JP2000045130A - 炭化ケイ素繊維の製造方法 - Google Patents
炭化ケイ素繊維の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高強度を有する炭化ケイ素繊維の製造方法を
提供する。 【解決手段】 シリレン基(-SiH2-)を繰り返し構造単
位中に含む含ケイ素高分子化合物、あるいは該含ケイ素
高分子化合物とパーメチルポリシランを熱変性して得ら
れるポリカルボシランとからなる組成物を紡糸して繊維
となし、次に該繊維を酸素の存在下および/または放射
線あるいは電子線の照射下にて0〜300℃で不融化処理
し、さらに、該不融化処理した繊維を真空中または不活
性ガス中で800〜2000℃で加熱して炭化ケイ素繊維を製
造する。
提供する。 【解決手段】 シリレン基(-SiH2-)を繰り返し構造単
位中に含む含ケイ素高分子化合物、あるいは該含ケイ素
高分子化合物とパーメチルポリシランを熱変性して得ら
れるポリカルボシランとからなる組成物を紡糸して繊維
となし、次に該繊維を酸素の存在下および/または放射
線あるいは電子線の照射下にて0〜300℃で不融化処理
し、さらに、該不融化処理した繊維を真空中または不活
性ガス中で800〜2000℃で加熱して炭化ケイ素繊維を製
造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度で耐熱性に
優れた炭化ケイ素繊維を製造する方法に関する。
優れた炭化ケイ素繊維を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高機能性繊維、特に無機繊維の技
術開発状況は著しいものがあり、例えば炭化ケイ素繊
維、Si−Ti−C−O 系繊維、窒化ケイ素繊維、炭素繊
維、ガラス繊維、SiO2-TiO2 繊維などが開発されてお
り、その一部はすでに市販され、耐熱性に優れた高強度
繊維として、特に樹脂、金属、セラミックス等の基本材
料の補強物質として、今後の大幅な需要の伸びが期待さ
れている。これらのうち、本発明が対象としている炭化
ケイ素繊維は、特にその高温特性から、先端複合材料と
して特に期待されており、現在、工業的に製造されてい
るものとして、例えば、日本カーボン社製の「商標”ニ
カロン”」がある( 特公昭57-26527、特公昭57-53892、
特公昭57-38548)。これはジメチルジクロロシランを出
発原料に用い、下記式(1)〔化1〕、(2)〔化
2〕、(3)〔化3〕に従って製造されている。
術開発状況は著しいものがあり、例えば炭化ケイ素繊
維、Si−Ti−C−O 系繊維、窒化ケイ素繊維、炭素繊
維、ガラス繊維、SiO2-TiO2 繊維などが開発されてお
り、その一部はすでに市販され、耐熱性に優れた高強度
繊維として、特に樹脂、金属、セラミックス等の基本材
料の補強物質として、今後の大幅な需要の伸びが期待さ
れている。これらのうち、本発明が対象としている炭化
ケイ素繊維は、特にその高温特性から、先端複合材料と
して特に期待されており、現在、工業的に製造されてい
るものとして、例えば、日本カーボン社製の「商標”ニ
カロン”」がある( 特公昭57-26527、特公昭57-53892、
特公昭57-38548)。これはジメチルジクロロシランを出
発原料に用い、下記式(1)〔化1〕、(2)〔化
2〕、(3)〔化3〕に従って製造されている。
【0003】
【化1】
【0004】
【化2】
【0005】
【化3】
【0006】(1)の工程 通常キシレン中において金属ナトリウムを溶融した後、
分散させた状態(〜100℃) で実施されている。しかし、
未反応の残留ナトリウムの処理が繁雑である。
分散させた状態(〜100℃) で実施されている。しかし、
未反応の残留ナトリウムの処理が繁雑である。
【0007】(2)の工程 高温高圧下( 約500℃、100気圧) あるいはポリボロシロ
キサンのごとき反応促進剤(350℃、常圧) を用いて行わ
れている。しかし、低分子量の反応促進剤は使用できず
収率も低い(50%以下) 。
キサンのごとき反応促進剤(350℃、常圧) を用いて行わ
れている。しかし、低分子量の反応促進剤は使用できず
収率も低い(50%以下) 。
【0008】(3)の工程 溶融あるいは乾式紡糸後空気中において不融化処理さ
れ、しかる後に窒素中あるいは真空中で1200〜1300℃で
焼成して目的とする炭化ケイ素繊維が得られている。か
くして得られた炭化ケイ素繊維は遊離の炭素(10〜20wt
%)あるいはシリカ(約20wt%)が含有されていて、これら
が製品物性特に高温における強度に悪影響を与えるとさ
れている。
れ、しかる後に窒素中あるいは真空中で1200〜1300℃で
焼成して目的とする炭化ケイ素繊維が得られている。か
くして得られた炭化ケイ素繊維は遊離の炭素(10〜20wt
%)あるいはシリカ(約20wt%)が含有されていて、これら
が製品物性特に高温における強度に悪影響を与えるとさ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た従来法の問題点(すなわち製造プロセスが繁雑、
収率が低い、最終の炭化ケイ素繊維中に遊離の炭素が
含まれ高温特性が悪い)を解決し、より経済的で物性に
すぐれた炭化ケイ素繊維の製造法の開発に鋭意努力した
結果、本発明に至った。
た従来法の問題点(すなわち製造プロセスが繁雑、
収率が低い、最終の炭化ケイ素繊維中に遊離の炭素が
含まれ高温特性が悪い)を解決し、より経済的で物性に
すぐれた炭化ケイ素繊維の製造法の開発に鋭意努力した
結果、本発明に至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリレン基
(-SiH2-)を繰り返し構造単位中に含む含ケイ素高分子
化合物を紡糸して繊維となし、該繊維を酸素の存在下お
よび/または放射線あるいは電子線の照射下にて0〜300
℃で不融化処理し、さらに、該不融化処理した繊維を真
空中または不活性ガス中で800〜2000℃で加熱すること
を特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法である。
(-SiH2-)を繰り返し構造単位中に含む含ケイ素高分子
化合物を紡糸して繊維となし、該繊維を酸素の存在下お
よび/または放射線あるいは電子線の照射下にて0〜300
℃で不融化処理し、さらに、該不融化処理した繊維を真
空中または不活性ガス中で800〜2000℃で加熱すること
を特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法である。
【0011】また本発明は、シリレン基(-SiH2-)を繰
り返し構造単位中に含む含ケイ素高分子化合物とパーメ
チルポリシランを熱変性して得られるポリカルボシラン
とからなる組成物を、紡糸して繊維となし、該繊維を酸
素の存在下および/または放射線あるいは電子線の照射
下にて0〜300℃で不融化処理し、さらに、該不融化処理
した繊維を真空中または不活性ガス中で800〜2000℃で
加熱することを特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法で
ある。
り返し構造単位中に含む含ケイ素高分子化合物とパーメ
チルポリシランを熱変性して得られるポリカルボシラン
とからなる組成物を、紡糸して繊維となし、該繊維を酸
素の存在下および/または放射線あるいは電子線の照射
下にて0〜300℃で不融化処理し、さらに、該不融化処理
した繊維を真空中または不活性ガス中で800〜2000℃で
加熱することを特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法で
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における含ケイ素高分子化
合物とは、繰り返し構造単位中にシリレン基(-SiH2-)
を含むものであり、例えば-CH(CH3)-SiH2-や-CH2-CH2-S
iH2-の構造単位を含むものがあげられる。これらはいく
つかの方法によって製造しうるが、最も容易な方法とし
ては本発明者らが提案しているようにビニルシラン(CH
2=CH-SiH3)のアニオン重合(特開平6-32907)またはラ
ジカル重合(特公平7-25841)によって製造される。
合物とは、繰り返し構造単位中にシリレン基(-SiH2-)
を含むものであり、例えば-CH(CH3)-SiH2-や-CH2-CH2-S
iH2-の構造単位を含むものがあげられる。これらはいく
つかの方法によって製造しうるが、最も容易な方法とし
ては本発明者らが提案しているようにビニルシラン(CH
2=CH-SiH3)のアニオン重合(特開平6-32907)またはラ
ジカル重合(特公平7-25841)によって製造される。
【0013】アニオン重合は、LiAlH4, NaAlH4, LiBH4,
NaBH4, KBH4などの複合金属水素化物、ジアルキルスト
ロンチウム、ジアリールストロンチウム、ジアルキルカ
ルシウム、ジアリールカルシウムなどの有機アルカリ土
類金属、アルキルカリウム、アリールカリウム、アルキ
ルナトリウム、アリールナトリウムアルキルリチウム、
アリールリチウムなどの有機アルカリ金属類、アルカリ
アミド類、グリニャール試薬類、アルカリ金属ケチル
類、アルカリ金属アルコキシド類、ピリジン、第3アミ
ン類、水、エーテルなどが触媒として用いられる。重合
様式も特に制限はなく、気相、液相のいずれでも良く、
塊状重合、溶液重合などの方式を採用できる。
NaBH4, KBH4などの複合金属水素化物、ジアルキルスト
ロンチウム、ジアリールストロンチウム、ジアルキルカ
ルシウム、ジアリールカルシウムなどの有機アルカリ土
類金属、アルキルカリウム、アリールカリウム、アルキ
ルナトリウム、アリールナトリウムアルキルリチウム、
アリールリチウムなどの有機アルカリ金属類、アルカリ
アミド類、グリニャール試薬類、アルカリ金属ケチル
類、アルカリ金属アルコキシド類、ピリジン、第3アミ
ン類、水、エーテルなどが触媒として用いられる。重合
様式も特に制限はなく、気相、液相のいずれでも良く、
塊状重合、溶液重合などの方式を採用できる。
【0014】反応温度、反応圧力は重合様式および反応
モノマーによって異なるが、反応温度はー150℃〜100
℃、好ましくはー100℃〜20℃、反応圧力は常圧〜1000
気圧である。また、溶液重合においては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、ヘキサン、ジエチルエーテル、TH
F、グライム類、液体アンモニア、DMSOなどの溶媒
を用いて重合する。
モノマーによって異なるが、反応温度はー150℃〜100
℃、好ましくはー100℃〜20℃、反応圧力は常圧〜1000
気圧である。また、溶液重合においては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、ヘキサン、ジエチルエーテル、TH
F、グライム類、液体アンモニア、DMSOなどの溶媒
を用いて重合する。
【0015】ラジカル重合の場合には、熱、光、放射
線、電気、ラジカル開始剤などの利用が可能であるが、
触媒としては、過酸化水素、過硫酸アンモン、過酸化ベ
ンゾイル、クメンパーオキサイド、シクロヘキサンパー
オキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルハ
イドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2
-めメチルプロパン)(アゾジ-t-ブタン)などが使用さ
れる。更に助触媒(促進剤)としてジメチルアニリン、
CoまたはMnナフテネートなどを、賦活剤(還元剤)とし
て重亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダ、メルカプタン、第
一鉄塩、第一銅塩などを使用することができる。また反
応速度のコントロールには反応抑制剤としてメルカプタ
ン類、芳香族ニトロ化合物などを、重合度調整剤として
メルカプタン類を用いることができる。また更には種々
の架橋剤を用いることができ、例えば、(CH2=CH)2SiH2
や(CH2=CH)3SiHなどのモノマーとの共重合により任意に
架橋させることもできる。
線、電気、ラジカル開始剤などの利用が可能であるが、
触媒としては、過酸化水素、過硫酸アンモン、過酸化ベ
ンゾイル、クメンパーオキサイド、シクロヘキサンパー
オキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルハ
イドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2
-めメチルプロパン)(アゾジ-t-ブタン)などが使用さ
れる。更に助触媒(促進剤)としてジメチルアニリン、
CoまたはMnナフテネートなどを、賦活剤(還元剤)とし
て重亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダ、メルカプタン、第
一鉄塩、第一銅塩などを使用することができる。また反
応速度のコントロールには反応抑制剤としてメルカプタ
ン類、芳香族ニトロ化合物などを、重合度調整剤として
メルカプタン類を用いることができる。また更には種々
の架橋剤を用いることができ、例えば、(CH2=CH)2SiH2
や(CH2=CH)3SiHなどのモノマーとの共重合により任意に
架橋させることもできる。
【0016】重合様式は、気相、液相のいずれでも良
く、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの方式を採用で
きる。反応温度、反応圧力は重合様式および反応モノマ
ーによって異なるが、ラジカル開始剤を利用する場合に
は反応温度は0℃〜200 ℃、好ましくは20℃〜150℃、反
応圧力は平衡上高圧であることが好ましく、常圧〜1000
気圧である。またベンゼン、トルエン、キシレン、ペン
タン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、水などの
溶媒を用いて重合することも可能である。
く、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの方式を採用で
きる。反応温度、反応圧力は重合様式および反応モノマ
ーによって異なるが、ラジカル開始剤を利用する場合に
は反応温度は0℃〜200 ℃、好ましくは20℃〜150℃、反
応圧力は平衡上高圧であることが好ましく、常圧〜1000
気圧である。またベンゼン、トルエン、キシレン、ペン
タン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、水などの
溶媒を用いて重合することも可能である。
【0017】この他ビニルジクロロシランを原料とする
下式(4)〔化4〕の方法があげられる(Bruno Boury
et al. Organometallics, Vol.10, 1457-1461(199
1).)。
下式(4)〔化4〕の方法があげられる(Bruno Boury
et al. Organometallics, Vol.10, 1457-1461(199
1).)。
【0018】
【化4】
【0019】本発明にかかわる含ケイ素高分子化合物の
分子量には特に制限はなく、通常500〜100000の範囲で
ある。本発明において、該含ケイ素高分子化合物との樹
脂組成物として用いられるポリカルボシランとは、上述
の反応式(1)および(2)に表されるようにパーメチ
ルポリシランを熱変性して得られるもので、既に市販も
されている。樹脂組成物の製造方法には特に制限はない
が、例えば、ベンゼンやトルエンなどの溶媒に含ケイ素
高分子化合物とポリカルボシランとを溶解混合させた
後、溶媒を留出除去するなどの方法を採用できる。含ケ
イ素高分子化合物の組成割合は、5〜99wt%、好ましくは
10〜70%である。
分子量には特に制限はなく、通常500〜100000の範囲で
ある。本発明において、該含ケイ素高分子化合物との樹
脂組成物として用いられるポリカルボシランとは、上述
の反応式(1)および(2)に表されるようにパーメチ
ルポリシランを熱変性して得られるもので、既に市販も
されている。樹脂組成物の製造方法には特に制限はない
が、例えば、ベンゼンやトルエンなどの溶媒に含ケイ素
高分子化合物とポリカルボシランとを溶解混合させた
後、溶媒を留出除去するなどの方法を採用できる。含ケ
イ素高分子化合物の組成割合は、5〜99wt%、好ましくは
10〜70%である。
【0020】本発明における含ケイ素高分子化合物、お
よび含ケイ素高分子化合物とポリカルボシランとの組成
物の紡糸は、これらが易加工性であることを利用して、
不活性ガス中で溶融、湿式若しくは乾式の何れかの紡糸
方法、特に好ましくは溶融若しくは乾式紡糸方法により
行う。
よび含ケイ素高分子化合物とポリカルボシランとの組成
物の紡糸は、これらが易加工性であることを利用して、
不活性ガス中で溶融、湿式若しくは乾式の何れかの紡糸
方法、特に好ましくは溶融若しくは乾式紡糸方法により
行う。
【0021】つぎに得られた繊維の癒着を紡糸するため
の不融化処理方法について説明する。不融化は、該繊維
を酸素の存在下および/または放射線あるいは電子線の
照射下にて0〜300℃で処理して行う。酸素濃度は数10pp
m 乃至100 %の範囲である。処理時間は温度、酸素濃
度、放射線強度、電子線強度によって変わりうるが、数
秒乃至数十時間の範囲で適当に選択する。
の不融化処理方法について説明する。不融化は、該繊維
を酸素の存在下および/または放射線あるいは電子線の
照射下にて0〜300℃で処理して行う。酸素濃度は数10pp
m 乃至100 %の範囲である。処理時間は温度、酸素濃
度、放射線強度、電子線強度によって変わりうるが、数
秒乃至数十時間の範囲で適当に選択する。
【0022】セラミックス化は、該不融化処理後の繊維
を真空中または窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ク
リプトン等の不活性ガス雰囲気中で、800〜2000℃程度
において数分乃至数10時間の範囲で加熱して行う。本発
明における炭化ケイ素繊維の製造方法の特徴は、原料と
なる含ケイ素高分子化合物の製造が容易であること、ま
た得られる炭化ケイ素繊維中の炭素および酸素の含有量
が少なく耐熱性にすぐれ、かつ細く、高強度であること
である。理由は明かでないが、シリレン基(Si−H結
合)の高い反応性によると推定される。
を真空中または窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ク
リプトン等の不活性ガス雰囲気中で、800〜2000℃程度
において数分乃至数10時間の範囲で加熱して行う。本発
明における炭化ケイ素繊維の製造方法の特徴は、原料と
なる含ケイ素高分子化合物の製造が容易であること、ま
た得られる炭化ケイ素繊維中の炭素および酸素の含有量
が少なく耐熱性にすぐれ、かつ細く、高強度であること
である。理由は明かでないが、シリレン基(Si−H結
合)の高い反応性によると推定される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 500mlのオートクレーブに窒素雰囲気下、ビニルシラン
を 1.05mol、LiAlH4 を50mmol、トルエン200mlを仕込
み、120℃にて 40時間反応を行った。反応終了後、オー
トクレーブを開放し、反応液を塩酸水溶液で、次に水で
洗浄して得られた反応液からトルエンを留出することに
よって固体状の生成物 53gを得た。液体クロマトグラフ
ィーで分析した結果によれば数平均分子量は約5500(た
だしポリスチレン換算)であった。1H-NMR, 29Si-NMR,
13C-NMR, IR スペクトルによれば大部分が[-CH(CH3)-S
iH2-]を繰り返し単位とする構造であることがわかっ
た。アルゴン中200℃で溶融紡糸し、太さ約20μmの繊維
を得た。得られた繊維に、空気中にてγ線(60Co使
用)を0.367MGy(照射強度82.2Gy/s)照射し不融化処理
を行った。その後アルゴン中にて1100℃にまで昇温させ
ながら加熱し(昇温速度200℃/h)、目的とする炭化ケ
イ素繊維を得た。炭化ケイ素繊維の引張り強度は1.55GP
aで、また焼成物をさらに2000℃にて焼成しX線回折で
調べたが、遊離の炭素によると思われる回折ピークは認
められなかった。
を 1.05mol、LiAlH4 を50mmol、トルエン200mlを仕込
み、120℃にて 40時間反応を行った。反応終了後、オー
トクレーブを開放し、反応液を塩酸水溶液で、次に水で
洗浄して得られた反応液からトルエンを留出することに
よって固体状の生成物 53gを得た。液体クロマトグラフ
ィーで分析した結果によれば数平均分子量は約5500(た
だしポリスチレン換算)であった。1H-NMR, 29Si-NMR,
13C-NMR, IR スペクトルによれば大部分が[-CH(CH3)-S
iH2-]を繰り返し単位とする構造であることがわかっ
た。アルゴン中200℃で溶融紡糸し、太さ約20μmの繊維
を得た。得られた繊維に、空気中にてγ線(60Co使
用)を0.367MGy(照射強度82.2Gy/s)照射し不融化処理
を行った。その後アルゴン中にて1100℃にまで昇温させ
ながら加熱し(昇温速度200℃/h)、目的とする炭化ケ
イ素繊維を得た。炭化ケイ素繊維の引張り強度は1.55GP
aで、また焼成物をさらに2000℃にて焼成しX線回折で
調べたが、遊離の炭素によると思われる回折ピークは認
められなかった。
【0024】実施例2 500mlのオートクレーブにビニルシランを2.81mol、2,2'
-アゾビス(イソブチロニトリル)を 14.9mmol仕込み、
70℃で 8時間反応させた。反応終了後、オートクレーブ
を開放し、粘稠な生成物159gを得た。この生成物の粘度
は20℃で2.4cpで、液体クロマトグラフィーで分析した
結果によれば数平均分子量は約850(ただしポリスチレ
ン換算)であった。1H-NMR, 29Si-NMR, 13C-NMR, IR ス
ペクトルによれば[-CH2-CH2-SiH2-]を繰り返し単位に
含む構造であることがわかった。次に上記の含ケイ素高
分子化合物とポリカルボシラン(信越化学社製、数平均
分子量約2000)をベンゼン中に溶解させ、これを液体窒
素を用い減圧下にて冷凍乾燥させることによって固体状
の組成物(含ケイ素高分子化合物の含有量20wt%)を得
た。上記組成物をアルゴン中207℃で溶融紡糸し、太さ
約15μmの繊維を得た。得られた繊維に、空気中にてγ
線(60Co使用)を0.367MGy(照射強度82.2Gy/s)照射
し不融化処理を行った。その後アルゴン中にて1100℃に
まで昇温させながら加熱し(昇温速度200℃/h)、目的
とする炭化ケイ素繊維を得た。炭化ケイ素繊維の引張り
強度は2.35GPaで、また焼成物をさらに2000℃にて焼成
しX線回折で調べたが、遊離の炭素によると思われる回
折ピークは認められなかった。
-アゾビス(イソブチロニトリル)を 14.9mmol仕込み、
70℃で 8時間反応させた。反応終了後、オートクレーブ
を開放し、粘稠な生成物159gを得た。この生成物の粘度
は20℃で2.4cpで、液体クロマトグラフィーで分析した
結果によれば数平均分子量は約850(ただしポリスチレ
ン換算)であった。1H-NMR, 29Si-NMR, 13C-NMR, IR ス
ペクトルによれば[-CH2-CH2-SiH2-]を繰り返し単位に
含む構造であることがわかった。次に上記の含ケイ素高
分子化合物とポリカルボシラン(信越化学社製、数平均
分子量約2000)をベンゼン中に溶解させ、これを液体窒
素を用い減圧下にて冷凍乾燥させることによって固体状
の組成物(含ケイ素高分子化合物の含有量20wt%)を得
た。上記組成物をアルゴン中207℃で溶融紡糸し、太さ
約15μmの繊維を得た。得られた繊維に、空気中にてγ
線(60Co使用)を0.367MGy(照射強度82.2Gy/s)照射
し不融化処理を行った。その後アルゴン中にて1100℃に
まで昇温させながら加熱し(昇温速度200℃/h)、目的
とする炭化ケイ素繊維を得た。炭化ケイ素繊維の引張り
強度は2.35GPaで、また焼成物をさらに2000℃にて焼成
しX線回折で調べたが、遊離の炭素によると思われる回
折ピークは認められなかった。
【0025】比較例1 ポリカルボシラン(信越化学社製、数平均分子量約200
0)のみを317℃で溶融紡糸し、27μmの繊維を得た。実
施例2に記載の方法で、この繊維を不融化処理後、さら
に加熱することで炭化ケイ素繊維を得た。炭化ケイ素繊
維の引張り強度は1.15GPaで、また焼成物をさらに2000
℃にて焼成しX線回折で調べたが、遊離の炭素によると
思われる回折ピーク(2θ=26度)が認められた。
0)のみを317℃で溶融紡糸し、27μmの繊維を得た。実
施例2に記載の方法で、この繊維を不融化処理後、さら
に加熱することで炭化ケイ素繊維を得た。炭化ケイ素繊
維の引張り強度は1.15GPaで、また焼成物をさらに2000
℃にて焼成しX線回折で調べたが、遊離の炭素によると
思われる回折ピーク(2θ=26度)が認められた。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、高強度を有する炭化ケ
イ素繊維の経済的な製造方法を提供することができた。
イ素繊維の経済的な製造方法を提供することができた。
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Claims (6)
- 【請求項1】 a. シリレン基(-SiH2-)を繰り返し構
造単位中に含む含ケイ素高分子化合物を紡糸して繊維と
なし、 b. 該繊維を酸素の存在下および/または放射線あるい
は電子線の照射下にて0〜300℃で不融化処理し、 c. さらに、該不融化処理した繊維を真空中または不活
性ガス中で800〜2000℃で加熱することを特徴とする炭
化ケイ素繊維の製造方法。 - 【請求項2】 含ケイ素高分子化合物が-CH(CH3)-SiH2-
の構造単位を含むものである請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 含ケイ素高分子化合物が-CH2-CH2-SiH2-
の構造単位を含むものである請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 a. シリレン基(-SiH2-)を繰り返し構
造単位中に含む含ケイ素高分子化合物とパーメチルポリ
シランを熱変性して得られるポリカルボシランとからな
る組成物を紡糸して繊維となし、 b. 該繊維を酸素の存在下および/または放射線あるい
は電子線の照射下にて0〜300℃で不融化処理し、 c. さらに、該不融化処理した繊維を真空中または不活
性ガス中で800〜2000℃で加熱することを特徴とする炭
化ケイ素繊維の製造方法。 - 【請求項5】 含ケイ素高分子化合物が-CH(CH3)-SiH2-
の構造単位を含むものである請求項4記載の方法。 - 【請求項6】 含ケイ素高分子化合物が-CH2-CH2-SiH2-
の構造単位を含むものである請求項4記載の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10209740A JP2000045130A (ja) | 1998-07-24 | 1998-07-24 | 炭化ケイ素繊維の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10209740A JP2000045130A (ja) | 1998-07-24 | 1998-07-24 | 炭化ケイ素繊維の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=16577862
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---|---|
JP (1) | JP2000045130A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1998
- 1998-07-24 JP JP10209740A patent/JP2000045130A/ja active Pending
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