WO2002074417A1

WO2002074417A1 - Filtre alveolaire permettant de purifier les gaz d'echappement

Info

Publication number: WO2002074417A1
Application number: PCT/JP2002/001895
Authority: WO
Inventors: Toshiyuki Hamanaka; Takashi Harada
Original assignee: Ngk Insulators, Ltd.
Priority date: 2001-03-16
Filing date: 2002-03-01
Publication date: 2002-09-26
Also published as: ZA200208981B; PL198744B1; US6942712B2; JP4408183B2; JP2002273124A; US20030140608A1; EP1283067A4; EP1283067A1; EP1283067B1; PL357337A1; DE60205828D1; DE60205828T2

Description

明細書排ガス浄化用ハニカムフィルタ一技術分野

本発明は、排ガス浄化用ハニカムフィルタ一に関する。さらに詳しくは、排気ガス等の含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去する浄化性能を高度に維持しながらも、高い耐熱衝撃性を有し、長期に至って継続的使用が可能な排ガス浄化用ハニカムフィルターに関する。

トラック等に搭載されているディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の環境への影響が最近大きくクローズァップされてきており、このような粒子状物質の捕集除去の重要な手段として、排ガス浄化用ハニカムフィルターが用いられている。

排ガス浄化用ハニカムフィルタ一は、通常、多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を、排ガス流入側端面及び排ガス流出側端面で互い違いに目封じしたハニカム構造を備え、排ガスを、排ガス流入側端面に開口する貫通孔からフィルター内に流入し、強制的にフィルター内の隔壁を通過させることにより、排ガス中の粒子状物質を捕集、除去するものである。

ところで、このような排ガス浄化用ハニカムフィルタ一では、フィルターの継続的使用を確保するためには、排ガス流路となる貫通孔中に溜まった粒子状物質を、定期的又は間断的に、燃焼、除去させてフィルターを再生することが必要となる。

しかし、このような力一ボン微粒子の燃焼は、ハニカムフィルタ一に局所的な高温化を招き、局所的に高温化された個所とそれ以外の個所とで熱膨張の相違を生じるため、八二カムフィルターに、熱応力が発生して、クラック等を生じさせ、その継続的使用が極めて困難になるという問題がある。

これに対し、応力を低減する方策として、特開昭 5 9— 1 9 9 5 8 6号公報では、隔壁によって囲まれた多数の貫通孔を有するセラミックハニカム構造体において、貫通孔を囲む隔壁にスリットを少なくとも 1つ設けた貫通孔を、ハニカム構造体の所定部分に実質上均一に配分したことを特徴とする八二カム構造体が提' 案されている。

しかしながら、このハニカム構造体においては、小さなスリットをハニカム構造体に均一に分布させて、変形の自由度を増加させるものであり、熱応力を低減する効果はあるものの、熱応力の大きさがハニカム構造体各部で不均一であることが全く考慮されていないため、温度分布の不均一の程度がより大きな厳しい使用環境下に供されるハニカム構造体の応力低減策としては不十分であった。

一方、特開平 8— 2 8 2 4 6号公報には、ハニカム構造体を複数のハニカム部材に分割して熱応力緩和効果を付与するとともに、各ハニカム部材を、少なくとも三次元的に交錯する無機繊維と無機粒子とを、無機バインダー、及び有機バインダーを介して相互に結合してなる弹性質シール材で接着して、耐久性を向上させたセラミック八二カムフィルターが開示されている。

しかし、このハニカムフィルターでは、耐久性を向上させる目的から、各ハニカム部材における接着面全体をシール材により接着していたため、ハニカム構造体を複数のハニカム部材に分割することによる熱応力緩和効果が減殺されてしまい、長期の継続的使用においては必ずしも充分な耐熱衝撃性を有しなかった。本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、高い净化性能を維持しながらも、耐熱衝撃性が大きく、長期に至る継続的使用が可能な排ガス浄化用ハニカムフィルタ一を提供することを目的とする。発明の開示

本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、ハニカム構造体の少なくとも排ガス流入側端面にスリットを設けるとともに、このスリットのガス流入側端面に開口する部分を含む一部に、特定の深さで充填材を充填することにより、上述の目的を達成できることを知見し、本発明を完成させた。

即ち、本発明によれば、多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を、排ガス流入側端面及び排ガス流出側端面で互い違いに目封じしたハニカム構造体を備える排ガス浄化用ハニカムフィルターであって、八二カム構造体が、少なくとも排ガス流入側端面に開口するスリットを有し、このハニカム構造体が有するスリットは、排ガス流入側端面から排ガス流路方向に、スリット幅の 3〜2 5倍の深さで、一部に充填材を充填され、充填材を充填された部分の内側には空隙領域を形成していることを特徴とする排ガス浄化用ハニカムフィルターが提供される。本発明においては、スリットが、充填材を、スリット幅の 6〜2 5倍の深さで、充填されていることが好ましい。また、ハニカム構造体が、さらに、ハニカム構造体の排ガス流出側端面及び Z又は側面に開口するスリットを備えることが好ましく、この際には、ハニカム構造体の排ガス流出側端面及びノ又は側面に開口するスリットの少なくとも一部に、充填材を充填してなるものとしてもよい。

また、本発明においては、ハニカム構造体が、複数のハニカム部材を、相互に対向するそれぞれの面の一部で、接合材で接合して構成され、スリットが、各ハ二カム部材間に形成されるものが好ましい。この際には、接合材が、ハニカム部材の基体と実質的に同材質であること、又は八二カム部材の基体の材質より強度の小さい材質であることが好ましい。また、各ハニカム部材は、相互に対向するそれぞれの面のうち、接合材で接合していない部分の少なくとも一部で接触している.ことが好ましい。

また、本発明においては、充填材が、充填材のハ二カムフィルタ一基体材料より、強度、ヤング率が小さい材質からなるものが好ましく、中でも、少なくとも三次元的に交錯する無機繊維と無機粒子とを、無機バインダー及び Z又は有機バインダーを介して相互に結合してなるものが好ましい。

また、本発明においては、ハニカムフィルタ一の基体が、コージエライト、炭化珪素、金属シリコン、窒化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネ一ト及びリチウムアルミニウムシリゲートよりなる群から選ばれた一種を主結晶相とするものが好ましい。図面の簡単な説明

図 1 ( a ) ( b ) は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルターの一の実施の形態を模式的に示すものであり、図 1 ( a)は斜視図であり、図 1 ( b )は図 1 ( a ) 4 の上面図である。

図 2は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィル夕一におけるスリツトパターンの一例を模式的に示す斜視図である。

図 3は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルターにおけるスリツトパターンの他の一例を模式的に示す斜視図である。

図 4は、本発明の排ガス浄化用八二カムフィルターにおけるスリットパターンの他の一例を模式的に示す斜視図である。

図 5は、本発明の排ガス浄化用ハエカムフィルタ一におけるスリツトパターンの他の一例を模式的に示す斜視図である。

図 6は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。

図 7は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。発明を実施するための最良の形態

本発明においては、少なくともフィルター再生時に最も熱応力が発生する排ガス流入側端面に開口するスリ 'ヅトを設け、しかもそのスリットの一部のみを充填材で充填して空隙領域を形成するため、熱応力緩和効果が大きく、フィルタ一再生時等において、フィルタ一各部で温度分布の不均一が生じても、クラックの発生を高度に防止することができ、極めて耐熱衝撃性が大きな排ガス浄化用ハニカムフィルターとすることができる。

また、本発明においては、充填材を、スリットの排ガス流入側端面に開口する部分を含んで充填するため、スリットへの排ガスの漏洩が全くなく、上述した大きな耐熱衝撃性を達成しながらも、排ガス浄化性能を高度に維持することができる。

以下、本発明の実施の形態を、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。

本発明の排ガス浄化用ハニカムフィル夕一は、多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を、排ガス流入側端面及び排ガス流出側端面で互い違いに目封じし 5 たハニカム構造体を有するものであり、これにより、フィルタ一内に流入した排ガスが、強制的に隔壁を通過させられ、排ガス中の粒子状物質を捕集、除去することができ.る。

八二カム構造体の形状としては、特に制限はないが、例えば、断面形状が、円、楕円、レーストラック等のものを挙げることができる。また、ハニカム構造体の貫通孔の形状 (セル形状) としては、特に制限はないが、捕集面積を確保するために、断面形状が三角形又は四角形のいずれかであることが好ましい。また、貫通孔のセル密度は、 6〜 2 0 0 0セル/平方ィンチ（ 0 . 9〜 3 1 1セル Z c m²) が好ましく、 5 0〜4 0 0セル/平方インチ（7 . 8〜6 2セル Z c m²) がより好ましい。 .

本発明におけるハニカム構造体では、内燃機関又は燃焼装置の排ガス浄化手段として用いる際に、捕集した粒子状物質の燃焼除去を促進してフィル夕一再生を効果的に行うために、隔壁に、触媒能を有する金属を担持することが好ましい。触媒能を有する金属としては、例えば、 P t、 P d、 R h等を挙げることができ、これら金属は、一種卓独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。ハニカム構造体の基体の材質としては、例えば、コ一ジエライト、炭化珪素、金属シリコン、窒化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート及ぴリチウムアルミニウムシリケートよりなる群から選ばれた一種を主結晶相とするセラミックスを挙げることができる。

中でも、耐熱性、高熱伝導に優れる点で、炭化珪素、又は金属シリコンと炭化珪素とを主結晶相とするものが好ましい。

また、金属シリコンと炭化珪素とを主結晶相とする場合は、 S / ( S i + S i C) で規定される S i含有量が、 5〜5 0質量％であることが、好ましく、 1 0 〜4 0質量％であることがより好ましい。

この範囲とすると、 S iによる結合が充分であるため、熱伝導性、強度が大きいとともに、隔壁に形成する気孔を、粒子状物質の捕集除去する上で好適な気孔率、及び気孔径とすることができる。

本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一は、このようなハニカム構造体が、少なくとも排ガス流入側端面に開口するスリットを有するものであり、これによ PC漏塞 895

6 り、フィルタ一再生時に最も大きな熱応力が発生する排ガス流入側端面で、熱応力緩和効果が増大し、クラック等の発生を効果的に防止することができる。伹し、本発明におけるスリットは、後述するように、排ガス流入側端面に開口する部分は、充填材により塞がれている。

以下、図面に基づいて、本発明におけるスリットの各実施形態について、具体的に説明する。

図 1 ( a ) ( b ) は、本発明の一の実施の形態を模式的に示す説明図であり、図 1 ( a ) は、斜視図であり、図 1 ( b ) は、上面図である。また、図 2〜5は、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルターにおけるスリットパターンの一例を模式的に示す斜視図であり、充填材を除いて示してある。

本発明におけるスリットとしては、例えば、図 2、図 3に示すように、ハニカム構造体 1の排ガス流入側端面 2、及び側面 4にのみ開口しているタイプのもの、又は図 1 ( a ) ( b )、図 4、図 5に示すように、ハニカム構造体 1の排ガス流入側端面 2、排ガス流出側端面 3、及び側面 4に開口しているタイプのものを挙げることができる。

また、前者のタイプとしては、例えば、図 3に示すように、スリット 5が、ハ二カム構造体 1の側面 4で、軸方向 1 0の全長に亘つて開口し、かつスリット 5 のハニカム構造体 1の中心方向 1 1への長さが、徐々に小さくなるように斜めに形成されているもの；図 2に示すように、スリット 5が、ハニカム構造体 1の側面 4で、軸方向 1 0の全長のうち、排ガス流入側端面 2に接続する部分を含む一部において開口し、かつスリツト 5のハニカム構造体 1の中心方向への長さが、ハニカム構造体 1の軸方向で同一となるように形成されているものを挙げることができる。

後者のタイプとしては、図 5に示すように、スリット 5が、ハニカム構造体 1 の側面 4で、軸方向 1 0の全長に亘つて開口し、スリット 5のハニカム構造体 1 の中心方向 1 1への長さが、ハニカム構造体 1の軸方向 1 0で同一となるように形成されているもの；図 4に示すように、スリット 5が、ハニカム構造体 1の側面 4で、軸方向 1 0の全長のうち、排ガス流入側端面 2に接続する部分を含む一部と、排ガス流出端面 2に接続する部分を含む一部とにおいて開口し、スリット 5のハニカム構造体 1の中心方向 1 1への長さが、ハニカム構造体 1の軸方向で同一となるように形成されているものを挙げることができる。

また、いずれのタイプでも、図 2、図 4に示すように、スリット 5が、ハニカム構造体 1の排ガス流入側端面 2で、端面外縁 2 aの各 2点（A, B)、（C， D) を結ぶように連続的に開口し、各スリットの開口部 5 aが、排ガス流入側端面 2 の中央部 2 bで交差するようなもの；図 3、図 5に示すように、各スリツト 5力、排ガス流入側端面 2の外縁 2 aから略中央部 2 b方向に延伸して開口し、かつ各端面の中央部 2 bでは開口せずに、独立して存在するもの等とすることができる。本発明では、これらのスリットの中でも、熱応力緩和作用が高い点で、図 1 ( a ) ( b )、図 4、図 5に示すように、ハニカム構造体 1の排ガス流入側端面 2、排ガス流出側端面 3、及び側面 4に開口しているタイプのものが好ましく、中でも、図 1 ( a ) ( b ) に示すタイプのものが好ましい。

また、図 1 ( a ) ( b ) 〜図 5に示すように、本発明におけるスリット 5は、耐熱衝撃性を向上させる観点から、ハニカム構造体 1を軸方向 1 0等で、少なくとも三等分に分割する位置に設けらることが好ましい。

また、本発明におけるスリット 5の少なくとも一部は、耐熱衝撃性を向上させる観点から、側面 4における開口部'からハニカム構造体 1の中心方向 1 .1へ、同方向 1 1におけるハニカム構造体 1の全幅に対して 1 Z 4の位置まで達していることが好ましく、同様に、スリット 5の少なくとも一部は、排ガス流入側端面 2 における開口部からハニカム構造体 1の排ガス流路方向 1 0へ、同方向 1 0における八二カム構造体の全長に対して 1 Z 4の位置まで達していることが好ましい。また、スリット 5の幅は、応力緩和、及び濾過効率の点から 1〜 3 mmの範囲で設けることが好ましい。

但し、スリット 5の幅は、必ずしも均一とする必要はなく、複数箇所にスリツト 5を設けた際に、各スリット 5毎に異なる幅としてもよい。また、例えば、ハ二カム構造体 1の側面 4で、軸方向 1 0の全長に亘つて開口している一のスリット 5ついて、排ガス流入側端面 2又は排ガス流出側端面 3付近においてスリット 5の幅を大きくし、その中間位置においてはスリット 5の幅を小さくする等、一のスリット 5の各個所毎にスリット 5の幅を異ならせてもよい。 PC翻 2/01895

8 また、このようなスリット 5を形成する方法としては、

第一の方法：押出し成形により、貫通孔 8とともにスリット 5を有するハニカム構造の成形体を作製する方法；

第二の方法：押出し成形により、貫通孔 8を有する八二カム構造の成形体を作製しこ後、得られた成形体を切削して所望の個所にスリット 5を形成する方法；第三の方法：押出し成形により、最終的に得られるハニカム構造体 1を複数のブロックに分割した形状のハニカム部材成形体を複数作製し、これらハニカム部材成形体を、相互に対向するそれぞれの面の一部で接合材により接合して、各ハ二カム部材成形体間にスリット 5を形成する方法；

等を挙げることができる。

本発明では、これら方法の中で、スリット 5の形成が容易であるとともに、熱応力緩和効果が大きい点で、第三の方法によってスリット 5を形成することが好ましい。

また、第三の方法では、ハニカム構造体 1全体の熱伝導性を向上させ、かつ各ハニカム部材 1 2間の拘束を低減して、熱応力緩和効果を増大させる点から、 ① 実質的にハニカム部材 1 2の基体と同材質の接合材 9を用いること、又は②ハニカム部材 1 2の基体より強度の小さい接合材を用い、かつ各ハニカム部材 1 2の相互に対向する面の、接合材 9で接合された部分以外の少なくとも一部で、ハニカム部材 1 2を相互に接触させることが好ましい。

なお、②で、「接触」とは、各ハニカム部材間で熱伝導が可能であり、かつ熱膨張による変形が生じた際に、各ハニカムセグメント間で接する面の位置関係が変更可能な状態を意味し、「強度」とは、材料試験機を用いて 4点曲げ強度試験により測定した値を意味する。

また、 ②で用いる接合材 9は、耐熱性、耐熱衝撃性等に優れる点で、後述する充填材 6と同様にハニカム構造体 1の基体に用いられるセラミックスを主成分とする繊維材料若しくは粉体、又はセメント等を一種単独で又は二種以上を組み合わせたものが好ましい。

他方、本発明においては、ハニカム部材 1 2の基体が、金属 S iと S i Cからなり、 S i Z ( S i + S i C) で規定される S i含有量が、 5〜5 0質量％でぁる場合には、接合材 6を、金属 S iと S i Cからなり、 S i Z ( S i + S i C ) で規定される S i含有量が、接合されるハニカム部材 1 2の基体と同等かそれより多く、かつ 1 0〜8 0質量％であるものとすることも好ましい。この範囲であれば接合強度を充分に保つことができ、かつ高温で充分な耐酸化性を得ることができる。

本発明においては、このようなスリットが、少なくとも排ガス流入側端面に開口する部分を含んで、充填材を充填され、かっこの充填材を充填された部分の内部には空隙領域を形成しており、これにより、浄化性能を高度に維持しながらも、耐熱衝撃性が大きな排ガス浄化用ハニカムフィルターとすることができる。

本発明においては、スリットは、排ガス流入側端面から排ガス流路方向に、スリット幅の 3 ~ 2 5倍の深さで充填材を充填されるものであり、スリット幅の 6 〜2 5倍の深さで充填材を充填されていることが好ましく、 7〜2 5倍の深さで充填材を充填されていることがより好ましい。

充填材を充填した深さがスリツト幅の 3倍未満では、充填材とハ二カム構造体との接合強度が小さく、運転時の振動、熱により充填材が剥離してしまう。一方、スリット幅の 2 5倍を超える深さでは、スリットの熱応力緩和効果が不充分となり、熱応力によりハニカム構造体が破損してしまう。

ここで、充填材を充填した深さとの関係において「スリット幅」とは、図 1 ( b ) に示すように、スリット 5が各端面（図 1 ( b ) 中では、排ガス流入側端面 2のみを示す。）に開.口する部分（図 1 ( b ) 中では、排ガス流入側端面.2に開口する部分 5 aのみを示す。）における長手方向と垂直する方向の長さ 5 dを意味するものである。また、この長さが、測定位置により異なる場合は、平均の長さ（等間隔で 1 0点以上個所で測定した場合の平均の長さ）を意味するものとする。尚、スリット幅 5 dと充填材 6を充填する深さの関係が問題となるのは、スリット 5 に充填される充填材 6は、排ガスの圧力を受ける面積がスリット幅 5 dと相関するため、スリット幅 5 dを大きくすると、より充填材 6の接合強度を増大させる必要が生じるからである。

充填材 6を充填する深さは、充填材 6を充填したスリット 5全体で均一である必要はなく、例えば、排ガスの圧力に応じて、各スリット 5のうち排ガス流入側端面 2のスリット 5で深く充填することが好ましい。

充填材 6の充填形態としては、例えば、図 1 ( a ) ( b ) に示すように、スリツ 'ト 5の排ガス流入側端面 2への開口部 5 aのみを充填材 6により充填し、スリツト 5のその他の部分に空隙領域 5 eを形成したもの；図 6に示すように、スリツト 5の排ガス流入側端面 2及び排ガス流出側端面 3への開口部 5 a、 5 bを充填材 6により充填し、スリット 5のその他の部分に空隙領域 5 eを形成したもの；図 7に示すように、スリット 5の排ガス流入側端面 2、排ガス流出側端面 3、及び側面 4への開口部 5 a、 5 b、 5 cを充填材 6により充填し、スリット 5のその他の部分に空隙領域 5 eを形成したもの等が好ましい。

本発明に用いられる充填材 6は、ハニカム構造体の熱応力緩和効果が大きな点で、ハニカム部材 1 2の基体より強度、ヤング率の小さいものが好ましい。但し、ハニカムフィルターの使用環境を考慮すると、耐熱性、耐熱衝撃性等に優れるものが好ましく、例えば、コージエライト、炭化珪素、金属シリコン、窒化珪素、アルミナ、ムライト、アルミニウムチタネート及びリチウムアルミニウムシリケ —トよりなる群から選ばれた一種を主結晶相とするセラミックスを主成分とするもの、又はセメント等を単独、又は混合して含有するものが好ましい。

中でも、弾性率が大きく、より熱応力を低減することができる点で、前述したセラミックスを主成分とする繊維材料が好ましく、さらに、ハニカム構造体の耐久性を向上させることができる点で、前述したセラミックスを主成分とする無機繊維及び無機粒子を、無機バインダ一及び Z又は有機バインダ一を介して相互に結合してなるものが好ましい。次に、本発明に係るハニカムフィルタ一の製造例、及び実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

(実施例 1 )

セラミックス原料として、炭化珪素（S i C )粉 7 5質量％と金属珪素（S i ) 粉 2 5質量％とを混合した粉末を使用し、これにメチルセルロース、ヒドロキシプロボキシルメチルセルロース、界面活性剤及び水を添加、混練し、可塑性の坏土を作製した。次いで、この坏土を押出成形し、隔壁の厚さが 0. 3mm、セル密度が 3 1セル / c m²であり、組立後に図 Ίに示す円筒状の形状となる断面が扇形形状のハニカム部材成形体を 4個作製した。

次いで、これら複数のハニカム部材成形体をマイクロ波及び熱風で乾燥後、貫通孔を排ガス流入側端面で、千鳥格子状に目封じし、目封じしなかった残余の貫通孔については排ガス流出側端面で目封じして、八二カム部材乾燥体を作製した。次いで、各ハニカム部材乾燥体の、焼成後において接合部に相当する部分に、坏土と同じ組成の接合材用スラリーを塗布した後、各ハニカム部材乾燥体を接合し、一体に組立て、その後乾燥した。

次いで、組立後の乾燥体を、 N₂雰囲気中約 400°Cで脱脂した後、 Ar不活性雰囲気中で約 1 5 50°Cで焼成した。焼成後、各ハニカム部材間に形成されたスリットの、排ガス流入側端面の開口部に、アルミノシリケート質ファイバー、炭化珪素（S i C) 粉、金属珪素（S i) 紛、有機パインダ一、無機バインダー、及び水を含む充填材用スラリーを、排ガス流入側端面から排ガス流路方向に 1 5 mmの深さで充填し、排ガス流出側端面及び側面の開口部には、、排ガス流入側端面の開口部より浅く、同様の充填材用スラリーを充填した。

最後に、充填材用スラリーを充填したものを、約 1 00°Cで乾燥することにより、図 7に示す八二カム構造体からなるハニカムフィルターを作製した。

得られたハニカムフィルタ一は、隔壁の厚さが 0. 3mm、セル密度が 3 1セル /cm²、寸法が、 144ππηφΧ 1 52mmL、各スリット寸法が、スリット幅： 2mm (全てのスリット）、側面における開口部からハニカム構造体の中心方向への深さ： 40mm、排ガス流入側端面における開口部からハニカム構造体の軸方向への深さ： 50mm、排ガス流出側端面における開口部から八二カム構造体の軸方向への深さ： 50mmであった。

なお、充填材（乾燥後）の強度を、材料試験機を用いて 4点曲げ強度試験により測定したところ、同様に測定したハニカム構造体の基体を構成する材料より、小さいものであった。

(実施例 2〜4、比較例 1、 2)

実施例 1において、充填材を、表 1に示す深さで充填したこと以外は、実施例 1·と同様にしてハニカムフィル夕一を得た。

(評価方法）

以下に示す方法により、フィルター再生試験を行い各実施例、及び比較例のハ二カムフィル夕一についての耐熱衝撃性についての評価を行った。

まず、各実施例、及び比較例のハニカムフィル夕一の外周部に把持材としてセラミック製無膨張マツトを巻き、 S U S 4 0 9製のキヤニング用缶体に押し込ん

&

でキヤニング構造体とした。

次いで、ディーゼル燃料軽油の燃焼により発生させた煤を含む燃焼ガスを、排ガス流入側端面に開口する貫通孔より流入させ、排ガス中に含まれる煤を各ハニカムフィルター内に捕集させた。

その後、八二カムフィルターを一旦室温まで放冷した後、ハニカムフィルターの排ガス流入側端面に開口する貫通孔より、 8 0 0 °Cで一定割合の酸素を含む燃焼ガスを流入させ、.煤を燃焼除去するフィルター再生試験を実施した。

このフィル夕一再生試験では、入口ガス温度を 8 0 0 °Cまで上昇させる過渡時間と、捕集煤量を 2種類（過渡時間：標準条件（3 0 0秒）、短（2 4 0秒））（捕集煤量：標準条件（1 0 g /L)、大（1 4 g /D) 設定し、試験を実施した際、ハニカム構造体の排ガス流入側端面でのクラックの発生の有無及び充填材の剥離について調査した。結果をまとめて表 1に示す。

なお、クラックの発生については、クラックが全く発生しなかったものを〇として、少しでも発生したものを△として示した。

(表 1 ) 捕集煤量大標準

過渡時間平口醉

スリット幅クラック充填材の剥離クラック充填材の剥離 (mm)

実施例 1 2 1 5 〇無し〇し実施例 2 2 6 〇有り〇無し実施例 3 2 1 2 〇無し〇無し実施例 4 2 5 0 〇無し〇無し比較例 1 2 4 〇有り〇有り比較例 2 2 8 0 Δ 無し厶無し (評価）

表 1からわかるように、標準条件の場合には、スリットの流入側端面に開口する部分に、スリット幅の 3倍未満の深さで充填材を充填した比較例 1のハニカムフィルタ一では、充填材の剥離が生じ、スリット幅の 2 5倍を超える深さで充填材を充填した比較例 2のハニカムフィルターでは、充填材の剥離が生じなかったものの、排ガス流入側端面にクラックが生じてしまった。これに対して、スリツト幅の 3〜2 5倍の深さで充填材を充填した実施例 1〜4のハニカムフィル夕一では、いずれも充填材の剥離がなく、排ガス流入側端面にクラックも生じなかつた。

また、過渡時間を 2 4 0秒と短くし、捕集煤量を 1 4 g /Lと増加させて、ハ二カムフィルター各部の熱応力を増大させると、スリット幅の 3倍の深さで充填材を充填した実施例 2のハニカムフィルターでは、充填材の剥離が生じたが、スリット幅の 6 ~ 2 5倍の深さで充填材を充填した実施例 1、 3、 4の八二カムフィルターでは、いずれも充填材の剥離がなく、排ガス流入側端面にクラックも生じなかった。産業上の利用可能性

以上説明したように、本発明の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一によれば、浄化性能を高度に維持しながらも、耐熱衝撃性を増大させ、長期に至る継続的使用が可能な排ガス浄化用ハニカムフィルタ一を提供することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を、排ガス流入側端面及び排ガス流出側端面で互い違いに目封じしたハニカム構造体を備える排ガス浄化用ハ二カムフィル夕一であって、

該ハニカム構造体は、少なくとも該排ガス流入側端面に開口するスリットを有し、

該ハニカム構造体が有する該スリットは、該排ガス流入側端面から排ガス流路方向に、スリット幅の 3〜2 5倍の深さで、一部に充填材を充填され、該充填材を充填された部分の内側には空隙領域を形成していることを特徴とする排ガス浄化用八二カムフィルタ一。

2 . 前記スリットが、前記充填材を、前記排ガス流入側端面から排ガス流路方向に、スリット幅の 6〜2 5倍の深さで、充填されている請求項 1に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一。

3 . 前記八二カム構造体が、さらに、前記排ガス流出側端面及び/又は前記ハ二カム構造体の側面に開口するスリットを備える請求項 1又は 2に記載の排ガス浄化用八二カムフィルター。

4 . 前記排ガス流出側端面及びノ又は前記側面に開口するスリットの少なくとも一部に、充填材が充填されている請求項 3に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルター。

5 . 前記充填材が、少なくとも三次元的に交錯する無機繊維と無機粒子とを、無機バインダー及び Z又は有機バインダーを介して相互に結合してなる請求項 1 〜 4のいずれか一項に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルタ一。

6 . 前記ハニカム構造体が、複数のハニカム部材を、相互に対向する面の一部で、接合材で接合して構成され、前記スリットが、各ハニカム部材間に形成される請求項 1〜 5のいずれか一項に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルター。

7 . 前記接合材が、前記ハニカム部材の基体と実質的に同材質である請求項 6 に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルター。

8 . 前記接合材が、前記八二カム部材の基体の材質より、強度の小さい材質からなり、かつ各ハニカム部材が、前記相互に対向するそれぞれの面のうち、接合材で接合していない部分の少なくとも一部で接触している請求項 6に記載の排ガス浄化用ハニカムフィルター。