JP2001031774A - 透過型光散乱シート及びその製造方法 - Google Patents

透過型光散乱シート及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001031774A
JP2001031774A JP20568899A JP20568899A JP2001031774A JP 2001031774 A JP2001031774 A JP 2001031774A JP 20568899 A JP20568899 A JP 20568899A JP 20568899 A JP20568899 A JP 20568899A JP 2001031774 A JP2001031774 A JP 2001031774A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
sheet
island
sea
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20568899A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Takemoto
博之 武本
Masanori Hiraishi
政憲 平石
Yoshiyuki Nishida
善行 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP20568899A priority Critical patent/JP2001031774A/ja
Publication of JP2001031774A publication Critical patent/JP2001031774A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射光に拡散性と指向性とを付与可能な光散
乱シートを提供する。 【解決手段】 海ポリマーと、この海ポリマーと屈折率
が0.01〜0.08異なる島ポリマーとで海島構造の
シートを形成する。島ポリマーの平均粒径は0.5〜1
0μm、海ポリマーと島ポリマーとの割合は前者/後者
=70/30〜40/60(重量比)であり、シート厚
みが5〜200μmである。また、島ポリマーの平均粒
子密度は、通常、1〜100(1010個/cm3)程度であ
る。このシートにより、拡散角度5〜50゜に拡散光を
指向できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型液晶表示装
置において、高輝度の画面を表示するために有用な透過
型光散乱シート(フィルム)及びその製造方法並びにそ
のシートを用いた反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(LCD)は、パーソナル
コンピューター(パソコン)、ワードプロセッサ(ワー
プロ)、液晶テレビ、時計、電卓などの電気製品の表示
部に幅広く利用されている。液晶はそれ自体発光しない
ため、時計、電卓などの低輝度用途を除き、裏面から液
晶部を照射するためのバックライトが使用されている。
【0003】最近、インターネットなどの情報通信のイ
ンフラストラクチャーの整備、コンピュータと通信機器
の融合による情報のネットワーク化が進んでいる。ネッ
トワーク化により、情報のアクセスは時間と場所の制約
を受けなくなる。このようなネットワークを効率的に利
用するため、現在、PDA(Personal Digital Assista
nce)などの携帯情報端末が精力的に開発されている。
また、ノート型パソコン(PC)に代えて、さらに薄型で軽
量のモバイル型パソコン(PC)が開発されている。これら
携帯型通信機器は可搬性が求められるため、バッテリ駆
動時間の長時間化と、通信機器の薄型化・小型化とを両
立する必要がある。したがって、これら携帯型通信機器
に用いるディスプレイには、薄型・軽量であり、かつ低
消費電力性であることが求められている。特に、低消費
電力性を達成するため、従来のバックライトを用いる方
法に代えて、自然光を利用して表示部を明るくする方法
が考えられている。このようなディスプレイとして最も
有望視されているのは反射型液晶表示装置である。特
に、今後のマルチメディアの進歩に伴う情報の多様化に
対応するため、カラー化と高精細化が重要であるととも
に、安価な反射型液晶表示装置が求められている。
【0004】反射型液晶表示装置を構成する反射型液晶
表示素子としては、種々の素子が知られているが、カラ
ー化と高精細化には、偏光板を利用するタイプ(一枚偏
光板タイプ)が有利である。例えば、液晶層をHAN
(Hybrid Aligned Nematic)配向させたR−OCBモ
ードは、低電圧性、広視野角性、高速応答性、中間色調
表示性、高コントラスト性などの点で優れた特性を有し
ている。
【0005】このような反射型液晶表示素子を用いる場
合、画面に明るさを付与するため、液晶層に入射する光
(自然光、外部光)を効率的に取り込み(全反射の防
止)、反射板(電極など)で反射し、視認性を妨げない
程度に反射光を散乱し、自然光又は外部光を最大限に利
用する必要がある。また、光散乱シートと偏光板との組
み合わせにより、反射効率を向上できる。
【0006】例えば、特開昭63−228887号公
報、フォトファブリケーションシンポジウム(日本印刷
学会主催)などにおいて、反射型液晶表示装置の基本技
術や、表面凹凸形状を有する金属薄膜を下部電極として
用いることにより全反射を防止し、表示部の視野角を拡
げた液晶表示装置が紹介されている。また、反射型液晶
表示装置では、このような拡散反射板を用いる方式に加
えて、透過型光散乱シートを用いる方式(特公昭61−
8430号公報)が知られている。
【0007】しかし、表示装置をカラー化する場合、偏
光板に加えて、カラーフィルターを用いるため、カラー
表示装置では、反射光がロスする割合が大きく、上記拡
散反射板方式では、表示画面に十分な明るさを付与でき
ない。特に、カラー化においては、拡散光を一定の方向
に指向させる指向型拡散により、高輝度を付与すること
が重要である。拡散反射板方式で指向性を高めるために
は、反射板の凹凸部分の形状及び分布を精密に制御する
必要があり、コスト高となる。
【0008】また、反射光を散乱して高輝度性を付与す
るため、拡散反射板に代えて、透過型光散乱シートを用
いる透過型散乱シートも知られている(特公昭61−8
430号公報)。しかし、透過型光散乱シートに指向性
を付与するためには、ホログラムを利用してシート樹脂
を重合する必要があるなど(1998年日本液晶学会講
演会要旨集)、複雑な製造方法を必要とし、コスト高と
なる。
【0009】一方、低コストの光散乱シートとして、海
島構造を有する光散乱シートが知られている。特開平7
−261171号公報には、屈折率の差が0.05以上
となる2種以上の樹脂、例えば、低屈折率樹脂(フッ素
系樹脂、シリコン系樹脂など)と、高屈折率樹脂(エポ
キシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂など)とを
組み合わせて光散乱層を形成することが開示されてい
る。この文献の実施例において、低屈折率樹脂と高屈折
率樹脂の割合は、前者/後者=10/90(重量比)程
度であり、光散乱層の厚みは4μm程度である。また、
特開平7−98452号公報には、透明樹脂(アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂など)に、この透明樹脂よりも
小さい屈折率を有しかつ粒径0.05〜1μmの微粒子
(フッ素化合物、含フッ素ポリマーなど)を分散した光
散乱層が開示されている。この文献の実施例では、光散
乱層中の微粒子の量は、18〜22重量%程度であり、
光散乱層の厚さは1μm程度であることが記載されてい
る。しかし、これらの方法では、光を散乱できても、散
乱光に指向性を付与できない。
【0010】また、特開平7−27904号公報には、
透明樹脂シートの片面に、平均粒径5〜50μmのプラ
スチックビーズ(ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン
など)と透明樹脂(アクリル樹脂、スチレン樹脂など)
との混合層を積層した光拡散シートが開示されている。
また、プラスチックビーズと透明樹脂との割合は、30
/70〜97/3(重量比)程度であり、混合層の厚み
はプラスチックビーズの平均粒径の1〜2倍程度である
ことが記載されている。また、特開平9−113902
号公報には、ビーズ状の光拡散剤(アクリル、有機シリ
コーン、ポリスチレンなど)10〜150重量部を光透
過性樹脂(ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、セルロース系樹脂など)100重量部
に分散したものを光透過性基材表面にコーティングする
ことにより、凸部面を形成した光拡散フィルムが開示さ
れている。この文献の図面によれば、凸部面は、光透過
性樹脂層の厚さを光拡散剤の粒径より薄くすることで形
成されている。しかし、これらの方法では、基本的に、
透明樹脂により、シート表面にビーズを接着したシート
を用いて光を散乱している。このため、拡散光の分布は
ガウス分布に近く、拡散光に指向性を付与できず、表示
画面の明るさが不十分である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、反射光に拡散性と指向性とを付与可能な光散乱シー
ト(又はフィルム)及びその製造方法並びにそのシート
を用いた反射型LCDを提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、カラー表示装置であ
っても、散乱光の高い指向性により高輝度で表示できる
光散乱シート(又はフィルム)及びその製造方法並びに
そのシートを用いた反射型LCDを提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、海ポリマー中に、こ
の海ポリマーと特定の屈折率差を有し、かつ特定の粒径
を有するポリマーを特定量配合したシートを用いると、
島ポリマー粒子を高密度でシート中に形成でき、拡散光
に指向性を付与できること、特に島ポリマーの平均粒子
密度を特定の範囲に調整すると、拡散光に高い指向性を
付与でき、さらにシート厚みを所定の厚みにすること
で、シートの透明性を損なうことなく、好ましい拡散角
度に指向性を調整できることを見いだし本発明を完成し
た。
【0014】すなわち、本発明の光散乱シートは、海ポ
リマーと、この海ポリマーと屈折率が0.01〜0.0
8異なる島ポリマーとで構成された海島構造を有してお
り、島ポリマーの平均粒径は0.5〜10μm、海ポリ
マーと島ポリマーとの割合は前者/後者=70/30〜
40/60(重量比)であり、シート厚みが5〜200
μmである。透過型光散乱シート。島ポリマーの平均粒
子密度は、例えば、1〜100(1010個/cm3)程度で
ある。このシートは、拡散角度5〜50゜に拡散光を指
向可能であってもよい。海ポリマー及び島ポリマーは、
スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエス
テル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可
塑性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体などから選択
できる。
【0015】本発明には、前記シートの製造方法及び前
記シートを配設した反射型液晶表示装置も含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】[ポリマー]本発明では、海ポリ
マーと、この海ポリマーと異なる屈折率を有する島ポリ
マーとを用いる。このような海ポリマー及び島ポリマー
は、種々のポリマーから適当に選択して使用できる。
【0017】海ポリマー及び島ポリマーを構成する樹脂
としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル
系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹
脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン含有樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、
ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロース誘導体(セ
ルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セル
ロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチ
ルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、
ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレ
ンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル
ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが挙げ
られる。好ましい樹脂には、スチレン系樹脂、(メタ)
アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、セ
ルロース誘導体が含まれる。なお、海ポリマーと島ポリ
マーは、通常、異なる樹脂から構成されており、互いに
非相溶性である。
【0018】スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の
単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレンーα−メチ
ルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合
体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メ
タ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系
単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。
スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アク
リロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メ
タ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタク
リル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メ
タクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体な
ど]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げら
れる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、ス
チレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメ
タクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0019】(メタ)アクリル系樹脂としては、前記
(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メ
タ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が
使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキル;(メタ)
アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリー
ル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートなどのポリヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)ア
クリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなどが例
示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量
体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイ
ン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は単
独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0020】(メタ)アクリル系樹脂としては、例え
ば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル
酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル
−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)など
が挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂として
は、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)
アクリル酸C1-5アルキルが挙げられる。
【0021】ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエ
ステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、
ポリプロピオン酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量
体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−塩化ビ
ニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体など)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビ
ニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニル
アセタール樹脂などが含まれる。
【0022】ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメ
チルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピル
エーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC
1-10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC
1-10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体
(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体な
ど)が挙げられる。
【0023】ハロゲン含有樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重
合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体などが挙げられる。
【0024】オレフィン含有樹脂には、例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体などの共重合体が挙げられる。
【0025】ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノ
ール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族
ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれ
る。
【0026】ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸な
どの芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレートやポ
リC2-4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステ
ル、C2-4アルキレンテレフタレート及び/又はC2-4
ルキレンナフタレート単位を主成分(例えば、50重量
%以上)として含むコポリエステルなど)、アジピン酸
などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル
などが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ε−カプロ
ラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれ
る。
【0027】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン4
6、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族
ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘ
キサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とか
ら得られるポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系
樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又
は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコ
ポリアミドであってもよい。
【0028】セルロース誘導体のうちセルロースエステ
ル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロ
ースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセ
ルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セル
ロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレートなどのC1-6有機
酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロース
フタレート、セルロースベンゾエートなどのC7-12芳香
族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、
リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、
酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルで
あってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカー
バメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメート
など)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチル
セルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースなどのヒドロキシ−C2-4アルキル
セルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなど
のC1-6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロ
ース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキ
ルセルロースなど)も含まれる。
【0029】(海ポリマー)本発明では、海ポリマーと
して、前記樹脂のうち、成型性、製膜性、及び透明性を
有する熱可塑性ポリマーが好適に使用できる。成型性、
製膜性及び透明性を有する樹脂には、例えば、スチレン
系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑
性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体が含まれる。
【0030】海ポリマーの光線透過率は、例えば、85
%以上(85〜95%程度)、好ましくは87%以上
(87〜95%程度)、さらに好ましくは90%以上
(90〜95%程度)であってもよい。
【0031】また、シートの強度や剛性の点から、海ポ
リマーのガラス転移温度は、例えば、50〜300℃程
度、好ましくは80〜250℃程度の範囲から選択でき
る。
【0032】(島ポリマー)本発明では、島ポリマーの
平均粒径が、0.5〜6μm程度、好ましくは0.5〜
5μm程度、さらに好ましくは0.5〜4μm程度(特
に1〜4μm程度)である。平均粒径が0.5μm未満
の場合、後方散乱光の割合が大きくなり過ぎ、自然光が
シート表面で反射するため、LCDの表示画面が白味を
帯びる(白ボケ)。反対に、島ポリマーの平均粒径が1
0μmを超える場合、散乱光の指向性が低下する。
【0033】また、本発明では、島ポリマーとして、前
記海ポリマーと屈折率(nD)が0.01〜0.08程
度、好ましくは0.01〜0.06程度、さらに好まし
くは0.01〜0.04程度異なる島ポリマーを使用す
る。屈折率差が0.01未満だと、光の散乱性が不十分
である。また、屈折率が0.08より大きいと、後方散
乱光の割合が大きくなり過ぎ、LCDの表示画面が白味
を帯びる。なお、島ポリマーの屈折率は、海ポリマーの
屈折率より小さい場合が多い。
【0034】このような島ポリマーを構成する樹脂は、
前記海ポリマー及び島ポリマーを構成可能な樹脂の中か
ら、海ポリマーと屈折率や種類の異なる樹脂を適宜選択
して使用できる。好ましい島ポリマーを構成する樹脂
は、前記好ましい海ポリマーと同様の樹脂から選択でき
る。また、好ましい島ポリマーは、ビニルエステル系樹
脂、ビニルエーテル系樹脂などであってもよい。
【0035】海ポリマーと島ポリマーとの組合せとして
は、次のような具体例を例示できる。
【0036】(1) 海ポリマー:セルロース誘導体[特に、セルロースアセ
テート(nD=1.48)] 島ポリマー:(メタ)アクリル系樹脂[例えば、ポリメ
タクリル酸メチル(n D=1.49)などのポリ(メ
タ)アクリル酸エステル類など]、スチレン系樹脂[例
えば、ポリスチレン;アクリロニトリル−スチレン共重
合体(AS樹脂)などのスチレン共重合体など]など (2) 海ポリマー:スチレン系樹脂[特に、ポリスチレン(n
D=1.595)] 島ポリマー:ポリカーボネート系樹脂[例えば、ビスフ
ェノールA型ポリカーボネート(nD=1.585)な
どの芳香族系ポリカーボネートなど]、海ポリマーと異
なるスチレン系樹脂[例えば、海ポリマーがポリスチレ
ンの場合、スチレン−アクリロニトリル共重合体(nD
=1.57)など]、セルロース誘導体[例えば、エチ
ルセルロースなどのアルキルセルロースなど]など (3) 海ポリマー:ポリエステル系樹脂[特に、ポリエチレン
テレフタレート(nD=1.65)] 島ポリマー:スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン
(nD=1.595);アクリロニトリル−スチレン共
重合体(AS樹脂)(nD=1.58)などのスチレン
共重合体など]など (4) 海ポリマー:(メタ)アクリル系樹脂[特に、ポリ(メ
タ)アクリル酸メチル(nD=1.49)] 島ポリマー:ポリアミド系樹脂[例えば、無定形ナイロ
ン66(nD=1.53)、結晶性ナイロン66(nD
1.475)など] [透過型光散乱シート]本発明の透過型光散乱シート
は、海ポリマーに、特定の屈折率と粒径とを有する島ポ
リマーを、特定濃度で含有している。そして、シート
に、島ポリマー粒子を一定の密度で分散している。この
ようなシートを用いると、散乱光に高い指向性を付与で
きる。一般に、シートの光拡散強度は、光の粒子衝突頻
度、即ち粒子密度とシート厚みとの積により定まる(粒
子散乱理論)とされているものの、拡散光の指向性につ
いては、島ポリマーの屈折率、粒径、濃度(例えば、海
ポリマーと島ポリマーとの割合)などに依存し、島ポリ
マーの粒子密度が大きな影響を及ぼすと思われる。
【0037】海ポリマーと島ポリマーとの割合は、前者
/後者=70/30〜40/60(重量比)程度、好ま
しくは70/30〜45/55(重量比)程度、さらに
好ましくは70/30〜50/50(重量比)程度であ
り、60/40〜40/60(重量比)程度であっても
よい。島ポリマーの割合が小さすぎると、高密度で島ポ
リマー粒子を分散しても、シート中の島ポリマー量が不
十分なため、効果的に光を拡散できない。また、島ポリ
マーの割合が大きすぎる場合、島ポリマーの均一分散性
が低下するため、指向性が著しく低下する。また、シー
ト中の島ポリマー濃度は、例えば、30〜60重量%程
度、好ましくは40〜60重量%程度であってもよい。
【0038】島ポリマーの平均粒子密度は、1〜100
(1010個/cm3)程度、好ましくは4〜80(1010個/c
m3)程度である。平均粒子密度が小さすぎると、散乱光
に指向性を付与できない。また、平均粒子密度が大き過
ぎると、後方散乱光の割合が大きくなりすぎ、自然光が
シート表面で反射する。
【0039】なお、平均粒子密度は、例えば、平均粒径
を測定し、下記式(I)により算出できる。
【0040】 平均粒子密度(個/cm3)=1cm3×Vs/[(4/3)π(Ds×10-4/2)3] (I) (式中、Vsはシート中の島ポリマーの割合(体積基
準)を、πは円周率を、Dsは島ポリマーの粒径(μm)
を示す) 前記式において、島ポリマーの割合Vsは、例えば、シ
ートが島ポリマーと海ポリマーと、必要に応じて他の成
分(例えば、後述する相溶化剤などの添加剤など)で構
成されている場合、下記式(II)で表される。
【0041】 Vs=[Ws/ρs]/[Ws/ρs+Wu/ρu+Wo/ρo] (II) (式中、Ws、Wu及びWoは、それぞれ、島ポリマー、
海ポリマー、及び他の成分のシート中の割合(重量百分
率)を示す。ρs、ρu及びρoは、それぞれ、島ポリマ
ー、海ポリマー、及び他の成分の密度を示す。) そして、本発明の透過型光散乱シートは、特定のシート
厚みに調整されている。シート厚みを調整することで、
シートの光透過性を維持しつつ、拡散光の指向性を調整
できる。シートの厚さは、例えば、5〜200μm程
度、好ましくは10〜150μm程度、さらに好ましく
は30〜120μm程度である。なお、シート厚みは、
島ポリマーの平均粒径に対して、例えば、5〜200倍
程度(長さ基準)、好ましくは10〜150倍程度であ
ってもよい。
【0042】このようなシートを用いると、拡散光を、
通常、拡散角度5〜50゜程度、好ましくは10〜40
゜程度、さらに好ましくは10〜30゜程度の範囲に指
向化できる。拡散光が指向する角度が5゜未満の場合、
指向性が不十分であり、広い視野角に亘って明るい画面
を表示できない。また、拡散光が指向する角度が60゜
を超える場合、後方散乱光の割合が大きくなりすぎ、L
CDの表示画面が白くなる。
【0043】なお、拡散光が指向しているか否かは、シ
ートにより拡散された光の強度(拡散強度)を拡散角度
に対してプロットしたときに、プロット曲線が、特定の
拡散角度の範囲でショルダー又は極大値を有しているか
否かにより判断できる。
【0044】透過型光散乱シートの全光線透過率は、例
えば、85%以上(85〜95%程度)、好ましくは9
0%以上(90〜95%程度)である。
【0045】なお、透過型光散乱シートは、島ポリマー
の分散性を向上するために、相溶化剤を含有していても
よい。相溶化剤の割合は、海ポリマーと島ポリマーの総
量100重量部に対して、例えば、1〜20重量部程
度、好ましくは2〜10重量部程度である。
【0046】相溶化剤としては、海ポリマーと島ポリマ
ーとの組み合わせに応じて使用でき、例えば、オキサゾ
リン化合物、変性樹脂(例えば、カルボキシル基、酸無
水物基、エポキシ基、オキサゾリン基などから選択され
た少なくとも一種の変性基で変性された変性樹脂な
ど)、ブロック又はグラフト共重合体(アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、水
素化スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、
水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、水素化(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレ
ン)ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン(SB)
ブロック共重合体やABS樹脂のエポキシ化物(ダイセ
ル化学工業(株)製 エポフレンドなど))などが例示
できる。相溶化剤は、通常、ポリマーブレンド系の構成
樹脂と同一又は類似の成分を有するブロック又はグラフ
ト共重合体、ポリマーブレンド系の構成樹脂と親和性を
有する成分を含むブロック又はグラフト共重合体などが
使用される。
【0047】また、透過型光散乱シートは、他の添加
剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱
安定剤など)、可塑剤、着色剤(染料や顔料)、難燃
剤、帯電防止剤、界面活性剤などを含有していてもよ
い。
【0048】透過型光散乱シートの表面には種々の塗布
剤、例えば、帯電防止剤、防曇剤(ショ糖脂肪酸エステ
ル、グリコール脂肪酸エステル、ポリグリコール脂肪酸
エステルなど)、離型剤などを塗布してもよい。
【0049】なお、本発明の透過型光散乱シートは、基
材フィルム(セルローストリアセテートフィルムなど)
の少なくとも一方の面に積層されていてもよい。
【0050】このような透過型光散乱シートは、前記海
ポリマーと島ポリマーとを含む樹脂混合物を慣用の方
法、例えば、キャスティング法、溶融押出法などにより
成形することにより製造できる。
【0051】キャスティング法としては、例えば、海ポ
リマー(セルロース誘導体(セルローストリアセテート
など))の溶液と、この溶液に対して不溶性の島ポリマ
ー粒子(ビーズ状)((メタ)アクリル系樹脂(ポリメ
タクリル酸メチルなど))との混合物を流延する方法、
海ポリマーの溶液と、この溶液に対して非相溶性の島ポ
リマーの溶液との混合物(液−液相分離状態)を流延す
る方法などが挙げられる。
【0052】なお、前記海ポリマーの溶液又は島ポリマ
ーの溶液は、例えば、海ポリマー又は島ポリマーを有機
溶媒(ケトン類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、
アルコール類、又はこれらの混合物など)に溶解するこ
とにより得ることができる。
【0053】溶融押出法としては、海ポリマー(ポリエ
ステル系樹脂(非晶性ポリエチレンテレフタレートな
ど))と、海ポリマーに対して非相溶性の島ポリマー
(スチレン系樹脂(ポリスチレンなど))を溶融混練し
て成形する方法(Tダイ法など)が挙げられる。 [反射型LCD]本発明の透過型光散乱シートは、反射
手段と偏光手段とを備えた反射型LCDに適用できる。
例えば、異なる偏光性を有する2つの偏光板を用いた偏
光板2枚方式の反射型LCD、1つの偏光板を用いた偏
光板1枚方式の反射型LCDなどに適用できる。偏光板
1枚方式の反射型LCDは、例えば、1枚の偏光板と、
種々のモード(ツイストネマチック液晶を用いたモー
ド、R−OCB(OpticallyCompensated Bend) モー
ド、平行配向モードなど)とを組み合わせた反射型LC
Dであってもよい。
【0054】図1は、反射型LCDを説明するための概
略断面図である。図1の反射型LCDは、一対の透明基
板3(ガラス板など)の間に封入された液晶4(液晶層
など)を備えた液晶セル6において、一方の透明基板に
は、入射光を反射するための反射手段5(例えば、鏡面
反射板などの反射層)が積層されている。また、液晶セ
ル6の他方の透明基板には、カラー表示のためのカラー
化手段8(カラーフィルターなど)を介して、本発明の
透過型光散乱シート2が積層されている。また、透過型
光散乱シート2の他方の面には、反射光を偏光するため
の偏光手段1(偏光板などの偏光層)が積層されてい
る。なお、反射型LCDをモノクロ表示に使用する場
合、前記カラー化手段8は必ずしも必要ではない。
【0055】このような反射型LCDにおいて、観察者
側のフロント面7から入射した光(入射光)は、反射手
段5で反射され、再度透過型光散乱シート2により拡散
される。本発明の透過型光散乱シートを用いて反射型L
CDを構成すると、反射光に拡散性を付与しながら、散
乱光を一定の方向に指向させることができるため、画面
表示を明るくすることができる。さらに、カラー表示で
あっても十分な明るさを確保できるので、カラー反射型
液晶表示装置において鮮明なカラー画像を表示できる。
【0056】本発明の透過型光散乱シートを用いると、
散乱光に高い指向性を付与できるため、広い視野角に亘
り高輝度表示できる。このため、反射型LCD、特に携
帯型情報機器のカラー型液晶表示装置に好適に利用でき
る。
【0057】
【発明の効果】本発明によると、海ポリマーと島ポリマ
ーとを特定の割合で配合して、特定厚みのシートを形成
するため、反射光に高い拡散性と指向性とを付与でき
る。このため、このシートをカラー表示装置に用いる
と、散乱光の高い指向性により高輝度で表示できる。
【0058】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0059】実施例1 海ポリマーとしてセルローストリアセテート(TAC、
ダイセル化学工業(株)製 LT−105)60重量部
を塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比)の混合
溶媒900重量部に溶解した。この溶液に島ポリマーと
して架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(PMMA、積
水化成工業社製、MBX−2AB)40重量部を加え、
混練し、流延し、100℃で10分間乾燥することによ
りシート厚み50μmのシートを得た。得られたシート
を光学顕微鏡で観察したところ、島ポリマーの平均粒径
は2.5μmであった。
【0060】実施例2 海ポリマー(TAC)を50重量部、島ポリマー(PM
MA)を50重量部用いる以外は、実施例1と同様にし
た。得られたシートを光学顕微鏡で観察したところ、島
ポリマーの平均粒径は2.5μmであった。
【0061】比較例1 海ポリマー(TAC)を80重量部、島ポリマー(PM
MA)を20重量部用い、シート厚みを100μmにす
る以外は、実施例1と同様にした。得られたシートを光
学顕微鏡で観察したところ、島ポリマーの平均粒径は
2.5μmであった。
【0062】比較例2 海ポリマー(TAC)を75重量部、島ポリマー(PM
MA)を25重量部用い、シート厚みを105μmにす
る以外は、実施例1と同様にした。得られたシートを光
学顕微鏡で観察したところ、島ポリマーの平均粒径は
2.5μmであった。
【0063】比較例3 海ポリマー(TAC)50重量部と、島ポリマーとし
て、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(ベン
ゾグアナミン樹脂の硬化樹脂球状微粉体、日本触媒
(株)製、MS)50重量部とを用いる以外は、比較例
1と同様にした。得られたシートを光学顕微鏡で観察し
たところ、島ポリマーの平均粒径は2μmであった。
【0064】比較例4 シート厚みを8μmにする以外は、比較例3と同様にし
た。得られたシートを光学顕微鏡で観察したところ、島
の平均粒径は2μmであった。
【0065】実施例1、2及び比較例1〜4で得られた
シートの平均粒子密度及び光の粒子衝突頻度(=平均粒
子密度×シート厚み)を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】(指向性1)得られた光拡散シートを用い
て、図2の反射型LCDモデル装置を構成した。正面方
向から垂直にレーザー光(NIHON KAGAKU
ENG NEO−20MS)を照射し、拡散角度θ1に
対応する反射光の強度(拡散強度)を測定した。測定結
果を図4に示す。図4から明らかなように、比較例のシ
ートに比べ、実施例のシートは、拡散角度11〜14゜
付近に拡散光が指向している。
【0068】なお、粒子散乱理論においては、光が粒子
分散シートに入射し、通過するまでに、粒子に衝突する
頻度(=平均粒子密度×シート厚み)が同じであれば、
光の拡散強度は同じになる。しかし、実施例1のシート
と比較例1のシートとは、衝突頻度因子(=平均粒子密
度×シート厚み)がほぼ同じであるに関わらず、実施例
1のシートは比較例1のシートに比べ11°付近に強い
拡散強度を有している。同様に、実施例2のシートと比
較例2のシートも、衝突頻度(=平均粒子密度×シート
厚み)はほぼ同じであるにも拘わらず、実施例2のシー
トは比較例2のシートに比べ、12°付近に強い拡散強
度を有している。 (指向性2)図2と同様の反射型LCDモデル装置を構
成し、斜め方向からスポットライト白色光を照射し、垂
直方向に反射する光の強度を測定した(図3)。入射角
度(拡散角度θ2)に対応する垂直方向の反射光の強度
を以下の基準に従って評価した。
【0069】 ○:比較例1のシートより明るい △:比較例1のシートと同程度の明るさ ×:比較例1のシートより暗い 結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】表2から明らかなように、実施例の透過型
光拡散シートは、比較例のシートに比べ、拡散角度(入
射角度)15゜付近に、拡散光が指向している。このた
め、広い拡散角度に亘って、高輝度表示できる。
【0072】実施例3 海ポリマーとしてのポリエチレンテレフタレート系コポ
リマー(東洋紡(株)製、PET−G)63重量部と、
島ポリマーとしてのポリスチレン(ダイセル化学工業
(株)製、GPPS#30)30重量部と、相溶化剤
(ダイセル化学工業(株)製、エポフレンドAT20
2)7重量部とを混練機(TOYOSEIKI LABO PLASTOMIL
L)で、220℃で混練し、押し出してペレットを得
た。このペレットを240℃で熱プレスし、厚み100
μmのシートを得た。シートを顕微鏡で観察したとこ
ろ、微粒子の平均直径は1μmであった。
【0073】比較例5 海ポリマー(PET−G)を78.2重量部、島ポリマ
ー(GPPS#30)を13重量部、相溶化剤(エポフ
レンドAT202)を8.8重量部用い、シート厚みを
200μmにする以外は、実施例3と同様にしてシート
を得た。シートを顕微鏡で観察したところ、微粒子の平
均直径は1μmであった。
【0074】実施例3および比較例5で得られたシート
を、実施例1、2および比較例1〜4と同様にして評価
した(指向性2)。結果を表3及び表4に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】表から明らかなように、実施例の透過型光
拡散シートでは、比較例のシートと衝突頻度因子(=平
均粒子密度×シート厚み)が同程度であるにも拘わら
ず、拡散角度(入射角度)20゜付近に、拡散光が指向
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の透過型LCDを説明するための
概略断面図である。
【図2】図2は透過型光散乱シートの指向性の評価方法
を説明するための概略図である。
【図3】図3は透過型光散乱シートの指向性の他の評価
方法を説明するための概略図である。
【図4】図4は実施例における透過型光散乱シートの指
向性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…偏光手段 2…透過型光散乱シート 3…ガラス版 4…液晶 5…反射手段 6…液晶セル
フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 BA02 BA15 BA20 4F071 AA09 AA12 AA13 AA15 AA20 AA22 AA22X AA24 AA24X AA25 AA26 AA28 AA28X AA29 AA29X AA30 AA32X AA33 AA33X AA34 AA34X AA36X AA43 AA44 AA45 AA46 AA50 AA51 AA53 AA54 AA55 AA64 AA67 AD02 AF29 AF31 AH19 BA01 BA02 BB02 BB06 BC01 BC12 4J002 AB02W AB02X AB03W AB03X AC03W AC03X AC06W AC06X AC07W AC07X AC08W AC08X BB03W BB03X BB06W BB06X BB07W BB07X BB08W BB08X BB12W BB12X BC03W BC03X BC06W BC06X BC07W BC07X BC08W BC08X BC09W BC09X BD04W BD04X BD08W BD08X BD09W BD09X BD10W BD10X BD14W BD14X BE02W BE02X BE03W BE03X BE04W BE04X BE06W BE06X BF01W BF01X BF02W BF02X BG03W BG03X BG04W BG04X BG05W BG05X BG06W BG06X BG07W BG07X BG10W BG10X BH01X BH011 BH02W BH02X CD19W CD19X CF03W CF03X CF05W CF05X CF06W CF06X CF07W CF07X CF08W CF08X CF19W CF19X CG01W CG01X CH07 CH07W CK02W CK02X CL01W CL01X CL03W CL03X CL05W CL05X CN03W CN03X CP03W CP03X FD020 FD050 FD060 FD070 FD090 FD100 FD130 FD310

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海ポリマーと、この海ポリマーと屈折率
    が0.01〜0.08異なる島ポリマーとで構成された
    海島構造を有するシートであって、島ポリマーの平均粒
    径が0.5〜10μm、海ポリマーと島ポリマーとの割
    合が前者/後者=70/30〜40/60(重量比)で
    あり、シート厚みが5〜200μmである透過型光散乱
    シート。
  2. 【請求項2】 拡散角度5〜50゜に拡散光を指向可能
    な請求項1記載の透過型光拡散シート。
  3. 【請求項3】 島ポリマーの平均粒子密度が1〜100
    (1010個/cm3)である請求項1記載の透過型光散乱シ
    ート。
  4. 【請求項4】 海ポリマー及び島ポリマーが、スチレン
    系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹
    脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
    ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリ
    ウレタン樹脂、及びセルロース誘導体から選ばれた少な
    くとも一種である請求項1又は2記載の透過型光散乱シ
    ート。
  5. 【請求項5】 海ポリマーと、この海ポリマーと屈折率
    が0.01〜0.06異なる島ポリマーとで構成された
    海島構造を有するシートであって、島ポリマーの平均粒
    径が0.5〜4μm、海ポリマーと島ポリマーとの割合
    が前者/後者=70/30〜50/50(重量比)、島
    ポリマーの平均粒子密度が4〜80(1010個/cm3)で
    あり、シート厚みが20〜150μmである請求項1記
    載の透過型光散乱シート。
  6. 【請求項6】 海ポリマーと、この海ポリマーと屈折率
    が0.01〜0.2異なりかつ平均粒径が1〜10μm
    である島ポリマーとを、割合(海ポリマー/島ポリマ
    ー)70/30〜40/60(重量比)で含む樹脂組成
    物を、厚み5〜200μmにシート成形する透過型光散
    乱シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 液晶が封入された液晶セルの一方の面に
    入射光を反射するための反射手段が配設され、他方の面
    に反射光を偏光するための偏光手段が配設された反射型
    液晶表示装置において、偏光手段と液晶セルとの間に請
    求項1記載の透過型光散乱シートが配設されている反射
    型液晶表示装置。
JP20568899A 1999-07-21 1999-07-21 透過型光散乱シート及びその製造方法 Pending JP2001031774A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20568899A JP2001031774A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 透過型光散乱シート及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20568899A JP2001031774A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 透過型光散乱シート及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001031774A true JP2001031774A (ja) 2001-02-06

Family

ID=16511070

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20568899A Pending JP2001031774A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 透過型光散乱シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001031774A (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002086562A1 (en) * 2001-04-20 2002-10-31 Clariant International Ltd. Optical film having controlled scattering/transmitting characteristics
WO2002103414A1 (en) * 2001-06-15 2002-12-27 Daicel Chemical Industries, Ltd. Transmission light-diffusing layer
JP2003012859A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Konica Corp セルロースエステルフィルム、偏光板用保護フィルム及び偏光板
US6881473B2 (en) * 2000-12-12 2005-04-19 Toray Industries, Inc. Light diffusing film and method for preparation thereof
US6917396B2 (en) 2001-06-01 2005-07-12 Daicel Chemical Industries, Ltd. Light diffusion film, plane light source device and liquid crystal display apparatus for enhancing a constant luminance and diffusing a light
JP2005338681A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Toppan Printing Co Ltd 光拡散シート、その光拡散シートを備えたレンチキュラーシートおよび透過型スクリーン
US7356231B2 (en) 2005-02-28 2008-04-08 3M Innovative Properties Company Composite polymer fibers
US7356229B2 (en) 2005-02-28 2008-04-08 3M Innovative Properties Company Reflective polarizers containing polymer fibers
US7362943B2 (en) 2005-02-28 2008-04-22 3M Innovative Properties Company Polymeric photonic crystals with co-continuous phases
US7386212B2 (en) 2005-02-28 2008-06-10 3M Innovative Properties Company Polymer photonic crystal fibers
US7406239B2 (en) 2005-02-28 2008-07-29 3M Innovative Properties Company Optical elements containing a polymer fiber weave
DE112008002087T5 (de) 2007-08-02 2010-06-10 Daicel Chemical Industries, Ltd., Osaka-shi Lichtstreuende Folie und damit ausgestattete Vorrichtung
US7773834B2 (en) 2006-08-30 2010-08-10 3M Innovative Properties Company Multilayer polarizing fibers and polarizers using same
TWI398476B (zh) * 2006-07-25 2013-06-11 Nippon Steel & Sumikin Chem Co A light diffusing board resin composition and a light diffusion plate
JP2019089963A (ja) * 2017-11-16 2019-06-13 ダイセルポリマー株式会社 樹脂組成物
JP2023004814A (ja) * 2021-06-30 2023-01-17 南亞塑膠工業股▲分▼有限公司 耐衝撃ポリエステル材料
JP7491278B2 (ja) 2021-09-07 2024-05-28 株式会社豊田中央研究所 サーモクロミック樹脂組成物

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6881473B2 (en) * 2000-12-12 2005-04-19 Toray Industries, Inc. Light diffusing film and method for preparation thereof
WO2002086562A1 (en) * 2001-04-20 2002-10-31 Clariant International Ltd. Optical film having controlled scattering/transmitting characteristics
US7154672B2 (en) 2001-04-20 2006-12-26 Tomoegawa Co., Ltd. Optical film having controlled scattering/transmitting characteristics
US6917396B2 (en) 2001-06-01 2005-07-12 Daicel Chemical Industries, Ltd. Light diffusion film, plane light source device and liquid crystal display apparatus for enhancing a constant luminance and diffusing a light
WO2002103414A1 (en) * 2001-06-15 2002-12-27 Daicel Chemical Industries, Ltd. Transmission light-diffusing layer
US6856365B2 (en) 2001-06-15 2005-02-15 Daicel Chemical Industries, Ltd. Transmissive light-diffusing layer
KR100891813B1 (ko) 2001-06-15 2009-04-07 다이셀 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 투과형 광확산층
JP2003012859A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Konica Corp セルロースエステルフィルム、偏光板用保護フィルム及び偏光板
JP2005338681A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Toppan Printing Co Ltd 光拡散シート、その光拡散シートを備えたレンチキュラーシートおよび透過型スクリーン
US7362943B2 (en) 2005-02-28 2008-04-22 3M Innovative Properties Company Polymeric photonic crystals with co-continuous phases
US7738763B2 (en) 2005-02-28 2010-06-15 3M Innovative Properties Company Composite polymer fibers
US7386212B2 (en) 2005-02-28 2008-06-10 3M Innovative Properties Company Polymer photonic crystal fibers
US7406239B2 (en) 2005-02-28 2008-07-29 3M Innovative Properties Company Optical elements containing a polymer fiber weave
US7356231B2 (en) 2005-02-28 2008-04-08 3M Innovative Properties Company Composite polymer fibers
US7526164B2 (en) 2005-02-28 2009-04-28 3M Innovative Properties Company Reflective polarizers containing polymer fibers
US7356229B2 (en) 2005-02-28 2008-04-08 3M Innovative Properties Company Reflective polarizers containing polymer fibers
TWI398476B (zh) * 2006-07-25 2013-06-11 Nippon Steel & Sumikin Chem Co A light diffusing board resin composition and a light diffusion plate
US7773834B2 (en) 2006-08-30 2010-08-10 3M Innovative Properties Company Multilayer polarizing fibers and polarizers using same
DE112008002087T5 (de) 2007-08-02 2010-06-10 Daicel Chemical Industries, Ltd., Osaka-shi Lichtstreuende Folie und damit ausgestattete Vorrichtung
JP2019089963A (ja) * 2017-11-16 2019-06-13 ダイセルポリマー株式会社 樹脂組成物
JP7051380B2 (ja) 2017-11-16 2022-04-11 ダイセルポリマー株式会社 樹脂組成物
JP2023004814A (ja) * 2021-06-30 2023-01-17 南亞塑膠工業股▲分▼有限公司 耐衝撃ポリエステル材料
JP7491278B2 (ja) 2021-09-07 2024-05-28 株式会社豊田中央研究所 サーモクロミック樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6723392B1 (en) Light scattering sheet, light scattering composite sheet, and liquid crystal display
JP2001031774A (ja) 透過型光散乱シート及びその製造方法
US6788368B2 (en) Transmission light-scattering layer sheet and liquid crystal display
JP2002267812A (ja) 光散乱フィルム及びそれを用いた液晶表示装置
JP4709372B2 (ja) 光散乱シートおよび液晶表示装置
JP4709520B2 (ja) 防眩性フィルム
US20020154260A1 (en) Light-scattering sheets and liquid crystal display devices
US6856365B2 (en) Transmissive light-diffusing layer
JP4115030B2 (ja) 透過型光散乱シート及びその製造方法
JP3559505B2 (ja) 透過型光散乱シート
JP4384300B2 (ja) タッチパネル及びそれを用いた表示装置
JP4435362B2 (ja) 光散乱シート、光散乱性複合シート及び液晶表示素子
JP4756755B2 (ja) 透過型光散乱シートおよび液晶表示装置
JP2002148610A (ja) 反射型液晶表示装置
JP2001305301A (ja) 光学用コーティングフィルム及び液晶表示素子
KR20040085622A (ko) 백라이트 유니트용 반사필름
JPH11160506A (ja) 反射板、半透過反射板および光学装置
JP2015208864A (ja) 二軸延伸積層ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060317

A977 Report on retrieval

Effective date: 20080929

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081014

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090224