WO2018139051A1

WO2018139051A1 - スプリング式コネクタ

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Publication number: WO2018139051A1
Application number: PCT/JP2017/043212
Authority: WO
Inventors: 和之落合; 大輔藤平; 慎太郎松田; 浩三大石; 宮川　知之
Original assignee: 矢崎総業株式会社; 本田技研工業株式会社
Priority date: 2017-01-24
Filing date: 2017-11-30
Publication date: 2018-08-02
Also published as: BR112019012983A2; JP6649292B2; EP3576230B1; CN110088991A; JP2018120704A; CN110088991B; EP3576230A1; US20190363486A1; EP3576230A4; US10784619B2

Abstract

スプリング式コネクタの一対のコネクタのうちの一方（１）は、インナハウジング（３）と、アウタハウジング（５）と、インナハウジングとアウタハウジングとの間に画成される隙間と、抜け止め機構（３ｄ、５ｃ）と、スプリング（１２）と、を有する。抜け止め機構は、インナハウジング及びアウタハウジングに設けられた一対の当接部材（３ｄ、５ｃ）と、一対の当接部材の間に設けられた緩衝材（６ｂ）と、を有する。

Description

スプリング式コネクタ

　本発明は、スプリング式コネクタに係り、具体的には、一対のコネクタの半嵌合時及び嵌合解除時（以下「半嵌合時」と総称する。）に強制的に嵌合を解除するスプリングを備えたスプリング式コネクタに関する。

　一般に、コネクタは、メスコネクタ及びオスコネクタの両コネクタが、互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を備える。また、両コネクタが嵌合位置にまで至らない半嵌合状態の場合、スプリングの付勢力によって強制的に嵌合を解除するスプリング式コネクタが知られている。例えば、一方のコネクタをインナハウジングと、該インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能にアウタハウジングと、を組み付け、インナハウジングをアウタハウジングに対して他方のコネクタから離れる方向に付勢するように、両ハウジング間にスプリングを配置する。そして、スプリングの付勢力によりアウタハウジングに対してインナハウジングを嵌合を解除する向き（以下「反嵌合向き」という。）に付勢する。また、嵌合解除状態において、インナハウジングとアウタハウジングが分離しないように、インナハウジングとアウタハウジングの嵌合解除方向の相対位置を所定の組み付け位置に規制する抜け止め機構が設けられる場合もある。

　例えば、特許文献１の図５に記載されたメスコネクタは、インナハウジングと、該インナハウジングを嵌合方向に相対的に摺動可能に包囲して組み付けられてなるアウタハウジングと、を有する。オスコネクタは、インナハウジングとアウタハウジングとの間の隙間に挿入される筒部を有する。また、インナハウジングとアウタハウジングは、両ハウジング同士の分離を抑制して、所定の組み付け位置に保持する抜け止め機構を有する。抜け止め機構は、アウタハウジングの上面の長穴と、この長穴に挿入可能にインナハウジングに設けられた突起と、を有する。インナハウジングとアウタハウジングの相対的な摺動方向における長穴の一方の端の穴壁に突起が当接することで、突起の位置が規制されるようになっている。

　特許文献１の図５のアウタハウジングとインナハウジングに設けられた抜け止め機構によれば、メスコネクタとオスコネクタのロック機構が係合していない半嵌合状態のとき、スプリンの付勢力でアウタハウジングとインナハウジングは互いに嵌合解除方向に付勢される。このとき、アウタハウジングの上面の長穴の一端の穴壁にインナハウジングの上面の突起が当接し、抜け止め機構が機能して両ハウジングが所定の組み付け位置に保持される。

日本国特開平１１－２２４７２８号公報

　特許文献１の図５に記載されたスプリング式コネクタは、スプリングの付勢力でアウタハウジングの長穴の穴壁にインナハウジングの突起を当接させて抜け止めしている。そのため、端子数が多い多極のコネクタの場合等にスプリングの付勢力を強くすると、突起が穴壁に強く衝突して抜け止め機構が損傷するおそれがある。

　本発明の目的の一つは、半嵌合時にスプリングの付勢力を利用してハウジングを押し戻す機構を備えると共に同機構の損傷を抑制可能なスプリング式コネクタを提供することにある。

　本発明に係る「スプリング式コネクタ」の一の態様は、下記（１）の特徴を有しており、更に下記（２）の特徴を有することが好ましい。

（１）
　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方は、
　インナハウジングと、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジングと、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリングと、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記嵌合方向において向かい合うように前記インナハウジング及び前記アウタハウジングに設けられた一対の当接部材と、
　前記一対の当接部材の間に設けられた緩衝材と、を有する、こと。

　上記（１）の特徴を有するスプリング式コネクタによれば、抜け止め機構を一対の当接部材で構成し、ロック機構によって一対のコネクタが係合されない半嵌合時等に、両ハウジングがスプリングにより互いに離れる向き（反嵌合向き）に付勢する。これにより、一対の当接部材が当接し、両ハウジングの分離が抑制される。更に、スプリングの付勢力を強くしても、一対の当接部材間に作用する衝突力が緩衝材によって緩和されるので、抜け止め機構の損傷を抑制できる。

（２）
　上記（１）に記載のスプリング式コネクタであって、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキンを、更に備え、
　前記緩衝材は、
　前記環状パッキンから延出すると共に前記一対の当接部材の間に配置された帯状部材である、こと。

　上記（２）の特徴を有するスプリング式コネクタによれば、インナハウジングの外周面に、上記隙間（より具体的には、他方のコネクタの内周面との間）に配置される水密性の環状パッキンが装着される。更に、その環状パッキンから延出して一対の当接部材の間に配置された帯状部材が、緩衝材として用いられる。即ち、緩衝材が、環状パッキンと一体的に形成される。

　更に、本発明に係る「スプリング式コネクタ」の他の態様は、下記（３）の特徴を有するように構成される。
（３）
　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方は、
　インナハウジングと、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジングと、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタのうちの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリングと、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキンと、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記環状パッキンから延出するフランジと、前記フランジの前記嵌合方向における奥側部分に当接する前記アウタハウジングの係止部と、を有し、前記フランジと前記係止部との当接によって前記アウタハウジングが前記フランジよりも前記嵌合方向における手前側に移動することを抑制するように構成される、こと。
　スプリング式コネクタ。

　上記（３）の特徴を有するスプリング式コネクタによれば、インナハウジングの外周面に装着される水密性の環状パッキンから延出するフランジと、アウタハウジングの段部と、の当接により、このフランジを緩衝材としながら両ハウジングの分離が抑制される。即ち、フランジと段部とにより、抜け止め機構が構成される。本特徴を有するスプリング式コネクタによれば、上述した一の態様の抜け止め機構（一対の当接部材を用いた機構）を省略できる。更に、当接時の衝突力は緩衝材（パッキンのフランジ）によって緩和されるので、スプリングの付勢力を強くしても、抜け止め機構の損傷を抑制できる。

　本発明によれば、半嵌合時にスプリングの付勢力を利用してハウジングを押し戻す機構を備えたスプリング式コネクタにおいて、同機構の損傷を抑制できる。

図１は、本発明の実施例１のスプリング式コネクタを分解して示した斜視図である。図２は、実施例１のメスコネクタを示す図であり、図２（ａ）は斜視図、図２（ｂ）はオスコネクタ側から見た正面図である。図３は、実施例１のメスコネクタとオスコネクタの嵌合時の動作を説明する図である。図４は、実施例１のメスコネクタの抜け止め機構に設けた緩衝材を示す図である。図５は、実施例１のメスコネクタの抜け止め機構に設けた緩衝材を有する環状パッキンの構成図である。図６は、本発明の実施例２のメスコネクタの主要部を示す図であり、図６（ａ）は主要部の断面図、図６（ｂ）はオスコネクタ側から見た正面図である。図７は、実施例２のメスコネクタの抜け止め機構を構成する環状パッキンの構成図であり、図７（ａ）は正面図、図７（ｂ）は側面図である。

　以下、本発明を実施例に基づいて説明する。

＜実施例１＞
　本発明の実施例１のスプリング式コネクタを、図１～図５を参照して説明する。図１の分解図に示すように、メスコネクタ１とオスコネクタ２とから構成される。メスコネクタ１は、複数のメス端子が収容されたインナハウジング３と、インナハウジング３を包囲して矢印４の嵌合方向に沿って相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジング５と、を備えて構成される。インナハウジング３は、複数のメス端子を収容する収容室を包囲する略矩形の断面を有する筒部３ａと、筒部３ａの上部に空間を空けて設けられたカバー部材である上板３ｂを有して構成されている。筒部３ａは、アウタハウジング５の略矩形の断面を有する筒部５ａの中に挿入可能に形成されている。筒部３ａの外周面と筒部５ａの内周面との間には、後述するオスコネクタ２の略矩形の断面を有する筒部１０が挿入される隙間が設けられている。

　環状パッキン６は、筒部３ａの外周面に装着され、後述するオスコネクタ２の略矩形の断面を有する筒部１０の内周面とインナハウジング３の外周面との間の防水を図るものである。環状パッキン６は、筒部３ａの外周面の先端部に装着されるフロントホルダ７と筒部３ａの奥に形成された段部との間に位置されている。なお、本実施例では、２つのショート端子８をインナハウジング３の対応する収容室に挿入して装着するようになっている。ショート端子８は、メスコネクタ１に嵌入されるオスコネクタ２の特定の２つのオス端子を短絡するものである。しかし、本発明は、ショート端子８を備えたコネクタに限られるものではない。

　一方、オスコネクタ２は、針状の複数のオス端子９が挿入収容される収容室を有する略矩形の断面を有する筒状の筒部１０を備えて構成されている。本実施例のオスコネクタ２は、例えば、図示していない回路基板に結合して用いられるものであり、筒部１０の両側面に回路基板にボルト等で固定する支持部１１が設けられている。しかし、オスコネクタ２は、これに限られるものではない。

　ここで、メスコネクタ１のインナハウジング３とアウタハウジング５を所定の組み付け状態に保持して、両者の分離を抑制する抜け止め機構、及びメスコネクタ１とオスコネクタ２との嵌合状態を保持するロック機構について説明する。まず、インナハウジング３とアウタハウジング５は、図１の矢印４に示す嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられる。また、インナハウジング３とアウタハウジング５は、複数のコイル状のスプリング１２によって、互いに分離する方向に付勢されている。図１及び図２（ａ）に示すように、インナハウジング３の側面の後端部にはスプリング収容部３ｃが設けられ、これに対応してアウタハウジング５の側面の後端部にはスプリング収容部５ｄが設けられている。スプリング１２は、一端がスプリング収容部３ｃに摺動自由に収容され、他端はスプリング収容部５ｄに収容され、インナハウジング３とアウタハウジング５を図１の矢印４に示す嵌合方向に沿って互いに離れる向き（反嵌合向き）に付勢している。

　ここで、メスコネクタ１とオスコネクタ２の嵌合状態のロック機構について説明する。ロック機構は、メスコネクタ１のインナハウジング３の上板３ｂに形成されたロックアーム３ｅのロック爪３ｊと、オスコネクタ２の筒部１０の上面に突出して形成された突起１０ａを有する。図３（ａ）に示すように、オスコネクタ２をメスコネクタ１に押し込んでいくと、オスコネクタ２の筒部１０の下面に設けられた突起１０ｂがアウタハウジング５の先端部に当接し、オスコネクタ２のアウタハウジング５に対する位置が決まる。さらに、インナハウジング３を押し込むと、図３（ｂ）に示すように、ロックアーム３ｅの先端のロック爪３ｊがオスコネクタ２の突起１０ａに当接してロックアーム３ｅが弾性変形し、ロック爪３ｊが突起１０ａに乗り上げ、さらに押し込むとロック爪３ｊが突起１０ａを乗り越えて、突起１０ａに係止される。このようにしてロック機構が係合され、メスコネクタ１とオスコネクタ２の嵌合が完了し、メスコネクタ１とオスコネクタ２の対応するメス端子１４とオス端子９同士の電気的な接続が保持される。なお、スプリング１２は、ロック機構が係合していない半嵌合のときは、メスコネクタ１とオスコネクタ２の互いのハウジングが分離する反嵌合向きに付勢して抜け止め機構が動作する。

　次いで、本実施例の特徴に関係する抜け止め機構について説明する。メスコネクタ１の組み付け状態を保持して、ハウジング同士の分離を抑制する抜け止め機構は、アウタハウジング５の上面に形成された長穴５ｂと、この長穴５ｂにそれぞれ挿入可能にインナハウジング３の上板３ｂに形成された突起３ｄとを有する。長穴５ｂはインナハウジング３とアウタハウジング５の相対的な摺動方向を長軸とするように形成される。長穴５ｂに摺動可能に挿入された突起３ｄは、摺動方向の一端の穴壁５ｃに当接して、アウタハウジング５に対するインナハウジング３の位置を規制する。すなわち、抜け止め機構の一対の当接部材は、穴壁５ｃと突起３ｄにより構成される。本実施例の抜け止め機構は、図２（ｂ）に示すように、インナハウジング３の上板３ｂとこれに対応するアウタハウジング５の上筒面に２組、インナハウジング３の筒部３ａの下筒面とこれに対応するアウタハウジング５の下筒面に１組設けられているが、本発明は本実施例に限られるものではない。

　なお、図２（ｂ）に示すように、上板３ｂの筒部３ａ側の下面には、補強用のリブ３ｆが適宜設けられている。また、上板３ｂの両側の側縁は、アウタハウジング５の内面に形成されたリブ５ｈに摺動可能に支持されている。

　図４及び図５を参照して、本実施例の特徴に係る抜け止め機構の緩衝材について説明する。図４（ａ）、（ｂ）は、所定の組み付け状態にあるインナハウジング３とアウタハウジング５の断面を示し、同図（ａ）は図２（ａ）の矢印ＩＶａの嵌合軸位置における断面図、同図（ｂ）は図２（ａ）の手前の長穴５ｂの矢印ＩＶｂの長軸位置における断面図である。図５は、環状パッキン６の構成を示している。環状パッキン６は、インナハウジング３の外周面に装着される矩形のパッキン本体部６ａと、パッキン本体部６ａの奥行き方向の端面から伸延して形成された帯状の緩衝材６ｂと有する。つまり、緩衝材６ｂは環状パッキン６と一体的に同一の材料（例えば、シリコンゴム）で形成することが好ましい。

　環状パッキン６は、図４に示すように、インナハウジング３の筒部３ａの外周面に装着される。パッキン本体部６ａの奥行き方向の端面は、筒部３ａの外周面の上面からインナハウジング３の上板３ｂの下面に向けて仕切壁３ｇが設けられ、筒部３ａの外周面の下面からアウタハウジング５の筒部５ａの内面に向けて仕切壁を含んで筒壁が形成されている。そして、パッキン本体部６ａは、インナハウジング３の先端部から装着されるフロントホルダ７の端面とインナハウジング３の仕切壁３ｇ及び仕切壁を含む筒壁との間に位置して固定される。また、帯状の緩衝材６ｂはパッキン本体部６ａが仕切壁３ｇ又は仕切壁を含む筒壁に当接する部位から伸延され、抜け止め機構を構成する長穴５ｂの穴壁５ｃと突起３ｄが対向する隙間に挿入して設けられている。なお、緩衝材６ｂは、パッキン本体部６ａとは別体として準備して、穴壁５ｃと突起３ｄが対向する隙間に挿入してもよいが、パッキン本体部６ａと一体的に形成することにより、部品の点数を少なくでき、組立時の作業管理が容易になる。

　このように構成されることから、本実施例によれば、インナハウジング３とアウタハウジング５の両ハウジングに対向させて設けられた突起３ｄと穴壁５ｃとが当接するように抜け止め機構を形成し、それらの間に緩衝材６ｂを挿入配置したことから、メスコネクタ１とオスコネクタ２の半嵌合時等に、スプリング１２によりインナハウジング３とアウタハウジング５が強制的に嵌合を解除する反嵌合向きに分離されても、突起３ｄと穴壁５ｃとが当接して所定の組み付け位置に保持される。さらに、メスコネクタ１とオスコネクタ２が多数の端子を有する場合、スプリングの付勢力を強くして、突起３ｄと穴壁５ｃの当接部材間に作用する衝撃力が緩衝材６ｂによって緩和されるので、突起３ｄの損傷を抑制できる。

＜実施例２＞
　本発明の実施例２のスプリング式コネクタを、図６、図７を参照して説明する。本実施例が実施例１と異なる点は、抜け止め機構の構成が異なることにあり、その他の構成は実施例１と同一であることから、相違する点についてのみ説明し、その他の構成は説明を省略する。

　図６は、本実施例のメスコネクタ１の構成を示し、同図（ａ）は上段のスプリング１２の中心軸における断面図であり、同図（ｂ）はオスコネクタ２側から見た正面図である。本実施例の環状パッキン１３は、図７に示すように、インナハウジング３の筒部３ａに装着される環状のパッキン本体１３ａと、パッキン本体１３ａの図において奥側の端部に一体に形成されたフランジ１３ｂを備える。フランジ１３ｂには、切欠き１３ｃが形成されている。なお、切欠き１３ｃは、インナハウジング３の筒部３ａの上面の中央部に位置されているが、必ずしも必要なものではない。

　環状パッキン１３は、図６（ａ）に示すように、フランジ１３ｂを奥側にしてインナハウジング３の筒部３ａの外周に装着される。筒部３ａの外周には、段差面を有する段部３ｈが形成されている。段部３ｈは、インナハウジング３とアウタハウジング５の所定の組み付け位置において、アウタハウジング５のスプリング収容部５ｄを形成するスプリング受け５ｅの裏面５ｆの位置に合わせて形成されている。なお、図６（ａ）において、符号３ｋはスプリング１２のガイド棒である。したがって、フランジ１３ｂを奥側にしてインナハウジング３の筒部３ａの外周に環状パッキン１３を装着すると、フランジ１３ｂの奥側の面は、段部３ｈと裏面５ｆの双方に当接して装着される。なお、図６（ａ）の状態が、インナハウジング３とアウタハウジング５の所定の組み付け位置であり、メスコネクタ１とオスコネクタ２の半嵌合時にスプリング１２の付勢力により強制的に復帰される位置である。すなわち、インナハウジング３に装着された環状パッキン１３のフランジ１３ｂと、アウタハウジング５のスプリング受け５ｅ（係止部）の裏面５ｆとにより、抜け止め機構が構成される。

　したがって、メスコネクタ１とオスコネクタ２の半嵌合時には、アウタハウジング５から図６（ａ）において下方に突出していたインナハウジング３が、スプリング１２により押し戻されて図示位置に復帰される。このとき、環状パッキン１３のフランジ１３ｂがスプリング受け５ｅの裏面５ｆに衝突するが、その衝撃力はフランジ１３ｂによって十分に緩和されるので、スプリング１２の付勢力が強くても、抜け止め機構が損傷されるのを抑制できる。なお、本実施例の場合、実施例１の抜け止め機構は省略できる。

　上述したように、本実施例は、インナハウジング３の外周面にオスコネクタ２の筒部１０の内周面との間に挿入される水密性の環状パッキン１３が装着され、アウタハウジング５は、環状パッキン１３の奥側の端部に位置させてオスコネクタ２の筒部１０が挿入される隙間の奥に位置されたスプリング受け部の裏面５ｆを有し、環状パッキン１３に一体形成されアウタハウジング５のスプリング受け５ｅの裏面５ｆに当接可能に形成されたフランジ１３ｂを設け、このフランジ１３ｂを緩衝材とした抜け止め機構を構成している。

　以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。

　ここで、上述した本発明に係るスプリング式コネクタの実施形態の特徴を、それぞれ以下（１）～（３）に簡潔に纏めて列記する。
（１）
　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方（１）は、
　インナハウジング（３）と、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジング（５）と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構（３ｄ、５ｃ）と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリング（１２）と、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記嵌合方向において向かい合うように前記インナハウジング及び前記アウタハウジングに設けられた一対の当接部材（３ｄ、５ｃ）と、
　前記一対の当接部材の間に設けられた緩衝材（６ｂ）と、を有する、
　スプリング式コネクタ。
（２）
　上記（１）に記載のスプリング式コネクタであって、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキン（６）を、更に備え、
　前記緩衝材（６ｂ）は、
　前記環状パッキンから延出すると共に前記一対の当接部材（３ｄ、５ｃ）の間に配置された帯状部材（６ｂ）である、
　スプリング式コネクタ。
（３）
　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方（１）は、
　インナハウジング（３）と、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジング（５）と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタのうちの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構（５ｅ、１３ｂ）と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリング（１２）と、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキン（６）と、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記環状パッキンから延出するフランジ（１３ｂ）と、前記フランジの前記嵌合方向における奥側部分に当接する前記アウタハウジングの係止部（５ｅ）と、を有し、前記フランジと前記係止部との当接によって前記アウタハウジングが前記フランジよりも前記嵌合方向における手前側に移動することを抑制するように構成される、
　スプリング式コネクタ。

　本出願は、２０１７年１月２４日出願の日本特許出願（特願２０１７－０１０２９６）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明のスプリング付きコネクタによれば、半嵌合時にスプリングの付勢力を利用してハウジングを押し戻す機構を備えたスプリング式コネクタにおいて、同機構の損傷を抑制可能である。この効果を奏する本発明は、スプリング式コネクタに関して有用である。

　１　　メスコネクタ
　２　　オスコネクタ
　３　　インナハウジング
　３ｄ　突起
　３ｅ　ロックアーム
　３ｊ　ロック爪
　５　　アウタハウジング
　５ｂ　長穴
　５ｃ　穴壁
　５ｅ　スプリング受け（係止部）
　６　　環状パッキン
　７　　フロントホルダ
　１０　筒部
　１０ａ　突起
　１０ｂ　突起

Claims

　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方は、
　インナハウジングと、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジングと、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリングと、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記嵌合方向において向かい合うように前記インナハウジング及び前記アウタハウジングに設けられた一対の当接部材と、
　前記一対の当接部材の間に設けられた緩衝材と、を有する、
　スプリング式コネクタ。
　請求項１に記載のスプリング式コネクタであって、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキンを、更に備え、
　前記緩衝材は、
　前記環状パッキンから延出すると共に前記一対の当接部材の間に配置された帯状部材である、
　スプリング式コネクタ。
　互いに嵌合された位置で係合し合うロック機構を有する一対のコネクタを備えたスプリング式コネクタであって、
　前記一対のコネクタのうちの一方は、
　インナハウジングと、
　前記インナハウジングを包囲して嵌合方向に相対的に摺動可能に組み付けられるアウタハウジングと、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に画成され、前記一対のコネクタのうちの他方を挿入可能な隙間と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとが分離することを抑制する抜け止め機構と、
　前記インナハウジングと前記アウタハウジングとを互いに離れる向きに付勢するスプリングと、
　前記インナハウジングの外周面に装着されると共に前記隙間に配置される水密性の環状パッキンと、を有し、
　前記抜け止め機構は、
　前記環状パッキンから延出するフランジと、前記フランジの前記嵌合方向における奥側部分に当接する前記アウタハウジングの係止部と、を有し、前記フランジと前記係止部との当接によって前記アウタハウジングが前記フランジよりも前記嵌合方向における手前側に移動することを抑制するように構成される、
　スプリング式コネクタ。