JPH0782206A - フルオレノンの製造方法 - Google Patents

フルオレノンの製造方法

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JPH0782206A
JPH0782206A JP5228389A JP22838993A JPH0782206A JP H0782206 A JPH0782206 A JP H0782206A JP 5228389 A JP5228389 A JP 5228389A JP 22838993 A JP22838993 A JP 22838993A JP H0782206 A JPH0782206 A JP H0782206A
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reaction
organic solvent
oxidation
fluorenone
fluorene
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JP5228389A
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Ikuo Ito
育夫 伊藤
Toshio Sato
利雄 佐藤
Hiromichi Yamaguchi
浩通 山口
Seiji Takeuchi
誠二 竹内
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Sumikin Chemical Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 第四級アンモニウム塩の存在下、水酸化ナト
リウム水溶液と水に非相溶性の有機溶媒 (例、炭化水素
またはハロゲン化炭化水素) との混合溶媒中に懸濁状態
のフルオレンを分子状酸素の吹き込により酸化してフル
オレノンを製造する方法の改善。 【構成】 標準沸点80〜150 ℃の有機溶媒 (例、トルエ
ン) を使用し、100 ℃以下の温度で酸化反応を行い、酸
化反応中に蒸発した水を酸化反応排ガスに同伴させて酸
化反応器外に除去する。 【効果】 酸化反応が促進し、反応後の油層と水層の分
液も容易。この分液で回収された水酸化ナトリウム水溶
液を濃縮せずに再使用でき、触媒の消耗も抑制される。
溶媒と生成物との分離を単蒸留で実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂の原料および改質
剤として有用なフルオレノン (より厳密には9−フルオ
レノン) の製造法に関し、詳しくはフルオレンを分子状
酸素により液相酸化してフルオレノンを製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】フルオレノンの製造については、従来よ
り種々の方法が知られているが、コールタールや、トル
エン等のアルキル芳香族化合物の脱アルキル化で得られ
る副生油等に含まれているフルオレンを酸化する方法
が、原料が安価に入手可能であることから、工業的には
有望である。フルオレンの酸化によるフルオレノンの製
造は、次式に示すように、フルオレンの唯一の飽和炭素
原子 (9位) に結合した2個の水素原子が脱離してオキ
ソ基 (=O) で置換される反応であり、酸化に伴って水
が副生する。
【0003】
【化1】
【0004】フルオレンの酸化によるフルオレノンの製
造方法として、硝酸、過マンガン酸カリウム、二クロム
酸カリウム等の酸化剤による薬品酸化が文献には記載さ
れているが、これらの方法は、生産性の面に加えて、環
境面、衛生面で問題があり、工業的な製造には不適当で
ある。
【0005】一方、フルオレンの分子状酸素による酸化
についても、気相法と液相法のいずれも知られている。
フルオレンを接触気相酸化してフルオレノンを得る方法
(例、特開昭60−233028号公報) は、 330〜450 ℃とい
う高温で酸化するために、無水フタル酸、無水マレイン
酸等の酸化分解生成物が副生し、収率も90%以下と十分
ではない。
【0006】液相で分子状酸素で酸化する方法として、
Crおよび/またはCoイオンとN,N-ジアルキル低級飽和脂
肪酸アミドとの組合せを触媒とする方法が提案されてい
るが(特開昭56−32430 号公報) 、フルオレンの転化率
を高くできないなど、生産性の面で問題がある。
【0007】また、カリウムtert−ブトキシドの存在
下、溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO) やヘキサ
メチルホスホルアミド (HMPA) を用いる液相酸化方法も
知られている [神谷佳男「有機酸化反応−自動酸化の理
論と応用」1973年 (技報堂)]。しかし、高価で、回収が
不可能なカリウムtert−ブトキシドを多量に必要とする
こと、溶媒として使用するDMSO、HMPAは高沸点、かつ水
溶性のため、回収が難しいなどの問題がある。
【0008】この問題点が解消された液相酸化方法とし
て、苛性ソーダ水溶液とα−メチルナフタレン、キノリ
ン等の水不混和性高沸点有機溶媒とからなる不均一系混
合溶媒中で第四級塩の存在下、分子状酸素によりフルオ
レンを酸化する方法が提案された (特開昭53−98948 号
公報) 。この方法は、高価なカリウムtert−ブトキシド
に代えて安価な苛性ソーダ水溶液と第四級塩を使用し、
有機溶媒としてDMSO、HMPAに代えて、水と混和せず、回
収の比較的容易なα−メチルナフタレン等の高沸点溶媒
を使用する。
【0009】しかし、反応完結に48時間かかり、反応速
度が遅い上、反応後に攪拌を止めた後、有機層と水層と
の静置分液にも長時間を要する。また、高沸点溶媒を使
用しているため、溶媒とフルオレノンとの沸点差が小さ
く、溶媒回収時に精密蒸留を必要とする。さらに、フル
オレノンの酸化で水が副生するため、静置分液により水
層として回収された苛性ソーダ水溶液は、苛性ソーダ濃
度が低下しており、繰返し使用するためには、水を除去
するために濃縮する必要があるなど、なお工業化の障害
となる問題が残っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的に有利なフルオレノンの製造方法を提供することであ
る。より具体的な目的は、上述した苛性ソーダ水溶液と
第四級塩と有機溶媒とを用いたフルオレンの酸化による
フルオレノンの製造において、前述した従来技術の問題
点がなく、工業化に適した方法を提供することである。
具体的には、反応時間と分液時間が短く、溶媒回収が容
易で、かつ苛性ソーダ水溶液の濃縮が必要ないフルオレ
ノンの製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第四級ア
ンモニウム塩の存在下、苛性アルカリ水溶液と水に非相
溶性の有機溶媒との不均一系混合溶媒中でフルオレンを
分子状酸素により液相酸化してフルオレノンを製造する
方法について検討を重ねた結果、これまで使用されたも
のより低沸点の有機溶媒を使用し、酸化反応中に反応系
から蒸発した水を酸化排ガスに同伴させて酸化反応器外
に除去することにより、上記目的が達成できることを見
出し、本発明に到達した。
【0012】ここに、本発明の要旨は、苛性アルカリ水
溶液と有機溶媒とからなる攪拌された不均一系混合溶媒
中で、第四級アンモニウム塩の存在下、フルオレン含有
原料に分子状酸素を吹き込むことにより酸化してフルオ
レノンを製造する方法において、有機溶媒が標準沸点が
80〜150 ℃の水と非相溶性の有機溶媒であり、酸化反応
を100 ℃以下の温度で行い、酸化反応中に反応混合物か
ら蒸発した水を酸化反応排ガスに同伴させて酸化反応器
外に除去することを特徴とする、フルオレノンの製造方
法にある。
【0013】ここで、標準沸点とは、1気圧(760 Torr)
下での沸点である。また、水と非相溶性の有機溶媒と
は、水と実質的に相互溶解しない有機溶媒を意味する。
好適態様にあっては、酸化反応の終了後、反応液を静置
分離して油層と水層とに分液し、水層の苛性アルカリ水
溶液をそのまま次回の酸化反応に用いる。
【0014】本発明によれば、酸化反応速度が大幅に増
大し、酸化反応後の静置分液に要する時間も大幅に短縮
される。また、反応中に蒸発した水が反応系から除去さ
れているため、反応後に有機溶媒層から分離された苛性
アルカリ水溶液の濃縮は、必要ないか、或いはその負荷
が大幅に軽減される。さらに、有機溶媒の沸点が低いた
め、反応生成物であるフルオレノンからの有機溶媒の回
収も、精密蒸留ではなく単蒸留で可能となる。従って、
前述した従来技術の問題点がいずれも解決される。
【0015】出発物質であるフルオレンは、コールター
ルに約1.6 重量%の割合で含まれ、またトルエン、キシ
レン等の脱アルキル化副生油等にも含まれている。本発
明で用いるフルオレン含有原料は、コールタールの高沸
点留分や上記の副生油といったフルオレンを含有する留
分 (フルオレン含有油) から単離精製した、例えば純度
95重量%以上のフルオレンであってもよいが、フルオレ
ン含有油を精製せずにそのままフルオレン含有原料とし
て使用することもできる。その場合、原料中のフルオレ
ン含有率は特に限定されないが、酸化および精製工程で
の生産性を考慮すると、30重量%以上、特に40重量%以
上であることが好ましい。このような未精製のフルオレ
ン含有原料を使用しても、高収率が得られることが本発
明の利点の1つである。
【0016】苛性アルカリ水溶液としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液
が使用できるが、通常は水酸化ナトリウム水溶液を使用
する。苛性アルカリ水溶液の濃度は特に限定されない
が、通常20〜50重量%の範囲内が好ましく、35〜45重量
%の範囲内が特に好ましい。20重量%未満であると、フ
ルオレンの酸化速度が低下する傾向があり、生産性が低
下する。50重量%を超えると、酸化反応時に苛性アルカ
リの結晶が析出することがあり、フルオレンの酸化その
ものには影響しないが、酸化反応後の静置分離時の分液
操作が煩雑になる。苛性アルカリ水溶液の使用量も特に
限定されないが、有機層 (フルオレン含有原料+有機溶
媒) の合計重量に対して、通常は1/10〜10重量倍であ
り、1/10〜1重量倍の範囲が好ましい。少なすぎると反
応速度が低下し、多すぎると不経済である。
【0017】有機溶媒は原料フルオレンを溶解させるた
めに使用する。本発明では、水と非相溶性であり、標準
沸点が80〜150 ℃の有機溶媒を使用する。有機溶媒は2
種以上の混合溶媒であってもよい。混合溶媒の場合に
は、その混合物の沸点が上記範囲内であればよい。標準
沸点が80℃より低い溶媒は、酸化反応器から水を除く作
用は大きいが、水と共に蒸発させて酸化反応器系外に留
出させた蒸気を冷却凝縮するための負荷が大きく、工業
的には採用できない。標準沸点が150 ℃を超える溶媒
は、酸化反応器から水を除く作用が小さく、反応速度が
低下するので、本発明では不適当である。
【0018】上記の要件を満たし、本発明で使用可能な
溶媒の例を次に挙げる (かっこ内は標準沸点) :ベンゼ
ン (80℃) 、トルエン (111 ℃) 、キシレン(138〜144
℃)等の芳香族炭化水素類、n−ヘプタン (98℃) 、n
−オクタン (126 ℃) 等の脂肪族炭化水素類、メチルシ
クロヘキサン (101 ℃) 等の脂環族炭化水素類、クロロ
ベンゼン (132 ℃) 等のハロゲン化芳香族化合物、 1,2
−ジクロロエタン (83℃) 等のハロゲン化脂肪族化合
物。特に好ましい溶媒はトルエンおよびキシレンであ
る。
【0019】有機溶媒の使用量は、フルオレン含有原料
1重量部当たり 1/2〜10重量倍、特に1〜3重量倍の範
囲内が好ましい。この量が1/2 重量倍より少ないと、反
応中に酸化反応器から除去される水の量が少なくなる。
一方、10重量倍を超える多量の有機溶媒の使用は、酸化
反応自体には悪影響を及ぼさないが、酸化反応の容積効
率や溶媒回収の負荷が大きくなり、経済的に不利とな
る。
【0020】本発明では、苛性アルカリ水溶液と上記有
機溶媒とからなる不均一相反応系で酸化反応を行うた
め、相間移動触媒として第四級アンモニウム塩を使用す
る。第四級アンモニウム塩は一般に [R]4+ - なる
一般式で示される化合物である。本発明において触媒と
して有用なアンモニウム塩は、各Rがアルキルまたはア
ルキルフェニル (例、ベンジル等) である化合物であ
る。ただし、4個のRは互いに同一でも異なっていても
よい。X- はハロゲンイオン (Cl- 、Br- 、I- )、水
酸イオン (OH- ) 、硫酸水素イオン (HSO4 - ) 等の陰イ
オンを意味する。
【0021】好適な第四級アンモニウム塩の具体例に
は、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テト
ラエチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアン
モニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩
化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルラウ
リルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラ−n−ブ
チルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム等が挙げられる。
【0022】第四級アンモニウム塩の使用量は、原料中
のフルオレン1モルに対して1/1000〜1/10モルの範囲内
が好ましい。1/1000モルより少ないと、フルオレンの酸
化速度が遅くなり、1/10モルを超えて加えても、酸化速
度のそれ以上の上昇はわずかであるので、経済的に不利
になる。
【0023】本発明の酸化剤である分子状酸素は、燃焼
排ガス等の分子状酸素を含む排ガスも使用できるが、通
常は、空気、酸素、または酸素や空気を不活性ガスで希
釈したガスを用いる。
【0024】酸化反応は100 ℃以下の温度で行う。反応
温度は好ましくは30〜100 ℃、より好ましくは50〜80℃
の範囲である。反応温度が30℃より低いと、フルオレン
の酸化速度が遅くなる。反応温度が100 ℃を超えると、
第四級アンモニウム塩の分解が顕著になる。
【0025】反応圧力は特に制限されず、常圧 (大気
圧) 、減圧、加圧のいずれも可能である。反応温度およ
び圧力は、水が有機溶媒とともに適当な速度で蒸発する
ように、有機溶媒の沸点に応じて選択すればよい。従っ
て、過度の加圧は水の除去速度を遅くするので、加圧す
る場合でも、圧力は最高で5kg/cm2Gまでである。
【0026】反応は、酸素の吸収が実質的に認められな
くなるまで、或いは未反応のフルオレンがなくなるまで
続ける。また、フルオレンを残したまま反応を中断し、
未反応フルオレンを有機溶媒と共に回収し、次回の酸化
の原料として使用することも可能である。
【0027】酸化反応は、回分、半回分、連続式のいず
れでも実施できる。生産量が少量の場合は回分式が、多
量の場合は連続式が適している。いずれの場合も、酸化
反応器に導入した苛性アルカリ水溶液と有機溶媒との不
均一混合溶媒を十分な速度で攪拌して、有機溶媒中に溶
解したフルオレンと苛性アルカリ水溶液との接触面積を
増大させる。実際には、フルオレン含有原料、第四級ア
ンモニウム塩、苛性アルカリ水溶液および有機溶媒の混
合物を攪拌し、この攪拌混合物に分子状酸素含有ガスを
吹き込むことにより酸化反応を行う。反応に使用されな
かったガスは、酸化排ガスとして酸化反応器から排出さ
れる。
【0028】分子状酸素含有ガスの流量は、酸化排ガス
中の酸素濃度が、使用する有機溶媒蒸気と共存して爆発
範囲以下の濃度 (通常8体積%以下) になる流量を上限
として設定できる。
【0029】本発明によれば、反応混合物から蒸発した
水と有機溶媒を酸化排ガスに同伴させて、酸化反応器外
に除去する。反応系の水相は濃度20〜50重量%の苛性ア
ルカリ水溶液であり、この水溶液を単に加熱した場合に
は、沸点上昇により100 ℃をかなり超える温度まで加熱
しないと水を蒸発させることはできない。しかし、本発
明では、比較的低沸点の有機溶媒の共存により共沸によ
る沸点の低下や、酸素含有ガスの吹込みにより、反応温
度が30〜100 ℃と低いにもかかわらず、実質的な量の水
を蒸発させることができる。こうして、反応中に水分を
反応器から除去することで、苛性アルカリ水溶液の濃度
が反応中に希釈していくことを防止でき、反応速度の低
下を阻止できる。除去する水の量は、反応中に副生する
水の量の半分以上とすることが好ましい。
【0030】酸化反応器から留出した排ガスは、冷却し
て、これに同伴された有機溶媒と水の各蒸気を凝縮させ
る。凝縮しなかったガスは、必要に応じて、少量残存す
る有機溶媒蒸気をスクラバー等により除去した後、設備
系外に排出する。凝縮した液体は、デカンター等により
油水分離して、油層と水層とに分液する。水層は、必要
に応じて排水処理をした後、設備系外に排出する。油層
は有機溶媒として反応器に戻してもよく、或いは代わり
に新たな有機溶媒を補充してもよい。有機溶媒量が多い
場合には、蒸発分を必ずしも補充する必要はない。
【0031】酸化反応の終了後、反応器から抜き出した
反応液は静置分離して、油層 (主に有機溶媒+生成物)
と水層 (主に苛性アルカリ水溶液) とに分液する。本発
明で用いる低沸点有機溶媒は、高沸点溶媒に比べて、一
般に粘度および密度が小さいので、苛性アルカリ水溶液
との分液が容易であり、分液に要する時間は大幅に短縮
される。回分式、半回分式の場合には、酸化反応器内で
静置分離を行うことも可能である。
【0032】こうして回収された苛性アルカリ水溶液
は、反応中に副生した水による希釈が少ないので、濃縮
等の処理を加えることなく、そのまま次回の酸化反応に
使用することができる。もちろん、必要に応じて、濃度
調整のために、濃縮等の操作を苛性アルカリ水溶液に加
えることは、本発明の意義を損なうものではない。
【0033】触媒として使用した第四級アンモニウム塩
の大部分は苛性アルカリ水溶液中に存在するため、濃縮
等の処理を加えると、第四級アンモニウム塩がこの処理
の過程で分解するため、この点でも本発明の意義は大き
い。
【0034】一方、分液された油相は、必要に応じて、
水、苛性アルカリ水溶液で洗浄等の処理をした後、蒸留
操作等により有機溶媒を回収する。蒸留操作は、有機溶
媒が低沸点で、生成物のフルオレノンとの沸点差が大き
いため、一般に単蒸留で十分であり、操作圧力も大気圧
でよいが、蒸留に使用する熱源、冷却媒体等の制限によ
り、加圧下、減圧下も採用できる。また回分蒸留、連続
蒸留いずれの方式も可能である。
【0035】回収した有機溶媒は、もちろん再使用でき
る。蒸留残渣からは、必要に応じて蒸留、晶析、再結
晶、錯体形成、抽出、吸着等の精製を行って、所望の純
度のフルオレノンを得ることができる。
【0036】
【実施例】以下に、実施例および比較例をあげ、本発明
を詳細に説明する。なお、実施例および比較例におい
て、%は特に指定しない限り重量%である。
【0037】(実施例1) A. 水分測定用受器を有する還流冷却器、ガス導入管、
温度計、誘導攪拌機を有する内容積500 mlのジャケット
付フラスコに、フルオレン含有油 (フルオレン含有率89
%) 28g(150 mmol)、トルエン100 g、40%水酸化ナト
リウム水溶液30g、第四級アンモニウム塩として塩化ジ
ステアリルジメチルアンモニウム (花王製、商品名コー
タミンD86P) を1.18g (1.5 mmol) 仕込み、攪拌機で
激しく攪拌しながら、窒素で希釈して酸素濃度を7容積
%とした希釈空気を毎分0.3 リットルの流量で流し、50
℃、大気圧下で酸化した。
【0038】使用した水分測定用受器は、図1に示す構
造のものであって、分液した凝縮液がある量以上になる
と、上層の油層 (有機溶媒) がオーバーフローして酸化
反応器であるフラスコに戻るようになっていた。
【0039】排ガス中の酸素濃度は、反応開始時は4容
積%であったが、6時間後に7容積%となったので、希
釈空気の供給を止めた。水分測定用受器には2.7 gの水
が留出していた。攪拌を止め、フラスコ内の反応液を15
分間静置した後、分液して油層と水層とに分液した。油
層を常圧下、単蒸留に付し、トルエンを回収した。トル
エン回収後の蒸留残渣 (31.7g) をガスクロマトグラフ
で分析したところ、フルオレノンの含有率は81%であり
(フルオレノンの収率95モル%) 、未反応のフルオレン
は検出されなかった。
【0040】B. 反応液の油層から分液された水層を、
Aで使用したジャケット付フラスコに戻し、上と同じフ
ルオレン含有油を28g、トルエンを140 g、コータミン
D86Pを0.59g (0.75ミリモル) 加えて、2回目の反応
を上記と同様に行ったところ、6時間後に上記と同様、
排ガスの酸素濃度が7容量%になったので希釈空気の供
給を止めた。
【0041】以後、Aと同様に操作して、トルエン回収
後の蒸留残渣 (31.9g) を得た。ガスクロマトグラフで
分析したところ、フルオレノンの含有率は80% (フルオ
レノンの収率94モル%) であり、フルオレンは検出され
なかった。従って、回収された水酸化ナトリウム溶液を
濃縮せずにそのまま使用した2回目の反応で、1回目と
ほぼ同等の優れた反応成績を得ることができた。
【0042】(比較例1) A. 還流冷却器から水分測定用受器を取り外した以外は
実施例1と同様に酸化反応を行った。この場合、排ガス
に同伴して反応器から除去されたトルエン蒸気と水蒸気
は、全て還流冷却器で冷却凝縮してフラスコに戻る。排
ガス中の酸素濃度は、反応開始時は4容量%であった。
9時間後に7容量%になったので、希釈空気の供給を止
めた。その後、反応液を静置分離後、実施例1と同様に
蒸留して溶媒を回収した。蒸留残渣はフルオレノンを収
率93モル%で含有していた。
【0043】B. 静置分液で回収された水層を、上記A
のフラスコ (水分測定用受器のないもの) に戻して、実
施例1のBと同様に2回目の酸化反応を行った。酸化開
始後5時間で酸素吸収が認められなくなった。反応液を
少量採取して、油層をガスクロマトグラフで分析したと
ころ、フルオレノンの残存を認めたので、コータミンD
86Pを1.18g追加して再度酸化を開始した。7時間後に
排ガスの酸素濃度が7容量%になったので、希釈空気の
供給を止め、上記と同様に処理した。トルエン回収後の
蒸留残渣に含まれていたフルオレノンの収率は90モル%
であった。
【0044】(比較例2)有機溶媒をトルエンからメチ
ルナフタレン (1-メチルナフタレン52.6%、2-メチルナ
フタレン46.5%、標準沸点 241〜242 ℃) に変更した以
外は、実施例1のAと同様にフルオレンの酸化を行っ
た。排ガス中の酸素濃度は、反応開始時は5容量%であ
ったものが、11時間後に7容量%になったので、希釈空
気の供給を止めた。水分測定用受器には2.9 gの水が留
出していた。
【0045】攪拌を止め、1晩放置したが、油層と水層
との分離が悪く、中間層 (エマルジョン層) が生成して
いた。油層のみを100 mmHgの減圧下、理論段数20段の精
留塔で還流比10にて精密蒸留した。留出したメチルナフ
タレンを回収した後に残った蒸留残渣 (28.8g) をガス
クロマトグラフで分析したところ、フルオレノンの含有
率は76%であり (フルオレノンの収率81モル%) 、未反
応のフルオレンは検出されなかった。
【0046】この結果から、有機溶媒の150 ℃を超える
高沸点溶媒であると、有機溶媒の回収に精密蒸留が必要
になる上、反応時間や分液時間の短縮といった本発明の
効果は得られず、収率も低下することがわかる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、
酸化反応速度を高い状態に保ったまま、フルオレンを95
%前後の高収率で酸化できるので、従来の不均一系混合
溶媒中での酸化方法に比べて、反応時間が著しく短縮さ
れる。また、酸化反応後、分液して得られる苛性アルカ
リ水溶液を、特に濃縮等の処理を加えることなく、繰り
返し使用できるので、生産性が向上すると共に、触媒の
第四級アンモニウム塩の消耗を抑えることができる。さ
らに、有機溶媒が低沸点で、生成物のフルオレノンとの
沸点差が十分にあるため、反応後の生成物からの有機溶
媒の回収を単蒸留で行うことができ、水層との分液も短
時間で完了するので、この点でも生産性が向上する。従
って、総合的にみて、本発明の方法は工業化に非常に適
した方法であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた水分測定用受器の構造を示す説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 誠二 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住金化 工株式会社開発研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 苛性アルカリ水溶液と有機溶媒とからな
    る攪拌された不均一系混合溶媒中で、第四級アンモニウ
    ム塩の存在下、フルオレン含有原料に分子状酸素を吹き
    込むことにより酸化してフルオレノンを製造する方法に
    おいて、有機溶媒が標準沸点が80〜150 ℃の水と非相溶
    性の有機溶媒であり、酸化反応を100℃以下の温度で行
    い、酸化反応中に反応混合物から蒸発した水を酸化反応
    排ガスに同伴させて酸化反応器外に除去することを特徴
    とする、フルオレノンの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化反応の終了後、反応液を静置分離し
    て油層と水層とに分液し、水層の苛性アルカリ水溶液を
    そのまま次回の酸化反応に使用することを特徴とする、
    請求項1記載の方法。
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