WO2015005016A1 - インバータの制御装置及びインバータの制御方法 - Google Patents

インバータの制御装置及びインバータの制御方法 Download PDF

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高橋 直樹
正治 満博
中村 英夫
晶子 二瓶
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日産自動車株式会社
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    • H02P21/00Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
    • H02P21/0003Control strategies in general, e.g. linear type, e.g. P, PI, PID, using robust control
    • H02P21/0021Control strategies in general, e.g. linear type, e.g. P, PI, PID, using robust control using different modes of control depending on a parameter, e.g. the speed

Definitions

  • the second motor control means is configured to generate a motor current based on the outputs of the current detector and the position detector. Execute feedback control, determine the phase of the rectangular wave voltage according to the deviation between the estimated torque of the AC motor and the torque command value, and apply the rectangular wave voltage according to the determined phase to the AC motor
  • Patent Document 1 A device for controlling voltage conversion in an inverter is disclosed.
  • FIG. 1 is a block diagram of an inverter control device according to an embodiment of the invention.
  • the inverter control device of this example when the inverter control device of this example is provided in an electric vehicle, the three-phase AC power permanent magnet motor 10 is driven as a travel drive source and coupled to the axle of the electric vehicle.
  • the motor control apparatus of this example is applicable also to vehicles other than electric vehicles, such as a hybrid vehicle (HEV), for example.
  • HEV hybrid vehicle
  • the interference voltage generator 2 stores a map for calculating dq-axis non-interference voltage command values (v * d_dcpl , v * q_dcpl ) using the input value as an index.
  • the dq-axis non-interference voltage command value (v * d_dcpl , v * q_dcpl ) when current flows in the d-axis and q-axis, the interference voltage of ⁇ L d i d on the d- axis and the interference voltage of ⁇ L q i q on the q-axis Therefore , the dq axis non-interference voltage command values (v * d_dcpl , v * q_dcpl ) are voltages for canceling the interference voltage.
  • the coordinate converter 4 receives the dq-axis voltage command value (v * d , v * q ) output from the control mode switch 18 and the electrical angle (phase amount) ( ⁇ comp ) output from the phase compensator 14.
  • the dq-axis voltage command values (v * d , v * q ) of the rotating coordinate system are converted into the u, v, and w-axis voltage command values (v * u , v * v , v * w ).
  • the w-phase current may be detected by the current sensor 9 provided in the w-phase.
  • the voltage amplitude command value (v * a ) When the dq axis voltage command value (v * dv_ini , v * qv_ini ), which is the voltage command value for initialization, is input to the voltage phase controller 17, the voltage amplitude command value (v * a ) and The calculation is performed using the dq-axis voltage command values (v * dv_ini , v * qv_ini ) instead of the voltage phase command value ( ⁇ * ). In the calculation after initialization, the voltage amplitude generation unit 15 and the voltage phase generation are performed. The voltage amplitude command value (v * a ) and the voltage phase command value ( ⁇ * ), which are calculation values of the unit 16, are used for calculation.
  • the coordinate converter 4 performs coordinate conversion using one of the rotation angles of the electrical angle ( ⁇ ) or the electrical angle ( ⁇ comp ), and in the current control mode, The dq-axis voltage command value (v * d , v * q ) calculated by the current vector controller 3 is output to the coordinate converter 4 and the command value is calculated by performing coordinate conversion using the electrical angle ( ⁇ ).
  • the dq axis voltage command values (v * d , v * q ) calculated by the voltage phase controller 17 are output to the coordinate converter 4 and the electrical angle ( ⁇ comp ) is calculated.
  • the command value is calculated, and the motor 10 is controlled based on the command value calculated by the coordinate converter 4.

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Abstract

モータ(10)を駆動するインバータ(6)の制御装置において、入力されるトルク指令値及び回転状態に基づき、モータ(10)の電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、回転状態に基づき、所定の位相余裕を得るための位相補償値を演算する位相補償値演算手段と、電流検出手段により検出される電流の検出値、電流指令値、及び位相補償値に基づき、モータ(10)の電流を制御する電流制御手段と、トルク指令値及び回転状態に基づきモータ(10)の電圧振幅指令値と電圧位相指令値とを演算する電圧指令値演算手段と、位相補償値でモータ(10)の電圧の指令値を補正し、電圧振幅指令値及び電圧位相指令値に基づき、モータ(10)の電圧位相を制御する電圧位相制御手段と、電流制御手段による電流制御モードと、電圧位相制御手段による電圧位相制御モードとのいずれか一方の制御モードを選択する制御モード選択手段とを備える。

Description

インバータの制御装置及びインバータの制御方法
 本発明は、インバータの制御装置及びインバータの制御方法に関するものである。
 本出願は、2013年7月11日に出願された日本国特許出願の特願2013-145350に基づく優先権を主張するものであり、文献の参照による組み込みが認められる指定国については、上記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
 交流モータを駆動するためのインバータを備えたモータ駆動システムの制御装置において、交流モータのモータ電流を検出し、交流モータの回転位置を検出し、交流モータの運転状態に応じて、インバータにおける電圧変換の制御方式を選択的に設定し、交流モータに矩形波電圧を印加する第1の制御方式を選択した場合に、トルク指令値に対するトルク偏差に応じて矩形波電圧の位相を調整するフィードバック制御によってトルク制御を行ない、パルス幅変調方式に従って交流モータへの印加電圧を制御する第2の制御方式を選択した場合に、トルク指令値に対応する電流指令値に対するモータ電流のフィードバック制御によってトルク制御を行い、第2のモータ制御手段は、電流検出器および位置検出器の出力に基づいて、モータ電流のフィードバック制御を実行し、交流モータの推定トルクとトルク指令値との偏差に応じて、矩形波電圧の位相を決定し、決定された位相に従った矩形波電圧が交流モータへ印加されるように、インバータでの電圧変換を制御するものが開示されている(特許文献1)。
特開2007-159368号公報
 しかしながら、上記のモータ駆動システムの制御装置において、モータ電流のフィードバック制御を行う第2の制御方式で、電圧指令値の位相を進める位相補償を施した場合には、当該第2制御モードから、矩形波電圧の位相を調整する第1の制御方式に切り替わった際に、位相補償により、電圧指令値の電圧位相に大きな偏差が生じてしまい、出力トルクが大きく変動する、という問題があった。
 本発明が解決しようとする課題は、制御モードの切り替える際に、電圧指令値の電圧位相の偏差を抑制しつつ、出力トルクの変動を抑制するインバータの制御装置及び制御方法を提供することである。
 本発明は、モータの回転状態に基づき、所定の位相余裕を得るための位相補償量を演算し、モータの電流の検出値、電流指令値、及び位相補償量に基づき、モータの電流を制御する電流制御モードによって、モータを制御し、また、トルク指令値及び当該回転状態に基づきモータの電圧振幅指令値と電圧位相指令値とを演算し、位相補償量でモータの電圧の指令値を補正しつつ、電圧振幅指令値及び電圧位相指令値に基づき、モータの電圧位相を制御する電圧位相制御モードによって、モータを制御し、電流制御モードと電圧位相制御モードとのいずれか一方の制御モードを選択することによって上記課題を解決する。
 本発明によれば、電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替わったとしても、電流制御モードで位相補償に用いた位相補償量で、電圧位相制御モードにおけるモータの電圧の指令値を補正しているため、電圧位相モードで不要な位相補償が施されず、制御モードの切り替える際に、電圧指令値の電圧位相の偏差を抑制しつつ、出力トルクの変動を抑制する、という効果を奏する。
本発明の実施形態に係るインバータの制御装置のブロック図である。 図1の電流制御以降判定部のブロック図である。 図1のインバータの制御装置の制御手順を示すフローチャートである。 図1のインバータの制御装置の制御手順を示すフローチャートである。 比較例に係るインバータ制御装置のトルク特性を示し、(a)は時間に対する電圧位相制御モードのフラグ特性を示し、(b)は時間に対するトルク指令値及びモータトルクの特性を示すグラフである。 本発明に係るインバータ制御装置のトルク特性を示し、(a)は時間に対する電圧位相制御モードのフラグ特性を示し、(b)は時間に対するトルク指令値及びモータトルクの特性を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係るインバータの制御装置のブロック図である。 図7の電圧位相制御初期化演算器のブロック図である。 図7の電流制御初期化演算器のブロック図である。
 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
 図1は、発明の実施形態に係るインバータ制御装置のブロック図である。詳細な図示は省略するが、本例のインバータ制御装置を電気自動車に設ける場合に、三相交流電力の永久磁石モータ10は、走行駆動源として駆動し、電気自動車の車軸に結合されている。なお本例のモータ制御装置は、例えばハイブリッド自動車(HEV)等の電気自動車以外の車両にも適用可能である。
 本例のインバータ制御装置は、モータ10の動作を制御する制御装置であって、電流指令生成部1と、干渉電圧生成部2と、電流ベクトル制御器3と、座標変換器4と、PWM変換器5と、インバータ(INV)6と、バッテリ7と、電圧センサ8と、電流センサ9と、モータ10と、磁極位置検出器11と、回転数演算器12と、座標変換器13と、位相補償器14と、電圧振幅生成部15と、電圧位相生成部16と、電圧位相制御器17と、制御モード切替器18と、電圧位相制御移行判定部19と、電流制御移行判定部20と、制御モード判定部21とを備えている。
 電流指令生成部1及び干渉電圧生成部2には、モータ10の出力目標値として外部より入力されるトルク指令値(T)、回転数演算器12の出力である、モータ10の回転状態を示す回転数(N)、及び、バッテリ7の検出電圧である電圧(Vdc)が入力される。電流指令生成部1には、トルク指令値(T)、回転数(N)、電圧(Vdc)を指標として、dq軸電流指令値(i 、i )を演算するためのマップが格納されている。電流指令生成部1は、当該マップを参照することにより、入力されたトルク指令値(T)、回転数(N)及び電圧(Vdc)に対応する、dq軸電流指令値(i 、i )を演算し、出力する。これにより、電流指令生成部1は、トルク指令値及びモータ10の回転状態に基づき、モータ10の電流指令値(i 、i )を演算する。ここで、dq軸は、回転座標系の成分を示している。
 干渉電圧生成部2は、入力値を指標として、dq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)を演算するためのマップが格納されている。dq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)について、d軸及びq軸に電流が流れると、d軸にはωL、q軸にはωLの干渉電圧が発生するため、dq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)は当該干渉電圧を打ち消すための電圧である。
 電流ベクトル制御器3は、dq軸電流指令値(i 、i )、dq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)、及びdq軸電流(i、i)に基づき、非干渉制御と電流フィードバック制御(PI制御)を行い(電流ベクトル制御)、dq軸電圧指令値(v di、v qi)を、制御モード切替器18に出力する。電流ベクトル制御器3は、dq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)に基づく非干渉制御を行いつつ、電流センサ9の検出値に相当するdq軸電流(i、i)を、dq軸電流指令値(i 、i )に追随させるように、dq軸電圧指令値(v di、v qi)を演算する。
 座標変換器4は、制御モード切替器18から出力されるdq軸電圧指令値(v 、v )及び位相補償器14から出力される電気角(位相量)(θcomp)を入力として、下記の式(1)を用いて、回転座標系のdq軸電圧指令値(v 、v )を固定座標系のu、v、w軸の電圧指令値(v 、v 、v )に変換する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 PWM変換器5は、入力される三相交流電圧指令値(v 、v 、v )に基づき、インバータ6のスイッチング素子の駆動信号(D uu、D ul、D vu、D vl、D wu、D wl)を生成し、インバータ6に出力する。スイッチング素子は、駆動信号に基づいてオン及びオフを切り換える。なお、PWM変換器5は、駆動信号(D uu、D ul、D vu、D vl、D wu、D wl)を生成する際に、デッドタイム補償や電圧利用率向上処理を行っている。
 インバータ6は、MOSFETやIGBT等のスイッチング素子(図示しない)を対に接続した回路を複数接続した三相インバータ回路により構成され、バッテリ7とモータ10との間に接続されている。各スイッチング素子には、駆動信号(D uu、D ul、D vu、D vl、D wu、D wl)が入力される。そして、当該スイッチング素子のスイッチング動作により、バッテリ7の直流電圧が交流電圧(v、v、v)に変換され、モータ10に入力される。またモータ10が発電機として動作する場合には、インバータ6はモータ10から出力される交流電圧を直流電圧に変換しバッテリ7に出力する。これによりバッテリ7が充電される。
 バッテリ7は、二次電池を含む直流電源であり、本例の車両の動力源となる。電圧センサ8はバッテリ7の電圧を検出するためのセンサである。
 電流センサ9は、U相及びV相にそれぞれ設けられ、相電流(i、i)を検出し、座標変換器13に出力する。w相の電流は、電流センサ9により検出されず、代わりに、座標変換器13は、入力された相電流(i、i)に基づき、下記の式(2)を用いて、w相の相電流(i)を演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 なお、w相の相電流について、w相に電流センサ9を設け、当該電流センサ9により検出してもよい。
 モータ10は、多相モータであり、インバータ6に接続されている。またモータ10は発電機としても動作する。磁極位置検出器11はモータ10に設けられ、モータ10の磁極の位置を検出する検出器であり、磁極の位置に応じたA相、B相及びZ相のパルスをカウントすることで、モータ10の回転子の位置情報である電気角(θ)を、モータ10の回転状態を示す検出値として取得し、回転数演算器12、座標変換器13、及び位相補償器14に出力する。回転数演算器12は、磁極位置検出器11の電気角(θ)の時間あたりの変化量から、モータ10の回転数(N)を演算する。
 座標変換器13は、3相2相変換を行う制御部であり、電流センサ9で検出された電流(i、i)及び式(2)により演算した電流(i)を、電気角(θ)を用いて、下記の式(3)により、固定座標系から回転座標系のdq軸電流(i、i)に変換する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 位相補償器14は、モータ10の回転状態に基づき、所定の位相余裕を得るための位相補償量(位相補償値)(θpm)を演算するための補償器である。モータ10の固有の特性として、高周波領域ではゲイン余裕が低下し、また低周波領域では位相余裕が低下する。そのため、位相補償器14は、これらのゲイン余裕の低下及び位相余裕の低下を抑制するための補償器である。
 位相補償量(θpm)は、モータ10の固有の特性に基づいて決まる値であって、予め設定されている値である。本例では、外部から入力されるトルク指令値(T)、バッテリ7の検出電圧(Vdc)、モータ10の角周波数(ω)、及び、モータの温度と、位相補償時間(tpm)とを対応づけるルックアップテーブルが位相補償器14に格納されている。そして、外部から入力されるトルク指令値(T)、バッテリ7の検出電圧(Vdc)、モータ10の回転速度(ω)、及び、モータの温度を入力とし、当該テーブルを参照することで、位相補償時間(tpm)を演算する。さらに、角周波数(ω)とテーブルの出力値である位相補償時間(tpm)との積をとることで、位相補償値(θpm)が演算される。なお、位相補償値(θpm)の詳細な演算方法等については、日本国特許公開2013-017301号公報を参照されたい。
 そして、位相補償器14は、下記の式(4)で示されるように、電気角(θ)に、位相補償値(θpm)を加算することで、電気角(θcomp)を演算し、座標変換器4に出力される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 すなわち、座標変換器4では、式(4)で示されるように、電気角(θ)に位相補償量(θpm)を加算した電気角を用いて、座標変換を行っていることになる。そのため、本例では、電流制御モードにおいて、dq軸電圧指令値(v 、v )の位相を、モータ10の回転方向に、位相補償量(θpm)分、進めることで、位相を補償し、位相余裕を高めている。
 以上の構成により、電流フィールド制御ループにより、モータ10の電流を制御している(この制御モードを電流制御モードと称す。)。また、本例では、電圧位相制御により、モータの電圧位相を制御している。電圧位相制御は、モータ10に印加する電圧(疑似電圧)を、バッテリ7の電圧に基づく所定電圧で維持させつつ、位相を変化させることで、トルクを制御する制御であり、言い換えると、矩形波制御である(この制御モードを、電圧位相制御モードと称す。)。以下、電圧位相制御を行うための構成について、説明する。
 電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16は、トルク指令値(T)と、回転数(N)、及び、バッテリ7の電圧(Vdc)が入力される。電圧振幅生成部15には、トルク指令値(T)、回転数(N)、電圧(Vdc)を指標として、(i 、i )を出力するためのマップが格納されている。電圧振幅生成部15は、当該マップを参照することにより、入力されたトルク指令値(T)、回転数(N)及び電圧(Vdc)に対応する、電圧振幅指令値(V )を演算し、電圧位相制御器17に出力する。
 電圧位相生成部16は、入力値を指標として、電圧位相指令値(α)を演算するためのマップが格納されている。電圧位相生成部16は、当該マップを参照することにより、入力されたトルク指令値(T)、回転数(N)及び電圧(Vdc)に対応する、電圧位相指令値(α)を演算し、電圧位相制御器17に出力する。これにより、電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16は、モータ10の回転状態及びトルク指令値に基づき、電圧振幅指令値(V )及び電圧位相指令値(α)を演算する。
 電圧位相制御器17は、電圧振幅指令値(V )及び電圧位相指令値(α)に基づき、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算する。また、電圧位相制御器17は、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算する際、電圧位相指令値(α)から位相補償量(θpm)を減算する減算処理を行うことで、位相補償量(θpm)でモータ10の電圧の指令値を補正している。減算処理は、以下の式(5)で表され、電圧位相指令値(α)から位相補償量(θpm)の差分をとり、補正後電圧位相指令値(α comp)を演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 そして、電圧位相制御器17は、以下の式(6)で示されるように、補正された補正後電圧位相指令値(α comp)及び電圧振幅指令値(V )に基づき、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算し、制御モード切替器18に出力する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 制御モード切替器18は、制御モード判定部21で判定された制御モードの判定結果に基づいて、dq軸電流指令値(v di、v qi)又はdq軸電圧指令値(v dv、v qv)のいずれか一方を選択して、座標変換器4に出力することで、制御モードを切り替える。制御モード判定部21の判定結果が電流制御モードである場合には、制御モード切替器18は、dq軸電流指令値(v di、v qi)を座標変換器4に出力する。一方、制御モード判定部21の判定結果が電圧位相制御モードである場合には、制御モード切替器18は、dq軸電流指令値(v dv、v qv)を座標変換器4に出力する。
 電圧位相制御器17により演算されたdq軸電流指令値(v dv、v qv)が制御モード切替器18を介して、座標変換器4に出力されると、座標変換器4は、上記と同様に、位相補償器14から出力される電気角(θcomp)を用いて、固定座標系のu、v、w軸の電圧指令値(v 、v 、v )に変換し、PWM変換器5に出力される。このとき、dq軸電流指令値(v dv、v qv)の位相成分は、電圧位相制御器17の減算処理によって、位相補償量(θpm)分、モータ10の回転方向とは逆方向に補正されている。一方、座標変換器4では、電圧指令値の位相成分が、位相補償量(θpm)分、モータ10の回転方向に補正されている。すなわち、電圧位相制御時には、位相余裕の補償の影響が相殺されるように、電圧の指令値の位相成分が補正されている。
 電圧位相制御移行判定部19は、トルク指令値(T)、モータ10の回転数(N)、及び、バッテリ7の電圧(Vdc)に基づき、電流制御モードから電圧位相制御モードに移行するか否かを判定している。電圧位相制御移行判定部19には、電流制御モードから電圧位相制御モードへの切り替えを判定するためのトルク閾値が予め設定されている。トルク閾値は、モータ10の回転数(N)及びバッテリ7の電圧(Vdc)と相関性を有しており、電圧位相制御移行判定部19には、この相関性を表すマップが予め格納されている。
 電圧位相制御移行判定部19は、マップを参照しつつ、モータ10の回転数(N)及びバッテリ7の電圧(Vdc)に対応するトルク閾値を演算する。そして、電圧位相制御移行判定部19は、トルク指令値(T)とトルク閾値とを比較し、電圧位相制御移行判定部19は、トルク指令値(T)がトルク閾値より高い場合に、電流制御モードから電圧位相制御モードに移行する、と判定する。電圧位相制御移行判定部19は、電流制御モードから電圧位相制御モードに移行すると判定した場合には、電圧位相モードへ移行するための要求信号を、制御モード判定部21に出力する。なお、トルク閾値は、制御モードの切り替えを判定するための閾値である。
 電流制御移行判定部20は、dq軸電流指令値(i 、i )及びdq軸電流(i、i)に基づき、電圧位相制御モードから電流制御モードに移行するか否かを判定している。図2は、電流制御移行判定部20のブロック図である。
 図2に示すように、電流制御移行判定部20は、規範応答フィルタ201と、加算器202、203と、電流振幅比較器204とを有している。規範応答フィルタ201は、所定の時定数(τia)を含んだ1次遅れフィルタである。なお、図2の規範応答フィルタ201の一般式のうち、sはラプラス変換子を表す。dq軸電流指令値(i 、i )は、規範応答フィルタ201によりフィルタ処理を施される。フィルタ処理後に、それぞれの二乗値は、加算器202で加算される。そして、この二重和(i a_LPF )は、電流振幅比較器204に入力される。
 dq軸電流(i、i)の二重値は加算器203で加算され、この二重和(i )は、電流振幅比較器204に入力される。電流振幅比較器204は、それぞれの二重和(i a_LPF 、i )を比較しつつ、以下の表1に基づき、電流制御移行を判定する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 二重和(i a_LPF )が二重和(i )以下である場合には、電流制御移行判定部20は、電圧位相制御モードから電流制御モードに移行すると判定し、電流制御モードへ移行するための要求信号を、制御モード判定部21に出力する。一方、二重和(i a_LPF )が二重和(i )より高いである場合には、電流制御移行判定部20は、電圧位相制御モードから電流制御モードに移行すると判定せず、制御モード変更の要求信号を、出力しない。
 制御モード判定部21は、電圧位相制御移行判定部19及び電流制御移行判定部20からの要求信号に基づき、電圧位相制御モード又は電流制御モードのいずれか一方の制御モードとするか判定する。具体的には、制御モード判定部21は、電流制御モードでモータ10を制御しているときに、電圧位相制御移行判定部19から、電圧位相制御モードへ移行するための要求信号を受信した場合には、制御モード判定部21は、電流制御モードから電圧位相制御モードへ切り替えると判定する。一方、制御モード判定部21は、電圧位相制御モードでモータ10を制御しているときに、電流制御移行判定部20から、電流制御モードへ移行するための要求信号を受信した場合には、制御モード判定部21は、電圧位相制御モードから電流制御モードへ切り替えると判定する。そして、制御モード判定部21は、判定結果を制御モード切替器18に出力する。
 次に、図3及び図4を用いて、本例のインバータの制御装置の制御フローを説明する。図3は、電流制御モード時の制御手順を示すフローチャートである。図4は、電圧位相制御モード時の制御手順を示すフローチャートである。
 まず、電流制御のフローを説明する。図3に示すように、ステップS11にて、図1の制御ブロックを有したコントローラは、外部からトルク指令値(T)を取得しつつ、電圧センサ8等の各種センサの検出値に基づいて、dq軸電流(i、i)、電気角(θ)、バッテリ電圧(Vdc)、モータ回転数(N)を取得する。
 ステップS12にて、電圧位相制御移行判定部19は、回転数(N)及びバッテリ7の電圧(Vdc)に基づいて、トルク閾値(Tth)を演算する。ステップS13にて、電圧位相制御移行判定部19は、トルク指令値(T)とトルク閾値(Tth)とを比較する。トルク指令値(T)がトルク閾値(Tth)以上である場合には、電流制御モードから電圧位相制御モードへ移行するために、電圧位相制御移行判定部19は、電圧位相制御モードへの移行の要求信号を、制御モード判定部21に出力しつつ、ステップS20に移る。ステップS20では、後述する電圧位相制御モードの制御フローが行われる。
 一方、トルク指令値(T)がトルク閾値(Tth)未満である場合には、電圧位相制御移行判定部19は、電圧位相制御モードへの移行の要求信号を出力せずに、電流制御モードが維持され、ステップS14~S17の電流制御処理が行われる。
 ステップS14にて、電流指令生成部1は、電流指令値(i 、i )を生成する。ステップS15にて、電流ベクトル制御器3は、電流ベクトル制御により、dq軸電圧指令値(v di、v qi)を演算する。ステップS16にて、座標変換器4は、dq軸電圧指令値(v 、v )を、位相補償後の電気角(θcomp)を用いて、三相交流電圧指令値(v 、v 、v )に変換する。そして、ステップS17にて、PWM変換器は、三相交流電圧指令値(v 、v 、v )に基づき、インバータ6のスイッチング信号を生成して、インバータ6のスイッチング動作により、モータ10が制御される。
 次に、電圧位相制御のフローを説明する。図4に示すように、ステップS21にて、図1の制御ブロックを有したコントローラは、外部からトルク指令値(T)を取得しつつ、電圧センサ8等の各種センサの検出値に基づいて、dq軸電流(i、i)、電気角(θ)、バッテリ電圧(Vdc)、モータ回転数(N)を取得する。
 ステップS22にて、電流制御移行判定部20は、電流値(i a_LPF 、i )を演算する。ステップS23にて、電流制御移行判定部20は、電流値(i a_LPF )と電流値(i )とを比較する、電流値(i )が電流値(i a_LPF )以上である場合には、電圧位相制御モードから電流制御モードへ移行するために、電流制御移行判定部20は、電流制御モードへの移行の要求信号を、制御モード判定部21に出力しつつ、ステップS10に移る。ステップS10では、前述した電流制御モードの制御フローが行われる。
 一方、電流値(i a_LPF )が電流値(i )未満である場合には、電流制御移行判定部20は、電流制御モードへの移行の要求信号を出力せずに、電圧位相制御モードが維持され、ステップS24~S28の電圧位相制御処理が行われる。
 ステップS24にて、電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16は、電圧振幅指令値(V )及び電圧位相指令値(α)を演算する。ステップS25にて、電圧位相制御器17は、電圧位相指令値(α)から位相補償量(θpm)を減算することで、補正後電圧位相指令値(α comp)を演算する。
 ステップS26にて、電圧位相制御器17は補正後電圧位相指令値(α comp)及び電圧振幅指令値(V )に基づき、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算する。ステップS27にて、座標変換器4は、dq軸電圧指令値(v 、v )を、位相補償後の電気角(θcomp)を用いて、三相交流電圧指令値(v 、v 、v )に変換する。そして、ステップS28にて、PWM変換器は、三相交流電圧指令値(v 、v 、v )に基づき、インバータ6のスイッチング信号を生成して、インバータ6のスイッチング動作により、モータ10が制御される。
 次に、本発明の効果について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、比較例に係るインバータ制御装置におけるトルク特性を説明するためのグラフであり、(a)は時間に対する電圧位相制御モードのフラグ特性を示し、(b)は時間に対するトルク指令値及びモータトルクの特性を示すグラフである。なお、比較例では、電圧位相制御モードにおいて、本発明のような位相補償量(θpm)に基づく電圧の指令値の補正を行っておらず、図1の電圧位相制御器17に相当する機能ブロックでは、電圧位相指令値(α)から位相補償量(θpm)を減算する処理を行うことなく、電圧位相指令値(α)及び電圧振幅指令値(V )からdq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算している。
 図6は、本発明に係るインバータ制御装置におけるトルク特性を説明するためのグラフであり、(a)は時間に対する電圧位相制御モードのフラグ特性を示し、(b)は時間に対するトルク指令値及びモータトルクの特性を示すグラフである。
 また、図5及び図6に示す特性の条件として、時間(t)で、トルクステップ応答(例えば、回転数が9000[rpm]であり、トルク0から50[Nm]に変化する場合)に相当するトルク指令値が入力されて、時間(t)のタイミングで、制御モードが電流制御モードから電圧位相制御モードへ切り替わった、とする。
 本発明では、電圧位相制御モードにおいて、位相余裕の補償の影響が、位相補償量(θpm)に基づき電圧の指令値を補正することで、相殺される。そのため、図6に示すように、時間(t)以降、トルクの定常偏差が小さく、トルク指令値に対してモータトルクが滑らかに推移していることが確認できる。また、本発明では、電圧位相が過渡的な偏差をもっていないため、モータトルクがトルク指令値に対してオーバシュートしおらず、トルク応答性が良好になっている。
 上記のように、本例では、モータ10の回転状態に基づき、位相補償量(θpm)を演算し、モータ10の電流の検出値、電流指令値、及び位相補償量(θpm)に基づき、モータ10の電流を制御する電流制御モードによって、モータを制御し、また、トルク指令値(T)及びモータ10の回転状態に基づきモータの電圧振幅指令値(V )と電圧位相指令値(α)とを演算し、位相補償量(θpm)でモータ10の電圧の指令値(α)を補正しつつ、電圧振幅指令値(V )及び電圧位相指令値に基づき、モータの電圧位相を制御する電圧位相制御モードによって、モータを制御し、電流制御モードと電圧位相制御モードとのいずれか一方の制御モードを選択する。
 これにより、電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替わったとしても、電圧位相モードで不要な位相補償が施されない。また、電流制御にモードにおいて位相余裕を補償するために変更した電圧指令値と、電圧位相制御で設定する電圧指令値との間で段差が小さく、連続的に切り替わるため、制御モードの切り替え時のトルク段差が抑制される。その結果として、本例は、制御モードの切り替える際に、電圧指令値の電圧位相の偏差を抑制しつつ、出力トルクの変動を抑制することができる。
 また本例は、電圧位相指令値(α)から位相補償量(θpm)を減算する減算処理により補正された電圧位相指令値(α comp)、及び、電圧振幅指令値(V )に基づき、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算し、座標変換器4において、電気角(θcomp)を用いて、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を電圧指令値(v 、v 、v )に変換し、電圧指令値(v 、v 、v )に基づいて、モータ10の電圧位相を制御する。これにより、電圧位相制御モード時には、位相余裕の補償の影響が相殺されるため、制御モードの切り替える際に、電圧指令値の電圧位相の偏差を抑制しつつ、出力トルクの変動を抑制することができる。
 なお、図1に示すように、本例は、電圧位相制御に係る構成をフィードフォワード型の制御系としたが、電流センサ9の検出値からトルク推定値を演算し、トルク推定値をフィードバックさせる制御系であっても、図6と同様の特性を得ることができる。なお、トルク推定値は、モータ10の定数と、電流センサ9の検出値から理論式により演算すればよい。
 また、電流制御モードに係る構成のうち、非干渉制御に係る構成をフィードフォワード側の制御系としたが、検出電流に基づくフィードバック側の制御系であってもよい。
 また、図6を用いた本発明の効果の説明では、電流制御モードから電圧位相制御モードへの切り替えを例としたが、電圧位相制御モードから電流制御モードへの切り替えであっても、同様の効果を奏する。
 上記の電流指令生成部1が本発明の「電流指令値演算手段」に相当し、位相補償器14が本発明の「位相補償量演算手段」に相当し、電流ベクトル制御器3、座標変換器4が本発明の「電流制御手段」に相当し、電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16が本発明の「電圧指令値演算手段」に相当し、電圧位相制御器17及び座標変換器4が本発明の「電圧位相制御手段」に相当し、制御モード切替器18及び制御モード判定部21が本発明の「制御モード選択手段」に相当し、座標変換器4が本発明の「座標変換手段」に相当する。
《第2実施形態》
 図7は、発明の他の実施形態に係るインバータの制御装置のブロック図である。本例では上述した第1実施形態に対して、電圧位相制御初期化演算器22、電流制御初期化演算器23、及びトルク演算器24を設ける点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
 図7に示すように、本発明の他の実施形態に係るインバータの制御装置は、電流指令生成部1等に加えて、電圧位相制御初期化演算器22、電流制御初期化演算器23、及びトルク演算器24を備えている。
 座標変換器4は、制御モード判定部21からの出力に基づき、座標変換する際の回転角を、電気角(θ)又は電気角(θcomp)のいずれか一方の回転角を用いて座標変換をする。すなわち、制御モード判定部21の出力から、電流制御モードで制御する場合には、座標変換器4は、制御モード切替器18から出力されるdq軸電圧指令値(v 、v )を、電気角(θcomp)を用いて座標変換する。一方、制御モード判定部21の出力から、電圧位相制御モードで制御する場合には、座標変換器4は、制御モード切替器18から出力されるdq軸電圧指令値(v 、v )を、電気角(θ)を用いて座標変換する。電流制御モードにおける座標変換器4の演算式は以下の式(7)で表され、電圧位相制御モードにおける座標変換器4の演算式は以下の式(8)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 電圧位相制御初期化演算器22の構成を、図8に示す。図8は、電圧位相制御初期化演算器22のブロック図である。
 図8に示すように、電圧位相制御初期化演算器22は、電流制御モードから電圧位相制御モードに切り替え時の直前又は切り替え時に、電流ベクトル制御器3で演算されたdq軸電圧指令値(v di_z、v qi_z)を、位相補償量(θpm)を用いて、座標変換することで、dq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)を演算し、電圧位相制御器17に出力する。すなわち、電圧位相制御初期化演算器22は、dq軸電圧指令値(v di_z、v qi_z)の位相を、位相補償量(θpm)分、モータ10の回転方向に補正し、補正されたdq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)を、電圧位相制御器17に出力することで、電圧位相制御器17を初期化する。電圧位相制御初期化演算器22は、電流制御モードから電圧位相制御モード切り替え時に動作する。dq軸電圧指令値(v di_z、v qi_z)は、モード切り替え時の前に演算された前回値である。前回値は、モードの切り替えと、電圧の位相値の演算のタイミングが同期した場合には、モードの切り替え時、または、モードの切り替えの直前の演算値とすればよい。
 dq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)が電圧位相制御器17に入力されると、電圧位相制御器17は、電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16で演算される電圧振幅指令値(v )及び電圧位相指令値(α)の変わりに、dq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)を用いて、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算する。これにより、電圧位相制御器17は初期化される。
 電流制御初期化演算器23の構成を、図9に示す、図9は電流制御初期化演算器23のブロック図である。
 図9に示すように、電流制御初期化演算器23は、電圧位相制御モードから電流制御モードに切り替えた時の直前又は切り替え時に、電圧位相制御器17で演算されたdq軸電圧指令値(v dv_z、v qv_z)を、位相補償値(-θpm)を用いて、座標変換することで、dq軸電圧指令値(v di_ini、v qi_ini)を演算し、電流ベクトル制御器3に出力する。すなわち、電流制御初期化演算器23は、dq軸電圧指令値(v dv_z、v qv_z)の位相を、位相補償値(θpm)分、モータ10の回転方向と逆方向に補正し、補正されたdq軸電圧指令値(v di_ini、v qi_ini)を、電流ベクトル制御器3に出力することで、電流ベクトル制御器3を初期化する。電流制御初期化演算器23は、電圧位相制御モードから電流制御モード切り替え時に動作する。dq軸電圧指令値(v dv_z、v qi_z)は、上記のdq軸電圧指令値(v di_z、v qi_z)と同様に、モード切り替え時の前に演算された前回値である。
 dq軸電圧指令値(v di_ini、v qi_ini)が電流ベクトル制御器3に入力されると、電流ベクトル制御器3は、電流指令生成部1で演算されたdq軸電圧指令値(i 、i )及び干渉電圧生成部2で演算されたdq軸非干渉電圧指令値(v d_dcpl、v q_dcpl)の代わりに、dq軸電圧指令値(v di_ini、v qi_ini)を用いて、dq軸電圧指令値(v di、v qi)を演算する。これにより、電流ベクトル制御器3は初期化される。電圧位相制御器17は、初期化後の演算では、電流指令生成部1及び干渉電圧生成部2の演算値に基づいて、dq軸電圧指令値(v*di、v*qi)を演算する。
 トルク演算器24は、トルク指令値(T)、モータ10の回転数(N)、バッテリ7の電圧(Vdc)、及びdq軸電流(i、i)に基づき、トルク推定値(Tcal)を演算し、電圧位相制御器17に出力する。トルク演算器24には、トルク指令値(T)、モータ10の回転数(N)、及びバッテリ7の電圧(Vdc)を指標として、磁石磁束(Φ)及びdq軸リアクタンス(L、L)を演算するためのマップが予め格納されている。当該マップにより示される相関性は、モータ10の所定の温度において、実験又は解析により予め決まる。そして、トルク演算器24は、マップを参照しつつ、トルク指令値(T)、回転数(N)及び電圧(Vdc)に対応する磁石磁束(Φ)及びdq軸リアクタンス(L、L)を演算する。
 次に、トルク演算器24は、磁石磁束(Φ)及びdq軸リアクタンス(L、L)に対して、以下の式(9)を用いて、トルク推定値(Tcal)を演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
 なお、pは極対数を示す。
 電圧位相制御器17は、トルク指令値(T)とトルク推定値(Tcal)との差分に対して、式(10)に示すように、PI制御の処理によって、増幅された値を、トルクフィードバック電圧位相(αFB)として演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
 なお、Kは比例ゲインを示し、Kは積分ゲインを示す。
 次に、電圧位相制御器17は、式(11)に示すように、電圧位相指令値(α)に、トルクフィードバック電圧位相(αFB)を加算することで、最終電圧位相指令値(α fin)を演算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
 電圧位相制御器17は、式(12)に示すように、最終電圧位相指令値(α fin)及び電圧振幅位相値(v )から、dq軸電圧指令値(v dv、v qv)を演算し、制御モード切替器18に出力する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000013
 上記の電圧位相制御器17は、初期化の電圧指令値である、dq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)が入力された場合には、電圧振幅指令値(v )及び電圧位相指令値(α)の代わりに、dq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)を用いて演算を行うが、初期化後の演算では、電圧振幅生成部15及び電圧位相生成部16の演算値である電圧振幅指令値(v )及び電圧位相指令値(α)を用いて、演算する。
 上記のように、本例は、座標変換器4において、電気角(θ)又は電気角(θcomp)のいずれか一方の回転角を用いて座標変換を行い、電流制御モードの場合には、電流ベクトル制御器3により演算されたdq軸電圧指令値(v 、v )を座標変換器4に出力して、電気角(θ)を用いて座標変換して指令値を演算し、電圧位相制御モードの場合には、電圧位相制御器17により演算されたdq軸電圧指令値(v 、v )を座標変換器4に出力して、電気角(θcomp)を用いて座標変換して指令値を演算し、座標変換器4で演算された指令値に基づいてモータ10を制御する。これにより、電流制御モードと電圧位相制御モードを切り替えるトルク制御系において、電流制御時のみ位相余裕が補償される構成となるため、電圧位相モードで不要な位相補償が施されず、出力トルクの変動を抑制することができる。
 また本例は、dq軸電圧指令値(v di_z、v qi_z)の位相を、位相補償値(θpm)分、モータ10の回転方向に補正し、補正されたdq軸電圧指令値(v dv_ini、v qv_ini)を用いて、電圧位相制御器17を初期化する。これにより、電流制御モードから電圧位相制御モードへの切り替え時に、不要なトルク段差を発生させることなく滑らかな切り替えを行うことができる。
 また本例は、dq軸電圧指令値(v dv_z、v qv_z)の位相を、位相補償値(θpm)分、モータ10の回転方向と逆方向に補正し、補正されたdq軸電圧指令値(v di_ini、v qi_ini)を用いて、電流ベクトル制御器3を初期化する。これにより、電圧位相制御モードから電流制御モードへの切り替え時に、不要なトルク段差を発生させることなく滑らかな切り替えを行うことができる。
 さらに、本発明のインバータ制御装置のトルク応答は、実施形態1に係るインバータ制御装置のトルク応答(図6を参照)と同様の特性を得ることができる。
1…電流指令生成部
3…電流ベクトル制御器
4…座標変換器
15…電圧振幅生成部
16…電圧位相生成部
17…電圧位相制御器
18…制御モード切替器
21…制御モード判定部
22…電圧位相制御初期化制御器
23…電流制御初期化制御器

Claims (6)

  1. モータを駆動するインバータの制御装置において、
     前記モータの回転状態を検出する回転状態検出手段と、
     前記モータの電流を検出する電流検出手段と、
     入力されるトルク指令値及び前記回転状態に基づき、前記モータの電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、
     前記回転状態に基づき、所定の位相余裕を得るための位相補償量を演算する位相補償量演算手段と、
     前記電流検出手段により検出される前記電流の検出値、前記電流指令値、及び前記位相補償量に基づき、前記モータの電流を制御する電流制御手段と、
     前記トルク指令値及び前記回転状態に基づき前記モータの電圧振幅指令値と電圧位相指令値とを演算する電圧指令値演算手段と、
     前記位相補償量で前記モータの電圧の指令値を補正し、前記電圧振幅指令値及び前記電圧位相指令値に基づき、前記モータの電圧位相を制御する電圧位相制御手段と、
     前記電流制御手段による電流制御モードと、前記電圧位相制御手段による電圧位相制御モードとのいずれか一方の制御モードを選択する制御モード選択手段とを備える
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  2. 請求項1記載のインバータの制御装置において、
     入力される指令値を、前記モータの位相に前記位相補償量を加算した回転角を用いて座標変換する座標変換手段を備え、
    前記電流制御手段は、
     前記電流の検出値を前記電流指令値に追随させる前記モータの第1電圧指令値を演算し、
     前記第1電圧指令値を前記座標変換手段に出力して、前記座標変換手段により座標変換された指令値で前記モータの電流を制御し、
    前記電圧位相制御手段は、
     前記電圧位相指令値から前記位相補償量を減算する減算処理により補正された前記電圧位相指令値、及び、前記電圧振幅指令値に基づき、第2電圧指令値を演算し、
     前記第2電圧指令値を前記座標変換手段に出力して、前記座標変換手段により座標変換された指令値で前記モータの電圧位相を制御する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  3. 請求項1記載のインバータの制御装置において、
     入力される指令値を、前記モータの位相に相当する第1回転角、又は、前記位相に前記位相補償量を加算した第2回転角のいずれか一方の回転角を用いて座標変換する座標変換手段を備え、
    前記電流制御手段は、
     前記電流の検出値を前記電流指令値に追随させる前記モータの第3電圧指令値を演算し、
     前記第3電圧指令値を前記座標変換手段に出力して、前記座標変換手段により前記第1回転角を用いて座標変換された指令値で前記モータの電流を制御し、
    前記電圧位相制御手段は、
     前記電圧位相指令値、及び、前記電圧振幅指令値に基づき、第4電圧指令値を演算し、
     前記第4電圧指令値を前記座標変換手段に出力して、前記座標変換手段により前記第2回転角を用いて座標変換された指令値で前記モータの電圧位相を制御する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  4. 請求項3記載のインバータの制御装置において、
    前記電圧位相制御手段は、
     前記電流制御モードから前記電圧位相制御モードへ切り替える際には、モードの切り替え時の直前又は切り替え時に演算された前記第3電圧指令値の位相を、前記位相補償量分、前記モータの回転方向に補正し、かつ、補正された電圧指令値を用いて、前記第4電圧指令値を演算する演算器を初期化する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  5. 請求項3又は4記載のインバータの制御装置において、
    前記電流制御手段は、
     前記電圧位相制御モードから前記電流制御モードへ切り替える際には、モードの切り替え時の直前又は切り替え時に演算された前記第4電圧指令値の位相を、前記位相補償量分、前記モータの回転方向と逆方向に補正し、かつ、補正された電圧指令値を用いて、前記第3電圧指令値を演算する演算器を初期化する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  6. モータを駆動するインバータの制御方法において、
     前記モータの回転状態を検出する工程と、
     前記モータの電流を検出する電流検出工程と、
     入力されるトルク指令値及び前記回転状態に基づき、前記モータの電流指令値を演算する工程と、
     前記回転状態に基づき、所定の位相余裕を得るための位相補償値を演算する工程と、
     前記電流検出工程により検出される前記電流の検出値、前記電流指令値、及び前記位相補償値に基づき、前記モータの電流を制御する電流制御工程と、
     前記トルク指令値及び前記回転状態に基づき前記モータの電圧振幅指令値と電圧位相指令値とを演算する工程と、
     前記位相補償値で前記モータの電圧の指令値を補正し、前記電圧振幅指令値及び前記電圧位相指令値に基づき、前記モータの電圧位相を制御する電圧位相制御工程と、
     前記電流制御工程による電流制御モードと、前記電圧位相制御工程による電圧位相制御モードとのいずれか一方の制御モードを選択する工程とを含む
    インバータの制御方法。
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