JP2001081675A - 防汚性繊維構造物 - Google Patents
防汚性繊維構造物Info
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Abstract
に黒ずみに対して優れた効果を発揮する防汚性繊維構造
物を提供せんとするものである。 【解決手段】 本発明の防汚性繊維構造物は、ポリエス
テル系繊維の単繊維内部に燐系化合物を含み、かつ、該
単繊維表面に下記化学式[I]で示される変性オルガノ
シリケートおよび下記化学式[II]で示される三官能シ
ロキサンから選ばれた少なくとも1種を必須構成単位と
する変性オルガノシリケートが付着していることを特徴
とするものである。 【化1】 【化2】
Description
優れた防汚性繊維構造物に関するものであり、特に空気
中に浮遊する大気汚染物質に対して防汚性を有する防汚
性繊維構造物に関するものである。
される煤煙等などの影響で大気汚染が進み、窓から室内
に流れ込む大気汚染物がカーテンや車両シート用ハーフ
カバーなどを汚染する黒ずみ汚れが、特に白物や淡色の
ものについて問題となっている。また、これら黒ずみ汚
れは紫外線による黄変や変色によって更に助長されるた
め、長期間使用され、洗濯頻度の少ないものについては
大きな問題であった。
素系化合物や親水基を含有したフッ素系化合物、シリコ
ーン系化合物からなる撥水撥油剤で処理する方法や、ポ
リエチレングリコールなどの親水性樹脂で処理する方法
などが提案されている。しかしながら、これらはいずれ
も水性汚れ、油性汚れなどの液状汚れ、または洗濯時の
再汚染を防止するために提案されたものであり、大気汚
染物質のような乾燥状態の粒子系物質による黒ずみ汚れ
については防汚性はなく、逆に汚れがつきやすいという
状況であった。
を付与する方法としては、ハロゲン化合物などをポリエ
ステル繊維内に吸尽させる方法が提案されている。ハロ
ゲン化合物のうち、テトラブロモシクロオクタン、ヘキ
サブロモシクロドデカンなどの脂環族臭素化合物はC−
Brの結合エネルギーが小さく、難燃効果は優れるもの
の耐熱性が低く、紫外線による劣化、黄変が大きいもの
であった。
テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロ
モプロピル)エーテルなどの芳香族臭素化合物は C−
Brの結合エネルギーが大きく、耐熱性に優れ、紫外線
による劣化、黄変が少ないが難燃効果が劣るものであっ
た。
させるものとして、紫外線吸収剤、特にベンゾトリアゾ
ール系の紫外線吸収剤をポリエステル繊維内に導入する
方法が提案されている。
性、耐光性、防汚性の3者を満足いくレベルで兼ね備え
たポリエステル系繊維を得ることは難しく、高い耐光性
を得るために紫外線吸収剤を多用すると難燃性が低下
し、防汚性を向上させるためにフッ素系化合物やシリコ
ーン系化合物を多用しても難燃性が低下し、また、高い
難燃性を得ようと脂環族臭素化合物を難燃剤として用い
ると耐光性が低下するという相反する性能を示すためで
ある。
光性に優れ、防汚性特に黒ずみに対して優れた効果を発
揮する防汚性繊維構造物を提供せんとするものである。
解決するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、本発明の防汚性繊維構造物は、ポリエステル系繊維
の単繊維内部に燐系化合物を含み、かつ、該単繊維表面
に下記化学式[I]で示される変性オルガノシリケート
および下記化学式[II]で示される三官能シロキサンか
ら選ばれた少なくとも1種を必須構成単位とする変性オ
ルガノシリケートが付着していることを特徴とするもの
である。
性、耐光性に優れ、防汚性特に黒ずみに対して優れた効
果を発揮する防汚性繊維構造物について、鋭意検討し、
単繊維内部に燐系化合物を含ませておき、かつ、該単繊
維表面に特定の変性オルガノシリケートを付着させてみ
たところ、かかる課題を一挙に解決することを究明した
ものである。
リエステル系繊維である。本発明でいうポリエステル系
繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエス
テル系繊維であり、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニ
トリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系
繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、フッ素系繊維、アラミド
系繊維等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成
繊維、木綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維等が混紡、混繊
されていてもよく、かかる繊維からなる織物、編物、不
織布、ロープ、紐等例示される。
すものであれば特に限定されるものではないが、紫外線
吸収が少ない燐系化合物であればよく、特に下記化学式
[III ]で示される臭素含有燐系化合物が好ましく使用
される。
よび耐光性を示し、大気汚染物質による黒ずみ防汚性を
阻害しない優れた効果を発揮し、特にトリス(トリブロ
モネオペンチル)ホスフェートは、黒ずみ防汚性を阻害
しないという点で、最も有効であることを見いだしたも
のである。
リエステル系繊維を得る方法については、特に限定され
るものではなく、該燐系化合物を含む溶液にポリエステ
ル系権威構造物を浸漬させ、110〜140℃で浴中処
理し、繊維内部へ吸尽させる方法や、該燐系化合物を含
む溶液をポリエステル繊維構造物に付着させ160〜2
20℃で熱処理し、繊維内部に吸尽させる方法などの手
段を採用することができる。ポリエステル繊維構造物に
該燐系化合物を含む溶液を付着させる方法については特
に限定されるものではなく、パッディング法、スプレー
法、コーティング法などの方法を採用することができ
る。
内部に繊維重量に対して、0.5〜10.0重量%含有
されていることが好ましく、特に1.0〜9.0重量%
含有されていることが好ましい。0.5重量%未満であ
ると十分な難燃性が得られず、10重量%を越えても難
燃性がさらに向上するものではない。
リエステル系繊維の表面に、さらに変性オルガノシリケ
ートを付着させた繊維構造物である。
主鎖の−(Si−O)n−に炭化水素基を導入させた有
機シロキサンが含まれる、下記化学式[I]および[I
I]で示されるものである。かかる化学式で示される化
合物は、各々が単独で繊維表面に付着していてもよく、
混合された状態でも何ら差し支えない。また、混合され
る割合は特に限定されるものではない。
もよく、あるいは異種であってもよい。かかる有機シロ
キサンは、分子量が1000〜100000であるのが
好ましく、水分除去後にレジン被膜になるものが好まし
く使用される。
量に対して0.1〜5.0重量%付着していることが好
ましい。0.1重量%未満であれば、黒ずみ防汚効果が
十分でなく、また、5.0重量%を越えても防汚効果の
向上程度が小さく、コストアップや風合いの粗硬化をま
ねくことがあり得るためである。
ートが付着した繊維構造物を得る方法は特に制限はない
が、水中あるいは溶剤中に分散させた溶液に繊維構造物
を浸漬し、目標とする付着量になるようにマングル等で
絞り、熱処理する方法が好ましい。
つ必要がなく、本発明でいう防汚効果は単なる繊維表面
の撥水撥油機構で発揮せしめるものではない。
であり、特に白物は、黒ずみ汚れが顕在化し易い。すな
わち、本発明の防汚性繊維構造物は、L値が80以上の
淡色のものについて、より効果を発揮するものであり、
繊維重量に対し1.0重量%以下の染料で染色されたも
の、または、蛍光増白剤で染色されたものにおいて、優
れた防汚効果を発揮する。ここでいう染料は、特に限定
されるものではなく、分散染料、カチオン染料、酸性染
料、反応染料等で染色されたものを使用することができ
る。
されるものではなく、スチルベン系、オキサゾール系、
ナフラルイミド系、クマリン系、ヒラゾリン系蛍光増白
剤などが挙げられる。中でも、オキサゾール系蛍光増白
剤であるNikkabright 8720 V−01
(S)が耐光性が高く好ましい。
ばよく、100〜140℃の浴中で処理する方法や、該
染料、蛍光増白剤含有溶液を該繊維構造物に付与した
後、140〜220℃で熱処理するサーモゾール法など
が採用される。この時、難燃効果を有するかかる臭素含
有燐系化合物を該染料、蛍光増白剤と同時に処理されて
いても何ら問題ない。
ン、レースカーテン、車両用カーテン、車両シート用ハ
ーフカバー等の難燃性、耐光性を必要とするインテリア
用途に好ましく使用することができる。
する。なお、実施例、比較例中の生地はボイルカーテン
(タテ/ヨコ;75D−36F)を用いた。上記生地を
180℃×20秒の生機セットを行い、80℃×10分
の条件で湯洗いを行った後、試験に供した。
の方法で測定した。 <防汚性> 手順1:ポリエチレン袋(20リットル)にJIS Z
8901に規定された試験用ダスト15種を0.7g
と、タテ10cm、ヨコ15cmの試験用サンプルを6
枚入れ、20℃×65%RHの空気で袋を膨らませ10
リットルに調整し、袋を閉める。 手順2:かかるポリエチレン袋をICIピリング試験機
のボックスに入れ10分間回転させる。 手順3:試験用サンプルを取り出し振り払い、表面の余
分な汚れを払い落とし、試験用サンプルのL値を測定す
る(MINOLTA SPECTOROPHOTOME
TER CM−3700d 光源C 2度で測定)。 手順4:試験用サンプルをJIS L 1096(10
3法)で1回洗濯し、乾燥後L値を測定する。 手順5:手順1〜4を3回繰り返す。L値が高いほど、
黒ずみ防汚性が良好といえる。
水洗濯、ドライクリーニング5回したものについてJI
S L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)、J
IS L 1091 D法(コイル法)にて評価した。
ミクロバーナー法では、1分間加熱、着炎後3秒加熱と
もに残炎が3秒以内、残じんが5秒以内、炭化面積は、
30cm2 以内のものを○とした。コイル法において
は、接炎回数が3回以上であるものを○とした。
アルカリ性・第1種洗剤1g/l)、浴比1:40 すすぎ:40±2℃×5分×3回 脱水:遠心脱水2分 乾燥:熱風乾燥60±5℃ 上記を1サイクルとし、計5サイクル行う。
ャージソープ(ノニオン活性剤1g、アニオン活性剤1
g、水0.1ml)0.265g上記を1サイクルと
し、計5サイクル行う。
て、63℃×160時間後、変退色用グレースケールで
判定し、4級以上のものを○、未満のものを×とした。
系蛍光贈白剤を135℃×50分間浴中処理、80℃で
ソーピングした後、乾燥した。次いで表1の変性オルガ
ノシリケートを実施例1においてはTX−10−69A
(共栄社化学(株) 製)、実施例2においてはTSG−
808(高松油脂( 株) 製)、実施例3においてはTX
−10−69AおよびTSG−808の混合液をピック
アップ90%になるように調整し、パッディング後、1
30℃で乾燥、160℃で熱処理を行った。評価結果を
表2に示す。実施例1、2、3共に難燃性、耐光性共に
高い数値を示し、黒ずみ汚れのほとんどない黒ずみ防汚
性に優れた布帛が得られた。
35℃×50分間浴中処理、80℃でソーピングした
後、乾燥した。次いで表1の変性オルガノシリケートを
ピックアップ90%になるように調整し、パッディング
後、130℃で乾燥、160℃で熱処理を行った。評価
結果を表2に示す。難燃性、耐光性共に高い数値を示
し、黒ずみ汚れのほとんどない黒ずみ防汚性に優れた布
帛が得られた。
白剤をピックアップ90%になるように調整し、試験布
をパッディング後、130℃で乾燥し、190℃で熱処
理を行った。次いで表1の変性オルガノシリケートをピ
ックアップ90%になるように調整し、パッディング
後、130℃で乾燥、160℃で熱処理を行った。評価
結果を表2に示す。難燃性、耐光性共に高い数値を示
し、黒ずみ汚れのほとんどない黒ずみ防汚性に優れた布
帛が得られた。
50分間浴中処理した後、乾燥した。評価結果を表2に
示す。耐光性は高い数値を示したが、難燃性が無く、全
体に黒ずみ汚れが見られた。
50分間浴中処理した後、乾燥した。次いで表1の変性
オルガノシリケートをピックアップ90%になるように
調整し、パッディング後、130℃で乾燥、160℃で
熱処理を行った。評価結果を表2に示す。耐光性、黒ず
み防汚性は高い数値を示したが、難燃性は無かった。
系蛍光贈白剤を135℃×50分間浴中処理、80℃で
ソーピングした後、乾燥した。評価結果を表2に示す。
難燃性、耐光性は高い数値を示したが、全体に黒ずみ汚
れが見られた。
ル系蛍光贈白剤をピックアップ90%になるように調整
し、試験布をパッディング後、130℃で乾燥し、19
0℃で熱処理を行った。次いで表1の変性オルガノシリ
ケートをピックアップ90%になるように調整し、パッ
ディング後、130℃で乾燥、160℃で熱処理を行っ
た。評価結果を表2に示す。難燃性は高い数値を示した
が、耐光性が非常に悪く、黒ずみ防汚性を低下させた。
ル系蛍光贈白剤をピックアップ90%になるように調整
し、試験布をパッディング後、130℃で乾燥し、19
0℃で熱処理を行った。次いで表1の変性オルガノシリ
ケートをピックアップ90%になるように調整し、パッ
ディング後、130℃で乾燥、160℃で熱処理を行っ
た。評価結果を表2に示す。難燃性は高い数値を示した
が、耐光性は実施例1に劣り、黒ずみ防汚性を阻害する
ものであった。
ル系蛍光贈白剤をピックアップ90%になるように調整
し、試験布をパッディング後、130℃で乾燥し、19
0℃で熱処理を行った。次いで表1の変性オルガノシリ
ケートをピックアップ90%になるように調整し、パッ
ディング後、130℃で乾燥、160℃で熱処理を行っ
た。評価結果を表2に示す。耐光性は高い数値を示した
が、難燃耐久性を付与できず、黒ずみ防汚性も実施例5
に劣るものであった。
黒ずみ防汚性を兼ね備えた安全かつ清潔な繊維構造物を
提供することができる。
Claims (9)
- 【請求項1】ポリエステル系繊維の単繊維内部に燐系化
合物を含み、かつ、該単繊維表面に下記化学式[I]で
示される変性オルガノシリケートおよび下記化学式[I
I]で示される三官能シロキサンから選ばれた少なくと
も1種を必須構成単位とする変性オルガノシリケートが
付着していることを特徴とする防汚性繊維構造物。 【化1】 【化2】 - 【請求項2】該燐系化合物が、下記化学式[III ]で示
される臭素含有燐系化合物である請求項1記載の防汚性
繊維構造物。 【化3】 - 【請求項3】該燐系化合物が、繊維構造物に難燃性を付
与するものである請求項1または2記載の防汚性繊維構
造物。 - 【請求項4】該臭素含有燐系化合物が、トリス(トリブ
ロモネオペンチル)ホスフェートであることを特徴とす
る請求項2または3記載の防汚性繊維構造物。 - 【請求項5】該燐系化合物が、繊維重量に対して0.5
〜10.0重量%含有されていることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかに記載の防汚性繊維構造物。 - 【請求項6】該変性オルガノシリケートが、繊維重量に
対して0.1〜5.0重量%付着しているものである請
求項1〜5のいずれかに記載の防汚性繊維構造物。 - 【請求項7】該繊維構造物が、L値80以上の淡色物で
ある請求項1〜6のいずれかに記載の防汚性繊維構造
物。 - 【請求項8】該繊維構造物が、繊維重量に対し1.0重
量%以下の染料で染色されているものである請求項7記
載の防汚性繊維構造物。 - 【請求項9】該繊維構造物が、カーテン、レースカーテ
ン、車両用カーテンまたは車両シート用ハーフカバーで
ある請求項1〜8のいずれかに記載の防汚性繊維構造
物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000209512A JP4705227B2 (ja) | 1999-07-12 | 2000-07-11 | 防汚性繊維構造物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018150631A (ja) * | 2017-03-09 | 2018-09-27 | 株式会社川島織物セルコン | 機能性繊維物、機能性繊維物の製造方法、及び、機能剤 |
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-
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- 2000-07-11 JP JP2000209512A patent/JP4705227B2/ja not_active Expired - Lifetime
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