明細書
非特異的物質の除去方法
技術分野
本発明は、 固相担体を用いた分子間相互作用における基盤技術に関する。 より詳 しくは、 リガンドを固相担体に固定化し、 当該固相上での分子間相互作用を活用し、 当該相互作用を測定、 解析する過程において、 解析等の障害となる非特異的な相互 作用を低減化する技術に関する。
背景技術
近年、 特異的分子間相互作用を基盤とした手法を用い、 ある特定の分子に特異的 な相互作用を有する分子を探索する試みが盛んに行われている。 この中で、 注目に 値する生理活性を示す医薬品のような低分子化合物を適当な固相担体に固定化しタ ーゲットを探索する方法が注目を集めている。 このいわゆるァフィ二ティー樹脂と 呼ばれる手法を用いたターゲット探索研究は着目する生理活性を示す低分子化合物 のターゲットを効率的に同定することが可能であることから多くの研究が行われ、 具体的な成果もいくつ力報告されている。 これらの研究例としては、 1) 1989 年のシュライパー教授による免疫抑制剤 FK 506の結合タンパク質 FKBP (FK506 binding proteins)の発見 (FK506の細胞内結合タンパク質としての F KBP 12の発見、 例えば 「ネイチヤー (Nature)」 , (英国) , 1989年 10月 26日, 第 341卷, p. 758— 760参照) や、 2) 抗癌剤 Trapoxinのター ゲットタンパク質としての HDAC発見 (例えば 「サイエンス(Science) J , (米 国) , 1996年 4月 19日, 第 272卷, p. 408— 411参照) 、 3) 半田 等による E 3330のターゲットタンパクとしての R e f — 1の発見 (例えば 「ネ イチヤー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」 , (英国), 2000年 8 月, 第 18卷, 第 8号, p. 877— 881参照) が有名である。
また、 診断薬の領域においても、 出来るだけ病気早期に病巣の存在を非侵襲的に 確認できれば治療の効果がアップすることから、 例えば特定の癌に特異的に発現す る微量タンパク質等のマーカーと呼ばれる物質を、 採取した患者の血液等から同定
する研究も盛んに行われている。
し力、し、 これまでに上記手法において、 1 ) ァフィ二ティー樹脂を用いたタ一ゲ ット探索においてはァフィ二ティー樹脂に結合したタンパク質を S D Sゲル等で解 析する際に特異的タンパク質を覆い隠すような非特異的タンパク質が存在し、 特異 的タンパク質の検出が困難になる、 あるいは 2 ) B I A C O R E等を用いた解析に おいては、 大きな非特異的タンパク吸着に起因するピークの存在による特異的タン パク結合によるピーク判別が困難になる等、 固定化したリガンド分子に特異的な分 子間相互作用を有するタンパク質 (いわゆるターゲットタンパク質) 以外の非特異 的タンパク質の存在が問題となってきた。 一般に、 ターゲットとなるタンパク質が 生体内に多量に存在するという場合は少ない。 従って、 リガンドと特異的な相互作 用ではなく固定化に用いた担体やリガンドと非常に弱く相互作用するようなタンパ ク質 (非特異的タンパク質) 力 材料となるターゲットタンパク質混合物 (試料) に多量に含有していると、 結果としてリガンド分子に特異的なタンパク質の発見の 大きな妨げとなる。 また、 血液中に多量に存在することにより他のタンパク質から 得られる情報を妨害するタンパク質 (例えばアルブミン)の存在も診断等の領域で問 題と考えられてきた。 これらの妨害タンパク質の例として、 前者の例としてはラッ ト脳から調製するライゼートにおけるチューブリンゃァクチンのような構造タンパ ク質、 後者の例としては血漿中のアルブミン等が知られている。
上記ターゲット探索あるいは診断等におけるマーカーの発見等の手法において、 妨害となる非特異的タンパク質を、 研究開始前に、 人為的に除去乃至低減化してお くことが可能になればこれらの手法の適応は一段と增すと考えられる。
これまで、 これらの問題を克服するためには抗体を用いた免疫沈降法 (imnmno- precipitation (IP) ) や抗体をカラムに固定化する方法 (例えばエル. エフ. スチ ールら(し F. Steel, et al. ) , 「モレキュラー アンド セルラー プロテオミ クス(Molecular & Cellular Proteomics)」 , (米国) , 2 0 0 3年 5月 1 6日, 「ヒト血清サンプルからのアルブミンの効率的且つ特異的な除去(Efficient and specific removal of albumin from human serum samples)参照」 等力用レヽられて
きたが、 不要なタンパク質を固化して除くという従来の手法では、 多くの重要な化 合物 (タンパク質) が沈殿した塊に巻き込まれ、 目的物をロスすることやその費用 等が問題となり、 その解決が望まれてきた。 このような非特異的タンパク質を吸着 除去することを目的としたカラム (例えばプル一色素 (ブルー色素が有するイオン 的、 疎水的、 芳香族や立体構造的に特異的な結合部位に基づいて非特異的タンパク 質を吸着する) や DEAE (酸性タンパク質等が吸着する) を固定化した固相担体 が充填されている) の利用が報告されている。 しかしながら、 その吸着対象となる 物質は広範囲にわたり、 目的であるターゲット分子をも同時に吸着し、 除去されて しまうことが懸念されていた。
本発明は、 ターゲット探索あるいは診断等におけるマーカーの発見等の手法にお レ、て、 妨害となる非特異的タンパク質を、 試料中から、 研究開始前に、 人為的に除 去乃至は低減化する方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意研究する過程において、 上記非特異的 タンパク質の吸着の主な要因が構造的特徴に基づかない疎水相互作用によるもので あることを見出した (WO 2004Z025297) 。 かかる知見をもとにさらに 検討を重ねた結果、 構造的特徴が少なく、 且つ疎水性の高い、 例えばステアリン酸 等の物質を固定ィヒした固相担体で試料 (生体成分混合物) を事前に処理することに よって、 試料中の非特異的なタンパク質の多くを除去することに成功し、 その後の 研究が促進できることを見出して本発明を完成するに至った。
即ち本発明は下記の通りである。
〔1〕 疎水性物質を固定化してなる固相担体。
〔2〕 疎水性物質の LOGPが CLOGPとして算出した場合、 4以上である、 上 記 〔1〕 記載の固相担体。
〔3〕 疎水性物質の LOGPが CLOGPとして算出した場合、 6以上である、 上 記 〔2〕 記載の固相担体。
〔4〕 疎水性物質の LOGPが CLOGPとして算出した場合、 20以下である、
上記 〔2〕 又は 〔3〕 記載の固相担体。
〔5〕 疎水性物質が下記一般式 (I) 又は(I I)で表される化合物である、 上記 〔2〕 又は 〔3〕 記載の固相担体;
Rj-COOH (I) R2-S03H (I I) (式中、 及ぴ尺2は同一又は異なって置換又は無置換のアルキル基、 置換又は無 置換のァルケ-ル基、 あるいは置換又は無置換のアルキニル基である) 。
〔6〕 疎水性物質が、 ゥンデカン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 リノール酸、 ァラキドン酸、 リノレン酸、 ォレイン酸、 ステアリン酸、 9— (ナフタレン一 1一 ィル) 一ノナン酸、 ドデカンスルフォン酸、 ォクタデカンスルフォン酸及びへキサ デカンスルフォン酸からなる群より選択される少なくとも 1種である、 上記 〔1〕 記載の固相担体。
〔7〕 疎水性物質が、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 リノール酸、 ァラキドン酸、 リノレン酸、 ォレイン酸、 ステアリン酸、 ォクタデカンスルフォン酸及びへキサデ カンスルフォン酸からなる群よ 選択される少なくとも 1種である、 上記 〔6〕 記 載の固相担体。
〔8〕 疎水性物質が、 ステアリン酸又はォクタデカンスルフォン酸である、 上記 〔6〕 記載の固相担体。
〔9〕 疎水性物質を固定化してなる固相担体で試料を処理することを含む、 リガン ド及ぴ 又はリガンド固定ィヒ固相担体に非特異的に結合する物質を試料から除去す る方法。
〔10〕 試料が生体試料である、 上記 〔9〕 記載の方法。
〔11〕 生体試料が血液由来である、 上記 〔10〕 記載の方法。
〔12〕 リガンド及び/又はリガンド固定化固相担体に非特異的に結合する物質が アルブミンである、 上記 〔9〕 記載の方法。
〔13〕 疎水性物質を固定化してなる固相担体が、 上記 〔1〕 〜 〔8〕 のいずれか 1項に記載の固相担体である、 上記 〔9〕 〜 〔12〕 のいずれか 1項に記載の方法。 〔14〕 リガンド及び/又はリガンド固定化固相担体への非特異的な結合が、 分子
間の疎水的相互作用に基づくものである、 上記 〔9〕 〜 〔1 2〕 のいずれか 1項に 記載の方法。
〔1 5〕 上記 〔1〕 〜 〔8〕 のいずれか 1項に記載の固相担体で試料を処理し、 試 料中のアルブミンを該固相担体に吸着させることを含む、 アルブミンの精製方法。 〔1 6〕 試料が生体試料である、 上記 〔1 5〕 記載の方法。
〔1 7〕 生体試料が血液由来である、 上記 〔1 6〕 記載の方法。
図面の簡単な説明
図 1は、 ステアリン酸固定化樹脂での前処理により F K 5 0 6非特異的物質を吸 着除去し得ることを示すグラフである。 試料としてはラット脳溶解液を用いた。 ス テアリン酸固定ィヒ樹脂での前処理を行わなかった場合、 1 0 0 μ 1のステアリン 酸固定化樹脂で試料をあらかじめ処理した場合、 2 0 0 μ 1のステアリン酸固定 化樹脂で試料をあらかじめ処理した場合の結果をそれぞれ示す。
図 2は、 種々の化合物を固定ィ匕した樹脂に対する非特異的物質の吸着の程度を調 ベた結果を示す電気泳動写真である。
図 3は、 ステアリン酸固定化樹脂と C B— F 3 G A固定化樹脂とにおける、 非特 異的物質の吸着の程度を調べた結果を示す電気泳動写真 ある。 試料としては D H F R発現大腸菌 1 y s a t eを用いた。
図 4は、 ステアリン酸固定化樹脂における、 ヒト血漿中からのアルブミン除去、 及ぴステアリン酸固定化樹脂に吸着したアルブミンの程度を調べた結果を示す電気 泳動写真である。
発明の詳細な説明
本発明は、 固相担体に固定化されたリガンドと当該リガンドに対して特異的な相 互作用を有する分子 (即ちターゲット分子) との相互作用を解析する上で、 問題と なっていた、 リガンド及ぴ Z又はリガンド固定化固相担体への非特異的な結合を抑 制あるいは低減化する技術、 より詳細には、 所望するターゲット分子をロスするこ となく、 あるいは変性させることなく、 リガンド固定化固相担体に非特異的に吸着 する物質 (以下、 非特異的物質ともいう) を除去乃至は低減化し得る技術を提供す
る。 本明細書中、 リガンドならびにターゲット分子という用語は、 互いに特異的な 分子間相互作用を有する組み合わせを意図するものであって、 当該組み合わせのう ち、 片方をリガンドとして固相に固定化すれば他方がターゲット分子となり、 すな わちどちらを固相に固定ィ匕するかによつて、 それらの呼称は変更され得る。 リガン ドに特異的な相互作用を有するターゲット分子は 1種類とは限らず、 また同様にタ ーゲット分子に特異的な相互作用を有するリガンドも 1種類とは限らない。
「特異的な相互作用」 とは、 「鍵と鍵穴の関係」 に例えられる(参考図書: 「薬 物受容体」 高柳一成編、 南山堂)、 特定のリガンド (特定のターゲット分子) のみ を特異的に認識して結合するような特性を発揮する作用であり、 ァゴニストあるい はアンタゴニストに対する特異的受容体、 基質に対する酵素、 そして例えば F K 5 0 6 (リガンド) に対する F K 5 0 6結合タンパク質 (ターゲット分子) や、 ステ ロイドホルモンに対するステロイドホルモン受容体 (例 = dexamethasoneと glucocorticoid receptor) 、 抗癌剤 trapoxinに対する HD A C等の関係が 「特異 的な相互作用」 に該当する。 一方、 「非特異的な相互作用」 とは、 それによる結合 の対象が広範にわたり且つ特定分子に限定されず、 反応条件によって種々変化する ような状況を生じる作用をいい、 本発明においては、 リガンド固定化固相担体上の リガンドゃ固相担体表面に、 結合 ·吸着するような不特定の分子との間の作用を意 味する。 「非特異的な相互作用」 は、 「特異的な相互作用」 に基づくリガンドとタ 一ゲット分子の結合の障害となるか、 あるいは混同されることにより 「特異的な相 互作用」 による結合を見落としてしまう危険性がある。
「非特異的な結合」 とは、 このように、 非特異的な相互作用に基づく結合 ·吸着 を意味する。 本発明において、 「非特異的な結合」 は好ましくは、 分子間の非特異 的な疎水的な相互作用に基づくものである。 非特異的な相互作用によってリガンド 固定化固相担体に結合する 「非特異的物質」 としてはタンパク質、 ペプチド、 核酸、 脂肪酸、 糖質等が挙げられる。
本発明者らは、 疎水的相互作用によるタンパク質等の非特異的な結合に注目し、 疎水性物質を固定化した固相担体 (便宜上、 疎水性物質固定化固相担体ともいい、
リガンドが固定化された固相担体とは明確に区別する) に非特異的物質を結合させ て試料中から当該物質を除去する方法を確立した。
本発明において、 「疎水性物質」 とは、 固相担体に固定化された場合、 非特異的 物質と結合するような疎水性傾向にある物質である。 疎水性の程度は、 一般的に疎 水性パラメ一ターによって表すことができるが、 本発明においては 「疎水性物質」 の疎水性は、 分配係数、 具体的には LOG Pによって規定することができる。 LO GPの算出には、 簡便には、 CLOGP (化合物の疎水性パラメーターを計算機に よって見積もるソフトによって得られる予測値;例えば Corwin/Leo's
program (CLOGP, Daylight Chemical Information System Co., Ltd)を使用し— 十 算できる) 等が利用されるが、 疎水性のパラメータ一は CLOGPに限定されるも のではない。 CLOGPが大きい程、 疎水性が高いことを意味する。 非特異的物質 の除去という目的の達成に鑑みると、 本発明の疎水性物質の LOG Pは、 CLOG Pとして算出した場合 4以上、 好ましくは 6以上である。 4未満では十分な非特異 的物質の除去効果が得られない。 また、 LOG Pが大きい程疎水性が高く、 かかる 高い疎水性を有する物質は好適に本発明の目的を達成し得るが、 CLOGPとして 算出した場合 20程度を超えてもその効果に顕著な上昇が見られず、 また合成の容 易性という観点から通常 CLOGPは 20以下である。 また、 問題となるのは固相 担体上での疎水的相互作用に基づく非特異的相互作用であるから、 「疎水'性物質」 の疎水性の程度は、 より厳密には固相担体に固定ィヒされた状態、 すなわち疎水性物 質固定化固相担体全体の疎水性として定義されてもよい。
本発明において使用し得る疎水性物質としては、 上記の性質を有するものであれ ば特に限定されないが、 例えば上記の性質 (即ち LOGPを CLOGPとして算出 した場合、 4以上、 好ましくは 6以上) を有するものであって、 且つ下記式 (I ) 又は (I I ) で表される一連の化合物である。
R j-COOH (I) R 2_SO 3H ( I I )
(式中、 R i及び R 2は同一又は異なって置換又は無置換のアルキル基、 置換又は 無置換のアルケニル基、 あるいは置換又は無置換のアルキニル基である)
及び R 2における 「置換又は無置換のアルキル基」 としては置換基を有して いてもよいァリール基、 置換基を有していてもよいアルコキシ基、 置換基を有して いてもよいアミド基、 置換基を有していてもよいシクロアルキル基、 置換基を有し ていてもよいへテロアリール基、 置換基を有していてもよいカルボニル基、 ハロゲ ン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基及びアミ ノ基からなる群より選択される 1乃至 2以上の置換基で置換された炭素数 1 0〜9 9のアルキル基又は無置換の炭素数 1 0〜9 9のアルキル基を意図し、 デカニル、 ゥンデ力ニル、 ドデカニル、 トリデカニル、 テトラデカニル、 ペンタデカニル、 へ キサデ力ニル、 ヘプタデカニル、 ォクタデカニル、 2—フエニルェチル、 N—フエ 二ルカルバモイルプロピル、 8—ナフチルォクチル等が挙げられる。 好ましくは炭 素数 1 0以上、 より好ましくは炭素数 1 5以上であり、 好ましい例として、 ペンタ デカニル、 ヘプタデカエルが挙げられる。
「置換基を有していてもよいァリール基」 における 「置換基」 としては、 炭素数 1 0〜9 9のアルキル基 (上述と同義) 、 炭素数 6〜1 0のァリール基 (例えばフ ェニル、 1—ナフチル、 2—ナフチル等) 、 炭素数 7〜3 0のァラルキル基 (例え ば、 ベンジル、 フエネチル等) 、 ハロゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭 素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 アミノ基、 炭素数 1〜3 0のアルコキシ基 (例え ばメ トキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 イソプロボキシ、 n—ブトキシ、 イソブ トキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブトキシ等が挙げられる) 、 カルボキシル基等が 挙げられる。 「置換基を有していてもよいァリール基」 における 「ァリール基」 と しては、 例えばフエニル、 1—ナフチル、 2—ナフチル等の炭素数 6〜1 0のァリ ール基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」 における 「置換基」 としては、 炭素 数 6〜1 0のァリ一ル基 (例えばフエニル、 1 _ナフチル、 2—ナフチル等) 、 ハ ロゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 ァ ミノ基、 カルボキシル基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよいアルコキシ 基」 における 「アルコキシ基」 としては、 例えばメ トキシ、 エトキシ、 n—プロボ
キシ、 イソプロポキシ、 n—ブトキシ、 イソブトキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブ トキシ等の炭素数 1〜3 0のアルコキシ基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアミ ド基」 における 「置換基」 としては、 炭素数 1 〜3 0のアルキル基 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル等が挙げられる) 、 炭素 数 7〜3 0のァラルキル基 (例えば、 ベンジル、 フエネチル等) 、 ハロゲン原子
(例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 アミノ基、 炭 素数 1〜3 0のアルコキシ基 (例えばメ トキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 イソ プロポキシ、 n—ブトキシ、 イソブトキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブトキシ等が 挙げられる) 、 カルボキシル基等が挙げられる。
「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」 における 「置換基」 としては、 炭素数 1〜3 0のアルキル基 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル等が挙げられ る) 、 炭素数 7〜 3 0のァラルキル基 (例えば、 ベンジル、 フエネチル等) 、 ハロ ゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 アミ ノ基、 炭素数 1〜3 0のアルコキシ基 (例えばメ トキシ、 エトキシ、 n—プロポキ シ、 イソプロポキシ、 n—ブトキシ、 イソブトキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブト キシ等が挙げられる) 、 カルボキシル基等が挙げられる。 「置換基を有していても よいシクロアルキル基」 における 「シクロアルキル基」 としては、 シクロプロピル、 シクロブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロォクチル等の炭素数 3〜 3 0のシクロアルキル基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいへテロアリール基」 における 「置換基」 としては、 炭素数 1〜3 0のアルキル基 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル等が挙げられ る) 、 炭素数 7〜 3 0のァラルキル基 (例えば、 ベンジル、 フエネチル等) 、 ハロ ゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 アミ ノ基、 炭素数 1〜3 0のアルコキシ基 (例えばメ トキシ、 エトキシ、 n—プロポキ シ、 イソプロポキシ、 n—ブトキシ、 イソブトキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブト キシ等が挙げられる) 、 カルボキシル基等が挙げられる。 「置換基を有していても よいへテロアリール基」 における 「ヘテロァリール基」 としては、 チアゾリル、 ァ
ミノチアゾリル、 フラニル、 チォフエニル、 ピロリル、 インドリル等が挙げられる 「置換基を有していてもよいカルボニル基」 における 「置換基」 としては、 炭素 数:!〜 3 0のアルキル基 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル等が挙げられる) 、 炭素数 7〜 3 0のァラルキル基 (例えば、 ベンジル、 フエネチル等) 、 ハロゲン原 子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基、 アミノ基、 炭素数 1〜3 0のアルコキシ基 (例えばメトキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 ィ ソプロボキシ、 n—ブトキシ、 イソブトキシ、 sec—ブトキシ、 tert—ブトキシ等 が挙げられる) 、 力ルポキシル基等が挙げられる。
及び R 2における 「置換又は無置換のアルケニル基」 としては置換基を有し ていてもよいァリール基、 置換基を有していてもよいアルコキシ基、 置換基を有し ていてもよいアミド基、 置換基を有していてもよいシクロアルキル基、 置換基を有 していてもよいへテロアリール基、 置換基を有していてもよいカルボニル基、 ハロ ゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基及びァ ミノ基からなる群より選択される 1乃至 2以上の置換基で置換された炭素数 2〜3 0のアルケニル基又は無置換の炭素数 2〜3 0のアルケニル基を意図する。 「炭素 数 2〜 3 0のァルケエル基」 としては、 ビュル、 ァリル、 1—プロぺニル、 イソプ ロぺニル、 2—ブテニル、 3—ブテニル、 2—へキセニル、 8、 1 1—ヘプタデカ ジェニル、 4、 7、 1 0、 1 3—ノナデカテトラエニル、 8、 1 1、 1 4—ヘプタ デカトリェニル、 8—ヘプタデカェニル等が挙げられる。 「炭素数 2〜3 0のアル ケュル基」 の置換基は、 上記 「炭素数 1〜9 9のアルキル基」 の置換基として述べ た各置換基と同義である。
及び R 2における 「置換又は無置換のアルキニル基」 としては置換基を有し ていてもよいァリール基、 置換基を有していてもよいアルコキシ基、 置換基を有し ていてもよいアミド基、 置換基を有していてもよいシクロアルキル基、 置換基を有 していてもよいへテロアリール基、 置換基を有していてもよいカルボニル基、 ハロ ゲン原子 (例えば塩素原子、 ヨウ素原子、 臭素原子、 フッ素原子) 、 水酸基及びァ ミノ基からなる群より選択される 1乃至 2以上の置換基で置換された炭素数 2〜 3
0のアルキニル基又は無置換の炭素数 2〜 3 0のアルキニル基を意図する。 「炭素 数 2〜 3 0のアルキニル基」 としては、 ェチニル、 1一プロビュル、 2—プロピニ ル、 1—ブチニノレ、 2—ブチニノレ、 3—ブチニノレ、 1—ペンチニル、 2—ペンチ二 ル、 3—ペンチ二ノレ、 4一ペンチ二ノレ、 1—へキシュノレ、 2—へキシュノレ、 3—へ キシュル、 4—へキシニル、 5—へキシニル等が挙げられる。 好ましくは、 ェチニ ル、 1一プロピニル、 2—プロビュルである。 「炭素数 2〜 3 0のアルキニル基」 の置換基は、 上記 「炭素数 1〜 9 9のアルキル基」 の置換基として述べた各置換基 と同義である。
疎水性物質としては好ましくは構造的特徴が少ない化合物、 具体的にはゥンデ力 ン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 リノール酸、 ァラキドン酸、 リノレン酸、 ォ レイン酸、 ステアリン酸、 9— (ナフタレン一 1一ィル) 一ノナン酸、 ォクタデカ ンスルフォン酸及びへキサデカンスルフォン酸等が挙げられる。 特に好ましくはス テアリン酸あるいはパルミチン酸である。 固定化に用いる疎水性物質は 1種類であ つてもよいし、 2種類以上の混合物であってもよい。
上記 「疎水性物質」 は、 公知の物質であれば、 商業的に入手可能か、 あるいは各 種文献に準じて調製することができる。 また、 新規な物質についても、 当分野で通 常実施される有機合成における各種の反応を利用することによって適宜調製するこ とが可能である。 例えば、 アルキル化、 ァリール化、 アルコキシ化、 アミ ド化、 シ クロアルキル化、 ヘテロァリール化、 カルボ二ルイ匕等の反応が用いられる。 当然の ことながら、 必要に応じて 2以上の反応を組み合わせて実施しても良レ、。
「疎水性物質」 を固定化する固相担体は、 当分野で通常使用されるものが好適に 使用できるが、 その使用目的、 即ち、 分子間の特異的な相互作用の解析に先立つ非 特異的物質の除去に好適な固相担体が選択される。 材質としては、 例えば、 樹脂 (ポリスチレン、 メタクリレート系樹脂、 ポリアクリルアミド等) 、 ガラス、 金属 (金、 銀、 鉄、 シリコン等) 等が用いられる。 これらの固相担体は、 いかなる形状 のものであってもよく、 また上記した材質の種類や、 その後に実施する分子間の特 異的な相互作用の解析の為に行われる方法に応じて適宜決定される。 例えば板状、
ビーズ状、 薄膜状、 糸状、 コイル状等が挙げられるが、 樹脂からなるビーズであれ ばカラムに充填することによりその後の操作を簡便にし、 また金属の薄膜やガラス プレートもまた好適である。
本発明において疎水性物質を固定化する為に使用する固相担体は、 上述の如く、 その材質や形状に特に制限はないが、 当然のことながら、 疎水性物質が固定化され ないような、 あるいは疎水性物質が固定化されるものの疎水性物質固定化固相担体 全体としての疎水性が低下するようなものは、 使用する為には、 余分な工程を経る 必要があつて操作が煩雑になったり、 あるいは使用に耐えなかつたりする場合があ るので、 本発明を実施する上で好ましくない。
固相担体への疎水性物質の固定化は、 通常当分野で実施される公知の方法及びそ れらを適宜組み合わせた方法によって実施され、 例えばアミド結合や、 シッフ塩基 形成、 c_c結合、 エステル結合、 水素結合、 疎水相互作用等の共有結合あるいは 非共有結合による固定ィヒが挙げられる。 いずれも当分野で公知の材料ならびに反応 により実施される。 個々の結合は、 通常当分野で実施される反応を利用して実施さ れる。 簡便且つ確実な手段としてアミド結合形成反応を利用する方法が挙げられる。 本反応は、 例えば 「ペプチド合成の基礎と実験」 (ISBN 4-621 - 02962-2、 丸善、 昭 和 60年初版) に従って実施できる。 各反応に用いられる試薬や溶媒については当 分野で通常用いられるものが利用でき、 採用する結合反応によって適宜選択される。 疎水性物質が固相担体に固定化されたか否かは、 反応前後の固相担体表面上のァミ ノ基の定量 (例えばニンヒドリン試験)によって測定される反応率から確認すること ができる。
本発明において 「リガンド固定化固相担体」 とは、 その上でリガンドとターゲッ ト分子の特異的な相互作用が生じるものであって、 ターゲット分子の選別等に好適 に使用される。
本発明においてリガンドあるいは、 リガンド固定ィ匕固相担体に固定化されるリガ ンドは特に限定されず、 公知の化合物であっても今後開発される新規な化合物であ つてもよい。 また、 低分子化合物であっても高分子化合物であってもかまわない。
ここで低分子化合物とは分子量 1 0 0 0未満程度の化合物であって、 例えば医薬品 として通常使用し得る有機化合物及びその誘導体や無機化合物が挙げられ、 有機合 成法等を駆使して製造される化合物やその誘導体、 天然由来の化合物やその誘導体、 プロモーター等の小さな核酸分子や各種の金属等であり、 望ましくは医薬品として 使用し得る有機化合物及びその誘導体、 核酸分子をいう。 また、 高分子化合物とし ては分子量 1 0 0 0以上程度の化合物であって、 タンパク質、 ポリ核酸類、 多糖類、 及びこれらを組み合わせたものなどが挙げられ、 望ましくはタンパク質である。 こ れらの低分子化合物あるいは高分子化合物は、 公知のものであれば商業的に入手可 能であるか、 各報告文献に従って採取、 製造、 精製等の工程を経て得ることができ る。 これらは、 天然由来であっても、 また遺伝子工学的に調製されるものであって もよく、 また半合成等によっても得ることができる。
本発明は、 リガンド及び Z又はリガンド固定化固相担体に非特異的に吸着する、 非特異的物質を試料から除去する方法を するものであって、 当該非特異的物質 は、 例えば、 樹脂 (ポリスチレン、 メタクリレート系樹脂、 ポリアクリルアミド 等) 、 ガラス、 金属 (金、 銀、 鉄、 シリコン等) 等の任意の材質の固相担体に非特 異的に吸着し得る。 また、 同様に、 例えば板状、 ビーズ状、 薄膜状、 糸状、 コイル 状等のいかなる形状のものにも非特異的に吸着し得る。
リガンドを固定化する為の固相担体は、 疎水性物質を固定化するための固相担体 と同じ材質、 同じ形状であってもよく、 また異なる材質、 異なる形状であってもよ い。 当然のことながら同じ材質、 異なる形状であってもよいし、 異なる材質、 同じ 形状であってもよい。
本発明において、 試料は、 非特異的物質及び特異的物質を含み得る、 好ましくは これらの物質を含む液状組成物である。 全て特異的物質から構成される試料は、 本 発明の非特異的物質の除去という目的を鑑みるに使用するには好ましくない。 また、 全て非特異的物質から構成される試料も、 本発明の非特異的物質の除去という目的 を鑑みるに使用するには好ましくない。
試料は、 全て公知化合物から構成されるものであっても、 一部新規な化合物を含
むものであっても、 さらには全て新規な化合物から構成されるものであってもよい。 例えば大腸菌等によつて遺伝子工学的に調製されたタンパク質の混合物等であり、 あるいは細胞や組織の抽出物 (lysate) である。 また全て新規な化合物から構成さ れるものとしては、 まだその機能や構造が知られていない新規なタンパク質や新し く合成された化合物等の混合物が挙げられる。 試料が混合物の場合、 特に公知化合 物を含む場合には、 任意にこれらの化合物の試料中の含有量を所望の値に設定して おくこともできる。 また、 細胞や組織からの抽出の際に界面活性剤を使用する場合 があるが、 リガンドとの反応性を最適にする為、 あるいは本発明の固相担体による 非特異的吸着の抑制という効果を最大限に利用する為にはあらかじめ透析等の処理 により試料中から不都合な影響を及ぼす可能性のある界面活性剤を排除してもよい。 本発明において、 特にその効果を発揮する試料としては血液由来の試料が挙げら れる。 血液由来の試料としては、 例えば、 全血、 血漿、 血清ならびにそれらの希釈 物等が含まれる。 かかる試料中には主としてアルブミンがリガンド及び Z又はリガ ンド固定化固相担体に非特異的に結合する物質として含まれる。
さらに、 本発明の固相担体が有する、 特にアルブミンを顕著に吸着する能力は、 本発明の固相担体を試料中のアルブミンを濃縮あるいは精製する目的で利用するこ とを可能とする。
本発明の疎水性物質固定化固相担体、 あるいは非特異的物質の除去方法は、 リガ ンド固定化固相担体を用いて、 当該リガンドに特異的な相互作用を有するターゲッ ト分子をスクリーニングする方法に利用できる。 また、 本発明の疎水性物質固定ィ匕 固相担体あるいは非特異的物質の除去方法により、 非特異的物質が除去乃至低減化 された試料を解析する方法に利用でき、 また当該解析によって試料中に含まれ得る ターゲット分子をスクリーニングする方法にも利用できる。 解析方法としては、 具 体的には電気泳動法、 免疫学的反応を用いたィムノブ口ッティングや免疫沈降法、 クロマトグラフィー、 マススペクトラム、 アミノ酸シーケンス、 NMR (低分子の ときに特に) 等の公知の手法により、 またこれらの方法の組み合わせ等が挙げられ る。 リガンド及び Z又はリガンド固定化固相担体に非特異的に結合する物質の除去
を目的とするので、 本願発明の疎水性物質固定化固相担体に固定化される疎水性物 質の種類は、 リガンドが有する特徴に応じて適宜変更され設定されるのが好ましい。 該スクリーニング方法は以下の工程を少なくとも含む。 尚、 本スクリーニング方 法における、 試料、 リガンド及びターゲット分子やリガンド固定ィヒ固相担体、 疎水 性物質固定化固相担体の定義は上記した通りである。
( 1 ) ターゲット分子を含むか又は含まない試料を、 疎水性物質固定化固相担体と 接触させる工程
試料の形状は、 次工程あるいは実施目的にどのような原理や手段、 方法を用いる かによつて適宜変更し得る。 例えば疎水性物質固定ィ匕固相担体としてビーズ樹脂を 充填したカラムを用いる場合には液状とするのが好ましい。 試料と疎水性物質固定 化固相担体とを接触させる方法は、 試料内の非特異的物質が疎水性物質固定化固相 担体に吸着除去されれば特に限定されず、 使用する固相担体や次工程でどのような 原理や手段、 方法を用いるかによつて適宜変更し得る。 例えば疎水性物質固定ィ匕固 相担体としてビーズ樹脂を充填したカラムを用いる場合には、 液状にした試料を力 ラムに添加しカラム内を通すことにより簡便に実施される (カラム法) 。 また、 簡 便には当該ビーズ樹脂と試料とを一定時間混合することによって実施できる (バッ チ法) 。 カラムへのアプライ量、 流速、 溶出処理、 混合時間等はアブイ二ティーク 口マトグラフィ一で通常行なわれている条件に基づいて、 非特異的物質の吸着除去 に最適な条件設定が行なわれる。
リガンド固定ィ匕固相担体を用いる場合には例えば以下のような工程を含む。
( 2 ) 上記 ( 1 ) の工程により得られた、 疎水性物質固定化固相担体と接触させた 後の試料をリガンド固定ィヒ固相担体に接触させる工程
本工程は、 前工程により得られた試料、 即ち、 非特異的物質が除去された試料を リガンド固定化固相担体に接触させる工程である。 該試料とリガンド固定化固相担 体とを接触させる方法は、 ターゲット分子が試料中に存在する場合にリガンド固定 化固相担体上で特異的相互作用によって結合することができれば特に限定されず、 使用する固相担体や次工程でどのような原理や手段、 方法を用いるかによつて適宜
変更し得る。 例えばリガンド固定化固相担体としてビーズ樹脂を充填したカラムを 用いる ^^には、 液状にした試料を力ラムに添加し力ラム内を通すことにより簡便 に実施される (カラム法) 。 また、 簡便には当該ビーズ榭脂と試料とを一定時間混 合することによって実施できる (パッチ法) 。 カラムへのアプライ量、 流速、 溶出 処理、 混合時間等はァフィ二ティークロマトグラフィーで通常行なわれている条件 に基づいて、 特異的物質の結合に最適な条件設定が行われる。
( 3 ) リガンドに特異的な相互作用を示した力 又は示さなかった分子を同定し、 解析する工程。
かかる工程は、 使用する固相担体や固定ィヒしたリガンドの種類等によって適宜変 更し得るが、 通常当分野で実施されている低分子化合物あるいは高分子化合物を同 定する為の各種方法により行う。 また、 今後開発されるであろう方法によっても実 施可能であろう。 例えばリガンド固定化固相担体としてリガンドが固定ィ匕されたビ ーズ樹脂を充填してなるカラムを用いた場合、 工程 ( 1 ) であらかじめ非特異的物 質を除去した試料の添加により 〔工程 (2 ) 〕 、 リガンドにターゲット分子を結合 させる。 結合したターゲット分子を緩衝液の極性を変える、 あるいは過剰のリガン ドをさらに加える等の処理によってリガンドから解離させ、 その後同定したり、 あ るいは固相上のリガンドと結合した状態でそのまま界面活性剤等によって抽出して 同定したりすることもできる。 同定方法としては具体的には電気泳動法、 免疫学的 反応を用いたィムノブロッテイングや免疫沈降法、 クロマトグラフィー、 マススぺ クトラム、 アミノ酸シーケンス、 NMR (低分子のときに特に) 等の公知の手法に より、 またこれらの方法を組み合わせて実施する。 リガンドに結合しない分子を同 定する工程も上記リガンドに結合す 分子を同定する方法に準じて行うことができ るが、 カラムの素通り画分に含まれる分子を同定の対象とするので、 同定工程に入 る前に予め濃縮や粗精製等の処理を行うことが好ましい。 得られたデータならびに 既存の報告をもとに各分子を同定し、 リガンドのターゲット分子である力、否かを判 断する。
また、 本工程は自動化されていてもよい。 例えば 2次元電気泳動で得られた種々
の分子のデータを直接読み取り、 既存のデータベースに基づいて分子の同定を行う ことも可能である。
リガンド固定ィ匕固相担体を用いず、 上記 (1 ) の工程で得られた疎水性物質固定 化固相担体との接触後の試料をそのまま解析することも可能である。 例えば以下の ような工程を含む。
( 3 ' ) 上記 (1 ) の工程で得られた疎水性物質固定化固相担体との接触後の試料 について電気泳動法、 免疫学的反応を用いたィムノブ口ッティングや免疫沈降法、 クロマトグラフィー、 マススペクトラム、 アミノ酸シーケンス、 NMR (低分子の ときに特に) 等の公知の手法により、 またこれらの方法を組み合わせて解析を行う。 得られたデ一タならびに既存の報告をもとにターゲット分子の存在を検定すること も可能である。 また、 本工程は自動化されていてもよレ、。 例えば 2次元電気泳動で 得られた種々の分子のデータを直接読み取り、 既存のデータベースに基づいて分子 の同定を行うことも可能である。
実施例
以下、 実施例及び実験例により本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明はこれ らの例によりなんら限定されるものではない。 また、 用いる各化合物や試薬等は特 に言及しない限り、 商業的に入手可能であるか、 また既知の報告等に基づいて調製 することができる。
(C L O G Pの測定方法)
D a y 1 i g h t社の C 1 o g P計算ソフトを用いて算出した。
実施例 1
( 1 ) 疎水'性物質固定化固相担体の作成
全タンパク質から、 非特異的物質を除去する疎水性物質固定化固相担体の合成は、 疎水性物質のカルボン酸あるいは対応するスルフォン酸の酸クロライド体を樹脂の ァミノ基に反応させることにより行った。 なお、 ここで使用したカルボン酸及ぴス ルフォン酸の C L O G P値を表 1にまとめて示す。
表 1
^ ~ Nl¾ ^ NHCO-R
R-COOH CLOGP fatty acids
CH3COOH (酢酸) -0.07
CH3(CH2)2COOH(¾酸) 0.85
CH3(CH2)4COOH (カプロン酸) 1.77
CH
3(CH2)
6COOH (オクタン酸) 2.67
4.04
CH3(CH2)12COOH (ミリスチン酸) 5.41
CH3(CH2>14COOH (パルミチン酸) 633
CH3(CH2)16COOH (ステアリン酸) 7.69
CH3S03H (メタンスルフォン酸) -1.22
CH3(CH2)iS03H (エタンスルフォン酸) .70
CH3(CH2)2S03H (プロパンスルフォン酸) _0.17
CH3(CH2)3S03H (ブタンスルフォン酸) 036
CH3(CH2)7S03H (オクタンスルフォン酸) 2.48
CH3(CH2)9S03H (デカンスルフォン酸) 3.54
CH^CH^iSOaH (ドデカスルフォン酸) 4.60 a
CH3(CH2)15S03H (へキサデカンスルフォン酸) 6.71
CH3(CH2)nS03H (ォクタデカンスルフォン酸) a 7.77 Linoleic acid
at― linoleic acid
^ ^ ^V"22^^^^^^*^^ 6.81 oleic acid
^^^^^ =\^^^^COl3H 7.78
Others
PWCHACOOH (フエニルプロピオン酸) 1.41
PheNHCO(CH2
3COOH (グルタラ二リック酸) 1.32
■この誘導体合成時には対応する酸クロライ ドを使用した
(1 - 1) 酢酸固定化樹脂の作成
TO YOパール樹脂 (T SKg e l AF— am i n o— 6 5 0M (商品名) 、 東ソ一株式会ネ環) にカルボン酸を固定化した。 酢酸 (n = 0) の固定化は TOY Oパール樹脂 1 0 00 μ 1に 20%無水酢酸一ジメチルホルムアミド (DMF) 溶液を 5. Om l加え、 室温で 4時間撹拌した。 反応終了後、 樹脂を DMFで十分 に洗净した。
( 1 - 2) 疎水性物質のカルボン酸の固定化樹脂の作成
またその他のカルボン酸の固定化は、 1 0 00 μ 1の ΤΟΥΟパール樹脂 (ァ ミノ基量 1 00 ;u mo 1 ) のァミノ基量に対して 4当量のカルボン酸、 4. 8当 量のベンゾトリァゾールー 1—ィル一ォキシ一トリス一ピロリジノ一ホスホニゥム へキサフルォロホスフェート(P y BOP)、 9. 6当量のジイソプロピルェチルァ ミン(D I PEA)を樹脂に対して 5倍容量 (vZv) の DMFZジクロロメタンの 混合溶媒(1 : 1)に溶解し、 樹脂と混合した。 反応は室温で 1 2時間撹拌を続ける ことにより行った。 反応終了後、 樹脂をジクロロメタン及ぴ DMFで順次洗浄し、 最後にピぺリジンで洗浄した後、 溶媒を 20%のエタノール溶液に置換して保存し た。
(1 - 3) スルフォン酸タイプの固定化樹脂の作成
スルフォン酸型飽和脂肪酸の固定化樹脂の作成は、 1 0 00 μ 1の樹脂 (アミ ノ基量 1 00 μ mo 1 ) のァミノ基量に対して 4当量のスルフォン酸に対応する 酸クロライド、 2 0当量のトリェチルァミンを、 樹脂に対して 5倍容量 (vZv) の DMFに溶解し、 樹脂と混合し行った。 反応は室温で 1 2時間^ を続けること により行った。 反応終了後、 樹脂を DMFで洗浄した後、 溶媒を 20%のェタノ一 ル溶液に置換して保存した。
(2) リガンド固定化固相担体の作成 (FK5 06固定化樹脂の合成)
樹脂は官能基としてアミノ基が導入されたァフィ二ティー樹脂 (TOYOP EA R L AF- a m i n o - 6 5 0 (商品名) 、 東ソー株式会社製) を使用した。 1 00 1の樹脂 (アミノ基量 1 0 mo 1 ) のァミノ基に対して 4当量の力
ルボン酸が導入された FK 506、 4. 8当量のジメチルァミノプロピル一ェチル —カルボジイミド塩酸塩 (EDC · HC 1 ) (WSC I) 、 4. 8当量の 1ーヒド ロキシベンゾトリアゾール (HOBT) を樹脂に対して 5倍容量の DMF溶液に溶 解し、 樹脂と混合した。 反応は室温で 12時間撹拌することによって行い、 反応終 了後は DMFで樹脂を洗浄し、 20%のエタノール溶液に置換して保存した。
(3) ステアリン酸固定化樹脂による全タンパク質の精製と FK506固定ィ匕樹脂 による F KB P 12の選択的な結合
ステアリン酸固定化樹脂によって疎水性の非特異的な吸着タンパク質を除去する 為、 試料 (全タンパク質) としてラットの脳溶解液を使用した。 0. 25Mのシュ クロース緩衝液 (25mM Tr i s—HC l, pH7. 4) で脳溶解液を 5mg Zmlに調整し、 この全タンパク質溶液 1000 μ 1に対して、 ステアリン酸固 定化樹脂をそれぞれ 100 1及び 200 1の量で混合し、 4 °Cで 5時間撹拌 した。 その後、 遠心操作により樹脂と精製された脳溶解液を分離した。
次に FK506固定化樹脂を用いて、 精製されたラットの脳溶解液から F KB P 12を選択的に得る実験を行った。 精製された脳溶解液 1000 μ 1に対して 1 0 μ 1の FK506固定ィ匕樹脂を混合し、 4°Cで 12時間撹拌した。 その後、 遠 心操作により溶解液と樹脂を分離し、 樹脂に結合したタンパク質を取り出すために サンプルバッファ一 (含 2—メルカプトエタノール、 SDS— PAGE用 (商品 名) 、 ナカライ社製) を 20 μ 1添加し、 25°Cで 10分間撹拌した。 その後、 遠心によりサンプルバッファ一を分離し、 SDS— PAGEにより得られたタンパ ク質を した。
結果を図 1に示す。
ステアリン酸固定化樹脂で先立って試料を処理することにより、 非特異的なタン パク質 (NB P: Non-specific Binding Protein) の FK506固定化樹脂への結 合が抑制されていることがわかる。 図中、 NBP 56は分子量 56 kDaの NBP を、 NBP 49は分子量 49 kDaの NBPをそれぞれ示す。 また、 ステアリン酸 固定化樹脂で処理しても、 FK506特異的タンパク質 (FKBP 12) の FK5
06固定ィ匕樹脂への結合には殆ど影響はなかった。 即ち、 ステアリン酸固定化樹脂 による前処理が非特異的物質の除去に有用であることが確認された。
実験例 1
上記で調製した各化合物が固定ィ匕された TOYOパール樹脂の各々 10 μ 1と、 ラットの脳溶解液 (実施例 1 (3) で調製したものと同じもの) 1000 /X 1と を混合し、 4°Cで 12時間撹拌した。 その後、 遠心操作により溶解液と樹脂を分離 し、 樹脂に結合したタンパク質を取り出すためにサンプルバッファー (含 2—メル カプトエタノール、 SDS— PAGE用 (商品名) 、 ナカライネ土製) を 20 μ 1 添加し、 25°Cで 10分間撹拌した。 その後、 遠心によりサンプルバッファーを分 離し、 SDS— PAGEにより、 得られた各樹脂に結合したタンパク質を確認した。 結果の一部を図 2に示す。 尚、 分子量マ一カーは、 インビトロゲンの Ma r k 12 TM MW s t a n d a r dを用いた。
レーン 6〜9について、 顕著なタンパク質の吸着が認められた。 レーン 6 (ゥン デカン酸: CLOGP4. 04) で、 タンパク質の吸着の程度が急激に増加してい ること、 また、 レーン 8 (パルミチン酸: CLOGP 6. 33) でよりいっそうそ の程度が増していることから CLOG P 4以上、 好ましくは CLOG P 6以上を有 する疎水性物質を固定ィ匕した固相担体を用いることで、 疎水的相互作用によって非 特異的にリガンド及ぴ Z又はリガンド固定化固相担体に結合する物質を除去し得る ことがわかった。
実験例 2
既存の方法の代表例としてアルブミン等の不要タンパク質の除去のための前処理 用カラムのリガンド分子として巿販されている色素チパクローンブルー F 3GA (CB-F 3GA) を選択し、 これを実施例 1に記載のステアリン酸固定化カラム と同様に TO YOパール (TSKg e l AF— am i n o— 650M (商品名) 、 東ソー株式会ネ: h ¾) に固定化し対照カラムとした。
(1) CB— F 3GA固定化樹脂の合成
本樹脂の合成は以下の手順によって行った。 つまり、 1000 1の樹脂 (ァ
ミノ基量 1 00 // mo l) 、 CB_F 3 GA (シグマ社、 C i b a c r o n e B l u e 3 GA, c a t . NO = C- 9 5 34, 2 3 2. 3 m g , 3 0 0 μ mo I ) 、 及び DMF (5 000 1 ) の混合物を室温で 1 2時間撹拌後、 樹 脂を DMFで 5回洗浄することによって得た。
(2) ジヒドロ葉酸還元酵素 (DHFR) を発現させた大腸菌の 1 y s a t eの調 製
ヒ ト DHFR発現ベクターは GATEWAYシステム ( I n v i t r o g e n 社) を利用して作製した。 まず、 ヒ ト DHFR遺伝子をコードする MGCクローン (MGC I D 8 5 7, I n v i t r o g e n社) よりプラスミ ドを抽出し、 これを^ Mにした 2段階の PC R反応により、 ヒト DHFRエントリ一'ベクター を作製した。 このエントリー 'ベクターから c 1 o n a s eを用いた組換え (LR 反応) により、 N末に H i sタグを有するヒト DHFR発現べクタ一を構築し、 宿 主大腸菌株 B L 2 1 s t a r (DE 3) p L y s Sに形質転換した。 宿主大腸菌 は前培養を経て、 S B培地で本培養を開始した。 培養開始後 3時間後にィソプロピ ルー 一チォガラクトビラノシド (I PTG) を最終濃度が 0. l mMになるよう に添カ卩し、 DHFRを発現誘導させた。 20°C、 1 3 0 r pmで一晩培養した。 培 養終了後、 集菌し、 超音波でホモジネート処理をして DHFR発現大腸菌 1 y s a t eとした。
(3) ステアリン酸固定化カラムと CB— F 3 GA固定化カラムの比較実験
(2) で調製した DHFR発現大腸菌 1 y s a t eを用い以下の手順でステアリ ン酸固定ィ匕樹脂 (実施例 1で調製) と CB— F 3GA固定化樹脂 (本実施例 (1) で調製) を比較した。 結果を図 3に示す。 緩衝液 A (20mMリン酸緩衝液 pH 7. 1 , 0. 50/oTw e e n 20) で 4. 5倍に希釈した DH F R発現 1 y s a t eに緩衝液 Aで溶媒置換しておいたステアリン酸固定化樹脂及び CB—F 3 G A固定ィヒ樹脂をそれぞれ 2 5 0 μ 1加え、 4°Cで 3時間撹拌した。 その後、 そ れぞれの樹脂を 1 0 μ 1ずつ分注し、 1 0 00 μ 1の緩衝液 Αで 5回洗浄した。 洗浄後、 樹脂に吸着しているタンパク質を緩衝液 B (1. 4M Na C 1 , 2 0m
Mリン酸緩衝液 pH 7. 1) 、 緩衝液 C (8Mゥレア水溶液) 、 緩衝液 D (SD S s a mp l e b u f f e r ) の 3種類の溶液でこの順に溶出させた。 つまり、 まず先に分注したそれぞれの樹脂 1 0 1に対して 2 0 μ 1の緩種 ί液 Βを加え、 2 5°Cで 1 0分間加温撹拌し、 反応終了後に遠心分離を行い、 その上澄みをサンプ ル B— C 1 8 (図 3のレーン 5, ステアリン酸固定ィ匕樹脂からの溶出液) 及ぴサン プル B— F 3 GA (図 3のレーン 2, C B— F 3 G A固定化樹脂からの溶出液) と して得た。 次に、 それぞれの樹脂を 1 000 μ 1の緩衝液 Βで 3回洗浄した後、 20 μ 1の緩衝液 C ( 8 Μゥレア水溶液) を加え 2 5 °Cで 1 0分間加温撹拌し、 反応終了後に遠心分離を行い、 その上澄みをサンプル C— C 1 8 (図 3のレーン 6, ステアリン酸固定化榭脂からの溶出液) 及ぴサンプル C— F 3 GA (図 3のレーン 3, CB— F 3 GA固定化樹脂からの溶出液) として得た。
(4) 結果
図 3に見られるように、 アルブミン等の不要タン ク質の除去のための前処理用 カラムのリガンド分子として市販されている CB— F 3 GA固定化樹脂と DHFR 発現大腸菌 1 y s a t eを混合することにより、 D H F Rタンパクが樹脂に多量に 結合することが明らかとなった。 一方、 ステアリン酸固定ィ匕樹脂には今回の検討条 件においては D H F Rタンパク質の樹脂への吸着は認められなかつた。 これらのこ とは良く知られているように CB— F 3 GAがその構造的特徴かちも推測される通 り ( (l) B i o— R a dカタログ 20 0 2 2 3版 p 5 4— 5 5, (2) N.
garg et al. , Dye— Affinity Techniques for Bioprocessing: Recent
Developments", J. Molecular Recognition, 9, 259 - 274 (1996)) 、 広範なタンパ ク質と強く相互作用することと一致する。 つまり、 例えば血漿タンパク質から不要 なアルブミンを削減しようと C B— F 3 G A固定化樹脂を用いて前処理を行う場合、 同時にターゲットとするタンパク質 (本実験例では DHFR) も除力れている可能 性が懸念される。 一方、 ステアリン酸はその構造的単純性から CB— F 3 GAほど 広範なタンパク質と強く相互作用することは考えにくく、 かつ前処理として除去対 象とされることが多いアルブミン、 チューブリン、 ァクチン等とは充分に相互作用
すること力 ら、 前処理用の物質としての好条件を備えていると推測される。
実験例 3
ステアリン酸固定化樹脂によるヒト血漿中のアルブミンの吸着
ステアリン酸固定ィヒ樹脂に対するアルブミンの吸着能を評価する為に、 ヒト血漿 タンパクをステアリン酸固定化樹脂で精製し、 樹脂に吸着したタンパクを電気泳動 により確認した。 実験は、 血漿 1. Om lを 0. lm 1のステアリン酸固定化樹脂 と混合し、 4°Cで 2時間撹拌した。 その後、 遠心により樹脂を分離し、 上清を SD S— PAGEにより確認した。 また、 樹脂に吸着したタンパクは、 樹脂 10 μ 1 に対し 20 1の SDSサンプルバッファーで 25^、 10分間撹拌することに より溶出させた。 溶出したタンパクを SDS— PAGEにより確認した。 結果を図 4に示す。
図 4に見られるように、 ステアリン酸固定ィ匕樹脂は、 ヒト血漿タンパクから特に アルブミンを多く除去していることが確認された。
産業上の利用可能性
リガンド分子とターゲット分子との特異的相互作用を解析し、 また当該特異的 相互作用を用いてターゲット分子を同定 ·選別する過程において、 タ一ゲット分子 を含み得る試料を、 疎水性物質を固定化した固相担体で前処理することにより、 試 料中に存在するリガンド分子に非特異的な物質を除去あるいは低減ィヒすることがで きる。 従って、 より正確な分子間の特異的相互作用の解析、 ならびにターゲット分 子の同定が可能となる。 ひいては、 ターゲット分子の精製度を上げることもできる。 本出願は、 日本で出願された特願 2003-202647を基礎としておりそれ らの内容は本明細書に全て包含されるものである。