WO2016076012A1

WO2016076012A1 - 車両のシートベルト取り付け部の補強構造

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Publication number: WO2016076012A1
Application number: PCT/JP2015/076489
Authority: WO
Inventors: 聡志松永; 伊佐博今村
Original assignee: 三菱自動車工業株式会社; 三菱自動車エンジニアリング株式会社
Priority date: 2014-11-13
Filing date: 2015-09-17
Publication date: 2016-05-19
Also published as: CN107074192A; JP2016094060A; BR112017006122A2

Abstract

　シートベルト２８０３からの荷重に対して十分な強度を確保し車体の軽量化を図ることを目的とする。後部ピラーインナパネル１２は、アウタパネル１０の対応する部分と共に後部ピラー２２を構成する。後部ピラーインナパネル１２は、車両の後部座席用のシートベルト２８０３を支持するシートベルトアンカ２８が取り付けられる。クォータインナパネル１４は、リヤドア用開口部１８と後部ピラーインナパネル１２との間に配置され、クォータインナパネル１４の後部は後部ピラーインナパネル１２に一体に接合され、残りの箇所はアウタパネル１０に接合されている。クォータインナパネル１４の下横部１４Ｄに、シートベルトアンカ２８に対してシートベルト２８０３から荷重が加わる方向に沿って延在する凹凸形状のビード部３０が設けられている。

Description

車両のシートベルト取り付け部の補強構造

　本発明は車両のシートベルト取り付け部の補強構造に関する。

　特許文献１の図７から図９には、車両の後部座席用のシートベルトを保持するシートベルトアンカを後部ピラーインナパネルに取り付ける構造が示されている。
　このような構造では、車両衝突時にシートベルトに入力される荷重を後部ピラーインナパネルのみで受け止めることになる。

特許第３７１１８２２号公報

　上記従来技術では、荷重を受け止める後部ピラーインナパネルの強度を確保するために後部ピラーインナパネルの板厚を厚くする必要があり、車体の軽量化を図る上で改善の余地がある。
　一方、車両の中には、リヤドアの後方で後部ピラーインナパネルの前方にクォータウインドガラスが設けられているものが提供されており、クォータウインドガラスは、後部ピラーインナパネルの前方に配置されたクォータインナパネルで保持されている。
　本発明は、このクォータインナパネルに着目してなされたものであり、シートベルトから入力される荷重に対して十分な強度を確保しつつ車体の軽量化を図る上で有利な車両のシートベルト取り付け部の補強構造を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明は、後部ピラーインナパネルの上部に設けられたシートベルトアンカと、前記後部ピラーインナパネルの前方に位置するクォータインナパネルとを備える車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、前記クォータインナパネルの後部は前記後部ピラーインナパネルに接合され、前記クォータインナパネルに、前記シートベルトアンカに対してシートベルトから荷重が加わる方向に沿って延在する凹凸形状のビード部が設けられていることを特徴とする。

　本発明によれば、車両衝突時、シートベルト、シートベルトアンカを介して入力される引っ張り荷重を後部ピラーインナパネルおよびクォータインナパネルのビード部により分散して受け止めることができる。
　そのため、後部ピラーインナパネルの板厚を小さくすることができ、後部ピラーインナパネルを軽量化でき、また、ビード部を設けることで増加するクォータインナパネルの重量を最小限に留めることができる。
　したがって、シートベルトから入力される荷重に対して十分な強度を確保しつつ車体の軽量化を図る上で有利となる。

アウタパネルに後部ピラーインナパネルとクォータインナパネルとが取り付けられた状態を車室側から見た図である。図１のクォータインナパネル部分を拡大した図である。クォータインナパネルの説明図である。図２の分解斜視図である。図２のＡＡ線断面図である。（Ａ）は図２のＢＢ線断面図、（Ｂ）はクォータインナパネルにビード部を設けない場合の断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
　図１は、アウタパネル１０に後部ピラーインナパネル１２とクォータインナパネル１４とが取り付けられた状態を車室側から見た図を示しており、車両は、リヤドアの後方で後部ピラーインナパネル１２の前方にクォータウインドガラス１６が設けられる形式のものである。図１にはリヤドアに対応するリヤドア用開口部１８、クォータウインドガラス１６が配置されたクォータウインドガラス用開口部２０が図示され、クォータウインドガラス用開口部２０は、図４に示すように、アウタパネル１０の開口１００２と、クォータインナパネル１４の開口１４０２とを含んで構成されている。
　アウタパネル１０は金属製で、車両の車幅方向外側の面を形成しており、アウタパネル１０の車幅方向の内側の面には、図１では省略されているが、後部ピラーインナパネル１２とクォータインナパネル１４に加え、センターピラーインナパネルやサイドルーフレールインナパネルなどの各種のインナパネルが接合されている。

　後部ピラーインナパネル１２は、アウタパネル１０の対応する部分と共に後部ピラー２２を構成する。
　図４、図５に示すように、後部ピラーインナパネル１２には、その車幅方向外側を覆うように補強部材であるピラーリンフォース２４が接合される。
　ピラーリンフォース２４は、後部ピラーインナパネル１２の全長よりも長い寸法で形成され、したがって、ピラーリンフォース２４は後部ピラーインナパネル１２の全長にわたって接合されている。
　また、ピラーリンフォース２４よりも外形が小さい別の補強部材であるベルトリンフォース２６がピラーリンフォース２４よりも車幅方向内側で後部ピラーインナパネル１２の上部で車幅方向外側に接合されている。

　図２に示すように、後部ピラーインナパネル１２には、車両の後部座席用のシートベルト２８０３を支持するシートベルトアンカ２８とリトラクタ（Ｅｍｅｒｇｅｎｃｙ　Ｌｏｃｋｉｎｇ　Ｒｅｔｒａｃｔｏｒ）２９とが取り付けられる。シートベルトアンカ２８は、後部座席用のシートベルト２８０３のうち乗員の上半身を拘束するショルダベルトを支持する部材である。リトラクタ２９は、シートベルト２８０３を乗員の体に装着する際にはシートベルト２８０３の繰り出しを許容し、車両に所定値を超える加速度が生じたときにロック状態に切り変わってシートベルト２８０３の繰り出しを阻止するものである。
　詳細には、シートベルトアンカ２８は、後述するクォータインナパネル１４の下横部１４Ｄの後部が接合された後部ピラーインナパネル１２の箇所に取り付けられる。
　図５に示すように、後部ピラーインナパネル１２およびベルトリンフォース２６には、同軸上にボルト挿通孔１２０２、２６０２がそれぞれ貫通形成され、ベルトリンフォース２６の車幅方向外側にはボルト挿通孔１２０２、２６０２と同軸上にナット２６０４が溶着されている。
　したがって、シートベルトアンカ２８は、シートベルトアンカ２８の取り付け孔２８０２を挿通したボルト２８０１がボルト挿通孔１２０２、２６０２を介してナット２６０４に螺合されることで後部ピラーインナパネル１２に取り付けられる。

　図１、図２に示すように、クォータインナパネル１４は、リヤドア用開口部１８と後部ピラーインナパネル１２との間に配置され、クォータインナパネル１４の後部は後部ピラーインナパネル１２に一体に接合され、残りの箇所はアウタパネル１０に接合されている。
　クォータインナパネル１４に設けられた開口１４０２は、クォータウインドガラス１６嵌め込み用のものである。
　クォータインナパネル１４は、クォータウインドガラス１６の周囲のインナパネル部分を形成するものであり、図２、図３に示すように、前縦部１４Ａと、後縦部１４Ｂと、上横部１４Ｃと、下横部１４Ｄとを備え、枠状に形成されている。

　図３に示すように、上横部１４Ｃは、開口１４０２に嵌め込まれたクォータウインドガラス１６の上縁に沿って車両の前後方向に延在している。
　下横部１４Ｄは、クォータウインドガラス１６の下縁に沿って前後方向に延在し、詳細には、下横部１４Ｄの上部は、クォータウインドガラス１６の下縁に沿って後部ピラー２２から前方に離れるにつれて下方に変位する傾斜で前後方向に延在している。
　前縦部１４Ａは、リヤドア用開口１８と、クォータウインドガラス１６の前部との間で上下に延在し上横部１４Ｃの前部と下横部１４Ｄの前部とを接続している。
　後縦部１４Ｂは、クォータウインドガラス１６の後部と後部ピラーインナパネル１２との間で上下に延在し上横部１４Ｃの後部と下横部１４Ｄの後部とを接続している。

　図２に示すように、クォータインナパネル１４に、シートベルトアンカ２８に対してシートベルト２８０３から荷重が加わる方向に沿って延在する車幅方向に凹凸形状のビード部３０が設けられている。
　図３に示すように、ビード部３０は下横部１４Ｄに設けられ、下横部１４Ｄの後端寄りの箇所から開口１４０２の下端に沿って車両前方に延在している。すなわち、ビード部３０の後端とシートベルトアンカ２８との距離が短く設定され、後述する車両衝突時にシートベルトアンカ２８に入力されるシートベルト２８０３の荷重をビード部３０で受け止める上でより有利となっている。
　クォータウインドガラス１６は、車両前後方向に横長状を呈し、ビード部３０の前端は、クォータウインドガラス１６の長さ方向の中間部よりも車両の前方に位置する箇所に位置している。すなわち、ビード部３０の長さが大きく確保され、後述する車両衝突時にシートベルトアンカ２８に入力されるシートベルト２８０３の荷重をビード部３０で受け止める上でより有利となっている。
　また、ビード部３０の輪郭をビード部３０の延在方向に沿って車両後方に延長した場合、その延長した輪郭の範囲３０Ａに、シートベルトアンカ２８の輪郭の一部が位置している。すなわち、シートベルトアンカ２８に対するビード部３０の位置関係をこのようにすることで、後述する車両衝突時にシートベルトアンカ２８に入力されるシートベルト２８０３の荷重をビード部３０で受け止める上でより有利となっている。

　図６（Ａ）に示すように、ビード部３０をその延在方向と直交する平面で切断した断面形状は、車幅方向外側に凸状である。したがって、ビード部３０の内側に、車幅方向内側に開放状の凹部３００２がビード部３０の延在方向に沿って延在形成されている。
　また、図６（Ａ）に示すように、クォータインナパネル１４の車幅方向内側に配置されるトリム３２と凹部３００２との間は、ビード部３０に沿って延在する細長形状の空間Ｓ、言い換えると車両の前後方向に延在する細長形状の空間Ｓとなっている。
　本実施の形態では、この空間Ｓに、テールゲートに設けられたルームランプやブレーキランプなどの電装部品用のハーネス３４が配置されている。

　次に作用効果について説明する。
　車両衝突時、引っ張り荷重がシートベルト２８０３、シートベルトアンカ２８を介して後部ピラーインナパネル１２に入力されて受け止められると共に、後部ピラーインナパネル１２とクォータインナパネル１４の後部とは接合されているため、荷重は後部ピラーインナパネル１２からクォータインナパネル１４に入力される。
　ここで、クォータインナパネル１４に、シートベルトアンカ２８に対してシートベルト２８０３から荷重が加わる方向に沿って延在するビード部３０が設けられているので、荷重はビード部３０によっても受け止められる。
　すなわち、荷重を後部ピラーインナパネル１２およびピラーリンフォース２４に加えクォータインナパネル１４のビード部３０により分散して受け止めることができる。
　そのため、従来に比較して後部ピラーインナパネル１２とピラーリンフォース２４の板厚を小さくすることができ、後部ピラーインナパネル１２とピラーリンフォース２４を軽量化できる。
　また、ビード部３０は、荷重が加わる方向に沿って延在しており、小さな断面で大きな荷重を受け止めることができるため、ビード部３０を設けることで増加するクォータインナパネル１４の重量を最小限に留めることができる。
　したがって、シートベルト２８０３から入力される荷重に対して十分な強度を確保しつつ車体の軽量化を図る上で有利となる。

　また、本実施の形態では、図６（Ａ）に示すように、トリム３２とビード部３０との間に車両の前後方向に延在する細長形状の空間Ｓが確保され、この空間Ｓに電装部品用のハーネス３４を配置できるので、図６（Ｂ）に示すように、ビード部３０を形成しない場合に比較してトリム３２を凹部３００２の深さＤ分だけ車幅方向外側にずらすことができる。
　したがって、車幅方向における車室内の空間を大きく確保する上で有利となる。

１０　アウタパネル
１２　後部ピラーインナパネル
１４　クォータインナパネル
１６　クォータウインドガラス
２２　後部ピラー
２８　シートベルトアンカ
３０　ビード部
３００２　凹部
３２　トリム
３４　ハーネス

Claims

　後部ピラーインナパネルの上部に設けられたシートベルトアンカと、
　前記後部ピラーインナパネルの前方に位置するクォータインナパネルとを備える車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記クォータインナパネルの後部は前記後部ピラーインナパネルに接合され、
　前記クォータインナパネルに、前記シートベルトアンカに対してシートベルトから荷重が加わる方向に沿って延在する凹凸形状のビード部が設けられている、
　ことを特徴とする。
　請求項１記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記ビード部をその延在方向と直交する平面で切断した断面形状は、車幅方向外側に凸状で、前記ビード部の内側に、車幅方向内側に開放状の凹部が前記ビード部の延在方向に沿って延在形成され、
　前記クォータインナパネルの車幅方向内側に配置されるトリムと前記凹部との間に電装部品用のハーネスが配置されている、
　ことを特徴とする。
　請求項１または２記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記車両は、リヤドア用開口が設けられたアウタパネルを有し、
　前記後部ピラーインナパネルは、前記アウタパネルの車幅方向の内側に接合され前記アウタパネルの後部で前記アウタパネルの上端から下方に延在し、
　前記クォータインナパネルは、前記リヤドア用開口と前記後部ピラーインナパネルとの間に配置され、
　前記後部を除く前記クォータインナパネルの残りの箇所は前記アウタパネルの車幅方向の内側に接合されている、
　ことを特徴とする。
　請求項３記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記クォータインナパネルにクォータウインドガラス嵌め込み用開口が設けられ、
　前記クォータインナパネルは、前記クォータウインドガラス嵌め込み用開口に嵌め込まれたクォータウインドガラスの下縁に沿って車両の前後方向に延在する下横部を有し、
　前記下横部の後部を含む前記クォータインナパネルの後部は前記後部ピラーインナパネルに一体に接合され、
　前記シートベルトアンカは、前記下横部の後部が接合された前記後部ピラーインナパネルの箇所に設けられ、
　前記ビード部は、前記下横部に設けられている、
　ことを特徴とする。
　請求項４記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記ビード部は、前記下横部の後端寄りの箇所から車両前方に延在している、
　ことを特徴とする。
　請求項５記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記クォータウインドガラスは、車両前後方向に横長状を呈し、
　前記ビード部の前端は、前記クォータウインドガラスの長さ方向の中間部よりも車両の前方に位置する箇所に位置している、
　ことを特徴とする。
　請求項１記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記ビード部の輪郭を前記ビード部の延在方向に沿って車両後方に延長した場合、その延長した輪郭の範囲に、前記シートベルトアンカの輪郭の一部が位置している、
　ことを特徴とする。
　請求項１記載の車両のシートベルト取り付け部の補強構造であって、
　前記後部ピラーインナパネルの上部で車幅方向外側にベルトリンフォースが接合され、
　前記シートベルトアンカは、前記後部ピラーインナパネルおよび前記ベルトリンフォースを貫通したボルトを介して前記後部ピラーインナパネルに取り付けられている、
　ことを特徴とする。