WO2008072492A1

WO2008072492A1 - 防錆顔料及びこれを含有する防錆塗料組成物

Info

Publication number: WO2008072492A1
Application number: PCT/JP2007/073202
Authority: WO
Inventors: Yutaka Kinose; Yasuyuki Tanaka; Minoru Yokoyama; Yasushi Yamakage; Heiji Uchiyama
Original assignee: Nippon Chemical Industrial Co., Ltd.; Toho Ganryo Kogyo Co., Ltd.
Priority date: 2006-12-13
Filing date: 2007-11-30
Publication date: 2008-06-19
Also published as: CN101553538A; JP2008144105A; JP5014762B2

Abstract

本発明は、金属材料に優れた防錆性を付与することができる無公害型防錆顔料及びこれを含有する防錆塗料組成物を提供する。本発明の防錆塗料組成物は、Ｐ２Ｏ５と、ＣａＯと、ＳｉＯ２と、ＭｇＯとを含有する非晶質無機組成物からなることを特徴とし、好ましくはＰ２Ｏ５１０～３０質量％、ＣａＯ２０～４０質量％、ＳｉＯ２１０～３０質量％、ＭｇＯ１０～２０質量％を含有する非晶質無機組成物からなることを特徴とする。

Description

明細書

防鲭顔料及びこれを含有する防鲭塗料組成物

技術分野

[0001] 本発明は、金属材料に優れた防鯖性を付与する無公害型の防鯖顔料及びこれを含有する防鯖塗料組成物に関する。

背景技術

[0002] 従来、防鯖顔料としては、クロム酸塩（クロム酸ストロンチウム、塩基性クロム酸亜鉛、塩基性クロム酸亜鉛カリなど)や鉛化合物 (鉛丹、亜酸化鉛、シァナミド鉛、鉛酸力ノレシゥムなど）が使用されていた。これらの防鯖顔料は金属に対して優れたさび止め性能を発揮するものの、毒性が危惧されている。環境汚染物質としてクロムや鉛が規制されてきていることもあり、これらの材料に代わる新規防鯖顔料の提供が期待されている。

[0003] 現在市販されている非鉛、非クロム系の防鯖顔料としては、例えば金属のリン酸塩、亜リン酸塩、リン珪酸塩、ホウ珪酸塩、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、モリブデン酸塩、ポリリン酸塩などがある。これらの金属カチオンとしては例えばカルシウム、ストロンチウム、ノリウム、亜鉛、ァノレミニゥム、マグネシウムなどが用いられている。また、イオン交換を受けさせたシリカ、例えばカルシウム交換を受けさせたシリカなども市販されてい更に下記特許文献 1には、キレート能を有するホスホン酸を含む防鯖顔料が開示され、また下記特許文献 2には、オルガノ置換ホスホン酸、またはホスホノカルボン酸の多価金属塩を含有する防鯖顔料が開示されている。

特許文献 1 :特表平 11 512126号公報

特許文献 2 :特開平 7— 207182号公報

特許文献 3 :特開昭 57— 92588号公報

特許文献 4 :特開昭 57— 149885号公報

特許文献 5 :特開昭 57— 200279号公報

特許文献 6：特開昭 58— 69794号公報特許文献 7：特開昭 58— 89939号公報

特許文献 8：特開昭 58— 145681号公報

特許文献 9 :特開昭 60— 65785号公報

特許文献 10 :特開昭 62— 270484号公報

特許文献 11 :特開平 8— 295584号公報

特許文献 12：特開昭 53— 18636号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] これらの防鯖顔料の中では、現在、トリポリリン酸アルミニウムやリン酸亜鉛を主成分とする防鯖顔料が最も幅広く用いられている。し力、しながら、トリポリリン酸アルミニウムやリン酸亜鉛などの防鯖顔料は、必ずしもクロム系や鉛系の防鯖顔料と比較して性能面で同じレベルには到達しておらず、更なる防鯖性能の改良が求められている。

[0005] 従って、本発明の目的は、金属材料に優れた防鯖性を付与することができる無公害型防鯖顔料及びこれを含有する防鯖塗料組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、 P Oと、 CaOと、 SiO

2 5 2 と、 MgOとを含有する非晶質無機組成物からなる防鯖顔料は、顔料中の防鯖性効果の成分がごく僅かながら水に溶出し、該防鯖顔料を含む塗料組成物を金属材料表面に塗布した際に、従来のクロム系や鉛系の防鯖顔料を含む塗料組成物に匹敵する、優れた防鯖性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに到つた。

[0007] 即ち、本発明が提供しょうとする第 1の発明は、 P Oと、 CaOと、 SiOと、 MgOとを

2 5 2

含有する非晶質無機組成物からなることを特徴とする防鯖顔料である。

[0008] また、本発明が提供しょうとする第 2の発明は、前記第 1の発明の防鯖顔料を含むことを特徴とする防鯖塗料組成物である。

発明の効果

[0009] 本発明によれば、金属材料に優れた防鯖性を付与することができる無公害型防鯖顔料及びこれを含有する防鯖塗料組成物を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

[0010] 以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。

本発明の防鯖顔料は、 P Oと、 CaOと、 SiOと、 MgOとを含有し、その好ましい組

2 5 2

成は、（1)リン酸成分として P〇 10〜30質量％、好ましくは 15〜25質量％、（2)力

2 5

ルシゥム成分として。〇20〜40質量％、好ましくは 25〜35質量％、（3)珪酸成分として Si〇 10〜30質量％、好ましくは 15〜25質量％、（4)マグネシウム成分として M

2

gO10〜20質量％、 12〜17質量％、であり、 X線回折分析において非晶質を示す非晶質無機組成物からなることを特徴としている。

[0011] 前記非晶質無機組成物からなる本発明の防鯖顔料は、各成分がごく僅かに溶出する反面、安定した顔料特性を示し、該防鯖顔料を含む塗料組成物を金属材料表面に塗布した際に、従来のクロム系や鉛系の防鯖顔料を含む塗料組成物に匹敵する、優れた防鯖性を付与することができる。

[0012] なお、本発明の防鯖顔料において、前記各成分の割合が前記組成の範囲を外れると、無機組成物の結晶化が生じやすぐ顔料からの成分の溶出性がなくなりやすくなるため、防鯖顔料として機能しなくなる傾向があり、本発明の前記効果を得ることが難しくなる。

[0013] 本発明の防鯖顔料は、前記成分（1)〜（4)に加え、必要により B Oを 5質量％以

2 3

下、 Mn〇を 5質量％以下の範囲で含有させることができ、更に Fe〇， A1〇， Na

2 3 2 3 2

O等の成分を 5質量％以下の範囲で含有させることができる。

[0014] また、本発明の防鯖顔料に用いる非晶質無機組成物は、 JIS K5101— 16— 1に準拠して測定した水溶分が 0.；!〜 1質量％の範囲であるであることが好ましぐ 0. 1 〜0. 6質量％の範囲であるであることがより好ましい。水溶分が前記範囲未満であると、水に溶出した成分による金属材料表面の防鯖効果が不十分となり、水溶分が前記範囲を超えると、成分の溶出が速すぎて、防鯖効果が長続きしなくなる。また、溶出するリン酸分が P Oとして 0. 001 %以上、好ましくは 0. 001〜；!質量％、更に好

2 5

ましくは 0. 002-0. 5質量％であると更に防鯖性能を向上させることができる点で特に好ましい。 [0015] また、本発明の防鯖顔料に用いる非晶質無機組成物は、レーザー回折散乱法による測定で求められる体積平均粒径が 0. 5〜； 15 mの範囲であることが好ましぐ；!〜 5 inの範囲であることがより好ましい。非晶質無機組成物の体積平均粒径が 0. 5〜 15 111の範囲であれば、この顔料を用いて防鯖塗料組成物を調製した際に、金属材料の表面に塗布した塗膜の外観、強度及び耐久性が良好となる。

[0016] また、本発明の防鯖顔料に用いる非晶質無機組成物は、 JIS K5101— 14 1に準拠して測定したふるい残分が 1. 0質量％以下であることが好ましぐ 0. 5質量％以下であることがより好ましい。なお、本発明において JIS K5101— 14— lに準拠して測定したふる!/、残分とは、 45 mの目開きの網を用いて測定されたふる!/、残分であり、粒径 45 m以上の粒子の含有量に相当する値である。このふるい残分が 1. 0質量％を超えると、この顔料を用いて防鯖塗料組成物を調製した際に、金属材料の表面に塗布した塗膜の外観、強度及び耐久性が悪化する。

[0017] また、本発明の防鯖顔料に用いる非晶質無機組成物は、マグネシウム源、カルシゥム源、リン酸源及び珪酸源を含む混合物を加熱溶融し、次いで急冷することにより生成されたものであること力 S、結晶化（主としてアパタイトの生成）を防止して、水と接触した際にリン酸などの成分溶出を前記範囲にすることができる点で好ましい。

[0018] 前記マグネシウム源、カルシウム源、リン酸源及び珪酸源を含む混合物は、これらの成分を含む各化合物同士の混合物であってもよぐまた、これらの成分を 2成分以上含有する化合物や鉱物等を使用してもよい。

[0019] 本発明において、特に好ましい非晶質無機組成物は、モル組成力 ½MgO'yCaO .

P O -zSiO (ただし、 xは 2· 9〜3· 1の範囲であり、 yは 3· 9〜4· 1の範囲であり、 ζ

2 5 2

は 2. 9〜3. 1の範囲である）の非晶質無機組成物であり、殊に 3MgO'4CaO 'P O

2 5

•3SiOで表される所謂、熔成燐肥である。

2

[0020] 本発明の防鯖顔料に用いられる非晶質無機組成物は、熔成燐肥の典型的な製造方法を用いて製造することができ、例えば特許文献 3乃至 11などに記載されている方法等を用いて製造することができる。

[0021] 即ち、この非晶質無機組成物は、各成分を含有する原料を混合、溶融した後、急冷し、必要により粉砕及び分級することにより製造することができる。前記各成分を含有する原料としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ（天然品、合成品）、珪酸カルシウムなどの工業原料や、天然原料 (珪石、珪砂、燐鉱石、蛇紋岩、カンラン岩など)を使用して製造することができる。

[0022] その一例を示せば、（A)含燐成分となる燐鉱石に蛇紋岩またはカンラン岩ゃ珪石、およびその両成分を含むニッケルスラグ等を配合して主原料とし、必要に応じてマンガンあるいはホウ素のような添加成分を微量混合したのち、電炉ゃ平炉等の溶融炉で 1200°C以上、好ましくは 1400〜； 1500°Cでカロ熱溶融させ、ついで溶融物を水砕、乾燥し、更に必要に応じて粉砕、分級した微粉末品を得る方法、（B)所定量の酸化マグネシウム、生石灰、リン酸及び珪酸からなる混合物、これに必要に応じてマンガンあるいはホウ素のような添加成分を微量混合したのち、電炉ゃ平炉等の溶融炉で 1200°C以上、好ましくは 1400〜； 1500°Cでカロ熱溶融させ、ついで溶融物を水砕、乾燥し、更に必要に応じて粉砕、分級した微粉末品を得る方法、（C)所定量の珪酸マグネシウム、リン酸カルシウム、生石灰からなる混合物、これに必要に応じてマンガンあるいはホウ素のような添加成分を微量混合したのち、電炉ゃ平炉等の溶融炉で、 1200°C以上、好ましくは 1400〜； 1500°Cでカロ熱溶融させ、ついで溶融物を水砕、乾燥し、更に必要に応じて粉砕、分級した微粉末品を得る方法等が挙げられる。

[0023] 本発明に係る防鯖顔料は、前記非晶質無機組成物の他、 Ca、 Mg、 Zn、 Siからなる群から選択された金属元素の 1種又は 2種以上含有する金属化合物と併用することで防鯖性能を向上させることができる。

[0024] 使用できる前記金属化合物としては、これら金属粉末やこれら金属の酸化物、炭酸塩、水酸化物、燐酸塩、亜燐酸塩を使用することができ、これらは含水物であっても無水物であってもよい。これらの中、金属粉末、金属の酸化物、炭酸塩が相乗効果が高い点で好ましく用いられ、また、特に好ましくは、亜鉛粉末、酸化亜鉛、炭酸カルシゥム、亜リン酸マグネシウム、非晶質珪酸からなる群から選択された 1種又は 2種以上である。この金属化合物の物性等は特に制限されるものではないが、レーザー回折散乱法による測定で求められる体積平均粒径が 0. 5〜； 15 mの範囲であることが好ましく、 l〜5〃mの範囲であることがより好ましい。この体積平均粒径が 0. 5〜15 11 mの範囲であれば、この金属化合物と前記防鯖顔料とを用いて防鯖塗料組成物を調製した際に、金属材料の表面に塗布した塗膜の外観、強度及び耐久性が良好となる。本発明の防鯖塗料組成物においては、これらの金属化合物を、前記非晶質無機粉体 100質量部に対して 5〜； 100質量部の範囲で含めることができる。

[0025] なお、併用する該金属化合物は、予め該防鯖顔料との均一混合物として調製してもよく、後述する塗料組成物にいたっては、別個に塗料組成物に添加して使用することあでさる。

[0026] 前記防鯖顔料や金属化合物は、所望により酸性リン酸エステル又は/及びキレート能を有するホスホン酸、又はその誘導体から選ばれた有機リン酸化合物で表面処理されているものであってもよい。酸性リン酸エステルとしては、例えば、メチルァシッドホスフェート、ジメチノレアシッドホスフェート、ェチノレアシッドホスフェート、ジェチノレアシッドホスフェート、メチルェチルアシッドホスフェート、正一またはイソプロピルァシッドホスフェート、正一またはイソージプロピルアシッドホスフェート、メチルブチルァエート、正またはイソーォクチルアシッドホスフェート、正またはイソージォクチルアシッドホスフェート、正一デシルアシッドホスフェート、正ージデシルアシッドホスフエート、正ラウリノレアシッドホスフェート、正ーシラウリノレアシッドホスフェート、正またはイソセシルアシッドホスフェート、正一またはイソージセシルアシッドホスフェート、ト、ァリルアシッドホスフェート、ジァリルアシッドホスフェートなどが挙げられ、これら化合物の Mg、 Ca、 Sr、 Ba、 Zn又は Alから選ばれた 1種又は 2以上の金属塩、アミン塩等が挙げられる。

[0027] キレート能を有するホスホン酸の化合物としては、例えば、アミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン 1ーヒドロキシ 1 , 1ージホスホン酸又は、 2—ヒドロキシホスホノ酢酸などが代表的な化合物として挙げられる。このうちアミノアルキレンホスホン酸としては、例えば、二トリロトリスチレンホスホン酸、二トリ口トリプロピレンホスホン酸、二トリロジェチルメチレンホスホン酸、二トリ口プロピルビスメチレンホスホン酸等が挙げられる。エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸としては、例えば、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸等が挙げられる。アルキレン一 1—ヒドロキシ一 1 , 1—ジホスホン酸としては、例えば、メタン — 1—ヒドロキシ一 1 , 1—ジホスホン酸、ェタン一 1—ヒドロキシ一 1 , 1—ジホスホン酸、プロパン 1ーヒドロキシ L , 1ージホスホン酸等が挙げられ、これら化合物の Mg 、 Ca、 Sr、 Ba、 Zn又は A も選ばれた 1種又は 2種以上の複合塩であってもよいが、これら化合物に限定されるものではない。また、上記の酸性リン酸エステルとキレート能を有するホスホン酸の化合物を 1種または 2種以上を組み合わせて用いてもよい。リンのォキシ酸塩に対する酸性リン酸エステル又は/およびキレート能を有するホスホン酸の配合量は、用いる化合物の物性や種類等によって一様ではないが、通常 0. ；!〜 30質量％、好ましくは、；!〜 10質量％である。

[0028] また、前記防鯖顔料や金属化合物は、分散性を向上する目的で、高級脂肪酸またはその誘導体、界面活性剤、シランカップリング剤でさらに表面処理したものであつてもよい。

また、前記防鯖顔料は、必要に応じてハイド口カルマイトやハイド口タルサイト等の塩素イオン捕捉能を有する無機ァユオン交換体や亜硝酸アルカリ金属塩、亜硝酸ァルカリ土類金属塩等の亜硝酸塩を本発明の効果を損なわない範囲の添加量で含有させること力 Sでさる。

[0029] 本発明の防鯖塗料組成物は、前記防鯖顔料と塗料ビヒクルを含有するものである。

塗料ビヒクルとは、塗料成分を分散させる媒体をいう。即ち、塗膜形成成分である重合油、天然または合成樹脂、無機系結合剤、繊維素やゴムの誘導体等の高分子物質やそれらを溶剤に溶解させたものである。

[0030] 前記合成樹脂としては、例えばフエノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、グァナジン樹脂、ビュル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ケィ素樹脂、含フッ素樹脂等が挙げられ、これらは必要に応じ、混合系または変性された樹脂であっても差し支えない。

[0031] また、前記無機系結合剤としては、水溶性珪酸塩、変性水溶液珪酸塩、アルキルシリケート、アルコキシシリケート、カップリング剤、コロイダルシリカ等が挙げられる。

[0032] 前記水溶性珪酸塩としては、一般式 M O -xSiO -yH Οで表され、 Μはナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、 N (C H OH) 、 N (CH OH) 、 N (C H OH

2 4 2 2 4 2 4

) 、 C (NH ) NHを示し、式中の x及び yは整数を示し、具体的な化合物としては例

4 2 3

えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の珪酸アルカリ金属塩、珪酸トリエタノールァミン、珪酸テトラメタノールアンモニゥム、珪酸テトラエタノールアンモニゥム等が挙げられる。

[0033] 前記変性水溶性珪酸塩としては、前記水溶性珪酸塩をアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ノリウム、ストロンチウム、亜鉛、ジルコニウム、バナジウムから選ばれる金属の酸化物、水酸化物、弗化物、珪弗化物の 1種又は 2種以上で変性させたもの、或いは珪弗化ナトリウム、トリ珪弗化亜鉛酸カリウム、フルォロアルミユウム錯塩、フノレォロ亜鉛錯塩等で変性させたもの（特許文献 12参照）等が挙げられる。

[0034] 前記アルキルシリケートとしては、一般式； SiR又は SiXRで表され、式中の Rはァ

4 3

ルキル基を示し、 Xはアルコキシ基、ビュル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、ェチル基、プロピノレ基、ブチル基等の炭素数 1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物として、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラプロピルシリケート、テトラプチルシリケート等が挙げられる。

[0035] 前記アルコキシシランとしては、一般式； Si (OR) 又は SiX (OR) 、 SiR (OR) で表

4 3 3 され、式中の Rはアルキル基を示し、 Xはビュル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリノレ基、メルカプト基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、ェチル基、プ口ピル基、ブチル基等の炭素数 1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物として、例えば、テトラメチルキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケート等が挙げられる。

[0036] 前記カップリング剤としては、例えば、 _Ί—グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、 γ—グリシドキシプロピノレメチノレジェトキシシラン、 β—（3, 4 エポキシシクロへキシラン、 γ メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロルホニルチタネート等のチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニゥム系カップリング剤等が挙げられる。

[0037] 前記コロイダルシリカとしては、粒径が通常 2〜100nm程度のもので、固形分 20〜

40%程度で 0. 7%以下の Na Oを含むもので、特に好ましくは pH8〜； 10でアルカリ

2

により安定化されたコロイダルシリカを用いることができる。

[0038] 前記塗膜成分は、 1種又は 2種以上で適宜組み合わせて用いることができる。また、希釈剤としては、水、アルコール類、ケトン類、ベンゼン類、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、液化パラフィンの如き脂肪族炭化水素類など、一般的に塗料の分野等で用いられている溶剤が適用できる。

[0039] 塗料ビヒクルに対する本発明の防鯖顔料の配合量は、通常 2〜50質量％、好ましくは 5〜20質量％である。配合量が 2質量％より小さくなると防鯖力が低くなり、 50質量 %より大きくなると、好ましい塗膜特性が得られなくなる。

[0040] 本発明の防鯖塗料組成物は上記以外の成分として塗料分野で一般的に用いられる各種の添加剤を含有させて用いることができる。特に、本発明の防鯖塗料組成物は、前述した Ca、 Mg、 Zn、 Siから選ばれた金属元素の 1種又は 2種以上含有する金属化合物と併用することで防鯖性能を向上させることができる点で好ましい。

[0041] 本発明に係る防鯖塗料組成物は、刷毛やローラー塗り、スプレー塗装、静電気塗装、粉体塗装、ロールコーター、カーテンフローコーター、デイツビング塗装や電着塗装等に供することができる。

[0042] 本発明に関わる防鯖顔料の防鯖機構につ!/、ては複雑であり、解明には至って!/、ないものの、僅かに溶出するリン酸イオンゃ珪酸イオンが金属材料の鉄や亜鉛と反応して強固な不動態皮膜を形成するとともに、マグネシウムイオン、カルシウムイオンが金属材料を安定化すると推定される。

実施例

[0043] 以下、本発明を実施例により詳細に説明する力本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例中、本発明の防鯖顔料の主成分となる非晶質無機組成物は、「非晶質無機粉体試料」と記す。

[0044] <非晶質無機粉体試料の調製〉珪酸マグネシウム（MgSiO ) 4517部、リン酸カルシウム（Ca (PO ) ) 3102部、生

3 3 4 2

石灰（CaO) 841部の割合に調整混合した粉末を 1500°Cにセットした電気炉で 2時間溶融した。次いで、溶融物を水砕、乾燥し、次いで乾式超微粉砕機ダイナミツクミノレ (三井鉱山社製)で 2時間粉砕操作した。その結果、日機装社製のマイクロトラック粒度分布測定装置を用いたレーザー回折散乱法で求めた平均粒子径が 2. δ μ ΐη で、 JIS K5101— 14— 1に準拠して測定したふるい残分（目開き 45 mのフィルタ一を使用）が 0. 2質量％であり、 P O 21. 3質量％、 Ca033. 6質量％、 SiO 27. 0

2 5 2 質量％、^/¾018. 1質量％含有した無機粉体試料（3MgO ' 4CaO ' P O - 3SiO )

2 5 2 を得た。

[0045] また、得られた無機組成物試料は、非晶質であることを X線回折で確認し、これを非晶質無機粉体試料とした。

[0046] また、得られた非晶質無機粉体試料の水溶分を、 JIS K5101— 16— lに準拠して測定した結果、水溶分は 0. 31質量％であった。さらに、その水溶成分を分析した結果、水溶成分中には主にリン酸イオンが Ρ Οとして 0. 005質量％、珪酸イオンが

2 5

SiOとして 0. 16質量⁰ /₀、カルシウムイオンが Ca〇として 0. 08質量⁰ /。、マグネシウム

2

イオンが MgOとして 0. 012質量％が含まれていることが確認された。

[0047] (実施例;!〜 4)

表 1に示したように、前記で調製した非晶質無機粉体試料と金属化合物とを、ハイスピードミキサーを用いて 2000rpmで 5分間操作して防鯖顔料を調製した。

[0048] {比較例;!〜 4 }

表 1に示したようにクロム酸ストロンチウム或いは防鯖顔料を前記と同様に調製した

〇

[0049] [表 1] 防銪顔料金属酸化物

種類配合量 (部〉種類配合量 (部）実施例 1 非晶質無機粉体轼料 80 酸化亜鉛 20 実施例 2 非晶質無機粉体試料 50 酸化亜鉛 50 実施例 3 非晶質無機粉体試料 80 ¾酸カルシウム 20 実施例 4 非晶質無機粉体拭料 50 ¾酸カルシウム 50 比較例 1 クロム酸ストロンチウム 100 ― ― 比較例 2 リン酸亜鉛 100 ― ― 比較例 3 リン S亜鉛 50 酸化亜鉛 50 比較例 4 リン酸亜鉛 50 ¾酸カルシウム 50

[0050] 表 1中、酸化亜鉛は平均粒径 1 ,i m、炭酸カルシウムは平均粒径 1 μ m、クロム酸ストロンチウムは平均粒径 1 _m、リン酸亜鉛は平均粒径 5 ,i mのものを使用した。

[0051] <防鯖性能の評価〉

1 )試験鋼板は下記の 2種類の鋼板を使用した。

•JIS G3141 SPCC— SD鋼板（以下、「鋼板」と記す）

•JIS G3302 SGCC溶融亜鉛メツキ鋼板（以下、「亜鉛鋼板」と記す）

2)試験塗料

実施例;!〜 4、比較例;!〜 4で得た防鲭顔料を含有する防鲭塗料組成物、及び防鲭顔料を配合してレ、なレ、塗料組成物（比較例 5)をペイントコンディショナー法にて調製した。

各試験塗料の配合割合は、以下の通り。

[0052] <アルキド塗料 >

アルキド樹脂 21. 3部

防鲭顔料 5. 3部

酸化チタン 13. 3部

炭酸カルシウム 24. 0部

ミネラルスピリット 8. 0部

ドライヤー 0. 37部

アルキド樹脂：べッコゾール P— 470— 70 (大日本インキ化学工業社製）ドライヤー：ディックネイト（大日本インキ化学工業社製）

[0053] <エポキシ塗料〉

エポキシ樹脂 34. 0部

防鯖顔料 5. 4部

酸化チタン 6. 5部硬化剤 41. 3部

キシレン/ブタノール 7. 7部

エポキシ樹脂：ェピコート 1001X75 (ジャパネポキシレジン社製）

硬化剤：トーマイド 410N (富士化成工業社製）

[0054] 3)試験塗装板

0. 8mm X 70mm X I 50mmの各鋼板を溶剤脱脂して、乾燥塗膜厚が 30ミクロンに設定したバーコ一ターで各試験塗料を塗布し、室温で 1週間放置乾燥した。乾燥後、塗装鋼板の裏面と端面をマスキングテープでシールし、試験塗装面にクロスカツトを入れた。

[0055] 4)塩水噴霧試験

塩水噴霧試験機内温度 35°C、噴霧圧力 lkg/cm²の条件にて、 5%NaCl水溶液を試験塗装板に 240時間噴霧試験した。

[0056] 5)試験結果

塩水噴霧試験結果を、次の 5段階評価法にて防鯖性能を判定した。結果を表 2に記す。

評価 5：クロスカット部以外にサビの発生が無ぐブリスターも発生して!/、なレ、。

評価 4：クロスカット部から片側 2mm以内にサビとブリスターが発生。

評価 3：クロスカット部から片側 6mm以内にサビとブリスターが発生。

評価 2：クロスカット部から片側 12mm以内にサビ或いはブリスターが発生。

評価 1：クロスカット部から片側 12mm以上にサビ或いはブリスターが発生。

[0057] [表 2] 試験塗料

轼験塗装板アルキド塗料エポキシ塗料

鋼板亜鉛鑭板網板亜鉛期板

実施例 1 5 3 4 5

実施例 2 5 3 4 4

実施例 3 4 3 5 5

実施例 4 4 3 5 5

比較例 1 3 3 3 5

比較例 2 2 1 2 2

比較例 3 2 1 2 2

比較例 4 2 1 2 2

比較例 5 1 1 2 2

[0058] 表 2の結果から、本発明に係る実施例;!〜 4の防鯖顔料を含有した防鯖塗料組成物は、各鋼板に塗布した際に、優れた防鯖効果を発揮することが実証された。産業上の利用可能性

[0059] 本発明によれば、金属材料に優れた防鲭性を付与することができる無公害型防鲭顔料及びこれを含有する防鲭塗料組成物を提供することができる。

Claims

請求の範囲

[I] P Oと、 CaOと、 SiOと、 MgOとを含有する非晶質無機組成物からなることを特徴

2 5 2

とする防鯖顔料。

[2] P O 10〜30質量⁰ /₀、 CaO20〜40質量⁰ /₀、 SiO 10〜30質量⁰ /₀、 MgO10〜20

2 5 2

質量％を含有する非晶質無機組成物からなることを特徴とする防鯖顔料。

[3] 前記非晶質無機組成物を、 JIS K5101— 16— 1に準拠して測定した水溶分が 0.

；!〜 1質量％の範囲であり、溶出するリン酸分が P Oとして 0. 001質量％以上である

2 5

請求項 1又は 2に記載の防鯖顔料。

[4] 前記非晶質無機組成物は、マグネシウム源、カルシウム源、リン酸源及び珪酸源を含む混合物を加熱溶融し、次いで急冷して生成されたものである請求項;!〜 3のいずれかに記載の防鯖顔料。

[5] 前記非晶質無機組成物は、モル組成が xMgO 'yCaO'P O -zSiO (ただし、 xは

2 5 2

2. 9〜3· 1の範囲であり、 yは 3· 9〜4· 1の範囲であり、 ζは 2· 9〜3· 1の範囲である）である請求項 1〜4のいずれかに記載の防鯖顔料。

[6] 体積平均粒径が 0. 5〜； 15 mの範囲である請求項 1〜4のいずれかに記載の防鯖顔料。

[7] JIS K5101— 14— 1に準拠して測定したふるい残分が 1. 0質量％以下である請求項 6に記載の防鯖顔料。

[8] 請求項 1〜7のいずれかに記載の防鯖顔料を含むことを特徴とする防鯖塗料組成物。

[9] 防鯖顔料とともに、 Ca、 Mg、 Zn、 Siからなる群から選択される金属元素の 1種又は

2種以上を含有する金属化合物を含む請求項 8に記載の防鯖塗料組成物。

[10] 前記金属化合物が亜鉛粉末、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、非晶質珪酸からなる群から選択される 1種又は 2種以上である請求項 9に記載の防鯖塗料組成物。

[I I] 前記金属化合物の配合割合が非晶質無機粉体 100質量部に対して 5〜； 100質量部の範囲である請求項 9又は 10に記載の防鯖塗料組成物。