JP2001151869A - 環状オレフィン開環メタセシス重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

環状オレフィン開環メタセシス重合体水素化物の製造方法

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JP2001151869A
JP2001151869A JP33946799A JP33946799A JP2001151869A JP 2001151869 A JP2001151869 A JP 2001151869A JP 33946799 A JP33946799 A JP 33946799A JP 33946799 A JP33946799 A JP 33946799A JP 2001151869 A JP2001151869 A JP 2001151869A
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Masato Sakamoto
正人 坂本
Kazunori Taguchi
和典 田口
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状オレフィン単量体を開環メタセシス重合
し、次いで、得られた重合体を水素化する方法であっ
て、環状オレフィン単量体への汎用性が高く、かつ、生
成した重合体を少量の触媒で効率よく、安定的に水素化
できる方法を提供する。 【解決手段】 周期表第4〜8族遷移金属化合物を触媒
として用いて、環状オレフィン単量体を開環メタセシス
重合し、次いで、新たに添加された周期表第8族または
第9族遷移金属−カルベン化合物からなる触媒の存在下
に、得られた重合体中の炭素−炭素不飽和結合に水素付
加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状オレフィンの
開環重合体水素化物を効率よく製造する方法であって、
広範な環状オレフィン類に適用可能な製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン類の開環メタセシス重合
体およびその水素化物は優れた光学特性、電気特性、機
械特性を有する樹脂として注目されており、各種の開環
メタセシス重合体およびその水素化物の製造方法が提案
されている。チタン化合物、タングステン化合物、モリ
ブデン化合物、レニウム化合物、ルテニウム化合物など
の重合触媒を用いて環状オレフィン類を開環メタセシス
重合する方法は、従来からよく知られている。この方法
で得られる開環重合体は主鎖に二重結合があるために熱
的安定性が十分でなく、その改良方法として開環重合体
を水素化する方法が種々提案されている。
【0003】環状オレフィン開環メタセシス重合体の炭
素−炭素不飽和結合に水素添加するには不均一触媒また
は均一触媒が用いられている。例えば、不均一触媒では
パラジウム、白金、ニッケルなどの金属をカーボン、シ
リカ、アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持させた担
持型金属触媒が知られている。均一系触媒ではナフテン
酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチ
ルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、オクテ
ン酸コバルト/ジエチルアルミニウムクロリド、チタノ
センジクロリド/n−ブチルリチウムなどのチーグラー
型触媒、および、ロジウムやルテニウムなどの貴金属錯
体が知られている。しかしながら、担持型水添触媒を用
いる方法は、高い水素化率を得るためには多量の触媒を
必要とするという問題点があった。また、チーグラー型
触媒を用いる方法は、触媒が水、空気、極性化合物など
により失活するため、扱いが煩雑であり、極性の大きい
溶媒を使用できないという問題点があった。さらに、ロ
ジウムやルテニウムなどの貴金属錯体を用いる方法は、
錯体が高価であるうえ、必ずしも水素化触媒活性が高く
ないという問題点があった。
【0004】これらの問題点を解決する方策として、ル
テニウム錯体の水素化触媒活性を向上させる方法が、例
えば、特開平7−2929号、特開平7−149823
号、特開平11−158256号、特開平11−193
323号、特開平11−209460号などに報告され
ている。しかしながら、特開平7−2929号の方法
は、ルテニウム錯体に対して、大過剰のアルキル金属化
合物と有機アルミニウム化合物を必要とするという問題
点があり、特開平7−149823号の方法は、極めて
不安定なルテニウムヒドリト錯体を使用するという問題
点があり、特開平11−158256号および特開平1
1−193323号の方法は、ルテニウム錯体に対し
て、大過剰の有機アルミニウム化合物またはアミン化合
物を必要とするという問題点があった。また、特開平1
1−193323号および特開平11−209460号
の方法は、必ずしも活性が十分に向上していないという
問題点が依然として存在していた。従って、高活性で、
活性化剤が不要で、しかも取り扱いの容易な水素化触媒
が望まれていた。
【0005】一方、特開平10−195182号公報に
は、ルテニウム−カルベン化合物を触媒として用いて環
状オレフィンを開環メタセシス重合し、次いで反応系に
改質剤を添加し、改質された重合触媒の存在下に、その
まま開環重合体を水素化する方法が報告されている。こ
の方法によれば、重合工程と水素化工程を連続して実施
できるという利点を有する。しかしながら、この特許に
記載されているように、ルテニウム−カルベン化合物を
重合触媒として用い、引続きその改質物を水素化触媒と
して用いた場合においては、得られる重合体およびその
水素化物は、主鎖の炭素−炭素二重結合のシス−トラン
ス構造や立体規則性が限定されるため、例えば、ジシク
ロペンタジエンやテトラシクロドデセンの開環メタセシ
ス重合では生成重合体が一般溶媒に全く溶解しないた
め、その後の水素化反応が極めて困難であるという問題
点があった。
【0006】また、J.Am.Chem.Soc.,1
18,100−110(1996)に記載されるよう
に、触媒によっては、溶液中でルテニウム−カルベン化
合物が容易に分解することも報告されており、重合中
に、一部のルテニウム−カルベン化合物が失活してしま
うため、水素化反応時に十分な水素化触媒活性を示さな
い。従って、本発明者らの検討によれば、重合工程中の
重合温度、反応時間、触媒濃度などの重合条件の違いに
よって、水素化反応活性が大きく変動し、しばしば水素
化反応が進行しない場合があることが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環状
オレフィン単量体を開環メタセシス重合し、次いで得ら
れた重合体を水素化することからなる開環メタセシス重
合体水素化物の製造方法において、広範な環状オレフィ
ン単量体に適用でき、広範な重合触媒を用いて重合で
き、しかも、得られた環状オレフィン開環メタセシス重
合体を少量の水素化触媒で効率よく、かつ安定的に水素
化できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、周期表第4〜
8族遷移金属化合物を重合触媒として用いて環状オレフ
ィン単量体を開環メタセシス重合し、次いで、新たに添
加された周期表第8族または第9族遷移金属−カルベン
化合物からなる水素化触媒の存在下に、得られた重合体
を水素化すると、水素化反応が極めて高活性で進行する
ことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0009】かくして本発明によれば、周期表第4〜8
族遷移金属化合物を触媒として用いて、環状オレフィン
単量体を開環メタセシス重合し、次いで、新たに添加さ
れた周期表第8族または第9族遷移金属−カルベン化合
物からなる触媒の存在下に、得られた重合体中の炭素−
炭素不飽和結合に水素付加することを特徴とする環状オ
レフィン開環メタセシス重合体水素化物の製造方法が提
供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態につ
いて、以下、項を追って詳細に説明する。環状オレフィンの開環メタセシス重合 本発明の環状オレフィン開環メタセシス重合体水素化物
の製造方法は、環状オレフィン単量体を開環メタセシス
重合する重合段階と、得られた重合体を水素化する水素
化段階とからなる。
【0011】重合段階で用いる触媒は、周期表第4〜8
族遷移金属化合物であって環状オレフィン単量体を開環
メタセシス重合触媒であればどのようなものでもよく、
例えば、Olefin Metathesis(Ken
neth J,Irvin,Academic Pre
ss,New York 1983)に記載されている
ような、遷移金属化合物と助触媒としてのルイス酸との
組合せによる開環メタセシス触媒系、例えば、モリブデ
ン、タングステン、バナジウム、チタンなどの遷移金属
ハロゲン化物と助触媒として有機アルミニウム化合物、
有機錫化合物またはリチウム、ナトリウム、マグネシウ
ム、亜鉛、カドミウム、ホウ素などの有機金属化合物と
からなる開環メタセシス触媒を用いることができる。
【0012】遷移金属ハロゲン化物の具体例としては、
MoBr2、MoBr3、MoBr4、MoCl4、MoC
5、MoF4、MoOCl4、MoOF4などのモリブデ
ンハロゲン化物、WBr2、WBr4、WCl2、WC
4、WCl5、WCl6、WF 4、WI2、WOBr4、W
OCl4、WOF4、WCl4(OC64Cl22などの
タングステンハロゲン化物、VOCl3、VOBr3など
のバナジウムハロゲン化物、TiCl4、TiBr4など
のチタンハロゲン化物などが挙げられる。
【0013】また、助触媒としての有機金属化合物の具
体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシ
ルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェ
ニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチ
ルアルミニウムモノクロリド、ジ―n−ブチルアルミニ
ウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムモノブロミ
ド、ジエチルアルミニウムモノイオジド、ジエチルアル
ミニウムモノヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロ
リド、エチルアルミニウムジクロリドなどの有機アルミ
ニウム化合物、テトラメチル錫、ジエチルジメチル錫、
テトラエチル錫、ジブチルジエチル錫、テトラブチル
錫、テトラオクチル錫、トリオクチル錫フルオリド、ト
リオクチル錫クロリド、トリオクチル錫ブロミド、トリ
オクチル錫イオジド、ジブチル錫ジフルオリド、ジブチ
ル錫ジクロリド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジ
イオジド、ブチル錫トリフルオリド、ブチル錫トリクロ
リド、ブチル錫トリブロミド、ブチル錫トリイオジドな
どの有機錫化合物、n−ブチルリチウムなどの有機リチ
ウム化合物、n−ペンチルナトリウムなどの有機ナトリ
ウム化合物、メチルマグネシウムイオジド、エチルマグ
ネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロミド、n−
プロピルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウ
ムクロリド、アリールマグネシウムクロリドなどの有機
マグネシウム化合物、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物、ジエチルカドミウムなどの有機カドミウム化合物、
トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチ
ルホウ素などの有機ホウ素化合物などが挙げられる。
【0014】また、その他の触媒として、周期表第4〜
8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブテン錯体
などを挙げることができる。これらの具体例としては、
W(N−2,6−C63Pri 2)(CHBut)(OB
t2、W(N−2,6−Pri 263)(CHB
t)(OCMe2CF32、W(N−2,6−Pri 2
63)(CHBut)(OCMe2(CF322、W
(N−2,6−Pri 263)(CHCMe2Ph)
(OBut2、W(N−2,6−Pri 263)(CH
CMe2Ph)(OCMe2CF3)、W(N−2,6−
Pri 263)(CHCMe2Ph)(OCMe2(CF
322、(式中のPriはiso−プロピル基、But
はtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニ
ル基を表す。以下同じ。)などのタングステン系アルキ
リデン触媒、Mo(N−2,6−Pri 2 63)(CH
But)(OBut2、Mo(N−2,6−Pri 26
3)(CHBut)(OCMe2CF32、Mo(N−
2,6−Pri 263)(CHBut)(OCMe2(C
322、Mo(N−2,6−Pri 263)(CH
CMe 2Ph)(OBut2、Mo(N−2,6−Pri
263)(CHCMe2Ph)(OCMe2CF3)、M
o(N−2,6−Pri 263)(CHCMe2Ph)
(OCMe2(CF322、Mo(N−2,6−Pri 2
63)(CHCMe2Ph)(BIPHEN)、Mo
(N−2,6−Pri 263)(CHCMe2Ph)
(BINO)(THF)、(式中のBIPHENは5,
5’,6,6’−テトラメチル−3,3’ジ−tert
−ブチル−1,1’ビフェニール−2,2’−ジオキシ
基、BINOは1,1’−ジナフチル−2,2’−ジオ
キシ基、THFはテトラヒドロフランを表す。以下同
じ。)などのモリブデン系アルキリデン触媒、Re(C
But)(CHBut)(O−2,6−Pri 2
632、Re(CBut)(CHBut)(O−2−B
t642、Re(CBut)(CHBut)(OCM
2CF32、Re(CBut)(CHBut)(OCM
e(CF322、Re(CBut)(CHBut)(O
−2,6−Me2632などのレニウム系アルキリデ
ン触媒、Ta[C(Me)C(Me)CHMe3](O
−2,6−Pri 2633Py、Ta[C(Ph)C
(Ph)CHMe3](O−2,6−Pri 2633
y、(式中のPyはピリジン基を表す。以下同じ。)な
どのタンタル系アルキリデン触媒、Ru(CHCHCP
2)(PPh32Cl2、Ru(CHPh)(PC
32Cl2、ビス(1,3−ジイソプロピル−イミダ
ゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、(式中のCyはシクロヘキシル基を表す。以下同
じ。)などのルテニウム系アルキリデン触媒やチタナシ
クロブタン類が挙げられる。上記開環メタセシス触媒
は、単独にまたは2種以上混合してもよい。
【0015】なかでも、周期表第4〜6族遷移金属−カ
ルベン錯体やメタラシクロブテン錯体を用いると、助触
媒を必要とせず、しかも高活性であるので、好ましい。
環状オレフィン系単量体と開環メタセシス触媒のモル比
は、環状オレフィン単量体100モルに対して遷移金属
ハロゲン化物と有機金属化合物からなる開環メタセシス
触媒では、選移金属ハロゲン化物は0.001〜5モ
ル、好ましくは0.01〜3モルであり、助触媒として
の有機金属化合物は0.005〜10モル、好ましくは
0.02〜5モルである。また、タングステン、モリブ
デン、レニウム、タンタルまたはルテニウムなどのアル
キリデン触媒やチタナシクロブタン類の場合は、0.0
1〜10モル、好ましくは0.1〜5モルである。
【0016】開環メタセシス重合において用いられる溶
媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンな
どの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンな
どの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、
デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリ
ド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロ
エタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハ
ロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらは2種以上混
合して使用してもよい。さらに、分子量を制御するため
に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、
スチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、ヘキサ
ジエンなどのオレフィン存在下で開環メタセシス重合を
行ってもよい。
【0017】環状オレフィン単量体は、(1)ノルボル
ネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセ
ン類などのノルボルネン環を有する多環の環状オレフィ
ン類、(2)単環の環状オレフィン類、環状ジオレフィ
ン類である。これらの環状オレフィン類は、アルキル
基、アルケニル基などの非極性の置換基や、エステル
基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基
などの極性基を有していてもよい。これらの環状オレフ
ィン単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組合
せて用いることができる。開環重合体の耐熱性および溶
媒への溶解性からみて、環状オレフィンとしては、ノル
ボルネン環を有する3環体〜6環体の環状オレフィン単
量体が好ましく、中でも、ジシクロペンタジエン類など
の3環体の環状オレフィン単量体およびテトラシクロド
デセン類などの4環体の環状オレフィン単量体が特に好
ましい。
【0018】(i)ジシクロペンタジエン類:ジシクロ
ペンタジエン類の具体例としては、ジシクロペンタジエ
ンやメチル−ジシクロペンタジエンなどが挙げられ、ジ
シクロペンタジエンの5員環部分の二重結合を飽和させ
たトリシクロ〔4.3.12, 5.0〕−デカ−3−エン
なども挙げることができる。
【0019】(ii)テトラシクロドデセン類:テトラシ
クロドデセン類は、(a)ノルボルネン環以外に二重結
合を有しないもの、(b)ノルボルネン環以外に二重結
合を有するもの、(c)芳香環を有するもの、(d)極
性基を有するもの、などに分類することができるが、い
ずれの単量体も使用することができる。
【0020】(a) ノルボルネン環以外に二重結合を
有しないものの具体例としては、テトラシクロドデセ
ン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテト
ラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロド
デセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセンなど
のテトラシクロドデセンおよび、上記のテトラシクドデ
セン類に置換基を有するものなどが挙げられる。
【0021】(b) ノルボルネン環以外に二重結合を
有するものの具体例としては、8−メチリデンテトラシ
クロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、
8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロ
ドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン
などが挙げられる。 (c) 芳香環を有するものの具体例としては、8−フ
ェニルテトラシクロドデセンなどが挙げられる。
【0022】(d) 極性基を有するものの具体例とし
ては、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデ
セン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8
−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデ
セン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−
8,9−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含む置換
基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラ
シクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカ
ルボン酸イミドなどの窒素原子を含む置換基を有するテ
トラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセ
ンなどのハロゲンを原子を含む置換基を有するテトラシ
クロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロ
ドデセンなどのけい素原子を含む置換基を有するテトラ
シクロドデセンなどが挙げられる。
【0023】(iii)その他のノルボルネン環を有する
環状オレフィン単量体:その他のノルボルネン環を有す
る環状オレフィン単量体の具体例としては、(a)ノル
ボルネン環を一つ有する2環体のものとしては、ノルボ
ルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボル
ネン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボル
ネン、5−デシルノルボルネン、5−シクロヘキシルノ
ルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネンなどのノ
ルボルネン類,およびこれらに対応するオキサノルボル
ネン類;ならびに、5−エチリデンノルボルネン、5−
ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボルネン、5
−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニ
ルノルボルネンなどの環外に二重結合を有するノルボル
ネン類;およびこれらに対応するオキサノルボルネン類
が挙げられる。
【0024】(b)ノルボルネン環と6員環とを一つず
つ有するものの具体例としては、ヘキサシクロヘプタデ
セン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−
エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−ブチルヘキサ
シクロヘプタデセン、12−ヘキシルヘキサシクロヘプ
タデセン、12−デシルヘキサシクロヘプタデセン、1
2−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−
シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセンなど、および
12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビ
ニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキ
サシクロヘプタデセン、12−シクロへキセニルヘキサ
シクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシ
クロヘプタデセンなどのヘキサシクロヘプタデセン類な
どが挙げられる。
【0025】(c)ノルボルネン環と芳香環とを有する
ものの具体例としては、5−フェニルノルボルネン、5
−フェニルオキサノルボルネン、テトラシクロ〔6.
5.1 2,5.01,6.08,13〕トリデカ−3,8,10,
12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9
a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ
〔6.6.12,5.01,6.08,13〕テトラデカ−3,
8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,
4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセ
ンともいう)、などが挙げられる。
【0026】(d)極性基を有するものの具体例として
は、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキ
シカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカ
ルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプ
ロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオクタネイ
ト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−
ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキ
シメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチ
ル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−i−プロピルノル
ボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メ
トキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネンなどの
酸素含有極性基を有するノルボルネン類,およびこれら
に対応する酸素含有極性基を有するオキサノルボルネン
類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−
ジカルボン酸イミドなどの窒素含有極性基を有するノル
ボルネン類、およびこれらに対応する窒素含有極性基を
有するオキサノルボルネン類などが挙げられる。
【0027】これらのなかでも、ノルボルネン環と芳香
環を有するもの、例えば4−メタノ−1,4,4a,9
a−テトラヒドロフルオレンなどのテトラヒドロフルオ
レン類を、前述のジシクロペンタジエンやテトラシクロ
ドデセンなどに共重合させると、耐熱性などに優れた重
合体を得ることができる。
【0028】(iv)単環の環状オレフィン単量体および
環状ジオレフィン単量体:単環の環状オレフィン単量体
および環状ジオレフィン単量体は、C4〜C20の環状オ
レフィンおよび環状ジオレフィンとこれらの置換体であ
り、好ましくはC4〜C10の環状オレフィンおよび環状
ジオレフィンとこれらの誘導体である。単環の環状オレ
フィン単量体および環状ジオレフィン単量体の具体例と
しては、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロ
ペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シ
クロヘプテン、シクロオクテンなどの特開昭64−66
216号などに記載されている単環の環状オレフィン単
量体;およびシクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサ
ジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエ
ン、フェニルシクロオクタジエンなどの特開平7−25
8318号などに記載されている環状ジオレフィン単量
体を挙げることができる。
【0029】重合段階で得られる環状オレフィン開環メ
タセシス重合体の分子量は、水素化反応を考慮すると、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定
(ポリスチレン換算)で、数平均分子量(Mn)が、好
ましくは1,000〜500,000であり、より好ま
しくは5,000〜400,000である。
【0030】環状オレフィン開環重合体の水素化 前記重合段階で得られた環状オレフィン開環メタセシス
重合体は、水素化段階において、周期表第8族または第
9族遷移金属−カルベン化合物を触媒として新たに加え
たうえ、水素化される。該遷移金属−カルベン化合物中
の周期表第8族または第9族遷移金属としては、Fe、
Ru、Os、Co、Rh、Irを挙げることができる。
なかでも、Ru、Rhが好ましく、Ruが特に好まし
い。
【0031】なお、重合段階において周期表第8族遷移
金属−カルベン化合物を触媒として用い、さらに水素化
段階においても同じ化合物を触媒として用いる場合は、
水素化段階において新たに同じ化合物を添加することが
肝要である。すなわち、重合段階で用いた触媒の残存下
に、新たに同触媒を添加することなく水素化を行った場
合、および重合段階で用いた残存触媒を改質剤などで処
理したうえ新たに触媒を添加することなく水素化を行っ
た場合には、水素化反応に対する十分な活性が得られな
い。水素化触媒である遷移金属−カルベン化合物として
は、金属−カルベン[M=C(Mは周期表第8族または
第9族遷移金属)]を有する化合物であれば、いかなる
ものも使用することができるが、下記式(1)および
(2)で表される化合物が好ましい。
【0032】 [(L1p(Y1q1=C(R1mx (1) (式中、M1は周期表第8または9族遷移金属を表し、
1は互いに独立に中性の電子供与性配位子を表し、Y1
は互いに独立に陰イオン性の配位子を表す。R1は互い
に独立して水素、またはハロゲン原子、窒素原子、酸素
原子、珪素原子、リン原子もしくは硫黄原子を含んでい
てもよいC1〜C20の炭化水素基を表す。mは1または
2を表し、pは0または1〜4の整数、qは0、1また
は2、xは1または2を表す。)
【0033】 [(L2r(Y2s2=C(R2n](X)y (2) (式中、M2は周期表第8または9族遷移金属を表し、
2は互いに独立に中性の電子供与性配位子を表し、Y2
は互いに独立に陰イオン性の配位子を表す。R2は互い
に独立して水素またはハロゲン原子、窒素原子、酸素原
子、珪素原子、リン原子もしくは硫黄原子を含んでいて
もよいC1〜C20の炭化水素基を表す。Xは対陰イオン
を表す。nは1または2を表し、rは0または1〜4の
整数、sは0、1または2、xは1または2を表す。)
【0034】ここで、陰イオン性配位子Y1およびY2
中心金属から引き離されたときに負の電荷をもつ配位子
であればいかなるものでもよい。中性の電子供与性配位
子L 1およびL2は中心金属から引き離されたときに中性
の電荷をもつ配位子、すなわちルイス塩基であればいか
なるものでもよい。対陰イオンXは、ルテニウム陽イオ
ンとイオン錯体を形成する陰イオンであればいかなるも
のでもよい。
【0035】上記式(1)および(2)における陰イオ
ン性配位子Y1およびY2の具体例としては、F、Br、
ClおよびIなどのハロゲン原子;水素、アセチルアセ
トン、ジケトネート基、シクロペンタジエニル基、アリ
ル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、
アリールカルボキシル基、カルボキシル基、アルキルま
たはアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アル
ケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル
基、アルキルスルフィニル基を挙げることができる。な
かでも、ハロゲン原子、シクロペンタジエニル基、アリ
ル基、アルキル基、アリール基が水素化触媒活性の点で
優れている。
【0036】また、上記式(1)および(2)における
中性の電子供与性配位子L1およびL2の具体例として
は、酸素、水、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、
エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、
ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビン類、スル
ホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族炭化水
素類、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニ
ド類、チオシアネ−ト類、複素環式カルベン化合物など
が挙げられる。なかでも、ピリジン類、ホスフィン類、
カルボニル類、複素環式カルベン化合物が、安定な化合
物を形成させるので好ましい。
【0037】さらに上記式(1)および(2)における
ハロゲン原子などを含んでいてもよいC1〜C20の炭化
水素基R1およびR2の具体例としては、水素、アルケニ
ル基、アルキニル基、アルキル基、アリール基、カルボ
キシル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキ
ニルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチ
オ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル
基、アルキルシリル基、アリールシリル基を挙げること
ができる。なかでも、アルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリール
チオ基が水素化触媒活性が高いことから好ましい。
【0038】上記水素化触媒の具体例としては、以下の
ものを挙げることができる。遷移金属がRuである例と
しては、(PCy32(Cl)2Ru=CH(OEt)
〔Cyはシクロヘキシル基を示す。以下同じ〕、(PC
32(Cl)2Ru=CH(Ph)〔Phはフェニル
基を示す。以下同じ〕、(PCy32(Cl)2Ru=
CH(SiMe3)〔Meはメチル基を示す。以下同
じ〕、(PiPr 32(Cl)2Ru=CH(SPh)
〔iPrはイソプロピル基を示す。以下同じ〕、(PC
3)(Py)(Cl)2Ru=CH(Ph)〔Pyはピ
リジンを示す。以下同じ〕、(PPh32(Cl)2
u=CH=CH(Ph)、ビス(1,3−ジイソプロピ
ル−イミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリド、(PCy32(Cl)2Ru=C=C
H(Ph)、(PCy32(Cl)2Ru=C=CH
(tBu)〔tBuはtert.ブチル基を示す。以下
同じ〕、(PiPr32(Cl)2Ru=C=CH(P
h)、ビス(1,3−ジイソプロピル−イミダゾール−
2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリ
ドなどが挙げられる。
【0039】遷移金属がFeである例としては、テトラ
カルボニル(エトキシフェニルメチレン)鉄、テトラカ
ルボニル((ジメチルアミノ)フェニルメチレン)鉄、
テトラカルボニル(ビス(ジメチルアミノ)メチレン)
鉄、テトラカルボニル((ジメチルアミノ)メチレン)
鉄、テトラカルボニル(ジアミノメチレン)鉄、テトラ
カルボニル((ジメチルアミノ)エトキシメチレン)
鉄、テトラカルボニル(1,3−ジオキソラン−2−イ
リデン)鉄、テトラカルボニル(4,4,5,5−テト
ラメチル−1,3−ジオキソラン−2−イリデン)鉄、
テトラカルボニル(1,3−ベンゾジオキソラン−2−
イリデン)鉄、テトラカルボニル(2−オキサゾリジニ
リデン)鉄、テトラカルボニル(1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジニリデン)鉄、テトラカルボニル(1,
3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2H−イミダゾル−
2−イリデン)鉄、テトラカルボニル(1,4−ジメチ
ルテトラゾリン−5−イリデン)鉄、テトラカルボニル
(3,4−ジメチル−2(3H)−チアゾリリデン)
鉄、トリカルボニル(トリフェニルホスフィン)(1−
エトキシエチリデン)鉄、トリカルボニル(トリフェニ
ルホスフィン)(エトキシフェニルメチレン)鉄、トリ
カルボニル(トリフェニルホスファイト)(1−エトキ
シエチリデン)鉄、トリカルボニル(トリフェニルホス
ファイト)(エトキシフェニルメチレン)鉄、カルボニ
ル(エトキシフェニルメチレン)ジニトロシル鉄、カル
ボニル((ジメチルアミノ)エトキシメチレン)ジニト
ロシル鉄、カルボニル(1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジニリデン)ジニトロシル鉄、((ジメチルアミ
ノ)エトキシメチレン)ジニトロシル(トリフェニルホ
スフィン)鉄が挙げられる。
【0040】遷移金属がOsである例としては、カルボ
ニルジクロロ(ジクロロメチレン)ビス(トリフェニル
ホスフィン)オスミウム、ジカルボニル(ジフルオロメ
チレン)ビス(トリフェニルホスフィン)オスミウム、
ジカルボニル((4−メチル−2,5−シクロヘキサジ
エン−1−イリデン)メチレン)ビス(トリフェニルホ
スフィン)オスミウム、テトラカルボニル(3,4−ジ
メチル−2(3H)−チアゾリリデン)オスミウムが挙
げられる。遷移金属がCoである例としては、ジカルボ
ニル(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジニリデン)
ニトロシルコバルト、カルボニル(シクロペンタジエニ
ル)(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジニリデン)
コバルト、シクロペンタジエニル(1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジニリデン)ジヨードコバルトが挙げら
れる。
【0041】遷移金属がRhである例としては、クロロ
ビス(トリイソプロピルホスフィン)ビニリデンロジウ
ム、クロロビス(トリイソプロピルホスフィン)プロぺ
ニリデンロジウム、クロロビス(トリイソプロピルホス
フィン)フェニルビニリデンロジウム、クロロビス(ト
リフェニルホスフィン)チオカルボニルロジウム、カル
ボニルクロロ(トリフェニルホスフィン)(1,3−ジ
エチル−2−イミダゾリジニリデン)ロジウム、カルボ
ニル(シクロペンタジエニル)(1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジニリデン)ロジウム、シクロペンタジエ
ニル(フェニルビニリデン)(トリイソプロピルホスフ
ィン)ロジウム、ジカルボニルジ−μ−クロロテトラク
ロロビス((ジメチルアミノ)メチレン)ジロジウムが
挙げられる。遷移金属がIrである例としては、クロロ
ビス(トリイソプロピルホスフィン)ビニリデンイリジ
ウム、クロロビス(トリイソプロピルホスフィン)プロ
ピリデンイリジウム、クロロビス(トリイソプロピルホ
スフィン)フェニルビニリデンイリジウムが挙げられ
る。
【0042】水素化反応条件は、使用する水素化触媒に
よって相異するが、水素化温度は、通常−20℃〜25
0℃、好ましくは−10〜220℃、より好ましくは0
〜200℃であり、水素圧力は、通常0.1〜100k
g/cm2、好ましくは0.5〜70kg/cm2、より
好ましくは1〜50kg/cm2である。水素化温度が
低すぎると反応速度が遅く、高すぎると副反応が起こ
る。また、水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くな
り、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる。水素化反
応時間は、通常0.1〜10時間である。
【0043】水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で
実施する。有機溶媒としては、生成する水素化物の溶解
性により任意に選択することができる。有機溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水
素;n−ペンタン、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水素;
テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエー
テルなどのエーテル類が挙げられ、これらの中でも、環
状オレフィン開環重合体水素化物の溶解性に優れること
から、炭化水素系溶媒およびエーテル類が好ましい。炭
化水素系溶媒の中では脂環族炭化水素溶媒が特に好まし
い。有機溶媒は、通常は、重合反応溶媒と同じでよく、
重合反応液にそのまま水素添加触媒を添加して反応させ
ればよい。
【0044】本発明の水素化反応によれば、重合体中の
主鎖の炭素−炭素二重結合のうち、70%以上、好まし
くは90%以上、より好ましくは95%以上を水素化す
ることができる。水素化反応終了後、重合触媒および水
素化触媒を除去するには、吸着剤により吸着させて分離
する方法、有機酸および/または無機酸の存在下に水ま
たは低級アルコールにより洗浄する方法など、公知の手
段により、反応溶液から分離回収される。
【0045】得られる重合体の水素化物の数平均分子量
は、好ましくは5,000以上、より好ましくは7,0
00以上、特に好ましくは10,000以上、好ましく
は1,000,000以下、より好ましくは500,0
00以下、特に好ましくは200,000以下である。
数平均分子量が小さすぎると機械的特性が劣り、高すぎ
ると製造が困難となる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。 (1)開環重合体の分子量はテトラヒドロフランを溶媒
とするゲル・パ−ミエ−ション・クロマトグラフィ−
(GPC)によるポリスチレン換算値として測定し、開
環重合体水素化物の分子量はシクロヘキサンを溶媒とす
るゲル・パ−ミエ−ション・クロマトグラフィ−(GP
C)によるポリイソプレン換算値として測定した。 (2)水素化率は、1H−NMRスペクトルにより測定
した。なお、実施例中の「部」なる記載は、重量基準で
ある。
【0047】実施例1 (環状オレフィン開環メタセシス重合体の合成)攪拌機
付きガラス反応器に、2,6−ジイソプロピルフェニル
イミドネオフィリデンモリブデニウム(VI)ビス(ヘ
キサフルオロ−t−ブトキシド)を0.0116部入れ
た後、シクロヘキサン40部、ジシクロペンタジエン1
0部、1−ヘキセン0.092部を添加し、室温で重合
反応を行った。3時間反応後、重合反応液を多量のイソ
プロパノールに注いでポリマ−を完全に析出させ、濾別
洗浄後、40℃で40時間減圧乾燥した。得られた開環
重合体の収量は9.2部で、分子量(ポリスチレン換
算)は、数平均分子量(Mn)=8,900、重量平均
分子量(Mw)=17,000であった。
【0048】(水素化反応)攪拌機付きオートクレーブ
に、得られた開環メタセシス重合体5.0部とシクロヘ
キサン35部を加えた。次いで、(PCy32(Cl)
2Ru=CH(OEt)6.0×10-3部をテトラヒド
ロフラン10部に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水
素圧8kg/cm2、120℃で10時間水素化反応を
行った。水素化反応液を多量のイソプロパノールに注い
でポリマ−を完全に析出させ、濾別洗浄後、40℃で4
0時間減圧乾燥した。水素化率は99%以上であった。
【0049】比較例1 水素化触媒(PCy32(Cl)2Ru=CH(OE
t)6.0×10-3部を(PPh33(Cl)2Ru
7.3×10-3部に代えた他は、実施例1と同様にして
水素化反応を行った。水素化率は24%であった。
【0050】実施例2 (環状オレフィン開環メタセシス重合体の合成)攪拌機
付きオートクレーブに、環状オレフィン単量体としてジ
シクロペンタジエン21部と8−エチルテトラシクロド
デセン9部、連鎖移動剤として1−ヘキセン0.17部
を加え、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリド0.020部をシクロヘキ
サン10部に溶解した触媒溶液を添加し、100℃で重
合反応を行った。3時間反応後、重合溶液の一部を採取
して、分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ、
数平均分子量(Mn)=13,200、重量平均分子量
(Mw)=31,200であった。
【0051】(水素化反応)次いで、(PiPr3
2(Cl)2Ru=CH(SPh)0.024部をテトラ
ヒドロフラン10部に溶解した水素化触媒溶液を添加
し、水素圧8kg/cm 2、120℃で10時間水素化
反応を行った。水素化反応液を多量のイソプロパノール
に注いでポリマ−を完全に析出させ、濾別洗浄後、40
℃で40時間減圧乾燥した。得られた開環重合体水素化
物は29部で、分子量(ポリイソプレン換算)を測定し
たところ、数平均分子量(Mn)=17,100、重量
平均分子量(Mw)=39,100であった。水素化率
は99%以上であった。
【0052】比較例2 実施例2と同様にして重合を行った後、エチルビニルエ
ーテル0.2部を添加し、続いて水素を供給して水素圧
8kg/cm2、120℃で10時間水素化反応を行っ
た。水素化率は10%以下であった。
【0053】比較例3 (環状オレフィン開環メタセシス重合体の合成)環状オ
レフィン系単量体をジシクロペンタジエン30部とし、
重合温度を室温とした他は、実施例2と同様に重合し
た。重合後、重合液の一部を採取したところ、重合体は
析出しており、白色寒天状となっていた。この重合体は
テトラヒドロフランに溶解しないため、GPCによる分
子量測定はできなかった。 (水素化反応)エチルビニルエーテル0.2部を添加
し、続いて水素を供給して水素圧8kg/cm2、12
0℃で10時間水素化反応を行った。水素化率は10%
以下であった。
【0054】
【発明の効果】本発明に従って、周期表第8族または第
9族遷移金属化合物を重合触媒として用いて環状オレフ
ィン単量体を開環メタセシス重合し、次いで、周期表第
8族または第9族遷移金属−カルベン化合物を水素化触
媒として新たに添加して重合体を水素化する方法によれ
ば、広範な重合触媒を用いて広範な環状オレフィン単量
体を重合することができ、しかも、得られた重合体を少
量の水素化触媒で効率よく、かつ安定的に水素化するこ
とができる。
フロントページの続き (72)発明者 角替 靖男 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 4J032 CA22 CA23 CA24 CA27 CA33 CA34 CA35 CA36 CA38 CA45 CB01 CB04 CB05 CB12 CC02 CC03 CD02 CD03 CD04 CD05 CD09 CE03 CF03

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期表第4〜8族遷移金属化合物を触媒
    として用いて、環状オレフィン単量体を開環メタセシス
    重合し、次いで、新たに添加された周期表第8族または
    第9族遷移金属−カルベン化合物からなる触媒の存在下
    に、得られた重合体中の炭素−炭素不飽和結合に水素付
    加することを特徴とする環状オレフィン開環メタセシス
    重合体水素化物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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