WO2012108269A1

WO2012108269A1 - 便器洗浄装置及び水洗式便器

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Publication number: WO2012108269A1
Application number: PCT/JP2012/051631
Authority: WO
Inventors: 総謁北村; 光次郎渡; ひとみ山井; 周平灰田; 敬輔榊原
Original assignee: 株式会社Ｌｉｘｉｌ
Priority date: 2011-02-10
Filing date: 2012-01-26
Publication date: 2012-08-16
Also published as: CN103354856B; US20130291297A1; CA2826077A1; CN103354856A; EP2674535A1; TW201237238A; KR20140015322A

Abstract

　便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置及び水洗式便器を提供する。　便器洗浄装置（２０）は、洗浄水を貯水する第１タンク（２１）と、下部開口（２２Ｃ）が第１タンク（２１）に連通し、下方領域（２２Ｄ）よりも上方領域（２２Ｕ）において単位高さ当たりの貯水量を多くした第２タンク（２２）と、第１タンク（２１）の最高貯水位（Ｌ）よりも高い位置を経由して第２タンク（２２）と便器排水路（１２）とを連通する通気路（２３）と、第１タンク（２１）と便鉢部（１１）とを連通する給水路（２４）と、第１タンク（２１）に貯水した洗浄水を給水路（２４）を介して便鉢部（１１）へ供給を開始するよりも遅い時機に便器排水路（１２）側から第２タンク（２２）側へ流れる通気路（２３）内の気体の流量を最大にする開閉弁（２５）とを備えている。

Description

便器洗浄装置及び水洗式便器

　本発明は、便器洗浄装置及び水洗式便器に関するものである。

　特許文献１は従来の便器洗浄装置を備えた水洗式便器を開示している。この水洗式便器は便器本体と便器洗浄装置とを備えている。この水洗式便器は便器洗浄装置が便器本体に洗浄水を供給して便器洗浄を実行する。便器本体は、便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路とを有している。便器洗浄装置は、タンク（ｔａｎｋ）、中空管、排気通路、及び給水路を有している。タンクは便器本体に供給する洗浄水を貯水する。中空管は、タンク内に垂直方向に延びて収納されており、下端開口がタンク内で開口している。排気通路は、タンクの最高貯水位よりも高い位置を経由して、中空管の上端部と便器本体の便器排水路とを連通している。給水路はタンクと便器本体の便鉢部とを連通している。

　この水洗式便器は、便器洗浄を実行すると、タンクに貯水した洗浄水を給水路を介して便鉢部に供給するため、タンク内の水位が低下する。また、中空管内の水位もタンク内の水位の低下にわずかに遅れて低下する。このため、中空管は通気路を介して便器排水路内の気体を吸引する。

　この水洗式便器は、便器洗浄を実行すると、便鉢部に供給された洗浄水が便器排水路内に流入するとともに、中空管が便器排水路内の気体を吸引するため、少ない洗浄水で便器排水路内にサイホン作用（ｓｉｐｈｏｎ　ｅｆｆｅｃｔ）を発生させることができる。このため、この水洗式便器は、便器排水路内に発生したサイホン作用を利用して、便鉢部内の汚物等を便器本体外へ排出することができる。

　また、特許文献２は従来の別の便器洗浄装置を備えた水洗式便器を開示している。この水洗式便器は便器本体と便器洗浄装置とを備えている。この水洗式便器は便器洗浄装置が便器本体に洗浄水を供給して便器洗浄を実行する。便器洗浄装置は、タンク、ジェットポンプ（ｊｅｔ　ｐｕｍｐ）、容器、及び給水路を備えている。タンクは便器本体に供給する洗浄水を貯水する。ジェットポンプは、ノズル（ｎｏｚｚｌｅ）、及びノズルと隙間を空けて対向する位置に配置したスロート（ｔｈｒｏａｔ）を有している。このジェットポンプはタンク内の洗浄水に水没するように配置されている。容器は、ジェットポンプを取り囲み、上端が開放している。この容器は上端がタンク内の洗浄水の最高水位よりも低い位置になるように形成されている。また、この容器は、側面を貫設した開口と、この開口を開閉する開閉蓋とを有している。給水路はジェットポンプと便器本体とを連通している。

　この水洗式便器は、便器洗浄装置のノズルから洗浄水を噴射すると、その洗浄水は容器内の洗浄水を引き込んでスロート内に流入する。このように、給水路を経由して便器本体に供給することができる洗浄水は、ノズルから噴射する洗浄水に引き込まれた洗浄水が加わり、流量（単位時間当たりに移動する流体の体積、以下同じ。）を多くすることができる。

　また、この水洗式便器は、便器洗浄装置の容器の側面に設けられた開口を開閉蓋によって開閉することによって、便器本体に供給する洗浄水の水量を増減することができる。つまり、容器の開口を開放した状態では、開口を介して容器外の洗浄水が容器内に流入することができる。このため、容器外の洗浄水もジェットポンプによって引き込むことができ、給水路を経由して便器本体に供給することができる。

　一方、容器の開口を開閉蓋によって閉鎖した状態では、タンク内の洗浄水の水位が容器の上端と等しくなると、その時点で容器外の洗浄水は容器内に流入することができなくなる。このため、タンク内の洗浄水の水位が容器の上端と等しくなった後は、容器内の洗浄水のみがジェットポンプによって引き込まれ、給水路を経由して便器本体に供給することができる。

　このように、容器の側面に貫設した開口を開放した状態で便器本体に洗浄水を供給する際に比べ、開口を開閉蓋で閉鎖した状態で便器本体に洗浄水を供給する方が便器本体に供給することができる浄水の水量が少なくなる。このため、この便器洗浄装置は洗浄水量の多い便器洗浄（大洗浄）と洗浄水量の少ない便器洗浄（小洗浄）とを実行することができる。

実開平５－５７０８０号公報特開２００４－１５６３８２号公報

　しかし、特許文献１の水洗式便器では、中空管内の洗浄水の水位はタンク内の洗浄水の水位よりわずかに高い状態（タンク内と中空管内との水位差が小さい状態）を保って低下する。このため、中空管は吸引を開始してから終了するまで弱い吸引力で便器排水路内の気体を吸引することになる。よって、この水洗式便器は、便器排水路内のサイホン作用の発生、及び継続のために中空管が便器排水路内の気体を良好に吸引しないおそれがある。つまり、中空管の吸引力が弱いため、便器排水路内にサイホン作用が発生しないおそれがある。また、便器排水路内にサイホン作用が発生した後、便器排水路内の負圧力が中空管の吸引力よりも強くなり、気体が便器排水路内に逆流してサイホン作用が早期に終了するおそれがある。このため、この水洗式便器は便器洗浄の実行によって便鉢部内の汚物等の排出を良好に行えないおそれがある。

　第１発明及び第２発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置、及びその便器洗浄装置を備えた水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。

　また、特許文献１の水洗式便器では、便鉢部や便器排水路の形状が異なると、便鉢部へ供給する洗浄水の流量を同じにしても、便器排水路における洗浄水の流量が異なる場合がある。便器排水路内における洗浄水の流量は、便器排水路内の気体を中空管が吸引する吸引力と、便鉢部内の汚物等を排出する排出力に影響を及ぼす。

　このため、便器排水路内における洗浄水の流量が多い便器本体では、中空管が便器排水路内から気体を吸引する吸引力が強すぎて、便器排水路内を流れる汚物が排気通路内に吸い込まれるおそれがある。排気通路内に吸い込まれた汚物が原因で排気通路が詰まると、その後の便器洗浄において便器排水路内にサイホン作用を良好に発生できなくなるおそれがある。一方、便器排水路内における洗浄水の流量が少ない便器本体では、排気通路内に汚物を吸い込むおそれがないものの、便器排水路内にサイホン作用を良好に発生できず、汚物等を便器本体外へ排出する排出力が低下するおそれがある。このように、この水洗式便器は、便鉢部や便器排水路の形状が異なると、便器洗浄の実行によって便鉢部内の汚物等の排出を良好に行えないおそれがある。

　第３発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置、及びその便器洗浄装置を備えた水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。

　また、特許文献２の水洗式便器では、便器洗浄装置がタンク内の洗浄水をジェットポンプによって引き込むためには、ジェットポンプがタンク内の洗浄水に水没した状態でなければならない。このため、タンク内に貯留した洗浄水を有効に便器洗浄に利用するためには、ジェットポンプをタンクの底面の近傍に配置しなければならない。

　ジェットポンプをタンクの底面の近傍に配置し、タンクを便器本体の上面よりも低い位置に配置した場合、ジェットポンプと便器本体とを連通する給水路が長くなり、かつ、給水路の昇り勾配が急になるおそれがある。給水路が長くなったり、給水路の昇り勾配が急になったりすると、給水路を通過する洗浄水の圧力損失が大きくなり、便器本体に供給する洗浄水の流量が低下してしまうため、便器洗浄が不充分になるおそれがある。

　第４発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、設置位置の自由度があり、便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置、及びその便器洗浄装置を備えた水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。

　第１発明の便器洗浄装置は、便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路とを有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水を貯水する第１タンクと、
　下部開口が前記第１タンクに連通し、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を多くした第２タンクと、
　前記第１タンクの最高貯水位よりも高い位置を経由して前記第２タンクと前記便器排水路とを連通する通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通する給水路と、
　前記第１タンクに貯水した洗浄水を前記給水路を介して前記便鉢部へ供給を開始するよりも遅い時機に前記便器排水路側から前記第２タンク側へ流れる前記通気路内の気体の流量を最大にする遅延装置とを備えていることを特徴とする。

　この便器洗浄装置は第１タンクに貯水した洗浄水を給水路を介して便鉢部へ供給することによって便器洗浄を実行する。この際、第２タンク内の水位が低下することによって、第２タンクが通気路を介して便器排水路内の気体を吸引する。これによって、少ない洗浄水でも便器排水路内にサイホン作用を発生することができ、便鉢内の汚物等を良好に排出することができる。

　また、この便器洗浄装置は、遅延装置によって便器洗浄を開始するよりも遅い時機に通気路内の便器排水路側から第２タンク側へ流れる気体の流量が最大になるため、第２タンク内の水位の低下を遅らせることができる。このため、その間に第１タンク内の水位が第２タンク内の水位に比べて速く低下し、第１タンク内と第２タンク内との水位差を大きくすることができる。第１タンク内と第２タンク内との水位差の大小は第２タンクの吸引力の強弱に比例する。このため、第２タンクは、強力な吸引力を有することができ、便器排水路内の気体を一気に吸引することができる。よって、この便器洗浄装置は便器排水路内にサイホン作用を確実に発生させることができる。

　また、この便器洗浄装置は第２タンクが下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量が多い。このため、遅延装置によって便器排水路側から第２タンク側へ流れる通気路内の気体の流量が最大になり、第２タンク内の洗浄水が第１タンク内に大流量で流出する状況下においても、第２タンク内の水位はゆっくりと低下する。このため、この便器洗浄装置は第１タンク内と第２タンク内との水位差が急激に減少しない。よって、この便器洗浄装置は第２タンクの強い吸引力を維持することができる。

　このように、この便器洗浄装置は、便器排水路内に発生したサイホン作用による便器排水路内の負圧力よりも第２タンクの吸引力が強い状態を長く維持することができるため、サイホン作用の継続中に第２タンク側から便器排水路内に気体が逆流することを防止することができる。このため、この便器洗浄装置は、サイホン作用を継続させることができ、便鉢内の汚物等をサイホン作用を利用して便器本体外へ良好に排出することができる。

　したがって、第１発明の便器洗浄装置は便器洗浄を良好に行うことができる。

　第２発明の便器洗浄装置は、便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路とを有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水を貯水し、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくした第１タンクと、
　下部開口が前記第１タンクに連通した第２タンクと、
　前記第１タンクの最高貯水位よりも高い位置を経由して前記第２タンクと前記便器排水路とを連通する通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通する給水路と、
　前記第１タンクに貯水した洗浄水を前記給水路を介して前記便鉢部へ供給を開始するよりも遅い時機に前記便器排水路側から前記第２タンク側へ流れる前記通気路内の気体の流量を最大にする遅延装置とを備えていることを特徴とする。

　この便器洗浄装置も第１タンクに貯水した洗浄水を給水路を介して便鉢部へ供給することによって便器洗浄を実行する。この際、第２タンク内の水位が低下することによって、第２タンクが通気路を介して便器排水路内の気体を吸引する。これによって、少ない洗浄水でも便器排水路内にサイホン作用を発生することができ、便鉢内の汚物等を良好に排出することができる。

　また、この便器洗浄装置は、遅延装置によって便器洗浄を開始するよりも遅い時機に通気路内の便器排水路側から第２タンク側へ流れる気体の流量が最大になるため、第２タンク内の水位の低下を遅らせることができる。このため、その間に第１タンク内の水位が第２タンク内の水位に比べて速く低下し、第１タンク内と第２タンク内との水位差を大きくすることができる。特に、この便器洗浄装置は第１タンクが下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量が少ないため、便器洗浄を開始すると第１タンク内の水位を急激に低下させることができる。このため、第１タンク内と第２タンク内との水位差が大きくなり、第２タンクは強力な吸引力を有することができるため、便器排水路内の気体を一気に吸引することができる。よって、この便器洗浄装置は便器排水路内にサイホン作用を確実に発生させることができる。

　また、この便器洗浄装置は、第２タンクが便器排水路内の気体を吸引すると共に洗浄水を第１タンク内へ流出させるが、第１タンクの下方領域が上方領域より単位高さ当たりの貯水量が多いため、その洗浄水による第１タンク内の水位上昇を少なくすることができる。このため、第１タンク内と第２タンク内との水位差の減少を抑制することができ、第２タンクの吸引力の減少を抑制することができる。よって、この便器洗浄装置は第２タンクの強い吸引力を維持することができる。

　したがって、第２発明の便器洗浄装置は便器洗浄を良好に行うことができる。

　便鉢部、及びこの便鉢部の下流側に連通する便器排水路を有する便器本体と、第１発明又は第２発明の便器洗浄装置とを備えている水洗式便器は、上述したようにサイホン作用を確実に発生させ、かつサイホン作用を継続させることができる。このため、この水洗式便器は便鉢内の汚物等をサイホン作用を利用して便器本体外へ良好に排出することができる。したがって、この水洗式便器は便器洗浄を良好に行うことができる。

　第３発明の便器洗浄装置は、便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路を有した便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水が流入し、流入した洗浄水を貯水する第１タンクと、
　この第１タンクの下部に連通した第２タンクと、
　この第２タンクと前記便器排水路とを連通した通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通した給水路と、
　前記第１タンクから前記便鉢部へ供給する洗浄水の流量を制御する洗浄水制御装置とを備えていることを特徴とする。

　この便器洗浄装置では、洗浄水制御装置が便鉢部及び便器排水路の形状に応じて第１タンクから便鉢部へ供給する洗浄水の流量を制御することによって、便器洗浄を良好に行うことができる。すなわち、便器排水路内における洗浄水の流量が多い場合、便鉢部へ供給する洗浄水の流量を少なくすれば、通気路内に汚物が吸引されることを防止することができる。これによって、第２タンクが便器排水路内の気体を吸引することができ、便器排水路内にサイホン作用を確実に発生させることができる。また、便器排水路内における洗浄水の流量が少ない場合、便鉢部へ供給する洗浄水の流量を多くすれば、便器排水路内にサイホン作用を確実に発生させることができる。このため、この便器洗浄装置は、サイホン作用を利用して、汚物等を便器本体外へ良好に排出することができる。

　したがって、第３発明の便器洗浄装置は便器洗浄を良好に行うことができる。

　便鉢部、及びこの便鉢部の下流側に連通する便器排水路を有する便器本体と、第３発明の便器洗浄装置とを備えている水洗式便器は、上述したようにサイホン作用を確実に発生させることができる。このため、この水洗式便器は便鉢内の汚物等をサイホン作用を利用して便器本体外へ良好に排出することができる。したがって、この水洗式便器は便器洗浄を良好に行うことができる。

　第４発明の便器洗浄装置は、便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水が流入し、流入した洗浄水を貯留する第１タンクと、
　この第１タンクの下部から洗浄水が流入する流入口、及びこの流入口より上方に設け、前記便器本体に連通する流出口を有しており、前記便器本体に洗浄水を供給する際、前記第１タンクから前記流入口を介して空気が流入しない状態では前記第１タンク内の洗浄水の水圧の影響を受けて、洗浄水を満水状態に維持する第３タンクと、
　この第３タンク内に前記流出口と隙間を空けて対向する位置に配置し、前記流出口に向けて洗浄水を噴射するノズルを有するジェットポンプと、
　前記流出口と前記便器本体とを連通する給水路とを備えていることを特徴とする。

　この便器洗浄装置は第１タンクの下部から第３タンク内に洗浄水が流入することができるように第３タンクの流入口を設けている。このため、第１タンク内の洗浄水の水位が第３タンクの流入口より下方に低下するまでは、第１タンクから流入口を介して第３タンク内に空気が流入しない。このため、第１タンク内の洗浄水の水圧の影響を受けて第３タンクは洗浄水を満水状態に維持することができる。つまり、第１タンク内の洗浄水のほとんどを第３タンク内に流入させることができる。この便器洗浄装置は第３タンク内に流入した洗浄水をジェットポンプによって給水路を介して便器本体に供給することができる。このため、この便器洗浄装置は便器本体に大流量の洗浄水を供給することができる。このように、この便器洗浄装置は、第１タンク及び第３タンクに貯留した洗浄水のほとんどを利用することができ、便器洗浄を良好に行うことができる。

　また、この便器洗浄装置は、ジェットポンプを第３タンクの上部に配置しても、第１タンク内の洗浄水のほとんどが第３タンク内に流入するまでの間、第３タンクを洗浄水で満水状態に維持することができるため、その間、ジェットポンプは第３タンク内の洗浄水を引き込むことができ、給水路に洗浄水を送水することができる。

　また、このように、ジェットポンプを第３タンクの上部に配置することができるため、便器洗浄装置（第１タンク及び第３タンク等）を便器本体の上面よりも低い位置に配置した場合でも、給水路は長くならず、また、給水路の昇り勾配が急にならない。このため、給水路を通過する洗浄水の圧力損失を少なくすることができる。よって、この便器洗浄装置は便器本体に大流量の洗浄水を供給することができる。また、この便器洗浄装置は第１タンク及び第３タンクに貯留した洗浄水のほとんどを便器本体に供給することができる。

　したがって、第４発明の便器洗浄装置は、設置位置の自由度があり、便器洗浄を良好に行うことができる。

　また、便器本体と、第４発明の便器洗浄装置とを備えている水洗式便器は、上述したように、便器洗浄装置を便器本体の上面より低い位置に配置することができ、便器本体に洗浄水を良好に供給することができる。したがって、この水洗式便器は、便器洗浄装置の設置位置の自由度があり、便器洗浄を良好に行うことができる。

実施例１の水洗式便器を示す概略図である。実施例１の水洗式便器において、便器洗浄の初期の状態を示す概略図である。実施例１の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、第２タンクが気体を吸引する前の状態を示す概略図である。実施例１の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、第２タンクが気体の吸引を開始する状態を示す概略図である。実施例１の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、便器排水路内の負圧力が最大になった状態を示す概略図である。実施例１のポンプの流量変化を示すグラフである。実施例２の水洗式便器を示す概略図である。実施例２の水洗式便器において、便器洗浄の初期の状態を示す概略図である。実施例２の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、第２タンクが気体を吸引する前の状態を示す概略図である。実施例２の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、第２タンクが気体の吸引を開始する状態を示す概略図である。実施例２の水洗式便器において、便器洗浄の途中であって、便器排水路内の負圧力が最大になった状態を示す概略図である。第１タンク又は第２タンクの他の形態を示す概略図であり、（Ａ）、（Ｂ）は上部が内側に凹んだ第１タンク、（Ｃ）は上部の内側に直方体の別部品を取り付けた第１タンク、（Ｄ）は外殻部の上部が下部に比べて水平方向の左右方向に拡大した第２タンク、（Ｅ）は外殻部が下方に向けて徐々に内側に絞られた第２タンクを示している。遅延装置の他の形態を示す概略図であり、（Ａ）はオリフィスを形成した区画壁を有する第２タンク、（Ｂ）はオリフィスを形成した区画壁と、その下方にフロート収納した第２タンクを示している。水洗式便器の他の実施例を示す概略図である。実施例３の水洗式便器を示す概略図である。実施例４の水洗式便器を示す概略図である。実施例５の水洗式便器を示す概略図である。実施例６の水洗式便器を示す概略図である。実施例７の水洗式便器を示す概略図である。実施例７の水洗式便器の便器洗浄状態を示す概略図である。実施例７の水洗式便器において、便器本体へ洗浄水の供給を終了する状態を示す概略図である。実施例７の水洗式便器において、第１タンク及び第３タンクに洗浄水を貯水する状態を示す概略図である。実施例８の便器洗浄装置を示す概略図であり、（Ａ）は第３タンクの側面の蛇腹部分を伸ばした状態を示し、（Ｂ）は第３タンクの側面の蛇腹部分を縮めた状態を示している。実施例９の便器洗浄装置を示す概略図であり、（Ａ）は側面の縦寸法が長い第３タンクを取り付けた状態を示し、（Ｂ）は側面の縦寸法が短い第３タンクを取り付けた状態を示している。実施例１０の水洗式便器を示す概略図である。

　第１発明及び第２発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第１発明の第１タンクは下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくし得る。この場合、この便器洗浄装置は、第１タンクの上方領域が下方領域より単位高さ当たりの貯水量が少ないため、便器洗浄を開始すると第１タンク内の水位を急激に低下させることができる。このため、この便器洗浄装置は、第２タンクが便器排水路内の気体を吸引する当初から、第１タンク内と第２タンク内との水位差を大きくすることができ、第２タンクが便器排水路内の気体を強い吸引力で吸引することができる。

　また、この便器洗浄装置は、第２タンクが便器排水路内の気体を吸引するとともに洗浄水を第１タンク内へ流出させるが、第１タンクの下方領域が上方領域より単位高さ当たりの貯水量が多いため、その洗浄水による第１タンク内の水位の上昇を少なくすることができる。このため、第１タンク内と第２タンク内との水位差の減少を抑制することができ、第２タンクの吸引力の減少を抑制することができる。特に、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量が多い第２タンクとの組合せによって、第２タンク内の水位をゆっくりと低下させ、かつ第１タンク内の水位の上昇を少なくすることができるため、第１タンク内と第２タンク内との水位差を充分に確保した状態を維持することができる。

　第１発明又は第２発明の第２タンクは前記下部開口が前記第１タンクの最低貯水位よりも低い高さで前記第１タンクに連通し得る。この場合、第２タンクの下部開口が常時、第１タンク内に貯水した洗浄水によって閉鎖されており、第１タンク内で開放されないため、通気路を介して便器排水路内の気体（臭気）が第１タンク内に放出されることを確実に防止することができる。

　第１発明又は第２発明の遅延装置は、前記通気路に設け、この通気路を開閉する開閉弁であり得る。この場合、第１タンクに貯水した洗浄水を給水路を介して便鉢部へ供給を開始したよりも遅い時機に開閉弁を開弁することによって第２タンクが通気路を介して便器排水路内の気体を吸引することができる。このように、開閉弁の開弁を制御することによって、第２タンクが便器排水路内の気体を吸引し始める時機を容易に制御することができる。このため、この便器洗浄装置は、便器排水路内にサイホン作用を発生させるために便器排水路内の気体を適切に吸引することができる。

　第１発明又は第２発明の第２タンクは前記第１タンク内に収納され得る。この場合、第１タンク内に第２タンクを収納して固定するのみで第１タンクと第２タンクとの連通を完了することができる。このため、第１タンクと第２タンクとを連結する部材が不要となる。また、第１タンクと第２タンクとの連結部からの水漏れが生じるおそれを無くすことができる。

　次に、第１発明及び第２発明の便器洗浄装置を備えた水洗式便器を具体化した実施例１及び２について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例１＞
　実施例１の水洗式便器は、図１に示すように、便器本体１０と、便器本体１０に洗浄水を供給する便器洗浄装置２０とを備えている。便器本体１０は、便鉢部１１と、便鉢部１１の下流側に連通する便器排水路１２とを備えている。便器本体１０は、便鉢部１１の下部と便器排水路１２の上流部によって、洗浄水を貯留する水封部１３を形成している。

　便器洗浄装置２０は、便器本体１０の後方であって、大部分を便器本体１０の上面より低い位置に配置している。このため、この水洗式便器はローシルエットを実現することができる。この便器洗浄装置２０は、第１タンク２１、第２タンク２２、通気路２３、給水路２４、及び遅延装置である開閉弁２５を備えている。

　第１タンク２１は、上端が上方に向けて開口しており、垂直方向に延びた周壁部２１Ａと、周壁部２１Ａの下端を閉鎖する底壁部２１Ｂとから構成されている。周壁部２１Ａは下部に貫設した排水口２１Ｃを有している。排水口２１Ｃは給水路２４の一方の端部を接続している。第１タンク２１は、タンク用給水路２６を介して洗浄水が流入し、貯水することができる。タンク用給水路２６は上流端を給水源である水道管に連通している。また、タンク用給水路２６は下流端に給水用バルブ２６Ｖを設けている。

　第２タンク２２は、空洞であり、外殻部２２Ａの上端面に通気路２３の一方の端部が接続した連通口２２Ｂと、下端を下方に向けて開口した下部開口２２Ｃとを有している。また、第２タンク２２は、外殻部２２Ａの上部が下部に比べて水平方向の一方向に拡大している。このため、第２タンク２２は下方領域２２Ｄよりも上方領域２２Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量が多く形成されている。この第２タンク２２は、外殻部２２Ａの上面が第１タンク２１の最高貯水位Ｌと略同じ高さになるように、第１タンク２１内に収納され、固定されている。第２タンク２２は下部開口２２Ｃが第１タンク２１内で開口している。このため、第２タンク２２は、下部開口２２Ｃから洗浄水が流入し、第１タンク２１と同じ水位で洗浄水を貯水することができる。このように、第１タンク２１内に第２タンク２２を収納して固定するのみで第１タンク２１と第２タンク２２との連通を完了することができる。このため、第１タンク２１と第２タンク２２とを連結する部材が不要であり、第１タンク２１と第２タンク２２との連結部からの水漏れが生じるおそれを無くすことができる。

　外殻部２２Ａの上部が下部に比べて水平方向に拡大した第２タンク２２を第１タンク２１の内部に収納して固定することによって、第１タンク２１は下方領域２１Ｄよりも上方領域２１Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量を少なくしている。

　通気路２３は、一方の端部を第２タンク２２の連通口２２Ｂに接続し、第１タンク２１の上端開口から便器本体１０側の延び、他方の端部を水封部１３より下流側の便器排水路１２の上部に接続している。このため、通気路２３は第１タンク２１の最高貯水位Ｌよりも高い位置を経由して第２タンク２２と便器排水路１２とを連通している。通気路２３は遅延装置である開閉弁２５を途中に設けている。開閉弁２５は、図示しない制御装置によって開閉制御されており、通気路２３を開閉することができる。

　給水路２４は、一方の端部を第１タンク２１の排水口２１Ｃに接続し、他方の端部は便器本体１０の便鉢部１１の後部に配置され、便器本体１０の便鉢部１１の上部周縁に沿って洗浄水を吐水するように吐水口２４Ａを形成している。このため、吐水口２４Ａから吐水された洗浄水は、便鉢部１１の表面に沿って一方向に流れ、便鉢部１１内に旋回流を形成することができる。給水路２４は第１タンク２１に貯水した洗浄水を便鉢部１１側へ圧送するポンプＰを途中に設けている。このポンプＰは圧送する洗浄水の流量を増減できる流量調整機能を有している。

　次に、このような構成を有する水洗式便器の便器洗浄工程を説明する。

　この水洗式便器は、便器洗浄前の待機状態において、図１に示すように、第１タンク２１が最高貯水位Ｌまで洗浄水を貯水している。また、第２タンク２２は第１タンク２１内と同じ水位に洗浄水を貯水している。この待機状態では、通気路２３に設けた開閉弁２５及びタンク用給水路２６に設けた給水用バルブ２６Ｖは閉弁している。便器本体１０は水封部１３に洗浄水を貯留して水封を形成している。

　水洗式便器は、図示しない便器洗浄ボタンが操作されると、ポンプＰが稼働し、便器洗浄を開始する。ポンプＰは、図６に示すように、稼働初期（０～ｔ１秒）において、流量を緩やかに増加しつつ洗浄水を便鉢部１１側へ圧送する。これによって、ポンプＰ内の空気抜きを行い、エアー噛み音の発生を避けることができる。また、第１タンク２１は、図２に示すように、下方領域２１Ｄよりも上方領域２１Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量が少ないため、第１タンク２１内の水位は一気に低下し、第１タンク２１内と第２タンク２２内との水位差を形成する。また、便器本体１０の便鉢部１１内の水位が上昇する。

　ｔ１秒を経過すると、ポンプＰは圧送する洗浄水の流量をｑ１（Ｌ／ｍｉｎ）まで増加させる（ｔ１秒～ｔ２秒）。すると、先ず、図３に示すように、便器本体１０の水封部１３から便器排水路１２の下流側に溢流する洗浄水の流量も増加する。また、第１タンク２１内の水位はさらに低下し、第１タンク２１内と第２タンク２２内との水位差をさらに大きくする。これによって、第２タンク２２は便器排水路１２から気体を吸引するのに必要な吸引力を発生することができる。

　さらに、ポンプＰが稼働し続けることによって、図４に示すように、便器本体１０の水封部１３から便器排水路１２の下流側に溢流する洗浄水が便器排水路１２の下流部で水膜を形成し、便器排水路１２の下流部を封鎖する。この状態で、便器洗浄装置２０は通気路２３に設けた開閉弁２５を開弁する。すると、通気路２３内を便器排水路１２側から第２タンク２２側へ気体が流れることができるため、第２タンク２２内の水位の下降に伴って、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を吸引する。つまり、開閉弁２５は、第１タンク２１に貯水した洗浄水を給水路２４を介して便鉢部１１へ供給を開始する（ポンプＰを稼働して便器洗浄を開始する）よりも遅い時機に開弁し、便器排水路１２側から第２タンク２２側へ流れる通気路２３内の気体の流量を最大にする遅延装置である。

　また、この便器洗浄装置２０は、開閉弁２５の開弁によって、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体の吸引を開始するものであるため、開閉弁２５の開弁を制御することによって、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を吸引し始める時機を容易に制御することができる。このため、この便器洗浄装置２０は、便器排水路１２内にサイホン作用を発生させるために便器排水路１２内の気体を適切に吸引することができる。

　便器排水路１２の下流部で形成された水膜によって便器排水路１２内に閉空間を形成し、この閉空間内の気体を第２タンク２２が吸引する。このため、この水洗式便器は、便器排水路１２内から気体を確実に減少させることができるため、少ない洗浄水でも便器排水路１２内にサイホン作用を発生させることができる。

　また、遅延装置である開閉弁２５が便器洗浄を開始するよりも遅い時機に開弁することによって、その間に第１タンク２１内の水位が低下し、第２タンク２２内の水位と大きな水位差を形成することができる。第１タンク２１内と第２タンク２２内との水位差の大小は第２タンク２２の吸引力の強弱に比例するため、第２タンク２２は強力な吸引力を有することになる。このため、第２タンク２２は便器排水路１２内の気体を一気に吸引することができる。よって、この便器洗浄装置２０は便器排水路１２内にサイホン作用を確実に発生させることができる。

　さらにポンプＰが稼働し、第２タンク２２内の水位の低下と共に、第２タンク２２は便器排水路１２内からの気体の吸引を継続する。この際、第２タンク２２内の洗浄水が第１タンク２１内に大流量で流出することになるが、第２タンク２２が下方領域２２Ｄよりも上方領域２２Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量が多いため、第２タンク２２内の水位はゆっくりと低下する。

　また、第１タンク２１の下方領域２１Ｄが上方領域２１Ｕより単位高さ当たりの貯水量が多いため、第２タンク２２から第１タンク２１内に流出した洗浄水による第１タンク２１内の水位の上昇を少なくすることができる。このように、この便器洗浄装置２０は、第２タンク２２内の水位をゆっくりと低下させ、かつ第１タンク２１内の水位の上昇を少なくすることができるため、第１タンク２１内と第２タンク２２内との水位差を充分に確保した状態を維持することができる。つまり、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を当初から長い時間、強い吸引力で吸引することができる。

　このように、この便器洗浄装置２０は、便器排水路１２内に発生したサイホン作用による便器排水路１２内の負圧力よりも第２タンク２２の吸引力が強い状態を長く維持することができるため、サイホン作用の継続中に第２タンク２２側から便器排水路１２内に気体が逆流することを防止することができる。このため、この便器洗浄装置２０は、サイホン作用を継続させることができる。

　また、この便器洗浄装置２０は、図５に示すように、便器排水路１２内の洗浄水が略満水状態であり、便器排水路１２内の負圧力が最大である状態において、第１タンク２１内と第２タンク２２内の水位差が減少すると、図６に示すように、ポンプＰが圧送する洗浄水の流量をさらにｑ２（Ｌ／ｍｉｎ）まで増加する（ｔ２秒～ｔ３秒）。これによって、第１タンク２１から便鉢部１１内へ流出する洗浄水の流量が増加するため、第２タンク２２内から第１タンク２１内に流出する洗浄水によって第１タンク２１内の水位が上昇することを防止し、第１タンク２１内と第２タンク２２内の水位差の減少を防止する。これによって、第２タンク２２の吸引力が便器排水路１２内の負圧力よりも弱くならないよう維持することができ、便器排水路１２内のサイホン作用を継続させることができ、便鉢内の汚物等をサイホン作用を利用して便器本体１０外へ良好に排出することができる。

　したがって、実施例１の水洗式便器は便器洗浄を良好に行うことができる。

　ｔ３秒～ｔ４秒で、ポンプＰが圧送する洗浄水の流量を減少することによって、便鉢部１１内の洗浄水が減少して、便鉢部１１内の水位が低下する。これによって、便鉢部１１側から便器排水路１２内に空気が流入し、サイホン作用が終了する。

　サイホン作用が終了した後、便器本体１０の水封部１３内に洗浄水を貯留し、水封するため、洗浄水を小流量ｑ３（Ｌ／ｍｉｎ）で便鉢部１１内に供給した後、ポンプＰを停止して便器洗浄を終了する（ｔ４秒～ｔ５秒）。また、タンク用給水路２６に設けた給水用バルブ２６Ｖを開弁し、第１タンク２１内に洗浄水を貯留する。その後、第１タンク２１内の洗浄水の水位が最高貯水位Ｌになり、第２タンク２２内の水位が第１タンク２１内と同じ水位になると、給水用バルブ２６Ｖが閉弁し、通気路２３に設けた開閉弁２５も閉弁する。これによって、水洗式便器は、図１に示すように、便器洗浄前の待機状態に復帰する。

　第１タンク２１内の水位は、ポンプＰが稼働して便器洗浄が実行されることによって、低下するが、第２タンク２２の下部開口２２Ｃよりも低くならない。つまり、第２タンク２２は下部開口２２Ｃが第１タンク２１の最低貯水位よりも低い高さで第１タンク２１に開口するように配置されている。このため、第２タンク２２の下部開口２２Ｃが常時、第１タンク２１内に貯水した洗浄水によって閉鎖されており、第１タンク２１内で開放されないため、通気路２３を介して便器排水路１２内の気体（臭気）が第１タンク２１内に放出されることを確実に防止することができる。

＜実施例２＞
　実施例２の水洗式便器は、図７に示すように、便器洗浄装置３０が第３タンク３２を備え、第１タンク３１内に貯水した洗浄水をジェットポンプ３３を利用して便器本体１０に供給する点で実施例１と相違している。他の構成は実施例１と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　便器洗浄装置３０は、便器本体１０の後方であって、大部分を便器本体１０の上面より低い位置に配置している。このため、この水洗式便器はローシルエットを実現することができる。この便器洗浄装置３０は、第１タンク２１、第２タンク２２、通気路２３、給水路２４、遅延装置である開閉弁２５、第３タンク３２、及びジェットポンプ３３を備えている。

　第１タンク３１は、上端が上方に向けて開口しており、垂直方向に延びた周壁部３１Ａと、周壁部３１Ａの下端を閉鎖する底壁部３１Ｂとから構成されている。第１タンク３１は、内部に第２タンク２２と第３タンク３２とを収納して固定している。

　第３タンク３２は第１タンク３１内で下方に向けて開放した流入口３２Ａを有している。また、この第３タンク３２は上端部に流出口３２Ｂを有している。第３タンク３２は後述する噴射ノズル３６へ洗浄水を供給する分岐給水路３７が上面から水密状に挿入されている。流出口３２Ｂの開口面積は噴射ノズル３６の噴射口３６Ａの開口面積より大きく形成されている。

　給水路３４は流出口３２Ｂと便器本体１０とを連通している。この給水路３４は流出口３２Ｂの開口縁から連続して延びている。このため、給水路３４の流路面積は噴射ノズル３６の噴射口３６Ａの開口面積より大きく形成されている。また、給水路３４は、便器本体１０の後端上部に至るまで斜め上方を向いた昇り勾配を有しており、下流端の吐水口３４Ａが便器本体１０の便鉢部１１の上部周縁に沿って洗浄水を吐水するように配置されている。このため、給水路３４の吐水口３４Ａから吐水された洗浄水は、便鉢部１１の表面に沿って一方向に流れ、便鉢部１１内に旋回流を形成することができる。

　また、第３タンク３２の流出口３２Ｂが第３タンク３２の上端部に形成されているため、給水路３４は長くならず、また、給水路３４は昇り勾配が急にならない。このため、給水路３４を通過する洗浄水の圧力損失を少なくすることができる。このため、便器洗浄装置３０は便器本体１０に大流量の洗浄水を供給することができる。

　ジェットポンプ３３は、第３タンク３２内であって、第３タンク３２の流出口３２Ｂと隙間を空けて対向する位置に配置した噴射ノズル３６を有している。ジェットポンプ３３は第３タンク３２の流出口３２Ｂと噴射ノズル３６とから構成されている。噴射ノズル３６は、第３タンク３２内の上部に設けられており、噴出した洗浄水が給水路３４に沿って流れるように洗浄水の噴出方向を流出口３２Ｂに向けている。このように、ジェットポンプ３３は第３タンク３２の上部に配置されている。噴射ノズル３６はタンク用給水路２６を分岐した分岐給水路３７を介して洗浄水が流入する。分岐給水路３７は途中に噴射ノズル用バルブ３７Ｖを設けている。

　この水洗式便器は、便器洗浄前の待機状態において、図７に示すように、第１タンク３１は最高貯水位Ｌまで洗浄水を貯水している。第２タンク２２は第１タンク３１と同じ水位に洗浄水を貯水している。第３タンク３２は、給水路３４内まで洗浄水が流入し、満水状態である。この待機状態では、通気路２３の設けた開閉弁２５、タンク用給水路２６に設けた給水用バルブ２６Ｖ、及び分岐給水路３７に設けた噴射ノズル用バルブ３７Ｖは閉弁している。便器本体１０は水封部１３に洗浄水を貯留して水封を形成している。

　水洗式便器は、図示しない便器洗浄ボタンが操作されると、図８に示すように、噴射ノズル用バルブ３７Ｖが開弁し、便器洗浄を開始する。つまり、噴射ノズル３６の噴射口３６Ａから洗浄水を噴射し、第３タンク３２内の洗浄水を引き込み、流出口３２Ｂ及び給水路３４を介して便器本体１０の便鉢部１１に洗浄水を供給する。この際、噴射ノズル３６の噴射口３６Ａから噴出する洗浄水の流量の約３～４倍の流量の洗浄水を便器本体１０の便鉢部１１に供給することができる。

　便器洗浄を開始すると、第１タンク３１は、下方領域３１Ｄよりも上方領域３１Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量が少ないため、第１タンク３１内の水位は一気に低下し、第１タンク３１内と第２タンク２２内との水位差を形成する。また、便器本体１０の便鉢部１１の水位が上昇する。

　その後、便器洗浄を継続すると、図９に示すように、便器本体１０の水封部１３から便器排水路１２の下流側に溢流する洗浄水の流量も増加する。また、第１タンク３１内の水位はさらに低下し、第１タンク３１内と第２タンク２２内との水位差をさらに大きくする。これによって、第２タンク２２は便器排水路１２から気体を吸引するのに必要な吸引力を発生することができる。

　さらに、便器洗浄を継続すると、図１０に示すように、便器本体１０の水封部１３から便器排水路１２の下流側に溢流する洗浄水が便器排水路１２の下流部で水膜を形成し、便器排水路１２の下流部を封鎖する。この状態で、便器洗浄装置３０は通気路２３に設けた開閉弁２５を開弁する。すると、通気路２３内を便器排水路１２側から第２タンク側へ気体が流れることができるため、第２タンク２２内の水位の下降に伴って、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を吸引する。

　また、この便器洗浄装置３０は、開閉弁２５の開弁によって、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体の吸引を開始するものであるため、開閉弁２５の開弁を制御することによって、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を吸引し始める時機を容易に制御することができる。このため、この便器洗浄装置３０は、便器排水路１２内にサイホン作用を発生させるために便器排水路１２内の気体を適切に吸引することができる。

　また、遅延装置である開閉弁２５が便器洗浄を開始するよりも遅い時機に開弁することによって、その間に第１タンク３１内の水位が低下し、第２タンク２２内の水位と大きな水位差を形成することができる。第１タンク３１内と第２タンク２２内との水位差の大小は第２タンク２２の吸引力の強弱に比例するため、第２タンク２２は強力な吸引力を有することになる。このため、第２タンク２２は便器排水路１２内の気体を一気に吸引することができる。よって、この便器洗浄装置３０は便器排水路１２内にサイホン作用を確実に発生させることができる。

　さらに便器洗浄を継続し、第２タンク２２内の水位の低下と共に、第２タンク２２は便器排水路１２内からの気体の吸引を継続する。この際、第２タンク２２内の洗浄水が第１タンク３１内に大流量で流出することになるが、第２タンク２２が下方領域２２Ｄよりも上方領域２２Ｕにおいて単位高さ当たりの貯水量が多いため、第２タンク内の水位はゆっくりと低下する。

　また、第１タンク３１の下方領域３１Ｄが上方領域３１Ｕより単位高さ当たりの貯水量が多いため、第２タンク２２から第１タンク３１内に流出した洗浄水による第１タンク３１内の水位の上昇を少なくすることができる。このように、この便器洗浄装置３０は、第２タンク２２内の水位をゆっくりと低下させ、かつ第１タンク３１内の水位の上昇を少なくすることができるため、第１タンク３１内と第２タンク２２内との水位差を充分に確保した状態を維持することができる。つまり、第２タンク２２が便器排水路１２内の気体を当初から長い時間、強い吸引力で吸引することができる。

　このように、この便器洗浄装置３０は、便器排水路１２内に発生したサイホン作用による便器排水路１２内の負圧力よりも第２タンク２２の吸引力が強い状態を長く維持することができるため、サイホン作用の継続中に第２タンク２２側から便器排水路１２内に気体が逆流することを防止することができる。このため、この便器洗浄装置２０は、サイホン作用を継続させることができる。

　また、この便器洗浄装置３０は、図１１に示すように、便器排水路１２内の洗浄水が略満水状態であり、便器排水路１２内の負圧力が最大になっても、第２タンク２２の吸引力の方が強いため、サイホン作用の継続中に第２タンク２２側から便器排水路１２内に気体が逆流することを防止することができる。よって、この便器洗浄装置３０は、サイホン作用を継続させることができ、便鉢内の汚物等をサイホン作用を利用して便器本体１０外へ良好に排出することができる。

　したがって、実施例２の水洗式便器は便器洗浄を良好に行うことができる。

　さらに便器洗浄を継続すると、第１タンク３１内の洗浄水の水位がさらに低下し、第１タンク３１内の洗浄水の水位が第３タンク３２の流入口３２Ａより低下する。すると、第１タンク３１から第３タンク３２の流入口３２Ａを介して第３タンク３２内に空気が流入し、第３タンク３２内の洗浄水の水位が一気に低下する。このため、ジェットポンプ３３が第３タンク３２内で露出してしまい、ジェットポンプ３３は洗浄水を引き込むことができなくなる。すると、便鉢部１１内へ供給する洗浄水の流量が減少して、便鉢部１１内の水位が低下する。これによって、便鉢部１１側から便器排水路１２内に空気が流入し、サイホン作用が終了する。

　サイホン作用が終了した後、便器本体１０の水封部１３内に洗浄水を貯留し、水封するため、便鉢部１１内に洗浄水を供給した後、噴射ノズル用バルブ３７Ｖを閉弁して便器洗浄を終了する。また、タンク用給水路２６に設けた給水用バルブ２６Ｖを開弁し、第１タンク３１内に洗浄水を貯留する。その後、第１タンク３１内の洗浄水の水位が最高貯水位Ｌになり、第２タンク２２内の水位が第１タンク３１内と同じ水位になり、第３タンク３２内が満水状態になると、給水用バルブ２６Ｖが閉弁し、通気路に設けた開閉弁２５も閉弁する。これによって、水洗式便器は、図７に示すように、便器洗浄前の待機状態に復帰する。

　第２タンク２２の下部開口２２Ｃが第３タンク３２の流入口３２Ａより下方に位置するため、第２タンク２２は下部開口２２Ｃが第１タンク３１の最低貯水位よりも低い高さで第１タンク３１に開口するように配置されている。このため、第２タンク２２の下部開口２２Ｃが常時、第１タンク３１内に貯水した洗浄水によって閉鎖されており、第１タンク３１内で開放されないため、通気路２３を介して便器排水路１２内の気体（臭気）が第１タンク３１内に放出されることを確実に防止することができる。

　この便器洗浄装置３０は、ジェットポンプ３３によって、第３タンク３２内の洗浄水が引き込まれ、便器本体１０に大流量の洗浄水が供給され始めると同時に、第１タンク３１内の洗浄水が第３タンク３２の流入口３２Ａを介して第３タンク３２内に流入する。この際、第３タンク３２内の洗浄水は、第１タンク３１内の洗浄水の水圧の影響を受けるため、第３タンク３２内は洗浄水で満水状態に維持される。このため、ジェットポンプ３３は第３タンク３２内の洗浄水に水没した状態を維持し、第３タンク３２内の洗浄水を引き込み続けることができるため、便器本体１０に大流量の洗浄水を供給し続けることができる。

　第１発明及び第２発明は上記記述及び図面によって説明した実施例１及び２に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例１及び２では、外殻部の上部が下部に比べて水平方向に拡大した第２タンクを第１タンクの内部に収納して固定することによって、第１タンクは下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくしたが、図１２（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、第２タンク４４は外殻部が上下方向で変形せず、第１タンク４１、４２の上部を内側に凹ませることによって、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくしてもよい。また、図１２（Ｃ）に示すように、第１タンク４３の内側の上部に、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくするための直方体の別部品４３Ａを取り付けてもよい。

（２）実施例１及び２では、第２タンクは外殻部の上部が下部に比べて水平方向の一方向に拡大しているが、図１２（Ｄ）に示すように、第２タンク４５は外殻部の上部が下部に比べて水平方向の左右方向等の複数の方向に拡大していてもよい。また、図１２（Ｅ）に示すように、第２タンク４６は、外殻部が下方に向けて徐々に内側に絞ることによって、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を多くしてもよい。

（３）実施例１及び２では、遅延装置として開閉弁を使用していたが、図１３（Ａ）、（Ｂ）に示すように、第２タンク５１に遅延装置を設けてもよい。つまり、図１３（Ａ）に示す第２タンク５１は、オリフィス５３を形成した区画壁５２によって内部を上部貯水室５１Ｕと下部貯水室５１Ｄとに区画している。この第２タンク５１は、便器洗浄が開始して第２タンク５１内の洗浄水が下部開口５１Ａから第１タンク２１内に流出すると、便器洗浄初期においては、オリフィス５３を洗浄水が通過する。この際、洗浄水は比較的流動抵抗が大きいため、第２タンク５１内の水位はゆっくりと低下する。第２タンク５１内の水位が区画壁５２より下方へ下がると、洗浄水よりも流動抵抗の小さい空気がオリフィス５３を通過するようになるので、第２タンク５１内の水位は急激に低下する。このように、この構造によって、便器洗浄を開始するよりも遅い時機に便器排水路側から第２タンク５１側へ流れる気体の流量を最大にすることができる遅延装置を形成することができる。

　また、図１３（Ｂ）に示す第２タンク５１は、オリフィス５３を形成した区画壁５２によって内部を上部貯水室５１Ｕと下部貯水室５１Ｄとに区画し、下部貯水室５１Ｄに洗浄水よりも比重が小さく、オリフィス５３を閉鎖することができる球状のフロート５４を収納している。この第２タンク５１は、便器洗浄が開始して第２タンク５１内の洗浄水が下部開口５１Ａから第１タンク２１内に流出すると、便器洗浄初期においては、オリフィス５３を通過する洗浄水がフロート５４の抵抗を受けるため、第２タンク５１内の水位はフロート５４がない場合に比べてさらにゆっくりと低下する。第２タンク５１内の水位が区画壁５２より下方へ下がると、フロート５４が下降してオリフィス５３を開放し、洗浄水よりも流動抵抗の小さい空気がオリフィス５３を通過するようになるので、第２タンク５１内の水位は急激に低下する。このように、この構造によって、便器洗浄を開始するよりも遅い時機に便器排水路側から第２タンク５１側へ流れる気体の流量を最大にすることができる遅延装置を形成することができる。

（４）実施例２では、便器洗浄装置は第３タンクを備え、第３タンクの流出口に向けて洗浄水を噴出する噴射ノズルを有するジェットポンプを備えていたが、図１４に示すように、便器洗浄装置６０は第３タンクを備えなくてもよい。この場合、分岐給水路３７を第１タンク３１の底壁部３１Ｂの近傍まで延ばして、噴出ノズル６１の噴出口６１Ａを底壁部３１Ｂの近傍に配置し、この噴出口６１Ａに対向する位置に給水路６２の上流端開口６２Ａを配置してジェットポンプを形成するとよい。

　次に、第３発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第３発明の洗浄水制御装置は前記給水路に設けたポンプを有し得る。この場合、第１タンクの高さが低くても、第１タンクから便鉢部への洗浄水の供給を安定して制御することができる。

　第３発明において、前記便器排水路から前記第２タンクが気体を吸引する吸気動作を制御する吸気制御装置を備え得る。この場合、吸気制御装置によって便器排水路から第２タンクが気体を吸引する吸気動作を制御することができるため、第１タンクから便鉢部への洗浄水の供給状態に合わせて好適なタイミングで便器排水路から気体を吸引し、便器排水路内にサイホン作用を発生させることができる。よって、この便器洗浄装置はサイホン作用を利用して便器洗浄を良好に行うことができる。

　第３発明の吸気制御装置はオリフィス（ｏｒｉｆｉｃｅ）を有する区画壁によって前記第２タンクを上部貯水室と下部貯水室とに区画して構成し得る。この場合、第１タンクから便鉢部へ洗浄水の供給を開始すると、その初期段階では洗浄水がオリフィスを通過する。洗浄水は液体であるため、その流動抵抗によって第２タンク内の水位低下は比較的遅くなる。そして、第２タンク内の水位が区画壁よりも下方へ下がると、洗浄水よりも流動抵抗の小さい気体がオリフィスを通過するようになる。すると、第２タンク内の水位の低下が速くなり、便器排水路から吸引する気体の流量が多くなる。これによって、第２タンクが便器排水路から気体を一気に吸引し、便器排水路内にサイホン作用を発生させることができる。

　前記下部貯水室内に洗浄水に浮くことによって前記オリフィスを閉鎖することができる閉鎖部材を設け得る。この場合、第１タンクから便鉢部へ洗浄水の供給を開始すると、その初期段階では、閉塞部材がオリフィスを閉塞しようとするので、オリフィスを通過する洗浄水の流量は、閉塞部材がない場合に比べて絞られる。そして、第２タンク内の水位が下がって閉塞部材が下降を開始した後は、洗浄水よりも流動抵抗の小さい気体がオリフィスを通過するようになる。すると、第２タンク内の水位の低下が速くなる。閉塞部材を設けない場合に比べると、便器排水路から吸引する気体の流量が多くなるタイミングを遅くすることができるため、便器排水路内にサイホン作用を発生させるタイミングを遅くすることができる。

　次に、第３発明の便器洗浄装置を備えた水洗式便器を具体化した実施例３～６について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例３＞
　実施例３の水洗式便器は、図１５に示すように、便器本体１０と便器洗浄装置３００とを備えている。便器本体１０は、便鉢部１１と、便鉢部１１の下流側に連通する便器排水路１２とを有している。便鉢部１１は上面の開口縁に沿って形成したリム通水路１４を有している。便器排水路１２は上流端が便鉢部１１の下端部に連通している。便器排水路１２は頂部（最も高い部分）から便鉢部１１の下端部までの領域が水封部１３になっている。便器排水路１２は、水封部１３よりも下流側の位置であって、水封部１３よりも上方に開口する通気口１５を有している。また、便器排水路１２は通気口１５から下方へ延びる領域に径寸法を狭めた絞り部１６を有している。

　便器洗浄装置３００は、第１タンク１１０、給水路１１４、第２タンク１１５、通気路１１８、洗浄水制御装置１１９、及び吸気制御装置１２２を備えている。第１タンク１１０は給水弁１１２を備えたボールタップ１１１から給水された洗浄水を貯水する。便器洗浄装置３００は第１タンク１１０内に貯水した洗浄水を便鉢部１１へ供給する。第１タンク１１０は下端部に形成した排水口１１３を有している。排水口１１３は給水路１１４の上流端が接続している。給水路１１４は下流端をリム通水路１４に接続している。第１タンク１１０内に貯水した洗浄水は給水路１１４を介してリム通水路１４に供給することができる。

　第２タンク１１５は上端が閉塞されているとともに下面が連通口１１６として大きく開放された筒状をなしている。第２タンク１１５は第１タンク１１０の内部に固定されている。第２タンク１１５は、連通口１１６が第１タンク１１０内において便器洗浄前に貯水する洗浄水の最高貯水位よりも下方の高さで開口している。第２タンク１１５の内部空間（洗浄水を貯留する空間）は、この連通口１１６を介して第１タンク１１０の内部空間（洗浄水を貯留する空間）と連通している。第２タンク１１５は上端部に形成し、第１タンク１１０内における洗浄水の最高貯水位よりも高い位置に開口する吸排気口１１７を有している。吸排気口１１７は通気路１１８の一方の端部が接続している。通気路１１８は他方の端部を便器排水路１２の通気口１５に接続している。つまり、通気路１１８は、第２タンク１１５における第１タンク１１０の最高貯水位よりも高い位置と、便器排水路１２における水封部１３よりも高い位置とを連通している。

　洗浄水制御装置１１９は、給水路１１４の途中に設けたポンプ１２０と給水用電磁開閉弁１２１とを有している。ポンプ１２０は第１タンク１１０内に貯留した洗浄水を便鉢部１１（リム通水路１４）側へ圧送する。ポンプ１２０は第１タンク１１０の水頭圧に拘わらず、圧送する洗浄水の流量を増減できるような流量調節機能を有している。つまり、第１タンク１１０から便鉢部１１側へ供給する洗浄水の流量は、第１タンク１１０の水頭圧のみによって決まる流量よりも小さくすることもできるし、大きくすることもできる。また、給水用電磁開閉弁１２１が開弁すると、第１タンク１１０から便鉢部１１側への洗浄水の供給を許容する状態になり、給水用電磁開閉弁１２１を閉弁すると、第１タンク１１０内から便鉢部１１側への洗浄水の供給が停止する。

　吸気制御装置１２２は通気路１１８の途中に設けられた通気用電磁開閉弁１２３を有している。この通気用電磁開閉弁１２３が開弁すると、便器排水路１２における水封部１３よりも下流側（上方）の空間と、第２タンク１１５内における洗浄水よりも上方の空間とが連通し、両空間の間で空気が流動し得る状態になる。また、通気用電磁開閉弁１２３が閉弁すると、通気路１１８における空気の流動が遮断される。

　水洗式便器は、便器洗浄前の待機状態において、給水用電磁開閉弁１２１が閉弁状態になっているとともにポンプ１２０が停止している。第１タンク１１０は最高貯水位まで洗浄水を貯水している。第２タンク１１５は第１タンク１１０と同じ水位まで洗浄水を貯水している。一方、便器本体１０は水封部１３に洗浄水を貯留して水封を形成している。

　この状態から、便器使用者の手動操作、又は使用者が便鉢部１１から離れたことを図示しない人体検知装置が検知すると、給水用電磁開閉弁１２１が開弁状態に切り替わると同時に、ポンプ１２０が起動する。すると、第１タンク１１０から便鉢部１１側への洗浄水の供給（即ち、便器洗浄）が開始される。第１タンク１１０から便鉢部１１側へ圧送された洗浄水は、リム通水路１４を通って便鉢部１１内に供給され、便鉢部１１内の汚物を便器排水路１２側へ押し流す。また、便器排水路１２内に流入した洗浄水が絞り部１６において飛散して水膜を形成する。

　また、第１タンク１１０内の洗浄水が便鉢部１１側へ流出し始めるのと同時に、又は洗浄水が便鉢部１１に流出し始めた後に、通気用電磁開閉弁１２３が閉弁状態から開弁状態に切り替わる。通気用電磁開閉弁１２３が開弁すると、第２タンク１１５内の洗浄水よりも上方の空間と、便器排水路１２における水封部１３よりも上方（下流側）の空間とが連通する。このため、第２タンク１１５内の洗浄水の水位が低下するとともに、便器排水路１２における水封部１３よりも下流側（上方）の空間内の気体が通気路１１８を通して第２タンク１１５内に吸引される。これによって、便器排水路１２内にサイホン作用が発生し、水封部１３内の汚物等が便器本体１０外へ排出される。

　所定量の洗浄水が便鉢部１１へ供給されると、給水用電磁開閉弁１２１が閉弁するとともに、ポンプ１２０が停止し、便鉢部１１への洗浄水の供給が停止して、便器洗浄が終了する。第１タンク１１０から便鉢部１１側への洗浄水の供給が開始した後は、ポールタップ１１から第１タンク１１０内へ洗浄水が供給され続けている。このため、第１タンク１１０内及び第２タンク１１５内の洗浄水の水位が上昇する。そして、所定の水位に達すると、ボールタップ１１１からの給水が停止し、第１タンク１１０内及び第２タンク１１５内が所定の最高貯水位に保たれる。これによって、水洗式便器は便器洗浄前の待機状態に復帰する。

　便器洗浄装置３００は、第１タンク１１０から便鉢部１１へ供給する洗浄水の流量を制御する洗浄水制御装置１１９として給水路１１４にポンプ１２０を設けている。このため、便鉢部１１及び便器排水路１２の形状に応じて、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を制御して、第１タンク１１０から便鉢部１１に供給する洗浄水の流量を適宜に設定することができる。これによって、水洗式便器は便器洗浄を良好に行うことができる。

　すなわち、便器本体１０が、便器排水路１２における排水流量が多くなる形状である場合、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を小さくなるように設定して便鉢部１１へ供給する洗浄水の流量を少なくすればよい。このようにすれば、通気路１１８内への汚物の吸引を防止することができる。これによって、第２タンク１１５が便器排水路１２内の気体を確実に吸引することができ、便器排水路１２内にサイホン作用を確実に発生させることができる。

　また、便器本体１０が、便器排水路１２における排水流量が少なくなる形状である場合、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を大きくなるように設定して便鉢部１１へ供給する洗浄水の流量を多くすればよい。このようにすれば、便器排水路１２内にサイホン作用を確実に発生させることができる。このため、この水洗式便器は、サイホン作用を利用して、汚物等を便器本体１０外へ良好に排出することができる。また、この水洗式便器は、第１タンク１１０の位置が便鉢部１１と概ね同じ高さであるため、第１タンク１１０の水頭圧によって洗浄水の給水圧力を高めることはできない。しかし、ポンプ１２０が圧送する流量を大きく設定すれば、第１タンク１１０の高さが低くても、第１タンク１１０から便鉢部１１への洗浄水の供給を安定して行うことができる。

　また、この水洗式便器は、便器排水路１２から第２タンク１１５への吸気動作を制御する吸気制御装置１２２として、通気路１１８に通気用電磁開閉弁１２３を設けている。この通気用電磁開閉弁１２３の開閉（便器排水路１２から第２タンク１１５への吸気動作）を給水用電磁開閉弁１２１の開閉及びポンプ１２０の駆動に応じて制御すれば、第１タンク１１０から便鉢部１１への洗浄水の供給状態に合わせて好適なタイミングで第２タンク１１５が便器排水路１２から気体を吸引し、便器排水路１２内にサイホン作用を発生させることができる。

　例えば、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を、初期は少量として便鉢部１１の鉢洗浄を行うとともに、絞り部１６において洗浄水の水膜を形成する。その後に、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を増して第２タンク１１５が便器排水路１２から気体を吸引する吸引力を増強する。これによって、便器排水路１２内に強力なサイホン作用を発生させて、便器洗浄を良好に行うことができる。そして、便器洗浄の終期にポンプ１２０の圧送流量を少量にすれば、必要最少の洗浄水で水封部１３を満水状態にすることができる。

＜実施例４＞
　実施例４の水洗式便器は、図１６に示すように、便器洗浄装置３１０の吸気制御装置１２４が実施例３と相違する。他の構成は実施例３と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　吸気制御装置１２４は、第２タンク１１５内を上部貯水室１２７と、上部貯水室１２７よりも下方の下部貯水室１２８とに区画する区画壁１２５を有している。この区画壁１２５は上下に貫通するオリフィス１２６が形成されている。区画壁１２５は待機状態における洗浄水の最高貯水位よりも低い位置に設置されている。上部貯水室１２７は上端部に吸排気口１１７を開口している。下部貯水室１２８は下端部に連通口１１６が開口している。また、通気路１１８は通気用電磁開閉弁を設けていない。このため、第２タンク１１５内の洗浄水よりも上方の空間と、便器排水路１２における水封部１３よりも上方（下流側）の空間とが、常時、連通している。

　第１タンク１１０から便鉢部１１への洗浄水の供給が開始すると、第１タンク１１０内の洗浄水は勢い良く便鉢部１１側へ流出して第１タンク１１０のうち第２タンク１１５以外の領域に貯留されている洗浄水の水位が速やかに低下する。一方、第２タンク１１５内においては、供給の初期（つまり、絞り部１６において洗浄水が水膜を形成するまでの間）にオリフィス１２６を通過する洗浄水は比較的流動抵抗の大きい洗浄水（液体）なので、第２タンク１１５（上部貯水室１２７）内の水位低下は比較的遅い。このため、第２タンク１１５が便器排水路１２内から吸引する気体の流量が少ない。吸気制御装置１２４は絞り部１６において洗浄水の水膜が形成される時機に第２タンク１１５内の水位が区画壁１２５よりも下方へ下がるように設計されている。第２タンク１１５内の水位が区画壁１２５よりも下方へ下がると、洗浄水よりも流動抵抗の小さい気体がオリフィス１２６を通過するようになる。このため、第２タンク１１５（下部貯水室１２８）内の水位の低下が速くなる。つまり、第２タンク１１５が便器排水路１２内から吸引する気体の流量が多くなり、便器排水路１２内の気体を一気に吸引することができるため、便器排水路１２内にサイホン作用を発生させることができる。

　尚、第２タンク１１５内の水位の低下を第１タンク１１０内の水位の低下よりも遅くすると、第１タンク１１０内の水位が下がって第１タンク１１０内から洗浄水が流出する流量が少なくなったときに、第１タンク１１０内からの流出する洗浄水の流量よりも、第２タンク１１５内から第１タンク１１０内へ流入する洗浄水の流量が多くなることがある。このようになると、第１タンク１１０内と第２タンク１１５内の水位差が小さくなるので、第２タンク１１５内の水位の低下速度が遅くなり、第２タンク１１５の吸引力が低下する。これによって、第２タンク１１５から便器排水路１２側へ気体が逆流してサイホン作用が終了するおそれがある。

　しかし、この水洗式便器は、第１タンク１１０内から便鉢部１１側へ流出する洗浄水の流量をポンプ１２０によって増加することができる。このため、第１タンク１１０内と第２タンク１１５内との水位差が小さくなるのを回避し、第２タンク１１５内の水位の低下速度を速くすることができる。これにより、第２タンク１１５の吸引力の低下を防止して、サイホン作用を継続させることができる。

　また、第２タンク１１５内の初期の水位の低下を遅くし、便器洗浄を開始してから第２タンク１１５が便器排水路１２内から吸引する気体の流量が多くするまでの時間を遅延させるためには、オリフィス１２６の内径を小さくすればよい。ところが、オリフィス１２６の内径を小さくすると、洗浄水内の異物がオリフィス１２６を詰まらせるおそれがある。この点、この水洗式便器は、ポンプ１２０によって上部貯水室１２７内の洗浄水を下部貯水室１２８側へ強制的に吸引するので、オリフィス１２６において詰まりが発生するおそれはない。

＜実施例５＞
　実施例５の水洗式便器は、図１７に示すように、便器洗浄装置３２０の吸気制御装置１２９が実施例４と相違する。他の構成は実施例４と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　吸気制御装置１２９は第２タンク１１５の下部貯水室１２８内にオリフィス１２６を閉塞することができる閉塞部材１３０を収容している。この閉塞部材１３０は洗浄水よりも比重が小さい。このため、閉鎖部材１３０は第２タンク１１５内の洗浄水に浮くようになっている。よって、第２タンク１１５内の洗浄水の水位が所定高さ以上であれば、閉塞部材１３０が浮力によってオリフィス１２６を下側から閉塞する。

　第１タンク１１０から便鉢部１１へ洗浄水の供給を開始すると、供給の初期は、閉塞部材１３０が浮力によってオリフィス１２６を下側から閉塞しようとしている。このため、オリフィス１２６を通過する洗浄水の流量は閉塞部材１３０がない場合に比べて絞られる。このときのオリフィス１２６を通過するときの流量は、閉塞部材１３０に作用する浮力の影響を受けるとともに、第２タンク１１５内と第１タンク１１０内の洗浄水の水位差によって変動する。

　そして、第２タンク１１５内の洗浄水の水位が区画壁１２５の下面よりも低くなると、洗浄水よりも流動抵抗の小さい空気がオリフィス１２６を通過するようになる。このため、第２タンク１１５内の水位の低下が速くなり、便器排水路１２内にサイホン作用を発生することができる。この水洗式便器は、洗浄水がオリフィス１２６を通過している間は閉塞部材１３０によってオリフィス１２６の開度が狭められるので、閉塞部材１３０を設けないものに比べると、便器排水路１２内にサイホン作用を発生させるタイミングを遅らせることができる。また、気体がオリフィス１２６を通過し始める前において、ポンプ１２０が圧送する洗浄水の流量を減少させれば、第１タンク１１０内と第２タンク１１５内の水位差が小さくなるので、オリフィス１２６を通過する洗浄水の流量が減り、便器排水路１２内のサイホン作用の発生を遅らせることもできる。

＜実施例６＞
　実施例６の水洗式便器は、図１８に示すように、便器洗浄装置３３０の洗浄水制御装置１３１が実施例３と相違する。他の構成は実施例３と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　水洗式便器は第１タンク１１０を便鉢部１１よりも高い位置に設置している。このため、第１タンク１１０内及び第２タンク１１５内の洗浄水の最高貯水位は、便鉢部１１に比べて十分に高い位置になる。便器洗浄装置３３０は、給水路１１４の途中に給水用電磁開閉弁１２１と、給水用電磁開閉弁１２１よりも下流側（便鉢部１１側）に配置した給水用流量制御弁１３２とを有している。このように、第１タンク１１０を便鉢部１１よりも高い位置に設置して第１タンク１１０内の水頭圧を高くする形態と、給水路１１４に給水用電磁開閉弁１２１と給水用流量制御弁１３２を設ける形態とによって、洗浄水制御装置１３１が構成されている。

　給水用電磁開閉弁１２１を開弁すると、第１タンク１１０内の洗浄水の水頭圧によって、第１タンク１１０から便鉢部１１側への洗浄水の供給（即ち、便器洗浄）を開始する。便鉢部１１に供給された洗浄水は、便鉢部１１内の汚物を便器排水路１２側へ押し流す。また、便器排水路１２内に流入した洗浄水が絞り部１６において飛散して水膜を形成する。また、便器排水路１２における水封部１３よりも下流側（上方）の空間内の気体が通気路１１８を通して第２タンク１１５内に吸引される。これによって、便器排水路１２内にサイホン作用が発生する。このとき、給水用流量制御弁１３２を調節して便鉢部１１へ供給する洗浄水の流量を多くすれば、便器排水路１２内にサイホン作用を確実に発生させることができ、汚物等を便器本体外へ良好に排出することができる。また、給水量流量制御弁１３２を調節して便鉢部１１へ供給する洗浄水の流量を少なくすれば、通気路１１８内へ汚物が吸引されることを防止することができる。また、洗浄水が便鉢部１１側へ流出し始めるのと同時に、又は洗浄水が便鉢部１１に流出し始めた後に、通気路１１８の通気用電磁開閉弁１２３が開弁状態に切り替わる。このため、第２タンク１１５内の洗浄水の水位が低下するのに伴って、便器排水路１２内の空気が通気路１１８を通して第２タンク１１５内に吸引され、便器排水路１２内にサイホン作用が発生し、水封部１３内の汚物等が便器本体１０外へ排出される。

　第３発明は上記記述及び図面によって説明した実施例３～６に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。

　（１）実施例３～６では、第２タンクを第１タンクの内部に配置したが、第２タンクは第１タンクの外部に配置してもよい。
　（２）実施例３～５では、第１タンクの位置を便鉢とほぼ同じ高さに配置したが、第１タンクを便鉢よりも高い位置に配置してもよい。
　（３）実施例３～５では、洗浄水制御装置として圧送する洗浄水の流量を調節可能なポンプを用いたが、ポンプに替えて流量制御弁を洗浄水制御装置として用いてもよく、圧送する洗浄水の流量を調節することができないポンプとこのポンプの下流側に設けた流量制御弁とによって洗浄水制御装置を構成してもよい。
　（４）実施例３、６では、便器排水路から第２タンクへの吸気動作を制御する吸気制御装置として通気路に通気用電磁開閉弁を設けたが、通気用電磁開閉弁に替えて流量制御弁を設けてもよく、通気用電磁開閉弁に加えて流量制御弁を設けてもよい。また、吸気制御装置を設けなくてもよい。
　（５）実施例４、５において、便器排水路から第２タンクへの吸気動作を制御する吸気制御装置として、通気路に電磁開閉弁を設けてもよく、流量制御弁を設けてもよく、電磁開閉弁と流量制御弁を設けてもよい。
　（６）実施例６に、実施例４又は実施例５の吸気制御装置を適用してもよい。
　（７）実施例６では、洗浄水制御装置として、第１タンクを便鉢部よりも高い位置に設置して第１タンク内の水頭圧を高くし、給水路に電磁開閉弁と流量制御弁とを設けているが、これに替えて、実施例３～５のように給水路にポンプと電磁開閉弁を設けてもよい。

　次に、第４発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第４発明の流出口は前記第３タンクの上部に貫設し、前記ノズルは前記第３タンク内の上部に設けられ得る。この場合、便器洗浄装置を便器本体の上面よりも低い位置に配置しても、ジェットポンプによって、大流量の洗浄水を便器本体に供給することができる。このため、便器本体と、この便器洗浄装置とを備えることによってローシルエットの水洗式便器を実現することができる。

　第４発明のノズルは、前記第１タンクから前記流入口を介して前記第３タンク内に空気が流入し、前記第３タンク内の水位が低下するまで洗浄水を噴射し得る。この場合、第１タンクから流入口を介して第３タンク内に空気が流入すると、第３タンク内の水位が急激に低下し、ジェットポンプが第３タンク内の洗浄水を引き込むことができなくなり、ノズルからの洗浄水の噴射を停止する。ノズルへの洗浄水の給水圧力が変動した場合、噴射する洗浄水の流量が変動するため、ジェットポンプに引き込まれる第３タンク内の洗浄水の流量も変動する。このように、ノズルへの洗浄水の給水圧力が変動すると、便器本体に供給する洗浄水の流量が変動するが、この便器洗浄装置は、便器本体に供給する洗浄水の水量を略一定にすることができる。

　つまり、第３タンク内の水位が低下するまでにジェットポンプに引き込まれる洗浄水の水量は、第３タンクの外側であって第１タンク内に貯留された洗浄水の水量と同等であり、略一定である。ジェットポンプが一定水量の洗浄水を引き込む際、ノズルから噴射する洗浄水の流量が少なければ、噴出時間は長くなり、ノズルから噴射する洗浄水の流量が多ければ、噴出時間は短くなる。このように、ジェットポンプが一定水量の洗浄水を引き込むには、ノズルから噴射する洗浄水の水量も略一定の水量を噴出することになる。このため、ノズルから噴射する洗浄水の流量が変動し、引き込まれる第３タンク内の洗浄水の流量が変動することによって、便器本体に供給する洗浄水の流量が変動しても、この便器洗浄装置は便器本体に供給する洗浄水の水量を略一定にすることができる。

　第４発明において、前記第１タンクから前記流入口を介して前記第３タンクに空気が流入を開始する際の前記第１タンク内の水位を変更し得る。この場合、第１タンクから流入口を介して第３タンクに空気が流入を開始する際の第１タンク内の水位を変更することによって、便器本体に供給する洗浄水の水量を変更することができる。つまり、第１タンクから流入口を介して第３タンクに空気が流入を開始する際の第１タンク内の水位を低くすると、第３タンク内の洗浄水の水位の低下時期が遅くなり、ジェットポンプが第３タンク内の洗浄水を長い間引き込むことができる。このため、便器洗浄装置が便器本体に供給する洗浄水の水量を多くすることができる。一方、第１タンクから流入口を介して第３タンクに空気が流入を開始する際の第１タンク内の水位を高くすると、第３タンク内の洗浄水の水位の低下時期が早くなり、ジェットポンプが第３タンク内の洗浄水を早期に引き込むことができなくなる。このため、便器洗浄装置が便器本体に供給する洗浄水の水量を少なくすることができる。このように、この便器洗浄装置は、便器本体に供給する洗浄水の水量を容易に変更することができるため、便器洗浄水量の相違する複数種類の便器本体に容易に対応することができる。

　第４発明において、前記第１タンクの下部と前記ノズルとを連通する連通路と、この連通路に設けられ、前記第１タンク内に貯水した洗浄水を前記ノズルへ送水する送水装置とを備え得る。この場合、ノズルへ送水装置を利用して洗浄水を送水することができるため、ノズルへ安定した高水圧の洗浄水を送水することができる。このため、ジェットポンプが第３タンク内の洗浄水を強力に引き込むことができ、給水路１１４を介して大流量の洗浄水を安定的に便器本体に供給することができる。

　次に、第４発明の便器洗浄装置を備えた水洗式便器を具体化した実施例７～１０について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例７＞
　実施例７の水洗式便器は、図１９に示すように、便器本体１０と、便器本体１０に洗浄水を供給する便器洗浄装置２２０とを備えている。便器本体１０は、便鉢部１１と、便鉢部１１の下流側に連通する便器排水路１２とを有している。

　便器洗浄装置２２０は、便器本体１０の後方であって、便器本体１０の上面より低い位置に配置している。このため、この水洗式便器はローシルエットを実現している。この便器洗浄装置２２０は、第１タンク２２１、第２タンク２２２、ジェットポンプ２２３、及び給水路２２４を備えている。第１タンク２２１は給水源である水道管に連通したタンク給水路２２５を介して洗浄水が流入する。タンク給水路２２５は下流端に設けられたタンク給水用バルブ２２５Ｖを有している。第１タンク２２１は、タンク給水路２２５を介して流入した洗浄水を貯留することができる。

　第２タンク２２２は第１タンク２２１内に配置している。この第２タンク２２２は第１タンク２２１内の下部の近傍で下方に向けて開放した流入口２２２Ａを有している。また、この第２タンク２２２は上端部に流出口２２２Ｂを有している。第２タンク２２２は後述する噴射ノズル２２６へ洗浄水を供給する分岐給水路２２７が上面から水密状に挿入されている。流出口２２２Ｂの開口面積は噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａの開口面積より大きく形成されている。

　給水路２２４は流出口２２２Ｂと便器本体１０とを連通している。この給水路２２４は流出口２２２Ｂの開口縁から連続して延びている。このため、給水路２２４の流路面積は噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａの開口面積より大きく形成されている。また、給水路２２４は、便器本体１０の後端上部に至るまで斜め上方を向いた昇り勾配を有しており、下流端の吐水口２２４Ａが便器本体１０の便鉢部１１の上部周縁に沿って洗浄水を吐水するように配置されている。このため、給水路２２４の吐水口２２４Ａから吐水された洗浄水は、便鉢部１１の表面に沿って一方向流れ、便鉢部１１内に旋回流を形成することができる。

　また、第２タンク２２２の流出口２２２Ｂが第２タンク２２２の上端部に形成されているため、給水路２２４は長くならず、また、給水路２２４は昇り勾配が急にならない。このため、給水路２２４を通過する洗浄水の圧力損失を少なくすることができる。

　ジェットポンプ２２３は、第２タンク２２２内であって、第２タンク２２２の流出口２２２Ｂと隙間を空けて対向する位置に配置した噴射ノズル２２６を有している。ジェットポンプ２２３は第２タンクの流出口２２２Ｂと噴射ノズル２２６とから構成されている。この噴射ノズル２２６は、第２タンク２２２内の上部に設けられており、噴出した洗浄水が給水路２２４に沿って流れるように洗浄水の噴出方向を流出口２２２Ｂに向けている。このように、ジェットポンプ２２３は第２タンク２２２の上部に配置されている。噴射ノズル２２６はタンク給水路２２５を分岐した分岐給水路２２７を介して洗浄水が流入する。分岐給水路２２７は噴射ノズル用バルブ２２７Ｖを有している。

　便器洗浄前の待機状態は、図１９に示すように、タンク給水路２２５から流入した洗浄水が第１タンク２２１内に流入している。さらに、洗浄水が第１タンク２２１の下部から第２タンク２２２の流入口２２２Ａを介して第２タンク２２２内にも流入している。つまり、水洗式便器は第１タンク２２１及び第２タンク２２２に洗浄水を満水状態に貯水して便器洗浄前の待機状態になっている。この待機状態ではタンク給水用バルブ２２５Ｖ及び噴射ノズル用バルブ２２７Ｖは閉弁している。

　また、便器洗浄前の待機状態では、第１タンク２２１の上方に開口する開口面積に比べ、給水路２２４の下流端の開口面積が小さいため、第１タンク２２１内の洗浄水の水圧によって、第２タンク２２２から下流側に連通する給水路２２４内まで洗浄水が流入している。つまり、第２タンク２２２は洗浄水で満水状態であり、第２タンク２２２の外側の第１タンク２２１内の洗浄水の水位よりも高い位置まで給水路２２４内の洗浄水の水位が上昇している。

　次に、便器洗浄を開始すると、図２０に示すように、噴射ノズル用バルブ２２７Ｖが開弁する。すると、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから洗浄水が噴射し、第２タンク２２２内の洗浄水が引き込まれる。噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴射した洗浄水と、それに引き込まれた第２タンク２２２内の洗浄水とが合流し、給水路２２４を介して洗浄水が便器本体１０に供給される。この際、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴出する洗浄水の流量の約３～４倍の流量の洗浄水を便器本体１０に供給することができる。

　この便器洗浄装置２２０は、ジェットポンプ２２３を第２タンク２２２の上部に配置しているため、給水路２２４が長くならず、また、給水路２２４の昇り勾配が急にならない。このため、給水路２２４を通過する洗浄水の圧力損失を少なくすることができる。よって、この便器洗浄装置２２０は便器本体１０に大流量の洗浄水を供給することができる。

　ジェットポンプ２２３によって、第２タンク２２２内の洗浄水が引き込まれ、便器本体１０に大流量の洗浄水が供給され始めると同時に、第１タンク２２１の下部の洗浄水が第２タンク２２２の流入口２２２Ａを介して第２タンク２２２内に流入する。これによって、第１タンク２２１内の洗浄水の水位は低下する。この際、第２タンク２２２内の洗浄水は第１タンク２２１内の洗浄水の水圧の影響を受け、第２タンク２２２内が洗浄水で満水状態に維持される。このため、ジェットポンプ２２３は第２タンク２２２内の洗浄水に水没した状態を維持することができる。よって、ジェットポンプ２２３は、第２タンク２２２内の洗浄水を引き込み続けることができ、便器本体１０に大流量の洗浄水を供給し続けることができる。

　さらに便器洗浄を継続すると、図２１に示すように、第１タンク２２１内の洗浄水の水位がさらに低下し、第１タンク２２１内の洗浄水の水位が第２タンク２２２の流入口２２２Ａより低下する。すると、第１タンク２２１から第２タンク２２２の流入口２２２Ａを介して第２タンク２２２内に空気が流入し、第２タンク２２２内の洗浄水の水位が一気に低下する。このため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２２２内で露出してしまい、ジェットポンプ２２３は洗浄水を引き込むことができなくなる。

　便器洗浄装置２２０は、第２タンク２２２内の水位を検知する図示しない水位センサー（例えば、フロートセンサー）を有しており、この水位センサーが第２タンク２２２内の水位の低下を検知すると、噴射ノズル用バルブ２２７Ｖを閉弁する。このようにして、便器本体１０への洗浄水の供給を終了する。つまり、噴射ノズル２２６は、第１タンク２２１から流入口２２２Ａを介して第２タンク２２２内に空気が流入し、第２タンク２２２内の水位が低下するまで洗浄水を噴射することになる。

　噴射ノズル２２６への洗浄水の給水圧力が変動した場合、噴射する洗浄水の流量が変動するため、ジェットポンプ２２３に引き込まれる第２タンク２２２内の洗浄水の流量も変動してしまう。このように、噴射ノズル２２６への洗浄水の給水圧力が変動すると、便器本体１０に供給する洗浄水の流量が変動してしまうが、この水洗式便器の便器洗浄装置２２０は、便器本体１０に供給する洗浄水の水量を略一定にすることができる。

　つまり、第２タンク２２２内の水位が低下するまでにジェットポンプ２２３に引き込まれる洗浄水の水量は、第２タンク２２２の外側であって第１タンク２２１内に貯留された洗浄水の水量と略等しいため、略一定である。ジェットポンプ２２３が一定水量の洗浄水を引き込む際、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴射する洗浄水の流量が少なければ、噴射時間は長くなり、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴射する洗浄水の流量が多ければ、噴出時間は短くなる。このように、ジェットポンプ２２３が一定水量の洗浄水を引き込むには、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴射する洗浄水の水量も略一定の水量を噴射することになる。このため、噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから噴射する洗浄水の流量が変動し、引き込まれる第２タンク２２２内の洗浄水の流量が変動することによって、便器本体１０に供給する洗浄水の流量が変動しても、便器洗浄装置２２０が便器本体１０に供給する洗浄水の水量を略一定にすることができる。

　その後、図２２に示すように、タンク給水用バルブ２２５Ｖを開弁し、タンク給水路２２５から洗浄水を第１タンク２２１内に流入させ、第１タンク２２１及び第２タンク２２２に洗浄水を貯留することによって、図１９に示すように、水洗式便器を便器洗浄前の待機状態に復帰させる。このようにして、便器洗浄工程の１サイクルを終了する。

　この水洗式便器は、便器洗浄装置２２０を便器本体１０の後方であって、便器本体１０の上面より低い位置に配置し、ローシルエットを実現することができる。また、この水洗式便器は、ジェットポンプ２２３を第２タンク２２２の上部に配置することによって、給水路２２４が長くならず、かつ、給水路２２４の昇り勾配が急にならないため、給水路２２４における洗浄水の圧力損失を少なくし、便器本体１０に大流量の洗浄水を供給することができる。便器洗浄装置２２０は、第１タンク２２１内の洗浄水のほとんどが第２タンク２２２内に流入するまで、ジェットポンプ２２３が第２タンク２２２内の洗浄水を引き込むことができ、便器本体１０に大流量の洗浄水を長く供給することができる。つまり、この水洗式便器は、第１タンク２２１及び第２タンク２２２に貯留した洗浄水のほとんどを利用することができる。

　したがって、実施例７の水洗式便器は、便器洗浄装置２２０の設置位置の自由度があり、便器洗浄を良好に行うことができる。

＜実施例８＞
　実施例８の水洗式便器は、図２３に示すように、便器洗浄装置２３０の第２タンク２３１の側面２３１Ｂを蛇腹状に形成することによって、第１タンク２２１から流入口２３１Ａを介して第２タンク２３１に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を変更することができる点で、実施例７と相違する。他の構成は実施例７と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　この水洗式便器の便器洗浄装置２３０は、第２タンク２３１の側面２３１Ｂの蛇腹部分を伸縮させることによって、第１タンク２２１から流入口２３１Ａを介して第２タンク２３１に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を変更することができる。このため、便器本体１０に供給する洗浄水の水量を変更することができる。

　つまり、図２３（Ａ）に示すように、第２タンク２３１の側面２３１Ｂの蛇腹部分を伸ばして、第２タンク２３１の流入口２３１Ａを第１タンク２２１の下部に配置する。これによって、第１タンク２２１から流入口２３１Ａを介して第２タンク２３１に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を低くすることができる。このようにすると、便器洗浄を開始した後、第２タンク２３１内の洗浄水の水位の低下時機を遅くすることができるため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２３１内の洗浄水を長い間引き込むことができる。このため、便器洗浄装置３が便器本体１０に供給する洗浄水の水量を多くすることができる。つまり、第１タンク２２１及び第２タンク２３１に貯水した洗浄水のうち、流入口２３１Ａより上側であって、第２タンク２３１の外側の第１タンク２２１内に貯留された水量（図２３（Ａ)に示すＸ部分）に略等しい水量を便器本体１０に供給することができる。

　一方、図２３（Ｂ）に示すように、第２タンク２３１の側面２３１Ｂの蛇腹部分を縮めて、第２タンク２３１の流入口２３１Ａを高い位置に配置する。これによって、第１タンク２２１から流入口２３１Ａを介して第２タンク２３１に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を高くすることができる。このようにすると、便器洗浄を開始した後、第２タンク２３１内の洗浄水の水位の低下が早くなるため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２３１内の洗浄水を早期に引き込むことができなくなる。このため、便器洗浄装置２３０が便器本体１０に供給する洗浄水の水量を少なくすることができる。つまり、第１タンク２２１及び第２タンク２３１に貯留した洗浄水のうち、流入口２３１Ａより上側であって、第２タンク２３１の外側の第１タンク２２１内に貯留された水量（図２３（Ｂ)に示すＹ部分）に略等しい水量（第２タンク２３１の側面２３１Ｂの蛇腹部分を伸ばした場合より少ない水量）を便器本体１０に供給することができる。

　このように、実施例８の水洗式便器の便器洗浄装置２３０は、便器本体１０に供給する洗浄水の水量を容易に変更することができるため、便器洗浄の際に必要とされる洗浄水の水量が相違する複数種類の便器本体１０に容易に対応することができる。

＜実施例９＞
　実施例９の水洗式便器は、図２４に示すように、側面の縦寸法が相違する複数の第２タンク２４１、２４２を取り換えることができる便器洗浄装置２４０である点で、実施例７と相違する。他の構成は実施例７と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　この水洗式便器の便器洗浄装置２４０は、側面の縦寸法が相違する第２タンク２４１、２４２を取り換えることによって、第１タンク２２１から流入口２４１Ａ、２４２Ａを介して第２タンク２４１、２４２に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を変更することができるため、便器本体１０に供給する洗浄水の水量を変更することができる。

　つまり、図２４（Ａ）に示すように、側面の縦寸法が長い第２タンク２４１を第１タンク２２１内に取り付けることによって、第２タンク２４１の流入口２４１Ａを第１タンク２２１の下部に配置する。これによって、第１タンク２２１から流入口２４１Ａを介して第２タンク２４１に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を低くすることができる。このようにすると、便器洗浄を開始した後、第２タンク２４１内の洗浄水の水位の低下時機を遅くすることができるため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２４１内の洗浄水を長い間引き込むことができる。このため、便器洗浄装置２４０が便器本体１０に供給する洗浄水の水量を多くすることができる。つまり、第１タンク２２１及び第２タンク２４１に貯水した洗浄水のうち、流入口２４１Ａより上側であって、第２タンク２４１の外側の第１タンク２２１内に貯留された水量（図２４（Ａ)に示すＸ部分）に略等しい水量を便器本体１０に供給することができる。

　一方、図２４（Ｂ）に示すように、側面の縦寸法が短い第２タンク２４２を第１タンク２２１内に取り付けることによって、第２タンク２４２の流入口２４２Ａを高い位置に配置する。これによって、第１タンク２２１から流入口２４２Ａを介して第２タンク２４２に空気が流入を開始する際の第１タンク２２１内の水位を高くすることができる。このようにすると、便器洗浄を開始した後、第２タンク２４２内の洗浄水の水位の低下が早くなるため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２４２内の洗浄水を早期に引き込むことができなくなる。このため、便器洗浄装置２４０が便器本体１０に供給する洗浄水の水量を少なくすることができる。つまり、第１タンク２２１及び第２タンク２４２に貯留した洗浄水のうち、流入口２４２Ａより上側であって、第２タンク２４２の外側の第１タンク２２１内に貯留された水量（図２４（Ｂ)に示すＹ部分）に略等しい水量（側面の縦寸法が長い第２タンク２４１を取り付けた場合より少ない水量）を便器本体１０に供給することができる。

　このように、実施例９の水洗式便器の便器洗浄装置２４０は、便器本体１０に供給する洗浄水の水量を容易に変更することができるため、便器洗浄の際に必要とされる洗浄水の水量が相違する複数種類の便器本体１０に容易に対応することができる。

＜実施例１０＞
　実施例１０の水洗式便器は、図２５に示すように、便器洗浄装置２５０が第１タンク２２１の下部と噴射ノズル２２６とを連通する連通路２２８と、この連通路２２８に設けられ、第１タンク２２１内に貯留した洗浄水を噴射ノズル２２６へ送水する送水装置であるポンプＰとを備えている点で、実施例７と相違する。他の構成は実施例７と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　この水洗式便器は、便器洗浄工程において、便器洗浄を開始すると、ポンプＰを駆動して噴射ノズル２２６の噴射口２２６Ａから第１タンク２２１に貯留した洗浄水を噴射し、第２タンク２２２内の洗浄水を引き込むことができる。噴射ノズル２２６へポンプＰを利用して洗浄水を送水するため、噴射ノズル２２６へ安定した高水圧の洗浄水を送水することができる。このため、ジェットポンプ２２３が第２タンク２２２の洗浄水を強力に引き込み、給水路２２４を介して大流量の洗浄水を安定的に便器本体１０に供給することができる。

　第４発明は上記記述及び図面によって説明した実施例７～１０に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例７～１０では、第１タンク内に第２タンクを配置しているが、第１タンクと第２タンクとを隣り合わせに配置し、夫々の下部を接続する接続路を設けてもよい。
（２）実施例７～１０では、第２タンクが給水路よりも流路面積を大きくしているが、第２タンクの流路面積を給水路の流路面積と同じにしてもよい。
（３）実施例７～１０では、第２タンクの上端部に流出口を設け、給水路を連結しているが、流出口は流入口より高い位置であればよい。
（４）実施例７～１０では、給水路を便鉢部の上部に連通し、洗浄水を便鉢部の表面に吐水するようにしているが、給水路の下流端の吐水口を便鉢部の下端又は便器排水路の上流端部に設け、便器排水路に沿って洗浄水を吐水するようにしてもよい。
（５）実施例７～１０では、第１タンク内の洗浄水の水位が第２タンクの流入口より低下し、第２タンク内の洗浄水の水位が低下すると噴射ノズルへの洗浄水の供給を終了するが、第１タンク内の洗浄水の水位が第２タンクの流入口より上方であるときに、噴射ノズルへの洗浄水の供給を終了してもよい。

　１０…便器本体
　１１…便鉢部
　１２…便器排水路
　１３…水封部
　２０、３０、６０…便器洗浄装置
　２１、３１…第１タンク
　２１Ｄ…（第１タンクの）下方領域
　２１Ｕ…（第１タンクの）上方領域
　２２…第２タンク
　２２Ｃ…（第２タンクの）下部開口
　２２Ｄ…（第２タンクの）下方領域
　２２Ｕ…（第２タンクの）上方領域
　２３…通気路
　２４、３４…給水路
　２５…開閉弁（遅延装置）
　Ｌ…最高貯水位
　３００、３１０、３２０、３３０…便器洗浄装置
　１１０…第１タンク
　１１５…第２タンク
　１１４…給水路
　１１８…通気路
　１１９、１３１…洗浄水制御装置
　１２０…ポンプ
　１２２、１２４、１２９…吸気制御装置
　１２５…区画壁
　１２６…オリフィス
　１２７…上部貯水室
　１２８…下部貯水室
　１３０…閉鎖部材
　２２０、２３０、２４０、２５０…便器洗浄装置
　２２１…第１タンク
　２２２、２３１、２４１、２４２…第２タンク
　２２２Ａ、２３１Ａ、２４１Ａ、２４２Ａ…流入口
　２２２Ｂ…流出口
　２２３…ジェットポンプ機構
　２２４…給水路
　２２６…噴射ノズル
　２２８…連通路
　Ｐ…ポンプ（送水機構）

Claims

　便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路とを有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水を貯水する第１タンクと、
　下部開口が前記第１タンクに連通し、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を多くした第２タンクと、
　前記第１タンクの最高貯水位よりも高い位置を経由して前記第２タンクと前記便器排水路とを連通する通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通する給水路と、
　前記第１タンクに貯水した洗浄水を前記給水路を介して前記便鉢部へ供給を開始するよりも遅い時機に前記便器排水路側から前記第２タンク側へ流れる前記通気路内の気体の流量を最大にする遅延装置とを備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
　前記第１タンクは下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくしたことを特徴とする請求項１記載の便器洗浄装置。
　便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路とを有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水を貯水し、下方領域よりも上方領域において単位高さ当たりの貯水量を少なくした第１タンクと、
　下部開口が前記第１タンクに連通した第２タンクと、
　前記第１タンクの最高貯水位よりも高い位置を経由して前記第２タンクと前記便器排水路とを連通する通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通する給水路と、
　前記第１タンクに貯水した洗浄水を前記給水路を介して前記便鉢部へ供給を開始するよりも遅い時機に前記便器排水路側から前記第２タンク側へ流れる前記通気路内の気体の流量を最大にする遅延装置とを備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
　前記第２タンクは前記下部開口が前記第１タンクの最低貯水位よりも低い高さで前記第１タンクに連通していることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の便器洗浄装置。
　前記遅延装置は、前記通気路に設け、この通気路を開閉する開閉弁であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の便器洗浄装置。
　前記第２タンクは前記第１タンク内に収納されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の便器洗浄装置。
　便鉢部と、この便鉢部の下流側に連通する便器排水路を有した便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水が流入し、流入した洗浄水を貯水する第１タンクと、
　この第１タンクの下部に連通した第２タンクと、
　この第２タンクと前記便器排水路とを連通した通気路と、
　前記第１タンクと前記便鉢部とを連通した給水路と、
　前記第１タンクから前記便鉢部へ供給する洗浄水の流量を制御する洗浄水制御装置とを備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
　前記洗浄水制御装置は前記給水路に設けたポンプを有していることを特徴とする請求項７記載の便器洗浄装置。
　前記便器排水路から前記第２タンクが気体を吸引する吸気動作を制御する吸気制御装置を備えていることを特徴とする請求項７又は８記載の便器洗浄装置。
　前記吸気制御装置はオリフィスを有する区画壁によって前記第２タンクを上部貯水室と下部貯水室とに区画して構成したことを特徴とする請求項９記載の便器洗浄装置。
　前記下部貯水室内に洗浄水に浮くことによって前記オリフィスを閉鎖することができる閉鎖部材を設けていることを特徴とする請求項１０記載の便器洗浄装置。
　便鉢部、及びこの便鉢部の下流側に連通する便器排水路を有する便器本体と、請求項１又は７記載の便器洗浄装置とを備えていることを特徴とする水洗式便器。
　便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
　洗浄水が流入し、流入した洗浄水を貯留する第１タンクと、
　この第１タンクの下部から洗浄水が流入する流入口、及びこの流入口より上方に設け、前記便器本体に連通する流出口を有しており、前記便器本体に洗浄水を供給する際、前記第１タンクから前記流入口を介して空気が流入しない状態では前記第１タンク内の洗浄水の水圧の影響を受けて、洗浄水を満水状態に維持する第３タンクと、
　この第３タンク内に前記流出口と隙間を空けて対向する位置に配置し、前記流出口に向けて洗浄水を噴射するノズルを有するジェットポンプと、
　前記流出口と前記便器本体とを連通する給水路とを備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
　前記流出口は前記第３タンクの上部に貫設し、前記ノズルは前記第３タンク内の上部に設けられていることを特徴とする請求項１３記載の便器洗浄装置。
　前記ノズルは、前記第１タンクから前記流入口を介して前記第３タンク内に空気が流入し、前記第３タンク内の水位が低下するまで洗浄水を噴射することを特徴とする請求項１３又は１４記載の便器洗浄装置。
　前記第１タンクから前記流入口を介して前記第３タンクに空気が流入を開始する際の前記第１タンク内の水位を変更することができる請求項１５記載の便器洗浄装置。
　前記第１タンクの下部と前記ノズルとを連通する連通路と、この連通路に設けられ、前記第１タンク内に貯水した洗浄水を前記ノズルへ送水する送水装置とを備えていることを特徴とする請求項１３又は１４記載の便器洗浄装置。
　便器本体と、請求項１３又は１４記載の便器洗浄装置とを備えていることを特徴とする水洗式便器。