これらの点から、ブタジエンの酸化的カル
ボニル化方法やCO挿入法などによりアジピン酸の製造
方法が検討されているものの、未だ技術的に工業化には
至っていない。
【0004】資源及び環境上の観点から好ましい酸化方
法は、分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利用する
触媒的な酸化法である。そこで、コバルト触媒やホウ酸
触媒の存在下、基質に分子状酸素を触媒的に直接接触さ
せる酸化方法が検討されている。例えば、コバルト触媒
やホウ酸触媒の存在下、シクロへキサンや大環状シクロ
アルカンなどのシクロアルカン、シクロアルケンに分子
状酸素を触媒的に直接接触させる酸化方法が検討されて
いる。しかし、コバルト触媒を触媒系に用いると、高価
なコバルト成分を回収したり、コバルト触媒が析出す
る。また、触媒的な酸化法では、酸素を活性化するため
に高温や高圧を必要とするだけでなく、転化率及び選択
率が未だ小さい。さらに、アジピン酸の製造において
は、選択性を高いレベルに維持するため転化率を10%
程度に抑制しながら、アジピン酸を生成させる必要があ
る。そのため、触媒的な酸化法では、温和な条件下、工
業的に高い転化率および選択率で基質(シクロヘキサン
などのシクロアルカン,シクロアルケン)から対応する
酸化物(アジピン酸、シクロヘキセノール、シクロヘキ
セノンなど)を生成させることが困難である。
【0005】なお、大環状シクロアルカンの酸化に関し
て、特公昭43−3100号公報には、ホウ酸触媒の存
在下、シクロドデカンを空気酸化し、生成物のうちシク
ロドデカノールは脱水素反応に供してシクロドデカノン
を生成させ、シクロドデカノンをニトロシル硫酸と反応
させ、ベックマン転位によりナイロン12の原料となる
ラクタムを得る方法が開示されている。しかし、シクロ
ヘキサンに比べて大環状シクロアルカン類は安定で反応
性が小さい。そのため、前記の空気酸化法では、シクロ
ドデカンの転化率が小さく、シクロドデカノールを含め
てもシクロドデカノンの収率が小さい。特に触媒的な酸
化法では、温和な条件下、大環状シクロアルカンから、
対応する酸化物(例えば、カルボニル化合物やカルボン
酸)を高い収率で効率よく製造することが困難である。
【0006】なお、アゾビスイソブチロニトリルなどの
ラジカル発生剤を用い、酸素存在下で基質を酸化するこ
とも検討されている。しかし、この方法でも、シクロア
ルケンから対応する酸化化合物を高い選択率で収率よく
得ることが困難である。
【0007】一方、隣接する環の接合位や橋頭位に炭素
−水素結合(メチリジン基)を有する多環式炭化水素
は、石油の精製段階で豊富に得られる多環式芳香族化合
物(例えば、ナフタレン、アセナフテン、アントラセ
ン、フェナントレン、フェナレンやこれらのアルキル置
換体など)を高温高圧下で水素添加並びに熱転移させる
ことにより製造できる(特公昭52−2909号公報、
特公昭52−12706号公報、特公昭53−3594
2号公報、特公昭53−35944号公報、特開昭60
−246333号公報)。このような方法で生成する多
環式炭化水素類は熱的に安定であり、耐熱性が要求され
る高級潤滑油などに利用されている。
【0008】多環式炭化水素類は、アダマンタンなどの
ように三次元的に対称構造を有する化合物の他、各環が
相互に安定化する骨格を有しているため、特異な機能を
有する。そのため、多環式炭化水素類にヒドロキシル基
を導入し、必要によりアクリル酸誘導体やカーボネート
などに誘導することにより、機能性を高めた種々の共重
合体を得ることができる。例えば、橋頭位にメチン炭素
原子を有する橋架け環式炭化水素において、官能基を導
入したアダマンタンから、ポリエステルを製造する方法
(特公昭42−26792号公報,特公昭43−937
号公報,特公昭46−34628号公報,特開昭50−
21090号公報)、ポリカーボネートを得る方法(米
国特許3516969号明細書,米国特許359442
7号明細書)、ポリアミドやポリイミドを得る方法(特
公昭45−2024号公報、米国特許3832332号
明細書,米国特許3814735号明細書)、ポリウレ
タンを得る方法(特公昭43−700号公報,特公昭4
3−6456号公報,特公昭44−6267号公報,特
公昭44−12891号公報)、ポリスルフォンおよび
ポリスルフォネートを得る方法(米国特許373896
0号明細書,米国特許3738965号明細書,米国特
許3753950号明細書)、ビニルポリマーを得る方
法(特公昭45−36950号公報,特公昭46−28
419号公報)が提案されている。また、多環式炭化水
素類をモノマーとするホモポリマーも提案されている
(米国特許3649702号明細書)。このような多環
式炭化水素類を含む重合体は、一般に、機能性が高く、
例えば、耐熱性、耐湿性、導光損失性、屈折率、複屈折
率などの光学的特性、熱膨張率などの特性において、従
来のポリマーでは達成できない高いレベルを有してい
る。従って、光ファイバー、光学用素子、光学レンズ、
ホログラム、光ディスク、コンタクトレンズなどの光学
材料、有機ガラス用透明樹脂コーティング剤、導電性ポ
リマー、写真感光性材料、蛍光性材料などとしての利用
が検討されている。
【0009】一方、架橋環式炭化水素類のアルコール体
から誘導されるアミノ誘導体は、パーキンソン氏病の治
療薬「シンメトレル」などに代表されるように、高い薬
理活性を示す各種の医薬・農薬を誘導する上で有用であ
り、例えば、アダマンタン、ヘミアダマンタン、ノルボ
ルネン、テトラリンやこれらの誘導体などが利用されて
いる。
【0010】このように、橋頭位に官能基を有する多環
式炭化水素類は幅広い用途を有する化合物であり、この
ような化合物の殆どは、対応するアルコール体から誘導
されている。特に高機能性材料を得るためには、2以上
の複数の橋頭位にヒドロキシル基が置換したポリオール
体を用いるのが有利である。しかし、化学的に安定な多
環式炭化水素類の橋頭位にヒドロキシル基を有効かつ効
率よく導入することはかなり困難である。例えば、橋架
け環式炭化水素類(例えば、アダマンタン又はその誘導
体)を過剰量の臭素(例えば、10倍モル以上)を用い
て臭素化し、生成した臭素化物を、化学量論量を越える
過剰の硝酸銀や硫酸銀で加水分解することにより、ヒド
ロキシル基を導入している(Chem. Ber., 92 1629(195
9), 93 226,1161(1960): J. Org. Che., 26 2207(196
1))。
【0011】しかし、この方法では、多量の臭素を必要
とし、100℃程度で長時間反応させているだけでな
く、高価な銀試薬も多量に消費する。特に2以上の橋頭
位を逐次臭素化することが困難である。そのため、アダ
マンタンを用いる場合には、三臭化ホウ素,三臭化アル
ミニウムなどの触媒が必要となる。しかも、加水分解工
程での損失が大きく、臭素化法を利用すると、生成した
アルコール体を基準にして、アダマンタンモノオールが
81%、アダマンタンジオールが57%程度しか回収さ
れない。さらに、アダマンタントリオールは、アダマン
タンから直接生成させることができず、高度に逐次臭素
化した化合物を分離して加水分解する必要がある。その
ため、アダマンタントリオールの収率は10〜30%程
度と極めて低い(Tetrahedron Letters, 19 1841(196
7); Just. Liebigs Ann. Chem., 71760(1968))。
【0012】アダマンタンジオールを得る方法として、
クロム酸を用いる酸化法も知られている。例えば、特公
昭42−16621号公報には、アダマンタンに対して
5倍モル以上のクロム酸を用い、濃酢酸溶液中、90℃
で反応させると、収率96%、選択率96%でアダマン
タンジオールが得られることが開示されている。この方
法は、多環式炭化水素類の橋頭位を酸化し、アルコール
誘導体を生成させるのに有用である。しかし、高価なク
ロム酸を過剰に用いる必要があるとともに、毒性が高い
だけでなく、後処理や回収設備を必要とし、経済性にも
欠ける。また、クロム酸とともに過剰量の硫酸も必要と
する。さらには、反応温度や溶媒としての酢酸濃度の管
理を必要とし、反応操作性が高いとは言いがたい。しか
も、アダマンタンジオールを生成させることはできるも
のの、反応条件を厳しくしてもトリオール以上のポリオ
ール体への酸化が進行しない。
【0013】分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利
用する触媒的な酸化法に関し、例えば、特公昭42−2
6792号公報には、触媒量のナフテン酸コバルトの存
在下、無溶媒で、酸素圧7kg/cm2、170℃でア
ダマンタンを加熱し、アダマンタンの転化率が70%と
なった時点で反応を停止することが記載されている。こ
のような方法で生成する反応混合物には、橋頭位が酸化
されたアダマンタンモノオールが収率41%の割合で含
まれているものの、ジオール体の含有量は痕跡量に過ぎ
ない。しかも、転化率99%になるまで加熱を継続する
と、アダマンタンジオールが収率25%の割合で生成す
るものの、異性化して酸化されたケトン誘導体が多量に
副生するため、反応生成物から目的化合物の単離精製が
極めて困難となる。
【0014】このように、高機能化に有用なアダマンタ
ンなどの多環式炭化水素類に関して、ケトン体の生成を
抑制しつつ、ジオール体、特にトリオール、テトラオー
ルなどのポリオール体を有効かつ効率よくすることは困
難である。特に、温和な条件下、高い転化率および選択
率でポリオール体を得ることは困難である。
【0015】特開平5−310610号公報には、空気
酸化触媒として前記コバルト以外の金属種について検討
した結果が示されている。しかし、この文献に記載され
ている触媒は未だ触媒能が小さく、多環式炭化水素から
対応する酸化化合物を高い選択率で収率よく得ることが
困難である。
【0016】また、隣接する環が互いに接合する部位の
第3級炭素原子にヒドロキシル基が置換した化合物は、
生理活性物質として有用であり、抗ウィルス剤、抗菌
剤、食物ホルモンなどとしての利用価値が高い。また、
環の接合部位の炭素原子に官能基が結合した化合物は、
各種の香料、香気性化合物の原料として広く利用されて
いる。そのため、環の接合部位にヒドロキシル基を有す
る第3級アルコール体は重要な化合物である。しかし、
隣接する環の接合部位にメチリジン基を有する化合物を
酸化すると、隣接する環の接合部位が酸化開裂し、対応
するジケトン体が主成分として生成する。従って、ジケ
トン体の生成を抑制しつつ、環の接合部位にヒドロキシ
ル基を導入することが困難であり、第3級アルコール体
を得るためには基質特異性を利用した特殊な方法が採用
されている。例えば、特公昭62−5894号公報に
は、テトラヒドロインダンをエポキシ化したエポキシテ
トラヒドロインダンをアルミニウムアルコキシド触媒を
用いて開環させ、第3級ヒドロキシル基を有するヘキサ
ヒドロインダノールを得る方法が開示されている。この
ようなヘキサヒドロインダノールとその誘導体は、葉
様、グリーン様、ショウノウ様、木質様、パチョリー
様、ムスク様、根様、ベルベチ様、アメリカニンジン
様、松根様、土様などの香気を呈する。そのため、コロ
ン、食品、たばこなどの種々の材料の香料として利用さ
れている。しかし、前記ヘキサヒドロインダノールを得
るためには、インデンを部分水素添加してテトラヒドロ
インダンを生成させる工程と、生成したテトラヒドロイ
ンダンをエポキシ化する工程とを必要とするだけでな
く、各反応工程での選択率が小さいため、エポキシ化合
物の開環工程も含めると、目的化合物の収率は全体とし
て非常に小さい。そのため、比較的安価なインデンを原
料とするにも拘らず、経済的に有利に目的化合物を得る
ことが困難である。
【0017】特公昭55−42972号公報には、1−
ハロゲノトリシクロ[4.3.1.12,5 ]ウンデカン
を加水分解することにより、1−ヒドロキシトリシクロ
[4.3.1.12,5]ウンデカンを得ることが開示さ
れている。1−ヒドロキシトリシクロ[4.3.1.1
2,5]ウンデカンは、薬理活性を示す化合物、例えば、
強い抗ウィルス活性を示すアミノ体などの原料となる。
特開昭51−13760号公報では、トリシクロ[4.
3.1.12,5]ウンデカンを臭素化することにより、
1−ハロゲノトリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデ
カンを製造している。しかし、臭素化物の収率は65%
程度であり、アミノ化工程を含めると、アミノ体の収率
は60%未満である。さらに、対応する塩化物に至って
は、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカンから
直接誘導できないため、1−ヒドロキシトリシクロ
[4.3.1.12,5]ウンデカンと塩化アシルとを反
応させることにより生成させている。このように、トリ
シクロ[4.3.1.12,5]ウンデカンは、多くの酸
化可能な部位、すなわち、互いに隣接する環が接合する
2か所の接合部位、2か所の橋頭位、7か所のメチレン
部位を有している。そのため、クロム酸酸化や空気酸化
などの従来の酸化方法では、ヒドロキシル基を高い選択
性で直接導入できない。
【0018】特公昭57−114538号公報には、エ
キソトリシクロ[5.2.1.02, 6]デカンを有機過
酸化物で処理することにより、2−エンドヒドロキシエ
キソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンを得るこ
とが開示されている。このアルコール体は、ウッディ・
カンファー様の強芳香を呈する香料物質であり、抗ウィ
ルス作用、抗菌作用、植物ホルモン作用を有する生理活
性物質である。このような特性は、エンドトリシクロ
[5.2.2.02,6]ウンデカンを有機過酸化物で処
理することにより生成する2−ヒドロキシエンドトリシ
クロ[5.2.2.02,6]ウンデカンにも認められる
(特公昭57−114539号公報)。しかし、前記過
酸化物による酸化では、目的化合物の収率が20〜50
%程度と低い。なお、前記エンドトリシクロ[5.2.
2.02,6]ウンデカンはジシクロペンタジエン誘導体
として容易に得られる(特公昭51−36748号公
報,Synth. Comm., 4, 225(1974))。このように、環の
開裂およびジケトン体の副生を抑制しつつ、多環式炭化
水素類において互いに隣接する環が接合する接合部位の
第3級炭素原子にヒドロキシル基を簡便かつ有効に導入
することも困難である。
【0019】さらに、メチル基が置換した芳香族化合物
(例えば、トルエン)を硝酸や重クロム酸で酸化する方
法により、カルボキシル基を有する芳香族化合物(例え
ば、安息香酸)が製造されている。これらの方法は比較
的高い収率で安息香酸などのカルボキシル基を有する芳
香族化合物を得る上で有用である。しかし、硝酸酸化法
では、前記のように、生成するN2 OおよびNOx を処
理するために、高価な排ガス処理施設が必要となる。ま
た、重クロム酸を用い方法でも、クロム成分の処理が必
要となる。
【0020】空気酸化法を利用して安息香酸を製造する
方法として、例えば、ナフテン酸コバルトを用いてトル
エンを液相で酸化する方法、コバルト・マンガン酢酸塩
と臭素化物とで構成された触媒系の存在下、トルエンを
液相で酸化する方法が知られている。しかし、ナフテン
酸コバルトを用いる方法は、転化率および選択率が小さ
く、安息香酸を効率よく得ることが困難である。一方、
コバルト・マンガン酢酸塩を用いる方法は、比較的高い
収率で安息香酸を製造できる。しかし、この方法では比
較的高い温度(例えば、150〜250℃程度)で反応
させる必要がある。そのため、温和な条件下、酸素酸化
により、トルエンなどのメチル基が置換した芳香族炭化
水素から対応するカルボン酸を高い収率で効率よく製造
することが困難である。
【0021】また、他の芳香族化合物、例えば、p−キ
シレンの空気酸化を酢酸コバルトと共酸化剤との存在下
で行なうと、比較的低温(90〜160℃程度)でテレ
フタル酸を生成させることができる。しかし、この方法
では、多量の触媒を循環させる必要があるだけでなく、
テレフタル酸と当モルの酢酸が副生する。
【0022】さらに、ポリアミドなどの合成樹脂、無水
マレイン酸、可塑剤などの合成原料としてブテンジオー
ルが利用されている。また、ブテンジオールから誘導さ
れるブタンジオールは、例えば、テトラヒドロフラン、
ブチロラクトン、ポリエステルやポリウレタンの合成原
料として有用である。前記ブテンジオールやブタンジオ
ールは、レッペ反応を利用してブチンジオールを生成さ
せ、生成したブチンジオールを還元触媒を用いて水素添
加することにより得ることができる。一方、石油精製工
程においてブタジエンなどの共役ジエンは多量に生成す
る。そのため、ブタジエンなどの共役ジエンから対応す
るブテンジオールなどのアルケンジオールを直接生成で
きるならば工業的に有用である。共役ジエンからジオー
ルを製造する方法として、硝酸を用いて共役ジエンを酸
化し、ジオール生成させることも考えられる。しかし、
前記のように、硝酸酸化により生成するN2OおよびN
Oxを処理するために、高価な排ガス処理施設が必要と
なる。そのため、資源及び環境上の観点から、分子状酸
素又は空気を酸化剤として直接利用する触媒的な酸化法
によりアルケンジオールを効率よく製造可能ならばさら
に有用である。また、酸素又は空気を酸化剤として利用
する酸化方法が、共役ジエン類以外の共役化合物、例え
ば、アクリル酸又はその誘導体などのα,β−不飽和部
位の酸化においても有効であり、効率よく対応する酸化
物を製造することできれば、この酸素による酸化方法は
極めて有用となる。しかし、酸素酸化、特に温和な条件
下での酸素酸化により、共役ジエン類、アクリル酸又は
その誘導体などの共役化合物から、対応するジオール類
又はその誘導体(例えば、アルケンジオール、アセター
ルなど)を高い選択率および収率で生成させることは困
難である。
【0023】日本化学会第67春季年会 1994年
「講演予稿集II」第762頁には、バナドモリブドリン
酸塩とN−ヒドロキシフタルイミドとを用いて、ベンジ
ルアルコール,ベンズヒドロールなどのアルコール類を
空気酸化すると、アセトフェノン,ベンゾフェノンなど
のケトンが高い収率で生成すること、N−ヒドロキシフ
タルイミドを用いてテトラリン、イソクロマン、アダマ
ンタンなどを酸素酸化すると、対応するモノアルコール
やモノケトンが生成することが報告されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、排ガス処理を特に必要とせず、酸素酸化により、基
質を効率よく酸化できる酸化触媒と、この触媒を用いた
酸化方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
分子状酸素酸化により、高い転化率および選択率で基質
(シクロアルカン類,シクロアルケン類、多環式炭化水
素類、アルキル基置換芳香族性化合物、共役化合物な
ど)から対応する酸化物(ケトン類,アルコール類,ア
ルデヒド類,カルボン酸類など)を生成できる酸化触媒
と、この触媒を用いた酸化方法、並びに前記酸化物の製
造方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、温和な条件下、酸素との接触により、基質(シクロ
アルカン類、シクロアルケン類、アルキル基置換芳香族
性化合物)から、対応するカルボン酸類(アジピン酸な
どの長鎖ジカルボン酸類、芳香族カルボン酸類)やケト
ン類(シクロアルカノン類,シクロアルケノン類,芳香
族ケトン類)を直接かつ効率よく高い転化率及び選択率
で生成できる酸化触媒、およびこの触媒を用いた酸化方
法、並び前記カルボン酸類やケトン類の製造方法を提供
することにある。本発明の別の目的は、酸素により多環
式炭化水素類の橋頭位又は接合位のメチリジン基の部位
を効率よく酸化できる酸化触媒、およびこの触媒を用い
た酸化方法を提供することにある。本発明のさらに別の
目的は、縮合多環式炭化水素類、橋架け環式炭化水素類
から対応するジオール以上のポリオールを高い転化率及
び選択率で製造できる酸化触媒、およびこの触媒を用い
た酸化方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、温和な条件下、多環式炭化水素類の環の開裂および
ジケトン体の副生を抑制しつつ、接合位の第3級炭素原
子にヒドロキシル基を高い効率で導入できる酸化触媒、
および酸化方法を提供することにある。本発明のさらに
別の目的は、温和な条件下、酸素酸化によりアダマンタ
ンジオール、トリオール以上のアダマンタンポリオール
を有効かつ高い収率で得ることができるアダマンタンポ
リオールの製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、N−ヒドロキシフタ
ルイミド化合物と助触媒とで構成された触媒系の存在
下、基質を酸素又は空気酸化すると、常圧の比較的温和
な条件下であっても、高い効率で酸化でき、対応する酸
化物が高い選択率および収率で生成することを見いだ
し、本発明を完成した。すなわち、本発明の酸化触媒系
は、式(1)
【0026】
【化7】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロア
ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ
ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
及びR2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す。Nと
Xとの間の結合は単結合又は二重結合を示す)で表され
るイミド化合物と、リンバナドモリブデン酸を除く助触
媒とで構成されている。助触媒には、周期表2A族,遷
移金属,および周期表3B族からなる群から選択された
元素を含む助触媒が含まれる。前記イミド化合物(1)
と助触媒とで構成された酸化触媒系では種々の基質を効
率よく酸化でき、基質に対応するケトン類,アルデヒド
類,アルコール類やカルボン酸類を生成させることがで
きる。そのため、本発明の方法では、前記イミド化合物
(1)と助触媒とで構成された酸化触媒系の存在下、基
質と酸素とを接触させる。
【0027】なお、基質が、(a)シクロアルカン類、
(b)シクロアルケン類、(c1)多環式炭化水素類のう
ち、環の構成単位としてメチリジン基を含む、アダマン
タン以外の多環式炭化水素類、(d1)芳香族性化合物の
うち、少なくとも1つのアルキル基が置換した芳香族性
化合物、(e)共役化合物から選択された化合物である
場合、前記助触媒を用いることなく、前記イミド化合物
(1)で構成された酸化触媒の存在下で基質が酸化され
る。また、前記助触媒の共存下(すなわち、イミド化合
物(1)と助触媒とで構成された酸化触媒系の存在下)
で基質を酸素酸化する場合、基質がベンジル位にヒドロ
キシル基を有する芳香族化合物であるとき、助触媒はリ
ンバナドモリブデン酸ではない。すなわち、助触媒が周
期表5A族元素や周期表6A族元素で構成されたポリ酸
(ヘテロポリ酸,イソポリ酸)であるとき、ポリ酸は、
通常、イソポリ酸である。なお、基質が(a)シクロア
ルカン類、(b)シクロアルケン類、(c1)アダマンタ
ン以外の多環式炭化水素類、(d1)少なくとも1つのア
ルキル基が置換した芳香族性化合物、(e)共役化合物
であるとき、前記ヘテロポリ酸として、リンバナドモリ
ブデン酸を使用してもよい。すなわち、この場合、助触
媒として、前記酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン
化物、錯体、イソポリ酸又はその塩およびヘテロポリ酸
又はその塩から選ばれた少なくとも一種を用いることが
できる。好ましい態様の酸化方法では、助触媒として、
周期表2A族,遷移金属,および周期表3B族からなる
群から選択された元素を含む化合物であって、酸化物、
有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、錯体、イソポリ酸
又はその塩から選択された化合物が使用される。
【0028】本発明は、前記イミド化合物(1)で構成
された酸化触媒、又はイミド化合物(1)と助触媒とで
構成された酸化触媒系の存在下、前記基質を酸化してケ
トン類、アルコール類、アルデヒド類又はカルボン酸類
を製造する方法も開示する。さらに、本発明は、基質の
酸化のための前記イミド化合物(1)で構成された酸化
触媒の使用、又はイミド化合物(1)と助触媒とで構成
された酸化触媒系の使用も開示する。
【0029】なお、本明細書において、「カルボン酸」
とは、遊離のカルボキシル基を有する化合物に限らず、
反応条件により生成する塩,エステルや酸無水物などの
ように、実質的にカルボン酸と等価なカルボン酸誘導体
も含む意味に用いる。また、アダマンタンとその誘導体
を単に「アダマンタン成分」と言う場合がある。なお、
多環式炭化水素類の橋頭位のメチリジン基は基「−HC
<」、隣接する環の接合位のメチリジン基は基「>CH
−CH<」で表すことができる。また、「二価の遷移金
属化合物」には、反応系中で生成する遷移金属化合物も
含まれる。さらに、「アクリル酸、メタクリル酸又はそ
れらの誘導体」を「(メタ)アクリル酸又はその誘導
体」と総称する場合がある。また、「共役化合物」と
は、二重結合と単結合とが交互に位置する化合物(例え
ば、ブタジエンなど)に限らず、不飽和結合(二重結合
および三重結合)が単結合を介して又は介することなく
交互に位置する化合物(例えば、共役ポリエンなど)も
含む意味に用いる。そのため、不飽和ジオールが「共役
ジエン類」に対応する酸化物である限り、単一の二重結
合のみならず、複数の二重結合や三重結合を有する不飽
和ジオールも「アルケンジオール」と総称する。
【0030】
【発明の実施の形態】
[イミド化合物]前記式(1)で表される化合物におい
て、置換基R1 及びR2 のうちハロゲン原子には、ヨウ
素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル
基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル
基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アル
キル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例え
ば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基が挙げられる。
【0031】アリール基には、フェニル基、ナフチル基
などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれ
る。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、
プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキ
シ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基
などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程
度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれ
る。
【0032】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキ
シカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程
度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含
まれる。
【0033】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0034】前記置換基R1 及びR2 は、同一又は異な
っていてもよい。また、前記式(1)において、R1
よびR2 は互いに結合して、二重結合、または芳香族性
又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族
性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環
程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、
炭化水素環である場合が多い。このような環には、例え
ば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環などの置換
基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセ
ン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環
など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環など
の置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環な
ど)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有して
いてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族環で
構成される場合が多い。好ましいイミド化合物には、下
記式で表される化合物が含まれる。
【0035】
【化8】 (式中、R3 〜R6 は、同一又は異なって、水素原子、
アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキ
シル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ
基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。窒素原
子「N」と「X」との結合は単結合又は二重結合を示
す。R1 、R2 およびnは前記に同じ) 置換基R3 〜R6 において、アルキル基には、前記例示
のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程
度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には、前記と同
様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコ
キシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のア
ルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が
1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特に
炭素数1〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子
としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換
基R3 〜R6 は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の
低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン
原子である場合が多い。
【0036】前記式(1)において、Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示し、窒素原子「N」と「X」との結
合は単結合又は二重結合である。また、nは、通常、1
〜3程度、好ましくは1又は2である。式(1)で表さ
れる化合物は酸化反応において一種又は二種以上使用で
きる。
【0037】前記式(1)で表されるイミド化合物に対
応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレ
イン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水
物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、
1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸
1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多
価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、
無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価
カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無
水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ
無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水
ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カル
ボン酸無水物が含まれる。好ましいイミド化合物として
は、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げら
れる。特に好ましい化合物は、脂環族多価カルボン酸無
水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導さ
れるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロ
キシフタル酸イミドなどが含まれる。
【0038】前記イミド化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2 OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環
してイミド化することにより調製できる。
【0039】このようなイミド化合物は、酸化活性が高
く、温和な条件であっても、特定の基質の酸化反応を触
媒的に促進できる。さらに、前記イミド化合物と助触媒
との共存下で種々の基質を酸化すると、転化率及び/又
は選択率が向上する。そのため、本発明では、特定の基
質については、前記イミド化合物で構成された酸化触媒
の存在下で酸化し、基質に対応するケトン類,アルコー
ル類,アルデヒド類やカルボン酸類を生成させる。ま
た、本発明では、前記イミド化合物と助触媒とで構成さ
れた触媒系の存在下、基質を効率よく高い選択率で酸化
し、基質に対応するケトン類,アルコール類,アルデヒ
ド類やカルボン酸類を生成させることができる。
【0040】[助触媒]助触媒としての共酸化剤には、
金属化合物、例えば、周期表2A族元素(マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムなど)、遷
移金属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表3B
族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合
物が含まれる。助触媒は、一種又は二種以上組合わせて
使用できる。前記遷移金属の元素としては、例えば、周
期表3A族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリ
ウムYの外、ランタンLa、セリウムCe、サマリウム
Smなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどの
アクチノイド元素)、周期表4A族元素(チタンTi、
ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5A族元素
(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6
A族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステン
Wなど)、7A族元素(マンガンMn、テクネチウムT
c,レニウムReなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウ
ムRu、オスミウムOs、コバルトCo、ロジウムR
h、イリジウムIr、ニッケルNi、パラジウムPd、
白金Ptなど)、1B族元素(銅Cu、銀Ag、金Au
など)、2B族元素(亜鉛Zn,カドミウムCdなど)
などが挙げられる。好ましい助触媒を構成する元素に
は、遷移金属の元素(例えば、ランタノイド元素、アク
チノイド元素などの周期表3A族元素、4A族元素、5
A族元素、6A族元素、7A族元素、8族元素、1B族
元素、2B族元素)、3B族元素(ホウ素化合物など)
が含まれる。特に、前記式(1)で表されるイミド化合
物と組合せたとき、Ti,Zrなどの4A族元素、Vな
どの5A族元素、Cr、Mo、Wなどの6A族元素、M
n,Tc,Reなどの7A族元素、Fe、Ru、Co、
Rh、Niなどの8族元素、Cuなどの1B族元素を含
む化合物は、高い酸化活性を示す。
【0041】助触媒は、前記元素を含み、かつ酸化能を
有する限り特に制限されず、金属単体、水酸化物などで
あってもよいが、通常、前記元素を含む金属酸化物(複
酸化物または酸素酸塩)、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲ
ン化物、前記金属元素を含む配位化合物(錯体)やヘテ
ロポリ酸(特にイソポリ酸)又はその塩などである場合
が多い。なお、前記式(1)で表されるイミド化合物と
の組合せにより構成される酸化触媒系において、周期表
5A族および6A族元素を含む化合物のうちリンバナド
モリブデン酸は除かれる。
【0042】また、ホウ素化合物としては、例えば、水
素化ホウ素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラ
ン、ペンタボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルト
ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例え
ば、ホウ酸ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マン
ガンなど)、B2 3 などのホウ素酸化物、ボラザン、
ボラゼン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなど
の窒素化合物、BF3 、BCl3 、テトラフルオロホウ
酸塩などのハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホ
ウ酸メチル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
好ましいホウ素化合物には、水素化ホウ素、オルトホウ
酸などのホウ酸又はその塩など、特にホウ酸が含まれ
る。これらの助触媒は一種又は二種以上使用できる。
【0043】水酸化物には、例えば、Mn(OH)2
MnO(OH),Fe(OH)2 ,Fe(OH)3 など
が含まれる。金属酸化物には、例えば、Sm2 3 、T
iO 2 、ZrO2 、V2 3 、V2 5 、CrO、Cr
2 3 、MoO3 、MnO、Mn34 ,Mn23
MnO2 ,Mn27 ,FeO、Fe2 3 、Fe3
4 、RuO2 、RuO4 、CoO、CoO2 、Co2
3 、RhO2 、Rh2 3 、Cu2 3 などが含まれ、
複酸化物または酸素酸塩としては、例えば、MnAl2
4 ,MnTiO3 ,LaMnO3 ,K2 Mn25
CaO・xMnO2 (x=0.5,1,2,3,5),
マンガン酸塩[例えば、Na3 MnO 4 ,Ba3 [Mn
42 などのマンガン(V)酸塩,K2 MnO4 ,N
2 MnO4 ,BaMnO4 などのマンガン(VI)酸
塩、KMnO4 ,NaMnO4 ,LiMnO4 ,NH4
MnO4 ,CsMnO4 ,AgMnO4 ,Ca(MnO
42 ,Zn(MnO42 ,Ba(MnO42 ,M
g(MnO42 ,Cd(MnO42 などの過マンガ
ン酸塩]が含まれる。有機酸塩としては、例えば、酢酸
コバルト、酢酸マンガン、プロピオン酸コバルト、プロ
ピオン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マ
ンガン、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸マンガン
などのC2-20脂肪酸塩、チオシアン酸マンガンや対応す
るCe塩、Ti塩,Zr塩,V塩,Cr塩、Mo塩,F
e塩、Ru塩,Ni塩、Pd塩、Cu塩,Zn塩などが
例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸コバルト、
硝酸鉄、硝酸マンガン、硝酸ニッケル、硝酸銅などの硝
酸塩やこれらに対応する硫酸塩,リン酸塩および炭酸塩
(例えば、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸マンガン、リン
酸コバルト、リン酸鉄、リン酸マンガン、炭酸鉄、炭酸
マンガン、過塩素酸鉄など)が挙げられる。また、ハロ
ゲン化物としては、例えば、SmCl3 、SmI2 、T
iCl2 、ZrCl2 、ZrOCl2 、VCl3 、VO
Cl2 、MnCl2 ,MnCl3 、FeCl2 、FeC
3 、RuCl3 、CoCl2 、RhCl2 、RhCl
3 、NiCl2 、PdCl2 、PtCl2 、CuCl、
CuCl2 などの塩化物や、これらに対応するフッ化
物,臭化物やヨウ化物(例えば、MnF2 ,MnBr
2 ,MnF3 ,FeF2 、FeF 3 、FeBr2 、Fe
Br3 、FeI2 、CuBr、CuBr2 など)などの
ハロゲン化物、M1 MnCl3 ,M1 2MnCl4 ,M1 2
MnCl5 ,M1 2MnCl 6 (M1 は一価金属を示す)
などの複ハロゲン化物などが挙げられる。
【0044】錯体を形成する配位子としては、OH(ヒ
ドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなど
のアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキ
シカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチル
アセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2 O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH
3 (アンミン)、NO、NO2 (ニトロ)、NO3 (ニ
トラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物など
が挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の
配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。配位子
は、例えば、OH、アルコキシ基、アシル基、アルコキ
シカルボニル基、アセチルアセトナト、ハロゲン原子、
CO、CN、H2 O(アコ)、トリフェニルホスフィン
などのリン化合物や、NH3 、NO2 、NO3 を含めて
窒素含有化合物である場合が多い。
【0045】前記遷移金属元素と配位子は適当に組合せ
て錯体を構成することができ、例えば、アセチルアセト
ナト錯体(Ce,Sm,Ti,Zr,V,Cr,Mo,
Mn,Fe,Ru,Co,Ni,Cu,Znなどのアセ
チルアセトナト錯体や、チタニルアセチルアセトナト錯
体TiO(AA)2 、ジルコニルアセチルアセトナト錯
体ZrO(AA)2 、バナジルアセチルアセトナト錯体
VO(AA)2 など)、シアノ錯体(ヘキサシアノマン
ガン(I)酸塩,ヘキサシアノ鉄(II)酸塩など)、カ
ルボニル錯体やシクロペンタジエニル錯体(トリカルボ
ニルシクロペンタジエニルマンガン(I)、ビスシクロ
ペンダジエニルマンガン(II)、ビスシクロペンタジエ
ニル鉄(II)、Fe(CO)5 ,Fe2 (CO)9 ,F
3 (CO)12など)、ニトロシル化合物(Fe(N
O)4 ,Fe(CO)2 (NO)2など)、チオシアナ
ト錯体(コバルトチオシアナト,マンガンチオシアナ
ト,鉄チオシアナトなど)、アセチル錯体(酢酸コバル
ト,酢酸マンガン,酢酸鉄,酢酸銅,酢酸ジルコニルZ
rO(OAc)2 、酢酸チタニルTiO(OAc)2
酢酸バナジルVO(OAc)2 など)などであってもよ
い。
【0046】ポリ酸(イソポリ酸やヘテロポリ酸)は、
例えば、周期表5A族又は6A族元素、例えば、V(バ
ナジン酸),Mo(モリブデン酸)およびW(タングス
テン酸)の少なくとも一種である場合が多く、中心原子
は特に制限されず、例えば、Cu、Be、B、Al、S
i、Ge、Sn、Ti、Th、N、P、As、Sb、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、S、Se、Te、M
n、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt、
Cuなどであってもよい。ヘテロポリ酸の具体例として
は、例えば、コバルトモリブデン酸塩、コバルトタング
ステン酸塩、モリブデンタングステン酸塩、マンガンモ
リブデン酸塩、マンガンタングステン酸塩、マンガンモ
リブデンタングステン酸塩、バナドモリブドリン酸塩、
マンガンバナジウムモリブデン酸塩、マンガンバナドモ
リブドリン酸塩などが挙げられる。なお、前記のよう
に、本発明の酸化触媒系を構成する助触媒において、好
ましいポリ酸はイソポリ酸であり、バナジウム−モリブ
デン系のヘテロポリ酸(リンバナドモリブデン酸)又は
その塩は除かれる。
【0047】これらの助触媒は基質の種類などに応じて
単独で又は二種以上組合わせて使用でき、助触媒の種類
によっては、例えば、次のような特徴的な機能が発現す
る。
【0048】1.助触媒を構成する遷移金属化合物にお
いて元素の原子価は特に制限されず、2〜6価程度であ
ってもよいが、二価の遷移金属化合物(例えば、二価の
コバルト化合物、二価のマンガン化合物など)を助触媒
として用いると、酸化活性を向上できる。例えば、三価
の遷移金属化合物に代えて、二価の遷移金属化合物を前
記イミド化合物と組合わせた触媒系では、酸化反応生成
物を短時間にしかも高い選択率および収率で誘導でき
る。また、二価の遷移金属化合物(例えば、二価のコバ
ルトなどの周期表8族元素を含む化合物)を助触媒とし
て用いると、低温(例えば、10〜60℃)、特に室温
(15〜30℃程度)であっても、基質(例えば、メチ
ル基が置換した芳香族性化合物など)を定量的に酸化で
き、対応する酸化物(例えば、カルボン酸など)を生成
できる。
【0049】2.周期表4A族元素(Ti,Zrな
ど)、6A族(Cr,Moなど)、および7A族元素
(Mnなど)のうち少なくとも1つの元素を含む化合物
を助触媒として用いると、反応条件が厳しくても、触媒
(特にイミド化合物)の失活を大きく抑制できる。その
ため、工業的に有利に基質を酸素酸化又は空気酸化する
ことができる。
【0050】3.周期表4A族元素(Ti,Zrな
ど),5A族元素(Vなど),6A族元素(Cr,Mo
など),7A族元素(Mnなど)および8族元素(F
e,Coなど)を含む化合物を助触媒として用いると、
酸化活性が大きく向上し、基質を有効に酸化できる。例
えば、周期表5A族元素(Vなど),周期表7A族元素
(Mnなど)や周期表8族元素(Coなど)を含む化合
物を助触媒とする触媒系は、活性が高い。また、周期表
7A族元素(Mnなど)や周期表8族元素(Feなど)
を含む化合物を助触媒とする触媒系は、基質(例えば、
シクロアルカン類など)に対して高活性であり、高い選
択率で対応する酸化物(例えば、ケトン類やジカルボン
酸類など)を生成できる。特に周期表5A族元素(Vな
ど)を含む化合物を助触媒として使用すると、基質の複
数の部位[多環式炭化水素類(アダマンタンなど)の橋
頭位や接合位など]を効率よく酸化でき、複数のヒドロ
キシル基が導入された生成物(例えば、フダマンタンポ
リオールなど)を得ることができる。
【0051】4.式(1)で表されるイミド化合物と、
周期表1B族元素(Cuなど)を含む助触媒との組合わ
せで酸化触媒系を構成すると、酸化反応において選択率
を大きく向上できるとともに、イミド化合物の失活を抑
制でき工業的に有利である。
【0052】5.式(1)で表されるイミド化合物と、
周期表7A族元素を含む化合物(マンガン化合物など)
と、周期表8族元素を含む化合物(鉄化合物など)とを
組み合わせて酸化触媒系を構成すると、触媒活性がさら
に向上し、高い転化率および選択率で、有効かつ効率よ
く酸化物を生成させることができる。この複合触媒系に
おいて、周期表8族元素を含む化合物(第2の助触媒)
の割合は、特に制限されず、例えば、周期表7A族元素
を含む化合物(第1の助触媒)1モルに対して0.1〜
25モル(例えば、0.1〜20モル)、好ましくは
0.2〜15モル、さらに好ましくは0.5〜10モル
程度である場合が多い。
【0053】前記イミド化合物で構成された酸化触媒、
又はイミド化合物および前記助触媒で構成される酸化触
媒系は、均一系であってもよく、不均一系であってもよ
い。また、前記酸化触媒又は酸化触媒系は、担体に触媒
成分が担持された固体触媒であってもよい。担体として
は、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、
ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。固
体触媒における触媒成分の担持量は、担体100重量部
に対して、式(1)で表されるイミド化合物0.1〜5
0重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ま
しくは1〜20重量部程度である。また、助触媒の担持
量は、担体100重量部に対して、0.1〜30重量
部、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは
1〜20重量部程度である。
【0054】式(1)で表されるイミド化合物に対する
助触媒の割合は、反応速度、選択率を損わない範囲で選
択でき、例えば、イミド化合物1モルに対して、助触媒
0.001〜10モル、好ましくは0.005〜5モ
ル、さらに好ましくは0.01〜3モル程度であり、
0.01〜5モル(特に0.001〜1モル)程度であ
る場合が多い。
【0055】なお、助触媒の量が増加するにつれて、イ
ミド化合物の活性が低下する場合がある。そのため、酸
化触媒系の高い活性を維持するためには、助触媒の割合
は、イミド化合物1モルに対して、有効量以上であって
0.1モル以下(例えば、0.001〜0.1モル、好
ましくは0.005〜0.08モル、さらに好ましくは
0.01〜0.07モル程度)であるのが好ましい。
【0056】酸化反応(換言すれば、ケトン類,アルコ
ール類,アルデヒド類やアルコール類の製造方法)にお
いて、前記式(1)で表されるイミド化合物の使用量
は、広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して
0.001〜1モル(0.01〜100モル%)、好ま
しくは0.001〜0.5モル(0.1〜50モル
%)、さらに好ましくは0.01〜0.30モル程度で
あり、0.01〜0.25モル程度である場合が多い。
また、助触媒(共酸化剤)の使用量も、反応性および選
択率を低下させない範囲で適当に選択でき、例えば、基
質1モルに対して0.0001モル(0.1モル%)〜
0.7モル(70モル%)、好ましくは0.0001〜
0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.3モル
程度であり、0.0005〜0.1モル(例えば、0.
005〜0.1モル)程度である場合が多い。ポリ酸
(イソポリ酸やヘテロポリ酸)又はその塩を助触媒とし
て使用する場合、基質100重量部に対して0.1〜2
5重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ま
しくは1〜5重量部程度である。
【0057】[基質]前記イミド化合物で構成された酸
化触媒、又はイミド化合物と助触媒とで構成された酸化
触媒系を用いると、種々の基質を有効に酸化でき、基質
に対応するケトン類,アルコール類,アルデヒド類,カ
ルボン酸類などを生成させることができる。基質の種類
は特に制限されず、広い範囲の飽和又は不飽和化合物、
例えば、炭化水素類(脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水
素類、芳香族炭化水素類)、複素環式化合物、アルコー
ル類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルデヒド
類、アミン類などが使用できる。これらの基質は、種類
に応じて、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子(ヨウ
素、臭素、塩素およびフッ素原子)、アルキル基(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシ
ル基などの炭素数1〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状アル
キル基、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基)、オ
キソ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基な
どの炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級ア
ルコキシ基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロ
キシメチル、2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ
1-4 アルキル基など)、カルボキシル基、アルコキシ
カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニ
ル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニ
ル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、特に
1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基)、アシル基
(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリ
ル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイ
ル基などの炭素数1〜6程度のアシル基)、アミノ基、
置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基などが置換していて
もよい。
【0058】好ましい基質には、例えば、次のような工
業的に有用な化合物が含まれる。 (a)シクロアルカン類 シクロアルカン類としては、3〜30員のシクロアルカ
ン環を有する化合物、例えば、シクロプロパン、シクロ
ブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプ
タン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、
シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリデカ
ン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロ
ヘキサデカン、シクロオクタデカン、シクロノナデカ
ン、シクロエイコサン、シクロドコサン、シクロテトラ
コサン、シクロトリアコンタンなどが例示できる。
【0059】置換基を有するシクロアルカン類として
は、例えば、ヒドロキシル基を有するシクロアルカン
(シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロデ
カノール、シクロウンデカノール、シクロドデカノー
ル、シクロテトラデカノール、シクロエイコサノールな
ど)、オキソ基を有するシクロアルカン(シクロペンタ
ノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジ
メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサジオン、シクロ
ペンタノン、シクロオクタノン、シクロオクタジオン、
シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノ
ン、シクロドデカノン、シクロテトラデカノン、シクロ
オクタデカノン、シクロエイコサノン)、アルキル基を
有するシクロアルカン(メチルシクロヘキサン,1,2
−ジメチルシクロヘキサン,イソプロピルシクロヘキサ
ン,メチルシクロオクタンなど)などが含まれる。
【0060】好ましいシクロアルカン類は、5〜30員
環、特に6〜25員環、なかでも6〜20員環(例え
ば、6〜16員環)の化合物が含まれる。また、本発明
の方法では、8員環以上(例えば、8〜30員環)、好
ましくは8〜25員環、特に工業的に有用な8〜20員
環(例えば、8〜16員環)の化合物であっても有効に
酸化できる。
【0061】前記イミド化合物(1)で構成された酸化
触媒、又はイミド化合物(1)と助触媒とで構成された
触媒系の存在下、このようなシクロアルカン類を酸素に
より酸化すると、常圧の空気又は酸素雰囲気下であって
も、高い転化率および選択率で、主に、対応するジカル
ボン酸又はシクロアルカノンが生成する。例えば、シク
ロヘキサン又はその誘導体(シクロヘキサノンやシクロ
ヘキサノールなど)を酸化すると、高い転化率および選
択率でアジピン酸を効率よく生成できる。アジピン酸を
得るための基質(脂環族C6 化合物)としては、シクロ
ヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンが使
用できる。基質としては、シクロヘキサン、シクロヘキ
サノールおよびシクロヘキサノンの少なくとも1つの成
分を用いればよく、二種以上の成分を組み合わせて使用
してもよい。なお、シクロヘキサン単独でも高い転化率
および選択率でアジピン酸を生成させることができる
が、シクロヘキサンの酸化物であるシクロヘキサノール
やシクロヘキサノンの共存下でシクロヘキサンを酸化し
たり、シクロヘキサノールやシクロヘキサノンを酸化す
ると、転化率および選択率をさらに向上できる。前記の
酸化方法でシクロヘキサン又はその誘導体を酸化する
と、温和な条件下のみならず、反応温度及び/又は反応
圧力を高くして反応速度を大きくしても、副生物が殆ど
生成せず、生成物の殆どがアジピン酸であるという特色
がある。そのため、アジピン酸の分離精製を極めて簡単
かつ容易に行なうことができ、ナイロン66、ポリエス
テルや可塑剤などの原料となるアジピン酸を製造する上
で極めて有用である。
【0062】また、前記酸化触媒や酸化触媒系を利用す
ると、酸化に対する反応性が小さな8員以上、特に9員
以上の大環状シクロアルカン類(例えば、10〜30員
のシクロアルカン類)であっても、酸素に対する反応性
が特異的に急激に向上し、高い効率で酸化でき、ケトン
体(特にモノケトン体)やジカルボン酸を高い収率で得
ることができる。すなわち、本発明の方法では、大環状
シクロアルカン類を、温和な条件下、高い転換率および
選択率で酸化し、ケトン類やジカルボン酸類(特に大環
状モノケトン類および長鎖ジカルボン酸類)を得ること
ができる。例えば、シクロオクタンを酸化すると、シク
ロオクタノンやスベリン酸を生成させることができ、9
員以上のシクロアルカン類と酸素とを接触させて酸化す
ると、対応するシクロアルカノン又は長鎖ジカルボン酸
を生成させることができる。なお、モノケトン体はジカ
ルボン酸の前駆体となるとともに、ラクタムの原料とも
なる。また、モノケトン体は酸化反応の進行にともなっ
てジカルボン酸に変換される。そのため、ポリエステ
ル、ポリアミドや可塑剤などの原料となる炭素数8以上
の長鎖ジカルボン酸やその前駆体となるモノケトン化合
物を製造する上で極めて有用である。
【0063】基質がシクロアルカン類であるとき、特に
有効な助触媒は、少なくとも周期表7A族元素(Mnな
ど)を含む化合物で構成されている。また、有効な助触
媒は周期表7A族元素(Mnなど)を含む化合物と周期
表8族元素(Feなど)を含む化合物との組み合わせで
構成できる。また、助触媒として、二価の遷移金属化合
物(例えば、二価のコバルト化合物やマンガン化合物な
ど)を用いると、シクロアルカン類(例えば、シクロオ
クタン)から、ジケトンの副生を大きく抑制しつつ、シ
クロアルカノン(例えば、シクロオクタノン)、特にジ
カルボン酸(例えば、スベリン酸)の選択率および収率
を顕著に高めることができる。
【0064】(b)シクロアルケン類 シクロアルケン類には、3〜30員のシクロアルケン環
を有する化合物、例えば、環状オレフィン(例えば、シ
クロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロ
ヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、イソホロ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、
シクロデセン、シクロデカエン、シクロドデカエンな
ど)、シクロアルカジエン類(例えば、シクロペンタジ
エン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘ
キサジエンなどのシクロヘキサジエン類、1,3−シク
ロヘプタジエンなどのシクロヘプタジエン類、1,5−
シクロオクタジエンなどのシクロオクタジエン類、シク
ロデカジエン、シクロドデカジエンなど)、シクロアル
カトリエン類(例えば、シクロオクタトリエンなど)、
シクロアルカテトラエン類(例えば、シクロオクタテト
ラエンなど)などが挙げられる。好ましいシクロアルケ
ン類には、3〜30員環(例えば、3〜20員環)、好
ましくは3〜16員環、特に3〜12員環(例えば、5
〜10員環)を有する化合物が含まれる。
【0065】置換基を有するシクロアルケン類として
は、例えば、C1-4アルキル基、ヒドロキシル基、ヒド
ロキシアルキル基、カルボキシル基を有するシクロアル
ケン(例えば、シクロヘキセンカルボン酸、シクロヘキ
センジカルボン酸、シクロヘキサジエンカルボン酸、シ
クロヘキサジエンジカルボン酸、シクロゲラニウム酸、
シクロゲラニオール、シクロシトラール、シクロゲラニ
オレンなど)、オキソ基を有するシクロアルケノン(例
えば、シクロヘキセノン、シクロオクテノンなど)など
が含まれる。
【0066】前記イミド化合物は、酸化活性が高く、穏
和な条件であっても、シクロアルケン類の酸化反応を触
媒的に促進してシクロアルケン類を効率よく酸素酸化で
きる。そのため、シクロアルケン類を効率よく酸化し
て、対応するシクロアルケン類の酸化物(例えば、ケト
ン類、アルコール類、アルデヒド類やカルボン酸類)、
特にシクロアルケノン類やシクロアルケノール類を高い
選択率で生成できる。さらに、前記式(1)で表される
イミド化合物と助触媒との共存下でシクロアルケン類を
酸化すると、転化率及び/又は選択率をさらに向上でき
る。
【0067】(c)環の構成単位としてメチリジン基を
含む多環式炭化水素類 前記多環式炭化水素類には、少くとも1つのメチリジン
基(すなわち、メチン炭素−水素結合−CH<)を有す
る橋架け環式炭化水素類(例えば、架橋環式炭化水素、
テルペン類など)および縮合多環式炭化水素類が含まれ
る。メチリジン基を有する環は、通常、非芳香族性環で
あり、不飽和二重結合を有する橋架け環又は縮合環であ
ってもよい。オルソ(ortho)縮合又はオルソアンドペ
リ(orthoand peri)縮合している縮合多環式炭化水素
類は、メチリジン基を有する非芳香族性環を有する限
り、芳香族性環が縮合していてもよい。多環式炭化水素
類において、2以上のメチリジン基が橋頭位及び/又は
接合位に存在する場合が多い。なお、橋架け環式炭化水
素類においても、隣接する環が互いに共有する2つのメ
チリジン基で結合する縮合多環式炭化水素類を構成する
場合がある。このような化合物においては、橋頭位およ
び接合位のうち少くともいずれか一方の部位のメチリジ
ン基を酸化し、第3級炭素原子にヒドロキシル基を導入
してもよい。ヒドロキシル基の導入部位は基質の種類に
応じて選択できる。また、オキソ基は前記橋頭位および
接合位に隣接する部位(第2級炭素原子)に導入される
場合が多い。
【0068】橋架け環式炭化水素類のうち架橋環式炭化
水素類としては、例えば、2環式炭化水素(例えば、ツ
ジャン、カラン、ピナン、ボルナン(カンファン)、ボ
ルニレン、ノルボルネン、ノルボルナン、ビシクロ
[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウン
デカンなど)、3環式炭化水素(例えば、トリシクロ
[4.3.1.12,5]ウンデカン、ホモブレダン(す
なわちトリシクロ[5.2.1.03,8]デカン)、ア
ダマンタン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6
デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ
ン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、エ
ンドトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカンな
ど)、4環式炭化水素(例えば、テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]ドデカンなど)などの他、ジ
シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジエ
ンの二量体、これらの二量体の水素添加物(例えば、ジ
シクロヘキサン、ジシクロペンタン、ジシクロペンテ
ン、ジシクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンな
ど)およびこれらの誘導体が挙げられる。架橋環式炭化
水素類としては、環を構成する炭素数が7〜16程度
(特に炭素数6〜14程度)の2環式ないし4環式炭化
水素、例えば、2以上の複数の橋頭位又は接合位に炭素
−水素結合を有する化合物、特に、ピナン、ボルナン、
ボルニレン、ノルボルネン、ノルボルナンなどの2環式
炭化水素、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカ
ン、ホモブレダン、アダマンタンなどの3環式炭化水素
を用いる場合が多い。橋頭位の第3級炭素原子にヒドロ
キシル基が導入可能な架橋環式炭化水素類には、例え
ば、ノルボルネン、トリシクロ[4.3.1.1 2,5
ウンデカン、ホモブレダン、アダマンタンやこれらの誘
導体などが含まれる。接合位の第3級炭素原子にヒドロ
キシル基が導入可能な架橋環式炭化水素類には、例え
ば、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、
エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリ
シクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、エンドトリ
シクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン、テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどが含ま
れる。
【0069】テルペン類には、例えば、単環式モノテル
ペン(リモネン、テルピノレン、テルピネン、フェラン
ドレン、メンテンなど)、二環式モノテルペン(カロ
ン、ピネン、ピナン、カンファー(ショウノウ)、カン
フェン、ボルネン、ツヨン、フェンコン)、単環式セス
キテルペン(ビサボレン、ジンギベレン)、二環式セス
キテルペン(カジネン、サンタレン、セリネン、サント
ニン、カリオフィレンなど)、三環式セスキテルペン
(コパエン、サンタレン、ロンギフォレンなど)、ジテ
ルペン(ビタミンAなど)、トリテルペン(アムブレイ
ン、アミリン、ルペオールなど)、テトラテルペン(カ
ロチン,ルテインなどのカロチノイド)、ポリテルペ
ン、これらの誘導体が含まれる。
【0070】縮合多環式炭化水素類としては、例えば、
5ないし8員環が縮合した縮合多環式芳香族炭化水素類
の水素添加により生成する種々の化合物、例えば、デカ
リン、パーヒドロアセナフチレン、パーヒドロアントラ
セン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロフェナレ
ン、ヘキサヒドロインダンなどが挙げられる。縮合多環
式炭化水素類では5又は6員環が縮合している場合が多
い。また、縮合多環式炭化水素類では、接合位のメチリ
ジン基が酸化される場合が多い。
【0071】置換基を有する多環式炭化水素類のうち、
架橋環式炭化水素類の誘導体としては、例えば、ハロゲ
ン原子を有する誘導体(例えば、2−クロロノルボルナ
ン、1−クロロアダマンタン、1,3−ジクロロアダマ
ンタンなど)、アルキル基を有する誘導体(2,2−ジ
メチルノルボルナン、2,7,7−トリメチル−2−ノ
ルボルネン、1−メチルアダマンタン、1−エチルアダ
マンタン、1−n−フロピルアダマンタン、1−イソプ
ロピルアダマンタン、1−n−ブチルアダマンタン、1
−s−ブチルアダマンタン、1−t−ブチルアダマンタ
ン、1−ペンチルアダマンタン、1−ヘキシルアダマン
タン、1−シクロヘキシルアダマンタン、1,3−ジメ
チルアダマンタン、1−メチル−3−エチルアダマンタ
ン、1,3−ジシクロヘキシルアダマンタン、1,3,
5−トリメチルアダマンタン、1−エチル−3,5−ジ
メチルアダマンタン、ヘミアダマンタンなどの炭素数
1-6程度のアルキル基を有する化合物)、ヒドロキシル
基を有する誘導体(例えば、カンフェニロール、ボルネ
オール、イソボルネオール、1−アダマンタノール、
1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマン
タントリオール、1−メチル−3−アダマンタノール、
1−メチル−3,5−アダマンタンジオール、1−エチ
ル−3−アダマンタノール、1−エチル−3,5−アダ
マンタンジオール、1,3−ジメチル−5−アダマンタ
ノール、1−メチル−3−エチル−5−アダマンタノー
ル、1−プロピル−3−アダマンタノール、1−プロピ
ル−3,5−アダマンタンジオールなど)、アルコキシ
基(1−メトキシアダマンタン、1,3−ジメトキシア
ダマンタン、1−エトキシアダマンタン、1,3−ジエ
トキシアダマンタンなど)、オキソ基を有する誘導体
(カンファーキノン,カンフェニロン、2−アダマンタ
ノン、メチルアダマンタノン、ジメチルアダマンタノン
など)、アシル基を有する誘導体(ホルミルノルボルネ
ン、ホルミルアダマンタンなど)、カルボキシル基を有
する誘導体(カンファン酸,カンフェニル酸など)、ア
ルキルオキシカルボニル基を有する誘導体(メトキシカ
ルボニルカンファン,エトキシカルボニルカンフェニル
など)、アミノ基を有する誘導体(ボルニルアミンな
ど)、ビニル基を有する誘導体(ビニルノルボルネンな
ど)などが挙げられる。
【0072】環状テルペン誘導体としては、例えば、環
状テルペンアルコール(メントール、カルボメントー
ル、テルピネオール、テルピネオール、カルベオー
ル)、環状テルペンアルデヒド(カルボメントン、フェ
ランドラール、ペリラルデヒドなど)、環状テルペンケ
トン(ヨノン、イロン、メントン、カルボメントン、ツ
ヨンなど)、環状テルペンオキシド(シネオール、ピノ
ール、アスカリドールなど)、環状テルペンカルボン酸
(カンフェン酸、ショウノウ酸、アビエチン酸、ネオア
ビエチン酸、レボピマル酸、デキストロピマール酸な
ど)などが例示できる。
【0073】縮合多環式炭化水素類の誘導体としては、
例えば、アルキル基を有する誘導体(メチルデカリン、
エチルデカリン、n−プロピルデカリン、イソプロピル
デカリン、n−ブチルデカリン、s−ブチルデカリン、
t−ブチルデカリン、シクロヘキシルデカリン、ジメチ
ルデカリン、メチルエチルデカリン、トリメチルデカリ
ン、エチルジメチルデカリン、テトラメチルデカリン、
これらに対応するヘキサヒドロインダン類など)、ヒド
ロキシル基を有する誘導体(例えば、デカロール)、オ
キソ基を有する誘導体(例えば、デカロン)、カルボキ
シル基を有する誘導体(例えば、デカリンカルボン酸な
ど)、アミノ基を有する誘導体(デカリルアミン)など
が例示できる。
【0074】前記イミド化合物で構成された酸化触媒、
又は前記イミド化合物および助触媒で構成された酸化触
媒系を利用すると、環の構成単位としてメチリジン基を
含む多環式炭化水素類を効率よく酸素酸化でき、多環式
炭化水素類の酸化物(ケトン類、アルコール類、アルデ
ヒド類、カルボン酸類)、特にケトン類やアルコール類
を高い選択率で生成させることができる。そのため、本
発明の方法では、多環式炭化水素類(例えば、複数の橋
頭位又は接合位にメチリジン基を有する2環ないし4環
の多環式炭化水素類)と酸素とを接触させ、橋頭位又は
接合位にヒドロキシル基が導入されたヒドロキシル基含
有多環式炭化水素類を高い選択率および収率で得ること
ができる。特に、前記イミド化合物と二価の遷移金属化
合物とで構成された触媒系、前記イミド化合物と、周期
表4A族元素(Ti,Zrなど)、5A族元素(Vな
ど)、6A族元素(Cr,Moなど)、7A族元素(M
nなど)および8族元素(Coなど)から選ばれた元素
を含有する化合物とで構成された触媒系を利用すると、
多環式炭化水素類の転化率を高め、ヒドロキシル基含有
多環式炭化水素類を高い選択率および収率で得ることが
できる。
【0075】なお、基質としてアダマンタン成分を用い
る場合、本発明では、直接的又は間接的に複数の橋頭位
にヒドロキシル基を導入し、アダマンタンポリオールを
生成させることもできる。複数の橋頭位にヒドロキシル
基が導入されたアダマンタンポリオールは、(1)前記
イミド化合物と助触媒とで構成された酸化触媒系の存在
下、アダマンタンおよびその誘導体から選択されたアダ
マンタン成分と酸素とを接触させる方法、(2)前記イ
ミド化合物で構成された酸化触媒、又はこのイミド化合
物と助触媒とで構成された酸化触媒系の存在下、アダマ
ンタンモノオール,アダマンタンジオールおよびアダマ
ンタントリオールのうち少くとも1つの成分を含むアダ
マンタン成分と酸素とを接触させ、さらに高度にヒドロ
キシル化されたアダマンタンポリオールを生成させる方
法により製造できる。前記(1)の方法では、前記イミ
ド化合物と助触媒との種類を選択して組み合わせて触媒
系を構成することにより、アダマンタンポリオールの単
離精製に大きな障害となるケトン体の生成を大きく抑制
しつつ、アダマンタンポリオールの収率を顕著に高める
ことができる。例えば、助触媒としての二価の遷移金属
化合物(例えば、二価のコバルト化合物)を前記イミド
化合物と組合わせた触媒系でアダマンタン成分を酸化す
ると、温和な条件であっても、アダマンタンジオールな
どのポリオールを高い選択率および収率で得ることがで
き、ケトン体の副生が殆どない。特に、反応温度を高め
たり、反応時間が経過しても、ケトン体の副生が殆どな
く、アダマンタンモノオールよりもアダマンタンジオー
ルなどのポリオール体の生成量を多くすることができ
る。さらに、周期表4A族元素、5A族元素、6A族元
素、7A族元素、および8族元素から選択された元素を
含有する化合物、特に周期表5A族元素(Vなど)を含
む化合物を助触媒として用いると、温和な条件であって
も、アダマンタン成分から、アダマンタンジオールなど
のポリオール、特にアダマンタントリオールやアダマン
タンテトラオールを高い選択率および収率で得ることが
できる。
【0076】さらに、前記(2)の方法、すなわち、ア
ダマンタンのアルコール体の存在下(例えば、アダマン
タンのアルコール体単独、又はアダマンタンのアルコー
ル体とアダマンタンとを含むアダマンタン成分を用い
て)、アダマンタン成分を酸素酸化すると、さらに高度
にヒドロキシル基が導入されたアダマンタンポリオール
を有効かつ収率よく得ることができる。例えば、アダマ
ンタンモノオール単独やアダマンタンモノオールとアダ
マンタンとで構成されたアダマンタン成分を酸化する
と、2以上の複数の橋頭位にヒドロキシル基が導入され
たアダマンタンポリオール(アダマンタンジオール、ア
ダマンタントリオールやアダマンタンテトラオールな
ど)を得ることができ、アダマンタンジオール単独やア
ダマンタンジオールとアダマンタンとで構成されたアダ
マンタン成分を酸化すると、3以上の複数の橋頭位にヒ
ドロキシル基が導入されたアダマンタンポリオール(ア
ダマンタントリオールやアダマンタンテトラオールな
ど)を得ることができる。また、アダマンタントリオー
ル単独やアダマンタントリオールを含むアダマンタン成
分を酸化すると、アダマンタンテトラオールを得ること
ができる。そのため、アダマンタンポリオールを製造す
る場合には、アダマンタンモノオール,アダマンタンジ
オールおよびアダマンタントリオールのうち少くとも1
つの成分を含むアダマンタン成分を用い、さらに高度に
ヒドロキシル基が導入されたアダマンタンポリオールを
得てもよい。
【0077】(2)の方法において、アダマンタンポリ
オールを製造する場合、アダマンタンのアルコール体が
少くとも共存する系でアダマンタン成分を反応させれば
よく、アダマンタンモノオール,アダマンタンジオール
又はアダマンタントリオールの含有量は特に制限され
ず、アダマンタン成分全体に対して5モル%以上(例え
ば、10〜100モル%)、好ましくは20〜100モ
ル%、さらに好ましくは30〜100モル%程度であ
る。なお、前記(2)の方法でも、助触媒としては二価
の遷移金属化合物(例えば、二価のコバルト化合物な
ど)や、周期表4A族元素、5A族元素、6A族元素、
7A族元素、および8族元素から選択された元素を含有
する化合物が有効である。
【0078】(d)芳香族性環の隣接位にメチル基又は
メチレン基を有する芳香族性化合物 前記芳香族性化合物は、少くとも1つのメチル基又はメ
チレン基が芳香族性環に置換した芳香族性化合物であれ
ばよく、芳香族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複
素環のいずれであってもよい。なお、芳香族性化合物
が、ビフェニル、ターフェニル、ビナフタレン、ビピリ
ジンなどの芳香族素環が結合した環集合化合物である場
合、少くとも1つの芳香族性環にメチル基又はメチレン
基が置換していればよい。また、芳香族性複素環におい
て、メチル基又はメチレン基は複素環に結合していても
よく、縮合複素環の芳香族炭化水素環に結合していても
よい。好ましい化合物にはベンジル位にメチル基又はメ
チレン基を有する化合物が含まれる。芳香族炭化水素環
としては、例えば、ベンゼン環、縮合環式炭化水素環
(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレ
ン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、
ベンズアントラセンなどの2〜8個のベンゼン環がオル
ソortho縮合またはオルソアンドペリortho and peri縮
合した縮合環)が挙げられる。芳香族性複素環には、例
えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例え
ば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5
員環、ピランなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾ
フラン、ジベンゾフラン、キサントン、キサンテン、ク
ロマン、イソクロマン、クロメンなどの縮合環)、ヘテ
ロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェ
ン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ベ
ンゾチオフェンなど)、ヘテロ原子として窒素原子を含
む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾー
ル、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジ
ン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、
インドレン、イソインドール、インダゾール、インドリ
ン、イソインドリン、キノリン、イソキノリン、キノリ
ンキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、
プリン、カルバゾール、アクリジン、ナフトキノリン、
フェナントロジン、フェナントロリン、ナフチリジン、
ベンゾキノリン、フェノキサジン、フタロシアニン、ア
ントラシアニンなどの縮合環)などが含まれる。工業的
に有用な芳香族性化合物は、芳香族炭化水素環、6員複
素環や縮合複素環、好ましくは炭素数6〜14の芳香族
炭化水素環、特に炭素数6〜10の芳香族炭化水素環
(中でもベンゼン環又はナフタレン環)を有する場合が
多い。
【0079】本発明の方法では、芳香族性化合物のメチ
ル基又はメチレン基を効率よく酸化できるので、メチル
基又はメチレン基の置換数は特に制限されず、芳香族性
環の種類や大きさに応じて広い範囲(例えば、1〜1
0、好ましくは1〜8程度)から選択できる。 (d1)メチル基が置換した芳香族性化合物 メチル基が置換した芳香族性化合物としては、例えば、
1〜6個程度のメチル基が置換した芳香族炭化水素類
(トルエン、o−,m−,p−キシレン、1,2,3−
トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼ
ン、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、
1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,
5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメ
チルベンゼン(デュレン)、1,2,3,4,5,6−
ヘキサメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メ
チルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,5
−ジメチルナフタレン、メチルアントラセン,ジメチル
アントラセン,トリメチルアントラセン,4,4′−ジ
メチルビフェニルなど)、1〜6個程度のメチル基が置
換した複素環化合物(例えば、2−メチルフラン、3−
メチルフラン、2−メチルピラン、3−メチルピラン、
4−メチルピラン、3,4−ジメチルピラン、4−メチ
ルクロメン、6−メチルクロマン、2−メチルピリジ
ン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンなどのピ
コリン、2,3−ジメチルピリジン、2,4−ジメチル
ピリジン、2,5−ジメチルピリジン、3,5−ジメチ
ルピリジンなどのルチジン、2,3,4−トリメチルピ
リジン、2,3,5−トリメチルピリジン、2,3,6
−トリメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジ
ンなどのコリジン、4−メチルインドール、5−メチル
インドール、7−メチルインドール、メチルキノリンな
ど)が例示できる。好ましい芳香族性化合物において、
メチル基の置換数は、分子中1〜4個(例えば、1又は
2個)程度である場合が多い。特に1〜4個程度のメチ
ル基が置換したC6-10芳香族炭化水素や5員又は6員複
素環を含む複素環化合物(中でも、メチル基が置換した
ベンゼン誘導体)には、カルボン酸を製造する上で工業
的に有用な化合物が多い。
【0080】(d2)芳香族性環の隣接部位にメチレン基
を有する化合物 芳香族性環の隣接部位にメチレン基を有する化合物に
は、炭素数2以上のアルキル基又は置換アルキル基が置
換した芳香族性化合物、および環状メチレン基を有する
芳香族性化合物が含まれる。前記アルキル基又は置換ア
ルキル基を有する芳香族性化合物としては、例えば、ア
ルキル基を有する芳香族炭化水素類(エチルベンゼン,
プロピルベンゼン,クメン,ブチルベンゼン,イソブチ
ルベンゼン,1,4−ジエチルベンゼン、1−エチル−
4−ペンチルベンゼンなどのC2-6 アルキル基を有する
芳香族炭化水素類、ジベンジル,ジフェニルメタン,ト
リフェニルメタン,1−ベンジルナフタレンなどの置換
アルキル基を有する芳香族炭化水素類など),アルキル
基を有する複素環化合物(エチルピリジン,イソプロピ
ルピリジン,ブチルピリジンなど)などが例示できる。
環状メチレン基を有する芳香族性化合物としては、5〜
8員環が縮合した縮合多環式芳香族炭化水素類(ジヒド
ロナフタレン,インデン,インダン,テトラリン,フル
オレン,フェナレン,α−テトラロン,β−テトラロ
ン,インダノンなど)などが例示できる。
【0081】芳香族性化合物(d)は芳香族性環と隣接
する部位にメチル基とともにメチレン基を有していても
よい。このような化合物としては、例えば、少なくとも
1つのメチル基と少なくとも1つのC2-10アルキル基を
有するアルキル置換炭化水素(例えば、1−メチル−2
−エチルベンゼン、1−メチル−3−エチルベンゼン、
1−メチル−4−エチルベンゼン、1−メチル−3−イ
ソプロピルベンゼン、1−メチル−4−イソプロピルベ
ンゼン(シメン)、1−メチル−4−プロピルベンゼ
ン、1−メチル−4−ブチルベンゼン、1−メチル−4
−t−ブチルベンゼン、1,2−ジメチル−3−エチル
ベンゼン、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン、
1,3−ジメチル−5−エチルベンゼン、1,3−ジメ
チル−4−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−2−エ
チルベンゼン、1,4−ジメチル−2−エチルベンゼ
ン、1−メチル−2−エチルナフタリンなどのメチル基
とC2-6アルキル基を有するアルキル置換炭化水素)、
アルキル置換複素環化合物(例えば、2−エチル−4−
メチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4
−エチル−2−メチルピリジンなど)、少なくとも1つ
のメチル基と環状メチレン基を有する炭化水素(3−メ
チルインデンなど)などが例示できる。
【0082】芳香族性化合物は、メチル基又はメチレン
基とともに他の置換基を有していてもよい。このような
芳香族性化合物としては、カルボキシル基置換炭化水素
(例えば、4−メチル安息香酸、1,2−ジメチルベン
ゼン−4−カルボン酸など)、ハロゲン含有炭化水素
(例えば、4−クロロ−1−メチルベンゼン、3,4,
5,6−テトラクロロ−1,2−ジメチルベンゼン、
3,4,5,6−テトラブロモ−1,2−ジメチルベン
ゼンなど)、ヒドロキシル基含有炭化水素(例えば、o
−,m−,p−クレゾールなどのクレゾール類、2,3
−キシレノール、チモールなど)、ヒドロキシル基が保
護された芳香族炭化水素[例えは、アルコキシ基含有炭
化水素(2−メトキシ−1−メチルベンゼン、3−メト
キシ−1−メチルベンゼン、4−メトキシ−1−メチル
ベンゼン、4−エトキシ−1−メチルベンゼン、4−イ
ソプロポキシ−1−メチルベンゼンなど)、アシルオキ
シ基置換炭化水素(2−アセチルオキシ−1−メチルベ
ンゼン、3−アセチルオキシ−1−メチルベンゼン、4
−アセチルオキシ−1−メチルベンゼン、4−プロピオ
ニルオキシ−1−メチルベンゼン、4−ブチリルオキシ
−1−メチルベンゼンなど)など]、置換基を有してい
るもよいアミノ基含有炭化水素(4−アミノ−1−メチ
ルベンゼン、4−ジメチルアミノ−1−メチルベンゼン
など)などの芳香族炭化水素類、ハロゲン含有ピリジン
誘導体(例えば、2−クロロ−4−メチルピリジンな
ど)などの複素環化合物類が例示できる。
【0083】前記イミド化合物で構成された酸化触媒、
又はイミド化合物と助触媒とで構成された酸化触媒系の
存在下、このような芳香族性化合物を酸素との接触によ
り酸化すると、メチル基又は芳香族性環に隣接するメチ
レン基を極めて高い効率で酸化でき、メチル基含有芳香
族性化合物からはアルデヒド類、特にカルボキシル基含
有芳香族性化合物を高い選択率および収率で得ることが
でき、メチレン基を有する芳香族性化合物からはケトン
類を高い選択率および収率で得ることができる。特に、
温和な条件下で反応しても、短時間内に反応が円滑に進
行し、カルボキシル基を有する芳香族性化合物又はケト
ン類が高い選択率および収率で得られる。さらに、複数
のメチル基を有する芳香族性化合物を酸化する場合、反
応時間などの反応条件をコントロールすることにより、
反応の進行に応じてメチル基が残存するカルボン酸を生
成させることができ、さらに反応を進行させると、2以
上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸を得ること
も容易である。そのため、本発明の方法は、少くとも1
つのメチル基又はメチレン基を有する芳香族性化合物と
酸素とを接触させ、カルボキシル基を有する芳香族性化
合物又はケトン類を生成させるのに有用である。本発明
の好ましい方法には、メチル基が置換したベンゼン誘導
体(例えば、トルエン、キシレンなど)を酸素と接触さ
せ、工業的に有用な化合物であるカルボキシル基を有す
るベンゼン誘導体(例えば、安息香酸、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸など)を生成させる方法、C
2-6 アルキル基が置換した芳香族炭化水素類(例えば、
エチルベンゼンなど)を酸素と接触させ、工業的に有用
な化合物であるカルボニル基を有するベンゼン誘導体
(例えば、アセトフェノンなど)を生成させる方法が含
まれる。
【0084】なお、二価の遷移金属化合物(例えば、二
価のコバルト化合物など)を助触媒として用いると、低
温(例えば、10〜60℃)、特に室温(15〜30
℃)程度の温和な条件下であっても、ポリカルボン酸や
ケトン類の選択率および収率を向上できる。例えば、p
−キシレンを酸化すると、温和な条件下、反応時間が1
/2程度であっても、テレフタル酸を短時間内に高い選
択率および収率で得ることができる。なお、二価の遷移
金属化合物を前記イミド化合物と組合わせた触媒系でo
−キシレンを空気又は酸素酸化すると、無水フタル酸も
生成する。
【0085】そのため、本発明の方法は、芳香族性化合
物を、温和な条件下、高い転換率および選択率で酸化
し、モノカルボン酸、ポリカルボン酸などのカルボキシ
ル基含有化合物やケトン類を得る上で有用である。特
に、安息香酸などの芳香族モノカルボン酸や、ポリエス
テル、ポリアミドなどの原料となる芳香族ポリカルボン
酸(特に芳香族ジカルボン酸)を製造する上で極めて有
用である。
【0086】(e)共役化合物 共役化合物には、共役ジエン類、α,β−不飽和ニトリ
ル又は下記式(2)で表される化合物(α,β−不飽和
カルボン酸又はその誘導体)などが含まれる。
【0087】
【化9】 [式中、R7 は、水素原子又はメチル基を示し、Yは、
−OR8 (R8 は、水素原子、アルキル基、アリール
基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、グリシ
ジル基、ジアルキルアミノ−アルキル基を示す),−N
9 10(R9 およびR10は、同一又は異なって、水素
原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す)を示
す] 共役ジエン類には、例えば、ブタジエン(1,3−ブタ
ジエン)、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエ
ン)などの共役二重結合を有する化合物、二重結合と三
重結合とを有する化合物(ビニルアセチレン、ジビニル
アセチレンなど)およびこれらの誘導体などが含まれ
る。共役ジエン類の誘導体には、例えば、2−クロロブ
タジエン、2,3−ジクロロブタジエンなどのハロゲン
原子(ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子)を有する
化合物、2−エチルブタジエン、2,3−ジメチルブタ
ジエンなどのアルキル基(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、t−ブチルなどの炭素数1〜4程度の低級アル
キル基)を有する化合物、ブタジエン−1−カルボン酸
などのカルボキシル基を有する化合物などが例示でき
る。好ましい共役ジエン類は、ブタジエンおよびイソプ
レンである。
【0088】共役ジエン類の酸素酸化によりアルケンジ
オールが生成する。生成するアルケンジオールは、共役
ジエン類に対応するジオールである限り、ヒドロキシル
基の置換位置は特に制限されない。例えば、ブタジエン
の酸化により生成するブテンジオールは、2−ブテン−
1,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオールなど
であってもよく、ブテンジオールはシス体又はトランス
体のいずれであってもよい。
【0089】α,β−不飽和ニトリルには、例えば、
(メタ)アクリロニトリルなどが含まれる。前記式
(2)で表される共役化合物は、α,β−不飽和カルボ
ン酸又はその誘導体に相当する。前記式(2)において
置換基R8 のうち、アルキル基には、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、テトラデ
シル基などの炭素数1〜20程度の直鎖又は分岐鎖状ア
ルキル基が含まれる。好ましいアルキル基には、炭素数
1〜15程度のアルキル基、特に炭素数1〜12程度
(例えば、1〜10程度)のアルキル基が含まれる。ア
リール基には、フェニル基、ナフチル基などが含まれ
る。シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、シクロオクチル基などの5〜10員環のシクロ
アルキル基が含まれる。ヒドロキシアルキル基には、2
−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒ
ドロキシブチル、ヒドロキシペンチル基などの炭素数2
〜10程度のヒドロキシアルキル基が含まれる。好まし
いヒドロキシアルキル基には、炭素数2〜4程度のヒド
ロキシアルキル基、特に炭素数2又は3程度のヒドロキ
シアルキル基が含まれる。ジアルキルアミノ−アルキル
基には、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチ
ル基、ジブチルアミノエチル基などのジC1-4 アルキル
アミノ−C2-3 アルキル基などが含まれる。
【0090】置換基R8 は、通常、水素原子、炭素数1
〜10のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシルア
ルキル基、グリシジル基などである場合が多い。このよ
うな置換基を有する化合物として、例えば、(メタ)ア
クリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルな
どの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
−2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシルアルキル
(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジ
ル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0091】「Y」で表される置換アミノ基−NR9
10において、R9 及びR10のうち、アルキル基には、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ
ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル基など
の炭素数1〜10程度のアルキル基が挙げられる。好ま
しいアルキル基には、炭素数1〜6程度のアルキル基、
特に炭素数1〜4程度のアルキル基が挙げられる。ヒド
ロキシアルキル基には、ヒドロキシ−C1-10アルキル、
好ましくはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル基が含
まれる。
【0092】置換基R9 及びR10は、同一又は異なって
いてもよく、通常、水素原子、炭素数1〜4程度のアル
キル基、炭素数1又は2のヒドロキシアルキル基である
場合が多い。このような置換基を有する化合物として、
例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体などが挙げられ
る。
【0093】これらのα,β−不飽和ニトリル、α,β
−不飽和カルボン酸又はその誘導体を酸素との接触によ
り酸化させると、α,β−不飽和結合部位が選択的に酸
化され、高い転化率及び選択率で下記式(3a)又は(3
b)で表される化合物が生成する。
【0094】
【化10】 (式中、Zは、酸素原子又は−OR11bを示し、R11a
よびR11bは、同一又は異なって、水素原子、アルキル
基、アシル基を示し、mは0又は1を示す。式中、炭素
原子「C」と「Z」との結合は、単結合又は二重結合を
示す。R7 、Yは前記に同じ。但し、Zが酸素原子であ
るとき、mは0、炭素原子CとZとの結合は二重結合で
あり、Zが−OR11bであるとき、mは1、炭素原子C
とZとの結合は単結合である) 前記式(3a)又は(3b)で表される化合物において、置
換基R11aおよびR11bのうち、アルキル基には、例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル基などの
1-6アルキル基、アシル基には、アセチル、プロピオ
ニル基などのC2-6アシル基が含まれる。これらのアル
キル基、アシル基は、溶媒との反応により生成する場合
がある。
【0095】この酸化反応では、ジオール類(Zが−O
11bであり、R11aおよびR11bがともに水素原子であ
る化合物)が、基本的に生成すると思われ、脱水反応に
より、アルデヒド又はその誘導体(Zが酸素原子である
化合物)が生成する場合がある。また、反応溶媒とし
て、プロトン性溶媒(酢酸、プロピオン酸などの有機
酸、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどの
アルコール類など)を用いると、アセタール又はアシル
オキシ化合物などのジオール誘導体(Yが−OR11b
あり、R11aおよびR 11bの少なくとも一方がアルキル基
又はアシル基である化合物)が生成する場合がある。こ
れらのアルデヒド又はその誘導体、またはアセタールな
どのジオール誘導体は、ジオール類と等価な化合物であ
る。例えば、反応溶媒として、アルコール(メタノール
など)を用い、アクリロニトリルを酸化させると、1,
1−ジアルコキシプロピオニトリル(1,1−ジメトキ
シプロピオニトリルなど)が生成する場合がある。ま
た、アルコール(メタノールなど)溶媒中、アクリル酸
メチルを酸化させると、1,1−ジアルコキシプロピオ
ン酸メチル(1,1−ジメトキシプロピオン酸メチルな
ど)が生成する場合がある。
【0096】前記のように、本発明では、共役化合物の
空気又は酸素酸化により、共役化合物に対応する酸化
物、例えば、共役ジエン類から対応する酸化物であるア
ルケンジオール(例えば、ブタジエンから、ポリアミド
などの合成樹脂、無水マレイン酸、可塑剤、ブタンジオ
ールなどの合成原料として使用されるブテンジオール)
を製造したり、α,β−不飽和ニトリル、α,β−不飽
和カルボン酸又はその誘導体から前記式(3a)(3b)で
表される化合物を製造する上で有用である。
【0097】(f)その他の基質 その他の基質としては、例えば、メチレン基を有する複
素環化合物(f1)、メチン炭素原子(メチリジン基)を
有する鎖状炭化水素類(f2)、不飽和結合の隣接部位に
メチレン基を有する化合物(f3)、カルボニル基の隣接
部位にメチレン基を有する化合物(f4)などが例示でき
る。
【0098】(f1)メチレン基を有する複素環化合物 メチレン基を有する複素環化合物には、窒素原子,酸素
原子,硫黄原子から選ばれたヘテロ原子を有する5又は
6員環化合物、又はヘテロ原子を有する5又は6員環が
芳香族性環に縮合した縮合複素環化合物、例えば、ジヒ
ドロフラン,テトラヒドロフラン,ピラン,ジヒドロピ
ラン,テトラヒドロピラン,ピペリジン,ピペラジン,
ピロリジン,キサンテンなどが含まれる。
【0099】(f2)メチン炭素原子(メチリジン基)を
有する鎖状炭化水素類 メチン炭素原子を有する鎖状炭化水素類には、第3級炭
素原子を有する鎖状炭化水素類、例えば、イソブタン,
イソペンタン,イソヘキサン,3−メチルペンタン,
2,3−ジメチルブタン,2−メチルヘキサン,3−メ
チルヘキサン,2,3−ジメチルペンタン,2,4−ジ
メチルペンタン,2,3,4−トリメチルペンタン,3
−エチルペンタン,2,3−ジメチルヘキサン,2,4
−ジメチルヘキサン,3,4−ジメチルヘキサン,2,
5−ジメチルヘキサン,2−プロピルヘキサン,2−メ
チルヘプタン,4−メチルヘプタン,2−エチルヘプタ
ン,3−エチルヘプタン,2,6−ジメチルヘプタン,
2−メチルオクタン,3−メタルオクタン,2,7−ジ
メチルオクタン,2−メチルノナンなどの炭素数4〜1
0程度の脂肪族炭化水素類などが例示できる。 (f3)不飽和結合の隣接部位にメチレン基を有する化合
物 化合物(f3)には、二重結合及び/又は三重結合を有す
る炭素数3〜12程度の鎖状不飽和炭化水素類、例え
ば、プロピレン,1−ブテン,2−ブテン,ブタジエ
ン,1−ペンテン,2−ペンテン,イソプレン,1−ヘ
キセン,2−ヘキセン,1,5−ヘキサジエン,2,3
−ジメチル−2−ブテン,3−ヘキセン,1−ヘプテ
ン,2−ヘプテン,1,6−ヘプタジエン,1−オクテ
ン,2−オクテン,3−オクテン,1,7−オクタジエ
ン,2,6−オクタジエン,2−メチル−2−ブテン,
1−ノネン,2−ノネン,デカエン,デカジエン,ドデ
カエン,ドデカジエン,ドデカトリエン,ウンデカエ
ン,ウンデカジエン,ウンデカトリエンなどが含まれ
る。
【0100】(f4)カルボニル基の隣接部位にメチレン
基を有する化合物 カルボニル基の隣接部位に(活性)メチレン基を有する
化合物には、アルデヒド類,ケトン類,カルボン酸又は
その誘導体などが含まれる。アルデヒド類には、脂肪族
アルデヒド類(アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒ
ド,ブチルアルデヒド,イソブチルアルデヒド,ペンチ
ルアルデヒド,ヘキシルアルデヒド,ヘプチルアルデヒ
ド,オクチルアルデヒド,ノニルアルデヒド,デシルア
ルデヒドなどのC2-12アルキルモノアルデヒド、マロン
アルデヒド,スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒ
ド,セバシンアルデヒドなどの脂肪族ポリアルデヒドな
ど)、芳香族アルデヒド類(ベンズアルデヒド,アニス
アルデヒドなど)、脂環族アルデヒド(ホルミルシクロ
ヘキサン,シクロネラールなど)、複素環アルデヒド
(ニコチンアルデヒド,フルフラールなど)などが含ま
れる。
【0101】ケトン類としては、脂肪族ケトン類(アセ
トン,メチルエチルケトン,メチルイソプロピルケト
ン,メチルイソブチルケトン,メチル−t−ブチルケト
ン,2−ペンタノン,3−ペンタノン,2−ヘキサノ
ン,3−ヘキサノン,2−ヘプタノン,3−ヘプタノ
ン,4−ヘプタノン,2−オクタノン,3−オクタノ
ン,4−オクタノン,2−ノナノン,2−デカノンな
ど)、芳香族ケトン類(アセトフェノン,プロピオフェ
ノンなど)などが例示できる。カルボン酸又はその誘導
体には、例えば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体
(マロン酸又はそのエステル、コハク酸又はそのエステ
ル,グルタル酸又はそのエステルなど)などが例示でき
る。
【0102】[酸化反応]基質の酸化に利用される酸素
は、活性酸素であってもよいが、分子状酸素を利用する
のが経済的に有利である。分子状酸素は特に制限され
ず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アル
ゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使
用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性など
の点から、空気を使用するのが好ましい。酸素の使用量
は、基質の種類に応じて選択でき、通常、基質1モルに
対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ま
しくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル
程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用する場
合が多く、特に空気や酸素などの分子状酸素を含有する
雰囲気下で反応させるのが有利である。
【0103】本発明の酸化方法は、通常、反応に不活性
な有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、例え
ば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機カルボン酸や
オキシカルボン酸、アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、
アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルアセトアミドなどのアミド類、t−ブタノール、t
−アミルアルコールなどのアルコール類、ヘキサン、オ
クタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭
化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンな
どのニトロ化合物、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、これ
らの混合溶媒など挙げられる。なお、過剰量の基質を用
いることにより、基質を反応溶媒として利用してもよ
い。溶媒としては、酢酸などの有機酸、アセトニトリ
ル,ベンゾニトリルなどのニトリル類を用いる場合が多
い。
【0104】反応をプロトン酸の存在下で行なうと、酸
化反応を円滑に行なうことができ、高い選択率および収
率で目的化合物を得ることができる。このプロトン酸
は、前記のように溶媒として用いてもよい。プロトン酸
としては、有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有
機カルボン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などのオキ
シカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸な
どのアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸など)、無
機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸など)が含ま
れる。
【0105】本発明の方法は、比較的温和な条件であっ
ても酸化反応が円滑に進行するという特色がある。反応
温度は、基質や触媒系の種類などに応じて適当に選択で
き、例えば、0〜300℃、好ましくは30〜250
℃、さらに好ましくは50〜200℃程度であり、通
常、70〜150℃程度で反応する場合が多い。なお、
前記のように、酸化触媒系の種類によっては、室温など
の比較的低温でも酸化反応を円滑に進行させることがで
きる。また、アダマンタンポリオールを製造する場合、
例えば、温度40〜150℃、特に60〜120℃(例
えば、70〜110℃)程度で反応させると、短時間内
にアダマンタンポリオールが生成しやすい。
【0106】反応は、常圧または加圧下で行なうことが
でき、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100
atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2
〜70atm、さらに好ましくは5〜50atm程度で
ある場合が多い。反応時間は、反応温度及び圧力に応じ
て、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜36時
間、さらに好ましくは2〜24時間程度の範囲から適当
に選択できる。反応は、分子状酸素の存在下又は分子状
酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の
方法により行なうことができる。反応終了後、反応生成
物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、
晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手
段や、これらを組合せた分離手段により、容易に分離精
製できる。
【0107】
【発明の効果】本発明では、排ガス処理を特に必要とせ
ず、酸素酸化又は空気酸化により、基質を効率よく酸化
でき、基質に対応する酸化物を効率よく得ることができ
る。例えば、分子状酸素による酸化により、高い転化率
および選択率で基質から対応する酸化物を生成できる。
また、温和な条件下、酸素との接触により、基質(シク
ロアルカン類、シクロアルケン類、アルキル基置換芳香
族性化合物)から、対応するカルボン酸類(アジピン酸
などの長鎖ジカルボン酸類、芳香族カルボン酸類)やケ
トン類(シクロアルカノン類,シクロアルケノン類,芳
香族ケトン類)を直接かつ効率よく高い転化率及び選択
率で生成させることができる。さらに、酸素により多環
式炭化水素類の橋頭位又は接合位のメチリジン基の部位
を効率よく酸化でき、縮合多環式炭化水素類、橋架け環
式炭化水素類から対応するジオール以上のポリオールを
高い転化率及び選択率で製造できる。さらには、温和な
条件下、多環式炭化水素類の環の開裂およびジケトン体
の副生を抑制しつつ、接合位の第3級炭素原子にヒドロ
キシル基を高い効率で導入でき、酸素酸化によりアダマ
ンタンジオール、トリオール以上のアダマンタンポリオ
ールを有効かつ高い収率で得ることができる。
【0108】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。 実施例A1−1 シクロヘキサン1.68g(20ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、マ
ンガンアセチルアセトナートMn(AA)2 0.043
g(0.12ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。反応液中の生
成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたとこ
ろ、シクロヘキサンの転化率55%および選択率82%
でアジピン酸が得られた(収率45%)。また、KAオ
イル(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の
生成は認められなかった。
【0109】実施例A2 マンガンアセチルアセトナートに代えて、酸化マンガン
MnO2を用いる以外、実施例A1−1と同様にして反
応させたところ、シクロヘキサンの転化率50%、収率
42%でアジピン酸が得られた。なお、KAオイル(シ
クロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の生成は認
められなかった。
【0110】実施例A3 マンガンアセチルアセトナートに代えて、塩化マンガン
MnCl2を用いる以外、実施例A1−1と同様にして
反応させたところ、シクロヘキサンの転化率55%、収
率43%でアジピン酸が得られた。なお、KAオイル
(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の生成
は認められなかった。
【0111】実施例A4 マンガンアセチルアセトナートに代えて、酢酸マンガン
Mn(OAc)2を用いる以外、実施例A1−1と同様
にして反応させたところ、シクロヘキサンの転化率60
%、収率50%でアジピン酸が得られた。なお、KAオ
イル(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の
生成は認められなかった。
【0112】実施例A5 溶媒として酢酸に代えてベンゾニトリルを用いる以外、
実施例A1−1と同様にして反応させたところ、シクロ
ヘキサンの転化率45%,収率38%でアジピン酸が得
られた。なお、KAオイル(シクロヘキサノンおよびシ
クロヘキサノール)の生成は認められなかった。
【0113】実施例A6 酸素圧を10kg/cm2とする以外、実施例A1−1
と同様にして反応させたところ、シクロヘキサンの転化
率75%,収率54%でアジピン酸が得られた。なお、
KAオイル(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノー
ル)の生成は認められなかった。
【0114】実施例A7 反応温度を120℃とする以外、実施例A1−1と同様
にして反応させたところ、シクロヘキサンの転化率70
%,収率42%でアジピン酸が得られた。なお、KAオ
イル(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の
生成は認められなかった。
【0115】実施例A8 シクロヘキサンに代えてシクロへキサノンを用いる以
外、実施例A1−1と同様にして反応させたところ、シ
クロヘキサノンの転化率100%,収率95%でアジピ
ン酸が得られた。なお、KAオイル(シクロヘキサノン
およびシクロヘキサノール)の生成は認められなかっ
た。
【0116】実施例A9 シクロヘキサンに代えてシクロへキサノールを用い、撹
拌時間を10時間とする以外、実施例A1−1と同様に
して反応させたところ、シクロヘキサノールの転化率9
5%,収率90%でアジピン酸が得られた。なお、KA
オイル(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)
の生成は認められなかった。
【0117】実施例A10 シクロヘキサンに代えて、シクロヘキサノンとシクロへ
キサノールとを50:50(重量比)の割合で混合した
混合物を用い、撹拌時間を8時間とする以外、実施例A
1−1と同様にして反応させたところ、転化率95%,
収率90%でアジピン酸が得られた。なお、KAオイル
(シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)の生成
は認められなかった。
【0118】実施例A11 シクロヘキサン1.68g(20ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、M
n(AA)2 0.043g(0.12ミリモル)、鉄ア
セチルアセトナートFe(AA)2 0.06g(0.2
4ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸素雰囲気
下、100℃で6時間撹拌した。シクロヘキサンの転化
率72%で、アジピン酸が収率65%(シクロヘキサン
基準の選択率91%)で得られた。また、グルタル酸が
収率5%(シクロヘキサン基準の選択率7%)で得られ
た。
【0119】実施例A12 シクロヘキサン1.68g(20ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、M
n(AA)2 0.005g(0.02ミリモル)、Fe
(AA)2 0.02g(0.08ミリモル)、酢酸25
mLの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間撹拌
した。シクロヘキサンの転化率56%で、アジピン酸が
収率52%(シクロヘキサン基準の選択率92%)で得
られた。また、グルタル酸が収率3%(シクロヘキサン
基準の選択率5%)で得られた。
【0120】実施例B1−1 シクロオクタン1.12g(10ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、コ
バルト(III)アセチルアセトナートCo(AA)3
0.015g(0.06ミリモル)、ベンゾニトリル2
5mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で20時間
攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー
分析により調べたところ、シクロオクタンの転化率94
%で、シクロオクタノン(収率43%)、シクロオクタ
ジオン(収率13%)、スベリン酸(収率22%)およ
びその他の生成物(収率16%)が得られた。
【0121】実施例B1−2 コバルト(III)アセチルアセトナートCo(AA)3
0.015g(0.06ミリモル)に代えて、コバルト
(II)アセチルアセトナートCo(AA)2 0.015
g(0.06ミリモル)を用いる以外、実施例B1−1
と同様にして反応させたところ、シクロオクタンの転化
率99%で、シクロオクタノン(収率41%)、シクロ
オクタジオン(収率9%)、スベリン酸(収率45%)
およびその他の生成物(収率4%)が得られた。
【0122】実施例B2 コバルト(III)アセチルアセトナートCo(AA)3
0.015g(0.06ミリモル)に代えて、マンガン
(II)アセチルアセトナートMn(AA)2 0.021
g(0.06ミリモル)を用いる以外、実施例B1−1
と同様にして反応させたところ、シクロオクタンの転化
率94%で、シクロオクタノン(収率6%)、シクロオ
クタジオン(収率10%)、スベリン酸(収率74%)
およびその他の生成物(収率4%)が得られた。
【0123】実施例B3 シクロオクタン10ミリモルに代えてシクロノナン10
ミリモルを用いる以外、実施例B1−1と同様にして反
応させたところ、シクロノナンの転化率93%で、シク
ロノナノン(収率34%)、アゼライン酸(収率56
%)およびその他の生成物(収率3%)が得られ、シク
ロノナジオンは検出されなかった。
【0124】実施例B4 シクロオクタン10ミリモルに代えてシクロノナン10
ミリモルを用いるとともに、コバルト(III)アセチル
アセトナートCo(AA)3 0.015g(0.06ミ
リモル)に代えてコバルト(II)アセチルアセトナート
Co(AA)20.015g(0.06ミリモル)を用
いる以外、実施例B1−1と同様にして反応させたとこ
ろ、シクロノナンの転化率99%で、シクロノナノン
(収率29%)、アゼライン酸(収率66%)およびそ
の他の生成物(収率4%)が得られ、シクロノナジオン
は検出されなかった。
【0125】実施例B5 シクロオクタン10ミリモルに代えてシクロノナン10
ミリモルを用いるとともに、コバルト(III)アセチル
アセトナートCo(AA)3 0.015g(0.06ミ
リモル)に代えてマンガン(II)アセチルアセトナート
Mn(AA)20.021g(0.06ミリモル)を用
いる以外、実施例B1−1と同様にして反応させたとこ
ろ、シクロノナンの転化率93%で、シクロノナノン
(収率5%)、アゼライン酸(収率83%)およびその
他の生成物(収率5%)が得られ、シクロノナジオンは
検出されなかった。
【0126】前記実施例B1〜5の結果を表に示す。
【0127】
【表1】 実施例B6 シクロオクタン1.12g(10ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、コ
バルト(II)アセチルアセトナートCo(AA)2
0.015g(0.06ミリモル)、酢酸25mlの混
合物を、酸素雰囲気下、120℃で6時間攪拌した。反
応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調
べたところ、シクロオクタンの転化率95%でスベリン
酸が得られた(収率70%)。
【0128】実施例B7 シクロノナン1.26g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、Co
(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)、酢酸2
5mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪
拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分
析により調べたところ、シクロノナンの転化率92%
で、シクロノナノン(収率46%)、アゼライン酸(収
率42%)が得られた。
【0129】実施例B8 シクロデカン1.40g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、Co
(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)、酢酸2
5mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪
拌したところ、シクロデカンの転化率96%で、シクロ
デカノン(収率39%)、セバシン酸(収率48%)お
よびシクロデカンジオン(収率5%)が得られた。
【0130】実施例B9 反応温度を90℃とする以外、実施例B8と同様にして
反応させたところ、シクロデカンの転化率90%で、シ
クロデカノン(収率64%)、セバシン酸(収率14
%)およびシクロデカンジオン(収率9%)が得られ
た。
【0131】実施例B10 反応温度を120℃とする以外、実施例B8と同様にし
て反応させたところ、シクロデカンの転化率99%で、
シクロデカノン(収率24%)、セバシン酸(収率71
%)が得られた。
【0132】実施例B11 Co(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)に代
えてMn(AA)2 0.021g(0.06ミリモル)
を用いる以外、実施例B8と同様にして反応させたとこ
ろ、シクロデカンの転化率89%で、シクロデカノン
(収率4%)、セバシン酸(収率82%)が得られた。
【0133】実施例B12 シクロデカン1.40g(10ミリモル)に代えてメチ
ルシクロデカン1.54g(10ミリモル)を用いる以
外、実施例B8と同様にして反応させたところ、メチル
シクロデカンの転化率85%で、9−オキソデカン酸
(収率67%)、2−メチルシクロデカノン(収率15
%)が得られた。
【0134】実施例B13 シクロドデカン1.68g(10ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、C
o(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)、酢酸
25mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間
攪拌したところ、シクロドデカンの転化率96%で、シ
クロドデカノン(収率36%)、ドデカン二酸(収率5
1%)およびシクロドデカンジオン(収率7%)が得ら
れた。
【0135】実施例B14 Co(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)に代
えてMn(AA)2 0 .021g(0.06ミリモル)を用い、100℃で8
時間撹拌する以外、実施例B13と同様にして反応させ
たところ、シクロドデカンの転化率92%で、シクロド
デカノン(収率2%)、ドデカン二酸(収率84%)お
よびシクロドデカンジオン(収率6%)が得られた。
【0136】実施例B15 85℃で6時間撹拌する以外、実施例B13と同様にし
て反応させたところ、シクロドデカンの転化率84%
で、シクロドデカノン(収率69%)、ドデカン二酸
(収率12%)およびシクロドデカンジオン(収率3
%)が得られた。
【0137】実施例B16 シクロテトラデカン1.96g(10ミリモル)、N−
ヒドロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモ
ル)、Co(AA)2 0.015g(0.06ミリモ
ル)、酢酸25mlの混合物を、酸素雰囲気下、100
℃で6時間攪拌したところ、シクロテトラデカンの転化
率92%で、シクロテトラデカノン(収率32%)、ド
デカンジカルボン酸(収率52%)およびシクロテトラ
デカンジオン(収率8%)が得られた。
【0138】実施例C1 シクロヘキセン1.64g(20ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、コ
バルトアセチルアセトナートCo(AA)20.043
g(0.12ミリモル)、アセトニトリル25mlの混
合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。反
応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調
べたところ、シクロヘキセンの転化率90%で、2−シ
クロヘキセン−1−オン(シクロヘキセン基準の選択率
72%,収率65%)と、2−シクロヘキセン−1−オ
ール(シクロヘキセン基準の選択率14%,収率13
%)とが得られた。
【0139】実施例C2 シクロヘキセンに代えてシクロペンテンを用いる以外、
実施例C1と同様にして反応させたところ、シクロペン
テンの転化率80%で、2−シクロペンテン−1−オン
(シクロペンテン基準の選択率66%,収率53%)と
2−シクロペンテン−1−オール(シクロペンテン基準
の選択率21%,収率17%)が得られた。
【0140】実施例C3 シクロオクテン1.10g(10ミリモル)、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、コ
バルトアセチルアセトナートCo(AA)20.021
g(0.06ミリモル)、アセトニトリル25mlの混
合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。反
応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調
べたところ、シクロオクテンの転化率95%で、2−シ
クロオクテン−1−オン(シクロオクテン基準の選択率
82%,収率78%)と、2−シクロオクテン−1−オ
ール(シクロオクテン基準の選択率16%,収率15
%)とが得られた。
【0141】実施例C4 アセトニトリルに代えて酢酸を用い反応温度を90℃と
する以外、実施例C1と同様にして反応させたところ、
シクロヘキセンの転化率95%で、2−シクロヘキセン
−1−オン(シクロヘキセン基準の選択率43%,収率
41%)と、1−アセチルオキシ−2−シクロヘキセン
(シクロヘキセン基準の選択率45%,収率43%)と
が得られた。
【0142】比較例C1 シクロヘキセン1.64g(20ミリモル)、アゾビス
イソブチロニトリル(5モル%)、アセトニトリル25
mlの混合液を、酸素雰囲気下、90℃で4時間攪拌し
た。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析に
より調べたところ、シクロヘキセンの転化率34%で、
2−シクロヘキセン−1−オン(シクロヘキセン基準の
選択率12%,収率4%)と、2−シクロヘキセン−1
−オール(シクロヘキセン基準の選択率3%,収率1
%)とが得られた。
【0143】実施例D1−1 アダマンタン1.36g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、コバ
ルト(III)アセチルアセトナートCo(AA)3 0.
015g(0.06ミリモル)、酢酸25mLの混合物
を、酸素雰囲気下、90℃で8時間撹拌した。アダマン
タンの転化率65%で、1−アダマンタノール(アダマ
ンタン基準の選択率71%,収率46%)、1,3−ア
ダマンタンジオール(アダマンタン基準の選択率17
%,収率11%)、2−アダマンタノン(アダマンタン
基準の選択率9%,収率6%)が得られた。アルコール
体の選択率は89%である。
【0144】実施例D2−1〜D7−1 表1に示す条件で反応させる以外、実施例D1−1と同
様にして反応させたところ、表2の結果が得られた。な
お、表2中、「化合物1」は1−アダマンタノール、
「化合物2」は1,3−アダマンタンジオール、「化合
物3」は2−アダマンタノンを示す。また、表2中の
「その他」の生成物は殆どがアダマンタンのケトアルコ
ール体であった。
【0145】実施例D1−2〜D6−2 コバルト(III)アセチルアセトナートCo(AA)3
0.015gに代えてコバルト(II)アセチルアセトナ
ートCo(AA)2 0.015gを用いる以外、実施例
D2−1〜D7−1と同様な条件で反応させたところ、
表2に示す結果を得た。
【0146】実施例D7−2 酢酸に代えてベンゾニトリルを用いる以外、実施例D4
−2と同様にして反応させたところ、表2に示す結果を
得た。なお、表2中の実施例において、「その他」の生
成物は殆どが1,3,5−アダマンタントリオールおよ
び1,3,5,7−アダマンタンテトラオールであり、
ケトアルコール体は検出されなかった。
【0147】
【表2】 実施例D8 1,3−ジメチルアダマンタン1.64g(10ミリモ
ル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.13g(0.8
ミリモル)、Co(AA)2 0.015g(0.06ミ
リモル)、酢酸10mLの混合物を、酸素雰囲気下、7
0℃で6時間撹拌した。1,3−ジメチルアダマンタン
の転化率99%で、1−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
アダマンタン(収率39%)、1,3−ジヒドロキシ−
5,7−ジメチルアダマンタン(収率58%)が得られ
た。アルコール体の選択率は97%である。
【0148】実施例D9 反応温度を60℃に変更した以外は実施例D8と同様に
反応させたところ、1,3−ジメチルアダマンタンの転
化率74%で、1−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアダ
マンタン(収率49%)、1,3−ジヒドロキシ−5,
7−ジメチルアダマンタン(収率22%)が得られた。
アルコール体の選択率は96%である。
【0149】実施例D10 1−アダマンタノール1.52g(10ミリモル)、N
−ヒドロキシフタルイミド0.13g(0.8ミリモ
ル)、Co(AA)2 0.015g(0.06ミリモ
ル)、酢酸25mLの混合物を、酸素雰囲気下、75℃
で3時間撹拌した。1−アダマンタノールの転化率80
%で、1,3−アダマンタンジオール(1−アダマンタ
ノールに対する選択率66%,収率53%)、1,3,
5−アダマンタントリオール(1−アダマンタノールに
対する選択率33%,収率26%)が得られた。アルコ
ール体の選択率は99%である。
【0150】実施例D11 85℃で6時間撹拌する以外、実施例D10と同様にし
て反応させたところ、1−アダマンタノールの転化率9
9%で、1,3−アダマンタンジオール(1−アダマン
タノールに対する選択率42%,収率42%)、1,
3,5−アダマンタントリオール(1−アダマンタノー
ルに対する選択率46%,収率46%)、1,3,5,
7−アダマンタンテトラオール(1−アダマンタノール
に対する選択率10%,収率10%)が得られた。アル
コール体の選択率は99%である。
【0151】実施例D12 95℃で6時間撹拌する以外、実施例D10と同様にし
て反応させたところ、1−アダマンタノールの転化率9
9%で、1,3−アダマンタンジオール(1−アダマン
タノールに対する選択率22%,収率22%)、1,
3,5−アダマンタントリオール(1−アダマンタノー
ルに対する選択率41%,収率41%)、1,3,5,
7−アダマンタンテトラオール(1−アダマンタノール
に対する選択率36%,収率36%)が得られた。アル
コール体の選択率は99%である。
【0152】実施例D13 1,3−アダマンタンジオール1.68g(10ミリモ
ル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.13g(0.8
ミリモル)、Co(AA)2 0.015g(0.06ミ
リモル)、酢酸25mLの混合物を、酸素雰囲気下、9
5℃で6時間撹拌した。1,3−アダマンタンジオール
の転化率99%で、1,3,5−アダマンタンジオール
(1,3−アダマンタンジオールに対する選択率37
%,収率37%)、1,3,5,7−アダマンタンテト
ラオール(1,3−アダマンタンジオールに対する選択
率62%,収率62%)が得られた。アルコール体の選
択率は99%である。
【0153】実施例D14 アダマンタン0.68g(5ミリモル)、1−アダマン
タノール0.76g(5ミリモル)、N−ヒドロキシフ
タルイミド0.13g(0.8ミリモル)、Co(A
A)2 0.015g(0.06ミリモル)、ベンゾニト
リル25mLの混合物を、酸素雰囲気下、85℃で6時
間撹拌した。アダマンタンの転化率91%で、1−アダ
マンタノール(収率33%)、1,3−アダマンタンジ
オール(収率41%)、1,3,5−アダマンタントリ
オール(収率21%)が得られた。アルコール体の選択
率は99%である。
【0154】実施例D15 ノルボルナン0.96g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.13g(0.8ミリモル)、Co
(AA)2 0.015g(0.06ミリモル)、酢酸1
0mLの混合物を、酸素雰囲気下、75℃で15時間撹
拌した。ノルボルナンの転化率99%で、1−ヒドロキ
シノルボルナン(ノルボルナンに対する選択率44%,
収率44%)、1,2−ヒドロキシノルボルナン(ノル
ボルナンに対する選択率55%,収率55%)が得られ
た。アルコール体の選択率は99%になる。
【0155】実施例D16 トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン1.5g
(10ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.1
3g(0.8ミリモル)、Co(AA)2 0.015g
(0.06ミリモル)、酢酸10mLの混合物を、酸素
雰囲気下、75℃で15時間撹拌した。トリシクロ
[4.3.1.12,5]ウンデカンの転化率99%で、
1−ヒドロキシトリシクロ[4.3.1.12,5]ウン
デカン(トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン
に対する選択率24%,収率24%)、ジヒドロキシト
リシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン(トリシク
ロ[4.3.1.12,5]ウンデカンに対する選択率7
5%,収率75%)が得られた。アルコール体の選択率
は99%である。
【0156】実施例D17 ピナン1.38g(10ミリモル)、N−ヒドロキシフ
タルイミド0.13g(0.8ミリモル)、Co(A
A)2 0.015g(0.06ミリモル)、アセトニト
リル25mLの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6
時間撹拌した。ピナンの転化率90%で、2−ピナロー
ル(ピナンに対する選択率91%,収率82%)が得ら
れた。
【0157】実施例D18 cis−デカリン1.38g(10ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.16g(1.0ミリモル)、
MoO3 0.007g(0.05ミリモル)、酢酸10
mLの混合物を、酸素雰囲気下、50℃で6時間撹拌し
た。cis−デカリンの転化率65%で、1−ヒドロキ
シ−cis−デカリン(cis−デカリンに対する選択
率71%,収率46%)、1,6−ジヒドロキシ−ci
s−デカリン(cis−デカリンに対する選択率17
%,収率11%)、メチレン部位が酸化されたヒドロキ
シ−cis−デカリン(cis−デカリンに対する選択
率6%,収率4%)、1,6−デカンジオン(消費した
cis−デカリンに対する選択率5%,収率3%)が得
られた。アルコール体の選択率は94%である。
【0158】実施例D19 cis−デカリン1.38g(10ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.16g(1.0ミリモル)、
MoO3 0.007g(0.05ミリモル)、ベンゾニ
トリル10mLの混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6
時間撹拌した。cis−デカリンの転化率85%で、1
−ヒドロキシ−cis−デカリン(cis−デカリンに
対する選択率72%,収率61%)、1,6−ジヒドロ
キシ−cis−デカリン(cis−デカリンに対する選
択率21%,収率18%)、メチレン部位が酸化された
ヒドロキシ−cis−デカリン(cis−デカリンに対
する選択率2%,収率2%)、1,6−デカンジオン
(cis−デカリンに対する選択率4%,収率3%)が
得られた。アルコール体の選択率は95%である。
【0159】実施例D20 cis−デカリン1.38g(10ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.16g(1.0ミリモル)、
MoO3 0.007g(0.05ミリモル)、酢酸10
mLの混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌し
た。cis−デカリンの転化率91%で、1−ヒドロキ
シ−cis−デカリン(cis−デカリンに対する選択
率66%,収率60%)、1,6−ジヒドロキシ−ci
s−デカリン(cis−デカリンに対する選択率21
%,収率19%)、メチレン部位が酸化されたヒドロキ
シ−cis−デカリン(cis−デカリンに対する選択
率4%,収率4%)、1,6−デカンジオン(cis−
デカリンに対する選択率9%,収率8%)が得られた。
アルコール体の選択率は91%である。
【0160】実施例D21 cis−デカリン1.38g(10ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.16g(1.0ミリモル)、
マンガンアセチルアセトナートMn(AA)30.01
7g(0.05ミリモル)、ベンゾニトリル10mLの
混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌した。c
is−デカリンの転化率75%で、1−ヒドロキシ−c
is−デカリン(cis−デカリンに対する選択率71
%,収率55%)、1,6−ジヒドロキシ−cis−デ
カリン(cis−デカリンに対する選択率16%,収率
12%)、メチレン部位が酸化されたヒドロキシ−ci
s−デカリン(cis−デカリンに対する選択率4%,
収率3%)、1,6−デカンジオン(cis−デカリン
に対する選択率5%,収率4%)が得られた。アルコー
ル体の選択率は93%である。
【0161】実施例D22 エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン1.3
6g(10ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド
0.16g(1.0ミリモル)、MoO3 0.007g
(0.05ミリモル)、酢酸10mLの混合物を、酸素
雰囲気下、65℃で6時間撹拌した。エンドトリシクロ
[5.2.1.02,6]デカンの転化率51%で、2−
ヒドロキシエンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デ
カン(基質に対する選択率45%,収率23%)、2,
6−ジヒドロキシエンドトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(基質に対する選択率49%,収率25
%)、ジシクロ[5.2.1]デカン−2,6−ジオン
(基質に対する選択率4%,収率2%)が得られた。ア
ルコール体の選択率は94%である。
【0162】実施例D23 エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン1.3
6g(10ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド
0.16g(1.0ミリモル)、MoO3 0.007g
(0.05ミリモル)、酢酸10mLの混合物を、酸素
雰囲気下、65℃で6時間撹拌した。エキソトリシクロ
[5.2.1.02,6]デカンの転化率43%で、2−
ヒドロキシエキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デ
カン(基質に対する選択率72%,収率31%)、2,
6−ジヒドロキシエキソトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(基質に対する選択率23%,収率10
%)、ジシクロ[5.2.1]デカン−2,6−ジオン
(基質に対する選択率5%,収率2%)が得られた。ア
ルコール体の選択率は95%である。
【0163】実施例D24 テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン
1.62g(10ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイ
ミド0.16g(1.0ミリモル)、MoO30.00
7g(0.05ミリモル)、酢酸10mLの混合物を、
酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌した。テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンの転化率55
%で、1−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,1 0]ドデカン(基質に対する選択率67%,
収率37%)、1,6−ジヒドロキシテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン(基質に対す
る選択率18%,収率10%)、トリシクロ[6.2.
1.13,0]ドデカン−2,7−ジオン(基質に対する
選択率13%,収率7%)が得られた。アルコール体の
選択率は85%である。
【0164】実施例D25 cis−パーヒドロインダン1.26g(10ミリモ
ル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.16g(1.0
ミリモル)、MoO3 0.007g(0.05ミリモ
ル)、酢酸10mLの混合物を、酸素雰囲気下、75℃
で6時間撹拌した。cis−パーヒドロインダンの転化
率87%で、1−ヒドロキシ−cis−パーヒドロイン
ダン(基質に対する選択率62%,収率54%)、1,
6−ジヒドロキシ−cis−パーヒドロインダン(基質
に対する選択率31%,収率27%)、メチレン部位が
酸化されたヒドロキシ−cis−パーヒドロインダン
(基質に対する選択率3%,収率2%)、1,6−ノナ
ンジオン(基質に対する選択率5%,収率4%)が得ら
れた。アルコール体の選択率は95%である。
【0165】実施例D26 反応温度140℃で6時間撹拌する以外、実施例D18
と同様にして反応させたところ、cis−デカリンの転
化率95%で、1−ヒドロキシ−cis−デカリン(基
質に対する選択率18%,収率17%)、1,6−ジヒ
ドロキシ−cis−デカリン(基質に対する選択率3
%,収率3%)、1,6−デカンジオン(基質に対する
選択率73%,収率69%)が得られた。アルコール体
の選択率は21%である。
【0166】実施例D27 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、銅(II)アセチルアセトナートCu
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mLの混合物
を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌したところ、ア
ダマンタンの転化率53%で、1−アダマンタノール
(収率50%)、2−アダマンタノン(収率4%)が得
られた。アルコール体およびケトン体の選択率は97%
である。
【0167】実施例D28 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナ
ートZr(AA)4 0.05ミリモル、酢酸25mL
の混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌したと
ころ、アダマンタンの転化率43%で、1−アダマンタ
ノール(収率28%)、1,3−アダマンタンジオール
(収率6%)、2−アダマンタノン(収率3%)が得ら
れた。
【0168】実施例D29 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、ジルコニル酢酸塩ZrO(OAc)2
0.05ミリモル、酢酸25mLの混合物を、酸素雰
囲気下、75℃で6時間撹拌したところ、アダマンタン
の転化率91%で、1−アダマンタノール(収率42
%)、1,3−アダマンタンジオール(収率31%)、
2−アダマンタノン(収率7%)が得られた。
【0169】実施例D30 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、バナジルアセチルアセトナートVO
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mLの混合物
を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌したところ、ア
ダマンタンの転化率98%で、1−アダマンタノール
(収率25%)、1,3−アダマンタンジオール(収率
34%)、アダマンタントリオール(収率6%)、アダ
マンタンテトラオール(収率6%)が得られた。
【0170】実施例D31 バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2 に代え
て、バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3
0.05ミリモルを用いる以外、実施例D30と同様に
して反応させたところ、アダマンタンの転化率99%
で、1−アダマンタノール(収率27%)、1,3−ア
ダマンタンジオール(収率34%)、アダマンタントリ
オール(収率6%)、アダマンタンテトラオール(収率
7%)が得られた。
【0171】実施例D32 バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2 に代え
て、酸化バナジウムV25 0.05ミリモルを用い
る以外、実施例D30と同様に反応させたところ、アダ
マンタンの転化率99%で、1−アダマンタノール(収
率24%)、1,3−アダマンタンジオール(収率35
%)、アダマンタントリオール(収率6%)、アダマン
タンテトラオール(収率8%)が得られた。
【0172】実施例D33 バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2 に代え
て、酸化バナジウムV23 0.05ミリモルを用い
る以外、実施例D30と同様に反応させたところ、アダ
マンタンの転化率99%で、1−アダマンタノール(収
率23%)、1,3−アダマンタンジオール(収率36
%)、アダマンタントリオール(収率8%)、アダマン
タンテトラオール(収率8%)が得られた。
【0173】実施例D34 バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2 に代え
て、塩化バナジルVOCl2 を用いる以外、実施例D3
0と同様に反応させたところ、アダマンタンの転化率9
8%で、1−アダマンタノール(収率28%)、1,3
−アダマンタンジオール(収率32%)、アダマンタン
トリオール(収率5%)、アダマンタンテトラオール
(収率4%)が得られた。
【0174】実施例D35 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 2ミリモル、バナジウムアセチルアセトナートV
(AA)3 0.1ミリモル、酢酸25mLの混合物
を、酸素雰囲気下、85℃で10時間撹拌したところ、
アダマンタンの転化率99%で、1−アダマンタノール
(収率8%)、1,3−アダマンタンジオール(収率2
2%)、アダマンタントリオール(収率33%)、アダ
マンタンテトラオール(収率20%)が得られた。
【0175】実施例D36 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、マンガンアセチルアセトナートMn(AA)3 0.
1ミリモルを用いる以外、実施例D35と同様に反応さ
せたところ、アダマンタンの転化率97%で、1−アダ
マンタノール(収率49%)、1,3−アダマンタンジ
オール(収率24%)、アダマンタントリオール(収率
3%)、アダマンタンテトラオール(収率2%)が得ら
れた。
【0176】実施例D37 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、モリブデン酸H2 MoO4 0.1ミリモルを用いる
以外、実施例D35と同様に反応させたところ、アダマ
ンタンの転化率99%で、1−アダマンタノール(収率
57%)、1,3−アダマンタンジオール(収率22
%)、アダマンタントリオール(収率3%)、アダマン
タンテトラオール(収率3%)が得られた。
【0177】実施例D38 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、銅(II)アセチルアセトナートCu(AA)2
0.1ミリモルを用いる以外、実施例D35と同様に反
応させたところ、アダマンタンの転化率49%で、1−
アダマンタノール(収率42%)、1,3−アダマンタ
ンジオール(収率6%)が得られた。
【0178】実施例D39 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、亜鉛(II)アセチルアセトナートZn(AA)2
0.1ミリモルを用いる以外、実施例D35と同様に反
応させたところ、アダマンタンの転化率40%で、1−
アダマンタノール(収率30%)、1,3−アダマンタ
ンジオール(収率7%)が得られた。
【0179】実施例D40 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、アルミニウム(III)アセチルアセトナートAl
(AA)3 0.1ミリモルを用いる以外、実施例D3
5と同様に反応させたところ、アダマンタンの転化率1
5%で、1−アダマンタノール(収率10%)、1,3
−アダマンタンジオール(収率2%)が得られた。
【0180】実施例D41 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、マグネシウム(II)アセチルアセトナートMg(A
A)2 0.1ミリモルを用いる以外、実施例D35と
同様に反応させたところ、アダマンタンの転化率22%
で、1−アダマンタノール(収率13%)、1,3−ア
ダマンタンジオール(収率2%)が得られた。
【0181】実施例D42 バナジウムアセチルアセトナートV(AA)3 に代え
て、ヨウ化サマリウムSmI2 0.1ミリモルを用い
る以外、実施例D35と同様に反応させたところ、アダ
マンタンの転化率34%で、1−アダマンタノール(収
率22%)、1,3−アダマンタンジオール(収率4
%)が得られた。
【0182】実施例E1 トルエン0.921g(10ミリモル)、N−ヒドロキ
シフタルイミド0.16g(1ミリモル)、コバルト
(II)アセチルアセトナートCo(AA)2 0.015
g(0.05ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。反応液中の生
成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたとこ
ろ、トルエンの転化率95%、安息香酸が収率95%で
得られた(選択率100%)。
【0183】実施例E2 100℃で4時間攪拌する以外、実施例E1と同様にし
て反応したところ、トルエンの転化率93%、安息香酸
が収率92%で得られた(選択率99%)。
【0184】実施例E3 p−キシレン1.06g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.32g(2ミリモル)、コバルト
(III)アセチルアセトナートCo(AA)30.018
g(0.05ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で12時間攪拌したところ、p−
キシレンの転化率99%で、テレフタル酸(収率71
%)およびp−メチル安息香酸(収率24%)が得られ
た。
【0185】実施例E4 100℃で6時間攪拌する以外、実施例E3と同様に反
応したところ、p−キシレンの転化率99%で、テレフ
タル酸(収率9%)およびp−メチル安息香酸(収率7
6%)が得られた。
【0186】実施例E5 p−キシレン1.06g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.16g(1ミリモル)、コバルト
(II)アセチルアセトナートCo(AA)2 0.018
g(0.05ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で12時間攪拌したところ、p−
キシレンの転化率99%で、テレフタル酸(収率70
%)およびp−メチル安息香酸(収率27%)が得られ
た。
【0187】実施例E6 100℃で6時間攪拌する以外、実施例E5と同様に反
応したところ、p−キシレンの転化率99%で、テレフ
タル酸(収率57%)およびp−メチル安息香酸(収率
42%)が得られた。
【0188】実施例E7 o−キシレン1.06g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.16g(1ミリモル)、コバルト
(II)アセチルアセトナートCo(AA)2 0.018
g(0.05ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で6時間攪拌したところ、o−キ
シレンの転化率98%で、フタル酸(収率40%)、o
−メチル安息香酸(収率46%)および無水フタル酸
(収率10%)が得られた。
【0189】実施例E8 o−キシレン1.06g(10ミリモル)、N−ヒドロ
キシフタルイミド0.16g(1ミリモル)、コバルト
(III)アセチルアセトナートCo(AA)30.018
g(0.05ミリモル)、酢酸25mlの混合物を、酸
素雰囲気下、100℃で6時間攪拌したところ、o−キ
シレンの転化率92%で、フタル酸(収率18%)、o
−メチル安息香酸(収率71%)が得られた。
【0190】実施例E9 4−t−ブチル−1−メチルベンゼン1.49g(10
ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.16g
(1ミリモル)、コバルト(III)アセチルアセトナー
トCo(AA)3 0.018g(0.05ミリモル)、
酢酸25mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6
時間攪拌したところ、4−t−ブチル−1−メチルベン
ゼンの転化率95%で、4−t−ブチル安息香酸(収率
88%)が得られた。
【0191】実施例E10 4−t−ブチル−1−メチルベンゼン1.49g(10
ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.03g
(0.2ミリモル)、コバルト(III)アセチルアセト
ナートCo(AA)3 0.018g(0.05ミリモ
ル)、酢酸25mlの混合物を、酸素雰囲気下、100
℃で12時間攪拌したところ、4−t−ブチル−1−メ
チルベンゼンの転化率70%で、4−t−ブチル安息香
酸(収率64%)が得られた。
【0192】実施例E11 4−t−ブチル−1−メチルベンゼン1.49g(10
ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.16g
(1ミリモル)、コバルト(II)アセチルアセトナート
Co(AA)2 0.018g(0.05ミリモル)、酢
酸25mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時
間攪拌したところ、4−t−ブチル−1−メチルベンゼ
ンの転化率99%で、4−t−ブチル安息香酸(収率9
4%)が得られた。
【0193】実施例E12 4−メトキシ−1−メチルベンゼン1.23g(10ミ
リモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.16g(1
ミリモル)、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.018g(0.05ミリモル)、酢酸2
5mlの混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪
拌したところ、4−メトキシ−1−メチルベンゼンの転
化率99%で、4−メトキシ安息香酸(収率93%)が
得られた。
【0194】実施例E13 4−メトキシ−1−メチルベンゼン10ミリモルに代え
て、4−アセチルオキシ−1−メチルベンゼン10ミリ
モルを用いる以外、実施例E12と同様に反応させたと
ころ、基質の転化率95%で、4−アセチルオキシ安息
香酸(収率92%)が得られた。
【0195】実施例E14 4−メトキシ−1−メチルベンゼン10ミリモルに代え
て、p−クレゾール10ミリモルを用いるとともに、酢
酸25mlに代えてベンゾニトリル25mlを用いる以
外、実施例E12と同様に反応させたところ、基質の転
化率約70%で、4−ヒドロキシ安息香酸(収率18
%)と4−ヒドロキシベンズアルデヒド(収率37%)
が得られた。
【0196】実施例E15 4−メトキシ−1−メチルベンゼン10ミリモルに代え
て、2−メチルフラン10ミリモルを用いる以外、実施
例E12と同様に反応させたところ、基質の転化率92
%で、フラン−2−カルボン酸(収率88%)が得られ
た。
【0197】実施例E16 4−メトキシ−1−メチルベンゼン10ミリモルに代え
て、2−メチルピラン10ミリモルを用いる以外、実施
例E12と同様に反応させたところ、基質の転化率85
%で、ピラン−2−カルボン酸(収率83%)が得られ
た。
【0198】実施例E17 トルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、クロム(III)アセチルアセトナートCr
(AA)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、70℃で6時間攪拌したところ、ト
ルエンの転化率42%で安息香酸(収率37%)が得ら
れた。
【0199】実施例E18 トルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、ニッケル(II)アセチルアセトナートNi
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、70℃で6時間攪拌したところ、ト
ルエンの転化率37%で安息香酸(収率32%)が得ら
れた。
【0200】実施例E19 トルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、バナジウム(III)アセチルアセトナート
V(AA)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合
物を、酸素雰囲気下、70℃で8時間攪拌したところ、
トルエンの転化率80%で安息香酸(収率68%)が得
られた。
【0201】実施例E20 エチルベンゼン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイ
ミド 1ミリモル、バナジウム(III)アセチルアセト
ナートV(AA)3 0.05ミリモル、酢酸25ml
の混合物を、酸素雰囲気下、75℃で8時間攪拌したと
ころ、エチルベンゼンの転化率84%でアセトフェノン
(収率76%)が得られた。
【0202】実施例E21 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、酢酸銅(Cu(OAc)2 ) 0.05ミ
リモル、アセトニトリル25mlの混合物を、酸素雰囲
気下、70℃で3時間攪拌したところ、デュレンの転化
率95%で2,4,5−トリメチル安息香酸(収率59
%)が得られた。
【0203】実施例E22 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、マンガン(II)アセチルアセトナートMn
(AA)2 0.05ミリモル、アセトニトリル25m
lの混合物を、酸素雰囲気下、70℃で3時間攪拌した
ところ、デュレンの転化率94%で2,4,5−トリメ
チル安息香酸(収率57%)が得られた。
【0204】実施例E23 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、60℃で3時間攪拌したところ、デ
ュレンの転化率約100%で2,4,5−トリメチル安
息香酸(収率87%)が得られた。
【0205】実施例E24 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、室温(約20℃)℃で12時間攪拌
したところ、デュレンの転化率約100%で2,4,5
−トリメチル安息香酸(収率87%)が得られた。
【0206】実施例E25 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、マンガン(II)アセチルアセトナートMn
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、70℃で6時間攪拌したところ、デ
ュレンの転化率98%で2,4,5−トリメチル安息香
酸(収率36%)が得られた。
【0207】実施例E26 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、鉄(III)アセチルアセトナートFe(A
A)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物を、
酸素雰囲気下、70℃で3時間攪拌したところ、デュレ
ンの転化率86%で2,4,5−トリメチル安息香酸
(収率44%)が得られた。
【0208】実施例E27 メシチレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートC
o(AA)2 0.05ミリモル、混合溶媒(アセトニ
トリル/酢酸=4/1)25mlの混合物を、酸素雰囲
気下、70℃で3時間攪拌したところ、メシチレンの転
化率86%で3,5−ジメチル安息香酸(収率63%)
が得られた。
【0209】実施例E28 3−エチルトルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド 1ミリモル、酢酸銅(Cu(OAc)2
0.05ミリモル、アセトニトリル25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、75℃で6時間攪拌したところ、3
−エチルトルエンの転化率90%でm−メチルアセトフ
ェノン(収率57%)、3−エチル安息香酸(収率7
%)が得られた。
【0210】実施例E29 3−エチルトルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド 1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセト
ナートCo(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25m
lの混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時間攪拌した
ところ、3−エチルトルエンの転化率93%でm−メチ
ルアセトフェノン(収率55%)、3−エチル安息香酸
(収率6%)が得られた。
【0211】実施例E30 4−エチルトルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド 1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセト
ナートCo(AA)2 0.05ミリモル、アセトニト
リル25mlの混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時
間攪拌したところ、4−エチルトルエンの転化率99%
でp−メチルアセトフェノン(収率66%)、4−エチ
ル安息香酸(収率10%)が得られた。
【0212】実施例E31 4−エチルトルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド 1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセト
ナートCo(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25m
lの混合物を、酸素雰囲気下、80℃で6時間攪拌した
ところ、4−エチルトルエンの転化率96%でp−メチ
ルアセトフェノン(収率52%)、4−エチル安息香酸
(収率6%)が得られた。
【0213】実施例E32 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、室温(約20℃)で12時間攪拌し
たところ、デュレンの転化率100%で2,4,5−ト
リメチル安息香酸(収率93%)が得られた。
【0214】実施例E33 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、混合溶媒(酢酸/アセ
トニトリル=1/20)25mlの混合物を、酸素雰囲
気下、室温(約20℃)で12時間攪拌したところ、デ
ュレンの転化率100%で2,4,5−トリメチル安息
香酸(収率94%)が得られた。
【0215】実施例E34 デュレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、アセトニトリル25m
lの混合物を、酸素雰囲気下、室温(約20℃)で3時
間攪拌したところ、デュレンの転化率98%で2,4,
5−トリメチル安息香酸(収率93%)、2,4,5−
トリメチルベンズアルデヒド(収率5%)が得られた。
【0216】実施例E35 メシチレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートC
o(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合
物を、酸素雰囲気下、室温(約15℃)で18時間攪拌
したところ、メシチレンの転化率60%で3,5−ジメ
チル安息香酸(収率20%)、3,5−ジメチルベンズ
アルデヒド(収率30%)が得られた。
【0217】実施例E36 メシチレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートC
o(AA)2 0.05ミリモル、アセトニトリル25
mlの混合物を、酸素雰囲気下、室温(約15℃)で6
時間攪拌したところ、メシチレンの転化率61%で3,
5−ジメチル安息香酸(収率23%)、3,5−ジメチ
ルベンズアルデヒド(収率25%)が得られた。
【0218】実施例E37 トルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルト(II)アセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、室温(約15℃)で24時間攪拌し
たところ、トルエンの転化率71%で安息香酸(収率6
6%)、ベンズアルデヒド(収率3%)が得られた。
【0219】実施例E38 トルエン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、酢酸コバルト(Co(OAc)2 ) 0.
05ミリモル、酢酸25mlの混合物を、酸素雰囲気
下、室温(約15℃)で24時間攪拌したところ、トル
エンの転化率72%で安息香酸(収率60%)、ベンズ
アルデヒド(収率3%)が得られた。
【0220】実施例E39 p−t−ブチルトルエン10ミリモル、N−ヒドロキシ
フタルイミド 1ミリモル、コバルト(II)アセチルア
セトナートCo(AA)2 0.05ミリモル、酢酸2
5mlの混合物を、酸素雰囲気下、室温(約15℃)で
18時間攪拌したところ、p−t−ブチルトルエンの転
化率94%でp−t−ブチル安息香酸(収率71%)、
p−t−ブチルベンズアルデヒド(収率2%)が得られ
た。
【0221】実施例F1 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、マンガンアセチルアセトナートMn(A
A)3 0.05ミリモル、ベンゾニトリル25mlの
混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。
反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により
調べたところ、フルオレンの転化率32%でフルオレノ
ンが得られた(収率28%)。
【0222】実施例F2 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、マンガンアセチルアセトナートMn(A
A)2 0.05ミリモル、ベンゾニトリル25mlの
混合物を、酸素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。
反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により
調べたところ、フルオレンの転化率38%でフルオレノ
ンが得られた(収率30%)。
【0223】実施例F3 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、バナジウムアセチルアセトナートV(A
A)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物を、
酸素雰囲気下、90℃で6時間攪拌した。反応液中の生
成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたとこ
ろ、フルオレンの転化率54%でフルオレノンが得られ
た(収率48%)。
【0224】実施例F4 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルトアセチルアセトナートCo(A
A)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物を、
酸素雰囲気下、90℃で6時間攪拌した。反応液中の生
成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたとこ
ろ、フルオレンの転化率68%でフルオレノン(収率4
4%)、フルオレノール(収率3%)が得られた。
【0225】実施例G1 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナ
ートZr(AA)4 0.05ミリモル、酢酸25mL
の混合物を、酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌した。
反応液中の生成物を液体クロマトグラフィー分析により
調べたところ、アダマンタンの転化率74%で、1−ア
ダマンタノール(収率40%)、1,3−アダマンタン
ジオール(収率8%)、2−アダマンタノン(収率6
%)が生成し、N−ヒドロキシフタルイミドの100%
が残存していた。
【0226】実施例G2 ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートZr(AA)
4 に代えて、チタニウム(II)アセチルアセトナートT
i(AA)2 0.05ミリモルを用いる以外、実施例
G1と同様にして反応させたところ、アダマンタンの転
化率55%で、1−アダマンタノール(収率33%)、
1,3−アダマンタンジオール(収率6%)、2−アダ
マンタノン(収率6%)が生成し、N−ヒドロキシフタ
ルイミドの100%が残存していた。
【0227】実施例G3 ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートZr(AA)
4 に代えて、クロム(III)アセチルアセトナートCr
(AA)3 0.05ミリモルを用いる以外、実施例G
1と同様にして反応させたところ、アダマンタンの転化
率57%で、1−アダマンタノール(収率33%)、
1,3−アダマンタンジオール(収率2%)、2−アダ
マンタノン(収率6%)が生成し、N−ヒドロキシフタ
ルイミドの100%が残存していた。
【0228】実施例G4 ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートZr(AA)
4 に代えて、マンガン(III)アセチルアセトナートM
n(AA)3 0.05ミリモルを用いる以外、実施例
G1と同様にして反応させたところ、アダマンタンの転
化率68%で、1−アダマンタノール(収率37%)、
1,3−アダマンタンジオール(収率7%)、2−アダ
マンタノン(収率5%)が生成し、N−ヒドロキシフタ
ルイミドの85%が残存していた。
【0229】実施例G5 ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートZr(AA)
4 に代えて、マンガン(II)アセチルアセトナートMn
(AA)2 0.05ミリモルを用いる以外、実施例G
1と同様にして反応させたところ、アダマンタンの転化
率67%で、1−アダマンタノール(収率39%)、
1,3−アダマンタンジオール(収率6%)、2−アダ
マンタノン(収率5%)が生成し、N−ヒドロキシフタ
ルイミドの91%が残存していた。
【0230】実施例G6 ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートZr(AA)
4 に代えて、モリブデン酸H2 MoO4 0.05ミリ
モルを用いる以外、実施例G1と同様にして反応させた
ところ、アダマンタンの転化率79%で、1−アダマン
タノール(収率49%)、1,3−アダマンタンジオー
ル(収率15%)、2−アダマンタノン(収率7%)が
生成し、N−ヒドロキシフタルイミドの89%が残存し
ていた。
【0231】実施例G7 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、クロム(IV)アセチルアセトナートC
r(AA)4 0.1ミリモル、酢酸25mLの混合物
を、酸素雰囲気下、85℃で6時間撹拌した。アダマン
タンの転化率90%で、1−アダマンタノール(収率3
8%)、1,3−アダマンタンジオール(収率24
%)、1,3,5−アダマンタントリオール(収率4
%)、2−アダマンタノン(収率8%)が生成し、N−
ヒドロキシフタルイミドの97%が残存していた。
【0232】実施例G8 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナ
ートZr(AA)4 0.1ミリモル、酢酸25mLの
混合物を、酸素雰囲気下、85℃で6時間撹拌した。ア
ダマンタンの転化率80%で、1−アダマンタノール
(収率34%)、1,3−アダマンタンジオール(収率
26%)、1,3,5−アダマンタントリオール(収率
3%)、2−アダマンタノン(収率6%)が生成し、N
−ヒドロキシフタルイミドの88%が残存していた。
【0233】実施例G9 シクロヘキサン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイ
ミド 1ミリモル、マンガンアセチルアセトナートMn
(AA)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、110℃で6時間攪拌した。反応液
中の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調べた
ところ、シクロヘキサンの転化率85%でアジピン酸
(収率70%)、シクロヘキサノン(収率5%)が生成
し、N−ヒドロキシフタルイミドの77%が残存してい
た。
【0234】実施例G10 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、ジルコニウムアセチルアセトナートZr
(AA)4 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、90℃で6時間攪拌した。反応液中
の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調べたと
ころ、フルオレンの転化率68%でフルオレノン(収率
42%)、フルオレノール(収率4%)が生成し、N−
ヒドロキシフタルイミドの67%が残存していた。
【0235】実施例G11 シクロヘキサン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイ
ミド 1ミリモル、コバルトアセチルアセトナートCo
(AA)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、110℃で6時間攪拌した。反応液
中の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調べた
ところ、シクロヘキサンの転化率76%でシクロヘキサ
ノン(収率36%)、シクロヘキサノール(収率1
%)、アジピン酸(収率29%)が生成し、N−ヒドロ
キシフタルイミドの48%が残存していた。
【0236】実施例G12 フルオレン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
1ミリモル、コバルトアセチルアセトナートCo(A
A)2 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物を、
酸素雰囲気下、90℃で6時間攪拌した。反応液中の生
成物を液体クロマトグラフィー分析により調べたとこ
ろ、フルオレンの転化率59%でフルオレノン(収率4
0%)、フルオレノール(収率4%)が生成し、N−ヒ
ドロキシフタルイミドの48%が残存していた。
【0237】実施例G13 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、バナジウムアセチルアセトナートV
(AA)3 0.05ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、75℃で3時間攪拌した。反応液中
の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調べたと
ころ、アダマンタンの転化率94%でアダマンタノール
(収率40%)、アダマンタンジオール(収率25
%)、アダマンタントリオール(収率2%)、アダマン
タノン(収率7%)が生成し、N−ヒドロキシフタルイ
ミドの49%が残存していた。
【0238】実施例G14 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、バナジウムアセチルアセトナートV
(AA)3 0.03ミリモル、酢酸25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、75℃で3時間攪拌した。反応液中
の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調べたと
ころ、アダマンタンの転化率89%でアダマンタノール
(収率42%)、アダマンタンジオール(収率24
%)、アダマンタントリオール(収率2%)、アダマン
タノン(収率7%)が生成し、N−ヒドロキシフタルイ
ミドの54%が残存していた。
【0239】実施例G15 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、リンバナドモリブデン酸PV5 Mo7
40・30H2 O 0.03ミリモル、酢酸25mlの
混合物を、酸素雰囲気下、75℃で3時間攪拌した。反
応液中の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調
べたところ、アダマンタンの転化率57%でアダマンタ
ノール(収率37%)、アダマンタンジオール(収率7
%)、アダマンタノン(収率6%)が生成し、N−ヒド
ロキシフタルイミドの61%が残存していた。
【0240】実施例G16 アダマンタン10ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミ
ド 1ミリモル、リンバナドタングステン酸PV4 8
40・30H2 O 0.03ミリモル、酢酸25mlの
混合物を、酸素雰囲気下、75℃で3時間攪拌した。反
応液中の生成物を液体クロマトグラフィー分析により調
べたところ、アダマンタンの転化率49%でアダマンタ
ノール(収率36%)、アダマンタンジオール(収率7
%)、アダマンタノン(収率5%)が生成し、N−ヒド
ロキシフタルイミドの59%が残存していた。
【0241】実施例H1 ブタジエン1.08g(20ミリモル)、N−ヒドロキ
シフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、コバル
トアセチルアセトナートCo(AA)2 0.03g
(0.12ミリモル)、アセトニトリル25mlの混合
物を、酸素雰囲気下、60℃で6時間撹拌した。反応液
中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べた
ところ、ブタジエンの転化率35%で、2−ブテン−
1,4−ジオール(ブタジエン基準の選択率63%、収
率22%)と、1−ブテン−3,4−ジオール(ブタジ
エン基準の選択率23%、収率8%)とが得られた。ア
ルコール体の選択率は86%である。
【0242】実施例H2 アクリロニトリル1.06g(20ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、
コバルトアセチルアセトナートCo(AA)20.03
g(0.12ミリモル)、メタノール25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、50℃で3時間撹拌した。反応液中
の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたと
ころ、アクリロニトリルの転化率99%で、1,1−ジ
メトキシプロピオニトリルが収率99%で得られた。
【0243】実施例H3 アクリル酸メチル1.72g(20ミリモル)、N−ヒ
ドロキシフタルイミド0.26g(1.6ミリモル)、
コバルトアセチルアセトナートCo(AA)20.03
g(0.12ミリモル)、メタノール25mlの混合物
を、酸素雰囲気下、50℃で3時間撹拌した。反応液中
の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたと
ころ、アクリル酸メチルの転化率99%で、1,1−ジ
メチルプロピオン酸メチルが収率99%で得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 27/12 300 9155−4H C07C 27/12 300 310 9155−4H 310 330 9155−4H 330 29/50 9155−4H 29/50 33/035 9155−4H 33/035 35/08 9155−4H 35/08 35/44 9155−4H 35/44 45/33 8114−4H 45/33 47/52 8114−4H 47/52 49/587 8114−4H 49/587 A 49/76 8114−4H 49/76 A 51/21 2115−4H 51/21 53/126 2115−4H 53/126 55/02 2115−4H 55/02 55/12 2115−4H 55/12 55/14 2115−4H 55/14 55/18 2115−4H 55/18 55/20 2115−4H 55/20 59/347 2115−4H 59/347 63/04 2115−4H 63/04 63/06 2115−4H 63/06 63/15 2115−4H 63/15 Z 63/16 2115−4H 63/16 63/26 2115−4H 63/26 E 2115−4H F 67/313 67/313 69/157 69/157 69/734 69/734 Z 253/30 9357−4H 253/30 255/13 9357−4H 255/13 C07D 207/404 C07D 207/404 209/48 C07B 61/00 300 // C07B 61/00 300 C07D 209/48 (31)優先権主張番号 特願平8−47921 (32)優先日 平8(1996)2月9日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−48188 (32)優先日 平8(1996)2月11日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロア
    ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ
    ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    及びR2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)で表
    されるイミド化合物と、周期表2A族,遷移金属,およ
    び周期表3B族からなる群から選択された元素を含む助
    触媒(ただし、リンバナドモリブデン酸を除く)とで構
    成されている酸化触媒系。
  2. 【請求項2】 式(1)で表されるイミド化合物におい
    て、R1 およびR2が互いに結合して芳香族性又は非芳
    香族性の5〜12員環を形成する請求項1記載の酸化触
    媒系。
  3. 【請求項3】 式(1)で表されるイミド化合物におい
    て、R1 およびR2が互いに結合して、置換基を有して
    いてもよいシクロアルカン環、置換基を有していてもよ
    いシクロアルケン環、置換基を有していてもよい橋かけ
    式炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族環を形
    成する請求項1記載の酸化触媒系。
  4. 【請求項4】 式(1)で表されるイミド化合物が下記
    式(1a)〜(1f)で表される化合物である請求項1記載の酸
    化触媒系。 【化2】 (式中、R3 〜R6 は、同一又は異なって、水素原子、
    アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキ
    シル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ
    基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R1
    2 およびnは前記に同じ)
  5. 【請求項5】 式(1)で表されるイミド化合物が、N
    −ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン
    酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミ
    ド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカル
    ボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒ
    ドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシ
    テトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸
    イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒド
    ロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ
    ピロメリット酸イミドおよびN,N′−ジヒドロキシナ
    フタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択さ
    れた少なくとも一種の化合物である請求項1記載の酸化
    触媒系。
  6. 【請求項6】 助触媒が、周期表3A族,4A族,5A
    族,6A族,7A族,8族,1B族,および2B族から
    選択された元素を含む遷移金属化合物,又はホウ素化合
    物である請求項1記載の酸化触媒系。
  7. 【請求項7】 助触媒が、周期表4A族,5A族,6A
    族,7A族,8族,および1B族からなる群から選択さ
    れた少なくとも一種の元素を含む化合物である請求項1
    記載の酸化触媒系。
  8. 【請求項8】 助触媒が、酸化物、有機酸塩、無機酸
    塩、ハロゲン化物、錯体およびイソポリ酸又はその塩か
    ら選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の酸化触
    媒系。
  9. 【請求項9】 助触媒が、ランタノイド元素、Ti,Z
    r,V,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Ru,Co,R
    h,NiおよびCuからなる群から選択された元素を含
    む請求項1記載の酸化触媒系。
  10. 【請求項10】 式(1)で表されるイミド化合物と、
    周期表4A族元素、6A族、および7A族元素のうち少
    なくとも1つの元素を含む助触媒との組合わせで構成さ
    れている請求項1記載の酸化触媒系。
  11. 【請求項11】 式(1)で表されるイミド化合物と、
    周期表1B族元素を含む助触媒との組合わせで構成され
    ている請求項1記載の酸化触媒系。
  12. 【請求項12】 式(1)で表されるイミド化合物と、
    周期表7A族元素を含む化合物と、周期表8族元素を含
    む化合物とで構成されている請求項1記載の酸化触媒
    系。
  13. 【請求項13】 周期表7A族元素を含む化合物がマン
    ガン化合物であり、周期表8族元素を含む化合物が鉄化
    合物である請求項12記載の酸化触媒系。
  14. 【請求項14】 周期表8族元素を含む化合物の割合
    が、周期表7族元素を含む化合物1モルに対して0.1
    〜20モルである請求項12記載の酸化触媒系。
  15. 【請求項15】 式(1)で表されるイミド化合物と助
    触媒との割合が、イミド化合物1モルに対して、助触媒
    0.001〜10モルである請求項1記載の酸化触媒
    系。
  16. 【請求項16】 式(1)で表されるイミド化合物と助
    触媒との割合が、イミド化合物1モルに対して、助触媒
    0.1モル以下である請求項1記載の酸化触媒系。
  17. 【請求項17】 下記式(1) 【化3】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロア
    ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ
    ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    及びR2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)で表
    されるイミド化合物で構成された酸化触媒の存在下、シ
    クロアルカン類、シクロアルケン類、環の構成単位とし
    てメチリジン基を含む、アダマンタン以外の多環式炭化
    水素類、少なくとも1つのアルキル基が置換した芳香族
    性化合物、および共役化合物から選択された一種の基質
    と酸素とを接触させる酸化方法。
  18. 【請求項18】 酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲ
    ン化物、錯体、およびヘテロポリ酸又はその塩から選ば
    れた少なくとも一種の助触媒の共存下で酸化する請求項
    17記載の酸化方法。
  19. 【請求項19】 多環式炭化水素類が、橋頭位に少なく
    とも1つのメチリジン基を有する架橋環式炭化水素類又
    はテルペン類、隣接する環の接合位に少なくとも1つの
    メチリジン基を有する縮合多環式炭化水素類である請求
    項17記載の酸化方法。
  20. 【請求項20】 多環式炭化水素類が、複数のメチリジ
    ン基を有する2環式ないし4環式炭化水素類である請求
    項17記載の酸化方法。
  21. 【請求項21】 酸化触媒の存在下、アダマンタンモノ
    オール,アダマンタンジオールおよびアダマンタントリ
    オールのうち少くとも1つの成分を含むアダマンタン成
    分と酸素とを接触させ、さらに高度にヒドロキシル化さ
    れたアダマンタンポリオールを生成させる請求項17記
    載の酸化方法。
  22. 【請求項22】 アダマンタンモノオール,アダマンタ
    ンジオール又はアダマンタントリオールの含有量が、ア
    ダマンタン成分全体に対して5モル%以上である請求項
    21記載の酸化方法。
  23. 【請求項23】 下記式(1) 【化4】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロア
    ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ
    ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    及びR2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)で表
    されるイミド化合物と、周期表2A族,遷移金属および
    周期表3B族からなる群から選択された元素を含む助触
    媒とで構成された酸化触媒系の存在下、基質(ただし、
    基質がベンジル位にヒドロキシル基を有する芳香族化合
    物であるとき、助触媒はリンバナドモリブデン酸ではな
    い)と酸素とを接触させる酸化方法。
  24. 【請求項24】 助触媒が、酸化物、有機酸塩、無機酸
    塩、ハロゲン化物、錯体、およびヘテロポリ酸又はその
    塩から選ばれた少なくとも一種である請求項23記載の
    酸化方法。
  25. 【請求項25】 基質が、(a)シクロアルカン類、
    (b)シクロアルケン類、(c)環の構成単位としてメ
    チリジン基を含む多環式炭化水素類、(d)芳香族性環
    の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する芳香族性化
    合物、又は(e)共役化合物である請求項23記載の酸
    化方法。
  26. 【請求項26】 シクロアルカン類が、3〜30員のシ
    クロアルカン環を有する化合物である請求項25記載の
    酸化方法。
  27. 【請求項27】 酸化触媒系の存在下、3〜30員のシ
    クロアルカン環を有する化合物を酸素により酸化し、対
    応するジカルボン酸又はシクロアルカノンを生成させる
    請求項23記載の酸化方法。
  28. 【請求項28】 多環式炭化水素類が、アダマンタンお
    よびその誘導体である請求項25記載の酸化方法。
  29. 【請求項29】 酸化触媒系の存在下、多環式炭化水素
    類を分子状酸素により酸化し、ヒドロキシル基が導入さ
    れた化合物を生成させる請求項23記載の酸化方法。
  30. 【請求項30】 酸化触媒系の存在下、アダマンタンお
    よびその誘導体から選択されたアダマンタン成分と酸素
    とを接触させ、複数の橋頭位にヒドロキシル基が導入さ
    れたアダマンタンポリオールを生成させる請求項23記
    載の酸化方法。
  31. 【請求項31】 化合物(d)が、少なくとも1つのア
    ルキル基が置換した芳香族性化合物である請求項25記
    載の酸化方法。
  32. 【請求項32】 化合物(d)が、芳香族性複素環、炭
    素数6〜14の芳香族炭化水素環を有する請求項25記
    載の酸化方法。
  33. 【請求項33】 化合物(d)が、少くとも1つのメチ
    ル基を有する芳香族炭化水素類である請求項25記載の
    酸化方法。
  34. 【請求項34】 酸化触媒系の存在下、少くとも1つの
    メチル基を有する芳香族性化合物と酸素とを接触させ、
    カルボキシル基を有する芳香族性化合物を生成させる請
    求項23記載の酸化方法。
  35. 【請求項35】 共役化合物(e)が、共役ジエン類、
    α,β−不飽和ニトリル又は下記式 【化5】 [式中、R7 は、水素原子又はメチル基を示し、Yは、
    −OR8 (R8 は、水素原子、アルキル基、アリール
    基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、グリシ
    ジル基を示す),−NR9 10(R9 およびR10は、同
    一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシア
    ルキル基を示す)を示す]で表される化合物である請求
    項25記載の酸化方法。
  36. 【請求項36】 共役化合物(e)が、ブタジエン、イ
    ソプレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリ
    ル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
    アミドである請求項25記載の酸化方法。
  37. 【請求項37】 式(1)で表されるイミド化合物の使
    用量が、基質1モルに対して0.001〜1モルである
    請求項23記載の酸化方法。
  38. 【請求項38】 助触媒の使用量が、基質1モルに対し
    て0.0001〜0.7モルである請求項23記載の酸
    化方法。
  39. 【請求項39】 式(1) 【化6】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロア
    ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ
    ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    及びR2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)で表
    されるイミド化合物と、周期表2A族,遷移金属および
    周期表3B族からなる群から選択された元素を含む助触
    媒(ただし、リンバナドモリブデン酸を除く)とで構成
    された酸化触媒系の存在下、基質と酸素とを接触させ、
    基質に対応するケトン類,アルコール類,アルデヒド類
    又はカルボン酸類を製造する方法。
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