JP3925690B2 - 半導体レーザモジュール - Google Patents
半導体レーザモジュール Download PDFInfo
- Publication number
- JP3925690B2 JP3925690B2 JP2001155863A JP2001155863A JP3925690B2 JP 3925690 B2 JP3925690 B2 JP 3925690B2 JP 2001155863 A JP2001155863 A JP 2001155863A JP 2001155863 A JP2001155863 A JP 2001155863A JP 3925690 B2 JP3925690 B2 JP 3925690B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- laser diode
- laser
- base
- mounting member
- fixing member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Optical Couplings Of Light Guides (AREA)
- Semiconductor Lasers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野に用いられる半導体レーザモジュールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年、半導体レーザ(レーザダイオード)は、光通信において信号用光源や光ファイバ増幅器の励起用光源として大量に用いられるようになってきた。半導体レーザが光通信において信号用光源や励起用光源として用いられる場合には、半導体レーザからのレーザ光を光ファイバに光学的に結合させたデバイスである半導体レーザモジュールとして使用される場合が多い。
【0003】
図15の(a)には、従来の半導体レーザモジュールの構成例が示されている。この図に示す半導体レーザモジュールは、レーザ光を出射するレーザダイオード(半導体レーザ)1を有し、該レーザダイオード1のレーザ光出射端面31に対向させて、ファイバレンズのレンズ部14を有する光ファイバ4が設けられ、光ファイバ4は金属製のスリーブ3に収容されている。光ファイバ4は、前記レーザダイオード1から出射される光を、レンズ部14を介して受光して伝送する。レンズ部14は例えば楔型を呈したファイバレンズである。
【0004】
前記スリーブ3は固定部材6,7に支持されてベース2上に搭載され、固定されている。固定部材6,7は互いに光ファイバ4の長手方向に間隔を介した位置で光ファイバ4を支持する態様と成している。前記レーザダイオード1はヒートシンク22を介してベース2上のLDボンディング部21上に搭載され、固定されている。また、ベース2上にはモニタフォトダイオード固定部品39を介してモニタフォトダイオード9が搭載されており、レーザダイオード1の出力をモニタする構成と成している。ベース2はサーモモジュール25に搭載されている。
【0005】
このサーモモジュール25、前記ベース2、前記レーザダイオード1、前記光ファイバ4、前記固定部材6,7はパッケージ27に収容されており、該パッケージ27の底板26に前記サーモモジュール25が搭載されている。サーモモジュール25は、ベース側板材17と、底板側板材18と、これら板材17,18に狭着されるペルチェ素子19とを有している。
【0006】
前記固定部材6,7と前記ベース2とは、YAG溶接(周知のYAGレーザによる溶接)等により第1のレーザ溶接部10でレーザ溶接されている。同様に、固定部材6,7と前記スリーブ3とは第2のレーザ溶接部11でレーザ溶接されている。第2のレーザ溶接部11は第1のレーザ溶接部10よりも図のY方向(パッケージ底板26に対し垂直な方向であり、前記光ファイバ4の光軸Z方向に対し垂直な方向)の高さが高い位置に形成されている。
【0007】
なお、上記のようにスリーブ3と固定部材6,7とベース2をレーザ溶接により固定するので、ベース2や固定部材6,7を熱伝導率が低く、レーザ溶接性に富む金属製にする必要がある。また、ベース2上には固定部材6,7を介して光ファイバ4を搭載することから、ベース2および固定部材6,7の材質は、光ファイバ4と線膨張係数が近い材質であることが好ましい。そのため、従来の半導体レーザモジュールにおいて、ベース2と固定部材6,7はFe−Ni−Co合金であるコバール(商標)により形成されている。
【0008】
また、例えば前記パッケージ27の底板26はCu−W合金のCuW20(重量比はCuが20%、Wが80%)により形成されており、サーモモジュール25のベース側板材17と底板側板材18は共にAl2O3により形成されている。
【0009】
上記半導体レーザモジュールにおいて、レーザダイオード1と光ファイバ4とは調心されている。レーザダイオード1から出射されたレーザ光を光ファイバ4で受光して光ファイバ4内を伝送し、所望の用途に供される。
【0010】
また、半導体レーザモジュールにおいて、レーザダイオード1を駆動するために電流を流すと、発熱によりレーザダイオード1の温度が上昇する。この温度上昇はレーザダイオード1の発振波長と光出力の変化を引き起こす原因となるため、半導体レーザモジュールの使用時には、レーザダイオード1の近傍に固定されたサーミスタ(図示せず)によりレーザダイオード1の温度を測定する。そして、この測定値に基づいてサーモモジュール25を作動させ、サーモモジュール25に流す電流を制御することによってレーザダイオード1の温度を一定に保つ制御が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の半導体レーザモジュールにおいては、種々の要因により、ベース2が撓むことがあった。例えば、図15に示す例では、ベース2をコバールにより形成し、サーモモジュールのベース側板材17をAl2O3により形成している。そのため、両者の線膨張係数が大きく異なることから、半導体レーザモジュール使用時のサーモモジュール25の作動に伴って、例えば図15の(b)に示すようにベース2が撓む。そのため、レーザダイオード1とレンズ部14との位置が調心位置からずれ、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率が低下してしまうといった問題が生じた。
【0012】
また、例えば半導体レーザモジュールを使用せずに40〜50℃の高温環境下で放置したときにも、上記ベース2とサーモモジュール25のベース側板材17との線膨張係数の違いによって同様にベース2が撓む。そして、レーザダイオード1とレンズ部14との光結合がずれる。そのため、半導体レーザモジュールを使用しようとしたときに、完全に元の状態に戻らずに光結合のずれが残ったままとなってしまうといった問題もあった。
【0013】
特に、従来の半導体レーザモジュールにおいては、スリーブ3と固定部材6,7との固定部である第2のレーザ溶接部11は、固定部材6,7とベース2とのレーザ固定部である第1のレーザ溶接部10よりも図のY方向の高さが約1600μm程度高い位置に形成されている。そのために、ベース2の撓みが生じたときに第1のレーザ溶接部10を支点としてスリーブ3が大きく位置ずれし、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率の低下の割合が大きかった。
【0014】
上記のように、半導体レーザモジュールの使用時および放置時の使用環境温度変化に応じてレーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率が低下すると、光ファイバ4によって受光伝送する光の強度が小さくなる。そのため、半導体レーザモジュールを適用した光通信システム等を適切に動作できなくなってしまい、問題であった。
【0015】
本発明は上記従来の課題を解決するために成されたものである。本発明の目的は、使用環境温度変化によらず、レーザダイオードと、その光ビームを光ファイバに導くレンズ部とを、高精度で光結合することができる信頼性の高い半導体レーザモジュールを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、レーザダイオードと、該レーザダイオードから出射される光をレンズ部を介して受光して伝送する光ファイバと、前記レンズ部をレーザ溶接によって支持する固定部材と、該固定部材と前記レーザダイオードを直接又は間接に搭載するベースと、前記レーザダイオード、前記レンズ部、前記固定部材、前記ベースを収容するパッケージとを有し、該パッケージの底板に前記ベースが直接的に又はサーモモジュールを介して搭載されている半導体レーザモジュールであって、前記ベースは前記固定部材を介してレンズ部を搭載する固定部材搭載部材と、レーザダイオードを搭載するレーザダイオード搭載部材とを備え、少なくとも前記レーザダイオードと前記レンズ部との光結合部分の両側には前記レーザダイオードの搭載領域のベース面よりも上側に壁部を突き出して該壁部を前記レンズ部から少なくとも前記レーザダイオードの側部まで延在した撓み防止手段が形成されており、前記固定部材搭載部材は前記レーザダイオード搭載部材よりも熱伝導率の低い材料で形成してレーザ溶接性を良好にすべく構成され、前記レーザダイオード搭載部材は前記固定部材搭載部材よりも熱伝導率の高い材料で形成して前記レーザダイオードで発生した熱の伝熱冷却を良好にすべく構成されていることをもって課題を解決する手段としている。
【0019】
さらに、第2の発明は、レーザダイオードと、該レーザダイオードから出射される光をレンズ部を介して受光して伝送する光ファイバと、前記レンズ部を支持する固定部材と、該固定部材と前記レーザダイオードを直接又は間接に搭載するベースと、前記レーザダイオード、前記レンズ部、前記固定部材、前記ベースを収容するパッケージとを有し、該パッケージの底板に前記ベースが直接的に又はサーモモジュールを介して搭載されている半導体レーザモジュールであって、前記ベースは前記固定部材を介してレンズ部を搭載する固定部材搭載部材と、レーザダイオードを搭載するレーザダイオード搭載部材とを備え、少なくとも前記レーザダイオードと前記レンズ部との光結合部分の両側には前記レーザダイオードの搭載領域のベース面よりも上側に壁部を突き出して該壁部を前記レンズ部から少なくとも前記レーザダイオードの側部まで延在した撓み防止手段が形成されており、前記ベースはレーザダイオード搭載部材のレーザダイオード搭載領域を避けた該レーザダイオード搭載部材の一端部位置の上側に固定部材搭載部材を配置固定されて、前記レーザダイオード搭載部材の底面と前記固定部材搭載部材の底面との間には固定部材搭載部材の底面が上側となる段差が形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0020】
また、第3の発明は上記第1又は第2の発明の構成に加え、前記ベースを搭載するサーモモジュールを有し、該サーモモジュールはパッケージの底板に搭載されており、前記サーモモジュールは、ベース側板材と、底板側板材と、これら板材に狭着されるペルチェ素子とを有し、ベースのレーザダイオード搭載部材は前記サーモモジュール上に接触させて配置されており、前記レーザダイオード搭載部材は前記ベースの固定部材搭載部材の線膨張係数と前記サーモモジュールのベース側板材の線膨張係数との間の範囲内の線膨張係数を有する材質により形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
さらに、第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれか1つの発明の構成に加え、前記レーザダイオード搭載部材は固定部材搭載部材よりも高い熱伝導率を有している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0022】
さらに、第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれか1つの発明の構成に加え、前記パッケージの底板はベースのレーザダイオード搭載部材と略同一の線膨張係数を有する材質で形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0023】
さらに、第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の構成に加え、前記固定部材搭載部材の固定部材を搭載する固定部材搭載部と固定部材とはレーザ溶接によって固定され、前記固定部材とレンズ部もレーザ溶接によって固定され、前記固定部材搭載部と前記固定部材とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部と、前記固定部材と前記レンズ部側とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部とは、前記パッケージ底板に対し垂直な方向の高さが略同じ高さである構成をもって課題を解決する手段としている。
【0024】
さらに、第7の発明は、上記第6の発明の構成に加え、前記第1のレーザ溶接部と第2のレーザ溶接部のパッケージ底板に対する高さは、レーザダイオードからレンズ部を透過するレーザビームの光軸の高さと同じ高さである構成をもって課題を解決する手段としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。図1には、本発明に係る半導体レーザモジュールの第1実施形態例の要部構成が断面図により示されている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態例の半導体レーザモジュールは、レーザダイオード1と、レンズ部14を有する光ファイバ4と、レンズ部14を収容するレンズ部固定部材としてのスリーブ3と、スリーブ3の支持固定を介して光ファイバ4とその先端のレンズ部14を支持する固定部材6,7(7a,7b)と、該固定部材6,7とレーザダイオード1を直接又は間接に搭載するベース2と、サーモモジュール25をパッケージ27内に収容して形成されている。
【0027】
光ファイバ4のレンズ部14はファイバレンズであり、具体的には例えば図7に示す構成の楔型のアナモルフィック(回転非対称)レンズである。この楔型ファイバレンズからなるレンズ部14の先端側は、図2、図3、図7に示すように、先端の稜線14aがレーザダイオード1の活性層(図示せず)と同一平面に配置されるように、該レーザダイオード1のレーザ光出射端面31に対向している。稜線14aは図では直線状に示されているが、光ファイバ4のコアに光を効率良く入射できるよう、実際には拡大すると曲面状に形成されている。
【0028】
本実施形態例では、ベース2は、レーザダイオード1を搭載するレーザダイオード搭載部材8と、固定部材6,7を搭載する固定部材搭載部材5の2部品から構成されている。
【0029】
レーザダイオード搭載部材8はサーモモジュール25上にサーモモジュール25と接触して配置されている。図1、図2、図4に示すように、レーザダイオード搭載部材8の上部側には該レーザダイオード搭載部材8と一体部材で構成されるLDボンディング部21が設けられてレーザダイオード搭載領域を形成している。前記固定部材搭載部材5はレーザダイオード搭載部材8のレーザダイオード搭載領域を避けた位置に配置されている。
【0030】
図4は、ベース2を分解状態で示す斜視図である。図4にハッチングを付して示す銀ロウ接合部46により、固定部材搭載部材5がレーザダイオード搭載部材8上に固定されている。
【0031】
レーザダイオード搭載部材8は、前記固定部材搭載部材5の線膨張係数と前記サーモモジュール25のベース側板材17の線膨張係数との間の範囲内の線膨張係数を有する材質により形成される。
【0032】
具体的には、本実施形態例において、固定部材搭載部材5はコバールにより形成し、レーザダイオード搭載部材8はCu−W合金のCuW10(重量比はCuが10%、Wが90%)により形成している。CuW10の線膨張係数は6.5×10−6/K、Al2O3の線膨張係数は6.7×10−6/Kである。
【0033】
CuW10は、熱伝導率が180〜200(W/m・K)であり、コバールの熱伝導率である17〜18(W/m・K)の約10倍の熱伝導率を有している。
【0034】
パッケージ27の底板26はベース2のレーザダイオード搭載部材8と同一材質であるCuW10により形成し、それにより、底板26の線膨張係数とレーザダイオード搭載部材8の線膨張係数が同一と成されている。
【0035】
図1〜図3に示すように、固定部材搭載部としての固定部材搭載部材5と光ファイバ4およびスリーブ3の固定部材6,7とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10が形成されている。前記固定部材6,7と前記スリーブ3とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11(11a,11b)が形成されている。第1のレーザ溶接部10と第2のレーザ溶接部11とは前記パッケージ底板26に対し垂直な方向において略同じ高さ(高さの差が±500μm以内、好ましくは±50μm以内)に形成されている。
【0036】
また、固定部材6側の第1、第2のレーザ溶接部10,11の高さは光ファイバ4の中心(ここでは稜線14a)と同じ高さになっている。
【0037】
ここで、固定部材搭載部材5と固定部材6,7をレーザ溶接する際、該固定部材搭載部材5の上面と固定部材6,7の上面とが面一(±100μm以内)となるようにすれば、製品ごとにレーザ溶接部10の高さを容易に均一にすることができるので好ましい。
【0038】
ベース2には、少なくとも前記レーザダイオード1と前記光ファイバ4との光結合部分両側に撓み防止手段が形成されている。この撓み防止手段は、図3、図4に示すように、前記光ファイバ4の側部両側のベース領域に、光ビームの進行方向、ここでは光ファイバ4の長手方向に沿って形成された壁部15を有している。
【0039】
図23は、壁部15を備えた撓み防止手段の基本構成を示す概念図である。壁部15は、図23に示すように、少なくともレーザダイオード1におけるレーザ光の出射端面31とレンズ部14の受光端32を結ぶ軸線部33の側部両側に設けられる。従って、レーザダイオード1と光ファイバ4との間の撓みが防止され、光結合率の低下が防止される。
【0040】
本実施形態例では、壁部15は、図3に示すように、固定部材搭載部材5の長手方向全領域(同図の破線枠B内の領域)に設けられている。
【0041】
また、本実施形態例において、壁部15は固定部材搭載部材5と一体部材により形成されている。図5に示すように、壁部15は固定部材搭載部材5の底部16から少なくとも上側に立設されている。そして、固定部材搭載部材5は前記光結合部分である軸線部33を囲うように、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字形状に形成されている。このような断面略U字のベース構成は、本実施形態例においては撓み防止手段の一部を構成しており、長手方向の撓みに対して非常に強い。
【0042】
また、図4に示すように、壁部15の一端部はアーム部5eを成し、固定部材搭載部材5の底部16の端部よりも突出形成されて、レーザダイオード搭載部材8のLDボンディング部21の配設領域まで伸設されている。本実施形態例では、このようにアーム部5eを形成することにより、銀ロウ接合部46の接触面積を増やしている。このアーム部5eとレーザダイオード搭載部材8の接続構成が、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字状となっており、本実施形態例における撓み防止手段の一部を形成している。
【0043】
さらに、図3、図4に示すように、固定部材搭載部材5において、壁部15と、該壁部15の直交方向に形成された壁部35によって嵌合凹部37が形成されている。固定部材6,7は嵌合凹部37に嵌合収納された状態で、第1のレーザ溶接部10により溶接固定されている。
【0044】
なお、本実施形態例において、固定部材搭載部材5を形成する際に、図4に示すように、例えば固定部材6,7の嵌合凹部37とスリーブ3の挿入部38を刳り貫いた形状に成形することにより、壁部15と固定部材固定用壁部35を一体的に形成した固定部材搭載部材5を得ることができる。
【0045】
図2、図3に示すように、固定部材6,7は互いに光ファイバ4の長手方向に間隔を介した位置で光ファイバ4を支持している。レーザダイオード1に最も近い側に位置する固定部材6は、図6の(a)、(b)に示すように、光ファイバ4を両側部から挟持する挟持部28を備えた一体部品により形成されている。
【0046】
なお、固定部材6の形状は図6の(b)に示すように挟持部28をアーム状に形成すると、レーザ溶接部11bを固定する前にレーザ溶接部11aを支点としてスリーブ3ごと光ファイバ4を回動させた際に(この回動はレーザダイオード1とレンズ部14の調心のために行われる)、レーザ溶接部11aに加わる応力が、挟持部28のアームの変形応力に分散され、応力集中を防止できる。
【0047】
ベース2の固定部材搭載部材5はサーモモジュール25における光ファイバ搭載側端部(図1の右側端部)より光ファイバ長手方向に突出して設けられている。さらに、前記固定部材搭載部材5はレーザダイオード搭載部材8における光ファイバ搭載側端部よりも光ファイバ長手方向に突出して設けられていることである。また、本実施形態例において、前記スリーブ3はサーモモジュール25における光ファイバ搭載側端部から突出した固定部材搭載部材5に固定されている。
【0048】
図2に示すように、レーザダイオード搭載部材8は、レーザダイオード1に近い側に位置する固定部材6の下部側を、固定部材搭載部材5を介して支持する補強部20を有しており、該補強部20の下面はサーモモジュール25に接触していない。本実施形態例において、補強部20は直方体形状に形成されている。
【0049】
なお、本実施形態例において、図8の(a)に示すように、前記レーザダイオード1はAuSn等の半田材40によってヒートシンク22上に固定されている。そして、ヒートシンク22はAuSn等の半田材41によってレーザダイオード搭載部材8上に固定されている。ヒートシンク22はAlN、SiCやダイヤモンド等の高熱伝導性材料により形成されている。
【0050】
また、図8の(b)に示すように、モニタフォトダイオード固定部39は半田材43によりベース2のレーザダイオード搭載部材8上に固定されている。モニタフォトダイオード固定部39は主にアルミナにより形成されている。モニタフォトダイオード固定部39の表面にはAuメッキパターン50が形成され、このメッキパターン上にフォトダイオード9がAuSn、AuSi等の半田材44により固定されている。
【0051】
本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例においても従来例と同様に、半導体レーザモジュールの使用時には、レーザダイオード1から出射する光を光ファイバ4に受光させ、伝送させることが行なわれる。
【0052】
また、このとき、本実施形態例でも従来例と同様にサーモモジュール25によるレーザダイオード1の温度制御が行なわれる。
【0053】
本実施形態例では、ベース2はレーザダイオード搭載部材8と固定部材搭載部材5の、2部品から構成されており、熱膨張特性と熱伝導特性の観点から最適化されている。具体的には、サーモモジュール25のベース側板部材17に接触するベース2のレーザダイオード搭載部材8は、その上側に設けられている固定部材搭載部材5の線膨張係数とサーモモジュール25のベース側板材17の線膨張係数との間の範囲内の線膨張係数を有する材質(言い換えればコバールとAl2O3の間の線膨張係数を有するCuW10)により形成されている。そのために、従来例のようにコバールにより形成したベース2をAl2O3からなるベース側板材17上に直接接触して設ける場合に比べ、使用環境温度変化によって生じるベース2の撓みが緩和される。
【0054】
したがって、本実施形態例によれば、使用環境温度変化に起因したレーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を抑制することができる。
【0055】
固定部材搭載部材5はコバールにより形成されており、コバールは光ファイバ4と線膨張係数がほぼ同一である。そのため、光ファイバ4との線膨張係数の違いによって光ファイバ4に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0056】
レーザダイオード搭載部材8は、熱伝導性が良好で、コバールの熱伝導率の約10倍の熱伝導率を有するCuW10により形成されている。そのために、レーザダイオード1で発生した熱を、ヒートシンク22、レーザダイオード搭載部材8を介して効率的にサーモモジュール25側に伝え、サーモモジュール25によってレーザダイオード1を効率的に冷却することができる。
【0057】
そのため、本実施形態例によれば、レーザダイオード1およびサーモモジュール25の消費電力を小さくでき、消費電力の小さい半導体レーザモジュールとすることができるし、サーモモジュール25の撓み量を小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態例によれば、レーザダイオード搭載部材8とパッケージ27の底板26の線膨張係数を同一としているので、半導体レーザモジュールの使用環境温度変化が生じたときにサーモモジュール25の上下両側に同じ応力が加わり、サーモモジュール25の撓みが相殺される。したがって、本実施形態例によれば、使用環境温度変化に起因したレーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下をより一層効率的に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態例では、固定部材搭載部材5が熱伝導率の低いコバールで形成されているために、固定部材搭載部材5におけるスリーブ3のレーザ溶接性が良好である。
【0060】
さらに、本実施形態例によれば、ベース2の固定部材搭載部材5と光ファイバ収容用のスリーブ3の固定部材6,7とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10と、固定部材6,7とスリーブ3とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11とは、パッケージ底板26に対し垂直な方向の高さが略同じ高さに形成されている。そのために、たとえ多少ベース2の撓みが生じても、この撓みによってスリーブ3が第1のレーザ溶接部10を支点に大きく位置ずれすることを防止できる。
【0061】
したがって、本実施形態例の半導体レーザモジュールは、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率の低下をさらにより一層効率的に抑制することができる。
【0062】
さらに、本実施形態例によれば、ベース2の固定部材搭載部材5に、光ファイバ4の長手方向に沿って壁部15を形成することにより、ベース2の撓みを防止する撓み防止手段を形成しているので、光ファイバ長手方向に沿ったベース2の撓みを抑制できる。
【0063】
なお、本実施形態例の半導体レーザモジュールに適用している光ファイバ4は、先端の稜線14aがX−Z平面に平行な楔型のレンズ部14を有するものである。この種のレンズ部14を有する光ファイバ4とレーザダイオード1との光結合は、特に前記Y方向の位置ずれの影響を受けやすい。そのため、ベース2が光ファイバ4の長手方向に沿って撓むと、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下が顕著に起こりやすい。
【0064】
しかしながら、本実施形態例では、上記のように、撓み防止手段によってベース2の光ファイバ長手方向に沿った撓みを抑制できるので、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率の低下を非常に効率的に抑制することができる。
【0065】
特に、本実施形態例の半導体レーザモジュールにおいて、レーザダイオード1から出射される光は、光ファイバ4の先端側から光ファイバ4に入射するので、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合に際し、レーザダイオード1と光ファイバ4のレーザ光受光端32との位置ずれを抑制することは極めて重要である。したがって、上記軸線部33におけるベース2の撓みを抑制することは極めて重要である。
【0066】
また、同様に、固定部材6によるスリーブ3の固定位置がずれると、例えば固定部材6よりもレーザダイオード1から遠い固定部材7によるスリーブ3の固定位置がずれる場合に比べ、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下が大きい。このことから、固定部材6の配設領域におけるベース2の撓みを抑制することは極めて重要である。
【0067】
そこで、本実施形態例では、壁部15を、レーザダイオード1におけるレーザ光の出射端面31と光ファイバ4におけるレーザ光の受光端32を結ぶ軸線部33の側部両側とした。そして、レーザダイオード1に近い側に位置する固定部材6の側部両側を含む固定部材搭載部材5の光ファイバ長手方向に沿った領域に設けた。それにより、上記軸線部33および固定部材6の配設領域におけるベース2の光ファイバ長手方向の撓みを抑制している。
【0068】
さらに、本実施形態例では、壁部15を固定部材搭載部材5の底部16から上側に立設し、撓み防止手段が上記軸線部33を囲うようにレーザダイオード1の光軸に直交する断面でのベース2の断面形状を略U字状に形成した構成を有している。それゆえ、軸線部33におけるレーザダイオードの光軸に直交する方向(図3のX方向)の撓みも抑制できる。
【0069】
そのため、本実施形態例の半導体レーザモジュールは、半導体レーザモジュールの使用環境温度変化に応じたベース2の撓みを効果的に抑制でき、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を非常に効率的に抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施形態例では、壁部15を固定部材搭載部材5と一体部材により形成している。そのために、壁部15を固定部材搭載部材5と別部品により構成し、これらを接着するときのように壁部15と固定部材搭載部材5との接続による強度低下が生じることが防止されている。そのため、簡単な構成の撓み防止手段により、ベース2の撓みを効果的に抑制することができる。
【0071】
さらに、本実施形態例によれば、レーザダイオード1に近い側で光ファイバ4を支持固定する固定部材6は、光ファイバ4を両側部から挟持する挟持部28を備えた一体部品により形成している。そのために、光ファイバ4を片側ずつ支持する固定部品により固定部材5を形成する場合に比べ、挟持部28の両側を光ファイバ4の下方において連結する連結部49があるので、図3、図6のX方向のベース2の撓みを抑制することができる。したがって、本実施形態例によれば、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下をさらにより一層効率的に抑制することができる。
【0072】
さらに、本実施形態例によれば、ベース2の固定部材搭載部材5をサーモモジュール25における光ファイバ搭載側端部より光ファイバ長手方向に突出して設けている。そのために、サーモモジュール25に接触していない部分(突出部分)はサーモモジュール25の撓みの影響を受けることはない。なお、固定部材搭載部材5の突出長L(図1参照)が長すぎると、該突出長Lの突出部の重みでレーザダイオード搭載部材8に対する接着強度が不足するため、該突出部が外的衝撃等により振動を受けた場合に接着が剥がれてしまう可能性があるので、L≦5mmとすることが好ましい。
【0073】
そして、本実施形態例において、スリーブ3はサーモモジュール25における光ファイバ搭載側端部から突出した固定部材搭載部材5に固定されているために、スリーブ3がサーモモジュール25の撓みの影響を非常に受け難くなる。そのため、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下をさらにより一層効率的に抑制することができる。
【0074】
さらに、本実施形態例によれば、固定部材搭載部材5をレーザダイオード搭載部材8における光ファイバ搭載側端部よりも光ファイバ長手方向に突出して設けている。そのために、この突出部分に搭載されている固定部材6,7やスリーブ3、光ファイバ4がレーザダイオード搭載部材8の撓みの影響を受けることを抑制し得る。このことによって、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下をさらにより一層効率的に抑制することができる。
【0075】
さらに、本実施形態例によれば、レーザダイオード搭載部材8はレーザダイオード1に近い側に位置する固定部材6の下部側に形成された補強部20を有している。そのために、たとえ固定部材搭載部材5に前記Y方向の振動が加えられたとしても、この振動の支点を固定部材6よりもレーザダイオード1から遠い側にすることができ、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態例によれば、補強部20を設けることによりレーザダイオード搭載部材8と固定部材搭載部材5の接触面積を広く取ることができるので、両者を機械的に強固に固定できる。なお、前記補強部20の下面はサーモモジュール25に接触していないために、補強部20がサーモモジュール25の撓みの影響を受けることはない。
【0077】
従来のように、使用環境温度変化によって、例えば図16の(a)に示すようにベース2が撓むと、同図の(b)に示すように、図の鎖線で示す位置に調心されている光ファイバ4が、図の実線で示す位置にずれる。このずれにより、光ファイバ4のレーザ光受光端32とレーザダイオード1の距離がAからBに変化する。そうすると、図9の特性線bに示すように、光ファイバ4のレーザ光受光端32とレーザダイオード1の出射端面31との距離に依存するモニタートラッキングエラーΔImが、半導体レーザモジュールの使用環境温度変化に伴って大きく変化する。ここでモニタートラッキングエラーΔImは以下の通り定義付けされている。
【0078】
ΔIm=(Im(T)−Im(25°))/Im(25°)
なお、Im(T)はT(℃)におけるモニタ電流値、Im(25°)は25℃におけるモニタ電流値である。
【0079】
例えば、従来の半導体レーザモジュールにおいて、半導体レーザモジュールの周囲温度が25℃から85℃まで変化すると、上記特性線bに示すように、モニタートラッキングエラーはsinカーブ1周期分変化し、その変化量も大きい。
【0080】
それに対し、本実施形態例によれば、図9の特性線aに示すように、モニタートラッキングエラーは0からほとんど変化しておらず、周囲温度が75℃になっても、その値は特性線bに示した従来例の変化量の8分の1程度である。つまり、本実施形態例においては、使用環境温度が変化しても、レーザダイオード1の出射端面31と光ファイバ4のレーザ光の受光端32との距離が大きく変化していないと考えられ、ベース2の撓みが効果的に防止されたことが分かる。
【0081】
図10には、本発明に係る半導体レーザモジュールの第2実施形態例の要部構成が、サーモモジュール25およびパッケージ27を省略して斜視図により示されている。また、図11には半導体レーザモジュールの平面図がパッケージ27を省略して示されており、図12には、第2の実施形態例におけるベース2の構成が分解図により示されている。
【0082】
本第2実施形態例は上記第1実施形態例とほぼ同様に構成されており、本第2実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、ベース2を構成する固定部材搭載部材5とレーザダイオード搭載部材8の形状を、図10〜図12に示す構成としたことである。
【0083】
すなわち、本第2実施形態例では、ベース2の撓み防止手段を、固定部材搭載部材5とレーザダイオード搭載部材8の両方により形成している。本第2実施形態例において、レーザダイオード1におけるレーザ光の出射端面31と光ファイバ4におけるレーザ光の受光端32を結ぶ軸線部33の側部両側に設けた壁部15と、レーザダイオード1に近い側に位置する固定部材6の側部両側に設けた壁部15は、レーザダイオード搭載部材8と一体部材により構成している。
【0084】
本第2実施形態例は以上のように構成されており、本第2実施形態例も上記第1実施形態例とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0085】
なお、レンズ部14をファイバレンズで構成したタイプの本発明の半導体レーザモジュールは上記各実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、撓み防止手段を光ファイバ4の支持部の片側に設ける場合、互いに光ファイバ4の長手方向に間隔を介した位置で光ファイバ4を支持する態様の固定部材(上記各実施形態例では固定部材6,7)のうち、少なくともレーザダイオード1に最も近い側に位置する固定部材の側部に撓み防止手段を設けると、光ファイバ4のレーザダイオード1に近い側の支持位置のずれを抑制できる。そのために、ベース2の撓みによるレーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を効率的に抑制できる。このことから、撓み防止手段を少なくともレーザダイオード1に最も近い側に位置する固定部材の側部に設けることが好ましい。
【0086】
また、上記各実施形態例では、レーザダイオード1から最も遠い側に位置する固定部材7は、スリーブ3を挟む両側に1つずつ配置された固定部材7a,7bを有する構成としたが、固定部材7は、図13の(a)、(b)、(c)に示すように、光ファイバ4を両側部から挟持する挟持部61を備えた一体部品により形成してもよい。
【0087】
スリーブ3を挟む2つの固定部材7a,7bを設けた場合、スリーブ3をしっかりと挟着固定できる反面、例えば図14に示すように、光ファイバ4の光軸に対する固定部材7a,7bの傾きが互いに異なってしまったり、固定部材7aとスリーブ3との隙間と、固定部材7bとスリーブ3との隙間とを略等距離にする作業が難しくなる可能性がある。これに対し、上記のように、固定部材7を一体部品により形成すると、光ファイバ4の光軸に対する固定部材7a,7bの傾きは互いに等しくなり、また、上記隙間を等距離に調節しやすい。
【0088】
したがって、固定部材7を一体部品により形成すると、スリーブ3と固定部材7をYAG溶接などにより溶接固定する際の、固定強度のばらつきを抑制することができる。
【0089】
なお、固定部材7とスリーブ3との接触部分は、溶接用のレーザ照射が行われるだけなので、固定部材7とスリーブ3との接触部分は小さい方が好ましく、固定部材7の形状は図13の(a)、(b)に示すように、挟持部61をアーム状に形成することが好ましい。
【0090】
さらに、上記各実施形態例では、ベース2は固定部材搭載部材5とレーザダイオード搭載部材8との2つの部材を結合して構成したが、ベース2は固定部材6,7を搭載する固定部材搭載部と、レーザダイオード1の搭載部が1枚の板に形成された1つの部材により形成してもよい。この場合でも、壁部材を設けたり、上記固定部材搭載部と固定部材6,7とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10と、固定部材6とスリーブ3とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11とを、パッケージ底板26に対し垂直な方向の高さが略同じ高さになるようにすることにより、ベース2が撓んだときに生じるスリーブ3の位置ずれを従来の半導体レーザモジュールに比べて小さくすることができる。そして、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を抑制することができる。
【0091】
さらに、上記各実施形態例では、光ファイバ4は楔型のレンズ部14を有する構成としたが、光ファイバ4は楔型以外のアナモルフィックレンズのレンズ部14を有する構成としてもよいし、例えば、図24(a)、(b)に示すように、全体が円錐状に形成され、先端が球面状に形成された先球レンズ等、アナモルフィックレンズ以外のファイバレンズのレンズ部14を有する構成としてもよい。
【0092】
さらに、上記第1,第2の各実施形態例では、レーザダイオード搭載部材8はレーザダイオード1に最も近い側に位置する固定部材6の下部側に補強部20を形成したものとしたが、補強部20は省略することもできる。ただし、補強部20を設けることにより、固定部材搭載部材5の図のY方向の振動を抑制できるため、補強部20を設けることが好ましい。なお、補強部20の形状は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、例えば図2の斜線Aに示すようなテーパ面を有する構成としてもよい。
【0093】
さらに、上記第1,第2の各実施形態例では、レーザダイオード1に最も近い側に位置する固定部材6は図6に示したような挟持部28を備えた一体部品により形成したが、固定部材6の構成は特に限定されるものでなく適宜設定されるものである。ただし、固定部材6を上記各実施形態例のように構成すると、ベース2のX方向の撓みを抑制することができる。
【0094】
次に、レンズ部14をディスクリート・レンズとしたタイプの、本発明の半導体レーザモジュールの各実施形態例を以下に説明する。
【0095】
本発明に係る半導体レーザモジュールの第3実施形態例の要部構成は、図18の断面図により示されており、本第3実施形態例の半導体レーザモジュールにおけるベース周辺構成が図17に斜視図により示されている。
【0096】
図17、図18に示すように、第3実施形態例の半導体レーザモジュールは、レーザダイオード1と、該レーザダイオード1に光結合するレンズ部としてのディスクリート・レンズ(第1のレンズ)14を有している。ディスクリート・レンズ14とレーザダイオード1は、ベース2上に搭載されており、ベース2は、発光素子搭載部としてのレーザダイオード搭載部材8と、ディスクリート・レンズ14およびその固定部材としてのレンズホルダ24を搭載する固定手段搭載部材5とを有している。
【0097】
ベース2とレーザダイオード1とディスクリート・レンズ14はパッケージ27内に収容されている。ベース2はパッケージ27の底板26上に直接固定されており、レーザダイオード搭載部材8がパッケージ底板26と接触して配置されている。
【0098】
レーザダイオード搭載部材8の上部側には該レーザダイオード搭載部材8と一体部材で構成されるLDボンディング部21が設けられてレーザダイオード搭載領域と成している。前記レーザダイオード1はLDボンディング部21上にヒートシンク22を介して固定されている。また、LDボンディング部21上に設けられた固定部48上にサーミスタ29が固定されている。
【0099】
この第3実施形態例において、レーザダイオード搭載部材8は、レーザダイオード1から発生する熱の放熱性の観点から、熱伝導率が150W/mK以上の高熱伝導率を有するCu−W合金のCuW20(重量比はCuが20%、Wが80%)により形成されている。したがって、第3実施形態例においても、レーザダイオード1から発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0100】
レーザダイオード搭載部材8のLDボンディング部21の後方側には、レーザダイオード1の出力をモニタするため、モニタ用のフォトダイオード9が取り付けられたモニタフォトダイオード固定部39が図17のハッチングで示す位置47に配置されている。また、前記固定手段搭載部材5はレーザダイオード搭載部材8のLDボンディング部21の前方側に配置されている。固定手段搭載部材5は、図19にハッチングを付して示す銀ロウ接合部46によりレーザダイオード搭載部材8上に固定されている。
【0101】
固定手段搭載部材5は基部5aの両側に光軸方向(レーザダイオード1の光軸方向)に延びる壁部5bが立設形成されることにより、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字形状に形成されている。また、固定手段搭載部材5には側壁部5bの後端部から光軸方向後方側にアーム部5eが突出形成されており、銀ロウ接合部46の接触面積を増やすと共に、ベース2の反りを防止している。このアーム部5eとレーザダイオード搭載部材8の接続構成も、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字状となる。
【0102】
このように、ベース2は、少なくともレーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合部分を囲うようにレーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字状に形成されている。このような壁部5bを含む断面略U字のベース構成は、撓みに対して非常に強く、少なくともレーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合部分のベース2の撓みを防止する撓み防止手段を構成している。
【0103】
図17に示すように、前記ディスクリート・レンズ14はレンズホルダ24に固定され、該レンズホルダ24は固定手段としての固定部材(レンズホルダスリーブ)6を介して前記ベース2の固定手段搭載部材5に固定されている。レンズホルダ24および固定部材6は、ディスクリート・レンズ14を形成するガラス材料と線膨張係数が近く、かつ、レーザ溶接性が良好なFe−Ni−Co合金のコバール(商標)により形成されている。
【0104】
ベース2の固定手段搭載部材5と固定部材6とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10と、固定部材6とレンズホルダ14とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11とは、パッケージ27の底板26に対し垂直な方向の高さが略同じ高さに形成されている。
【0105】
また、固定手段搭載部材5上には、ディスクリート・レンズ14を通過した光を通過させると共に、レーザダイオード1側に戻る光を遮断する光アイソレータ30が配置されている。該光アイソレータ30と固定手段搭載部材5とをレーザ溶接してなる第3のレーザ溶接部12は、パッケージ27の底板26に対して垂直な方向の高さが前記第1および第2のレーザ溶接部10,11と略同じ高さに形成されている。
【0106】
なお、本第3実施形態例においては、前記U字形状は、レーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合部分から光アイソレータ30が搭載される側の端部にかけて形成されている。
【0107】
また、固定手段搭載部材5には側壁部5bから突出壁部5c,5dがレーザダイオード1の光軸方向に直交する方向に突出形成されており、これら突出壁部5c,5dの間に固定部材6を挿入する構成となっている。
【0108】
図22は、図17中のB−B’線における固定手段搭載部材5と固定部材6と光アイソレータ30の位置関係を示している。図22に示すように、モジュールがα方向(光軸方向両端が上に変位する方向)に反る場合であっても、突出壁部5dが固定部材6と光アイソレータ30との間に介在しているので、このα方向の固定手段搭載部材5の反りを抑制することができる。
【0109】
また、逆に、モジュールがβ方向(光軸方向両端が下に変位する方向)に反る場合であっても、固定部材6が光軸方向両側において突出壁部5c,5dとレーザ溶接により固定され、光アイソレータ30が壁部5dと固定されていることで、β方向の反りを抑制することができる。
【0110】
とくに、固定部材6と突出壁部5c,5dとは、光軸方向に対して垂直方向に形成された面同士でレーザ溶接されているので、α方向、β方向の反りに対し、引っ張り応力、または圧縮応力が加わるだけで、剪断応力が加わらない。したがって、レーザ溶接点の破断の発生をより効果的に防止することができる。この観点から、図22中の符号10’で示した点において光アイソレータ30と突出壁部5dとをレーザ溶接する構成とすることもできる。
【0111】
また、固定手段搭載部材5の壁部5bの上面45の高さはレーザダイオード1の光軸の高さと略一致している。したがって、前記第1、第2、第3のレーザ溶接部10,11,12の高さはいずれもレーザダイオード1の光軸の高さと略一致している。そのため、ディスクリート・レンズ14と光アイソレータ30の光軸はこの高さを基準に位置決めされることになり、パッケージやベース2の反りによる位置ずれを抑制することができる。
【0112】
固定手段搭載部材5は、固定手段搭載部材5と固定部品とのレーザ溶接性の観点から、熱伝導率が50W/mK以下であることが好ましい。また、固定手段搭載部材5は、上記撓み防止の観点から、ヤング率を15×103kg/mm2以上とすることが好ましい。さらに、固定手段搭載部材5は、光アイソレータを搭載することから、光アイソレータの磁性を損なわないように磁性が小さい(好ましくは磁性のない)部材であることが好ましい。
【0113】
第3実施形態例では、固定手段搭載部材5をSUS430により形成している。SUS430は、熱伝導率が26.4W/mKであり、ヤング率が20.4×103kg/mm2であり、磁性も小さいので、固定手段搭載部材5として非常に適している。
【0114】
図18に示すように、前記パッケージ27の側壁には、貫通孔51が形成され、この貫通孔51にはパッケージ封止用の光透過板52が固定されている。また、貫通孔51には第2のレンズ53を固定したホルダ54が挿入固定され、このホルダ54の一端側(図の右側)に、フェルールホルダ55が固定されている。フェルールホルダ55にはフェルール56が固定されており、フェルール56には光ファイバ(シングルモード光ファイバ)57が挿通固定されている。
【0115】
第3実施形態例は以上のように構成されており、レーザダイオード1から発振されたレーザ光は、ディスクリート・レンズ14に光結合し、ディスクリート・レンズ14を通って光アイソレータ30に入射する。そして、光アイソレータ30の透過光は第2のレンズ53によって光ファイバ57の入射側に集光され、光ファイバ57を通って所望の用途に供される。
【0116】
第3実施形態例によれば、レーザダイオード1とディスクリート・レンズ14を搭載するベース2を、レーザダイオード搭載部材8と固定手段搭載部材5とにより形成している。そして、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での固定手段搭載部材5の断面形状を略U字状に形成して、レーザダイオード搭載部材8上に固定しているので、固定手段搭載部材5によってベース2の撓み防止手段を構成し、この撓み防止手段によってベース2の撓みを抑制できる。
【0117】
また、第3実施形態例によれば、レンズホルダ24を固定する固定部材6とベース2の固定手段搭載部材5とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10と、固定部材6とレンズホルダ24とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11とは略同じ高さに(同一面上に)形成されているので、ベース2の撓みに起因したディスクリート・レンズ14の光軸ずれが防止される。
【0118】
そのため、第3実施形態例は、レーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合効率の低下をより一層確実に抑制することができ、長期信頼性がより一層高い半導体レーザモジュールとすることができる。
【0119】
さらに、第3実施形態例によれば、光アイソレータ30をベース2の固定手段搭載部材5上に配置し、この光アイソレータ30を固定手段搭載部材5にレーザ溶接してなる第3のレーザ溶接部12の高さを上記第1、第2のレーザ溶接部と略同一高さとしているので、ベース2の撓みに応じた光アイソレータ30のずれも抑制できる。
【0120】
さらに、第3実施形態例によれば、固定手段搭載部材5をSUS430により形成しており、SUS430は熱伝導率が小さいのでレーザ溶接性が良好となる。また、SUS430はヤング率が高いので上記撓み防止効果を効率的に発揮することができる。さらに、SUS430は磁性が小さいので光アイソレータ30の磁性を損なうこともなく、製造性と長期信頼性が共に良好な優れた半導体レーザモジュールとすることができる。
【0121】
上記した第3実施形態例の半導体レーザモジュールには前記第1,第2の各実施形態例で使用されているサーモモジュール25は使用されておらず、ベース2は直接パッケージ27の底板26に固定されている。一般に、半導体レーザモジュールを海底線の光アンプとして使用する場合には、サーモモジュールは使用されない場合が多い。第3実施形態例の半導体レーザモジュールはサーモモジュールを使用せずに、上記した長期信頼性が得られるので、海底線光システムや、地下設置型光システム用の光アンプに用いられる励起光源として特に好適である。
【0122】
図20は半導体レーザモジュールの第4実施形態例を示す。この実施形態例の半導体レーザモジュールも前記第3実施形態例の場合と同様にレンズ部14をディスクリート・レンズによって構成したものである。この第4実施形態例の半導体レーザモジュールはベース2をパッケージ27の底板26にサーモモジュール25を介して固定したことが前記実施形態例3と異なっており、それ以外の構成は第3実施形態例と同様である。
【0123】
この第4実施形態例の半導体レーザモジュールも上記第3実施形態例と同様な効果を奏するが、サーモモジュール25を設けたことによって、レーザダイオード1の温度制御の安定性をさらに高めることが可能である。
【0124】
上記第3,第4の実施形態例では、固定手段搭載部材5は、レーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合部分から光アイソレータ30側の端部にかけて、レーザダイオード1の光軸に直交する断面での断面形状が略U字状に形成されていたが、少なくともレーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合部分において、固定手段搭載部材5の上記断面形状を略U字状にすればよい。
【0125】
さらに、上記第3,第4の実施形態例では、ベース2はレンズ搭載部材5とレーザダイオード搭載部材8とを有する構成としたが、ベース2はディスクリート・レンズ14を搭載するレンズ搭載部を有する1つの部材により形成してもよい。
【0126】
この場合でも、上記レンズ搭載部と固定部材6とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部10と、固定部材6とレンズホルダ24とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部11とを、パッケージ27の底板26に対して垂直な方向の高さが略同じ高さになるようにすることが望ましい。そうすることにより、ベース2が撓んだときに生じるディスクリート・レンズ14の位置ずれを従来の半導体レーザモジュールに比べて小さくすることができ、レーザダイオード1とディスクリート・レンズ14との光結合効率低下を抑制することができる。
【0127】
さらに、上記第3,第4の実施形態例は、固定手段搭載部材5に光アイソレータ30を固定して形成したが、光アイソレータ30は必ずしも固定手段搭載部材5に固定するとは限らないし、光アイソレータ30を省略することもできる。
【0128】
さらに、上記第3,第4の実施形態例では、ディスクリート・レンズ14をコリメートレンズとして用いたが、集光レンズとして用い、第2のレンズ53を用いずに光ファイバ57に光を結合することもできる。
【0129】
さらに、上記第3,第4の実施形態例では、ベース2の固定部材搭載部材5はレーザダイオード搭載部材8における光ファイバ搭載側端部よりも光ファイバ4の長手方向に突出して設けられていたが、ベース2の固定部材搭載部材5を上記のようにレーザダイオード搭載部材8より突出して設けなくてもよい。ただし、ベース2の固定部材搭載部材5を上記のようにレーザダイオード搭載部材8よりも突出して設けると、この突出領域においては、レーザダイオード搭載部材8の撓みの影響を受けないようにでき、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合効率低下を抑制できるため好ましい。
【0130】
さらに、上記第1,第2の実施形態例では、ベース2はサーモモジュール25における光ファイバ搭載側端部よりも光ファイバ長手方向に突出して設けられていたが、ベース2は必ずしも上記のようにサーモモジュール25より突出して設けなくてもよい。また、上記第4実施形態例では、図20に示されるように、ベース2の全体がサーモモジュール25の上に搭載される構成としたが、第1,第2の実施形態例の場合と同様に、ベース2をサーモモジュール25から突出すように構成してもよい。
【0131】
ただし、ベース2を上記のようにサーモモジュール25より突出して設けると、ベース2のサーモモジュール25より突出した領域においてはベース2がサーモモジュール25の撓みの影響を直接には受けないようにできる。そのために、例えば第1,第2の実施形態例のように、上記突出領域にスリーブ3を設けて固定部品により固定することにより、サーモモジュール25の撓みによるスリーブ3の位置ずれを抑制し、レーザダイオード1と光ファイバ4との光結合率低下を抑制できる。
【0132】
さらに、上記各実施形態例において、レーザダイオード搭載部材8とパッケージ27の底板26を好ましくは同一材質として線膨張係数を同一にするが、レーザダイオード搭載部材8とパッケージ27の底板26の線膨張係数が略同一であれば異なる材質のものとしてもよい。また、レーザダイオード搭載部材8とパッケージ27の底板26の線膨張係数は略同一であることが望ましいが、互いに異なるものとしてもよい。
【0133】
さらに、撓み防止手段の構成は上記各実施形態例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0134】
さらに、上記第1〜第4の各実施形態例では、撓み防止手段は固定部材搭載部材5の底部16から上側に立設された壁部15、5b,5eを光ビームの進行方向に形成したが、撓み防止手段の構成は特に限定されるものでなく適宜設定される。例えば棒状または角材状の部材をベース2の固定部材搭載部材5に接着固定して形成してもよい。
【0135】
【発明の効果】
本第1から第7の発明の半導体レーザモジュールによれば、ベースに、少なくともレーザダイオードとレンズ部との光結合部分のベースの撓みを防止する撓み防止手段を設けたものであるから、撓み防止手段によって少なくとも前記光結合部分のベースの撓みを抑制できる。このことにより、半導体レーザモジュールの使用環境温度変化に伴うレーザダイオードとレンズ部(ファイバレンズや、ディスクリート・レンズ)との光結合効率の低下を抑制することができる。
【0136】
また、第2の発明によれば、ベースはレーザダイオードを搭載するレーザダイオード搭載部材と、該レーザダイオード搭載部材のレーザダイオード搭載領域を避けた位置に配置されてレンズ部の固定部材を搭載する固定部材搭載部材とを有して構成されているので、レーザダイオード搭載部材と固定部材搭載部材を互いに異なる材質に形成することができ、例えば以下に示す第3の発明の効果を導くことができる。
【0137】
第3の発明によれば、例えばレーザダイオード搭載部材をサーモモジュール上に接触配置し、このレーザダイオード搭載部材の線膨張係数を、前記固定部材搭載部材の線膨張係数と前記サーモモジュールのベース側板材の線膨張係数との間の範囲内の線膨張係数を有する材質により形成したものであるから、従来例のようにベース側板材と線膨張係数が大きく異なるベースをベース側板材上に接触して設ける場合に比べ、使用環境温度変化によって生じるベースの撓みを緩和することができ、使用環境温度変化に起因したレーザダイオードと光ファイバとの光結合効率低下を抑制することができる。
【0138】
また、第4の発明によれば、レーザダイオード搭載部材の熱伝導率を固定部材搭載部材よりも高い熱伝導率としたものであるから、レーザダイオード搭載部材によってレーザダイオードからの熱を効率的に放出することができる。したがって、第4の発明によれば、レーザダイオードおよびサーモモジュールの消費電力を小さくすることが可能となり、サーモモジュールの動作時の撓みを抑制でき、使用環境温度変化に起因したレーザダイオードと光ファイバとの光結合効率低下を抑制することができる。
【0139】
また、第5の発明によれば、ベースのレーザダイオード搭載部材とパッケージの底板の線膨張係数を略同一としているので、半導体レーザモジュールの使用環境温度変化が生じたときにサーモモジュールの上下両側に同じ応力が加わり、サーモモジュールの撓みが相殺され、使用環境温度変化に起因したレーザダイオードと光ファイバとの光結合効率低下を抑制することができる。
【0140】
さらに、第6の発明の半導体レーザモジュールによれば、ベースの固定部材搭載部と固定部材とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部と、固定部材とレンズ部側とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部とは、パッケージ底板に対し垂直な方向の高さが略同じ高さに形成したことを特徴とする。この構成により、たとえ多少ベースの撓みが生じても、この撓みによってレンズ部が大きく位置ずれすることはなく、したがって、レーザダイオードとレンズ部との光結合効率の低下を抑制することができる。
【0141】
特に、第1のレーザ溶接部と第2のレーザ溶接部のパッケージ底板に対する高さを、レーザダイオードからレンズ部を透過するレーザビームの光軸の高さと同じ高さにすることにより、ベースの撓みに起因するレーザダイオードとレンズ部との相対位置ずれの抑制効果は極めて高くなる。このことによって、レーザダイオードとレンズ部との光結合効率を高め、その高結合効率の特性を長期にわたって安定に維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザモジュールの第1実施形態例を断面図により示す要部構成図である。
【図2】上記実施形態例の半導体レーザモジュールの要部構成を、サーモモジュールとパッケージを省略して示す斜視図である。
【図3】上記実施形態例の半導体レーザモジュールの要部構成を、パッケージを省略して示す平面図である。
【図4】上記実施形態例におけるベースの構成を分解図により示す説明図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】上記実施形態例に設けられている固定部材の斜視構成を示す説明図である。
【図7】上記実施形態例に設けられている光ファイバ4のレンズ部14の構成を示す説明図である。
【図8】上記実施形態例におけるレーザダイオードの配設領域とモニタフォトダイオードの配設領域を示す斜視説明図である。
【図9】上記実施形態例における周囲温度変化に伴うトラッキングエラー発生状況を従来例と比較して示すグラフである。
【図10】本発明に係る半導体レーザモジュールの第2実施形態例の要部構成を、サーモモジュールとパッケージを省略して示す斜視図である。
【図11】上記第2実施形態例の半導体レーザモジュールの要部構成を、パッケージを省略して示す平面図である。
【図12】上記第2実施形態例におけるベースの構成を分解図により示す説明図である。
【図13】本発明に係る半導体レーザモジュールの他の実施形態例に適用される固定部材を示す説明図である。
【図14】レーザダイオードから遠い側に設けられる光ファイバの固定部材を2つの部材とした場合の固定部材のずれ状況を模式的に示す説明図である。
【図15】従来の半導体レーザモジュールの断面構成と問題点を示す説明図である。
【図16】半導体レーザモジュールにおけるベースの撓みとそれに伴う光ファイバ先端側の位置ずれを模式的に示す説明図である。
【図17】本発明に係る半導体レーザモジュールの第3実施形態例におけるベース周辺構成を示す斜視図である。
【図18】上記第3実施形態例の半導体レーザモジュール断面構成図である。
【図19】上記第3実施形態例におけるベースの構成を分解図により示す説明図である。
【図20】本発明に係る半導体レーザモジュールの第4実施形態例を断面図により示す説明図である。
【図21】図19のA−A’断面を示す説明図である。
【図22】図17のB−B’断面を示す説明図である。
【図23】レーザダイオードとレンズ部との光結合部分と、撓み防止手段との関係を示す説明図である。
【図24】光ファイバのレンズ部の他の例を示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード
2 ベース
3 スリーブ
4 光ファイバ
5 固定部材搭載部材
6,7 固定部材
8 レーザダイオード搭載部材
10 第1のレーザ溶接部
11 第2のレーザ溶接部
14 レンズ部
15 壁部
17 ベース側板材
18 底板側板材
19 ペルチェ素子
20 補強部
21 LDボンディング板
25 サーモモジュール
33 軸線部(光結合部分)
Claims (7)
- レーザダイオードと、該レーザダイオードから出射される光をレンズ部を介して受光して伝送する光ファイバと、前記レンズ部をレーザ溶接によって支持する固定部材と、該固定部材と前記レーザダイオードを直接又は間接に搭載するベースと、前記レーザダイオード、前記レンズ部、前記固定部材、前記ベースを収容するパッケージとを有し、該パッケージの底板に前記ベースが直接的に又はサーモモジュールを介して搭載されている半導体レーザモジュールであって、前記ベースは前記固定部材を介してレンズ部を搭載する固定部材搭載部材と、レーザダイオードを搭載するレーザダイオード搭載部材とを備え、少なくとも前記レーザダイオードと前記レンズ部との光結合部分の両側には前記レーザダイオードの搭載領域のベース面よりも上側に壁部を突き出して該壁部を前記レンズ部から少なくとも前記レーザダイオードの側部まで延在した撓み防止手段が形成されており、前記固定部材搭載部材は前記レーザダイオード搭載部材よりも熱伝導率の低い材料で形成してレーザ溶接性を良好にすべく構成され、前記レーザダイオード搭載部材は前記固定部材搭載部材よりも熱伝導率の高い材料で形成して前記レーザダイオードで発生した熱の伝熱冷却を良好にすべく構成されていることを特徴とする半導体レーザモジュール。
- レーザダイオードと、該レーザダイオードから出射される光をレンズ部を介して受光して伝送する光ファイバと、前記レンズ部を支持する固定部材と、該固定部材と前記レーザダイオードを直接又は間接に搭載するベースと、前記レーザダイオード、前記レンズ部、前記固定部材、前記ベースを収容するパッケージとを有し、該パッケージの底板に前記ベースが直接的に又はサーモモジュールを介して搭載されている半導体レーザモジュールであって、前記ベースは前記固定部材を介してレンズ部を搭載する固定部材搭載部材と、レーザダイオードを搭載するレーザダイオード搭載部材とを備え、少なくとも前記レーザダイオードと前記レンズ部との光結合部分の両側には前記レーザダイオードの搭載領域のベース面よりも上側に壁部を突き出して該壁部を前記レンズ部から少なくとも前記レーザダイオードの側部まで延在した撓み防止手段が形成されており、前記ベースはレーザダイオード搭載部材のレーザダイオード搭載領域を避けた該レーザダイオード搭載部材の一端部位置の上側に固定部材搭載部材を配置固定されて、前記レーザダイオード搭載部材の底面と前記固定部材搭載部材の底面との間には固定部材搭載部材の底面が上側となる段差が形成されていることを特徴とする半導体レーザモジュール。
- ベースを搭載するサーモモジュールを有し、該サーモモジュールはパッケージの底板に搭載されており、前記サーモモジュールは、ベース側板材と、底板側板材と、これら板材に狭着されるペルチェ素子とを有し、ベースのレーザダイオード搭載部材は前記サーモモジュール上に接触させて配置されており、前記レーザダイオード搭載部材は前記ベースの固定部材搭載部材の線膨張係数と前記サーモモジュールのベース側板材の線膨張係数との間の範囲内の線膨張係数を有する材質により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体レーザモジュール。
- レーザダイオード搭載部材は固定部材搭載部材よりも高い熱伝導率を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の半導体レーザモジュール。
- パッケージの底板はベースのレーザダイオード搭載部材と略同一の線膨張係数を有する材質で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の半導体レーザモジュール。
- 固定部材搭載部材の固定部材を搭載する固定部材搭載部と固定部材とはレーザ溶接によって固定され、前記固定部材とレンズ部もレーザ溶接によって固定され、前記固定部材搭載部と前記固定部材とをレーザ溶接してなる第1のレーザ溶接部と、前記固定部材と前記レンズ部側とをレーザ溶接してなる第2のレーザ溶接部とは、前記パッケージ底板に対し垂直な方向の高さが略同じ高さであることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の半導体レーザモジュール。
- 第1のレーザ溶接部と第2のレーザ溶接部のパッケージ底板に対する高さは、レーザダイオードからレンズ部を透過するレーザビームの光軸の高さと同じ高さであることを特徴とする請求項6記載の半導体レーザモジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001155863A JP3925690B2 (ja) | 2000-05-31 | 2001-05-24 | 半導体レーザモジュール |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000162097 | 2000-05-31 | ||
JP2000-162097 | 2000-05-31 | ||
JP2001067198 | 2001-03-09 | ||
JP2001-67198 | 2001-03-09 | ||
JP2001155863A JP3925690B2 (ja) | 2000-05-31 | 2001-05-24 | 半導体レーザモジュール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002333554A JP2002333554A (ja) | 2002-11-22 |
JP3925690B2 true JP3925690B2 (ja) | 2007-06-06 |
Family
ID=27343573
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001155863A Expired - Lifetime JP3925690B2 (ja) | 2000-05-31 | 2001-05-24 | 半導体レーザモジュール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3925690B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4162011B2 (ja) * | 2006-03-29 | 2008-10-08 | ソニー株式会社 | 偏波保持型光ファイバ用気密封止装置 |
WO2010109701A1 (ja) * | 2009-03-26 | 2010-09-30 | 古河電気工業株式会社 | 半導体レーザモジュールおよび抑制部材 |
JP2009267386A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-11-12 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 半導体レーザモジュールおよび抑制部材 |
JPWO2017010570A1 (ja) | 2015-07-16 | 2018-04-26 | 古河電気工業株式会社 | 半導体レーザモジュール |
JP6506138B2 (ja) * | 2015-08-18 | 2019-04-24 | 株式会社フジクラ | 光モジュール及び光モジュール用レセプタクル |
JP7407602B2 (ja) * | 2020-01-16 | 2024-01-04 | 古河電気工業株式会社 | 発光装置、光源ユニット、光源装置、および光ファイバレーザ |
-
2001
- 2001-05-24 JP JP2001155863A patent/JP3925690B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002333554A (ja) | 2002-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6720582B2 (en) | Semiconductor laser diode module | |
US6712528B2 (en) | Optical bench for an opto-electronic device | |
US6888860B2 (en) | Low cost optical bench having high thermal conductivity | |
JP3909257B2 (ja) | 光結合装置 | |
JP6739154B2 (ja) | 光モジュール | |
US7024077B2 (en) | Method of and structure for fixing optical element | |
US20050196112A1 (en) | Transmitting optical subassembly capable of monitoring the front beam of the semiconductor laser diode | |
EP0917263A1 (en) | Composite module for optical fiber amplifier | |
US20130022067A1 (en) | Laser device | |
US20070077013A1 (en) | Optical module | |
JP3925690B2 (ja) | 半導体レーザモジュール | |
US20020018500A1 (en) | Semiconductor laser unit and semiconductor laser module | |
JP2002267891A (ja) | 半導体レーザモジュールおよびその半導体レーザモジュールの調心方法 | |
JP2000277843A (ja) | 半導体レーザモジュールとその製造方法 | |
JPS62276892A (ja) | 電子部品 | |
JPWO2011122440A1 (ja) | レーザ装置およびその製造方法 | |
JP2001215372A (ja) | レーザダイオードモジュール | |
JPH11202165A (ja) | 光モジュール | |
WO2002039154A1 (en) | Semiconductor laser module, and raman amplifier using the semiconductor laser module | |
EP1271209A1 (en) | Optical bench for an opto-electronic device | |
JP2010073758A (ja) | 半導体レーザモジュール | |
JP2001284700A (ja) | 半導体レーザモジュール | |
JP2003338654A (ja) | 半導体レーザモジュール | |
EP1160600A1 (en) | Semiconductor laser diode module | |
JP2022021419A (ja) | 光源ユニット |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040412 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051028 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061128 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070129 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070220 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070221 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070223 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 3925690 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100309 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140309 Year of fee payment: 7 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |