WO2019202698A1

WO2019202698A1 - 着信通知装置およびそれを備えた車両

Info

Publication number: WO2019202698A1
Application number: PCT/JP2018/016109
Authority: WO
Inventors: 鈴木　琢也; 木下　拓也; 中尾　浩
Original assignee: ヤマハ発動機株式会社
Priority date: 2018-04-19
Filing date: 2018-04-19
Publication date: 2019-10-24

Abstract

携帯端末装置への様々な着信を、近距離無線通信を利用して使用者に視覚的に通知できる着信通知装置が提供される。着信通知装置は、通信機能を備えた携帯端末装置による着信を通知する。携帯端末装置は、オーディオプロファイルにより着信音データを送信する近距離無線通信装置を備えている。着信通知装置は、オーディオプロファイルによって送信される着信音データを受信する近距離無線通信装置と、使用者に着信を視覚的に通知するための表示ユニットと、近距離無線通信装置がオーディオプロファイルによる着信音データを受信すると、表示ユニットを制御して、着信表示動作を行わせる通知コントローラと、を含む。

Description

着信通知装置およびそれを備えた車両

　この発明は、携帯端末装置による着信を視覚的に通知するための着信通知装置およびそれを備えた車両に関する。

　特許文献１は、ブルートゥース（登録商標）(Bluetooth（登録商標）)対応の携帯電話と通信するブルートゥースヘッドセットを開示している。ブルートゥースヘッドセットは、二輪車のライダーのヘルメットに装着されて用いられる。このヘッドセットは、携帯電話とブルートゥース通信するためのブルートゥースモジュールと、二輪車のメータパネル部に設けられるインジケータユニットに対して信号を無線送信するためのＦＭ送信モジュールとを備えている。インジケータユニットは、ＦＭ受信モジュールと、発光ダイオードとを備えている。

　携帯電話に呼が着信すると、携帯電話のブルートゥースモジュールは、ヘッドセットに呼び出し信号を送信する。この呼び出し信号は、ヘッドセットのブルートゥースモジュールによって受信される。すると、ヘッドセットは、ＦＭ送信モジュールを起動し、インジケータ点灯信号を無線送信させる。インジケータユニットのＦＭ受信モジュールがそのインジケータ点灯信号を受信し、ロジック回路の働きによって、発光ダイオードが点灯される。こうして、ライダーに対して、携帯電話への着信が視覚的に通知される。

特許第４７２８５３７号公報

　しかしながら、特許文献１の先行技術では、ヘッドセットを経由してインジケータユニットを点灯させており、システム構造が複雑である。

　そこで、この発明の一実施形態は、システム構成が簡素な着信通知装置を提供する。

　システム構成が簡素な着信通知装置を提供するために、インジケータユニットと携帯電話とで直接的に通信するシステム構成が考えられる。

　ところで、スマートフォンに代表される近年の携帯端末装置は、公衆電話回線網を経由する伝統的な電話機能だけでなく、インターネットに代表されるネットワークを介する通話、テキスト通信、メッセージ通信などの様々なネットワーク通信機能を提供する。このようなネットワーク通信機能は、各目的に応じたアプリケーションによって実現されている。

　伝統的な電話に対する着信の通知やハンズフリー通話の機能を実現するために、スマートフォンには、ハンズフリー通話プロファイルを実装したブルートゥースモジュールが備えられる。特許文献１の先行技術では、ハンズフリー通話プロファイル（コードレス電話プロファイル）を携帯電話およびヘッドセットのブルートゥースモジュールに備えることによって、携帯電話とヘッドセットとの間の通信を実現し、携帯電話に対する呼(calling)の着信をヘッドセットに対してブルートゥース通信によって通知している。

　ところが、アプリケーションによって実現される様々なネットワーク通信機能は、一般に、伝統的電話機能のためのプロファイル、たとえばハンズフリー通話プロファイルには対応していない。そのため、それらのネットワーク通信機能に対する着信は、特許文献１の技術では、使用者に通知することができない。

　より具体的には、ＬＩＮＥ（登録商標）、Ｓｋｙｐｅ（登録商標）などのネットワーク通信アプリケーションによる着信通知は、それらのアプリケーションが組み込まれた携帯端末装置が備える画面への着信表示および同装置が備えるスピーカへの着信音の出力により行われる。しかし、これらのネットワーク通信アプリケーションは、ハンズフリー通話プロファイルに対応していないから、特許文献１の着信通知技術では、使用者に対して着信を通知できない。

　上記の課題に対する一つの解決策は、ネットワーク通信アプリケーションの着信に応答してブルートゥース通信により着信通知を送信する専用アプリケーションを携帯端末装置に備えることである。たとえば、専用アプリケーションは、ハンズフリー通話プロファイルを利用してもよいし、データ通信プロファイルを利用してもよい。それにより、ネットワーク通信アプリケーションの着信を、車両のインジケータユニットによる表示によって使用者に通知できる。

　しかし、多くの携帯端末装置は、オペレーティングシステム（いわゆるＯＳ）が搭載され、オペレーティングシステム上で様々なアプリケーションが作動する仕組みになっている。オペレーティングシステムは、定期的にバージョンアップされ、そのバージョンアップされたオペレーティングシステムに適合するように、アプリケーションのバージョンアップも必要となる。

　したがって、上記の解決策では、使用者は、専用アプリケーションをダウンロードして携帯端末装置に組み込む必要があるうえに、オペレーティングシステムのバージョンアップに応じて専用アプリケーションのバージョンアップを行う必要がある。そして、ブルートゥース通信による着信表示機能を提供しようとする提供者は、専用アプリケーションを開発し、かつオペレーティングシステムのバージョンアップに応じてバージョンアップ版を作成する必要がある。むろん、事後的に見つかるバグに対応するためのバージョンアップも必要である。

　ネットワーク通信アプリケーションが着信に応答して着信通知データを送出する機能を備えているならば、その着信通知データをデータ通信プロファイルで外部のブルートゥース通信装置（特許文献１の場合にはヘッドセット）に送信することができる。この場合、その着信通知データを解釈してインジケータユニットを制御する表示ソフトウェアをブルートゥース通信装置（特許文献１の場合にはヘッドセット）に備えることにより、ネットワーク通信アプリケーションへの着信をインジケータユニットに表示できる。

　しかし、オペレーティングシステムのバージョンアップに伴ってネットワーク通信アプリケーションがバージョンアップされると、旧バージョンと同形式の着信通知データが送出されることを保証できない。したがって、ネットワーク通信アプリケーションのバージョンアップに伴って、ブルートゥース通信装置（特許文献１の場合にはヘッドセット）側の表示ソフトウェアをバージョンアップして、新バージョンのアプリケーションで送出される着信通知データの形式に対応しなければならなくなる。

　もちろん、このような解決策は、着信通知データをデータ通信プロファイル等で送出する機能を備えていないネットワーク通信アプリケーションには、全く適用できない。

　そこで、この発明の一実施形態は、使用者の手間および提供者の労力を軽減しながら、携帯端末装置への様々な着信を、近距離無線通信を利用して使用者に視覚的に通知できる着信通知装置を提供する。

この発明の一実施形態は、通信機能を備えた携帯端末装置による着信を通知するための着信通知装置を提供する。前記携帯端末装置は、オーディオプロファイルを実装し、前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する近距離無線通信装置を備えている。前記着信通知装置は、前記オーディオプロファイルを実装し、前記オーディオプロファイルによって送信される着信音データを受信する近距離無線通信装置と、使用者に着信を視覚的に通知するための表示ユニットと、前記近距離無線通信装置が前記オーディオプロファイルによる着信音データを受信すると、前記表示ユニットを制御して、着信表示動作を行わせる通知コントローラと、を含む。

　この発明によれば、使用者の手間および提供者の労力を軽減しながら、携帯端末装置への様々な着信を、近距離無線通信を利用して使用者に視覚的に通知できる着信通知装置を提供できる。

図１は、この発明の一実施形態に係る着信通知装置が適用されるシステムの構成を説明するための概念図である。図２は、着信通知装置およびスマートフォンの主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。図３Ａおよび図３Ｂは、スマートフォンが公衆電話回線網からの電話を着信したときの動作を説明するためのフローチャートであり、図３Ａはスマートフォンの動作を表し、図３Ｂは着信通知装置の動作を表す。図４Ａおよび図４Ｂは、スマートフォンがネットワークからの通信を着信したときの動作を説明するためのフローチャートであり、図４Ａはスマートフォンの動作を表し、図４Ｂは着信通知装置の動作を表す。図５は、この発明の他の実施形態のシステム構成を説明するためのブロック図である。図６は、この発明のさらに他の実施形態のシステム構成を説明するためのブロック図である。

　通知対象の着信は、電話の着信であってもよいし、メッセージその他のデータの着信であってもよい。

　上記の構成では、携帯端末装置および着信通知装置にそれぞれ備えられる近距離無線通信装置は、いずれもオーディオプロファイルを実装している。したがって、携帯端末装置と着信通知装置とは、オーディオプロファイルを利用して通信することができる。携帯端末装置が着信すると、当該携帯端末装置に備えられた近距離無線通信装置は、オーディオプロファイルにより着信音データを送信する。この着信音データは、着信通知装置の近距離無線通信装置によって受信される。着信音データを受信すると、通知コントローラが表示ユニットを制御して着信表示動作を行わせる。それにより、表示ユニットが、使用者に対して着信を視覚的に通知する。

　オーディオプロファイルを実装した近距離無線通信装置を備える携帯端末装置は、音データを、オーディオプロファイルを利用した近距離無線通信によって送出できるように構成されている。したがって、携帯端末装置が着信に際して音を発生するように構成されている場合には、その発生音の音データを着信音データとして、オーディオプロファイルによる近距離無線通信によって送信してもよい。

　携帯端末装置は、たとえば、オペレーティングシステムと、そのオペレーティングシステム上で動作する複数のアプリケーションとを備えており、複数のアプリケーションによって様々な機能が実現される。携帯端末装置の通信機能もまたアプリケーションによって実現される。使用者に対して音により着信を通知するアプリケーションは、着信に際して、着信音発生指令を発行する。携帯端末装置は、着信音発生指令に応答して、音出力装置、具体的にはスピーカを作動させて着信音を発生させる。一方、オーディオプロファイルを利用した近距離無線通信によって他の発音装置（たとえば無線スピーカ）との接続が確立されている場合には、携帯端末装置は、着信音発生指令に応答して、近距離無線通信装置から着信音データを送出する。この着信音データを受信した発音装置は、当該着信音データに対応する着信音を発音する。

　この発明の一実施形態では、このような仕組みを利用することができる。すなわち、携帯端末装置は、オーディオプロファイルを利用した近距離無線通信によって着信通知装置との接続が確立されている場合に、アプリケーションへの通信の着信に応答して、着信音データを送信する。その着信音データが着信通知装置で受信され、着信音が発音される代わりに、表示ユニットの着信表示動作が行われる。もちろん、着信音の発音が併せて行われてもよい。

　オペレーティングシステムがバージョンアップされると、バージョンアップ後のオペレーティングシステムとの整合を保つために、アプリケーションのバージョンアップも必要になる。このようなバージョンアップは、頻繁に行われる。しかし、オペレーティングシステムおよびアプリケーションのバージョンアップがされたとしても、プロファイルを含めた近距離無線通信規格が変更されることは稀である。

　したがって、オーディオプロファイルを利用して着信音データを受信し、それに応答して着信表示動作を行う仕組みは、オペレーティングシステムやアプリケーションのバージョンアップの影響を実質的に受けることがない。

　また、専用のアプリケーションを携帯端末装置に備える必要もないので、使用者は、専用アプリケーションをダウンロードしたり、バージョンアップしたりする必要がない。むろん、着信通知装置の提供者は、専用アプリケーションの作成やそのバージョンアップの労力を必要としない。

　携帯端末装置の近距離無線通信装置と、着信通知装置の近距離無線通信装置とは、予め対応付けのための登録（いわゆるペアリング）が互いに行われ、着信通知のための近距離無線通信が、登録済みの相手方装置との間でのみ有効とされることが好ましい。それにより、着信通知装置は、未登録の携帯端末装置からの着信音データに応答することがないので、不所望な着信通知を回避できる。

　近距離無線通信の例は、無線ローカルエリアネットワーク通信（いわゆるＷｉ－Ｆｉ）、近距離無線(WPAN: Wireless Personal Area Networks)、近距離通信(NFC: Near Field Communication)を含む。

　たとえば、近距離無線のカテゴリに属するブルートゥース（登録商標）(Bluetooth（登録商標）)を用いる場合に、使用可能なオーディオプロファイルは、Ａ２ＤＰ(Advanced Audio Distribution Profile)、ＨＳＰ(Headset Profile)を含む。プロファイルとは、機器間通信のための通信手順（プロトコル）であり、通信の用途に応じて標準化された通信手順をいう。つまり、オーディオプロファイルとは、オーディオデータの送受信のための標準化された通信手順である。

　この発明の一実施形態では、前記携帯端末装置が、公衆電話回線網を介する伝統的な電話のための伝統的電話機能ユニットと、ネットワークを介する通信のためのネットワーク通信機能ユニットと、を備えている。そして、前記ネットワーク通信機能ユニットが前記ネットワークを介する通信を着信すると、前記携帯端末装置の近距離無線通信装置が、前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する。

　この構成では、携帯端末装置は、伝統的電話機能ユニットによって、公衆電話回線網を介する電話を着信でき、かつネットワーク通信機能ユニットによってネットワークを介する通信（たとえば、電話、テキストメッセージ等）を着信できる。そして、ネットワーク通信機能ユニットが通信を着信すると、近距離無線通信装置が、オーディオプロファイルによって着信音データを送信する。この着信音データが、着信通知装置の近距離無線通信装置によって受信される。それにより、表示ユニットによって、着信通知表示が行われる。こうして、近距離無線通信を用いて、ネットワークを介する通信の着信の視覚的な通知を提供できる。

　この発明の一実施形態では、前記携帯端末装置の近距離無線通信装置が、さらにハンズフリー通話プロファイルを実装している。そして、前記伝統的電話機能ユニットが前記公衆電話回線網からの電話を着信すると、近距離無線通信装置が、前記ハンズフリー通話プロファイルにより電話着信データを送信する。また、前記着信通知装置の近距離無線通信装置が、さらに前記ハンズフリー通話プロファイルを実装しており、前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信する。前記通知コントローラは、前記近距離無線通信装置が前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信すると、前記表示ユニットを制御して、着信表示動作を行わせる。

　この構成では、携帯端末装置および着信通知装置にそれぞれ備えられた近距離無線通信装置は、ハンズフリー通話プロファイルを実装している。携帯端末装置の伝統的電話機能ユニットが電話を着信すると、近距離無線通信装置は、ハンズフリー通話プロファイルを利用して、その電話着信データを送信する。すなわち、公衆電話回線網からの電話の着信を通知する。着信通知装置の近距離無線通信装置は、ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信する。それに応答して、通知コントローラによる制御によって、表示ユニットが着信表示動作を行う。こうして、公衆電話回線網からの電話の着信、およびネットワークを介する通信の着信が、いずれも、近距離無線通信を利用して、使用者に対して視覚的に通知される。

　ブルートゥース通信の場合のハンズフリー通話プロファイルの一例は、ＨＦＰ(Hands-Free Profile)である。

　この発明の一実施形態では、前記通知コントローラは、オーディオプロファイルによる着信音データを受信したときと、前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信したときとで、前記表示ユニットが異なる着信表示動作をするように、前記表示ユニットを制御する。

　この構成では、オーディオプロファイルによる着信音データの受信に対する着信表示動作と、ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データの受信に対する着信表示動作とが異なる。そのため、公衆電話回線網からの電話の着信と、ネットワークを介する通信の着信とを区別して表示することができる。したがって、使用者に対して、着信の種類に関する情報を提供できる。

　表示ユニットは、たとえば、発光デバイスを用いて構成できる。この場合、異なる着信表示動作とは、発光デバイスの異なる発光状態によって実現できる。より具体的には、連続発光と間欠発光（点滅）とによって、着信の種別を表現できる。また、間欠発光の発光間隔の長短によって着信の種別を表現できる。さらに、発光デバイスの複数の発光色によって、着信種別を表現してもよい。

　表示ユニットは、さらに、メッセージまたは図形（たとえばアイコン）の表示が可能な二次元表示デバイスで構成してもよい。この場合、複数種類のメッセージまたは複数種類の図形によって着信種別を表現できる。

　この発明の一実施形態では、使用者が車両に乗車しているときに前記表示ユニットによる着信表示動作が行われる。この場合、表示ユニットは、車両に乗車している使用者が視認可能な位置に配置されればよい。この構成により、車両に乗車している使用者に対して、近距離無線通信を利用して、視覚的な着信通知を行える。

　使用者が車両に乗車していること（さらには車両が走行していること）を条件に、着信表示動作が行われるようにしてもよい。また、使用者が車両に乗車しているか否かに関わりなく（または車両が走行しているか否かに関わりなく）、着信表示動作が行われてもよい。

　この発明の一実施形態では、前記着信通知装置が、車両に備えられている。この構成では、着信通知装置が車両に備えられているので、車両に乗車している使用者に対して、近距離無線通信を利用して、視覚的な着信通知を行える。

　着信通知装置は、車両に備え付けの車載装置であってもよい。より具体的には、計器ユニット等のような車載装置に組み込まれていてもよい。また、着信通知装置は、車両に対して着脱自在に構成されていてもよい。

　この発明の一実施形態では、前記車両が、鞍乗型車両である。この構成では、鞍乗型車両に乗車している使用者に対して、近距離無線通信を利用して、視覚的な着信通知を行える。鞍乗型車両に乗車している使用者（ライダー）は、自車両が発生する音および周囲の様々な雑音が生じる高雑音環境のなかに置かれる。そのため、とくに車両走行中には、音による着信通知は有効ではない。このような場合に、視覚的な着信通知がとくに有効であり、使用者は、大切な着信に対して適時に対応できる。

　この発明の一実施形態では、前記着信通知装置が、使用者により装着される使用者装着型装置である。この構成では、着信通知装置が使用者に装着されるので、使用者は、いつでも近距離無線通信を利用した視覚的な着信通知を受けることができる。具体的には、使用者は、車両に乗車しているときも、車両に乗車していないときも、近距離無線通信を利用した着信通知を利用できる。しかも、車両に着信通知装置を備える必要がないので、車両に対する改変を要しない。

　前記使用者装着型装置は、使用者の手首に装着可能なリストバンドの形態を有していてもよい。また、前記使用者装着型装置は、使用者が装着するヘルメットに装着可能な形態を有していてもよい。

　この発明の一実施形態では、前記携帯端末装置が、スマートフォンであり、前記スマートフォンに備えられたアプリケーションに対する通信を着信すると、前記近距離無線通信装置が前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する。

　この構成では、スマートフォンのアプリケーションが通信を着信すると、オーディオプロファイルによって着信音データが送信される。したがって、アプリケーションに対する通信の着信を、近距離無線通信を利用して、着信通知装置によって視覚的に通知することができる。

　通信機能を実現するアプリケーションによる着信通知は、スマートフォンに備えられるスピーカから着信音を発音させて行う場合が多い。近距離無線通信によって別の発音装置によって着信音を発音させる場合には、着信音データは、オーディオプロファイルを利用して送信される。このような仕組みを利用し、オーディオプロファイルを利用して送信される着信音データに応答した着信表示動作を行うことで、オーディオプロファイルを利用しながら、視覚的な着信通知を行うことができる。

　この発明の一実施形態では、前記通知コントローラが、前記着信音データの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記特徴抽出部によって抽出された特徴に基づいて前記着信表示動作のために前記表示ユニットを制御する表示制御部とを含む。

　この構成では、着信音データの特徴が抽出され、その抽出された特徴に基づいて表示ユニットが制御される。それにより、着信音データに含まれる特徴により、着信表示動作を特徴付けることができる。

　たとえば、特定の特徴が抽出されたときにだけ、表示ユニットによる着信表示動作を行わせてもよい。それにより、たとえば、オーディオプロファイルを利用して通常の音楽データが送信されても、着信表示が行われないようにすることができる。したがって、着信を確実に通知できる。

　また、抽出される特徴に応じて、異なる態様の着信表示動作を行わせてもよい。これにより、たとえば、複数の通信アプリケーションに対する着信を区別して表示することができる。

　この発明の一実施形態では、前記着信通知装置は、車両から独立して持ち運び自由である。着信通知装置は、コンパクトに構成することができるので、携帯型の装置構成としても、邪魔になりにくい。たとえば、着信通知装置は、リストバンド型の形態としたり、車体に対して脱着できる形態としたりすることができる。脱着型の装置形態であれば、車体に後付けすることも可能である。

　この発明の一実施形態では、前記着信通知装置は、バイブレータを含まない。また、この発明の一実施形態では、前記着信通知装置は、スピーカを含まない。さらに、この発明の一実施形態では、前記着信通知装置は、充電コネクタがない。

　これらの構成により、着信通知装置をコンパクトにすることができる。それにより、たとえば鞍乗型車両で使用される場合のように、加速度が加わりやすい使用環境でも壊れにくい構成とすることができる。また、構成が簡素になるので、鞍乗型車両での使用環境などにおいて必要となる防水性を確保しやすくなる。

　なお、上記の特徴は、任意の組合せで組み合わせることができる。

　この発明の一実施形態は、車体と、車体に搭載された、前述のような特徴を有する着信通知装置と、を含む、車両を提供する。これにより、携帯端末装置の着信を視覚的に通知する機能を有する車両を提供できる。

　以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。

　図１は、この発明の一実施形態に係る着信通知装置が適用されるシステムの構成を説明するための概念図である。

　鞍乗型車両の一例である自動二輪車１は、車体２と、車体２に回転可能に取り付けられた前輪３および後輪４と、車体２に固定されたシート５とを含む。車体２の前方部には、前輪３を左右に操舵するためのステアリングハンドル６が備えられている。ステアリングハンドル６の中央部には、計器ユニット７が取り付けられている。計器ユニット７は、シート５に着座した使用者８から視認可能に配置された車載装置である。

　計器ユニット７には、この発明の一実施形態に係る着信通知装置４０が組み込まれている。着信通知装置４０は、この実施形態では、使用者８が携帯するスマートフォン１０との間でブルートゥース通信が可能であるように構成されている。すなわち、スマートフォン１０および着信通知装置４０は、いずれも、ブルートゥース通信機能を備えている。スマートフォン１０は、携帯端末装置の一例である。ブルートゥース（登録商標）は、近距離無線通信規格の一例である。

　図２は、着信通知装置４０およびスマートフォン１０の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。着信通知装置４０は、近距離無線通信装置の一例であるブルートゥースモジュール（ＢＴモジュール）４１と、通知コントローラ４２と、表示ユニット４４とを含む。ブルートゥースモジュール４１および通知コントローラ４２は、一つの半導体チップとして構成されていてもよい。

　通知コントローラ４２は、プロセッサ４２ａおよびメモリ４２ｂを含み、プロセッサ４２ａがメモリ４２ｂに格納されたプログラムを実行することにより複数の機能を実現する。その一つの機能は、表示ユニット４４を制御する表示制御部４３としての機能である。表示ユニット４４は、計器ユニット７に組み込まれた発光ダイオード等のランプであってもよい。また、表示ユニット４４は、メッセージや画像を表示する二次元表示ユニットであってもよい。

　計器ユニット７は、車速を表示する車速メータ９等の各種表示器を含み、さらに、この実施形態では、着信通知装置４０が組み込まれている。

　スマートフォン１０は、表示部１１と、入力部１２と、通信部１３と、音入力部１４と、音出力部１５と、コントローラ１６とを含む。コントローラ１６は、プロセッサ１７と、メモリ１８とを含み、メモリ１８に格納されたプログラムを実行することにより複数の機能を実現する。それらの機能は、表示部１１、入力部１２、通信部１３、音入力部１４、音出力部１５等の制御を含む。メモリ１８には、各種データも格納される。表示部１１は、液晶表示装置等の二次元表示装置であってもよい。入力部１２は、表示部１１の表示面上に配置されたタッチパネルや表示部１１以外の部分に配置された操作キーを含んでいてもよい。通信部１３は、公衆電話回線網１９を介する伝統的な電話のための電話通信ユニット２１と、ブルートゥースモジュール（ＢＴモジュール）２２と、インターネット等のネットワーク２０との接続のためのネットワーク通信ユニット２３とを含む。音入力部１４は、典型的にはマイクロフォンを含む。音出力部１５は、スピーカ等の発音装置を含む。

　メモリ１８に格納されているプログラムは、オペレーティングシステム２５と、オペレーティングシステム２５上で動作するアプリケーションプログラム２６（以下「アプリケーション２６」という。）とを含む。プロセッサ１７は、これらのプログラムを実行することによって、各部の制御および各種機能を実現する。アプリケーション２６は、この実施形態では、伝統的な電話機能を実現するための電話アプリケーション２７、およびネットワーク２０を介する通信を実現するネットワーク通信アプリケーション２８を含む。ネットワーク通信アプリケーション２８の例は、ＬＩＮＥ（登録商標）、Ｓｋｙｐｅ（登録商標）などである。

　プロセッサ１７が電話アプリケーション２７を実行することにより、公衆電話回線網１９を介する伝統的な電話機能が実現される。すなわち、電話アプリケーション２７および電話通信ユニット２１は、伝統的電話機能ユニットを構成している。また、プロセッサ１７がネットワーク通信アプリケーション２８を実行することにより、ネットワーク通信機能が実現される。すなわち、ネットワーク通信アプリケーション２８およびネットワーク通信ユニット２３は、ネットワーク通信機能ユニットを構成している。ネットワーク通信機能は、ネットワーク２０を利用した電話機能（送話機能および受話機能を含む）、およびネットワーク２０を利用したメッセージまたはデータの送受信機能のうちの少なくとも一つの機能を含む。

　着信通知装置４０に備えられたブルートゥースモジュール４１は、この実施形態では、ハンズフリー通話プロファイルおよびオーディオプロファイルを実装している。また、スマートフォン１０のブルートゥースモジュール２２は、この実施形態では、ハンズフリー通話プロファイルおよびオーディオプロファイルを実装している。したがって、スマートフォン１０と着信通知装置４０とは、ハンズフリー通話プロファイルによるブルートゥース通信が可能であり、かつオーディオプロファイルによるブルートゥース通信が可能である。

　スマートフォン１０と着信通知装置４０との間のブルートゥース通信は、それらのブルートゥースモジュール２２，４１が予めペアリングされており、かつそれらが互いの有効通信範囲内に位置することによって、確立される。したがって、スマートフォン１０は、ブルートゥース通信の有効範囲内にブルートゥース通信が可能な外部機器が存在しているときでも、ペアリングがされていない限り、当該外部機器との間でブルートゥース通信を行わない。ペアリング済みの外部機器がブルートゥースモジュール２２の有効通信範囲内に入ると、ブルートゥースモジュール２２は、当該外部機器とのブルートゥース通信を確立する。着信通知装置４０のブルートゥースモジュール４１も同様に動作する。

　図３Ａおよび図３Ｂは、スマートフォン１０が公衆電話回線網１９からの電話を着信したときの動作を説明するためのフローチャートであり、図３Ａはスマートフォン１０の動作を表し、図３Ｂは着信通知装置４０の動作を表す。

　スマートフォン１０においては、図３Ａに示すように、電話通信ユニット２１が公衆電話回線網１９から呼を受信すると（ステップＳ１）、電話アプリケーション２７は、着信通知を実行する。

　具体的には、ブルートゥースモジュール２２がハンズフリー通話プロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立していないとき（ステップＳ２：ＮＯ）の動作は次のとおりである。すなわち、電話アプリケーション２７は、音出力部１５から電話着信音を発音させるか、または表示部１１に電話着信表示を行わせる（ステップＳ３。電話着信通知動作）
　また、ブルートゥースモジュール２２がハンズフリー通話プロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立しているとき（ステップＳ２：ＹＥＳ）の動作は次のとおりである。すなわち、電話アプリケーション２７は、ブルートゥースモジュール２２に対して、電話着信データの送信を要求する。それに応じて、ブルートゥースモジュール２２は、ハンズフリー通話プロファイルにより電話着信データを送信する（ステップＳ４）。

　着信通知装置４０では、図３Ｂに示すように、ブルートゥースモジュール４１は、ハンズフリー通話プロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立しているときに（ステップＳ５：ＹＥＳ）、電話着信データを受信する（ステップＳ６：ＹＥＳ）。すると、通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、表示ユニット４４に対して、電話着信表示制御を実行する。それにより、表示ユニット４４は、公衆電話回線網１９を介する電話の着信を表す表示（電話着信表示）を行う（ステップＳ７）。電話着信表示は、発光ダイオードの点灯または点滅であってもよい。

　こうして、公衆電話回線網１９からの電話の着信を使用者８、とくに自動二輪車１に乗車しているライダーに対して、視覚的に通知することができる。自動二輪車１に乗車している使用者８は、自車両および周辺の車両が発生する音、具体的には、原動機の駆動音、機械部品の作動音、クラクション、ロードノイズ、風切り音などのために、スマートフォン１０が発生する着信音を聞き逃すおそれがある。そこで、着信通知装置４０により視覚的に着信を通知することにより、使用者８は、電話の着信を確実に知ることができる。着信に気づいた使用者８は、必要に応じて、安全な場所に自動二輪車１を停止させ、スマートフォン１０を操作することにより、発呼者に対して電話等でタイムリーに連絡できる。

　図４Ａおよび図４Ｂは、スマートフォン１０がネットワーク２０からの通信を着信したときの動作を説明するためのフローチャートであり、図４Ａはスマートフォン１０の動作を表し、図４Ｂは着信通知装置４０の動作を表す。

　スマートフォン１０においては、図４Ａに示すように、ネットワーク通信アプリケーション２８は、ネットワーク通信ユニット２３を介してネットワーク２０からの通信を受信すると（ステップＳ１１：ＹＥＳ）、着信通知を実行する。

　具体的には、ブルートゥースモジュール２２がオーディオプロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立していないとき（ステップＳ１２：ＮＯ）の動作は次のとおりである。すなわち、ネットワーク通信アプリケーション２８は、音出力部１５から着信音（アプリケーション着信音）を発音させるか、または表示部１１にアプリケーション着信表示を行わせる（ステップＳ１３。アプリケーション着信通知動作）。

　また、ブルートゥースモジュール２２がオーディオプロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立しているとき（ステップＳ１２：ＹＥＳ）の動作は次のとおりである。すなわち、ネットワーク通信アプリケーション２８は、ブルートゥースモジュール２２に対して、着信音データ３０の送信を要求する。それに応じて、ブルートゥースモジュール２２は、オーディオプロファイルにより着信音データ３０を送信する（ステップＳ１４）。この着信音データ３０は、ネットワーク通信アプリケーション２８の着信時に発音するように設定されているアプリケーション着信音データ、すなわち着信音を表すオーディオデータであってもよい。

　着信通知装置４０では、図４Ｂに示すように、ブルートゥースモジュール４１は、オーディオプロファイルを利用したブルートゥース通信を外部機器との間で確立しているときに（ステップＳ１５：ＹＥＳ）、着信音を受信する（ステップＳ１６：ＹＥＳ）。すると、通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、表示ユニット４４に対して、アプリケーション着信表示制御を実行する。それにより、表示ユニット４４は、ネットワーク２０を介する通信の着信を表す表示（アプリケーション着信表示）を行う（ステップＳ１７）。アプリケーション着信表示は、発光ダイオードの点灯または点滅であってもよい。

　こうして、ネットワーク２０からの通信の着信を使用者８、とくに自動二輪車１に乗車しているライダーに対して、視覚的に通知することができる。前述のとおり、自動二輪車１に乗車している使用者８は、主として、自車両および周辺の車両が発生する音のために、スマートフォン１０が発生するアプリケーション着信音を聞き逃すおそれがある。そこで、着信通知装置４０により視覚的に着信を通知することにより、使用者８は、通信アプリケーションへの着信を確実に知ることができる。着信に気づいた使用者８は、必要に応じて、安全な場所に自動二輪車１を停止させ、スマートフォン１０を操作することにより、通信相手先に対して、適切な通信手段でタイムリーに連絡できる。この場合の通信手段は、当該通信アプリケーションであってもよいし、電話アプリケーション２７であってもよい。通信アプリケーションによる場合には、当該通信アプリケーションが提供する電話機能（ネットワーク電話機能）を利用してもよいし、当該通信アプリケーションが提供するデータ通信機能（たとえばメッセージ送信機能）であってもよい。

　このように、この実施形態によれば、スマートフォン１０および着信通知装置４０にそれぞれ備えられるブルートゥースモジュール２２，４１は、いずれもハンズフリー通話プロファイルおよびオーディオプロファイルを実装している。したがって、スマートフォン１０と着信通知装置４０は、ハンズフリー通話プロファイルおよびオーディオプロファイルを利用して通信することができる。スマートフォン１０が公衆電話回線網１９からの電話を着信すると、ハンズフリー通話プロファイルを用いて、スマートフォン１０から着信通知装置４０に対して電話の着信が通知され、着信通知装置４０の表示ユニット４４によって電話着信表示が行われる。スマートフォン１０の通信アプリケーションがネットワーク２０からの通信を受信すると、オーディオプロファイルを用いて、スマートフォン１０から着信通知装置４０に対して着信音データ３０が送信される。この着信音データ３０の受信に応答して、通知制御装置は、表示ユニット４４に対してネットワーク着信表示を行わせる。このようにして、伝統的な電話の着信のみならず、ネットワーク２０を介する通信についても、使用者８に対して視覚的な通知を提供できる。

　スマートフォン１０のオペレーティングシステム２５は、定期的にアップデートされてバージョンアップされる。このバージョンアップ後のオペレーティングシステム２５との整合を保つために、アプリケーション２６のバージョンアップも必要になる。アプリケーション２６のバージョンアップは、その他のタイミングでも実行される。オペレーティングシステム２５およびアプリケーション２６のバージョンアップは、頻繁に行われる。しかし、オペレーティングシステム２５およびアプリケーション２６のバージョンアップがされたとしても、プロファイルを含めたブルートゥース通信規格が変更されることは稀である。

　したがって、オーディオプロファイルを利用して着信音データを受信し、それに応答してネットワーク着信表示動作を行う仕組みは、オペレーティングシステム２５やアプリケーション２６のバージョンアップの影響を実質的に受けることがない。

　また、専用のアプリケーションをスマートフォン１０に備える必要もないので、使用者８は、専用アプリケーションをダウンロードしたり、バージョンアップしたりする必要がない。むろん、着信通知装置４０の提供者は、専用アプリケーションの作成やそのバージョンアップの労力を必要としない。

　表示ユニット４４が通知コントローラ４２に制御されることによって実現される電話着信表示とネットワーク着信表示とは、同一態様の表示であってもよいし、異なる態様の表示であってもよい。異なる態様の表示であれば、使用者８は、電話着信とネットワーク着信との区別を認識することができるので、好ましい。異なる態様での表示は、発光ダイオードの異なる発光色での点灯または点滅であってもよい。また、異なる態様の表示、発光ダイオードの異なる点滅パターンでの発光であってもよい。さらに、電話着信表示およびネットワーク着信表示の一方を連続点灯で通知し、他方を点滅で通知することとしてもよい。さらに、電話着信およびネットワーク着信の両方があったときには、さらに別の態様で発光ダイオードを点灯させてもよい。

　もちろん、電話着信を表示するための第１の表示部（たとえば第１の発光ダイオード）と、ネットワーク着信のための第２の表示部（たとえば第２の発光ダイオード）とを設けてもよい。

　さらに、前述のとおり、表示ユニット４４は、メッセージ等を表示するように構成されていてもよい。この場合には、電話着信およびネットワーク着信をメッセージによって区別して表示すればよい。

　図５は、この発明の他の実施形態のシステム構成を説明するためのブロック図である。図５において、図２に示した各部の対応部分には同一参照符号を付す。また、図１を再度参照する。

　スマートフォン１０の使用者８は、ネットワーク２０上の特定の着信音ダウンロードサイトに設けられた着信音サーバ３５にから着信音データ３０をダウンロードし、メモリ１８に保存することができる。着信音サーバ３５では、着信通知装置４０での使用に適した特定の着信音データ３１（以下「指定着信音データ３１」という。）が、ダウンロード可能とされている。スマートフォン１０の使用者８は、指定着信音データ３１を着信音サーバ３５からダウンロードしてメモリ１８に保存することができる。指定着信音データ３１は、通常のオーディオデータと区別可能な特徴を有するオーディオデータである。区別可能な特徴とは、たとえば、可聴周波数域外の周波数を含むオーディオデータであってもよい。より具体的には、冒頭に可聴周波数域外の周波数域の部分を含むオーディオデータであってもよい。

　一方、スマートフォン１０の使用者８は、着信通知装置４０で着信表示をさせたいネットワーク通信アプリケーション２８の着信音データ３０として、指定着信音データ３１を選択して、スマートフォン１０に設定しておく。その設定データは、メモリ１８に保存される。

　着信通知装置４０の通知コントローラ４２は、指定着信音データ３１の前述の特徴を抽出する特徴抽出部４５としての機能を有している。特徴抽出部４５の機能は、プロセッサ４２ａがメモリ４２ｂに格納されているプログラムを実行することによって実現される。特徴抽出部４５は、ブルートゥースモジュール４１が着信音データを受信すると、指定着信音データ３１に含まれている前記特徴の特徴が当該着信音データから抽出されたかどうかを表示制御部４３に通知する。表示制御部４３は、当該特徴が抽出された場合に、ネットワーク着信表示動作を表示ユニット４４に行わせる。

　スマートフォン１０のメモリ１８には、音楽を再生するための音楽アプリケーション２９がインストールされている場合がある。音楽アプリケーション２９によって再生される音楽は、音出力部１５で再生されるほか、ブルートゥースモジュール２２からオーディオプロファイルにより外部機器に送信することができる。そのため、図２の構成の場合には、音楽アプリケーション２９で音楽が再生されていると、ネットワーク着信表示がされるかもしれない。

　この問題が、指定着信音データ３１を用いることによって解決できる。すなわち、音楽アプリケーション２９で再生される音楽のオーディオデータには、指定着信音データ３１に含まれる前述のような特徴が含まれていない。したがって、音楽アプリケーション２９により音楽が再生されてもネットワーク着信表示はされず、ネットワーク通信アプリケーション２８が通信を着信し、指定着信音データ３１が着信通知装置４０に送信されることによって、ネットワーク着信表示が行われる。

　なお、自動二輪車１の使用者８（ライダー）は、とりわけ走行中には、周囲の音に注意を払うために、音楽アプリケーション２９による音楽の再生を望まないであろう。しかし、音楽アプリケーション２９の誤操作のために音楽が再生されるかもしれない。また、自動二輪車１を停止させた状態で、ブルートゥーススピーカやブルートゥースヘッドフォンで音楽が再生される場合があるかもしれない。さらには、自動二輪車１の同乗者がブルートゥースヘッドフォンでの音楽試聴を望む場合や、運転者であっても、自動二輪車１の運転に支障がない音量でブルートゥースヘッドフォンにより音楽を試聴したい場合があるかもしれない。このような場合に、この実施形態の構成がとくに有利である。

　指定着信音データ３１は、一種類である必要はない。すなわち、区別可能な複数の特徴をそれぞれ有する複数の指定着信音データ３１が提供されてもよい。この場合、使用者８は、複数のネットワーク通信アプリケーション２８に対して異なる指定着信音データ３１を割り当てることができる。

　着信通知装置４０の特徴抽出部４５は、それらの複数の特徴を区別して抽出することが好ましい。この場合、表示制御部４３は、抽出された特徴に応じて、異なる態様で表示ユニット４４の表示動作を制御することが好ましい。それにより、使用者８は、いずれのネットワーク通信アプリケーション２８に対する着信があったのかを区別して認識することができる。

　図６は、この発明のさらに他の実施形態のシステム構成を説明するためのブロック図である。図６において、図２の各部の対応部分には同一参照符号を付す。また、図１を併せて参照する。

　この実施形態では、着信通知装置４０は、着信音データを登録するための着信音データ登録機能を備えている。着信音データ登録機能は、たとえば、着信音データ（またはその特徴）を格納することができるメモリ４２ｂ（着信音メモリ）と、メモリ４２ｂへの着信音データの登録を制御する登録制御部５０と、通知コントローラ４２を着信音登録モードに設定するために使用者８によって操作可能なモード切替操作部５１とによって実現される。登録制御部５０の機能は、通知コントローラ４２を構成するプロセッサ４２ａがメモリ４２ｂに格納された登録制御プログラムを実行することによって実現されてもよい。また、メモリ４２ｂとは別に、着信音データを登録可能な着信音メモリを設けてもよい。

　通知コントローラ４２の動作モードは、少なくとも着信音登録モードと通常動作モードとを含む。着信音登録モードは、着信音データをメモリ４２ｂに登録するための一時的な動作モードである。通常動作モードは、スマートフォン１０からの電話着信通知および着信音データに応答して表示ユニット４４に着信表示を行う動作モードである。既定の動作モードは、通常動作モードである。

　使用者８は、スマートフォン１０のネットワーク通信アプリケーション２８がオーディオプロファイルを用いるブルートゥース通信によって送出するネットワーク着信音データを着信通知装置４０のメモリ４２ｂに登録することができる。具体的には、使用者８は、モード切替操作部５１を操作することによって、通知コントローラ４２の動作モードを着信音登録モードに設定する。その状態で、使用者８は、スマートフォン１０を操作して、登録しようとする着信音データ３０をスマートフォン１０から送出させる。この着信音データ３０が着信通知装置４０のブルートゥースモジュール４１によって受信される。登録制御部５０は、その着信音データ３０をメモリ４２ｂに登録する。複数の着信音データ３０を登録するときには、使用者８は、同様の操作を繰り返す。登録操作を終えると、使用者８は、モード切替操作部５１を操作して、着信通知装置４０の動作モードを通常動作モードに戻す。

　通常動作モードにある着信通知装置４０のブルートゥースモジュール４１が、スマートフォン１０からオーディオプロファイルによってオーディオデータを受信すると、そのオーディオデータが通知コントローラ４２（表示制御部４３）に渡される。通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、受信したオーディオデータをメモリ４２ｂに登録済みの着信音データと比較する。それらが一致すると、通知コントローラ４２は、表示ユニット４４に対して、ネットワーク着信表示動作を行わせる。不一致のときには、通知コントローラ４２は、このような制御を行わず、ネットワーク着信表示は行われない。

　このようにして、この実施形態では、ネットワーク通信アプリケーション２８の着信音データを予め着信通知装置４０に登録しておくことができる。それにより、着信通知装置４０は、通常のオーディオデータと着信音データとを区別でき、ネットワーク通信アプリケーション２８に対する着信を確実に通知できる。

　メモリ４２ｂに複数の着信音データが登録されているとき、通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、ブルートゥースモジュール４１がオーディオプロファイルにより受信したオーディオデータを複数の着信音データと比較する。受信したオーディオデータがいずれかの着信音データに整合するときには、通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、表示ユニット４４を制御して、ネットワーク着信表示動作を行わせる。この場合に、通知コントローラ４２（表示制御部４３）は、複数の着信音データに対応した複数の異なる態様でネットワーク着信表示動作が行われるように、表示ユニット４４を制御してもよい。それにより、受信したオーディオデータとの整合が確認された着信音データに対応するネットワーク着信表示が行われるので、使用者８は、通信を着信したネットワーク通信アプリケーション２８の種類を認識できる。

　以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、ブルートゥース通信を近距離無線通信の一例として説明しているけれども、他の規格に従う近距離無線通信が用いられてもよい。具体的には、無線ローカルエリアネットワーク通信（いわゆるＷｉ－Ｆｉ）、近距離無線(WPAN: Wireless Personal Area Networks)、近距離通信(NFC: Near Field Communication)などが利用可能な近距離無線通信の例である。ブルートゥース（登録商標）は、これらのうちの近距離無線に該当する。

　また、前述の実施形態では、伝統的な電話機能を有するスマートフォン１０を携帯端末装置の例に挙げたけれども、伝統的な電話機能を有しない携帯端末装置に対してもこの発明を適用することができる。

　さらに、前述の実施形態では、計器ユニット７に組み込まれた車載型装置として構成されている着信通知装置４０を例示したが、図１に示すように、使用者８の手首５５等に装着できる使用者装着型（たとえばリストバンド型）の装置として着信通知装置４０を構成することもできる。使用者装着型の着信通知装置４０は、図１に示すように、使用者８のヘルメット６０のシールド部６１に着信表示を行う構成とすることもできる。これらの構成の場合には、着信通知装置４０は、自動二輪車１から独立して自由に持ち運びすることができる。

　また、車載型の着信通知装置４０であっても、自動二輪車１に対して脱着できるようにして、自動二輪車１から独立して自由に持ち運びできる構成とすることもできる。たとえば、着信通知装置４０を、シールやテープで自動二輪車１に貼り付けるようにしてもよいし、自動二輪車１に対してバンド等で容易に脱着できるように構成してもよい。

　車載型装置の場合には、自動二輪車１に備えられる電源から着信通知装置４０に対して電源供給がされてもよいし、着信通知装置４０のための電源としてバッテリを備えてもよい。使用者装着型の装置の場合の電源は、着信通知装置４０に備える（たとえば内蔵する）か、または使用者８が着信通知装置４０とは別に携帯するバッテリであってもよい。着信装置４０がバッテリを備える場合には、着信通知装置４０に充電コネクタが備えられてもよく、また、無接点給電装置から受電してバッテリを充電する無接点受電器が備えられてもよい。

　着信通知装置４０は、振動で着信を通知するバイブレータや、音で着信を通知するスピーカを備えてもよい。

　ここで、自動二輪車１のような鞍乗型車両で走行しているライダーは、走行音や走行振動の影響を受け易い。このため、着信を報らせるインジケータユニットとしては、バイブレーションや音と比較して視覚的な通知がより効果的となる。換言すれば、視覚的な通知をメイン機能にすれば足りるため、インジケータユニットの装置構成を簡素にし易い。また、インジケータユニットの装置構成を簡素にし易いことから、ウエラブルやポータブルの着信通知装置４０の形態を採ることも容易である。鞍乗型車両の使用環境を考えると、インジケータユニットは簡素で十分であり、特に外力が作用し易い使用環境を考えると、簡素である方が軽量化しやすく、それに応じて壊れにくくなるので、かえってメリットとなる。

　つまり、鞍乗型車両の使用環境では、インジケータユニット（ハードウェア）の装置構成は簡素で十分であり、むしろ簡素であることがメリットになる。その一方で、アプリケーション（ソフトウェア）のアップデートが必要となると使用者の手間および提供者の労力を強いることになってしまう。

　そこで、この発明の一実施形態のように、鞍乗型車両の使用環境において、使用者の手間および提供者の労力を軽減しながら、携帯端末装置への様々な着信を、近距離無線通信を利用して使用者に視覚的に通知できる着信通知装置４０を提供することができる。

　また、着信通知装置４０は、バイブレータ機能を含まないように構成してもよい。また、着信通知装置４０は、スピーカを含まないように構成してもよい。同様に、着信通知装置４０の充電コネクタを省略してもよい。これらのように着信通知装置４０を簡素な構成とすることで、鞍乗型車両の使用環境でも壊れ難くなり、また、鞍乗型車両の使用環境における必要機能である防水性を確保し易くなる。

　さらに、着信通知装置４０の機能が、使用者８が自動二輪車１に乗車中のみ、または自動二輪車１が走行中にのみ有効になるようにしてもよい。たとえば、使用者８がシート５に着座していることを検出するセンサまたはスイッチを設け、使用者８の着座が検出されているときにだけ、着信通知装置４０のブルートゥースモジュール４１を有効化してもよい。また、自動二輪車１からの車速信号を取り出し、一定以上の車速であることを条件にブルートゥースモジュール４１を有効化することにより、自動二輪車１の走行中に限定して、着信表示を行うことができる。

　また、前述の実施形態では、鞍乗型車両の一例である自動二輪車１を例示したが、二輪車以外の鞍乗型車両、たとえばＡＴＶ(All Terrain Vehicle)等にも前述の各実施形態を同様に適用できる。さらにまた、鞍乗型車両以外の形態の車両にこの発明が適用されてもよい。

　前述のような使用者装着型の装置として着信通知装置４０を構成するときには、自動二輪車１から離れたときでも、使用者８に対して視覚的に着信を通知できる。このような構成は、たとえば、周囲の音が大きな環境で着信を知りたい場合に有効である。

　その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。

　１：自動二輪車、２：車体、７：計器ユニット、８：使用者（ライダー）、１０：スマートフォン、１３：通信部、１６：コントローラ、１９：公衆電話回線網、２０：ネットワーク、２１：電話通信ユニット、２２：ブルートゥースモジュール、２３：ネットワーク通信ユニット、２５：オペレーティングシステム、２６：アプリケーション、２７：電話アプリケーション、２８：ネットワーク通信アプリケーション、２９：音楽アプリケーション、３０：着信音データ、３１：指定着信音データ、３５：着信音サーバ、４０：着信通知装置、４１：ブルートゥースモジュール、４２：通知コントローラ、４３：表示制御部、４４：表示ユニット、４５：特徴抽出部、５０：登録制御部、５１：モード切替操作部

Claims

　通信機能を備えた携帯端末装置による着信を通知するための着信通知装置であって、
　前記携帯端末装置が、オーディオプロファイルを実装し、前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する近距離無線通信装置を備え、
　前記着信通知装置が、
　前記オーディオプロファイルを実装し、前記オーディオプロファイルによって送信される着信音データを受信する近距離無線通信装置と、
　使用者に着信を視覚的に通知するための表示ユニットと、
　前記近距離無線通信装置が前記オーディオプロファイルによる着信音データを受信すると、前記表示ユニットを制御して、着信表示動作を行わせる通知コントローラと、を含む、着信通知装置。
　前記携帯端末装置が、公衆電話回線網を介する伝統的な電話のための伝統的電話機能ユニットと、ネットワークを介する通信のためのネットワーク通信機能ユニットと、を備えており、
　前記ネットワーク通信機能ユニットが前記ネットワークを介する通信を着信すると、前記携帯端末装置の近距離無線通信装置が、前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する、請求項１に記載の着信通知装置。
　前記携帯端末装置の近距離無線通信装置が、さらにハンズフリー通話プロファイルを実装しており、前記伝統的電話機能ユニットが前記公衆電話回線網からの電話を着信すると、前記ハンズフリー通話プロファイルにより電話着信データを送信し、
　前記着信通知装置の近距離無線通信装置が、さらに前記ハンズフリー通話プロファイルを実装しており、前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信し、
　前記通知コントローラは、前記近距離無線通信装置が前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信すると、前記表示ユニットを制御して、着信表示動作を行わせる、請求項２に記載の着信通知装置。
　前記通知コントローラは、オーディオプロファイルによる着信音データを受信したときと、前記ハンズフリー通話プロファイルによる電話着信データを受信したときとで、前記表示ユニットが異なる着信表示動作をするように、前記表示ユニットを制御する、請求項３に記載の着信通知装置。
　使用者が車両に乗車しているときに前記表示ユニットによる着信表示動作が行われる、請求項１～４のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置が、車両に備えられている、請求項１～５のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記車両が、鞍乗型車両である、請求項５または６に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置が、使用者により装着される使用者装着型装置である、請求項１～７のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記携帯端末装置が、スマートフォンであり、前記スマートフォンに備えられたアプリケーションに対する通信を着信すると、前記近距離無線通信装置が前記オーディオプロファイルにより着信音データを送信する、請求項１～８のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記近距離無線通信装置による通信が、無線ローカルエリアネットワーク通信、近距離無線(WPAN: Wireless Personal Area Networks)、近距離通信(NFC: Near Field Communication)のうちの少なくとも１つを含む、請求項１～９のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記通知コントローラが、前記着信音データの特徴を抽出する特徴抽出部と、前記特徴抽出部によって抽出された特徴に基づいて前記着信表示動作のために前記表示ユニットを制御する表示制御部とを含む、請求項１～１０のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置は、車両から独立して持ち運び自由である、請求項１～１１のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置は、バイブレータを含まない、請求項１２に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置は、スピーカを含まない、請求項１２または１３に記載の着信通知装置。
　前記着信通知装置は、充電コネクタがない、請求項１２～１４のいずれか一項に記載の着信通知装置。
　車体と、
　車体に搭載された請求項１～１５のいずれか一項に記載の着信通知装置と、を含む、車両。