JP2000006349A - 離形フィルム - Google Patents

離形フィルム

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JP2000006349A
JP2000006349A JP17573998A JP17573998A JP2000006349A JP 2000006349 A JP2000006349 A JP 2000006349A JP 17573998 A JP17573998 A JP 17573998A JP 17573998 A JP17573998 A JP 17573998A JP 2000006349 A JP2000006349 A JP 2000006349A
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acid component
release film
acid
antimony
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Hiroyuki Sumi
洋幸 角
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種樹脂シート、樹脂被膜、セラミックシー
ト等の成形において、均一で平坦な表面を得ることがで
き、加熱処理時での熱変形が非常に小さい離形フィルム
を提供する。 【解決手段】 ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分
とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分と
し、マンガン化合物、リン化合物およびアンチモン化合
物に由来するマンガン、リンおよびアンチモン元素を下
記式(1)〜(3)を同時に満足する割合で含有し、重
縮合して得られるポリエチレンナフタレートを基材フィ
ルムとし、その表面の中心線平均粗さ(Ra)が2〜5
0nmであることを特徴とする離形フィルム。 0.7≦Mn≦1.6 ・・・(1) 0.5≦Mn/P≦1.2 ・・・(2) 0.7≦Sb≦2.2 ・・・(3) (上記式中、Mnは酸成分106g当りのマンガン元素
のモル数、Pは酸成分106g当りのリン元素のモル
数、Sbは酸成分106g当りのアンチモン元素のモル
数を表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は離形フィルムに関
し、さらに詳しくは樹脂溶液から成形される樹脂シート
や樹脂被膜等の製造用キャリヤーフィルム、セラミック
スラリーから成形されるセラミックシート等の成形用キ
ャリヤーフィルム、あるいは粘着テープ等の粘着剤層の
保護フィルムに有用な、熱安定性、平面性および平坦性
に優れる離形フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】離形フィルムは、樹脂シート、樹脂被膜
あるいはセラミックシート等を成形する際のキャリヤー
フィルムとして用いられる。
【0003】樹脂シートは、例えば塩化ビニル等からな
る樹脂溶液をキャリヤーフィルム上に塗工(流延)した
後、溶媒を加熱除去し、キャリヤーフィルムを剥離分離
することにより成形され、マーキングシート等の用途に
使用される。
【0004】樹脂被膜は、例えば粘着剤となる樹脂を溶
媒に溶解した塗液をキャリヤーフィルムの表面に塗布し
た後、加熱して溶媒を除去することにより製造される。
【0005】セラミックシートは、例えばセラミック粉
体とバインダー剤等を溶媒に分散させたスラリーをキャ
リヤーフィルムの表面に塗工した後、溶媒を加熱除去
し、キャリヤーフィルムを剥離除去することにより成形
される。
【0006】近年、離形フィルムを使用してこのような
樹脂シート、樹脂被膜やセラミックシート等を成形して
製造することが多くなってきた。中でも電子部品や光学
用部品等の高性能を要する用途、特にセラミックシート
や樹脂シートにおいては、従来にもまして均一な厚みと
高い表面性が求められている。特に、セラミックシート
は、コンデンサ等のセラミック電子部品を製造する際に
積層されることが多く、コンデンサの静電容量を増すた
めに厚みを薄くし、さらに多層積層することが多くなっ
てきている。
【0007】そのため、このような樹脂シートやセラミ
ックシート等は、均一な厚みで、精度よく、しかもより
平滑な表面であることが必要となる。そのようなシート
を製造するために、樹脂溶液、粘着剤やセラミックスラ
リー等の塗液を塗工する設備に高精度なものを求めるだ
けでなく、シートを形成するためのキャリヤーフィルム
にも、剥離後に得られた樹脂シート等のシート面の平滑
性、たるみやロール巻きぐせのない平面性、熱処理後の
寸法安定性、さらには打抜き、断裁等での加工性が求め
られる。
【0008】これらのキャリヤーフィルム用の基材フィ
ルムには、各種のフィルム、例えばOPP等のオレフィ
ン系フィルムや二軸配向ポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略することがある)フィルム等が使用さ
れている。例えば、PETフィルムはほとんどの場合、
巻取り性向上の目的でフィラー等を添加し表面を粗面化
している。したがって、フィラーが添加された特に粗い
表面を有するPETフィルムをキャリヤーフィルムとし
て使用した場合、成形された樹脂シートやセラミックシ
ート等は、樹脂溶液等を塗布した時に、場合によっては
ピンホールが発生し、均一な薄層のシートが得られなく
なり、製品に不具合を生ずる。また、成形されたシート
を積層する場合、積層界面に空隙が入りやすい等の問題
が発生することがある。
【0009】しかし、フィラー等の大きさ、量を制限し
すぎると、基材フィルムの表面粗さが小さくなり過ぎ、
巻取りロールにおいてフィルム同士の接触面積が大きく
なり、ブロッキングにより剥離異常等が発生したり、ま
た滑りが悪くなり、工程で使用する時、搬送性に問題が
発生することがある。
【0010】さらに、離形フィルムは樹脂溶液やセラミ
ックスラリーを塗工した後、溶媒除去のため加熱処理さ
れるが、この加熱温度は、離形フィルムに用いられる基
材フィルムのガラス転移温度(Tg)付近かまたはそれ
以上であることが多く、このため離形フィルムに寸法変
化やシワ等の熱変形が生じ、成形された樹脂シート類の
厚みムラや平面性が悪化し品質が低下する問題がある。
特に、樹脂シート類の生産性を向上させるため、加熱処
理時間を短縮するため加熱温度を高くすると、前述の問
題がより顕在化することが懸念される。
【0011】また、離形フィルムは樹脂溶液やセラミッ
クスラリーを塗工する前は、ロール状に巻かれているこ
とが多いが、それらを塗工するために巻きほぐす時に時
としてたるみや巻きぐせが発生することがある。これに
より、塗工された樹脂シートの平面性が損なわれること
が懸念される。さらに製膜条件によっては製造された基
材フィルムの中に、内部応力が残留し樹脂溶液等を塗工
した際、それらが急激に緩和され局所的にたるみが発生
し、塗工して得られる樹脂シートの平面性が損なわれる
問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を解消し、各種樹脂シート、樹脂被
膜、セラミックシート等の成形において、均一で平坦な
表面を得ることができ、加熱処理時での熱変形が非常に
小さい離形フィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエチレンナフタレートからなるフィルム
を基材フィルムとする離形フィルムであって、該ポリエ
チレンナフタレートがナフタレンジカルボン酸を主たる
酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成
分とし、マンガン化合物、リン化合物およびアンチモン
化合物に由来するマンガン、リンおよびアンチモン元素
を下記式(1)〜(3)を同時に満足する割合で含有
し、重縮合して得られるものであり、かつ該基材フィル
ム表面の中心線平均粗さ(Ra)が2〜50nmである
ことを特徴とする離形フィルムによって達成される。 0.7≦Mn≦1.6 ・・・(1) 0.5≦Mn/P≦1.2 ・・・(2) 0.7≦Sb≦2.2 ・・・(3) (上記式中、Mnは酸成分106g当りのマンガン元素
のモル数、Pは酸成分106g当りのリン元素のモル
数、Sbは酸成分106g当りのアンチモン元素のモル
数を表わす。)
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける基材フィルムとしては、ポリエチレンナフタレー
トフィルムを用い、それを構成するポリマーとしては、
ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、また、エ
チレングリコールを主たるグリコール成分とし、重縮合
して得られるポリエチレンナフタレート(以下PENと
略することがある)である。
【0015】このナフタレンジカルボン酸としては、例
えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等
をあげることができるが、これらの中2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸が好ましい。
【0016】主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸で
ない場合、例えばフィルムに成形し、巻き取った時の巻
きぐせが残存し、フィルムの平面性が損なわれ好ましく
ない。
【0017】かかるPENポリマーは、離形フィルムの
耐熱変形性を損なわない範囲で、例えば芳香族ジカルボ
ン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエタン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アントラセンジカ
ルボン酸等)、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、コハ
ク酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等)、脂環族
ジカルボン酸(シクロヘキサン−1,4−ジカルボン
酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸等)、脂肪族オ
キシ酸(ヒドロキシ安息香酸オキシ酸、ω−ヒドロキシ
カプロン酸等)などの成分を、全酸成分の総量に対し2
0モル%以下で共重合あるいは結合させることができ
る。
【0018】PENフィルムを構成するエチレングリコ
ール以外のグリコール成分としては、脂肪族グリコール
(例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、デカメチレングリコール等の炭素数3〜10
のポリメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル等)、芳香族ジオール(例えばハイドロキノン、レゾ
ルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン等)、ポリ(オキシ)アルキレングリコール(例え
ばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール等)を例示することができるが、これら他のグリコ
ール成分の割合は、全グリコール成分当り20モル%以
下であることが好ましい。
【0019】また、PENポリマーには、離形フィルム
の耐熱変形性を損なわない範囲でエチレングリコール以
外のグリコール成分、例えばグリセリン、ペンタエリス
リトール、トリメリット酸、ピロメリット酸等のような
三官能以上を持つ化合物を、実質的に線状のポリマーが
得られる範囲内で、また本発明の効果を損なわない限り
において極小量共重合してもよい。
【0020】さらに、PENポリマーは、その耐加水分
解性を向上させるために、例えば安息香酸、メトキシポ
リアルキレングリコール等の一官能性化合物によって末
端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または
全部を封鎖したものであってもよい。
【0021】本発明におけるPENフィルムは、従来の
ポリエステルの製造方法によって製造することができる
が、エステル交換反応法、即ちナフタレンジカルボン酸
の低級アルキルエステルとエチレングリコールとを反応
させて製造するのが好ましい。かかるナフタレンジカル
ボン酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、ジメ
チルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル
等をあげることができ、特にジメチルエステルが好まし
い。
【0022】本発明に用いるPENポリマーは、o−ク
ロロフェノール溶液中にて35℃で測定した固有粘度が
0.40〜0.90dl/gの範囲であることが好まし
く、特に0.50〜0.85dl/gの範囲にあること
が好ましい。固有粘度が上記範囲であると、耐熱性に優
れたポリエステルフィルムが得られやすく、また溶融P
ENポリマーの押出し性および製膜性が良好となる。
【0023】なお、本発明のPENポリマーには、その
効果を損なわない範囲で、滑り性を付与し、フィルムの
巻取り性を良好なものとするため、平均粒径が0.01
〜20μm、好ましくは0.1〜5μmの無機微粒子あ
るいは有機微粒子を添加することができる。
【0024】かかる微粒子は、基材フィルム表面の中心
線平均粗さ(Ra)が2〜50nmの範囲になる割合、
例えば0.001〜10重量%含有させることが好まし
く、特に好ましくは0.01〜3重量%含有させること
が好ましい。
【0025】かかる微粒子の具体例として、二酸化ケイ
素、無水ケイ素、含水ケイ素、酸化アルミニウム、カオ
リン、炭酸カルシウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウ
ム(焼成物、水和物等を含む)、安息香酸リチウム、硫
酸バリウム、これらの化合物の複塩(水和物を含む)、
カーボンブラック、ガラス粉、粘土(カオリン、ベンナ
イト、白土等を含む)等の無機微粒子や、架橋アクリル
樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、架橋シリ
コーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機微粒子を好
ましく挙げることができる。
【0026】本発明の効果を維持するためには、相互作
用での性能変化を防ぐため、不活性粒子であることが好
ましい。また、これらの微粒子は1種類であってもよ
く、2種類以上であってもよい。PENポリマーはPE
Tポリマーに比べてその分子鎖が剛直でフィルムのステ
ィフネスが高いため、かかる微粒子の配合量がPETポ
リマーより少なくても滑り性が良く、十分な巻取り性を
得ることができる。
【0027】また、上記微粒子を含有させる方法として
は、基材フィルムの少なくとも片面にこれらの微粒子を
含有した層を薄く積層する方法も用いることができる。
積層方法としては、フィルム製膜時に塗設したり、ま
た、例えば複数の押出し機並びにフィードブロックやマ
ルチマニフォールドダイによる共押出し法が挙げられ
る。
【0028】前記微粒子以外にも、フィルムの表面平坦
性、熱安定性を損なわない範囲で、例えば安定剤、紫外
線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、光安定剤、酸
化防止剤等の添加剤をPENポリマーに配合することが
できる。また他の熱可塑性樹脂を少量(例えば20重量
%以下、特に10重量%以下)添加することもできる。
【0029】本発明におけるPENポリマーの製造にお
いては、ナフタレンジカルボン酸、好ましくはその低級
アルキルエステルとエチレングリコールに、エステル交
換反応触媒としてマンガン化合物、好ましくは反応系に
可溶なマンガン化合物を加えてエステル交換反応を行
う。
【0030】マンガン化合物は、全酸成分106gに対
してマンガンの元素量が0.7〜1.6モル(以下、添
加量の単位をモル元素/トンと略する)となる量添加す
る。かかる添加量は1.0〜1.5モル元素/トンの範
囲が好ましい。
【0031】マンガン化合物の添加量が1.6モル元素
/トンを超えると、触媒残渣による析出粒子の影響で、
フィルムを成形した場合に表面平坦性が悪化し、その結
果フィルムの透明性が不良となることがあり、またその
フィルムの上に離形層を設ける場合、特に付加反応型シ
リコーン樹脂等を塗布する場合、シリコーンの硬化に対
して触媒毒となり、シリコーンの硬化が不十分になるこ
とがある。他方、該添加量が0.7モル元素/トン未満
では、エステル交換反応が不十分となるばかりか、その
後の重合反応も遅くなり好ましくない。
【0032】本発明に用いるマンガン化合物は、特に限
定されないが、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩
等が好ましく、特に酢酸塩、即ち酢酸マンガンが好まし
い。
【0033】本発明におけるPENポリマーの製造にお
いては、上記エステル交換反応が実質的に完結した時
に、エステル交換反応触媒の一部を失活させるためにリ
ン化合物を添加する。
【0034】このリン化合物に対するエステル交換反応
触媒、即ちマンガン化合物の添加量のモル比(Mn/
P)は0.5〜1.2である必要があり、好ましくは
0.6〜1.1である。このモル比が0.5に満たない
場合には、触媒残渣による析出粒子の影響でフィルムを
成形した場合に表面平坦性が悪化し、また、そのフィル
ムの上に離形層を設ける場合、特に付加反応型シリコー
ン樹脂等を塗布する場合、シリコーンの硬化に対して触
媒毒となり、シリコーンの硬化が不十分になることが懸
念される。他方モル比が1.2を超える場合には、リン
化合物により十分に失活されないマンガン化合物の活性
により、PENポリマーの熱安定性等が悪化し、フィル
ムに成形した場合に色相が悪くなったり、平坦性が悪く
なったりして好ましくない。
【0035】本発明に用いるリン化合物としては、トリ
メチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−
n−ブチルホスフェート、リン酸等が挙げられる。特に
好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0036】本発明におけるPENポリマーの製造にお
いては、リン化合物を添加後、反応生成物を重縮合反応
させてPENポリマーとする。
【0037】その際、反応生成物に重縮合反応の主たる
触媒としてアンチモン化合物を添加する。なお、アンチ
モン化合物は、エステル交換反応開始前に添加しても良
い。
【0038】アンチモン化合物の添加量は、0.7〜
2.2モル元素/トンの範囲であることが必要である。
この添加量が0.7モル元素/トン未満であると、重縮
合反応性が劣り生産性不良となり好ましくない。他方、
添加量が2.2モル元素/トンより多くなると、長時間
のフィルム成形を行った場合、アンチモン化合物に基因
する析出物が生じフィルム欠点となったり、また、フィ
ルム上に離形層を設ける場合、特に付加反応型シリコー
ン樹脂等を塗布する場合、シリコーンの硬化に対して触
媒毒となり、シリコーンの硬化が不十分になるので好ま
しくない。
【0039】本発明で用いるアンチモン化合物は、酸化
物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に
酢酸塩、即ち酢酸アンチモンを用いた時、他の化合物に
比べポリマー中の析出粒子が少なく、フィルム透明性が
向上するので好ましい。
【0040】かかるPENポリマーフィルムは、その製
造方法によって特に制限されるものではなく、公知の方
法で製造することができる。例えば以下に製造方法の例
を挙げる。
【0041】本発明における二軸配向PENフィルム
は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法等の従来から知ら
れている方法で製造することができる。例えば、逐次二
軸延伸法では、PENポリマーを十分に乾燥させてから
そのTm〜(Tm+70)℃(Tm;PENポリマーの
融点)の温度で溶融押出し法にて未延伸フィルムを製造
し、続いて該未延伸フィルムを(Tg−10)〜(Tg
+50)℃(Tg;PENポリマーのガラス転移温度)
の温度でフィルムロール巻取り方向に2〜6倍延伸し、
次いでTg〜(Tg+50)℃の温度でその垂直方向に
2〜6倍延伸を行ない、さらに(Tg+60)〜(Tg
+140)℃の温度で5秒〜1分間熱固定することによ
り製造することができる。なお、熱固定は緊張下または
制限収縮下に行なってもよい。溶融押出しの際、静電密
着法を使用することが好ましい。また、巻取り方向およ
びその垂直方向での延伸条件は、得られる二軸配向PE
Nフィルムの物性がその長手方向および幅方向において
ほぼ等しくなるような条件を選択するのが好ましい。
【0042】該熱固定温度において、(Tg+60)℃
より低いと、フィルムでの巻取り状で保管した場合、時
によっては巻きぐせが残留したり、フィルム内部で層間
剥離が起こることが懸念される。他方(Tg+140)
℃よりも高いと、過度のフィルム結晶化のため白化して
しまい、透明や機械強度が不十分となってしまう。
【0043】同時二軸延伸の場合も上記逐次二軸延伸の
延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することがで
きる。
【0044】また、基材フィルムはそのフィルムロール
の巻き方向およびその垂直方向とも弾性率が1.0×1
11〜1.7×1011dyne/cm2の範囲であるこ
とが好ましい。弾性率が1.0×1011dyne/cm
2より小さいと断裁等の打抜きにおいてバリ、反り等が
発生し易い。また、1.7×1011dyne/cm2
り大きいと断裁時必要以上に切り込みが進み、所定の断
裁がし難い。
【0045】本発明の基材フィルムは、フィルムの密度
が1.360〜1.370g/cm3であることが好ま
しい。フィルムの密度が1.360g/cm3未満であ
ると延伸により配向された分子が十分な結晶に成長して
おらず寸法安定性に劣り、200℃自由長さにおいて、
10分処理後の熱収縮率の絶対値が少なくとも片方向は
1.0%を超えてしまい良くない。また、1.370g
/cm3を超えると結晶化によりフィルムが脆くなり耐
衝撃性に劣る。
【0046】さらに、本発明の基材フィルムは、フィル
ム表面の中心線平均粗さ(Ra)が2〜50nmもので
あり、特に6〜40nmが好ましい。中心線平均粗さ
(Ra)が2nm未満ではフィルムの滑り性が悪化し巻
取り性が悪くなり、50nmを超えるとフィルム表面の
粗さが大きくなり過ぎ、このフィルムを離形フィルムと
して使用した時、その上にキャストして成形された樹脂
シート等の表面が粗くなり、平滑な面が得られなくな
る。
【0047】本発明に用いる基材フィルムの厚みは特に
限定されないが、5〜500μmであることが好まし
く、特に10〜200μmであることが好ましい。
【0048】本発明においては、基材フィルムの少なく
とも片面に離形層を設けることが好ましい。離形層を形
成する成分としては、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹
脂および脂肪族等ワックス等を挙げることができる。ま
た、キャスティングされる樹脂によっては離形層を設け
なくても良い。
【0049】かかる離形層を形成する成分には、本発明
の目的を妨げない範囲で公知の各種添加剤を配合するこ
とができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収
剤、顔料、消泡剤、帯電防止剤等を挙げることができ
る。
【0050】離形層の塗設は離形層を形成する成分を含
む塗液を基材フィルムに塗布し、加熱乾燥させて塗膜を
形成させることにより行なうことができる。加熱条件と
しては80〜160℃で10〜120秒間、特に120
〜150℃で20〜60秒間が好ましい。塗布方法は、
任意の公知の方法が使用でき、例えばロールコーター
法、ブレードコーター法等が好ましく挙げられる。
【0051】本発明においては、基材フィルムと離形層
の密着性を高めるために、基材フィルムと離形層の間に
接着層を設けることが好ましい。この接着層を形成する
成分としては、例えば離形層がシリコーン樹脂層の場
合、シランカップリング剤が好ましい。このシランカッ
プリング剤としては一般式Y−Si−X3で表されるも
のがさらに好ましい。ここで、Yは例えばアミノ基、エ
ポキシ基、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基等で
代表される官能基、Xはアルコキシ基で代表される加水
分解性の官能基を表す。かかる接着層の厚みは、0.0
1〜5μmの範囲が好ましく、0.02〜2μmの範囲
が特に好ましい。接着層の厚みが上記の範囲であると基
材フィルムと離形層の密着性が良好となり、かつ接着層
を設けた基材フィルムがブロッキングしにくいため、離
形フィルムの取り扱いで問題が生じにくい利点がある。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、各特性値は下記の方法で測定した。 1.ガラス転移温度(Tg) 示差熱測定装置(Du Pont製DSC2100型)
を用い、20℃/分の昇温速度でガラス転移ピーク温度
を求める。
【0053】2.中心線平均粗さ(Ra) 触針式表面粗さ計(小坂研究所(株)製、サーフコーダ
30C)を用いて針の半径2μm、触針圧30mgの条
件下でフィルム表面をスキャンし、フィルム表面の変位
を測定し、表面粗さ曲線を記録した。なおカットオフ値
は80μmである。この表面粗さ曲線から、その中心線
の方向に測定長さ(L)を抜き取り、X軸をスキャン距
離、Y軸を表面変位としたときの表面粗さ曲線(Y=f
(x))から下記式で計算した。
【0054】
【数1】
【0055】3.固有粘度 o−クロロフェノール溶液中にて35℃で測定した。
【0056】4.基材フィルムの熱安定性 基材フィルム作成前後のポリマーの固有粘度より下記式
を用いて熱劣化指数を求め、PENポリマーの熱安定性
を評価した。 熱劣化指数=([ηo]/[ηx])−1 但し、[ηo]:フィルム作成前のポリマーの固有粘度 [ηx]:フィルム作成後のフィルムのポリマーの固有
粘度 <熱安定性の判定基準> ○: 熱劣化指数≦0.05 △: 0.05<熱劣化指数≦0.10 ×: 0.10<熱劣化指数
【0057】5.離形フィルムの平面性 基材フィルムに離形層として付加反応型シリコーンを塗
布して140℃で1分の加熱処理した後のフィルムにお
いて、10cm×20cmのサイズに切り取り、自由長
で平らな床面に置き、そのフィルムの10cm×10c
mの部分を金属板でカバーし、カバーしていないフィル
ムのエッジの浮きを観察し、下記の基準で評価した。 <判定基準> ○: エッジの浮きの高さが2mm未満 △: エッジの浮きの高さが2mm以上8mm未満 ×: エッジの浮きの高さが8mm以上
【0058】6.加工性 作成した離形フィルムに、モデル塗料として水に溶解さ
せたポリビニルアルコール樹脂を、乾燥後の厚みが30
μmとなるよう塗布し、水を乾燥蒸発させた。その後、
15cm角の金属金型を用い、打抜きエッジのバリや隅
のしなり、亀裂の発生を観察し下記の基準で評価した。 ○: バリやしなりが発生しない。 △: 微小なバリが発生、またはフィルムのしなりが発
生し、樹脂膜がや や伸びる。または微小な層間剥離が発生する。 ×: 離形フィルムに層間剥離やバリ、または亀裂が発
生、または樹脂膜が十分に切断できない状態。
【0059】[実施例1]2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステル100重量部およびエチレングリ
コール60重量部に、エステル交換触媒として酢酸マン
ガン4水塩を表1に示す量添加し、エステル交換反応さ
せた後、トリメチルフォスフェートを表1に示す量添加
し、エステル交換反応を終了させた。さらに三酸化アン
チモンを表1に示す量添加後、引き続き高温高真空下で
重縮合反応を行い、固有粘度0.62のPENポリマー
を得た。
【0060】次に平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒
子を0.15重量%含有させて先のPENポリマーを押
出し機で溶融し、ダイスから40℃に維持してある回転
冷却ドラム上に押出し、静電密着法を用いて溶融ポリマ
ーを回転冷却ドラムに密着させて急冷し未延伸フィルム
とした。次いで、この未延伸フィルムを縦方向に3.6
倍、引き続き横方向に3.6倍延伸し、さらに230℃
にて熱固定を行なって厚さ50μmの二軸配向PENフ
ィルムを得た。
【0061】この二軸配向PENフィルムの片面に、下
記に示す方法で調製した塗液を6g/m2(wet)の
塗布量で塗布し、140℃の温度で1分間加熱乾燥およ
び硬化させて離形層の厚さが0.1μmの離形フィルム
を作成した。この離形フィルムの特性を表1に示す。
【0062】なお、塗液は、ビニル基を有するポリジメ
チルシロキサンとジメチルハイドロジェンシランからな
る付加反応タイプの硬化型シリコーンをメチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンおよびトルエンの混合溶
媒中に溶解させ、さらにシリコーンレジンを前記硬化型
シリコーンに対し固形分比で10重量%となる量配合
し、全体の固形分濃度が2%の溶液とし、この溶液に白
金触媒を添加して作成した。
【0063】[実施例2、比較例1〜2]酢酸マンガ
ン、トリメチルフォスフェートおよび三酸化アンチモン
の添加量を表1に示す通り変更し、さらに真球状シリカ
粒子の含有量を0.40重量%に変更する以外は実施例
1と同じ方法で離形フィルムを得た。この離形フィルム
の特性を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1より明らかなように、実施例に示した
本発明の離形フィルムは、基材フィルムとしての熱安定
性に優れ、また、離形層を設ける時の加熱処理後の寸法
安定性や平面性に優れ、また加工性が良好なものであっ
た。また、比較例1および2の離形フィルムは、製膜後
のフィルムの熱安定性が劣り、またこれにより平坦性や
透明性が劣り、さらには離形フィルムにした時の平面性
が悪く、塗布した樹脂溶液の厚みムラが悪かったり、断
裁時に層間剥離が発生し不十分なものであった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、熱安定性が良く、また
離形フィルムとしての平面性も優れ、樹脂シート等の成
形時の熱による変形も非常に小さく、また断裁精度等の
加工性に優れるシート類を製造する離形フィルムを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AB05 AB06 AB26 AD02 AF19 AF27 AF45 AG28 AH19 BA01 BB06 BB08 BC01 BC02 BC10 BC16 4F100 AA20H AJ11B AJ11C AK17B AK17C AK41A AK52B AK52C BA02 BA03 BA06 BA10A BA10B BA10C BA16 CA23A CC00 DD07A DE01H EJ38A GB90 JB12B JB12C JJ03 JK15 JL01 4J002 BD122 CF081 CP032 DD076 DD078 DE096 DE128 DE246 DE248 EG056 EG058 EW047 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンナフタレートからなるフィ
    ルムを基材フィルムとする離形フィルムであって、該ポ
    リエチレンナフタレートがナフタレンジカルボン酸を主
    たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコー
    ル成分とし、マンガン化合物、リン化合物およびアンチ
    モン化合物に由来するマンガン、リンおよびアンチモン
    元素を下記式(1)〜(3)を同時に満足する割合で含
    有し、重縮合して得られるものであり、かつ該基材フィ
    ルム表面の中心線平均粗さ(Ra)が2〜50nmであ
    ることを特徴とする離形フィルム。 0.7≦Mn≦1.6 ・・・(1) 0.5≦Mn/P≦1.2 ・・・(2) 0.7≦Sb≦2.2 ・・・(3) (上記式中、Mnは酸成分106g当りのマンガン元素
    のモル数、Pは酸成分106g当りのリン元素のモル
    数、Sbは酸成分106g当りのアンチモン元素のモル
    数を表わす。)
  2. 【請求項2】 ポリエチレンナフタレートがエステル交
    換反応法で製造されたポリエチレン−2,6−ナフタレ
    ートである請求項1記載の離形フィルム。
  3. 【請求項3】 基材フィルムが二軸延伸後の熱固定を
    (Tg+60)〜(Tg+140)℃(ここで、Tgは
    ポリエチレンナフタレートのガラス転移温度を表わす)
    の温度で行ったフィルムである請求項1または2記載の
    離形フィルム。
  4. 【請求項4】 基材フィルムの少なくとも片面に、シリ
    コーン樹脂、フッ素樹脂および脂肪族ワックスから選ば
    れた少なくとも1種を積層してなる請求項1〜3のいず
    れかに記載の離形フィルム。
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