JP2012171990A - 制振樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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宏 池田
Hirofumi Kawanaka
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Abstract

【課題】広い温度範囲で連続する安定した制振性を発揮する制振樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【手段】複数の損失正接(tanδ)ピークを有する樹脂組成物であって、複数のポリマーを反応させて連結したブロック体を含有し、かつ親有機化した層間化合物を含有する制振樹脂組成物、また、各々異なる温度の損失正接ピーク温度を有しかつ反応基を有する複数のポリマーと、親有機化した層間化合物とを混合し、反応させ、ブロック体とする制振樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、様々な分野及び用途において好適に利用される制振樹脂組成物及びその製造方法に関する。
最近、制振性や吸音性が必要とされる場所や機器・設備等は、益々多様化している。それにともない、広い温度範囲で、その制御下に設計された制振性が発揮される制振材が求められている。特に自動車などへの適用を考慮すると、振動の発生源となるエンジン周りといった高温域帯で、十分な安定性を有ししかも優れた制振性を発揮するものが求められる。特許文献1には、ポリ塩化ビニルに、損失正接のピーク温度が異なる樹脂として、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)及びポリメタクリル酸メチル等を用い、さらにマイカ鱗片及び炭酸カルシウム等を配合した遮音材が開示されている。これにより、主に路上の遮音材料として好適に利用することができるとされている。特許文献2には、ガラス転移点の異なるポリエチレン共重合体とポリアミド、ポリカーボネート、もしくはABS樹脂とを混合した、振動減衰性を有する高分子組成物が開示されている。
特許3581940号公報 特開2005−307095号公報
上記の特許文献では複数の異なるポリマーが採用されているが、十分な制振性を発揮し、実際の製造に適した互いに相溶するポリマー材料の組合せは希である。結晶・非晶材料の多くは異種高分子の混合系において溶融混合しても常温に戻る際に相分離してマトリックス構造で存在する。そのため、通常、熱エネルギー転換はマトリックスの海相側の制振性能が優先し、異種高分子の片方(海相側)の制振性能しか発現しない。また、フィラーを使用して各々のポリマーの損失正接(tanδ)をブロード化することも考えられるが、いずれにせよ相分離しているため実質的にはマトリックスの海相側にしか、その効果は認められない。また、アプリケーション等によってはフィラーを添加したことによる影響があるため、これを用いずに所望の性能を発揮することが望まれる。
本発明は、上記の従来技術に関する知見を考慮し、広い温度範囲で連続する安定した制振性を発揮する制振樹脂組成物及びその製造方法の提供を目的とする。
上記の目的は以下の手段により達成された。
(1)複数の損失正接(tanδ)ピークを有する樹脂組成物であって、
複数のポリマーを反応させて連結したブロック体を含有し、かつ
親有機化した層間化合物を含有する制振樹脂組成物。
(2)複数のポリマーからなるブロック体と親有機化した層間化合物とを含有する制振樹脂組成物であって、該ブロック体は、各々異なる温度の損失正接(tanδ)ピークを有しかつ反応基をもつ複数のポリマー同士が、前記反応基同士を介して連結されたものである(1)記載の制振樹脂組成物。
(3)前記親有機化した層間化合物が、有機化合物を膨潤性層状粘土鉱物に層間挿入して得られた無機有機ハイブリッド化合物であって、前記ブロック体中にナノメートルサイズで分散した(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記ブロック体は、前記反応基を介して連結されたポリマー生成物を前駆体とし、該前駆体分子内の残存反応基同士を介して結合させ、直鎖連結構造、長鎖分岐構造、化学架橋構造、またはそれらを組み合わせた構造である(1)〜(3)いずれかの1項に記載の樹脂組成物。
(5)前記ポリマーの反応基または残存反応基が、カルボキシル基、その酸無水物基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種の反応基である(1)〜(4)に記載の樹脂組成物。
(6)前記化学種がカップリング剤または/および架橋剤である(5)記載の樹脂組成物。
(7)前記カップリング剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、もしくはオキサゾリンの官能基を少なくとも1つ以上有する単分子化合物又はオリゴマーである(6)に記載の樹脂組成物。
(8)前記親有機化のための有機化合物が、メラミン塩酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルリン酸塩、及び前記化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(9)前記親有機化のための有機化合物が、架橋剤または架橋剤と架橋助剤との組合せである(1)〜(8)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(10)各々異なる温度の損失正接ピーク温度を有しかつ反応基を有する複数のポリマーと、親有機化した層間化合物とを混合し、反応させ、ブロック体とする制振樹脂組成物の製造方法。
(11)前記親有機化した層間化合物として、有機化合物を膨潤性層状粘土鉱物に層間挿入して得られた無機有機ハイブリッド化合物を用い、前記ブロック体中にナノメートルサイズで分散させる(10)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(12)2官能および/または3官能の化学種を添加して混合し、前記ブロック体もしくは前記ブロック体を結合させる(10)又は(11)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(13)前記化学種がカップリング剤または/および架橋剤である(12)記載の樹脂組成物の製造方法。
(14)前記複数のポリマーの混合物、またはこれを一部反応させ連結させたブロック体あるいはそれらの混合物を、加熱押出しして前記反応基を反応させる(10)〜(13)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の制振樹脂組成物は、広い温度範囲で連続する安定した制振性及び吸音性を発揮するという優れた作用効果を奏する。また本発明によれば、樹脂の単なるブレンドとは異なり、組み合わせるポリマー間の制約を解消し、その調製におけるポリマーの実際的な組み合わせの選択肢を豊富化することができる。
本発明の製造方法によれば、上記優れた特性を有する制振樹脂組成物を好適に製造することができる。
積分平均損失正接の求め方を説明する説明図である。 実施例1で得られた樹脂組成物の損失正接チャートを比較例1の組成物との対比で示したグラフである。
本発明の制振樹脂組成物は、反応性基を保有し、かつ異なる温度で損失正接(tanδ)ピークを保有する複数のポリマーを連結させたブロック体と、層間化合物とを含有する。上記反応基はポリマー分子の末端及び分子内のいずれにあっても、あるいは両者にあってもよい。複数のポリマーが連結されたブロック体は、本発明の効果を奏する範囲で樹脂組成物中に含まれていればよく、その全量が上記ブロック体でなくてもよい。所定の溶剤や機能性の材料との混合物であったり、上記複数のポリマーの未反応成分が残留していたりしてもよい。通常のアプリケーションを考慮すると、上記ブロック体が制振樹脂組成物中に主成分として、つまり30質量%以上含まれていることが好ましく、50質量%以上含まれていることがより好ましい。上限は特になく100質量%以下の任意の程度に設定すればよい。以下、本発明の制振樹脂組成物の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態においては、複数のポリマーを連結(本明細書において「連結」とは互いに別個のポリマー同士が連なり、結ばれていることを意味し、その結合形態は特に限定されない。ポリマーがもつ反応基同士が結合して連結されていても、特定の化学種を介して連結されていてもよい。反応基(同士)を介して連結されたと記載したときにも、同様に化学種の介在を許容する意味である。また、これをブロック化と称することがある。)する際に、各々のポリマーが保有する反応性官能基の反応性に差異がある場合には反応速度を調整するために多官能の化学種を作用させてもよい。また得られたポリマーのブロック体の分子構造は特に制限されず、長鎖分岐構造(複数の方向に典型的には放射状にポリマー鎖が延びた構造)、あるいは異なる温度で損失正接を保有するポリマーが直鎖状でブロック化された構造(直鎖連結構造)や、そのブロック体同士が一部架橋する構造(化学架橋構造)も含まれる。
ブロック反応の手順を同時でなく、逐次反応の形態を選択してもよく、直鎖状でブロック化された構造体を前駆体として得て、あらたに前駆体をカップリングする際に2官能のカップリング剤を作用させるか、その一部に3官能の化学種を適量用いて直鎖状ブロック体同士を再度カップリング反応し、長鎖分岐構造を含有するブロック体混合物であっても良い。そのいずれにあっても主に分岐構造を有する場合には分子の絡み合いが顕著に起こり、疑似架橋状態を持つため個々のポリマーが保有する機械的損失よりも高くなる事例も広く知られている。またこのような構造体は伸長粘度が高く、疑似架橋であるため、流動性は保持されている。その為機械的損失ばかりか発泡成形や中空成形、押出し成形、あるいは真空圧空等の熱成形に優れた賦形性もあるのでのぞましい分子構造体を保有する。
本発明では、製品設計で仕様温度に対応した損失正接温度を保有するポリマー材料を組み合わせ選択して任意に温度範囲が制御した制振性能樹脂組成物とすることができる。このブロック体樹脂組成物の好ましい調製条件を説明する。
[調製方法等]
・カップリング剤のマスターバッチの準備
カップリング剤は単分子化合物あるいは多官能を有するオリゴマー(あるいは「反応性マクロモノマー」と称す)であるため、粘度が低い。溶融ポリマーと押出機で混練りを行うと粘度が低いため、押出し機が混練り性能の高い二軸タイプであってもバレル表面に偏在し、粘度の高いポリマーはスクリュー溝に偏在する。その結果、加熱されたバレル表面では溶融温度より遙かに高い(一般には600℃付近である)ため、ブロック化反応よりも先に熱分解が進み、充分な反応が完結しにくい。このため、ポリマーが溶融するまで熱分解や酸化からの回避を目的としてカップリング剤はマスターバッチにして添加する。マスターバッチに使用する樹脂はブロック化する際に組み合わせた複数ポリマーで分子内にその分子構造内に官能基を有しない類似ポリマーであって、一番高い融点の類似ポリマーを用いてマスターバッチ化することが望ましい。
あるいはマスターバッチ作成を行う際に分解や不安定な場合には直接、不活性雰囲気中で押出し機に注入することが望ましい。組み合わせた複数ポリマーが押出し機内で溶融混合し、分散した後に押出し機にベント口を設けておき、溶融した部位から液体、あるいは粉末状のカップリング剤を注入することが望ましい。
・ブロック化反応条件
ブロック化反応では望ましくは複数のポリマーの保有する官能基は末端あるいは分子内に反応に必要量だけ存在することが望ましい。また相互にカップリング反応しやすい官能基でなければならない。例えば両末端にアミノ基と酸無水物を保有するポリマーの組み合わせ、あるいはグリシジルと酸無水物、水酸基と酸無水物等の縮合反応の形態となる官能基が望ましい。その場合には直鎖状のブロック体が得られるがポリマー同士の反応性が低い場合が多くカップリング剤を用いる方が幅広い官能基の組み合わせ選択することができる。カップリング剤を用いると同じような反応性官能基であっても異なるポリマー間のブロック化を行う事も出来る。例えば異なるポリマーがカルボン酸基や水酸基、アミノ基等の組み合わせであってもイソシアネート、グリシジル基、オキサゾリン等の官能基を複数有する化合物等が上げられる。
またカップリング剤を用いてもポリマー側の反応性官能基が多数モル保有している場合はそれらの官能基とカップリング剤の反応性が高く、同種ポリマーと異種ポリマーを組み合わせたブロック協奏反応になることが多い。また異種ポリマー同士が優先的に生成しても架橋度が高い反応が進む場合もある。この場合には押出し機の滞留時間を短くし、可能な限り温度を下げて、緩やかな反応を行うと、反応のポリマーの自由空間が大きい末端基あるいは末端基に近い官能基同士が反応した前駆体を得る。これらの前駆体を再度、最適な押出し条件を選んでカップリング剤を追加して逐次反応を進めると前駆体同士の残存官能基を結合させて分子量の増大を図ることもできる。分子量の増大によってブロック体同士の結合は長鎖分岐の導入による分子間の絡み合いや分子間架橋が一部成形され、分子間の緩やかな拘束は更なる大きな長周期的な緩和を付与することができる。その結果、温度範囲が広くブロック体を構成する中で主鎖となるポリマーのセグメント部分の損失正接(tanδ)が高い特性が得られる。
あるいは触媒を用いて選択的にポリマーの保有する官能基とカップリング剤を反応させて、その後反応条件を変えて分子量の増大を図るような逐次反応を採用しても良い
本実施形態では更にそのブロック体混合物を反応させて分子量の増大を図ることで各々のポリマーのtanδの値よりもブロック体混合物そのものの平均損失係数を高めることができる。その方法として、第一工程で得られたブロック混合体を用いて分子量の増大の為の反応を行うことができる。分子量の増大には長鎖分岐の導入や部分化学架橋を形成させることが好ましい。その結果ブロック体分子間での絡み合いが形成される。このような分子間の絡み合いの形成では、長周期的な機械的緩和機能が追加され、平均的な損失正接を元のポリマーの各々の損失正接(tanδ)ピークよりも向上させことができる。この分子量増大反応工程でできあがった構造体は長鎖分岐やブロック体間の部分架橋も含まれる。
本実施形態によれば、このようなブロック化を行って広い温度範囲で連続的な複数のtanδの機械的分散を保有することが可能となる。そのピークの高さはブロック体を構成する各々の高分子の固有のtanδの各々のセグメントのモル分率の積の総和で近似される。したがって構成する各々の高分子のtanδを適宜選定して所定の適用温度によって高い損失正接に係る性能が得られる設定としてもよい。
本実施形態においては、幅広い温度範囲で損失正接が高い複数のピークを有するブロック体を得るために、以下の調製方法を用いることが好ましい。
・方法1.
ブロック体を生成後、長鎖分岐を形成させ分子量の増大による平均的損失正接を向上させることができる。例えば低い損失正接(tanδ)を保有するポリマーAと高い損失正接(tanδ)を保有するポリマーBとをブロック化する場合を説明する。
ブロック化にはポリマーAとポリマーBを2官能のカップリング剤を用いて反応押出しにより直鎖状のブロック体混合物を得る。次にブロック体混合生成物に3官能のカップリング剤を作用させて押出し成形を行うとブロック体は長鎖分岐を保有する樹脂組成物を得ることができる。長鎖分岐の導入は分子間の絡み合いが生じるため長周期的緩和を生じるため平均的損失正接の向上に繋がる。カップリング剤は3官能だけでブロック体に作用させると溶剤に可溶であっても絡み合いが多く流動性がない場合は2官能と3官能の併用を行ってもよい。またその際に反応を優先的に進めるには触媒を用いて反応を加速させてもよい。あるいはブロック体の反応性が悪い場合は架橋剤を用いてブロック体同士を部分架橋してもよい。
・方法2.
予め一方のポリマーAに3官能のカップリング剤を作用させて長鎖分岐構造を形成させたスターポリマーAa’を生成しておき、その後ブロック化する為にポリマーBを反応押し出しで結合する。先に損失係数の高いスターポリマーを形成しておき、その後に幅広い温度領域で平均損失係数を保持することができる。この場合はポリマーAの分子量が低い場合に分子量の増大の粘度が比較的低いため、後のブロック化工程が容易である。その理由は手法1を採用するとポリマーAの分子量が低いとポリマーA同士での反応が速く、ポリマーAとポリマーBとのブロック化がしにくい場合には有効な手法である。またこの場合にはブロック化工程は2官能のカップリング剤を用いるか、架橋剤も用いてもよい。なお用いるポリマーについて後に記述するポリマーの項目に例示されたものが好ましい。
[適用ポリマー]
本発明においては、反応基を有するポリマーの中で、損失正接(tanδ)のピーク温度が異なるポリマーを複数組み合わせて構成される。かかるポリマーとしてはポリオレフィン系並びにポリビニル系化合物が挙げられる。それらにはエポキシ基やエステル基、酸無水物基等で変性されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーメチルアクリレート共重合樹脂(EMA)、エチレンーエチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、エチレンーブチルアクリレート共重合樹脂(EBA)、グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/無水マレイン酸三元共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/アクリル酸三元共重合体、グリシジルメタアクリル酸エチレングリシジルメタアクリル酸変性ポリプロピレンより好ましくはエチレングリシジル−メタアクリレート共重合体、エチレン無水マレイン酸グリシジル−メタアクリレート三元共重合体(E−MAH−MA)、エチレングリシジルメタアクリレート/アクリル酸三元共重合体、グリシジルメタアクリル酸変性ポリエチレン及びグリシジルメタアクリル酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。一例としては市販されている商品名では具体的には以下のものが挙げられる。
(a)メタクリル系共重合体:エチレングリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA;共重合重量組成、例えばE/GMA=100/6〜12)、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体(E−GMA−VA;共重合重量組成、例えばE/GMA/VA=100/3〜12/8〜5)、エチレングリシジルメタクリレート−メタクリレート共重合体(E−GMA−MA;共重合重量組成、
例えばE/GMA/MA=100/3〜6/30)等が挙げられる。具体的には、住友化学製、ボンドファーストE[商品名]、ボンドファースト2C[商品名];日本ポリオレフィン製、レクスパールRA[商品名]、レクスパールET[商品名]、レクスパールRC[商品名]が挙げられる。
(b)アクリル酸系共重合体:エチレン無水マレイン酸エチルアクリレート共重合体(E−MAH−EA;住友化学製、ボンダイン[商品名])等が挙げられる。
(c)スチレン系共重合体:エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン(EGMA−AS;共重合重量組成、例えばEGMA/AS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリスチレン(EGMA−PS;共重合重量組成、例えばEGMA/PS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリメチルメタクリレート(EGMA−PMMA、例えばEGMA/PMMA=70/30)等が挙げられる。具体的には、日本油脂製、モディパー[商品名]が挙げられる。
(d)酸変性ポリオレフィン系重合体:酸変性型ポリエチレンワックス(APEW;三井化学製、ハイワックス[商品名])等が挙げられる。
(e)グラフト変性ポリオレフィン系重合体:COOH化ポリエチレングラフトポリマー、COOH化ポリプロピレングラフトポリマー等が挙げられる。
これらのポリマー群の内から選ばれる熱可塑性樹脂と組み合わせることができる、高いガラス転移点を有し、高い温度の損失正接(tanδ)ピークを保有するポリマーとしては、ポリアミド(PA)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体(ABS)、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/グラフト無水マレイン酸スチレン共重合体、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)及びリサイクルによって加水分解され、水酸基とカルボン酸を対にして官能基を保有するポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及び、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニリデンフロライド(PVDF) ポリ乳酸(PLA)、 ポリメチルメタクリレート(PMMA)、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
本発明においては、上記複数のポリマーのうち少なくとも1つが結晶性ポリマーであることが好ましい。ここで結晶性ポリマーとは当該ポリマーが構成する樹脂内部で少なくとも一部において結晶構造が形成されているものを言う。典型的には、当該結晶構造による物性の発現が認められ、TG−DTA(示差熱‐熱重量分析)による融点ピークの有無により非結晶性ポリマーと区別することができる。
上記に例示したポリマーのうち結晶性ポリマーにあたるものは、代表的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ乳酸(PLA),ポリアミド(PA)である。非結晶性ポリマーにあたるものは、代表的には、 ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSU)である。
本発明においては、上述したポリマーのうち、損失正接ピーク温度が低いポリマーとそれが高いポリマーとの組み合わせが採用されるが、さらに3種類以上のポリマーを複数組み合わせてブロック化反応を繰り返してもよい。
異なるポリマーに由来する隣接する機械的正接ピークの温度差(Δtanδ)は、tanδのピーク高さによっても異なるため、特に限定するものではない。ブロック体あるいはそれを含有する樹脂組成物になった場合、例えば隣接する機械的正接ピーク高さが両者とも同程度であるときなど、2つのピークを区別する観点から、5℃以上の差があることが好ましい。その差を所定の範囲に収める設定とするならば、前記機械的正接ピーク温度の差は5〜40℃の範囲であることが好ましく、5〜20℃であることがより好ましい。逆に広い温度範囲で差をつける場合には、40℃以上の差をつけることが好ましく、60℃以上100以下の差をつけることがより好ましい。反応して連結されるそれぞれのポリマーの機械的正接ピークの温度差も同様である。
前記tanδピーク温度差が大きい場合は、隣接する損失正接ピーク温度の間に損失正接(tanδ)ピーク温度を保有する第3番目のポリマーをブロック化する際に構成ポリマーとして組み合わせるか、あるいは用いるポリマーで共重合体を用いるとコポリマーのセグメントに由来する力学的分散のtanδピークが出現するようにすることが好ましい。このような幅広いピークでtanδが複数存在したポリマーをブロック化に利用することでピーク値の離れすぎによるピーク値の谷を防ぎ、目的とする温度範囲の制振性をどの温度でも維持することができる。ただし、本発明においては各ピークが連続していなくてもよい。例えばアプリケーション上対応できる範囲であれば間欠的であったりピークの谷があったりしてもよい。また、ピークのショルダーが広がる形で広範な温度での制振性を示す設定としてもよい。
ポリマーが有する反応基としては、カルボキシル基、その酸無水物基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基が挙げられ、中でも、カルボキシル基、グリシジル基、アミド基、又は水酸基が好ましい。
本発明において採用されるポリマーの損失正接ピーク温度及び損失係数は下記のようにして測定及び算出した値をいう。
<損失正接及び正接ピーク温度(ガラス転移温度)の測定>
高分子物質を加熱した場合にガラス状の硬い状態からゴム状に変わる現象をガラス転移といい、ガラス転移がおこる温度がガラス転移点である。損失正接及びガラス転移温度の測定方法は、長さ40mm×幅10mm×厚さ0.5mmの試料について、動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])を用いて2〜5℃/分で昇温させ、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率を求め(E”)、その比(E”/E’)により損失正接を求めた。損失正接のピーク温度をガラス転移温度とした。
<損失係数測定>
損失係数(η)は、損失正接と同様、制振材料の制振特性を評価する際の指標である。長さ250mm×幅10mm×厚さ3mm(鉄基材1mm)の試料について、中央加振法により、周波数応答関数(機械インピーダンス(力/速度))を測定し、半値幅法により損失係数を算出する。さらに制振材の損失係数を以下の式より求める(ηは系全体の損失係数で測定できるので制振材のηとの関係が下式で算出される。)。
Figure 2012171990
:基板,制振材のヤング率
a=E/E
:基板,制振材の厚さ
ξ=h/h
η・・・制振材の損失係数
上記ポリマーの粘度および分子量は特に限定されないが、構成するポリマーは末端基あるいは分子内に反応性官能基を有し、その重量平均分子量(Mw)はGPCのスチレン分子量換算で5000以上から300,000の間が望ましい。Mwが上記下限値以上であると溶融粘度が十分に大きく直鎖状のブロック体でも2,000CPS(センチポイズ)程度で高分子としての特性が失われず好ましい。例えば、分子が絡み合う様に3官能の単分子カップリング剤を用いて長鎖分岐(スターポリマー)構造のブロック化しても10,000CPSには達しないため高分子としての特性が失われず好ましい。またMwが上記上限値以下であると、流動しやすい材料となり成形性の観点から望ましい。以下に分子量測定の具体的な条件を示す。なお、下記の設定は例えばポリメチルメタクリレートの測定の条件であって、カラムの種類や移動層の溶媒は測定するポリマーに応じて適宜選定すればよい。
・分子量測定装置
装置:SHIMAZU LC−VP
プレカラム:なし
サンプル側カラム
・LF−804(Shodex)300×7.5mm /2本
・HFIPgel (Polymer Laboratories) 300×7.5mm/2本 など
リファレンス側カラム:サンプル側カラムに同じ
恒温槽温度:40℃ ※一般的に
移動層:テトラヒドロフラン
サンプル側移動層流量:1.0mL/分
リファレンス側移動層流量:1.0mL/分
試料濃度:約1%(0.5%〜数%)
試料注入量:100μL(50〜200μ)
[ポリマーの組成比]
本実施形態においては、2種類のポリマーでブロック化を行う場合は望ましくは両者ポリマーのtanδの大きさ(ピーク面積)が同じ程度になることが望ましい。そのために、構成する両者のモル比は、各々が保有するtanδとそのモル比での可撓性を勘案して定めることが好ましい。ポリマーA/Bの構成比は5/95〜95/5モル比の範囲で構成することができる。しかしながら両者が相分離しやすい領域ではポリマー単独のカップリング反応が生じやすいことを考慮すべきである。その点を考慮するとポリマーA/Bのモル比を95/5〜60/40の混合物1とポリマーA/Bのモル比を5/95〜40/60の混合物2を予め調製しておき、これらを上記構成比になるように調合して反応押し出しを行うことで、ブロック化反応の際に同一ポリマー同士の不均一な反応を回避することができる。
ポリマー構成が3種類以上の場合は例えばポリマーA、BおよびCにおいてポリマーが保有するtanδの温度で中心となるポリマーが全体を構成するモル数の中で望ましくはその各々の構成は5〜50モル%の範囲でその全量が100モル%とする。望ましくは各々の構成は8〜40モル%の範囲でその全量が100モル%とする。好適な条件としては各々の構成は10〜35モル%の範囲でその全量が100モル%の場合が優れた結果を期待できる。
[層状粘土鉱物]
本発明では制振樹脂組成物に親有機化した層間化合物を適用する。その好ましい実施態様としては、膨潤性層状粘土鉱物に有機カチオンおよびまたは有機物を層間に挿入した親有機化層間化合物を用いたものが挙げられる。平均的な損失正接を得るために、高いtanδを保有するポリマーに分散させるとポリマーは層間化合物に配座した後、押出し機の剪断力によって層間化合物は表面から剥離し、ナノメートルサイズの粒子として分散した分散体が得られた。このようにして得られた分散複合体をブロック化するとブロック体における高いtanδ側は低下する傾向にあるが、ピークはブロード化するとともに低いtanδ側のピークが向上する。このため損失分散のtanδ群は全体に平均的化された損失正接特性に改善される。
ここでのフィラーは、膨潤性層状粘土鉱物に有機カチオンおよびまたは有機物を挿入した親有機化層間化合物である。元の膨潤性粘土鉱物の層間距離は9.6Åでその層間に有機物が挿入されると有機物分子のサイズにもよるが、その層間距離は12オングストローム以上になる。例えばジメチルジステアリルアンモニュウムクロリドを挿入して層間のナトリウムカチオンと置換した場合はその層間は36Åとなる。層間距離はX線回折によりd(001)から測定、算出したものとする。
ナノ分散とは、ポリマー中に親有機化された層状珪酸塩化合物がポリマー融液の吸着、押し出し機の剪断によって、ポリマー/層状珪酸塩の配座付加物の剥離の繰り返しによって生じ、層一枚、若しくは平均的には40層以下のポリマー/層状珪酸塩の配座付加物が混在した状態で局所的な塊を形成することなく、超微細に分散する状態をいう。ここでナノメートルサイズは好ましくは400nm以下であることが好ましく、1〜300nmであることがより好ましい。これ以下のサイズで、剥離状態が良好な分散が充分進行する。完全分散すると、層状化合物は層間1nm樹脂組成部物の損失正接に係る性能も一層良好なものとなり好ましい。層状粘土鉱物の層厚みはX線回折によって2θを測定し、そのd(001)から層間距離を算出したものとする。
なお、分散した層状化合物が、板状である場合、上記好ましい寸法の範囲は厚さ(板厚)に相当するものとして評価することができる。板状粒子のアスペクト比は、100〜300程度であることが好ましい。なお、上記層状化合物はその積層構造が親有機化により解かれ、無限膨潤化していることが好ましい。すなわち、無限膨潤化とは、層状化合物の積層構造が解かれデラミネーションし、単層もしくは数〜数十層の小さな積層体として板状の層状化合物片が高度に分散していることを言う。
本実施形態に用いられる層状粘土鉱物は特に限定されず、この種の樹脂組成物にフィラーとして用いられるものを広く採用することができる。具体的には、テトラシリシックマイカ、バーミキュライト、スメクタイト等が挙げられる。
層状粘土鉱物は上述のように複数のポリマーのブロック化工程の前に、予め有機化合物で層間修飾しておくことが好ましい。この有機化合物としては、メラミン塩酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルリン酸塩、及び前記化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。層間修飾の方法は、水置換法とメカノケミカル法とが挙げられる。水置換法とは、有機カチオンを層状粘土鉱物に挿入する場合、膨潤性粘土鉱物の金属イオンとのイオン交換によって層間に挿入する方法である。例えば予め膨潤性粘土鉱物のテトラシリシックマイカを水で無限膨潤化しておき、これに水溶性の有機カチオンの一例としてジメチルジステアリルアンモニュウムクロリドを添加して層間に存在するナトリウムイオンとオニュウムイオンを置換する。置換されたナトリウムイオンと有機カチオンの対イオンのクロルイオンはNaClとして反応系外に排出され、層間にはジメチルジステアリルアンモニュウムイオンが挿入されてd(001)で36Åとなる生成物をえるような水溶液イオン置換での調製法である。
メカノケミカル法とは、非イオンの有機物を挿入する手法として用いられる。予め少量の有機カチオンで膨潤性粘土鉱物の置換容量の一部を置換して粘土鉱物有機物の親和性を付与しておく、その後に挿入したい非イオン性の有機物を追加して粉砕を行うと粉砕エネルギーによって破壊界面から有機物を挿入する手法である。この特徴は水置換法の様な多量の水を処理として使用しない為、除外設備および処理コストが極めて少ない点にある。また親有機化による親和性を付与するには有機カチオンばかりでなく有機物でドナーを有する物であっても良い。また粉砕器にはボールミル、振動ボールミル、オングミル、乳鉢の様な摩砕するような構造の設備が上げられる。
なお層間中の置換量は熱天秤等により燃焼の重量減少から算出し、100g粘土鉱物当たり有機物が含まれる量とした。
上記層間挿入に用いられる有機化合物としては、メラミン塩酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルリン酸塩、でナノ分散するためのインターカラントに用いるか、あるいはブロック化のための化学種を用いてブロック化反応カップリング剤と粘土鉱物をナノ分散するインターカラントの両方の役割を持たせても良い。それらの化学種は2官能性又は3官能性の化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。さらには、ブロック化は分子量増大を伴う結合反応なので、それらの化学種は架橋剤または、架橋剤および架橋助剤が挙げられる。
層状粘土鉱物の層間修飾の状態はその層間に有機化合物が挿入(インターカレーション)した状態であっても、層状粘土鉱物をなす各層が媒体中で剥離(デラミネーション)して分散した状態であってもよい。層状粘土鉱物もしくはその剥離体の粒子径は前述のようにナノメートルサイズであることが好ましい。
なお、層間化合物を系内に添加する時機は特に限定されないが、ブロック化反応の前であることが好ましい。それにより、一層均一でかつ広い温度分範囲における制振性を実現することができる。
上記層状粘土鉱物の使用量は特に限定されないが、樹脂組成物の総量に対して0.05重量%以上15重量%未満であることが好ましく、1重量%以上10重量%未満であることがより好ましく、0.5質量%以上8質量%であることが特に好ましい。下限値以上とすることで、フィラーの相互作用の効果を得ることができ、上記上限値以下とすることで必要なカップリング剤としてのナノカプセルの効果が期待できる。
[ブロック化反応の同定]
上記複数のポリマーのブロック化の確認は以下のようにして行うことができる。
まず1つの方法を例示すると、反応押し出しによって生成した混合物ポリマーを溶媒に溶解させ、それらをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって分子量を確認する。さらに、これを分別後、13C−NMRによってブロック化した際のカップリング部分について、その結合炭素は官能基が異種元素によってシフトが異なることを利用して、定量化することができる。しかしながら、これらの操作は精度のある確認手段としては好適ではあるが、ブロック反応性スクリーニングの際には多大な時間を消費しえるため、簡便法として下記のような粘弾性測定によってtanδの挙動観察から判定する方法を採用するもことができる。
また、ブロック反応の粘弾性測定による簡便な同定方法が挙げられる。ポリマーAの損失係数tanδ及びピーク温度Tgaとし、ポリマーBの損失係数tanδ及びピーク温度Tgbとすると、これらを完全混合した状態(ブロック化しないで混合している状態)ではそのtanδはそのモル比率に応じた材料の異なるtanδ並びにtanδのピークの高さが合成されたものが損失係数を測定した際に観測される。いわゆるモル分立による加成性がみられる。またその完全混合物の各々のtanδ及びtanδの温度はポリマーA及びポリマーBの損失係数を測定した際の温度と一致して観測される。
一方、ポリマーA及びポリマーBのセグメントの運動量がブロック化の際に構成するポリマーA及びポリマーBが結合していると、ポリマーの運動量はセグメントの長いポリマーの影響をされる。たとえばポリマーAの主鎖セグメント長さがポリマーBより長い(すなわち分子量がポリマーBより分子量が大きく繰り返しユニット数が大きい)場合で、ブロック体になった場合はセグメントの長いポリマーA側の運動量の影響を受けるはずである。言い換えれば、セグメントの長いポリマーAの拘束をポリマーB側は受けるため、
tanδのピーク温度TgbはポリマーA側にシフトすることが観測される。もし反対にポリマーB側のセグメントがポリマーAより長く場合はポリマーA側のtanδのピーク温度(Tga)はTgb側にシフトする。
上記の前提のもとにピークシフトからブロック化の有無を確認することができる。またその(ブロック化)生成量はシフトしたtanδのピーク高さから可撓性を利用して逆に算出することも可能であると考えられる。
[ブロック体の制振性能の評価]
本発明の制振樹脂組成物においては、そのブロック体を主とする混合物が、各々の機械的分散で観測される異なる温度間でのtanδプロファイルがブロードなピークとなることが好ましい。特定のものについては、ブレンドする前の各々のピークの間はそのスロープ間の重なり合う高さにモル分離を乗じた高さになることが経験的に分かっている。前者(ブロック化混合物)はセグメント間で運動の伝達があるためtanδ間の高さは単純に各々のポリマーを混合した場合(各々のピークの間はそのスロープ間の重なり合う高さにモル分離を乗じた)高さより高く且つ主鎖の長いセグメントに引きずられてもう一方の損失正接ピークの温度はシフトする。これを台形状の連続ピーク(あるいは台形ピーク)、単純ブレンドの時に観測されたものを独立ピークとして、ブロック化の制振性を判定することができる(豊田暢之 JSR CEMICAL REVIEW No110,2003参照)。このとき観測される損失正接ピーク(tanδのピーク)の温度幅が広く、より高いものが、広範な温度領域で高い制振性を示す良好なものであるとして判定される。
本発明においては、上記損失正接ピークの異なる温度間での連続性をより定量的に評価するために、下記で定義される積分平均損失正接(tanδの加重平均値)Hを用いることができる。
材料の制振性能の優劣はある温度幅で機械的正接の大きさは単なる一点の温度でのtanδのピーク値で比較することは通常できない。そのため、ここでは、材料を用いた製品の使用される温度範囲において、温度とtanδの積の積分したものを温度幅で割った加重平均値を成分平均損失正接と定義する。材料の制振能力を比較する場合に商品を設計する場合に決められた温度範囲での制振性能を比較する場合に振動エネルギー吸収の積分値を意味する。その加重平均は下記数式2で表される(図1を併せて参照)。
Figure 2012171990
ここで得られる値について特に限定はないが、本発明においては、広い温度範囲での制振性を考慮し、積分平均損失正接Hが0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。混合物の積分平均損失正接H(H)とそのブロック体組成物の積分平均損失正接H(H)との比率としては、H/Hとして1.2〜4倍に上昇することが好ましい。
[2官能性及びまたは3官能性の化学種]
本発明においては、2官能性又は3官能性の化学種としてカップリング剤または架橋剤を用いることが好ましい。これにより、好ましくは、上記複数のポリマーが持つ反応性基に作用し、該反応性基どうしを直接あるいは該化学種を介して結合させる。これにより、前記反応性基で連結された直鎖分岐構造もしくは化学架橋構造のブロック体が得られる。
2官能または3官能をもつ化学種としては、水酸基や、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、エポキシ基やイソシアネート基、オキサゾリン基等の官能基を2及びまたは3官能以上保有する化合物が挙げられ、DCPなどの架橋剤やシランカップリング剤等の結合剤でもよい。なかでも、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、又はオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
カップリング剤は単分子で2官能及びまたは3官能を有するものあるいはオリゴマーでもよい。官能基としては、エポキシ化合物、イソシアネート、オキサゾリン基、カルボキシル基、無水マレイン酸基等が挙げられる。なお、本明細書においてオリゴマーとは、特にポリマーと区別していうときには、重合度が2〜100程度の範囲のものをいう。
多官能イソシアネート化合物にはメチレンジフェニルジイソシアネート(MDIあるいは4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネン・ジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等が上げられる。
またエポキシ化合物では2官能の化合物はジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、環状エポキシとしては3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3‘4’−エポキシシクロヘキサンカーボネート(旭チバCY−179)、3官能ではトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリアジン環を有するトリグリシジルエーテルシアヌレート、トリメチロールエチルトリグリシジルエーテル(東都化成YH−330,DIC(大日本インキ化学)725,旭電化ED−505)あるいは多官能エポキシ化合物にはフェノール系ではオルソクレゾールノボラックエポキシ(DIC(大日本インキ化学)730),N,N’−ジグリシジルエーテルジアミノジフェーネールメタン(住友化学ELM−434,DIC(大日本インキ化学)430−L,東都化成YH−434)等がある。これらをブレンド時にポリマー同時が溶融してから反応する様に官能基を持たない不活性で両者の融点の近傍で溶けるポリマー等を用いてマスターバッチ化を行うことが均一な反応をさせるために望ましい。
上記2官能又は3官能性の化学種の使用量は特に限定されないが、複数のポリマーの各々の末端基同士が結合する場合はと等モルになるように配合することが好ましい。一部およびまたは全量がポリマーを長鎖分岐とするスターポリマー構造とする場合もその末端基の反応量に応じて対応の等モルとすることが望ましい。化学種が過剰であるとポリマーに比べて分子量が小さいため反応が進み、部分的な結合が形成され、動的粘弾性装置で測定するとtanδの変化が見ることができ、上記上限値の対応モル数以下とすることでまた未反応残差を抑え、それにより過剰な反応を抑制することもできる。
[触媒]
また、これら複数の樹脂で化学種を用いて結合させるときは触媒等を入れてもよい。触媒にはルイス酸、強塩基、4級アンモニウム塩、脂肪酸金属塩、3級アミン、有機チタン触媒、アンチモン系触媒、スズ系触媒、イミダゾール系等があげられる。
上記触媒の使用量は特に限定されないが、複数のポリマーの総量に対して0.01〜0.1質量部であることが好ましく、0.01〜0.05質量部であることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、触媒としての機能の発現する最低量であり、上記上限値以下とすることで過剰な反応を抑制することができる。
[架橋剤・架橋助剤]
架橋剤としては、例えば、ジ−α−クミルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド,2,4−ジクロロ−ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。添加割合は樹脂成分の合計量(複数のポリマーの総量)100重量部に対して、0.5〜5重量部の範囲が好ましい。この割合が上記下限値以上であると架橋が十分で均質な発泡体が得られやすい。逆に上限値以下であると架橋密度が上がり過ぎず、発泡体に耳割れや気泡粗大等が起こさず、良好な発泡体が得られる。架橋助剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパ20ントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。これらの架橋助剤の添加割合は、所望の架橋度合に応じて適宜定めることができるが、樹脂成分の合計量(複数のポリマーの総量)に対して、通常0.2〜5重量部の範囲が好ましい。必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、整泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、重合調整剤、顔料等を加えることができる。
また、さらに用いることができる架橋剤はベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ジフェニルアクリレート基を有する化合物、ベンゾフェノン基を有する化合物等が挙げられる。ベンゾチアジル基を有する化合物としては、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が挙げられる。ベンゾトリアゾール基を有する化合物としては、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合したものであって、2−[2’−ハイドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−(2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HOPB)等が挙げられる。ジフェニルアクリレート基を有する化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(ECDPA)、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(OCDPA等が挙げられる。ベンゾフェノン基を有する化合物としては、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)等が挙げられる。
上記架橋剤又は架橋助剤の使用量は特に限定されないが、複数のポリマーの総量に対して0.02〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、架橋剤効果により制振性が向上をみることができ、上記上限値以下とすることで過架橋による成形流動性の悪化を防ぐことができる。
既に上述したことを含むが、異なる温度で機械的正接を保有するブロック化反応による分子量増大では下記のようにしてその好ましいものを得ることができる。
(1)カップリング剤を用いて異なる温度で機械的正接(tanδ)を保有するポリマー同士を直鎖状にブロック体及びまたはブロック体を主とする混合物を得る。
(2)スターポリマーの如く多官能を有するカップリング剤を用いて異なる温度で機械的正接(tanδ)をブロック体及びまたはブロック体を主とする混合物を得る。
(3)主に直鎖状にブロック体を得てからそれらに架橋剤を作用させて主に分子量の増大化したブロック体及びそれらの前駆体との混合物等の構造を有する混合物とする。
本実施形態の制振樹脂組成物は、多様なニーズや用途に幅広く適用することができ、特に高温でも十分な性能を発揮する。分野としては、自動車・車両・船舶用、家電・電気電子・OA機器・音響機器・機械器具用及び建築・建材用等,多岐にわたる。例えば、自動車や車両などの運送機器においては、車両が路面や線路を走行する時に発生する振動や、エンジンやモーターの回転に起因して発生する振動等防止抑制、また、電気電子・OA機器・音響機器では、モーター、リレー、トランス、歯車、カム、ギヤボックスのような稼働部品や振動を発生する電気・電子・機械部品の振動や騒音防止、機械器具用は、工場プラント機器等の電気・機械器具に組み込まれているエンジンやモーター等の回転に起因して発生する振動や騒音防止、また建材分野では、ビルディング、家屋等の水道・ガス等の導管類や空調用ダクト等により発生する振動や騒音、床下など振動・騒音防止等広く一般に使われている制振材として優れた性能を得られる。なかでも、自動車のオイルパンやシリンダーカバーなどのエンジン周辺部の制振材として最適な効果をもたらすものである。具体的には、制振材が幅広い温度領域で制振性能を発現できる。特に80℃以上になっても高い損失係数を維持し、自動車のオイルパンやシリンダーカバーなどのエンジン周辺部の制振材として薄肉で性状の自由度が求められる場合材料として優れた特性を有している。
本発明について実施例及び比較例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
(調製例1)
・層間化合物Aの修飾体の作成
メラミン20gとエタノール60gと塩酸7gを加え攪拌させた後、真空乾燥を行いメラミン塩酸塩を調製した。内容積約1リットルの回転ボールミルに19mmφの鋼球1kgおよびテトラシリシックマイカ(膨潤性層状粘土鉱物)100g(コープケミカル ME−100[商品名])を入れ、無水テトラヒドロフラン5gを添加した。毎分50回転で10分間粉砕を行い、層状粘土鉱物の活性化を行った。次いで、回転ボールミルに先に調整したメラミン塩酸塩を2.5g(20meq/100g)を加え、2時間粉砕を行った。さらに、架橋剤2−2−ハイドロキシ−3−(3456テトラハイドロフタリミデメチル−5−メチルフェニル−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)(住友化学株式会社;スミソーブ250)を19.5g(50meq/100g)、ジベンゾチアジルスルフィド(大内新興化学工業株式会社;ノクセラーDM)を16.6g(50meq/100g)入れ、さらに24hr粉砕を行なった。得られた試料を層間化合物(A)とする。
この親有機化された層間化合物(A)及び後記MAE(商品名、コープケミカル製)は樹脂組成物中で、無限膨潤化し、400nm以下のナノ粒子として存在していることをX線回折測定により確認した。一方、親有機化されていないME−100は樹脂組成物中で無限膨潤化せず、ナノメートルサイズにまで微細化された分散状態にはならないことを同様に確認した。
(調製例2)
・MDIMBの作成
官能基の保有しないポリエチレン900gに、カップリング剤のジフェニルメタンジイソシアネート(和光化学特級)100gをドライブレンドした2軸押出機で混練し、10%のマスターバッチ(以下「MDIMB」と称す)を作成した。
[実施例1]
アルケマ社製のポリアミド11(PA11:BESNTL[商品名])12質量部と親有機化された層状粘土鉱物:MAE([商品名]、コープケミカル製)9.7質量部とを混合した。混練は、押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度230℃で行った。得られたマスターバッチにおける層状珪酸塩複合体の含量は45重量%であった。このマスターバッチ21.7質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部と、上記の押出機を用いて混練した。次に得られた組成物121.7質量部とMDIMB:2.5質量部をドライブレンドした後230℃で混練りした。この時触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム=50/50(重量比)を0.05質量部加えた。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。なお、実施例1の測定結果を下記比較例1との対比として、グラフにして図2に示した。
[参考例1]
実施例1で層状粘土鉱物:MAE([商品名]、コープケミカル製)9.7質量部の代わりに親有機化されていない層状粘土鉱物:ME−100([商品名]、コープケミカル製)6.1質量部を使用した以外は同様に組成物を作成した。
[参考例2]
アルケマ社製のポリアミド11(PA11:BESNTL[商品名])12質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部を押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度230℃で混練した。続いて、得られた組成物112質量部に対してMDIMB2.5質量部と触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム=50/50(重量比)を0.05質量部ドライブレンド後に上記の押出機を用いて押出温度190℃で混練した。続いて得られた組成物114.5質量部に対して層状粘土鉱物:MAE([商品名]、コープケミカル製)9.7質量部を上記押出機を用いて押出温度190℃で混練した。
得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
[実施例2]
アルケマ社製のポリアミド11(PA11:BESNTL[商品名])12質量部と 層状粘土鉱物A9.7質量部を混合した。混練は、押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度230℃で行った。得られたマスターバッチにおける層状珪酸塩複合体の含量は45重量%であった。このマスターバッチ21.7質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部と、上記の押出機を用いて押出温度230℃で混練した。次に得られた組成物121.7質量部とMDIMB:2.5質量部をドライブレンドした後190℃で混練りした。この時触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム=50/50(重量比)を0.05質量部加えた。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
[参考例3]
アルケマ社製のポリアミド11(PA11:BESNTL[商品名])12質量部とテトラシリシックマイカ(膨潤性層状粘土鉱物)(コープケミカル ME−100[商品名])7.1質量部、2−2−ハイドロキシ−3−(3456テトラハイドロフタリミデメチル−5−メチルフェニル−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)(住友化学株式会社;スミソーブ250)を1.4質量部、ジベンゾチアジルスルフィド(大内新興化学工業株式会社;ノクセラーDM)を1.2質量部を混合した。混練は、押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度230℃で行った。この得られた組成物21.7質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部と、上記の押出機を用いて押出温度230℃で混練した。次に得られた組成物121.7質量部とMDIMB:2.5質量部をドライブレンドした後190℃で混練りした。この時触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム=50/50(重量比)を0.05質量部加えた。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
[比較例1]
アルケマ社製のポリアミド11(PA11:BESNTL[商品名])12質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部を押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度190℃で混練した。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
[実施例3]
三井化学株式会社製のポリ乳酸(PLA;レイシアH440[商品名])(メルトフローレート2.8g/10分)20質量部と 親有機化された層状粘土鉱物:MAE([商品名]、コープケミカル製)10.3質量部とを混合した。混練は、押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度190℃で行った。このマスターバッチ30.3質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部と、上記の押出機を用いて混練した。次に得られた組成物132.4gとMDIMB:2.5質量部をドライブレンドした後190℃で混練りした。この時触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム=50/50(重量比)を0.05質量部加えた。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
[比較例2]
三井化学株式会社製のポリ乳酸(PLA;レイシアH440[商品名])(メルトフローレート2.8g/10分)20質量部と変性ポリエチレンであるエチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂(住友化学:ボンドファーストE[商品名])100質量部を押出機(テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機[商品名] スクリュー:口径15mm L/D45[商品名])を用いて押出温度190℃で混練した。得られたペレットを250℃で5分間熱プレスし、0.5mmのシートを作成した。得られた樹脂組成物について動的粘弾性装置(セイコーインスツルメント製DMS200[商品名])にてtanδの測定を行った。
Figure 2012171990
・Et/EtGMA:エチレン−エチレングリシジルメタクリレート共重合体樹脂
・ME−100:膨潤性層状粘土鉱物 コープケミカル 商品名
・MAE:層状粘土鉱物 コープケミカル 商品名
・2HPMMP:2−2−ハイドロキシ−3−(3456テトラハイドロフタリミデメチル−5−メチルフェニル−ベンゾトリアゾール
・MBTS:ジベンゾチアゾリルジスルフィド
・cat:触媒としてステアリン酸リチウム及びステアリン酸カルシュウム(50/50)
・MDIMB:ジフェニルメタンジイソシアネートのマスターバッチ
・tanδlow:損失正接ピークの温度の低い側のピーク
・tanδhigh:損失正接ピークの温度の高い側のピーク
・加重平均値(20〜60℃):前記[ブロック体の制振性能の評価]で示した手順及び数式2により求めた積分平均損失正接H
・実施例の樹脂組成物は、特定のポリマーと親有機化した層状粘土鉱物を含有しており、加重平均値の大きな、つまり広い温度範囲で高い制振性を示す良好な制振特性を示した。
・参考例1の樹脂組成物は、特定のポリマーと親有機化していない層状粘土鉱物を含有する。ポリマーに層状化合物が分散され加重平均値は大きくなるが、混練時に層状粘土鉱物の剥離が進ます、ポリマーへは凝集されて分散されており実施例1と比較すると制振性は劣る結果であった。
・参考例2の樹脂組成物は、特定のポリマーと親有機化した層状粘度鉱物を含有するのであるが、ポリマーのブロック体を形成させた後に層状粘度鉱物を混練したため層状粘土鉱物の混練工程が実施例1に比べて少ないためポリマーへの剥離分散が弱く、実施例1と比較すると制振性に劣る結果であった。
・参考例3の樹脂組成物は、特定のポリマーと親有機化した層状化合物と架橋剤を含有する。親有機化されているので、層状化合物が剥離分散はするものの、実施例3のように架橋剤が相間挿入されている場合より相間距離が小さくポリマーへの剥離分散は弱く、また実施例3のように架橋剤が相間挿入されていないので、実施例3に比べ、架橋剤の分散効率が劣ると思われ、実施例2に比べると制振性は劣る結果であった。
・比較例1、2の樹脂組成物は、特定のポリマーを含有するのみであり、その制振性は、ポリマーに依存する制振特性となり、制振性は十分ではない。

Claims (14)

  1. 複数の損失正接(tanδ)ピークを有する樹脂組成物であって、
    複数のポリマーを反応させて連結したブロック体を含有し、かつ
    親有機化した層間化合物を含有する制振樹脂組成物。
  2. 複数のポリマーからなるブロック体と親有機化した層間化合物とを含有する制振樹脂組成物であって、該ブロック体は、各々異なる温度の損失正接(tanδ)ピークを有し、かつ反応基をもつ複数のポリマー同士が、前記反応基同士を介して連結されたものである請求項1記載の制振樹脂組成物。
  3. 前記親有機化した層間化合物が、有機化合物を膨潤性層状粘土鉱物に層間挿入して得られた無機有機ハイブリッド化合物であって、前記ブロック体中にナノメートルサイズで分散した請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ブロック体は、前記反応基を介して連結されたポリマー生成物を前駆体とし、該前駆体分子内の残存反応基同士を介して結合させ、直鎖連結構造、長鎖分岐構造、化学架橋構造、またはそれらを組み合わせた構造である請求項1〜3いずれかの1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリマーの反応基または残存反応基が、カルボキシル基、その酸無水物基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種の反応基である請求項1〜4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記化学種がカップリング剤または/および架橋剤である請求項5記載の樹脂組成物。
  7. 前記カップリング剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、もしくはオキサゾリンの官能基を少なくとも1つ以上有する単分子化合物又はオリゴマーである請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記親有機化のための有機化合物が、メラミン塩酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルリン酸塩、及び前記化学種からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記親有機化のための有機化合物が、架橋剤または架橋剤と架橋助剤との組合せである請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 各々異なる温度の損失正接ピーク温度を有しかつ反応基を有する複数のポリマーと、親有機化した層間化合物とを混合し、反応させ、ブロック体とする制振樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記親有機化した層間化合物として、有機化合物を膨潤性層状粘土鉱物に層間挿入して得られた無機有機ハイブリッド化合物を用い、前記ブロック体中にナノメートルサイズで分散させる請求項10に記載の樹脂組成物の製造方法。
  12. 2官能および/または3官能の化学種を添加して混合し、前記ブロック体もしくは前記ブロック体を結合させる請求項10又は11に記載の樹脂組成物の製造方法。
  13. 前記化学種がカップリング剤または/および架橋剤である請求項12記載の樹脂組成物の製造方法。
  14. 前記複数のポリマーの混合物、またはこれを一部反応させ連結させたブロック体あるいはそれらの混合物を、加熱押出しして前記反応基を反応させる請求項10〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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