WO2022196703A1 - ワイパーモータ取付構造 - Google Patents

Abstract

上部ブラケット４は、５つの板部４ａ～４ｅによって構成される。第１板部４ａは、ダッシュパネル３の上部領域１０に固定される。第２板部４ｂは、ダッシュパネル３の凹部上板部１１に固定される。第３板部４ｃには、ワイパーモータユニット６の上側ボルト固定部１８が固定される。第５板部４ｅは、ダッシュパネル３の凹部後板部１２に固定される。下部ブラケット５は、４つの板部５ａ～５ｄによって構成される。第１板部５ａは、ダッシュパネル３の下部領域１５に固定される。第２板部５ｂには、ワイパーモータユニット６の下側ボルト固定部１９が固定される。第４板部５ｄは、ダッシュパネル３の凹部下板部１３に固定される。ワイパーモータユニット６のモータ８は、上下のブラケット４，５間に配置される。

Description

ワイパーモータ取付構造

　本開示は、ワイパーモータ取付構造に関する。

　特許文献１には、ワイパーモータを車体側へ取り付けるためのブラケットが記載されている。ブラケットは、フロントパネルレインフォースの下方に配置される。ブラケットの上部材は、フロントパネルレインフォースの下支持部に接合される接合部と、接合部から下方に延びる下延部とを有する。ブラケットの上部材の下延部の略中央部には、開口が形成されている。ブラケットには、ブラケットの車両後方に配置されるワイパーモータが固定されており、ワイパーモータの駆動軸が開口に挿通されている。

日本国特開２００８－００６９１２号公報

　ところで、車両によっては、車室の前方を区画するダッシュパネルの上部に、後方へ凹む凹部を設け、係る凹部の前側の開口側にブラケットを固定し、ワイパーモータをダッシュパネルの凹部内に挿入した状態でブラケットに対して取り付ける場合がある。この場合、上記特許文献１に記載のように、開口が形成されているブラケットでは、ブラケットを製造する際の歩留まりが悪い。ブラケットを製造する際の歩留まりを向上させるために、ブラケットを上下２つのブラケットに分割することが考えられるが、単に分割しただけでは、ブラケットの剛性が低下してしまう可能性がある。

　そこで、本開示は、ブラケットを製造する際の歩留まりを向上させることができるとともに、ブラケットの剛性を確保することが可能なワイパーモータ取付構造の提供を目的とする。

　上記課題を解決するため、本開示の第１の態様のワイパーモータ取付構造は、ダッシュパネルと板状の上部ブラケットと板状の下部ブラケットとワイパーモータユニットとを備える。ダッシュパネルは、車室の後方へ凹んでモータ収納空間を区画する凹部を有し、車室の前方を区画する。上部ブラケットは、ダッシュパネルの凹部の上側に固定される。下部ブラケットは、ダッシュパネルの凹部の下側に固定される。ワイパーモータユニットは、ダッシュパネルのモータ収納空間のうち上部ブラケットと下部ブラケットとの間に配置されるモータ本体部と、モータ本体部に固定的に設けられて上部ブラケットに固定される上側固定部と、モータ本体部に固定的に設けられて下部ブラケットに固定される下側固定部とを有する。ダッシュパネルの凹部は、モータ収納空間の上方を区画する凹部上板部と、凹部上板部の後端から下方へ延びてモータ収納空間の後方を区画する凹部後板部と、凹部後板部の下端から前方へ延びてモータ収納空間の下方を区画する凹部下板部とを有する。上部ブラケット及び下部ブラケットは、ダッシュパネルのうち凹部よりも上方の上部領域または凹部よりも下方の下部領域の前面に固定される第１固定板部と、ダッシュパネルの凹部上板部、凹部後板部、及び凹部下板部の少なくとも１つの板部に固定される第２固定板部と、ワイパーモータユニットの上側固定部または下側固定部が固定されるユニット固定板部とをそれぞれ有し、ワイパーモータユニットをダッシュパネル側から支持する。

　上記構成では、ワイパーモータユニットのモータ本体部がダッシュパネルのモータ収納空間のうち上部ブラケットと下部ブラケットとの間に配置された状態で、ワイパーモータユニットが上下２つのブラケット（上部ブラケット及び下部ブラケット）によってダッシュパネル側へ固定される。このため、１つのブラケットにワイパーモータユニットのモータ本体部を挿入可能な開口等（切り欠きを含む）を設ける場合とは異なり、ブラケットを製造する際の歩留まりを向上させることができる。

　また、上部ブラケット及び下部ブラケットは、ダッシュパネルの上部領域または下部領域の前面に固定される第１固定板部と、ダッシュパネルの凹部を構成する板部（凹部上板部、凹部後板部、及び凹部下板部の少なくとも１つの板部）に固定される第２固定板部とをそれぞれ有する。このように、上部ブラケット及び下部ブラケットは、ダッシュパネルに固定される少なくとも２つの固定板部（第１固定板部及び第２固定板部）をそれぞれ有するので、ダッシュパネルの前面に固定される１つのブラケット（上述した開口等を有するブラケット）を単に上下に分割して上下２つのブラケットがダッシュパネルの上部領域または下部領域に片持ちに支持される場合とは異なり、ブラケットの剛性を確保することができる。

　本開示の第２の態様は、上記第１の態様のワイパーモータ取付構造であって、上部ブラケット及び下部ブラケットの少なくとも一方のブラケットは、第１部材と、第１部材に固定される第２部材とを有する。第１部材は、第１固定板部と、第１固定板部から凹部のモータ収納空間側へ延びるユニット固定板部とを有する。第２部材は、第１部材のユニット固定板部に対して後方から重なった状態で固定される裏板部と、裏板部の上端または下端側から後方へ延びる第２固定板部とを有する。ワイパーモータユニットの上側固定部または下側固定部は、第１部材のユニット固定板部と第２部材の裏板部とが重なった領域で、第１部材のユニット固定板部及び第２部材の裏板部の双方に対して固定される。

　上記構成では、上部ブラケット及び下部ブラケットの少なくとも一方のブラケットが、第１部材と、第１部材に固定される第２部材とを有し、ワイパーモータユニットの上側固定部または下側固定部は、第１部材のユニット固定板部と第２部材の裏板部とが重なった領域で、第１部材のユニット固定板部及び第２部材の裏板部の双方に対して固定される。このように、ブラケットのうちワイパーモータユニットを固定する箇所は、２枚の板部（第１部材のユニット固定板部及び第２部材の裏板部）が重なっているので、ブラケットの剛性を確保することができる。

　本開示によれば、ブラケットを製造する際の歩留まりを向上させることができるとともに、ブラケットの剛性を確保することができる。

図１は、本開示の第１実施形態に係るワイパーモータ取付構造を適用する車両の要部の正面図である。 図２は、上下のブラケットの斜視図である。 図３は、図１のIII－III矢視断面図である。 図４は、本開示の第２実施形態に係るワイパーモータ取付構造の上下のブラケットの斜視図である。 図５は、図４のV－V矢視断面図である。

　以下、本開示の第１実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、ＦＲは車両の前方を、ＵＰは上方を、ＩＮは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、各図において、バツ印（×）は溶着箇所を示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。

　図１に示すように、本実施形態に係るワイパーモータ取付構造は、車両１の車室２の前方を区画するダッシュパネル３と、ダッシュパネル３の前面上部に固定される上下のブラケット４，５と、上下のブラケット４，５を介してダッシュパネル３に固定されるワイパーモータユニット６とを備える。

　図１～図３に示すように、ダッシュパネル３は、車室２の前方で車幅方向に沿って起立する。ダッシュパネル３の上部には、前方から後方へ凹む凹部７が形成される。凹部７は、ワイパーモータユニット６の後述するモータ（モータ本体部）８を配置するためのモータ収納空間９を内部に区画する。凹部７は、モータ収納空間９の上方を区画する凹部上板部１１と、モータ収納空間９の後方を区画する凹部後板部１２と、モータ収納空間９の下方を区画する凹部下板部１３と、モータ収納空間９の左右の両側を区画する左右の凹部側板部１４（図２及び図３には右側の凹部側板部１４が図示されている。）とを有する。

　凹部上板部１１は、上下方向と交叉する板状に形成され、ダッシュパネル３のうち凹部７よりも上方の上部領域１０の下端から曲折して後方へ延びる。凹部後板部１２は、前後方向と交叉する板状に形成され、凹部上板部１１の後端から曲折して下方へ延びる。

　凹部下板部１３は、上下方向と交叉する板状に形成され、凹部後板部１２の下端から曲折して前方へ延びて、ダッシュパネル３のうち凹部７よりも下方の下部領域１５の上端へ連続する。

　左右の凹部側板部１４は、車幅方向と交叉する板状に形成され、凹部上板部１１、凹部後板部１２、及び凹部下板部１３の左右の両端に一体的に設けられる。

　ワイパーモータユニット６は、ワイパーブレード（図示省略）を支持するワイパーアーム１６を駆動するモータ（モータ本体部）８と、モータ８に固定されるモータ支持板１７とを有する。

　モータ支持板１７は、前後方向と交叉する板状に形成され、モータ８の前面に固定される。モータ支持板１７は、モータ８よりも上方の領域に設けられる左右の上側ボルト固定部（上側固定部）１８（図１ではボルト２２に覆われている）と、モータ８よりも下方の領域に設けられる左右の下側ボルト固定部（下側固定部）１９（図１ではボルト２４に覆われている）とを有する。

　すなわち、左右の上側ボルト固定部１８及び左右の下側ボルト固定部１９は、モータ８に固定的に設けられる。左右の上側ボルト固定部１８は、左右に互いに離間して配置される。左右の下側ボルト固定部１９は、左右に互いに離間して配置される。左右の上側ボルト固定部１８及び左右の下側ボルト固定部１９には、ボルト挿通孔（図示省略）が形成される。

　上下のブラケット４，５のうち上側の上部ブラケット４は、ワイパーモータユニット６をダッシュパネル３の凹部７の上部へ取り付けるための部材であって、本実施形態では、１枚の板状部材を曲折して形成される。

　上部ブラケット４は、ダッシュパネル３に対して固定（本実施形態では、図２に示すバツ印（×）の部分をスポット溶接によって固定）され、ワイパーモータユニット６の左右の上側ボルト固定部１８をダッシュパネル３側から支持する。上部ブラケット４は、５つの板部４ａ～４ｅによって構成される。

　５つの板部４ａ～４ｅのうち第１板部（第１固定板部）４ａは、モータ収納空間９外に配置され、ダッシュパネル３の上部領域１０の前面に沿って車幅方向に延び、上部領域１０に固定される。第１板部４ａの下端縁は、ダッシュパネル３の上部領域１０の下端縁と略同じ高さ位置に配置される。

　５つの板部４ａ～４ｅのうち第２板部（第２固定板部）４ｂは、モータ収納空間９内に配置され、第１板部４ａの下端縁から曲折して凹部７の凹部上板部１１の下面に沿って後方へ延び、凹部上板部１１に固定される。第２板部４ｂの後端縁は、凹部後板部１２から前方へ離間した位置に配置される。

　５つの板部４ａ～４ｅのうち第３板部（ユニット固定板部）４ｃは、モータ収納空間９内に配置され、第２板部４ｂの後端縁から曲折して前下方へ（本実施形態では、凹部下板部１３とダッシュパネル３の下部領域１５の上端との角部へ向かって）延びる。第３板部４ｃの下端縁は、凹部下板部１３から上方へ大きく離間した位置に配置される。第３板部４ｃには、左右に互いに離間して配置される左右のボルト固定部２０が設けられ、左右のボルト固定部２０には、ボルト挿通孔２０ａがそれぞれ形成される。左右のボルト固定部２０の後面側には、ウェルドナット２３がボルト挿通孔２０ａと連通する状態で予め溶着されている。

　５つの板部４ａ～４ｅのうち第４板部４ｄは、モータ収納空間９内に配置され、第３板部４ｃの下端縁から曲折して後方の凹部後板部１２まで延びる。５つの板部４ａ～４ｅのうち第５板部（第２固定板部）４ｅは、モータ収納空間９内に配置され、第４板部４ｄの後端縁から曲折して凹部後板部１２の前面に沿って下方へ延び、凹部後板部１２に固定される。

　上下のブラケット４，５のうち下側の下部ブラケット５は、ワイパーモータユニット６をダッシュパネル３の凹部７の下部へ取り付けるための部材であって、本実施形態では、１枚の板状部材を曲折して形成される。

　下部ブラケット５は、上部ブラケット４から下方へ離間した位置に配置され、ダッシュパネル３に対して固定（本実施形態では、図２に示すバツ印（×）の部分をスポット溶接によって固定）され、ワイパーモータユニット６の左右の下側ボルト固定部１９をダッシュパネル３側から支持する。下部ブラケット５は、上部ブラケット４と略同じ車幅位置に配置される。下部ブラケット５は、４つの板部５ａ～５ｄによって構成される。

　４つの板部５ａ～５ｄのうち第１板部（第１固定板部）５ａは、モータ収納空間９外に配置され、ダッシュパネル３の下部領域１５の前面に沿って車幅方向に延び、下部領域１５に固定される。第１板部５ａの上端縁は、ダッシュパネル３の下部領域１５の上端縁と略同じ高さ位置に配置される。

　４つの板部５ａ～５ｄのうち第２板部（ユニット固定板部）５ｂは、モータ収納空間９内に配置され、第１板部５ａの上端縁から曲折して後上方へ延びる。本実施形態では、第２板部５ｂの前面は、上部ブラケット４の第３板部４ｃの前面と同一平面上に配置される。第２板部５ｂの上端縁は、上部ブラケット４の第３板部４ｃの下端縁から下方へ離間した位置に配置される。下部ブラケット５の第２板部５ｂの上端縁と上部ブラケット４の第３板部４ｃの下端縁とは、ワイパーモータユニット６のモータ８を前方から挿入可能な距離（モータ８の上下長さよりも長い距離）だけ上下に離間している。第２板部５ｂには、左右に互いに離間して配置される左右のボルト固定部２１が設けられ、左右のボルト固定部２１には、ボルト挿通孔２１ａがそれぞれ形成される。左右のボルト固定部２１の後面側には、ウェルドナット２５がボルト挿通孔２１ａと連通する状態で予め溶着されている。

　４つの板部５ａ～５ｄのうち第３板部５ｃは、モータ収納空間９内に配置され、第２板部５ｂの上端縁から曲折して下方の凹部下板部１３まで延びる。第３板部５ｃの下端縁は、凹部下板部１３のうち凹部後板部１２から前方へ離間した位置に当接する。４つの板部５ａ～５ｄのうち第４板部（第２固定板部）５ｄは、モータ収納空間９内に配置され、第３板部５ｃの下端縁から曲折して凹部下板部１３の上面に沿って後方へ延び、凹部下板部１３に固定される。

　ワイパーモータユニット６は、ダッシュパネル３に予め固定された上下のブラケット４，５に対して取り付けられる。ワイパーモータユニット６を上下のブラケット４，５に対して取り付ける場合には、上下のブラケット４，５間にワイパーモータユニット６のモータ８を前方から挿入し、ワイパーモータユニット６のモータ支持板１７を、上部ブラケット４の第３板部４ｃ及び下部ブラケット５の第２板部５ｂに前方から重ねる。

　ワイパーモータユニット６を上部ブラケット４に固定する際には、ワイパーモータユニット６のモータ支持板１７の左右の上側ボルト固定部１８のボルト挿通孔と、上部ブラケット４の第３板部４ｃの左右のボルト固定部２０のボルト挿通孔２０ａとを連通させる。そして、ボルト２２を、モータ支持板１７の左右の上側ボルト固定部１８のボルト挿通孔に対して前方から挿入し、上部ブラケット４の第３板部４ｃのボルト挿通孔２０ａを挿通させて、ウェルドナット２３に螺合する。

　また、ワイパーモータユニット６を下部ブラケット５に固定する際には、ワイパーモータユニット６のモータ支持板１７の左右の下側ボルト固定部１９のボルト挿通孔と、下部ブラケット５の第２板部５ｂの左右のボルト固定部２１のボルト挿通孔２１ａとを連通させる。そして、ボルト２４を、モータ支持板１７の左右の下側ボルト固定部１９のボルト挿通孔に対して前方から挿入し、下部ブラケット５の第２板部５ｂのボルト挿通孔２１ａを挿通させて、ウェルドナット２５に螺合する。

　上記構成では、ワイパーモータユニット６のモータ８がダッシュパネル３のモータ収納空間９のうち上部ブラケット４と下部ブラケット５との間に配置された状態で、ワイパーモータユニット６が上下２つのブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット５）によってダッシュパネル３側へ固定される。このため、例えば１つのブラケットにワイパーモータユニット６のモータ８を挿入可能な開口等（切り欠きを含む）を設ける場合とは異なり、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット５）を製造する際の歩留まりを向上させることができる。

　また、上部ブラケット４は、ダッシュパネル３の上部領域１０の前面に固定される第１板部４ａと、凹部７を構成する板部（本実施形態では凹部上板部１１及び凹部後板部１２）に固定される第２板部４ｂ及び第５板部４ｅとを有する。また、下部ブラケット５は、ダッシュパネル３の下部領域１５の前面に固定される第１板部５ａと、凹部７を構成する板部（本実施形態では凹部下板部１３）に固定される第４板部５ｄとを有する。

　このように、上部ブラケット４及び下部ブラケット５は、ダッシュパネル３に固定される少なくとも２つの固定板部をそれぞれ有するので、ダッシュパネル３の前面に固定される１つのブラケット（上述した開口等を有するブラケット）を単に上下に分割して上下２つのブラケットがダッシュパネル３の上部領域１０または下部領域１５に片持ちに支持される場合とは異なり、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット５）の剛性を確保することができる。

　従って、本実施形態によれば、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット５）を製造する際の歩留まりを向上させることができるとともに、ブラケット４，５の剛性を確保することができる。

　なお、本実施形態では、上部ブラケット４を、５つの板部４ａ～４ｅによって形成したが、上部ブラケット４の形状はこれに限定されるものではなく、少なくともダッシュパネル３の上部領域１０に固定される第１固定板部（本実実施形態では第１板部４ａ）と、ワイパーモータユニット６を固定するユニット固定板部（本実実施形態では第３板部４ｃ）と、凹部７を構成する板部に固定される第２固定板部（本実実施形態では第２板部４ｂ及び第５板部４ｅ）とを有していれば、他の形状であってもよい。

　また、本実施形態では、下部ブラケット５を４つの板部５ａ～５ｄによって形成したが、下部ブラケット５の形状はこれに限定されるものではなく、少なくともダッシュパネル３の下部領域１５に固定される第１固定板部（本実実施形態では第１板部５ａ）と、ワイパーモータユニット６を固定するユニット固定板部（本実実施形態では第２板部５ｂ）と、凹部７を構成する板部に固定される第２固定板部（本実実施形態では第４板部５ｄ）とを有していれば、他の形状であってもよい。

　次に、本開示の第２実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、下部ブラケット３０が２つの板状部材３１，３２によって構成されている点で第１実施形態と相違する。なお、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。

　本実施形態に係るワイパーモータ取付構造は、車両１の車室２の前方を区画するダッシュパネル３と、ダッシュパネル３の前面上部に固定される上下のブラケット４，３０と、上下のブラケット４，３０を介してダッシュパネル３に固定されるワイパーモータユニット６とを備える。

　図４及び図５に示すように、下部ブラケット３０は、ワイパーモータユニット６をダッシュパネル３の凹部７の下部へ取り付けるための部材であって、本実施形態では、前後２つの板状部材３１，３２によって構成される。下部ブラケット３０は、上部ブラケット４から下方へ離間した位置に配置され、ダッシュパネル３に対して固定され、ワイパーモータユニット６の左右の下側ボルト固定部１９をダッシュパネル３側から支持する。下部ブラケット３０は、上部ブラケット４と略同じ車幅位置に配置される。

　前後２つの板状部材３１，３２のうち前側の前側部材（第１部材）３１は、１つの板状部材を曲折して形成され、２つの板部３１ａ，３１ｂによって構成される。２つの板部３１ａ，３１ｂのうち第１板部（第１固定板部）３１ａは、モータ収納空間９外に配置され、ダッシュパネル３の下部領域１５の前面に沿って車幅方向に延び、下部領域１５に固定（本実施形態では、図４に示すバツ印（×）の部分をスポット溶接によって固定）される。第１板部３１ａの上端縁は、ダッシュパネル３の下部領域１５の上端縁と略同じ高さ位置に配置される。

　２つの板部３１ａ，３１ｂのうち第２板部（ユニット固定板部）３１ｂは、モータ収納空間９内に配置され、第１板部３１ａの上端縁から曲折して後上方へ延びる。本実施形態では、第２板部３１ｂの前面は、上部ブラケット４の第３板部４ｃの前面と同一平面上に配置される。第２板部３１ｂの上端縁は、上部ブラケット４の第３板部４ｃの下端縁から下方へ離間した位置に配置される。

　下部ブラケット３０の前側部材３１の第２板部３１ｂの上端縁と上部ブラケット４の第３板部４ｃの下端縁とは、ワイパーモータユニット６のモータ８を前方から挿入可能な距離（モータ８の上下長さよりも長い距離）だけ上下に離間している。第２板部３１ｂには、左右に互いに離間して配置される左右のボルト固定部３３が設けられ、左右のボルト固定部３３には、ボルト挿通孔３３ａがそれぞれ形成される。

　前後２つの板状部材３１，３２のうち後側の後側部材（第２部材）３２は、１つの板状部材を曲折して形成され、２つの板部３２ａ，３２ｂによって構成される。２つの板部３２ａ，３２ｂのうち第３板部（裏板部）３２ａは、モータ収納空間９内に配置され、前側部材３１の第２板部３１ｂの後面に沿った状態で前側部材３１の第２板部３１ｂに対して固定（本実施形態では、図４に示すバツ印（×）の部分をスポット溶接によって固定）される。

　後側部材３２の第３板部３２ａの上端縁は、前側部材３１の第２板部３１ｂの上端縁と略同じ高さ位置に配置される。すなわち、下部ブラケット３０の後側部材３２の第３板部３２ａの上端縁と上部ブラケット４の第３板部４ｃの下端縁とは、ワイパーモータユニット６のモータ８を前方から挿入可能な距離（モータ８の上下長さよりも長い距離）だけ上下に離間している。

　第３板部３２ａの下端縁は、ダッシュパネル３の下部領域１５の上端縁と凹部下板部１３の前端縁との角部の上方近傍に配置される。第３板部３２ａには、左右に互いに離間して配置される左右のボルト固定部３４が設けられ、左右のボルト固定部３４には、ボルト挿通孔（図示省略）がそれぞれ形成される。第３板部３２ａのボルト挿通孔は、前側部材３１の第２板部３１ｂのボルト挿通孔３３ａと連通する位置に形成される。第３板部３２ａのボルト固定部３４の後面側には、ウェルドナット２５が第３板部３２ａのボルト挿通孔と連通する状態で予め溶着されている。

　２つの板部３２ａ，３２ｂのうち第４板部（第２固定板部）３２ｂは、モータ収納空間９内に配置され、第３板部３２ａの下端縁から曲折して凹部下板部１３の上面に沿って後方へ延び、凹部下板部１３に固定（本実施形態では、スポット溶接によって固定）される。

　ワイパーモータユニット６は、ダッシュパネル３に予め固定された上下のブラケット４，３０に対して取り付けられる。ワイパーモータユニット６を上下のブラケット４，３０に対して取り付ける場合には、上下のブラケット４，３０間にワイパーモータユニット６のモータ８を前方から挿入し、ワイパーモータユニット６のモータ支持板１７を、上部ブラケット４の第３板部４ｃ及び下部ブラケット３０の前側部材３１の第２板部３１ｂに前方から重ねる。ワイパーモータユニット６は、上部ブラケット４に対して、上述した第１実施形態と同様に固定される。

　ワイパーモータユニット６を下部ブラケット３０に固定する際には、ワイパーモータユニット６のモータ支持板１７の左右の下側ボルト固定部１９のボルト挿通孔と、下部ブラケット３０の前側部材３１の第２板部３１ｂの左右のボルト固定部３３のボルト挿通孔３３ａとを連通させる。そして、ボルト２４を、モータ支持板１７の左右の下側ボルト固定部１９のボルト挿通孔に対して前方から挿入し、下部ブラケット３０の前側部材３１の第２板部３１ｂのボルト挿通孔３３ａ及び後側部材３２の第３板部３２ａのボルト挿通孔を挿通させて、ウェルドナット２５に螺合する。

　上記構成では、ワイパーモータユニット６のモータ８がダッシュパネル３のモータ収納空間９のうち上部ブラケット４と下部ブラケット３０との間に配置された状態で、ワイパーモータユニット６が上下２つのブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット３０）によってダッシュパネル３側へ固定される。また、下部ブラケット３０は、前後２つの板状部材３１，３２によって構成される。前側部材３１及び後側部材３２の双方は、１つの板状部材を曲折して形成される。このため、例えば１つのブラケットにワイパーモータユニット６のモータ８を挿入可能な開口等（切り欠きを含む）を設ける場合とは異なり、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット３０）を製造する際の歩留まりを向上させることができる。

　また、下部ブラケット３０は、ダッシュパネル３の下部領域１５の前面に固定される第１板部３１ａと、凹部７を構成する板部（本実施形態では凹部下板部１３）に固定される第４板部３２ｂとを有する。すなわち、上部ブラケット４及び下部ブラケット３０は、ダッシュパネル３に固定される少なくとも２つの固定板部をそれぞれ有するので、ダッシュパネル３の前面に固定される１つのブラケット（上述した開口等を有するブラケット）を単に上下に分割して上下２つのブラケットがダッシュパネル３の上部領域１０または下部領域１５に片持ちに支持される場合とは異なり、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット３０）の剛性を確保することができる。

　また、下部ブラケット３０が、前後２つの板状部材３１，３２によって構成され、ワイパーモータユニット６の下側ボルト固定部１９が、前後に重なる前側部材３１の第２板部３１ｂ及び後側部材３２の第３板部３２ａの双方に対して固定される。このように、下部ブラケット３０のうちワイパーモータユニット６を固定する箇所は、２枚の板部（前側部材３１の第２板部３１ｂ及び後側部材３２の第３板部３２ａ）が重なっているので、ブラケット（下部ブラケット３０）の剛性を確保することができる。

　従って、本実施形態によれば、ブラケット（上部ブラケット４及び下部ブラケット３０）を製造する際の歩留まりを向上させることができるとともに、ブラケット４，３０の剛性を確保することができる。

　なお、本実施形態では、後側部材３２を、第３板部（ユニット固定板部）３２ａと、第３板部３２ａの下端縁から曲折して後方へ延びる第４板部（第２固定板部）３２ｂとによって形成したが、後側部材３２の形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも前側部材３１の第２板部３１ｂの後面に重なってワイパーモータユニット６を支持する裏板部と、凹部７を構成する板部に固定される第２固定板部とを有していれば、他の形状であってもよい。

　また、本実施形態では、下部ブラケット３０を、第１板部（第１固定板部）３１ａ及び第２板部（ユニット固定板部）３１ｂを有する前側部材（第１部材）３１と、第３板部（裏板部）３２ａ及び第４板部（第２固定板部）３２ｂを有する後側部材（第２部材）３２とによって構成したが、これに限定されるものではない。例えば、上部ブラケット４を、第１固定板部及びユニット固定板部を有する第１部材と、裏板部及び第２固定板部を有する第２部材とによって構成してもよいし、或いは、上下のブラケット４，３０の双方を、第１固定板部及びユニット固定板部を有する第１部材と、裏板部及び第２固定板部を有する第２部材とによって構成してもよい。

　以上、本開示について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本開示を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本開示の範疇に含まれることは勿論である。

　本出願は、2021年3月19日付で出願された日本国特許出願（特願2021-046676）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本開示に係るワイパーモータ取付構造は、様々な車両に広く適用することができる。

１：車両
２：車室
３：ダッシュパネル
４：上部ブラケット
４ａ：上部ブラケットの第１板部（第１固定板部）
４ｂ：上部ブラケットの第２板部（第２固定板部）
４ｃ：上部ブラケットの第３板部（ユニット固定板部）
４ｅ：上部ブラケットの第５板部（第２固定板部）
５，３０：下部ブラケット
５ａ：下部ブラケットの第１板部（第１固定板部）
５ｂ：下部ブラケットの第２板部（ユニット固定板部）
５ｄ：下部ブラケットの第４板部（第２固定板部）
６：ワイパーモータユニット
７：凹部
８：モータ（モータ本体部）
９：モータ収納空間
１０：ダッシュパネルの上部領域
１１：凹部上板部
１２：凹部後板部
１３：凹部下板部
１５：ダッシュパネルの下部領域
１８：ワイパーモータユニットの上側ボルト固定部（上側固定部）
１９：ワイパーモータユニットの下側ボルト固定部（下側固定部）
３１：前側部材（第１部材）
３１ａ：前側部材の第１板部（第１固定板部）
３１ｂ：前側部材の第２板部（ユニット固定板部）
３２：後側部材（第２部材）
３２ａ：後側部材の第３板部（裏板部）
３２ｂ：後側部材の第４板部（第２固定板部）

Claims (2)

1. 　車室の後方へ凹んでモータ収納空間を区画する凹部を有し、車室の前方を区画するダッシュパネルと、
   　前記ダッシュパネルの前記凹部の上側に固定される板状の上部ブラケットと、
   　前記ダッシュパネルの前記凹部の下側に固定される板状の下部ブラケットと、
   　前記ダッシュパネルの前記モータ収納空間のうち前記上部ブラケットと前記下部ブラケットとの間に配置されるモータ本体部と、前記モータ本体部に固定的に設けられて前記上部ブラケットに固定される上側固定部と、前記モータ本体部に固定的に設けられて前記下部ブラケットに固定される下側固定部とを有するワイパーモータユニットと、を備え、
   　前記ダッシュパネルの前記凹部は、前記モータ収納空間の上方を区画する凹部上板部と、前記凹部上板部の後端から下方へ延びて前記モータ収納空間の後方を区画する凹部後板部と、前記凹部後板部の下端から前方へ延びて前記モータ収納空間の下方を区画する凹部下板部とを有し、
   　前記上部ブラケット及び前記下部ブラケットは、前記ダッシュパネルのうち前記凹部よりも上方の上部領域または前記凹部よりも下方の下部領域の前面に固定される第１固定板部と、前記ダッシュパネルの前記凹部上板部、前記凹部後板部、及び前記凹部下板部の少なくとも１つの板部に固定される第２固定板部と、前記ワイパーモータユニットの前記上側固定部または前記下側固定部が固定されるユニット固定板部とをそれぞれ有し、前記ワイパーモータユニットを前記ダッシュパネル側から支持する
   　ことを特徴とするワイパーモータ取付構造。
2. 　請求項１に記載のワイパーモータ取付構造であって、
   　前記上部ブラケット及び前記下部ブラケットの少なくとも一方のブラケットは、第１部材と、前記第１部材に固定される第２部材とを有し、
   　前記第１部材は、前記第１固定板部と、前記第１固定板部から前記凹部の前記モータ収納空間側へ延びる前記ユニット固定板部とを有し、
   　前記第２部材は、前記第１部材の前記ユニット固定板部に対して後方から重なった状態で固定される裏板部と、前記裏板部の上端または下端側から後方へ延びる前記第２固定板部とを有し、
   　前記ワイパーモータユニットの前記上側固定部または前記下側固定部は、前記第１部材の前記ユニット固定板部と前記第２部材の前記裏板部とが重なった領域で、前記第１部材の前記ユニット固定板部及び前記第２部材の前記裏板部の双方に対して固定される
   　ことを特徴とするワイパーモータ取付構造。

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