WO2017073455A1

WO2017073455A1 - 車両の後部構造

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Publication number: WO2017073455A1
Application number: PCT/JP2016/081122
Authority: WO
Inventors: 裕文坂; 洋樹大平; 政徳望月
Original assignee: マツダ株式会社
Priority date: 2015-10-29
Filing date: 2016-10-20
Publication date: 2017-05-04
Also published as: US10632826B2; JP2017081453A; DE112016004955T5; CN108136883A; JP6358230B2; CN108136883B; US20190160927A1; DE112016004955B4

Abstract

車両の後部構造は、左右一対の座席と、該座席よりも後方において車室の上部を構成する後部ルーフとを備える。後部ルーフは、各座席よりも車幅方向外側に位置しかつ前記各座席よりも後方まで延びる左右一対の側壁部と、該左右一対の側壁部の間に形成されたウインドウ開口を閉塞するリヤウインドウとを備える。一対の座席の間でかつ各座席よりも後方側に、上方に起立する整流板が設けられる。整流板は、車幅方向に離間した左右一対の外側受風部と、各外側受風部を車幅方向に連結する中央受風部とを一体に有するとともに、透明性を有する材質により構成される。中央受風部の上下方向の長さは、外側受風部の上下方向の長さよりも短く設定される。

Description

車両の後部構造

　この発明は、例えば、開閉自在なリヤウインドウを有する車両において、リヤウインドウを開いた際、座席よりも後方から車室内に流入する巻込み風を整流する整流板を備えた車両の後部構造に関する。

　乗員が乗り込む車室部の上部に開閉自在な開閉ルーフを有する車両、所謂、オープンカーにおいて、開閉ルーフが閉じた状態（クローズ状態）では、車両前方からの走行風が車体表面に沿って後方へ流動する。

　一方、開閉ルーフが開いた状態（オープン状態）では、車両上部の開口によって走行風が後方へ安定して流れ難く、かつ車外に比べて車室内が負圧になるため、開閉ルーフが閉じた状態に比べて、車両上部を流れる走行風の流れが変化し易い。

　例えば、開閉ルーフが開いた状態において、フロントウインドウを超えて座席よりも後方へ流れた走行風の一部が、車室内の負圧によって前方に引き寄せられるように方向転換することが知られている（所謂巻込み風）。

　そして、車両後方から前方へと方向転換して車室内に流入した巻込み風は、乗員に対して後方から当たることになる。このため、開閉自在の開閉ルーフを有する車両は、巻込み風が乗員に当たる風当りや、風当りによる騒音によって、乗員に不快感を与えるおそれがあった。

　そこで、開閉ルーフを開いた状態における風当りや、風当りによって生じる騒音を抑制する様々な技術が提案されている。

　例えば、特許文献１では、開閉ルーフが開いた状態において、座席よりも後方側から車室内に流入する巻込み風を整流するため、左右一対の座席の間でかつ各座席よりも車両後方側にウィンドデフレクタ装置が設けられている。さらに、特許文献１では、ウィンドデフレクタ装置のデフレクタ板（整流板）に複数の孔部が形成されている。

　上記特許文献１によれば、デフレクタ板に設けられた複数の孔部によって後方視界が確保されるとともに、車両後方から前方へ流動する巻込み風の流量がデフレクタ板によって制限される。

　ところで、より良好な後方視界を確保するために、上記のような多孔式のデフレクタ板にかえて、例えば、透明性を有する合成樹脂製の無孔式デフレクタ板とした場合、車両後方からの巻込み風の多くがデフレクタ板に衝突する。これにより、巻込み風の前方への流動が遮られるので、巻込み風の多くは、車幅方向外側へ向けて流動するようになる。

　これに対し、特許文献１のように、車室部の上部を構成する部材がほとんど車体に格納されるオープンカーの場合には、車幅方向外側へ偏向した巻込み風が、車両の側方を後方へ流れる走行風と合流することにより、巻込み風を車外へ容易に排出することができる。

　一方で、乗員の頭上に位置するルーフ部分がリヤウインドウとともに一体的に開閉されるオープンカーがある。このようなオープンカーでは、一般に、ルーフ部分及びリヤウインドウが車体に格納されても、車室部の後部を構成する側壁部（例えばピラー部材など）は格納されない。

　このため、車幅方向外側へ偏向した巻込み風が、側壁部に沿ってさらに前方へ偏向して、座席と側壁部との間を通って乗員に当たるおそれがあった。このように、側壁部が格納されないオープンカーの場合、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立し難いという問題があった。

特開２００６－２２４９０７号公報

　本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立できる車両の後部構造を提供することを目的とする。

　前記課題を解決するためのものとして、本発明は、乗員が着座する左右一対の座席と、該座席よりも後方において車室の上部を構成する後部ルーフとを備えた車両の後部構造であって、前記後部ルーフは、前記各座席よりも車幅方向外側に位置しかつ前記各座席よりも後方まで延びる左右一対の側壁部と、該左右一対の側壁部の間に形成されたウインドウ開口を閉塞する開閉自在なリヤウインドウとを備え、前記一対の座席の間でかつ各座席よりも後方側に、上方に起立する整流板が設けられ、前記整流板は、車幅方向に離間した左右一対の外側受風部と、各外側受風部を車幅方向に連結する中央受風部とを一体に有するとともに、透明性を有する材質により構成され、前記中央受風部の上下方向の長さが、前記外側受風部の上下方向の長さよりも短く設定された、ことを特徴とする。

開閉ルーフを閉じた状態における車両の外観を示す斜視図。開閉ルーフを開いた状態における車両の外観を示す斜視図。デッキカバーを持ち上げた状態における開閉機構を車両内側から見た側面図。開閉ルーフを開いた状態における車両の外観を示す平面図。車室内から見たフロントデフレクタ装置の外観を示す背面図。車室内から見たリヤデフレクタの外観を示す正面図。車両前後方向に沿ったリヤデフレクタの断面を示す断面図。リヤウインドウ開口を通じて見たリヤデフレクタの外観を示す背面図。車体に対するリヤデフレクタの相対位置を示す断面図。側面視で見た走行風の流れを説明する説明図。車両後方から見た走行風の流れを説明する説明図。

　この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。

　本実施形態における車両１について、図１から図９を用いて詳しく説明する。なお、図１は開閉ルーフ６を閉じた状態における車両１の外観を示す斜視図であり、図２は開閉ルーフ６を開いた状態における車両１の外観を示す斜視図であり、図３はデッキカバー１３を持ち上げた状態における開閉機構を車両内側から見た側面図であり、図４は開閉ルーフ６を開いた状態における車両１の外観を示す平面図である。

　図５は車室内から見たフロントデフレクタ装置４０の外観を示す背面図であり、図６は車室内から見たリヤデフレクタ５０の外観を示す正面図であり、図７は車両前後方向に沿ったリヤデフレクタ５０の断面を示す断面図であり、図８はリヤウインドウ開口１３４を通じて見たリヤデフレクタ５０の外観を示す背面図であり、図９は車体に対するリヤデフレクタ５０の相対位置を示す断面図である。

　図中において、矢印Ｆｒは車両１の前方を示し、矢印Ｒｒは車両１の後方を示している。矢印Ｌｈは車両１の左方を示し、矢印Ｒｈは車両１の右方を示している。また、図１中の上方は車両１の上方に対応し、図１中の下方は車両１の下方に対応している。なお、本明細書において前、後、左、右、上、下というときは、特に断らない限り、上記のように車両１を基準にした各方向のことを指しているものとする。

　本実施形態における車両１は、図１に示すように、前方から後方にかけて、車両前部５、車室部８、及び車両後部１２を有している。車両前部５は、左右一対の前輪２、左右一対のフロントフェンダー３、及びボンネット４などを有している。車室部８は、その上面を構成する開閉ルーフ６、及び左右一対のドア７などを有しており、乗員が乗り込む車室を内部に画成している。車両後部１２は、左右一対の後輪９、左右一対のリヤフェンダー１０、及びトランクリッド１１などを有している。

　図２及び図３に示すように、左右一対のリヤフェンダー１０の間における前方寄り位置には、上方に開口した格納区画Ｓが形成されている。車両後部１２は、格納区画Ｓの開口を閉塞するデッキカバー１３（請求項にいう「後部ルーフ」に相当）を有している。

　本実施形態の車両１は所謂オープンカーである。すなわち、図１から図３に示すように、デッキカバー１３が上方かつ後方へ移動することで開口した格納区画Ｓに対して、開閉ルーフ６を分割して折り畳むように格納することが可能であり、かつ、開閉ルーフ６の格納に連動してリヤウインドウ１４を格納することが可能である。

　より詳しくは、格納区画Ｓは、折り畳まれた状態の開閉ルーフ６、及びリヤウインドウ１４を収容可能な大きさの内部空間を有するように形成されている。

　格納区画Ｓの開口を覆うデッキカバー１３は、図２から図４に示すように、車室の後部を画成するように設けられている。より詳しくは、デッキカバー１３は、ドア７のドア本体７ｂよりも上方に位置し、かつドアガラス７ａの後端よりも後方に位置する部分の車室を画成するように設けられている。

　デッキカバー１３は、車幅方向に対向する左右一対のカバー側部１３１（請求項にいう「側壁部」に相当）と、各カバー側部１３１の下部同士を連結するカバーベース部１３２と、各カバー側部１３１の上部同士を連結するカバーヘッダ部１３３とを有している。

　また、デッキカバー１３は、左右一対のカバー側部１３１、カバーベース部１３２、及びカバーヘッダ部１３３に囲まれたリヤウインドウ開口１３４（請求項にいう「ウインドウ開口」に相当）を有している。リヤウインドウ開口１３４には、リヤウインドウ１４が取外し可能に装着される。

　左右一対のカバー側部１３１は、左右一対のリヤフェンダー１０から上方に***した左右一対の***部分１３１ａ（請求項にいう「ルーフ延設部」に相当）と、***部分１３１ａから前方に延設された左右一対の側壁部分１３１ｂとを一体に有している。

　左右一対の***部分１３１ａは、それぞれ、トランクリッド１１の前端よりも後方の位置から同前端よりも前方の位置まで延設されるとともに、リヤフェンダー１０から連続して上方に***するように形成されている。各***部分１３１ａは、それぞれ、正面視での幅が上側よりも下側でやや広くなるように正面視略山形状に形成されている。

　また、左右一対の***部分１３１ａは、両者の車幅方向の間隔が前側よりも後側でやや広くなるように形成されている。すなわち、デッキカバー１３は、両***部分１３１ａの車幅方向間隔が後方から前方にかけて（リヤウインドウ開口１３４に近づくほど）徐々に縮小するような形状に形成されている。なお、各***部分１３１ａの前端は、側面視において、下端よりも上端が後方側に位置するように傾斜している。

　側壁部分１３１ｂは、***部分１３１ａの車幅方向外側の壁部から前方に延び、ドアガラス７ａに近接する位置まで達するように形成されている。

　カバーベース部１３２は、格納区画Ｓの後部を覆うことが可能な大きさを有し、かつ各***部分１３１ａの下端同士を車幅方向に連結する略平板状に形成されている。また、カバーベース部１３２は、トランクリッド１１の上面と略連続する平面を構成するように形成されている。

　カバーヘッダ部１３３は、各側壁部分１３１ｂの上端同士を車幅方向に連結している。

　リヤウインドウ開口１３４は、左右一対のカバー側部１３１における***部分１３１ａの前端と、カバーベース部１３２の前端と、カバーヘッダ部１３３の後端とで囲まれた開口であり、背面視逆台形状に形成されている。

　デッキカバー１３は、左右一対のカバー開閉機構２０を介して車体に支持されている。カバー開閉機構２０は、デッキカバー１３を上方に移動させて格納区画Ｓを開放する動作と、デッキカバー１３を下方に移動させて格納区画Ｓを閉塞する動作とを実現可能である。

　カバー開閉機構２０は、図３に示すように、デッキカバー１３を支持する左右一対の前側カバーリンク部材２１及び左右一対の後側カバーリンク部材２２と、前側カバーリンク部材２１を回動させる左右一対のカバーリンク駆動部２３とを有している。

　前側カバーリンク部材２１は、上下方向に延びる側面視略帯状の部材であり、デッキカバー１３の下部に設けられたカバーブラケット１３６の前端に上端が軸支されている。

　後側カバーリンク部材２２は、前側カバーリンク部材２１よりも後方において上下方向に延びる側面視略帯状の部材であり、デッキカバー１３のカバーブラケット１３６に上端が軸支されている。

　カバーリンク駆動部２３は、リヤフェンダー１０の内側の側壁を構成するフェンダーインナパネル１０ａに締結固定されている。

　図示は省略するが、カバーリンク駆動部２３は、回転自在に軸支された大径ギヤと、大径ギヤに歯合した状態で回転自在に軸支された複数の駆動ギヤと、これら各ギヤを収容保持するハウジングと、駆動ギヤを回転駆動させる電気モーターとを有している。

　カバーリンク駆動部２３の大径ギヤには、前側カバーリンク部材２１の下端が連結されている。さらに、カバーリンク駆動部２３の上部後端には、後側カバーリンク部材２２の下端が軸支されている。すなわち、カバー開閉機構２０は、前側カバーリンク部材２１を駆動リンクとし、後側カバーリンク部材２２を従属リンクとした四節リンクを構成している。

　開閉ルーフ６は、図１から図３に示すように、車室部８の上部、より詳しくはフロントウインドウ１６の上辺部（後述するフロントウインドウ枠材１６ｂ）とデッキカバー１３のカバーヘッダ部１３３との間を覆うことが可能な大きさに形成されている。開閉ルーフ６は、フロントルーフ６ａと、フロントルーフ６ａの後方に設けられたリヤルーフ６ｂとを有している。フロントルーフ６ａの前端はフロントウインドウ１６の上辺部に対して着脱可能に結合され、リヤルーフ６ｂの後端はカバーヘッダ部１３３に離接可能に当接する。

　また、リヤウインドウ１４は、図３に示すように、透過性を有するリヤガラス１４ａと、リヤガラス１４ａを支持するリヤウインドウ枠材１４ｂと、リヤウインドウ枠材１４ｂの外周縁に沿って装着されたウインドウシール部材１４ｃとを有している。さらに、リヤウインドウ枠材１４ｂの前面における車幅方向の２箇所には、後述するルーフ開閉機構３０が連結される左右一対のブラケット１４ｄが固定されている。

　開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４は、左右一対のルーフ開閉機構３０を介して車体に支持されている。ルーフ開閉機構３０は、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を格納区画Ｓに格納する動作と、格納状態の開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を展開する動作とを実現可能である。

　ルーフ開閉機構３０は、図３に示すように、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を支持する複数のルーフリンク部材と、複数のルーフリンク部材を回動させる左右一対のルーフリンク駆動部３１とを有している。

　なお、複数のルーフリンク部材は、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を格納区画Ｓに格納可能であれば適宜の構造のものを採用し得るが、本実施形態では次のように構成されている。

　すなわち、複数のルーフリンク部材は、リヤルーフ６ｂとルーフリンク駆動部３１とを連結する左右一対の第１ルーフリンク３２と、第１ルーフリンク３２の後端とリヤウインドウ１４とを連結する左右一対の第２ルーフリンク３３と、第１ルーフリンク３２の前端とフロントルーフ６ａとを連結する左右一対の第３ルーフリンク（図示省略）とを有している。

　第１ルーフリンク３２は、側面視略Ｔ字状のリンク部材であって、リヤルーフ６ｂの車幅方向外側の端部に締結固定される前後方向に延びる部分と、ルーフリンク駆動部３１に下端が連結される上下方向に延びる部分とを有している。

　第２ルーフリンク３３は、側面視略帯状のリンク部材であって、第１ルーフリンク３２の後端に上端が軸支されるとともに、リヤウインドウ１４のブラケット１４ｄに下端が軸支されている。

　第３ルーフリンクは、第１ルーフリンク３２の上部前端に一端が軸支されるとともに、フロントルーフ６ａに他端が締結固定されている。

　ルーフリンク駆動部３１は、車室部８の内側において、ドア７の開口縁を構成するピラーインナパネル１７の上部に締結ボルト３４を介して締結固定されている。

　図示は省略するが、ルーフリンク駆動部３１は、回転自在に軸支された大径ギヤと、大径ギヤに歯合した状態で回転自在に軸支された複数の駆動ギヤと、これら各ギヤを収容保持するハウジングとを有している。大径ギヤには第１ルーフリンク３２の下端が連結されている。

　ハウジングの車幅方向外側には、駆動ギヤを回転駆動させる電気モーター（図示省略）が配置されている。なお、左右一対のルーフリンク駆動部３１は、車両の右側と左側とで同期して駆動されるように電気モーターが制御される。

　さらに、ルーフリンク駆動部３１は、図３に示すように、ハウジングの前部上端を上方へ延設したハウジング延設部３５を有している。このハウジング延設部３５には、ドアガラス７ａとデッキカバー１３との間に介在するピラー部材１８が、締結ボルト３６を介して締結固定されている。

　ピラー部材１８は、図１及び図３に示すように、ドアガラス７ａの後端に沿って上下方向に延びる柱状体であって、ルーフリンク駆動部３１を介してピラーインナパネル１７に結合されている。

　ピラー部材１８は、図３に示すように、ハウジング延設部３５に締結固定されるピラー芯材１８１と、ピラー芯材１８１に装着され、ドアガラス７ａ及びデッキカバー１３との隙間を閉塞する合成ゴム製のピラーシール部材１８２とを有している。

　ピラー芯材１８１には、図３に示すように、ルーフリンク駆動部３１のハウジング延設部３５を締結する締結ボルト３６が螺合するネジ孔（図示省略）が２つ形成されている。

　上述した構成のカバー開閉機構２０及びルーフ開閉機構３０を備えた車両１では、格納区画Ｓを開放するようにデッキカバー１３が移動し、かつその状態で開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４が折り畳むように変位しつつ格納区画Ｓに格納される。

　詳しくは、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４の格納を指示する図外の操作スイッチが操作されるのに伴い、カバー開閉機構２０のカバーリンク駆動部２３が前側カバーリンク部材２１を後方かつ上方へ回動させるとともに、この前側カバーリンク部材２１の回動に連動して後側カバーリンク部材２２が同方向に回動する。これにより、デッキカバー１３は、その下面が略水平方向に沿う姿勢を維持しながら上方かつ後方に移動し、格納区画Ｓを開放する。

　上記のようなデッキカバー１３の移動が開始された後、ルーフ開閉機構３０のルーフリンク駆動部３１が第１ルーフリンク３２を後方へ回動させるとともに、この第１ルーフリンク３２の回動に連動して、第２ルーフリンク３３及び第３ルーフリンクがそれぞれ所定の方向に回動する。

　上記の各リンクの回動に伴い、リヤルーフ６ｂは、下方かつ前方にほぼ１８０°回動して、その下面がフロントルーフ６ａの下面と上下方向に対向するような姿勢へと変位する。また、リヤウインドウ１４は、その前面が上方を向く姿勢になるまで回動し、回動後の（折り畳まれた）リヤルーフ６ｂの下側へと移動する。このようにして上から順に重ね合わせられたフロントルーフ６ａ、リヤルーフ６ｂ、及びリヤウインドウ１４は、さらに後方かつ下方へと移動して格納区画Ｓの内部に格納される。

　このように、ルーフ開閉機構３０は、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を折り畳みながら格納区画Ｓの内部まで移動させる。

　図２に示すように、車両１には、開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４が格納区画Ｓに格納された状態で車両前方から流入する走行風を整流する整流手段として、フロントウインドウ１６の上部に配置された左右一対のフロントデフレクタ装置４０と、座席１５よりも後方に配置されたリヤデフレクタ５０とを備えている。

　左右一対のフロントデフレクタ装置４０は、図４及び図５に示すように、フロントウインドウ１６の上辺部に取り付けられている。詳しくは、フロントウインドウ１６は、透過性を有するフロントガラス１６ａと、フロントガラス１６ａを支持する正面視略門型（逆Ｕ字状）のフロントウインドウ枠材１６ｂとを有している。左右一対のフロントデフレクタ装置４０は、フロントウインドウ枠材１６ｂの上辺部のうち各座席１５と前後方向に対向する左右２箇所に取り付けられている。

　フロントデフレクタ装置４０は、デフレクタ本体４１と、デフレクタ本体４１を上方に回動させる方向に付勢する付勢手段（図示省略）とを有している。開閉ルーフ６がフロントウインドウ枠材１６ｂから離間するのに伴い、デフレクタ本体４１は、上記付勢手段によって上方に回動させられて、二点鎖線で示される格納位置から実線で示される突出位置まで移動する。突出位置まで移動したデフレクタ本体４１は、フロントウインドウ枠材１６ｂよりも上方へ突出するように配置される。

　突出位置まで移動したデフレクタ本体４１（フロントデフレクタ装置４０）は、車両前方からの走行風を整流して、当該走行風をデッキカバー１３のカバーヘッダ部１３３よりも後方まで流動させる機能を有している。

　リヤデフレクタ５０は、デッキカバー１３のリヤウインドウ開口１３４から車室内に流入する走行風（巻込み風）を整流する機能を有している。

　具体的に、リヤデフレクタ５０は、図２、図６、及び図９に示すように、正面視で左右一対の座席１５の間に位置し、かつ側面視で各座席１５よりも後方に位置する車室後部に配置されている。より詳しくは、左右一対の座席１５の後方には、左右一対のシートバックバー６１が、格納区画Ｓと車室とを隔てるシートバックトリム６０と一体的に形成されている。リヤデフレクタ５０は、各座席１５のヘッドレスト部よりも後方であって、左右一対のシートバックバー６１の間に位置するように配置されている。

　シートバックバー６１は、図６及び図９に示すように、その上端の高さが座席１５の上端と略同一になるように設けられている。シートバックバー６１は、その上辺に対して下辺の方が長くされた正面視略台形状に形成されるとともに、側面視において、下端よりも上端の方が僅かに前方に位置するように前倒した姿勢で取り付けられている。

　シートバックバー６１は、左右一対のリヤフェンダー１０同士を車幅方向に連結する高剛性部材（図示省略）に連結された正面視略逆Ｕ字状の金属製パイプ材等からなる本体部と、本体部を覆うガーニッシュ（カバー部材）とを有している。

　なお、シートバックバー６１のガーニッシュは、前後方向に分割可能とされている。このガーニッシュの分割線は、側面視において、シートバックバー６１の前倒角度と略同一の角度で傾斜している（図９参照）。

　リヤデフレクタ５０は、図６に示すように、正面視略Ｕ字状のリヤデフレクタ本体５２（請求項にいう「整流板」に相当）と、リヤデフレクタ本体５２の下部を支持する下側支持部５１と、リヤデフレクタ本体５２の上部を支持する左右一対の上側支持部６２とを有している。リヤデフレクタ本体５２及び下側支持部５１は、左右一対のシートバックバー６１の間隔と略同等の車幅方向の長さを有するように形成されている。

　下側支持部５１は、左右一対のシートバックバー６１の間を覆う部分のシートバックトリム６０に着脱自在に装着されている。

　上側支持部６２は、シートバックバー６１における車幅方向内側辺部の上部に、車幅方向内側へ向けて突出するように設けられている。上側支持部６２は、シートバックバー６１におけるガーニッシュの分割線に沿うように配置されるとともに、分割線に沿ったスリットを有している。

　下側支持部５１は、図７に示すように、リヤデフレクタ本体５２の下部を支持可能な略ボックス状に形成されている。この下側支持部５１の下面には、シートバックトリム６０に設けた嵌合孔（図示省略）に嵌合する金属製クリップ５３が、車幅方向に所定間隔を隔てて２つ取り付けられている。

　リヤデフレクタ本体５２は、図６に示すように、無色透明のアクリル樹脂製の板状部材であり、車幅方向に離間した左右一対の外側受風部５２１と、各外側受風部５２１の下部同士を車幅方向に連結する中央受風部５２２とを一体に有している。具体的に、中央受風部５２２は、外側受風部５２１の上下方向の略中央よりも下側の領域に結合されている。すなわち、中央受風部５２２の上下方向の長さは、外側受風部５２１の上下方向の長さよりも短く設定されている。なお、外側受風部５２１と中央受風部５２２とは、図７に示すように、前後方向に略同一の肉厚を有するように形成されている。

　上記のような形状のリヤデフレクタ本体５２は、左右一対の外側受風部５２１の間でかつ中央受風部５２２の上側に、走行風が流動可能な流動空間５２３を有している。

　外側受風部５２１は、図６及び図７に示すように、正面視において、上下方向に長尺な略平行四辺形を呈するように形成されている。この外側受風部５２１における車幅方向外側の側縁は、正面視において、上端よりも下端が車幅方向内側に位置するように傾斜している。

　詳しくは、外側受風部５２１の車幅方向外側の側縁は、図６及び図８に示すように、背面視において、シートバックバー６１の車幅方向内側の側縁に沿うとともに、リヤウインドウ開口１３４の左右の側縁に沿うように、上端よりも下端が車幅方向内側に位置するように傾斜している。

　外側受風部５２１は、図７及び図９に示すように、側面視において、シートバックバー６１におけるガーニッシュの分割線に沿うように傾斜した状態で、下側支持部５１に支持されている。より詳しくは、外側受風部５２１は、上端よりも下端がやや後方に位置するように設定された前倒角度θ１で鉛直線と交差する姿勢で下側支持部５１に支持されている。

　中央受風部５２２は、図６に示すように、正面視において、車幅方向に長尺な略矩形状に形成されている。より詳しくは、中央受風部５２２は、外側受風部５２１における車幅方向内側の側縁が正面視で傾斜していることに対応して、上辺に対して下辺が短い正面視略逆台形状に形成されている。中央受風部５２２の上辺及び下辺の車幅方向の長さは、外側受風部５２１のそれよりも長く設定されている。

　中央受風部５２２は、図６及び図７（特に図７）に示すように、断面視で後方に凸となる浅いＶ字状に形成された凹設部５２２ａを有している。この凹設部５２２ａは、中央受風部５２２の上端から下方に至るほど後方への突出量が多くなるように形成され、その突出量は、中央受風部５２２の上下方向の中央よりも下方（図７にて符号Ｑで示す位置）において最大とされる。

　このため、中央受風部５２２、より詳しくは凹設部５２２ａにおける最大突出位置Ｑよりも上側の領域は、外側受風部５２１の前倒角度θ１よりも大きい前倒角度θ２で鉛直線と交差するように前倒している。

　上記のような構成のリヤデフレクタ５０を備えた車両１における走行風の流れ、つまりフロントウインドウ１６から座席１５の上方を超えて車両後方に流動する走行風Ｘの流れについて、図１０及び図１１を用いて説明する。

　なお、図１０は側面視で見た走行風Ｘの流れを説明する図であり、図１１は車両後方から見た走行風Ｘの流れを説明する図である。

　開閉ルーフ６及びリヤウインドウ１４を格納した状態で車両１が走行すると、車両前方からの走行風Ｘは、図１０に示すように、フロントウインドウ１６に沿って後方かつ上方に流れ、フロントデフレクタ装置４０に到達する。フロントデフレクタ装置４０を通過した走行風Ｘは、座席１５の上方を飛び越えるような高い位置を通過しながらさらに後方へと流れ、デッキカバー１３のカバーヘッダ部１３３に到達する。

　カバーヘッダ部１３３に到達した走行風Ｘの一部は、車室内の負圧によって車両後方から前方へと引き寄せされるように方向転換され、リヤウインドウ開口１３４を通じて車室内に流入する。以下では、車両後方から前方に方向転換された一部の走行風のことを、巻込み風Ｗと称する（図１０参照）。

　リヤウインドウ開口１３４を通じて車室内に流入した巻込み風Ｗの一部は、図１１に示すように、左右一対の外側受風部５２１の間に形成された流動空間５２３を通じてさらに前方へ流動する。一方、リヤデフレクタ５０と衝突した巻込み風Ｗは、例えば、外側受風部５２１によって方向転換されて、車幅方向外側へ向けて流動する。

　つまり、リヤウインドウ開口１３４を通じて車室内に流入した巻込み風Ｗは、リヤデフレクタ５０によって、流動空間５２３を通じて前方に流動する巻込み風Ｗ１と、車幅方向外側に向けて流動する巻込み風Ｗ２とに分流される。

　以上説明したとおり、本実施形態の車両１の後部構造では、車両後方から流入した巻込み風Ｗを整流するためのリヤデフレクタ本体５２が透明性を有しているため、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立することができる。

　具体的には、リヤデフレクタ本体５２が透明性を有する合成樹脂により構成されているため、リヤデフレクタ本体５２によって車両後方の視認性が阻害されるのを抑制できる。

　このため、例えば、直接あるいは間接に（つまりルームミラー７０を介して）車両後方を確認しようとした乗員の視界にリヤデフレクタ本体５２が入った場合であっても、良好な後方視認性を確保することができる。

　また、中央受風部５２２の上下方向の長さが、外側受風部５２１の上下方向の長さよりも短く設定されているため、この長さの差により生じる空間を、車両後方から車室内に流入する巻込み風Ｗの一部をリヤデフレクタ本体５２よりも前方へ流動させるための流動空間５２３として利用することができる。

　これにより、車両後方から流入した巻込み風Ｗの一部を流動空間５２３を通じてリヤデフレクタ本体５２よりも前方に流動させることができる。さらに、流動空間５２３の両側には左右一対の外側受風部５２１が設けられているため、車両後方から乗員の頭部の車幅方向内側の近傍、特に乗員の耳周りへ流入しようとする巻込み風Ｗを、外側受風部５２１によって車幅方向外側へ偏向することができる。

　つまり、上記実施形態によれば、車両後方から流入した巻込み風Ｗを、流動空間５２３を通じて前方へ流動する巻込み風Ｗ１と、車幅方向外側へ流動する巻込み風Ｗ２とに分流することができる。

　ここで、車幅方向外側へ流動する巻込み風Ｗ２は、座席１５とカバー側部１３１との間を通じて前方へ流動する可能性がある。しかしながら、上記実施形態では、流動空間５２３を通じて巻込み風Ｗ１を前方へ流動させることができるため、当該流動空間５２３がなかった場合に比べて、座席１５とカバー側部１３１との間を流動する巻込み風Ｗ２の流量を減少させることができ、車幅方向外側から乗員の頭部の近傍、特に乗員の耳周りへ向けて巻込み風Ｗ２が流入するのを抑制することができる。

　このため、乗員の頭部に対する車幅方向外側からの風当たりと、車幅方向内側からの風当たりとをそれぞれ制御する（例えば、車幅方向外側及び内側からの風当り量のバランスをとる）ことができるとともに、これらの風当りに伴い生じる騒音を抑制することができる。

　従って、上記実施形態によれば、デッキカバー１３のカバー側部１３１が格納されない場合であっても、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立することができる。

　また、上記実施形態では、シートバックトリム６０に取り付けられた下側支持部５１によりリヤデフレクタ本体５２の下部が支持されるとともに、シートバックバー６１に取り付けられた上側支持部６２によりリヤデフレクタ本体５２における外側受風部５２１の上部が支持されているため、車両後方から流入した巻込み風Ｗをより安定して整流でき、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　例えば、正面視略Ｕ字状のリヤデフレクタ本体５２を下側支持部５１だけで支持した場合、外側受風部５２１の上部が、巻込み風Ｗの風圧によって揺動し易くなる。このため、下部だけが支持されたリヤデフレクタ本体は、巻込み風Ｗを安定して整流できないおそれがあった。

　これに対し、リヤデフレクタ本体５２の下部を支持する下側支持部５１に加えて、外側受風部５２１の上部を支持する上側支持部６２を設けた上記実施形態によれば、下側支持部５１だけでリヤデフレクタ本体５２を支持した場合に比べて、リヤデフレクタ本体５２の支持剛性を向上させることができる。

　これにより、巻込み風Ｗの風圧によって外側受風部５２１の上部が揺動することが防止されるので、巻込み風Ｗをより安定して整流でき、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　また、上記実施形態において、デッキカバー１３の左右一対の***部分１３１ａは、両者の車幅方向の間隔が前側よりも後側で広くなるように形成されているため、デッキカバー１３のデザイン性を向上させながら、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　すなわち、左右一対の***部分１３１ａの車幅方向の間隔が前側よりも後側で広くされた場合には、リヤウインドウ開口１３４よりも後方側に流れた走行風Ｘが***部分１３１ａで捉えられ易くなる。

　このため、上記のような形状の***部分１３１ａが備わっていない場合に比べて、リヤウインドウ開口１３４を通じて走行風Ｘが車室内へより一層引き込まれ易くなり、車両後方から車室内に流入する巻込み風Ｗの流量が多くなり易い。

　このように巻込み風Ｗが生じ易いデッキカバー１３の構造が採用された場合であっても、上述したリヤデフレクタ本体５２を備えた実施形態の構造によれば、巻込み風Ｗを整流しつつ前方へ流動させることができる。これにより、巻込み風Ｗの流量が増加した場合であっても、乗員の頭部に巻込み風Ｗが当たる風当りを抑制することができる。

　さらに、リヤウインドウ開口１３４よりも後方に延設された***部分１３１ａが設けられているため、デッキカバー１３のデザイン性を向上させることができる。このため、上記実施形態によれば、乗員への風当たりを抑制しながら、例えばスポーティな外観を車両１に付与することができ、車両１の商品性を向上させることができる。

　このように、上記実施形態によれば、デザイン性向上のために巻込み風Ｗが生じ易いデッキカバー１３の構造が採用されているにもかかわらず、リヤデフレクタ本体５２によって巻込み風Ｗを安定して整流することができ、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。

　例えば、上記実施形態では、リヤデフレクタ本体５２を無色透明なアクリル樹脂製としたが、リヤデフレクタ本体（整流板）の材質は、光を透過可能な透明性を有する材質であればよく、例えば透明性を有するポリカーボネート樹脂であってもよい。また、光を透過可能な材質であればよく、必ずしも無色である必要はない。

　また、上記実施形態では、リヤデフレクタ本体５２を正面視略Ｕ字状に形成したが、リヤデフクレタ本体（整流板）は、流動空間５２３に相当する空間を規定できる形状であればよく、正面視略逆Ｕ字状、あるいは正面視略四角枠状に形成されていてもよい。

　また、上記実施形態では、シートバックトリム６０に装着された下側支持部５１によりリヤデフレクタ本体５２の下部を支持したが、下側支持部は、リヤデフレクタ本体（整流板）の下部を支持できる構成であればよく、種々の代替えが可能である。例えば、シートバックバー６１の下部に車幅方向内側へ突出する下側支持部を取り付けて、この下側支持部によりリヤデフレクタ本体（整流板）の下部を支持してもよい。

　＜実施形態のまとめ＞
　前記実施形態をまとめると以下のとおりである。

　前記実施形態は、乗員が着座する左右一対の座席と、該座席よりも後方において車室の上部を構成する後部ルーフとを備えた車両の後部構造に関する。前記後部ルーフは、前記各座席よりも車幅方向外側に位置しかつ前記各座席よりも後方まで延びる左右一対の側壁部と、該左右一対の側壁部の間に形成されたウインドウ開口を閉塞する開閉自在なリヤウインドウとを備える。前記一対の座席の間でかつ各座席よりも後方側には、上方に起立する整流板が設けられる。この整流板は、車幅方向に離間した左右一対の外側受風部と、各外側受風部を車幅方向に連結する中央受風部とを一体に有するとともに、透明性を有する材質により構成される。前記中央受風部の上下方向の長さが、前記外側受風部の上下方向の長さよりも短く設定される。

　なお、上記透明性を有する整流板の材質は、光を透過可能な材質、例えば、透明なアクリル樹脂、透明なポリカーボネート樹脂、透明なガラスなどとすることができる。

　上記整流板は、例えば、正面視略Ｕ字状、正面視略逆Ｕ字状、あるいは正面視略四角枠状とすることができる。

　また、上記中央受風部の上下方向の長さ、及び外側受風部の上下方向の長さとは、外気を受風する面の部分の長さをいう。このため、例えば、中央受風部の略中央に開口を設けた場合（つまり整流板を四角枠状に形成した場合）、中央受風部における上下方向の長さとは、中央受風部の上端から開口の上縁までの長さと、開口の下縁から中央受風部の下端までの長さとの合計に相当する。

　上記車両の後部構造によれば、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立することができる。

　具体的には、整流板が透明性を有する材質により構成されているため、整流板によって車両後方の視認性が阻害されるのを抑制できる。

　このため、例えば、直接あるいは間接に（例えばルームミラーを介して）車両後方を確認しようとした乗員の視界に整流板が入った場合であっても、良好な後方視認性を確保することができる。

　また、中央受風部の上下方向の長さが、左右一対の外側受風部の上下方向の長さよりも短く設定されているため、この長さの差により生じる空間を、車両後方から車室内に流入する巻込み風の一部を整流板よりも前方へ流動させるための流動空間として利用することができる。

　例えば、左右一対の外側受風部の下部同士を連結するように中央受風部を形成した場合、つまり整流板を正面視略Ｕ字状に形成した場合、整流板の車幅方向略中央における上部、つまり一対の外側受風部の間でかつ中央受風部の上側に、巻込み風が流動する流動空間を容易に形成することができる。

　これにより、車両後方から流入した巻込み風の一部を上記流動空間を通じて整流板よりも前方に流動させることができる。さらに、流動空間の両側には左右一対の外側受風部が設けられているため、車両後方から乗員の頭部の車幅方向内側の近傍に向けて流入しようとする巻込み風を、外側受風部によって車幅方向外側へ偏向することができる。

　つまり、上記車両の後部構造によれば、車両後方から流入する巻込み風を、上記流動空間を通じて前方へ流動する巻込み風と、車幅方向外側へ流動する巻込み風とに分流することができる。

　ここで、車幅方向外側へ流動する巻込み風は、その一部が座席と側壁部との間を通じて前方へ流動する可能性がある。しかしながら、上記車両の後部構造では、上記流動空間を通じて巻込み風を前方へ流動させることができるため、当該流動空間がなかった場合に比べて、上記座席と側壁部との間を流動する巻込み風の流量を減少させることができ、車幅方向外側から乗員の頭部の近傍に巻込み風が流入するのを抑制することができる。

　このため、乗員の頭部に対する車幅方向外側からの風当たりと、車幅方向内側からの風当たりとをそれぞれ制御できるとともに、これらの風当りに伴い生じる騒音を抑制することができる。なお、車幅方向外側からの風当り量と、車幅方向内側からの風当り量とが異なるように制御することもできる。

　以上のとおり、上記車両の後部構造によれば、後部ルーフの側壁部が格納されない場合であっても、良好な後方視認性と、乗員の快適性とを両立することができる。

　好ましくは、車両の後部構造は、前記整流板の下部を支持する下側支持部と、前記整流板における前記外側受風部の上部を支持する上側支持部とをさらに備える。

　なお、下側支持部及び上側支持部は、整流板の下部及び上部を直接支持するものに限られず、間接的に支持するものであってもよい。

　この構成によれば、巻込み風をより安定して整流でき、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　例えば、正面視略Ｕ字状の整流板を下側支持部だけで支持した場合、外側受風部の上部が、巻込み風の風圧によって揺動し易くなる。このため、下部だけが支持された整流板は、巻込み風を安定して整流できないおそれがあった。

　これに対し、整流板の下部を支持する下側支持部に加えて、外側受風部の上部を支持する上側支持部を設けた上記構成によれば、下側支持部だけで整流板を支持した場合に比べて、整流板の支持剛性を向上させることができる。

　これにより、巻込み風の風圧によって外側受風部の上部が揺動することが防止されるので、巻込み風をより安定して整流でき、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　好ましくは、前記左右一対の側壁部は、前記リヤウインドウにより閉塞される前記ウインドウ開口よりも後方に延設された左右一対のルーフ延設部を備える。この左右一対のルーフ延設部は、両者の車幅方向の間隔が前側よりも後側で広くなるように形成される。

　この構成によれば、後部ルーフのデザイン性を向上させながら、乗員の快適性を安定して確保することができる。

　すなわち、左右一対のルーフ延設部の車幅方向の間隔が前側よりも後側で広くされた場合には、ウインドウ開口よりも後方側に流れた走行風がルーフ延設部により捉えられ易くなる。

　このため、上記のような形状のルーフ延設部が備わっていない場合に比べて、ウインドウ開口を通じて走行風が車室内へより一層引き込まれ易くなり、車両後方から車室内に流入する巻込み風の流量が多くなり易い。

　このように巻込み風が生じ易い後部ルーフの構造が採用された場合であっても、上述した整流板を備えた上記車両の後部構造によれば、巻込み風を整流しつつ前方へ流動させることができる。これにより、巻込み風の流量が増加した場合であっても、乗員の頭部に巻込み風が当たる風当りを抑制することができる。

　さらに、ウインドウ開口よりも後方に延設されたルーフ延設部が設けられているため、後部ルーフのデザイン性を向上させることができる。このため、上記構成によれば、乗員への風当たりを抑制しながら、例えばスポーティな外観を車両に付与することができ、車両の商品性を向上させることができる。

　このように、上記構成によれば、デザイン性向上のために巻込み風が生じ易い後部ルーフの構造が採用されているにもかかわらず、整流板によって巻込み風を安定して整流することができ、乗員の快適性を安定して確保することができる。

Claims

　乗員が着座する左右一対の座席と、該座席よりも後方において車室の上部を構成する後部ルーフとを備えた車両の後部構造であって、
　前記後部ルーフは、前記各座席よりも車幅方向外側に位置しかつ前記各座席よりも後方まで延びる左右一対の側壁部と、該左右一対の側壁部の間に形成されたウインドウ開口を閉塞する開閉自在なリヤウインドウとを備え、
　前記一対の座席の間でかつ各座席よりも後方側に、上方に起立する整流板が設けられ、
　前記整流板は、車幅方向に離間した左右一対の外側受風部と、各外側受風部を車幅方向に連結する中央受風部とを一体に有するとともに、透明性を有する材質により構成され、
　前記中央受風部の上下方向の長さが、前記外側受風部の上下方向の長さよりも短く設定された、
車両の後部構造。
　前記整流板の下部を支持する下側支持部と、前記整流板における前記外側受風部の上部を支持する上側支持部とをさらに備えた、
請求項１に記載の車両の後部構造。
　前記左右一対の側壁部は、前記リヤウインドウにより閉塞される前記ウインドウ開口よりも後方に延設された左右一対のルーフ延設部を備え、
　前記左右一対のルーフ延設部は、両者の車幅方向の間隔が前側よりも後側で広くなるように形成された
請求項１または請求項２に記載の車両の後部構造。