JP2000178429A - 制振性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

制振性熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2000178429A
JP2000178429A JP10355982A JP35598298A JP2000178429A JP 2000178429 A JP2000178429 A JP 2000178429A JP 10355982 A JP10355982 A JP 10355982A JP 35598298 A JP35598298 A JP 35598298A JP 2000178429 A JP2000178429 A JP 2000178429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
block
weight
component
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10355982A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Kikuchi
清治 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP10355982A priority Critical patent/JP2000178429A/ja
Publication of JP2000178429A publication Critical patent/JP2000178429A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 制振性に優れるとともに、機械的強度、耐熱
性、成形加工性に優れる制振性熱可塑性樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】 (a−1)芳香族ポリカーボネート樹脂
40〜100重量%及び(a−2)、スチレン系樹脂、
ポリエステル樹脂等から選択される1種または2種以上
の熱可塑性樹脂60〜0重量%の合計100重量%から
なる熱可塑性樹脂(A成分)70〜96重量%、(b−
1)ビニル芳香族化合物成分からなり数平均分子量2,
500〜40,000のブロック、及び(b−2)共役
ジエン系化合物成分からなり数平均分子量10,000
〜200,000で、数平均分子量が30,000〜3
00,000である制振性ブロック共重合体(B成分)
3〜20重量%、並びにポリエステル−スチレン系エラ
ストマーブロック共重合体(C成分)1〜10重量%か
らなり、且つA成分、B成分及びC成分の合計が100
重量%からなる制振性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制振性熱可塑性樹
脂組成物に関する。更に詳しくは芳香族ポリカーボネー
ト樹脂、特定の制振性ブロック共重合体、ポリエステル
−スチレン系エラストマーブロック共重合体からなり、
機械的特性、耐熱性、成形加工性及び制振性能に優れた
制振性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は衝撃強度
・耐熱性に優れ、機械部品、自動車部品、電気・電子部
品などの多くの用途に用いられている。近年、OA機器
の高速化に伴い各種機構部品の剛性あるいは耐熱性向上
のみならず駆動系より生じる振動源に対しての制振化要
求が高くなっており、芳香族ポリカーボネートの樹脂組
成物においても制振性の付与が要求されている。
【0003】一般に、熱可塑性樹脂に制振性を付与する
方法としては、例えば、ABS樹脂等のスチレン系樹脂
に制振性を付与する方法として、特開平3−45646
号公報にビニル芳香族化合物成分からなるブロックとイ
ソプレン及び/またはブタジエン成分からなるブロック
よりなるブロック共重合体をブレンドする方法が知られ
ている。しかしながら芳香族ポリカーボネート樹脂に、
かかるブロック共重合体を配合しても、相互の相溶性が
不良であるため機械的特性に劣り、実用上十分なものは
得られない。
【0004】また、特開平8−12832号公報におい
ては、熱可塑性ポリエステル樹脂にABS樹脂等の樹
脂、及びビニル芳香族化合物成分からなるブロックとイ
ソプレン及び/またはブタジエン成分からなるブロック
よりなるブロック共重合体をブレンドし、制振性と機械
的特性のバランスに優れた樹脂組成物が得られることが
記載されている。しかしながら、かかる記載に基づき熱
可塑性ポリエステル樹脂の代わりにポリカーボネート樹
脂を使用しても、やはり相溶性が悪いため得られる組成
物の機械的強度が低い等の問題がある。
【0005】これらの問題を解決する手段としては、特
開平5−202287号公報において芳香族ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱
可塑性樹脂及び制振性を付与するブロック共重合体から
なる樹脂組成物に、更にカルボキシルあるいはエポキシ
基のような熱可塑性樹脂と反応性を有する官能基が結合
した変性重合体を配合する方法が提案されている。しか
しながら、かかる場合には、変性重合体と芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の反応性は、ポリエステル樹脂やポリア
ミド樹脂に比較して乏しいため、その機械的特性の向上
効果はわずかであり、未だ実用的に十分とはいえないも
のである。
【0006】一方、芳香族ポリカーボネート樹脂と相溶
性が良好な制振性を付与するエラストマーとしては、特
開平6−23904号公報において芳香族ポリカーボネ
ート樹脂にポリエステルエラストマーを配合する方法な
どが知られている。しかしながら、かかる場合には、相
溶性が高すぎるため、芳香族ポリカーボネートの重要な
特性の1つである耐熱性が大幅に低下するとの欠点を有
するものであった。
【0007】すなわち、芳香族ポリカーボネート樹脂を
含有する樹脂組成物において、制振性、機械的特性、耐
熱性等を十分満足させるものは未だ得られていないのが
現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、制振
性に優れるとともに、機械的強度、耐熱性、成形加工性
に優れる制振性熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ね
た結果、芳香族ポリカーボネート樹脂及び制振性を付与
する特定の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体
からなる樹脂組成物にポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体を配合した樹脂組成物が機械的
特性、耐熱性、成形加工性及び制振性能に優れることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a−1)芳
香族ポリカーボネート樹脂40〜100重量%及び(a
−2)ポリスチレン樹脂、シアン化ビニル化合物及び芳
香族ビニル化合物からなる成分を含有する共重合体、ポ
リエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、
ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、及び
ポリイミド樹脂から選択される1種または2種以上の熱
可塑性樹脂60〜0重量%の合計100重量%からなる
熱可塑性樹脂(A成分)70〜96重量%、(b−1)
ビニル芳香族化合物成分からなり数平均分子量2,50
0〜40,000のブロック、及び(b−2)共役ジエ
ン系化合物成分からなり数平均分子量10,000〜2
00,000で、ガラス転位温度が−30℃〜30℃の
範囲にあるブロックからなり、数平均分子量が30,0
00〜300,000である制振性ブロック共重合体
(B成分)3〜20重量%、並びにポリエステル−スチ
レン系エラストマーブロック共重合体(C成分)1〜1
0重量%からなり、且つA成分、B成分及びC成分の合
計が100重量%からなる制振性熱可塑性樹脂組成物に
関するものである。
【0010】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
に使用されるA成分において(a−1)として使用する
芳香族ポリカーボネート樹脂(以下単に(a−1)と略
称することがある)とは、二価フェノールとカーボネー
ト前駆体とを溶液法あるいは溶融法で反応させて製造さ
れる芳香族ポリカーボネート樹脂である。二価フェノー
ルの代表的な例を挙げると、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ビス(4−ヒ
ドロキシジフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン等
が挙げられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールAを
主原料とするものである。
【0011】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステルまたはハロホルメート等が
挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、二価フェノールのジハロホルメート及びそれらの混
合物である。ポリカーボネート樹脂を製造するに当た
り、前記二価フェノールを単独で使用してもまたは2種
以上を使用してもよい。また、適当な分子量調節剤、分
岐剤、反応を促進するための触媒等も使用できる。芳香
族ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分
子量が10,000未満であると耐衝撃性等が低下し、
50,000を超えると成形加工性が低下するようにな
るので、粘度平均分子量で表して10,000〜50,
000のものが好ましく、15,000〜30,000
のものが特に好ましい。また、芳香族ポリカーボネート
樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本発明でい
う粘度平均分子量は塩化メチレン100mlに芳香族ポ
リカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液か
ら求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求める。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c (但し
[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0012】次に芳香族ポリカーボネート樹脂を製造す
る基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物
質としてホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及
び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例
えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金
属の水酸化物、またはピリジン等のアミン化合物が用い
られる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロ
ベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反
応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウ
ム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として
は例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール
のようなアルキル置換フェノール及び4−(2−フェニ
ルイソプロピル)フェノールのようなアルアルキル置換
フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反
応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反
応中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚、結果と
して得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構
造を有する必要はない。
【0013】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
ス雰囲気下に所定割合の二価フェノール成分及び必要に
応じて分岐剤等を炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌し
て、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させ
る方法により行われる。反応温度は生成するアルコール
またはフェノール類の沸点等により異なるが、通常12
0〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧に
して生成するアルコールまたはフェノール類を留出させ
ながら反応を完結させる。また反応を促進するために、
アルカリ金属化合物や含窒素塩基性化合物等の現在公知
のエステル交換反応に使用される触媒を使用することも
できる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエス
テルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフ
チルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチ
ルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフ
ェニルカーボネートが好ましい。また末端停止剤として
ジフェニルカーボネートやメチル(2−フェニルオキシ
カルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレート等を、反
応の初期段階でまたは反応の途中段階で添加すること、
及び反応終了直前に従来公知の各種触媒失活剤を添加す
ることも好ましく行われる。
【0014】更に本発明のA成分においては(a−2)
を使用することも可能である。A成分において使用する
(a−2)とは、ポリスチレン樹脂、シアン化ビニル化
合物及び芳香族ビニル化合物からなる成分を含有する共
重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
アリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエー
テル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリエー
テルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルエー
テルケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール
樹脂、及びポリイミド樹脂から選択される1種または2
種以上の熱可塑性樹脂をいう(以下単に(a−2)と略
称することがある)。中でもA成分〜C成分からなる樹
脂組成物全体の相溶性の観点から、特にシアン化ビニル
化合物及び芳香族ビニル化合物からなる成分を含有する
共重合体、並びにポリエステル樹脂が本発明の目的を達
成する上で好ましく使用できる。
【0015】本発明の(a−2)として使用するシアン
化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる成分を
含有する共重合体とは、シアン化ビニル化合物と芳香族
ビニル化合物との共重合体の他、必要に応じてこれらと
共重合可能な他のビニル単量体、及びゴム質重合体より
選ばれる1種以上を共重合して得られる共重合体を挙げ
ることができる。
【0016】(a−2)に使用するシアン化ビニル化合
物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
を挙げることができ、特にアクリロニトリルが好まし
い。
【0017】(a−2)に使用する芳香族ビニル化合物
としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチ
ルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノ
ブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレ
ン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体を挙げるこ
とができ、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく
使用でき、特にスチレンが好ましい。尚、これらは単独
または2種以上のいずれも用いることができる。
【0018】前記シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニ
ル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、フ
ェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリ
ル酸のアリールエステル、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレー
ト等のアクリル酸のアルキルエステル、フェニルメタク
リレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸ア
リールエステル、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレ
ート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシル
メタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、グ
リシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリル
酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタ
ル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸及びそ
の無水物が挙げられる。
【0019】前記シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニ
ル化合物と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブ
タジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンのラ
ンダム共重合体及びブロック共重合体、アクリロニトリ
ル・ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステル
またはメタクリル酸アルキルエステル及びブタジエンの
共重合体、ブタジエン・イソプレン共重合体等のジエン
系共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体及
びブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重
合体及びブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィ
ンとの共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重
合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等のエチ
レンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪族ビニルと
の共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重
合体等のエチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリ
マー、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、及び
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互
に絡み合った構造を有している複合ゴム(以下IPN型
ゴム)等が挙げられる。
【0020】かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビ
ニル化合物からなる成分を含有する共重合体としては、
例えばアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合
体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニ
トリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹
脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重
合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロ
ピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、アク
リロニトリル・アクリル−ブタジエンゴム・スチレン共
重合体、及びアクリロニトリル・スチレン・IPN型ゴ
ム共重合体等の樹脂、またはこれらの混合物が挙げられ
る。
【0021】これらの中でもアクリロニトリル・スチレ
ン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリ
ル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、
アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレ
ン共重合体(AES樹脂)からなる群より選択される1
種または2種以上を混合して使用することが好ましく、
なかでもAS樹脂及びABS樹脂が最も好ましい。
【0022】本発明で使用するAS樹脂とは、シアン化
ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を共重合した熱可塑
性共重合体である。かかるシアン化ビニル化合物として
は、前記記載のものを挙げることができ、特にアクリロ
ニトリルが好ましく使用できる。また芳香族ビニル化合
物としては、同様に前記記載のものが使用できるが、ス
チレン及びα−メチルスチレンが好ましく使用できる。
AS樹脂中における各成分の割合としては、全体を10
0重量%とした場合、シアン化ビニル化合物が5〜50
重量%、好ましくは15〜35重量%、芳香族ビニル化
合物が95〜50重量%、好ましくは85〜65重量%
である。更にこれらのビニル化合物に、前記記載の共重
合可能な他のビニル系化合物を混合使用することもで
き、これらの含有割合は、AS樹脂成分中15重量%以
下であるものが好ましい。また反応で使用する開始剤、
連鎖移動剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが
使用可能である。
【0023】かかるAS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳
化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、好
ましくは塊状重合によるものである。また共重合の方法
も一段での共重合、または多段での共重合のいずれであ
ってもよい。またかかるAS樹脂の還元粘度としては、
0.2〜1.0dl/gであり、好ましくは0.3〜
0.5dl/gである。還元粘度は、AS樹脂0.25
gを精秤し、ジメチルホルムアミド50mlに2時間か
けて溶解させた溶液を、ウベローデ粘度計を用いて30
℃の環境で測定したものである。なお、粘度計は溶媒の
流下時間が20〜100秒のものを用いる。還元粘度は
溶媒の流下秒数(t0)と溶液の流下秒数(t)から次
式によって求める。 還元粘度(ηSP/C)={(t/t0)−1}/0.5 還元粘度が0.2〜1.0dl/gである場合には、衝
撃強度と流動性を共に良好な保つことが可能となる。
【0024】本発明で使用するABS樹脂とは、ジエン
系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体の混
合物である。このABS樹脂を形成するジエン系ゴム成
分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及
びスチレン−ブタジエン共重合体等のガラス転位温度が
−30℃以下のゴムが用いられ、その割合はABS樹脂
成分100重量%中5〜80重量%であるのが好まし
く、より好ましくは8〜50重量%、特に好ましく10
〜30重量%である。ジエン系ゴム成分にグラフトされ
るシアン化ビニル化合物としては、前記記載のものを挙
げることができ、特にアクリロニトリルが好ましく使用
できる。またジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族
ビニル化合物としては、同様に前記記載のものを使用で
きるが、特にスチレン及びα−メチルスチレンが好まし
く使用できる。かかるジエン系ゴム成分にグラフトされ
る成分の割合は、ABS樹脂成分100重量%中95〜
20重量%が好ましく、特に好ましくは50〜90重量
%である。更にかかるシアン化ビニル化合物及び芳香族
ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化
ビニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が
95〜50重量%であることが好ましい。更に上記のジ
エン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部についてメ
チル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水
マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することも
でき、これらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%
以下であるものが好ましい。更に反応で使用する開始
剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の
各種のものが使用可能である。
【0025】本発明のABS樹脂においては、ゴム粒子
径は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは
0.2〜3.0μm、特に好ましくは0.3〜1.5μ
mである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布である
もの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが
使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴ
ム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周
りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有
するものであってもよいが、好ましくは単一相をなすゴ
ム粒子の割合が多いものである。
【0026】またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラ
フトされないシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化
合物を含有することは従来からよく知られているところ
であり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の際
に発生するフリーの重合体成分を含有するものであって
もよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物及び芳香
族ビニル化合物からなる共重合体の還元粘度は、先にA
S樹脂の説明における記載の方法で求めた還元粘度(3
0℃)が0.2〜1.0dl/g、より好ましくは0.
3〜0.7dl/gであるものである。
【0027】またグラフトされたシアン化ビニル化合物
及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対
して、グラフト率(重量%)で表して20〜200%が
好ましく、より好ましくは20〜70%のものである。
【0028】かかるABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、
乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、
特に塊状重合によるものが好ましい。また共重合の方法
も一段で共重合しても、多段で共重合してもよい。ま
た、かかる製造法により得られたABS樹脂に芳香族ビ
ニル化合物とシアン化ビニル成分とを別途共重合して得
られるビニル化合物重合体をブレンドしたものも好まし
く使用できる。
【0029】本発明で使用するAAS樹脂とは、アクリ
ルゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体、また
は該熱可塑性グラフト共重合体と、シアン化ビニル化合
物と芳香族ビニル化合物の共重合体との混合物をいう。
本発明でいうアクリルゴムとは、炭素数が2〜10のア
ルキルアクリレート単位を含有するものであり、更に必
要に応じてその他の共重合可能な成分として、スチレ
ン、メチルメタクリレート、ブタジエンを含有してもよ
い。炭素数が2〜10のアルキルアクリレートとして好
ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチル
アクリレートが挙げられ、かかるアルキルアクリレート
はアクリレートゴム100重量%中50重量%以上含ま
れるものが好ましい。更にかかるアクリレートゴムは少
なくとも部分的に架橋されており、かかる架橋剤として
は、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、アリルメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジアクリレート等を挙げることができ、かかる架橋
剤はアクリレートゴムに対して0.01〜3重量%使用
されることが好ましい。またシアン化ビニル化合物及び
芳香族ビニル化合物の割合はかかる合計量100重量%
に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、芳
香族ビニル化合物が95〜50重量%であり、特にシア
ン化ビニル化合物が15〜35重量%、芳香族ビニル化
合物が85〜65重量%のものが好ましい。
【0030】本発明で使用するAES樹脂とは、エチレ
ン−プロピレンゴム成分またはエチレン−プロピレン−
ジエンゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
化合物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体、
または該熱可塑性グラフト共重合体と、シアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体との混合物であ
る。
【0031】本発明の(a−2)として使用するポリエ
ステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸とジオール、また
はそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により
得られる重合体ないしは共重合体である。
【0032】ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテ
レフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−
ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニ
ルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデン
ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカル
ボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’
−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジン
ジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いら
れ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸が好ましく使用できる。
【0033】芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して
使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と
共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用する
ことも可能である。
【0034】また本発明の芳香族ポリエステルの成分で
あるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール等の脂環族ジオール等、及びそれらの
混合物等が挙げられる。
【0035】具体的な芳香族ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレー
ト(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、
ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート/イソフタレート、等のような共
重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的
性質等のバランスがとれたポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレートが好ましく使用でき
る。
【0036】かかる芳香族ポリエステル樹脂の製造方法
については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アン
チモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しなが
らジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、
副生する水または低級アルコールを系外に排出すること
により行われる。
【0037】また芳香族ポリエステル樹脂の分子量につ
いては、o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測
定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.65
〜1.15である。
【0038】上記A成分において(a−1)と(a−
2)の割合は、かかる合計100重量%に対して(a−
1)が40〜100重量%及び(a−2)が60〜0重
量%である。(a−1)が40重量%未満では、耐熱
性、耐衝撃性等の両立が不十分となる。
【0039】本発明のB成分として使用する制振性ブロ
ック共重合体の(b−1)ビニル芳香族化合物成分から
なり数平均分子量2,500〜40,000のブロック
(以下単に(b−1)ブロックと略称することがある)
を形成する単量体は、主としてビニル芳香族化合物であ
り、その具体例として、スチレン、α−メチルスチレ
ン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−
プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−
ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレ
ン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられるが
最も好ましいのはスチレンである。かかる(b−1)ブ
ロックの分子量が2,500より小さい場合または4
0,000を超える場合は、他成分との相溶性が悪くな
り、十分な制振性と機械的特性とを両立する組成物が得
られない。
【0040】またかかる(b−1)ブロックのB成分で
ある制振性ブロック共重合体中の割合は、5重量%〜5
0重量%の範囲であることが好ましい。この割合が5重
量%より少ないと機械的強度が低下し、逆に50重量%
を越えると制振性が不十分となる。
【0041】一方、本発明のB成分として使用する制振
性ブロック共重合体の(b−2)共役ジエン系化合物成
分からなり数平均分子量10,000〜200,000
で、ガラス転位温度が−30℃〜30℃の範囲にあるブ
ロック(以下単に(b−2)ブロックと略称することが
ある)を形成する共役ジエン系化合物とは、イソプレ
ン、ブタジエンまたはイソプレン−ブタジエンの混合物
が好ましく、イソプレン及びブタジエンの両方を用いる
場合の共重合体の形態としてはランダム、ブロック、テ
ーパードのいずれでもよい。
【0042】かかる制振性ブロック共重合体のガラス転
位温度は、DSC測定により昇温速度10℃/minで
測定されるものである。上記温度が−30℃より低いと
制振性能が十分ではなく、または30℃より高い場合に
は、室温付近での耐衝撃性が低下するため好ましくな
い。
【0043】上記のガラス転位温度を−30℃〜30℃
とするためには、(b−2)ブロックにおける1,2−
結合及び3,4−結合の含有量をかかる(b−2)ブロ
ックを30重量%以上とする必要がある(100重量%
でもかまわない)。またB成分である制振性ブロック共
重合体の(b−2)ブロックの数平均分子量は、10,
000〜200,000の範囲である必要がある。分子
量が10,000より低いと弾性的性質を損ない制振性
が十分に付与されず好ましくない。また、200,00
0より大きい場合には、加工性(流動性)が悪くなるの
で好ましくない。
【0044】また、本発明においてB成分の制振性ブロ
ック共重合体の数平均分子量は、30,000〜30
0,000の範囲にあることが必要である。分子量が3
0,000より低いと機械的特性が低下し、300,0
00を越えると相溶性が悪くなりやはり衝撃強度等の機
械的特性が低下する。好ましい範囲は、80,000〜
250,000である。ここで、本発明のB成分におけ
る(b−1)ブロックを、(b−2)ブロックをと
略記すると、B成分のブロック共重合体のブロック形態
としては、−(−)nまたは(−)nで示さ
れるブロック形態のものが好適に用いられる。尚、nは
1以上の整数であり、好ましくは1以上10以下の整数
である。このうち、−−の形態のものが好ましく
用いられる。
【0045】更に、上記(b−2)ブロックは、耐熱性
向上のためにかかるブロック中の炭素−炭素二重結合の
一部または全部が水添されていてもよいが、本発明では
制振性能を高めるため、水添されていないものが好適で
ある。
【0046】本発明のB成分である制振性ブロック共重
合体は、以下の方法により得ることができる。ブロック
共重合体全体の重合については、ブチルリチウム等のア
ルキルリチウムを開始剤として、(b−2)ブロックの
成分である共役ジエン系化合物及び(b−1)ブロック
の成分であるビニル芳香族化合物の単量体をそれぞれ順
次重合する方法、あるいは単量体ごとに別々に重合反応
を行い、得られた重合体を2官能性カップリング剤など
で結合する方法等により得ることができる。更にジリチ
ウム化合物を開始剤として(b−2)ブロックの成分で
ある共役ジエン化合物を重合し、次いでビニル芳香族化
合物の単量体を重合させる方法等が挙げられる。
【0047】アルキルリチウムの例としては、アルキル
基の炭素数が1〜10のアルキル化合物が挙げられる
が、好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、ペ
ンチルリチウム、ブチルリチウムである。カップリング
剤してはジクロロメタン、ジブロムメタン、ジクロロエ
タン、ジブロムエタン、ジブロムベンゼン等が用いられ
る。ジリチウム化合物としては、ナフタレンジリチウム
等を挙げることができる。かかる開始剤の使用量は、目
的とするB成分の分子量により決定されるものである
が、重合に用いられる全モノマー100重量部に対し、
おおよそ0.01〜0.2重量部、カップリング剤を使
用する場合には0.04〜0.8重量部の範囲である。
【0048】またB成分で使用する(b−2)ブロック
が−30℃〜30℃のガラス転位温度を有する、したが
ってその1,2−結合及び3,4−結合の含有量を30
重量%以上とするためには、かかる(b−2)ブロック
の共役ジエン成分を重合する際に共触媒としてルイス塩
基が用いられる。ルイス塩基の例としては、ジメチルエ
ーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエー
テル類、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テト
ラメチルエチレンジアミン等のアミン系化合物等が挙げ
られる。これらのルイス塩基の使用量は重合開始剤のリ
チウムのモル数に対して、おおよそ0.1〜1000倍
の範囲である。
【0049】更に重合の際には、その反応制御を容易に
するために溶媒を使用するのが好ましく、重合開始剤に
不活性な溶媒として特に炭素数6〜12の脂肪族、脂環
族、芳香族炭化水素が好ましく使用できる。例えばへキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン等を挙げることができる。
【0050】本発明で使用するポリエステル−スチレン
系エラストマーブロック共重合体(C成分)は、ポリエ
ステルブロック(P)と芳香族ビニル系共重合体ブロッ
ク(Q)とを有するブロック共重合体であり、例えば1
個のポリエステルブロック(P)と1個の芳香族ビニル
系共重合体ブロック(Q)が結合しているジブロック共
重合体、1個のポリエステルブロック(P)を挟んでそ
の両側にそれぞれ1個の芳香族ビニル系共重合体ブロッ
ク(Q)が結合しているトリブロック共重合体、1個の
芳香族ビニル系共重合体ブロック(Q)を挟んでその両
側にそれぞれ1個のポリエステルブロック(P)が結合
しているトリブロック共重合体、ポリエステルブロック
(P)と芳香族ビニル系共重合体ブロック(Q)が交互
に合計で4個またはそれ以上の個数で結合しているポリ
ブロック共重合体などの1種または2種以上からなって
いるが、製造方法・条件等により、更に未反応のポリエ
ステルブロック(P)由来の成分、芳香族ビニル系共重
合体ブロック(Q)由来の成分を含んでいてもよい。
【0051】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)のポリエステルブロ
ック(P)は、熱可塑性のポリエステル系重合体から誘
導される重合体ブロックであればいずれであってもよ
く、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレ
ート系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート系樹
脂、ポリカプロラクトン系樹脂、p−ヒドロキシ安息香
酸系ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂などの
ポリエステル系重合体から誘導される重合体ブロックを
挙げることができる。このうち、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂との相溶性の面からポリエステル−スチレン系エ
ラストマーブロック共重合体(C成分)におけるポリエ
ステルブロック(P)は、ポリエチレンテレフタレート
系樹脂及びポリブチレンテレフタレート系樹脂のうちの
少なくとも一方から誘導される重合体ブロックであるこ
とが好ましく、特にポリブチレンテレフタレート系樹脂
から誘導される重合体ブロックであることが好ましい。
【0052】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)におけるポリエステ
ルブロック(P)は、その全構造単位に基づいて30モ
ル%以下であれば必要に応じて基本構造を構成するジカ
ルボン酸単位以外のジカルボン酸及び/または基本構造
を構成するジオール単位以外の他のジオール単位を有し
てもよい。すなわちポリブチレンテレフタレート系樹脂
とは、全構造単位に基づいて70モル%を超える単位が
ポリブチレンテレフタレート単位で構成されている樹脂
をいう。
【0053】ポリエステル−スチレン系エラストマーブ
ロック共重合体(C成分)におけるポリエステルブロッ
ク(P)が含み得るジカルボン酸単位の例としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メ
タン、1,5−ナフタレンジカルボン酸、アントラセン
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族
ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸や1,
3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸及び、これ
らのエステル形成性誘導体などから誘導されるジカルボ
ン酸単位を挙げることができる。本発明のポリエステル
−スチレン系エラストマーブロック共重合体(C成分)
におけるポリエステルブロック(P)は上記したジカル
ボン酸単位の1種のみを有していても、または2種以上
を有していてもよい。
【0054】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C成分)におけるポリ
エステルブロック(P)が含み得るジオール単位の例と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2
−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール
などの炭素数2〜10の脂肪族ジオールやシクロヘキサ
ンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式
ジオールやジエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコールなどの分子量6,000以下のポ
リアルキレングリコールなどから誘導されるジオール単
位を挙げることができる。本発明のポリエステル−スチ
レン系エラストマーブロック共重合体(C成分)におけ
るポリエステルブロック(P)は上記ジオール単位の1
種または2種以上を有していてもよい。
【0055】更に本発明のポリエステル−スチレン系エ
ラストマーブロック共重合体(C成分)におけるポリエ
ステルブロック(P)は、その全構造単位に基づいて1
モル%以下であれば、例えばグリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、
ピロメリット酸などの3官能以上の単量体から誘導され
る構造単位を有していてもよい。
【0056】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C成分)におけるポリ
エステルブロック(P)はフェノール/テトラクロロエ
タン(重量比=1/1)混合溶媒中、25℃で測定した
時の極限粘度が0.3〜1.5の範囲にあるポリエステ
ル系重合体から誘導されたものであることが好ましい。
【0057】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)における芳香族ビニ
ル系共重合体ブロック(Q)は、芳香族ビニル化合物
単位から主としてなる重合体ブロック(q1)または芳
香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック
(q1)及び1,2−結合量が30%未満の水素添加さ
れたポリブタジエンブロック(q2)の何れかからなる
重合体ブロック(qa)と水素添加されたポリイソプレ
ンブロック(q3)、1,2−結合量が30〜80%の
水素添加されたポリブタジエンブロック(q4)及び水
素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合ブロック
(q5)からなる群から選ばれる少なくとも1種からな
る重合体ブロック(qb)からなる芳香族ビニル系ブロ
ック共重合体(qα)及び芳香族ビニル化合物単位か
ら主としてなる重合体ブロック(qc)とポリイソブチ
レンブロック(qd)とからなる芳香族ビニル系ブロッ
ク共重合体(qβ)のうちの少なくとも1種から誘導さ
れるものである。
【0058】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)における芳香族ビニ
ル系共重合体ブロック(Q)を構成し得る重合体ブロッ
ク(qa)と重合体ブロック(qb)とからなる芳香族
ビニル系ブロック共重合体(qα)から誘導される芳香
族ビニル系ブロック(Qα)のブロック構造の例として
は、下記の一般式(1)〜(4)で表されるものを挙げ
ることができる。 (a−b)e (1) (b−a)f (2) a−(b−a’)g (3) b−(a−b’)h (4) (上記式中、a及びa’はそれぞれ重合体ブロック(q
a)を示し、b及びb’はそれぞれ重合体ブロック(q
b)を示し、e、f、g及びhはそれぞれ独立して1以
上の整数を示す。)
【0059】上記一般式(1)〜(4)で表される芳香
族ビニル系ブロック(Qα)における反復数e、f、g
及びhはそれぞれ任意に決めることができるが、通常1
〜5の範囲内の整数であることが好ましい。そして芳香
族ビニル系ブロック(Qα)としては、上記した一般式
(1)〜(4)で表される芳香族ビニル系ブロックのう
ちでも、上記の一般式(1)においてe=1である式:
a−bで表される芳香族ビニル系ブロックまたは上記の
一般式(3)においてg=1である式:a−b−a’で
表される付加重合系トリブロックがより好ましい。
【0060】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C成分)における芳香
族ビニル系共重合体ブロック(Q)を構成し得る、芳香
族ビニル重合体ブロック(qc)とポリイソブチレンブ
ロック(qd)とからなる芳香族ビニル系ブロック共重
合体(qβ)から誘導される芳香族ビニル系ブロック
(Qβ)のブロック構造の例としては下記の一般式
(5)または(6)で表されるものを挙げることができ
る。 c−(d−c’)j (5) d−(c−d’)k (6) (上記式中、c及びc’はそれぞれ芳香族ビニル重合体
ブロック(qc)を示し、d及びd’はそれぞれポリイ
ソブチレンブロック(qd)を示し、j及びkはそれぞ
れ独立して1以上の整数を示す。)
【0061】上記の一般式(5)または(6)で表され
る芳香族ビニル系ブロック(Qβ)におけるj及びkは
それぞれ任意に決めることができるが通常、1〜5の範
囲内の整数であるのが好ましい。そして、上記した一般
式(5)または(6)で表される芳香族ビニル系ブロッ
ク(Qβ)のうちでも、一般式(5)においてj=1で
ある式c−d−c’で表される芳香族ビニル系トリブロ
ックまたは上記の一般式(6)においてk=1である式
d−c−d’で表される芳香族ビニル系トリブロックで
あることがより好ましい。
【0062】芳香族ビニル系ブロック(Qα)を構成す
る重合体ブロック(q1)及び芳香族ビニル系ブロック
(Qβ)を構成する芳香族ビニル重合体ブロック(q
c)において、それらの芳香族ビニル化合物単位を形成
する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどを挙げるこ
とができる。そのうち制振性ブロック共重合体(B成
分)との相溶性の面より、芳香族ビニル系ブロック(Q
α)を構成する重合体ブロック(q1)及び芳香族ビニ
ル系ブロック(Qβ)を構成する芳香族ビニル重合体ブ
ロック(qc)の芳香族ビニル化合物単位を形成する芳
香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メチルスチレ
ンから選択される1種または2種で構成されているのが
好ましく、このうち、スチレンから構成されているもの
が特に好ましい。
【0063】また、芳香族ビニル系ブロック(Qα)に
おける重合体ブロック(qa)の構成ブロックとなり得
る水添ポリブタジエンブロック(q2)は、そのポリブ
タジエンブロックにおける1,2−結合量が30%未満
であることが好ましく、25%以下であるのがより好ま
しい。また、水添ポリブタジエンブロック(q2)は不
飽和結合の一部または全部、好ましくは90%以上が水
素添加によって飽和結合にされているポリブタジエンブ
ロックである。水添ポリブタジエンブロック(q2)を
構成するポリブタジエンは、水素添加前では、好ましく
はその30モル%未満、より好ましくは25モル%以下
がビニルエチレン基(1,2−結合のブタジエン単位)
であり、残りが2−ブテン−1,4−ジイル基(1,4
−結合のブタジエン単位)である。
【0064】また、芳香族ビニル系ブロック(Qα)に
おける重合体ブロック(qb)の構成ブロックとなり得
る水添ポリイソプレンブロック(q3)は、イソプレン
に由来する単量体単位から主としてなるポリイソプレン
の不飽和結合の一部または全部が水素添加されて不飽和
結合になっている重合体ブロックである。水添ポリイソ
プレンブロック(q3)では、その水素添加前には、イ
ソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−
1,4−ジイル基(1,4−結合のイソプレン単位)、
イソプロペニルエチレン基(3,4−結合のイソプレン
単位)及び1−メチル−1−ビニルエチレン基(1,2
−結合のイソプレン単位)からなる群より選ばれる少な
くとも一種からなるものである。
【0065】芳香族ビニル系ブロック(Qα)における
重合体ブロック(qb)の構成ブロックとなり得る水添
ポリブタジエンブロック(q4)は、そのポリブタジエ
ンブロックにおける1,2−結合量が好ましくは30〜
80%、より好ましくは35〜60%であり、しかも不
飽和結合の一部または全部が水素添加によって飽和結合
になっているポリブタジエンブロックである。水添ポリ
ブタジエンブロック(q4)を構成するポリブタジエン
では、水素添加前において好ましくはその30〜80モ
ル%、より好ましく35〜60モル%がビニルエチレン
基(1,2−結合のブタジエン単位)であり、好ましく
は70〜20モル%、より好ましくは65〜40モル%
が2−ブテン−1,4−ジイル基(1,4−結合のブタ
ジエン単位)である。
【0066】また、芳香族ビニル系ブロック(Qα)に
おける重合体ブロック(qb)の構成ブロックとなり得
る水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(q
5)は、イソプレンに由来する単位及びブタジエンに由
来する単位から主としてなっているイソプレン/ブタジ
エン共重合体であって、且つその不飽和結合の一部また
は全部が水素添加によって飽和結合になっている共重合
体ブロックである。水添イソプレン/ブタジエン共重合
体ブロック(q5)においては、その水素添加前には、
イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン
−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1
−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群より選ばれ
る少なくとも一種以上の基であり、またブタジエンに由
来する単位はビニルエチレン基及び/または2−ブテン
−1,4−ジイル基であるが、水素添加前におけるイソ
プレン/ブタジエン共重合体ブロックにおけるそれらの
基の割合は特に制限されるものではない。また、水添イ
ソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(q5)におい
て、ブタジエンに由来する単位とイソプレンに由来する
単位とは、ランダム状、ブロック状、テーパーブロック
状の何れの配置形態になっていてもよい。
【0067】そして、芳香族ビニル系ブロック(Qα)
の構成ブロックとなり得る水添ポリブタジエンブロック
(q2)、水添ポリイソプレンブロック(q3)、水添
ポリブタジエンブロック(q4)及び水添イソプレン/
ブタジエン共重合体ブロック(q5)では、上記したよ
うに、その炭素−炭素二重結合の一部が水素添加されて
いても、または全部が完全に水素添加されていてもよい
が、芳香族ビニル系ブロック(Qα)の全体において、
ブタジエン単位及び/またはイソプレン単位における炭
素−炭素間二重結合の50モル%以上、特に80モル%
以上が水素添加されていることがポリエステル−スチレ
ン系エラストマーブロック共重合体(C成分)の耐熱老
化性、耐候性が良好となる点で好ましい。
【0068】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C成分)の芳香族ビニ
ル系ブロック(Qβ)におけるポリイソブチレンブロッ
ク(qd)はイソブチレン単位から主としてなる重合体
ブロックである。
【0069】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体では、芳香族ビニル系ブロック
(Qα)における{重合体ブロック(qa)の合計含有
量}:{重合体ブロック(qb)の合計含有量}、及び
芳香族ビニル系ブロック(Qβ)における{重合体ブロ
ック(qc)の合計含有量}:{重合体ブロック(q
d)の合計含有量}はそれぞれ、1:9〜9:1(重量
比)の範囲であることが好ましく、2:8〜7:3(重
量比)の範囲であることが特に好ましい。
【0070】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体の芳香族ビニル系ブロッ
ク(Qα)における重合体ブロック(qa)、芳香族ビ
ニル系ブロック(Qβ)における重合体ブロック(q
c)は、それぞれ、その数平均分子量が2,500〜5
0,000の範囲にあるのが好ましい。また、芳香族ビ
ニル系ブロック(Qα)における重合体ブロック(q
b)及び、芳香族ビニル系ブロック(Qβ)におけるポ
リイソブチレンブロック(qd)の数平均分子量はそれ
ぞれ10,000〜10,0000の範囲にあるのが好
ましい。また、本発明のポリエステル−スチレン系エラ
ストマーブロック共重合体は、1種または2種以上の芳
香族ビニル系ブロック(Qα)を有していても、及び/
または1種または2種以上の芳香族ビニル系ブロック
(Qβ)を有していてもよい。
【0071】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)が含有するポリエス
テルブロック(P)及び芳香族ビニル系共重合体ブロッ
ク(Q)を有するブロック共重合体は、数平均分子量が
13,000〜300,000の範囲であることが好ま
しく、20,000〜200,000の範囲であること
がより好ましい。尚、本発明で数平均分子量とは、GP
C測定により標準ポリスチレンを基準に算出された値を
いう。またポリエステルブロック(P)と芳香族ビニル
系共重合体ブロック(Q)との比率は、重量比で9:1
〜1:9、好ましくは8:2〜2:8の範囲である。か
かる比率が重量比で9:1〜1:9の範囲を外れる場合
には、相溶化効果が不十分となり好ましくない。
【0072】本発明のポリエステル−スチレン系エラス
トマーブロック共重合体(C成分)の製造方法は特に制
限されず、例えば、ポリエステル系樹脂、及び、ポリエ
ステル系樹脂と反応し得る官能基を分子中に有する本発
明の芳香族ビニル系重合体とを溶融条件下で混練し、続
いて固相重合し、その結果得られるポリエステル系反応
生成物からポリエステルブロック(P)と芳香族ビニル
系共重合体ブロック(Q)を有するブロック共重合体を
抽出・回収する製造方法が基本である。しかしながら、
かかる固相重合して得られたポリエステル系反応生成物
自体をポリエステルブロック(P)と芳香族ビニル系共
重合体ブロック(Q)を有するブロック共重合体及び、
ブロック共重合体化していない各ブロック成分を含有す
る状態で使用することも可能であり、かかる使用は、抽
出・回収の工程を省略できるものであるため、工業的に
はより好ましいものである。
【0073】上記の製造方法において、ポリエステル系
樹脂と芳香族ビニル系重合体との溶融混練は、単軸押出
機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの
溶融混練装置を用いて行うことができる。溶融混練の条
件は、使用するポリエステル系樹脂や芳香族ビニル系重
合体の種類、装置の種類などに応じて適宜選択すること
ができるが、通常、180〜300℃の温度で3〜15
分間程度行うとよい。また、溶融混練後の固相重合は、
ポリエステル系樹脂と芳香族ビニル系重合体との溶融混
練により得られた樹脂を固化し、粒状化した後、それを
適当な固相重合反応装置に移し、予備処理として120
〜180℃の温度下で乾燥や結晶化などを行い、ついで
固相重合させることにより行うことができる。固相重合
反応は、通常、ポリエステル系樹脂の融点よりも5〜6
0℃程度低い温度に保ちながら、不活性気流下または真
空下で行うとよい。固相重合はバッチ方式、または連続
方式の何れで行ってもよく、固相重合反応装置における
滞留時間や処理時間などを適宜調節することによって、
所望の重合度及び反応率とすることができる。
【0074】上記において、固相重合により得られるポ
リエステル系反応生成物からポリエステルブロック
(P)と芳香族ビニル系共重合体ブロック(Q)を有す
るブロック共重合体の抽出・回収は例えば、ポリエステ
ル系反応生成物をヘキサフルオロイソプロパノール/ク
ロロホルム混合溶媒に溶解させ、その溶液をテトラヒド
ロフラン中に注入して沈殿させ、沈殿物を回収してクロ
ロホルムに溶解させ、そのクロロホルム溶液から不溶物
を濾過などにより除去した後、そのクロロホルム溶液を
濃縮、乾燥固化してポリエステルブロック(P)と芳香
族ビニル系共重合体ブロック(Q)を有するブロック共
重合体を固形分として回収する方法により行うことがで
きる。
【0075】また、本発明のポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C成分)の製造に用い
るポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を有する芳香
族ビニル系重合体としては上記した芳香族ビニル系共重
合体ブロック(Q)に官能基がついた構造を有する芳香
族ビニル系重合体が好ましく用いられる。その場合の官
能基としては、ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基
であれば特に制限はなく、例えば、水酸基、カルボキシ
ル基、エステル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、
チオール基、チオエステル基、2−オキサゾリン基など
の環状イミノエーテル基、無水コハク酸−2−イル基、
無水コハク酸−2,3−ジイル基などの酸無水物構造を
有する基などを挙げることができる。特に芳香族ポリカ
ーボネート樹脂用として好ましいのは、水酸基、カルボ
キシル基、エポキシ基、無水コハク酸−2−イル基であ
る。ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を有する芳
香族ビニル系重合体においては、その官能基は、芳香族
ビニル系重合体の分子主鎖や分子側鎖の途中または分子
末端の何れに位置してもよいが、分子末端に位置するこ
とが好ましい。また、該官能基の含有量は平均して1分
子当たり0.5個以上であることが好ましく、0.7〜
1個であることがより好ましい。
【0076】本発明のC成分は、製造時の副生成物とし
て、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有
してよいものである。したがってC成分に由来する芳香
族ポリエステル樹脂及び芳香族ビニル−共役ジエンブロ
ック共重合体の量は、本発明のA成分中の(a−2)及
びB成分の量には含まれない。尚、かかる副生成物は、
特に少量のスチレン系エラストマーと多量のポリエステ
ルを反応させる場合や、多量のスチレン系エラストマー
と少量のポリエステルを反応させる場合、重合時間が短
い場合、重合温度が低い場合等に生成し易い。
【0077】本発明のA成分、B成分、及びC成分の配
合割合は、これらの合計を100重量%とした場合、A
成分が70〜96重量%、B成分が3〜20重量%、及
びC成分が1〜10重量%である。好ましくは、A成分
が77〜92重量%、B成分が5〜15重量%、及びC
成分が3〜8重量%である。
【0078】A成分が70重量%未満の場合には、衝撃
強度等の機械的特性、耐熱性、及び難燃性が必要な場合
には難燃性が低下し、96重量%を超える場合には制振
性と機械的特性とのバランスを図ることが困難となる。
またB成分が3重量%未満では制振性の付与が十分でな
く、20重量%を超える場合には機械的特性が低下する
ため好ましくない。またC成分が1重量%未満では相溶
性の改良が不十分となり、10重量%を超える場合には
相溶化剤としての効果が飽和すると共に、他の成分の量
が減少することになるため好ましくない。
【0079】更に本発明においては、かかるA成分〜C
成分からなる樹脂組成物に、剛性及び強度の向上を目的
として各種の無機充填剤を添加することも可能であり、
かかる場合においても十分に高い制振性を発揮するもの
である。ここで無機充填剤としては、ガラス繊維(チョ
ップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバ
ー)、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭素繊維、金属
被覆炭素繊維、炭素短繊維、耐熱有機繊維、金属繊維、
金属繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリ
ン、ガラスフレーク、ワラストナイト、クレー、酸化チ
タン、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウ
ムウィスカー等を挙げることができ、特に好ましくは、
ガラス繊維、ガラス短繊維、タルク、マイカである。無
機充填剤の添加量は、本発明のA成分〜C成分からなる
制振性熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、1〜1
00重量部であり、好ましくは、10〜80重量部であ
る。
【0080】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲で、難燃剤等を配合して
もよい。添加する難燃剤としては、まず赤リン系難燃剤
が挙げられる。使用する赤リン系難燃剤は、一般の赤リ
ンの他に、赤リン表面を熱硬化樹脂及び/または無機材
料を用いてマイクロカプセル化されている赤リンを使用
することができる。更に、かかるマイクロカプセル化さ
れている赤リンの使用は、安全性、作業性を良好とする
ためマスターペレット化したものが好ましく使用され
る。かかるマイクロカプセル化に使用される無機材料と
しては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水
酸化チタン、水酸化スズ、水酸化セリウム等があげら
れ、熱硬化樹脂としてはフェノール・ホルマリン系、尿
素・ホルマリン系、メラミン・ホルマリン系樹脂等が挙
げられる。更にかかる無機材料で被覆されたものの上
に、熱硬化性樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処
理した赤リン等も好ましく使用できる。また、使用する
赤リンは無電解メッキしたものも使用可能であり、無電
解メッキ被膜としては、ニッケル、コバルト、銅、鉄、
マンガン、亜鉛またはこれらの合金から選ばれた金属メ
ッキ被膜を使用することができる。更に無電界メッキさ
れた赤リンに更に上記に記載の無機材料及び熱硬化性樹
脂で被覆された赤リンを使用することもできる。かかる
無機材料、熱硬化性樹脂及び無電界メッキ等のマイクロ
カプセル化に使用する成分の量としては赤リン系難燃剤
100重量%中20重量%以下であることが望ましく、
より好ましくは5〜15重量%である。20重量%を越
えると、ホスフィンの抑制、安全性の確保等の効果より
も難燃性の低下、機械的特性の低下等の悪影響が大きく
なるため好ましくない。赤リン系難燃剤の平均粒径とし
ては、1〜100μm、好ましくは1〜40μmが使用
される。かかるマイクロカプセル化した赤リン系難燃剤
の市販品としては、ノーバエクセル140、ノーバエク
セルF−5(燐化学工業(株)製:商品名)、ヒシガー
ドTP−10(日本化学工業(株)製:商品名)、ホス
タフラムRP614(クラリアント・ジャパン(株)
製:商品名)等が挙げられる。
【0081】また、臭素系難燃剤としては、臭素化ビス
フェノール、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノー
ルAのカーボネートオリゴマー、臭素化ビスフェノール
AとビスフェノールAとのコポリマー及び共重合オリゴ
マーに代表されるハロゲン系難燃剤が挙げられ、さらに
下記一般式(1)で表される1種または2種以上のリン
酸エステル系難燃剤も挙げることができる。
【0082】
【化1】
【0083】(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、
レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メ
タン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、
またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合は
0〜5の平均値であり、R1、R2、R3、及びR4はそれ
ぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしく
は置換していないフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−
クミルフェノールから誘導されるものである。)
【0084】この中で好ましくは、上記式中のXは、ハ
イドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異な
るリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値で
あり、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して1個
以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していない
フェノール、クレゾール、キシレノールから誘導される
ものである。
【0085】更に、特に好ましくは、Xはレゾルシノー
ルから誘導されるものであり、j、k、l、mはそれぞ
れ1であり、nは0または1であり、R1、R2、R3
及びR4はそれぞれ独立してフェノールまたはキシレノ
ールから誘導されるものである。
【0086】かかるリン酸エステル系難燃剤の中でも、
モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェ
ート、縮合リン酸エステルとしてはレゾルシノールビス
(ジキシレニルホスフェート)が、難燃性が良好であり
かつ成形時の流動性が良好である等の理由により好まし
く使用できる。
【0087】難燃剤以外の添加剤としては、衝撃改質剤
として、例えばアクリル−ブタジエン系衝撃改質剤、ポ
リオルガノシロキサン成分とポリ(メタ)アルキルアク
リレート成分と分離できないように相互に絡み合った構
造を有している複合ゴムに、アルキル(メタ)アクリレ
ート及び任意に共重合可能なビニル重合体がグラフトし
た重合体を挙げることができる。前者の具体例としては
呉羽化学(株)製HIA15(商品名)、後者の具体例
としては三菱レイヨン(株)製メタブレンS2001
(商品名)を挙げることができる。その他難燃助剤とし
て、例えば三酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム
等、ドリップ防止剤として例えばフィブリル形成能を有
するポリテトラフルオロエチレン等、熱安定剤としてヒ
ンダードフェノール系、アミン系、リン系、イオウ系の
各種安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止
剤、着色剤等の各種の添加剤を添加可能である。
【0088】かくして得られた組成物は、射出成形、射
出圧縮成形、高速射出成形、急速加熱金型成形、押出成
形、圧縮成形または、回転成形等の既知の方法で容易に
成形することができる。
【0089】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて本発明を更
に説明する。
【0090】[実施例1〜8、比較例1〜7]表1〜表
3に記載の各成分のうち、ガラス繊維、ガラス短繊維ま
たはタルクの充填材以外の成分をV型ブレンダーにて均
一に混合後、計量器[(株)クボタ製CWF]を用いて
30mmφベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所TE
X−30XSST]の第1投入口より投入し、真空ポン
プを使用し40torrの真空下において、シリンダー
温度260℃及び吐出量20kg/時で溶融押出してペ
レット化した。上記の充填材を配合するサンプルについ
ては、かかる充填材をシリンダ途中のサイドフィード部
の第2投入口より、計量器[(株)クボタ製CWF]を
用い、第1投入口からの混合物と第2投入口の充填材と
が所定の割合となるよう設定し上記と同様の条件で溶融
押出し、ペレットを得た。得られたペレットを110℃
で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機
[ファナック(株)T−150D]によりシリンダー温
度260℃、金型温度70℃で評価用の試験片を作成
し、下記の評価方法で評価を行った。
【0091】(I)制振性熱可塑性樹脂組成物の機械的
特性・難燃性 剛性 :ASTM D−790に従って曲げ弾性
率を測定した。 耐衝撃性:ASTM D−256に従ってアイゾッ
ト逆ノッチ付きインパクトを測定した。すなわち、厚み
3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃さ
せ衝撃値を測定した(アイゾット試験方法Eにて評
価)。 耐熱性 :ASTM D−648に従って18.6
kgf/cm2荷重にて荷重たわみ温度を測定した。 燃焼性 :UL規格94に従い、厚1.6mmで垂
直・水平燃焼試験を実施した。
【0092】(II)制振性(損失係数) 長さ150mm、幅20mm、厚み3mmの短冊状試験
片を上記試験片と同条件にて射出成形したものを、複素
弾性係数測定装置(ブリュエル&ケア社製3560型マ
ルチアナライザーシステム及び松下インターテクノ社製
損失係数計測ソフトMS1018を使用)にて30℃で
の損失係数を中央加振法にて測定した。
【0093】表1〜表3における樹脂、炭素繊維、難燃
剤等の記号は下記のものを示す。 (A成分) (a−1) PC:芳香族ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製
L−1225、粘度平均分子量22,500] (a−2) AS:アクリロニトリル−スチレン共重合体[三井化学
(株)製ライタックA 980PCU] ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体[三井化学(株)製サンタック UT−61] PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂[帝人(株)
製TR−8580、固有粘度0.80]
【0094】(B成分) 制振性コポリマー:スチレン−イソプレンブロック共重
合体[(株)クラレ製ハイブラー5127(VS−
1)]
【0095】(C成分) C−1:以下に示すポリエステル−スチレン系エラスト
マーブロック共重合体ポリブチレンテレフタレート樹脂
((株)クラレ製「ハウザーS1000F」:極限粘度
[η]=0.85)70重量部及び水添SBIS−OH
{片末端に水酸基を有するポリスチレンブロック(数平
均分子量6,000)/1,3−ブタジエンとイソプレ
ンの水添共重合体ブロック(数平均分子量28,00
0)/ポリスチレンブロック(数平均分子量6,00
0)とからなるトリブロック共重合体、水酸基含有量=
0.8個/1分子、水素添加前のスチレン含有量=30
重量%、1,3−ブタジエン/イソプレンのモル比=1
/1、数平均分子量=40,000}30重量部を予備
混合し、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX44
C」)を用いて250℃で溶融混練してペレットを製造
した。このペレットを固相重合装置に移して、120℃
で約4時間予備処理を行った。その後、固相重合装置内
を0.2mmHgに減圧し、且つ200℃まで昇温する
ことにより重合反応を開始させた。約14時間後に窒素
ガスを反応装置内に導入して常圧に戻し反応生成物とし
て目的とするポリエステル−スチレン系エラストマーブ
ロック共重合体(C−1)を得た。
【0096】なお、上記で得られたポリエステル−スチ
レン系エラストマーブロック共重合体(C−1)がポリ
ブチレンテレフタレートブロックと水添SBISブロッ
クが結合したブロック共重合体を含有することは、以下
の点により確認した。
【0097】即ち、得られたポリエステル−スチレン系
エラストマーブロック共重合体(C−1)をヘキサフル
オロイソプロパノール/クロロホルム(1/1)の混合
溶媒に溶解させ、その溶液をテトラヒドロフラン中に注
入して沈殿物を得た。更にクロロホルム中で加熱還流し
た後、濾別し、クロロホルム溶液を濃縮乾固することに
よりポリエステル−スチレン系エラストマーブロック共
重合体(C−1)よりポリブチレンテレフタレートブロ
ックと水添SBISブロックが結合したブロック共重合
体成分を分離し、このブロック共重合体成分の1H−N
MR測定によりポリブチレンテレフタレートの化学構造
に由来するピーク(8.1、4.1、2.2ppmのピ
ーク)と水添SBIS−OHの化学構造に由来するピー
ク(7.0、6.6、0.7〜2.0ppm)との両方
を示し、且つ使用した水添SBIS−OHにおいて認め
られた分子末端の水酸基に隣接するメチレンプロトンの
ピークの化学シフトが移動していたこと。また、GPC
測定においても、単一の分子量分布を示し、且つ、その
数平均分子量が原材料として用いたポリブチレンテレフ
タレートの数平均分子量と水添SBIS−OHの数平均
分子量の合計にほぼ等しいものであったことである。
【0098】また、ポリエステル−スチレン系エラスト
マーブロック共重合体(C−1)中のポリブチレンテレ
フタレートブロックと水添SBISブロックが結合した
ブロック共重合体成分の割合は52重量%であった。
【0099】C−2:以下に示すポリエステル−スチレ
ン系エラストマーブロック共重合体C−1で使用のSB
IS−OHの代わりに水添SI−OH{ポリスチレンブ
ロック末端に水酸基を有するポリスチレンブロック(数
平均分子量10,000)/水素添加されたポリイソプ
レンブロック(数平均分子量20,000)からなるジ
ブロック共重合体、水酸基含有量=0.8個/1分子、
水素添加前のブロック共重合体におけるスチレン含有量
=33重量%、数平均分子量=30,000}を用いC
−1と同様にしてポリエステル−芳香族ビニル系ブロッ
ク共重合体を含有する固相重合反応生成物を得た。得ら
れた固相重合反応生成物をヘキサフルオロイソプロパノ
ール/クロロホルム(1/1)の混合溶媒に溶解させ、
その溶液をテトラヒドロフラン中に注入して沈殿物を得
た。更にクロロホルム中で加熱還流した後、濾別し、ク
ロロホルム溶液を濃縮乾固することにより目的とするポ
リエステル−スチレン系エラストマーブロック共重合体
(C−2)を得た。また、これがブロック共重合体であ
ることはC−1と同様の方法により確認した。
【0100】(C成分以外の成分) W−1:以下に示すポリエステル系混合物 ポリブチレンテレフタレート((株)クラレ製「ハウザ
ーS1000F」:極限粘度[η]=0.85)70重
量部及び水添SBIS{ポリスチレンブロック(数平均
分子量6,000)/1,3−ブタジエンとイソプレン
の水添共重合体ブロック(数平均分子量28,000)
/ポリスチレンブロック(数平均分子量6,000)と
からなるトリブロック共重合体、水素添加前のスチレン
含有量=30重量%、1,3−ブタジエン/イソプレン
のモル比=1/1、数平均分子量=40,000}30
重量部を予備混合し、二軸押出機((株)日本製鋼所製
「TEX44C」)を用いて250℃で溶融混練してポ
リエステルとSBISの混合物(W−1)を得た。
【0101】W−2:以下に示すポリエステル系混合物 W−1で用いた水添SBISの代わりに水添SI{ポリ
スチレンブロック(数平均分子量10,000)/水素
添加されたポリイソプレンブロック(数平均分子量2
0,000)からなるジブロック共重合体、水素添加前
のブロック共重合体におけるスチレン含有量=33重量
%、数平均分子量=30,000}を用いた以外はW−
1と同様にして目的とするポリエステルとSIの混合物
(W−2)を得た。
【0102】W−3:以下に示すポリエステル−ポリス
チレンブロック共重合体 ポリブチレンテレフタレート樹脂((株)クラレ製「ハ
ウザーS1000F」:極限粘度[η]=0.85)7
0重量部及び片末端に水酸基を有するポリスチレン(数
平均分子量15,000、水酸基含有量=0.8個/1
分子)30重量部をセパラブルコルベンに仕込み240
℃で窒素気流下12時間脱水反応を行い、反応生成物を
得た。得られた反応生成物をヘキサフルオロイソプロパ
ノール/クロロホルム(1/1)の混合溶媒に溶解さ
せ、その溶液をテトラヒドロフラン中に注入して沈殿を
生成させ、その沈殿を回収した。回収した沈殿物をクロ
ロホルム中で加熱還流した後に濾別しクロロホルム溶液
を濃縮、乾燥することにより、目的とするポリエステル
−ポリスチレンブロック共重合体(W−3)を得た。
【0103】なお、上記で得られたポリエステル−ポリ
スチレンブロック共重合体(W−3)がポリブチレンテ
レフタレートブロックとポリスチレンブロックが結合し
たブロック共重合体であることは、以下の点により確認
した。
【0104】すなわち得られたポリエステル−ポリスチ
レンブロック共重合体(W−3)の1H−NMR測定に
よりポリブチレンテレフタレートの化学構造に由来する
ピーク(8.1、4.1、2.2ppmのピーク)と水
酸基含有ポリスチレンの化学構造に由来するピーク
(7.0、6.6ppm)との両方を示し、且つ使用し
た水酸基含有ポリスチレンにおいて認められた分子末端
の水酸基に隣接するメチレンプロトンのピークの化学シ
フトが移動していたこと。また、GPC測定において
も、単一の分子量分布を示し、且つ、その数平均分子量
が原材料として用いたポリブチレンテレフタレートの数
平均分子量と水酸基含有ポリスチレンの数平均分子量の
合計にほぼ等しいものであったことである。
【0105】(その他の成分) 充填剤−1:ガラス繊維[日東紡績(株)製3PE93
7、繊維径13μm、エポキシ集束] 充填剤−2:ガラス短繊維[日東紡績(株)製PFE−
301、繊維径9μm、平均繊維長40μm] 充填剤−3:タルク[林化成(株)製 HST−0.
8、平均粒径2.8μm] FR−1:赤リン系難燃剤[燐化学工業(株)製ノーバ
エクセル140、フェノール・ホルマリン系樹脂により
マイクロカプセル化された赤リン系難燃剤、赤リン含有
量:92重量%] FR−2:ハロゲン系難燃剤[帝人化成(株)製ファイ
ヤガードFG−7000、テトラブロモビスフェノール
Aのカーボネートオリゴマー] FR−3:燐系難燃剤[大八化学工業(株)製TPP、
トリフェニルホスフェート] 添加剤−1:ホスフェート系安定剤(トリメチルホスフ
ェート) 添加剤−2:ホスファイト系安定剤[日本チバガイギー
(株)イルガフォス168]
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】これらの表から明らかなように、例えば実
施例1と比較例1あるいは実施例4と比較例6との比較
より、ポリエステル−スチレン系エラストマーブロック
共重合体(C成分)を添加することにより、制振性を維
持しつつ、良好な衝撃値を達成することがわかる。比較
例3では制振性ブロック共重合体(B成分)の添加量が
少ないため、制振性能を示さない。また、ポリエステル
−スチレン系エラストマーブロック共重合体(C成分)
の構成ブロックであるポリエステル系ブロック成分
(P)と芳香族ビニル系ブロック成分(Q)と反応・結
合せず、ブロック共重合体を形成していない場合には、
実施例2、3と比較例3、4、5との比較でわかるよう
に、相溶性改良効果が発現せず、衝撃強度が不十分であ
ることがわかる。
【0110】また、実施例8と比較例7との比較におい
ても、ポリエステル−スチレン系エラストマーブロック
共重合体(C成分)を配合しない場合には、耐衝撃性が
不十分となることがわかる。
【0111】
【発明の効果】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物は、
制振性に優れ、かつ機械的強度、難燃性、成形加工性に
優れる為、制振性を必要とする材料に利用可能である。
特にOA機器・電気電子分野での機構部品等の駆動系に
よる振動対策に有効であり、その奏する工業的効果は格
別なものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 59/04 C08L 59/04 67/02 67/02 67/03 67/03 71/02 71/02 71/08 71/08 77/02 77/02 79/08 79/08 Z 81/02 81/02 81/06 81/06 F16F 15/02 F16F 15/02 Q Fターム(参考) 3J048 AB01 AC01 BD03 DA10 EA07 4J002 BB00X BC03X BC06X BD04X BG04X BN06X BN12X BN14X BN15X BP013 BP034 CB00X CF04X CF16X CG00W CH07X CH08X CH09X CL00X CM04X CN01X CN03X DA016 DA066 DE136 DE186 DE236 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 FA016 FA046 FA066 FA086 FA106 FD016 GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a−1)芳香族ポリカーボネート樹脂
    40〜100重量%及び(a−2)ポリスチレン樹脂、
    シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる
    成分を含有する共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレ
    フィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
    リフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフ
    ェニレンサルファイド樹脂、ポリアルキルメタクリレー
    ト樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、
    ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹
    脂、ポリアセタール樹脂、及びポリイミド樹脂から選択
    される1種または2種以上の熱可塑性樹脂60〜0重量
    %の合計100重量%からなる熱可塑性樹脂(A成分)
    70〜96重量%、(b−1)ビニル芳香族化合物成分
    からなり数平均分子量2,500〜40,000のブロ
    ック、及び(b−2)共役ジエン系化合物成分からなり
    数平均分子量10,000〜200,000で、ガラス
    転位温度が−30℃〜30℃の範囲にあるブロックから
    なり、数平均分子量が30,000〜300,000で
    ある制振性ブロック共重合体(B成分)3〜20重量
    %、並びにポリエステル−スチレン系エラストマーブロ
    ック共重合体(C成分)1〜10重量%からなり、且つ
    A成分、B成分及びC成分の合計が100重量%からな
    る制振性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 A成分、B成分及びC成分からなる制振
    性熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、更に無機
    充填剤を1〜100重量部配合した請求項1に記載の制
    振性熱可塑性樹脂組成物。
JP10355982A 1998-12-15 1998-12-15 制振性熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JP2000178429A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10355982A JP2000178429A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 制振性熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10355982A JP2000178429A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 制振性熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000178429A true JP2000178429A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18446729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10355982A Withdrawn JP2000178429A (ja) 1998-12-15 1998-12-15 制振性熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000178429A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001016231A1 (en) * 1999-08-27 2001-03-08 General Electric Company Sound damping polyester molding compositions
US6291574B1 (en) 1999-08-27 2001-09-18 General Electric Company Polyester molded articles
JP2002060634A (ja) * 2000-08-21 2002-02-26 Teijin Chem Ltd 制振性熱可塑性樹脂組成物
JP2011105801A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Olympus Corp 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2012171989A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Furukawa Electric Co Ltd:The 制振樹脂組成物及びその製造方法
JP2012171990A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Furukawa Electric Co Ltd:The 制振樹脂組成物及びその製造方法
WO2016067961A1 (ja) * 2014-10-31 2016-05-06 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂組成物
JP2016089148A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂組成物
WO2017188183A1 (ja) * 2016-04-25 2017-11-02 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂成形組成物
US10465063B2 (en) 2014-10-31 2019-11-05 Kao Corporation Polyamide resin composition for damping material

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001016231A1 (en) * 1999-08-27 2001-03-08 General Electric Company Sound damping polyester molding compositions
US6291574B1 (en) 1999-08-27 2001-09-18 General Electric Company Polyester molded articles
JP2002060634A (ja) * 2000-08-21 2002-02-26 Teijin Chem Ltd 制振性熱可塑性樹脂組成物
JP2011105801A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Olympus Corp 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2012171989A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Furukawa Electric Co Ltd:The 制振樹脂組成物及びその製造方法
JP2012171990A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Furukawa Electric Co Ltd:The 制振樹脂組成物及びその製造方法
WO2016067961A1 (ja) * 2014-10-31 2016-05-06 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂組成物
JP2016089148A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂組成物
US10465063B2 (en) 2014-10-31 2019-11-05 Kao Corporation Polyamide resin composition for damping material
WO2017188183A1 (ja) * 2016-04-25 2017-11-02 花王株式会社 制振材料用のポリエステル樹脂成形組成物
CN109071926A (zh) * 2016-04-25 2018-12-21 花王株式会社 用于减振材料的聚酯树脂成形组合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003155416A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形品
EP0192065A2 (en) Polycarbonate resin composition
JP2001049072A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
KR960001622B1 (ko) 수지 조성물
CN111615538B (zh) 热塑性树脂组合物和由其形成的模制品
JP2001240738A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2000178429A (ja) 制振性熱可塑性樹脂組成物
JPH11199667A (ja) ポリエーテルエステルアミド、帯電防止剤および熱可塑性樹脂組成物
JP3899178B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP2676399B2 (ja) 耐衝撃性の改良された熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JPH0794591B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3376753B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000327900A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3310088B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0218439A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2004091679A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2000143962A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP3645354B2 (ja) 帯電防止樹脂組成物
JP2745625B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000129057A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3775952B2 (ja) 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物
JP2000053870A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP3238620B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物及びその製造法
JP2000129111A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2001164040A (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041213

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20061110