JP2001210522A - 積層インダクタ - Google Patents

積層インダクタ

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JP2001210522A
JP2001210522A JP2000019446A JP2000019446A JP2001210522A JP 2001210522 A JP2001210522 A JP 2001210522A JP 2000019446 A JP2000019446 A JP 2000019446A JP 2000019446 A JP2000019446 A JP 2000019446A JP 2001210522 A JP2001210522 A JP 2001210522A
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coil
conductor
lead
external electrode
laminated
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JP2000019446A
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Yasuo Suzuki
靖生 鈴木
Yoshinari Noyori
佳成 野寄
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FDK Corp
Original Assignee
FDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動体通信機器の高周波回路基板などに実装
される開磁路型の積層インダクタにおいて、コイルのQ
値の低下を防止し、実装状態の相違によるコイルのL値
の変化を回避する。 【解決手段】 直方体状の電気絶縁体2中にコイル5を
正方形螺旋状に形成し、その積層方向を外部電極方向と
する。コイル5と2個の外部電極3とをそれぞれ引出導
体6、7で接続し、各引出導体6、7として、コイル5
の巻回形状に合わせてロの字形の導体パターンを外部電
極方向に積層して正方形筒状に形成したものを用いる。
これにより、コイル5の積層方向および各引出導体6、
7の軸方向がいずれも外部電極方向に一致し、各引出導
体6、7の形状がコイル5の巻回形状に合致する。ま
た、この積層インダクタ1はシート積層法のみならず印
刷積層法によっても製造可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として移動体通
信機器の高周波回路基板などに実装される開磁路型の積
層インダクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図18は従来の積層インダクタの一例を
示す斜視図、図19は従来の積層インダクタの別の例を
示す斜視図である。
【0003】この種の積層インダクタ1としては、図1
8や図19に示すように、直方体状の電気絶縁体2の両
端にそれぞれ外部電極3を冠着し、電気絶縁体2中にコ
イル5をその積層方向が外部電極方向(2個の外部電極
3を結ぶ方向)に一致するように形成し、さらにコイル
5の両端部と各外部電極3との間にそれぞれ引出導体
6、7を設けて両者を接続したものが普及しつつある
(特開平11−26241号公報参照)。ここで、引出
導体6、7の配置については、図18に示すように、コ
イル5の両端部にそれぞれ連結導体4を介して各引出導
体6、7を接続することにより、各引出導体6、7を電
気絶縁体2の中央に位置決めしたり、図19に示すよう
に、この連結導体4を省いて、コイル5の両端部に直接
それぞれの引出導体6、7を接続することが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これでは次の
ような不都合があった。
【0005】第1に、コイル5のインダクタンス(以
下、L値という。)の変化またはQ値の低下のいずれか
を惹起し、両者を同時に回避することができない。すな
わち、図18に示す積層インダクタ1では、コイル5の
L値は変化しないが、コイル5に発生する磁束を連結導
体4が横切る形となるので、コイル5のQ値が低下して
しまう。一方、図19に示す積層インダクタ1では、コ
イル5のQ値は低下しないものの、引出導体6、7が電
気絶縁体2の中央から偏っているため、基板(図示せ
ず)に実装するときの置き方、つまり実装状態が変わる
とコイル5のL値が変化してしまうのである。
【0006】第2に、積層インダクタ1の製造がシート
積層法に限られてしまう。これは、積層インダクタ1の
主な製造方法としては、シートを積層してコイル5等を
形成するシート積層法と、スクリーン印刷で積層してコ
イル5等を形成する印刷積層法の2種類が考えられる
が、後者(印刷積層法)を採用する場合、引出導体6、
7部分の積層に際してビア孔を形成する必要があるとこ
ろ、図11(a)に示すように、スクリーンメッシュ8
の隙間に対してあまり大きくないビア孔9はうまく形成
することができず、正確なビア孔9を形成しようとする
と、図11(b)に示すように、ある程度の大きさ(お
よそ直径100μm以上)のビア孔9が必要となるため
である。
【0007】本発明は、このような事情に鑑み、コイル
のQ値の低下を防止すると同時に、実装状態の相違によ
るコイルのL値の変化を回避し、しかもシート積層法の
みならず印刷積層法によっても製造することが可能な積
層インダクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、電気
絶縁層と導体パターンとが交互に積層され、前記電気絶
縁層からなる直方体状の電気絶縁体(2)中に前記各導
体パターンの端部が順次接続されることで正方形螺旋状
に巻回されて積層方向に重畳したコイル(5)が形成さ
れ、このコイルの両端部から引き出された2つの引出導
体(6、7)にそれぞれ接続される外部電極(3)が前
記電気絶縁体の表面に設けられ、前記コイルの積層方向
が外部電極方向である積層インダクタ(1)において、
前記各引出導体として、前記コイルの巻回形状に合わせ
てロの字形の導体パターン(21、34)を外部電極方
向に積層して正方形筒状に形成したものを用いて構成さ
れる。ここで、電気絶縁層は磁性体であると非磁性体で
あるとを問わない。
【0009】こうした構成を採用することにより、コイ
ルの積層方向および各引出導体の軸方向がいずれも外部
電極方向に一致するとともに、各引出導体の形状がコイ
ルの巻回形状に合致するように作用する。また、引出導
体用の導体パターンをロの字形としたので、スクリーン
印刷による印刷積層法を採用しても導体パターンを正確
に形成することができる。
【0010】また本発明は、上記各引出導体(6)をそ
れぞれ外部電極方向に沿って2個の導体部(6a、6
b)に分け、一方の導体部(6a)を上記コイル(5)
にその第1の隅角部に対応する部位(F)で接続し、こ
の第1の隅角部に隣接する第2および第3の隅角部に対
応する部位(G1、G2)で前記2個の導体部を互いに
接続して構成される。
【0011】かかる構成により、4通りの実装状態のい
ずれにおいても、基板(P)からコイルまでに流れる電
流の距離が一定となり、積層インダクタ(1)の置き方
の違いに起因するL値の変動がなくなる。
【0012】また本発明は、上記各引出導体(6、7)
の一部に貫通窓(6c、7c)を形成し、この貫通窓に
電気絶縁層を積層して構成される。そのため、各引出導
体の貫通窓を通って磁界を形成することができ、渦電流
損失などによるQ値の劣化を抑制することが可能とな
る。
【0013】また本発明は、上記各引出導体(6、7)
を上記電気絶縁体(2)の側面に引き出して上記外部電
極(3)に接続する補助導体(6e、7e)を設けて構
成される。この場合は、電気絶縁体の両端面に外部電極
を設ける必要がなくなるため、外部電極を突っ切ること
なく磁界を形成することができ、渦電流損失などによる
Q値の劣化を抑制することが可能となる。
【0014】また本発明は、上記電気絶縁層と上記導体
パターンとをスクリーン印刷で積層して構成される。
【0015】さらに本発明は、電気絶縁層と導体パター
ンとが交互に積層され、前記電気絶縁層からなる直方体
状の電気絶縁体(2)中に前記各導体パターンの端部が
順次接続されることで正方形螺旋状に巻回されて積層方
向に重畳したコイル(5)が形成され、このコイルの両
端部から引き出された2つの引出導体(6、7)にそれ
ぞれ接続される外部電極(3)が前記電気絶縁体の表面
に設けられ、前記コイルの積層方向が外部電極方向であ
る積層インダクタ(1)において、前記各引出導体とし
て、前記コイルの対角部でそれぞれ矩形状の導体パター
ン(81、82、83、84)を互いに交差させて外部
電極方向に積層したものを用いて構成される。ここで
「矩形状」は、長方形状、楕円形状などを含む概念であ
る。
【0016】こうした構成を採用することにより、コイ
ルの積層方向が外部電極方向に一致するとともに、各引
出導体がコイルの対角部から外部電極方向に延伸するよ
うに作用する。
【0017】また本発明は、電気絶縁層と導体パターン
とが交互に積層され、前記電気絶縁層からなる直方体状
の電気絶縁体(2)中に前記各導体パターンの端部が順
次接続されることで正方形螺旋状に巻回されて積層方向
に重畳したコイル(5)が形成され、このコイルの両端
部から引き出された2つの引出導体(6、7)にそれぞ
れ接続される外部電極(3)が前記電気絶縁体の表面に
設けられ、前記コイルの積層方向が外部電極方向である
積層インダクタ(1)において、前記各引出導体とし
て、前記コイルの巻回形状に合わせてロの字形に形成し
た第1の導体部(6h)と、前記コイルの対角部でそれ
ぞれ矩形状の導体パターン(81、82、83、84)
を互いに交差させて外部電極方向に積層した2個の第2
の導体部(6i)とからなり、第1の導体部を前記コイ
ル(5)にその第1の隅角部に対応する部位(F)で接
続し、この第1の隅角部に隣接する第2および第3の隅
角部に対応する部位(G1、G2)で第2の導体部を第
1の導体部に接続したものを用いて構成される。
【0018】かかる構成により、4通りの実装状態のい
ずれにおいても、基板(P)からコイルまでに流れる電
流の距離が一定となり、積層インダクタ(1)の置き方
の違いに起因するL値の変動がなくなる。
【0019】また本発明は、上記各引出導体(6、7)
を上記電気絶縁体(2)の側面に引き出して上記外部電
極(3)に接続する補助導体(6g、7g)を設けて構
成される。この場合は、電気絶縁体の両端面に外部電極
を設ける必要がなくなるため、外部電極を突っ切ること
なく磁界を形成することができ、渦電流損失などによる
Q値の劣化を抑制することが可能となる。
【0020】また本発明は、上記電気絶縁層と上記導体
パターンとをスクリーン印刷で積層して構成される。
【0021】さらに本発明は、上記各引出導体(6、
7)の引出位置を上記電気絶縁体(2)の各側面の中央
として構成される。こうすることで、電気絶縁体の各側
面の中央に各引出導体が引き出され、コイル(5)のL
値が基板(P)のパターンによって影響を受けることが
なくなる。
【0022】なお、括弧内の符号は図面において対応す
る要素を表す便宜的なものであり、したがって、本発明
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。このこ
とは「特許請求の範囲」の欄についても同様である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0024】<第1の実施形態>図1は本発明に係る積
層インダクタの第1の実施形態を示す図であり、(a)
はその斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)の
C−C線による断面図、図2は図1に示す積層インダク
タの製造工程図である。
【0025】この積層インダクタ1は、図1に示すよう
に、直方体状の電気絶縁体2を有しており、電気絶縁体
2中には、非磁性体セラミックスからなる電気絶縁層に
複数の導体パターンが交互に積層され、各導体パターン
の端部が順次接続されることで正方形螺旋状に巻回され
て積層方向に重畳したコイル5が中央部に形成されてい
る。また、電気絶縁体2の両端にはそれぞれ正方形皿状
の外部電極3が冠着されており、各外部電極3には、コ
イル5の両端部から引き出された2つの引出導体6、7
がそれぞれ接続されて導通している。ここで、コイル5
の積層方向は外部電極方向(2個の外部電極3を結ぶ方
向で、図1(b)左右方向)に一致している。
【0026】ところで、各引出導体6、7は、コイル5
の巻回形状に合わせてロの字形の導体パターンを外部電
極方向に積層して正方形筒状に形成したものであり、そ
の軸方向はいずれも外部電極方向に一致している。
【0027】したがって、この積層インダクタ1では基
板(図示せず)への実装状態の相違によってコイル5の
L値が変化する事態を回避することができる。すなわ
ち、コイル5の積層方向および各引出導体6、7の軸方
向がともに外部電極方向に一致しているため、積層イン
ダクタ1の基板に対する実装状態が変わっても(90°
ずつ回転しても)、コイル5および各引出導体6、7の
基板に対する位置関係は変わらず、磁界の発生位置は積
層インダクタ1の実装状態の如何に拘わらず1通りに定
まる。その結果、積層インダクタ1の実装状態の相違に
よってコイル5のL値にバラツキが生じることはない。
【0028】その上、各引出導体6、7の形状はコイル
5の巻回形状に合致しているので、コイル5に発生する
磁束の形成をこれら引出導体6、7が阻害するようなこ
とはなく、この磁束を横切る導体は存在しないことか
ら、コイル5のQ値が低下する事態を回避することがで
きる。
【0029】なお、この積層インダクタ1は、以下に述
べるとおり、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて
製造することができる。ここで、非磁性体セラミックス
としては、ガラスを添加して低温焼結化した誘電体セラ
ミックスを使用することができる。この場合、ホウケイ
酸ガラスをアルミナに体積で70:30の比率に混合し
た誘電体材料を使用し、これにビヒクルとしてエチルセ
ルロースとテレピネールと分散剤、可塑剤を混合したも
のを配合し混合して、印刷用のペーストを作製する。一
方、導体パターンとしては、銀、銀パラジウム等の導体
ペーストに上記ビヒクルを混合したものを用いることが
できる。なお、バインダーはエチルセルロース以外でP
VB、メチルセルロースやアクリル樹脂でもよい。ま
た、分散剤や可塑剤は印刷性の向上や生産時の取扱い性
を考慮して添加する必要がある。
【0030】まず、一方の引出導体6を形成すべく、図
2(a)に示すように、導体パターン21をロの字形に
印刷した後、図2(b)に示すように、この導体パター
ン21以外の部分に誘電体パターン22を印刷する。
【0031】この際、誘電体パターン22を導体パター
ン21より先に印刷してもよいが、スクリーン印刷では
パターン印刷の方が適しているので、導体パターン21
を誘電体パターン22より先に印刷するのが好ましい。
ここでは、図11(c)に示すように、スクリーンメッ
シュ8を用いてロの字形の導体パターン21を印刷する
ことになるが、このような形状であれば、スクリーンメ
ッシュ8の隙間に対してあまり大きくない導体パターン
21であっても安定した印刷を施すことができる。
【0032】そして、図2(a)および(b)の印刷を
必要な回数だけ繰り返す。すると、これら導体パターン
21からなる引出導体6が出来上がる。
【0033】次に、コイル5の形成に移行し、図2
(c)に示すように、導体パターン21の一部を隠す形
で誘電体パターン23を印刷し、図2(d)に示すよう
に、この誘電体パターン23上にL字形の導体パターン
24を導体パターン21に繋げて印刷する。その後、図
2(e)に示すように、導体パターン21を隠す形で誘
電体パターン25を印刷し、図2(f)に示すように、
この誘電体パターン25上にコの字形の導体パターン2
6を導体パターン24に繋げて印刷する。
【0034】次いで、図2(g)に示すように、導体パ
ターン24を隠す形で誘電体パターン27を印刷し、図
2(h)に示すように、この誘電体パターン27上にL
字形の導体パターン28を導体パターン26に繋げて印
刷する。その後、図2(i)に示すように、導体パター
ン26を隠す形で誘電体パターン29を印刷し、図2
(j)に示すように、この誘電体パターン29上にコの
字形の導体パターン30を導体パターン28に繋げて印
刷する。そして、図2(g)〜(j)の印刷を必要な回
数だけ繰り返す。
【0035】さらに、図2(k)に示すように、導体パ
ターン28を隠す形で誘電体パターン31を印刷し、図
2(l)に示すように、この誘電体パターン31上にL
字形の導体パターン32を導体パターン30に繋げて印
刷する。すると、導体パターン24、26、28、3
0、32からなるコイル5が出来上がる。
【0036】最後に、他方の引出導体7を形成するた
め、図2(m)に示すように、導体パターン30を隠す
形で誘電体パターン33を印刷する。次いで、図2
(n)に示すように、誘電体パターン33上にロの字形
の導体パターン34を導体パターン32に繋げて印刷し
た後、図2(o)に示すように、この導体パターン34
以外の部分に誘電体パターン35を印刷する。そして、
図2(n)および(o)の印刷を必要な回数だけ繰り返
す。すると、これら導体パターン34からなる引出導体
7が出来上がると同時に、電気絶縁体2が完成する。
【0037】さらに、この電気絶縁体2の両端にそれぞ
れ外部電極3を形成すれば、積層インダクタ1が出来上
がる。
【0038】このように、この積層インダクタ1は印刷
積層法によっても製造できるため、シート積層法に限定
される従来の積層インダクタ1(図18、図19参照)
と比べて、製造方法の選択の余地が広がる。
【0039】<第2の実施形態>図3は本発明に係る積
層インダクタの第2の実施形態を示す図であり、(a)
はその正面図、(b)は(a)のB−B線による断面
図、図4は図3に示す積層インダクタの4通りの実装状
態を示す模式図、図5は図3に示す積層インダクタの製
造工程図である。
【0040】この積層インダクタ1は、以下に述べる相
違点を除き、上述した第1の実施形態における積層イン
ダクタ1と同様な構成を備えている。すなわち、図3に
示すように、引出導体6は外部電極方向に沿って2個の
導体部6a、6bに分かれており、一方の導体部6aは
コイル5にその第1の隅角部に対応する部位Fで接続さ
れている。他方の導体部6bは、その一端がコイル5の
第2および第3の隅角部に対応する部位G1、G2で一
方の導体部6aに接続されているとともに、その他端が
外部電極3に接続されている。そして、これら部位G
1、G2は、図3(b)に示すように、部位Fに隣接す
る形で互いに対角に位置決めされている。引出導体7に
ついても同様である。
【0041】したがって、この積層インダクタ1では基
板への実装状態の相違によってコイル5のL値が変化す
る事態を回避することができる。すなわち、図4に示す
ように、積層インダクタ1の基板Pに対する実装状態は
4通り考えられるが、どの実装状態においても、基板P
からの電流は外部電極3を通じて導体部6bに流れ、部
位G1または部位G2を経て導体部6aに至った後、部
位Fを経由してコイル5に流れ込むため、基板Pからコ
イル5までに流れる電流の距離は、図3(b)に示すよ
うに、基板Pから部位G1または部位G2までの距離L
1と、部位G1または部位G2から部位Fまでの距離L
2とを足し合わせた距離L3(=L1+L2)に等しく
なる。なお、外部電極方向に流れる距離はすべての実装
状態において共通するため、ここでは考慮する必要はな
い。その結果、積層インダクタ1の実装状態の相違によ
ってコイル5のL値にバラツキが生じる恐れはない。
【0042】なお、この積層インダクタ1も、以下に述
べるとおり、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて
製造することができる。ここでは、第1の実施形態にお
ける積層インダクタ1と異なる点を中心に説明し、その
他の点についてはその説明を省略する。
【0043】まず、一方の引出導体6を形成すべく、図
5(a)に示すように、導体パターン41をロの字形に
印刷するとともに、この導体パターン41以外の部分に
誘電体パターン40を印刷し、これを所定回数だけ繰り
返して引出導体6の導体部6bを形成する。次に、図5
(b)に示すように、この導体パターン41をその一部
(一対の対角部)だけ残して隠す形で誘電体パターン4
2を印刷した後、図5(c)に示すように、誘電体パタ
ーン42上にロの字形の導体パターン43を導体パター
ン41の一部に繋げて印刷して、引出導体6の導体部6
aを形成する。さらに、図5(d)に示すように、この
導体パターン43をその一部(もう一対の対角部)だけ
残して隠す形で誘電体パターン44を印刷する。これ
で、2個の導体部6a、6bからなる引出導体6の形成
が終了する。
【0044】次いで、コイル5の形成に移行し、図5
(e)に示すように、誘電体パターン44上にL字形の
導体パターン45を導体パターン43の一部に繋げて印
刷した後、図5(f)に示すように、導体パターン43
の残部を隠す形で誘電体パターン46を印刷する。以下
は、第1の実施形態における積層インダクタ1と同様な
手順となる。
【0045】最後に、先程の引出導体6の形成手順と同
様にして他方の引出導体7を形成すれば、電気絶縁体2
が完成する。
【0046】このように、この積層インダクタ1は印刷
積層法によっても製造できるため、シート積層法に限定
される従来の積層インダクタ1と比べて、製造方法の選
択の余地が広がる。
【0047】<第3の実施形態>図6は本発明に係る積
層インダクタの第3の実施形態を示す図であり、(a)
はその正面図、(b)は(a)のB−B線による断面
図、(c)は(a)のC−C線による断面図、(d)は
(a)のD−D線による断面図、図7は図6に示す積層
インダクタの製造工程図である。
【0048】この積層インダクタ1は、以下に述べる相
違点を除き、上述した第1の実施形態における積層イン
ダクタ1と同様な構成を備えている。すなわち、図6に
示すように、2個の引出導体6、7にはそれぞれ、その
4側面に貫通窓6c、7cが形成されており、各貫通窓
6c、7cには、非磁性体セラミックスからなる電気絶
縁層が積層されている。
【0049】したがって、この積層インダクタ1では、
コイル5に発生する磁束が各引出導体6、7の貫通窓6
c、7cを通って磁界を形成することが可能となり、磁
束が引出導体6、7の導体部分を通るときに生じる渦電
流損失などに起因してコイル5のQ値が劣化する事態を
回避することができる。
【0050】なお、この積層インダクタ1も、以下に述
べるとおり、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて
製造することができる。ここでは、第1の実施形態にお
ける積層インダクタ1と異なる点を中心に説明し、その
他の点についてはその説明を省略する。
【0051】まず、一方の引出導体6を形成すべく、図
7(a)に示すように、2本の棒状の導体パターン51
を互いに平行に印刷するとともに、これら導体パターン
51以外の部分に誘電体パターン56を印刷し、これを
所定回数だけ繰り返す。次に、図7(b)に示すよう
に、互いに平行な2本の棒状の導体パターン52を井桁
状に重ねる形で導体パターン51に繋げて印刷するとと
もに、これら導体パターン52以外の部分に誘電体パタ
ーン57を印刷し、これを所定回数だけ繰り返す。その
後、図7(c)に示すように、導体パターン51の上方
に、互いに平行な2本の棒状の導体パターン53を導体
パターン52に繋げて印刷するとともに、これら導体パ
ターン53以外の部分に誘電体パターン58を印刷し、
これを所定回数だけ繰り返す。次いで、図7(d)に示
すように、導体パターン52の上方に、互いに平行な2
本の棒状の導体パターン54を導体パターン53に繋げ
て印刷するとともに、これら導体パターン54以外の部
分に誘電体パターン59を印刷し、これを所定回数だけ
繰り返す。最後に、図7(e)に示すように、導体パタ
ーン53、54の上方にロの字形の導体パターン55を
導体パターン54に繋げて印刷するとともに、この導体
パターン55以外の部分に誘電体パターン50を印刷
し、これを所定回数だけ繰り返す。これで、貫通窓6c
を備えた引出導体6の形成が終了する。
【0052】次いで、コイル5の形成に移行するが、そ
の手順は、第1の実施形態における積層インダクタ1と
同様である。
【0053】最後に、先程の引出導体6の形成手順と同
様にして他方の引出導体7を形成すれば、電気絶縁体2
が完成する。
【0054】このように、この積層インダクタ1は印刷
積層法によっても製造できるため、シート積層法に限定
される従来の積層インダクタ1と比べて、製造方法の選
択の余地が広がる。
【0055】<第4の実施形態>図8は本発明に係る積
層インダクタの第4の実施形態を示す図であり、(a)
はその斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)の
C−C線による断面図、(d)は(b)のD−D線によ
る断面図、図9は図8に示す積層インダクタの製造工程
図、図10は図8に示す積層インダクタの変形例の断面
図である。
【0056】この積層インダクタ1は、以下に述べる相
違点を除き、上述した第1の実施形態における積層イン
ダクタ1と同様な構成を備えている。すなわち、図8に
示すように、電気絶縁体2の側面両端にはそれぞれ帯状
の外部電極3が冠着されており、電気絶縁体2の両端面
は外部電極3に覆われることなくむき出しになってい
る。また、2個の引出導体6、7の本体6d、7dには
それぞれ補助導体6e、7eが電気絶縁体2の側面に引
き出された形で接続されており、各引出導体6、7は電
気絶縁体2の側面でそれぞれの外部電極3に接続されて
導通している。
【0057】したがって、この積層インダクタ1では、
外部電極3が電気絶縁体2の側面両端にのみ存在し、電
気絶縁体2の両端面には存在しないので、コイル5に発
生する磁束が外部電極3を突っ切ることなく磁界を形成
することが可能となり、磁束が外部電極3を通るときに
生じる渦電流損失などに起因してコイル5のQ値が劣化
する事態を回避することができる。
【0058】なお、この積層インダクタ1も、以下に述
べるとおり、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて
製造することができる。
【0059】まず、図9(a)に示すように、誘電体パ
ターン61を所定回数だけ印刷する。
【0060】次に、一方の引出導体6を形成すべく、図
9(b)に示すように、この誘電体パターン61上にロ
の字形の導体パターン62を誘電体パターン61の外周
辺全長に達する形で印刷するとともに、この導体パター
ン62の内側に誘電体パターン60を印刷し、これを所
定回数だけ繰り返して引出導体6の補助導体6eを形成
する。その後、図9(c)に示すように、導体パターン
62上にロの字形の導体パターン63を印刷した後、こ
の導体パターン63以外の部分に誘電体パターン64を
印刷し、これを所定回数だけ繰り返して引出導体6の本
体6dを形成する。すると、本体6dおよび補助導体6
eを備えた引出導体6が出来上がる。
【0061】次いで、コイル5の形成に移行し、図9
(d)に示すように、導体パターン63の一部を隠す形
で誘電体パターン65を印刷し、図9(e)に示すよう
に、この誘電体パターン65上にL字形の導体パターン
66を導体パターン63に繋げて印刷する。その後、図
9(f)に示すように、導体パターン63を隠す形で誘
電体パターン67を印刷し、図9(g)に示すように、
この誘電体パターン67上にコの字形の導体パターン6
8を導体パターン66に繋げて印刷する。
【0062】次に、図9(h)に示すように、導体パタ
ーン66を隠す形で誘電体パターン69を印刷し、図9
(i)に示すように、この誘電体パターン69上にL字
形の導体パターン70を導体パターン68に繋げて印刷
する。その後、図9(j)に示すように、導体パターン
68を隠す形で誘電体パターン71を印刷し、図9
(k)に示すように、この誘電体パターン71上にコの
字形の導体パターン72を導体パターン70に繋げて印
刷する。そして、図9(h)〜(k)の印刷を必要な回
数だけ繰り返す。
【0063】さらに、図9(l)に示すように、導体パ
ターン70を隠す形で誘電体パターン73を印刷し、図
9(m)に示すように、この誘電体パターン73上にL
字形の導体パターン74を導体パターン72に繋げて印
刷する。すると、導体パターン66、68、70、7
2、74からなるコイル5が出来上がる。
【0064】続けて、他方の引出導体7を形成するた
め、図9(n)に示すように、導体パターン72を隠す
形で誘電体パターン75を印刷する。次いで、図9
(o)に示すように、誘電体パターン75上にロの字形
の導体パターン76を導体パターン74に繋げて印刷し
た後、図9(p)に示すように、この導体パターン76
以外の部分に誘電体パターン77を印刷する。そして、
図9(o)および(p)の印刷を必要な回数だけ繰り返
して、引出導体7の本体7dを形成する。次に、図9
(q)に示すように、導体パターン76上にロの字形の
導体パターン78を誘電体パターン77の外周辺全長に
達する形で印刷するとともに、この導体パターン78の
内側に誘電体パターン80を印刷し、これを所定回数だ
け繰り返して引出導体7の補助導体7eを形成する。す
ると、本体7dおよび補助導体7eを備えた引出導体7
が出来上がる。
【0065】最後に、図9(r)に示すように、導体パ
ターン78および誘電体パターン80上に誘電体パター
ン79を所定回数だけ印刷する。ここで、電気絶縁体2
が完成する。
【0066】さらに、この電気絶縁体2の側面両端にそ
れぞれ外部電極3を形成すれば、積層インダクタ1が出
来上がる。
【0067】このように、この積層インダクタ1は印刷
積層法によっても製造できるため、シート積層法に限定
される従来の積層インダクタ1と比べて、製造方法の選
択の余地が広がる。
【0068】なお、ここでは引出導体6、7の補助導体
6e、7eを形成するときに、図9(b)、(q)に示
すように、導体パターン62、78を誘電体パターン6
1、77の外周辺全長に達する形で印刷したが、必ずし
も誘電体パターン61、77の外周辺の全長にわたる必
要はなく、誘電体パターン61、77の外周辺の一部で
あっても構わない。例えば、図10に示すように、誘電
体パターン61、77の各外周辺の中央に達する形で引
出導体6、7の補助導体6e、7eを印刷することによ
り、基板のパターンに左右されることなくコイル5のL
値を安定させることもできる。
【0069】<第5の実施形態>図12は本発明に係る
積層インダクタの第5の実施形態を示す図であり、
(a)はその斜視図、(b)はその正面図、(c)は
(b)のC−C線による断面図、(d)は(b)のD−
D線による断面図、(e)は(b)のE−E線による断
面図、図13は図12に示す積層インダクタの製造工程
図、図14は図12に示す積層インダクタの引出導体を
構成する長方形状の導体パターンの積み重ね方の五例を
示す模式図である。
【0070】この積層インダクタ1は、図12に示すよ
うに、直方体状の電気絶縁体2を有しており、電気絶縁
体2中には、非磁性体セラミックスからなる電気絶縁層
に複数の導体パターンが交互に積層され、各導体パター
ンの端部が順次接続されることで正方形螺旋状に巻回さ
れて積層方向に重畳したコイル5が中央部に形成されて
いる。また、電気絶縁体2の両端にはそれぞれ正方形皿
状の外部電極3が冠着されており、各外部電極3には、
コイル5の両端部から引き出された2対の引出導体6、
7がそれぞれ接続されて導通している。ここで、コイル
5の積層方向は外部電極方向(2個の外部電極3を結ぶ
方向で、図12(b)左右方向)に一致している。
【0071】ところで、各対の引出導体6、7は、コイ
ル5の対角部でそれぞれ長方形状の導体パターンを互い
に交差させて外部電極方向に積層したものである。
【0072】したがって、この積層インダクタ1では基
板(図示せず)への実装状態の相違によってコイル5の
L値が変化する事態を回避することができる。すなわ
ち、コイル5の積層方向が外部電極方向に一致している
とともに、各引出導体6、7の接続位置がコイル5の対
角部であることから、積層インダクタ1の基板に対する
実装状態が変わっても(90°ずつ回転しても)、コイ
ル5および各引出導体6、7の基板に対する位置関係は
変わらず、磁界の発生位置は積層インダクタ1の実装状
態の如何に拘わらず1通りに定まる。その結果、積層イ
ンダクタ1の実装状態の相違によってコイル5のL値に
バラツキが生じることはない。
【0073】その上、各引出導体6、7はコイル5の対
角部から外部電極方向に延伸しているので、コイル5に
発生する磁束の形成をこれら引出導体6、7が阻害する
ようなことはなく、この磁束を横切る導体は存在しない
ことから、コイル5のQ値が低下する事態を回避するこ
とができる。
【0074】なお、この積層インダクタ1は、以下に述
べるとおり、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて
製造することができる。ここでは、第1の実施形態にお
ける積層インダクタ1と異なる点を中心に説明し、その
他の点についてはその説明を省略する。
【0075】まず、一方の引出導体6を形成すべく、図
13(a)に示すように、コイル5の対角部に対応する
位置にそれぞれ長方形状の導体パターン81を印刷する
とともに、これら導体パターン81以外の部分に誘電体
パターン91を印刷する。次に、図13(b)に示すよ
うに、各導体パターン81上にそれぞれ長方形状の導体
パターン82を導体パターン81に交差させて印刷する
とともに、これら導体パターン82以外の部分に誘電体
パターン92を印刷する。
【0076】その後、図13(c)に示すように、各導
体パターン82上にそれぞれ長方形状の導体パターン8
3を導体パターン82に交差させて印刷するとともに、
これら導体パターン82以外の部分に誘電体パターン9
3を印刷する。次に、図13(d)に示すように、各導
体パターン83上にそれぞれ長方形状の導体パターン8
4を導体パターン83に交差させて印刷するとともに、
これら導体パターン84以外の部分に誘電体パターン9
4を印刷する。そして、図13(c)および(d)の印
刷を所定回数だけ繰り返す。この際、導体パターン8
3、84が長方形状であるため、これらを交差させて印
刷するときに位置が多少ずれても両者間の導通を確保す
ることができる。
【0077】次いで、図13(e)に示すように、ロの
字形の導体パターン85を両方の導体パターン84に繋
げて印刷した後、この導体パターン85以外の部分に誘
電体パターン95を印刷する。すると、導体パターン8
1、82、83、84、85からなる引出導体6が出来
上がる。この引出導体6は、その構成要素である導体パ
ターン81、82、83、84、85相互の導通が確保
されているので、コイル5と外部電極3とを確実に接続
することが可能となる。
【0078】次に、コイル5の形成に移行し、図13
(f)に示すように、導体パターン85の一部を隠す形
で誘電体パターン86を印刷した後、図13(g)に示
すように、この誘電体パターン86上にL字形の導体パ
ターン87を導体パターン85に繋げて印刷する。以下
は、第1の実施形態における積層インダクタ1と同様な
手順となる。
【0079】最後に、先程の引出導体6の形成手順と同
様にして他方の引出導体7を形成すれば、電気絶縁体2
が完成する。
【0080】このように、この積層インダクタ1は印刷
積層法によっても製造できるため、シート積層法に限定
される従来の積層インダクタ1と比べて、製造方法の選
択の余地が広がる。
【0081】なお、ここでは長方形状の導体パターン8
1、82、83、84を印刷したが、この導体パターン
81、82、83、84の形状や積層方法は種々考えら
れる。例えば、図14(a)に示すように、長方形状の
導体パターン12、13を十文字形に積層したり、図1
4(b)に示すように、楕円形状の導体パターン12、
13を十文字形に積層してもよい。その他、図14
(c)〜(e)に示すように、コイル5の隅角部に合わ
せて導体パターン12、13の形状を工夫することによ
り、積層時の位置ずれに影響を受けることなく引出導体
6を形成することができる。
【0082】<第6の実施形態>図15は本発明に係る
積層インダクタの第6の実施形態を示す図であり、
(a)はその正面図、(b)は(a)のB−B線による
断面図、(c)は4通りの実装状態を示す模式図であ
る。
【0083】この積層インダクタ1は、以下に述べる相
違点を除き、上述した第5の実施形態における積層イン
ダクタ1と同様な構成を備えている。すなわち、図15
(a)に示すように、引出導体6は第1の導体部6hと
2個の第2の導体部6iとからなる。第1の導体部6h
はコイル5の巻回形状に合わせてロの字形に形成されて
おり、コイル5にその第1の隅角部に対応する部位Fで
接続されている。また、第2の導体部6iは、コイル5
の対角部でそれぞれ長方形状の導体パターンを互いに交
差させて外部電極方向に積層したものであり、その一端
がコイル5の第2および第3の隅角部に対応する部位G
1、G2で第1の導体部6hに接続されているととも
に、その他端が外部電極3に接続されている。そして、
これら部位G1、G2は、図15(b)に示すように、
部位Fに隣接する形で互いに対角に位置決めされてい
る。引出導体7についても同様である。
【0084】したがって、この積層インダクタ1では基
板への実装状態の相違によってコイル5のL値が変化す
る事態を回避することができる。すなわち、図15
(c)に示すように、積層インダクタ1の基板Pに対す
る実装状態は4通り考えられるが、どの実装状態におい
ても、基板Pからの電流は外部電極3を通じて導体部6
iに流れ、部位G1または部位G2を経て導体部6hに
至った後、部位Fを経由してコイル5に流れ込むため、
基板Pからコイル5までに流れる電流の距離は、図15
(b)に示すように、基板Pから部位G1または部位G
2までの距離L1と、部位G1または部位G2から部位
Fまでの距離L2とを足し合わせた距離L3(=L1+
L2)に等しくなる。なお、外部電極方向に流れる距離
はすべての実装状態において共通するため、ここでは考
慮する必要はない。その結果、積層インダクタ1の実装
状態の相違によってコイル5のL値にバラツキが生じる
恐れはない。
【0085】なお、この積層インダクタ1も、上述した
第5の実施形態における積層インダクタ1と同様な手順
に従い、スクリーン印刷による印刷積層法を用いて製造
することができる。
【0086】<第7の実施形態>図16は本発明に係る
積層インダクタの第7の実施形態を示す図であり、
(a)はその斜視図、(b)はその正面図、図17は図
16に示す積層インダクタの補助導体の三例を示す模式
図である。
【0087】この積層インダクタ1は、以下に述べる相
違点を除き、上述した第5の実施形態における積層イン
ダクタ1と同様な構成を備えている。すなわち、図16
に示すように、電気絶縁体2の側面両端にはそれぞれ帯
状の外部電極3が冠着されており、電気絶縁体2の両端
面は外部電極3に覆われることなくむき出しになってい
る。また、2対の引出導体6、7の本体6f、7fには
それぞれ補助導体6g、7gが電気絶縁体2の側面に引
き出された形で接続されており、各引出導体6、7は電
気絶縁体2の側面でそれぞれの外部電極3に接続されて
導通している。
【0088】したがって、この積層インダクタ1では、
外部電極3が電気絶縁体2の側面両端にのみ存在し、電
気絶縁体2の両端面には存在しないので、コイル5に発
生する磁束が外部電極3を突っ切ることなく磁界を形成
することが可能となり、磁束が外部電極3を通るときに
生じる渦電流損失などに起因してコイル5のQ値が劣化
する事態を回避することができる。
【0089】なお、引出導体6の補助導体6gの形状
は、図17(a)に示すように、電気絶縁体2の対角部
に引き出される正方形のほか、基板のパターンに左右さ
れることなくコイル5のL値を安定させることを狙っ
て、図17(b)や(c)に示すように、電気絶縁体2
の各側面の中央に引き出される形状とすることも可能で
ある。このことは他方の引出導体7の補助導体7gの形
状についても同様である。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜5に係
る発明によれば、コイルの積層方向および各引出導体の
軸方向がいずれも外部電極方向に一致するとともに、各
引出導体の形状がコイルの巻回形状に合致することか
ら、コイルのQ値の低下を防止すると同時に、実装状態
の相違によるコイルのL値の変化を回避し、しかもシー
ト積層法のみならず印刷積層法によっても製造すること
が可能な積層インダクタを提供することができる。
【0091】また、請求項6〜9に係る発明によれば、
コイルの積層方向が外部電極方向に一致するとともに、
各引出導体がコイルの対角部から外部電極方向に延伸す
ることから、コイルのQ値の低下を防止すると同時に、
実装状態の相違によるコイルのL値の変化を回避し、し
かもシート積層法のみならず印刷積層法によっても製造
することが可能な積層インダクタを提供することができ
る。
【0092】さらに、請求項10に係る発明によれば、
各引出導体が電気絶縁体の各側面の中央に引き出される
ため、基板のパターンに左右されることなくコイルのL
値を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層インダクタの第1の実施形態
を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその正
面図、(c)は(b)のC−C線による断面図である。
【図2】図1に示す積層インダクタの製造工程図であ
る。
【図3】本発明に係る積層インダクタの第2の実施形態
を示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)
のB−B線による断面図である。
【図4】図3に示す積層インダクタの4通りの実装状態
を示す模式図である。
【図5】図3に示す積層インダクタの製造工程図であ
る。
【図6】本発明に係る積層インダクタの第3の実施形態
を示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)
のB−B線による断面図、(c)は(a)のC−C線に
よる断面図、(d)は(a)のD−D線による断面図で
ある。
【図7】図6に示す積層インダクタの製造工程図であ
る。
【図8】本発明に係る積層インダクタの第4の実施形態
を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその正
面図、(c)は(b)のC−C線による断面図、(d)
は(b)のD−D線による断面図である。
【図9】図8に示す積層インダクタの製造工程図であ
る。
【図10】図8に示す積層インダクタの変形例の断面図
である。
【図11】スクリーン印刷によるパターンの形成法を示
す模式図であり、(a)はパターンが小さい場合の図、
(b)はパターンが大きい円形である場合の図、(c)
はパターンがロの字形である場合の図である。
【図12】本発明に係る積層インダクタの第5の実施形
態を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその
正面図、(c)は(b)のC−C線による断面図、
(d)は(b)のD−D線による断面図、(e)は
(b)のE−E線による断面図である。
【図13】図12に示す積層インダクタの製造工程図で
ある。
【図14】図12に示す積層インダクタの引出導体を構
成する長方形状の導体パターンの積み重ね方の五例を示
す模式図である。
【図15】本発明に係る積層インダクタの第6の実施形
態を示す図であり、(a)はその正面図、(b)は
(a)のB−B線による断面図、(c)は4通りの実装
状態を示す模式図である。
【図16】本発明に係る積層インダクタの第7の実施形
態を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその
正面図である。
【図17】図16に示す積層インダクタの補助導体の三
例を示す模式図である。
【図18】従来の積層インダクタの一例を示す斜視図で
ある。
【図19】従来の積層インダクタの別の例を示す斜視図
である。
【符号の説明】
1……積層インダクタ 2……電気絶縁体 3……外部電極 5……コイル 6、7……引出導体 6a、6b……導体部 6c、7c……貫通窓 6e、7e、6g、7g……補助導体 6h、6i……導体部 21、34、81、82、83、84……導体パターン

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁層と導体パターンとが交互に積
    層され、 前記電気絶縁層からなる直方体状の電気絶縁体(2)中
    に前記各導体パターンの端部が順次接続されることで正
    方形螺旋状に巻回されて積層方向に重畳したコイル
    (5)が形成され、 このコイルの両端部から引き出された2つの引出導体
    (6、7)にそれぞれ接続される外部電極(3)が前記
    電気絶縁体の表面に設けられ、 前記コイルの積層方向が外部電極方向である積層インダ
    クタ(1)において、 前記各引出導体として、前記コイルの巻回形状に合わせ
    てロの字形の導体パターン(21、34)を外部電極方
    向に積層して正方形筒状に形成したものを用いたことを
    特徴とする積層インダクタ。
  2. 【請求項2】 各引出導体(6)をそれぞれ外部電極方
    向に沿って2個の導体部(6a、6b)に分け、 一方の導体部(6a)をコイル(5)にその第1の隅角
    部に対応する部位(F)で接続し、 この第1の隅角部に隣接する第2および第3の隅角部に
    対応する部位(G1、G2)で前記2個の導体部を互い
    に接続したことを特徴とする請求項1に記載の積層イン
    ダクタ。
  3. 【請求項3】 各引出導体(6、7)の一部に貫通窓
    (6c、7c)を形成し、 この貫通窓に電気絶縁層を積層したことを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の積層インダクタ。
  4. 【請求項4】 各引出導体(6、7)を電気絶縁体
    (2)の側面に引き出して外部電極(3)に接続する補
    助導体(6e、7e)を設けたことを特徴とする請求項
    1から請求項3までのいずれかに記載の積層インダク
    タ。
  5. 【請求項5】 電気絶縁層と導体パターンとをスクリー
    ン印刷で積層したことを特徴とする請求項1から請求項
    4までのいずれかに記載の積層インダクタ。
  6. 【請求項6】 電気絶縁層と導体パターンとが交互に積
    層され、 前記電気絶縁層からなる直方体状の電気絶縁体(2)中
    に前記各導体パターンの端部が順次接続されることで正
    方形螺旋状に巻回されて積層方向に重畳したコイル
    (5)が形成され、 このコイルの両端部から引き出された2つの引出導体
    (6、7)にそれぞれ接続される外部電極(3)が前記
    電気絶縁体の表面に設けられ、 前記コイルの積層方向が外部電極方向である積層インダ
    クタ(1)において、前記各引出導体として、前記コイ
    ルの対角部でそれぞれ矩形状の導体パターン(81、8
    2、83、84)を互いに交差させて外部電極方向に積
    層したものを用いたことを特徴とする積層インダクタ。
  7. 【請求項7】 電気絶縁層と導体パターンとが交互に積
    層され、 前記電気絶縁層からなる直方体状の電気絶縁体(2)中
    に前記各導体パターンの端部が順次接続されることで正
    方形螺旋状に巻回されて積層方向に重畳したコイル
    (5)が形成され、 このコイルの両端部から引き出された2つの引出導体
    (6、7)にそれぞれ接続される外部電極(3)が前記
    電気絶縁体の表面に設けられ、 前記コイルの積層方向が外部電極方向である積層インダ
    クタ(1)において、 前記各引出導体として、前記コイルの巻回形状に合わせ
    てロの字形に形成した第1の導体部(6h)と、前記コ
    イルの対角部でそれぞれ矩形状の導体パターン(81、
    82、83、84)を互いに交差させて外部電極方向に
    積層した2個の第2の導体部(6i)とからなり、第1
    の導体部を前記コイル(5)にその第1の隅角部に対応
    する部位(F)で接続し、この第1の隅角部に隣接する
    第2および第3の隅角部に対応する部位(G1、G2)
    で第2の導体部を第1の導体部に接続したものを用いた
    ことを特徴とする積層インダクタ。
  8. 【請求項8】 各引出導体(6、7)を電気絶縁体
    (2)の側面に引き出して外部電極(3)に接続する補
    助導体(6g、7g)を設けたことを特徴とする請求項
    6または請求項7に記載の積層インダクタ。
  9. 【請求項9】 電気絶縁層と導体パターンとをスクリー
    ン印刷で積層したことを特徴とする請求項6から請求項
    8までのいずれかに記載の積層インダクタ。
  10. 【請求項10】 各引出導体(6、7)の引出位置を電
    気絶縁体(2)の各側面の中央としたことを特徴とする
    請求項4または請求項8に記載の積層インダクタ。
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