JP2000143560A - シクロアルケンの塩素化法 - Google Patents

シクロアルケンの塩素化法

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JP2000143560A JP10313616A JP31361698A JP2000143560A JP 2000143560 A JP2000143560 A JP 2000143560A JP 10313616 A JP10313616 A JP 10313616A JP 31361698 A JP31361698 A JP 31361698A JP 2000143560 A JP2000143560 A JP 2000143560A
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cyclohexene
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 4−クロルシクロアルケンの副生が極めて少
なく、且つ工業的に実施可能なシクロアルケンの塩素化
法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキセンを塩素を用いて塩素化す
るに際し、シクロヘキセンに対して0.02重量%以上
100重量%以下の酸化防止剤共存下で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環式共役ジエン
の原料である3−クロルシクロアルケンを得る方法に関
するものである。特に1,3−シクロヘキサジエンの原
料として有用な3−クロルシクロヘキセンを与えるシク
ロヘキセンの塩素化方法に関するものである。さらに、
その3−クロルシクロヘキセンから得られる1,3−シ
クロヘキサジエン及びその重合体の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】1,3−シクロヘキサジエンは、近年、
リビングアニオン重合により高耐熱性で、且つ高剛性の
ポリマーが得られることが知られており、工業的に重要
なモノマーである。この1,3−シクロヘキサジエンか
ら高重合物を得るにあたっては、不純物としてシクロヘ
キセン、ベンゼン、メチルシクロペンテンが含まれてい
ても重合に支障のないことが知られている(特開平7−
196737号公報)。しかし、1,3−シクロヘキサ
ジエンの異性体である1,4−シクロヘキサジエンが不
純物として含まれる場合、重合が円滑に進まず、低分子
量体のみ得られたり、重合が全く進まなくなることが知
られている(例えば、Polym.Prepr.(A
m.Chem.Soc.Div.Polym.Che
m.)12,P.402(1971))。本発明者らが
検討したところ、目的とする高分子量体を得るために
は、1,4−シクロヘキサジエンの含有量が少なくとも
2モル%以下であることが必要である。
【0003】1,3−シクロヘキサジエンを製造する方
法としては、種々の方法が提案されているが、高収率か
つ高純度の1,3−シクロヘキサジエンを得る方法の一
つは、3−ヒドロキシシクロヘキセンを硫酸などの鉱酸
類や結晶性メタロシリケート等の酸触媒を用いて脱水す
る方法が知られている(例えば、特開平8−25343
4号公報等)。
【0004】この3−ヒドロキシシクロヘキセンは、3
−クロルシクロヘキセンの加水分解により容易に得られ
ることが知られている。従って、3−クロルシクロヘキ
センは、1,3−シクロヘキサジエンを得る有用な原料
である。3−クロルシクロヘキセンから3−ヒドロキシ
シクロヘキセンを経由する1,3−シクロヘキサジエン
への製造ルートを下式に示す。
【0005】
【化1】
【0006】3−クロルシクロヘキセンを得る方法とし
てはシクロヘキセンの塩素化が考えられるが、シクロヘ
キセンと塩素の反応は既に報告されており、下に示すt
rans−1,2−ジクロルシクロヘキサン(1)、3
−クロルシクロヘキセン(2)、4−クロルシクロヘキ
セン(3)が主に生成することが知られている。
【0007】
【化2】
【0008】例えば、Poutsmaらは、シクロヘキ
センに暗所、25℃で塩素を反応させるとtrans−
1,2−ジクロルシクヘキサン(1)、3−クロルシク
ロヘキセン(2)及び4−クロルシクロヘキセン(3)
が1.95:1.00:0.60の比率で生成すること
を報告している。さらに彼らは、この塩素化反応は、光
照射下での塩素化が暗所での塩素化と同じ生成物比を与
えると報告している(J.Am.Chem.Soc.,
87(10) P.2161(1965))。彼らは、
反応速度について詳細な検討を行い、trans−1,
2−ジクロルシクロヘキサンがシクロヘキセンの2重結
合への塩素の付加反応により生じ、3−クロルシクロヘ
キセンが2重結合への塩素の協奏的付加・脱離反応及
び、ラジカル反応により生じ、4−クロルシクロヘキセ
ンが、塩素のシクロヘキセンへのラジカル反応から生じ
ることを明らかにしている。
【0009】本発明者らが、この文献条件でシクロヘキ
センの塩素化を行った試験結果によれば、原料シクロヘ
キセンの転化率が約70%以下の場合trans−1,
2−ジクロルシクロヘキサン、3−クロルシクロヘキセ
ン、4−クロルシクロヘキセンの比率は、シクロヘキセ
ンの転化率にほぼ無関係に文献に示されている比率で一
定であった。4−クロルシクロヘキセンの選択率は、1
7%であり、3−クロルシクロヘキセンの約1/2量の
4−クロルシクロヘキセンが副生した。
【0010】シクロヘキセンの塩素化生成物の沸点は、
trans−1,2−ジクロルシクロヘキサンの沸点が
189℃/760mmHgであり、3−クロルシクロヘ
キセンの沸点は145℃〜147℃/760mmHgで
ある。従ってtrans−1,2−ジクロルシクロヘキ
サンと3−クロルシクロヘキセンの蒸留分離は一般的蒸
留設備により行うことが可能である。ここで4−クロル
シクロヘキセンが副生した場合、4−クロルシクロヘキ
センの沸点が141℃/720mmHgであり、3−ク
ロルシクロヘキセンの沸点に非常に近いために蒸留分離
によって除くことが困難である。一方、1,3−シクロ
ヘキサジエン合成の原料に4−クロルシクロヘキセン
(3)が含まれていると、下記ルートにより生成物とし
て1,3−シクロヘキサジエン(4)とともに1,4−
シクロヘキサジエン(5)が副生する。
【0011】
【化3】
【0012】従って、1,3−シクロヘキサジエンの原
料として3−クロルシクロヘキセンを得るために、4−
クロルシクロヘキセンが副生しないシクロヘキセンの塩
素化方法が求められる。シクロヘキセンを塩素化してい
る他の例としては、G.F.Bloomfieldが8
0℃で塩素化を行っている(J.Chem.Soc.
P.114(1944))。彼は、シクロヘキセンに対
して塩素を過剰量用いて塩素化を行い、生成物として塩
素が1個入ったモノクロルシクロヘキセン(収率19
%)とtrans−1,2−ジクロロヘキサン(収率2
8%)、トリクロルシクロヘキサン(収率11%)が得
られたと報告している。しかしながら、モノクロルシク
ロヘキセン中の3−クロルシクロヘキセンと4−クロル
シクロヘキセンの比率については、何も述べていない。
本発明者らが、この文献条件でシクロヘキセンの塩素化
を行った試験結果によれば、原料シクロヘキセンの転化
率は、96%で、生成物中のtrans−1,2−ジク
ロルシクロヘキサン、3−クロルシクロヘキセン、4−
クロルシクロヘキセン、トリクロルシクロヘキサンの比
率(モル%)は、それぞれ、48%、27%、6%、1
9%であり、3−クロルシクロヘキセンに対して4−ク
ロルシクロヘキセンが18%含まれており、1,3−シ
クロヘキサジエンの原料とするには、不適であることが
わかった。
【0013】また、Poutsmaは4−クロルシクロ
ヘキセンを副生しないシクロヘキセンの塩素化方法とし
て、酸素雰囲気下でシクロヘキセンに塩素を作用する方
法を報告している。(例えば、J.Am.Chem.S
oc.,87(10) P.2161(1965))ま
た、アセトニトリルやアセトンのような極性溶媒中でシ
クロヘキセンに塩素を作用すると4−クロルシクロヘキ
センを副生しないことも同文献中で報告している。しか
し、シクロヘキセンを酸素雰囲気下で塩素化することは
シクロヘキセンの爆発範囲に入る可能性があり工業的に
実現することは難しい。また、溶媒としてアセトニトリ
ルやアセトン中でシクロヘキセンを塩素化を行うと溶媒
が何らかの反応をしたと考えられる構造不明の副生物が
生成すると同文献中に記されており、塩素を基準とする
目的物の収率が低下し、廃棄処理が必要な塩素含有有機
廃棄物が大量に発生する事となり工業的に実施するには
適当な製造法ではないものと推定される。
【0014】さらに、シクロヘキセンに一酸化二塩素を
共存させて塩素を導入することにより4−クロルシクロ
ヘキセンが副生しないでシクロヘキセンの塩素化物を得
る方法も報告されている(Acta Chem.Sca
nd.,24(#2)P.736(1970))。しか
しこの方法も一酸化二塩素が爆発する危険性が知られて
おり、工業的に安定して実施することは難しい。
【0015】3−クロルシクロヘキセンを得る合成法と
して、tert−ブチルハイポクロリドを塩素化剤に用
い、ベンゾイルパーオキシド等のラジカル発生剤存在下
でシクロヘキセンを塩素化する方法が報告されている
(例えば、HelveticaChemica Act
a, P.130(1957))。本方法は、前記の塩
素による塩素化に比較すると77%と高収率で3−クロ
ルシクロヘキセンを得ることができ、かつ4−クロルシ
クロヘキセンの副生が無いが、tert−ブチルハイポ
クロリドは、tert−ブチルアルコールと苛性ソーダ
及び、塩素から実験室的には合成されるが、このter
t−ブチルハイポクロリドの製造に際して、tert−
ブチルハイポクロリドが爆発することがあることが知ら
れており、工業的に製造されておらず、安定して大量に
得ることができない。また、貯蔵等の取り扱いも容易で
ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、4−
クロルシクロアルケンの副生が極めて少なく、且つ工業
的に実施可能なシクロアルケンの塩素化法を提供するこ
とである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明者らが鋭意検討した結果驚くべきことに、酸化防止
剤を共存させて塩素化することにより、4−クロルシク
ロヘキセンの生成量を極めて低く抑えることができるこ
とを見出し、本発明に至ったものである。すなわち本発
明は、[1] シクロアルケンを塩素を用いて塩素化す
るに際し、酸化防止剤を該シクロアルケンに対して0.
02重量%以上100重量%以下の量共存させて塩素化
することを特徴とするシクロアルケンの塩素化法、
[2] 酸化防止剤がフェノール骨格を有することを特
徴とする[1]に記載のシクロアルケンの塩素化法、
[3] 酸化防止剤が2,6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェノールであることを特徴とする[1]又
は[2]に記載のシクロアルケンの塩素化法、[4]
シクロアルケンがシクロヘキセンであることを特徴とす
る[1]、[2]又は[3]に記載のシクロアルケンの
塩素化法、[5] [1]、[2]、[3]又は[4]
に記載のシクロアルケンの塩素化法によって3−クロル
シクロヘキセンを製造後、該3−クロルシクロヘキセン
を脱塩化水素反応することを特徴とする1,3−シクロ
ヘキサジエンの製造方法、[6] [5]に記載の1,
3−シクロヘキサジエンの製造方法によって1,3−シ
クロヘキサジエンを製造後、該1,3−シクロヘキサジ
エンのみ、または他のモノマーと重合することを特徴と
する1,3−シクロヘキサジエン重合体の製造方法、で
ある。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
於けるシクロアルケンは、好ましくは5員環から10員
環のシクロアルケンであり、さらに好ましくは5員環か
ら8員環のシクロアルケンである。特に好ましくはシク
ロヘキセンである。本発明に於ける酸化防止剤は、有機
化合物、無機化合物を問わずラジカルを捕獲する作用の
あるものであればいずれの化合物も用いることができ
る。該酸化防止剤の例としてはフェノール類、チオエー
テル類、ホスファイト類、アザシクロヘキシル骨格を有
するアミン類(以下、ピペリジル類と称す。)、アルコ
ール類、金属塩化物類が挙げられる。その中で好ましい
ものはフェノール骨格を有するフェノール類酸化防止剤
である。
【0019】フェノール類の例としては、2,6−ジ−
tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下BHT
と略す。)、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェ
ノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ヒ
ドロキノン、レゾルシン、カテコール、p−ベンゾキノ
ン、2,6−ジメチルフェノール、フェノール、2,
2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、ビスフェノールA、ビスフェノールF
等があげられる。この中ではBHTが特に好ましい。
【0020】チオエ−テル類の例としては、ジラウリル
3,3’−チオジプロピオナート、ジステアリル3,
3’−チオジプロピナート、4,4’−チオビス(6−
tert−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げら
れる。ホスファイト類の例としては、トリフェニルホス
ファイト、ジフェニルイソデシルホスファト等が挙げら
れる。ピペリジル類の例としては、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙
げられる。アルコール類の例としては、エタノール、2
−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。金属塩化
物の例としては塩化銅(II)等が挙げられる。
【0021】本発明の塩素化反応を行うに際しては上記
の酸化防止剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用
することも可能である。該酸化防止剤の量は該シクロア
ルケンに対して0.02重量%以上100重量%以下の
量であり、好ましくは0.1重量%以上20重量%以下
である。該酸化防止剤の量が0.02重量%未満の場合
選択的な塩素化の効果が小さく、100重量%を超える
量である場合バッチ当たりの生産性が低下すると同時に
酸化防止剤を回収する必要が大となり、製造プロセスが
煩雑となる。
【0022】反応に用いた酸化防止剤は、回収再使用が
可能であるが、使用量が少ない場合は、反応混合物から
目的物を分離した後に廃棄処理することもできる。本発
明では、シクロアルケンに塩素を反応させるに際し、反
応温度を所定の範囲内に保つことが好ましい。即ち−5
0℃以上500℃以下に保つことが好ましい。さらに好
ましくは、0℃以上300℃以下である。−50℃未満
では、4−クロルシクロヘキセン生成量が増え、塩素化
反応により得られた混合物を脱塩化水素反応した場合
1,3−シクロヘキサジエン中の1,4−シクロヘキサ
ジエンの含有量が増え、好ましくない。また、500℃
を越える温度では、生成した3−クロルシクロヘキセン
の分解が顕著となる。
【0023】反応温度が0℃以上シクロアルケンの沸点
以下の場合、シクロアルケンは、液体であるから、液体
中に塩素ガスを吹き込んで反応させる。また、反応温度
がシクロアルケンの沸点以上の温度の場合には気相で塩
素と接触させて、反応させることができる。反応は、不
活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスと
しては、窒素、ヘリウム、アルゴン等を用いることがで
きる。不活性ガス雰囲気下に保つ方法としては、塩素ガ
スを上記不活性ガスで希釈する方法が好ましい。さらに
希釈率としては、0℃、常圧において0.01g/リッ
トル以上2.9g/リットル以下の塩素濃度に調整する
ことが好ましい。希釈を行わないと塩素化反応における
反応熱のために反応温度が異常に上昇し、分解物が多く
なることがある。塩素化反応を安定に行うために不活性
ガスで塩素を希釈することが有効である。
【0024】反応時の圧力に特に制限は無いが、製造設
備の大型化が容易である点からゲージ圧が1気圧以上1
0気圧以下が好ましい。本発明における塩素化法でのシ
クロアルケンと塩素のモル比は、好ましくは、10:1
から10:15であり、さらに好ましくは、10:3か
ら10:12である。モル比が10:1より少ないと十
分な転化率を得ることができず、反応混合物からの3−
クロルシクロアルケンの単離に多くのエネルギーを要す
ることとなる。またモル比が10:15より多いと3個
以上の塩素原子を有する化合物が多量に生成し、目的物
の収量が低下する。
【0025】また、シクロアルケンが液体の条件で塩素
化を行う場合、原料のシクロアルケンは、無溶媒で反応
させても良いし、塩素に対して不活性の溶媒を用いて希
釈しても良い。溶媒としては、例えば四塩化炭素、クロ
ロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン系溶媒や
酢酸、二硫化炭素などを用いることができる。気相で反
応を行う場合にも、反応熱の除熱を助ける目的で窒素、
ヘリウム、アルゴン等の不活性気体で希釈した塩素を用
いることが好ましい。また、上記不活性溶媒を気相に同
伴させてもよい。
【0026】また、本発明においては、例えば鉄、酸化
鉄、塩化鉄等の金属及び、金属塩を触媒として用いても
構わない。本発明においては、塩素化において塩化水素
が同時に生成するので反応器材質は、高温で耐塩酸性に
優れた材質を選定することが好ましく、例えば、グラス
ライニングを施した鉄系材料や、耐酸性のキュプロニッ
ケルを用いることができる。
【0027】本発明の塩素化法によってシクロヘキセン
を塩素化した場合、3−クロルシクロヘキセンとtra
ns−1,2−ジクロルシクロヘキサンと少量の4−ク
ロルシクロヘキセンと塩素が3個以上置換したポリ塩化
シクロヘキサンの混合物が得られる。この混合物を例え
ば減圧蒸留することによって4−クロルシクロヘキセン
の含有量が極めて少ない3−クロルシクロヘキセンを得
ることができる。
【0028】得られた3−クロルシクロヘキセンを脱塩
化水素して1,3−シクロヘキサジエンに変換する方法
としては、従来公知の方法を用いることができる。例え
ば、3−クロルシクロヘキセンを加水分解により3−ヒ
ドロキシシクロヘキセンに変換し、酸触媒を用いて脱水
することにより1,3−シクロヘキサジエンを得ること
ができる。また、3−ヒドロキシシクロヘキセンをγ−
アルミナやリン酸マグネシウム等の触媒を用いて気相で
脱水反応を行ってもよい。さらには文献(Helv.C
him.Acta,40,P.130(1957))に
記載のある3−クロルシクロヘキセンにジメチルアニリ
ン等の塩基を作用させて塩基の塩酸塩として脱塩化水素
反応を行わせても1,3−シクロヘキサジエンを得るこ
とができる。
【0029】さらに、本発明を用いて得ることができる
1,4−シクロヘキサジエンの含有量が極めて少ない
1,3−シクロヘキサジエンを公知の方法(例えば、W
O94/28038等)で重合することによって平均分
子量の高い(1,3−シクロヘキサジエン)ホモポリマ
ーを得ることができる。また、他のモノマーと共重合さ
せることにより1,3−シクロヘキサジエンユニットを
含む共重合体を得ることができる。
【0030】本発明の1,3−シクロヘキサジエンと共
重合できるモノマーとしては、アニオン重合によって重
合可能な従来公知のモノマーを例示することができる。
例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジ
メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン系モノマー、
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
1,3−ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニル
ナフタレン、ジフェニルエチレン、ビニルピリジン等の
ビニル芳香族モノマー、メタクリル酸メチル、アクリル
酸メチル、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α
−シアノアクリル酸メチル等の極性ビニル系モノマー、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状ラクト
ン、環状ラクタム、環状シロキサン等の極性モノマー、
あるいはエチレン、α−オレフィン系モノマーを例示す
ることができる。これらのモノマーは必要に応じて一種
でも、あるいは二種以上であっても構わない。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0032】
【実施例1】ジムロート冷却管、ガス導入管、温度計、
回転子を備えた200mlガラス反応器にシクロヘキセ
ン82.0g(1mol)と2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール(BHT)11.0g
(0.05mol)を加えた。反応器に塩素ガス0.5
9g/minを還流温度を維持するように昇温しながら
120分間導入した(還流温度83℃〜136℃)。塩
素導入量71g(1mol)。塩素導入後反応液をガス
クロマトグラフィーにより分析したところ、シクロヘキ
センの転化率は97%であり、生成物中のモル%は3−
クロルシクロヘキセンは33%、trans−1,2−
ジクロルシクロヘキサンは60%、4−クロルシクロヘ
キセンは0.5%、その他は塩素が3個以上置換したポ
リ塩化シクロヘキサンであった。シクロヘキセンを留去
した後に3−クロルシクロヘキセンを73℃〜74℃/
80mmHgで減圧蒸留した。得られた3−クロルシク
ロヘキセンの収率は26%であり、4−クロルシクロヘ
キセンの含有率は0.8モル%であった。
【0033】
【比較例1】2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)を加えなかったこと以外は実施
例1と同様に塩素化反応を行った(還流温度83℃〜1
34℃)。その結果、シクロヘキセンの転化率は、95
%であり、生成物中のモル%は3−クロルシクロヘキセ
ンは26%、trans−1,2−ジクロルシクロヘキ
サンは51%、4−クロルシクロヘキセンは13%、そ
の他は塩素が3個以上置換したポリ塩化シクロヘキサン
であった。実施例1と同様に3−クロルシクロヘキセン
の蒸留を行うと、4−クロルシクロヘキセンの含量が3
2モル%である3−クロルシクロヘキセンと4−クロル
シクロヘキセンの混合物が30%の収率で得られただけ
であり、4−クロルシクロヘキセンを蒸留で除くことは
できなかった。
【0034】
【実施例2】2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)の添加量を1.1g(0.00
5mol)に変えたこと以外は実施例1と同様に塩素化
反応を行った(還流温度83℃〜132℃)。その結
果、シクロヘキセンの転化率は、93%であり、生成物
中のモル%は、3−クロルシクロヘキセンは30%、t
rans−1,2−ジクロルシクロヘキサンは56%、
4−クロルシクロヘキセンは1.0%、その他は塩素が
3個以上置換したポリ塩化シクロヘキサンであった。実
施例1と同様に蒸留を行うと、3−クロルシクロヘキセ
ンの収率は25%であり、4−クロルシクロヘキセンが
2.0モル%含まれていた。
【0035】
【比較例2】アルドリッチ社製のシクロヘキセン(2,
6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(B
HT)を0.01重量%含有する。)に変えたこと以外
は実施例1と同様に塩素化反応を行った(還流温度83
℃〜132℃)。その結果、シクロヘキセンの転化率
は、92%であり、生成物中のモル%は3−クロルシク
ロヘキセンは20%、trans−1,2−ジクロルシ
クロヘキサンは53%、4−クロルシクロヘキセンは1
1%、その他は塩素が3個以上置換したポリ塩化シクロ
ヘキサンであった。実施例1と同様に蒸留を行うと、3
−クロルシクロヘキセンと4−クロルシクロヘキセンの
混合物の収率は26%であり、4−クロルシクロヘキセ
ンが30モル%含まれていた。
【0036】
【実施例3】ジムロート冷却管、ガス導入管、温度計、
回転子を備えた200mlガラス反応器にシクロヘキセ
ン82.0g(1mol)と2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール(BHT)22.0g
(0.1mol)を加えた。反応器に塩素ガス1.3g
/minを窒素ガス100ml/minで希釈したガス
を還流温度を維持するように昇温しながら60分間導入
した(還流温度83℃〜140℃)。塩素導入量78g
(1.1mol)。塩素と窒素の混合ガス導入後反応液
をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シク
ロヘキセンの転化率は100%であり、生成物中のモル
%は3−クロルシクロヘキセンは29%、trans−
1,2−ジクロルシクロヘキサンは62%、4−クロル
シクロヘキセンは0.1%、その他は塩素が3個以上置
換したポリ塩化シクロヘキサンであった。実施例1と同
様にして3−クロルシクロヘキセンを減圧蒸留した。得
られた3−クロルシクロヘキセンの収率は24%であ
り、4−クロルシクロヘキセンが0.2モル%含まれて
いた。
【0037】
【比較例3】2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)を加えなかった以外は実施例3
と同様に塩素を窒素で希釈して塩素化反応を行った(還
流温度83℃〜131℃)。その結果、シクロヘキセン
の転化率は90%であり、生成物中のモル%は3−クロ
ルシクロヘキセンは10%、trans−1,2−ジク
ロルシクロヘキサンは55%、4−クロルシクロヘキセ
ンは6%、その他は塩素が3個以上置換したポリ塩化シ
クロヘキサンであった。シクロヘキセンを留去した後に
実施例1と同様にして3−クロルシクロヘキセンを減圧
蒸留した。得られた3−クロルシクロヘキセンの収率は
15%であったが、このものには4−クロルシクロヘキ
センが35モル%含まれていた。
【0038】
【実施例4】2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)をハイドロキノン5.5g
(0.05mol)に変えた以外は実施例1と同様に塩
素化反応を行った(還流温度83℃〜133℃)。その
結果、シクロヘキセンの転化率は93%であり、生成物
中のモル%は、3−クロルシクロヘキセンは28%、t
rans−1,2−ジクロルシクロヘキサンは56%、
4−クロルシクロヘキセンは1.0%、その他は塩素が
3個以上置換したポリ塩化シクロヘキサンであった。シ
クロヘキセンを留去した後に実施例1と同様にして3−
クロルシクロヘキセンを減圧蒸留した。得られた3−ク
ロルシクロヘキセンの収率は22%であったが、このも
のには4−クロルシクロヘキセンが2.0モル%含まれ
ていた。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の塩素化法、
即ちシクロヘキセンに酸化防止剤を添加して塩素により
塩素化する方法により、4−クロルシクロヘキセンの含
有量が極めて少なく、高純度の1,3−シクロヘキサジ
エンに誘導可能な3−クロルシクロヘキセンを容易に製
造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 1/30 C07C 1/30 17/02 17/02 17/10 17/10 17/42 17/42 C08F 32/06 C08F 32/06 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC13 AC30 AD11 BA05 BA19 BA30 BA37 BA50 BB12 BB17 BB30 BB61 BC10 BC34 BE53 BJ10 BM72 EA15 EB18 FC20 4H039 CA52 CF10 CG20 4J100 AB00Q AB02Q AB03Q AB04Q AB13Q AB16Q AF10Q AL03Q AL08Q AM02Q AQ12Q AR18P AS01Q AS02Q AS03Q AS04Q BA40Q CA01 CA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロアルケンを塩素を用いて塩素化す
    るに際し、酸化防止剤を該シクロアルケンに対して0.
    02重量%以上100重量%以下の量共存させて塩素化
    することを特徴とするシクロアルケンの塩素化法。
  2. 【請求項2】 酸化防止剤がフェノール骨格を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のシクロアルケンの塩素
    化法。
  3. 【請求項3】 酸化防止剤が2,6−ジ−tert−ブ
    チル−4−メチルフェノールであることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のシクロアルケンの塩素化法。
  4. 【請求項4】 シクロアルケンがシクロヘキセンである
    ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のシクロア
    ルケンの塩素化法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4に記載のシクロ
    アルケンの塩素化法によって3−クロルシクロヘキセン
    を製造後、該3−クロルシクロヘキセンを脱塩化水素反
    応することを特徴とする1,3−シクロヘキサジエンの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の1,3−シクロヘキサ
    ジエンの製造方法によって1,3−シクロヘキサジエン
    を製造後、該1,3−シクロヘキサジエンのみ、または
    他のモノマーと重合することを特徴とする1,3−シク
    ロヘキサジエン重合体の製造方法。
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