明 細 書
画像形成装置
【技術分野】
本発明は、 たとえば複写機などの電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
電子写真方式の画像形成装置は、 複写機だけでなく、 近年需要の伸びの著しい コンピュータ等の出力手段であるプリンターなどにも広く利用されるに至ってい る。 電子写真方式の画像形成装置では、 装置に備わる電子写真感光体の感光層を、 帯電器によって一様に帯電させ、 画像情報に対応するたとえばレーザ光などによ つて露光し、 露光によって形成される静電潜像に対してトナーと呼ばれる微粒子 状の現像剤を現像器から供給してトナー画像を形成する。 そのトナー画像は、 転 写工程を経て、 熱定着器によって紙 (メディア) に定着される。
電子写真感光体の表面に現像剤の成分であるトナーが付着することによって形 成されたトナー画像は、 転写手段によって記録紙などの転写材に転写されるけれ ども、 電子写真感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行されるのでは なく、 一部が電子写真感光体表面に残留する。 このような電子写真感光体表面の 残留トナーは、 形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、 タリーエング装置 によって除去される。
このような電子写真方式の画像形成装置は、 近年、 モノクロにとどまらずカラ 一出力手段としても利用されるに至っており、 形成される画像の高品質化への要 求が一段と高まっている。 画像の高品質化の手段としては、 画像形成の各工程を 対象に数多くの提案がなされているけれども、 静電潜像を現像してトナー画像を 形成する現像工程において用いられる現像剤の成分であるトナーおよびキヤリァ の小粒径化が、 代表的な手段として挙げられる。
現像剤成分であるトナーおよびキャリアを小粒径化することによって、 現像手 段における磁気ブラシを緻密化し、 画像の階調性や細線の再現性、 黒ベタ部の濃 度均一性を向上して高品質化することができる。 また小型化、 画像形成処理速度 の高速化が進められている画像形成装置では、 現像剤に与えられるストレスが、
キャリアの軽量化に伴って軽減されるので、 耐久性の面においても、 キャリアの 小粒径化が有利であると考えられる。
しかしながら、 トナーは小粒径化されることによって、 鏡像力やファンデルヮ 一ルスカなどに起因してトナー粒子の電子写真感光体に対する付着力が増大し、 転写材へ転写されにくくなり、 転写効率が低下するという問題がある。 そこで、 小粒径化されたトナー粒子をさらに球形化し、 トナー粒子の電子写真感光体表面 に対する接触面積を小さくしてその付着力を抑制することによって、 転写効率を 向上させ、 高画質化との両立が図られている。 トナー粒子の球形化は、 転写効率 を向上させるので、 単位複写枚数当りのトナー消費量を低減し、 また装置内に生 じる転写残トナーの量を低減するので、 低コストかつ省エネルギーの観点におい て有利な画像形成を可能にする。
またトナー粒子の電荷は、 粒子の突起部に集中する傾向があるので、 トナー粒 子を球形化して平均円形度を高くするほど、 トナー粒子の電荷の不均一が解消さ れて帯電性が安定する。 このことによって、 トナー粒子間の帯電性の差が減少し、 トナー全体の帯電量分布が均一化されるので、 高画質が実現される。 さらに球形 化されたトナー粒子は、 突起部が少ないので、 トナー粒子と電子写真感光体表面 とが摺擦される場合における摩擦が少なく、 電子写真感光体表面の膜削れが抑制 されるという利点もある。
しかしながら、 トナーおょぴキャリアの小粒径化は、 ト^ "一画像を転写材に転 写させた後、 電子写真感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程にお いて、 いわゆるクリーニング不良の問題を生じさせる。 ここで、 クリーニング不 良とは、 転写工程で電子写真感光体から転写材に転写されずに、 電子写真感光体 表面に残った残留トナーが、 クリーニング工程ですベて除去されずに一部がさら に残留し、 以降のサイクルの画像形成プロセスに影響を与える現象である。 より 具体的には、 画像上における電子写真感光体の回転方向へのトナー漏れすじの発 生や白地かぶりの発生する現象をいう。
トナーの粒子径が小さくなるのに伴って単位重量あたりのトナーの表面積であ る比表面積が増大し、 トナー粒子 1個あたりの電子写真感光体との間に作用する
4 001543 分子間力の影響が強くなり、 クリーニング性が低下する。
またトナー粒子は、 元々電子写真感光体表面に対して大きい付着工ネルギを有 するので、 トナー粒子が球形化されて平均円形度が高まるのに伴って、 電子写真 感光体表面をクリ一二ングブレードでクリ一ユングする際、 クリ一ユングプレー ドで搔取ることができないでクリーニングブレードのエッジと電子写真感光体表 面との間を通り抜け易くなり、 一層クリーニング性が低下するという問題がある。
トナー粒子の小粒径化に伴う電子写真感光体のクリ一二ング性低下の現象は、 トナー粒子径と電子写真感光体の表面性状とが関係する相互付着力が作用因子と して考えられる。 したがって、 小粒径化したトナー粒子を用いる場合における電 子写真感光体のクリーニング性を向上するためには、 電子写真感光体自体の表面 性状に着目したクリーユング性の制御が必要不可欠である。
クリーエング不良の現象は、 トナー粒子の性状と電子写真感光体の表面性状と が関係する相互付着力が作用因子として考えられる。 したがって、 電子写真感光 体のクリーニング性を向上するためには、 電子写真感光体自体の表面性状に着目 したクリ一二ング性の制御が必要不可欠である。
クリ一ユング装置の機能は、 残留トナーを電子写真感光体上に残さないことが 最も重要であるけれども、 電子写真感光体を損傷しないこと、 回収トナー中にト ナー以外の異物を混入しないこと、 また長期間にわたってクリ一二ング特性が変 化しないことも必要とされる。 このようなクリーニング装置として、 高速回転す るファーブラシを用いる方法またはゥエップ状の紙を用いる方法なども用いられ ているけれども、 クリ一二ングブレードを電子写真感光体に当接し摺動させるプ レードクリーユング方法が一般に使用されている。
—方、 画像形成において紙などのシートに転写後のトナー画像を定着する工程 に関しても、 種々の方法および装置が提案されている。 現在、 トナー画像定着に 用いられる最も一般的な方法は、 加熱ローラによる圧着加熱方式である。 この加 熱ローラによる圧着加熱方式は、 トナーに対して離型性を有する材料で表面を形 成した加熱ローラの表面に、 被定着シートのトナー画像面を、 加圧下で接触させ ながら通過せしめることによって定着を行うものである。 この圧着加熱方法は、
P T/JP2004/001543 加熱ローラの表面と被定着シートのトナー画像とが加圧下で接触するので、 トナ 一画像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、 迅速に定着 を行うことが可能であり、 高速度電子写真複写機において非常に有効である。 しかしながら、 圧着加熱方式では、 加熱ローラを通過する短時間の間に、 トナ 一画像を被定着シートに定着させる必要が有るので、 加熱ローラを高温に加熱し なければならない。 したがって、 複写機およびプリンターの稼動時における消費 エネルギーの大半は、 定着工程で消費されている。
近年、 地球環境負荷を低減するべく省エネルギー化が求められている状況下に おいて、 このような定着工程における消費エネルギーを削減することは重要な課 題である。 省エネルギー化の要請に対応するべく提案されたのが、 これまでのト ナーに比べ、 低い温度で定着することが可能な低温定着トナーである。 このよう な低温定着トナーを用いることによって、 定着工程での消費エネルギーを削減す ることが可能になる。 しかしながら、 低温定着トナーは、 これまでのトナーに比 ベて融点が低く柔らかいので、 電子写真感光体の表面にこびりつきやすい、 いわ ゆるフィルミングを発生しやすいという欠点があった。
このような問題を解決する方法に、 クリ一二ングブレードの電子写真感光体に 対する当接圧 (単位長さ当りの負荷荷重であり、 以後線圧と呼ぶ) を高くし、 電 子写真感光体上の残留トナーおよびフィルミングしたトナーを取除くものがある。 しかしながら、 線圧を高くすると、 クリーニング性が向上するけれども、 同時に 電子写真感光体の感光層も削ってしまうので、 電子写真感光体の寿命が短くなる という問題がある。
また、 トナー改良の試みにおいては、 前述の低温定着などとともに、 画質向上 および低コスト化を目的としてトナー粒子を球形化することが提案されている。 トナー粒子を球形化することによって、 電子写真感光体表面に対するトナー粒子 の接触面積を小さく し、 その付着力を小さくすることができる。 その結果、 トナ 一の転写効率が向上して画像形成 1枚あたりのトナー使用量が減少するので、 画 像形成コストが低減する。 また、 トナー粒子の帯電が均一になるので、 画像の細 線などの再現性が向上する。 しかしながら、 トナー粒子が球形化されると、 タリ
P T/JP2004/001543 一二ングの際にクリーユングブレードに搔取られにくくなるので、 クリーユング 不良を生じるという問題がある。
トナー粒子の低温定着化および円形化に伴う電子写真感光体のクリ一二ング性 低下の現象は、 トナー粒子と電子写真感光体の表面性状とが関係する相互付着力 が作用因子として考えられる。 したがって、 電子写真感光体のクリーニング性を 向上するためには、 電子写真感光体自体の表面性状に着目した開発が必要不可欠 である。
電子写真感光体のクリーニングとは、 電子写真感光体表面と、 付着している残 留トナーとの間の付着力を超える力を、 残留トナーに作用させて電子写真感光体 の表面から除去することである。 したがって、 電子写真感光体表面の濡れ性が低 いほどクリーユングし易いということができる。 電子写真感光体表面の濡れ性す なわち付着力は、 表面自由エネルギー (表面張力と同義) を指標として表すこと ができる。 表面自由エネルギー ( ) とは、 物質を構成する分子間に作用する力 である分子間力が最表面において起こす現象である。
電子写真感光体の表面にトナーが固着、 融着して転写材に転写されずに残留し たトナーが、 帯電からクリーニングに至る工程を繰返し経ているうち、 電子写真 感光体の表面に被膜状に広がる現象は、 濡れ性のうち 「付着濡れ」 に相当する。 図 5は、 付着濡れの状態を例示する側面図である。 図 5に示す付着濡れにおい て、 濡れ性と表面自由エネルギー (γ ) との関係は、 Y o u n gの式 (1 ) によ つて表される。
y i = y z ' c o s θ + 7 1 2 ··· 1 ) ここで、 y i :物質 1表面の表面自由エネルギー
y 2 :物質 2表面の表面自由エネルギー
γ 1 2 :物質 1と物質 2との界面自由エネルギー
Θ :物質 1に対する物質 2の接触角
式 ( 1 ) より、 物質 1に対する物質 2の濡れ性の低減、 すなわち 0を大きく し て濡れにくくすることは、 電子写真感光体と異物との濡れ仕事に関連する界面自 由エネルギー γ 1 2を大きく し、 各表面自由エネルギー γ および γ 2を小さくす
ることによって達成される。
式 (1 ) において、 電子写真感光体の表面へのトナーの付着を考える場合、 物 質 1を電子写真感光体、 物質 2をトナーとすればよい。 したがって、 実際の電子 写真感光体をクリーニングする場合、 電子写真感光体の表面自由エネルギー γ! を制御することにより、 式 (1 ) 右辺の濡れ性すなわち電子写真感光体に対する トナーの付着状態を制御することができる。
そこで電子写真感光体の表面状態を規定する従来技術には、 純水との接触角を 用いるものがある (たとえば、 特開昭 6 0— 2 2 1 3 1号公報参照) 。 しかしな がら、 固体と液体との濡れに関しては、 前述の図 5に示すようにその接触角 Θを 測定することができるけれども、 電子写真感光体と トナーとのように、 固体と固 体との場合には、 接触角 0を測定することができない。 したがって前述の従来技 術は、 電子写真感光体表面と純水との間における濡れ性については適用できるけ れども、 トナーの固体に対する濡れ性およびクリーユング性との関係については 充分に説明することができない。
次に固体同士の間における濡れ性は、 固体と固体との間の界面自由エネルギー によって表すことができる。 固体と固体との間の界面自由エネルギーについては、 非極性な分子間力について述べた F o r k e s理論を、 さらに極性、 または水素 結合性の分子間力による成分まで拡張できるとされている (文献 『北崎寧昭、 畑 敏雄外; 「F o r k e s式の拡張と高分子固体の表面張力の評価」 、 日本接着協 会誌、 日本接着協会、 1 9 7 2年、 V o l . 8、 N o . 3、 p . 1 3 1— 1 4 1』 参照) 。 この拡張 F o r k e s理論によれば、 各物質の表面自由エネルギー は 2〜3成分で求められる。 前述の電子写真感光体表面に対するトナーに該当す る付着濡れの場合における表面自由エネルギーについては、 3成分で求めること ができる。
以下固体物質間における表面自由エネルギーについて説明する。 拡張 F o r k e s理論では、 式 (2 ) に示す表面自由エネルギーの加算則が成立つものと仮定 する。
γ = γ d + γ p + γ h … ( 2 )
ここで、 y d :双極子成分 (極性による濡れ)
Ί p :分散成分 (非極性の濡れ)
γ 11 :水素結合成分 (水素結合による濡れ)
式 (2) の加算則を F o r k e s理論に適用すると、 ともに固体である物質 1 と物質 2との間の界面自由エネルギー T 12は、 式 (3) のように求められる。
r 12= 7 1 + 7 2 - { 2 " (γ · 2 d) +
2ΛΓ (7 ■ γ 2 P) + 2^ (y !h · y 2 h) }
… (3) ここで、 i :物質 1の表面自由エネルギー
γ 2:物質 2の表面自由エネルギー
y a d, 1 :物質1, 物質 2の双極子成分
y !ρ, γ 2 P :物質 1, 物質 2の分散成分
7 ah, γ 2 :物質 1, 物質 2の水素結合成分
被測定対象の固体物質における前述の式 (2) に示す各成分の表面自由エネル ギー (y d, y p, y h) は、 各成分の表面自由エネルギーが既知である試薬を使 用し、 その試薬との付着性を測定することによって算出できる。 したがって、 物 質 1および物質 2のそれぞれについて、 各成分の表面自由エネルギーを求め、 さ らに各成分の表面自由エネルギーから式 (3) によって物質 1と物質 2との界面 自由エネルギーを求めることができる。
このようにして求められる固体と固体との間の界面自由エネルギーの考え方に 基づいて、 光導電層がアモルファス S i系で構成される電子写真感光体の表面自 由エネルギー (y) を 3 5〜 6 5 niN/mまたは 35〜 5 5 mN/m、 トナーの 平均粒径を 3〜1 1 // 111または4〜1 0 μιηに規定することによって、 電子写真 感光体のクリーニング性と耐久性とを改善することが、 従来技術として開示され ている (たとえば、 特開 200 2— 1 3 1 9 5 7号公報、 特開 200 2— 229 234号公報および特開 2002— 30402 2号公報参照) 。
また光導電層が有機感光材料で構成される電子写真感光体についても、 表面自 由エネルギーを 35乃至 6 5 mN/mの範囲に規定することによって、 電子写真
感光体表面のクリーニング性を向上し、 長寿命化の実現されることが、 従来技術 として開示されている (特開平 1 1一 3 1 1 8 7 5号公報参照) 。
しかしながら、 本発明者らの調査によれば、 従来技術に開示される範囲である 3 5〜6 5 mNZmの表面自由エネルギー (γ ) を有する電子写真感光体を用い て、 たとえば記録紙に対して実際に画像形成する実写性能試験を行ったところ、 電子写真感光体表面において、 紙粉などの異物との接触によると思われる傷の発 生が確認された。 またその傷に起因するクリーニング不良によって、 記録紙に転 写した画像上に黒すじが発生することを確認した。
さらに、 特開平 1 1一 3 1 1 8 7 5号公報に開示される従来技術においては、 電子写真感光体の耐久にともなう表面自由エネルギーの変化量 (Δ γ ) を規定し ているけれども、 電子写真感光体の初期特性たとえば表面自由エネルギー ("y ) を規定することによっては変化量 Δ yを定められないこと、 また画像形成する際 の環境や転写材の材質などの諸条件に依存して変動量 Δ γが変化することを考慮 すると、 実際の電子写真感光体の設計において、 変動量 Δ γは不確定な要素を多 分に含み設計基準として適さないという問題がある。
形成される画像の高品質化および高解像度化に関する従来技術には、 磁性トナ 一粒子の体積平均粒径を :〜 9 /x mに規定し、 電子写真感光体の最表面層に特定 の無機粒子を含有させるとともに、 その表面粗さ R zを 0 . 1〜 1 . O mに規 定するもの (特開平 9— 1 5 2 7 7 5号公報参照) 、 またトナーの重量平均粒径 を 5〜 1 0 /x m、 キヤリァの重量平均粒径を 1 5〜4 5 ζ ιηに規定し、 電子写真 感光体の表面摩擦係数と磁気ブラシの動摩擦係数との関係を規定するもの (特開 2 0 0 2— 2 0 7 3 0 4号公報参照) がある。
しかしながら、 特開平 9一 1 5 2 7 7 5号公報およぴ特開 2 0 0 2— 2 0 7 3 0 4号公報には、 前述したような小粒径化に伴うクリ一二ング性能低下に対する 解決技術についてはまったく開示されていない。 また特開平 9— 1 5 2 7 7 5号 公報に開示される技術では、 特定の無機微粒子を最表面に分散させた電子写真感 光体を準備しなければならないので、 生産性の観点において問題がある。
さらに他の従来技術には、 シロキサン系樹脂層が表面保護層として設けられた
P T/JP2004/001543 電子写真感光体の表面自由エネルギーを 40-8 OmN/mとし、 トナーの平均 粒径を 4〜1 2 μπιとし、 さらにトナーの平均帯電量を規定することによって、 クリーユング性を改善し、 安定して高品質の画像を得ることが提案されている
(特開 200 1— 27 280 9号公報参照) 。 しかしながら、 特開 200 1 - 2 72809号公報に開示される技術では、 電子写真感光体の表面に保護層が設け られるので、 感度、 帯電安定性において実用上充分な特性を得ることができず、 また生産効率が悪いという問題がある。
またトナー粒子の球形化による高画質化を提案する従来技術には、 結着樹脂お よぴ磁性体を含有する磁性トナー粒子の表面に無機微粉および導電性粉末とを有 する磁性トナーにおいて、 磁性トナーの平均円形度を 0. 970以上に規定する ことによって、 磁性トナー 1個 1個の帯電を均一にし、 かぶりの非常に少ない良 好な画像を得るというものがある (特開 200 1— 2 3 5 8 9 9号公報参照) 。 しかしながら、 特開 200 1— 2358 9 9号公報には、 トナー粒子の平均円形 度を高めるのに伴って、 残留トナーがクリ一エングブレードのエッジと電子写真 感光体表面との間を擦りぬけ易くなり、 タリ一ユング不良が発生するという問題 を解決する技術は開示されていない。
また、 35〜 6 5 mN/mの表面自由エネルギー ( γ ) を有する電子写真感光 体と特定のガラス転移温度 (T g) を有するトナーを使用して、 省エネルギー化 を達成し、 フィルミングを防ぐ方法が開示されている (特開 2002— 1 3 1 9 57号公報参照) 。 しかしながら、 特開 200 2— 1 3 1 9 5 7号公報に開示さ れる技術では、 電子写真感光体がアモルファスシリ コンに限定されている。 ァモ ルファスシリコン感光体は、 硬度に優れて長寿命を達成することが可能であるけ れども、 有機電子写真感光体に比べ、 製造コス トが非常に高いこと、 選択できる 材料の種が豊富であり種々の特性を有する積層型有機電子写真感光体に比べて設 計の自由度が狭いという問題がある。
【発明の開示】
本発明の目的は、 電子写真感光体のクリーニング性に優れるとともに、 高品質 およぴ高解像度の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することであ
2004/001543 る。
本発明の他の目的は、 トナーの平均円形度おょぴ電子写真感光体表面の表面自 由エネルギーの範囲を規定することによって、 転写効率および電子写真感光体の クリーニング性に優れるとともに、 高品質および高解像度の画像を形成すること のできる画像形成装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、 トナーの平均帯電量おょぴ電子写真感光体表面の 表面自由エネルギーの範囲を規定することによって、 電子写真感光体のクリー- ング性に優れるとともに、 高品質および高解像度の画像を形成することのできる 画像形成装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギーの範囲 を規定することによって、 低融点トナーを用いてもクリ一二ング不良を生じるこ とのない画像形成装置を提供することである。
本発明は、 画像情報に対応する光によって露光されて静電潜像の形成される感 光層を有する電子写真感光体と、 電子写真感光体の感光層の表面に現像剤に含ま れる トナーを供給することによって静電潜像を現像しトナー画像を形成する現像 手段と、 前記トナー画像を記録媒体である転写材に転写する転写手段と、 トナー 画像の転写材への転写後に電子写真感光体の表面に残留する残留トナーを除去す るタリ一ユング手段とを備える画像形成装置であって、
前記現像剤に含まれるトナーの体積平均粒子径が、
4 /i m以上、 7 以下であり、
前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (y ) I
2 O m NZm以上、 3 5 m N/m以下であることを特徴とする画像形成装置で ある。
また本発明は、 前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (γ ) が、 2 8 m NZm以上、 3 5 m N/m以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、 現像剤に含まれるトナーの体積平均粒子径が、 4 ;u m以上、 7 μ m以下であり、 電子写真感光体表面の表面エネルギーが、 2 0 mNZm以上、 3 5 mNZm以下、 好ましくは 2 8 m NZm以上、 3 5 m N "m以下になるよう
に設定される。 ここで言う電子写真感光体の表面自由エネルギーは、 前述した F o r k e sの拡張理論により算出導き出したものである。
電子写真感光体表面の表面自由エネルギーは、 電子写真感光体の表面に対する トナーの付着力の指標である。 一方、 トナーは、 画像の高品質化および高解像度 化を指向して小粒径化されるのに伴って単位重量あたりの表面積である比表面積 が増大するので、 分子間力の影響が増大し電子写真感光体に対する付着力が強く なる。 トナー粒子径が、 高品質および高解像度に好適な体積平均粒子径である 4 〜7 / mに設定されるとき、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な 範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を 発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 電子写真感光体 表面からトナー、 特に残留トナーが除去され易くなる。
このようにして、 現像性能を低下させることなく、 タリーエング性能を向上さ せることが可能になるので、 小粒径化されたトナー粒子を用いるにも関らずクリ 一二ング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の画像を形成すること のできる画像形成装置が実現される。
また本発明は、 画像情報に対応する光によって露光されて静電潜像の形成され る感光層を有する電子写真感光体と、 電子写真感光体の感光層の表面に現像剤に 含まれるトナーを供給することによって静電潜像を現像しトナー画像を形成する 現像手段と、 前記トナー画像を記録媒体である転写材に転写する転写手段と、 ト ナー画像の転写材への転写後に電子写真感光体の表面に残留する残留トナーを除 去するクリーニング手段とを備える画像形成装置であって、
前記現像剤に含まれるトナーの平均円形度が、 0 . 9 5以上であり、 前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (y ) 1S
2 O m N Zm以上、 3 5 m N /m以下であることを特徴とする画像形成装置で ある。
また本発明は、 前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (γ ) が、 Z S m N Zm以上、 3 5 m N /m以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、 現像剤に含まれるトナーの平均円形度が、 0 . 9 5以上であ
1543 り、 電子写真感光体表面の表面エネルギーが、 2 0 m N /ni以上、 S S m N Zm 以下、 好ましくは 2 8 m N /m以上、 3 5 m N /ni以下になるように設定される。 ここで言う電子写真感光体の表面自由エネルギーは、 前述した F o r k e sの拡 張理論により算出導き出したものである。 この電子写真感光体表面の表面自由ェ ネルギ一は、 電子写真感光体の表面に対するトナーの付着力の指標である。
小径のトナー粒子は、 画像の高品質化および高解像度化を指向して球形化され、 その平均円形度が高まるのに伴って、 帯電均一性が向上する。 トナーの平均円形 度が 0 . 9 5以上に設定されることによって、 帯電均一性の向上による高品質お よび高解像度の画像形成が実現される。 一般的にトナー粒子の平均円形度を高め ると、 クリーエングブレードにより電子写真感光体表面から残留トナーを搔取る ことが難しくなるけれども、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な 範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を 発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 クリーニンダブ レードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリ一ニング性を発現する ことができる。 また電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な範囲に設 定することによって、 電子写真感光体表面から転写材へのトナーの移行比率であ る転写効率を向上することができるので、 残留トナーの発生量そのものを抑制す ることが可能になる。
このように現像性能を低下させることなく、 転写効率を向上して残留トナーの 発生量を抑制するとともに、 残留トナーが発生した場合であっても、 タリーニン グブレードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリ一二ング性能を発 現させることができるので、 平均円形度の高い球状のトナー粒子を用いるにも関 らず転写効率とクリーニング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の 画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
また本発明は、 画像情報に対応する光によって露光されて静電潜像の形成され る感光層を有する電子写真感光体と、 電子写真感光体の感光層の表面に現像剤に 含まれるトナーを供給することによって静電潜像を現像しトナー画像を形成する 現像手段と、 前記トナー画像を記録媒体である転写材に転写する転写手段と、 ト
ナー画像の転写材への転写後に電子写真感光体の表面に残留する残留トナーを除 去するタリーニング手段とを備える画像形成装置であって、
前記現像剤に含まれるトナーの平均帯電量が、 l O /i C/g以上、 30 // C/ g以下であり、
前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (γ) 2 OmN/ m以上、 35 πιΝΖηι以下であることを特徴とする画像形成装置である。
また本発明は、 前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (γ) が、 S SmNZm以上、 35 mN/m以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、 現像剤に含まれるトナーの平均帯電量が、 10 /i C/g以上、 30 μ CZg以下であり、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギーが、 20m N/m以上、 3 δπιΝΖιη以下、 好ましくは 2 SmNZm以上、 3 5 Π1Ν//Π1以 下になるように設定される。 ここで言う電子写真感光体の表面自由エネルギーは、 前述した F o r k e sの拡張理論により算出導き出したものである。
この電子写真感光体表面の表面自由エネルギーと トナーの平均帯電量とは、 電 子写真感光体の表面に対するトナーの付着力の指標である。 電子写真感光体の表 面自由エネルギーと トナーの平均帯電量とを、 前記好適な範囲に設定することに よって、 電子写真感光体と トナーとの間には、 現像に必要な程度の付着力が発現 されるにも関らず過度の付着力が抑制されるので、 クリ一二ングブレードによる 残留トナーの搔取りが容易になり、 良好なクリーエング性が発現される。 このよ うに現像性能を低下させることなく、 良好なクリ一ユング性能を発現させること ができるので、 長期間安定して高品質および高解像度の画像を形成することので きる画像形成装置が実現される。
また本発明は、 前記トナーの体積平均粒子径が、 以上、 7 /xni以下であ ることを特徴とする。
本発明に従えば、 トナーの体積平均粒子径が、 4〜 7 /i mに設定される。 この ようにトナーを小粒径とすることによって、 画像の高品質化およぴ高解像度化を 実現することができる。 一方、 トナーが小粒径化されるのに伴って単位重量あた りの表面積である比表面積が増大するので、 分子間力の影響が増大し電子写真感
光体に対する付着力が強くなる。 しかしながら、 電子写真感光体の表面自由エネ ルギーを好適な範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な 程度の付着力を発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 電子写真感光体表面からトナー、 特に残留トナーが除去され易くなる。 このよう にして、 小粒径化されたトナー粒子を用いるにも関らずクリーユング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の画像を形成することのできる画像形成装 置が実現される。
また本発明は、 画像情報に対応する光によって露光されて静電潜像の形成され る感光層を有する電子写真感光体と、 電子写真感光体の感光層の表面に現像剤に 含まれるトナーを供給することによって静電潜像を現像しトナー画像を形成する 現像手段と、 前記トナー画像を記録媒体である転写材に転写する転写手段と、 ト ナー画像の転写材への転写後に電子写真感光体の表面に残留する残留トナーを除 去するタリーニング手段とを備える画像形成装置であって、
前記現像剤に含まれるトナーのガラス転移温度 (T g ) I 2 0 °Cを超え、 6 0 °C未満であり、
前記電子写真感光体の感光層表面の表面自由エネルギー (V ) 力 s、 O mN/ m以上、 3 5 m N/m以下であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、 トナーは、 ガラス転移温度 (T g ) 力 2 0 °Cを超え、 6 0 °C未満に設定され、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギー (γ ) 力 2 0 m N/m以上、 3 5 m N/m以下、 好ましくは 2 S m NZm以上、 3 5 m N/"m 以下になるように設定される。 ここで言う電子写真感光体の表面自由エネルギー は、 前述した F o r k e sの拡張理論により算出導き出したものである。 この電 子写真感光体表面の表面自由エネルギーは、 電子写真感光体の表面に対するトナ 一の付着力の指標である。
前述のようにトナーは、 低融点の特性を有するので、 トナー画像を記録媒体で ある転写材に定着させる定着工程における消費エネルギーを低減することができ る。 一方低融点トナーは、 電子写真感光体表面に付着してフィルミングを生じや すいけれども、 電子写真感感光体の表面自由エネルギーが、 低い水準である 2 0
3
〜3 5 m N /mに設定されるので、 トナー粒子が電子写真感光体の表面に付着し ても、 トナーと電子写真感光体表面との相互作用が小さいので、 クリーニングブ レードの擦過によって容易に除去され、 良好なクリ一ユング性を得ることができ る。 このようにして、 低融点トナーを用いてもクリーニング不良を生じることの ない画像形成装置が実現される。
また本発明は、 前記トナーの平均円形度が、 0 . 9 5 0以上であることを特徴 とする。
また本発明によれば、 トナーは、 低温定着性を有することに加えて、 トナー粒 子の平均円形度が 0 . 9 5 0以上とされる。 トナーの平均円形度が 0 . 9 5 0以 上に設定されることによって、 帯電均一性の向上による高品質および高解像度の 画像形成が実現される。 一般的にトナー粒子の平均円形度を高めると、 クリ一二 ングプレードにより電子写真感光体表面から残留トナーを搔取ることが難しくな るけれども、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを 2 0〜3 5 m N /mの範囲 に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を発現 するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 クリ一ユングブレー ドによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリ一ニング性を発現すること ができる。 また電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な範囲に設定す ることによって、 電子写真感光体表面から転写材へのトナーの移行比率である転 写効率を向上することができるので、 残留トナーの発生量そのものを抑制するこ とが可能になる。
このように現像性能を低下させることなく、 転写効率を向上して残留トナーの 発生量を抑制するとともに、 残留トナーが発生した場合であっても、 タリーニン グブレードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリーエング性能を発 現させることができるので、 平均円形度の高い球状のトナー粒子を用いるにも関 らず転写効率とクリーニング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の 画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
また本発明は、 前記クリーニング手段は、 電子写真感光体に当接し、 電子写真 感光体表面上のトナーを除去するクリ一ユングブレードを含み、
4 001543 電子写真感光体に当接するクリ一ユングブレードの線圧が、 1 0 g f Z c m以 上、 3 5 g f Z c m以下であることを特徴とする。
また本発明によれば、 クリ一エング手段に備わるクリ一二ングブレードの電子 写真感光体に対する線圧が、 1 0〜3 5 g f c mに設定される。 一方、 電子写 真感光体の表面自由エネルギーが、 2 0〜3 5 m N/mの範囲に設定されるので、 トナーと電子写真感光体との相互作用、 すなわちトナーの電子写真感光体表面に 対する過度の付着力が抑制される。 したがって、 前述のように比較的低いタリー ニングプレードの線圧であっても、 電子写真感光体表面の残留トナーが容易に除 去されるので、 クリーニング不良が発生することはない。 またクリーニングブレ 一ドの電子写真感光体に対する線圧が低いので、 電子写真感光体の磨耗が抑制さ れ、 装置寿命が延長される。 このようにして、 長期間の使用においてもタリー二 ング不良に起因する画像品質不良を生じることのない画像形成装置が実現される。 また本発明は、 前記電子写真感光体の感光層が、 有機光導電体系材料を含んで 構成されることを特徴とする。
本発明に従えば、 電子写真感光体の感光層が、 有機光導電体系材料を含んで構 成される。 このことによって、 電子写真感光体の材料設計が、 容易になり、 かつ 低コストおよび高効率生産が実現される。
また本発明は、 前記電子写真感光体の感光層は、 電荷発生物質を含む電荷発生 層と、 電荷輸送物質を含む電荷輸送層とが積層されて構成されることを特徴とす る。
本発明に従えば、 電子写真感光体の感光層は、 電荷生成物質を含む電荷発生層 と、 電荷輸送物質を含む電荷輸送層とが積層されて構成される。 このように感光 層を複数層が積層されるタイプにすることによって、 各層を構成する材料および その組合せの自由度が増すので、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギー値を 所望の範囲に設定することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
本発明とこれらの目的とそれ以外の目的と、 特色と利点とは、 下記の詳細な説 明と図面とから一層明確になるであろう。
図 1は、 本発明の実施の一形態である画像形成装置 1の構成を簡略化して示す 配置側面図である。
図 2は、 図 1に示す画像形成装置 1に備わる電子写真感光体 2の構成を簡略化 して示す部分断面図である。
図 3は、 本発明の実施の第 2の形態である画像形成装置に備わる感光体 5 3の 構成を簡略化して示す部分断面図である。
図 4は、 トナーの平均円形度とコピー枚数との関係を示す図である。
図 5は、 付着濡れの状態を例示する側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、 添付図面を参照して、 本発明に従う画像形成装置の好適な実施形態につ いて説明する。 図 1は本発明の実施の一形態である画像形成装置 1の構成を簡略 化して示す配置側面図であり、 図 2は図 1に示す画像形成装置 1に備わる電子写 真感光体 2の構成を簡略化して示す部分断面図である。
まず本発明における画像形成装置 1の主要な構成部材である電子写真感光体 2 (以後、 感光体と略称する) について説明する。 感光体 2は、 導電性素材からな る導電性支持体 3と、 導電性支持体 3上に積層される下引層 4と、 下引層 4上に 積層される層であって電荷発生物質を含む電荷発生層 5と、 電荷発生層 5の上に さらに積層される層であって電荷輸送物質を含む電荷輸送層 6とを含む。 電荷発 生層 5と電荷輸送層 6とは、 感光層 7を構成する。
導電性支持体 3は、 円筒形状を有し、 (a ) アルミニウム、 ステンレス鋼、 銅、 ュッケルなどの金属材料、 (b ) ポリエステルフィルム、 フエノール樹脂パイプ、 紙管などの絶縁性物質の表面にアルミニウム、 銅、 パラジウム、 酸化錫、 酸化ィ ンジゥムなどの導電性層を設けたものが好適に用いられ、 その体積抵抗が 1 0 1 ° Ω · c m以下の導電性を有するものが好ましい。 導電性支持体 3には、 前述の 体積抵抗を調整する目的で表面に酸化処理が施されてもよい。 導電性支持体 3は、 感光体 2の電極としての役割を果たすとともに他の各層 4, 5 , 6の支持部材と しても機能する。 なお導電性支持体 3の形状は、 円筒形に限定されることなく、 板状、 フィルム状おょぴベルト状のいずれであってもよい。
下引層 4は、 たとえば、 ポリアミ ド、 ポリウレタン、 セルロース、 エトロセル ロース、 ポリビュルアルコール、 ポリビュルピロリ ドン、 ポリアクリルアミ ド、 アルミニウム陽極酸化被膜、 ゼラチン、 でんぷん、 カゼイン、 N—メ トキシメチ ル化ナイロンなどによって形成される。 また酸化チタン、 酸化錫、 酸化アルミ二 ゥムなどの粒子を下引層 4中に分散させてもよい。 下引層 4の膜厚は、 約 0 . 1 〜 1 0 /z mに形成される。 この下引層 4は、 導電性支持体 3と感光層 7との接着 層としての役割を果たすとともに、 導電性支持体 3から電荷が感光層 7へ流込む のを抑制するバリア層としても機能する。 このように下引層 4は感光体 2の帯電 特性を維持するように作用するので、 感光体 2の寿命を延ばすことができる。 電荷発生層 5は、 公知の電荷発生物質を含んで構成することができる。 電荷発 生物質には、 可視光を吸収してフリー電荷を発生するものであれば、 無機顔料、 有機顔料および有機染料のいずれをも用いることができる。 無機顔料としては、 セレンおよびその合金、 ヒ素ーセレン、 硫化カドミウム、 酸化亜鉛、 ァモルファ スシリコン、 その他の無機光導電体が挙げられる。 有機顔料としては、 フタロシ ァニン系化合物、 ァゾ系化合物、 キナタリ ドン系化合物、 多環キノン系化合物、 ペリレン系化合物などが挙げられる。 有機染料としては、 チアピリ リウム塩、 ス クァリ リゥム塩などが挙げられる。 前述の電荷発生物質の中でもフタロシアニン 系化合物が好適に用いられ、 特にチタニルフタロシアニン化合物を用いることが 最適であり、 良好な感度特性、 帯電特性および再現性が得られる。 さらにブタジ ェン系化合物と組合せて用いることによって、 特に良好な感度特性、 帯電特性お よび再現性が得られる。
前述の列挙した顔料および染料の他に、 電荷発生層 5には、 化学増感剤または 光学増感剤を添加してもよい。 化学増感剤として、 電子受容性物質、 たとえば、 テトラシァノエチレン、 7, 7, 8, 8—テトラシァノキノジメタンなどのシァ ノ化合物、 アントラキノン、 p—ベンゾキノンなどのキノン類、 2, 4, 7—ト リエトロフ /レオレノン、 2, 4, 5 , 7—テトラニトロフノレオレノンなどのニト 口化合物が挙げられる。 光学増感剤として、 キサンテン系色素、 チアジン色素、 トリフユニルメタン系色素などの色素が挙げられる。
1543 電荷発生層 5は、 前述の電荷発生物質をバインダ樹脂とともに、 適当な溶媒中 に分散させ、 下引層 4上に積層し、 乾燥または硬化させて成膜する。 バインダ樹 脂としては、 具体的に、 ポリアリレート、 ポリビニルプチラール、 ポリカーポネ ート、 ポリエステル、 ポリスチレン、 ポリ塩化ビュル、 フエノキシ樹脂、 ェポキ シ樹脂、 シリコーン、 ポリアタリレートなどが挙げられる。 溶媒としては、 イソ プロピノレアノレコーノレ、 シクロへキサノン、 シクロへキサン、 トノレェン、 キシレン、 アセトン、 メチルェチルケトン、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサン、 ジォキソラ ン、 ェチ /レセロソ /レブ、 酢酸ェチノレ、 酢酸メチノレ、 ジクロロメタン、 ジクロロェ タン、 モノクロノレベンゼン、 エチレングリコーノレジメチノレエーテノレなどが挙げら れる。
なお溶媒は、 前述のものに限定されることなく、 アルコール系、 ケトン系、 ァ ミド系、 エステル系、 エーテル系、 炭化水素系、 塩素化炭化水素系、 芳香族系の うちから選択されるいずれかの溶媒系を、 単独または混合して用いてもよい。 た だし、 電荷発生物質の粉砕およびミリング時の結晶転移に基づく感度低下、 およ ぴポットライフによる特性低下を考慮した場合、 無機や有機顔料において結晶転 移を起こしにくいシク口へキサノン、 1 , 2—ジメ トキシェタン、 メチルェチル ケトン、 テトラヒ ドロキノンのいずれかを用いることが好ましい。
電荷発生層 5の形成には、 真空蒸着法、 スパッタリング法、 C V D法などの気 相堆積法や塗布方法などを適用することができる。 塗布方法を用いる場合、 電荷 発生物質をボールミル、 サンドグラインダ、 ペイントシエイカ、 超音波分散機な どによって粉砕して溶剤に分散し、 必要に応じてバインダ樹脂を加えた塗布液を、 公知の塗布法によって下引層 4上に塗布する。 下引層 4の形成される導電性支持 体 3が円筒状の場合、 塗布法にはスプレイ法、 垂直型リング法、 浸漬塗布法など を用いることができる。 電荷発生層 5の膜厚は、 約 0 . 0 5〜5 / mであること が好ましく、 より好ましくは約 0 . l〜l mである。
なお下引層 4の形成されている導電性支持体 3の形状がシートの場合、 塗布法 にはべ一力アプリケータ、 バーコータ、 キャスティング、 スピンコートなどを用 いることができる。
2004/001543 電荷輸送層 6は、 公知の電荷輸送物質と結着樹脂とを含んで構成することがで きる。 電荷発生層 5に含まれる電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、 これを 輸送する能力を有するものであればよい。 電荷輸送物質としては、 たとえばポリ —N—ビュル力ルバゾールおよびその誘導体、 ポリ—g—力ルバゾリルェチルグル タメートおよびその誘導体、 ポリビニルビレン、 ポリビニルフエナントレン、 ォ キサゾール誘導体、 ォキサジァゾール誘導体、 イミダゾール誘導体、 9一(p—ジ ェチルアミノスチリル)アントラセン、 1, 1一ビス(4ージベンジルァミノフエ エル)プロパン、 スチリルアントラセン、 スチリルピラゾリン、 ピラゾリン誘導 体、 フエニルヒ ドラゾン類、 ヒ ドラゾン誘導体、 トリフエニルァミン系化合物、 テトラフエ-ルジァミン系化合物、 スチルベン系化合物、 3—メチルー 2—ベン ゾチアゾリン環を有するァジン化合物等の電子供与性物質が挙げられる。
電荷輸送層 6を構成する結着樹脂としては、 電荷輸送物質と相溶性を有するも のであればよく、 たとえば、 ポリカーボネートおよび共重合ポリカーボネート、 ポリアリレート、 ポリビュルブチラール、 ポリアミ ド、 ポリエステル、 エポキシ 樹脂、 ポリウレタン、 ポリケトン、 ポリビ-ルケトン、 ポリスチレン、 ポリアク リルアミ ド、 フエノール樹脂、 フエノキシ樹脂およびポリスルホン樹脂、 それら の共重合樹脂などが挙げられる。 これらの樹脂を単独または 2種以上混合して用 いてもよい。 前述の結着樹脂の中でもポリスチレン、 ポリカーボネートおよび共 重合ポリカーボネート、 ポリアリレート、 ポリエステルなどの樹脂は、 1 0 1 3 Ω以上の体積抵抗率を有し、 成膜性や電位特性などにも優れている。
またこれらの材料を溶解させる溶剤は、 メタノ一ルゃェタノールなどのアルコ ール類、 アセトン、 メチルェチルケトンゃシクロへキサノンなどのケトン類、 ェ チルエーテル、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサンゃジォキソランなどのエーテル 類、 クロ口ホルム、 ジクロロメタンゃジクロロェタンなどの脂肪族ハロゲン化炭 化水素、 ベンゼン、 クロ口ベンゼンやトルエンなどの芳香族類などを用いること ができる。
電荷輸送層 6を形成するための電荷輸送層用塗布液は、 結着樹脂溶液中へ電荷 輸送物質を溶解して調製される。 電荷輸送層 6に占める電荷輸送物質の割合は、
3 0〜 8 0重量%の範囲が好ましい。 電荷発生層 5上への電荷輸送層 6の形成は、 前述の下引層 4上に電荷発生層 5を形成したのと同様にして行われる。 電荷輸送 層 6の膜厚は、 1 0〜 5 0 μ mが好ましく、 より好ましくは 1 5〜4 0 /x mであ る。
また、 電荷輸送層 6には、 1種以上の電子受容性物質や色素を含有させること によって、 感度の向上を図り繰返し使用時の残留電位の上昇や疲労などを抑える ようにしてもよい。 電子受容性物質としては、 たとえば無水コハク酸、 無水マレ イン酸、 無水フタル酸、 4一クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、 テトラシ ァノエチレン、 テレフタルマロンジ二トリノレなどのシァノ化合物、 4一二トロべ ンズアルデヒ ドなどのアルデヒ ド類、 アントラキノン、 1一二トロアントラキノ ンなどのアントラキノン類、 2, 4, 7—トリニトロフルォレノン、 2 , 4, 5, 7—テトラエトロフルォレノンなどの多環または複素環ュトロ化合物が挙げられ、 これらを化学増感剤として用いることができる。
色素としては、 たとえば、 キサンテン系色素、 チアジン色素、 トリフエニルメ タン色素、 キノリン系顔料、 銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物が挙げ られ、 これらを光学増感剤として用いることができる。
さらに、 電荷輸送層 6には、 公知の可塑剤を含有させることによって、 成形性、 可撓性および機械的強度を向上させるようにしてもよい。 可塑剤としては、 二塩 基酸エステル、 脂肪酸エステル、 リン酸エステル、 フタル酸エステル、 塩素化パ ラフィン、 エポキシ型可塑剤などが挙げられる。 また、 感光層 7には、 必要に応 じてポリシロキサンなどのゆず肌防止のためのレベリング剤、 耐久性向上のため フエノール系化合物、 ハイ ドロキノン系化合物、 トコフヱロール系化合物、 アミ ン系化合物などの酸化防止剤、 紫外線吸収剤などを含有してもよい。
前述のように構成される感光体 2の表面、 すなわち感光層 7表面の表面自由ェ ネルギー (γ ) は、 拡張 F o r k e s理論によって算出される値が、 2 0 m N/ m以上、 3 5 m N /m以下、 好ましくは 2 8 m N /m以上、 3 5 m N Zm以下に なるように制御設定される。
表面自由エネルギーが 3 5 m NZmを超えると、 トナーの感光体表面に対する
4 001543 付着力が増大するのでクリ一ユング性が悪化する。 表面自由エネルギーが 2 0 m N/m未満になると、 トナーと感光体 2表面との付着力が低下するので、 装置内 へのトナー飛散およぴ感光体 2上のトナー画像部以外の部分に付着した微粉トナ 一の記録紙への移行により画像かぶりが発生する。 したがって、 表面自由エネル ギ一は、 2 0〜3 δ πι ΝΖπιが好適である。
感光体 2表面の表面自由エネルギーの前述範囲への制御設定は、 以下のように して行われる。 比較的低い表面自由エネルギー値を有する、 たとえばポリテトラ フルォロエチレン (略称 P T F E ) を代表とするフッ素系材料、 ポリシロキサン 系材料などを、 感光層 7に導入し、 その含有量を調整することによって実現でき る。 また感光層 7に含まれる電荷発生物質、 電荷輸送物質および結着樹脂の種類、 これらの組成比を変化させることによつても実現できる。 また感光層 7を形成す る際の乾燥温度を調整することによっても実現できる。
このようにして制御設定される感光体 2表面の表面自由エネルギーは、 前述の ように表面自由エネルギーの双極子成分、 分散成分および水素結合成分が既知で ある試薬を使用し、 その試薬との付着性を測定することによって求められる。 具 体的には、 試薬に純水、 ヨウ化メチレン、 α—プロモナフタレンを使用し、 接触 角計 C A— X (商品名 ;協和界面株式会社製) を用いて、 感光体 2表面に対する 接触角を測定し、 測定結果に基づき表面自由エネルギー解析ソフ ト E G— 1 1
(商品名 ;協和界面株式会社製) を用いて各成分の表面自由エネルギーを算出す ることができる。 なお試薬は、 前述の純水、 ヨウ化メチレン、 α—プロモナフタ レンに限定されるものではなく、 双極子成分、 分散成分、 水素結合成分が適宜な 組合せの試薬を用いてもよい。 また測定方法も、 前述の方法に限定されるもので はなく、 たとえばウィルヘルミ法 (つり板法) やドウ ·ヌィ法などが用いられて もよい。
以下感光体 2における静電潜像形成動作について簡単に説明する。 感光体 2に 形成される感光層 7は、 帯電器などでたとえば負に一様に帯電され、 帯電された 状態で電荷発生層 5に吸収波長を有する光が照射されると、 電荷発生層 5中に電 子および正孔の電荷が発生する。 正孔は、 電荷輸送層 6に含まれる電荷輸送材料
によって感光体 2表面に移動されて表面の負電荷を中和し、 電荷発生層 5中の電 子は、 正電荷が誘起された導電性支持体 3の側に移動し、 正電荷を中和する。 こ のように、 感光層 7には、 露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯 電量とに差異が生じて静電潜像が形成される。
次に図 1に戻り、 前述の感光体 2を備える画像形成装置 1の構成および画像形 成動作について説明する。 本実施の形態として例示する画像形成装置 1は、 デジ タル複写機 1である。
デジタル複写機 1は、 大略スキャナ部 1 1と、 レーザー記録部 1 2とを含む構 成である。 スキャナ部 1 1は、 透明ガラスからなる原稿载置台 1 3と、 原稿載置 台 1 3上へ自動的に原稿を供給搬送するための両面対応自動原稿送り装置 (RA DF) 14と、 原稿載置台 1 3上に載置された原稿の画像を走査して読取るため の原稿画像読取りュニットであるスキャナュニット 1 5とを含む。 このスキャナ 部 1 1にて読取られた原稿画像は、 画像データとして画像データ入力部へと送ら れ、 画像データに対して所定の画像処理が施される。 RADF 1 4には、 RAD F 14に備わる原稿トレイ上に複数枚の原稿を一度にセットしておき、 セットさ れた原稿を 1枚ずつ自動的に原稿載置台 1 3上へ給送する装置である。 また RA DF 1 4は、 オペレーターの選択に応じて原稿の片面または両面をスキャナュニ ット 1 5に読取らせるように、 片面原稿のための搬送経路、 両面原稿のための搬 送経路、 搬送経路切り換え手段、 各部を通過する原稿の状態を把握し管理するセ ンサ一群、 制御部などを含んで構成される。
スキャナュニット 1 5は、 原稿面上を露光するランプリフレタターアセンブリ 1 6と、 原稿からの反射光像を光電変換素子 (略称 CCD) 23に導くために原 稿からの反射光を反射する第 1反射ミラー 1 7を搭載する第 1走査ュニット 1 8 と、 第 1反射ミラー 1 7からの反射光像を CCD 23に導くための第 2およぴ第 3反射ミラー 1 9, 20を搭載する第 2走査ュニット 2 1と、 原稿からの反射光 像を前述の各反射ミラー 1 7, 1 9, 2◦を介して電気的画像信号に変換する C CD 2 3上に結像させるための光学レンズ 2 2と、 前記 C CD 2 3とを含む構成 である。
スキャナ部 1 1は、 R A D F 1 4とスキャナュ-ット 1 5との関連動作によつ て、 原稿载置台 1 3上に読取るべき原稿を順次給送載置させるとともに、 原稿載 置台 1 3の下面に沿ってスキャナュニット 1 5を移動させて原稿画像を読取るよ うに構成される。 第 1走査ユニット 1 8は、 原稿載置台 1 3に沿って原稿画像の 読取り方向 (図 1では紙面に向って左から右) に一定速度 Vで走査され、 また第 2走査ユニット 2 1は、 その速度 Vに対して 2分の 1 (VZ 2 ) の速度で同一方 向に平行に走査される。 この第 1およぴ第 2走查ユニット 1 8 , 2 1の動作によ つて、 原稿載置台 1 3上に載置された原稿画像を 1ライン毎に順次 C C D 2 3 へ 結像させて画像を読取ることができる。
原稿画像をスキャナュニット 1 5で読取って得られた画像データは、 画像処理 部へ送られ、 各種画像処理が施された後、 画像処理部のメモリに一旦記憶され、 出力指示に応じてメモリ内の画像を読出してレーザー記録部 1 2に転送して記録 媒体である記録紙上に画像を形成させる。
レーザー記録部 1 2は、 記録紙の搬送系 3 3と、 レーザー書込みュ-ット 2 6 と、 画像 形成するための電子写真プロセス部 2 7とを備える。 レーザー書込み ュニット 2 6は、 前述のスキャナュニット 1 5にて読取られてメモリに記憶され た後にメモリから読出される画像データ、 または外部の装置から転送される画像 データに応じてレーザー光を出射する半導体レーザー光源と、 レーザー光を等角 速度偏向するポリゴンミラーと、 等角速度で偏向されたレーザー光が電子写真プ 口セス部 2 7に備えられる感光体 2上で等角速度で偏向されるように補正する f 一 Θレンズなどを含む。
電子写真プロセス部 2 7は、 前述の感光体 2の周囲に帯電器 2 8、 現像手段で ある現像器 2 9、 転写手段である転写器 3 0、 クリーニング手段であるタリーェ ング器 3 1が、 矢符 3 2で示す感光体 2の回転方向の上流側から下流側に向って この順番に備えられる。 前述のように感光体 2は、 帯電器 2 8によって一様に帯 電され、 帯電された状態でレーザ書込みュニット 2 6から出射される原稿画像デ ータに対応するレーザー光によって露光される。 露光されることによって感光体 2表面に形成される静電潜像は、 現像器 2 9から供給されるトナーによって現像
され、 可視像であるトナー画像となる。 感光体 2表面に形成されたトナー画像は、 後述する搬送系 3 3によって供給される記録紙上に転写器 3 0によって転写され る。 転写器 3 0には、 コロナ放電方式または転写ローラ方式のいずれが用いられ てもよい。
感光体 2表面に形成される静電潜像に現像剤に含まれるトナーを供給して現像 する現像器 2 9は、 ケーシング 2 9 aと、 ケーシング 2 9 aに回転自在に支持さ れる攪拌ローラ 2 9 bおよび現像ローラ 2 9 cと、 ケーシング 2 9 a内に収容さ れる現像剤 5 0とを含む構成である。 攪拌ローラ 2 9 bは、 ケーシング 2 9 a内 に収容される現像剤 5 0を攪拌するとともに現像ローラ 2 9 cへと搬送する。 現 像ローラ 2 9 cは、 攪拌ローラ 2 9 bによって搬送されてきた現像剤 5 0に含ま れるトナーを感光体 2表面の静電潜像に供給する。
現像剤には、 磁性または非磁性の 1成分系現像剤もしくは 2成分系現像剤のい ずれが用いられてもよく、 現像剤に含まれるトナーは、 接触または非接触で感光 体へ供給される。 いずれの場合も、 光が照射された明部電位を現像する反転現像 方式が用いられる。
本実施の形態では、 現像剤 5 0は 2成分系であり、 トナーとキャリアとを含む。 以下現像剤 5 0に含まれるトナーについて説明する。 トナーは、 結着樹脂、 着色 剤、 ワックス、 帯電制御剤、 必要に応じてその他の添加剤をヘンシェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機により充分混合し、 得られた混合物を二軸混練機 で溶融混練して混練物を作製し、 混練物をジ ット式粉砕機にて粉砕して作成さ れる。 さらに混練物を粉砕後分級することによって、 体積平均粒子径で 4 /x m以 上、 7 μ πι以下に調整されたトナーを得ることができる。
トナーの体積平均粒子径が 4 μ πι未満では、 比表面積の増大に伴う分子間力の 影響の増大に起因して感光体表面に対する付着力が大きくなるので、 クリ一ニン グ性が悪くなる。 トナーの体積平均粒子径が 7 μ πιを超えると、 トナー粒子が粗 いことに起因して画像品質が低下する。 したがって、 トナーの体積平均粒子径を、 4 ~ 7 μ mとした。
現像剤 5 0は、 前述のようにして作製されるトナーにキヤリァである無機微粒
子を添加し、 ヘンシェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機でトナーをキ ャリアに付着、 均一分散させることによって作製される。
トナーに用いられる結着樹脂としては、 ポリスチレン、 スチレン一アクリル共 重合体、 スチレン一アクリロニトリル共重合体、 スチレン一無水マレイン酸共重 合体、 スチレン一アクリル一無水マレイン酸共重合体、 ポリ塩化ビュル、 ポリオ レフイン樹脂、 エポキシ樹脂、 シリコーン樹脂、 ポリアミ ド樹脂、 ポリウレタン 樹脂、 ウレタン変性ポリエステル樹脂、 アクリル樹脂等が単独あるいは混合物で 使用できるほか、 ブロック重合体、 グラフト重合体として使用することができる。 また、 これらの結着樹脂は 1山あるいは 2山分布のものなどトナー用として公知 の分子量分布を有するものがすべて使用可能である。
また、 結着樹脂の熱的特性としては、 ガラス転移点 T gが 4 0 °C〜7 0 °Cであ るものが好適に用いられる。 4 0 °C以下のガラス転移点 T gを有するものでは、 装置内温度が上昇した場合、 溶融してトナー同士の凝集が発生してしまう可能性 が高い。 また 7 0 °C以上のガラス転移点 T gを有するものでは、 定着性能が劣る ので、 実使用に耐えない。
着色剤としては、 カーボンブラック、 鉄黒、 合金ァゾ染料、 その他各種の油溶 性染料 '顔料等を用いることができ、 これらの着色剤は、 樹脂成分 1 0 0重量部 に対して、 1〜 1 0重量部添加するのが望ましい。
ワックスとしては、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 エチレン一プロピレン重 合体、 ポリオレフイン系ワックスからなる群から選ばれる少なくとも 1種類を、 樹脂成分 1 0 0重量部に対して、 1〜 1 0重量部含有させるのが望ましい。
帯電制御剤には、 正帯電制御用および負帯電制御用の 2種類があり、 たとえば、 ァゾ系染料、 カルボン酸金属錯体、 四級アンモ-ゥム化合物、 ニグ口シン系染料 等を用いることができ、 これらの帯電制御剤は、 樹脂成分 1 0 0重量部に対して、 0 . 1〜 5重量部添加するのが望ましい。
キャリアに用いられる添加無機微粒子としては、 シリカ、 チタン、 アルミナ、 マグネタイ ト、 フ ライ トなどの金属酸化物微粒子、 チッ化けい素、 チッ化ホウ 素などの金属チッ化物微粒子などの微粉末が挙げられ、 さらにこれらの微粉末表
面をジメチルジクロルシラン、 アミロシラン等のシランカップリング処理ゃシリ コーンオイル処理を施したもの、 フッ素含有成分などを付与したものなどが使用 でき、 これらのうちの 1種または複数種を添加すればよい。 なお添加無機微粒子 には、 導電性無機微粒子、 特にマグネタイ トを用いることが望ましい。
記録紙の搬送系 3 3は、 画像形成を行う電子写真プロセス部 2 7の特に転写器 3 0の配置される転写位置へ記録紙を搬送する搬送部 3 4と、 搬送部 3 4へ記録 紙を送込むための第 1〜第 3カセット給紙装置 3 5 , 3 6 , 3 7と、 所望の寸法 の記録紙を適宜給紙するための手差給紙装置 3 8と、 感光体 2から記録紙に転写 された画像、 特にトナー画像を定着する定着器 3 9と、 トナー画像定着後の記録 紙の裏面 (トナー画像の形成された表面の反対側の面) に、 さらに画像を形成す るために記録紙を再供給するための再供給経路 4 0とを含む。 この搬送系 3 3の 搬送経路上には、 多数の搬送ローラ 4 1が設けられ、 記録紙は搬送ローラ 4 1に よって搬送系 3 3内の所定の位置に搬送される。
定着器 3 9によってトナー画像を定着処理された記録紙は、 裏面に画像形成す るべく再供給経路 4 0に給送されるカ または排紙ローラ 4 2によって後処理装 置 4 3へ給送される。 再供給経路 4 0に給送された記録紙には、 前述の動作が繰 返し実行されて裏面に画像形成される。 後処理装置 4 3に給送された記録紙は、 後処理が施された後、 後処理工程に応じて定められる排紙先である第 1または第 2排紙カセット 4 4 , 4 5のいずれかに排紙されて、 デジタル複写機 1における 一連の画像形成動作が終了する。
本発明では、 前述のようにトナーの体積平均粒子径は、 画像の高品質 ·高解像 度化の観点から、 4〜 7 // mと小さく設定され、 トナーが付着する対象である感 光体 2の感光層 7の表面自由エネルギー (γ ) は、 2 0〜 3 5 m N /m、 好まし くは 2 8〜 3 5 m N/mと低く設定される。
このように、 トナーの小粒径化によって分子間力の影響が大きくなるけれども、 感光体 2表面を構成する感光層 7表面の表面自由エネルギーが低いので、 感光体 2表面と トナーとの界面自由エネルギーは、 転写おょぴクリーニング動作にとつ て好適な範囲となる。 感光体 2表面と トナーとの界面自由エネルギーが好適な範
囲に設定されることによって、 トナーは、 感光体 2表面から記録紙上へ容易に移 行転写されて残留トナーが発生しにく く、 また発生した残留トナーもクリ一ニン グ器 3 1によって容易にクリーニングされる。 さらに残留トナーが感光体 2表面 から容易に除去されるので、 感光体 2表面をクリ一ユングするために設けられる クリ一二ング器 3 1のクリ一二ングブレードの研磨能力を弱く、 またクリ一ニン グブレードの感光体 2表面に対する当接圧力も小さく設定することができ、 感光 体 2の寿命が延長される。
したがって、 形成される画像の高品質化と感光体 2の優れたクリ一二ング性と をともに達成するとともに、 感光体 2表面が常に清浄な状態に保たれ、 画質の良 好な画像を長期間安定して形成することの可能な画像形成装置 1が実現される。 本発明の他の例において、 画像形成装置であるデジタル複写機 1の現像器 2 9 に備えられる現像剤 5 0の成分である トナーについて説明する。 トナーは、 結着 樹脂、 着色剤、 ワックス、 帯電制御剤、 必要に応じてその他の添加剤をへンシェ ルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機により充分混合し、 得られた混合物 を二軸混練機によって溶融混練して混練物を作製し、 混練物をジエツト式粉碎機 にて粉砕後、 分級することによって作製される。 さらに、 該トナーには、 無機微 粒子が添加され、 ヘンシェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機により付 着、 均一分散される。
トナーに用いられる結着樹脂としては、 スチレン -アクリル系共重合体、 ァク リル系重合体、 ポリエステル樹脂等が挙げられる。 これらの中でも、 樹脂の化学 構造設計における自由度の高いポリエステル樹脂が好適に用いられる。
トナーに用いられる外添剤としては、 たとえば、 シリカ微粉体、 アルミナ微粉 体、 酸化チタン微粉体、 酸化ジルコニウム微粉体、 酸化マグネシウム微粉体、 酸 化亜鉛などの金属酸化物の微粉体、 また窒化ホウ素微粉体、 窒化アルミニウム微 粉体、 窒化炭素微粉体のような窒化物の微粉体、 さらにチタン酸カルシウム、 チ タン酸ストロンチウム、 チタン酸バリ ウム、 チタン酸マグネシウムなどが挙げら れる。 なお外添剤には、 特に平均一次粒子径 0 . 0 0 1〜0 . 2 μ ΐηの無機微粉 体を用いるのが好ましい。
また外添剤には、 トナーの流動性を高めるばかりでなく、 トナーの帯電性を阻 害しないことも必要とされる。 したがって、 無機微粉体は表面疎水化処理されて いることがさらに好ましく、 表面疎水化処理によつて流動性の付与と帯電の安定 化を同時に満足することが可能となる。 すなわち外添剤に表面疎水化処理を施す ことによって、 帯電量を左右する因子である水分の影響を除外し、 高湿下および 低湿下での帯電量の格差を低減することができるので、 環境特性を向上させるこ とが可能になるとともに、 製造工程中に疎水化処理を入れることによって一次粒 子の凝集が防止され、 トナーに均一な帯電付与をすることが可能になる。
疎水化処理剤は、 表面改質の目的、 たとえば帯電特性のコントロール、 さらに は高湿下での帯電の安定化および反応性に応じて適宜選択される。 疎水化処理剤 としては、 たとえばアルキルアルコキシシラン、 シロキサン、 シラン、 シリコー ンオイルなどのシラン系有機化合物が挙げられ、 反応処理温度にて、 それ自体が 熱分解しないものが良い。 好ましくは、 カップリング剤などの揮発性を有し、 疎 水性基および反応性に富む結合基の両方を有する下記一般式 (4 ) で示されるァ ルキノレアルコキシランが用いられる。
R m S i Y η … (4 )
[式中、 Rはアルコキシ基を示し、 mは 1 〜 3の整数を示し、 Yはアルキル基、 ビニル基、 グリシドキシ基、 メタクリル基のごとき炭化水素基を示し、 nは 1 〜 3の整数を示す]
前記一般式で示されるアルキルアルコキシランとしては、 たとえばビエルトリ メ トキシシラン、 ビュルトリエトキシシラン、 γ—メタクリルォキシプロビルト リメ トキシシラン、 ビニルトリァセトキシシラン、 メチルトリメ トキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、 イソブチルトリメ トキシシラン、 ジメチルジメ トキ シシラン、 ジメチルジェトキシシラン、 トリメチルメ トキシシラン、 ヒ ドロキシ プロピルトリメ トキシシラン、 フエニルトリメ トキシシラン、 η —へキサデシル トリメ トキシシラン、 η—ォクタデシルトリメ トキシシランなどを挙げることが できる。
より好ましくは、 式 C aH 2 a+ 1— S i 一 ( O C bH 2 b+ 1 ) 3 [式中、 aは 4 〜 1 2
の整数を示し、 bは 1〜3の整数を示す] で示されるアルキルアルコキシシラン 化合物が用いられる。 ここで一般式における aが 4未満であると、 処理は容易に なるけれども良好な疎水性が得られにくい。 また、 aが 1 2を超えると疎水性は 充分であるけれども、 微粉体同士の合一が多くなり流動性付与能が低下する傾向 を示す。 また、 bが 3を超えると反応性が低下して良好な疎水化が得られにくい。 したがって、 aが 4〜 1 2、 好ましくは 4~8、 bが 1〜 3、 好ましくは:!〜 2 とした。
外添剤の疎水化処理に際し、 疎水化処理剤の配合量は、 外添剤であるシリカ微 粉体 1 00重量部に対して、 1〜50重量部、 好ましくは 3〜45重量部とする のがよく、 疎水化度を 30〜90%、 好ましくは 40〜80%とするのがよい。
トナーには、 必要に応じて離型剤が含有されてもよい。 離型剤としては、 それ 自体公知の任意の離型剤、 たとえば脂肪族系樹脂、 脂肪族系金属塩、 高級脂肪酸 類、 脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物類等の脂肪族系化合物が挙げら れる。 具体的には、 たとえば低分子量ポリプロピレン、 高分子量ポリエチレン、 パラフィンワックス、 炭素数 4以上のォレフィン単体からなる低分子量ォレフィ ン重合体、 シリコーンオイル、 各種ワックス等を使用することができる。
本発明のトナーの着色剤には、 公知のカーポンプラックを使用することができ る。 たとえば米国キヤポッ ト社製リーガル (REGAL) 400 R, 500 R, 660 R、 コロンビヤン .カーボン日本 (株) 製ラベン (RAVEN) H 20 , ラベン 1 6, ラベン 1 4, ラベン 430, ラベン 450, ラベン 500、 ***デ グサ社製プリンテクス (P r i n t e x) 200, プリンテクス A, スペシャル ブラック 4, プリンテクス Gなどが挙げられる。 なお着色剤のカーボンブラック は、 これらに限定されるものではなく、 他のものが用いられてもよい。 また、 こ れらのカーボンブラックを、 単独でまたは 2種以上を種々の組成に組合わせて用 いることができる。
本発明に用いられるトナーは、 粉砕法によって製造することも可能である。 し かしながら、 粉砕法によって得られるトナー粒子は、 一般的に不定形になる傾向 があるので、 本発明に用いられるトナーの特徴である平均円形度が 0. 9 5以上
JP2004/001543 という物性を得るためには機械的 ·熱的または他の処理を行うことが好ましい。 トナーの平均円形度を 0 . 9 5以上にするための処理方法としては、 ト^ "一の帯 電特性、 転写特性およびその他の画像特性、 さらに 産性の面を考慮にいれると、 機械的衝撃力による処理を加える方法を用いることが好ましい。
機械的衝撃力を加える処理方法としては、 たとえば川崎重工社製のクリブトロ ンシステムやターボ工業社製のターボミルのような機械衝撃式粉砕機、 ホソカワ ミクロン社製のメカノフュージョンシステムのようなト ^ "一を遠心力によってケ 一シングの内側に押し付けてトナーに圧縮力おょぴ摩擦力などの機械的衝撃力を 加える方法などが挙げられる。 この機械的衝撃力による処理時間を変化させるこ とによって、 トナーの平均円形度を調整することができる。
また平均円形度が 0 . 9 5以上のトナーを、 重合法によって製造してもよい。 重合法としては、 ビニル系単量体などを含有するトナー形成用組成物を水中に懸 濁させる方法が挙げられる。 この場合、 懸濁液におけるトナー形成用組成物の濃 度が、 1〜5 0重量%になるようにし、 懸濁粒子のサイズは 1〜 3 0 μ mになる よう調節した。
トナー形成用組成物の懸濁状態を安定化させるために、 分散安定剤を添加して もよい。 分散安定剤としては、 媒体中に可溶の高分子、 たとえばポリビエルアル コール、 メチルセルロース、 ェチルセルロース、 ポリアクリル酸、 ポリアクリル アミ ド、 ポリエチレンォキシド、 ポリ (ハイ ドロォキシステアリ ン酸一 g—メタ クリル酸メチルー CO—メタクリル酸) 共重合体や非イオン性もしくはイオン性界 面活性剤またはリン酸カルシウムなどの無機粉末などが挙げられる。 分散安定剤 は、 トナー形成用組成物全量に対して 0 . 1〜 1 0重量%を加えることが好まし い。
トナー形成用組成物中におけるラジカル重合開始剤の量は、 単量体に対して、 0 . 3〜3 0重量%、 好ましくは 0 . 5〜 1 0重量%である。 重合に際しては、 反応系を窒素ガスで満たし、 懸濁液中におけるトナー形成用組成物の懸濁状態を 維持しつつ、 4 0〜1 0 0 °Cの環境温度下で攪拌し重合を行う。 反応後の重合生 成物である生成粒子を、 濾過し、 水または適当な溶剤で精製し、 乾燥して、 トナ
一を作製する。
機械的衝撃力による処理を加える方法や重合法によって作製されるトナーには、 粒子の流動性を向上させるために、 流動性改良剤 (表面処理剤) を外添すること が好ましい。 流動性改良剤としては、 たとえばカーボンブラック、 疎水性非晶質 シリカ、 疎水性微粉アルミナ、 微細酸化チタン、 微細球状樹脂などが挙げられる。 本実施の形態では、 流動性改良剤を外添しトナー粒子に付着させることによって、 現像に用いるトナーとする。 流動性改良剤は、 トナー全量に対して 0. 1〜3. 0重量%を添加するのがよい。
本明細書におけるトナー粒子の円形度 (a i ) は、 下記式 (5) によって定義 される。 式 (5) に定義されるような円形度 (a は、 たとえば東亜医用電子 製フロー式粒子像分析装置 「F P I A— 2000」 を用いることによって測定さ れる。 また m個のトナー粒子について測定した各円形度 (a i ) の総和を求め、 総和をトナー粒子数 mで除算する式 (6) によって得られる算術平均値を平均円 形度 (a) と定義する。
【数 1】
.、 粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長 … , 円形度(ai)= (5)
粒子の投影像の周囲の長さ
【数 2】 平均円形度 (a) =∑ a i/m … (6) さらに、 円形度を 0. 40から 1. 00まで0. 0 1毎に 6 1分割し、 測定し た各トナー粒子の円形度 (a i ) を、 各分割範囲にそれぞれ割振ることによって 得られる円形度 (a i ) の頻度分布において、 頻度値が最大となる円形度をモー ド円形度 (a m) と定義する。
なお、 本実施の形態で用いる前記測定装置 「F P I A— 2000」 では、 各ト ナー粒子の円形度 (a i ) を算出後、 得られた各トナー粒子の円形度 (a i ) を、 前述の円形度 0. 40〜1. 00を 6 1分割した各分割範囲に分けて頻度を求め、 各分割範囲の中心値と頻度とを用いて平均円形度の算出を行うという簡易算出法
01543 を用いている。 この簡易算出法で算出される平均円形度の値と、 前述の式 (6) で与えられる平均円形度 (a) の値との誤差は、 非常に小さく実質的に無視出来 る程度のものなので、 本実施の形態では、 簡易算出法による平均円形度を、 前記 式 (6) で定義される平均円形度 (a) として取扱う。 このように本実施の形態 では、 算出時間の短縮化などの観点から簡易算出法を用いているけれども、 この ような簡易算出法を用いることは本発明の主旨を逸脱するものではない。
平均円形度 (a i ) およびモード円形度 (am) の具体的な測定方法は、 以下 のとおりである。 界面活性剤を約 0. lmg溶解している水 1 OmLに、 現像剤 5mgを分散させて分散液を調製し、 周波数 20 kH z、 出力 5 0 Wの超音波を 分散液に 5分間照射し、 分散液中のトナー粒子濃度を 5000〜 20000個 Z μ Lとして、 前記装置 「F P I A— 2000j により円形度 (a i ) の測定を行 い、 平均円形度 (a) およびモード円形度 (am) を求めた。
トナーは、 その平均円形度が 0. 9 5以上に設定されるので、 帯電均一性が向 上し、 高品質および高解像度の画像を形成することができる。 また現像時にはト ナ一が付着し、 転写時およびクリーニング時にはト^ "一が離脱する対象である感 光体 2の表面自由エネルギー (γ) は、 20~3 5mNZmという好適な範囲に 設定されているので、 トナーに対して現像に必要な程度の付着力を発現するにも 関らず過度の付着力が抑制される。 このことによって、 感光体 2表面に形成され たトナー画像を転写材に転写する際の転写効率を向上して残留トナーの発生量を 抑制し、 クリ一ユングする際のクリ一二ングブレードによる残留トナーの搔取り を容易にして良好なクリ一ユング性を発現することができる。
このように、 トナーの平均円形度および感光体 2表面の表面自由エネルギー (γ) を好適な範囲に規定することによって、 平均円形度の高い球状のトナー粒 子を用いるにも関らず転写効率とクリ一エング性とに優れ、 長期間安定して高品 質および高解像度の画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。 本発明のさらに他の例において、 画像形成装置であるデジタル複写機 1の現像 器 29に備えられる現像剤 50の成分であるトナーについて説明する。 トナーは、 結着樹脂、 着色剤、 ワックス、 帯電制御剤、 必要に応じてその他の添加剤をヘン
シェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機により充分混合し、 得られた混 合物を二軸混練機によって溶融混練して混練物を作製し、 混練物をジエツト式粉 砕機にて粉砕して作製される。 粉砕後分級することによって、 体積平均粒子径で
4〜 7 /x mに調整されたトナーを得ることができる。 さらに、 該トナーには、 無 機微粒子が添加され、 ヘンシェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機によ り付着、 均一分散される。 このようにして作製されるトナーの体積平均粒子径は、 たとえばマルチサイザ一測定機 (コールター社製) によって測定することができ る。 '
トナーに用いられる結着樹脂としては、 ポリスチレン、 スチレン一アクリル共 重合体、 スチレン一アタリロュトリル共重合体、 スチレン一無水マレイン酸共重 合体、 スチレン一アク リル—無水マレイン酸共重合体、 ポリ塩化ビエル、 ポリオ レフイン樹脂、 エポキシ樹脂、 シリコーン樹脂、 ポリアミ ド樹脂、 ポリウレタン 樹脂、 ウレタン変性ポリエステル樹脂、 アク リル樹脂等が単独あるいは混合物で 使用できるほか、 ブロック重合体、 グラフト重合体として使用することができる。 また、 これらの結着樹脂は 1山あるいは 2山分布のものなどトナー用として公知 の分子量分布を有するものがすべて使用可能である。
また、 結着樹脂の熱的特性としては、 ガラス転移点 T gが 4 0 °C〜7 0 °Cであ るものが好適に用いられる。 4 0 °C以下のガラス転移点 T gを有するものでは、 装置内温度が上昇した場合、 溶融してトナー同士の凝集が発生してしまう可能性 が高い。 また 7 0 °C以上のガラス転移点 T gを有するものでは、 定着性能が劣る ので、 実使用に耐えない。
着色剤としては、 カーボンブラック、 鉄黒、 合金ァゾ染料、 その他各種の油溶 性染料 .顔料等を用いることができ、 これらの着色剤は、 樹脂成分 1 0 0重量部 に対して、 1〜 1 0重量部添加するのが望ましい。
ワックスとしては、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 エチレン一プロピレン重 合体、 ポリオレフイン系ワックスからなる群から選ばれる少なくとも 1種類を、 樹脂成分 1 0 0重量部に対して、 1〜1 0重量部含有させるのが望ましい。
帯電制御剤には、 正帯電制御用おょぴ負帯電制御用の 2種類があり、 たとえば、
2004/001543 ァゾ系染料、 カルボン酸金属錯体、 四級アンモユウム化合物、 ニグ口シン系染料 等を用いることができ、 これらの帯電制御剤は、 樹脂成分 1 0 0重量部に対して、 0 . 1〜 5重量部添加するのが望ましい。
得られたトナーに流動性や研磨性等の機能を付加するために、 有機および Zま たは無機微粉体をトナーに分散'添加してもよい。 添加量としては、 トナー 1 0 0重量部に対して微粉体 0 . 3〜5重量部使用するのがよい。 有機微粉体として は、 たとえばアクリル樹脂、 ポリエステル樹脂、 フッ素系樹脂、 スチレン系樹脂 などが挙げられる。 無機微粉体としては、 たとえばシリカ微粉体、 酸化チタン微 粉体、 アルミナ微粉体などが挙げられる。 特に、 B E T法で測定した窒素吸着に より比表面積が 9 0〜 1 5 O m 2ノ gの範囲内の無機微粉体を添加することによ つて良好な結果が得られる。
また、 無機微粉体は、 必要に応じ、 疎水化および帯電能コントロールの目的で、 シリ コーンワニス、 各種変性シリ コーンワニス、 シリ コーンオイル、 各種変性シ リコーンオイル、 シランカップリング剤、 官能基を有するシランカップリング剤、 その他の有機ケィ素化合物などの処理剤で処理されてもよい。 特に、 シリコーン オイルで表面処理されたシリカ微粉体が好ましい。
その他の添加剤としては、 P T F E、 ステアリン酸亜鉛、 ポリフッ化ビニリデ ン、 シリ コーンオイル粒子 (約 4 0 %のシリカ含有) などの滑剤が好適に用いら れる。 また、 酸化セリウム、 炭化ケィ素、 チタン酸カルシウム、 チタン酸スト口 ンチウムなどの研磨剤が好ましく用いられ、 中でもチタン酸ストロンチウムが好 ましい。
また、 カーボンブラック、 酸化亜鉛、 酸化アンチモン、 酸化スズなどの導電性 付与剤をトナー粒子と逆極性を持つ白色微粒子おょぴ黒色微粒子の現像性向上剤 として少量用いてもよい。
感光体 2の感光層 7に形成される静電潜像は、 前述のようにして作製されるト ナーを含む磁性あるいは非磁性の 1成分現像剤あるいは 2成分現像剤を用いて、 接触あるいは非接触で現像される。 いずれの場合も、 光が照射された明部電位を 現像する反転現像方式が採用される。
4001543
1成分現像剤として用いる場合、 非磁性 1成分現像剤として前述のように作製 されるトナーをそのまま用いる方法もあるけれども、 一般的には、 トナー粒子中 に大きさが 0. 1〜5 zm程度の磁性粒子を含有させ磁性 1成分現像剤として用 いられる。 また、 2成分現像剤として使用する場合、 鉄粉、 フェライト、 マグネ タイ ト、 樹脂ビーズなどからなるキャリアを、 トナーに所望の混合率にて混合す る。 その際混合されるキャリアの重量平均粒径は、 40〜 1 00 /xmの範囲にあ るのが好ましく、 より好ましくは 50〜80 //inの範囲である。 粒径が 40 zm 未満であるとキヤリァ飛びが多くなり、 装置内飛散による汚染および感光体を傷 つけることとなる。 一方、 逆に粒径が 1 00 / mを超えると、 現像剤の穂が硬く なり感光体へのダメージが大きくなり、 感光層の膜減りが多く、 寿命の短い感光 体となってしまう。
トナーの平均帯電量を丄 0〜30 μ C/gに調整する制御は、 帯電制御剤の種 類や添加量を変えることによって、 また 2成分現像剤の場合には現像剤に混合さ れるキヤリァ粒子のコーティング材料の種類ゃコーティング量を変えることによ つて実現される。 このトナーの平均帯電量は、 たとえば次のようにして測定され る。 キャリアと トナーとがトナー濃度 B%で混合された現像剤を C g (約 0. 2 g程度) 枰量採取し、 ブローオフ機 丁 ー 200型 (東芝ケミカル社製) に よって測定する。 測定に用いたブローオフ圧を 1. 0 k g/cm2 とし、 30 秒後のブローオフ値を Aとするとき、 次式 (7) によって平均帯電量が求められ る。
平均帯電量 (/x C/g) =A X 1 00/ (B XC) … (7) 以下にトナーの平均帯電量の範囲限定理由について説明する。 トナーの平均帯 電量が 1 0 /X C/g未満であると、 トナーと感光体 2表面との静電気的な付着力 が低下し、 感光体 2表面のトナーが飛散し易くなるので、 地肌かぶりの増加や記 録紙の裏面汚れなどの画像不良が多く発生する。 一方トナーの平均帯電量が 30 μ C/gを超えると、 トナーと感光体 2表面との静電気的な付着力が大きくなり 過ぎてトナーが感光体 2表面から除去されにくくなるので、 クリ一ユング不良が 発生する。 したがって、 トナーの平均帯電量を 1 0〜 30 ^ C/gとした。
このように感光体 2の表面自由エネルギー ("y ) およびトナーの平均帯電量が 好適範囲に設定されるデジタル複写機 1では、 感光体2と トナーとの間には、 現 像に必要な程度の付着力が発現されるにも関らず過度の付着力が抑制されるので、 クリ一ユングブレードによる残留トナーの搔取りが容易になり、 良好なクリ一二 ング性が発現される。 したがって、 クリーニング性に優れるとともに長期間安定 して高品質および高解像度の画像を形成することのできる画像形成装置の提供が 実現される。
本発明のさらに他の例において、 前述のようにしてトナー画像が記録紙上に転 写された後、 感光体 2は、 さらに矢符 3 2方向への回転を継続し、 クリーニング 器 3 1に備えられるクリーユングブレード 3 1 aに対して摺動することによって、 その表面がクリ一-ングブレード 3 1 aで擦過されてクリ一ユングされる。 この ようなクリ一ユング工程は、 感光体 2上のトナー画像を転写器 3 0によって記録 紙に転写した後、 感光体 2の表面上に残留したトナーを除去するためのものであ る。
クリーニング器 3 1に備えられるクリーニンダブレード 3 1 aの素材には、 一 般に (1 ) 感光体を汚染したり傷付けたり しないこと、 (2 ) 耐摩耗性に優れる こと、 (3 ) 圧縮 '引張永久歪が小さいこと、 などの性能が要求される。 このよ うなク リーユングブレード 3 1 aの素材にはゴム弾性体が好適に用いられ、 ゴム 弾性体としては、 たとえば、 ポリ ウレタンゴム、 シリ コーンゴム、 エトリルゴム、 クロロプレンゴム等のゴム弾性を有するものが挙げられ、 中でも耐摩耗性および 永久変形性の点からポリウレタンゴムが好ましい。 さらに、 永久歪が小さいこと から 2液性熱硬化型ポリウレタンゴム材料が、 より好ましい。 ポリウレタンゴム に用いる硬化剤としては、 1, 4一ブタンジオール、 1 , 6—へキサンジオール、 ノヽイ ドロキノンジェチローノレエーテノレ、 ビスフエノーノレ A、 トリメチローノレプロ パン、 トリメチロールェタン等の一般的なウレタン硬化剤を用いることができる。 なお、 クリーニングブレード 3 1 aは、 一種類のゴム弾性体から構成されても よく、 また、 予め成形したゴム弾性体に、 別途成型したゴム弾性体を、 感光体に 対する当接部材として先端部に装着するようにして構成されてもよい。 タリー二
01543 ングブレード 3 1 aの感光体 2に対する当接形態は、 感光体 2の回転方向 3 2に 対し、 順方向およびカウンター方向のいずれであってもよいけれども、 カウンタ 一方向の方が、 クリ一エング特性が高くかつフィルミング除去能力が高いので、 より好ましい。
このように設けられるクリーエング器 3 1のクリーニングブレード 3 1 aが感 光体 2に当接する線圧は、 l O g f Zc m iO. 9 8 X 1 0 _ 1Ν/ c m) 以上、 3 5 g f / c m ( 3. 4 3 X 1 O '^N c m) 以下の範囲に設定される。 線圧 が 1 0 g f Z cm未満であると、 記録紙へ転写されることなく感光体表面に残つ た残留トナーを搔取ることができず、 画像上にかぶりとなって現れるクリーニン グ不良を引き起こす。 一方、 線圧が 3 5 g f Zcmを超えると、 良好なタリー- ング性能を得ることはできるけれども、 クリーユング時に感光体の表面を研削し、 感光体の膜べりを大きくするので、 感光体の寿命が短くなり、 そのためメンテナ ンスコストが高くなる。 したがって、 クリーニングブレード 3 1 aの感光体 2に 対する線圧を、 1 0 g f /cm以上、 3 5 g f /c m以下とした。
次に本発明の画像形成装置 1が有する特徴であり、 画像形成装置であるデジタ ル複写機 1の現像器 2 9に備えられる現像剤 5 0の成分であるトナーについて説 明する。 トナーは、 結着樹脂、 着色剤、 ワックス、 帯電制御剤、 必要に応じてそ の他の添加剤をヘンシェルミキサー、 スーパーミキサーなどの混合機により充分 混合し、 得られた混合物を二軸混練機によって溶融混練して混練物を作製し、 混 練物をジェット式粉砕機にて粉砕後、 分級することによって作製される。 さらに、 該トナーには、 無機微粒子が添加され、 ヘンシェルミキサー、 スーパーミキサー などの混合機により付着、 均一分散される。
トナーに用いられる結着樹脂としては、 スチレン一アクリル系共重合体、 ァク リル系重合体、 ポリエステル樹脂等が挙げられる。 これらの中でも、 樹脂の化学 構造設計における自由度の高いポリエステル樹脂が好適に用いられる。
低温においても定着可能なトナーに要求される特性には、 低い定着温度におけ る充分な定着特性とともに優れたホットオフセット性が有る。 ホットオフセット 現象とは、 定着工程において、 ヒートローラ表面と転写されたトナー画像とが直
接接触し、 ヒートローラから加えられる熱と圧力とによって、 トナーが記録紙等 に溶融および定着される際、 トナー画像の一部がヒートローラ表面に付着転移し、 さらにこの転移物が次の定着対象である記録紙等に再転移する現象のことである。 このようなホットオフセット現象が発生すると、 記録紙上に形成される画像に力 プリが生じる。
また、 長期間保存する場合、 トナーには、 凝集塊が生じないという保存安定性 も要求される。 したがって、 低温で定着可能なトナーの作製には、 ホットオフセ ット性および保存安定性を向上させるための高い分子量を持つ結着樹脂と、 低温 定着性を達成するための低い分子量の結着樹脂との両者を用い、 高分子量の結着 樹脂と低分子量の結着樹脂とのそれぞれに別の機能を担当させている。 たとえば、 同一組成の樹脂の高分子量部分と低分子量部分、 2山の分子量分布を持つような 結着樹脂を用いてもよく、 また低分子量部分と高分子量部分とで異なる組成の結 着樹脂を用いてもよい。 後者の場合、 低分子量部分と高分子量部分とで異なる化 学構造の結着樹脂を使用することが可能であるので、 材料選択の自由度が増す。
トナーの着色剤としては、 公知のカーボンブラックを使用することができ、 た とえば米国キャボッ ト社製リーガル (REGAL) 400 R, 5 00 R, 6 60 R、 コロンビヤン .カーボン日本 (株) 製ラベン (RAVEN) H 20 , ラベン 1 6, ラベン 14, ラベン 430, ラベン 450, ラベン 500、 ***デグサ社 製プリンテクス (P r i n t e x) 200, プリンテクス A, スペシャルブラッ ク 4, プリンテクス Gなどが挙げられる。
なお、 着色剤のカーボンブラックは、 これらに限定されるものではなく、 他の ものが用いられてもよい。 また、 これらのカーボンブラックを、 単独でまたは 2 種以上を種々の組成に混合して用いることができる。
トナーに用いられる外添剤としては、 たとえば、 シリカ微粉体、 アルミナ微粉 体、 酸化チタン微粉体、 酸化ジルコニウム微粉体、 酸化マグネシウム微粉体、 酸 化亜鉛などの金属酸化物の微粉体、 また窒化ホウ素微粉体、 窒化アルミニウム微 粉体、 窒化炭素微粉体のような窒化物の微粉体、 さらにチタン酸カルシウム、 チ タン酸ス トロンチウム、 チタン酸バリウム、 チタン酸マグネシウムなどが挙げら
れる。 なお外添剤には、 特に平均一次粒子径が 0. 001〜0. の無機微 粉体を用いるのが好ましい。
また外添剤には、 トナーの流動性を高めることとともに、 トナーの帯電性を阻 害しないことも必要とされる。 したがって、 無機微粉体は表面疎水化処理されて いることがさらに好ましく、 表面疎水化処理によつて流動性の付与と帯電の安定 化を同時に満足することが可能となる。 すなわち外添剤に表面疎水化処理を施す ことによって、 帯電量を左右する因子である水分の影響を除外し; 高湿下および 低湿下での帯電量の格差を低減することができるので、 環境特性を向上させるこ とが可能になるとともに、 製造工程中に疎水化処理を入れることによって一次粒 子の凝集が防止され、 トナーに均一な帯電付与をすることが可能になる。
トナーには、 必要に応じて離型剤が含有されてもよい。 離型剤としては、 それ 自体公知の任意の離型剤、 たとえば脂肪族系樹脂、 脂肪族系金属塩、 高級脂肪酸 類、 脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物類等の脂肪族系化合物が挙げら れる。 具体的には、 たとえば低分子量ポリプロピレン、 高分子量ポリエチレン、 パラフィンワックス、 炭素数 4以上のォレフィン単体からなる低分子量ォレフィ ン重合体、 シリコーンオイル、 各種ワックス等を使用することができる。
前述のような特性が要求される低温定着トナーのガラス転移温度 (以後、 T g と呼ぶ) は、 20°Cを超え、 60°C未満に設定される。 トナーの T gが 20°C以 下であると、 現像槽内で攪拌される間に凝集塊を生じたり、 またトナーの保存安 定性が悪化する。 トナーの T gが 60°C以上であると、 定着温度を下げることが できず、 複写機、 プリンター全体としての省エネルギー化を達成することができ ない。 したがって、 トナーの T gを、 20°Cを超え、 60°C未満とした。
なお、 T gは以下のようにして求められる。 示差走査熱量計 (セイコー電子ェ 業社製、 DSC 210) を用いて、 まず試料を200°Cまで昇温し、 次に 20 0°Cから 0°Cまで降温速度 10°CZ分で冷却し、 さらに昇温速度 1 0°CZ分で昇 温しながら測定を行う。 測定試料は精密に 1 Omg秤量し、 これをアルミパンに 入れる。 リファレンスとして空のアルミパンを用いる。 T gは、 前述の測定によ つて得られるチャートから、 T g未満のベースラインの延長線と、 ピークの立上
がり部分からピークの丁員点までにおいて最大傾斜を示す接線との交点の温度を求 め、 該温度を T gとする。
本発明に用いられるトナーは、 粉砕法によって製造することも可能である。 し かしながら、 粉砕法によって得られるトナー粒子は、 一般的に不定形になる傾向 があるので、 機械的 .熱的または他の処理を行うことによって、 円形度を高める ことが好ましい。 トナーの円形度を高めるための処理方法としては、 トナーの帯 電特性、 転写特性およびその他の画像特性、 さらに生産性の面を考慮すると、 機 械的衝撃力を加える処理方法が好適に用いられる。
機械的衝撃力を加える処理方法としては、 たとえば川崎重工業株式会社製のク リプトロンシステムまたはターボ工業社製のターボミルなどのような機械衝撃式 粉砕機、 ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムのようなト^ "一を 遠心力によってケーシングの内側に押付け、 トナーに圧縮力および摩擦力などの 機械的衝擊カを加える方法などが挙げられる。 粉砕法で得られたトナーはいびつ な形をしているけれども、 このような後処理を加えることによって、 トナーの角 をとり、 円形度を向上することができる。 機械的衝撃力を加える処理方法におい ては、 処理時間または処理装置中のトナー濃度などを調整することによって、 任 意の平均円形度のトナーを得ることができる。
また平均円形度が高いトナーを、 重合法によって製造してもよい。 重合法とし ては、 ビニル系単量体などを含有する トナー形成用組成物を水中に懸濁させる方 法が挙げられる。 この場合、 懸濁液におけるトナー形成用組成物の濃度が、 1〜 5 0重量%になるようにし、 懸濁粒子のサイズは 1〜3 0 /z mになるよう調節す る。
トナー形成用組成物の懸濁状態を安定化させるために、 分散安定剤を添加して もよい。 分散安定剤としては、 媒体中に可溶の高分子、 たとえばポリビニルアル コーノレ、 メチルセルロース、 ェチルセルロース、 ポリアクリノレ酸、 ポリアクリル アミ ド、 ポリエチレンォキシド、 ポリ (ハイドロォキシステアリン酸一 g—メタ クリル酸メチルー CO—メタクリル酸) 共重合体、 非イオン性もしくはイオン性界 面活性剤またはリン酸カルシウムなどの無機粉末などが挙げられる。 分散安定剤
は、 トナー形成用組成物全量に対して 0 . 1〜 1 0重量%を加えることが好まし い。
トナー形成用組成物中におけるラジカル重合開始剤の量は、 単量体に対して、
0 . 3〜3 0重量%、 好ましくは 0 . 5〜 1 0重量%である。 重合に際しては、 反応系を窒素ガスで満たし、 懸濁液中におけるトナー形成用組成物の懸濁状態を 維持しつつ、 4 0〜 1 0 0 °Cの環境温度下で攪拌し重合を行う。 反応後の重合生 成物である生成粒子を、 濾過し、 水または適当な溶剤で精製し、 乾燥して、 トナ 一を作製する。
機械的衝撃力による処理を加える方法または重合法によって作製されるトナー には、 粒子の流動性を向上させるために、 流動性改良剤 (表面処理剤) を外添す ることが好ましい。 流動性改良剤としては、 たとえばカーボンブラック、 疎水性 非晶質シリカ、 疎水性微粉アルミナ、 微細酸化チタン、 微細球状樹脂などが挙げ られる。 本実施の形態では、 流動性改良剤を外添しトナー粒子に付着させること によって、 現像に用いるトナーとする。 流動性改良剤は、 トナー全量に対して 0 . 1〜3 . 0重量%を添加するのがよい。
本明細書におけるトナー粒子の円形度 (a i ) は、 前記式 (5 ) によって定義 される。 また: m個のトナー粒子について測定した各円形度 (a i ) の総和を求め、 総和をトナー粒子数 mで除算する前記式 (6 ) によって得られる算術平均値を平 均円形度 (a ) と定義する。
トナーは、 その平均円形度 (a ) が 0 . .9 5 0以上であることが好ましく、 平 均円形度を 0 . 9 5 0以上とすることによって、 帯電均一性が向上し、 高品質お よび高解像度の画像を形成することができる。 また現像時にはトナーが付着し、 転写時おょぴクリ一ユング時にはト ~ "一が離脱する対象である感光体 2の γは、
2 0〜 3 S m NZmという好適な範囲に設定されているので、 トナーに対して現 像に必要な程度の付着力を発現するにも関らず過度の付着力が抑制される。 この ことによって、 感光体 2表面に形成されたトナー画像を転写材に転写する際の転 写効率を向上して残留トナーの発生量を抑制し、 クリーニングする際のクリー二 ングブレードによる残留トナーの搔取りを容易にして良好なクリ一ニング性を発
現することができる。
このように、 トナーの平均円形度 (a ) および感光体 2表面の γを好適な範囲 に規定することによって、 平均円形度 (a ) の高い球状のトナー粒子を用いるに も関らず転写効率とクリ一二ング性とに優れ、 長期間安定して高品質およぴ高解 像度の画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
図 3は、 本発明の実施の第 2の形態である画像形成装置に備わる感光体 5 3の 構成を簡略化して示す部分断面図である。 本実施の形態の画像形成装置に備わる 感光体 5 3は、 実施の第 1形態の画像形成装置 1に備わる感光体 2に類似し、 対 応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。 感光体 5 3にお いて注目すべきは、 導電性支持体 3上に単層からなる感光層 5 4が形成されるこ とである。
感光層 5 4は、 実施の第 1形態の感光体 2に用いるのと同様の電荷発生物質、 電荷輸送物質、 結着樹脂などを用いて形成される。 結着樹脂中に電荷発生物質お よび電荷輸送物質を分散したり、 電荷輸送物質を含む結着樹脂中に電荷発生物質 を顔料粒子の形で分散させたりして調製した感光層用塗布液を用い、 実施の第 1 形態の感光体 2における電荷発生層 5を形成するのと同様の方法によって単層の 感光層が導電性支持体 3上に形成される。 本実施の形態の単層型感光体 5 3は、 オゾン発生が少ない正帯電型画像形成装置用の感光体として好適であり、 また塗 布されるべき感光層 5 4がー層のみであるので、 製造原価および歩留が電荷発生 層おょぴ電荷輸送層の積層して構成される積層型に比べて優れている。
(第 1実施例)
以下本発明の実施例について説明する。 なお本発明は、 以下に説明する実施例 に限定されるものではない。
まず、 直径: 3 O m m、 長さ : 3 2 6 . 3 mmのアルミニウム製導電性支持体 上に種々の条件にて感光層を形成し、 実施例および比較例として準備した感光体 について説明する。
(実施例の S 1〜S 6感光体)
( S 1感光体) ;酸化チタン (T T O 5 5 A:石原産業社製) 7重量部および
共重合ナイロン (CM 8000 :東レ社製) 1 3重量部を、 メチルアルコール 1 5 9重量部と 1, 3—ジォキソラン 1 06重量部との混合溶剤に加え、 ペイント シェーカーにて 8時間分散処理して下引層用塗布液を調製した。 この塗布液を塗 布槽に満たし、 導電性支持体を浸漬後引上げ、 自然乾燥して層厚 1 μπιの下引層 を形成した。
ォキソチタニルフタロシアニン 3重量部とプチラール樹脂 (B L— 1 :積水化 学社製) 2重量部とを、 メチルェチルケトン 245重量部に混合し、 ペイントシ エーカーにて分散して電荷発生層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 下引層の 場合と同様の浸漬塗布法にて前述の下引層上に塗布し、 自然乾燥して層厚 0. 4 μ mの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質として下記構造式 ( I ) で示されるスチリル系化合物 5重量部、 ポリエステル樹脂 (Vy 1 o 11290 :東洋紡株式会社製) 2. 7 5重量部、 ポ リカーボネート樹脂 (G400 :出光興産株式会社製) 5. 2 5重量部、 スミラ ィザー BHT (住友化学株式会社製) 0. 05重量部を混合し、 テトラヒ ドロフ ラン 47重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸 漬塗布法にて前述の電荷発生層上に塗布し、 1 1 0°Cで 1時間乾燥して層厚 28 μπιの電荷輸送層を形成した。 このようにして S 1感光体を作製した。
【化 1】
(S 2感光体) ; S 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成した。 次いで電荷輸送物質として下記構造式 (Π) で示されるブタジエン系化合物を 5 重量部、 4種類のポリカーボネート樹脂、 J 500 (出光興産株式会社製) 2. 4重量部、 G400 (出光興産株式会社製) 1. 6重量部、 GH 503 (出光興
産株式会社製) 1. 6重量部、 T S 20 20 (帝人化成株式会社製) 2. 4重量 部、 さらにスミライザ一 BHT (住友化学株式会社製) ◦. 2 5重量部を混合し、 テトラヒドロフラン 4 9重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 こ の塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 30°Cで 1時間乾燥して 層厚 28 μ mの電荷輸送層を形成した。 このようにして S 2感光体を作製した。 【化 2】
(S 3感光体) ;電荷輸送層形成に際し、 バインダー樹脂を、 GH 50 3 (出 光興産株式会社製) 4重量部、 T S 2020 (帝人化成株式会社製) 4重量部と した以外は、 S 2感光体と同様にして S 3感光体を作製した。
(S 4感光体) ; S 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成した。 次いで電荷輸送物質として前記構造式 (Π) で示されるブタジエン系化合物を 3, 5重量部、 下記構造式 (ΠΙ) で示されるスチリル系化合物を 1. 5重量部、 4種 類のポリカーボネート樹脂、 J 500 (出光興産株式会社製) 2. 2重量部、 G 400 (出光興産株式会社製) 2. 2重量部、 GH 503 (出光興産株式会社 製) 1. 8重量部、 T S 2020 (帝人化成株式会社製) 1. 8重量部、 さらに スミライザ一 BHT (住友化学株式会社製) 1. 5重量部を混合し、 テトラヒ ド 口フラン 5 5重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 20°Cで 1時間乾燥して層厚 28 μιη の電荷輸送層を形成した。 このようにして S 4感光体を作製した。
【化 3】
(S 5, S 6感光体) ; S 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形 成した。 次いで、 電荷輸送層形成に際し、 ポリカーボネート樹脂の一部に代えて、 表面自由エネルギー (以後、 1 と略記する) の低い樹脂であるポリテトラフルォ 口エチレン (PTFE) を用いた以外は、 S 2感光体と同様にして塗布液を調製 した。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 20°〇で1時間 乾燥して層厚 28 /zmの電荷輸送層を形成した。 なお電荷輸送層形成用の塗布液 中に占める P T F Eの含有比率は、 S 6感光体の方が S 5感光体よりも大きくな るようにして、 S 6感光体の γ力 S 5感光体の γよりも小さくなるようにそれ ぞれ作製した。
(比較例の R 1〜R 4感光体)
(R 1感光体) ;第 1実施例の S 1感光体と同様にして下引層および電荷発生 層を形成した。 次いで電荷輸送物質として前記構造式 (Π) で示されるブタジェ ン系化合物を 5重量部、 2種類のポリカーボネート樹脂、 G400 (出光興産株 式会社製) 2. 4重量部、 T S 20 20 (帝人化成株式会社製) 4重量部、 ポリ エステル樹脂 Vy 1 o n 29◦ (東洋紡株式会社製) 1. 6重量部、 さらにスミ ライザ一 BHT (住友化学株式会社製) 0. 25重量部を混合し、 テトラヒ ドロ フラン 49重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 30°Cで 1時間乾燥して層厚 28 /zm の電荷輸送層を形成した。 このようにして R 1感光体を作製した。
(R 2感光体) ; R 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成した。 次いで、 電荷輸送物質として前記構造式 (Π) で示されるブタジエン系化合物を 5重量部、 2種類のポリカーボネート樹脂、 J 500 (出光興産株式会社製) 4.
4重量部、 T S 2020 (帝人化成株式会社製) 3. 6重量部、 さらにスミライ ザ一 BHT (住友化学株式会社製) 0. 2 5重量部を混合し、 テトラヒ ドロフラ ン 49重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸漬 塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 20°Cで 1時間乾燥して層厚 28 /zmの電 荷輸送層を形成した。 このようにして R 2感光体を作製した。
(R 3感光体) ;電荷輸送層形成に際し、 ポリカーボネート樹脂として、 J 5 00 (出光興産株式会社製) 4. 4重量部を、 G400 (出光興産株式会社製) に置換えた以外は、 R 2感光体と同様にして R 3感光体を作製した。
(R4感光体) ; R 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成した。 次いで、 電荷輸送層形成に際し、 ポリカーボネート樹脂の一部に代えて、 Yの低 い樹脂である P TFEを用いた以外は、 R 1感光体と同様にして塗布液を調製し た。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 20°〇で1時間乾 燥して層厚 28 μ mの電荷輸送層を形成した。 このようにして、 R 4感光体を作 製した。
以上のように、 S 1〜S 6感光体おょぴ R 1〜R 4感光体の作製において、 電 荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂の種類および含有比率を変化させるとともに、 塗布後の乾燥温度を変化させることによって、 感光体表面の γが所望の値になる ように調整した。 これらの感光体表面の γは、 接触角測定機 CA— X (協和界面 株式会社製) および解析ソフト EG— 1 1 (協和界面株式会社製) によって求め た。
次に、 実施例および比較例として準備したトナーについて説明する。
(実施例の T 1, T 2 トナー)
(T 1 トナー) ;樹脂 1 00重量部に対し、 ワックスとしてポリエチレン (ク ラリアントジャパン社製: P E 1 30) 1. 0重量部、 ポリプロピレン (三井化 学社製: N P— 505 ) 1. 5重量部、 帯電制御剤 (保土ケ谷化学工業社製: S - 34) を 1重量部、 マグネタイ ト (関東電化社製: KBC— 1 00) を 1. 5 重量部、 着色剤としてカーボンブラック (キャボット社製: 3 3 O R) を 5重量 部加え、 スーパーミキサー (川'田社製: V— 20) で充分混合し、 得られた混合
物を二軸混練機 (池貝鉄工社製: P CM— 30) によって溶融混練した。 この混 練物をジ-ット式粉砕機 (日本ニューマチック工業社製: I D S— 2) にて粉碎 後分級し、 体積平均粒子径で 7. 0 /mのトナーを得た。 次に、 得られた T 1 ト ナ一に、 シリカ微粒子 (日本ァエロジル社製: R 9 7 2) を 0. 3重量部、 マグ ネタイ ト (チタン工業社製:粒径 = 0. 1 3 /xm) を 0. 3重量部外添して、 現 像剤とした。
(T 2 トナー) ;混練物のジエツト式粉砕機による粉砕レベルを調整し、 分級 後の体積平均粒子径を 4. 0 / mとしたこと以外は、 実施例 T 1 トナーと同様に して実施例 T 2 トナーを得た。 また、 T 1 トナーと同様の外添処理を行って、 現 像剤とした。
(比較例の V 1, V 2 トナー)
(V 1 , V 2 トナー) ;混練物のジェット式粉砕機による粉砕レベルを調整し、 分級後の体積平均粒子径を 8. O /xmおよび 3. 4 μ mとしたこと以外は、 実施 例の T 1 トナーと同様にして、 V I トナーおよび V 2 トナーを、 それぞれ得た。 また、 T 1 トナーと同様の外添処理を行って、 現像剤とした。
S 1〜S 6感光体および R:!〜 R 4感光体ならびに T 1, T 2 トナーおよび V
1, V 2 トナーを、 試験用に改造したデジタル複写機 AR— 450 (シャープ株 式会社製) に搭載することによって、 クリーニング性および解像度の評価試験を 行った。 次に、 各性能の評価方法について説明する。
[クリ一二ング性] ;前述のデジタル複写機 AR— 450に備わるクリ一ニン グ器のクリーニングブレードが、 感光体に当接する当接圧力、 いわゆるクリ一二 ングプレード圧を初期線圧で 2 1 g f /c m (2. 06 X 1 0— cm) に 調整した。 温度: 25°C、 相対湿度: 50%の常温 常湿 (NZN : Normal Temperature/Normal Humidity) 環境中で、 前記複写機を用いて、 シャープ株式 会社製文字テストチャートを、 記録紙 S F_4 AM3 (シャープ株式会社製) 1
0万枚に形成した。
画像形成前 (0 k) 、 25, 000 (2 5 k) 枚、 50, 000 (50 k) 枚 および 1 00, 000 ( 1 00 k) 枚の各段階において、 形成された画像を目視
することによって、 黒白 2色の境界部の鮮明度、 感光体回転方向へのトナー漏れ による黒すじの有無を試験し、 さらに後述の測定器によってかぶり量 Wkを求め て、 クリーニング性を評価した。 形成画像のかぶり量 Wkは、 日本電色工業株式 会社製 Ζ— Σ 9 0 COLOR MEASURING SYSTEMを用いて反射濃度を測定して求めた。 まず画像形成前の記録紙の反射平均濃度 W rを測定した。 次にその記録紙に対し て画像形成し、 画像形成後、 記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。 最も かぶりの多いと判断された部分、 すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部 分の反射濃度 W sと、 前記 Wrとから以下の式 { 1 0 0 X (W r -W s ) /W x } で求められる Wkをかぶり量と定義した。
クリーユング性の評価基準は以下のようである。
◎ :非常に良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 Wkが 3 %未満。
〇:良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 Wkが 3 %以上 5 %未満。
△:実用上問題無し。 鮮明度実用上問題のないレベルであり黒すじの長さが 2. O mm以下かつ 5個以下。 かぶり量 Wkが 5 %以上 1 0 %未満。
X :実用不可。 鮮明度実用上問題あり。 黒すじの上記△の範囲を超えるもの。 か ぶり量 Wkが 1 0 %以上。
[解像度] ;前述の記録紙 S F— 4 AM 3上に、 距離 l mmの間に、 等間隔で 8本、 1 0本、 1 2本および 1 4本の直線を引いた画像、 すなわち距離 1 mmの 間に形成される直線間隔が異なる 4水準の直線画像を、 1枚の記録紙上に形成し た。 形成された画像を目視観察し、 1 mmあたりに形成されている直線間隔が異 なる 4水準の直線画像のうち、 識別することのできた最大本数によって解像度を 評価した。
解像度の評価基準は以下のようである。
◎:非常に良好。 1 4本 Zmm識別可。
〇: 良好。 1 2本 Zmm識別可。
△:実用上問題なし。 1 0本 Zmm識別可。
X :不良。 8本/; mm以下の識別。
[評価結果]
クリ一二ング性評価結果を表 1〜4に合わせて示す。 なお表 1〜4に示す評価 試験結果において、 各評価試験を行った各段階の画像形成枚数 (0 k, 2 5 k , 5 0 k , 1 0 0 k ) を、 その段階において実用上不適になる現象が発生した場合 には、 耐久寿命枚数と言っても良いことから、 耐久枚数として表記した。
γが本発明範囲内にある S 1〜S 6感光体は、 トナーの体積平均粒子径が本発 明範囲内にあるトナー T 1および T 2との組合せにおいて、 クリ一ユング性がす ベて良好 (〇) 以上の評価結果であった。 特に、 γが 2 8〜3 δ πι ΝΖηιの範囲 内にある S 1〜S 5感光体では、 非常に良好 (◎) なクリーニング性が得られた。 一方、 γが本発明範囲よりも小さい比較例の R 4感光体では、 地肌かぶりの増 加と、 記録紙裏面汚れの画像不良が発生した。 これは、 トナーの感光体に対する 付着力の減少に伴い、 転写率が向上したことおよび装置内のトナー飛散が加速さ れたものと考えられる。 また yが本発明範囲よりも大きい比較例の R 1〜R 3感 光体では、 γが大きくなるのに伴って、 トナーの感光体やクリーニングブレード に対する付着力が大きくなり、 トナーがクリ一ユングプレードに引掛るなどして 感光体表面を傷付けるので、 感光体表面に発生する傷に起因してクリーニング性 が悪化した。
トナーの体積平均粒子径が本発明範囲外にある比較例の V 2 ト^ "一では、 トナ 一の比表面積が増大してトナー粒子 1個あたりの感光体に対する分子間力の影響 が強くなり、 感光体に対するトナーの付着力が大きくなるので、 感光体表面から 除去されることなくクリーニンダブレードをすり抜けるトナー粒子が増加する。 このようにタリ一二ング性が低下するので、 画像形成枚数が 2 5 k枚の段階で、 実用不可 (X ) であった。
【表 1】 使用トナー Tl (体積平均粒子径 7.0μηι)
\
【表 2】 使用トナー Τ2 (体積平均粒子径 4.0μπι)
耐久枚数
感光体
Ok 25 k 50 k 100 k 実施例 7 S 6 2 2. 00 O 〇 O O
8 S 1 28. 30 ◎ ◎ ◎ 〇
9 S 5 34. 80 ◎ ◎ ◎ 〇 比較例 5 R 4 1 9. 80 . 厶 X X X
6 R 1 3 6. 00 ◎ O 厶 X
【表 3】 使用トナー V2 (体積平均粒子径 3.4/xm)
【表 4】 使用トナー VI (体積平均粒子径 8.0/xm)
解像度評価試験結果を表 5に示す。 画像の解像度は、 主としてトナー粒子径に よって支配され、 トナーの体積平均粒子径を小さくすることによって解像度が向 上した。 しかしながら、 トナーの体積平均粒子径が本発明範囲内にあるにも関ら ず、 感光体の γが本発明範囲外の 2 OmNZni未満である場合には、 解像度の低 下する現象が認められた。 これは、 感光体の γが小さくなるのに伴って、 トナー の感光体に対する付着力が減少したことにより、 転写率が向上おょぴ装置内のト ナー飛散が増加したことが解像度に悪い影響を及ぼしたものと考えられる。
本発明範囲であるトナーの体積平均粒子径が、 以下、 感光体表面の γ力 2 0 mN/m以上においては、 良好な画像解像度の得られることが明らかとなつ た。
以上のように、 感光体表面の γが、 2 OniNZm未満または 3 SmNZmを超 える場合、 画像かぶりやクリーニング不良等の画像特性の低下が認められた。 ま た感光体表面の γ力 s、 20〜 3 5 rnN/mの範囲であっても、 トナーの体積平均 粒子径が、 4 μπι未満では、 高解像度の画像が得られるけれどもクリーニング不 良が多発し、 7 μπιを超えると、 クリーニング性が良好であるけれども、 画像の 解像度が悪化した。 したがって、 本発明範囲である感光体表面の γが 20〜3 5 mNZmおよびトナー体積平均粒子径が 4〜 7 μπιを、 満足する場合において、 優れたクリ一二ング性と高品質の画像形成とが達成されることを明らかにした。
【表 5】
(第 2実施例)
上述の第 1実施例と同様の直径: 30mm、 長さ : 326. 3 mmのアルミ二 ゥム製導電性支持体上に種々の条件にて感光層を形成し、 実施例および比較例と して準備した感光体について説明する。
(実施例の S 1 1〜 S 1 6感光体)
(S 1 1感光体) ;第 1実施例の S 1感光体と同様にして、 S 1 1感光体を作 製した。
(S 1 2感光体) ;第 1実施例の S 2感光体と同様にして、 S 1 2感光体を作 製した。
(S 1 3感光体) ;第 1実施例の S 3感光体と同様にして S 1 3感光体を作製 した。
(S 1 4感光体) ;第 1実施例の S 4感光体と同様にして S 1 4感光体を作製 した。
(S 1 5 , S 1 6感光体) ;第 1実施例の S 5, S 6感光体と同様にして S 1 5, S 1 6感光体をそれぞれ作製した。
(比較例の R 1 1〜R 14感光体)
(R 1 1感光体) ;第 1実施例の R 1感光体と同様にして R 1 1感光体を作製 した。
(R 1 2感光体) ;第 1実施例の R 2感光体と同様にして R 1 2感光体を作製 した。 .
(R 1 3感光体) ;第 1実施例の R 3感光体と同様にして R 1 3感光体を作製 した。
(R 14感光体) ;第 1実施例の R 4感光体と同様にして R 1 4感光体を作製 した。
以上のように、 S 1 1〜S 1 6感光体おょぴ R 1 1〜R 1 4感光体の作製にお いて、 電荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂の種類および含有比率を変化させると ともに、 塗布後の乾燥温度を変化させることによって、 感光体表面の表面自由ェ ネルギー (y) が所望の値になるように調整した。 これらの感光体表面の γは、 接触角測定機 CA— X (協和界面株式会社製) および解析ソフ ト EG— 1 1 (協
和界面株式会社製) によって求めた。
次に、 実施例おょぴ比較例として準備したトナーについて説明する。
(実施例の T 1 1〜T 1 3 トナー)
(Τ 1 1 トナー) ;ポリエステル系樹脂 1 00重量部に対し、 ワックスとして ポリエチレン (クラリアントジャパン社製: Ρ Ε 1 30) 1. 0重量部、 ポリプ ロピレン (三井化学社製: ΝΡ— 50 5) 1. 5重量部、 帯電制御剤 (保土ケ谷 化学工業社製: S— 34) を 1重量部、 マグネタイト (関東電化社製: KB C— 1 00) を 1. 5重量部、 着色剤としてカーボンブラック (キャボッ ト社製: 3 3 O R) を 5重量部加え、 スーパーミキサー (川田社製: V— 20) で充分混合 し、 得られた混合物を二軸混練機 (池貝鉄工社製: P CM— 30) によって溶融 混練した。 この混練物をジェット式粉砕機 (日本ニューマチック工業社製: I D S— 2) にて粉砕後分級し、 体積平均粒径で 7. O wmのトナーを得た。 機械的 処理により球形化処理を行い、 フロー式粒子像分析装置 (東亜医用電子製: F P I A- 2000) によってトナーの平均円形度を測定したところ 0. 9 5であつ た。 次に、 シリ力微粒子 (日本ァエロジル社製: R 972) を 0. 3重量部、 マ グネタイト (チタン工業社製:粒径 = 0. 1 3 μιη) を 0. 3重量部外添した。 このようにして T 1 1 トナーを作製した。
(Τ 1 2 トナー) ; T l 1 トナーと同様にジエツト式粉砕機により体積平均粒 径で 7. 0 imのトナーを得た。 機械的および熱的処理により トナーの球形化を 行い、 T 1 1 トナーと同様にして平均円形度を測定したところ 0. 96であった。 また T l 1 トナーと同様の外添処理を行い T 1 2 トナーを作製した。
(T 1 3 トナー) ;重合性単量体 スチレン 90重量部に対して、 プチルァク リ レー 10重量部、 着色剤としてカーボンブラック 5重量部、 定着性向上剤とし てポリプロピレン 5重量部の単量体組成物をサンドグラインダーにより充分に混 和均一化し、 重合開始剤として 2, 2, 一ァゾビス (2, 4ージメチルバレロニ トリル) 1. 8重量部を添加した。
【表 6】
(A) リン酸 3ナトリウム 1 2水和物 2 5. 6重量部
(N a a P04 · 1 2 H2 O)
水 53. 4重量部
(B) 塩化カルシウム 1 1. 2重量部
水 1 02. 0重量部
(C) ァニオン系界面活性剤 0. 04重量部
(ラウリル硫酸ナトリゥム) 表 6に示す (A) 、 (B) 、 (C) を混合し、 下記式 (8) に示す反応により、 難水溶性無機化合物 [C a 3 (P04) 2] を含む水性媒体を調製した。
2N a 3 P04 + 3 C a C l 2→C a 3 (P04 ) 2+ 6 N a C 1
… (8) 単量体組成物を水性媒体に投入し、 ホモミキサー (特殊機化製) を用い、 1 0 O O O r pmで 30m i n間攪拌分散して懸濁液を作製した。 次いで、 窒素雰囲 気中 70°Cの環境下において、 200〜300 r p mで 7時間攪拌して重合を行 つた。 重合処理後、 室温まで冷却し、 塩酸水溶液により難水溶性無機化合物 〔C a 3 (P04 ) 2〕 を溶解除去し、 さらに精製して体積平均粒径で 6 imの懸濁 重合トナーを得た。 このようにして T 1 3 トナーを作製した。 T 1 3 トナーの平 均円形度を T 1 1 トナーと同様にして測定したところ 0. 98であった。
(比較例の V 1 1, V 1 2 トナー)
(V I 1, V I 2 トナー) ; T l 1 トナーと同様にジエツト式粉砕機により体 積平均粒径で 7. 0 /imのトナーを得た。 機械的処理の処理時間を調整すること によって、 平均円形度が 0. 94の V I I トナー、 および平均円形度が 0. 94 5の V 1 2 ト ? ""一を得た。 また T 1 1と同様の外添処理を行い V 1 1, V 1 2 ト ナーを作製した。 なお平均円形度の測定は T 1 1 トナーと同様にして行った。
S 1 1〜 S 1 6感光体および R 1 1〜R 14感光体ならびに T 1 1〜T 1 3 ト
ナーおよび V I 1 , V 1 2 トナーを、 試験用に改造したデジタル複写機 AR— 4 50 (シャープ株式会社製) に搭載することによって、 クリーニング性および転 写効率の評価試験を行った。 次に、 各性能の評価方法について説明する。
[クリーニング性]
前述のデジタル複写機 AR— 450に備わるクリ一ユング器のクリ一エングブ レードが、 感光体に当接する当接圧力、 いわゆるクリーニングブレード圧を初期 線圧で 2 l g f /cm (2. 06 X 1 0_1N/c m) に調整した。 温度: 2 5°C、 相対湿度: 5。。/。の常温 常湿 (N/N: Normal Temperature/Normal Humidity) 環境中で、 前記複写機を用いて、 シャープ株式会社製文字テストチヤ ートを、 記録紙 S F— 4 AM 3 (シャープ株式会社製) 1 0万枚に形成した。
画像形成前 (0 k) 、 2 5, 000 (2 5 k) 枚、 50, 000 (50 k) 枚 および 1 00, 000 ( 1 00 k) 枚の各段階において、 形成された画像を目視 することによって、 黒白 2色の境界部の鮮明度、 感光体回転方向へのトナー漏れ による黒すじの有無を試験し、 さらに後述の測定器によってかぶり量 Wkを求め て、 クリーニング性を評価した。 形成画像のかぶり量 Wkは、 日本電色工業株式 会社製 Z—∑ 90 COLOR MEASURING SYSTEMを用いて反射濃度を測定して求めた。 まず画像形成前の記録紙の反射平均濃度 Wrを測定した。 次にその記録紙に対し て画像形成し、 画像形成後、 記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。 最も かぶりの多いと判断された部分、 すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部 分の反射濃度 Wsと、 前記 Wrとから以下の式 { 1 00 X (Wr -Ws) /W r } で求められる Wkをかぶり量と定義した。
クリ一二ング性の評価基準は以下のようである。
◎:非常に良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 Wkが 3%未満。
〇: 良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 Wkが 3%以上 5%未満。
△:実用上問題無し。 鮮明度実使用上問題のないレベルであり黒すじの長さが 2. 0 mm以下かつ 5個以下。 かぶり量 W kが 5 %以上 1 0。/。未満。
X :実用不可。 鮮明度実使用上問題あり。 黒すじの上記△の範囲を超えるもの。 かぶり量 Wkが 1 0%以上。
[転写効率]
γが本発明範囲内の 28. SmN/mを有する S I 1感光体をデジタル複写機 AR— 450に搭載し、 トナーの収納容器であるトナーホッパーに、 T 1 1〜T 1 3 トナーおょぴ V 1 1 , V 1 2 トナーをそれぞれ 800 g充填し、 各トナーに ついて現像率が 5 %のチヤ一トにてエージングを行った。 エージングを行う画像 形成条件は、 マクベス濃度計 RD 9 1 4 (マクベス社製) にて、 転写紙上の画像 濃度が 1. 3になるように、 各トナーに対して設定を行った。 トナーホッパー内 のトナーがすべて消費されるまでに複写することのできた記録紙の枚数を計数し た。 複写できた枚数の多いほど転写効率が優れていると評価した。
[評価結果]
クリーエング性評価結果を表 7および表 8に合わせて示す。 なお表 7および表 8に示す評価試験結果において、 各評価試験を行った各段階の画像形成枚数 (0 k, 2 5 k, 50 k, 1 00 k) を、 その段階において実用上不適になる現象が 発生した場合には、 耐久寿命枚数と言っても良いことから、 耐久枚数として表記 した。
表面自由エネルギー (γ) が本発明範囲内にある実施例 S 1 1〜S 1 6の感光 体は、 ト ~ "一の平均円形度が本発明範囲内にある T 1 1、 丁 1 3のト~^ "一との組 合せにおいて、 クリーニング性がすべて良好 (〇) 以上の評価結果であった。 特 に γ力 28〜35 mNZmの範囲内にある実施例の S 1 1 ~S 1 5感光体では、 非常に良好 (◎) なクリーニング性が得られた。
一方、 γが本発明範囲よりも小さい比較例の R 14感光体においては、 地肌か ぶりの増加と記録紙裏面汚れの画像不良が発生し、 画像枚数が 2 5 k枚の段階で、 実用不可 (X) であった。 これは、 トナーの感光体への付着力の減少に伴い転写 効率が向上したこと、 および付着力の減少に伴い装置内トナー飛散が加速された ものと考えられる。 また γが本発明範囲よりも大きい比較例の R 1 1〜R 1 3感 光体では、 γの大きくなるのに伴って、 トナーや紙粉などがタリーエングブレー ドに引掛ることに起因してクリ一エング性が低下したと考えられる。
1543
【表 7】 使用トナー Til (平均円形度 0.95)
Ύ 耐久枚数
感光体
[mN/ m] 0 k 25 k 50 k 1 00 k 実施例 10 S16 22. 00 ◎ 〇 〇 〇
11 S11 28. 30 ◎ ◎ ◎ ◎
12 S12 30. 50 ◎ ◎ ◎ ◎
13 S13 30. 50 ◎ ◎ ◎ ◎
14 S14 33. 00 ◎ ◎ ◎ ◎
15 S15 34, 80 ◎ ◎ ◎ ◎ 比較例 13 R14 1 9. 80 △ X X X
14 R11 36. 00 ◎ ◎ 〇 Δ
15 R12 40. 50 o 〇 X X
16 R13 44. 30 厶 X X X
【表 8】 使用トナー T13 (平均円形度 0. 9 8 )
転写効率の評価結果を表 9に示す。 また図 4は、 トナーの平均円形度とコピー 枚数との関係を示す図である。 表 9および図 4に示すように、 感光体の yが本発 明範囲内である場合、 平均円形度が 0 . 9 5以上においては転写効率が向上し、 平均円形度が高くなるほど、 その傾向がより明確に現れた。 すなわちトナー量が 少なくても、 トナーの平均円形度が高いほど多くの画像形成が可能となる。 この ことから、 一定の現像率の原稿を複写するとき、 トナーの平均円形度を 0 . 9 5 以上にすることによって、 トナー消費の少ない画像形成が可能であることを明ら かにした。
【表 9】 使用感光体 S 11 (y = 28. 3 m /
(第 3実施例)
上述の第 1およぴ第 2実施例と同様の直径: 3 Omm、 長さ : 326. 3mm のアルミニウム製導電性支持体上に種々の条件にて感光層を形成し、 実施例およ び比較例として準備した感光体について説明する。
(実施例の S 2 1 ~ S 24感光体)
(S 2 1感光体) ;第 1実施例の S 1感光体および第 2実施例の S 1 1感光体 と同様にして、 下引層および電荷発生層を形成した。 次いで電荷輸送物質として 前記構造式 ( I ) で示されるスチリル系化合物 5重量部、 ポリエステル樹脂 (V y 1 o n 2 90 :東洋紡株式会社製) 2. 25重量部、 ポリカーボネート樹脂
(G400 :出光興産株式会社製) 5. 2 5重量部、 スミライザ一 BHT (住友 化学株式会社製) 0. 0 5重量部を混合し、 テトラヒドロフラン 47重量部を溶 剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて前述の 電荷発生層上に塗布し、 1 1 0°Cで 1時間乾燥して層厚 28 / mの電荷輸送層を 形成した。 このようにして S 2 1感光体を作製した。
(S 22感光体) ;第 1実施例の S 2感光体および第 2実施例の S 1 2感光体 と同様にして S 22感光体を作製した。
(S 23感光体) ;第 1実施例の S 4感光体および第 2実施例の S 14感光体 と同様にして S 23感光体を作製した。
(S 24感光体) ; S 21感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成 した。 次いで、 電荷輸送層形成に際し、 ポリカーボネート樹脂の一部に代えて、 表面自由エネルギー (γ) の低い樹脂である PTFEを用いた以外は、 S 22感 光体と同様にして塗布液を調製した。 この塗布液を、 浸漬塗布法にて電荷発生層 上に塗布し、 1 20°Cで 1時間乾燥して層厚 28 X mの電荷輸送層を形成した。 このようにして S 24感光体を作製した。
(比較例の R 2 1〜R 23感光体)
(R 2 1感光体) ;第 1実施例の R 1感光体および第 2実施例の R 1 1感光体 と同様にして R 2 1感光体を作製した。
(R 2 2感光体) ; S 2 1感光体と同様にして下引層および電荷発生層を形成 した。 次いで、 電荷輸送物質として前記構造式 (Π) で示されるブタジエン系化 合物を 5重量部、 2種類のポリカーボネート樹脂、 G400 (出光興産株式会社 製) 4. 4重量部、 T S 2020 (帝人化成株式会社製) 3. 6重量部、 さらに スミライザ一 BHT (住友化学株式会社製) 0. 2 5重量部を混合し、 テトラヒ ドロフラン 49重量部を溶剤として電荷輸送層用塗布液を調製した。 この塗布液 を、 浸漬塗布法にて電荷発生層上に塗布し、 1 20°Cで 1時間乾燥して層厚 28 μ mの電荷輸送層を形成した。 このようにして R 2 2感光体を作製した。
(R 23感光体) ;第 1実施例の R 4感光体おょぴ第 2実施例の R 1 4感光体 と同様にして R 2 3感光体を作製した。
以上のように、 S 2 1〜S 24感光体および R 2 1〜R 23感光体の作製にお いて、 電荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂の種類および含有比率を変化させると ともに、 塗布後の乾燥温度を変化させることによって、 感光体表面の表面自由ェ ネルギー (γ) が所望の値になるように調整した。 これらの感光体表面の γは、 接触角測定機 CA— X (協和界面株式会社製) および解析ソフト EG— 1 1 (協 和界面株式会社製) によって求めた。
次に、 現像剤に用いたトナーおょぴキヤリアについて説明する。
(トナー)
(T 2 1 ト^ "一 ) ; スチレンアクリル樹脂 1 00重量部に対し、 ワックスとし てポリエチレン (クラリアントジャパン社製: P E 1 30) 1. 0重量部、 ポリ プロピレン (三井化学社製: NP— 50 5) 1. 5重量部、 帯電制御剤 (保土ケ 谷化学工業社製: S— 34) を 1重量部、 マグネタイ ト (関東電化社製: KB C — 1 00) を 1. 5重量部、 着色剤としてカーボンブラック (キヤポット社製: 33 OR) を 5重量部加え、 スーパーミキサー (川田社製: V— 20) で充分混 合し、 得られた混合物を二軸混練機 (池貝鉄工社製: P CM— 30) によって溶 融混練した。 この混練物をジェット式粉砕機 (日本-ユーマチック工業社製: I D S— 2 ) にて粉砕後分級し、 体積平均粒子径で 6. 5 mのトナーを得た。 次 にシリカ微粒子 (日本ァエロジル社製: R 9 72) を 0. 3重量部、 チタ二了 L 子 (日本ァエロジル社製: T 805) を 0. 7重量部外添した。 このようにして T 2 1 トナーを作製した。
(T 2 2 トナー) ;外添剤であるチタユア粒子 本ァエロジル社製: T 80 5) の量を 0. 4重量部とした以外は、 T 2 1 トナーと同様にして T 22 トナー を作製した。
(V 2 1〜V 24 トナー) ;所望の体積平均粒子径を得るためにジエツト式粉 砕機による粉砕レベルを調整したこと以外は T 2 1 ト ^ "一と同様にして V 2 1〜 V 24 トナーを作製した。 作製した¥ 2 1〜 24 トナーの各体積平均粒子径は、 以下のようであった。 V 2 1 トナーが 3. 40 μ m, V 22 トナーが 4. 00 μ m、 V 2 3 ト"^ ~一が 7. 00 ΧΆ, V 24 トナーが 8. 60 m。
(キヤリァ)
(C 1キャリア) ;芯材には鉄粉を用い、 芯材の表面を被覆するキャリアコー ト剤にはシリ コーンを用い、 シリコーン量をキャリア総量に対して 4. 5重量% になるようにして C 1キヤリアを作製した。
(C 2キャリア) ;シリコーン量をキャリア総量に対して 7. 5重量%になる ようにした以外は、 C 1キヤリアと同様にして C 2キヤリァを作製した。
T 2 1 , T 2 2 トナーおょぴ V 2 1〜V 24 トナーと C 1, C 2キャリアとを
組合せることによって、 所望の平均帯電量を有するトナーを得た。 なおトナーの 体積平均粒子径は、 マルチサイザ測定機 (コールター社製) で測定し、 トナーの 平均帯電量は、 ブローオフ機 TB— 200型 (東芝ケミカル社製) で測定した。
S 2 1〜S 24感光体および R 2 1〜R 23感光体ならびに T 2 1, T 2 2 ト ナ一および V 2 1〜V 24 ト^ ""一と C 1, C 2キヤリァとの組合せによって得ら れた現像剤を、 試験用に改造したデジタル複写機 AR— 450 (シャープ株式会 社製) に搭載することによって、 クリーニング性、 フィルミング、 裏面汚れおよ ぴ解像度の評価試験を行った。 次に、 各性能の評価方法について説明する。
[クリ一二ング性]
前述のデジタル複写機 AR— 450に備わるクリ一ユング器のクリ一-ングブ レードが、 感光体に当接する当接圧力、 いわゆるクリーニングブレード圧を初期 線圧で 2 l g f /c m (2. 06 X 1 0_1N/cm) に調整した。 温度: 2 5°C、 相対湿度: 5。。/。の常温 常湿 (N/N : Normal Temperature/Normal Humidity) 環境中で、 前記複写機を用いて、 シャープ株式会社製文字テス トチヤ ートを.、 記録紙 S F— 4 AM 3 (シャープ株式会社製) 1 0万枚に形成した。 な お、 本実施例では、 後述する他の評価試験においても、 この文字テストチャート および記録紙を共通して用いた。
画像形成前 (O k) 、 50, 000 (5 0 k) 枚および 1 00, 000 (1 0 O k) 枚の各段階において、 形成された画像を目視することによって、 黒白 2色 の境界部の鮮明度、 感光体回転方向へのトナー漏れによる黒すじの有無を試験し、 さらに後述の測定器によってかぶり量 Wkを求めて、 クリ一ユング性を評価した。 形成画像のかぶり量 Wkは、 日本電色工業株式会社製 Z—∑ 90 COLOR
MEASURING SYSTEMを用いて反射濃度を測定して求めた。 まず画像形成前の記録紙 の反射平均濃度 Wrを測定した。 次にその記録紙に対して画像形成し、 画像形成 後、 記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。 最もかぶりの多いと判断され た部分、 すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部分の反射濃度 Ws と、 前 記 Wrとから以下の式 { 1 00 X (Wr一 W s ) /W r } で求められる Wkをか ぶり量と定義した。
クリーニング性の評価基準は以下のようである。 '
◎ :非常に良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 W kが 3 %未満。
〇:良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 W kが 3 %以上 5 %未満。
Δ:実用上問題無し。 鮮明度実使用上問題のないレベルであり黒すじの長さが 2 . 0 mm以下かつ 5個以下。 かぶり量 W kが 5 %以上 1 0 %未満。
X :実用不可。 鮮明度実使用上問題あり。 黒すじの上記△の範囲を超えるもの。 かぶり量 W kが 1 0 %以上。
[フイルミング]
フィルミングは、 感光体表面の残留トナーが、 帯電、 静電潜像形成、 現像、 転 写、 タリーエングの各工程を繰返し経ることによって被膜状の付着物を形成する 現象である。 5 0 k枚および 1 0 0 k枚の画像形成後、 感光体表面および記録紙 に形成された画像を目視観察することによって評価した。 フィルミングの評価基 準は以下のようである。
〇:感光体上のフィルミング発生なし。 良好なレベル。
△:感光体上にフィルミング発生あるが、 実使用上問題ないレベル。
X :感光体上にフィルミング発生あり、 画像品質に問題あるレベル。
[裏面汚れ]
1 0 0 k枚の画像形成後、 1 0 0 k枚に到達直前の記録紙数枚について、 その 裏面を目視観察することによつて評価した。 裏面汚れの評価基準は以下のようで ある。
〇:記録紙の裏面汚れはなし。 良好なレベル。
△:記録紙の裏面汚れは確認されるが、 実使用上問題ないレベル。
X :記録紙の裏面汚れが確認され、 実使用上問題あるレベル。
[解像度]
前述の記録紙 S F— 4 AM 3上に、 距離 l mmの間に、 等間隔で 8本、 1 0本、 1 2本および 1 4本の直線を引いた画像、 すなわち距離 1 mmの間に形成される 直線間隔が異なる 4水準の直線画像を、 1枚の記録紙上に形成した。 形成された 画像を目視観察し、 1 mmあたりに形成されている直線間隔が異なる 4水準の直
線画像のうち、 識別することのできた最大本数によって解像度を評価した。 解像 度の評価基準は以下のようである。
◎:非常に良好。 14本 Zmm識別可。
〇:良好。 12本/ mm識別可。
△:実用上問題なし。 10本/: mm識別可。
X :不良。 8本/ mm以下の識別。
[評価結果]
評価結果を表 10および表 1 1に合わせて示す。 なお表 10および表 1 1に示 す評価結果において、 各評価試験を行った各段階の画像形成枚数 (0 k, 50 k, 100 k) を、 その段階において実用上不適になる現象が発生した場合には、 耐 久寿命枚数と言っても良いことから、 耐久枚数として表記した。
表 10では、 体積平均粒子径が 6. 5 xmの T 21, T 22 トナーを用いた場 合において、 クリーニング性、 フィルミングおよび裏面汚れを評価した結果を示 す。 表面自由エネルギー (γ) が本発明範囲内にある実施例の S 21〜S 24感 光体では、 T 21, T 22 ト "一と C l, C 2キャリアとを組合せて生成される トナーのうち、 その平均帯電量が本発明範囲内にある場合、 クリーニング性がす ベて良好 (〇) 以上の評価結果であった。 特に が、 28〜35mNZmの範囲 内にある実施例の S 2 1〜S 23感光体では、 非常に良好 (◎) なクリーニング 性が得られた。 また感光体の γが 20〜35mNZnの範囲内にあり、 かつトナ 一の平均帯電量が 10〜30 μ C/gの範囲内にある場合、 フィルミングの発生 がなく、 画質の良好な画像が形成されることを明らかにした。
感光体の γが 20〜 35 mN/mの範囲内であるけれども、 ト^ "一の平均帯電 量が 10 μ CZg未満の場合、 トナー飛散が発生し、 裏面汚れが確認された。 一 方、 トナーの平均帯電量が 30 μ C/gを超える場合、 クリーニング性が悪く、 かぶりや黒すじが発生した。
トナーの平均帯電量が 10〜30 /Z CZgの範囲内であるにも関らず、 γが本 発明範囲よりも小さい比較例の R 23感光体においては、 地肌かぶりの増加と記 録紙裏面汚れの画像不良が発生した。 これは、 トナー等の感光体への付着力の減
少に伴い転写効率が向上したこと、 および付着力の減少に伴い装置内トナー飛散 が加速されたものと考えられる。 またトナーの平均帯電量が 1 0〜3 0 ^〇ノ8 の範囲内であるにも関らず、 γが本発明範囲よりも大きい比較例の R 2 1、 R 2 2感光体では、 γの大きくなるのに伴ってトナーや紙粉などの付着力が増加する ので、 クリーニング性が低下したと考えられる。
表 1 1では、 γが 30. 5 OmNZmの S 22感光体を用い、 体積平均粒子径 の異なるトナーを用いた場合において、 クリーニング性および解像度を評価した 結果を示す。 トナーの平均帯電量が 10~ 30 μ C/gの範囲内にあり、 かつ感 光体の γが 20〜35 mNZmの範囲内にある場合であっても、 トナーの体積平 均粒子径が 4 / m未満の場合、 解像度は良いけれどもクリーユング性が低下した。 またトナーの体積平均粒子径が 7 xmを超える場合、 解像度の低下が見られた。 【表 1 1】
(第 4実施例)
第 1〜第 3実施例と同様の直径: 3 Omm 長さ : 326. 3 mmのアルミ - ゥム製導電性支持体上に種々の条件にて感光層を形成し、 実施例および比較例と して準備した感光体について説明する。
(実施例の S 31 ~ S 36感光体)
(S 31感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 / mとした以外は、 第 1実施例の S 1感光体および第 2実施例の S 1 1感光体と同様にして S 31感光体を作製し た。
(S 32感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 /imとした以外は、 第 1実施例の S 2感光体、 第 2実施例の S 1 2感光体および第 3実施例の S 22感光体と同様 にして S 32感光体を作製した。
(S 33感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 / mとした以外は、 第 1実施例の S 3感光体および第 2実施例の S 1 3感光体と同様にして S 33感光体を作製し た。
(S 34感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 /xmとした以外は、 第 1実施例の S 4感光体、 第 2実施例の S 14感光体および第 3実施例の S 23感光体と同様
にして S 34感光体を作製した。
(S 3 5感光体、 S 36感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 μ mとした以外は、 第 1実施例の S 5, S 6感光体および第 2実施例の S 1 5, S 1 6感光体と同様 にして S 35, S 36感光体を作製した。
(比較例の R 3 1〜R 3 3感光体)
(R 3 1感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 μπιとした以外は、 第 1実施例の R 1感光体、 第 2実施例の R 1 1感光体および第 3実施例の R 2 1感光体と同様 にして R 3 1感光体を作製した。
(R 3 2感光体) ;電荷輸送層の層厚を 22 μιηとした以外は、 第 1実施例の R 2感光体および第 2実施例の R 1 2感光体と同様にして R 3 2感光体を作製し た。
(R 3 3感光体) ;電荷輸送層の層厚を 2 2 μπιとした以外は、 第 1実施例の R4感光体、 第 2実施例の R 1 4感光体および第 3実施例の R 2 3感光体と同様 にして R 3 3感光体を作製した。
以上のように、 実施例の S 3 1〜 S 36感光体および比較例の R 3 1〜R 3 3 感光体の作製において、 電荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂の種類および含有比 率を変化させるとともに、 塗布後の乾燥温度を変化させることによって、 感光体 表面の yが所望の値になるように調整した。 これらの感光体表面の γは、 接触角 測定機 CA— X (協和界面株式会社製) および解析ソフト EG— 1 1 (協和界面 株式会社製) によって求めた。
(結着樹脂の作製)
(樹脂 A) ;原料として、 1, 4一ブタンジオール、 フマル酸、 無水トリメリ ット酸、 ハイドロキノンを、 窒素導入管、 脱水管、 攪拌器おょぴ熱電対を装備し た 5リットル容の四つ口フラスコに入れ、 1 60°Cで 5時間反応させた後、 20 0°Cに昇温して 1時間反応させ、 さらに 8. 3 k P aの減圧雰囲気にて 1時間反 応させ、 樹脂 Aを作製した。
(樹脂 B) ;原料として、 B PA— PO、 B PA—EO、 テレフタル酸、 ドデ セニル無水コハク酸、 無水トリメリット酸および酸化ジブチル錫 4 gを、 脱水管、
攪拌器おょぴ熱電対を装備した 5リットル容の四つ口フラスコに入れ、 2 20°C で 8時間反応させた後、 8. 3 k P aの減圧雰囲気にて所定の軟化点に達するま でさらに反応させ、 樹脂 Bを得た。
(樹脂 C) ;原料として、 B PA—PO、 B PA— EO、 テレフタル酸、 フマ ル酸、 無水トリメリット酸および酸化ジブチル錫 4 gを、 脱水管、 攪拌器及び熱 電対を装備した 5リットル容の四つ口フラスコに入れ、 2 20°Cで 8時間反応さ せた後、 8. 3 k P aの減圧雰囲気にて所定の軟化点に達するまでさらに反応さ せ、 樹脂 Cを得た。
(トナーの作製)
(T 3 1 トナ ) ;結着樹脂として、 樹脂 Aを 1 0重量部、 樹脂 Bを 60重量 部、 樹脂 Cを 30重量部の合計 1 00重量部、 カーボンブラック 「モーガル L」
(キヤポットコーポレーション社製) 5重量部、 ポリプロピレンワックス 「ビス コール 5 50 P」 (三洋化成社製、 融点: 140°C) 5重量部および荷電制御剤
「S— 34」 (オリエント化学社製) 1重量部を、 ヘンシェルミキサーを用いて 混合した後、 二軸押出機により溶融混練した。 得られた溶融混練物を、 高速ジェ ットミル粉碎分級機 「 I D S— 2型」 (日本-ユーマティック社製) を用いて、 重量平均粒径が 8 //mとなるよう、 粉砕、 分級した。 得られた T 3 1 トナーは、 T gが 58°C、 平均円形度 ( a ) カ 0. 945であった。 この T 3 1 トナーに一 次粒子の平均粒子径が 0. 1 μ mの巿販シリカを 1部混合分散し、 外添処理を行 つた。
(T 3 2 トナー) ;粉砕、 分級までは T 3 1 トナーと同様に作製した後、 ホソ カヮミクロン社製のメカノフュージョンシステムを用いて円形化処理を行った。 こうして得られた T 3 2 トナーは、 T gが 58°C, 平均円形度 (a) が 0. 96 0であった。 その後、 T 3 1 トナーと同様に外添処理を行った。
(T 33 トナー) ;結着樹脂として、 樹脂 Bを 70重量部、 樹脂 Cを 30重量 部の合計 1 00重量部、 を用いること以外は、 T 3 1 トナーと同様にして、 T 3 3 トナーを得た。 得られた T 3 3 トナーは、 T gが 6 3°C、 平均円形度 (a) が 0. 945であった。 その後 T 3 1 ト^ "一と同様に外添処理を行った。
(T 34 トナー) ; 2リツトル用四つ口フラスコ中のイオン交換水 7 1 0 gに 0. 1M— N a 3 P 04水溶液 450 gを投入し、 60 °Cに加温した後、 高速撹 拌装置 TK式ホモミキサー (特殊機化工業製) を用いて、 1 2000 r pmにて 撹拌した。 これにし OM— C a C 1 2水溶液 68 gを徐々に添加し、 微小な難 水溶性分散安定剤を含む水系分散媒体を得た。
一方、 分散質として表 1 2に示す物質を用意し、 着色剤であるカーボンブラッ クとジー t e r t—プチルサリチル酸の A 1化合物とスチレンとを、 ェパラマイ ルダー (荏原製作所製) を用いて予備混合した。 次に表 1 2に示すすべてを 6 0°Cに加温し、 溶解、 分散して単量体混合物とした。 さらに、 6 0°Cに保持しな がら、 開始剤 2, 2, 一ァゾビス ( 2, 4—ジメチルバレロニトリル) 1 0 gを 加えて溶解し、 単量体組成物を調製した。
【表 1 2】 スチレン 1 6 0 g n—ブチルァクリ レート 4 0 g 力一ボンブラック Γモーガ ^Lj (キャボッ トコ一ポレ -ション社製〉 8 g
2 , 5—ジ一 t e r t—ブチルサリチル酸の A 1化合物 4 g ポリプロピレンワックス (軟化点 1 35 CC) 1 0 g 飽和ポリエステル樹脂 1 0 g ホモミキサーの 2リツトルフラスコ中で調製した水系分散媒体に、 前述の単量 体組成物を投入した。 60°Cで、 窒素雰囲気とした TKホモミキサーを用いて、 1 0000 r pmで 20分間撹拌し、 単量体組成物を造粒した。 その後、 パドル 撹拌翼で撹袢しつつ 6 0°Cで 6時間反応させた後、 80°Cで 1 0時間重合させた。 重合反応終了後反応生成物を冷却し、 塩酸を加えて C a 3 (P04) 2を溶解し、 濾過、 水洗、 乾燥することにより、 重量平均粒径約 8 ; mの T 34 トナーを得た。 こうして得られた T 34 トナーは、 T gが 5 9°C、 平均円形度 (a) が 0. 98 0であった。 その後 T 3 1 トナーと同様に外添処理を行った。
(T 3 5 トナー) ;粉砕、 分級までは T 3 1 トナーと同様に作製した後、 ホソ カヮミクロン社製のメカノフュージョンシステムを用いて円形化処理を行った。
この円形化処理時間を、 T 3 2 トナー作製時よりも短くして、 平均円形度 (a) が 0. 9 50である T 3 5 トナーを得た。 T 35 ト^ "一は、 T gが 58。Cであつ た。 その後 T 3 1 トナーと同様に外添処理を行った。
外添処理後の T 3 1〜T 35 トナー各々 8部に、 鉄粉キャリア (関東電化株式 会社製) 92部をそれぞれ均一混合し、 現像剤を得た。
[低温定着性およびホットオフセット性]
実施例の S 3 3感光体をデジタル複写機 AR— 200 (シャープ株式会社製) に搭載し、 作製した Τ 3 1〜Τ 33 トナーをそれぞれ用いて、 定着器の加熱ロー ラの温度を 90°Cから 240°Cへと順次昇温させながら画像を形成し、 以下の方 法によって最低定着温度およびホットオフセット発生温度を測定した。
(最低定着温度)
上記複写機で 3 c mX 3 (:111の画像濃度1. 3 5以上の黒ベタ画像を作成した。 なお画像濃度は、 反射濃度計 RD— 9 1 5 (マクベス社製) で測定した。 底面寸 法が、 1 5mmX 7. 5 mmの砂消しゴムを準備し、 この砂消しゴムに l k gの 荷重を掛けて、 得られた画像を 3往復擦過した。 擦過前後の画像濃度を測定して、 擦過前の画像濃度 D 1に対する擦過後の画像濃度 D 2の比 D r (D 2/D 1) を 求め、 画像濃度比 D rが、 最初に 70 %を超える加熱ローラの温度を最低定着温 度とした。 最低定着温度が低いほど、 トナーの低温定着性が優れていると評価し、 その評価基準は、 以下のようである。
〇 (良好) : 1 60°C未満
△ (普通) : 1 60°C以上 1 7 5°C未満
X (不良) : 1 75°C以上
(ホットオフセッ ト発生温度)
記録紙の通紙先端部から 2 cmが画像濃度 1. 3 5の黒ベタで、 それ以外の部 分は白ベタという画像を形成し、 各温度に設定された定着器に通して定着処理を 行った。 白ベタ部分にトナー汚れが最初に生じる加熱ローラの温度をホットオフ セット発生温度とした。 ホットオフセット発生温度が高いほど、 ホットオフセッ ト性 (ホットオフセットを発生しにくいという意味に用いる) に優れると評価し、
その評価基準は、 以下のようである。
〇 (良好) : 2 1 0°C以上
△ (普通) : 1 90°C以上 2 1 0°C未満
X (不良) : 1 90°C未満
評価結果を表 1 3に示す。 T 3 1および T 3 2 トナーは 1 60°C未満の低い温 度でも、 良好な定着性を示した。 丁 3 3 トナーは、 T gが 6 3°Cと高いので、 低 温定着性が劣る結果であった。 また、 いずれのトナーを用いても、 良好なホット オフセット性が得られた。
[クリーユング性]
デジタル複写機 AR— 200 (シャープ社製) に備わるクリーニング器のタリ 一二ングブレードが、 感光体に当接する当接圧力、 いわゆるクリーニングブレー ド圧を初期線圧で 2 1 g f /cm (2. 06 X 1 0— cm) に調整した。 温度: 25°C、 相対湿度: 50%の常温ノ常湿 (NZN: Normal Temperature /Normal Humidity) 環境中で、 T 3 1 トナーおょぴ Τ 3 3 トナーを用いて、 3万 枚の耐刷試験を行った。 耐刷試験においては、 5%濃度の原稿を使用した。 画像 形成前 (0 k) 、 5, 000 (5 k) 枚、 1 5, 000 ( 1 5 k) 枚おょぴ 30, 000 (30 k) 枚の各段階において、 形成された画像を目視することによって、 黒白 2色の境界部の鮮明度、 感光体回転方向へのトナー漏れによる黒すじの有無 を試験し、 さらに後述の測定器によってかぶり量 Wkを求めて、 クリーニング性 を評価した。 形成画像のかぶり量 Wkは、 日本電色工業株式会社製 Ζ— Σ 90 COLOR MEASURING SYSTEMを用いて反射濃度を測定して求めた。 まず画像形成前の 記録紙の反射平均濃度 Wrを測定した。 次にその記録紙に対して画像形成し、 画 像形成後、 記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。 最もかぶりの多いと判 断された部分、 すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部分の反射濃度 W s
と、 前記 W rとから以下の式 { 1 0 0 X (Ws-Wr) /W r } で求められる W k をかぶり量と定義した。
クリーニング性の評価基準は以下のようである。
© :非常に良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 W kが 3 %未満。
〇:良好。 鮮明度良く黒すじ無し。 かぶり量 W kが 3 %以上 5 %未満。
△:実用上問題無し。 鮮明度実使用上問題のないレベルであり黒すじの長さが 2 . 0 mm以下かつ 5個以下。 かぶり量 W kが 5 %以上 1 0 %未満。
X :実用不可。 鮮明度実使用上問題あり。 黒すじの上記△の範囲を超えるもの。 かぶり量 W kが 1 0 %以上。
T 3 1 トナーを用いた試験の評価結果を表 1 4に、 T 3 3 トナーを用いた試験 の評価結果を表 1 5に示す。 いずれのトナーを用いた場合にも、 感光体の γが 2 O m NZm以上、 3 5 m NZm以下の場合、 良好なタリーエング性を示した。 し かしながら、 γが 3 5 m NZmを超える場合、 感光体とトナーとの相互作用が大 きく、 トナーの感光体への付着力が大きくなりすぎるので、 クリーニング不良が 生じた。 また γが 2 O mNZm未満である R 3 3感光体の場合、 感光体と ト^ "一 との付着力が小さすぎるので、 トナー飛散が生じ、 またトナー飛散に起因して画 像にカプリが発生した。
【表 1 4】 コピー枚数 (枚)
感光体 Y
(mN/m) 0 5000 15000 30000 実施例 24 S31感光体 28.4 ◎ ◎ ◎ ◎
25 S32感光体 30.5 ◎ ◎ ◎ ◎
26 S33感光体 30.0 ◎ ◎ ◎ ◎
27 S34感光体 33.1 ◎ ◎ ◎ ◎
28 S35感光体 34.8 ◎ ◎ ◎
29 S36感光体 22.0 ◎ ◎ O 〇
比較例 22 R31感光体 36.2 ◎ ◎ o 厶
23 R32感光体 40.2 O 厶 X X
24 R33感光体 19.6 o o X
【表 1 5】
次に、 デジタル複写機 AR— 200 (シャープ社製) に実施例の S 3 2感光体 を搭載し、 複写機に備わるクリーユング器のクリーユングブレードの初期線圧を 8 g f / c m (0. 784 X 1 0-1N/c m) , 1 2 g f /cm (1. 1 76 X 1 0_1N/c m) 、 2 1 g f / c m (2. 06 X 1 0_1N "c m) 、 35 g f /c m (3. 43 X 1 0_1Ν/ο m) 、 45 g f / c m (4. 4 1 X 1 0一1 N/cm) に調整した。 温度: 25°C、 相対湿度: 50%の N//N環境中で、 T 3 1 トナーを用いて、 それぞれの線圧において 3万枚の耐刷試験を行い、 タリー ユング性の評価をおこなった。 クリーニング性の評価は、 前述の黒すじおよびか ぶり量 Wkに依った。 また 3万枚の耐刷試験後の膜厚、 すなわち感光層の層厚み を、 光干渉法による瞬間マルチ測光システム MC PD— 1 1 00 (大塚電子社 製) を用いて測定した。 3万枚の耐刷試験後の膜厚が薄い程、 耐刷性が悪いと評 価した。
クリーニング性の評価結果および膜厚の測定結果を表 1 6に示す。 クリーニン グブレードの線圧が 1 0 g f /c m以上、 3 5 g f /c m以下の場合、 良好なタリ 一ユング性を示すとともに、 感光体の性能に支障を来たすほどの膜べりは起こら なかった。 クリ一二ングブレードの線圧が 1 0 g f / c m未満の場合、 感光体上 の残留トナーがクリ一ユングブレードをすり抜けるという著しいクリ一ユング性 の低下が見られた。 逆に線圧が 3 5 g i/cmを超える場合、 クリーニング性に 問題は無いけれども、 1 5 k枚印刷した段階で感光体の感光層が消失するほどの
膜べりが生じ、 以降の耐刷試験の継続が不可能となった。
【表 1 6】
[トナー消費量]
実施例の S 3感光体をデジタル複写機 A R— 2 0 0に搭載し、 クリーニンダブ レードの初期線圧を 2 1 g f / c mに調整した。 複写機のトナーカートリッジに T 3 1 ト ? "一、 T 3 2 トナー、 T 3 4 ト "一、 T 3 5 トナーを 6 0 0 gそれぞれ 充填し、 温度: 2 5 °C、 相対湿度: 5 0 %の NZN環境中で、 5 %濃度の原稿を 用いてトナーがなくなるまで耐刷試験を行った。 トナーが消費し尽くされた段階 における印刷枚数の多い程、 トナー消費量の節減性能に優れると評価した。
試験結果を表 1 7に示す。 なお、 いずれのトナーを用いた場合にも、 耐刷試験 後の画質 (画像濃度) は初期 (O k枚) 時と同等の画像濃度を有していた。 平均 円形度 (a ) が 0 . 9 4 5であっても耐刷枚数が劣ることはないけれども、 平均 円形度 (a ) のより高いトナーを用いることによって転写効率がよくなるので、 より少ないトナー量で所望濃度の画像を多数枚得ることができる。
【表 1 7】
本発明は、 その精神または主要な特徴から逸脱することなく、 他のいろいろな 形態で実施できる。 したがって、 前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過 ぎず、 本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、 明細書本文には何ら 拘束されない。 さらに、 特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲
内のものである。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、 現像剤に含まれるトナーの体積平均粒径が、 4 μπι以上、 7 μπι以下であり、 電子写真感光体表面の表面エネルギーが、 S OmNZm以上、 3 5mN/ni以下、 好ましくは 28 m N/m以上、 35 mN/m以下になるよう に設定される。
電子写真感光体表面の表面自由エネルギーは、 電子写真感光体の表面に対する トナーの付着力の指標である。 一方、 トナーは、 画像の高品質化および高解像度 化を指向して小粒径化されるのに伴って単位重量あたりの表面積である比表面積 が増大するので、 分子間力の影響が増大し電子写真感光体に対する付着力が強く なる。 トナー粒子径が、 高品質および高解像度に好適な体積平均粒子径である 4 〜7 に設定されるとき、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な 範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を 発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 電子写真感光体 表面からトナー、 特に残留トナーが除去され易くなる。
このようにして、 現像性能を低下させることなく、 タリーエング性能を向上さ せることが可能になるので、 小粒径化されたトナー粒子を用いるにも関らずクリ 一二ング性に優れ、 長期間安定して高品質おょぴ高解像度の画像を形成すること のできる画像形成装置が実現される。
また本発明によれば、 現像剤に含まれるトナーの平均円形度が、 0. 9 5以上 であり、 電子写真感光体表面の表面エネルギーが、 20mNZm以上、 35mN /m以下、 好ましくは 28 mNZm以上、 3 5mN/m以下になるように設定さ れる。
小径のトナー粒子は、 画像の高品質化おょぴ高解像度化を指向して球形化され、 その平均円形度が高まるのに伴って、 帯電均一性が向上する。 トナーの平均円形 度が 0. 9 5以上に設定されることによって、 帯電均一性の向上による高品質お よび高解像度の画像形成が実現される。 一般的にトナー粒子の平均円形度を高め ると、 クリーユングブレードにより電子写真感光体表面から残留トナーを搔取る
ことが難しくなるけれども、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な 範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を 発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 クリ一ユングブ レードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリーユング性を発現する ことができる。 また電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な範囲に設 定することによって、 電子写真感光体表面から転写材へのトナ一の移行比率であ る転写効率を向上することができるので、 残留トナーの発生量そのものを抑制す ることが可能になる。
このように現像性能を低下させることなく、 転写効率を向上して残留トナーの 発生量を抑制するとともに、 残留トナーが発生した場合であっても、 タリーニン グブレードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリ一エング性能を発 現させることができるので、 平均円形度の高い球状のトナー粒子を用いるにも関 らず転写効率とクリ一二ング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の 画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
また本発明によれば、 現像剤に含まれるトナーの平均帯電量が、 1 0 cZ g 以上、 3 0 C / g以下であり、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギーが、 2 O m Nノ m以上、 3 5 m N /m以下、 好ましくは 2 8 m N/m以上、 3 5 m N Zm以下になるように設定される。 この電子写真感光体表面の表面自由エネルギ 一と トナーの平均帯電量とは、 電子写真感光体の表面に対するトナーの付着力の 指標である。 電子写真感光体の表面自由エネルギーと トナーの平均帯電量とを、 前記好適な範囲に設定することによって、 電子写真感光体と トナーとの間には、 現像に必要な程度の付着力が発現されるにも関らず過度の付着力が抑制されるの で、 クリーニングブレードによる残留トナーの搔取りが容易になり、 良好なタリ 一二ング性が発現される。 このように現像性能を低下させることなく、 良好なク リーニング性能を発現させることができるので、 長期間安定して高品質および高 解像度の画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
また本発明によれば、 トナーの体積平均粒子径が、 4〜7 μ πιに設定される。 このようにトナーを小粒径とすることによって、 画像の高品質化および高解像度
化を実現することができる。 一方、 トナーが小粒径化されるのに伴って単位重量 あたりの表面積である比表面積が増大するので、 分子間力の影響が増大し電子写 真感光体に対する付着力が強くなる。 しかしながら、 電子写真感光体の表面自由 エネルギーを好適な範囲に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必 要な程度の付着力を発現するにも関らず過度の付着力を抑制することができるの で、 電子写真感光体表面からトナー、 特に残留トナーが除去され易くなる。 この ようにして、 小粒径化されたトナー粒子を用いるにも関らずクリ一二ング性に優 れ、 長期間安定して高品質および高解像度の画像を形成することのできる画像形 成装置が実現される。
また本発明によれば、 トナーは、 ガラス転移温度 (T g ) 力 2 0 °Cを超え、 6 0 °C未満に設定され、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギー (γ ) I 2 O m N /m以上、 3 5 m N /m以下、 好ましくは 2 8 m N Zm以上、 3 5 m N / m以下になるように設定される。 この電子写真感光体表面の表面自由エネルギー は、 電子写真感光体の表面に対するトナーの付着力の指標である。
前述のようにトナーは、 低融点の特性を有するので、 トナー画像を記録媒体で ある転写材に定着させる定着工程における消費エネルギーを低減することができ る。 一方低融点トナーは、 電子写真感光体表面に付着してフィルミングを生じや すいけれども、 電子写真感感光体の表面自由エネルギーが、 低い水準である 2 0 〜3 S m N Zmに設定されるので、 トナー粒子が電子写真感光体の表面に付着し ても、 トナーと電子写真感光体表面との相互作用が小さいので、 クリーニングプ レードの擦過によって容易に除去され、 良好なクリーユング性を得ることができ る。 このようにして、 低融点トナーを用いてもクリーニング不良を生じることの ない画像形成装置が実現される。
また本発明によれば、 トナーは、 低温定着性を有することに加えて、 トナー粒 子の平均円形度が 0 . 9 5 0以上とされる。 トナーの平均円形度が 0 . 9 5 0以 上に設定されることによって、 帯電均一性の向上による高品質および高解像度の 画像形成が実現される。 一般的にトナー粒子の平均円形度を高めると、 タリー二 ングブレードにより電子写真感光体表面から残留トナーを搔取ることが難しくな
るけれども、 電子写真感光体の表面自由エネルギーを 2 0〜3 5 mNZmの範囲 に設定することによって、 トナー粒子に対して現像に必要な程度の付着力を発現 するにも関らず過度の付着力を抑制することができるので、 クリーユングプレー ドによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なタリ一ユング性を発現すること ができる。 また電子写真感光体の表面自由エネルギーを前記好適な範囲に設定す ることによって、 電子写真感光体表面から転写材へのトナーの移行比率である転 写効率を向上することができるので、 残留トナーの発生量そのものを抑制するこ とが可能になる。
このように現像性能を低下させることなく、 転写効率を向上して残留トナーの 発生量を抑制するとともに、 残留トナーが発生した場合であっても、 タリーニン グブレードによる残留トナーの搔取りを容易にし、 良好なクリーニング性能を発 現させることができるので、 平均円形度の高い球状のトナー粒子を用いるにも関 らず転写効率とクリーニング性に優れ、 長期間安定して高品質および高解像度の 画像を形成することのできる画像形成装置が実現される。
また本発明によれば、 クリ一二ング手段に備わるクリ一エングブレードの電子 写真感光体に対する線圧が、 1 0〜3 5 g f Z c mに設定される。 一方、 電子写 真感光体の表面自由エネルギーが、 2 0〜3 5 m NZmの範囲に設定されるので、 トナーと電子写真感光体との相互作用、 すなわちトナーの電子写真感光体表面に 対する過度の付着力が抑制される。 したがって、 前述のように比較的低いクリー エングプレードの線圧であっても、 電子写真感光体表面の残留トナーが容易に除 去されるので、 クリーニング不良が発生することはない。 またクリーニングブレ 一ドの電子写真感光体に対する線圧が低いので、 電子写真感光体の磨耗が抑制さ れ、 装置寿命が延長される。 このようにして、 長期間の使用においてもタリー二 ング不良に起因する画像品質不良を生じることのない画像形成装置が実現される。 また本発明によれば、 電子写真感光体の感光層が、 有機光導電体系材料を含ん で構成される。 このことによって、 電子写真感光体の材料設計が、 容易になり、 かつ低コストおよぴ高効率生産が実現される。
また本発明によれば、 電子写真感光体の感光層は、 電荷生成物質を含む電荷発
生層と、 電荷輸送物質を含む電荷輸送層とが積層されて構成される。 このように 感光層を複数層が積層されるタイプにすることによって、 各層を構成する材料お よびその組合せの自由度が増すので、 電子写真感光体表面の表面自由エネルギー 値を所望の範囲に設定することが容易になる。