JP2001215372A - レーザダイオードモジュール - Google Patents

レーザダイオードモジュール

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JP2001215372A
JP2001215372A JP2000356126A JP2000356126A JP2001215372A JP 2001215372 A JP2001215372 A JP 2001215372A JP 2000356126 A JP2000356126 A JP 2000356126A JP 2000356126 A JP2000356126 A JP 2000356126A JP 2001215372 A JP2001215372 A JP 2001215372A
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linear expansion
package
diode module
substrate
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JP2000356126A
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Taijirou Takase
泰治郎 高瀬
Hiroshi Matsuura
寛 松浦
Takeo Shimizu
健男 清水
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下においても、レーザダイオードと
光ファイバの光結合効率の低下を許容範囲内に抑えるこ
とができるレーザダイオードモジュールを提供する。 【解決手段】 レーザダイオード1がマウントされたベ
ース2が直接、あるいは電子冷却素子3を介してパッケ
ージ4の基板部4aに接合され、光ファイバ5が前記レ
ーザダイオード1に光結合されたレーザダイオードモジ
ュールである。パッケージ4の基板部4aの材料と、該
基板部4aに接合するベース2もしくは電子冷却素子3
の基板3a,3bとの線膨張率差を1.0×10-6/℃
以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザダイオード
をパッケージ内に収容し、前記レーザダイオードの出射
レーザ光を光ファイバに光結合させ、この結合光を光フ
ァイバによりパッケージ外に導出するレーザダイオード
モジュールに関し、おもに光通信分野において使用され
るものである。
【0002】
【従来の技術】レーザダイオードモジュールには、レー
ザダイオードからのレーザ光をレンズを含む光学機構を
介して光ファイバに光結合する方式のものと、レーザダ
イオードからのレーザ光を直接的にレンズドファイバ
(光結合端がレンズ状に形成されている光ファイバ)に
結合する方式のものが有り、光学機構を介してレーザ光
を光ファイバに結合する方式のレーザダイオードモジュ
ールは、例えば図1に示すような構造をしている。
【0003】即ち、光源となるレーザダイオード1は金
属もしくはセラミックなどからなるマウント基台として
機能するベース2のマウント部分16に半田もしくは接
着剤などにより固定されている。そのベース2はさらに
半田もしくは接着剤などにより、レーザダイオード1を
冷却する電子冷却素子3の基板3a上にマウントされて
いる。この電子冷却素子3は通常、ペルチェ素子により
構成される。これら、ベース2および電子冷却素子3の
機構部分はパッケージ4内に気密収容され、この電子冷
却素子3はその基板3b側で、金属もしくはセラミック
などから成るパッケージ4の基板部4aに、半田もしく
は接着剤などにより固定されている。基板3aと基板3
bは同一材料(材質)の部材である。5はレーザダイオ
ード1から出射されたレーザ光8に光結合された光ファ
イバである。
【0004】なお、レンズ収容部材14はパッケージ4
の側壁4bに設けられた筒状突起部の形状を呈し、内部
に結合レンズとして機能するレンズ(第2のレンズ)7
を保持している。フェルール19はその内部のファイバ
挿通孔に光ファイバ5が貫通し、光ファイバ5は接着剤
もしくは溶接などによりフェルール19に固定されてい
る。図1中の15は、フェルール19に固定された光フ
ァイバ5をレンズ収容部材14に接着剤もしくは溶接な
どにより固定するための保持部材である。
【0005】電子冷却素子3は、例えば数十対のBi−
Te系の半導体素子(ペルチェ素子)を、Al
(アルミナ)などのセラミックス基板3a,3bで上
下から挟み込み、半田などによって固定した構造をして
いる。
【0006】パッケージ4は、電子冷却素子3からの発
熱を効率よく外部に逃がすために、熱伝導のよいCu−
W合金からなることが多い。Cu−W合金は、Cuの含
有率が10〜25%程度のものが一般に使用されるが、
その中でもCuが20%程度含まれたものは加工性、熱
伝導性がより優れ、よく使用される。また、パッケージ
4に構造部材などを溶接する場合には、パッケージ4の
材料として溶接性の良いコバールなどの鉄−コバルト−
ニッケル合金がよく使用される。この場合、前述のよう
に電子冷却素子3からの発熱を効率よく逃がすために、
電子冷却素子3が接合するパッケージ4の基板部(パッ
ケージ基板)4aのみをCu−W合金とし、その他の溶
接部分などにはコバールなどを用いることが多い。
【0007】図1において、レーザダイオード1と光フ
ァイバ5の光結合は、適切な像倍率となるように、レー
ザダイオード1がマウントされる同じベース2の上にコ
リメートレンズとして機能する第1のレンズ6を固定
し、パッケージ4のレンズ収容部材14には集光レンズ
としての第2のレンズ7を設置して行っている。
【0008】また、レーザダイオード1と光ファイバ5
のレンズを用いた光結合方式には、多くの光学部品や光
素子をベース2上にマウントする複合光結合方式があ
る。例えば図2(a)、(b)に示すように、ベース2
の上にレンズ6と半透明な反射鏡10をマウントし、反
射鏡10でレーザ光8を部分的に反射させる。反射され
たレーザ光11は光ファイバ5aにレンズ7を介して結
合される。一方、光ファイバ5aからレーザ光11の進
行方向とは逆方向に出射したレーザ光(光ファイバ5a
を通して外部から伝送されてきたレーザ光)は、半透明
な反射鏡10、アイソレータ13を透過する。この反射
鏡10を透過したレーザ光12は、アイソレータ13を
透過し、レンズ(結合レンズ)9を介して光ファイバ5
bに結合される。
【0009】一方、レンズ単体を用いないで、レーザダ
イオード1から出射されたレーザ光をレンズドファイバ
に直接的に結合する方式のレーザダイオードモジュール
として、図3,図4に示すものがある。なお、前記図1
および図3,図4において共通の構成部分には共通の符
号を付して、その重複説明は省略又は簡略化する。
【0010】図3に示されるものは、レーザダイオード
1のベース2上に、先端をレンズ状に加工した光ファイ
バ17(レンズド光ファイバ又は単にレンズドファイバ
ともいう)をファイバ固定部材18を介して溶接固定、
半田固定、もしくは接着剤固定した、レンズを使用しな
い光結合方式のレーザダイオードモジュールである。通
常は、レンズドファイバ17は金属製のフェルール19
に保持され、このフェルール19がファイバ固定部材1
8を介してベース2上に固定される。レンズドファイバ
17をベース2上のファイバ固定部材18に固定する
際、レーザダイオード1とレンズドファイバ17の調心
が行われ、この調心状態で、レンズドファイバ17はベ
ース2上に固定される。
【0011】フェルール19の外側端はパッケージ4の
側壁4bを貫通して筒状部材25の途中部に入り込み、
この筒状部材25内で、フェルール19の外端部とレン
ズドファイバ17は封着樹脂24によって封着固定され
ている。なお、レンズドファイバ17(より具体的には
フェルール19)は、筒状部材25に半田を用いて固定
されることもある。
【0012】図4に示されるレーザダイオードモジュー
ルも、図3に示すものと同様に単体のレンズを使用しな
いでレーザダイオード1とレンズドファイバ17とを光
結合する方式のものである。この図4に示されるレーザ
ダイオードモジュールは、レーザダイオード1がベース
2とは別部材のマウント部分16を介してベース2上に
マウントされており、また、レンズドファイバ17に金
属製フェルール20aと第二のフェルール20bとが設
けられ、金属製フェルール20a側で、レンズドファイ
バ17がファイバ固定部材18を介してベース2上に固
定され、第二のフェルール20b側でレンズドファイバ
17がパッケージ4の側壁4bに固定されている。
【0013】金属製フェルール20aはファイバ固定部
材18を介してベース2に固定されるが、その固定に際
してはレーザダイオード1とレンズドファイバ17とを
光学的に調心し、その調心状態を維持して固定する必要
がある。調心後、レーザダイオード1とレンズドファイ
バ17の微細な相対的変位が生じないような固定手段と
してYAG溶接が用いられるが、効率よくYAG溶接を
行うためには、YAGレーザに対し熱吸収特性の良い材
質(材料)を使用しなければならない。そのため、金属
製フェルール20a、ファイバ固定部材18およびベー
ス2はKovarの商標で知られる溶接接合性のよいF
eーNiーCo系合金(以下、Kovarという)の材
料によって形成し、金属製フェルール20aとファイバ
固定部材18、およびファイバ固定部材18とベース2
はそれぞれYAG溶接によって固定されている。
【0014】また、電子冷却素子3の基板3a,3bは
材料Alにより形成され、パッケージ基板4aの
材料は放熱性を確保するため、放熱性の良い銅ータング
ステン合金が使用され、より一般的にはCu−W20が
使用され、これら電子冷却素子3の基板3aとベース2
は半田固定され、電子冷却素子3の基板3bとパッケー
ジ基板4aも半田によって固定されている。
【0015】前記第二のフェルール20bはパッケージ
4の側壁4bに取り付けられたフェルール挿通支持部材
21のパッケージ貫通穴22に挿通し、封着樹脂24に
より気密封止されてフェルール挿通支持部材21に固定
されている。なお、図4中のフォトダイオード等のモニ
タ素子23はレーザダイオード1の後方放射光を検出す
るものであり、支持部26に支持されベース2にマウン
トされている。前記図1,図3にはモニタ素子23は図
示されていないが、一般的にはこれら図1,図3に示す
装置(モジュール)においてもこのモニタ素子23は配
置される。このモニタ素子23の検出信号を利用して、
レーザダイオード1の出力が一定になるようにレーザダ
イオード1の駆動が制御装置(図示せず)により制御さ
れるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のレーザダイオードモジュールには、高温環境下では光
ファイバ5,17の出射端からの光出力が低下するとい
う問題があった。特に、複合光結合方式やレンズド光フ
ァイバ光結合方式では、光ファイバ5,17の出射端か
らの高温での光出力の低下が顕著になる。
【0017】その原因は、図1,図2に示す光結合方式
では、高温になるとベース2に反りが発生し、レーザダ
イオード1と反射鏡10が逆向きに傾き、反射鏡10へ
のレーザ光8の入射角度が変化し、さらに、反射鏡10
で反射したレーザ光11の角度変化は入射角度変化の2
倍となる。従って、マウント部材2のわずかな反りも、
レーザ光11の大きな角度変化をもたらし、光結合効率
の著しい低下を招く。
【0018】また、図3,図4に示すレンズド光ファイ
バ光結合方式においては、もともとそのレーザダイオー
ド1とレンズドファイバ17との結合トレランスは非常
に狭いことが知られており、光ファイバ17とレーザダ
イオード1の相対的な位置変動の許容度はおよそサブミ
クロンの程度であり、ベース2のわずかな反りが光結合
効率を著しく低下させる。
【0019】レンズドファイバの一例として、図5に示
されるように、ファイバ先端(レーザダイオード1に対
面する側の先端)を研磨等により、シリンドルカル形状
に加工してレンズ部17aを形成し、モジュールの設置
平面(ベース2の上平面)に対し垂直な方向にレンズ効
果を持たせた場合、ファイバの設置平面に対して垂直方
向における結合トレランスは0.3μm程度である。な
お、本明細書で定義する結合トレランスとは、最大光出
力を得るファイバの位置から、10%光出力が低下する
時のファイバの位置ずれ量(ファイバの設置平面に対
し、垂直方向の位置ずれ量)を意味している。
【0020】このレンズド光ファイバ光結合方式の狭い
結合トレランスに起因して、上記従来の図3,図4に示
される光結合方式のレーザダイオードモジュールには次
の(A),(B)に示す問題点があった。(A)高温放
置による結合劣化(レーザダイオード1とレンズドファ
イバ17との光結合劣化)が大きく、長期的に光結合特
性が安定しない。(B)環境温度変化による光結合特性
(単に光特性ともいう)の変化が大きく安定しない。
【0021】上記(A)に関する評価を図4に示す従来
品について行った結果を図6に示す。この評価結果は雰
囲気温度85℃の環境にレーザダイオードモジュールを
放置したときの光出力の変化率を時間に対してプロット
したものである。この評価の合格基準としては2000
時間の試験に対し光出力の変化率が10%以内であるこ
とが必要条件であるが、従来品はこの基準を満たしてい
ない。
【0022】上記(B)の評価結果による問題点は、レ
ーザダイオード1とレンズドファイバ17との光結合の
不安定化の要因以外に、レーザダイオード1からの後方
出射光を検出するモニタ素子(フォトダイオード:P
D)23の出力信号(出力電流)の不安定化に依存す
る。モニタ素子23からの出力電流は外部の出力制御回
路上でサンプリングされ、モニタ素子23からの出力電
流が一定となるように(つまり、レーザダイオード1の
発振出力が一定となるように)、レーザダイオード1の
駆動を制御することで、レンズドファイバ17の出射端
からの出力が一定となるように制御するのであるが、モ
ニタ素子23のモニタ電流が環境温度変化により不安定
になるとレンズドファイバ17の出射端からの光出力を
一定に制御することができなくなるという問題が生じ
る。
【0023】このモニタ電流の不安定化は、レンズドフ
ァイバ17からレーザダイオード1への近端反射が原因
と考えられ、レンズドファイバ17を使用したレーザダ
イオードモジュールにおいて解決すべき特有の問題点で
ある。通常、パッケージ4のパッケージ基板4aの温度
(ケース温度)で、常温から70℃までの温度変化の間
にモニタ素子23の出力電流(モニタ電流)の変化は±
10%以内であることが望まれるが、上記従来品のレー
ザダイオードモジュールはこの基準を満足することがで
きない。
【0024】本発明は上述した従来の課題を解決するた
めに成されたものであり、その目的は、環境温度変化お
よび高温放置に起因する特性劣化を抑制し、環境温度に
影響されず一定の安定出力を得ることが可能な高品質の
信頼性に優れたレーザダイオードモジュールを提供する
ことにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、次の構成をもって課題
を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、
レーザダイオードがマウントされたマウント基台がパッ
ケージ内に収容され、該マウント基台が直接、あるいは
電子冷却素子を介してパッケージの基板部に接合され、
レーザダイオードから出力された光を光ファイバに光結
合するレーザダイオードモジュールにおいて、パッケー
ジの基板部と、該基板部に接合するマウント基台もしく
は電子冷却素子の基板との線膨張率差が1.0×10-6
/℃以下に設定されている構成をもって課題を解決する
手段としている。
【0026】また、第2の発明は、レーザダイオードが
マウントされたマウント基台がパッケージ内に収容さ
れ、該マウント基台が電子冷却素子を介してパッケージ
の基板部に接合され、レーザダイオードから出力された
光を光ファイバに光結合するレーザダイオードモジュー
ルにおいて、電子冷却素子は前記マウント基台およびパ
ッケージの基板部にそれぞれ接合する基板を持ち、パッ
ケージの基板部の線膨張率と、電子冷却素子の基板の線
膨張率と、マウント基台の線膨張率の3者間の相互の線
膨張率差がそれぞれ1.4×10−6/℃以内に設定さ
れている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0027】さらに、第3の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、マウント基台の線
膨張率が電子冷却素子の基板の線膨張率とパッケージの
基板部の線膨張率との間の線膨張率の値に設定されてい
る構成をもって課題を解決する手段としている。
【0028】さらに、第4の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、パッケージの基板
部とマウント基台は同一の材料により形成されて、同一
の線膨張率を有している構成をもって課題を解決する手
段としている。
【0029】さらに、第5の発明は、前記第1乃至第4
の何れか1つの発明の構成を備えたものにおいて、レー
ザダイオードと光ファイバとの光結合は集光レンズおよ
びコリメートレンズを介して行われることを特徴とす
る。
【0030】さらに、第6の発明は、前記第1乃至第4
の何れか1つの発明の構成を備えたものにおいて、光フ
ァイバはその先端部に加工形成されたレンズ部を持つレ
ンズドファイバであり、レーザダイオードと光ファイバ
との光結合は光ファイバ先端の前記レンズ部を介して行
われることを特徴とする。
【0031】さらに、第7の発明は、前記第6の発明の
構成を備えたものにおいて、マウント基台上面のレンズ
ドファイバ固定部位には溶接接合性を有する溶接媒介部
材が固定され、この溶接媒介部材に溶接接合性を有する
ファイバ固定部材がYAG溶接され、レンズドファイバ
はこのファイバ固定部材に固定されてマウント基台にマ
ウントされている構成をもって課題を解決する手段とし
ている。
【0032】さらに、第8の発明は、前記第1乃至第4
の何れか1つの発明の構成を備えたものにおいて、マウ
ント基台には少なくともレーザダイオードからの出射光
をコリメートするコリメートレンズがマウントされ、こ
のコリメートレンズからの出射光を反射する反射鏡と、
この反射鏡からの反射光が結合レンズによって光ファイ
バに光結合することを特徴とする。
【0033】さらに、第9の発明は、前記第1乃至第8
の何れか1つの発明の構成を備えたものにおいて、レー
ザダイオードはマウント基台上に台状のマウント部分を
介してマウントされており、このマウント部分はマウン
ト基台と同一材料の部材によって構成されていることを
特徴とする。
【0034】本発明においては、マウント基台又は電子
冷却素子の基板とパッケージ基板(パッケージの基板
部)との線膨張率を同一或いはその差が1.0×10-6
/℃以下と小さくしているので、バイメタル的な構造形
態から脱皮し、環境温度変化に起因するマウント基台の
反りが抑制される。このことで、温度変化に対するレー
ザダイオードと光ファイバ(レンズドファイバ)との光
結合特性が安定し、環境温度変化の影響を抑制して安定
した一定の光出力(要求基準を十分に満たす光出力)が
得られるものである。特に、複合モジュールのように反
射鏡10を持ったレンズ系のモジュールには効果的であ
る。
【0035】また、レンズドファイバ17を用いたレー
ザダイオードモジュールにおいてはモニタ電流が安定化
する。すなわち、各部材の線膨張率差に起因する光軸方
向のファイバ(レンズドファイバ)とレーザダイオード
との相対的な位置関係の変化(変位)が抑えられ、レン
ズドファイバからレーザダイオードへの近端反射量の変
動が抑制されることで、環境温度変化に伴うモニタ電流
の変化量を低減でき、これにより、モニタ電流を用いて
のレーザダイオードの駆動制御の信頼性が高まり、広い
温度範囲において、より安定的なレーザダイオードの光
出力を得ることができるものである。
【0036】さらに、電子冷却素子とパッケージ基板
(パッケージの基板部)の線膨張率を同一或いはその差
が1.0×10-6/℃以下と小さくしている条件の下
で、マウント基台の線膨張率を電子冷却素子の基板の線
膨張率とパッケージ基板の線膨張率との間の線膨張率に
設定されることにより、あるいは、パッケージの基板部
の線膨張率と電子冷却素子の基板の線膨張率とマウント
基台の線膨張率の3者間のそれぞれ相互の線膨張率差が
1.4×10−6/℃以内に設定されることで、マウン
ト基台の反りに起因するレーザダイオードとレンズドフ
ァイバ間の軸ずれによる結合効率の劣化が抑制され、高
温放置でも安定した結合効率が維持される。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
に基づき説明する。本発明はレンズを用いてレーザダイ
オードと光ファイバを光結合する方式のレーザダイオー
ドモジュールと、レンズを用いずにレーザダイオードと
レンズドファイバを光結合する方式のレーザダイオード
モジュールを提供するが、まず、レンズを用いた光結合
方式のレーザダイオードモジュールの実施形態例を説明
する。
【0038】本実施形態例における光結合方式のレーザ
ダイオードモジュールの機械的構成は図1,図2に示す
ものと同じである。本実施形態例のレーザダイオードモ
ジュールが従来例と異なる特徴点は、パッケージ基板
(パッケージの基板部)4aと、マウント基台として機
能するベース2もしくは電子冷却素子3の接合部材(図
1,図2においては電子冷却素子基板3a,3b)との
線膨張率差を1.0×10−6℃以内に設定したことで
ある。
【0039】一実施例として、本発明者は、図2
(a)、(b)に示した複合光結合方式を用いたレーザ
ダイオードモジュールの構成のものを例にして、パッケ
ージ4のパッケージ基板(パッケージ基板部ともいう)
4aの材料と、電子冷却素子3の接合部材(セラミック
基板3a,3b)の組合せを変えて、表1に示す2種類
のレーザダイオードモジュールを試作品1,試作品2と
して試作し、従来例と光出力特性を比較した。なお、電
子冷却素子の基板3aと基板3bは同じ材質(材料)で
あり、線膨張率は全く同じである。
【0040】
【表1】
【0041】表1中の数値は線膨張率(×10−6
℃)を示す。従来例はセラミックス基板3a,3bの材
料(Al)とパッケージ基板(基板部)4aの材
料(Cu−W20)の線膨張率差は1.6×10-6/℃
となっている。これに対し、本実施例の試作品1および
試作品2のセラミックス基板3a,3bと基板部4aの
線膨張率差は、それぞれ0.2×10-6/℃および0.
8×10-6/℃となっている。
【0042】上記試作品1,2と従来品について、レー
ザダイオード1を電子冷却素子3で温度調節して25℃
に保持し、定電流駆動で発振させ、基板部4aの温度を
変えて、光ファイバ5(5a)からの光出力を測定し
た。その結果を図7に示す。図7において、光出力は、
基板部4aの温度が25℃における光出力を基準にした
値である。
【0043】図7から分かるように、従来品は、基板部
4aの温度が40℃を超えると、急激に光出力が低下
し、60℃では0.5dB以上低下する。これに対し
て、試作品1、2は60℃においても、光出力の低下は
0.5dB以内である。通常、レーザダイオードモジュ
ールの温度上昇による光出力の低下は、使用温度環境に
おいて、0.5dBが許容限界とされているので、試作
品1、2は実用に適したものである。
【0044】本発明者の検討によれば、電子冷却素子3
のセラミックス基板3a,3bの材料とパッケージ4の
基板部4aの材料の線膨張率差が1.0×10-6/℃以
下であると、光出力の低下は高温の使用環境において
0.5dB以下であり、許容範囲内に入る。
【0045】なお、電子冷却素子3のセラミックス基板
3a,3bとパッケージ4の基板部4aの材料の組合せ
は、上記試作例に限定されず、例えば、セラミックス基
板3a,3bをAlN(線膨張率4.5×10-6/℃)
とし、パッケージ4の基板部4aをW(線膨張率4.5
×10-6/℃)又はMo(線膨張率5.1×10-6
℃)にしてもよい。
【0046】また、本発明におけるレーザダイオードモ
ジュールは、マウント基台のベース2が直接パッケージ
4の基板部4aに接合する構成としてもよく、その場合
のベース2と基板部4aの材料の線膨張率差についても
同様に上記の検討結果が適用できる。つまり、ベース2
の線膨張率と基板部4aの線膨張率との差を1.0×1
-6/℃以下に設定することにより、実用に適した安定
光出力のレーザダイオードモジュールとすることができ
る。
【0047】次に、レンズを使用せずにレーザダイオー
ドとレンズドファイバを光接続する方式(以下、レンズ
ドファイバ光結合方式という)の本発明のレーザダイオ
ードモジュールの実施形態例を説明する。このレンズド
ファイバ光結合方式の本実施形態例のレーザダイオード
モジュールの機械的構成は前述した図4に示すものと同
様であり、その機械的構成(機械的構造)の説明は省略
する。本実施形態例のレンズドファイバ光結合方式のレ
ーザダイオードモジュールが従来のレンズドファイバ光
結合方式のレーザダイオードモジュールと異なる特徴点
は、マウント基台である、ベース2と電子冷却素子3の
基板3a,3bとパッケージ基板4aとの線膨張率を特
有な関係に設定したことである。
【0048】この線膨張率の特有な関係は本発明者の次
の検討結果に基づいて設定されている。すなわち、レー
ザダイオードモジュールの光結合系をパッケージ4内に
保持している、パッケージ基板4a、電子冷却素子3、
ベース2により構成される光学系の固定構造は、これら
の部材が半田等によりバイメタル状に結合されたものと
見ることができる。従って、前述したレンズドファイバ
光結合方式の(A)の問題点が生じる高温の温度ストレ
スが継続的にかかる場合、高温度環境での部材間の変位
の歪が長期的に光結合系に加わっていると考えられる。
そしてそれが長期にわたる場合、不可逆的な変位となっ
てレンズドファイバ17とレーザダイオード1の光結合
劣化を引き起こす。
【0049】従来例のレンズドファイバ光結合方式のレ
ーザダイオードモジュールは下側のパッケージ基板4a
から電子冷却素子基板(3a,3b:基板3aと基板3
bの線膨張率は同じ)、ベース2と順に上側に向かうに
つれ線膨張率が小さくなっていくため、バイメタルの機
能性を持ち、温度によるバイメタル的変位が助長され、
温度による反り等の変位がより大きくなるものと考えら
れる。
【0050】また、モニタ素子23のモニタ電流の不安
定性は、温度に対し周期的に起こることが本発明者によ
り確認されている。図8にその一例を示す。ここで、グ
ラフ横軸には、パッケージ4下面の温度であるケース温
度が示されている。レーザダイオードモジュールの環境
温度はケース温度(パッケージ4の温度)によって定義
されることが多く、そのため、本願の明細書、図面では
環境温度をケース温度によって表示している。
【0051】本発明者は、温度不安定に起因するモニタ
電流の周期現象の原因を調べるべく、光学ベンチにレー
ザダイオードモジュールの光結合系を再現し、光ファイ
バとレーザダイオード1の位置関係を変化させることに
伴うモニタ電流の変動を評価した。その結果、互いに対
向する光ファイバ先端とレーザダイオード1の出射端面
間の距離に依存して周期的にモニタ電流が変化するこ
と、および、その周期がおよそレーザダイオード1が出
射するレーザ光の波長に一致することが確認された。
【0052】この事実をレーザダイオードモジュールの
環境温度変動に対するモニタ電流の変動の傾向とあわせ
て考えると、モジュール内でのレーザダイオード1とレ
ンズドファイバ17の間の距離が環境温度の変動(変
化)に伴い、主に光軸方向に変位しているものと考える
ことができる。
【0053】以上の検討結果を要約すると、レーザダイ
オードモジュールの光学系を保持しているパッケージ基
板4aと基板3a3bを含む電子冷却素子3とベース2
とから成る光学系固定構造の温度によるバイメタル的変
位によってベース2が反り変形し、レーザダイオード1
とレンズドファイバ17の光結合劣化が起こり、また、
温度による光学系固定構造の光軸方向の変位に起因する
レーザダイオード1とレンズドファイバ17との光接合
端面間の周期的距離変化よって、レンズドファイバ17
からレーザダイオード1への近端反射量が変化し、これ
によりモニタ電流が不安定化し、このモニタ電流によっ
て制御されるレーザダイオード1の出力変動が生じるも
のと考えられる。
【0054】したがって、レーザダイオードモジュール
の出力特性を改善するためには環境温度変化に対して、
光学系固定構造がバイメタル的変位や、光軸方向の変位
を起さないように(抑制するように)、光学系固定構造
を構成するパッケージ基板4aと電子冷却素子基板3
a,3bとベース2の線膨張率の関係を設定することが
必要となる。
【0055】この検討結果を踏まえて、本発明者は、レ
ンズドファイバ光結合方式の本実施形態例の試作品a,
b,cと従来品を作成しその特性を評価した。これら試
作品と従来品の光学系固定構造の各構成部材の材料(材
質)を表2に示す。なお、表2中の数値は線膨張率を表
している。また、従来品と試作品a,bのマウント部分
16の材料はCu−W20(線膨張率は8.3×10
−6/℃)であり、試作品cのマウント部分16の材料
はCu−W10(線膨張率は6.5×10−6/℃)で
あり、従来品と試作品a,bにおいてはレーザダイオー
ド1のマウント部分16はベース2とは別体の部材とし
て構成されているが、試作品cはマウント部分16をベ
ース2と一体構造(一体成形部品)としている。
【0056】
【表2】
【0057】図9は試作品aの高温放置の試験結果を示
し、図10は試作品bの高温放置の試験結果を示し、図
11は試作品cの高温放置の試験結果を示す。高温放置
の試験条件は前述した図6の場合と同じである。これら
何れの試作品についても高温放置試験の結果は良好であ
った。なお、従来品の高温放置の試験結果は図6に示す
ものとほぼ同様の結果となる。これらの試験結果を比較
すれば明らかなように、試作品a,b,cについてはほ
ぼ同様の結果となり、従来品に対して大幅な特性改善が
認められた。試験の合否判定の基準である光出力変動1
0%以内という条件に照らしてみても、これら試作品
a,b,cは試験において十分に安定した特性を保ち、
合格していることが確認できた。
【0058】従来品に対する試作品の特性改善効果は光
学系固定構造の各構成部材の材料(材質)変更により得
られたものであるが、その材料変更による特性改善の理
由として次の2つが考えられる。その1つの理由は、ベ
ース2とパッケージ基板4aを同じ線膨張率の部材とし
たことにより、バイメタル的な歪みを相殺することで、
つまり、光学系固定構造の下側のパッケージ基板4aと
上側のベース2とが同じ線膨張率であるため、光学系固
定構造全体のバイメタル的な変位(ベース2等の反り変
位)が抑制されることで、レーザダイオード1とレンズ
ドファイバ17の光結合部における軸ずれが防止され、
このことにより温度に対する光結合劣化が防止されたと
考えられる。
【0059】2つ目の理由は、上記の理由に加え、電子
冷却素子基板3a,3bと他の2つの部材間の線膨張率
差を小さくして、さらに光学系固定構造の反り変形等の
歪を抑制して光結合部における温度に対する軸ずれをよ
り一層小さくできたことによるものと考えられる。
【0060】本発明者は、同時に、従来品と試作品a,
b,cについて、環境温度変化に対する、モニタ電流の
変化についての試験を行っており、その結果を図12に
示す。この結果を評価するに際しては、モニタ電流の変
動量自体の大きさの評価に加え、温度に対するモニタ電
流変動の周期についても評価する必要がある。
【0061】試作品aは従来品に対しモニタ電流の変動
量が小さく若干改善されているが、レーザダイオードモ
ジュールを使用する環境温度範囲である、ケース温度が
25℃〜70℃の範囲において、半周期以上の変動が見
られる。試作品bは試作品aよりも同一温度範囲内での
変動周期が長くなっており、特性改善効果が確認されて
いる。試作品cは試作品bよりも同一温度範囲内での変
動周期が長くなっており、最も顕著な特性改善効果が確
認される。同一温度範囲内での変動周期が長くなるとい
うことは、レーザダイオード1に対してレンズドファイ
バ17の光軸方向の距離変化が小さくなったことを示し
ており、温度負荷による光学系の歪みが抑制されたこと
を示している。
【0062】使用する温度範囲内でのモニタ電流変動の
周期が半周期よりも短くなった場合(試作品a,bの結
果より、パッケージ基板4aと電子冷却素子3a,3b
との線膨張率差がおおよそ1×10−6/℃程度の場
合)、その変化曲線上において最大、最小の値が出なく
なるため、モニタ電流の使用温度範囲内での最大変動量
は減少し(レンズドファイバ17からレーザダイオード
1への近端反射の影響が許容範囲内に収まり)、光学特
性を改善することができる。試作品b,cは、この光学
特性改善の条件を満たし、モニタ電流の環境温度に対す
る安定性が改善される構造(構成)であることが確認さ
れた。
【0063】上記の検討結果を踏まえ、レンズドファイ
バ光結合方式のレーザダイオードモジュールの光学系固
定構造を構成するパッケージ基板4aと電子冷却素子基
板3a,3bとベース2の材料は次の関係を持たせた構
成とすることが望ましい。
【0064】先ず、基本構成として、光学系固定構造の
バイメタル的構造を避けるために、電子冷却素子3を用
いる場合には、その基板3a,3bとパッケージ基板4
aとの差を1×10−6/℃以下にする。電子冷却素子
3を用いない場合は、ベース2とパッケージ基板4aは
同一材料(同一材質)の部材とするか又は略同一の線膨
張率をもった部材で構成する。ベース2とパッケージ基
板4aを異なる線膨張率の部材で構成する場合は、両者
の線膨張率差は1×10−6/℃以内に設定する。この
線膨張率差は小さければ小さいほどよい。
【0065】さらに好ましくは、温度変化によるレーザ
ダイオード1に対するレンズドファイバ17の相対的な
変位をさらに小さくする観点から、前記基本構成の条件
を維持した上で、ベース2およびパッケージ基板4a
と、電子冷却素子の基板(3a,3b)の線膨張率差を
1.4×10−6/℃以内(より好ましくは1×10
/℃以内)に抑える。この線膨張率差は小さいほどよ
い。ベース2とパッケージ基板4aと電子冷却素子基板
(3a,3b)の1つ以上を異なる部材で構成した場合
においても、上記基本構成の条件を維持した上で、パッ
ケージ基板(パッケージ基板部)4aの線膨張率と電子
冷却素子基板(3a,3b)の線膨張率とベース2の線
膨張率の3者間のそれぞれ相互の線膨張率差が1.4×
10−6/℃以内となるように設定する。好ましくはベ
ース2の線膨張率を基板3a,3bの線膨張率とパッケ
ージ基板4aの線膨張率との間の線膨張率の値に設定す
る。
【0066】さらに好ましくは、レーザダイオード1の
マウント部分16をベース2と同一もしくは略同一の線
膨張率をもつ部材によって構成する。この構成により、
ベース2とマウント部分16のバイメタル効果による反
りをさらに抑制できる。
【0067】ところで、ベース2をパッケージ基板4a
と同一部材もしくは略同一の線膨張率をもった部材にす
ると、放熱性が高い(熱伝導度が高い)ため、溶接性が
低下し、金属製フェルール20aをベース2側にYAG
溶接固定することが困難となる。そのため、金属製フェ
ルール20aをYAG溶接によりベース2に固定するた
めには新たな工夫が必要となる。
【0068】例えば、前記試作品b,cの場合のよう
に、パッケージ基板4aとベース2を共にCu−W10
で形成した場合、熱伝導率が従来品のベース2の材料で
あるKovarの10倍程度と非常に良好なため、レー
ザダイオード1からの発熱熱量を効率的にパッケージ4
外に逃がすことができるという効果が得られる。
【0069】しかしその反面、Cu−W10は熱伝導性
が良すぎるため、溶接のための必要熱量を蓄熱すること
が困難となり、その結果としてYAG溶接には適さず、
ファイバ固定部材18をベース2にYAG溶接固定する
には問題が生じる。この問題を解消すべく、本実施形態
例では、ベース2の上面のレンズドファイバ17の固定
位置、つまりファイバ固定部材18の局部固定位置に溶
接性に優れた材料、本例ではKovarの部材を溶接媒
介部材として、ろう付け等により固定して置き、この溶
接媒介部材に同じく溶接性に優れた材料のKovar等
で形成したファイバ固定部材18をYAG溶接固定する
ようにして上記問題を解決している。
【0070】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることなく様々な実施の形態を採り得る。レンズを用い
た光結合方式のレーザダイオードモジュールもレンズド
ファイバ光結合方式のレーザダイオードモジュールも共
に、環境温度の変化に起因する光結合の不安定化および
光出力特性の不安定化を解消する点では共通している。
この光結合の不安定化は温度による光学系固定構造のバ
イメタル的変位に起因し、光出力特性の不安定化はモニ
タ素子23によるレーザダイオード1の制御駆動方式を
採用するレーザダイオードモジュールの光学系固定構造
の光軸方向の変位に起因する(この光出力の不安定化は
特にレンズドファイバ光結合方式のレーザダイオードモ
ジュールにおいて問題となる)。前記光学系固定構造は
レンズを用いた光結合方式とレンズドファイバ光結合方
式のレーザダイオードモジュールに共通の構成態様で使
用される。
【0071】したがって、上記実施形態例のレンズドフ
ァイバ光結合方式で検討したバイメタル的変位の抑制事
項はレンズ光結合方式(複合光結合方式を含む)のレー
ザダイオードモジュールにおけるバイメタル的変位の抑
制手段として適用可能である。また、レンズ光結合方式
(複合光結合方式を含む)のレーザダイオードモジュー
ルの実施形態例の光学系固定構造およびレーザダイオー
ド1のベース2に対するマウント構造は同じバイメタル
変位を防止するレンズドファイバ光結合方式のレーザダ
イオードモジュールの構成として適用可能である。
【0072】例えば、図1,図2に示したレンズ光結合
方式のレーザダイオードモジュールでは、マウント部分
16はベース2と一体成形品の例で示されているが、マ
ウント部分16とベース2は別部材として形成してもよ
く、その場合は、両者の部材の線膨張率は同一もしくは
略同一とすることが望まれる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
温環境下においても、レーザダイオードと光ファイバの
光結合効率の低下を許容範囲内に抑えることができると
いう優れた効果がある。
【0074】特に、マウント基台を、電子冷却素子を介
してパッケージのパッケージ基板(パッケージの基板
部)に結合(固定)する本発明のレーザダイオードモジ
ュールにおいては、パッケージ基板(パッケージの基板
部)と、マウント基台と、電子冷却素子の基板との各部
材の線膨張率を選定し、パッケージ基板とマウント基台
の線膨張率差を小さく(望ましくは両者の線膨張率を同
一、もしくは略同一とする)基本条件を満たすことで、
高温環境における光学系のバイメタル的な反りを防止
し、この反りに起因して長期にわたり恒久的に引き起こ
される軸ずれ(レーザダイオードと光ファイバ(レンズ
ドファイバを含む)との光結合の軸ずれ)による光結合
効率の低下を抑え、高い信頼度をもつレーザダイオード
モジュールを得ることができる。
【0075】さらに、理想的にはパッケージ基板(パッ
ケージの基板部)と、マウント基台と、電子冷却素子の
基板との各部材の線膨張率を一致させればよいが、仕様
や、製造の都合上、各部材の線膨張率一致させることが
できない場合においても、前記基本条件を満たした上
で、電子冷却素子の基板の線膨張率をパッケージ基板お
よびマウント基台の線膨張率と調整し、電子冷却素子の
基板と、パッケージ基板およびマウント基台との線膨張
率差を小さく設定することにより、好ましくは、マウン
ト基台の線膨張率を、パッケージ基板の線膨張率と電子
冷却素子の基板の線膨張率との間の線膨張率の値に設定
することにより、環境温度変動による各部材の線膨張率
差に起因するレーザダイオードと光ファイバの高温放置
による軸ずれ劣化を防止し、長期的に信頼性の高いモジ
ュールを提供する。
【0076】さらに、電子冷却素子基板とパッケージ基
板との線膨張率差を小さくしてレーザダイオードに対す
る光ファイバ(レンズドファイバ)の相対的な変位を抑
え、この距離変化に起因して生じるレンズドファイバか
らレーザダイオードへの近端放射の変動量を抑制してモ
ニタ電流の変化量を低減することができる。したがっ
て、特に、このモニタ電流に基づいてレーザダイオード
の出力制御を行うレンズドファイバ光結合方式のレーザ
ダイオードモジュールにあっては、広い温度範囲にわた
って、より高安定なレーザダイオードモジュールの光出
力を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ光結合方式のレーザダイオードモジュー
ルの断面説明図である。
【図2】複合光結合方式のレーザダイオードモジュール
を示す図であり、(a)はレーザダイオードモジュール
の平面説明図であり、(b)はレーザダイオードモジュ
ールの要部側面説明図である。
【図3】レンズドファイバ光結合方式のレーザダイオー
ドモジュールの断面説明図である。
【図4】レンズドファイバ光結合方式の他のレーザダイ
オードモジュールの断面説明図である。
【図5】レンズドファイバの光接続先端部の形状説明図
であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図であ
る。
【図6】レンズドファイバ光結合方式の従来のレーザダ
イオードモジュールの高温放置試験結果を示すグラフで
ある。
【図7】本発明にかかるレンズ光結合方式のレーザダイ
オードモジュールの一実施形態例における、パッケージ
基板部の温度と光出力の関係を従来品との比較状態で示
す図である。
【図8】従来のレンズドファイバ光結合方式レーザダイ
オードモジュールの環境温度(ケース温度)に対するモ
ニタ電流変動の関係を示すグラフである。
【図9】レンズドファイバ光結合方式の試作品aの高温
放置試験結果のグラフである。
【図10】レンズドファイバ光結合方式の試作品bの高
温放置試験結果のグラフである。
【図11】レンズドファイバ光結合方式の試作品cの高
温放置試験結果のグラフである。
【図12】レンズドファイバ光結合方式の試作品a,
b,cの環境温度(ケース温度)に対するモニタ電流変
動の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レーザダイオード 2 ベース 3 電子冷却素子 3a,3b 電子冷却素子基板 4 パッケージ 4a パッケージ基板 5 光ファイバ 16 マウント部分 17 レンズドファイバ 20a 金属製フェルール 23 モニタ素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 健男 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 2H037 BA03 CA08 CA37 DA04 DA17 DA35 DA38 5E322 AA11 AB07 AB09 AB10 DC01 5F073 AB27 AB28 BA01 EA15 EA28 EA29 FA02 FA06 FA15 FA22 FA25

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザダイオードがマウントされたマウ
    ント基台がパッケージ内に収容され、該マウント基台が
    直接、あるいは電子冷却素子を介してパッケージの基板
    部に接合され、レーザダイオードから出力された光を光
    ファイバに光結合するレーザダイオードモジュールにお
    いて、パッケージの基板部と、該基板部に接合するマウ
    ント基台もしくは電子冷却素子の基板との線膨張率差が
    1.0×10-6/℃以下に設定されていることを特徴と
    するレーザダイオードモジュール。
  2. 【請求項2】 レーザダイオードがマウントされたマウ
    ント基台がパッケージ内に収容され、該マウント基台が
    電子冷却素子を介してパッケージの基板部に接合され、
    レーザダイオードから出力された光を光ファイバに光結
    合するレーザダイオードモジュールにおいて、電子冷却
    素子は前記マウント基台およびパッケージの基板部にそ
    れぞれ接合する基板を持ち、パッケージの基板部の線膨
    張率と、電子冷却素子の基板の線膨張率と、マウント基
    台の線膨張率の3者間の相互の線膨張率差がそれぞれ
    1.4×10−6/℃以内に設定されているレーザダイ
    オードモジュール。
  3. 【請求項3】 マウント基台の線膨張率が電子冷却素子
    の基板の線膨張率とパッケージの基板部の線膨張率との
    間の線膨張率の値に設定されている請求項1又は請求項
    2記載のレーザダイオードモジュール。
  4. 【請求項4】 パッケージの基板部とマウント基台は同
    一の材料により形成されて、同一の線膨張率を有してい
    る請求項1又は請求項2記載のレーザダイオードモジュ
    ール。
  5. 【請求項5】 レーザダイオードと光ファイバとの光結
    合は集光レンズおよびコリメートレンズを介して行われ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つ
    に記載のレーザダイオードモジュール。
  6. 【請求項6】 光ファイバはその先端部に加工形成され
    たレンズ部を持つレンズドファイバであり、レーザダイ
    オードと光ファイバとの光結合は光ファイバ先端の前記
    レンズ部を介して行われることを特徴とする請求項1乃
    至請求項4の何れか1つに記載のレーザダイオードモジ
    ュール。
  7. 【請求項7】 マウント基台上面のレンズドファイバ固
    定部位には溶接接合性を有する溶接媒介部材が固定さ
    れ、この溶接媒介部材に溶接接合性を有するファイバ固
    定部材がYAG溶接され、レンズドファイバはこのファ
    イバ固定部材に固定されてマウント基台にマウントされ
    ている請求項6記載のレーザダイオードモジュール。
  8. 【請求項8】 マウント基台には少なくともレーザダイ
    オードからの出射光をコリメートするコリメートレンズ
    がマウントされ、このコリメートレンズからの出射光を
    反射する反射鏡と、この反射鏡からの反射光が結合レン
    ズによって光ファイバに光結合する請求項1乃至請求項
    4の何れか1つに記載のレーザダイオードモジュール。
  9. 【請求項9】 レーザダイオードはマウント基台上に台
    状のマウント部分を介してマウントされており、このマ
    ウント部分はマウント基台と同一材料の部材によって構
    成されている請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載
    のレーザダイオードモジュール。
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