WO2005042221A1 - プラスチックレンズ成形用ガスケット - Google Patents

Abstract

　プラスチックレンズの一方のレンズ面を形成する第１のモールド（３）と、プラスチックレンズの他方のレンズ面を形成する第２のモールド（４）と、第１、第２のモールド（３，４）が圧入される筒状のガスケット（２）とでプラスチックレンズ成形用鋳型（１）を形成する。ガスケット（２）の内周面に、断面形状が三角形で先端に向かって漸次細くなる弾性変形可能な突起帯（５）を一体に突設する。突起帯（５）は、ガスケット（２）の内周面の全周にわたって突設されることによりリング状に形成され、ガスケット（２）の軸線（Ｌ）に対して上方に向かって傾斜している。第１のモールド（３）は、ガスケット（２）に圧入されると突起帯（５）を押圧し下方に弾性変形させる。                                                                         

Description

明 細 書

プラスチックレンズ成形用ガスケット

技術分野

[0001] 本発明は、注型重合法によってプラスチックレンズを成形する際に用いられるブラ スチックレンズ成形用ガスケットに関する。

背景技術

[0002] プラスチックレンズを成形する方法としては、注型重合法が知られている。注型重合 法は、プラスチックレンズ成形用铸型のキヤビティ内にレンズ原料液 (以下、モノマー という）を注入し、所定温度に加熱重合して硬化させることにより、プラスチックレンズ を成形する方法である（例えば、「眼鏡」メディカル葵出版、 1986年 5月 22日発行 P.83— 85)。プラスチックレンズ成形用铸型は、通常、プラスチックレンズの光学面（凸 面と凹面）を形成する一対の光学面形成用モールドと、これらのモールドが所定の間 隔を保って嵌め込まれる円筒状のガスケットとで構成されている（例えば、特公昭 58 -45940号公報、実公平 5— 18107号公報、特公平 6— 98631号公報、実公平 6-3 9951号公報)。

[0003] 特公昭 58— 45940号公報に記載されたプラスチックレンズ成形用铸型 200は、図 2 6—図 28に示すように、円形に形成された第 1、第 2のモールド 201, 202と、これら のモールド 201, 202が組み込まれる円筒状のガスケット 203とで構成されている。

[0004] 上側に位置する第 1のモールド 201は、レンズ後面（凹面）を成形するための第 1の レンズ成形面（凸面） 204aを有している。下側に位置する第 2のモールド 202は、レ ンズ前面（凸面）を成形するための第 2のレンズ成形面（凹面） 205aを有している。そ して、これらのモールド 201, 202はレンズ成形面 204a, 205aが互いに対向するよう にガスケット 203に組み込まれる。

[0005] ガスケット 203は、円筒状のガスケット本体 203Aと、このガスケット本体 203Aの内 周面中央部に全周にわたって一体に突設された環状の張出部 203Bと、張出部 203 Bの上側の肩部に全周にわたって一体に突設されたカラー部 203Cおよび張出部 2 03Bの下側の肩部に全周にわたって一体に突設された角部 203Dとで構成されてい る。ガスケット本体 203Aの上端側開口部と下端側開口部には、それぞれ複数の切 欠 206が所要の間隔をおいて形成されている。カラー部 203Cは、断面形状が鋭角 の三角形状で、張出部 203Bの上端の内側面に斜め上方に向力つて一体に突設さ れている。また、カラー部 203Bは、板厚方向に弾性変形可能に形成されている。一 方、角部 203Dは、張出部 203Bより内側には突出せず下方にのみ突出している。

[0006] このような铸型 200を組み立てるには、先ず第 2のモールド 202をその第 2のレンズ 成形面 205aを上に向けた状態で支持板 207上に載置する。次に、第 2のモールド 2 02の外周にガスケット 203の下側の開口を合わせてガスケット 203を第 2のモールド 202に挿入し、角部 203Dの先端が第 2のレンズ成形面 205aに接触するまで第 2の モールド 202をガスケッ卜 203に押し込む。そして、ガスケッ卜 203の張出部 203Bと第 2のモールド 202の第 2のレンズ成形面 205aとによって形成された凹部内にモノマー を充填する。その後、第 1のモールド 201をガスケット 203の上側の開口に嵌め込み 、第 1のレンズ成形面 204aをカラー部 203Cに押しつけてカラー部 203Cを下方に弹 性変形させる。第 1のモールド 201をガスケット 203に押し込むと、ガスケット 203内の 過剰なモノマーは、第 1、第 2のモールド 201, 202とガスケット 203との隙間を通って 切欠 206からガスケット 203の外部に溢れ出る。このとき、第 1のモールド 201をガス ケット 203に押し込む力を解除すると、下方に橈んだカラー部 203Cは上方に弾性復 'J帚しょうとする。このため、ガスケット 203の第 1、第 2のモーノレド 201, 202によって密 閉された内部空間（キヤビティ）は拡大して負圧になり第 1および第 2のモールド 201 , 202をカラー部 203Cと角部 203Dに密着したまま保持させる。したがって、ガスケッ ト 203の内部は良好にシールされる。

[0007] 実公平 5— 18107号公報に記載されたプラスチックレンズ成形用铸型 300を図 29 A、図 29Bに示す。この成形用铸型 300は、円形に形成された第 1、第 2のモールド 3 01, 302と、これらのモールドが圧入されるガスケット 303とで構成されている。第 1の モールド 301は、レンズ後面（凹面）を成形するための第 1のレンズ成形面（凸面） 30 4aを有している。第 2のモールド 302は、レンズ前面（凸面）を成形するための第 2の レンズ成形面（凹面） 305aを有している。

[0008] ガスケット 303は、円筒形状を呈するガスケット本体 303Aと、ガスケット本体 303A の内周面に一体に突設されたリング状の突起帯 303Bとで構成されている。リング状 の突起帯 303Bは、内側が垂直な面力もなり、上端部 306が断面形状が鋭角な山形 形状に形成されている。ガスケット本体 303Aの内径は嵌挿される第 1、第 2のモール ド 301, 302の外径と同一かそれより少し小さく形成されている。このようなガスケット 3 03に第 1のモールド 301を組み込むには、ガスケット 303の上側開口力も第 1のモー ルド 301を圧入し、その第 1のレンズ成形面 304aが突起帯 303Bの上端部 306の先 端に接触した状態となるまで押し込む。このとき、ガスケット 303のガスケット本体 303 Aは拡径方向に押し広げられるため、第 1のモールド 301は、下方に押圧される力を 解除された後も、ガスケット本体 303Aの形状復元力により、その外周面がガスケット 本体 303Aの内周面によって挟持され、第 1のレンズ成形面 304aと突起帯 303Bの 上端部 306先端とが当接した状態でガスケット本体 303Aに保持される。

[0009] 図 30—図 34にさらに従来の他のプラスチックレンズ成形用铸型の例を示す。この 従来例はガスケットの内周面でモールドの外周面をシールする例である。プラスチッ クレンズ成形用铸型 400は、筒状体に形成されたガスケット 401と、このガスケット 40 1に嵌め込まれる第 1、第 2のモールド 402, 403とで構成されている。

[0010] ガスケット 401は、軟質のプラスチック材料カゝらなり、筒状体に形成されたガスケット 本体 401Aと、このガスケット本体 401Aの内周面に一体に突設されたリング状の突 条体 401Bと、ガスケット本体 401Aの外周面に一体に突設されたモノマー注入用の 注入口部 401Cとで構成されて ヽる。

[0011] 第 1、第 2のモールド 402, 403は、それぞれガラスによって円形に形成されている 。上側に組み込まれる第 1のモールド 402は、レンズの前面（凸面）を成形するための 第 1のレンズ成形面 404aを有し、下側に組み込まれる第 2のモールド 403は、レンズ の後面（凹面）を成形するための第 2のレンズ成形面 405aを有している。第 1、第 2の モーノレド 402, 403ίま、レンズ成形面 404a, 405aを互!ヽ【こ対向させてガスケット 401 に圧入され組み込まれると、外周面（コバ面） 417, 418がガスケット本体 401Aの内 周面 406aに密接することによりガスケット本体 401Aと第 1、第 2のモーノレド 402, 40 3との隙間をシールし、ガスケット本体 401A内に注入されるモノマー 410の液漏れお よび外気の侵入を防止するようにしている。なお、突状体 401Bは、その上下面で第 1、第 2のモールド 402, 403の挿入量を規定し位置決めする機能を果たしている。 発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] しかしながら、上記した従来のプラスチックレンズ成形用铸型 200, 300, 400は、 いずれも以下に述べるような問題があった。

[0013] すなわち、図 26—図 28に示した従来のプラスチックレンズ成形用铸型 200は、第 1 のモールド 201がガスケット 203に保持された状態では図 27Bに示すように、カラー 部 203Cが下方に押されて橈むため、第 1のモールド 201のレンズ成形面 204aと力 ラー部 203Cの上面とが広い面積で接触してガスケット 203をシールする。このため、 铸型 200内に充填されたモノマーは毛細管現象により第 1のレンズ成形面 204aと力 ラー部 203Cの上面との接触部（以下単にシーノレ接触部ともいう）に入り込む。このよ うな状態で铸型 200を所定の温度に加熱してモノマーを熱硬化させた後、第 1、第 2 のモーノレド 201, 202とガスケット 203を取り除くと、第 1のモーノレド 201のレンズ成形 面 204aには図 28に斜線で示すようにシール接触部に入り込んだモノマーが硬化し てできた榭脂カス 220が付着している。第 1、第 2のモールド 201, 202は洗浄した後 再利用に供されるが、このように広い面積で付着した榭脂カス 220は、取り除くことが 困難であると!/、う問題があった。

[0014] これに対し、図 29A、図 29Bに示したプラスチックレンズ成形用铸型 300は、リング 状突起帯 303Bの上端部 306先端と第 1のモールド 301の第 1レンズ成形面 304aと が線状に接触しているため、モノマーの重合後、成形されたレンズを離型した後の第 1のモールド 301の第 1のレンズ成形面 304aには、シール接触部に入り込んだモノ マーが硬化してできた榭脂カスが線状に付着する。このような線状に付着した榭脂カ スは、図 28に示した榭脂カス 220に比べて接触面積が小さいため除去が比較的容 易である。

[0015] しかしながら、このような構造のガスケット 303の場合、第 1のレンズ成形面 304aと 突起帯 303Bの上端部 306との間のシールが十分ではないためにモノマーが成形用 铸型 300から外部に漏れたり外気が成形用铸型 300内に浸入するという問題が生じ 易かった。すなわち、上方に突出した突起帯 303Bの上端部 306の先端に第 1のレ ンズ成形面 304aを押しつけてモールド 301をシールする場合は、この上端部 306が 下方に収縮したときに生じる上方向への反発力を利用して第 1のレンズ成形面 304a との間に圧力を生じさせてシールする。し力しながら、このとき上端部 306の収縮によ る反発力は押し込まれる距離が大きいほど急激に大きくなるため、第 1のレンズ成形 面 304aと上端部 306との間の圧力を適度にし力も全周にわたって均一にすることは 困難であった。特にこのような従来の铸型 300のようにガスケット 303の内周面の縮 径方向の収縮力により第 1、第 2のモールド 301, 302の外周面を挟持してこれらモ 一ルド 301, 302を保持する場合には、上端部 306の反発力に対しガスケット 303の 内周面によるモールド保持力が抗しきれない場合がある。このため、第 1のモールド 3 01を押し込んだ直後もしくは時間をおいて、第 1のモールド 301が上端部 306の反 発力により上方に押し上げられる場合があった。このようにシール接触部の圧力が全 周にわたって不均一であったり、第 1のモールド 301が上端部 306の反発力によって 押し上げられてしまったりすることにより、シール接触部に圧力の弱い部分や隙間が 生じてしまう場合があり、シール性に問題が生じ易力つた。

[0016] 図 30—図 34に示した従来の成形用铸型 400は重合工程に生じるモノマーの収縮 によって、しばしば外部の空気をガスケット 401と第 1、第 2のモールド 402, 403によ つて囲まれた空間、すなわちキヤビティ 416内に引き込んでしまうため、通常ァヮ不良 と呼ばれる気泡をレンズ内に発生させるという問題があった。

[0017] そこで、本発明者等はこの気泡の発生現象を詳しく調査した結果、ァヮ不良は以下 のような過程を経て発生して 、ることが判った。

すなわち、ガスケット 401の内周面 406aはガスケット本体 401Aの軸線 Lと平行な 円筒面に形成されているため、ガスケット本体 401Aの内径より大きな外径を有する 第 1、第 2のモールド 402, 403をガスケット本体 401A内に圧入すると、ガスケット本 体 401Aは中央部が拡径方向に弾性変形して図 31Aに示すように樽型になる。この ように樽型になると第 1、第 2のモーノレド 402, 403の外周面 417, 418の第 1、第 2の レンズ成形面 404a, 405a側の縁部 417a, 418a (以下、内側またはレンズ成形面側 の外周縁ともいう）が第 1、第 2のレンズ成形面 404a, 405a側とは反対側の縁部 417 b, 418b (以下、外側の外周縁ともいう）に比較して弱く接触する（あるいは隙間が生 じる)傾向が強くなる。そして、このような接触状態の場合にァヮ不良が生じ易いこと が判った。

[0018] このような接触状態の典型的な例を図 31A、図 31B、図 31Cおよび図 32に示す。

図 31Bおよび図 31Cに示す拡大図は、第 1、第 2のモールド 402, 403の外周面 41 7, 418がレンズ成形面側の外周縁 417a, 418aから遠のくほどガスケット本体 401A の内周面 406aに対してそれぞれ強い圧力で接触する例を示している。このため、第 1、第 2のモールド 402, 403の外周面 417, 418は、外側の外周縁 417b, 418bに お 、てガスケット本体 401 Aの内周面 406aと強く接触し、レンズ成形面側の外周縁 4 17a, 418a付近では内周面 406aとの間に僅かな隙間 420, 421がそれぞれ生じて いる（図 31B、図 31Cでは判り易くするために隙間 420, 421を誇張して描いている） 。なお、図 31B、図 31Cでは隙間 420, 421が生じている場合を示した力 レンズ成 形面ィ則の外周縁 417a, 418a【こ至るまど第 1、第 2のモーノレド、 402, 403の外周面 4 17, 418がガスケット本体 401 Aの内周面 406aに対して弱く接触する場合も同様に ァヮ不良が生じ易い。

[0019] 図 32に示した接触状態の場合は、第 1、第 2のモールド 402, 403の外周面 417, 418の外側の外周縁 417b, 418bおよびレンズ成形面側の外周縁 417a, 418a力ガ スケット本体 401 Aの内周面 406aと接触している力 両外周縁の中間部分には僅か な隙間 422, 423が生じている（図 32では判り易くするために隙間を誇張して描いて いる）。そして、外側の外周縁 417b, 418bはガスケット本体 401Aの内周面 406aに 対して強く接触している力 レンズ成形面側の外周縁 417a, 418aは内周面 406aに 対して ¾く接虫して ヽる。なお、図 32では両外周縁 417aと 417b、 418aと 418bとの 中間部分に隙間 422, 423がそれぞれ生じている場合を示したが、この中間部分が 外側および内側の外周縁 417a, 418a, 417b, 418bより弱く接触している場合も同 様にァヮ不良が生じ易い。

[0020] 上記したような第 1、第 2のモールド 402, 403のガスケット本体 401Aの内周面 406 aに対する接触状態は、内周面 406aの全周にわたって生じている場合もあれば、部 分的に生じている場合もある。また、上記した異なる接触状態が内周面 406aの周方 向において混在する場合もある。なお、ガスケット本体 401Aの内周面 406aと第 1、 第 2のモーノレド 402, 403の外周面 417, 418力 Sどのような接虫状態になる力 ίま、第 1 、第 2のモールド 402, 403のコバ厚、ガスケット本体 401 Αの厚み、第 1、第 2のモー ルド 402, 403の外径とガスケット本体 401Aの内径との関係、対をなす第 1、第 2の モールド 402, 403の間隔等によって左右される。

[0021] 次に、上記したような第 1、第 2のモーノレド 402, 403の外周面 417, 418とガスケッ ト本体 401Aの内周面 406aとの接触状態において、どのようにァヮ不良が生じるの かを説明する。

図 31A一図 31C【こ示したよう【こ、第 1、第 2のモーノレド、 402, 403の外周面 417, 41 8とガスケット本体 401Aの内周面 406aとの接触状態で、一対のモールド 402, 403 がガスケット 401内に圧入された場合に、注入口部 401C力も成形用铸型 400のキヤ ビティ 416内にモノマー 410を注入すると、その一部は毛細管現象によって第 1、第 2 のモーノレド 402, 403と突条体 401Bとの間の隙間を通って隙間 420, 421にそれぞ れ浸入する。そして、隙間 420, 421に浸入した漏洩モノマー 410' (図 33、図 34)は 、隙間 420, 421のなかのより狭い方へ引き寄せられ、さらにはガスケット本体 401 A の内周面 406aと第 1、第 2のモーノレド 402, 403の外周面 417, 418と力 ^最も強く接 触している部分に入り込む。つまり、漏洩モノマー 410，は第 1、第 2のモールド 402, 403の外周面 417, 418のレンズ成形面 404a, 405a側の端縁とは反対側の端部 4 17b, 418bに溜り、周方向に帯状に広がってガスケット本体 401Aと内側外周縁 417 b, 418bとの隙間をシールする。同時に帯状の漏洩モノマー 410'より内側の隙間 4 20には空気残り 430 (図 33)が生じる。隙間 420, 421は内側に向かって広がる V字 状の隙間であるため、漏洩モノマー 410，の帯は第 1、第 2のモールド 402, 403の外 側の外周縁 417b, 418b付近が最大の保持力を有し、内側の外周縁 417a, 418a に向力 にしたがって保持力は徐々に減少して不安定になる。し力も、第 1、第 2のモ 一ルド 402, 403の外周面 417, 418の両端とでは保持力の差力 、さいため、漏洩 モノマー 410'の帯は、内側の外周縁 417a, 418a側には、比較的弱い力でも容易 に移動して変形する。

[0022] 重合過程でモノマー 410が収縮（ 7— 15 %程度)するとキヤビティ 416内は陰圧に なる。このとき、本体 401 Aの内周面 406aとモーノレド 402, 403の外周面 417, 418 とのシール部分にシール圧の比較的弱い部分 431 (図 33)があると、上記した理由 によりこの弱い部分 431の漏洩モノマー 410'が外圧によって図 34に示すように内側 に変形し易くなる。この変形した部分が隙間 420の一定以上広がった部分に達する と漏洩モノマー 410'の帯が破断してこの破断部分 432が成形用铸型 400の外部と 連通し、そこ力も外部の空気が隙間 420を通ってキヤビティ 416内に引き込まれる。 その結果、通常ァヮ不良と呼ばれる空孔 (気泡）がレンズ内にできる現象が発生し、レ ンズを不良品にする。

[0023] 次に、ガスケット本体 401 Aと第 1、第 2のモールド 402, 403力 S図 32に示すような接 触状態にある場合について説明する。この場合も図 31B、図 31Cに示した接触状態 の場合と同様にモノマー 410は第 1、第 2のモーノレド 402, 403と突条体 401Bとの間 の隙間を通って、第 1、第 2のモールド 402, 403の外周面 417, 418とガスケット本 体 401Aの内周面 406aの隙間に到達する。そして、第 1、第 2のモールド 402, 403 の外周面 417, 418の内側の外周縁 417a, 418aの方力外周面 417, 418の中間部 より強く接触しているため、漏洩モノマー 410'は内側の外周縁 417a, 418a付近に 溜まろうとする。しかし、漏洩モノマー 410，の一部でも外側の外周縁 417b, 418b付 近に達すると、外側の外周縁 417b, 418bの方が内側の外周縁 417a, 418aより強 く接触していることから、漏洩モノマー 410'は外側の外周縁 417b, 418b付近に引 き寄せられる。そして、この漏洩モノマー 410'は外側の外周縁 417b, 418bに沿つ て帯状に広力 Sることにより、ガスケット本体 401 Aと第 1、第 2のモーノレド 402, 403との 間の隙間を密閉する。このため、ガスケット本体 401Aの内周面 406aと第 1、第 2のモ 一ルド 402, 403の外周面との間の隙間のレンズ成形面側に空気残りが生じる。この ような場合においてもキヤビティ 416内が陰圧になると図 31B、図 31Cに示す接触状 態の場合と同様の理由で漏洩モノマー 410'の帯が破断する。そして、内側の外周 縁 417a, 418aとガスケット本体 401 Aの内周面 406aの接触部分のシールが不十分 なところを通って、外気がキヤビティ 416の中に入り込みァヮ不良を引き起こす。

[0024] そこで、本発明者等はこのような問題を解決するためにガスケット 401の形状を変え て実験を行った結果、第 1、第 2のモールド 402, 403の内側の外周縁 417a, 418a を外側の外周縁 417b, 418bよりも強く接触させるようにすると良好にシールすること ができ、モノマーの液漏れや空気の浸入によるァヮ不良を防止することができることを 見い出した。具体的には、ガスケット 401の内周面 406aでかつ第 1、第 2のモールド 402, 403が圧入される部分の最も内側の内径を外側に比べて小さくすることにより、 第 1、第 2のモールド 402, 403の内側の外周縁 417a, 418aを外側の外周縁 417b , 418bよりも強く接虫させることができる。

[0025] また、別の方法として、ガスケット 401の内周面で、第 1、第 2のモールド 402, 403 の外周面 417, 418の内側の外周縁 417a, 418&カ 虫する部分をモールド 402、 403のコバ厚よりも短い高さの小径円筒面部分とし、この小径円筒面部分より軸線方 向外側部分をこの小径円筒面部分より径方向外側に広い逃げ部としておくことにより 、第 1、第 2のモールド 402, 403の内側の外周縁 417a, 418aを外側の外周縁 417 b, 418bよりも強く接虫させることができる。

[0026] 本発明はこのような従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とする ところは、モールドのレンズ成形面とガスケットとを線状に密着させ、ガスケットを確実 にシールすることができるようにしたプラスチックレンズ成形用ガスケットを提供するこ とにある。

[0027] また、本発明の他の目的とするところは、モノマーの液漏れおよび空気の引き込み によるァヮ不良を確実に防止することができるようにしたプラスチックレンズ成形用ガ スケッ卜を提供すること〖こある。

課題を解決するための手段

[0028] 上記目的を達成するために本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットは、プ ラスチックレンズの一方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 1のモールド、 および前記プラスチックレンズの他方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 2のモールドが所定間隔隔てて組み込まれる筒状のガスケット本体と、前記ガスケット 本体の内周壁全周にわたって一体に突設された弾性を有する突起帯とを備え、前記 突起帯は、基端部と、先細の先端部とを有し、前記先端部が前記基端部より前記ガ スケット本体の軸方向に近い角度であり、前記先端部の頂部に前記第 1および第 2の モールドのうちのいずれか一方のモールドのレンズ成形面が接触するものである。

[0029] また、本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットは、プラスチックレンズの一 方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 1のモールド、および前記プラスチ ックレンズの他方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 2のモールドが所定 間隔隔てて組み込まれる筒状のガスケット本体を備え、前記ガスケット本体は、前記 第 1および第 2のモールドのうち少なくともいずれか一方が圧入されることにより前記 一方のモーノレドの外周面をシーノレする部分を有し、この一方のモーノレドの外周面を シールする部分の内周面の内径は、前記一方のモールドのレンズ成形面側の外周 縁が接触する箇所にぉ 、て最も小さくなつて 、るものである。

発明の効果

[0030] ガスケット本体の内周壁に弾性を有する突起帯を備えた発明にお 、ては、突起帯 の先端側の方が基部側よりガスケット本体の軸方向に近いため、第 1のモールドを突 起帯に押し付けたときに、基部側の方が先端側よりガスケットの軸方向に橈み易い。 このため、基部側が橈んだ分、突起帯の先端とモールドのレンズ成形面との接触角 度が大きく保たれる。このため突起帯の先端とモールドのレンズ成形面とが線状に接 触して高い面圧が得られる。また、レンズ成形後にガスケットから取り外したモールド のレンズ成形面に付着する榭脂カスは線状であるため、除去が容易である。また、突 起帯は、モールドによって押圧されるとガスケットの軸線方向に弾性変形して橈むた め、モールドを突起帯に押し付ける距離に対してモールドの接触圧力が急激に変動 することがなくレンズ成形面の全周にわたつて適度な接触圧力に設定し易 、。

[0031] ガスケット本体の内径を、第 1のモールドのレンズ成形面側の外周縁が接触する部 分にぉ 、て最も小さくした発明にお 、ては、モールドをガスケット本体内に圧入すると 、モールドの外周面のうちレンズ成形面側の外周縁がガスケットの内周面に最も強く 接触し、ガスケットをシールする。モノマーをキヤビティ内に注入すると、その一部は 毛細管現象により、モールドのレンズ成形面側の外周縁付近とガスケット本体の内周 面との隙間に浸入する。このため、隙間はモノマーによってシールされ、モノマーの 液漏れを防止する。また、ガスケット本体の内周面とモールドのレンズ成形面側の外 周縁付近との間の隙間内に滞留している漏洩モノマーは、毛細管現象の強い保持 力で保持されているので、キヤビティ内のモノマーの重合収縮によってキヤビティ内 が陰圧になっても安定した状態を保つ。このため外気がこの滞留している漏洩モノマ 一を破ってキヤビティ内に入り込むことがない。したがって、ァヮ不良が発生せず不良 率を低減することができる。

図面の簡単な説明

[図 1A-1B]図 1A、図 IBは、本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットの第 1 の実施例を示す断面図および図 1Aの XI部の拡大図である。

[図 2]図 2は、第 1の実施例のガスケットの正面図である。

[図 3A- 3B]図 3A、図 3Bは、第 1の実施例のガスケットにモールドを組込んだ状態を 示す断面図および図 3Aの X2部の拡大図である。

[図 4]図 4は、第 1のモールドの離型を説明するための図である。

[図 5A-5B]図 5A、図 5Bは、本発明の第 2の実施例を示す成形用ガスケットの断面図 および図 5Aの X3部の拡大図である。

[図 6A-6B]図 6A、図 6Bは、第 2の実施例のガスケットにモールドを組込んだ状態を 示す断面図および図 6Aの X4部の拡大図である。

[図 7A-7B]図 7A、図 7Bは、本発明の第 3の実施例を示すガスケットの断面図および 図 7Aの X5部の拡大図である。

[図 8A-8B]図 8A、図 8Bは、第 3の実施例のガスケットにモールドを組込んだ状態を 示す断面図および図 8Aの X6部の拡大図である。

[図 9]図 9は、本発明の第 4の実施例を示すガスケットの断面図である。

[図 10A-10B]図 10A、図 10Bは、本発明の第 5の実施例を示すガスケットの断面図 および図 10Aの X7部の拡大図である。

[図 11A-11B]図 11A、図 11Bは、第 5の実施例のガスケットにモールドを組込んだ状 態を示す断面図および要部の拡大図である。

[図 12]図 12は、本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットの第 6の実施例を 示す組付け前の断面図である。

[図 13A-13C]図 13 A—図 13Cは、モールドをガスケットに組込んだ状態を示す断面 図、図 13Aの X8部および X9部の拡大図である。

[図 14]図 14は、毛細管現象により隙間に漏れる漏洩モノマーを示す図である。

[図 15]図 15は、本発明の第 7の実施例を示す組付け前の断面図である。 [図 16]図 16は、組付け後の断面図である。

[図 17]図 17は、本発明の第 8の実施例を示す組付け前の断面図である。

[図 18]図 18は、本発明の第 9の実施例を示す組付け前の断面図である。

[図 19]図 19は、ガスケットの平面図である。

[図 20]図 20は、本発明の第 10の実施例を示す組付け前の断面図である。

[図 21]図 21は、図 20の X10部の拡大図である。

[図 22]図 22は、図 20の XII部の拡大図である。

[図 23]図 23は、本発明の第 11の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。

[図 24]図 24は、本発明の第 12の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。

[図 25]図 25は、本発明の第 13の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。

[図 26]図 26は、プラスチックレンズ成形用铸型の従来例を示す組付け前の断面図で ある。

[図 27A-27B]図 27A、図 27Bは、組付け後の断面図および図 17Aの X12部の拡大 図である。

[図 28]図 28は、レンズ成形面に付着した榭脂カスの状態を示すレンズ成形面側から 見たモールドの正面図である。

[図 29A-29B]図 29A、図 29Bは、プラスチックレンズ成形用铸型の他の従来例を示 す組付け前の断面図および図 19Aの X13部の拡大図である。

[図 30]図 30は、プラスチックレンズ成形用ガスケットのさらに他の従来例を示す組付 け前の断面図である。

[図 31A- 31C]図 31A—図 31Cは、糸且付け後の断面図、図 31Aの X14部および X15部 の拡大図である。

[図 32]図 32は、要部の拡大断面図である。

[図 33]図 33は、毛細管現象により隙間に漏れる漏洩モノマーを示す図である。

[図 34]図 34は、外圧による漏洩モノマーの変形、破断を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。

図 1A、図 1B、図 2、図 3Aおよび図 3Bにおいて、全体を符号 1で示すプラスチック レンズ成形用铸型は、筒状体力もなるガスケット 2と、このガスケット 2に所定間隔隔に て組み込まれる一対のモールド 3, 4とで構成されている。なお、以下の説明では、上 側のモールド 3を第 1のモールド 3、下側のモールド 4を第 2のモールド 4とも!/、う。

[0034] ガスケット 2は、合成樹脂の射出成形によって形成され、両端開放の円筒状に形成 されたガスケット本体 2Aと、ガスケット本体 2Aの外周面に一体に突設された注入口 部 2Bとで構成されている。ガスケット本体 2Aの内径は、挿入される第 1、第 2のモー ルド 3, 4を保持するためにこれらモールド 3, 4の外径より小さく形成されている。また 、この実施例ではモールド 3, 4の挿入を容易にするためガスケット本体 2Aの両側開 口部にはテーパ 16をそれぞれ設けている。また、ガスケット本体 2Aの内周面の高さ 方向中間部には、弾性変形可能なリング状の突起帯 5が円周に沿って全周にわたつ て一体に突設されている。

[0035] 突起帯 5の基部 5aは、斜め上方に傾斜している。突起帯 5の先端部 5bは、基部 5a 側より急な角度 (ガスケット本体 2Aの軸線 Lの方向により近 、角度)で斜め上方に傾 斜している。このため、突起帯 5の基部 5aと先端部 5bとは屈曲部 5cにおいて屈曲し てつながっている。また、突起帯 5の先端部 5bは、断面形状が三角形 (V字状）に形 成されることにより、先端に向力つて先細になっており、その頂部 5dにより全周にわた つて同じ高さの稜線が形成されている。

[0036] さらにガスケット本体 2Aの周壁には、突起帯 5の下側にガスケット 2の内部と注入口 部 2Bの内部を連通させる注入孔 6が形成されている。注入孔 6はガスケット本体 2A の周方向に長いスリット状に形成されている。なお、プラスレンズ等のコバ厚の薄いプ ラスチックレンズを成形する場合には、突起帯 5の基部 5aの真下に注入孔 6を形成す るとよ 、。

[0037] 注入口部 2Bは、プラスチックレンズの成形時にモノマー 11をガスケット本体 2A内 に注入するための部分であり、図 3Aにおいて紙面と平行な縦断面形状が三角形の 漏斗状に形成され、内側開口部 7と外側開口部 8を有している。内側開口部 7は、ガ スケット本体 2Aの注入孔 6に連通する開口部であり、注入孔 6と略同一の横長スリット 状に形成されている。外側開口部 8は、内側開口部 7とは反対側に設けられた矩形 の開口部であり、最大の断面積を有している。 [0038] このようなガスケット 2の材質としては、一般的な眼鏡レンズ用のモノマー（例えば、 ジエチレングリコールビスァリルカーボネート系榭脂、ポリウレタン系榭脂等）の重合 収縮率が 7— 15%前後と高いため、プラスチックレンズ成形用铸型 1にモノマーを充 填し、重合する際に、その重合収縮にモールド 3, 4が追従して移動できるように柔軟 性や可撓性 (弾性)を有する物性をもつ材料が選択される。例えば、エチレン 酢酸 ビュル共重合体、エチレン プロピレン共重合体などポリエチレン系榭脂等の熱可塑 性材料が一般的に使用される（例えば、特開平 2— 185586号公報、特開平 5— 8230 号公報、特開平 8— 302336号公報、特開平 2000-191846号公報、特開平 2000 —190342号公報)。特に好ましい材料は、本実施例で使用されている超低密度ポリ エチレン榭脂である。

[0039] また、これらの材料は弾性を有し、ガスケット 2の内径を組み込まれるモールド 3, 4 の外径より小さく形成することにより、ガスケット 2が拡径方向に弾性変形しモールド 3 , 4の圧入および保持を可能にしている。すなわち、図 3Bに示すように、モールド 3を ガスケット本体 2Aの上方側開口力 圧入すると、ガスケット本体 2Aはモールド 3が圧 入された部分が拡径方向に弾性変形し、その復元力によってモールド 3の外周を締 め付けて保持する。モールド 4をガスケット本体 2Aに圧入したときもガスケット本体 2 Aは同様に拡径する。なお、ガスケット 2によるモールド 3, 4の保持力は、モノマーの 重合収縮に対応できるようになっており、モールド 3, 4の外径とガスケット 2の材質、 形状との関係は、予め重合中のガスケット 2、モールド 3, 4の挙動を考慮して設計さ れている。

[0040] 一対のモールド 3, 4は円形のガラスからなり、それぞれメニスカス形状に形成され て同一の外径を有している。第 1のモールド 3は、一方の面が緩やかに湾曲する凸面 3aに形成され、他方の面が同じく緩やかに湾曲する凹面 3bに形成され、この凹面 3b を内側にしてガスケット 2に圧入される。凸面 3aはレンズ成形面として使用されない面 であり、任意の仕上げ面に形成されている。一方、凹面 3bは成形しょうとするプラス チックレンズの凸面側の転写面（レンズ成形面）を形成している。このため、凹面（以 下、レンズ成形面ともいう） 3bは所定の曲面形状に鏡面仕上げされている。この実施 例では凹面 3bは軸回転対称の曲面に形成されているものを使用しているため、第 1 のモールド 3の外周面 3cの下端の高さは全周にわたってほぼ同じである。

[0041] 第 2のモールド 4は、一方の面が凸面 4aに形成され、他方の面が凹面 4bに形成さ れ、凸面 4aを内側にしてガスケット 2に圧入される。凸面 4aは、成形しょうとするブラ スチックレンズの凹面側の転写面（レンズ成形面）を形成しているため、所定の曲面 形状を有する面に鏡面仕上げされている。一方、凹面 4bはレンズ成形面として使用 されな 、面であり、任意の仕上げ面に形成されて 、る。

[0042] このような一対のモールド 3, 4を図 3Aに示すようにレンズ成形面 3b、 4aを互いに 対向させてガスケット 2の内部に所定量押し込んで組み付けることにより、プラスチッ クレンズ成形用铸型 1の組付けが完了する。この場合、第 1のモールド 3は、所定の 圧力で圧入されて位置決めされるため、ガスケット 2への押込み量は成形しょうとする レンズの種類にかかわらず略一定である。これに対して、第 2のモールド 4は成形しよ うとするレンズの種類 (度数）に応じた押込み量で押し込まれることにより、第 1のモー ルド 3と所定の間隔を隔てて対向する。これにより、ガスケット 2と 2つのモールド 3, 4と によって囲まれた空間がプラスチックレンズ形成用のキヤビティ 10を形成し、注入口 部 2Bからモノマー 11が注入孔 6を通ってキヤビティ 11内に注入される。なお、一対 のモールド 3, 4を上下反転させてガスケット 2に組込み、プラスチックレンズ成形用铸 型 1を組立てるようにしてもよいことは勿論である。

[0043] このような構造力もなるプラスチックレンズ成形用铸型 1において、第 1のモールド 3 をガスケット 2の上側開口力も圧入すると、図 3Aに示すように第 1のモールド 3のレン ズ成形面 3bの周縁部が弾性変形可能な突起帯 5の先端部 5bを押圧する。突起帯 5 は、先端部 5b側が基部 5a側より急な角度 (ガスケット本体 2Aの軸線 L方向により近 い角度)で傾斜しているため、軸線 L方向の押圧に対して基部 5a側の方が軸線 L方 向に橈み易 、。特にこの実施例の場合は基部 5a側と先端部 5b側が屈曲してつなが つているため、屈曲部 5cを境に軸線 L方向への橈み易さが大きく変わり、基部 5a側 力 り大きく橈む。また、屈曲部 5cから先端部 5b側の長さは、屈曲部 5cから基部 5a 側の長さに比べて短いのでさらに基部 5a側の方が橈み易い。したがって、突起帯 5 の先端部 5bが第 1のモールド 3のレンズ成形面 3bにより押圧されると、基部 5a側は 軸線 L方向に橈み、この基部 5a側が橈んだ分だけ先端部 5b側が径方向に橈む量が 小さくなるため、先端部 5bはレンズ成形面 3bに対してある程度の接触角度を保ちな がら線状に密着する。また、突起帯 5は自身の弾性変形に伴う復元力によって先端 部 5bをレンズ成形面 3bに密着させようとするため、第 1のモールド 3のレンズ成形面 3 bと突起帯 5の先端部 5bとの間に良好なシールが確保される。

[0044] このように本実施例は、突起帯 5の先端部 5bと第 1のモールド 3のレンズ成形面 3b とが線状に密着することから、接触面積力 、さくなるので、高い面圧が得られ、ガスケ ット 2を確実にシールすることができる。また、突起帯 5の基部 5a側がガスケット 2の軸 線 L方向に橈むため、第 1のモールド 3を押し込む量が多少変わっても先端部 5bとレ ンズ成形面 3bとを線状に密着させることができる。しかも、図 29A、図 29Bに示した 従来のガスケット 303のように突出部 303Bの収縮変形に対しての復元力を利用して 密着させる場合に比べて、モールド 3の押し込み量に対する復元力の変動が少ない ので、たとえガスケット 2の内周面でモールド 3を保持する場合であっても、押し込ん だ後にモールド 3が押し上げられて浮いてしまうおそれがなぐまた、押し込み量が周 方向にお 、て多少不均一であっても、モールド 3のレンズ成形面 3bの全周にわたつ て適度な圧力でシールされる。

[0045] 以上の通り本実施例のガスケット 2はモールド 3のレンズ成形面 3bの全周にわたつ て適度な圧力で良好にシールすることができることから、モノマー 11が第 1のモール ド 3と突起帯 5との間から成形用铸型 1の外部に漏れたり、モノマー 11の重合収縮時 に外気がキヤビティ 10内に侵入したりすることがなぐ成形不良の発生を防止するこ とがでさる。

[0046] さらに、成形されたレンズを第 1のモールド 3から容易に取り外すことができる。すな わち、モノマー 11を加熱重合してレンズを成形した後、ガスケット 2を破断するなどし て内部の第 1のモールド 3と第 2のモールド 4を取り出すと、図 4に示すように成形され たレンズ 12の表裏面には未だ第 1のモールド 3と第 2のモールド 4がー体的に密着し ている。レンズ 12の表面側周縁部と第 1のモールド 3との間には突起帯 5の抜き跡に よる V字状の溝 13が全周にわたって形成されているので、この溝 13に楔形の工具 1 5を差し込めば楔作用によりレンズ 12と第 1のモールド 3を簡単に剥離することができ る。なお、第 2のモールド 4からレンズ 12を剥離する場合は、レンズ 12の外周と第 2の モールド 4との接合部にへら状の工具を差し込んで剥離する。

[0047] 図 5A、図 5Bは本発明の第 2の実施例を示すガスケットの断面図および図 5Aの X3 部の拡大図である。図 6A、図 6Bはガスケットにモールドを組み込んだ状態を示す断 面図および図 6Aの X4部の拡大図である。本実施例において、ガスケット 20は、筒状 体力もなるガスケット本体 20Aと、ガスケット本体 20Aの外周面に一体に突設された 注入口部 20Bと、ガスケット本体 20Aの内周面に全周にわたって一体に突設された 弾性変形可能な突起帯 25を備えている。突起帯 25は、基部 25a側がガスケット本体 20Aの軸線 Lと略直交する方向に伸び、先端部 25b側が軸線 Lと略平行な方向に伸 びており、基部 25a側と先端部 25b側とは屈曲部 25cで略直角につながつている。先 端部 25b側の断面形状は三角形をしており、その頂部 25dは真上に位置している。 そしてこの頂部 25dを第 1のモールド 26のレンズ成形面 26bに線状に接触させるよう にしている。第 1のモールド 26は、上面 26aが凹面に形成され、下面 26bが凸面から なるレンズ成形面に形成されている。第 2のモールド 27は、上面 27aが凹面力もなる レンズ成形面に形成され、下面 27bが凸面に形成されている。

[0048] このような構造のガスケット 20においても、図 1Aに示した第 1の実施例と同様に突 起帯 25の先端部 25bに第 1のモールド 26のレンズ成形面 26bを押し付けると基部 2 5a側がガスケット本体 20Aの軸線 L方向に橈み、先端部 25bとレンズ成形面 4aとは 線状に密着するため、第 1のモールド 26のレンズ成形面 26bと突起帯 25の先端部 2 5bとの間を確実にシールすることができる。したがって、この第 2の実施例においても 第 1の実施例と同様の効果を得ることができる。なお、この実施例では、突起帯 25の 先端部 25b側が基部 25a側と直交し、しかも基部 25aから屈曲部 25cの長さに比べ、 先端部 25bから屈曲部 25cの長さが短いため、先端部 25b側の橈みが殆どない。こ のため、基部 25a側が大きく橈むためモールド 26のレンズ成形面 26bに対して先端 部 25bが線状に接するという点でより好ましい。また、基部 25aの上端の高さに対する 先端部 25bの高さ力 第 1の実施例で示したガスケット 2の突起帯 5に比べて低いの で、モールド 26の凸面力もなるレンズ成形面 26bを先端部 25bと密着してシールす る場合に適している。

[0049] 図 7A、図 7Bは本発明の第 3の実施例を示す断面図および図 7Aの X5部の拡大図 である。図 8A、図 8Bはガスケットにモールドを組み込んだ状態を示す断面図および 図 8Aの X6部の拡大図である。本実施例において、ガスケット 30は、筒状体からなる ガスケット本体 30Aと、ガスケット本体 30Aの外周面に一体に突設された注入口部 3 0Bと、ガスケット本体 30Aの内周面に全周にわたって一体に突設された弾性変形可 能なリング状の突起帯 35を備えている。突起帯 35は、基部 35aから先端部 35bに行 くほど角度が徐々にガスケット本体 30Aの軸線 L方向に近づくように傾斜して 、る。 第 1のモールド 3は、上面 3aが凸面で、下面 3bが凹面のレンズ成形面を形成してい る。第 2のモールド 4は、上面 4aが凸面でレンズ成形面を形成し、下面 4bが凹面 4b を形成している。

[0050] このようなガスケット 30においても、第 1のモールド 3のレンズ成形面 3bを突起帯 35 に押し付けると、突起帯 35の基部 35aは、先端部 35bに比べて傾斜角度が緩やでガ スケット本体 30Aの軸線 L方向に橈み易 、ため、その分先端部 35b側のガスケット本 体 30Aの径方向への撓みが抑えられる。したがって、先端部 35bとレンズ成形面 3b とが線状に密着し、第 1の実施例と同様の効果を得ることができる。

[0051] 図 9は本発明の第 4の実施例を示すガスケットの断面図である。

本実施例において、ガスケット 40は、筒状体力もなるガスケット本体 40Aと、ガスケ ット本体 40Aの外周面に一体に突設された注入口部 40Bと、ガスケット本体 40Aの 内周面に全周にわたって一体に突設されたリング状の突出帯 43を備えている。また 、突出帯 43の上下端部には、弾性変形可能な突起帯 45, 46が全周にわたって一 体に突設されている。上方側の突起帯 45は、上方に向力つて傾斜した基部 45aと、 この基部 45aの先端部上面に上方に向力つて突設された断面形状が三角形の先端 部 45bとで構成されている。基部 45aと先端部 45bの接続部は、屈曲部 45cを形成し ている。下方側の突起帯 46は、下方に向力つて傾斜した基部 46aと、この基部 46a の先端部下面に下方に向力つて一体に突設された断面形状が三角形の先端部 46b とで構成されている。基部 46aと先端部 46bの接続部は、屈曲部 46cを形成している

[0052] このようなガスケット 40において、上方側の突起帯 45はガスケット 40に上方から圧 入される第 1のモールドのレンズ成形面が先端部 45bに押し付けられることにより基 部 45aが下方に弾性変形し、先端部 45bが第 1のモールドのレンズ成形面と線状に 密着する。一方、下方側の突起帯 46はガスケット 40に下方力も圧入される第 2のモ 一ルドのレンズ成形面が先端部 46bに押し付けられることにより基部 46aが上方に弹 性変形し、先端部 46bが第 2のモールドのレンズ成形面と線状に密着する。

[0053] このようなガスケット 40においては、突出帯 43の上下端に突起帯 45, 46をそれぞ れ一体に突設しているので、上下一対のモールドのレンズ成形面を各突起帯 45, 4 6によってそれぞれシールすることができる。なお、この実施例においては、突出帯 4 3を設けることにより、ガスケット本体 40Aの高さ方向中間部分の強度、および突起帯 45, 46の基部 45a, 46aの強度を増大させている力 突出帯 43を設けずに直接ガス ケット本体 40Aの内周面に突起帯 45, 46を直接突設してもよい。

[0054] 図 10A、図 10Bは本発明の第 5の実施例を示すガスケットの断面図および図 10A の X7部の拡大図である。図 11A、図 1 IBはガスケットにモールドを組み込んだ状態 を示す断面図および要部の拡大図である。ガスケット 50は、筒状体力もなるガスケッ ト本体 50Aと、このガスケット本体 50Aの外周面に一体に突設された注入口部 50Bと 、ガスケット本体 50Aの内周面の高さ方向中央に全周にわたって一体に突設された リング状の突出帯 53と、この突出帯 53の上端部に全周にわたって一体に突設された 弾性変形可能な突起帯 54とで構成されている。突起帯 54の基部 54aは斜め上方に 向かって傾斜している。突起帯 54の先端部 54bはガスケット 50の軸線 L方向と略平 行に上方に向かって伸びている。基部 54aと先端部 54bは、屈曲部 54cにおいて屈 曲してつながつている。

[0055] また、ガスケット本体 50Aの内周面には、組み込まれる第 1のモールド 3のレンズ成 形面 3b側の周縁部と接触してモールドの軸線 L方向の高さ位置を決めるための位置 決め用突起 56が前記突起帯 54の基部 54aの付け根より高い位置に設けられている 。この位置決め用突起 56は、ガスケット本体 50Aの内周面に全周にわたって一体に 突設されているが、これに限らず周方向に適宜な間隔をおいて複数個突設されるも のであってもよい。一方、突出帯 53の下面は、第 2のモールド 4のレンズ成形面 4a側 の周縁部と接触してシールするとともに、第 2のモールド 4を位置決めする位置決め 部 58を形成している。 [0056] 第 1のモールド 3は、上面 3aが凸面に形成され、下面 3bが凹面からなるレンズ成形 面に形成されている。第 2のモールド 4は、上面 4aが凸面カゝらなるレンズ成形面に形 成され、下面 4bが凹面に形成されている。第 1、第 2のモールド 3, 4は、ガスケット本 体 50Aの内径と略同一またはこれより小さい外径を有している。これは、この実施例 のガスケットは後述するように、モールド 3, 4の両外側から内側に弾性を有する固定 手段 59で挟んでモールド 3, 4を保持するので、ガスケット本体の内周面をモールド の外周面に強く接触させる必要がないからである。なお、ガスケット本体の内径はモ 一ルドの外径と略同一に形成していると、モールドの中心の位置合わせができるので 好ましい。

[0057] このようなガスケット 50において、第 1のモールド 3はレンズ成形面 3bを下にしてガ スケット 50に上方力も嵌め込まれ、位置決め用突起 56に前記第 1のモールド 3のレン ズ成形面 3bの周縁部が当接するまで挿入される。一方、第 2のモールド 4は、レンズ 成形面 4aを上にして下方力もガスケット 50内に嵌め込まれ、位置決め部 58に前記 第 2のモールド 4のレンズ成形面 4aの周縁部が当接するまで挿入される。そして、こ れらのモールド 3, 4は、弾性を有する固定手段 59によって挟持されることにより、位 置決め用突起 56、位置決め部 58にそれぞれ押し付けられて位置決めされた状態で 保持される。したがって、モールド 3, 4はガスケット 50から脱落するおそれはない。固 定手段 59としては、略 U字状に屈曲した線ばねによって形成されている。前記突起 帯 54の形状は、第 1のモールド 3が前記位置決め用突起 56に当接したときにレンズ 成形面 3bに押圧されて橈むことにより適度な圧力でシールできるように予め成形され ているので、第 1のモールド 3が押し込まれ、レンズ成形面の周縁部が前記位置決め 用突起 56に当接した状態では、前記突起帯 54の先端部 54bはレンズ成形面 3bによ り下方に押され、基部 54a側は軸線 L方向に橈み、先端部 54bとレンズ成形面 3bと が線状に密着する。

[0058] このようなガスケット 50においても、突起帯 54はその先端部 54bが第 1のモールド 3 のレンズ成形面 3bと線状に密着するため、図 1Aに示した第 1の実施例と同様の効 果が得られる。また、ガスケット 50は位置決め用突起 56を備えているため、モールド 3の高さ位置を正確に決めることができる。 [0059] また、この実施例のように弾性を有する固定手段 59によってモールド 3, 4を外側か ら挟み込んで保持する場合、モールド 3, 4は固定手段 59によってガスケット 50の軸 線 L方向内側に所定の圧力が常時加えられるが、位置決め用突起 56を設けておくと 、突起帯 54がモールド 3, 4によって過剰に押し込まれることを防止できる。また、突 起帯 54の基部 54a側にはモールド 3の外周部が直接当たらないため、突起帯 54の 変形や損傷を防ぐことができる。なお、位置決め用突起 56は、図 3A、図 5Aおよび図 7Aに示したようなガスケット本体の内周面でモールドの外周面を挾持して保持する ガスケット 2, 20, 30にも適用することができる。

[0060] 図 12は本発明の第 6の実施例を示すモールドの組付け前のガスケットの断面図で ある。図 13A—図 13Cはモールドをガスケットに組込んだ状態を示す断面図、図 13 Aの X8部および X9部の拡大図である。図 14は毛細管現象により隙間に漏れる漏洩 モノマーを示す図である。これらの図において、全体を符号 70で示すプラスチックレ ンズ成形用铸型は、筒状体力もなるガスケット 71と、このガスケット 71に圧入される一 対のモールド (以下、第 1、第 2のモールドともいう） 3, 4とで構成されている。

[0061] ガスケット 71は、合成樹脂の射出成形によって両端開放の円筒状に形成されたガ スケット本体 71Aと、ガスケット本体 71Aの外周面の高さ方向中央部に一体に突設さ れた注入口部 71Bと、ガスケット本体 71Aの内周面中央部に全周にわたって一体に 突設されたリング状の位置決め用突条体 71Cとで構成されている。位置決め用突条 体 7の形状は、ガスケット本体 71Aの軸線 L方向におけるモールド 3, 4の位置を決め られるように内側へ突出して!/、れば特に限定はな 、が、モノマー 11の注入時にガス ケット本体 71Aと一対のモールド 3, 4の間に形成されるキヤビティ 73内に余分な空 気が残らないような形状であることが好ましい。この実施例においては、第 1のモール ド 3のレンズ成形面 3bの周縁部がモールド 3の中心軸と垂直な面 3eに形成されてい るので、位置決め用突条体 71Cの上面 74aはガスケット本体 71Aの軸線 Lと略直交 する平坦面に形成され、レンズ成形面 3bの周縁部の面 3eが隙間なく密接するように している。同様に、位置決め用突条体 71Cの下面 74bは、第 2のモールド 4のレンズ 成形面 4aの周縁部の傾斜に合わせたテーパ面に形成されており、レンズ成形面 4a が隙間なく密接するようにしている。また、ガスケット本体 71Aの両端開口部には、モ 一ルド 3, 4の挿入を容易にするため外方に向力つて広がるテーパ面 75が形成され ている。

[0062] さらに、ガスケット本体 71Aの内周面で、第 1のモールド 3と第 2のモールド 4の外周 面 3c, 4cが接触する部分には、テーパ面 76, 77がそれぞれ形成されている。上側 のテーパ面 76は、ガスケット 71の上側開口部に向かって広がるテーパ面に形成され 、下側のテーパ面 77はガスケット 71の下側開口部に向力つて広がるテーパ面に形 成されている。そして、これらテーパ面 76, 77のうち、モールド 3, 4の外周面 3c, 4c と対向する部分は、組み込まれるモールド 3, 4の外径より小さい内径に形成されてい る。なお、テーパ面 76, 77のうちモールド 3, 4の外周面 3c, 4cが対向する部分の内 側部分のみをモールド 3, 4の外径より小さい内径に形成してもよい。

[0063] ガスケット本体 71Aの内周面にテーパ面 76, 77を形成しておくと、これらのテーパ 面 76, 77はモーノレド 3, 4をガスケット 71に圧人したときモーノレド 3, 4の外周面 3c, 4 cによって押圧されるため拡径方向に弾性変形する。テーパ面 76, 77はガスケット本 体 71Aの軸線 L方向内側に行くほど内径が小さくなることから、モールド 3, 4の外周 面 3c, 4cのレンズ成形面 3b, 4a側の外周縁 78, 79 (以下、内側の外周縁ともいう） をレンズ成形面 3b, 4aとは反対側の外周縁 80, 81 (以下、外側の外周縁ともいう）よ りもテーパ面 76, 77に強く接触させることができる。その結果、図 13Bに示すように、 ガスケット 71のテーパ面 76と第 1のモールド 3の外周面 3cとの間に V字状の隙間 82 が形成される。また、図 13Cに示すように、ガスケット 71のテーパ面 77と第 2のモール ド 4の外周面 4cとの間には逆 V字状の隙間 83が形成される。なお、モールド 3, 4の 外周面 3c, 4cとテーパ面 76, 77の接触状態は、 V字状の隙間 82, 83が形成される 接触状態に限らず、例えばモールド 3, 4の外周面 3c, 4cは、全幅にわたってテーパ 面 76, 77と接触している力 内側の外周縁 78, 79が最も強く接触し、外側の外周縁 80, 81に向力 ほど接触圧力が弱くなる場合もある。また、モールド 3, 4の外周面 3c , 4cの軸線方向上下端でテーパ面 76, 77と密着し、その中間部分は上下端より弱く 接触している力または隙間 82, 83が生じており、かつ内側の外周縁 78, 79の方が 外側の外周縁 80, 81よりも強く接触している場合もある。また、上記した接触状態が 周方向において混在する場合もある。本発明によると、これらいずれの場合も内側の 外周縁 78, 79で最も強くテーパ面 76, 77と接触することができる。

[0064] テーパ面 76, 77のガスケット本体 71Aの軸線 Lに対する傾斜角度 α , は、铸型 7 0を組み立てたときにモールド 3, 4の外周面 3c, 4cの内側の外周縁 78, 79が外側 の外周縁 80, 81に比べてガスケット 71の内周面に対して強く接触するように設定さ れることが必要である。このため、好ましい傾斜角度 α , j8は、ガスケット 71の厚さ、 高さ、内径、テーパ面 76, 77の長さ、モールド 3, 4の外径、保持位置等の各寸法、 ガスケット 71の材質の硬さ、伸び特性等によって異なる力 一般的にはモールド 3, 4 の圧入時におけるガスケット 71の拡径方向の弾性変形量が大きいものでは大きな角 度が必要であり、変形量が小さければ小さな角度が設定される。しかし、モノマー 11 の重合によって精度の高 、レンズを再現性よく製造するための好ま 、変形量は一 定の範囲にあり、必然的にテーパ面 76, 77の角度も好ましい範囲が存在する。傾斜 角度 a , j8の好ましい範囲は、 0. 5— 15° の範囲であり、さらに好ましくは 1一 10° の範囲である。傾斜角度 a , j8を 0. 5° 以上にすると、モールド 3, 4の外周面 3c, 4 cをテーパー面 76, 77に強く接触させる場合でも、内側の外周縁 78, 79と外側の外 周縁 80, 81とでテーパ面 76, 77との接触圧力の差がより大きくなり、内側の外周縁 78, 79でより強ぐ確実にテーパ面 76, 77と接触させることができるため、良好なシ ールを確保することができる。また、傾斜角度 α , βを 15。 以内にすると、テーパ面 76, 77の変形量が小さい場合であってもモールド 3, 4の挿入方向と逆方向にモー ルド 3, 4が押し出されるおそれがなぐモールド 3, 4の位置決めがより安定し、モー ルド 3, 4を良好に保持できる。

[0065] また、テーパ面 76, 77の傾斜角度 oc , は、段階的に変化したり連続的に変化す る近似テーパ面 (例えば、緩やかに変化する凸曲面や凹曲面)であってもよい。ここ では、このような面を総称して呼ぶ場合、テーパー状の面という。

テーパ面 76, 77の高さ（ガスケット本体の軸線方向の高さ）は、モールド 3, 4の組 付け時にモールド 3, 4の外周面 3c, 4cに相対する部分 (対向する部分)のガスケット 71の内周面の内側から 1Z2以上がテーパ面となるような設計が好ましい。モールド 3, 4の外周面 3c, 4cに相対するテーパ面 76, 77の高さをモールド 3, 4のコバ厚の 1/2以上にすることによりモーノレド 3, 4の内佃 Jの外周縁 78, 79をテーノ面 76, 77 により強く接触させることができるとともに、モールド 3, 4の保持も良好である。

[0066] このようなガスケット 71の材質としては、モールド 3, 4の外周面 3c, 4cをガスケット 7 1の内周面に密着させてシールするうえで必要な弾性を有する材料が選択される。ま た、一般的な眼鏡レンズ用のモノマー（例えば、ジエチレングリコールビスァリルカー ボネート系榭脂、ポリウレタン系榭脂等)の重合収縮率が 7— 15%前後と高いため、 プラスチックレンズ成形用铸型 70にモノマー 11が充填され、重合が行われる際に、 その重合収縮にモールド 3, 4が追従して移動できるように柔軟性な 、し可撓性 (弹 性)を有する材料が選択される。例えば、エチレン -酢酸ビニル共重合体、エチレン - プロピレン共重合体などポリエチレン系榭脂等の熱可塑性材料が一般的に使用され る。特に好ましいのは、本実施例で使用されている超低密度ポリエチレン榭脂である

[0067] モールド 3, 4は、それぞれメニスカス形状に形成されている。第 1のモールド 3は、 外周面 3cが軸線と略平行な円筒面で、ガスケット 71の外側に露呈する一方の面が 緩やかに湾曲する凸面 3aに形成され、内側となる他方の面が同じく緩やかに湾曲す る凹面 3bに形成されて!ヽる。凸面 3aはレンズ成形面として使用されな ヽ面のため、 任意の仕上げ面に形成されている。凹面 3bは成形しょうとするプラスチックレンズの 凸面側の転写面（レンズ成形面）を形成している。このため、レンズ成形面 3bは所定 の曲率で鏡面仕上げされている。なお、レンズ成形面 3bの周縁部には、モールド 3 の軸線と直交するリング状のフランジ面 3eが形成されている。

[0068] 第 2のモールド 4は、同じく外周面 4cが軸線と略平行な円筒面に形成され、ガスケッ ト 71の内側となる一方の面が凸面 4aに形成され、外側となる面が凹面 4bに形成され ている。凸面 4aは、成形しょうとするプラスチックレンズの凹面側の転写面（レンズ成 形面）を形成している。このため、レンズ成形面 4aは所定の曲率で鏡面仕上げされて いる。一方、外側となる凹面 4bはレンズ成形面として使用されない面のため、任意の 仕上げ面に形成されている。

[0069] モールド 3, 4をガスケット 71に圧入すると、ガスケット 71は図 13Aに示すように中央 部が拡径方向に弾性変形して樽型になり、その復元力によって各モールド 3, 4の外 周を締付けて保持することにより、モールド 3, 4の保持状態およびシール状態が強 化される。

[0070] また、ガスケット 71が樽型に弾性変形すると、上側のテーパ面 76は図 13Bにおい て矢印 A方向に傾くことにより傾斜角度 aが小さくなるが、第 1のモールド 3のレンズ 成形面 3b側の外周縁 78がレンズ成形面 3b側とは反対側の面 3aの外周縁 (以下、 外側の外周縁ともいう） 80に比べてテーパ面 76に強く接触する。このため、テーパ面 76と第 1のモールド 3の外周面 3cとの間には上方に開放する V字状の隙間 82が形 成される。

[0071] 一方、下側のテーパ面 77は第 2のモールド 4の圧入に伴ってガスケット 71が拡径 方向に弾性変形すると、図 13Cにおいて矢印 B方向に傾くことにより傾斜角度 |8が 小さくなる力 第 2のモールド 4のレンズ成形面 4a側の外周縁 79がレンズ成形面 4a 側とは反対側の面 4bの外周縁 (以下、外側の外周縁ともいう） 81に比べてテーパ面 77に強く接触する。このため、テーパ面 77と第 2のモールド 4の外周面 4cとの間には 下方に開放する三角形 (逆 V字状)の隙間 41が形成される。

[0072] このようにガスケット 71にモールド 3, 4が組み込まれた状態でモノマー 11を注入口 部 71B力もキヤビティ 73内に注入すると、その一部は毛細管現象によって第 1のモー ルド 3、第 2のモールド 4と位置決め用突条体 71Cとの隙間を通って、モールド 3, 4の 外周面 3c, 4cとガスケット 71のテーパ面 76, 77との隙間に到達する。内側の外周縁 78, 79とテーパ面 76, 77との接触部分は最も強く接触しており、しかも隙間 82, 83 はガスケット 71の開口部側にいくほど隙間 82, 83が広がることから、漏洩モノマー 11 ' (図 14参照）は内側の外周縁 78, 79付近でそれぞれ滞留して安定する。これにより 、内側の外周縁 78, 79付近の全周が漏洩モノマー 11 'によって強固にシールされる 。このため、モノマー 11の重合収縮に伴ってキヤビティ 73内が陰圧になっても、成形 用铸型 70の外側からの空気の引き込みを防止し、ァヮ不良の発生を未然に防止す ることができる。なお、前述したとおり、ガスケット 71のテーパ面 76, 77とモールド 3, 4の外周面 3c, 4cとの接触状態は他の態様も考えられるが、いずれの態様の場合も 内側の外周縁 78, 79で最も強くテーパ面 76, 77と接触していることから、上記説明 の場合と同様に強固にシールされる。

[0073] 図 15は本発明の第 7の実施例を示す組付け前の断面図、図 16は組付け後の断面 図である。本実施例は、 2つのモールド 3, 4のうち上方のモールド 3のみを本発明に 力かるガスケットによってシールする例を示すものである。全体を符号 90で示すプラ スチックレンズ成形用铸型は、筒状体力もなるガスケット 91と、このガスケット 91に圧 入される一対のモールド (以下、第 1、第 2のモールドともいう） 3, 4とで構成されてい る。

[0074] ガスケット 91は、合成樹脂の射出成形によって両端開放の円筒状に形成されたガ スケット本体 91Aと、ガスケット本体 91Aの外周面の高さ方向中央部に一体に突設さ れた注入口部 91Bと、ガスケット本体 91Aの内周面中央部に全周にわたって一体に 突設されたリング状の位置決め用突条体 91Cと、この位置決め用突条体 91Cの上側 角部に全周にわたって一体に突設されたリング状のシール部 91Dとで構成されてい る。シール部 91Dは、斜め上方を指向する断面形状が先細で先端がとがった弾性変 形可能なひれ状に形成されて 、る。

[0075] 第 1のモールド 3は、ガスケット本体 91A内に嵌め込まれると、レンズ成形面 3bの外 周寄りがシール部 91Dの先端部に押し付けられる。ガスケット本体 91 Aの内周面で 第 1のモールド 3が嵌挿される部分 93は、第 1のモールド 3の外径より小さい内径の 円筒面に形成されており、第 1のモールド 3が挿入されると拡径方向へ弾性変形し、 その復元力により第 1のモールド 3を保持する。なお、先行技術のところで説明したと おり、モールド 3, 4が組み込まれガスケット本体 91Aが樽型に変形した状態では、第 1のモールド 3の外周面 3cのレンズ成形面 3b側の外周縁 78とガスケット本体 91Aの 内周面との間には隙間が生じ易いが、第 1のモールド 3はレンズ成形面 3bにシール 部 91Dの先端部が全周にわたつて密着して 、るためシールに何ら問題はな 、。

[0076] 一方、ガスケット本体 91Aの内周面で第 2のモールド 4が圧入される部分 95は、下 方に向カゝつて拡径するテーパ面に形成されている。その他の構造は図 12に示した 第 6の実施例と同一である。

[0077] このようなガスケット 91においても、上記した第 6の実施例と同様にガスケット 91と第 2のモールド 4との接合面を良好にシールすることができるため、モノマー 11の液漏 れおよびァヮ不良を防止することができることは明らかであろう。

[0078] 図 17は本発明の第 8の実施例を示す組付け前の断面図である。 本実施例は、図 15、図 16に示した位置決め用突条体 91Cを省略した場合の例で あり、セミフィニッシュレンズブランク（凸面だけが光学的に仕上げられたレンズ)製造 用の成形用铸型に適用したものである。プラスチックレンズ成形用铸型 100は、筒状 体からなるガスケット 101と、このガスケット 101に圧入される一対のモールド（以下、 第 1、第 2のモールドともいう） 3, 4とで構成されている。

[0079] ガスケット 101は、円筒状のガスケット本体 101Aと、ガスケット本体 101Aの外周面 の高さ方向中央部に一体に突設された注入口部 101Bと、ガスケット本体 101Aの内 周面中間部に全周にわたって一体に突設されたリング状のシール部 101Cとで構成 されている。ガスケット本体 101Aの内周面で第 1のモールド 3が嵌挿される部分 103 は、第 1のモールド 3の外径より小さい内径の円筒面に形成されており、第 1のモール ド 3が挿入されると拡径方向へ弾性変形し、その復元力により第 1のモールド 3を保持 する。ガスケット本体 101Aの内周面で第 2のモールド 4が嵌め込まれる部分 104は、 下方に向力つて拡径するテーパ面に形成されている。このテーパ面 104の上端は、 円筒面 105につながっている。第 1のモールド 3が嵌め込まれる部分 103と円筒面 10 5の内径は等しい。ガスケット本体 101Aのテーパ面 104より下方部分 106の内径は 、第 1のモールド 3が嵌め込まれる部分 103の内径より大きい。シール部 101Cは、断 面形状が先細で先端がとがった弾性変形可能なひれ状に形成され、斜め上方を指 向している。そして、このシール部 101Cは、ガスケット本体 101 Aの内周面で第 1の モールド 3が組み込まれる部分 103に直接突設されている。したがって、ガスケット 10 1は、図 16に示したガスケット 91の位置決め用の突状体 91Cを備えていない点でガ スケット 91と異なり、その他の構造は略同じである。このように位置決め用の構成がな い場合は、所定の圧力によりモールドを圧入したり、所定の距離だけ圧入したりする ことにより、モールドを所定の位置まで押込み保持する。

[0080] このような構造力もなるガスケット 101においても上記した第 7の実施例と同様な効 果が得られることは明らかであろう。

[0081] 図 18は本発明の第 9の実施例を示す組付け前の断面図、図 19はガスケットの平面 図である。本実施例は、ガスケット 111の内周面に第 1のモールド 3を位置決めする 位置決め用突起 112を設け、図 12に示したリング状の位置決め用突条体 71 Cをなく した場合の例を示して 、る。

[0082] 一対のモールド 3, 4が圧入されるガスケット 111は、円筒状のガスケット本体 111A と、ガスケット本体 111Aの外周面の高さ方向中央部に一体に突設された注入口部 1 11Bと、ガスケット本体 111 Aの内周面中間部に周方向に所定の間隔をお 、て一体 に突設された複数個の位置決め用突起 112とで構成されて 、る。ガスケット本体 111 Aの内周面で第 1のモールド 3が嵌め込まれる部分 114は、上方に向力つて拡径する テーパ面に形成されている。同じぐガスケット本体 111Aの内周面で第 2のモールド 4が嵌め込まれる部分 115は、下方に向力 て拡径するテーパ面に形成されている。 ガスケット本体 111Aの内周面でテーパ面 114とテーパ面 115との間の部分 116は、 円筒面に形成されている。

[0083] 位置決め用突起 112は、ガスケット本体 111Aの内周面で円筒面 116の上端に周 方向に等間隔に 4つ一体に突設されている。また、位置決め用突起 112は、ガスケッ ト本体 111Aの軸線 L方向に中心軸を有する半円柱形状に形成されて 、る。第 1の モールド 3は、ガスケット 111内に圧入され、位置決め用突起 112の上面に当接する ことで位置決めされる。第 1のモールド 3とガスケット 111との間のシールは、図 12に 示した第 6の実施例の場合と同じである。また、第 2のモールド 4とガスケット 111との 間のシールは、図 17に示した第 8の実施例と同じである。

[0084] このような構造においてもガスケット 111とモールド 3, 4の隙間を良好にシールする ことができる。

[0085] 図 20は本発明の第 10の実施例を示す組付け前の断面図、図 21は図 20の X10部 の拡大図、図 22は図 20の XII部の拡大図である。

プラスチックレンズ成形用铸型 120は、筒状体力もなるガスケット 121と、このガスケ ット 121に圧入される一対のモールド（以下、第 1、第 2のモールドともいう） 3, 4とで 構成されている。

[0086] ガスケット 121は、円筒状のガスケット本体 121Aと、ガスケット本体 121Aの外周面 の高さ方向中央部に一体に突設された注入口部（図示せず）と、ガスケット本体 121 Aの内周面中央に全周にわたって一体に突設されたリング状の位置決め用突条体 1 21Cとで構成されている。ガスケット本体 121Aの内周面で位置決め用突条体 121C より上方部分は、小径の円筒部（面） 123と、テーパ状の逃げ部 124と、大径の円筒 部（面） 125とで構成されている。また、ガスケット本体 121Aの内周面で位置決め用 突条体 121Cより下方部分は、同じく小径の円筒部（面） 126と、テーパ状の逃げ部 1 27と、大径の円筒部（面） 128とで構成されている。小径円筒部 123, 126はモール ド 3, 4の外径より小さい内径の円筒面で形成されている。逃げ部 124, 127は小径 円筒部 123, 126よりガスケット本体 121Aの軸線方向外側（開口側）に位置し、外側 に!、くにしたがって内径が大きくなるテーパ面に形成されて 、る。

[0087] モールド 3, 4は、ガスケット 121に圧入されると、外周面 3c, 4cのレンズ成形面 3b, 4a側の外周縁 78, 79が小径円筒部 123, 126にそれぞれ密接される。第 1のモー ルド 3がガスケットに組み込まれたときにその外周面 3cと対向する部分のガスケット 1 21の小径円筒部 123の高さは、第 1のモールド 3のコバ厚の 1Z2以下に設定されて いる。同じぐ第 2のモールド 4がガスケットに組み込まれたときにその外周面 4cと対 向する部分のガスケット 121の小径円筒部 126の高さは、第 2のモールド 4のコバ厚 の 1Z2以下に設定されている。

[0088] 第 1、第 2のモーノレド 3, 4をガスケット 121の/ Jヽ径円筒咅 126に圧人すると、 ガスケット 121は中央部が拡径して樽型に弾性変形する。このとき、小径円筒部 123, 126は逃げ部 124, 127に比べて内径が小さいため、小径円筒部 123, 126の方力 S 逃げ部 124, 126より強くモールド 3, 4の外周面 3c, 4cに接触する。そして小径円筒 部 123, 126のモールド 3, 4の外周面 3c, 4cと対向する部分の高さがモールド 3, 4 のコバ厚の 1Z2より小さく設定されているため、モールド 3, 4が圧入された時の小径 円筒部 123, 126の形状変化 (傾き角度）が小さく（図 21、図 22)、第 1のモールド 3 のレンズ成形面 3b側の外周縁 78付近、および第 2のモールド 4のレンズ成形面 4a側 の外周縁 79付近が小径円筒部 123, 126に対して略等しい接触圧で密接し、ガスケ ット 121をシールする。したがって、この場合は、小径円筒部 123, 126とモールド 3, 4との間に V字状の隙間が生じ 1 、単位面積当たり大きな接触圧が得られるので小 径円筒部 123, 126を良好にシールすることができる。また、モノマーをキヤビティ内 に注入すると、モノマーはガスケット 121の内周面とモールド 3, 4の外周面 3c, 4cと の間に浸入して漏洩モノマーとなる。そして、この漏洩モノマーは最も強く接触してい る小径円筒部 123, 126のところに安定して溜まる力 モールド 3, 4の外周面 3c, 4c と対向する部分の小径円筒部 123, 126の高さを外周面 3c, 4cのコバ厚の 1Z2以 下にしているので、漏洩モノマーによるシール部分はモールド 3, 4の外周面 3c, 4c の内側で最も安定する。このため、図 14に示した漏洩モノマー 11 'と略同様な状態 でモールド 3, 4の外周面 3c, 4cとガスケット本体の内周面をシールする。したがって 、図 12—図 14に示した第 6の実施例と同様の理由によりモノマーの液漏れおよびァ ヮ不良の発生を防止することができる。なお、モールド 3, 4の外周面 3c, 4cが接触す る部分の小径円筒部 123, 126の高さは、低い方がよりシール部をレンズ成形面 3b , 4a側の外周縁 78, 79付近に限定できるためシール性の面で好ましい。より好ましく はモールド 3, 4の外周面 3c, 4cの 1Z3以下である。なお、本実施例においては、逃 げ部 124, 127をテーパ面にしているため、モールド 3, 4の圧入によって押し拡げら れたテーパ面の小径部側はモールド 3, 4の外周面 3c, 4cに接触してモールド 3, 4 を保持するのでより好ましい。また、逃げ部 124, 127をテーパ面にしていることから、 モールド 3, 4を小径円筒部 123, 126に嵌め込み易いという効果も有する。

[0089] 図 23は本発明の第 11の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。

この実施例は、ガスケット 131のガスケット本体 131Aを円筒状に形成し、その内周面 に位置決め用突状体 131Cを一体に突設している。位置決め用突状体 131Cの上面 134は平坦面に形成されている。ガスケット本体 131Aの内周面で位置決め用突状 体 131Cより上方部分は小径円筒部 135と、逃げ部 136とで構成されている。小径円 筒部 135は、モールド 137の外径より小さい内径の円筒面に形成されている。逃げ 部 136は、小径円筒部 135の内径より大きな内径の円筒面に形成されている。小径 円筒部 135と逃げ部 136とは段差 138を介して接続されている。モールド 137は、上 面 137aが凹面に形成され、下面 137bが略フラットなレンズ成形面を形成している。 その他の構造は、図 20に示した第 10の実施例と略同一である。

[0090] このようなガスケット 131においても、 /Jヽ径円筒咅 でモーノレド 137の外周面 137 cと最も強く接触するため、良好なシールが得られる。なお、小径円筒部 135と逃げ 部 136との間の段差 138を上方に向力つて拡径するテーパ面に形成しておくと、モ 一ルド 137を小径円筒部 135に入り込み易くすることができる利点がある。 [0091] また、モールド 137をガスケット 131に嵌め込んだ時に、ガスケット 131が樽型に変 形して逃げ部 136の内周面がモールド 137の外周面 137cのの外側の外周縁と接触 するように段差 138の幅を設定しておくと、モールド 137がガスケット 131から抜けに くくなるという点で好ましい。なお、この実施例では逃げ部 136が円筒面の場合を示 したが、小径円筒部 135の内径より径方向外側に広い形状であれば他の形状でもよ い。

[0092] 図 24は本発明の第 12の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。

この実施例は、図 23に示した第 11の実施例の変形例で、ガスケット 141のガスケッ ト本体 141Aの内周面に位置決め用突状体 141Cと、モールド 137の抜けを防止す る抜け防止部 146を一体に突設したものである。位置決め用突状体 141Cの上面は ガスケット本体 141Aの軸線と直交する平坦面に形成されている。抜け防止部 146は 、位置決め用突状体 141Cの上方に所定の間隔をおいて複数設けられている。また 、抜け防止部 146は、断面形状が略三角形をしており、外面（上面） 146aがモールド 137の挿入を容易にするために下方に向カゝつて傾斜したテーパ面に形成されて!、る 。一方、内面（下面） 146bは、モールド 137の外側の外周縁 138を弾性力により軸線 方向下方に押圧するための面を形成している。

[0093] ガスケット本体 141Aの内周面で位置決め用突状体 141Cと抜け防止部 136との間 には、小径円筒部 147と、逃げ部 148が形成されている。小径円筒部 147は、モー ルド 137の外径より小さい内径の円筒面に形成されている。逃げ部 148は、上方に 向力つて拡径するテーパ面に形成されている。その他の構造は、図 23に示した第 11 の実施例と略同一である。

[0094] このような構造力もなるガスケット 141においては、小径円筒部 147の高さが第 1の モールド 137のコバ厚の 1/2より小さいことにより第 1のモールド 137に対する保持 力が小さぐ第 1のモールド 137がガスケット 141から抜け易いのを、抜け防止部 146 によって確実に防止することができる利点がある。なお、ガスケットの内周面で位置決 め用突状体 141Cの下方に第 2のモールドについても同様な抜け防止部を設けるこ とにより、ガスケット 141から第 2のモールドが抜けるのを防止するようにしてもよい。な お、第 1、第 2のモールドの抜け防止部は、ガスケット 141の内周面の全周にわたって 連続して設けられるリング状のものであってもよ 、。

[0095] また、抜け防止部 146の内面 146bは、ガスケット 141の軸線に対して 45度以上傾 斜している方力 モールド 137を係り止めするにあたり、ガスケット 141の内周面の内 径を拡げないので小径円筒部 147のシール性が良好に保たれより好ましい。

[0096] 図 25は本発明の第 13の実施例を示すガスケットの要部の断面図である。この実施 例は、図 20に示した第 10の実施例のようなガスケット 71に図 24に示す第 12の実施 例のような抜け防止部 146を設けた場合の例を示すものである。

ガスケット 151のガスケット本体 151Aは円筒状に形成され、内周面に第 1のモールド 137を位置決めする位置決め用突状体 151Cと、第 1のモールド 137の抜けを防止 する抜け防止部 151Dがー体に突設されている。ガスケット本体 151Aの内周面で位 置決め用突状体 151Cと抜け防止部 151Dとの間の部分は、小径円筒部 156と、上 方に向力つて緩やかに拡径するテーパ状の逃げ部 157とで構成されている。

[0097] 抜け防止部 151Dは、ガスケット本体 151Aの内周面の全周にわたって一体に突設 されることによりリング状に形成されている。また、抜け防止部 151Dは、断面形状が 三角形で下方に傾斜しており、その先端が第 1のモールド 137の上面 137aを軸線方 向下方に押圧することによりモールド 137の抜けを防止する。この場合は、抜け防止 部 151Dの先端部がモールド 137の上面 137aを押圧している状態で、ガスケット本 体 151 Aを拡径する方向に力が働かな 、ので、小径円筒部 156のシール性がより良 好に保たれる。また、この場合も図 24に示した第 12の実施例と同様にモールド 3の 保持力を向上できる。なお、抜け防止部 151Dはガスケット本体 151Aの内周面に断 続的に設けられるものであってもよい。また、図 24および図 25に示した第 12, 13の 実施例のような抜け防止部 146, 151Dは、第 6—第 11の実施例にも適用することが 可能である。

[0098] なお、本発明は図 1A—図 25に示した第 1一第 13の実施例に何ら限定されるもの ではなぐ種々の変更、変形が可能である。例えば第 1、第 2、第 4、第 5の実施例に お!ヽては、突起帯の屈曲部は一つ設けた場合を示したが複数設けてもょ 、。

また、本発明においては、モールド 3, 4のレンズ成形面を軸回転対象な面としたが 、これに限らず非軸回転対称なレンズ成形面の場合のように外周の高さが周方向に おいて異なる面であっても、突起帯 5, 25 · · ·の弾性変形の許容範囲内であればシ ール性に問題はない。また、モールドのレンズ成形面の外周の周方向の高さの差が 大きい場合には、それに合わせて突起帯の寸法や角度を弾性変形可能な範囲を広 くするように設定してもよい。また、モールドの周方向の高さ位置に合わせて突起帯 の周方向の高さ位置を変えた形状にガスケットを形成しても良い。

産業上の利用可能性

本発明は、メニスカスレンズの成形に用いられるガスケットについて説明しているが 、これに限られるものではなぐ例えばレンズの光学面の少なくとも一方の面が平面で あってもよいし、両面とも凸面もしくは凹面力もなるレンズの成形に用いるガスケットに も適用することが可能である。

Claims

請求の範囲

[1] プラスチックレンズの一方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 1のモー ルド、および前記プラスチックレンズの他方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有 する第 2のモールドが所定間隔隔てて組み込まれる筒状のガスケット本体と、 前記ガスケット本体の内周壁全周にわたって一体に突設された弾性を有する突起 帯とを備え、

前記突起帯は、基端部と、先細の先端部とを有し、前記先端部が前記基端部より 前記ガスケット本体の軸方向に近い角度であり、前記先端部の頂部に前記第 1およ び第 2のモールドのうちのいずれか一方のモールドのレンズ成形面が接触することを 特徴とするプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[2] 前記突起帯の基端部は、前記ガスケット本体の軸線に対して垂直であることを特徴 とする請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[3] 前記突起帯の基端部は、前記一方のモールド側に傾斜していることを特徴とする 請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[4] 前記突起帯の先端部は、前記ガスケット本体の軸線と略平行であることを特徴とす る請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[5] 前記突起帯の先端部と基端部は屈曲してつながつていることを特徴とする請求項 1 記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[6] 前記突起帯は、先端部に行くほど前記ガスケット本体の軸線方向に徐々に近づくよ うになって!/、ることを特徴とする請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[7] 前記突起帯は、前記第 1、第 2のモールドに対応して 2っ突設されていることを特徴 とする請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[8] 前記ガスケット本体は内周面に一体に突設された位置決め用突起をさらに有し、 前記位置決め用突起は前記一方のモールドのレンズ成形面側の周縁部が接触す ることによって前記一方のモールドを前記ガスケット本体内に位置決めすることを特 徴とする請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[9] 前記ガスケット本体は、前記一方のモールドが組み込まれることにより拡径方向に 弾性変形し、この弾性変形による復元力によって前記一方のモールドの外周面を縮 径方向に押圧することを特徴とする請求項 1記載のプラスチックレンズ成形用ガスケ ッ卜。

[10] プラスチックレンズの一方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有する第 1のモー ルド、および前記プラスチックレンズの他方のレンズ面を形成するレンズ成形面を有 する第 2のモールドが所定間隔隔てて組み込まれる筒状のガスケット本体を備え、 前記ガスケット本体は、前記第 1および第 2のモールドのうち少なくとも 、ずれか一 方が圧入されることにより前記一方のモールドの外周面をシールする部分を有し、こ の一方のモールドの外周面をシールする部分の内周面の内径は、前記一方のモー ルドのレンズ成形面側の外周縁が接触する箇所にぉ 、て最も小さくなつて 、ることを 特徴とするプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[11] 前記ガスケット本体の内周面の前記一方のモールドの外周面が接触する部分の内 径は、前記一方のモールドのレンズ成形面側の外周縁が接触する部分にぉ ヽて最 も小さぐ前記レンズ成形面側の外周縁から離れるにしたがって拡径するように形成 されていることを特徴とする請求項 10記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[12] 前記ガスケット本体の内周面のうち前記一方のモールドの外周面が接触する部分 は、前記ガスケット本体の軸線に対して 0. 5— 15° 傾斜したテーパ状の面を形成し て 、ることを特徴とする請求項 11記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[13] 前記ガスケット本体の内周面の前記一方のモールドの外周面が接触する部分に形 成され、内径が前記一方のモールドの外径より小さぐかつ前記一方のモールドの外 周面のうち前記レンズ成形面側の外周縁部が接触する円筒部と、前記円筒部より前 記レンズ成形面側の外周縁部とは反対側の外周縁部側に形成され前記円筒部の内 径より径方向外側に広い逃げ部とをさらに備えていることを特徴とする請求項 10記載 のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[14] 前記円筒部の高さは、前記一方のモールドのコバ厚の 1Z2以下であることを特徴 とする請求項 13記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。

[15] 前記ガスケット本体は、内周面に前記一方のモールドのレンズ成形面とは反対側の 面の縁部を係止する抜け防止部が一体に突設されていることを特徴とする請求項 10 記載のプラスチックレンズ成形用ガスケット。