JP2006045179A - 歯科用セラミックス接着性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料を接着するための歯科用接着性組成物を提供する。
【解決手段】特定の構造を有するホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を含む歯科用接着性組成物
【選択図】図1

Description

本発明は、歯科用接着性組成物に関する。無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料の水中における表面電位が、二酸化けい素の等電点において陽性である歯科用材料に対して優れた接着性を有する歯科用接着性組成物に関する。
一般にセラミックスとは無機・非金属を原料とし、成形され、熱によって硬化されて得られた材料あるいは製品と定義される。つまりセラミックスそもそもの意味は「やきもの」を指している。この古い起源をもつセラミックスは、天然原料を使用した製品から、精製原料を使用し、温度や雰囲気を比較的厳密に制御して製造した製品、次いで、高純度の合成原料を使用し焼結体の組成を厳密に制御して製造される高度な製品に発展してきた。
歯科分野においても、歯牙患部の欠損部の修復に使用される材料、歯冠材料として、審美性及び機械的性質に優れたセラミックスを基にした材料が用いられてきたが、当該セラミックス冠は製造工程が複雑で、色調調整や製作に高度な熟練を要するのが現状である。
さらに当該セラミックス冠は脆性材料であり可酷な口腔内環境において破折するという強度上の問題があった。このような強度上の問題を克服するために当該セラミックス冠のコア材料として金属材料を使用したメタルセラミックスシステムが普及し現在まで、臨床の場においてはメタルセラミックスが大多数を占めてきた。
メタルセラミックスは審美補綴の代表として広く普及しているが、完全に不透明な金属材料に起因する審美再現性の限界がある。一方で、歯科用セラミックスの材料や製作システムの開発が大きく進み、キャスタブルやプレッサブル、ガラス含浸法、CAD/CAMなどでよりハンドリングの良いシステム的に確立された、臨床的に十分な強度を持つオールセラミック冠が製作できるようになっている。このオールセラミック冠のコア材料として、多くの新しいセラミックスが創出されてきた。これらのセラミックスは特殊セラミックスであり、機械的性質、熱的性質、化学組成、形状、微細構造など、あらかじめ精密に設計された機能を発現させるために、高度に制御された製造プロセスによって作られる高強度セラミックスである。
歯科においては一般に高い外力に抗する強さを備えた高強度セラミックスとして、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム等が用いられている。通常、該高強度セラミックス材料を口腔内装着するには歯科用接着性組成物を介して使用されるが、可酷な口腔内環境で恒久的な機能の維持を達成するためには、該高強度セラミックス材料に対する強固な接着機能を有する歯科用接着性組成物が必要とされる。
Dental Materials Journal 6(2)、1987によれば、MMA−TBBレジンで接着する系において酸化アルミニウムに対する接着にはカルボン酸系モノマーまたはカルボン酸無水物系モノマーおよび、シランカップリング剤を含む前処理剤を使用することが接着に有効であると考察されている。
しかし、カルボン酸(カルボン酸無水物)系モノマーと酸化アルミニウム表面との反応に関して不明確であるため、系の接着機能向上における反応性化合物の特徴、配合量等の必要要件についての知見は得られていない。さらに、Dent.Mater.14(1998)によれば、酸化ジルコニウムに対する接着において、リン酸エステルモノマーを含む接着性レジンセメントの有効性が示唆されているものの、接着面処理法、接着剤等の開発に課題を残している。その他にも、表面にエアアブレーションで凹凸を付与する、表面を特殊な機械でシランコーティングするなどの方法が提案されているが、どの方法においても可酷な口腔内環境で恒久的な接着機能の維持を可能とするものではない。
一方、一般的な歯科用セラミックス材料は、陶材などと呼ばれる二酸化けい素を主成分とする材料である。これらの二酸化けい素を主成分とする歯科用セラミックス材料に対する歯科用接着性組成物は、シランカップリング剤を含有する組成物が有効であり歯科分野において広く応用されている。
さらに、Silane Coupling Agents,Plenum Press(1982)や、Polymer Composite,April,5(2),1984などには、シランカップリング剤の二酸化けい素に対する反応機構等の詳細な研究結果が報告されている。歯科領域における現状は、高強度セラミックスに対する接着において一般的なセラミックス材料用である接着性組成物、すなわち陶材用のシランカップリング剤を有効成分とする接着性組成物が転用されているに過ぎず、シランカップリング剤は、実質的に二酸化けい素を含まない酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム等からなる歯科用高強度セラミックスには十分な接着性とその耐久性を得ることが出来ない。
開昭63−51308号公報及び、特開平7−277913号公報において、シランカップリング剤とリン酸エステルモノマーを組合わせることによって二酸化けい素を含む歯科用セラミックス、とりわけ歯科用陶材と、歯科用レジン、歯科用合金等の歯科修復用材料との、強固でかつ耐久性に富む接着を行なうための歯科用接着性組成物が開示されているが、この歯科用接着性組成物の歯科用セラミックスに対する有効成分はシランカップリング剤でありかつ、二酸化けい素を主構成成分とする歯科用セラミックス材料に限定されている。
さらに、該リン酸エステルモノマーはシランカップリング剤と被着体表面のシラノール基の縮合を促進させる働きを有する触媒成分であり、歯科用高強度セラミックスに対する接着性についての記載はない。また、特開平9−137129号公報において、シランカップリング剤と有機カルボン酸等の酸性化合物とを含有する塗布液と、該塗布液の塗布面に塗設されて重合触媒の存在下に重合する重合性モノマーからなる塗布材による歯科用接着性組成物が開示されているが、この歯科用接着性組成物においても歯科用高強度セラミックスに対する接着性についての記載はない。
特開昭63−51308号 特開平7−277913号 特開平9−137129号 Dental Materials Journal 6(2)、1987 Dent.Mater.14(1998) Silane Coupling Agents:Plenum Press(1982) Polymer Composite,April,5(2),1984
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、水中における表面電位が二酸化けい素の等電点において陽性である歯科用材料に優れた接着効果をもたらす歯科用接着性組成物を提供することにある。
さらに、その耐久性および、操作性が簡便である歯科用接着性組成物を提供することにある。無機化合物表面は、けい素や金属元素に結合したO、OH、COなどで形成されており、無機化合物表面のM−OH(またはO、CO)基はM元素種によりプロトンの吸脱着等の影響を受け、歯科用接着性組成物中の接着機能性化合物との作用機構に大きく影響を与える。
したがって、無機化合物表面の表面電位や、ゼータ電位変化等の電気現象が、無機化合物表面の歯科用接着性組成物による表面改質効果を支配する最も重要な因子の一つであり、無機化合物との接着強度及び、接着安定性、接着耐久性に重要な影響を及ぼす。
なお、本発明において、表面電位とは、ゼータ電位を意味し、セラミックス表面のゼータ電位は、レーザードップラー法、超音波法等に基づく市販の測定装置によって容易に測定することができる。また、本発明において、等電点とは、イオンを含む溶液中で、ゼータ電位が零になる水素イオン濃度を意味し、測定は、JIS R 1638の「ファインセラミックス粉末の等電点測定方法」に準じて行うこととする。
二酸化けい素に対するシランカップリング剤の作用機構において、加水分解したシランカップリング剤のSi−OH基と基材表面のM−OH(Mはけい素または金属元素)基との間の脱水反応による共有結合または水素結合が形成され化学的に結合されることが知られている。
二酸化けい素の場合、シランカップリング剤が有効に作用する。しかし、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、ムライト、スピネルなどは二酸化けい素と比較して、加水分解したシランカップリング剤のSi−OH基が基材表面のM−OH基(Mは金属元素)に作用しない。
課題を解決するための手段
本発明者らは、上記課題を解決すべく歯科用接着性組成物に関して成分や配合方法等について鋭意検討した結果、水中における表面電位が、JIS R 1638の測定方法において測定した二酸化けい素の等電点において陽性であることを特徴とする歯科用材料に対して優れた接着性を有する接着性組成物を見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料を接着するためのホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を含む歯科用接着性組成物である。
このような構成を採用することにより、該歯科用材料に対して従来見られない優れた接着性とその耐久性をもたらし、操作性も簡便で、かつ保存安定性に優れることを特徴とする。
好ましい無機化合物としては、無機化合物の組成の少なくとも一部分が一般式、MOm/2「MはAl、Zr、Ti、Mg(mはMの価数を表す)の中から選ばれる1種以上である」であり、この無機化合物を含む有機質複合体であってもよい。
特に好ましい無機化合物としては、酸化物セラミックスであり、単一酸化物、複合酸化物、けい酸塩、リン酸塩などの酸素酸塩である。さらに、好ましい態様において本発明は、ホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体が下記一般式〔1〕
Figure 2006045179
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキレン基を示し、R3は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜15のアルキレン基を示す。)で表わされることを特徴とする歯科用接着性組成物であり、一般式〔1〕で表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を含むことを特徴とする歯科用接着性組成物である。
一般式〔1〕で表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を0.01〜99.9重量部含むことを特徴とする歯科用接着性組成物。
一般式〔1〕で表されるホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体が6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート、6−メタクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、10−メタクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、10−メタクリロキシデシル−ホスホノアセテートからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする歯科用性組成物。
水を含むことを特徴とする歯科用高強度セラミックス接着性組成物。
有機溶媒、ラジカル重合性単量体、充填材および重合触媒を含む歯科用接着性組成物。
分子内にラジカル重合性基を有しない酸性化合物を含む歯科用接着性組成物。
2分割されていてもよい本質的に均一または不均一である歯科用接着性組成物。
発明の効果
本発明の歯科用接着性組成物を使用することにより、無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料に対して従来見られない優れた接着性とその耐久性をもたらすことができる。さらに、簡便な操作で優れた接着耐久性を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、その態様として2分割されていてもよく、本質的に均一または不均一であり歯科用のボンディング剤及びプライマー、(接着性)コンポジットレジン、レジンセメント、デュアルキュアー型レジンセメント、オペーク剤、コンポマー、レジンコア、前装冠材料等に使用できる。
本発明中の構成成分であるホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体としては、
Figure 2006045179
で示されるホスホン酸基を含有する(メタ)アクリレート系単量体である。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とはアクリレートまたはメタクリレートを意味する。好ましくは下記一般式〔1〕で示されるものが挙げられる。
Figure 2006045179
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキレン基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜15のアルキレン基を示す。)アルキレン基の例としては式1につき前記したものが挙げられる。ここに、RまたはRに結合してもよい置換基としては、アルケニル基およびアルキニル基などの不飽和基あるいはアルキル基、あるいはフェニル基と結合したアルキル基等である。
アルケニル基の例としては、
Figure 2006045179
が挙げられ、アルキル基の例としては、−CH、−C、−Cが挙げられ、フェニル基と結合したアルキル基の例としては、−CHCHOCが挙げられる。一般式1で示される具体的化合物としては下記のものが例示される。
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
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Figure 2006045179
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Figure 2006045179
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Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
特に好ましいホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体は、6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート、6−メタクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、10−メタクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、10−メタクリロキシデシル−ホスホノアセテートであり、特に好ましいホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体は、6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテートまたは6−メタクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネートである。ホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体の配合割合は、当該組成物の使用目的により適宜に変化させてもよいが、0.01〜99・9重量部、より好ましくは0.01〜80.0重量部である。更に好ましくは、0.01〜50.0重量部である。
本発明の歯科用接着性組成物は、上記のホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を必須として、その他成分を適宜選択して加えることができるが、その用途に応じて添加成分、即ち、水、有機溶媒、ラジカル重合性単量体、カップリング剤、光重合開始材、光重合促進材、熱重合開始材、重合触媒、分子内にラジカル重合性基を有しない酸性化合物、無機及び有機充填材、重合抑制材、顔料などが適宜配合されても良い。
本発明においては溶媒として水を含んでも良くさらに、有機溶媒を使用できる。有機溶媒は、一般の有機溶媒だけでなく、重合性単量体も有機溶媒として使用でき、好適には揮発性のものが採用される。すなわち、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、等のエステル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、トルエン等の炭化水素類及びクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類等が好適に使用される。中でも、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、等が好適に使用される。これらの有機溶剤は単独で使用しても良く、2以上の化合物を組み合わせてもよい。また、これらの有機溶剤の配合量は、0.1重量%〜99.9重量%であり、より好ましくは、25.0〜99.9重量部である。
本発明における歯科用接着性組成物にはラジカル重合性単量体を添加できる。ラジカル重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートおよび水酸基やハロゲンによるそのアルキル側鎖置換体、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン、2,2’−ビス{4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル}プロパン、2,2’−ビス{4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル}プロパン、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、エポキシ−(メタ)アクリレート、有機ジイソシアネートと(メタ)アクリル酸オキシアルキルとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート類、ウレタンプレポリマー(有機ジイソシアネートとジオールの反応生成物)と少なくとも2個の炭素原子を有するオキシアルカノールの(メタ)アクリル酸エステルとの反応生成物で少なくとも2個の重合性エチレン性不飽和基を含む重合性プレポリマー、エチレン性不飽和基を有する二塩基性カルボン酸と二価のアルコールとの反応生成物(すなわち、一般的にエチレン性不飽和基を有するポリエステル)などが挙げられる。
これらのラジカル重合性単量体は、単独または、適宜組み合せて使用されるが、中でも、ジ(メタ)アクリレート等の重合性単量体のビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレートとトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せが好ましい。
カップリング剤としては、公知のものが制限なく使用することができる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(γ−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチラネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、インプロピルイソステアロイルジアクリルチラネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソピロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類等が挙げられる。これらのカップリング剤は、1種類または2種以上の組み合わせで用いられる。これらのカップリング剤は、本発明の接着性組成物を調製する際、通常そのまま配合されるが、例えば、シランカップリング剤などでは、予め酸やアルカリによって加水分解し、シラノール基に変換して配合してもよい。また、シランカップリング剤のシリル基は、調製後、経時的に加水分解されて、一部又は全部がシラノール基に変換されてもよい。上記カップリング剤の添加量は適宜決定することができる。
本発明で用いられる重合開始材は、一般に歯科用組成物で用いられている公知の化合物が何等制限無く使用される。重合開始材は、一般に、熱重合開始材と光重合開始材に分類される。
光重合開始材としては、光照射によりラジカルを発生する光増感材を用いることができる。紫外線に対する光増感材の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン化合物系、アセトインベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、等のチオキサントン系化合物が挙げられる。また、可視光線で重合を開始する光増感材は、人体に有害な紫外線を必要としないために好適に使用される。これらの例としては、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類が挙げられる。好ましくは、カンファーキノンが用いられる。
また、上記光増感材に光重合促進材を組み合わせて用いることも好ましい。特に第三級アミン類を光重合促進材として用いる場合には、芳香族基に直接窒素原子が置換した化合物を用いることがより好ましい。かかる光重合促進材としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、また、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類及び、そのナトリウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、さらに、ジブチル−錫−ジアセテート、ジブチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジラウレート、ジブチル−錫−ジラウレート、ジオクチル−錫−ジバーサテート、ジオクチル−錫−S,S’−ビス−インオクチルメルカプトアセテート、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等の錫化合物類等も使用できる。これらの光重合促進材のうち少なくとも一種を選んで用いることができ、さらに二種以上を混合して用いることもできる。上記開始材および促進材の添加量は適宜決定することができる。
さらに、光重合促進能の向上のために、第三級アミンに加えて、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイン酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類の添加が効果的である。
熱重合開始材として具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類が好適に使用される。
また、上記有機過酸化物とアミン化合物を組み合わせて用いることにより重合を常温で行うこともできる。このようなアミン化合物としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが、硬化促進の観点より好適に用いられる。例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジンが好ましい。
上記有機過酸化物とアミン化合物の組合せに、さらにスルフィン酸塩またはボレートを組み合わせることも好適である。かかるスルフィン酸塩類としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。ボレートとしてはトリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。また、酸素や水との反応によりラジカルを発生するトリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類は有機金属型の重合開始材としても使用することができる。
本発明の歯科用接着性組成物には、無機化合物表面のエッチングおよび/または、改質作用を目的として分子内にラジカル重合性基を有しない酸性化合物を配合することができる。かかる酸性化合物とは、有機酸、無機酸のことであり、好ましい有機酸としてはリン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ホスホン酸、ホスホン酸モノエステル、ホスホン酸ジエステル、オキシハロゲン化リン酸モノエステル、オキシハロゲン化リン酸ジエステル、ピロリン酸モノエステル、ピロリン酸ジエステル、ピロリン酸トリエステル、ホスフィン酸などの有機リン化合物、さらに、クロメン酸、リノール酸、ウンデセン酸、ケイ皮酸、ソルビン酸、クマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ピルビン酸、メトキシ酢酸、アセト酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、サリチル酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、アジビン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸などの有機カルボン酸が挙げられる。また、好ましい無機酸としては硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、フッ化水素、臭化水素、ヨウ化水素、ニリン酸、トリポリリン酸、ホスホン酸などが挙げられる。
本発明の歯科用接着性組成物には、必要に応じて、公知の各種添加材を配合することができる。かかる添加材の例としては、重合禁止材、着色材、変色防止材、蛍光材、紫外線吸収材、抗菌材等が挙げられる。
無機および有機充填材としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体、ポリスチレン等の有機ポリマー粉末、熱硬化性樹脂硬化物または無機充填材を含む熱硬化性樹脂硬化物等を粉砕した有機充填材、または無機充填材(カオリン、タルク、石英、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミノシリケート、窒化けい素、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス粉など)、無機充填材と有機充填材との複合充填材等が挙げられ、当該組成物を粉/液タイプ、ぺースト状、スラリー状で用いるのに適している。これらは、シラノール基を含むカップリング材(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど)で表面を被覆されていてもよい。
重合抑制材としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエン等が挙げられ、当該組成物の棚寿命の安定化に適している。
◎等電点及び、ゼータ電位の測定方法
高純度二酸化けい素粉末〔東ソー・シリカ株式会社製〕を電解質水溶液に分散させて、そのpHを変化させてゼータ電位を測定することによって等電点を求めた。なお、測定機器として、レーザーゼータ電位計〔大塚電子株式会社製、ELS−6000〕を使用し、測定方法はJIS R 1638「ファインセラミックス粉末の等電点測定方法」に従った。
さらに、無機化合物からなる歯科用材料として、酸化アルミニウム〔99.5%、日本ファインセラミックス(株)製〕、部分安定化酸化ジルコニウム(以下酸化ジルコニウムと称す)〔3%酸化イットリウム含有、日本ファインセラミックス(株)製〕、ムライト〔株式会社松風社製〕の平板(20×40×0.5mm)を電解質溶液中に浸漬し、そのpHを変化させて、レーザーゼータ電位計〔大塚電子株式会社製、ELS−6000〕を使用し、ゼータ電位を測定した。
図1、表1に記載した略称は以下の通りである。
二酸化けい素:SiO
酸化アルミニウム:Al
酸化ジルコニウム:ZrO−3Y
ムライト:3Al・2SiO
二酸化けい素粉末及び、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライトの平板の等電点および、ゼータ電位−pH図を表1、図1に記載した。表1及び、図1から明らかであるように、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライトの平板の等電点は二酸化けい素粉末の等電点よりも高いpHに存在し、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライトの平板のゼータ電位は二酸化けい素粉末の等電点において陽性のゼータ電位を持つことが分かる。
Figure 2006045179
次に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜15及び、比較例1〜3)
実施例に示した略称(化学名)
1)ホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体
6−MHPA:6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート
6−MHPP:6−メタクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート
10−MDPP:10−メタクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート
10−MDPA:10−メタクリロキシデシル−ホスホノアセテート
2)ラジカル重合性単量体
Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
3)カップリング剤
γ−MPS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
4)光重合開始材、光重合促進材
CQ:カンファーキノン
DMABE:p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル
5)重合触媒
p−TSNa:p−トルエンスルフィン酸ナトリウム
6)充填材
R−972:微粒子ケイ酸〔日本アエロジル(株)製〕
7)酸性化合物
n−BuPA:リン酸モノ−n−ブチルエステル、リン酸ジ−n−ブチルエステル混合物
(実験に使用した材料及び、装置)
レジンセメント:「インパーバデュアル」〔(株)松風製〕
酸化アルミニウム平板:約15×15×2mm〔日本ファインセラミックス(株)製〕
酸化ジルコニウム平板:約15×15×2mm〔日本ファインセラミックス(株)製〕
サーマルサイクル試験機:〔東京技研(株)製〕
インストロン万能試験機〔インストロン社製〕
酸化アルミニウム粉末:1μm〔日本軽金属株式会社製〕
酸化ジルコニウム粉末:2μm〔第一稀元素化学工業株式会社製〕
無機化合物からなる歯科用材料の例として、酸化アルミニウム平板(約15×15×2mm〔日本ファインセラミックス(株)製〕)及び、酸化ジルコニウム平板(約15×15×2mm〔日本ファインセラミックス(株)製〕)を使用し、引張接着強度試験を実施した。表2に示す重量比で混合して接着性組成物の調合を行った。
約15×15×2mmの酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム平板の平坦面を240番次いで、600番のシリコンカーバイド紙〔三共理化学(株)製〕を用いて流水下で研磨し、平滑面を得たその後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い被着体とした。被着体の接着面に接着性組成物をミニブラシで塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性が無くなる程度まで乾燥させた。一方、直径5mm×高さ10mmの円筒形ステンレス棒の接着面をエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5kgf/cm圧)し、その後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い接着強さ測定治具とした。均一なペースト状に練和した「インパーバデュアル」を被着体の接着面とステンレス棒の接着面に介在させ接着を行った。この際、余剰セメントをミニブラシで除去し、セメントマージンに「松風グリップライトII」を用いて10秒間光重合した。全試験片14個を37℃水中に浸漬し、7個の試験片については37℃水中24時間浸漬後に引張接着強さを測定し、残りの7個の試験片については37℃水中24時間浸漬後、4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬するサーマルサイクルを2000回負荷した後に引張接着強さを測定した。接着強さの測定には、万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で引張接着強さを測定した。なお、接着試験は全て23℃±1℃の室温で実施した。
無機化合物を含む有機質複合体(以下、無機有機複合体と称す)からなる歯科用材料の例として、Bis−GMA、3G、CQ、DMABE、及び、酸化アルミニウム粉末または、酸化ジルコニウム粉末を表2に記載した配合量で調合し、硬化性組成物1〜4を作製した。次に、作製した硬化性組成物1〜4をそれぞれ円盤状(直径15.0×2.0mm)に成型し技工用光重合器[商品名「ソリディライト」(株式会社松風製)]を用いて硬化体とし各々、無機有機複合体1〜4を作製し、被着体とした。
作製した円盤状(直径15.0×2.0mm)の無機有機複合体1〜4の平坦面を600番次いで、1200番のシリコンカーバイド紙〔三共理化学(株)製〕を用いて流水下で研磨し、平滑面を得たその後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い被着体とした。
被着体の接着面に接着性組成物をミニブラシで塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性が無くなる程度まで乾燥させた。一方、直径5mm×高さ10mmの円筒形ステンレス棒の接着面をエアーアブレーション(50μmアルミナビーズ、5kgf/cm圧)し、その後、超音波洗浄及びエアー乾燥を行い接着強さ測定治具とした。均一なペースト状に練和した「インパーバデュアル」を被着体の接着面とステンレス棒の接着面に介在させ接着を行った。この際、余剰セメントをミニブラシで除去し、セメントマージンに「松風グリップライトII」を用いて10秒間光重合した。全試験片14個を37℃水中に浸漬し、7個の試験片については37℃水中24時間浸漬後に引張接着強さを測定し、残りの7個の試験片については37℃水中24時間浸漬後、4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬するサーマルサイクルを2000回負荷した後に引張接着強さを測定した。接着強さの測定には、万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で引張接着強さを測定した。なお、接着試験は全て23℃±1℃の室温で実施した。
Figure 2006045179
表3、表4の結果より明らかなように、酸化アルミニウム平板及び、酸化ジルコニウム平板に対する接着性能は、比較例1のように接着性組成物による表面処理を行わない場合は実施例1〜10よりも低い接着強さを示し、さらにサーマルサイクルを2000回負荷後、接着界面から脱落した。また、無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料である、無機有機複合体1〜4に対する接着性能は、比較例1のように接着性組成物による表面処理を行わない場合は実施例2、4及び、6よりも低い接着強さを示し、さらにサーマルサイクルを2000回負荷後その接着強さは著しく低下した。
表5の結果より明らかなように、酸化アルミニウム平板及び、酸化ジルコニウム平板に対する接着性能は、比較例2〜3のようにホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を含有しない組成の場合は実施例11〜13よりも低い接着強さを示し、さらにサーマルサイクルを2000回負荷後、接着界面から脱落した。
表6の結果より明らかなように、酸化アルミニウム平板及び、酸化ジルコニウム平板に対する接着性能は、実施例14〜15に示すようにホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体、酸性化合物の2成分を含有する接着性組成物において高い初期接着性能を示し、さらにサーマルサイクルを2000回負荷後の脱落も認められなかった。
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
Figure 2006045179
SiO、Al、ZrO−3Y、3Al・2SiOのゼータ電位−pH図

Claims (3)

  1. 無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料を接着するためのホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体を含む歯科用接着性組成物。
  2. 歯科用材料の組成の少なくとも一部分が、一般式MOm/2「MはAl、Zr、Ti、Mg(mはMの価数を表す)の中から選ばれる1種以上である」で表される無機化合物または無機化合物を含む有機質複合体からなる歯科用材料である請求項1記載の歯科用接着性組成物。
  3. ホスホン酸基含有(メタ)アクリレート系単量体が、下記一般式〔1〕
    Figure 2006045179
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキレン基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜15のアルキレン基を示す。)で表わされることを特徴とする請求項1記載の歯科用接着性組成物。
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